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再表2016-1365082−アザ−8オキソヒポキサンチンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2016年9月1日
【発行日】2017年12月7日
(54)【発明の名称】2−アザ−8オキソヒポキサンチンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 17/18 20060101AFI20171110BHJP
【FI】
   C12P17/18 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】21
【出願番号】特願2017-502075(P2017-502075)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年2月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-33001(P2015-33001)
(32)【優先日】2015年2月23日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
【住所又は居所】静岡県静岡市駿河区大谷836
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124800
【弁理士】
【氏名又は名称】諏澤 勇司
(74)【代理人】
【識別番号】100206944
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 絵美
(72)【発明者】
【氏名】徳山 真治
【住所又は居所】静岡県静岡市駿河区大谷836 国立大学法人静岡大学大学院農学研究科内
(72)【発明者】
【氏名】崔 宰熏
【住所又は居所】静岡県静岡市駿河区大谷836 国立大学法人静岡大学大学院農学研究科内
(72)【発明者】
【氏名】河岸 洋和
【住所又は居所】静岡県静岡市駿河区大谷836 国立大学法人静岡大学グリーン科学技術研究所内
【テーマコード(参考)】
4B064
【Fターム(参考)】
4B064AE57
4B064CA02
4B064CC03
4B064CC06
4B064CC12
4B064CD02
4B064CD09
4B064CD20
4B064CD21
4B064CD22
4B064DA16
(57)【要約】
本発明は、2−アザ−8オキソヒポキサンチンの製造方法であって、2−アザヒポキサンチンと微生物とを反応させ、それにより2−アザ−8オキソヒポキサンチンを生成させる工程と、反応液から2−アザ−8オキソヒポキサンチンを単離する工程と、を含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−アザ−8オキソヒポキサンチンの製造方法であって、
2−アザヒポキサンチンと微生物とを反応させ、それにより2−アザ−8オキソヒポキサンチンを生成させる工程と、
反応液から2−アザ−8オキソヒポキサンチンを単離する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
微生物が、バークホリデリア属細菌、ブティアウクセラ属細菌、シュウドモナス属細菌、大腸菌、バチルス属細菌、サッカロマイセス属菌、クリベロマイセス属菌、キャンディダ属菌、チゾサッカロマイセス属菌、ピチア属菌、アスペルギルス属菌及びトリコデルマ属菌からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
微生物が、バークホリデリア・コンタミナンス、バークホリデリア・セパシア、バークホリデリア・フンゴルム、ブティアウクセラ・ガビニアエ、ブティアウクセラ・アグレスチス、シュウドモナス・プチダ、シュウドモナス・シンキサンタ、シュウドモナス・バンコウベレンシス、シュウドモナス・ジェスセニィ及びシュウドモナス・プレコグロスシシダからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−アザ−8オキソヒポキサンチンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2−アザ−8オキソヒポキサンチン(以下、場合により「AOH」と称する。)は、植物成長促進活性を示すことが知られている化合物である。特許文献1には、2−アザヒポキサンチン(以下、場合により「AHX」と称する。)にキサンチンオキシダーゼ(以下、場合により「XOD」と称する。)を作用させてAOHを得る方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/147750号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
化学合成によってAOHの大量生産を行う方法は確立されていない。また、AHXにXODを作用させてAOHを得る方法は、生成効率が低く、また、XODが非常に高価であるため、多量にAOHの製造を行うには適していない。
【0005】
本発明は、AOHを製造することができる新規な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、AOHの製造方法であって、AHXと微生物とを反応させ、それによりAOHを生成させる工程と、反応液からAOHを単離する工程と、を含む。
【0007】
上記方法において、微生物は、バークホリデリア属細菌、ブティアウクセラ属細菌、シュウドモナス属細菌、大腸菌、バチルス属細菌、サッカロマイセス属菌、クリベロマイセス属菌、キャンディダ属菌、チゾサッカロマイセス属菌、ピチア属菌、アスペルギルス属菌及びトリコデルマ属菌からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。上記微生物は、バークホリデリア・コンタミナンス、バークホリデリア・セパシア、バークホリデリア・フンゴルム、ブティアウクセラ・ガビニアエ、ブティアウクセラ・アグレスチス、シュウドモナス・プチダ、シュウドモナス・シンキサンタ、シュウドモナス・バンコウベレンシス、シュウドモナス・ジェスセニィ及びシュウドモナス・プレコグロスシシダからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。これらの微生物を用いることによって、より高効率でAOHを生成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、AOHを製造することができる新規な方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】Burkholderia contaminans CH−1を用いた反応液中のAHX及びAOH濃度を示すグラフである。
図2】Burkholderia cepaciaを用いた反応液中のAHX及びAOH濃度を示すグラフである。
図3】Burkholderia fungorumを用いた反応液中のAHX及びAOH濃度を示すグラフである。
図4】Burkholderia contaminans CH−1を用いた反応液中のAHX及びAOH濃度を示すグラフである。
図5】XODを用いた反応液中のAHX及びAOH濃度を示すグラフである。
図6】Burkholderia contaminans CH−1を用いた反応液中のAOH濃度を示すグラフである。
図7】Burkholderia contaminans CH−1を用いた反応液中のAHX及びAOH濃度を示すグラフである。
図8】Pseudomonas synxantha A13を用いた反応液中のAHX及びAOH濃度を示すグラフである。
図9】Pseudomonas putida A82を用いた反応液中のAHX及びAOH濃度を示すグラフである。
図10】Buttiauxella gaviniae A111を用いた反応液中のAHX及びAOH濃度を示すグラフである。
図11】Pseudomonas vancouverensis A112を用いた反応液中のAHX及びAOH濃度を示すグラフである。
図12】Buttiauxella gaviniae A111を用いた反応液中のAHX残存率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0011】
本実施形態に係るAOHの製造方法は、AHXと微生物とを反応させ、それによりAOHを生成させる工程と、反応液からAOHを単離する工程と、を含む。
【0012】
2−アザ−8オキソヒポキサンチン(AOH)は3H−イミダゾ[4,5−d][1,2,3]トリアジン−4,6(5H,7H)−ジオンとも表され、下記式(I)で表される化合物である。
【0013】
【化1】
【0014】
2−アザヒポキサンチン(AHX)は、7H−イミダゾ[4,5−d][1,2,3]トリアジン−4(3H)−オンとも表され、下記式(II)で表される化合物である。
【0015】
【化2】
【0016】
本実施形態において用いられる微生物は、AHXからAOHを生成する能力を有しているものであればよい。本実施形態に係る製造方法によれば、XODを用いる場合と比べて生成物(AOH)による反応阻害が抑えられるため、反応液中のAHX濃度が高くても、効率的にAOHを製造することができる。また、高価なXODを用いる必要がなく、安価にAOHを製造することができる。
【0017】
微生物としては、例えば、細菌、真菌等が挙げられる。細菌としては、例えば、バークホリデリア属細菌、ブティアウクセラ属細菌、シュウドモナス属細菌、大腸菌、バチルス属細菌等を用いることができる。真菌としては、例えば、サッカロマイセス属菌、クリベロマイセス属菌、キャンディダ属菌、チゾサッカロマイセス属菌、ピチア属菌、アスペルギルス属菌、トリコデルマ属菌等を用いることができる。これらの微生物は1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。微生物は、バークホリデリア属細菌、ブティアウクセラ属細菌又はシュウドモナス属細菌であることが好ましく、ブティアウクセラ属細菌又はシュウドモナス属細菌であることがより好ましい。これらの微生物を用いると、より高効率でAOHを生成させることができる。
【0018】
バークホリデリア属細菌としては、例えば、バークホリデリア・コンタミナンス(Burkholderia contaminans)、バークホリデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、バークホリデリア・フンゴルム(Burkholderia fungorum)等が挙げられる。ブティアウクセラ属細菌としては、ブティアウクセラ・ガビニアエ(Buttiauxella gaviniae)、ブティアウクセラ・アグレスチス(Buttiauxella agrestis)等が挙げられる。シュウドモナス属細菌としては、シュウドモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュウドモナス・シンキサンタ(Pseudomonas synxantha)、シュウドモナス・バンコウベレンシス(Pseudomonas vancouverensis)、シュウドモナス・ジェスセニィ(Pseudomonas jessenii)、シュウドモナス・プレコグロスシシダ(Pseudomonas plecoglossicida)等が挙げられる。
【0019】
微生物は、これらの中でも、バークホリデリア・コンタミナンス、バークホリデリア・セパシア、バークホリデリア・フンゴルム、ブティアウクセラ・ガビニアエ、ブティアウクセラ・アグレスチス、シュウドモナス・プチダ、シュウドモナス・シンキサンタ、シュウドモナス・バンコウベレンシス又はシュウドモナス・ジェスセニィであることが好ましく、バークホリデリア・コンタミナンス、ブティアウクセラ・ガビニアエ、ブティアウクセラ・アグレスチス、シュウドモナス・プチダ、シュウドモナス・シンキサンタ、シュウドモナス・バンコウベレンシス又はシュウドモナス・ジェスセニィであることがより好ましく、ブティアウクセラ・ガビニアエ、シュウドモナス・プチダ、シュウドモナス・シンキサンタ又はシュウドモナス・バンコウベレンシスであることが更に好ましく、ブティアウクセラ・ガビニアエ又はシュウドモナス・プチダであることが特に好ましい。上記微生物を用いると、より高効率でAHXからAOHを生成することができる。
【0020】
AHXと微生物とを反応させ、それによりAOHを生成させる工程は、例えば、予め培養して用意した微生物を含む懸濁液とAHXを含む溶液とを混合することにより行うことができる。AHXと微生物とを反応させ、それによりAOHを生成させる工程は、例えば、AHXと微生物とを接触させ、それによりAOHを生成させる工程、または、AHXと微生物とを接触させ、それによりAHXをAOHに変換する工程ということもできる。
【0021】
微生物の培養は、微生物の一般的な培養条件で行うことができる。培養は、例えば、6〜24時間、pH6〜8、温度25〜42℃の条件で行うことができる。培養は例えば通気振とうして行うことができる。微生物を培養するための培地としては、微生物培養に用いられる炭素源、窒素源、無機塩類、その他ビタミン、ミネラル等の栄養成分を含む各種の培地を使用することができる。バークホリデリア属菌等の細菌に適した培地としては、例えば、TSB培地、YM培地等が挙げられる。微生物は、対数増殖期後期のものを用いることが好ましい。培養した微生物は、培地から遠心分離等を行うことにより集菌して、AHXとの反応に用いることができる。微生物は集菌後に洗浄したものをAHXとの反応に用いてもよい。
【0022】
AHXと微生物との反応を行うための溶媒は緩衝液であることが好ましい。緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)等を用いることができる。
【0023】
反応液中のAHX濃度は任意に設定することができる。本実施形態における製造方法では、XODを用いてAHXからAOHの生成を行う場合と異なり、反応液中のAHX濃度が高くても、AOHの生成効率を長時間高く保つことができる。
【0024】
反応により生成したAOHは、例えば、反応液を遠心分離して菌体を分離し、上澄みを回収して濃縮することによって回収することができる。回収した上澄みには加熱処理等を行ってもよい。回収したAOHは更に精製、結晶化等を行ってもよい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0026】
(試験例1:AOHの生成活性評価)
下記の微生物を用いて、AOH生成活性を調べた。
Burkholderia contaminans CH−1
Burkholderia caryophylli NBRC 13591
Burkholderia cepacia NBRC 14595
Burkholderia caledonica NBRC 102488
Burkholderia fungorum NBRC 102489
Burkholderia ferrariae NBRC 106233
Burkholderia ginsengisoli NBRC 100965
Burkholderia mimosarum NBRC 106338
上記微生物の内、Burkholderia contaminans CH−1(以下、「CH−1株」ともいう。)は、採取した空中落下菌から分離したものであり、16S rDNA系統解析によってBurkholderia contaminansの標準株(strain J2956)との類似性が100%であったことから、当該種であることが確認された。その他の微生物は、いずれもNBRC(独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンター)より分譲された。
【0027】
培地は表1に示す組成のものを用いた。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)としては表2に示す組成の10×PBS溶液を蒸留水で10倍希釈して使用した。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
試験管に分注した5mlのTSB培地に上記各菌株を1白金耳植菌し、30℃、180rpmで振とう培養し、これを前培養液とした。100mlのTSB培地を分注した500ml容三角フラスコに、前培養液を1%植菌し、30℃、6時間、180rpmで培養した。得られた培養液1mlについて11000rpmで5分間遠心分離を行って集菌した。集めた菌体にPBS1mlを加え、11000rpmで5分間遠心分離を行って洗浄した。
【0031】
洗浄した菌体の一定量をPBS900μlに懸濁し、懸濁液に0.7mg/mlのAHXのPBS溶液を100μl加え、AHX濃度70μg/mlの反応液を作製した。反応液を丸底スピッツに移し、30℃で24時間反応させた。所定時間経過後、反応液を遠心分離して菌体を分離し、上澄みを回収して98℃で5分間加熱処理した。反応液上澄み中のAHX及びAOH濃度をHPLCで分析した。HPLCの分析条件は、カラム:Develosil C30−UG−5(野村化学株式会社)、移動相:水+0.02%TFA、温度:室温、流速:0.8ml/min、波長:254nm、注入:20μlとした。AHX及びAOHの保持時間はそれぞれ25.2分、26.6分であった。結果を表3に示す。なお、本実施例のHPLCの分析条件では、不純物との分離が不十分である可能性があり、そのため、AOH濃度は見かけ上実際より高く測定されている可能性がある。
【0032】
【表3】
【0033】
用いたいずれの細菌においても、AHXを基質としてAOHを生成する能力があることが確認された。中でもCH−1株、Burkholderia cepacia及びBurkholderia fungorumは、培地中のAHXを全てAOHに変換しており、100%の変換効率を有していた。
【0034】
(試験例2:AOH生成活性の比較)
CH−1株、Burkholderia cepacia及びBurkholderia fungorumの3種を用いて、反応開始6時間までのAOH生成活性を調べた。反応条件は、反応時間を所定時間とした以外は、上記試験例1と同様とした。所定時間に反応液中のAHX及びAOH濃度を試験例1と同様にHPLCで分析した。結果を図1(CH−1株)、図2(Burkholderia cepacia)、図3(Burkholderia fungorum)に示す。上記3種の中ではCH−1株のAOH生成活性が最も高かった。
【0035】
(試験例3:生成物による反応阻害の検討)
CH−1株を用いて、反応液中のAHX初期濃度を2mg/mlとし、菌体濃度を試験例1の3倍量とした他は試験例1と同様の条件で96時間の反応を行った。反応中、所定の時間に反応液中のAHX濃度及びAOH濃度を試験例1と同様にHPLCにより測定した。結果を図4に示す。また、AHXの濃度を同じく2mg/mlとし、キサンチンオキシダーゼ(バターミルク由来、オリエンタル酵母社)0.5Uを用いて30℃でAOHの生成を行い、同様に反応液中のAHX濃度及びAOH濃度の測定を行った。結果を図5に示す。
【0036】
キサンチンオキシダーゼを用いた反応では、一定時間経過後にAHX濃度が一定量を保ったまま変化しなくなり、生成されたAOHによる反応阻害が起きていることが示唆された(図5)。一方、CH−1株を用いた反応では、反応によって反応液中のAHX濃度が0mg/mlとなり、使用した全てのAHXがAOHに変換されたことが示された(図4)。
【0037】
(試験例4:AOH分解反応評価)
CH−1株を用いて、反応液中の菌体濃度を試験例1の2倍量とし、基質をAHXの代わりにAOHを用いた以外は試験例1と同様の方法で反応を行った。反応液中のAOHの濃度を試験例1と同様にHPLCにより測定した。結果を図6に示す。AOHをCH−1株とともに懸濁させても、AOHの濃度は減少しなかった。CH−1株のAOH分解活性は極めて弱いことが確認された。
【0038】
(試験例5:AOH収率評価)
CH−1株を用いて、反応液中の菌体濃度を試験例1の3倍量とし、AHXの初期濃度及び反応温度を表4に示す条件とした以外は試験例1と同様の反応条件により、8時間の反応を行った。反応後、反応液を遠心分離して菌体を分離し、上澄みを得た。上澄みを98℃で5分間加熱処理し、ロータリーエバポレーターで1/7の容積まで濃縮し、4℃で3日間放置して沈殿を形成させた。その後、沈殿を含む液をろ紙でろ過し、得られた生成物を乾燥させてAOHを回収し、使用したAHX量に基づくAOHの収率を算出した。初期のAHX使用量及び30時間培養後のAOH収率を表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】
CH−1株等の微生物を用いる方法(微生物法)により、高効率でAOHの生成を行うことができた。また、XODを用いてAOH生成反応を行う方法(XOD法)と比較すると、微生物法では、生成されたAOHによる反応阻害が生じにくいことから、培地中の基質濃度を約60倍に高めることが可能であった。結果、AOHの生成量当たりで比較すると、微生物法によって、使用する反応液量をXOD法の場合の約45分の1に減らすことができ、それに伴い生成後の濃縮操作を約14分の1に短縮することができた。また、微生物法では、XOD法と比較して著しく低いコストでAOH生成を行うことができた。
【0041】
(試験例6:各種微生物のAOH生成活性)
下記表5に示す各種微生物及びCH−1株を用いてAOH生成活性を調べた。各種微生物の種類に応じた方法で予め培養しておいた菌株を集菌し、一定量の菌体をPBSに懸濁し、AHX濃度が70μg/mlとなるようAHX溶液を添加し、40℃で24時間反応させた。所定時間経過後、反応液を遠心分離して菌体を分離し、上澄みを回収して98℃で5分間加熱処理した。反応液上澄み中のAHX及びAOH濃度を試験例1と同様の方法で測定した。結果を表5に示す。いずれの微生物もAHXからAOHを生成する活性を有することが確認された。
【0042】
【表5】
【0043】
(試験例7:AOH生成微生物の探索)
森林土壌を採取し、薬さじ一すくい分を3mlの生理食塩水に懸濁した。懸濁液を静置し、上清を希釈し、培地に塗抹した。培地としては、表6、7に示す組成のTSB培地又はYM培地を5倍希釈したものを用いた。培地上に現れたコロニーをTSA培地にストリークし、各菌株を得た。
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】
試験管に分注した5mLのTSB培地に、上記各菌株を植菌し、30℃、180rpmで振とう培養し、これを前培養液とした。前培養液をTSB培地に1%植菌し、30℃、8時間、180rpmで培養した。得られた培養液1mlについて遠心分離を行って集菌した。
【0047】
集めた菌体をPBSで洗浄した後、一定量の菌体をPBS900mlに懸濁した、懸濁液に0.7mg/mlのAHXのPBS溶液を100μl加え、AHX濃度70μg/mlの反応液を作製した。反応液を丸底スピッツに移し、30℃で5時間反応させた。所定時間経過後、反応液を遠心分離して菌体を分離し、上澄みを回収して98℃で5分間処理した。反応液上澄み中のAHX濃度を試験例1と同様の方法によりHPLCで分析し、AHX残存率を算出した。結果を表8に示す。森林土壌から分離された192株の内、少なくともCH−1株と同程度以上のAOH生成活性を示す株が11株得られた。
【0048】
【表8】
【0049】
AHX残存率が低い11株の内、10株について16S rDNA系統解析を行った。解析により、それぞれの菌株は表9に示す標準株と同種であることが確認された。
【0050】
【表9】
【0051】
(試験例8)
上記10菌株及びCH−1株を用いて、反応時間を2.5時間とした他は試験例7と同様の条件でAHXとの反応を行った。反応液上澄み中のAHX濃度を試験例1と同様の方法によりHPLCで分析した。結果を表10に示す。いずれの菌株もCH−1株よりもAOH生成活性が高かった。
【0052】
【表10】
【0053】
(試験例9)
試験例8で用いた菌株の内、AOH生成活性の高かった7株について、反応時間を0.5時間又は1時間とした他は試験例7と同様の条件でAHXとの反応を行った。反応液上澄み中のAHX濃度を試験例1と同様の方法によりHPLCで分析した。結果を表11に示す。
【0054】
【表11】
【0055】
(試験例10)
試験例9で用いた菌株の内、さらにAOH生成活性の高かった4菌株について、反応液中のAHX濃度を2mg/mlとし、反応時間を1時間、2時間又は4時間とした他は、試験例7と同様の条件でAHXとの反応を行った。試験例1と同様の方法によりHPLCで反応液中のAHX及びAOHの濃度を測定した。結果を表12及び図7、8、9、10、11に示す。
【0056】
【表12】
【0057】
(試験例11)
A111株について、以下のとおり反応液容量を大きくしてAHXとの反応実験を行った。表13に示すとおり、反応液量を3.2l、3.4l又は6.0lとし、反応液中のAHX濃度を4g/l又は5g/l、反応時間を24時間とした他は、試験例7と同様の条件でA111株とAHXとの反応を行った。反応後、得られたAOHを結晶化して回収し、定量した。初期のAHX使用量及び回収されたAOH量に基づいて、AOH収率を算出した。結果を表13に示す。また、表13中のNo.3について、所定時間に反応液中のAHX濃度を測定し、AHX残存率を算出した。結果を図12に示す。
【0058】
【表13】
【0059】
反応液容量が大きい場合にも、微生物法により高効率でAOHを生成させることができた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12

【手続補正書】
【提出日】2016年12月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−アザ−8オキソヒポキサンチンの製造方法であって、
2−アザヒポキサンチンと微生物とを反応させ、それにより2−アザ−8オキソヒポキサンチンを生成させる工程と、
反応液から2−アザ−8オキソヒポキサンチンを単離する工程と、
を含み、
前記微生物が、バークホリデリア・コンタミナンス、バークホリデリア・セパシア、バークホリデリア・フンゴルム、ブティアウクセラ・ガビニアエ、ブティアウクセラ・アグレスチス、シュウドモナス・シンキサンタ、シュウドモナス・バンコウベレンシス、シュウドモナス・ジェスセニィ及びシュウドモナス・プレコグロスシシダからなる群から選択される少なくとも1種である、方法。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記微生物が、バークホリデリア・コンタミナンス、バークホリデリア・セパシア、バークホリデリア・フンゴルム、ブティアウクセラ・ガビニアエ、シュウドモナス・シンキサンタ及びシュウドモナス・バンコウベレンシスからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記微生物が、バークホリデリア・コンタミナンス、バークホリデリア・セパシア、バークホリデリア・フンゴルム、ブティアウクセラ・ガビニアエ及びブティアウクセラ・アグレスチスからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記微生物がバークホリデリア・コンタミナンス、ブティアウクセラ・ガビニアエ、ブティアウクセラ・アグレスチス、シュウドモナス・シンキサンタ、シュウドモナス・バンコウベレンシス、シュウドモナス・ジェスセニィ及びシュウドモナス・プレコグロスシシダからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記微生物が、バークホリデリア・コンタミナンス、ブティアウクセラ・ガビニアエ、ブティアウクセラ・アグレスチス、シュウドモナス・シンキサンタ、シュウドモナス・バンコウベレンシス及びシュウドモナス・ジェスセニィからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記微生物が、ブティアウクセラ・ガビニアエ、シュウドモナス・シンキサンタ及びシュウドモナス・バンコウベレンシスからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記微生物が、シュウドモナス・プレコグロスシシダである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記微生物が、Burkholderia cepacia NBRC14595、及びBurkholderia fungorum NBRC102489の少なくとも一方である、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】