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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年8月25日
【発行日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】屈折率測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/41 20060101AFI20171110BHJP
【FI】
   G01N21/41 Z
   G01N21/41 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】30
【出願番号】特願2017-500632(P2017-500632)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年2月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-27772(P2015-27772)
(32)【優先日】2015年2月16日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
【住所又は居所】静岡県静岡市駿河区大谷836
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124800
【弁理士】
【氏名又は名称】諏澤 勇司
(72)【発明者】
【氏名】猪川 洋
【住所又は居所】静岡県浜松市中区城北3丁目5−1 国立大学法人静岡大学電子工学研究所内
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘明
【住所又は居所】静岡県浜松市中区城北3丁目5−1 国立大学法人静岡大学電子工学研究所内
(72)【発明者】
【氏名】小野 篤史
【住所又は居所】静岡県浜松市中区城北3丁目5−1 国立大学法人静岡大学電子工学研究所内
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA02
2G059BB08
2G059BB11
2G059CC16
2G059EE05
2G059GG04
2G059GG07
2G059JJ05
2G059JJ18
2G059JJ19
2G059JJ20
2G059KK01
2G059LL01
2G059MM01
2G059MM04
2G059MM11
2G059NN09
(57)【要約】
半導体のシリコン基板7上に形成された埋め込み絶縁層8上に半導体層9,11,12及びゲート絶縁層13を備えると共に、複数の溝部6aが2次元格子状に形成された回折格子部6をゲート絶縁層13上に有するフォトダイオード3に対して、光源装置2から出射された測定光Lが、光弾性変調器20を含む光学系30Aにより導かれて入射する。測定光Lは所定の波長を有する直線偏光の状態で光源装置2から出射され、光学系30Aによって、2つの直交する向きの直線偏光となる状態を繰り返すように所定の周波数で変換される。そして、測定光Lが当該2つの直交する向きの直線偏光となる状態におけるフォトダイオード3からの電気信号をロックイン検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体又は金属から成る基板、
前記基板上に形成された埋め込み絶縁層、
前記埋め込み絶縁層上の所定領域に沿って並んで形成されたp型半導体層及びn型半導体層を含む半導体層、
前記半導体層上に形成されたゲート絶縁層、及び、
前記ゲート絶縁層上に配置され、平面状の導電部材に溝部が2次元的に形成された回折格子部、
を有するフォトダイオードと、
所定の波長を有する直線偏光の光を出射する光源と、
光弾性変調器を含み、前記光を、2つの直交する向きの直線偏光となる状態を所定の周波数で繰り返すように変換し、当該変換された光を前記フォトダイオードへ導く光学系と、
前記光が前記光学系を介して前記フォトダイオードへ入射したことに応じて前記フォトダイオードから出力される電気信号を、前記光が2つの直交する向きの直線偏光となる各時刻において前記所定の周波数でロックイン検出する信号検出部と、
を備える屈折率測定装置。
【請求項2】
前記ロックイン検出した前記電気信号に基づき屈折率を算出する屈折率算出部を更に備える請求項1に記載の屈折率測定装置。
【請求項3】
前記回折格子部は、前記溝部が2次元格子状に形成され、所定の光源の波長及び所定の基準屈折率に対して前記2つの直交する向きの直線偏光の前記光に対する前記電気信号が等しくなるように、前記溝部の周期、及び、前記光の前記回折格子部に対する入射角度が設定され、
前記信号検出部は、前記光が前記2次元格子状に形成された前記溝部の2つの直交する配列方向に沿った向きの直線偏光となる時刻において、前記電気信号をロックイン検出する請求項1又は2に記載の屈折率測定装置。
【請求項4】
前記光学系は、前記光源と前記光弾性変調器との間、及び、前記光弾性変調器と前記フォトダイオードとの間の少なくとも一方に1/4波長板を備える請求項1〜3の何れか一項に記載の屈折率測定装置。
【請求項5】
前記フォトダイオードの後段に、前記電気信号を対数変換する対数変換回路を更に備える請求項1〜4の何れか一項に記載の屈折率測定装置。
【請求項6】
前記回折格子部は、2次元的に形成された前記溝部の2つの配列方向が互いに直交し、
前記信号検出部の前段に、前記配列方向に沿った向きの直線偏光となる各時刻における前記電気信号をサンプル/ホールドするサンプル/ホールド回路を更に備える請求項1〜5の何れか一項に記載の屈折率測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屈折率の測定は、農業、化学、生物学、バイオテクノロジー及び医学などの様々な分野において応用が期待されている。屈折率を測定する技術として、特許文献1〜3には、導波モード共鳴や表面プラズモン共鳴を利用した屈折率の測定装置及び測定方法が記載されている。
【0003】
特許文献1には、試料の屈折率を容易に且つ高精度で求める屈折率計が記載されている。この屈折率計を用いて屈折率を測定する場合には、導波モード共鳴フィルタの導波層端面に測定光を導入し、このときの導波モード共鳴フィルタの格子で回折した出射光を光検出器により検出する。測定光の出射角度は、検出器の位置を移動させることにより所定角度範囲で走査される。これにより、屈折率に対応した共鳴出射角度が求められる。
【0004】
特許文献2には、回折格子を有し、小型化に適する表面プラズモン共鳴センサチップが記載されている。回折格子は弾性変形可能な弾性膜上に形成されている。このチップを用いて屈折率を測定する場合には、試料を回折格子面の近傍に配置した状態で、回折格子に向けて光を入射する。従来の表面プラズモン共鳴センサチップでは、入射光の入射角度を走査して回折光の強度を測定していた。これに対し、このチップでは入射光の入射角度の走査に代えて、弾性膜を膨出させて回折格子面の格子ピッチを動的に変化させることにより、屈折率に対応した共鳴ピッチを求める。
【0005】
特許文献3には、表面プラズモン共鳴センサが記載されている。このセンサは、測定用の光を入射する導波路コア層と、金属薄膜と、誘電体膜と、誘電体膜上に形成された測定用の試料を設けるためのサンプル層とを有している。このセンサを用いて屈折率を測定する場合には、サンプル層に試料を設け、導波路コア層に光を入射させて、導波路コア層を透過する光の波長スペクトルあるいは入射角度スペクトルを測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−210384号公報
【特許文献2】特開2009−168469号公報
【特許文献3】特開2004−170095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜3に記載された屈折率測定装置では、共鳴フィルタから出射された光の強度に基づいて、共鳴ピークを与える共鳴角度、共鳴波長、又は共鳴ピッチを測定し、測定結果から屈折率を算出している。しかし、これらの方法によると、共鳴フィルタから出射された光の強度を検出するために共鳴フィルタとは別体の光検出器が必要であり、装置構成が煩雑化する。更に、光検出器が別体であるため共鳴フィルタから出射された反射光の利用効率が低下し、光の強度の検出精度が悪化することで、屈折率の測定精度が悪化する傾向があった。
【0008】
そこで、本発明の一形態は、装置構成を簡素化すると共に屈折率の測定精度を向上させることを可能にした屈折率測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態に係る屈折率測定装置は、半導体又は金属から成る基板、基板上に形成された埋め込み絶縁層、埋め込み絶縁層上の所定領域に沿って並んで形成されたp型半導体層及びn型半導体層を含む半導体層、半導体層上に形成されたゲート絶縁層、及び、ゲート絶縁層上に配置され、平面状の導電部材に溝部が2次元的に形成された回折格子部、を有するフォトダイオードと、所定の波長を有する直線偏光の光を出射する光源と、光弾性変調器を含み、光を、2つの直交する向きの直線偏光となる状態を所定の周波数で繰り返すように変換し、当該変換された光をフォトダイオードへ導く光学系と、光が光学系を介してフォトダイオードへ入射したことに応じてフォトダイオードから出力される電気信号を、光が2つの直交する向きの直線偏光となる各時刻において所定の周波数でロックイン検出する信号検出部と、を備える。
【0010】
この屈折率測定装置は、基板上に形成された埋め込み絶縁層上に半導体層及びゲート絶縁層を備える。また、この屈折率測定装置では、溝部が2次元的に形成された回折格子部をゲート絶縁層上に有するフォトダイオードに対して、光源から出射された光が光学系により導かれて入射する。ここで、光源から出射される光は、所定の波長を有する直線偏光の状態であり、光学系に含まれる光弾性変調器によって、フォトダイオードに入射する光が2つの直交する向きの直線偏光となる状態を繰り返すように所定の周波数で変換される。そして、2つの直交する向きの直線偏光の光が、溝部が2次元的に形成された回折格子部に繰り返し入射され、当該光が各向きの直線偏光となる状態におけるフォトダイオードの各電気信号が検出される。これにより、回折格子部上に被測定物が配置されている場合、各電気信号に基づいて被測定物の屈折率を得ることができる。このような構成により、別体の光検出器を用いることなく屈折率を測定できるため、装置構成を簡素化することができる。しかも、フォトダイオードに入射する光の利用効率が向上することで光の強度の検出精度が向上する。また、同一の被測定物に対し同一の光源及び光学系から光を入射し、同一の回折格子部及びフォトダイオードによって電気信号に変換することで、電気信号に誤差が生じることが抑制される。更に、信号検出部において電気信号をロックイン検出することで信号対雑音(S/N)比が向上する。その結果、被測定物の屈折率の測定精度を向上できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一形態によれば、装置構成を簡素化すると共に屈折率の測定精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図である。
図2】屈折率測定装置に用いるフォトダイオードを示す斜視図である。
図3】フォトダイオードの要部断面図である。
図4】測定光と導波路モードとの位相整合条件の関係を示す図である。
図5】屈折率とピーク波長及びピーク値との関係を示すグラフである。
図6】入射偏光角に対する量子効率の分光特性を示すグラフである。
図7】対数変換回路の一例を示す図である。
図8】被測定物の屈折率とロックイン検出した出力との関係を示すグラフである。
図9】光電流の対数値と対数変換回路の出力電圧との関係を示すグラフである。
図10】第1実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。
図11】第1実施形態に係る屈折率測定装置の動作を示すタイミングチャートである。
図12】第2実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図である。
図13】第2実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。
図14】第3実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図である。
図15】第3実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。
図16】第4実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図である。
図17】第4実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。
図18】第5実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図である。
図19】第5実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。
図20】第6実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図である。
図21】第6実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図である。本実施形態に係る屈折率測定装置1Aは、図1に示されるように、被測定物Mに測定光(光)Lを照射することにより被測定物Mの屈折率nを得る装置である。屈折率測定装置1Aは、測定光Lの照射により、配置された被測定物Mの屈折率n等に応じた電気信号を出力するフォトダイオード3と、測定光Lを出射する光源装置(光源)2と、光源装置2から出射された測定光Lの偏光状態を変換すると共に当該測定光Lをフォトダイオード3へ導く光学系30Aと、を備えている。また、屈折率測定装置1Aは、フォトダイオード3から出力された電気信号を処理及び検出するための構成として、当該電気信号を対数変換する対数変換回路15と、対数変換回路15から出力された電気信号をサンプル/ホールドするサンプル/ホールド回路14と、サンプル/ホールド回路14から出力された電気信号をロックイン検出する信号検出部16と、信号検出部16によってロックイン検出された電気信号に基づき被測定物Mの屈折率nを算出する屈折率算出部17とを備えている。
【0015】
まず、フォトダイオード3の構成について説明する。
【0016】
図2は屈折率測定装置に用いるフォトダイオードを示す斜視図、図3はフォトダイオードの要部断面図である。図2及び図3に示されるように、フォトダイオード3は、測定光Lの光強度に対応する電気信号を生成する半導体受光素子部4と、半導体受光素子部4上に設けられた回折格子部6とを備えている。なお、以下の説明においては、フォトダイオード3を構成する各層の積層方向をZ軸方向とし、後述する回折格子部6に2次元格子状に形成された複数の溝部6aの配列方向をX軸方向及びY軸方向とし、各軸は互いに直交するものとする。
【0017】
フォトダイオード3の半導体受光素子部4は、いわゆるMOS構造の横型pn接合ダイオードであり、シリコン基板(基板)7と、シリコン基板7上に配置された埋め込み絶縁層8と、埋め込み絶縁層8上に配置された半導体層9,11,12と、半導体層9,11,12上に配置されたゲート絶縁層13と、を有している。埋め込み絶縁層8は酸化シリコンからなり、半導体層9,11,12は所定のドーパントを含むシリコンからなり、ゲート絶縁層13は酸化シリコンからなる。従って、半導体受光素子部4は、シリコン基板7を基板(支持体)としたSOI(Silicon On Insulator)構造を有している。
【0018】
半導体層9,11,12は、埋め込み絶縁層8上の矩形状の所定領域において、X軸方向に沿って、この順で隣接して設けられている。光導波路及び光吸収層として機能する半導体層11は、深さ方向(Z軸方向)の大部分が空乏化し、シリコンに対して低濃度でボロンやリン等のp型不純物又はn型不純物が添加されている。アノード電極及びカソード電極である半導体層9,12は、それぞれ、埋め込み絶縁層8上において半導体層11をX軸に沿った方向から挟むように、半導体層11とほぼ同一の厚さでp型半導体層及びn型半導体層として形成されている。このp型半導体層9及びn型半導体層12は、それぞれ、シリコンに対して高濃度(1019cm−3以上)でボロン等のp型不純物及びリン等のn型不純物が添加されており、半導体層11に並設されることでアノード電極及びカソード電極として機能する。これらの半導体層9,11,12上には、半導体層9,11,12を覆うようにゲート絶縁層13が形成されている。
【0019】
このようなフォトダイオード3によって測定光Lを検出する際には、回折格子部6にゲート電圧Vgが印加され、シリコン基板7に基板電圧Vsubが印加される。ゲート電圧Vg及び基板電圧Vsubを調整することで、半導体層11の上下の界面における電子又は正孔の密度を広範囲で制御することができる。特に、ゲート電圧Vg及び基板電圧Vsubは、ゲート絶縁層13に接する半導体層11の界面と、埋め込み絶縁層8に接する半導体層11の界面における電子又は正孔の密度が半導体層11の真性キャリア密度よりも十分に大きくなるように設定されることが好ましい。
【0020】
ゲート絶縁層13上の少なくとも半導体層11を覆う領域には回折格子部6が配置されている。従って、回折格子部6は、ゲート絶縁層13を介して半導体層11を覆っており、半導体層9,11,12から電気的に絶縁されている。回折格子部6は、平面状の導電部材である金属膜に、半導体層11を覆う領域に亘ってゲート絶縁層13の表面まで貫通する複数の溝部6aが形成されている。各溝部6aは略正方形状の開口を有する。複数の溝部6aは、X軸方向及びY軸方向へそれぞれ配列されて2次元格子状に形成されている。すなわち、複数の溝部6aはX軸方向及びY軸方向に一定の格子ピッチ(周期)Pで配列されていると共に、複数の溝部6aのX軸方向及びY軸方向に沿った2つの配列方向は互いに直交している。このような回折格子部6の材料としては、例えば、チタン(Ti)の付着力強化層上に形成した金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等の導電性金属、n型又はp型の不純物を高濃度に添加した多結晶シリコン(ポリSi)等が用いられる。この回折格子部6は、所定波長を有する測定光Lを半導体層11へ導く役割、ゲート電極としての役割、及び被測定物Mを配置するための配置部としての役割を有する。
【0021】
フォトダイオード3では、回折格子部6に測定光Lが照射されると、半導体層11の導波路モードとの間で位相整合条件を満たす特定波長の測定光Lが最も効率よく半導体層11に捉えられる。半導体層11に捉えられた測定光Lは、半導体層11中において吸収されて電子・正孔対を生成する。そして、生成され分離された電子と正孔の量に対応する光電流がカソードからアノードへ流れるため半導体層12から電気信号が取り出される。
【0022】
この半導体層11における導波路モードの伝搬波長λは、式(1)により示される。ここで、λは測定光Lの波長であり、nは半導体層11の屈折率であり、tは半導体層11の厚さであり、nは埋め込み絶縁層8及びゲート絶縁層13の屈折率である。TEモードとは、導波路(すなわち、半導体層11)を伝搬する光の電界方向が伝搬方向に垂直で導波路平面内にあるモードであり、TMモードとは同じく磁界方向が伝搬方向に垂直で導波路平面内にあるモードであり、各モードに対応して式(1)が異なる。
【数1】
【0023】
位相整合条件について説明する。図4は測定光と導波路モードとの位相整合条件の関係を示す図であり、Y軸に垂直な断面を示している。図4(a)に示されるように、回折格子部6に対して測定光Lが入射角度αで斜めに入射したとき、回折格子部6における1ピッチあたりに生じる光路長(P×sinα)と屈折率nと波長λとに起因して、位相差Δ(=P(2πn/λ)sinα)が生じる。そして、位相整合条件は、位相差Δを波数k(=2π/λ)で除した値(Δ/k)を半導体層11の伝搬波長λに対して加算又は減算した値(=λ±Δ/k)が、格子ピッチPと等しいとして示される。図4(b)は加算される場合を示しており、半導体層11には前進波が伝搬する。減算される場合は、半導体層11には後進波が伝搬する。従って、式(2−1)及び式(2−2)が得られる。ここで、λは測定光Lの波長であり、nは被測定物Mの屈折率であり、Pは格子ピッチであり、αは測定光Lの入射角度である。また、λgfは半導体層11における前進波の伝搬波長であり、λgbは半導体層11における後進波の伝搬波長である。位相整合条件が満たされる場合とは、式(2−1)及び式(2−2)を満足する場合である。式(2−1)及び式(2−2)によれば、位相整合条件を満たす場合とは、格子ピッチP、屈折率n、測定光Lの波長λ、入射角度αにより規定される値が、導波路モードの伝搬波長λgf,λgbと一致する場合であるともいえる。
【数2】
【0024】
式(2−1)及び式(2−2)によれば、測定光Lの入射角度αが0度以外、換言すると測定光Lが回折格子部6に対して斜めに照射された状態で、屈折率nの変化が生じると位相整合条件を満たすために測定光Lの波長λのシフトが必要になることがわかる。
【0025】
光電流の分光特性について説明する。図5は屈折率とピーク波長及びピーク値との関係を示すグラフである。図5に示されるように、光電流の分光特性は、測定光Lの波長λと、その測定光Lを照射したときにフォトダイオード3から出力される電気信号の大きさとの関係である。光電流の分光特性は、波長λごとの電気信号の大きさを示す。図5において、横軸は測定光Lの波長λであり、縦軸は電気信号の大きさを示す光電流である。式(2−1)及び式(2−2)の右辺の値が左辺の伝搬波長λgf,λgbに近づくほど、電気信号の値が大きくなる。そして、右辺の値と左辺の値が一致したとき(位相整合条件を満たすとき)に、電気信号は最大値(ピーク)になる。フォトダイオード3に入った測定光が光電流に変換される効率(すなわち、量子効率)は、光電流を、1秒間にフォトダイオード3に入る光子数及び電気素量で割算して得られる。
【0026】
屈折率nの変化に伴うピーク波長λpのシフトについて更に説明する。図5(a)は、回折格子部6に対する測定光LのZ−X平面内で傾けた入射角度αが10度であるときの光電流の分光特性を示す。図5(b)は、回折格子部6に対する測定光Lの入射角度αが20度であるときの光電流の分光特性を示す。更に、図5(a)のグラフG1及び図5(b)のグラフG3は、被測定物Mの屈折率がn=1である場合の光電流の分光特性を示している。グラフG1は2個のピークpk1,pk2を有し、グラフG3はピークpk5,pk6を有している。2個のピークのうち、長波長のピーク(すなわち、ピークpk1,pk5)が後進波に対応し、短波長のピーク(すなわち、ピークpk2,pk6)が前進波に対応する。図5(a)のグラフG2及び図5(b)のグラフG4は、被測定物Mの屈折率がn=1.4933である場合の光電流の分光特性を示している。グラフG2は2個のピークpk3,pk4を有し、グラフG4はピークpk7,pk8を有している。同じく、長波長のピーク(すなわち、ピークpk3,pk7)が後進波に対応し、短波長のピーク(すなわち、ピークpk4,pk8)が前進波に対応する。
【0027】
ここで図5(a)の後進波のピークpk1,pk3を比較すると、グラフG1(n=1)のピークpk1に対して、グラフG2(n=1.4933)のピークpk3は、ピーク波長λpが長波長側へシフトしていることがわかる。また、前進波のピークに関しては、グラフG1(n=1)のピークpk2に対して、グラフG2(n=1.4933)のピークpk4は、ピーク波長λpが短波長側へシフトしていることがわかる。また、図5(a)のピークpk1,pk3を比較すると、グラフG1(n=1)のピークpk1に対して、グラフG2(n=1.4933)のピークpk3は、ピーク値が減少していることがわかる。また、グラフG1(n=1)のピークpk2に対して、グラフG2(n=1.4933)のピークpk4も、ピーク値が減少していることがわかる。
【0028】
このように、ピーク波長λpのシフト量と屈折率nとの間には所定の関係があり、ピーク値の減少量と屈折率nとの間にも所定の関係があることがわかる。従って、ピーク波長λpのシフト量又はピーク値の減少量を利用して屈折率nを得ることができる。
【0029】
測定光Lの偏光状態の変化に伴って生じるピークの分裂について更に説明する。図6は入射偏光角に対する量子効率の分光特性を示すグラフである。図6では、回折格子部6の複数の溝部6aのX軸方向及びY軸方向における各格子ピッチPがそれぞれ300nm、回折格子部6に対する測定光の入射角度αが10度であるときの量子効率の分光特性が示されている。グラフG5は、直線偏光である測定光Lの電界の振動方向(すなわち、直線偏光の向き)がY軸方向である場合の量子効率の分光特性を示し、グラフG6は、直線偏光である測定光Lの電界の振動方向がX軸方向である場合の量子効率の分光特性を示している。グラフG5は例えばTEモードに対応するピークpk9,pk10、及びTMモードに対応するピークpk11を有し、グラフG6は例えばTEモードに対応するピークpk12、及びTMモードに対応するピークpk13,pk14を有している。例えば直線偏光である測定光Lの電界の振動方向がX軸方向からY軸方向に変換された場合、TEモードに対応するグラフG6のピークpk12は、波長の異なる2つのピークに分裂してグラフG5のピークpk9,pk10となることがわかる。また、例えば直線偏光である測定光Lの電界の振動方向がY軸方向からX軸方向に変換された場合、TMモードに対応するグラフG5のピークpk11は、波長の異なる2つのピークに分裂してグラフG6のピークpk13,pk14となることがわかる。なお、このときの被測定物Mの屈折率nを基準屈折率nとし、X軸方向及びY軸方向の2つの直交する向きの直線偏光の測定光Lに対する量子効率(すなわち、光電流による電気信号)が等しくなるように、格子ピッチP及び入射角度αが設定される。図6では、TMモードのピークpk11に対する長波長側の波長λ1、及び短波長側の波長λ2に対してP=300nm、α=10度が設定されることが示されている。
【0030】
ここで、分裂するピーク波長λpの幅と被測定物Mの屈折率nとの間には所定の関係があり、屈折率nと基準屈折率nとの差が大きいほど分裂するピーク波長λpの幅は大きくなる。このため、測定光Lの波長を同一とした場合、屈折率nと基準屈折率nとの差が大きいほど量子効率の違いが大きくなる。従って、この量子効率の違いを評価することで、被測定物Mの屈折率nを得ることができる。
【0031】
続いて、光源装置2及び光学系30Aの構成について説明する。
【0032】
光源装置2は、所定の帯域に含まれる特定波長を有する測定光Lを出射するものである。測定光Lは、直線偏光の状態で出射される。また、光源装置2は、光学系30Aと協働して、フォトダイオード3の回折格子部6に対する測定光Lの入射角度α(図4(a)参照)を調整可能である。光源装置2及び光学系30Aでは、測定光LがZ−X平面に沿って進行し、Z軸に対する入射角度αを10度として回折格子部6へ入射するように配置されている。
【0033】
光学系30Aは、光源装置2から出射された測定光Lの偏光状態を変換すると共に、フォトダイオード3へ導くものである。光学系30Aは、光弾性変調素子18及び交流電源19を有する光弾性変調器20と、下流側1/4波長板(1/4波長板)22と、を備えている(図1参照)。光源装置2から出射された測定光Lは、光弾性変調素子18、下流側1/4波長板22の順に通過してフォトダイオード3へ入射する。
【0034】
光弾性変調器20は、測定光Lの偏光状態を、印加電圧に応じたリタデーション(位相差)を生じるように変換するものである。例えば、光弾性変調器20は、直線偏光と円偏光との間の相互変換、直線偏光から方向の異なる直線偏光への変換、及び円偏光から回転方向の異なる円偏光への変換等を行うことができる。光弾性変調器20の光弾性変調素子18は、交流電源19に接続されている。交流電源19は、光弾性変調器20がλ/4又はλ/2の最大リタデーションを正負で交互に繰り返すような交流電圧を光弾性変調素子18に印加する。このように交流電源19による電圧変動に連動して変動するリタデーション(位相差)を測定光Lに生じさせることで、光弾性変調器20は測定光Lの偏光状態を周期的に変換する。なお、本実施形態においては、光弾性変調器20の進相軸及び遅相軸は、光源装置2から出射される測定光Lの直線偏光の方向に対してそれぞれ±45度ずつ角度がずれた状態となっている。
【0035】
下流側1/4波長板22は1/4波長板からなり、通過する測定光Lの偏光方向に応じてλ/4の位相差を生じさせる。例えば、下流側1/4波長板22は、直線偏光と円偏光との間の相互変換等を行うことができ、本実施形態においては円偏光を直線偏光に変換する。
【0036】
サンプル/ホールド回路14は、フォトダイオード3から出力される電気信号に混ざっている不要な信号を除去するため、所定の周期で電気信号の出力をサンプリングし、次のサンプリングのタイミングまで当該出力値を維持する回路である。具体的には屈折率測定装置1Aの構成では、サンプル/ホールド回路14は、光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4となるタイミングで発せられる、交流電源19の周波数に同期したサンプリングパルスに同期して、電気信号の出力をサンプル/ホールドする。すなわち、サンプル/ホールド回路14は、測定光Lが回折格子部6における複数の溝部6aの2つの直交する配列方向(X軸方向及びY軸方向)に沿った向きの直線偏光となる各時刻における電気信号の出力をサンプル/ホールドすることとなる。
【0037】
対数変換回路15は、フォトダイオード3から出力される電気信号を対数変換する回路である。図7は対数変換回路の一例を示す図、図8は被測定物の屈折率とロックイン検出した出力との関係を示すグラフである。対数変換回路15は、一例として、図7に示されるように構成される。図7において、PDはフォトダイオード3、Mは第1MOSFET(電界効果トランジスタ)、Mは第2MOSFET、Rは抵抗素子を表す。フォトダイオード3は、アノードが接地されると共に、カソードが第1MOSFETのソース(電流端子)に接続されている。また、第1MOSFETは、ソースが第2MOSFETのゲート(制御端子)に接続されると共に、ドレイン(電流端子)及びゲートが電源に接続されて電圧が印加されている。第2MOSFETは、ソースが出力端子Vに接続されると共に抵抗素子Rを介してグランドに接続され、ドレインが電源に接続されて電圧が印加されている。この対数変換回路15の出力は、当該出力端子Vよりサンプル/ホールド回路14を介して信号検出部16に出力される。上述したように、屈折率測定装置1Aは、基準屈折率nの場合に、2つの直交する向きの直線偏光となる状態の測定光Lのフォトダイオード3への入射によりフォトダイオード3から出力される各光電流IPDの差が0となるように構成されている。また、図8に示されるように、各光電流IPDの差は、屈折率nの基準屈折率n付近における変化に応じて略線形に変化する。ここで、光電流IPDの強度は光源装置2からの測定光Lの強度に依存し、測定光Lが弱くなると光電流IPDの強度も弱くなる。このため、被測定物Mの屈折率nと基準屈折率nとの間に差がある場合であっても、測定光Lが弱い場合、2つの直交する向きの直線偏光となる状態における各光電流IPDの差が小さく検出が困難となり、屈折率の測定精度の悪化の一因となる。
【0038】
ここで、対数変換回路15によって対数変換された各光電流log(IPD)の差は、各光電流IPDの比を対数変換したものに対応する。このため、各光電流log(IPD)の差は光電流IPDの絶対的な強度に依存しないため、この差を用いることにより、2つの直交する向きの直線偏光となる状態における各光電流IPDの比を精度良く検出できる。なお、図9は光電流IPDの対数値と対数変換回路の出力電圧Vとの関係を示すグラフである。図9に示されるように、領域R1では光電流log(IPD)と出力電圧Vとの関係が略線形に近似できる。従って、領域R1の範囲の出力電圧Vを用いることで、更に各光電流IPDの比を精度良く検出できる。
【0039】
信号検出部16は、対数変換回路15から出力され、サンプル/ホールド回路14でサンプル/ホールドされた電気信号をロックイン検出するものである。上述したように、信号検出部16に入力される電気信号は、測定光Lが光学系30Aを介してフォトダイオード3に入射したことに応じてフォトダイオード3から出力される電気信号に対し、対数変換回路15及びサンプル/ホールド回路14を介して出力された電気信号である。信号検出部16はロックインアンプを含んで構成されることで、対数変換された電気信号の差を検出する。信号検出部16は、所定の周波数で光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4となる2つのタイミング(すなわち、測定光Lが回折格子部6における複数の溝部6aの2つの直交する配列方向(X軸方向及びY軸方向)に沿った向きの直線偏光となる各時刻)で発せられるサンプリングパルスに同期して動作する。これにより、信号検出部16は、上記2つのタイミングでの電気信号の差分電圧を検出する。このため、電気信号に含まれる雑音の影響を大幅に減らすことができる。なお、ロックインアンプとしては公知の回路構成としてよい。
【0040】
屈折率算出部17は、信号検出部16においてロックイン検出した電気信号に基づき、被測定物Mの屈折率nを算出するものである。屈折率算出部17は、上述したように、屈折率nと基準屈折率nとの差に応じた量子効率の違いを評価することで被測定物Mの屈折率nを算出する。
【0041】
図10は第1実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。図10の下の部分には、光弾性変調器20に入る光の2種類の偏光状態に対応して、変換後の偏光状態が模式的に示されている(以下、図13、15、17、19,21も同様)。時刻0で示される変換後の偏光状態は入る光の偏光状態に等しい。図10に示されるように、屈折率測定装置1Aでは、光源装置2から出射された測定光Lは、光弾性変調器20の進相軸及び遅相軸に対してそれぞれ45度ずれた向きの直線偏光である。当該測定光Lは、光弾性変調器20を通過する際に円偏光に変換される。光弾性変調器20の最大リタデーションはλ/4に設定されている。円偏光に変換された測定光Lは、光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4のときに互いに反対回りの円偏光となる。続いて、円偏光に変換された測定光Lは、下流側1/4波長板22を通過する際に直線偏光に変換される。具体的には、測定光Lは、光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4のときの互いに反対回りの円偏光の状態で下流側1/4波長板22を通過すると、フォトダイオード3の複数の溝部6aの配列方向であるX軸方向及びY軸方向に沿った向きの直線偏光となる。
【0042】
以上により、光源装置2から出射された測定光Lは、光学系30Aを通過することで2つの直交する向きの直線偏光となる状態を、交流電源19における電圧変動の周波数に連動して繰り返すように変換されることとなる。このとき、光学系30Aを通過した測定光Lの直線偏光の2つの直交する向きは、フォトダイオード3の回折格子部6における複数の溝部6aの2つの直交する配列方向(X軸方向及びY軸方向)に対応するように調整される。
【0043】
続いて、測定光Lがフォトダイオード3に入射したときのフォトダイオード3の動作について説明する。
【0044】
上述したように、屈折率測定装置1Aでは、測定光Lの有する波長において、基準屈折率nに対してX軸方向及びY軸方向の2つの直交する向きの直線偏光の測定光Lに対する量子効率が等しくなるように、格子ピッチP及び入射角度αが設定されている(図6参照)。そして、測定光Lが回折格子部6における複数の溝部6aの2つの直交する配列方向(X軸方向及びY軸方向)に沿った向きの直線偏光を繰り返すように、光学系30Aを調整する。この状態で回折格子部6に測定光Lを照射した場合、測定光Lの直線偏光の向きが周期的に変換されても、フォトダイオード3から出力される電気信号は略一定となる。なお、基準屈折率nとしては、特定物質を回折格子部6に配置した状態での屈折率nとしてもよく、回折格子部6に何も配置していない状態での屈折率nとしてもよい。
【0045】
従って、回折格子部6に屈折率nの被測定物Mを配置すると(すなわち、屈折率nが基準屈折率nではない値とされると)、量子効率の分光特性が変化する。ピーク波長λpのシフト量と屈折率nとの間には所定の関係があり、ピーク値の減少量と屈折率nとの間にも所定の関係がある。これにより、ピーク波長λpのシフト量又はピーク値の減少量を利用して屈折率nに関する情報を有した電気信号を得ることができる。
【0046】
続いて、フォトダイオード3から出力された電気信号の処理及び検出について説明する。図11は第1実施形態に係る屈折率測定装置の動作を示すタイミングチャートである。
【0047】
測定光のLの偏光状態は、光弾性変調器20において直線偏光から円偏光に変換される。しかしながら、測定光Lが円偏光の状態となるのは光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4の場合に限られる。これらの過渡期間において測定光Lは楕円偏光等の状態となっている。このため、過渡期間においてフォトダイオード3から出力される電気信号には不要な信号が混ざっており、屈折率の測定精度の悪化の一因となる。
【0048】
図11では、横軸に示される時間のうち、矢印A1によって示される期間内において基準屈折率nとは異なる屈折率nを有する被測定物Mが回折格子部6に配置された場合の、屈折率測定装置1Aの動作が示されている。回折格子部6に被測定物Mが配置される前において、サンプル/ホールドされた電気信号は相対的に高い値で一定となっている。一方、被測定物Mが配置された後にサンプル/ホールドされた電気信号においては、光弾性変調器20のリタデーションが+λ/4となるタイミングで発せられるサンプリングパルスに同期してサンプリングされた電気信号の出力は、相対的に高い値で一定に維持されている。また、光弾性変調器20のリタデーションが−λ/4となるタイミングで発せられるサンプリングパルスに同期してサンプリングされた電気信号の出力は、相対的に低い値で一定に維持されている。このように、サンプル/ホールド回路14を設けることによって、電気信号の出力が必要な期間に亘って一定に維持されるため、フォトダイオード3から出力される電気信号に混ざっている不要な信号が除去される。
【0049】
フォトダイオード3から出力された電気信号は、上述したように、対数変換回路15に入力されて対数変換された後、サンプル/ホールド回路14に入力しても良い。サンプル/ホールド回路14の出力は、信号検出部16に入力されてロックイン検出される。その後、信号検出部16においてロックイン検出された電気信号に基づき、屈折率算出部17において、屈折率nと基準屈折率nとの差に応じた量子効率の違いを評価することで被測定物Mの屈折率nが算出される。
【0050】
このような構成とすることで、第1実施形態に係る屈折率測定装置1Aには以下のような利点がある。すなわち、光弾性変調器20の、測定光Lの光路に対する下流側に下流側1/4波長板22が配置されているため、光学系30Aの調整時に、寸法及び重量の大きい光弾性変調器20を移動させる必要がなく調整の手間が軽減される。また、光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4となる状態で電気信号をサンプリングしており、この状態における滞在時間が互いに同等であるため、信号検出部16における電気信号の検出を容易に行うことができる。更に、この状態における滞在時間が相対的に長いため、電気信号をサンプリングする時間を相対的に長く確保でき、信号対雑音(S/N)比の低下を抑制できる。なお、過渡期間における不要な信号の強度が小さい場合には、サンプル/ホールド回路14を取り除くことも可能となる。
【0051】
以上説明したように、第1実施形態に係る屈折率測定装置1Aは、半導体のシリコン基板7上に形成された埋め込み絶縁層8上に半導体層9,11,12及びゲート絶縁層13を備える。また、屈折率測定装置1Aでは、複数の溝部6aが2次元格子状に形成された回折格子部6をゲート絶縁層13上に有するフォトダイオード3に対して、光源装置2から出射された測定光Lが光学系30Aにより導かれて入射する。ここで、光源装置2から出射される測定光Lは所定の波長を有する直線偏光の状態であり、光学系30Aに含まれる光弾性変調器20によって、フォトダイオード3に入射する測定光Lが2つの直交する向きの直線偏光となる状態を繰り返すように所定の周波数で変換される。そして、2つの直交する向きの直線偏光の測定光Lが、複数の溝部6aが2次元格子状に形成された回折格子部6に繰り返し入射され、当該測定光Lが各向きの直線偏光となる状態におけるフォトダイオード3の各電気信号が検出される。これにより、回折格子部6上に被測定物Mが配置されている場合、各電気信号に基づいて被測定物Mの屈折率nを得ることができる。このような構成により、別体の光検出器を用いることなく屈折率nを測定できるため、装置構成を簡素化することができる。しかも、フォトダイオード3に入射する測定光Lの利用効率が向上することで測定光Lの強度の検出精度が向上する。また、同一の被測定物Mに対し同一の光源装置2及び光学系30Aから測定光Lを入射し、同一の回折格子部6及びフォトダイオード3によって電気信号に変換することで、電気信号に誤差が生じることが抑制される。更に、信号検出部16において電気信号をロックイン検出することで信号対雑音(S/N)比が向上する。その結果、被測定物Mの屈折率nの測定精度を向上できる。
【0052】
また、屈折率測定装置1Aは、ロックイン検出した電気信号に基づき屈折率nを算出する屈折率算出部17を更に備えているため、上記作用効果を好適に実現することができる。
【0053】
また、回折格子部6は、所定の基準屈折率nに対して2つの直交する向きの直線偏光の光に対する電気信号が等しくなるように、2次元格子状に形成された複数の溝部6aの格子ピッチP、及び、測定光Lの回折格子部6に対する入射角度αが設定され、信号検出部16は、測定光Lが2次元格子状に形成された複数の溝部6aの2つの直交する配列方向(X軸方向及びY軸方向)に沿った向きの直線偏光となる時刻において、電気信号をロックイン検出する。これにより、基準屈折率nにおいてロックイン検出された出力がゼロとなるため、ロックイン検出の増幅率を高めることができる。よって、基準屈折率nからの屈折率変化に対応した電気信号の強度が増大し、屈折率nの測定精度を向上できる。
【0054】
また、光学系30Aは、光弾性変調器20とフォトダイオード3との間に下流側1/4波長板22を備えているため、後述する他の実施形態を含めた光学系の多様な構成に対応できる。
【0055】
また、屈折率測定装置1Aは、フォトダイオード3の後段に、電気信号を対数変換する対数変換回路15を更に備えている。それぞれ対数変換された各電気信号の差を評価することは、各電気信号の比を対数変換したものを評価することに相当する。このため、対数変換回路15を備えることで、光源装置2からの測定光Lの強度の変動に影響を受け難い。従って、対数変換された各電気信号の差を評価することにより屈折率nの測定精度を向上できる。
【0056】
また、回折格子部6は、信号検出部16の前段に、2次元格子状に形成された複数の溝部6aの2つの直交する配列方向(X軸方向及びY軸方向)に沿った向きの直線偏光となる各時刻における電気信号をサンプル/ホールドするサンプル/ホールド回路14を更に備えている。このため、光弾性変調器20によって光の偏光状態が変調される際の過渡期間において生じる電気信号の変動を除去できるため、屈折率nの測定精度を向上できる。
【0057】
ここで、屈折率測定装置1Aは、バイオテクノロジーの分野においても有用であることを以下に説明する。従来、生化学物質の検出方法として、酵素による発色又は蛍光を検出する手法と、屈折率を測定する手法とが知られている。酵素による発色又は蛍光を検出する手法としては、例えば、酵素免疫吸着測定法(ELISA: Enzyme-Linked Immunosorbent Assay)及び化学発光酵素免疫測定法(CLEIA: Chemiluminescent Enzyme Immunoassay)が挙げられる。一方、屈折率を測定する手法としては、屈折率測定装置1Aにも用いられている表面プラズモン共鳴(SPR: Surface Plasmon Resonance)が挙げられる。
【0058】
これらの手法について、例えば、Sandeep Kumar Vashist,et al. “Comparative study of the developed chemiluminescent, ELISA and SPR immunoassay formats for the highly sensitive detection of human albumin”, Procedia Chemistry, 2012, No.6, p.184−193には、腎臓、肝臓等の疾患及び炎症のマーカーとなるヒトアルブミンの検出に関して以下の内容が記載されている。すなわち、ヒトアルブミンの検出感度はCLEIA、ELISA、SPRの順に高いものの、SPRによれば、迅速に実時間の測定が可能であること、抗体に対して酵素や蛍光物質で標識付けする必要がないこと、及び、分子間相互作用に関する反応速度(kinetics)、親和性(affinity)等の解析が可能であることが記載されている。
【0059】
また、例えば、S. R. Edupuganti,et al. “Biological and synthetic binders for immunoassay and sensor-based detection: generation and characterization of an anti-AFB2 single-chain variable fragment (scFv)”, World Mycotoxin Journal, August 2013, No.6 (3), p.273-280には、食品等に含まれるアフラトキシン(aflatoxin:カビ毒)の検出に関して以下の内容が記載されている。すなわち、アフラトキシンの検出感度は、ELISAに比較してSPRの方が10倍高いことが記載されている。この結果は、アフラトキシンのように効率よく標識付けすることができない分子の検出においては、ELISAに比較してSPRの方が高感度になり得ることを示していると考えられる。
【0060】
以上のように、検出対象となる分子に効率良く標識付けすることができない場合、或いは、標識付けすることによって検出対象となる分子の性質が変化してしまう場合においても適用可能な屈折率測定装置が、バイオテクノロジーの分野において求められている。
【0061】
ここで、本実施形態に係る屈折率測定装置1Aは、検出対象となる分子に標識付けする必要がないため、上述した場合においても適用可能である。従って、屈折率測定装置1Aは、バイオテクノロジーの分野においても高い有用性を備えている。
【0062】
[第2実施形態]
図12は第2実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図、図13は第2実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。第2実施形態に係る屈折率測定装置1Bが第1実施形態に係る屈折率測定装置1Aと相違する点は、構成の異なる光学系30Bを備えている点である。
【0063】
すなわち、光学系30Bは、図12に示されるように、上流側1/4波長板(1/4波長板)21と、光弾性変調器20と、を備えている。光源装置2から出射された測定光Lは、上流側1/4波長板(1/4波長板)21、光弾性変調器20の光弾性変調素子18の順に通過してフォトダイオード3へ入射する。
【0064】
上流側1/4波長板21は、下流側1/4波長板22と同様に、1/4波長板からなる。上流側1/4波長板21は、通過する測定光Lの偏光方向に応じてλ/4の位相差を生じさせ、例えば直線偏光と円偏光との間の相互変換等を行うことができる。
【0065】
図13に示されるように、屈折率測定装置1Bでは、光源装置2から出射された直線偏光の測定光Lは、当該測定光Lが上流側1/4波長板21を通過する際に円偏光に変換される。このとき、円偏光の回転方向は上流側1/4波長板21の回転角により設定される。続いて、円偏光に変換された測定光Lは、光弾性変調器20を通過する際に直線偏光に変換される。具体的には、光弾性変調器20の最大リタデーションはλ/4に設定されている。円偏光に変換された測定光Lは、光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4のときに、光弾性変調器20の進相軸及び遅相軸に対してそれぞれ±45度ずれた向きの直線偏光となる。
【0066】
以上により、光源装置2から出射された測定光Lは、光学系30Bを通過することで2つの直交する向きの直線偏光となる状態を、交流電源19における電圧変動の周波数に連動して繰り返すように変換されることとなる。このとき、光学系30Bを通過した測定光Lの直線偏光の2つの直交する向きは、フォトダイオード3の回折格子部6における複数の溝部6aの2つの直交する配列方向(X軸方向及びY軸方向)に対応するように調整される。
【0067】
このような構成とすることで、第2実施形態に係る屈折率測定装置1Bには以下のような利点がある。すなわち、光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4となる状態で電気信号をサンプリングしており、この状態における滞在時間が互いに同等であるため、信号検出部16における電気信号の検出を容易に行うことができる。また、この状態における滞在時間が相対的に長いため、電気信号をサンプリングする時間を相対的に長く確保でき、信号対雑音(S/N)比の低下を抑制できる。なお、過渡期間における不要な信号の強度が小さい場合には、サンプル/ホールド回路14を取り除くことも可能となる。
【0068】
[第3実施形態]
図14は第3実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図、図15は第3実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。第3実施形態に係る屈折率測定装置1Cが第1実施形態に係る屈折率測定装置1Aと相違する点は、構成の異なる光学系30Cを備えている点である。
【0069】
すなわち、光学系30Cは、図14に示されるように、上流側1/4波長板(1/4波長板)21と、光弾性変調器20と、を備えている。光源装置2から出射された測定光Lは、上流側1/4波長板(1/4波長板)21、光弾性変調器20の光弾性変調素子18の順に通過してフォトダイオード3へ入射する。
【0070】
図15に示されるように、屈折率測定装置1Cでは、光源装置2から出射された直線偏光の測定光Lは、当該測定光Lが上流側1/4波長板21を通過する際に円偏光に変換される。このとき、円偏光の回転方向は上流側1/4波長板21の回転角により設定される。続いて、円偏光に変換された測定光Lは、光弾性変調器20を通過する際に直線偏光に変換される。具体的には、光弾性変調器20の最大リタデーションはλ/2に設定されている。円偏光に変換された測定光Lは、光弾性変調器20のリタデーションが過渡的に±λ/4の状態となるときに、光弾性変調器20の進相軸及び遅相軸に対してそれぞれ±45度ずれた向きの直線偏光となる。
【0071】
以上により、光源装置2から出射された測定光Lは、光学系30Cを通過することで2つの直交する向きの直線偏光となる状態を、交流電源19における電圧変動の周波数に連動して繰り返すように変換されることとなる。このとき、光学系30Cを通過した測定光Lの直線偏光の2つの直交する向きは、フォトダイオード3の回折格子部6における複数の溝部6aの2つの直交する配列方向(X軸方向及びY軸方向)に対応するように調整される。
【0072】
このような構成とすることで、第3実施形態に係る屈折率測定装置1Cには以下のような利点がある。すなわち、光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4となる状態で電気信号をサンプリングしており、この状態における滞在時間が互いに同等であるため、信号検出部16における電気信号の検出を容易に行うことができる。
【0073】
[第4実施形態]
図16は第4実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図、図17は第4実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。第4実施形態に係る屈折率測定装置1Dが第1実施形態に係る屈折率測定装置1Aと相違する点は、構成の異なる光学系30Dを備えている点である。
【0074】
すなわち、光学系30Dは、図16に示されるように、光弾性変調器20と、下流側1/4波長板(1/4波長板)22と、を備えている。光源装置2から出射された測定光Lは、光弾性変調器20の光弾性変調素子18、下流側1/4波長板22の順に通過してフォトダイオード3へ入射する。
【0075】
図17に示されるように、屈折率測定装置1Dでは、光源装置2から出射された測定光Lは、光弾性変調器20の進相軸及び遅相軸に対してそれぞれ45度ずれた向きの直線偏光である。当該測定光Lは、光弾性変調器20を通過する際に円偏光に変換される。光弾性変調器20の最大リタデーションはλ/2に設定されている。円偏光に変換された測定光Lは、光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4のときに互いに反対回りの円偏光となる。続いて、円偏光に変換された測定光Lは、下流側1/4波長板22を通過する際に直線偏光に変換される。具体的には、測定光Lは、光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4のときの互いに反対回りの円偏光の状態で下流側1/4波長板22を通過すると、フォトダイオード3の複数の溝部6aの配列方向であるX軸方向及びY軸方向に沿った向きの直線偏光となる。
【0076】
以上により、光源装置2から出射された測定光Lは、光学系30Dを通過することで2つの直交する向きの直線偏光となる状態を、交流電源19における電圧変動の周波数に連動して繰り返すように変換されることとなる。このとき、光学系30Dを通過した測定光Lの直線偏光の2つの直交する向きは、フォトダイオード3の回折格子部6における複数の溝部6aの2つの直交する配列方向(X軸方向及びY軸方向)に対応するように調整される。
【0077】
このような構成とすることで、第4実施形態に係る屈折率測定装置1Dには以下のような利点がある。すなわち、光弾性変調器20の、測定光Lの光路に対する下流側に下流側1/4波長板22が配置されているため、光学系30Dの調整時に、寸法及び重量の大きい光弾性変調器20を移動させる必要がなく調整の手間が軽減される。また、光弾性変調器20のリタデーションが±λ/4となる状態で電気信号をサンプリングしており、この状態における滞在時間が互いに同等であるため、信号検出部16における電気信号の検出を容易に行うことができる。
【0078】
[第5実施形態]
図18は第5実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図、図19は第5実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。第5実施形態に係る屈折率測定装置1Eが第1実施形態に係る屈折率測定装置1Aと相違する点は、構成の異なる光学系30Eを備えている点である。
【0079】
すなわち、光学系30Eは、図18に示されるように、上流側1/4波長板(1/4波長板)21と、光弾性変調器20と、下流側1/4波長板(1/4波長板)22と、を備えている。光源装置2から出射された測定光Lは、上流側1/4波長板(1/4波長板)21、光弾性変調器20の光弾性変調素子18、下流側1/4波長板22の順に通過してフォトダイオード3へ入射する。
【0080】
図19に示されるように、屈折率測定装置1Eでは、光源装置2から出射された直線偏光の測定光Lは、当該測定光Lが上流側1/4波長板21を通過する際に円偏光に変換される。このとき、円偏光の回転方向は上流側1/4波長板21の回転角により設定することもできる。続いて、円偏光に変換された測定光Lは、光弾性変調器20を通過する際に状態の異なる円偏光に変換される。具体的には、光弾性変調器20の最大リタデーションはλ/2に設定されている。円偏光に変換された測定光Lは、光弾性変調器20のリタデーションが0、又は±λ/2のときに互いに反対回りの円偏光の状態となる。続いて、光弾性変調器20を通過した測定光Lは、下流側1/4波長板22を通過する際に直線偏光に変換される。具体的には、測定光Lは、互いに反対回りの円偏光の状態で下流側1/4波長板22を通過すると、フォトダイオード3の複数の溝部6aの配列方向であるX軸方向及びY軸方向に沿った向きの直線偏光となる。
【0081】
以上により、光源装置2から出射された測定光Lは、光学系30Eを通過することで2つの直交する向きの直線偏光となる状態を、交流電源19における電圧変動の周波数の2倍に連動して繰り返すように変換されることとなる。このとき、光学系30Eを通過した測定光Lの直線偏光の2つの直交する向きは、フォトダイオード3の回折格子部6における複数の溝部6aの2つの直交する配列方向(X軸方向及びY軸方向)に対応するように調整される。電気信号は、光弾性変調器20のリタデーションが0及び±λ/2となる状態でサンプリングする必要がある。
【0082】
このような構成とすることで、第5実施形態に係る屈折率測定装置1Eには以下のような利点がある。すなわち、光弾性変調器20の、測定光Lの光路に対する下流側に下流側1/4波長板22が配置されているため、光学系30Eの調整時に、寸法及び重量の大きい光弾性変調器20を移動させる必要がなく調整の手間が軽減される。同様に、光源装置2の下流側であって光弾性変調器20の上流側に上流側1/4波長板21が配置されているため、光学系30Eの調整時に、光源装置2を移動させる必要がなく調整の手間が軽減される。
【0083】
[第6実施形態]
図20は第6実施形態に係る屈折率測定装置を示す概略構成図、図21は第6実施形態における光弾性変調器による変換後の偏光状態の時間変化を示す図である。第6実施形態に係る屈折率測定装置1Fが第1実施形態に係る屈折率測定装置1Aと相違する点は、構成の異なる光学系30Fを備えている点である。
【0084】
すなわち、光学系30Fは、図20に示されるように、光弾性変調器20を備えている。光源装置2から出射された測定光Lは、光弾性変調器20の光弾性変調素子18を通過してフォトダイオード3へ入射する。
【0085】
図21に示されるように、屈折率測定装置1Fでは、光源装置2から出射された測定光Lは、光弾性変調器20の進相軸及び遅相軸に対してそれぞれ45度ずれた向きの直線偏光である。当該測定光Lは、光弾性変調器20を通過する際に周期的に向きが変化する直線偏光に変換される。具体的には、光弾性変調器20の最大リタデーションはλ/2に設定されている。測定光Lは、光弾性変調器20のリタデーションがそれぞれ0、又は±λ/2のときに、光弾性変調器20の進相軸及び遅相軸に対してそれぞれ±45度ずれた向きの直線偏光となる。
【0086】
以上により、光源装置2から出射された測定光Lは、光学系30Fを通過することで2つの直交する向きの直線偏光となる状態を、交流電源19における電圧変動の周波数の2倍に連動して繰り返すように変換されることとなる。このとき、光学系30Fを通過した測定光Lの直線偏光の2つの直交する向きは、フォトダイオード3の回折格子部6における複数の溝部6aの2つの直交する配列方向(X軸方向及びY軸方向)に対応するように調整される。電気信号は、光弾性変調器20のリタデーションが0及び±λ/2となる状態でサンプリングする必要がある。
【0087】
このような構成とすることで、第6実施形態に係る屈折率測定装置1Fには以下のような利点がある。すなわち、光弾性変調器20のみで直線偏光の向きを調整可能であるため、光学系30Fの構成を簡素化することができる。
【0088】
なお、本発明に係る屈折率測定装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、フォトダイオード3に半導体のシリコン基板7を用いているが、金属から成る基板を用いてもよい。
【0089】
また、回折格子部6に形成された複数の溝部6aは、ゲート絶縁層13の表面まで貫通していなくてもよく、またゲート絶縁層13の内部まで掘り込まれていてもよい。
【0090】
また、複数の溝部6aは、2次元的に形成されていれば、あらゆる形状を採用できる。すなわち、複数の溝部6aは、必ずしも2次元格子状に形成されていなくてもよく、また必ずしも2次元的に形成された前記溝部の2つの配列方向が互いに直交していなくてもよい。例えば、複数の溝部6aの配列は、長方格子状、六方格子状、斜方格子状、面心長方格子状、又は三角格子状等であってもよい。
【0091】
ここで、屈折率測定装置は、ロックイン検出した電気信号に基づき屈折率を算出する屈折率算出部を更に備えてもよい。この場合、上記作用効果を好適に実現することができる。
【0092】
また、回折格子部は、溝部が2次元格子状に形成され、所定の光源の波長及び所定の基準屈折率に対して2つの直交する向きの直線偏光の光に対する電気信号が等しくなるように、溝部の周期、及び、光の回折格子部に対する入射角度が設定され、信号検出部は、光が2次元格子状に形成された溝部の2つの直交する配列方向に沿った向きの直線偏光となる時刻において、電気信号をロックイン検出してもよい。この場合、基準屈折率においてロックイン検出された出力がゼロとなるため、ロックイン検出の増幅率を高めることができる。よって、基準屈折率からの屈折率変化に対応した電気信号の強度が増大し、屈折率の測定精度を向上できる。
【0093】
また、光学系は、光源と光弾性変調器との間、及び、光弾性変調器とフォトダイオードとの間の少なくとも一方に1/4波長板を備えてもよい。この場合、1/4波長板と光弾性変調器との組み合わせを変更することで、光学系の多様な構成に対応できる。
【0094】
また、屈折率測定装置は、信号検出部の前段に、電気信号を対数変換する対数変換回路を更に備えてもよい。それぞれ対数変換された各電気信号の差を評価することは、各電気信号の比を対数変換したものを評価することに相当する。このため、上記構成を採用した場合、光源からの光の強度の変動に影響を受け難い。従って、対数変換された各電気信号の差を評価することにより屈折率の測定精度を向上できる。
【0095】
また、回折格子部は、2次元的に形成された溝部の2つの配列方向が互いに直交し、信号検出部の前段に、配列方向に沿った向きの直線偏光となる各時刻における電気信号をサンプル/ホールドするサンプル/ホールド回路を更に備えてもよい。この場合、光弾性変調器によって光の偏光状態が変調される際の過渡期間において生じる電気信号の変動を除去できるため、屈折率の測定精度を向上できる。
【符号の説明】
【0096】
1A〜1F…屈折率測定装置、2…光源装置(光源)、3…フォトダイオード、6…回折格子部、6a…溝部、7…シリコン基板(基板)、8…埋め込み絶縁層、9,11,12…半導体層、13…ゲート絶縁層、16…信号検出部、20…光弾性変調器、30A〜30F…光学系、L…測定光(光)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21

【手続補正書】
【提出日】2016年8月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体又は金属から成る基板、
前記基板上に形成された埋め込み絶縁層、
前記埋め込み絶縁層上の所定領域に沿って並んで形成されたp型半導体層及びn型半導体層を含む半導体層、
前記半導体層上に形成されたゲート絶縁層、及び、
前記ゲート絶縁層上に配置され、平面状の導電部材に溝部が2次元的に形成された回折格子部、
を有するフォトダイオードと、
所定の波長を有する直線偏光の光を出射する光源と、
光弾性変調器を含み、前記光を、2つの直交する向きの直線偏光となる状態を所定の周波数で繰り返すように変換し、当該変換された光を前記フォトダイオードへ導く光学系と、
前記光が前記光学系を介して前記フォトダイオードへ入射したことに応じて前記フォトダイオードから出力される電気信号を、前記光が2つの直交する向きの直線偏光となる各時刻において前記所定の周波数でロックイン検出する信号検出部と、
を備え、
前記溝部は、第1方向に所定の第1格子ピッチで配列されていると共に、前記第1方向と交差する第2方向に所定の第2格子ピッチで配列されている屈折率測定装置。
【請求項2】
前記ロックイン検出した前記電気信号に基づき屈折率を算出する屈折率算出部を更に備える請求項1に記載の屈折率測定装置。
【請求項3】
前記回折格子部は、前記溝部が2次元格子状に形成され、所定の光源の波長及び所定の基準屈折率に対して前記2つの直交する向きの直線偏光の前記光に対する前記電気信号が等しくなるように、前記溝部の周期、及び、前記光の前記回折格子部に対する入射角度が設定され、
前記信号検出部は、前記光が前記2次元格子状に形成された前記溝部の2つの直交する配列方向に沿った向きの直線偏光となる時刻において、前記電気信号をロックイン検出する請求項1又は2に記載の屈折率測定装置。
【請求項4】
前記光学系は、前記光源と前記光弾性変調器との間、及び、前記光弾性変調器と前記フォトダイオードとの間の少なくとも一方に1/4波長板を備える請求項1〜3の何れか一項に記載の屈折率測定装置。
【請求項5】
前記フォトダイオードの後段に、前記電気信号を対数変換する対数変換回路を更に備える請求項1〜4の何れか一項に記載の屈折率測定装置。
【請求項6】
前記回折格子部は、2次元的に形成された前記溝部の2つの配列方向が互いに直交し、
前記信号検出部の前段に、前記配列方向に沿った向きの直線偏光となる各時刻における前記電気信号をサンプル/ホールドするサンプル/ホールド回路を更に備える請求項1〜5の何れか一項に記載の屈折率測定装置。
【請求項7】
前記第1方向と前記第2方向とは、互いに直交している請求項1〜6の何れか一項に記載の屈折率測定装置。
【請求項8】
前記第1格子ピッチと前記第2格子ピッチとは、互いに等しい請求項1〜7の何れか一項に記載の屈折率測定装置。
【請求項9】
前記溝部は、正方形状の開口を有する請求項1〜8の何れか一項に記載の屈折率測定装置。
【国際調査報告】