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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年8月3日
【発行日】2018年11月29日
(54)【発明の名称】神経変性疾患治療剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/135 20060101AFI20181102BHJP
   A61K 31/137 20060101ALI20181102BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20181102BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20181102BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20181102BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20181102BHJP
【FI】
   A61K31/135
   A61K31/137
   A61P25/02 101
   A61P27/02
   A61P43/00 111
   A61P27/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】27
【出願番号】特願2017-564252(P2017-564252)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年1月24日
(31)【優先権主張番号】特願2016-11705(P2016-11705)
(32)【優先日】2016年1月25日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
【住所又は居所】熊本県熊本市中央区黒髪二丁目39番1号
(74)【代理人】
【識別番号】100102015
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 健一
(72)【発明者】
【氏名】谷原 秀信
【住所又は居所】熊本県熊本市中央区黒髪二丁目39番1号 国立大学法人熊本大学内
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 圭一郎
【住所又は居所】熊本県熊本市中央区黒髪二丁目39番1号 国立大学法人熊本大学内
(72)【発明者】
【氏名】中尾 光善
【住所又は居所】熊本県熊本市中央区黒髪二丁目39番1号 国立大学法人熊本大学内
(72)【発明者】
【氏名】林 秀樹
【住所又は居所】熊本県熊本市中央区黒髪二丁目39番1号 国立大学法人熊本大学内
(72)【発明者】
【氏名】日野 信次朗
【住所又は居所】熊本県熊本市中央区黒髪二丁目39番1号 国立大学法人熊本大学内
(72)【発明者】
【氏名】堤 孝之
【住所又は居所】熊本県熊本市中央区黒髪二丁目39番1号 国立大学法人熊本大学内
【テーマコード(参考)】
4C206
【Fターム(参考)】
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA08
4C206FA09
4C206FA29
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA43
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA61
4C206MA63
4C206MA72
4C206MA75
4C206MA78
4C206MA86
4C206MA87
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA21
4C206ZA33
4C206ZC20
(57)【要約】
本発明は、神経変性疾患治療剤を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は神経保護治療剤を提供することを目的とする。例えば、神経変性疾患の一つとして眼の神経変性疾患に対する新たな治療剤を提供することを目的とする。本発明により、リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)活性を阻害する物質を有効成分として含む神経変性疾患の予防剤又は治療剤が提供される。本発明によりまた、LSD1活性を阻害する物質を有効成分として含む神経保護治療剤が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)活性を阻害する物質を有効成分として含む神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
【請求項2】
前記神経変性疾患が、視神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症からなる群より選ばれる神経変性疾患である請求項1に記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
【請求項3】
前記神経変性疾患が視神経変性疾患である請求項2に記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
【請求項4】
前記視神経変性疾患が、緑内障に伴う視神経障害、虚血性視神経症、外傷性視神経症、又は、レーベル遺伝性視神経症である請求項3に記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
【請求項5】
前記視神経障害が網膜神経細胞の障害である請求項4に記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
【請求項6】
前記物質が、下記の化合物群:
【化1】
から選ばれる少なくとも一つの化合物である請求項1〜5のいずれか一つに記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
【請求項7】
前記物質が、トラニルシプロミン又はS2101である請求項6に記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
【請求項8】
前記物質が、LSD1のsiRNAである請求項1〜5のいずれか一つに記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
【請求項9】
眼局所注入剤である請求項3〜8のいずれか一つに記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
【請求項10】
点眼剤である、請求項3〜7のいずれか一つに記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
【請求項11】
リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)活性を阻害する物質を有効成分として含む神経保護治療剤。
【請求項12】
網膜神経細胞の保護剤である、請求項11に記載の神経保護治療剤。
【請求項13】
リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)活性を阻害する物質を有効成分として含む網膜神経細胞死の抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経変性疾患治療剤に関し、特には、神経保護治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
緑内障は、世界における失明の主な原因である。緑内障は、網膜神経節細胞(RGC)損失によって特徴付けられる主要な視神経障害としてよく知られており、RGCの死は、視野の障害を引き起こす。視野障害進行のほとんどの場合の主要な危険因子は、上昇した眼圧(IOP)である。しかし、正常眼圧緑内障患者においては、IOPが正常範囲内(10−20 mmHg)であってもRGCは障害を被る。
【0003】
最近の疫学的研究により、特にアジアの人種で、原発性開放隅角緑内障において、正常眼圧緑内障は眼圧上昇を伴う緑内障よりも高頻度に認められることが明らかになった。正常眼圧緑内障の原因は完全には解明されない状態であるが、複数の因子、例えば、視神経における血流低下、遺伝的要素、脳脊髄圧とIOPとの間の拡大したギャップなどがこの疾患における病態生理学的変化に関与している可能性がある。正常眼圧患者を含む緑内障に対する治療は、点眼剤、レーザー治療や手術によるIOP下降をターゲットにしている。しかし、十分にIOPが下降しても、治療効果は、臨床的にはしばしば限定的であり不充分である。したがって、緑内障治療の新たな戦略、例えば、網膜神経節細胞のための神経保護などの戦略が真に必要とされている。
【0004】
エピジェネティックなメカニズムは、DNAメチル化、ヒストン修飾、及び非コードRNAによって、元となっているDNA配列の変化なしに、遺伝子発現及びその機能に影響を与える。ヒストンが、種々の機序、例えば、ヒストンのN末端のアセチル化、メチル化、リン酸化、ユビキチン化及びADPリボシル化により特異的に修飾されることは良く知られており、ヒストン修飾はクロマチン構造を変化させるスイッチであり、下流の「エフェクター」タンパク質の結合プラットフォームを形成して、転写の活性化又は抑制を可能とする。最近、複数のエピジェネティックな要因が、RGCの生存と緑内障の発症に重要な役割を果たしていることを示唆しているいくつかの報告がなされている。視神経挫滅によるRGC損傷は、ヒストンの脱アセチル化の主要なプレーヤーであるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の活性の変化をもたらし、トリコスタチンAによる網膜HDAC活性の阻害は、代表的なRGC特異的遺伝子の発現を維持し、視神経損傷に続く細胞の損失を減衰できる(非特許文献1)。また、他の代表的なHDAC阻害剤であるバルプロ酸は、神経保護効果を示し、転写因子CREB(cAMP応答要素結合タンパク質)の活性を調節することにより視神経挫滅後の軸索再生をもたらす(非特許文献2)。また、網膜神経節細胞でのHdac3の遺伝子除去は、視神経損傷後の急性期に核萎縮の特性の大幅な改善とRGC死の有意な抑制をもたらす(非特許文献3)。
【0005】
リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)は、フラビン含有アミンオキシダーゼファミリーの一つとして知られており、ヒストンH3のモノメチル化及びジメチル化リジン4からメチル基を除去することによって転写を抑制することが知られている。
LSD1は、細胞増殖、生存促進、神経突起の形態形成、及び神経分化と発達への影響を持っていることが既に報告されている(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。さらに、LSD1の阻害剤であるトラニルシプロミンは、マウス脳の神経幹細胞の増殖及びゼブラフィッシュ側線感丘の発達を調節していることが報告されている(非特許文献4;非特許文献8)。しかしながら、トラニルシプロミンの哺乳動物の中枢神経細胞(網膜神経細胞を含む)における細胞生存/細胞死の調節に関する作用については報告がない。
【0006】
トラニルシプロミンは、LSD1及びMAOを阻害する強力なデュアルアクション剤であることが報告されている。MAOは、食物のアミン、及びモノアミン神経伝達物質の酸化的脱アミノ化を触媒し、3,4−ジヒドロキシフェニルグリコールアルデヒド(DOPEGAL)又は過酸化水素を含むMAO−関連反応の副産物を生産する。これらの潜在的な神経毒性代謝産物は神経細胞のアポトーシスを引き起こし、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患の原因の一つと考えられている。それ故、MAOの不活性化は、インビトロばかりでなくインビボにおいても、神経細胞を保護するための優れた戦略の一つと考えられている。事実、L−デプレニル(セレギリン(登録商標))を含むMAO阻害剤の開発が、パーキンソン病、治療抵抗性うつ病、不安障害、及びアルツハイマー病などのヒト神経精神疾患のための新規な薬物療法として報告されている。
【0007】
ERK1/2、JNK及びp38を含むマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)は、神経細胞及び非神経細胞における、生存、増殖及び分化に関与する分子として知られている(非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11)。最近、虚血/再灌流ラット網膜障害モデルを用いて、p38MAPKの阻害が、活性化B細胞の核因子カッパ軽鎖エンハンサー(NF−κB)p65とのクロストークを介した神経保護の役割を示していることが報告された(非特許文献12)。p38MAPKファミリーは、4つの主要なアイソフォーム、p38α、p38β、P38γ及びp38δからなり、それらは独立した遺伝子によってコードされ、アイソフォーム特異的な機能だけでなく、p38アイソフォームのうちで機能的冗長性があるかもしれないと考えられている(非特許文献13)。中枢神経系の細胞では、p38αMAPKアイソフォームは、p38βのアイソフォームより、ストレス誘発性の前炎症性サイトカインの産生と神経毒性においてより重要な寄与をしているという複数の報告がある(非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16)。しかし、神経細胞におけるp38アイソフォームの他のタイプの役割は、全く不明のままであった。そして、p38αアイソフォームはニューロンの死を引き起こすということが報告されている(非特許文献17)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Pelzelら, (2010) BMC neuroscience, 11, 62
【非特許文献2】Biermannら、(2010) Invest Ophthalmol Vis Sci, 51, 526-534
【非特許文献3】Schmittら、(2014) Molecular neurodegeneration, 9, 39
【非特許文献4】Sunら, (2010) Molecular and cellular biology, 30, 1997-2005
【非特許文献5】Scoumanneら (2007) The Journal of biological chemistry, 282, 15471-15475
【非特許文献6】Zibettiら, (2010) The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience, 30
【非特許文献7】Fuentesら, (2012) Cerebral cortex (New York, N.Y.:1991), 22, 1431-1441
【非特許文献8】Heら, (2013) The International journal of developmental biology, 57, 365-373
【非特許文献9】Torciaら, (2001) The Journal of biological chemistry, 276, 39027-39036
【非特許文献10】Kimら, (2002) The Journal of biological chemistry, 277, 33501-33508
【非特許文献11】Mayrら, (2002) FASEB journal : official publication of the Federation of American Societies for Experimental Biology, 16, 1423-1425
【非特許文献12】Jiangら, (2012) Molecular vision, 18, 2096-2106
【非特許文献13】Bachstetterら, (2010) Aging and disease, 1, 199-211
【非特許文献14】Xingら, (2013) PLoS one, 8, e56852
【非特許文献15】Xingら, (2015) Journal of molecular neuroscience : MN, 55, 509-518
【非特許文献16】Hanら, (2015) Molecular and cellular endocrinology, 400, 21-31
【非特許文献17】Xingら, (2011) Molecular neurodegeneration, 6, 84
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、神経変性疾患治療剤を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は神経保護治療剤を提供することを目的とする。例えば、神経変性疾患の一つとして眼の神経変性疾患に対する新たな治療剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、LSD1阻害剤であるトラニルシプロミンが眼の神経保護効果を示すことを見いだし、本発明を完成した。
本発明者らはさらに、トラニルシプロミンが仲介するRGC保護に関わる分子標的がp38MAPKγ及び/又はp38MAPKδであることを見いだしさらなる発明を完成した。
本発明は、以下のものを含む。
[1]リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)活性を阻害する物質を有効成分として含む神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
[2]前記神経変性疾患が、視神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び多発性硬化症からなる群より選ばれる神経変性疾患である上記[1]に記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
[3]前記神経変性疾患が視神経変性疾患である上記[2]に記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
[4]前記視神経変性疾患が、緑内障に伴う視神経障害、虚血性視神経症、外傷性視神経症、又は、レーベル遺伝性視神経症である上記[3]に記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
[5]前記視神経障害が網膜神経細胞の障害である上記[4]に記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
[6]前記物質が、下記の化合物群:
【0011】
【化1】
から選ばれる少なくとも一つの化合物である上記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
[7]前記物質が、トラニルシプロミン又はS2101である上記[6]に記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
[8]前記物質が、LSD1のsiRNAである上記[1]〜[5]のいずれか一つに記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
[9]眼局所注入剤である上記[3]〜[8]のいずれか一つに記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
[10]点眼剤である、上記[3]〜[7]のいずれか一つに記載の神経変性疾患の予防剤又は治療剤。
[11]リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)活性を阻害する物質を有効成分として含む神経保護治療剤。
[12]網膜神経細胞の保護剤である、上記[11]に記載の神経保護治療剤。
[13]リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)活性を阻害する物質を有効成分として含む網膜神経細胞死の抑制剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、新たな神経変性疾患治療剤、特には、神経保護治療剤を提供するものである。本発明はまた、神経変性疾患の一つとして眼の神経変性疾患に対する新たな治療剤を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、グルタミン酸神経毒性及び酸化ストレスによって誘導されるアポトーシスに対するトラニルシプロミンの減衰効果を示している。トラニルシプロミン(TC)有無の条件での、グルタミン酸(Glu)誘発ストレス又は酸化(H)ストレスの24時間後に、断片化又は凝集した核をヘキスト染色により検出した結果を示している。HBSS(ハンクス平衡塩溶液)は、対照(ストレスなし)を表している。図A及び図Bは、Glu刺激後の、RGCの写真画像(上図)及び蛍光画像(下図)を示している。矢印で示されるように、TCなしでのグルタミン酸刺激に比べて、TCは、グルタミン酸誘発アポトーシスを有意に抑制した。スケールバーは、50μmである。図Cは、グルタミン酸刺激同様に、TCが、酸化ストレスにおいても有意にRGC生存を促進した結果である。データは、平均±標準誤差を示している。ターキー・クレーマーテスト(n=6−9)。*p<0.05、**p<0.01。n.s.:有意差なし。
図2図2は、LSD1阻害により、アポトーシスからのRGCの保護効果を確認した結果である。図Aはウエスタンブロット分析の結果であり、図Bはバンドの密度比を相対比で表した結果である。LSD1特異的siRNAは有意にLSD1の発現を抑制したことが判る。スチューデントのt検定の結果である(各群n=4)。**P<0.01。図Cは、LSD1 siRNAによる、グルタミン酸(Glu)負荷アポトーシスに対する効果を確認した結果を示している。HBSSは対照(Glu(−),S2101(−))を、ControlはGluのみを表している。LSD1 siRNAは、有意にアポトーシスを抑制した。図Dは、LSD1阻害剤S2101によるグルタミン酸(Glu)誘発アポトーシスに対する効果を確認した結果である。HBSSは対照を表している。S2101は有意な抑制効果を示している。(C)及び(D)のデータは、平均±標準誤差を表す。ターキー・クレーマーの検定の結果である(各群n=4−6)。*P<0.05、**P<0.01。
図3図3は、グルタミン酸(Glu)ストレス下でのトラニルシプロミン(TC)によるp38MAPKγの発現促進を確認した結果である。図3A、B及びCは、グルタミン酸によるAktのリン酸化を確認したウエスタンブロット分析及びデンシトメトリー評価の結果である。図3D〜Gは、グルタミン酸によるp38MAPKの発現とそのリン酸化、及びp38MAPKγの発現を確認したウエスタンブロット分析及びデンシトメトリー評価の結果である。HBSSは対照を表している。グルタミン酸は、Aktの発現には効果がなかった。また、トラニルシプロミンは、Aktの発現及びAktのリン酸化に影響がなかった。また、グルタミン酸は全p38MAPKの発現及びそのリン酸化状態に影響を及ぼさなかった。トラニルシプロミンは、全p38MAPKの発現及びそのリン酸化に影響を与えなかった。しかし、トラニルシプロミンは、p38MAPKγの発現を有意に促進した。データは、平均±標準誤差を示している。ターキー・クレーマーテスト(n=5−7)。*p<0.05。n.s.:有意差なし。
図4図4は、トラニルシプロミンのp38MAPKγ活性を介したRGCの生存への寄与を確認した結果である。RGCのアポトーシスを核の形態変化により評価した。図4Aは、ウォルトマニンの効果を確認した結果である。図4Bは、BIRB796及びSB203580の効果を確認した結果である。データは、平均±標準誤差を表す。スチューデント検定(各グループ、n=4)。*P<0.05、**P<0.01。n.s.:有意差なし。
図5図5は、硝子体内へのトラニルシプロミン投与によるNMDA誘導ストレスからの網膜保護を形態学的に確認した結果である。図5Aは、PBS処理(対照)及びNMDAストレス状態におけるトラニルシプロミン処理後の網膜切片標本の光学顕微鏡画像である。GCL:神経節細胞層、IPL:内網状層、INL:内顆粒層、ONL:外顆粒層である。スケールバー=50μm。図5Bは、IPL(内網状層)の厚さを示している。データは、平均±標準誤差を示している。ターキー・クレーマーテスト(n=5−6)。**p<0.01。n.s.:有意差なし。
図6図6は、NMDA誘発性損傷後の網膜におけるカスパーゼ3活性をトラニルシプロミンが抑制するか否かを確認した結果である。図6A及びBは、トラニルシプロミンによる、切断されたカスパーゼ3のアポトーシスシグナルの有意な阻害効果をウエスタンブロット分析及びデンシトメトリー評価で確認した結果である。データは、平均±標準誤差を示している。ターキー・クレーマーテスト(n=4)。**p<0.01。n.s.:有意差なし。
図7図7は、インビボでの、NMDA誘導性アポトーシスに対するトラニルシプロミン(TC)の神経保護効果を確認した結果である。網膜神経節細胞(RGC)のフルオロゴールドによる逆行性標識を行った。図7Aは、NMDAの硝子体内投与の有無、及びTCの投与の有無の4つの条件でのそれぞれのフラットマウント標本である。NMDA硝子体内への注射後に著しいRGC喪失が確認でき(NMDA(+)/TC(−))、RGCがトラニルシプロミン処理により保存されていることが示されている(NMDA(+)/TC(+))。スケールバーは、50μmである。図7B及びCは、実際のRGCの数を示している(中間領域の網膜(B)、周辺網膜(C))。NMDA投与の中間領域の網膜(B)及び周辺網膜(C)で、TC投与群はTC非投与群に比べて統計的に大きい数を示している。データは、平均±標準誤差を示している。ターキー・クレーマーテスト(n=6−9)。*p<0.05、**p<0.01。n.s.:有意差なし。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、例示的な実施態様を例として、本発明の実施において使用することができる好ましい方法および材料とともに説明する。
なお、文中で特に断らない限り、本明細書で用いるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味をもつ。また、本明細書に記載されたものと同等または同様の任意の材料および方法は、本発明の実施において同様に使用することができる。
また、本明細書に記載された発明に関連して本明細書中で引用されるすべての刊行物および特許は、例えば、本発明で使用できる方法や材料その他を示すものとして、本明細書の一部を構成するものである。
【0015】
ヒストンのアセチル化/脱アセチル化活性とニューロン生存の間の関係は、近年研究されてきた一方で、緑内障などの眼の神経変性疾患におけるヒストンメチル化の役割は解明されないままである。そこで本発明者らは、フラビン依存酸化反応によってH3K4またはH3K9を脱メチル化し、一般に転写抑制を誘導する、リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)の機能に注目した。
【0016】
そして、本発明者らは、RGC死におけるLSD1活性の重要性を見いだすとともに、LSD1阻害剤の一つであるトラニルシプロミンの神経保護効果を見いだした。さらに本発明者らは、トラニルシプロミンが仲介するRGC保護に関わる分子標的を明らかにし、LSD1が神経細胞の生存の重要な調節因子であり、そして神経変性疾患の治療のための新たな分子標的であることを見いだした。
【0017】
本発明は、LSD1活性を阻害する物質を有効成分として含む神経変性疾患の予防剤又は治療剤に関する。
本発明において、LSD1活性を阻害するとは、酵素であるLSD1の酵素活性を阻害すること、LSD1自体の発現を抑制することにより細胞内でのLSD1活性の発現を阻害すること、のいずれも含む意味である。
酵素であるLSD1の酵素活性を阻害する物質としては、これに限定されないが、例えば、トラニルシプロミン(2−PCPA)、2−PFPA、S2101、S1310、S1401、S1402、S1502、S1601、S1602、S1603、S2101、S2107、S2111、S2206をあげることができ、好ましくはトラニルシプロミン及びS2101、特に好ましくはトラニルシプロミンである。これらの化合物の構造式を以下に示す。
【0018】
【化2】
また、これらの化合物のLSD1阻害のIC50を以下の表に示す。
【0019】
【表1】

トラニルシプロミンは、下記の構造をもつLSD1阻害剤であるが、モノアミンオキシダーゼ阻害活性に基づき抗うつ剤として欧米で認可されている医薬品である。
【0020】
【化3】
トラニルシプロミンは、光学異性体として、(1R,2S)トラニルシプロミン及び(1S,2R)トラニルシプロミンが存在し、本発明においては、LSD1阻害活性をもつ限りは、いずれの光学異性体、或いはそれらの混合物であってもよい。また、薬理学的に許容できる塩の形で用いてもよい。
【0021】
S2101は、下記の構造をもつLSD1阻害剤である。
【0022】
【化4】
S2101は光学異性体が存在するが、本発明においては、LSD1阻害活性をもつ限りは、いずれの光学異性体、或いはそれらの混合物であってもよい。
【0023】
LSD1自体の発現を抑制することにより細胞内でのLSD1活性の発現を阻害する物質としては、LSD1のsiRNA、shRNA等をあげることができ、常法に従い、それらの遺伝子を細胞内に導入し、細胞のLSD1遺伝子をノックダウンすることにより、LSD1自体の発現を抑制しLSD1活性の発現を阻害することができる。LSD1特異的なsiRNAは、公知の情報に基づき設計して常法に従い合成することも可能であり、また、市販されておりそれを用いることもできる。
【0024】
本発明の予防剤又は治療剤が対象とする神経変性疾患は、これに限定されないが、例えば、視神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び多発性硬化症をあげることができ、好ましくは、視神経変性疾患である。また、本発明が対象とする視神経変性疾患としては、緑内障に伴う視神経障害、虚血性視神経症、外傷性視神経症、レーベル遺伝性視神経症をあげることができ、好ましくは、緑内障に伴う視神経障害である。
本発明の予防剤又は治療剤の対象疾患としては、特に好ましくは、網膜神経細胞の障害に基づく疾患であり、例えば、網膜神経節細胞死に起因する疾患である。
【0025】
また、本発明の予防剤又は治療剤を緑内障に基づく神経変性疾患に用いる場合は、他の緑内障の治療剤や治療方法と併用して用いることもできる。例えば、眼圧下降治療剤との併用、眼圧を下げる治療方法との併用療法をあげることができる。
【0026】
本発明の予防剤又は治療剤が化合物である場合、化合物の投与は、経口及び非経口のいずれで行うこともできる。投与剤型としては、これに限定されないが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、注射剤、懸濁剤、点眼剤、眼軟膏剤、徐放性眼内インプラント等をあげあることができる。製剤化は、当該分野において汎用されている技術を用いて行うことができる。対象疾患が視神経変性疾患の場合は、好ましくは眼内注入剤あるいは点眼剤である。
【0027】
本発明の予防剤又は治療剤が化合物である場合、化合物の投与量は、疾患の種類、投与対象の症状、年齢、投与方法等により適宜選択される。例えば、これに限定されないが、経口剤であれば、通常、1日当たり0.1〜5000mg、好ましくは1〜2000mg、より好ましくは5〜1000mgを、1回又は数回に分けて投与すればよい、点眼剤である場合は、0.01〜5%の、好ましくは0.05〜1%の溶液を、1日当たり、数回、点眼すればよい。眼局所注入(硝子体内注射)剤の場合は、例えば、生理食塩水に溶解させた薬物を、1回当たり、0.1mg〜150mg、好ましくは1mg〜100mg、更に好ましくは10mg〜50mgを症状に応じて、眼内、好ましくは硝子体内に注射すればよい。なお、注射剤の調製は、常法に基づいて行うことができる。
【0028】
本発明の予防剤又は治療剤がsiRNA等の遺伝子である場合は、遺伝子の投与は、注射により行うことができる。例えば、これに限定されないが、緑内障の治療においては、例えばsiRNAを、眼の硝子体内に直接又は間接的に投与することにより行うことができる。
【0029】
本発明の他の好ましい態様は、リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)活性を阻害する物質を有効成分として含む、網膜神経節細胞(RGC)の損失を防ぐ及び/又は回復することによる眼の神経変性疾患の予防及び/又は治療薬である。
これにより、上昇した眼圧を下げることを目的とした治療薬や治療方法では十分な効果が期待できない、緑内障患者において見られるRGCの障害を予防及び/又は治療できる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
1.材料及び方法
(1)試薬および動物。
トラニルシプロミンはまた、2-フェニルシクロプロピルアミンとして知られている。トラニルシプロミンは、Sigma-Aldrich社から購入した。S2101(LSD1阻害剤II、489477としても知られている)はMerck Milliporeから入手した。九動から入手した、二日齢のスプラーグドーリー(SD)ラットをRGCの単離のために使用した。実験手順は、 Association for Research in Vision and Ophthalmology (ARVO)の Statement for the Use of Animals in Ophthalmic and Vision Research に従って行った。全ての実験手順は、熊本大学の動物実験委員会によって承認されたものである。
【0032】
(2)網膜神経節細胞の初代培養
初代RGCは、Barresらの二段階イムノパニング法(Barresら, (1988) Neuron, 1, 791-803)に若干の変更を加えた方法を用いて単離した(Hayashiら, (2007) Journal of neuroscience, 27, 1933-1941.;Hayashiら, (2009) Journal of Biological Chemistry, 284, 29605-29613.;Hayashiら, (2012) Journal of Biological Chemistry, 287, 25395-25406)。簡単に説明すると、網膜をパパイン(16.5単位/ml)で消化し、ウサギ抗ラットマクロファージ抗血清(Accurate Chemical)とともに細胞分離した。細胞懸濁液をまず、ヤギ抗ウサギIgGでコーティングされたパンニングプレート(150 mmのペトリ皿)上でインキュベートした。非接着細胞は、ヤギ抗マウスIgMμ及びとT11D7e2細胞から分泌されたマウス抗Thy1.1抗体でコーティングされた第二のパンニングプレート(100 mmのペトリ皿)上でインキュベートした。プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した後、付着したRGCを、0.125%トリプシンで処理することにより遊離させた。
【0033】
単離されたRGCを、1mMのグルタミン、5μg/mlのインスリン、60μg/mlのN−アセチルシステイン、62ng/mlのプロゲステロン、16μg/mlのプトレシン、40ng/mlの亜セレン酸ナトリウム、0.1mg/mlのウシ血清アルブミン、40ng/mlのトリヨードチロニン、0.1mg/mlのトランスフェリン、1mMのピルビン酸ナトリウム、2%のB−27サプリメント(#17504-044、Invitrogen社)、10μMのフォルスコリン、50ng/mlの脳由来神経栄養因子(BDNF)(PeproTech)、50ng/mlの毛様体神経栄養因子(CNTF)(PeproTech)、及び50ng/mlの塩基性線維芽細胞成長因子(PeproTech)を含むNeurobasal培地に懸濁した。培養プレート(96ウェル)を、ポリ−D−リジン(Sigma-Aldrich)及びラミニン(Sigma-Aldrich)でコーティングした。RGCを、5,000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに播き、実験に供する前、少なくとも10日間培養した。
【0034】
(3)免疫ブロッティング
免疫ブロッティングは、上記Hayashiらの方法に従って行った。タンパク質をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離し、PVDF膜に転写し、一次及びペルオキシダーゼ結合二次抗体で検出した。免疫反応性タンパク質をSuperSignal West Pico, Dura 又は Femoto(Thermo Fisher Scientific)で可視化した。一次抗体は以下のものを使用した:マウス抗βアクチン(#A5441、Sigma-Aldrich)、ウサギ抗LSD1(C69G12)(#2184、Cell Signaling Technology)、ウサギ抗リン酸化−p38MAPK(Thr180/Tyr182)(D3F9)(#4511、Cell Signaling Technology)、ウサギ抗p38MAPK(#9212、Cell Signaling Technology)、ウサギ抗リン酸化SAPK3(Thr183+Tyr185)(#bs-12001R、Bioss)、ウサギ抗p38γMAPK(#2307、Cell Signaling Technology)、ウサギ抗リン酸化Akt(Ser473)(#9271、Cell Signaling Technology)、ウサギ抗Akt(#9272、Cell Signaling Technology)、及びウサギ抗切断Caspase3(Asp175)(#9661、Cell Signaling Technology)。
【0035】
(4)網膜神経節細胞のアポトーシス
RGCのアポトーシスの評価は、前述のHayashiら(2012)の記載に従って行った。初代培養RGCを、2.4mMのCaCl2、20mMのHEPES(マグネシウムなし)を含有するハンクス平衡塩溶液(HBSS、Invitrogen)で2回(37℃で15分間のインキュベーション)洗浄した。マグネシウムは、NMDA受容体を遮断することを避けるために、洗浄溶液から除いた。続いて、RGCは、2.4mMのCaCl2、20mMのHEPES(マグネシウムなし)を含有するHBSS中で、NMDA受容体の活性化補助因子である、300μMのグルタミン酸及び10μMのグリシンとともに、37℃で2時間培養した。グルタミン酸処理後、RGCは、フォルスコリン、BDNF、CNTF及びbFGFなどの神経栄養因子なしで、同じ培地中で、37℃で22時間培養した。アポトーシスはまた、「B27 Supplement AO depleted of antioxidant」(Invitrogen)を含有する栄養添加剤と50μMの過酸化水素を添加し0.5時間おくことにより誘導し、そして、細胞を24時間培養した。トラニルシプロミンは、グルタミン酸又は過酸化水素の添加と同時に添加し、一方、S2101(#489477、Merck Millipore)、BIRB796(#S1574、Selleck Chemical)、SB203580(#199-16551、Wako)は、アポトーシス誘導の24時間前に添加し、処理したRGCをアポトーシス検出のために24時間インキュベートした。
【0036】
ヘキスト33342(同仁化学)を用いたアポトーシスの検出は、RGCを15分間、1.0g/mlのヘキスト33342とインキュベートして行った。蛍光画像は、IX71蛍光顕微鏡(オリンパス)を用いて観察し、96ウェルプレートを使用して、少なくとも6つの画像/ウェルを得た。前述したHayashiら(2007, 2012, 2009)に従い、ヘキスト染料で染色した断片化又は縮小核は、アポトーシスを起こしたニューロンとしてカウントし、丸い/スムーズな核は、健康なニューロンとしてカウントした。測定バイアスを最少化するために、ソフトウェアのMetaMorph(Molecular Devices)を使用して、各条件について200以上のニューロンを自動計測した。
【0037】
(5)LSD1 RNAのサイレンシング
非サイレンシング低分子干渉RNA(siRNA)(1μM)(Accell non-targeting siRNA#1、Thermo Fisher Scientific)又はLSD1の特異的siRNA(E-105863-00-0010、Accell Rat Kdm1a [Gene ID:500569] siRNA SMARTpool、Thermo Fisher Scientific)を、製造業者の指示に従って培地に添加し、6日間、RGCとともにインキュベートとした。LSD1 siRNAによるノックダウン効果は、免疫ブロティング法を用いて確認した。
【0038】
(6)遺伝子発現マイクロアレイ
製造業者の指示に従って、全RNAを増幅し、標識し、そしてRat GE 4x44K v3 Microarray Kit(Agilent Technologies)にハイブリダイズさせた。すべてのハイブリダイズしたマイクロアレイは、Agilentスキャナーでスキャンし、すべてのプローブのシグナルは、Feature Extraction Software(Agilent Technologies)を用いて計算した。
Agilentが推奨する手順を使用して、各プローブの生のシグナル強度とフラグをハイブリダイゼーション強度、及びスポット情報から算出した。対照と実験試料間の比較を行い、アップレギュレートされた遺伝子及びダウンレギュレートされた遺伝子を同定するために、少なくとも1つのサンプル中にPフラグを登録したプローブを選択し、強度ベースのZスコア及び各プローブの正規化された信号強度から比(非ログスケールの倍率変化)を計算した。Zスコアが2.0以下で比が1.5倍以上をアップレギュレートされた遺伝子、Zスコアが−2.0以下で比が0.66以下をダウンレギュレートされた遺伝子とした。
結果は、「コントロール」対「グルタミン酸刺激」、及び「グルタミン酸刺激」対「グルタミン酸刺激+トラニルシプロミン」とした。パスウェイの優位な上昇(向上)を決定するために、 Database for Annotation, Visualization and Integrated Discovery (DAVID) (http://david.abcc.ncifcrf.gov/home.jsp)(Huangら,(2009) Nucleic Acids Research, 37, 1-13)及び Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes (KEGG) (Kanehisaら (2000) Nucleic Acids Research, 28, 27-30.)のパスウェイアノテーション解析を行った。
【0039】
(7)インビボでのNMDA誘発網膜損傷
NMDAの硝子体内注射を、Inomata(Inomataら, (2006) Journal of Neurochemistry, 98, 372-385)の報告と同じ様式で行った。簡単に述べると、ラットに、キシラジン塩酸塩(4mg/kg)と塩酸ケタミン(10mg/kg)の1:1の混合物を腹腔内注射し麻酔した。瞳孔を塩酸フェニレフリン及びトロピカミドの点眼で拡張し、20ナノモルのNMDAを硝子体腔に注入した。注射は、マイクロシリンジに接続した33ゲージ針を用いて顕微鏡下で実施した、針は、角膜輪部の後ろ約1.0mmに挿入した。トラニルシプロミンは、NMDA投与と同時にSDラットに注射した。500mMトラニルシプロミン溶液又はコントロールとしてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に、NMDAを混合して総体積を2.0μLとし、硝子体腔に注入した。
【0040】
(8)インビボでの形態学的分析
保護効果を評価するための形態学的分析を報告(Inomataら, (2003) Brain Research, 991, 163-170)に従って行った。簡単に説明すると、NMDA注射の7日後、動物を二酸化炭素窒息により安楽死させ、眼を摘出した。眼は、4℃で一晩、4%のパラホルムアルデヒドで固定し、次いで、脱水およびパラフィン包埋を行った。視神経乳頭をもったラットの眼から4μmの厚さの横断切片を作成して、ヘマトキシリン及びエオシンで染色し、形態学的分析を行った。視神経乳頭から1.0〜1.5mmにて、内網状層(IPL)の厚さを測定した。顕微鏡BX51(オリンパス)を用いて、三つの切片の最小値のデータを平均して、それぞれの眼の数値とした。
【0041】
(9)インビボでのカスパーゼ3の発現レベル
切断されたカスパーゼ3の活性は、ウエスタンブロット分析により評価した。簡単に説明すると、NMDA注射の7日後に網膜を取り除き、直ちに、50mMのトリス緩衝生理食塩水(TBS、pH7.0〜7.6)、0.1%のデオキシコール酸ナトリウム、1mMのEDTA及び1%のトリトンX−100を含有する溶解緩衝液にて、Complete protease inhibitor cocktail(#11836153001、Roche)と共にホモジナイズした。標準的な免疫ブロットを上記(3)のようにして行った。
【0042】
(10)生存したRGCの検出のための逆行性ラベリング
トラニルシプロミンがRGCの生存を制御しているか否かを評価するために、NMDA注射の3日後に、既報(Wangら, (2013) JAMA Ophthalmology, 131, 194-204;Chiuら, (2008) Journal of Visualized Experiments : JoVE.16. doi: 10.3791/819.)と同様の方法で、フルオロゴールド(FG)でRGCの逆行性標識化を行った。簡単に説明すると、ラットにキシラジン塩酸塩(4mg/kg)と塩酸ケタミン(10mg/kg)の1:1の混合物を腹腔内注射して深く麻酔した後、その頭の毛を剃って、皮膚を正中線で切開し、頭蓋骨と縫合線(矢状、冠状及び横方向の縫合線)を露出させた。双方の2mm直径の開頭術を矢状縫合及び横断縫合の線の後側部の0.5ミリメートルに施した。次いで、上丘の上の脳物質を慎重に真空ポンプで除去した。上丘の表面上の各穴にて、滅菌スポンジの小片を6%のFG液6μLに予備浸漬した。皮膚の傷をその後縫合し閉じた。手術後、ラットを保温し、自身で回復させた。NMDA注射の7日後、動物を安楽死させ、血液をフラッシュするためにPBSで心臓内灌流した。PBS洗浄灌漑後に、4%のパラホルムアルデヒドで灌流を行った。灌流固定した後、眼を摘出した。眼は、4℃で一晩、4%のパラホルムアルデヒドで固定した。網膜を強膜から除去し、4象限(優れた、劣った、鼻、及び時間的)に分割し、スライド上にマウントした。各象限は、視神経経頭から1.0、2.0、3.0mmである3つの領域(中心、中間、周辺)に細分した。網膜あたり全部で12野を、マスクされた様式で、オールインワン蛍光顕微鏡BZ−X710(Keyence)を用いて、FG標識したRGCの数をカウントすることによって分析した。
【0043】
(11)統計分析
データは、平均±標準誤差として示す。統計分析は、ターキー・クレイマー検定及びスチューデントのt検定により行った。マイクロアレイ実験では、フィッシャーの正確検定(EASEスコアとして変更)を行った。すべてのデータ分析は、JMP ver. 8.0 ソフトウエア(SAS Institute Inc.)用いて行い、95%の信頼水準を有意(p<0.05)とみなした。
【0044】
2.実験結果
(実施例1)トラニルシプロミンの神経保護効果の確認
グルタミン酸は、主要な興奮性神経伝達物質として作用し、また、脳虚血又は外傷、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病及び緑内障を含む中枢神経系疾患における神経毒として作用する。グルタミン酸は、グリシンの存在下でラットのRGCのアポトーシスを誘導し、そして、NMDA受容体とカスパーゼ依存性アポトーシスを介して神経毒性を誘発する。グルタミン酸誘発ストレスがない場合は、RGCの90%以上が生き残った。一方、ヘキスト染色により、2時間グルタミン酸負荷をしたRGCの32.6パーセントがアポトーシスの形態学的マーカーである収縮または断片化の核を含んでいることが明らかになった。しかし、トラニルシプロミン(添加量:100μM)は、グルタミン酸誘導性神経細胞死からRGCを有意に保護した(図1Aおよび図1B)。
【0045】
他の仲介機序によって誘発される神経細胞死をトラニルシプロミンによって防ぐことができるかどうかを確認するために、RGCを、過酸化水素(H、50μM)の酸化ストレスに0.5時間曝した。培地中の抗酸化物質含有量を最少化するために、他の実験で用いられている標準的なB27サプリメントではなく、抗酸化物質を除いたB27サプリメント(#10889、Invitrogen)を用いた。ニューロンの生存は、いずれのB27サプリメント組成を用いた場合でも同様であった(>90%)。RGCを0.5時間Hに曝露することにより、RGCの51.4パーセントは、アポトーシス核を示した。トラニルシプロミン(添加量:100μM)は、神経細胞死を18.6%にまで著しく減衰した(図1C)。したがって、トラニルシプロミンは、グルタミン酸の神経毒性によって誘発されるアポトーシスだけではなく、酸化ストレスに起因するアポトーシスからも、RGCを保護することが示された。
【0046】
(実施例2)Lsd1阻害による、RGCのアポトーシスからの保護
トラニルシプロミンは、Lsd1阻害剤及びモノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害という二重の分子効果を持っている。モノアミンオキシダーゼ阻害活性は、抗アポトーシス及び神経保護活性に関係する可能性がある。そこで、トラニルシプロミンが、抗Lsd1効果を介して神経保護作用を示すかどうかを次に確認した。まず、LSD1をノックダウンした後、ニューロンの生存を確認し、ノックダウン効果を検証した。免疫ブロッティングの結果は、Lsd1(Kdm1a)特異的siRNAが、非サイレンシングsiRNAコントロールと比較して、Lsd1の発現を30.4パーセントにまで著しく抑制していることを示した(図2Aおよび図2B)。続いて、グルタミン酸刺激による神経ストレス後のLsd1ノックダウンRGCのアポトーシス率を評価した。非サイレンシングsiRNAをトランスフェクトしたコントロールのRGCでは、30.1%のRGCがグルタミン酸誘導性アポトーシスを受けた。しかしながら、アポトーシスのRGCは、Lsd1特異的siRNAを用いて有意に減少した(図2C)。同様に、LSD1阻害剤であるS2101は、グルタミン酸誘導性ストレスに対する細胞の生存を促進した(図2D)。S2101は、トラニルシプロミンと構造的に関連しており、トラニルシプロミンに比べMAOに対して著しく小さい効果にもかかわらず、LSD1とより高い強力な親和性を有する。このことから、LSD1活性の抑制は、アポトーシスストレスからの神経保護に寄与することがわかった。すなわち、トラニルシプロミンによるLSD1阻害が、グルタミン酸又は酸化ストレスにより誘導される神経細胞死を抑制できることが確認された。
【0047】
(実施例3)トラニルシプロミン投与による網膜神経節細胞の生存における標的の経路と遺伝子の解析
トラニルシプロミンの神経保護効果に関与するシグナル伝達経路を調べた。トラニルシプロミンによるRGCの遺伝子発現の変化を同定するために、26,930の遺伝子発現の変化を含むマイクロアレイ解析を行った。LSD1は、ヒストンH3のリジン4の脱メチル化反応を介して遺伝子転写を抑制することが既報で示されているので、本発明者らは、トラニルシプロミンによって発現が増幅され、同時にグルタミン酸投与によって発現が減少する遺伝子が、ニューロンの生存能力を調節する遺伝子標的を同定するための優れた候補であるとの仮説を立てた。Zスコアと比を用いたマイクロアレイデータから、これらの基準を満たした110の遺伝子を見つけた。また、Database for annotation, Visualization and Integrated Discovery(DAVID)を用いてKEGG経路アノテーション解析を行った。110の遺伝子候補に関連付けられた機能分類について、エンリッチされた3つのKEGG経路タームが有意に検出された。これらは、fcガンマR媒介食作用、ニューロトロフィンシグナル伝達経路、及びプリン代謝に含まれていた(表2に示す)。
【0048】
【表2】
【0049】
発現プロファイルの詳細を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
(実施例4)トラニルシプロミンによるp38MAPKγ活性を介してのRGCの生存の強化
次に、ニューロトロフィンシグナル伝達分子である、v−aktマウス胸腺腫ウイルス癌遺伝子ホモログ1(Akt)及びマイトジェン活性化プロテインキナーゼ12(P38 MAPKγ)に注目した。なぜなら、PI3K/Akt/mTOR経路及びMAPキナーゼ経路は、細胞の生存及び抗アポトーシス活性のための主要なシグナル伝達経路としてよく知られていたためである。
【0052】
RGC生存における2つの候補経路の活性の変化を調べた。Akt及びp38MAPKの発現及びリン酸化状態をウエスタンブロット分析により評価した。Aktの発現及び活性を確認した結果を図3A−Cに示す。グルタミン酸は、Aktの発現には効果がなかった。また、トラニルシプロミン(TC)(添加量:100μM)は、Aktの発現及びAktのリン酸化に影響がなかった。全Akt/βアクチンの比及びリン酸化akt/全Aktの比は、トラニルシプロミンの投与後において、対照とグルタミン酸誘発ストレス条件の両方で変化がなかった。同様にして、全p38MAPKの発現とリン酸化p38MAPK、及びp38MAPKγの発現を確認した。結果を図3D−Gに示す。グルタミン酸は全p38MAPKの発現及びそのリン酸化状態に影響を及ぼさなかった。また、トラニルシプロミン(添加量:100μM)は、全p38MAPKの発現及びそのリン酸化に影響を与えなかった。同様に、全p38MAPKの発現とリン酸化p38MAPKの比は、トラニルシプロミンの添加やグルタミン酸ストレスによって統計的変化を示さなかった。しかしながら、p38MAPKサブタイプの一つであるp38MAPKγの発現がグルタミン酸投与により有意に抑制された、そしてグルタミン酸によって誘導されたp38MAPKγの抑制は、トラニルシプロミンによって回復された。このことは、トラニルシプロミンによって神経保護効果が、全p38MAPKではなく、p38MAPKγによって深く影響を受けているらしいということを示唆している。
【0053】
Aktではなくp38MAPKγがグルタミン酸の過負荷からのRGC保護に寄与しているか否かを解明するために、以下の阻害剤を用いてAkt又はp38MAPKγを薬理学的に阻害した後の細胞生存率を検討した;ウォルトマニン(Wartmannin):ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼの強力かつ選択的な阻害剤、BIRB796及びSB203580:p38MAPKの特異的阻害剤。ウォルトマニン(添加量:100nM)は、グルタミン酸ストレス条件及びトラニルシプロミン投与のグルタミン酸ストレス条件のいずれでも、RGCの生存に影響を及ぼさなかった。一方、p38MAPKの4つの全てのサブタイプを阻害するBIRB796(添加量:10μM)は、グルタミン酸誘発のRGC死からトラニルシプロミンの神経保護効果を明確に打ち消した。SB203580による消失効果は明らかでなかった。結果を図4A及び図4Bに示す。SB203580は、p38MAPKα及びp38MAPKβの特異的阻害剤であるが、p38MAPKγ又はp38MAPKδは阻害しないと報告されている。したがって、薬理作用に関するこれらの結果は、トラニルシプロミンはp38MAPKγ活性を経て、RGCの生存に寄与していることを示している。
【0054】
(実施例5)インビボでの、トラニルシプロミンによるRGCの生存促進の確認
インビボにて、ストレス条件下で、トラニルシプロミンがRGCの生存を調節するかどうかを確認した。材料と方法(7)−(10)に従って行った。
まず、インビボNMDA誘発網膜障害モデルを用いて、トラニルシプロミン投与後の形態学的な網膜の変化を評価した。硝子体内NMDAは、PBS対照と比較して有意にIPLの厚さを減少させた。一方、トラニルシプロミン処理をしNMDAを注射した網膜は、対照の網膜と同じレベルにIPLの厚さを維持した。つまり、トラニルシプロミン投与は、グルタミン酸誘発網膜障害を完全に回復させることができた。結果を図5に示す。
【0055】
カスパーゼファミリーの発現レベルは一般的にアポトーシス活性を反映しているので、トラニルシプロミン投与後のNMDA誘発性カスパーゼ3活性をウエスタンブロット分析により測定した。NMDA及びビヒクルで処理した眼で確認した結果、切断されたカスパーゼ3が、NMDA注射した18時間後の網膜で有意に誘導されたが、この活性は、トラニルシプロミンで処置した網膜では有意に抑制されていた。結果を図6に示す。これらの結果は、硝子体内へのトラニルシプロミン投与が、細胞内のアポトーシスシグナル伝達経路に対して神経保護効果を発揮し、網膜の形態学的変化を抑制することを示している。
【0056】
次に、トラニルシプロミンが、NMDA誘発網膜神経毒性からRGCをどの程度保護するかをテストした。フルオロゴールドで逆行標識したRGCの実際の数を、偽処理(対照)、トラニルシプロミン処理、NMDA処理、及びNMDA及びトラニルシプロミン処理、の各群について、網膜でカウントした。NMDA硝子体内注射後7日目のNMDA投与群におけるRGC数は、網膜の中間領域で21.4%、周辺領域で23.4%に減少していた。これとは対照的に、NMDA及びトラニルシプロミン処理群では、RGCの数は、中間領域と周辺領域で、それぞれ48.7%と50.9%であり、有意に増加していた。結果を、図7に示す。従って、硝子体内へのトラニルシプロミン処理は、NMDA神経毒性による網膜の損傷後のRGCの生存を増強した。
【0057】
以上の結果より、硝子体内のトラニルシプロミンは、内網状層の厚さを持続するだけでなく、ラットの網膜への過負荷であるNMDA投与後のRGC損失の低減をもたらすことが明らかになった。よって、LSD1活性を標的とするトラニルシプロミンは、網膜損傷の間に、インビボにおいて神経保護効果を増強することが可能であろう。
また、典型的なLSD1阻害剤であるトラニルシプロミンは、神経細胞の生存率を高めるためにメインプレーヤーと考えられる神経のP38γアイソフォームの発現を促進することにより、網膜神経節細胞に、顕著な神経保護効果を示す。トラニルシプロミンの局所投与はまた、ラットNMDA誘発興奮毒性ストレスモデルにおいて網膜神経節細胞のための神経保護をもたらした。このことは、LSD1の抑制により、緑内障などの神経変性疾患の治療が可能であることを示している。
【0058】
上記の詳細な記載は、本発明の目的及び対象を単に説明するものであり、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。添付の特許請求の範囲から離れることなしに、記載された実施態様に対しての、種々の変更及び置換は、本明細書に記載された教示より当業者にとって明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、新規な神経変性疾患の予防剤又は治療剤として有用である。本発明はまた、眼の神経変性疾患、例えば緑内障の新たな予防剤又は治療剤として有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7

【手続補正書】
【提出日】2017年10月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化合物群:
【化1】
から選ばれる少なくとも一つのリジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)活性を阻害する物質を有効成分として含む網膜神経節細胞を保護するための予防剤又は治療剤。
【請求項2】
前記物質が、トラニルシプロミン又はS2101である請求項1に記載の網膜神経節細胞を保護するための予防剤又は治療剤。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記網膜神経節細胞を保護するための予防剤又は治療剤が、緑内障に伴う視神経障害を予防又は治療するための医薬であることを特徴とする請求項1又は2に記載の予防剤又は治療剤。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
眼局所注入剤である請求項1、2又は4に記載の網膜神経節細胞を保護するための予防剤又は治療剤。
【国際調査報告】