特表-17110549IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年6月29日
【発行日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】発光素子及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/12 20060101AFI20181109BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20181109BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20181109BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20181109BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20181109BHJP
【FI】
   H05B33/12 C
   H01L27/32
   H05B33/14 B
   H05B33/12 B
   H05B33/22 Z
   G09F9/30 365
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】67
【出願番号】特願2017-557882(P2017-557882)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年12月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-252785(P2015-252785)
(32)【優先日】2015年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】首藤 章志
(72)【発明者】
【氏名】河村 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 正和
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC09
3K107CC33
3K107DD51
3K107DD59
3K107DD68
3K107DD69
3K107DD89
3K107FF13
3K107FF19
5C094AA08
5C094BA27
5C094CA19
5C094CA24
5C094DA13
5C094FB01
5C094JA11
5C094JA20
(57)【要約】
【課題】電流密度に依存した色変化が生じ難い構成を有する発光素子を提供する。
【解決手段】発光素子は、陽極51、有機材料から成り、発光層を備えた有機層70、及び、陰極52が積層された構造を有し、発光層は、陽極側から陰極側に亙り、異なる色を発光する2以上の発光領域から構成されており、各発光領域は、ホスト材料及びドーパント材料を含み、陰極に近い発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値は、陽極に近い発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極、有機材料から成り、発光層を備えた有機層、及び、陰極が積層された構造を有し、
発光層は、陽極側から陰極側に亙り、異なる色を発光する2以上の発光領域から構成されており、
各発光領域は、ホスト材料及びドーパント材料を含み、
陰極に近い発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値は、陽極に近い発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値よりも大きい発光素子。
【請求項2】
陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値は6.1eV以上である請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を|Ip1|、陰極に隣接する発光領域に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を|Ip2|としたとき、|Ip1|−|Ip2|≧0.1を満足する請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のバンドギャップの値は3.1eV以上である請求項2に記載の発光素子。
【請求項5】
陽極、有機材料から成り、発光層を備えた有機層、及び、陰極が積層された構造を有し、
発光層は、陽極側から陰極側に亙り、異なる色を発光する2以上の発光領域から構成されており、
各発光領域は、ホスト材料及びドーパント材料を含み、
陽極と陰極との間に0.1ミリアンペア/cm2の電流を流したときに発光層が発光する白色光の色度座標の値と、陽極と陰極との間に50ミリアンペア/cm2の電流を流したときに発光層が発光する白色光の色度座標の値との差Δu’v’の値が、0.02以下である発光素子。
【請求項6】
陽極、有機材料から成り、発光層を備えた有機層、及び、陰極が積層された構造を有し、
発光層は、陽極側から陰極側に亙り、異なる色を発光する2以上の発光領域から構成されており、
各発光領域は、ホスト材料及びドーパント材料を含み、
陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料は、陰極に隣接する発光領域に隣接する発光領域からの正孔の移動を抑制する発光素子。
【請求項7】
陰極に隣接する発光領域におけるホスト材料はアジン系化合物から成る請求項1、請求項5又は請求項6に記載の発光素子。
【請求項8】
発光層は白色光を発光する請求項1、請求項5又は請求項6に記載の発光素子。
【請求項9】
発光層は、陽極側から陰極側に亙り、第1発光領域、中間領域、第2発光領域、及び、第3発光領域から構成されている請求項1、請求項5又は請求項6に記載の発光素子。
【請求項10】
有機エレクトロルミネッセンス素子から成る請求項1、請求項5又は請求項6に記載の発光素子。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の発光素子が、複数、2次元マトリクス状に配列されて成る表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置に代わる表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に、『有機EL素子』と略称する場合がある)を用いた有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、単に、『有機EL表示装置』と略称する場合がある)が注目されている。有機EL表示装置は、自発光型であり、消費電力が低いという特性を有しており、また、高精細度の高速ビデオ信号に対しても十分な応答性を有するものと考えられており、実用化に向けての開発、商品化が鋭意進められている。
【0003】
有機EL表示装置では、例えば、1つの画素を、赤色発光層を有し、赤色を発光する発光素子から構成された副画素、緑色発光層を有し、緑色を発光する発光素子から構成された副画素、及び、青色発光層を有し、青色を発光する発光素子から構成された副画素の3つの副画素(発光素子)から構成することで、高コントラスト、且つ、高い色再現性を実現することが可能である。一方、高解像度化のためには画素ピッチの縮小が求められるが、画素ピッチが微細化するにつれて1つの画素をこのような3つの副画素から構成することが困難となる。
【0004】
そこで、全画素に亙り白色発光層を形成し、カラーフィルタ層を用いて白色光を着色する方法、即ち、白色発光層を有する発光素子(『白色発光素子』と呼ぶ)と赤色カラーフィルタ層との組合せによる赤色副画素(『赤色発光素子』と呼ぶ)、白色発光素子と緑色カラーフィルタ層との組合せによる緑色副画素(『緑色発光素子』と呼ぶ)、白色発光素子と青色カラーフィルタ層との組合せによる青色副画素(『青色発光素子』と呼ぶ)の3つの副画素(発光素子)から1つの画素を構成する技術の開発が進められている。白色発光層は、全白色発光素子に亙り、連続した層として形成されている。赤色発光層、緑色発光層、青色発光層を副画素毎に形成する必要がないので、画素ピッチの微細化が可能となる。各白色発光素子において、白色発光層は、陽極と陰極との間に形成されており、陽極側から陰極側に亙り、異なる色を発光する2以上の発光領域から構成されている(例えば、特開2013−258022参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−258022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、陽極と陰極との間に流す電流量(電流密度)に依って、白色発光素子が発光する白色光の色度座標の値(u’,v’)に大きな変化が生じることが判明した。このような現象は、陽極側から陰極側に亙り形成された異なる色を発光する2以上の発光領域のそれぞれにおけるキャリア移動度の相違、発光領域における再結合領域の相違に起因すると考えられる。そして、このような現象が発生すると、例えば、1つの画像を表示するとき、電流密度が高い領域における画像と、電流密度が低い領域における画像との間に、色変化が生じてしまい、画質の低下を招くといった問題が生じる。
【0007】
従って、本開示の目的は、電流密度に依存した色変化が生じ難い構成を有する発光素子、係る発光素子を用いた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様〜第3の態様に係る発光素子は、 陽極、有機材料から成り、発光層を備えた有機層、及び、陰極が積層された構造を有し、 発光層は、陽極側から陰極側に亙り、異なる色を発光する2以上の発光領域から構成されており、 各発光領域は、ホスト材料及びドーパント材料(ゲスト材料)を含む。
【0009】
そして、本開示の第1の態様に係る発光素子において、陰極に近い発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値は、陽極に近い発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値よりも大きい。
【0010】
また、本開示の第2の態様に係る発光素子において、陽極と陰極との間に0.1ミリアンペア/cm2の電流を流したときに発光層が発光する白色光の色度座標の値と、陽極と陰極との間に50ミリアンペア/cm2の電流を流したときに発光層が発光する白色光の色度座標の値との差Δu’v’の値は、0.02以下である。
【0011】
更には、本開示の第3の態様に係る発光素子において、陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料は、陰極に隣接する発光領域に隣接する発光領域からの正孔の移動を抑制する。
【0012】
上記の目的を達成するための本開示の表示装置は、本開示の第1の態様〜第3の態様に係る発光素子が、複数、2次元マトリクス状に配列されて成る。
【発明の効果】
【0013】
本開示の第1の態様に係る発光素子にあっては、発光領域相互のイオン化ポテンシャルの値の関係が規定されており、本開示の第2の態様に係る発光素子にあっては、電流密度に基づく白色光の色度座標の値の変化量Δu’v’が規定されており、本開示の第3の態様に係る発光素子にあっては、陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料の特性が規定されているので、陽極と陰極との間に流す電流量(電流密度)に依って、白色発光素子が発光する白色光の色度座標の値に大きな変化が生じ難い。尚、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また、付加的な効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施例1の発光素子の模式的な一部断面図である。
図2図2は、実施例2の表示装置の模式的な一部断面図である。
図3A図3Aは、それぞれ、実施例1の発光素子における発光層の模式的な一部断面図、及び、発光層のエネルギー準位図である。
図3B図3Bは、それぞれ、実施例1の発光素子における発光層の模式的な一部断面図、及び、発光層のエネルギー準位図である。
図4図4は、実施例1の発光素子において、陽極と陰極との間に50ミリアンペア/cm2の電流を流したときの電流密度に依存したΔu’v’の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様〜第3の態様に係る発光素子、及び、本開示の表示装置、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様〜第3の態様に係る発光素子、及び、本開示の表示装置)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.その他
【0016】
〈本開示の第1の態様〜第3の態様に係る発光素子、及び、本開示の表示装置、全般に関する説明〉
本開示の第1の態様に係る発光素子、あるいは、本開示の表示装置を構成する本開示の第1の態様に係る発光素子(以下、これらの発光素子を総称して、『本開示の第1の態様に係る発光素子等』と呼ぶ)において、陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値は6.1eV以上である形態とすることができ、これによって、一層確実に、陽極と陰極との間に流す電流量(電流密度)に依って、白色発光素子が発光する白色光の色度座標の値に大きな変化が生じ難くなる。そして、この場合、陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を|Ip1|、陰極に隣接する発光領域に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を|Ip2|としたとき、|Ip1|−|Ip2|≧0.1を満足することが好ましい。更には、これらの場合、陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のバンドギャップの値は3.1eV以上であることが好ましい。
【0017】
以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第1の態様に係る発光素子等、本開示の第2の態様〜第3の態様に係る発光素子、あるいは、本開示の表示装置を構成する本開示の第2の態様〜第3の態様に係る発光素子(以下、これらの発光素子を総称して、『本開示の発光素子等』と呼ぶ)において、陰極に隣接する発光領域におけるホスト材料はアジン系化合物から成る形態とすることができる。アジン系化合物については、後述する。
【0018】
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の発光素子等において、発光層は白色光を発光する形態とすることができる。
【0019】
発光領域は、陽極及び陰極への電圧の印加時、陽極側から注入された正孔と、陰極側から注入された電子とが再結合する領域である。発光層における各色を発光する発光領域の配置順序は、各発光領域のキャリア輸送性、光取出しの発光波長に応じた光路長調整等に基づき、適宜、決定すればよい。そして、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の発光素子等において、発光層は、陽極側から陰極側に亙り、第1発光領域、第2発光領域及び第3発光領域から構成されている形態とすることができる。この場合、例えば、第1発光領域は赤色(波長:620nm乃至750nm)を発光し、第2発光領域は緑色(波長:495nm乃至570nm)を発光し、第3発光領域は青色(波長:450nm乃至495nm)を発光し、全体として白色を発光する形態とすることができる。あるいは又、第1発光領域は赤色を発光し、第2発光領域は青色を発光し、第3発光領域は緑色を発光し、全体として白色を発光する形態とすることができる。あるいは又、発光層は、陽極側から陰極側に亙り、第1発光領域及び第2発光領域から構成されている形態とすることができる。そして、この場合、第1発光領域が青色を発光し、第2発光領域が黄色を発光し、全体として白色を発光する形態とすることができる。あるいは又、第1発光領域が黄色を発光し、第2発光領域が青色を発光し、全体として白色を発光する形態とすることができる。あるいは又、第1発光領域が青色を発光し、第2発光領域が橙色を発光し、全体として白色を発光する形態とすることができる。あるいは又、第1発光領域が橙色を発光し、第2発光領域が青色を発光し、全体として白色を発光する形態とすることができる。また、以上の発光色の組み合わせは一例であり、発光素子あるいは表示装置として設定された色域に応じて、適宜、決定すればよい。尚、実際には、異なる色を発光する発光領域が混合し、明確に各発光領域に分離されていない場合がある。発光層を、陽極側から陰極側に亙り、第1発光領域、第2発光領域及び第3発光領域から構成する場合、場合によっては、第1発光領域と第2発光領域との間に中間領域(緩衝領域)を設けてもよい。中間領域(緩衝領域)については、後述する。
【0020】
そして、このような白色を発光する発光素子(白色発光素子)が赤色カラーフィルタ層を備えることで赤色発光素子が構成され、白色発光素子が緑色カラーフィルタ層を備えることで緑色発光素子が構成され、白色発光素子が青色カラーフィルタ層を備えることで青色発光素子が構成される。赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子によって1画素が構成される。場合によっては、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子及び白色を出射する発光素子(あるいは補色光を出射する発光素子)によって1画素を構成してもよい。
【0021】
本開示の表示装置において、1つの発光素子(表示素子)によって1つの画素(あるいは副画素)が構成されている形態にあっては、限定するものではないが、画素(あるいは副画素)の配列として、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、デルタ配列、又は、レクタングル配列を挙げることができる。また、複数の発光素子(表示素子)が集合して1つの画素(あるいは副画素)が構成されている形態にあっては、限定するものではないが、画素(あるいは副画素)の配列として、ストライプ配列を挙げることができる。
【0022】
カラーフィルタ層は、所望の顔料や染料から成る着色剤を添加した樹脂によって構成されており、顔料や染料を選択することにより、目的とする赤色、緑色、青色等の波長域における光透過率が高く、他の波長域における光透過率が低くなるように調整されている。白色を発光する発光素子にあっては透明なフィルタを配設すればよい。カラーフィルタ層とカラーフィルタ層との間にはブラックマトリクス層(遮光層)を形成してもよい。ブラックマトリクス層は、例えば、黒色の着色剤を混入した光学濃度が1以上の黒色の樹脂膜(具体的には、例えば、黒色のポリイミド樹脂から成る)、又は、薄膜の干渉を利用した薄膜フィルタから構成されている。薄膜フィルタは、例えば、金属、金属窒化物あるいは金属酸化物から成る薄膜を2層以上積層して成り、薄膜の干渉を利用して光を減衰させる。薄膜フィルタとして、具体的には、Crと酸化クロム(III)(Cr23)とを交互に積層したものを挙げることができる。
【0023】
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の発光素子等において、発光素子は有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)から成る形態とすることができる。また、以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の表示装置は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)から成る構成とすることができる。
【0024】
本開示の表示装置は、別の表現をすれば、 第1基板、第2基板、及び、第1基板と第2基板とによって挟まれた画像表示部を備えており、 画像表示部には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第1の態様〜第3の態様に係る発光素子が、複数、2次元マトリクス状に配列されている。ここで、第1基板側に発光素子が形成されている。第1基板側には第1電極が形成されており、第2基板側には第2電極が形成されている。陽極が第1電極に該当し、陰極が第2電極に該当する場合もあるし、その逆に、陽極が第2電極に該当し、陰極が第1電極に該当する場合もある。
【0025】
以上に説明した好ましい形態を含む本開示の発光素子等において、有機層全体の厚さとして1.2×10-7m乃至2×10-7mを例示することができる。また、発光領域の厚さとして、10-8mのオーダーの厚さ、例えば、1×10-8mといった厚さを例示することができる。より具体的には、赤色発光領域の膜厚として5nm〜15nmを例示することができるし、緑色発光領域の膜厚として5nm〜15nmを例示することができるし、青色発光領域の膜厚として5nm〜15nmを例示することができるが、これらに限定するものではない。
【0026】
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の第1の態様〜第3の態様に係る発光素子を備えた本開示の表示装置において、有機層及び第2電極は、複数の発光素子において共通化されている形態とすることができる。
【0027】
陽極と、陽極に隣接した発光領域との間の領域(正孔輸送領域)に、正孔供給層(正孔注入層又は正孔輸送層とも呼ばれる)等を、1層以上、形成してもよい。また、陰極と、陰極に隣接した発光領域との間の領域(電子輸送領域)に、電子輸送層(電子注入層又は電子供給層とも呼ばれる)等を、1層以上、形成してもよい。有機層は一部に無機化合物を含有していてもよい。正孔輸送領域、電子輸送層については、後述する。尚、「陽極に隣接する発光領域」とは、陽極に最も近くに位置する発光領域を意味し、発光領域が陽極と直接接触していることを意味するものではない。同様に、「陰極に隣接する発光領域」とは、陰極に最も近くに位置する発光領域を意味し、発光領域が陰極と直接接触していることを意味するものではない。更には、陰極に隣接する発光領域を『発光領域−A』、陰極に隣接する発光領域に隣接する発光領域を『発光領域−B』としたとき、陰極側から陽極側に向けて、発光領域−A、発光領域−Bがこの順に設けられている。
【0028】
有機材料から成る有機層は、発光層を備えているが、具体的には、例えば、正孔輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造、正孔注入層と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と電子注入層との積層構造等から構成することができる。発光層を含む有機層の形成方法として、真空蒸着法等の物理的気相成長法(PVD法);スクリーン印刷法やインクジェット印刷法といった印刷法;転写用基板上に形成されたレーザ吸収層と有機層の積層構造に対してレーザを照射することでレーザ吸収層上の有機層を分離して、有機層を転写するといったレーザ転写法、各種の塗布法を例示することができる。有機層を真空蒸着法に基づき形成する場合、例えば、所謂メタルマスクを用い、係るメタルマスクに設けられた開口を通過した材料を堆積させることで有機層を得ることができるが、有機層を、パターニングすること無く、全面に形成することが好ましい。場合によっては、有機層の一部(具体的には、例えば、正孔輸送層)の少なくとも一部分が不連続な状態となっていてもよく、この場合、電荷注入・輸送層の形成方法として、真空蒸着法等のPVD法を例示することができる。
【0029】
正孔輸送層(正孔供給層)の厚さと電子輸送層(電子供給層)の厚さは、概ね等しいことが望ましい。あるいは又、正孔輸送層(正孔供給層)よりも電子輸送層(電子供給層)を厚くしてもよく、これによって、低い駆動電圧で高効率化に必要、且つ、発光層への十分な電子供給が可能となる。即ち、陽極と発光層との間に正孔輸送層を配置し、しかも、電子輸送層よりも薄い膜厚で形成することで、正孔の供給を増大させることが可能となる。そして、これにより、正孔と電子の過不足がなく、且つ、キャリア供給量も十分多いキャリアバランスを得ることができるため、高い発光効率を得ることができる。また、正孔と電子の過不足がないことで、キャリアバランスが崩れ難く、駆動劣化が抑制され、発光寿命を長くすることができる。
【0030】
更には、以上に説明した好ましい形態を含む本開示の発光素子等において、限定するものではないが、
基体は、トランジスタ(具体的には、例えば、MOSFET)が形成されたシリコン半導体基板及びその上に形成された層間絶縁層から成り、あるいは又、基体は、トランジスタ(具体的には、例えば、薄膜トランジスタ、TFT)が形成された基板及びその上に形成された層間絶縁層から成り、
第1電極及び第1絶縁層は層間絶縁層上に形成されており、
第1電極とシリコン半導体基板(あるいは基板)に形成されたトランジスタとは、層間絶縁層に形成されたコンタクトホールを介して接続されている形態とすることができる。
【0031】
本開示の発光素子等において、発光層からの発光は、第1電極側から外部に出射され、又は、第2電極側から外部に出射され、又は、第1電極側及び第2電極側から外部に出射される。光が出射される側に位置する基板及び電極は発光素子が出射する光に対して透明であることが要求される。即ち、本開示の表示装置は、第2基板から光を出射するトップエミッション方式(上面発光方式)の表示装置(上面発光型表示装置)とすることができるし、あるいは又、第1基板から光を出射するボトムエミッション方式(下面発光方式)の表示装置(下面発光型表示装置)とすることもできる。上面発光型表示装置にあっては、第1基板と対向する第2基板の面側にカラーフィルタ層及びブラックマトリクス層を形成すればよい。一方、下面発光型表示装置にあっては、第2基板と対向する第1基板の面側にカラーフィルタ層及びブラックマトリクス層を形成すればよい。前述したようにトランジスタが形成されたシリコン半導体基板(あるいは基板)及びその上に形成された層間絶縁層から基体を構成する場合、シリコン半導体基板(あるいは基板)が第1基板に相当する。以下においては、専ら、表示装置が上面発光型表示装置から構成されている例に基づき説明を行うが、表示装置が下面発光型表示装置から構成されている場合、以下の説明を、適宜、読み替えればよい。
【0032】
第1基板あるいは第2基板を、高歪点ガラス基板、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)基板、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)基板、フォルステライト(2MgO・SiO2)基板、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)基板、表面に絶縁膜が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、シリコン半導体基板、表面に絶縁膜が形成されたシリコン半導体基板、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)に例示される有機ポリマー(高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板といった高分子材料の形態を有する)、金属箔から構成することができる。第1基板と第2基板を構成する材料は、同じであっても、異なっていてもよい。但し、上面発光型表示装置にあっては、第2基板は発光素子からの光に対して透明であることが要求され、下面発光型表示装置にあっては、第1基板は発光素子からの光に対して透明であることが要求される。基板を有機ポリマーから構成する場合、透水性や透ガス性を抑えるために、積層構造とするか、あるいは又、表面処理を行うことが好ましい。
【0033】
第1電極を構成する材料として、第1電極を陽極(アノード電極)として機能させる場合、効率良く正孔を注入するために、真空準位からの仕事関数が大きい電極材料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銀(Ag)合金、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)といった仕事関数の高い金属あるいは合金(例えば、銀を主成分とし、0.3質量%乃至1質量%のパラジウム(Pd)と、0.3質量%乃至1質量%の銅(Cu)とを含むAg−Pd−Cu合金や、Al−Nd合金、Al−Ni合金)を挙げることができる。第1電極の厚さとして、0.1μm乃至1μmを例示することができる。あるいは又、インジウムとスズの酸化物(ITO)や、インジウムと亜鉛の酸化物(IZO)、スズとアンチモンの酸化物、亜鉛とアルミニウムの酸化物等の正孔注入特性に優れた透明導電材料を挙げることもできるし、誘電体多層膜やアルミニウム(Al)といった光反射性の高い反射膜上に、インジウムとスズの酸化物(ITO)や、インジウムと亜鉛の酸化物(IZO)等の正孔注入特性に優れた透明導電材料を積層した構造とすることもできる。
【0034】
あるいは又、光反射性に優れた第1層と、光透過性を有すると共に仕事関数の大きな第2層との積層構造とすることもできる。第2層が有機層側に位置する。第1層は、主にアルミニウム(Al)を主成分とするアルミニウム合金を用いることが好ましい。副成分として、主成分であるアルミニウムよりも相対的に仕事関数が小さい元素を用いることが好ましい。このような副成分として、ランタノイド系列の元素を挙げることができる。ランタノイド系列元素の仕事関数は大きくないが、これらの元素を含むことで第1電極の安定性が向上し、且つ、第1電極の正孔注入性も向上する。また、副成分として、ランタノイド系列の元素の他に、シリコン(Si)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等の元素を用いてもよい。
【0035】
第1電極の第1層を構成するアルミニウム合金における副成分の含有量は、例えば、アルミニウムを安定化させるネオジム(Nd)やニッケル(Ni)、チタン(Ti)等である場合、合計で約10質量%以下であることが好ましい。これにより、アルミニウム合金から成る第1層の反射率を維持しつつ、発光素子の製造プロセスにおいて、第1層を安定的に保つことができる。また、高い加工精度及び化学的安定性が得られる。更に、第1電極の導電性も改善される。尚、ネオジム(Nd)等の金属は仕事関数が小さいため、正孔供給層に一般的に用いられるアミン系材料を用いると、正孔注入障壁が大きくなってしまう。このような場合には、アミン系材料に7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(F4−TCNQ)等のアクセプタ材料を混合したり、ポリエチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)等のpドープ層を第1電極の界面に形成することで、正孔注入障壁が低減され、駆動電圧の上昇を抑えることができる。その他、アザトリフェニレン誘導体を用いることで、駆動電圧の上昇を抑えつつ、発光素子を安定化することが可能となる。
【0036】
第1電極の第2層を、その他、Al合金の酸化物、モリブデン(Mo)の酸化物、ジルコニウム(Zr)の酸化物、クロム(Cr)の酸化物、タンタル(Ta)の酸化物から構成することができる。例えば、第2層を、副成分としてランタノイド系列の元素を含むアルミニウム合金の酸化物層(自然酸化膜を含む)から構成する場合、ランタノイド系列元素の酸化物は光の透過率が高いため、これを含む第2層の光の透過率が良好となる。そして、これによって、第1層の表面における反射率が高く維持される。また、第2層をITOやIZO等の透明導電層から構成することにより、第1電極の電子注入特性を改善することができる。あるいは又、ITO及びIZOは仕事関数が大きいため、第1層に用いることによりキャリアの注入効率を高めることができる。
【0037】
一方、第1電極を陰極(カソード電極)として機能させる場合、仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料から構成することが望ましいが、第2電極として用いられる光反射率の高い導電材料に適切な電子注入層を設けるなどして電子注入性を向上させることで、陰極として用いることもできる。
【0038】
第2電極を構成する材料(半光透過材料あるいは光透過材料)として、第2電極を陰極(カソード電極)として機能させる場合、発光光を透過し、しかも、有機層に対して電子を効率的に注入できるように仕事関数の値の小さな導電材料から構成することが望ましく、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と銀(Ag)[例えば、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)との合金(Mg−Ag合金)]、マグネシウム−カルシウムとの合金(Mg−Ca合金)、アルミニウム(Al)とリチウム(Li)の合金(Al−Li合金)等の仕事関数の小さい金属あるいは合金を挙げることができ、中でも、Mg−Ag合金が好ましく、マグネシウムと銀との体積比として、Mg:Ag=5:1〜30:1を例示することができる。あるいは又、マグネシウムとカルシウムとの体積比として、Mg:Ca=2:1〜10:1を例示することができる。第2電極の厚さとして、4nm乃至50nm、好ましくは、4nm乃至20nm、より好ましくは6nm乃至12nmを例示することができる。あるいは又、第2電極を、有機層側から、上述した材料層と、例えばITOやIZOから成る所謂透明電極(例えば、厚さ3×10-8m乃至1×10-6m)との積層構造とすることもできる。あるいは又、第2電極は、アルミニウムキノリン錯体、スチリルアミン誘導体、フタロシアニン誘導体等の有機発光材料を含有した混合層から構成することもできる。この場合、更に、Mg−Agのような光透過性を有する層を設けてもよい。第2電極を介して光を出射する場合、第2電極の平均光透過率は50%乃至90%、好ましくは60%乃至90%であることが望ましい。
【0039】
第2電極を2層構造としてもよく、この場合、第2層が有機層側に位置するとした場合、第1層は、仕事関数が小さく、且つ、光透過性の良好な材料から形成されることが好ましい。具体的には、第1層を構成する材料として、例えば、Li2O、Cs2Co3、Cs2SO4、MgF、LiFやCaF2等のアルカリ金属酸化物、アルカリ金属弗化物、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ土類弗化物を挙げることができる。また、第2層を構成する材料として、Mg−Ag(体積比で、例えば、Mg:Ag=5:1〜30:1)やMg−Ca(体積比で、例えば、Mg:Ca=2:1〜10:1)、Ca等の光透過性を有し、且つ、導電性が良好な材料を挙げることができる。
【0040】
一方、第2電極を陽極(アノード電極)として機能させる場合、発光光を透過し、しかも、仕事関数の値の大きな導電材料から構成することが望ましい。
【0041】
第2電極に対して、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金、銅、銅合金、金、金合金等の低抵抗材料から成るバス電極(補助電極)を設け、第2電極全体として低抵抗化を図ってもよい。
【0042】
陽極や陰極(第1電極や第2電極)の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)やMOCVD法、イオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、メタルマスク印刷法といった各種印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル・ゲル法等を挙げることができる。各種印刷法やメッキ法によれば、直接、所望の形状(パターン)を有する陽極や陰極(第1電極や第2電極)を形成することが可能である。尚、有機層を形成した後、第2電極を形成する場合、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さな成膜方法、あるいは又、MOCVD法といった成膜方法に基づき形成することが、有機層のダメージ発生を防止するといった観点から好ましい。有機層にダメージが発生すると、リーク電流の発生による「滅点」と呼ばれる非発光画素(あるいは非発光副画素)が生じる虞がある。また、有機層の形成からこれらの電極の形成までを大気に暴露することなく実行することが、大気中の水分による有機層の劣化を防止するといった観点から好ましい。前述したとおり、第2電極はパターニングしなくともよく、所謂共通電極とすることができる。
【0043】
第1電極は、前述したとおり、層間絶縁層上に設けられている。そして、この層間絶縁層は、第1基板(あるいは、第1基板上)に形成された発光素子駆動部を覆っている。発光素子駆動部は、1又は複数のトランジスタ(例えば、MOSFETやTFT)から構成されており、トランジスタと第1電極とは、層間絶縁層に設けられたコンタクトホール(コンタクトプラグ)を介して電気的に接続されている。発光素子駆動部は、周知の回路構成とすることができる。層間絶縁層の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiON系材料を含むSiN系材料;アクリル樹脂やポリイミド樹脂等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。層間絶縁層の形成には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、各種印刷法等の公知のプロセスが利用できる。
【0044】
第2電極の上方には、有機層への水分の到達防止を目的として、絶縁性あるいは導電性の保護膜を設けることが好ましい。保護膜は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、あるいは又、CVD法やMOCVD法といった成膜方法に基づき形成することが、下地に対して及ぼす影響を小さくすることができるので好ましい。あるいは又、有機層の劣化による輝度の低下を防止するために、成膜温度を常温に設定し、更には、保護膜の剥がれを防止するために保護膜のストレスが最小になる条件で保護膜を成膜することが望ましい。また、保護膜の形成は、既に形成されている電極を大気に暴露することなく形成することが好ましく、これによって、大気中の水分や酸素による有機層の劣化を防止することができる。更には、保護膜は、発光層で発生した光を例えば80%以上、透過する材料から構成することが望ましく、具体的には、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えば、以下に示す材料を例示することができる。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを生成しないため、透水性が低く、良好な保護膜を構成する。具体的には、保護膜を構成する材料として、発光層で発光した光に対して透明であり、緻密で、水分を透過させない材料を用いることが好ましく、より具体的には、例えば、アモルファスシリコン(α−Si)、アモルファス炭化シリコン(α−SiC)、アモルファス窒化シリコン(α−Si1-xx)、アモルファス酸化シリコン(α−Si1-yy)、アモルファスカーボン(α−C)、アモルファス酸化・窒化シリコン(α−SiON)、Al23を挙げることができる。保護膜を導電材料から構成する場合、保護膜を、ITOやIZOのような透明導電材料から構成すればよい。
【0045】
保護膜と第2基板とは、例えば、樹脂層(封止樹脂層)を介して接合されている。樹脂層(封止樹脂層)を構成する材料として、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤といった熱硬化型接着剤や、紫外線硬化型接着剤を挙げることができる。
【0046】
表示装置の最外面(第2基板の外面)には、紫外線吸収層、汚染防止層、ハードコート層、帯電防止層を形成してもよいし、保護部材を配してもよい。
【0047】
表示装置は、更に一層の光取出し効率の向上を図るために、共振器構造を備えていてもよい。具体的には、第1電極と有機層との界面(あるいは、第1電極の下方に層間絶縁層を介して設けられた光反射層とこの層間絶縁層との界面)によって構成された第1界面と、第2電極と有機層との界面によって構成された第2界面との間で、発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2電極から出射させる。そして、発光層の最大発光位置から第1界面までの距離をL1、光学距離をOL1、発光層の最大発光位置から第2界面までの距離をL2、光学距離をOL2とし、m1及びm2を整数としたとき、以下の式(A−1)、式(A−2)、式(A−3)及び式(A−4)を満たしている。
【0048】
0.7{−Φ1/(2π)+m1}≦2×OL1/λ≦1.2{−Φ1/(2π)+m1
(A−1)
0.7{−Φ2/(2π)+m2}≦2×OL2/λ≦1.2{−Φ2/(2π)+m2
(A−2)
1<L2 (A−3)
1<m2 (A−4)
ここで、
λ :発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1:第1界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、−2π<Φ1≦0
Φ2:第2界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)
但し、−2π<Φ2≦0である。
【0049】
ここで、最も光取出し効率を高くし得るm1=0,m2=1である形態とすることができる。
【0050】
尚、発光層の最大発光位置から第1界面までの距離L1とは、発光層の最大発光位置から第1界面までの実際の距離(物理的距離)を指し、発光層の最大発光位置から第2界面までの距離L2とは、発光層の最大発光位置から第2界面までの実際の距離(物理的距離)を指す。また、光学距離とは、光路長とも呼ばれ、一般に、屈折率nの媒質中を距離Lだけ光線が通過したときのn×Lを指す。以下においても、同様である。従って、有機層(あるいは、有機層と層間絶縁層)の平均屈折率をnaveとしたとき、OL1=L1×naveOL2=L2×naveの関係がある。ここで、平均屈折率naveとは、有機層(あるいは、有機層と層間絶縁層)を構成する各層の屈折率と厚さの積を合計し、有機層(あるいは、有機層と層間絶縁層)の厚さで除したものである。
【0051】
第1電極、第2電極、光反射層は入射した光の一部を吸収し、残りを反射する。従って、反射される光に位相シフトが生じる。この位相シフト量Φ1,Φ2は、第1電極、第2電極、光反射層を構成する材料の複素屈折率の実数部分と虚数部分の値を、例えばエリプソメータを用いて測定し、これらの値に基づく計算を行うことで求めることができる(例えば、"Principles of Optic", Max Born and Emil Wolf, 1974 (PERGAMON PRESS) 参照)。尚、有機層や各種層間絶縁層等の屈折率もエリプソメータを用いて測定することで求めることができる。
【0052】
このように、共振器構造を有する有機EL表示装置にあっては、実際には、白色発光素子が赤色カラーフィルタ層を備えることで構成された赤色発光素子は、発光層で発光した赤色光を共振させて、赤味がかった光(赤色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極から出射する。また、白色発光素子が緑色カラーフィルタ層を備えることで構成された緑色発光素子は、発光層で発光した緑色光を共振させて、緑味がかった光(緑色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極から出射する。更には、白色発光素子が青色カラーフィルタ層を備えることで構成された青色発光素子は、発光層で発光した青色光を共振させて、青味がかった光(青色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極から出射する。即ち、発光層で発生した光の内の所望の波長λ(具体的には、赤色の波長、緑色の波長、青色の波長)を決定し、式(A−1)、式(A−2)、式(A−3)、式(A−4)に基づき、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子のそれぞれにおけるOL1,OL2等の各種パラメータを求めて、各発光素子を設計すればよい。
【0053】
光反射層を構成する材料として、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、Al−Nd)、Ti/Al積層構造、クロム(Cr)、銀(Ag)、銀合金(例えば、Ag−Pd−Cu、Ag−Sm−Cu)を挙げることができ、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル・ゲル法等によって形成することができる。
【0054】
中間領域(中間層)は、例えば、以下の式(1)で表される化合物を含有する。
【0055】
【化1】
【0056】
式(1)において、Ar1〜Ar3は、それぞれ、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。但し、Ar1とAr2、Ar1とAr3、及び、Ar2とAr3のいずれか1組が結合して、式(1)中の窒素原子を含む、置換又は無置換の含窒素複素環を形成する場合がある。含窒素複素環の例としてカルバゾール環等を挙げることができる。尚、「環形成炭素」とは飽和環、不飽和環又は芳香環を構成する炭素原子を意味し、「環形成原子」とはヘテロ環(飽和環、不飽和環、及び芳香環を含む)を構成する炭素原子及びヘテロ原子を意味する。
【0057】
式(1)のAr1,Ar2,Ar3の少なくとも1つは、下記の式(2)で表される複素環基である。即ち、式(1)の化合物は、ジベンゾフラン環又はジベンゾチオフェン環を1つ以上有する。
【0058】
【化2】
【0059】
式(2)中、Xは酸素原子又は硫黄原子である。Y1〜Y8は炭素原子であり、Y1〜Y8の内の1つは、L1と結合する炭素原子である。L1は、式(1)中の窒素原子に結合する連結基であり、単結合、又は、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基である。L1と結合する炭素原子以外のY1〜Y8の7つは、それぞれ、下記のRと結合する炭素原子であるか、又は、隣り合う炭素原子を含む置換若しくは無置換の環を形成する。Rは、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数3〜10のトリアルキルシリル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数18〜30のトリアリールシリル基、置換若しくは無置換の炭素数8〜15のアルキルアリールシリル基(但し、アリール部分の環形成炭素数は6〜14)、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜16のアリール基、置換アミノ基、置換アミノ基を有する基、ハロゲン原子、又は、シアノ基である。隣り合う炭素原子を含む環として、ベンゼン環等を挙げることができる。
【0060】
中間領域(中間層)には、中間領域に対して陰極側に位置する発光領域(便宜上、『陰極側発光領域』と呼ぶ)と中間領域との界面で電子をブロックし、陰極側発光領域での発光効率の向上を図ると共に、中間領域に対して陽極側に位置する発光領域(便宜上、『陽極側発光領域』と呼ぶ)への電子の移動を十分に行うことにより、陽極側発光領域での発光効率の向上を図り、しかも、陰極側発光領域と中間領域との界面における陰極側発光領域の劣化を防ぐことが望まれる。このような中間領域を構成する材料に求められる特性として、正孔輸送性を有し、且つ、十分なエネルギーギャップを有し、陰極側発光領域に対して電子をブロックできるのに十分なLUMO準位を有し、且つ、発光領域の発光エネルギーを閉じ込めるのに十分なエネルギーギャップを有し、加えて、正孔輸送性を有しつつも適切な電子の輸送能力も併せ持つといった特性を挙げることができる。
【0061】
式(1)の化合物は、ジベンゾフラン構造又はジベンゾチオフェン構造を有するアミン化合物である。この化合物は、ジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンを有するため、エネルギーギャップが大きく、励起子エネルギーの閉じ込めに適している。即ち、式(1)のようなジベンゾフラン又はジベンゾチオフェンを有するアミン化合物を中間領域として用いると、励起子エネルギーを閉じ込めることで、高い発光効率が得られ、正孔の輸送と電子の輸送をバランス良く行うことができ、2つ以上の発光領域の発光をバランス良く得ることができる。また、電子密度が高いため、電子の輸送を促進する効果がある。一方で、式(1)の化合物はアミン化合物であるため、正孔輸送性を有している。即ち、式(1)で表される化合物から成る中間領域は、電子のブロックと移動の両方の機能をバランス良く備えているため、陰極側発光領域と中間領域との界面で電子をブロックしつつ、陽極側発光領域への電子の移動も十分に行われる。そのため、中間領域と陰極側発光領域との界面において電子が溜まることがなく、発光領域の劣化が生じ難く、長寿命な発光素子を実現することができる。また、陽極側発光領域への電子の分配も十分に行われるため、中間領域の膜厚を厚く設定することができ、更には、中間領域の膜厚変動に対する各色の発光バランスの変化も小さいことから、中間領域の膜厚マージンを大きく取れ、量産性の高い発光素子を実現することができる。また、最適な発光領域のキャリア輸送性との組み合わせにより、全ての発光領域がバランス良く発光する発光素子を実現することができる。
【0062】
以下、上述したる式(1)の化合物の各基の例について説明する。
【0063】
環形成炭素数6〜50の芳香族炭化水素基は、好ましくは環形成炭素数6〜20であり、より好ましくは環形成炭素数6〜16であり、特に好ましくは環形成炭素数6〜12である。1価の芳香族炭化水素基(アリール基)として、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾアントリル基、ベンゾ[c]フェナントリル基、ベンゾ[g]クリセニル基、トリフェニレニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フルオランテニル基等を挙げることができ、好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基である。置換基を有する芳香族炭化水素基として、トリル基、キシリル基、9,9−ジメチルフルオレニル基等を挙げることができる。
【0064】
1が表す芳香族炭化水素基として、上記の1価の芳香族炭化水素基の水素原子の1つを単結合とした2価の基を挙げることができる。Rが表す芳香族炭化水素基は、上記の芳香族炭化水素基のうち環形成炭素数が6〜16のものである。
【0065】
環形成原子数5〜30の複素環基は、好ましくは環形成原子数5〜20であり、より好ましくは環形成原子数5〜14である。1価の芳香族複素環基(ヘテロアリール基)の具体例として、ピロリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピリジル基、トリアジニル基、インドリル基、イソインドリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、インダゾリル基、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル基、フリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、アザジベンゾフラニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、アザジベンゾチオフェニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ナフチリジニル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、ベンズオキサゾリル基、チエニル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンズチアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基等を挙げることができ、好ましくは、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチオフェニル基、カルバゾリル基である。
【0066】
炭素数1〜10のアルキル基として、直鎖状及び分岐状のアルキル基を挙げることができる。直鎖状及び分岐状のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等を挙げることができ、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を挙げることができ、更に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基を挙げることができる。
【0067】
環形成炭素数3〜10のシクロアルキル基として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができ、好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基を挙げることができる。
【0068】
炭素数3〜10のトリアルキルシリル基は、−Si(Ra)(Rb)(Rc)と表され、(Ra)、(Rb)及び(Rc)の例として、上述したアルキル基を挙げることができる。具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基等を挙げることができる。
【0069】
環形成炭素数18〜30のトリアリールシリル基は、−Si(Ara)(Arb)(Arc)と表され、(Ara)、(Arb)及び(Arc)の例として、上述したアリール基を挙げることができる。具体的には、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0070】
炭素数8〜15のアルキルアリールシリル基(但し、アリール部分の環形成炭素数は6〜14)として、ジアルキルアリールシリル基やアルキルジアリールシリル基を挙げることができる。ジアルキルアリールシリル基は、−Si(Ra)(Rb)(Arc)と表され、(Ra)及び(Rb)の例として上述したアルキル基を挙げることができ、(Arc)の例として、上述した芳香族炭化水素基を挙げることができる。具体的には、フェニルジメチルシリル基等を挙げることができる。
【0071】
アルキルジアリールシリル基は、−Si(Ra)(Arb)(Arc)と表され、(Ra)の例として上述したアルキル基が挙げられ、(Arb)及び(Arc)の例として、上述したアリール基を挙げることができる。具体的には、メチルジフェニルシリル基等を挙げることができる。
【0072】
置換アミノ基は、−N(Ara)(Arb)と表され、(Ara)及び(Arb)の例として、上述したアリール基又はヘテロアリール基を挙げることができる。具体的には、ジフェニルアミノ基、ジビフェニルアミノ基、ジベンゾフラニルビフェニルアミノ基等を挙げることができる。置換アミノ基を有する基として、上記置換アミノ基が置換したアリール基を挙げることができる。
【0073】
ハロゲン原子として、F、Cl、Br、I等を挙げることができる。
【0074】
式(1)で表される化合物の各基の置換基として、上記のアルキル基、シクロアルキル基、置換シリル基、芳香族炭化水素基、複素環基、ハロゲン原子や、その他にアルコキシ基、アラルキル基、シリル基、ヒドロキシル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、アリールオキシ基、置換アミノ基等を挙げることができる。また、「無置換」とは、水素原子が結合していることを意味する。
【0075】
式(1)の化合物において、Ar1,Ar2,Ar3の1つ以上が、置換アミノ基を有する基、又は、置換若しくは無置換のカルバゾール基と結合することで、ジアミン化合物又はトリアミン化合物等を形成した化合物でもよい。置換アミノ基を有する基として、上述した置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基を有するアミノ基を有する基を挙げることができる。具体的には、ジフェニルアミノ基、ジビフェニルアミノ基、ジベンゾフラニルビフェニルアミノ基、又は、これらの置換アミノ基が芳香族炭化水素基(ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、9,9−ジメチルフルオレニル基等)に結合した基を挙げることができる。
【0076】
式(1)で表される化合物の具体例を以下に示す。
【0077】
【化3】
【0078】
【化4】
【0079】
【化5】
【0080】
【化6】
【0081】
【化7】
【0082】
【化8】
【0083】
式(1)の化合物については、例えば、特開2006−151844、特開2008−021687、WO2007/125714及びWO2010−061824、特開2005−112765を参照することができる。
【0084】
中間領域の厚さは、0.1nm〜20nm、好ましくは5nm〜10nmであることが望ましい。式(1)で表される化合物を中間領域として用いることで、陰極側発光領域と中間領域との界面での電子をブロックしつつ、陽極側発光領域への電子供給をバランス良く行えるため、中間領域の厚さを従来より厚くすることができる。中間領域における式(1)で表される化合物の含有率は特に限定されるものではないが、好ましくは1質量%〜100質量%、より好ましくは80質量%〜100質量%、特に好ましくは、100質量%である。中間領域に使用できる他の化合物として、発光領域のホスト材料や、正孔輸送領域又は電子輸送領域で使用される化合物を挙げることができる。
【0085】
前述したアジン系化合物として、下記式(3)で表わされる化合物を挙げることができる。
【0086】
【化9】
【0087】
ここで、X1は−CH又は窒素原子であり、X2は−CH又は窒素原子であり、X3は−CH又は窒素原子であり、但し、X1,X2,X3が同時に−CHとなることはなく、lの値は0若しくは1であり、mの値は0、1若しくは2であり、nの値は0、1若しくは2であり、但し、m=0のとき、l=0であり、Aは、カルバゾリル基、ジベンゾフラニル基若しくはジベンゾチオフェン基であり、Bは、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の環形成原子数5以上30以下の複素環基であり、Cは、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の環形成原子数5以上30以下の複素環基であり、Dは、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の環形成原子数5以上30以下の複素環基であり、LAは、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の環形成原子数5以上30以下の複素環基であり、LCは、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の環形成原子数5以上30以下の複素環基であり、上記の置換とは、それぞれ個別に独立に、メチル、エチル、イソプロピル、ターシャリーブチル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、クリセニル、フルオレニル、9,9ジメチルフルオレニル、9,9ジフェニルフルオレニル、スピロフルオレニル、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、イミダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、キナゾリン、カルバゾール、フェナンスリジン、アクリジン、フェナントロリン、フッ素、塩素、シアノ基、シリル基又は重水素のいずれかから選ばれる。
【0088】
尚、好適には、X1は窒素原子であり、X2は窒素原子であり、X3は−CHである。また、好適には、Aは、3−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、2−ジベンゾフラニル基、4−ジベンゾフラニル基、2−ジベンゾチオフェニル基、又は、4−ジベンゾチオフェニル基のいずれかである。更には、好適には、Bの芳香族炭化水素とは、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、クリセニル、フルオレニル、9,9ジフェニルフルオレニル、又は、スピロフルオレニルのいずれかである。また、好適には、Bの複素環基とは、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、インドール、イミダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、キナゾリン、カルバゾール、フェナンスリジン、アクリジン、又は、フェナントロリンのいずれかである。更には、好適には、C,D,LA及びLCの芳香族炭化水素は、それぞれ独立に、上述のBの芳香族炭化水素の規定から選ばれる。また、好適には、C,D,LA及びLCの複素環基は、それぞれ独立に、上述のBの複素環基の規定から選ばれる。また、m=0のとき、AがX1を含むアジン環と直接結合する。l=0のとき、Bは存在しない。n=のとき、CがX1を含むアジン環と直接結合する。
【0089】
式(3)の化合物の具体例を以下に示す。
【0090】
【化10】
【0091】
【化11】
【0092】
【化12】
【0093】
【化13】
【0094】
【化14】
【0095】
【化15】
【0096】
【化16】
【0097】
発光領域を構成する材料は、電荷の注入機能(電界印加時に陽極あるいは正孔供給層から正孔を注入することができ、陰極あるいは電子供給層から電子を注入することができる機能)、輸送機能(注入された正孔及び電子を電界の力で移動させる機能)、発光機能(電子と正孔の再結合の場を提供し、これらを発光に繋げる機能)を有することが好ましい。
【0098】
発光領域は、蛍光発光領域でもよいし、燐光発光領域でもよい。
【0099】
アジン系化合物以外の蛍光発光領域を構成するホスト材料として、例えば、スチリル誘導体、ナフタセン誘導体、又は、芳香族アミンを挙げることができる。スチリル誘導体として、ジスチル誘導体、トリスチル誘導体、テトラスチル誘導体、及び、スチリルアミン誘導体を挙げることができる。芳香族アミンとして、芳香族環基で置換された窒素原子を2個〜4個有する化合物を挙げることができる。
【0100】
複数の発光領域のうち、上述したホスト材料としてアジン系化合物を含む発光領域以外の発光領域の少なくとも1つの発光領域は、ホスト材料として、イオン化ポテンシャルが5.6eV未満の材料を含むことが好ましい。また、この発光領域は、複数の発光領域のうち、最も陽極側の発光領域とすることが好ましい。これにより、陽極からの正孔注入が安定する。イオン化ポテンシャルが5.6eV未満である化合物(正孔輸送性材料)としては、母骨格が環員数4〜7の多環式芳香族炭化水素化合物を挙げることができる。母骨格は、ピレン、ベンゾピレン、クリセン、ナフタセン、ベンゾナフタセン、ジベンゾナフタセン、ペリレン、又は、コロネンが好ましい。
【0101】
より具体的には、以下の式(4)で表わされる化合物が例示できる。この化合物を用いることにより、陽極からの正孔注入が安定する。
【0102】
【化17】
【0103】
ここで、式(4)中、R21〜R28は、それぞれ、水素原子、フッ素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜10のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数3〜10のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数3〜30のアルキルシリル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数8〜30のアリールシリル基、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜20のアリールオキシ基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、又は、置換若しくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基である。尚、これらの基の具体例として、上述した式(1)及び(3)の化合物の例として示したと同様の基を挙げることができる。
【0104】
具体的には、以下の式(6−1)乃至式(6−5)等の化合物を挙げることができる。
【0105】
【化18】
【0106】
蛍光発光領域のドーパント材料として、例えば、スチリルベンゼン系色素、オキサゾール系色素、ペリレン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素等のレーザー用色素、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、ペンタセン誘導体、クリセン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、ピラン誘導体若しくはスチリル誘導体等の多環芳香族炭化水素系材料、ピロメテン骨格化合物、又は、金属錯体、キナクリドン誘導体、シアノメチレンピラン系誘導体(DCM、DCJTB)、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、金属キレート化オキシノイド化合物等の蛍光材料を挙げることができる。これらの蛍光材料のそれぞれのドープ濃度は、膜厚比で0.5%以上、15%以下であることが好ましい。
【0107】
正孔輸送性材料を含む発光領域は、ドーパント材料として、ペリレン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、ピロメテン錯体、ピラン誘導体、又は、スチリル誘導体を含むことが好ましい。
【0108】
燐光発光領域に好適なホストは、その励起状態から燐光発光性化合物へエネルギー移動が起こる結果、燐光発光性化合物を発光させる機能を有する化合物である。ホスト化合物として、三重項エネルギーギャップが大きく、励起子エネルギーを燐光発光性化合物にエネルギー移動できる化合物ならば、特に制限はなく、目的に応じて、適宜、選択することができる。このようなホスト化合物の具体例として、ベンゼン環やナフタレン環、複素環の組合せで構成される縮合環化合物、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等を挙げることができる。ホスト化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。具体例として、以下のような化合物を挙げることができる。
【0109】
【化19】
【0110】
燐光発光性化合物(燐光発光性のドーパント)は、三重項励起子から発光することのできる化合物である。三重項励起子から発光する限り、特に限定されないが、Ir、Ru、Pd、Pt、Os及びReから成る群から選択される少なくとも1種の金属を含む金属錯体であることが好ましく、ポルフィリン金属錯体又はオルトメタル化金属錯体がより好ましい。ポルフィリン金属錯体として、ポルフィリン白金錯体を挙げることができる。燐光発光性化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0111】
オルトメタル化金属錯体を形成する配位子として、種々のものがあるが、好ましい配位子として、2−フェニルピリジン誘導体、7、8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体等を挙げることができる。これらの誘導体は、必要に応じて置換基を有してもよい。特に、フッ素化物、トリフルオロメチル基を導入したものが、青色系ドーパントとして好ましい。更に、補助配位子として、アセチルアセトナート、ピクリン酸等の上記配位子以外の配位子を有していてもよい。その他、所望の発光色を有する既知の燐光ドーパントも用いることもできる。具体的には、例えば、スチルベン構造を有するアミン、芳香族アミン、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ボラン誘導体、ピラン誘導体を挙げることができる。なかでも、イリジウム錯体、白金錯体又はレニウム錯体の燐光ドーパント材料を用いることが好ましい。
【0112】
燐光発光性化合物(燐光発光性のドーパント)の発光領域における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.1質量%〜70質量%であり、1質量%〜30質量%が好ましい。燐光発光性化合物の含有量が0.1質量%以上であることで、発光が微弱となることを防ぎ、その含有効果を十分に発揮させることができる。一方、70質量%以下とすることで、濃度消光と云われる現象を抑え、発光素子の性能が低下することを防ぐことができる。
【0113】
赤色発光領域は、上記の正孔輸送性材料から構成することが好ましい。緑色発光領域は、蛍光発光材料又は燐光発光材料から構成することができる。青色発光領域においては、例えば、上述したアジン化合物をホスト材料とし、これに青色の蛍光性ドーパント材料をドーピングすることによって、青色の発光を発生させることができる。尚、青色発光領域及び緑色発光領域を構成するホスト材料として、上記の式(3)に示したアジン誘導体を用いることが好ましい。
【0114】
青色のドーパント材料として、約400nm〜490nmの範囲に発光ピークを有する化合物を挙げることができる。このよう化合物として、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ナフタセン誘導体、スチリルアミン誘導体、ビス(アジニル)メテンホウ素錯体等の有機物質を挙げることができる。中でも、アミノナフタレン誘導体、アミノアントラセン誘導体、アミノクリセン誘導体、アミノピレン誘導体、スチリルアミン誘導体、ビス(アジニル)メテンホウ素錯体を用いることが好ましい。
【0115】
有機層が陽極側から、第1発光領域、中間領域、第2発光領域及び第3発光領域をこの順に積層した構成を有し、第1発光領域は、ホスト材料として少なくとも上述した正孔輸送性材料を含み、第2発光領域及び第3発光領域は、ホスト材料として上述したアジン誘導体を含むことが好ましい。
【0116】
また、ホスト材料として上述したアジン誘導体を含む発光領域以外の発光領域の少なくとも1つの発光領域が、ホスト材料として、少なくとも燐光発光材料を含んでいてもよい。この場合、燐光発光材料は、カルバゾール誘導体又はキノリン錯体誘導体であることが好ましい。特に、有機層が陽極側から、第1発光領域、中間領域及び第2発光領域が積層されており、第1発光領域はホスト材料として少なくとも燐光発光材料を含み、第2発光領域はホスト材料としてアジン誘導体を含むことが好ましい。
【0117】
正孔輸送領域を形成する層(正孔供給層等)は、発光領域への正孔注入効率を高めると共に、リークを防止するためのバッファ層として機能する。正孔供給層の膜厚は、発光素子全体の構成、特に、電子供給層との関係によるが、例えば5nm〜300nm、好ましくは10nm〜200nmであることが望ましい。
【0118】
正孔供給層を構成する材料は、電極や隣接する層を構成する材料との関係で適宜選択すればよく、例えば、ベンジン、スチリルアミン、トリフェニルアミン、ポルフィリン、トリフェニレン、アザトリフェニレン、テトラシアノキノジメタン、トリアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、ポリアリールアルカン、フェニレンジアミン、アリールアミン、オキザゾール、アントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、又は、これらの誘導体や、ポリシラン系化合物、ビニルカルバゾール系化合物、チオフェン系化合物若しくはアニリン系化合物等の複素環式共役系のモノマー、オリゴマーあるいはポリマーを挙げることができる。
【0119】
正孔供給層を2層構成とする場合、第1層(陽極側)及び第2層(発光領域側)を構成する材料として、α−ナフチルフェニルフェニレンジアミン、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリン、金属ナフタロシアニン、ヘキサシアノアザトリフェニレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、F4−TCNQ、テトラシアノ4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(p−トリル)p−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−4,4’−ジアミノビフェニル、N−フェニルカルバゾール、4−ジ−p−トリルアミノスチルベン、ポリ(パラフェニレンビニレン)、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリ(2、2’−チエニルピロール)等を挙げることができる。
【0120】
また、下記式(21)、式(22)、式(23)、式(24)に示した化合物を用いることにより、電子供給層から発光領域への電子供給に対して、正孔供給層から発光領域への正孔供給を最適化することができる。
【0121】
【化20】
【0122】
【化21】
【0123】
【化22】
【0124】
【化23】
【0125】
式(21)中、R1〜R6は、それぞれ、独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アリールアミノ基、炭素数20以下のカルボニル基、炭素数20以下のカルボニルエステル基、炭素数20以下のアルキル基、炭素数20以下のアルケニル基、炭素数20以下のアルコキシル基、炭素数30以下のアリール基、炭素数30以下の複素環基、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、及び、シリル基から選ばれる置換基から成る群から選択された1種類の置換基若しくはその誘導体であり、隣接するR1〜R6は、互いに結合して環状構造を形成してもよい。また、X1〜X6は、それぞれ、独立に、炭素原子又は窒素原子である。尚、上記の式(21)に示したアザトリフェニレン誘導体は、Xが窒素原子に置換されることにより、化合物中の窒素含有率が高くなるため、正孔供給層に好適に用いられる。式(21)に示したアザトリフェニレン誘導体の具体例として、以下の式(21−1)等の化合物を挙げることができる。
【0126】
【化24】
【0127】
式(22)中、A0〜A2は、それぞれ、独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボニルエステル基、アルキル基、アルケニル基、環状アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、複素環基、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、あるいは、シリル基によって置換された炭素数6〜30の芳香族炭化水素基である。式(22)に示したアミン誘導体の具体例として、以下の式(22−1)乃至式(22−9)等の化合物を挙げることができる。
【0128】
【化25】
【0129】
式(23)中、A3〜A6は、それぞれ、独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボニルエステル基、アルキル基、アルケニル基、環状アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、複素環基、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、あるいは、シリル基によって置換された炭素数6〜20の芳香族炭化水素基である。A3及びA4、並びに、A5及びA6は、各々、連結基を介して結合していてもよい。Yは、窒素(N)との結合部位以外の環炭素が、それぞれ、独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボニルエステル基、アルキル基、アルケニル基、環状アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、複素環基、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、又は、シリル基によって置換されたベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、フルオランテン、又は、ペリレンから成る2価の芳香族炭化水素基である。mは1以上の整数である。式(23)に示したジアミン誘導体の具体例として、以下の式(23−1)乃至式(23−84)等の化合物を挙げることができる。
【0130】
【化26】
【0131】
【化27】
【0132】
【化28】
【0133】
【化29】
【0134】
式(24)中、A7〜A12は、それぞれ、独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボニルエステル基、アルキル基、アルケニル基、環状アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、複素環基、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基、又は、シリル基によって置換された炭素数6〜20の芳香族炭化水素基である。隣接するA7及びA9、A9及びA10、並びに、A11及びA12は、各々、連結基を介して結合していてもよい。Z1〜Z3は、窒素(N)との結合部位以外の環炭素が、それぞれ、独立に、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボニルエステル基、アルキル基、アルケニル基、環状アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、複素環基、シアノ基、ニトリル基、ニトロ基又はシリル基によって置換されたベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、フルオランテン又はペリレンから成る2価の芳香族炭化水素基である。p、q及びrは、1以上の整数である。式(24)に示したトリアリールアミン多量体の具体例として、以下の式(24−1)乃至式(24−15)等の化合物を挙げることができる。
【0135】
【化30】
【0136】
以上に説明した各種の化合物は、正孔供給層の第1層及び第2層のどちらに用いてもよいが、窒素含有率の高い組成の化合物を第1層に用いることが好ましい。
【0137】
電子輸送領域を構成する層として、電子注入層や電子輸送層(以下、電子注入層・輸送層と呼ぶ場合がある)を挙げることができる。電子注入層・輸送層は、発光領域への電子の注入を助け、発光領域まで電子を輸送する層であって、電子移動度が大きい。電子注入層・輸送層の厚さとして、数nm乃至数μmを挙げることができるが、特に膜厚が厚いとき、電圧上昇を避けるために、104V/cm乃至106V/cmの電界印加時に電子移動度が少なくとも10-5cm2/V・s以上であることが好ましい。
【0138】
電子注入層・輸送層に用いられる材料として、8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体や含窒素複素環誘導体が好適である。8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体の具体例として、オキシン(一般に、8−キノリノール又は8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキシノイド化合物、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウムを挙げることができる。含窒素複素環誘導体として、例えば、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、フェナントロリン、ベンズイミダゾール、イミダゾピリジン等を挙げることができるが、中でも、ベンズイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体が好ましい。
【0139】
電子供給層は、陰極から注入される電子を発光領域に輸送するためのものであり、電子供給層の膜厚は、発光素子の全体構成に依るが、例えば、10nm〜200nm、好ましくは20nm〜180nmであることが望ましい。電子輸送層の材料として、優れた電子輸送能を有する有機材料を用いることが好ましい。発光領域、特に赤色発光領域及び緑色発光領域への電子の輸送効率を高めることにより、電界強度による赤色発光領域及び緑色発光領域における発光色の変化が抑制される。このような有機材料として、具体的には、電子移動度が10-6cm2/V・s以上、1.0×10-1cm2/V・s以下の含窒素複素環誘導体を挙げることができる。
【0140】
具体的な材料として、下記の式(9)で表わされるベンゾイミダゾール誘導体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0141】
【化31】
【0142】
式(9)中、A14は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基及びその誘導体、又は、3〜40個の芳香族環が縮合した多環芳香族炭化水素基を有する炭素数6〜60の炭化水素基又は含窒素複素環基及びその誘導体である。Bは、単結合、2価の芳香族環基あるいはその誘導体である。R31,R32は、それぞれ、独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基及びその誘導体、炭素数6〜60の芳香族炭化水素基及びその誘導体、含窒素複素環基及びその誘導体、又は、炭素数1〜20のアルコキシ基及びその誘導体である。
【0143】
式(9)に示した化合物の具体例として、以下の式(9−1)乃至式(9−49)等の化合物を挙げることができる。尚、「Ar(α)」は、式(9)中のR31,R32を含むベンゾイミダゾール骨格に対応し、「B」は式(9)中のBに対応する。また、「Ar(1)」及び「Ar(2)」は式(9)中のA14に対応し、Ar(1),Ar(2)の順にBに結合する。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】
【表3】
【0147】
【表4】
【0148】
【表5】
【0149】
【化32】
【0150】
尚、電子輸送層に用いる有機材料は、上記の化合物のようにアントラセン骨格を有する化合物が好ましいが、これに限定するものではない。例えば、アントラセン骨格に変えて、ピレン骨格又はクリセン骨格を備えたベンゾイミダゾール誘導体を用いてもよい。また、電子輸送層に用いる有機材料は、1種類だけでなく、複数種類を混合又は積層して用いてもよい。また、上記化合物を電子注入層に用いてもよい。
【0151】
本開示の表示装置は、例えば、パーソナルコンピュータを構成するモニター装置として使用することができるし、テレビジョン受像機や携帯電話、PDA(携帯情報端末,Personal Digital Assistant)、ゲーム機器に組み込まれたモニター装置として使用することができる。あるいは又、電子ビューファインダー(Electronic View Finder,EVF)や頭部装着型ディスプレイ(Head Mounted Display,HMD)に適用することができる。
【実施例1】
【0152】
実施例1は、本開示の第1の態様〜第3の態様に係る発光素子、及び、本開示の表示装置に関する。ここで、発光素子は、具体的には、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)から成り、実施例1の表示装置は、具体的には、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)から成る。実施例1の表示装置あるいは後述する実施例2の表示装置は、アクティブマトリックス型のカラー表示の表示装置であり、上面発光型表示装置である。即ち、陰極(第2電極)を介して光が出射される。
【0153】
実施例1の発光素子は、模式的な一部断面図を図1に示すように、陽極(実施例においては、第1電極に相当する)51、有機材料から成り、発光層80を備えた有機層70、及び、陰極(実施例においては第2電極に相当する)52が積層された構造を有する。そして、模式的な一部断面図を図3Aに示すように、発光層80は、陽極51の側から陰極52の側に亙り、異なる色を発光する2以上の発光領域から構成されており、各発光領域82,83は、ホスト材料及びドーパント材料(ゲスト材料)を含む。また、実施例1の表示装置は、実施例1の発光素子が、複数、2次元マトリクス状に配列されて成る。
【0154】
発光領域81,82,83は、陽極51及び陰極52への電圧の印加時、陽極51の側から注入された正孔と、陰極52の側から注入された電子とが再結合する領域である。そして、より具体的には、発光層80は、陽極51の側から陰極52の側に亙り、第1発光領域81、中間領域(緩衝領域)84、第2発光領域82、及び、第3発光領域83から構成されている。実施例1の発光素子にあっては、具体的には、第1発光領域81は赤色(波長:620nm乃至750nm)を発光し、第2発光領域82は青色(波長:450nm乃至495nm)を発光し、第3発光領域83は緑色(波長:495nm乃至570nm)を発光し、全体として白色を発光する。即ち、発光層80は白色光を発光する。但し、このような構成に限定するものではない。中間領域(緩衝領域)84は、第1発光領域81と第2発光領域82、第3発光領域83との間の過剰のキャリアの移動を抑制するために設けられている。
【0155】
実施例1の発光素子にあっては、より具体的には、赤色を発光する第1発光領域81を構成するホスト材料として以下の構造式(41)(Ip=5.57eV)で示される材料を用い、ドーパント材料として以下の構造式(42)で示される材料を用いた。また、青色を発光する第2発光領域82を構成するホスト材料として以下の構造式(43)(Ip=6.0eV)で示される材料を用い、ドーパント材料として以下の構造式(44)で示される材料を用いた。更には、緑色を発光する第3発光領域83を構成するホスト材料として、以下の表1に示す各種の材料(具体的には、アジン系化合物)を用い、ドーパント材料として以下の構造式(45)で示される材料を用いた。
【0156】
表1に、更には、第3発光領域83を構成するホスト材料のイオン化ポテンシャルIpの絶対値Ip3(単位:eV)、第3発光領域83を構成するホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値から第2発光領域82を構成するホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を減じた値ΔIp(単位:eV)、バンドギャップEgの値(単位:eV)、LUMOエネルギーEaの値(単位:eV)、三重項励起状態のエネルギーT1(単位:eV)、Δu’v’、及び、色度図における(x,y)の値(表1中、CIE_x及びCIE_yで表す)を掲げた。また、発光層80のエネルギー準位図を図3Bに示す。
【0157】
ここで、Δu’v’の値は、CIE 1976 のu’v’系 UCS色度図に基づいている。そして、具体的には、陽極51と陰極52との間に0.1ミリアンペア/cm2の電流を流したときに発光層80が発光する白色光の色度座標の値(u’1,v’1)を測定によって求め、陽極51と陰極52との間に50ミリアンペア/cm2の電流を流したときに発光層80が発光する白色光の色度座標の値(u’2,v’2)を測定によって求める。そして、以下の式に基づき、差Δu’v’の値を求める。尚、陽極51と陰極52との間に50ミリアンペア/cm2の電流を流したときの電流密度に依存したΔu’v’の変化を図4に示す。図4中、破線は実施例1Aのデータを示し、実線は比較例1Bのデータを示す。図4から、電流密度に依存したΔu’v’の変化は、比較例1Aは大きく、実施例1Aは小さいことが判る。ここで、図4に示した例では、陽極51と陰極52との間に0.1ミリアンペア/cm2の電流を流したときに発光層80が発光する白色光の色度座標の値と、陽極51と陰極52との間に50ミリアンペア/cm2の電流を流したときに発光層80が発光する白色光の色度座標の値との差Δu’v’の値は、0.01以下である。
【0158】
Δu’v’={(u’1−u’22+(v’1−v’221/2
【0159】
【表6】
【0160】
【化33】
【0161】
【化34】
【0162】
【化35】
【0163】
【化36】
【0164】
【化37】
【0165】
【化38】
【0166】
【化39】
【0167】
【化40】
【0168】
【化41】
【0169】
【化42】
【0170】
【化43】
【0171】
【化44】
【0172】
陽極(第1電極)51と陰極(第2電極)52との間に0.1ミリアンペア/cm2の電流を流した表示装置の領域(便宜上、『領域A』と呼ぶ)と、陽極51と陰極52との間に50ミリアンペア/cm2の電流を流した表示装置の領域(便宜上、『領域B』と呼ぶ)とにおいて、表示された種々の色の観察を行った。その結果、差Δu’v’の値が0.02以下である場合、領域A及び領域Bにおいて表示された色に大きな相違は認められなかった。
【0173】
あるいは又、陰極52に近い発光領域(実施例1にあっては、第3発光領域83)に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値が、陽極51に近い発光領域(実施例1にあっては、第2発光領域82)に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値よりも大きく、あるいは又、陰極52に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第3発光領域83)に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値が、陰極52に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第3発光領域83)に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第2発光領域82)に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値よりも大きいことによって、領域A及び領域Bにおいて表示された色に大きな相違は認められなかった。
【0174】
あるいは又、陰極52に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第3発光領域83)に含まれるホスト材料は、陰極52に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第3発光領域83)に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第2発光領域82)からの正孔の移動を抑制することによって、即ち、陰極52に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第3発光領域83)に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第2発光領域82)からの正孔の移動を抑制する機能を、陰極52に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第3発光領域83)に付与することによって、これらの領域A、領域Bにおいて表示された色に大きな相違は認められなかった。
【0175】
また、陰極52に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第3発光領域83)に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値は6.1eV以上であるし、陰極52に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第3発光領域83)に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を|Ip1|、陰極52に隣接する発光領域に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第2発光領域82)に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を|Ip2|としたとき、|Ip1|−|Ip2|≧0.1を満足する。更には、陰極52に隣接する発光領域(実施例1にあっては、第3発光領域83)に含まれるホスト材料のバンドギャップの値は3.1eV以上であることが好ましい。そして、これらを満足することによっても、これらの領域A、領域Bにおいて表示された色に大きな相違は認められなかった。
【0176】
以上のとおり、発光領域相互のイオン化ポテンシャルの値の関係を規定することで、また、電流密度に基づく白色光の色度座標の値の変化量Δu’v’を規定することで、また、陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料の特性を規定することで、陽極と陰極との間に流す電流量(電流密度)が変化しても、第2発光領域から第3発光領域への正孔の移動が大きく変動することを抑制することができ、発光領域における再結合領域の位置に変化が生じ難く、その結果、白色発光素子が発光する白色光の色度座標の値に大きな変化が生じ難い構造の発光素子を得ることができる。
【0177】
図1に示すように、実施例1の表示装置あるいは後述する実施例2の表示装置は、 第1基板11、及び、第2基板12、並びに、 第1基板11と第2基板12との間に位置し、2次元マトリクス状に配列された複数の発光素子(表示素子)10、を備えており、第2基板12を介して光が出射され、 各発光素子10は、第1基板側から、陽極(第1電極)51、発光層80を有する有機層70、陰極(第2電極)52及び封止層15が積層されて成る。発光素子である有機EL素子が、第1の方向、及び、第1の方向と直交する方向に延びる第2の方向に2次元マトリクス状に配列されている。
【0178】
あるいは又、実施例1の表示装置あるいは後述する実施例2の表示装置は、別の表現をすれば、第1基板11、第2基板12、及び、第1基板11と第2基板12とによって挟まれた画像表示部13を備えており、画像表示部13には、発光素子10が、複数、2次元マトリクス状に配列されている。
【0179】
実施例1の表示装置あるいは後述する実施例2の表示装置において、封止層15と第2基板12との間にはカラーフィルタ層CFが形成されており、カラーフィルタ層CF(CFR,CFG,CFB)とカラーフィルタ層CFとの間には遮光層(ブラックマトリクス層)BMが形成されている。カラーフィルタ層CF及び遮光層BMは第2基板12に接して形成されている。
【0180】
1つの画素は、赤色表示副画素SPR(赤色発光素子10R)、緑色表示副画素SPG(緑色発光素子10G)及び青色表示副画素SPB(青色発光素子10B)の3つの副画素(3つの発光素子)から構成されている。各色発光副画素は、カラーフィルタ層CFR,CFG,CFBを備えた白色光を発光する発光素子(有機EL素子)から構成されている。即ち、発光層、それ自体は、全体として白色を発光する。赤色発光素子(赤色表示素子)10R、緑色発光素子(緑色表示素子)10G及び青色発光素子(青色表示素子)10Bは、カラーフィルタ層CFを除き、同じ構成、構造を有する。画素数は、例えば1920×1080であり、1つの発光素子10は1つの副画素を構成し、発光素子(具体的には有機EL素子)10は画素数の3倍である。
【0181】
実施例1の表示装置あるいは後述する実施例2の表示装置において、第1基板11はガラス基板から成り、陽極(第1電極)51は、光反射材料、具体的には、Al−Nd合金あるいはAl−Ni合金から成る。また、実施例1の表示装置あるいは後述する実施例2の表示装置において、第2基板12はガラス基板から成り、陰極(第2電極)52は、ITO等の透明導電材料から成る。陽極51は、真空蒸着法とエッチング法との組合せに基づき形成されている。陰極52は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法によって成膜されており、パターニングされていない。有機層70もパターニングされていない。
【0182】
陽極(第1電極)51は、CVD法に基づき形成されたSiONから成る層間絶縁層40上に設けられている。そして、この層間絶縁層40は、第1基板11上に形成された有機EL素子駆動部を覆っている。有機EL素子駆動部は、複数のTFT(薄膜トランジスタ)20から構成されており、TFT20と陽極51とは、層間絶縁層40に設けられたコンタクトプラグ26を介して電気的に接続されている。有機層70の実際に発光する部分は、SiO2から成る絶縁層60によって囲まれている。尚、図面においては、1つの有機EL素子駆動部につき、1つのTFT20を図示した。
【0183】
発光素子10は、有機層70を共振部とした共振器構造を有していてもよい。この場合、発光面から反射面(具体的には、例えば陽極51、及び、陰極52)までの距離を適切に調整するために、有機層70の厚さは、8×10-8m以上、5×10-7m以下であることが好ましく、1.5×10-7m以上、3.5×10-7m以下であることがより好ましい。
【0184】
陰極(第2電極)52の上方には、即ち、陰極52と封止層(封止樹脂層)15との間には、有機層70への水分の到達防止を目的として、絶縁性あるいは導電性の保護膜14(具体的には、例えばSiO2系材料やSiN系材料から成る)が設けられている。保護膜14と第2基板12とは、例えばアクリル系接着剤やエポキシ系接着剤から成る封止層(封止樹脂層)15を介して接合されている。
【0185】
TFT20は、第1基板11上に形成されたゲート電極21、第1基板11及びゲート電極21上に形成されたゲート絶縁層22、ゲート絶縁層22上に形成されたソース/ドレイン領域24、ゲート電極21と対向してソース/ドレイン領域24の間に形成されたチャネル形成領域23から構成されている。
【0186】
以下、実施例1の表示装置(有機EL表示装置)の製造方法の概要を説明する。
【0187】
第2基板12を準備する。具体的には、第2基板12の上に、周知の方法に基づき、カラーフィルタ層CF及び遮光層BMを形成する。
【0188】
[工程−100]
一方、第1基板11に発光素子駆動部を公知のTFT製造プロセスに基づき形成した後、全面に、層間絶縁層40をCVD法に基づき形成する。そして、TFT20の一方のソース/ドレイン領域24の上方に位置する層間絶縁層40の部分に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき接続孔を形成する。その後、接続孔を含む層間絶縁層40の上に金属層を、例えば、スパッタリング法に基づき形成し、次いで、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき金属層をパターニングすることで、層間絶縁層40上に陽極51を形成することができる。また、層間絶縁層40にコンタクトプラグ26を形成することができる。陽極51は、各発光素子毎に分離されている。
【0189】
[工程−110]
その後、全面に、CVD法に基づき、SiO2から成る絶縁層60を形成した後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、陽極51の上方に位置する絶縁層60の部分に開口部61を形成し、開口部61の底部に陽極51を露出させる。開口部61の平面形状として、正方形、四隅が丸みを帯びた正方形、長方形、四隅が丸みを帯びた長方形、円形、楕円形を例示することができる。
【0190】
[工程−120]
その後、開口部61の底部に露出した陽極51の部分及び絶縁層60上に、有機層70を、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法といったPVD法、スピンコート法やダイコート法等のコーティング法等によって成膜する。次いで、例えば真空蒸着法等に基づき、有機層70の全面に陰極52を形成する。このようにして、陽極51上に、有機層70及び陰極52を、例えば、真空雰囲気において連続して成膜することができる。その後、例えばCVD法又はPVD法によって、全面に保護膜14を形成する。
【0191】
[工程−130]
最後に、封止層(封止樹脂層)15を介して、保護膜14と第2基板12とを貼り合わせる。こうして、図1に示した表示装置を得ることができる。
【実施例2】
【0192】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2において、陽極(第1電極)の下方に層間絶縁層を介して光反射層が形成され、光反射層と陰極(第2電極)との間で共振器構造が構成される。実施例1の表示装置を変形した実施例2の表示装置の模式的な一部断面図を図2に示す。
【0193】
実施例2の発光素子10は、
下層・層間絶縁層31、
下層・層間絶縁層31上に形成された光反射層37、
下層・層間絶縁層31及び光反射層37を覆う上層・層間絶縁層32、
上層・層間絶縁層32上に形成された陽極51、
少なくとも陽極51が形成されていない上層・層間絶縁層32の領域の上に形成された絶縁層60、
陽極51上から絶縁層60上に亙り形成され、有機発光材料から成る発光層を有する有機層70、並びに、
有機層70上に形成された陰極52、を備えている。
【0194】
また、実施例2の表示装置は、
第1発光素子10R、第2発光素子10G及び第3発光素子10Bから構成された画素が、複数、2次元マトリクス状に配列されて成る表示装置であって、
画素は、最下層・層間絶縁層33、第1層間絶縁層34、第2層間絶縁層35及び最上層・層間絶縁層36が、順次、積層された積層構造を有している。そして、各発光素子10R,10G,10Bは、
最上層・層間絶縁層36上に形成された陽極51、
少なくとも陽極51が形成されていない最上層・層間絶縁層36の領域の上に形成された絶縁層60、
陽極51上から絶縁層60上に亙り形成され、有機発光材料から成る発光層を有する有機層70、並びに、
有機層70上に形成された陰極52、を備えており、
第1発光素子10Rは、最下層・層間絶縁層33と第1層間絶縁層34との間に形成された第1光反射層38Rを備えており、
第2発光素子10Gは、第1層間絶縁層34と第2層間絶縁層35との間に形成された第2光反射層38Gを備えており、
第3発光素子10Bは、第2層間絶縁層35と最上層・層間絶縁層36との間に形成された第3光反射層38Bを備えている。
【0195】
尚、第1層間絶縁層34、第2層間絶縁層35及び最上層・層間絶縁層36を総称して、層間絶縁層・積層構造体30と呼ぶ。
【0196】
また、実施例2の表示装置は、別の表現をすれば、第1基板11、第2基板12、及び、第1基板11と第2基板12とによって挟まれた画像表示部13を備えており、画像表示部13には、実施例2の発光素子10(10R,10G,10B)が、複数、2次元マトリクス状に配列されている。ここで、第1基板側に発光素子が形成されている。
【0197】
陽極51はITOから成る。光反射層37(第1光反射層38R、第2光反射層38G、第3光反射層38B)は、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)の積層構造から成る。更には、第1基板11はシリコン半導体基板から成り、第2基板12はガラス基板から成る。また、TFTの代わりに、シリコン半導体基板にMOSFETが形成されている。
【0198】
有機層70から出射される光は白色である。具体的には、発光層は、赤色を発光する赤色発光領域、緑色を発光する緑色発光領域、及び、青色を発光する青色発光領域の3つの領域を有する。赤色発光素子10R、緑色発光素子10G及び青色発光素子10Bは、カラーフィルタ層の構成、光反射層の位置を除き、同じ構成、構造を有する。
【0199】
最下層・層間絶縁層33、層間絶縁層・積層構造体30、有機層70及び陰極52は、複数の発光素子において共通化されている。即ち、最下層・層間絶縁層33、層間絶縁層・積層構造体30、有機層70及び陰極52は、パターニングされておらず、所謂ベタ膜の状態にある。このように、発光素子毎に発光層を塗り分けて形成する(パターニング形成する)のではなく、全発光素子において共通の発光層をベタ成膜することで、例えば画角が数インチ以下で、画素ピッチが数十マイクロメートル以下である、小型、且つ、高解像度の表示装置にも対応可能となる。
【0200】
発光素子10は、有機層70を共振部とした共振器構造を有している。尚、発光面から反射面迄の距離(具体的には、発光面から光反射層37及び陰極52迄の距離)を適切に調整するために、有機層70の厚さは、8×10-8m以上、5×10-7m以下であることが好ましく、1.5×10-7m以上、3.5×10-7m以下であることがより好ましい。共振器構造を有する有機EL表示装置にあっては、実際には、赤色発光素子10Rは、発光層で発光した赤色光を共振させて、赤味がかった光(赤色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を陰極52から出射する。また、緑色発光素子10Gは、発光層で発光した緑色光を共振させて、緑味がかった光(緑色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を陰極52から出射する。更には、青色発光素子10Bは、発光層で発光した青色光を共振させて、青味がかった光(青色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を陰極52から出射する。
【0201】
実施例2において、下層・層間絶縁層31(最下層・層間絶縁層33)の下には、シリコン半導体基板(第1基板11)に形成されたトランジスタ(具体的には、例えば、MOSFET)120が備えられている。そして、陽極51とシリコン半導体基板(第1基板11)に形成されたトランジスタ120とは、最下層・層間絶縁層33及び層間絶縁層・積層構造体30に形成されたコンタクトホール(コンタクトプラグ)26を介して接続されている。ここで、MOSFETから成るトランジスタ120は、ゲート電極121、ゲート絶縁層122、チャネル形成領域123、ソース/ドレイン領域124から構成されており、各トランジスタ120の間には素子分離領域125が形成され、これによって、トランジスタ120は相互に分離されている。
【0202】
以上に説明した点を除き、実施例2の表示装置の構成、構造は、実施例1の表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0203】
以上、本開示の発光素子、表示装置を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示の発光素子、表示装置は、これらの実施例に限定されるものではない。実施例において説明した表示装置や発光素子の構成、構造、表示装置や発光素子を構成する各種材料、表示装置や発光素子の製造方法等は例示であり、適宜、変更することができる。実施例においては、専ら、白色発光素子とカラーフィルタ層の組合せから3つの副画素から1つの画素を構成したが、例えば、白色を出射する発光素子を加えた4つの副画素から1つの画素を構成してもよい。実施例においては、専ら、第2基板から光を出射するトップエミッション方式(上面発光方式)の表示装置(上面発光型表示装置)の表示装置に基づき、説明を行ったが、第1基板から光を出射するボトムエミッション方式(下面発光方式)の表示装置(下面発光型表示装置)の表示装置とすることもできる。また、カラーフィルタ層を第2基板に設けたが、代替的に、カラーフィルタ層を第1基板に設けるOCCF(オン・チップ・カラーフィルタ)構造の表示装置とすることもできる。
【0204】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《発光素子:第1の態様》
陽極、有機材料から成り、発光層を備えた有機層、及び、陰極が積層された構造を有し、
発光層は、陽極側から陰極側に亙り、異なる色を発光する2以上の発光領域から構成されており、
各発光領域は、ホスト材料及びドーパント材料を含み、
陰極に近い発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値は、陽極に近い発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値よりも大きい発光素子。
[A02]陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値は6.1eV以上である[A01]に記載の発光素子。
[A03]陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を|Ip1|、陰極に隣接する発光領域に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のイオン化ポテンシャルの絶対値を|Ip2|としたとき、|Ip1|−|Ip2|≧0.1を満足する[A02]に記載の発光素子。
[A04]陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料のバンドギャップの値は3.1eV以上である[A02]又は[A03]に記載の発光素子。
[A05]《発光素子:第2の態様》
陽極、有機材料から成り、発光層を備えた有機層、及び、陰極が積層された構造を有し、
発光層は、陽極側から陰極側に亙り、異なる色を発光する2以上の発光領域から構成されており、
各発光領域は、ホスト材料及びドーパント材料を含み、
陽極と陰極との間に0.1ミリアンペア/cm2の電流を流したときに発光層が発光する白色光の色度座標の値(u’1,v’1)と、陽極と陰極との間に50ミリアンペア/cm2の電流を流したときに発光層が発光する白色光の色度座標の値(u’2,v’2)との差Δu’v’の値が、0.02以下である発光素子。
[A06]《発光素子:第3の態様》
陽極、有機材料から成り、発光層を備えた有機層、及び、陰極が積層された構造を有し、
発光層は、陽極側から陰極側に亙り、異なる色を発光する2以上の発光領域から構成されており、
各発光領域は、ホスト材料及びドーパント材料を含み、
陰極に隣接する発光領域に含まれるホスト材料は、陰極に隣接する発光領域に隣接する発光領域からの正孔の移動を抑制する発光素子。
[A07]陰極に隣接する発光領域におけるホスト材料はアジン系化合物から成る[A01]乃至[A06]のいずれか1項に記載の発光素子。
[A08]発光層は白色光を発光する[A01]乃至[A07]のいずれか1項に記載の発光素子。
[A09]発光層は、陽極側から陰極側に亙り、第1発光領域、中間領域、第2発光領域、及び、第3発光領域から構成されている[A01]乃至[A08]のいずれか1項に記載の発光素子。
[A10]有機エレクトロルミネッセンス素子から成る[A01]乃至[A09]のいずれか1項に記載の発光素子。
[B01]《表示装置》
[A01]乃至[A10]のいずれか1項に記載の発光素子が、複数、2次元マトリクス状に配列されて成る表示装置。
【符号の説明】
【0205】
10・・・発光素子(表示素子)、10R・・・赤色発光素子(第1発光素子)、10G・・・緑色発光素子(第2発光素子)、10B・・・青色発光素子(第3発光素子)、SPR・・・赤色表示副画素、SPG・・・緑色表示副画素、SPB・・・青色表示副画素、11・・・第1基板、12・・・第2基板、13・・・画像表示部、14・・・保護膜、15・・・封止層(封止樹脂層)、20・・・TFT(薄膜トランジスタ)、120・・・MOSFET、21,121・・・ゲート電極、22,122・・・ゲート絶縁層、23,123・・・チャネル形成領域、24,124・・・ソース/ドレイン領域、125・・・素子分離領域、26・・・コンタクトホール(コンタクトプラグ)、30・・・層間絶縁層・積層構造体、31・・・下層・層間絶縁層、32・・・上層・層間絶縁層、33・・・最下層・層間絶縁層、34・・・第1層間絶縁層、35・・・第2層間絶縁層、36・・・最上層・層間絶縁層、37・・・光反射層、38R・・・第1光反射層、38G・・・第2光反射層、38B・・・第3光反射層、40・・・層間絶縁層、51・・・陽極(第1電極)、52・・・陰極(第2電極)、60・・・絶縁層、61・・・開口部、70・・・有機層、80・・・発光層、81・・・第1発光領域、82・・・第2発光領域、83・・・第3発光領域、84・・・中間領域(緩衝領域)、CF,CFR,CFG,CFB・・・カラーフィルタ層、BM・・・遮光層(ブラックマトリクス層)
図1
図2
図3A
図3B
図4
【国際調査報告】