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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2017年10月19日
【発行日】2018年12月27日
(54)【発明の名称】挿入システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/005 20060101AFI20181130BHJP
【FI】
   A61B1/005 512
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2018-511799(P2018-511799)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2016年4月12日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】東條 良
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩正
(72)【発明者】
【氏名】森島 哲矢
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161DD03
4C161FF29
4C161HH51
4C161JJ01
4C161JJ06
(57)【要約】
挿入システム(10)は、被挿入体の内部に挿入される挿入部(40)を有する挿入装置(30)と、温度によって可変する剛性によって挿入部(40)の少なくとも一部の剛性を可変し、温度と剛性との関係は湾曲状態を基に変化する剛性可変部(70)とを有する。挿入システム(10)は、剛性可変部(70)の湾曲状態を検出する湾曲状態検出部(80)と、湾曲状態検出部(80)によって検出された剛性可変部(70)の湾曲状態を基に目標温度を決定し、剛性可変部(70)の温度を、目標温度に制御する剛性可変制御部(103)とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被挿入体の内部に挿入される挿入部を有する挿入装置と、
温度によって可変する剛性によって前記挿入部の少なくとも一部の剛性を可変し、前記温度と前記剛性との関係は湾曲状態を基に変化する剛性可変部と、
前記剛性可変部の前記湾曲状態を検出する湾曲状態検出部と、
前記湾曲状態検出部によって検出された前記剛性可変部の前記湾曲状態を基に目標温度を決定し、前記剛性可変部の前記温度を、前記目標温度に制御する剛性可変制御部と、
を具備する挿入システム。
【請求項2】
前記剛性可変部の前記温度と前記剛性可変部の前記剛性との関係は、ヒステリシスを有し、
前記剛性可変部の前記剛性が低い状態から高い状態への変化を終了した際の温度を、TAfと称し、且つ
前記剛性可変部の前記剛性が前記高い状態から前記低い状態への変化を開始する際の温度を、TMsと称したとき、
前記TMsは、前記剛性可変部の前記湾曲状態に応じて変化する前記目標温度であり、
前記剛性可変制御部は、前記剛性可変部の前記湾曲状態を基に前記TMsを算出し、前記剛性可変部の前記温度が前記TAfに到達した後、前記剛性可変部の前記温度を算出した前記TMsに制御する請求項1に記載の挿入システム。
【請求項3】
前記湾曲状態検出部によって検出された前記剛性可変部の前記湾曲状態における湾曲量を、κと称したとき、
前記剛性可変制御部は、前記TMsを、以下の式(1)を用いて算出する
TMs=f(κ)・・・式(1)
請求項2に記載の挿入システム。
【請求項4】
前記式(1)は、予め測定された前記湾曲量と前記湾曲量に対応する前記TMsとの関係を基とする以下の式(2)に相当し、
TMs=A×logκ+C・・・式(2)
前記式(2)におけるA,B,Cは、予め測定された前記湾曲量と前記TMsとによって決まる定数である請求項3に記載の挿入システム。
【請求項5】
前記湾曲状態検出部によって検出された前記剛性可変部の前記湾曲状態における湾曲量を、κと称したとき、
前記κと、前記κに対応する前記TMsとの関係を示すデータテーブルを記憶する記憶部をさらに具備し、
前記剛性可変制御部は、前記データテーブルから前記κに対応する前記TMsを算出する請求項2に記載の挿入システム。
【請求項6】
前記剛性可変部は、超弾性合金と、超弾性合金を加熱可能な加熱部とを有する請求項1に記載の挿入システム。
【請求項7】
前記剛性可変部を冷却可能な冷却機構を具備し、
前記剛性可変制御部は、前記剛性可変部の前記湾曲状態を基に前記冷却機構を制御する請求項1に記載の挿入システム。
【請求項8】
前記湾曲状態検出部は、ファイバセンサを有する請求項1に記載の挿入システム。
【請求項9】
前記湾曲状態検出部は、
磁気を発生する磁気発生部と、
前記磁気発生部から発生された前記磁気を検出する磁気検出部と、
前記磁気検出部の検出結果を基に、前記剛性可変部の前記湾曲状態を演算する演算部と、
を有する請求項1に記載の挿入システム。
【請求項10】
前記挿入装置は、内視鏡を有する請求項1に記載の挿入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示される内視鏡システムは、内視鏡の挿入部に配置される可撓管の剛性をセグメント毎に変化させる変化部(例えば、形状記憶合金)と、セグメント毎の剛性の組み合わせである複数の可撓性制御パターンを格納するデータベースとを有する。この内視鏡システムにおいて、セグメントの剛性は、表示部に表示された複数の可撓性制御パターンのなかから操作者によって選択された1つの可撓性制御パターンにしたがって、制御される。これにより、挿入部の挿入性が向上する。なお、変化部の一例として、超弾性合金でもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−70879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
可撓管部の剛性は変化部の一例である超弾性合金の剛性によって制御されており、超弾性合金の剛性は超弾性合金の温度によって制御される。超弾性合金の剛性において、冷却に対する剛性変化の応答性は特に悪い。したがって、自然冷却時以上に応答性を向上させるためには、冷却機構が必要となってしまう。また超弾性合金の温度と超弾性合金の剛性(可撓性の度合い)との関係は、ヒステリシスを有する場合がある。ここで、超弾性合金の剛性が低い状態を低剛性状態と称し、超弾性合金の剛性が高い状態を高剛性状態と称する。ヒステリシスとは、例えば、超弾性合金が高剛性状態から低剛性状態に変化するための温度が、超弾性合金が低剛性状態から高剛性状態に変化するための温度よりも低い、ことをいう。このような応答性とヒステリシスとによって、超弾性合金を高剛性状態から低剛性状態に変化させるための冷却は、時間がかかってしまう。すると超弾性合金が高剛性状態から低剛性状態に変化する際に時間がかかる。したがって、可撓管部も高剛性状態から低剛性状態に変化する際に時間がかかる。
【0005】
ここで超弾性合金が低剛性状態から高剛性状態に変化を終了した際の温度を、Temperature Austenite Finish (以下、TAf)と称する。超弾性合金が高剛性状態から低剛性状態に変化を開始する際の温度をTemperature Martensite Start (以下、TMs)と称する。冷却時間の短縮のためには、超弾性合金の温度を、TAfに到達した後、冷却時間の短縮のための目標温度として設定されるTMsまで下がるように、制御することが考えられる。しかしながら、目標温度であるTMsは、超弾性合金の湾曲状態(例えば、湾曲量)に応じて変化してしまう。したがって、超弾性合金の湾曲状態に応じて目標温度(TMs)が変化しても、超弾性合金の温度を目標温度(TMs)に適切に制御可能な挿入システムが求められる。
【0006】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、挿入部の湾曲状態に応じて、温度を適切に制御可能な挿入システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の挿入システムの一態様は、被挿入体の内部に挿入される挿入部を有する挿入装置と、温度によって可変する剛性によって前記挿入部の少なくとも一部の剛性を可変し、前記温度と前記剛性との関係は湾曲状態を基に変化する剛性可変部と、前記剛性可変部の湾曲状態を検出する湾曲状態検出部と、前記湾曲状態検出部によって検出された前記剛性可変部の前記湾曲状態を基に目標温度を決定し、前記剛性可変部の前記温度を、前記目標温度に制御する剛性可変制御部と、を具備する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、挿入部の湾曲状態に応じて、温度を適切に制御可能な挿入システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る挿入システムの概略図である。
図2図2は、図1に示す挿入部における湾曲状態検出部の構成と剛性可変部の構成とを示す図である。
図3図3は、超弾性合金の温度と超弾性合金の剛性との関係を示す図である。
図4図4は、予め測定された曲率(湾曲量)と湾曲量に対応するTMsとの関係を示す図である。
図5図5は、挿入システムにおける処理の流れの一部を示すフローチャートである。
図6図6は、湾曲状態検出部の一例を示す図である。
図7A図7Aは、本発明の第2の実施形態に係る挿入システムの概略図である。
図7B図7Bは、図7Aに示す挿入部における湾曲状態検出部の構成と剛性可変部の構成と冷却部の構成とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、一部の図面では図示の明瞭化のために部材の一部の図示を省略する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1乃至図5を参照して第1の実施形態について説明する。
【0012】
図1に示すように、挿入システム10は、表示部20と、挿入装置30と、剛性可変部70と、湾曲状態検出部80と、本体部100とを有する。
【0013】
表示部20は、挿入装置30に配置される挿入部40の先端部に内蔵される図示しない撮像部によって撮像された画像を表示する。表示部20は、一般的な表示装置であり、例えば、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイまたは有機ELディスプレイである。
【0014】
本実施形態の挿入装置30は、例えば医療用の軟性内視鏡として説明するが、これに限定される必要はない。挿入装置30は、例えば、工業用の軟性内視鏡、カテーテル、処置具といったように、被挿入体の内部に挿入される軟性の挿入部40を有していればよい。本実施形態の挿入部40は、可撓性を有し、撓むことが可能であればよい。被挿入体は、例えば、人に限らず、動物、またはほかの構造物であってもよい。
【0015】
挿入装置30は、被挿入体の内部に挿入される挿入部40と、挿入部40の基端部に連結され、挿入装置30を操作する操作部50と、操作部50に連結されるコード60とを有する。コード60は、コード60の端部に配置され、本体部100に着脱自在なコネクタ部61を有する。
【0016】
挿入部40は、例えば、中空で、細長い。挿入部40は、挿入部40の先端部から挿入部40の基端部に向かって、挿入装置30の用途に応じた様々な内部部材が内部に配置される先端硬質部41と、所望の方向に所望の量だけ湾曲可能な湾曲部43と、可撓性を有し外力によって撓む可撓管部45とを有する。内部部材は、例えば、撮像部を含む。湾曲部43は、挿入部40の内部に配置される図示しない操作ワイヤを介して、操作部50に配置される図示しない湾曲操作部に連結される。湾曲操作部の操作によって操作ワイヤが牽引されることによって、湾曲部43は所望の方向に所望の量だけ湾曲可能である。
【0017】
操作部50は、挿入システム10の操作者の片手によって把持される。操作者は、被挿入体の開口部(例えば患者の口)から、挿入部40を被挿入体の内部に挿入させる。そして、操作者は、撮像部によって撮像され表示部20に表示される画像を目視した状態で、被挿入体の内部を観察及び処置する。
【0018】
図1図2とに示すように、剛性可変部70は、剛性可変部70が挿入部40の剛性を可変させる挿入部40の一部位に配置され、一部位の剛性を可変する。一部位は、例えば、可撓管部45全体である。剛性可変部70は、例えば、超弾性合金71と、超弾性合金71を加熱可能な加熱部73とを有する。
【0019】
超弾性合金71は、例えば、可撓管部45全長に渡って、可撓管部45に内蔵される。本実施形態では、例えば、1つの超弾性合金71が配置されるものとする。超弾性合金71は、加熱部73の加熱によって、剛性が低い状態から剛性が高い状態に変化する性質を有する。以下において、剛性可変部70(例えば超弾性合金71)の剛性が低い状態を低剛性状態と称し、剛性可変部70(例えば超弾性合金71)の剛性が高い状態を高剛性状態と称する。低剛性状態において、超弾性合金71は、外力にしたがって容易に変形する軟質状態に変形し、低い弾性係数を有することとなり、超弾性合金71が配置される部位である可撓管部45に比較的低い硬度を提供する。軟質状態は、例えば、湾曲可能状態である。高剛性状態において、超弾性合金71は、外力に抗してあらかじめ所定の硬さを有する硬質状態に変形し、高い弾性係数を有することとなり、超弾性合金71が配置される部位である可撓管部45に比較的高い硬度を提供する。硬質状態は、例えば直線状態であってよい。ここにおいて、外力とは、超弾性合金71を変形させる力を意味しており、重力も外力の一部と考える。なお超弾性合金71は、冷却によって、高剛性状態から低剛性状態に変化する性質を有する。本実施形態では、冷却は、自然冷却である。
【0020】
加熱部73は、コネクタ部61から可撓管部45にまで、挿入装置30に内蔵される。加熱部73は、例えば、コネクタ部61から可撓管部45内の所望位置まで延び、所望位置から折り返されてコネクタ部61にまで戻る1本以上の電熱線73aを有する。本実施形態では加熱部73は、4本の電熱線73aを有するものとする。各電熱線73aの一端部と他端部とは、本体部100に内蔵される第1電源101に電気的に接続される。電熱線73a同士は、互いに対して電気的に絶縁される。絶縁のために、電熱線73aは、図示しない第1絶縁膜に覆われる。第1絶縁膜は、電熱線73a同士の間の短絡を防止する。また超弾性合金71は、後述する被加熱部位を除いて図示しない第2絶縁膜によって覆われる。第2絶縁膜は、電熱線73aと超弾性合金71との短絡を防止する。なお第1絶縁膜が配置されていれば、第2絶縁膜は省略されてもよい。第1絶縁膜と第2絶縁膜との配置は、絶縁を実施すれば、特に限定されない。電熱線73aは、第1電源101から流れる電流によって熱を発生する。各電熱線73aは、超弾性合金71を所望位置で巻回している巻回部73bを有する。例えば、巻回部73bの内周部は、超弾性合金71の外周面に密着する。巻回部73bは、挿入部40の長手軸方向において、互いに対してずれて配置される。つまり、巻回部73b同士の間には、スペースが形成される。巻回部73bは、超弾性合金71の剛性を可変する範囲に配置され、言い換えると超弾性合金71の剛性に連動して可撓管部45の剛性が可変する範囲に配置される。
【0021】
なお可撓管部45の剛性が可変する範囲と、この範囲に伴う、超弾性合金71の長さと、超弾性合金71の数と、超弾性合金71の配置位置と、電熱線73aの数と、巻回部73bの長さ(巻数)と、巻回部73bの配置位置と、巻回部73bの数とは、例えば、被挿入体、挿入装置30の手技、挿入装置30の使用用途、または挿入部40の剛性を可変させる部位(セグメント)、に応じて、適宜所望に設定される。1本の電熱線73aが、複数の巻回部73bを有してもよい。挿入部40の剛性を可変させる部位(セグメント)は、1箇所でもかまわない。
【0022】
巻回部73bは、第1電源101から流れる電流によって熱を発生する。そして、熱は、巻回部73bから超弾性合金71に伝達され、超弾性合金を加熱する。ここで、超弾性合金71において加熱される部位を被加熱部位と称する。被加熱部位は、主に、巻回部73bによって覆われている部位である。被加熱部位の温度は熱によって上がり、したがって超弾性合金71の温度は部分的に上がる。超弾性合金71の温度が熱によって上がった際、被加熱部位の剛性は上がり、そして被加熱部位が配置されている可撓管部45の一部位の剛性が上がる。加熱が停止され、被加熱部位の温度が自然冷却によって下がった際、被加熱部位の剛性は下がり、そして被加熱部位が配置されている可撓管部45の一部位の剛性が下がる。巻回部73b同士は互いに非接触であるため、可撓管部45を含む挿入部40の剛性は、部分的に且つ選択的に変化可能である。このように剛性可変部70は、温度によって可変する超弾性合金71の剛性によって、挿入部40の少なくとも一部の剛性を可変する。
【0023】
図1図2とに示すように、湾曲状態検出部80は、挿入装置30に配置される所望の形状検出範囲(以下、範囲Fと称する)の湾曲状態を検出及び演算する。本実施形態では、湾曲状態の一例を、湾曲量として説明する。なお湾曲状態は、湾曲量(湾曲の大きさ)と湾曲の方向とを含む湾曲形状であってもよい。本実施形態では、範囲Fは、例えば、挿入部40全体とする。なお範囲Fは、超弾性合金71が配置される可撓管部45のように挿入装置30の一部であってもよいし、挿入装置30全体であってもよい。本実施形態の湾曲状態検出部80は、ファイバセンサを有しており、例えば、挿入部40に組み込まれて挿入部40と一体的に湾曲され、挿入部40の湾曲量を検出する。具体的には、湾曲状態検出部80は、挿入部40の湾曲量の変化に伴い光ファイバ83に加えられた変化に基づいて挿入部40の湾曲量の変化を検出する。
【0024】
湾曲状態検出部80は、光源81と、1以上の被検出部83aが配置される光ファイバ83と、ミラーなどの反射部85と、受光部87と、演算部89と、光分岐部91とを有する。このような湾曲状態検出部80は、光ファイバ83への入射光と光ファイバ83からの出射光との特性の関係を検出することにより、挿入部40の湾曲量を得るセンサである。
【0025】
本実施形態では、複数の被検出部83aが1本の光ファイバ83に配置される。複数の被検出部83aは、光ファイバ83の長手軸方向において互いに異なる位置にて、配置される。この場合、挿入部40の湾曲量が検出可能となる。なお1本の光ファイバ83に1つの被検出部83aが配置されてもよく、この場合、複数本の光ファイバ83が配置される。そして、光ファイバ83の長手軸方向において同じ位置または近傍の位置、且つ長手軸方向の軸周り方向において互いに異なる位置に、複数の被検出部83aが配置されるとする。この場合、複数の被検出部83aの検出結果の組み合わせによって、湾曲の大きさと方向とが検出可能となる。
【0026】
光源81は、本体部100に内蔵され、光ファイバ83に向かって光を出射する。この光源81は、照明用の光源81とは別体であり、挿入部40の湾曲量の検出のための光を出射する。光源81は、例えば、キセノンランプまたはハロゲンランプといったランプと、LEDと、LDなどの半導体光源との少なくとも1つを有する。光ファイバ83は、コネクタ部61を介して可撓管部45の先端部まで挿入装置30に内蔵され、光を導光する。光ファイバ83は、可撓性を有する。湾曲状態検出部80が挿入部40の湾曲量を検出するため、被検出部83aは例えば挿入部40に搭載される。言い換えると、湾曲状態検出部80は、被検出部83aが搭載される部位の形状を検出する。
【0027】
反射部85は、光ファイバ83の先端部に配置される。反射部85は、光ファイバ83によって導光された光を、光ファイバ83の基端部に戻すよう反射する。
【0028】
受光部87と演算部89とは、本体部100に配置される。受光部87は、例えば、分光器またはカラーフィルタのような分光のための素子と、フォトダイオードのような受光素子とを有してもよい。演算部89は、例えば、ASICなどを含むハードウエア回路によって構成される。演算部89は、プロセッサによって構成されても良い。演算部89がプロセッサで構成される場合、プロセッサがアクセス可能な図示しない内部メモリまたは外部メモリに、プロセッサが実行することで当該プロセッサをこの演算部89として機能させるためのプログラムコードを記憶させておく。
【0029】
光源81と受光部87と光ファイバ83の基端部とは、光分岐部91に光学的に接続される。光分岐部91は、例えば光カプラまたはハーフミラーを有する。光分岐部91は、光源81から出射された光を光ファイバ83に導き、また、光ファイバ83によって導かれた戻り光を受光部87に導く。光分岐部91は、本体部100に配置される。
【0030】
挿入部40が湾曲すると、この湾曲に応じて光ファイバ83が湾曲する。これに伴い、光ファイバ83を伝搬する光の一部が被検出部83aを通じて外部に出射する(漏れる)。すなわち、被検出部83aは、光ファイバ83の一側面に配置され、光ファイバ83の湾曲に応じて伝搬する光の一部を外部に出射させる。言い換えると、被検出部83aは、光ファイバ83の光学特性、例えば光伝達量を変化させるものである。挿入部40の湾曲に伴って光ファイバ83が湾曲すると、光ファイバ83の湾曲量に応じて光ファイバ83の光伝達量が変化する。この光伝達量の変化の情報を含む光信号は、受光部87によって電気信号に変換されて演算部89に送られる。演算部89は、この電気信号を基に、実際に湾曲している部分の挿入部40の湾曲量を演算する。演算部89は、演算した挿入部40の湾曲量を本体部100に配置される剛性可変制御部103に入力する。
【0031】
ここでは、変化する光学特性として、光伝達量の例をあげたが、これに限定されるものではなく、例えばスペクトルまたは偏波などの光の状態であってもよい。この場合、湾曲状態検出部80は、スペクトルや偏波などの光の状態を検出するものであればよい。被検出部83aは、例えば、光ファイバ83によって導光される光の強度(光量)を低減する物質、例えば光吸収体で構成されてもよい。被検出部83aは、例えば、光ファイバ83によって導光される光を吸収して、導光される光とは異なる波長域の光を発する物質、例えば蛍光体で構成されてもよい。
ここで範囲Fについて説明する。ここでは、被検出部83aは、光ファイバ83の長手軸方向において、例えば5mmの長さを有するものとする。各被検出部83aにおいて、被検出部83a自体の湾曲量が検出される。しかしながら、実際には、例えば5mmの長さを有する被検出部83aだけが湾曲することはない。光ファイバ83自体あるいは光ファイバ83を組み込んだ部材の構造または材質等に起因して、光ファイバ83の長手軸方向においてある程度の範囲(例えば60mmの長さ)も湾曲する。したがって、被検出部83aによって、当該被検出部83aが存在している位置のみの湾曲量だけではなく、ある程度の範囲、光ファイバ83の長手軸方向において例えば被検出部83aの前後30mm、合わせて60mmの範囲の湾曲量が検出されると考えることができる。このように、被検出部83aによって検出される湾曲量と略同一となる範囲を含めた範囲を範囲Fとする。
【0032】
図2に示すように、範囲Fは、剛性可変部70が可撓管部45の剛性を変化させる範囲Aに重複する。範囲Aとは、例えば、巻回部73bによって巻回される被加熱部位を示す。したがって、湾曲状態検出部80は、挿入部40の湾曲量を検出すると共に、剛性可変部70の湾曲状態を、具体的には超弾性合金71の被加熱部位それぞれの湾曲量を、検出及び演算可能である。例えば、湾曲状態検出部80は、検出と演算と剛性可変制御部103への湾曲量の入力とを、リアルタイムで実施する。なお、図2では範囲Aは巻回部73bと同じ範囲を示すが、熱伝導によって巻回部73bより広い範囲が加熱されることも可能である。このような場合、巻回部73bによる加熱で超弾性合金71が高剛性状態に変化する範囲を範囲Aとする。湾曲状態検出部80は、例えばスイッチなどの図示しない指示部から出力された操作開始指示を入力された後、検出と演算と入力とを実施し続ける。湾曲状態検出部80は、挿入部40の湾曲状態(例えば、湾曲量)と剛性可変部70の湾曲状態(例えば、湾曲量)との少なくとも一方を検出及び演算してもよい。剛性可変部70の湾曲量の検出及び演算は、挿入部40の湾曲量の検出及び演算と略同様である。したがって、演算部89は、電気信号を基に、実際に湾曲している部分の剛性可変部70の湾曲量を演算する。演算部89は、演算した剛性可変部70の湾曲量を剛性可変制御部103に入力する。範囲Fは、湾曲状態に応じた温度制御を行う範囲Aと重複するように配置される。ここで、範囲Aの一部の湾曲量を検出することで、湾曲量を検出していない範囲の湾曲量も同等とみなせる場合は、範囲Fは範囲Aの全ての範囲と重複する必要は無く、範囲Fは範囲Aの一部と重複するように配置されてもかまわない。
【0033】
本体部100は、第1電源101と、剛性可変制御部103と、記憶部105と、測定部107とを有する。
【0034】
第1電源101は、電熱線73aを介して超弾性合金71を加熱するために、電熱線73aに電圧を印加し、電熱線73aに電流を流す。
【0035】
剛性可変制御部103は、例えば、ASICなどを含むハードウエア回路によって構成される。剛性可変制御部103は、プロセッサによって構成されても良い。剛性可変制御部103がプロセッサで構成される場合、プロセッサがアクセス可能な図示しない内部メモリまたは外部メモリに、プロセッサが実行することで当該プロセッサをこの剛性可変制御部103として機能させるためのプログラムコードを記憶させておく。
【0036】
剛性可変制御部103は、演算部89によって演算された剛性可変部70の湾曲量と、測定部107によって測定された剛性可変部70の温度とを基に、第1電源101から電熱線73aに流れる電流を制御する。剛性可変制御部103は、超弾性合金71に対する加熱のために電流の供給が開始されるように、電流の大きさが調整されるように、第1電源101を制御する。
【0037】
例えば、挿入部40は、被挿入体の管腔に挿入され、管腔の形状に沿って撓んだとする。このとき、挿入部40の湾曲量は、湾曲状態検出部80によって検出される。そして例えば、挿入部40の湾曲量が閾値以上となった所望の範囲が存在するとする。この閾値は、例えば記憶部105に予め記憶される。第1電源101に対する剛性可変制御部103の制御によって、所望の範囲における先端範囲に巻回部73bが配置されている加熱部73に電流が流れる。先端範囲とは、例えば、所望の範囲が挿入部40の長手軸方向において前後の2つに分けられた範囲のうちの前側を示す。したがって、所望の範囲の先端範囲における剛性可変部70の剛性が上がる。これにより、挿入部40が例えば被挿入体の管腔内を深部に向かって前進する際、挿入部40の進行方向において、操作者から挿入部40への挿入力が挿入部40の先端部にまで伝達されやすくなる。そして、挿入部40の挿入性が向上する。
【0038】
剛性可変制御部103は、可撓管部45の剛性(可撓性の度合い)を、超弾性合金71の剛性によって制御する。超弾性合金71の剛性は、超弾性合金71の温度によって制御される。ここで、図3は、超弾性合金71の温度と超弾性合金71の剛性との関係を示す。超弾性合金71は、電熱線73aで加熱されるため、加熱に対する超弾性合金71の剛性変化の応答性は良好である。一方、加熱に対して冷却は時間がかかり、特に本実施形態では、自然冷却であるため、応答性が悪い。また図3に示すように、剛性可変部70(例えば超弾性合金71)の温度と剛性可変部70(例えば超弾性合金71)の剛性との関係は、ヒステリシスを有する。ここでいうヒステリシスとは、例えば、剛性を低くするための温度が剛性を高くするための温度よりも低い、ことをいう。このような応答性とヒステリシスとによって、超弾性合金71に対する冷却は、時間がかかってしまう。超弾性合金71に対する冷却に時間がかかると、超弾性合金71が高剛性状態から低剛性状態に変化する際に時間がかかる。したがって、可撓管部45も高剛性状態から低剛性状態に変化する際に時間がかかる。
【0039】
ここで図3に示すように、剛性可変部70(例えば超弾性合金71)が低剛性状態から高剛性状態に変化を開始する際の温度を、Temperature Austenite Start (以下、TAs)と称する。剛性可変部70(例えば超弾性合金71)が低剛性状態から高剛性状態への変化を終了した際の温度を、Temperature Austenite Finish (以下、TAf)と称する。剛性可変部70(例えば超弾性合金71)が高剛性状態から低剛性状態に変化を開始する際の温度をTemperature Martensite Finish (以下、TMs)と称する。剛性可変部70(例えば超弾性合金71)が低剛性状態に変化を終了した際の温度をTemperature Martensite finish(以下、TMf)と称する。なお低剛性状態は最も剛性が低い状態であってもよく、高剛性状態は最も剛性が高い状態であってもよい。
【0040】
TMf以下の温度域では、超弾性合金71は低剛性状態である。
TAsは、TMf以上のTAf未満となっている。TMf以上TAs未満の温度域において、温度が上昇しても且つ湾曲量に影響されることなく、超弾性合金71は低剛性状態のままである。
TAsは、TAfよりも低い。TAs以上TAf未満の温度域において、温度がTAsからTAfに上昇するにつれて、超弾性合金71の剛性は上昇し、超弾性合金71は低剛性状態から高剛性状態に変化していく。
TAf以上の温度域では、超弾性合金71は高剛性状態である。
TMsは、TAf及びTAsよりも低い。TMs以上TAf未満の温度域では、温度が下降しても且つ湾曲量に影響されることなく、超弾性合金71は高剛性状態のままである。
TMfは、TMsよりも低い。TMf以上TMs未満の温度域において、温度がTMsからTAfに下降するにつれて、超弾性合金71の剛性は下降し、超弾性合金71は高剛性状態から低剛性状態に変化していく。
【0041】
ここで、上記した冷却時間とは、剛性可変部70(例えば超弾性合金71)の温度がTAfからTMsを介してTMfまでに下がるための時間を示す。高剛性状態における超弾性合金71の剛性は、超弾性合金71の温度がTAfのときあってもTMsのときであっても、略同一である。したがって、本実施形態では、応答性の悪さとヒステリシスとを考慮して、冷却時間を短縮するために、超弾性合金71の温度がTAfに到達した後、超弾性合金71の温度を目標温度(例えばTMs)にまで予め下げる制御を、待機せずにすぐに、剛性可変制御部103は実施する。
【0042】
ここで説明のために、図3に示すように、超弾性合金71の湾曲量が3つ存在するとし、以下、第1乃至第3の湾曲量と称する。第1の湾曲量は第2の湾曲量よりも小さく、第2の湾曲量は第3の湾曲量よりも小さいものとする。
【0043】
上述したように、応答性の悪さとヒステリシスとを考慮して、冷却時間の短縮のためには、剛性可変制御部103は、超弾性合金71の温度がTAfに到達した後、超弾性合金71の温度を、冷却時間の短縮のために設定される目標温度(例えばTMs)にまで下げる制御を実施する必要がある。しかしながら、剛性可変部70(例えば超弾性合金71)の温度と剛性可変部70(例えば超弾性合金71)の剛性との関係は、湾曲状態を基に変化する。例えば、図3に示すように、目標温度であるTMsは、第1乃至第3の湾曲量に応じて、変化する。ここで第1乃至第3の湾曲量に対応するTMsを、TMs1,TMs2,TMs3と称する。TMs1はTMs2よりも低く、TMs2はTMs3よりも低い。そこで、剛性可変制御部103は、湾曲状態検出部80によって検出された剛性可変部70の湾曲状態を基に目標温度を決定し、剛性可変部70の温度を、湾曲状態に応じて変化する目標温度であるTMsに制御する。具体的には、剛性可変制御部103は、湾曲状態検出部80によって検出された超弾性合金71の第1乃至3の湾曲量を基に第1乃至3の湾曲量に応じた目標温度であるTMs(TMs1、TMs2またはTMs3)を算出する。そして剛性可変制御部103は、超弾性合金71の温度がTAfに到達した後、超弾性合金71の温度を算出した目標温度であるTMs(TMs1、TMs2またはTMs3)に制御する。剛性可変制御部103は、制御のために、第1電源101の駆動をオフし、電熱線73aへの電流の供給を停止する。これにより加熱が停止され、自然冷却が実施され、超弾性合金71の温度はTAfから目標温度であるTMs(TMs1、TMs2またはTMs3)にむけて下がっていく。
【0044】
ここで湾曲状態検出部80によって検出された剛性可変部70(例えば超弾性合金71)の湾曲量をκと称し、剛性可変制御部103は、目標温度であるTMsを、以下の式(1)を用いて算出する。
TMs=f(κ)・・・式(1)
【0045】
式(1)は、例えば、図4に示すように予め測定された剛性可変部70(例えば超弾性合金71)の曲率(湾曲量)と湾曲量に対応するTMsとの関係を基とする以下の式(2)に相当することができる。式(2)は、対数関数を用いた式である。
【0046】
TMs=A×logκ+C・・・式(2)
式(2)におけるA,B,Cは、予め測定された湾曲量とTMsとによって決まる定数である。したがって、剛性可変制御部103は、式(1)または式(2)を用いて、目標温度であるTMs(TMs1,TMs2,TMs3)を算出する。なお図4に示す各点は測定値であり、点線は式(2)によって示される近似曲線である。
【0047】
記憶部105は、式(1)または式(2)を予め記憶する。剛性可変制御部103が湾曲状態検出部80から超弾性合金71の湾曲量κを入力された際に、剛性可変制御部103は、記憶部105にアクセスし、超弾性合金71の湾曲量κと式(1)または式(2)とを基に、目標温度であるTMsを算出する。そして、剛性可変制御部103は、TMsを基に、第1電源101を制御する、詳細には電熱線73aに流れる電流を制御する。
【0048】
なおTMsの算出は、これに限定される必要はない。記憶部105は、例えば、κと、κに対応する目標温度であるTMsとの関係を示すデータテーブルを記憶してもよい。剛性可変制御部103が湾曲状態検出部80から超弾性合金71の湾曲量κを入力された際に、剛性可変制御部103は、記憶部105にアクセスして、データテーブルから湾曲量κに対応するTMsを算出してもよい。
【0049】
また目標温度は、TMsに限定される必要はない。目標温度は、挿入部40の剛性に対する制御の目的に応じて、TMsに対して上下させてもよい。例えば、目標温度がTMsよりも高いとする。この場合、挿入部40の湾曲量の急激な変化によってTMsが変化したとしても、または超弾性合金71に対する加熱温度にばらつきが発生しても、挿入部40の剛性は安定した状態で維持される。目標温度がTMsよりも低い場合、冷却時間は短縮される。
【0050】
記憶部105は、TAsと、TAfと、超弾性合金71の湾曲量に対応するTMs(TMs1,TMs2,TMs3)と、TMfとを記憶する。記憶部105は、超弾性合金71つまり可撓管部45が低剛性状態から高剛性状態に切り替わる際に可撓管部45の湾曲量と超弾性合金71の湾曲量とに対する判定基準値である閾値と、超弾性合金71つまり可撓管部45が高剛性状態から低剛性状態に切り替わる際に可撓管部45の湾曲量と超弾性合金71の湾曲量とに対する判定基準値である閾値とを記憶する。
【0051】
記憶部105は、予め取得された電熱線73aの抵抗値と電熱線73aの温度との関係を記憶する。測定部107は、電熱線73aに流れる電流を検出する図示しない電流検出器と、電熱線73aに印加される電圧値を検出する図示しない電圧検出器とを有する。剛性可変制御部103は、測定部107の電流検出器によって検出された電流値と、測定部107の電圧検出器によって検出された電圧値とに基づいて、電熱線73aの抵抗値を算出する。測定部107は、記憶部105にアクセスし、算出した抵抗値に対応する電熱線73aの温度を算出する。その後、測定部107は、算出した温度を剛性可変制御部103に出力する。電熱線73aは超弾性合金71に密着しているため、電熱線73aの温度は超弾性合金71の温度と同じまたはた近似するとみなせる。このように超弾性合金71の温度は、電熱線73aの温度を介して間接的に測定される。測定部107及び剛性可変制御部103は、この測定に関する動作を常に実施する。
【0052】
なお測定部107は、熱電対またはサーミスタ等の温度センサを有し、超弾性合金71に直接配置され、超弾性合金71の温度を直接測定してもよい。これにより、測定部107は、超弾性合金71の温度を精度よく測定可能となる。測定部107は、超弾性合金71の加熱時間または超弾性合金71の冷却時間を測定してもよい。剛性可変制御部103は、測定部107の測定時間を基に、超弾性合金71の温度を推定及び制御してもよい。例えば超弾性合金71が高剛性状態から低剛性状態に切り替わる必要が生じるまで、剛性可変制御部103は、高剛性状態が維持されるように、超弾性合金71の温度をTMsまたはその近傍に維持する。
【0053】
次に図5に示すフローチャートを用いて挿入システム10の動作を説明する。なおこのフローチャートは、可撓管部45の1つのセグメント(例えば1つの被加熱部位)に対する処理であり、可撓管部45の各セグメントに対しては同様の処理が実施される。
【0054】
最初の状態では、例えば、超弾性合金71と可撓管部45とは、低剛性状態であるとする。この状態で、挿入部40は、被挿入体の管腔に挿入され、管腔の形状に沿って撓む。挿入部40が被挿入体に挿入された際、挿入部40の湾曲量が湾曲状態検出部80によって検出される。湾曲状態検出部80の範囲Fは、超弾性合金71の範囲Aと重複する。したがって、超弾性合金71の湾曲量も挿入部40の湾曲量と同時に湾曲状態検出部80によって検出される(Step1)。
【0055】
剛性可変制御部103は、記憶部105に記憶される閾値と湾曲状態検出部80によって検出された挿入部40の湾曲量とを基に、超弾性合金71の剛性を上げるか否かを判断する(Step2)。この判断は、例えば、管腔内を深部に向かって前進する挿入部40の挿入性等を基に剛性を上げる位置または湾曲量の閾値等を予め決める。剛性可変制御部103が超弾性合金71の剛性を上げる必要がないと判断した際(Step2:No)、挿入システム10の動作はStep1に戻る。
【0056】
剛性可変制御部103が超弾性合金71の剛性を上げることが必要な箇所があると判断した際(Step2:Yes)、剛性可変制御部103は第1電源101の駆動をオンに制御し、剛性可変制御部103は当該箇所に対する電熱線73aによって超弾性合金71を加熱する。したがって、超弾性合金71の温度はTAfに向かって上がっていく(Step3)。
【0057】
超弾性合金71の温度は、測定部107と剛性可変部70とによって電熱線73aの温度を基に測定される(Step4)。剛性可変制御部103は、超弾性合金71の温度がTAfに到達したか否かを、判断する(Step5)。超弾性合金71の温度がTAfに到達していない場合(Step5:No)、挿入システム10の動作はStep3に戻る。
【0058】
超弾性合金71の温度がTAfに到達した場合(Step5:Yes)、超弾性合金71は低剛性状態から高剛性状態に変化し終える。この超弾性合金71の剛性状態の変化にしたがって、可撓管部45も低剛性状態から高剛性状態に変化し終える。
【0059】
Step3乃至Step5は、超弾性合金71を加熱し、加熱によって超弾性合金71を低剛性状態から高剛性状態に変化させ、超弾性合金71によって可撓管部45を低剛性状態から高剛性状態に変化させるStepである。加熱に対する超弾性合金71の応答性は電熱線73aによって良好であるため、超弾性合金71及び可撓管部45は、短時間に低剛性状態から高剛性状態に切り替わる。したがって、例えば挿入部40の所望する部位は、短時間に硬くなる。すると挿入部40が例えば被挿入体の管腔内を深部に向かって前進する際、挿入部40の挿入性が向上する。このようにStep3乃至Step5は、超弾性合金71及び可撓管部45の剛性を高めて、挿入部40の挿入性を向上させるStepでもある。
【0060】
次に、Step1同様に、挿入部40の湾曲量と超弾性合金71の湾曲量とが湾曲状態検出部80によって再度検出される(Step6)。Step6は、Step3乃至Step6の過程において、超弾性合金71の湾曲量が変化していることがあるため、再度、超弾性合金71の湾曲量を検出するStepである。
【0061】
冷却に対する超弾性合金71の剛性の応答性とヒステリシスとによって、超弾性合金71に対する冷却は時間がかかる。ここで冷却時間とは、剛性可変部70(例えば超弾性合金71)の温度がTAfからTMsを介してTMfまでに下がるための時間を示す。超弾性合金71に対する冷却に時間がかかると、超弾性合金71が高剛性状態から低剛性状態に変化する際に時間がかかる。したがって、可撓管部45も高剛性状態から低剛性状態に変化する際に時間がかかる。
【0062】
冷却時間の短縮のために、剛性可変制御部103は、Step5にて超弾性合金71の温度がTAfに到達した後、超弾性合金71の温度を、目標温度(例えばTMs)にまで下げる制御を実施する。目標温度であるTMsは、超弾性合金71の湾曲量に応じて異なる。そこで、剛性可変制御部103は、湾曲状態検出部80によって検出された超弾性合金71の湾曲量と式(1)または式(2)とを基に、目標温度であるTMsを算出する(Step7)。
【0063】
なおStep7の直前のStep6において、超弾性合金71の湾曲量が湾曲状態検出部80によって再度検出されている。したがって、剛性可変制御部103は、最新の超弾性合金71の湾曲量に対応するTMsを算出する。
【0064】
そして、剛性可変制御部103は第1電源101の駆動をオフに制御する。したがって超弾性合金71の温度が目標温度であるTMsに制御される。ここでは、加熱が停止され、自然冷却が実施され、超弾性合金71の温度が目標温度であるTMsに向かって下がっていく(Step8)。超弾性合金71の温度は、測定部107と剛性可変部70とによって電熱線73aの温度を基に測定される(Step9)。
【0065】
剛性可変制御部103は、超弾性合金71の温度が目標温度であるTMsに到達したか否かを、判断する(Step10)。超弾性合金71の温度が目標温度であるTMsに到達していない場合(Step10:No)、挿入システム10の動作はStep6に戻る。
【0066】
超弾性合金71の温度が目標温度であるTMsに到達した場合(Step10:Yes)、超弾性合金71の冷却の準備が整う、つまり超弾性合金71が高剛性状態から低剛性状態に切り替わる準備が整う。Step6乃至Step10は、冷却時間の短縮のために、超弾性合金71の温度をTAfからTMsにまで下げ、超弾性合金71を短時間に高剛性状態から低剛性状態に切り替えるための準備期間である。またStep6乃至Step10は、低剛性状態に切り替えるために超弾性合金71を待機させる待機期間である。高剛性状態における超弾性合金71の剛性は、超弾性合金71の温度がTAfのときあってもTMsのときであっても、同一である。したがって、可撓管部45は高剛性状態を維持し、挿入性は維持されたままである。
【0067】
超弾性合金71の温度が目標温度であるTMsに到達した場合(Step10:Yes)、Step1同様に、挿入部40の湾曲量と超弾性合金71の湾曲量とが湾曲状態検出部80によって再度検出される(Step11)。Step11は、超弾性合金71の湾曲量が変化したか否か、つまりTMsを変更するか否か並びに超弾性合金71を高剛性状態から低剛性状態に切り替えるか否か見極めるために実施される。
【0068】
剛性可変制御部103は、記憶部105に記憶される閾値と湾曲状態検出部80によって検出された挿入部40の湾曲量とを基に、超弾性合金71の剛性を下げるか否かを判断する(Step12)。この判断は、例えば、深部への挿入部40の挿入に伴って剛性を上げるべき部分(セグメント)の変化や、管腔内を深部から後退する挿入部40の抜去性等を基に剛性を下げる位置または湾曲量の閾値等を予め決める。剛性可変制御部103が超弾性合金71の剛性を下げる必要がないと判断した際(Step12:No)、挿入システム10の動作はStep6に戻り、Step8において、超弾性合金71の温度はTMsに制御される。このとき、超弾性合金71は高剛性状態を維持する。
【0069】
剛性可変制御部103が超弾性合金71の剛性を下げる必要があると判断した際(Step12:Yes)、剛性可変制御部103はTMsの維持を終了するために第1電源101の駆動オフに制御する。したがってTMsを維持するための加熱が停止され、自然冷却が実施され、超弾性合金71の温度が目標温度であるTMfに向かって下がっていく(Step13)。このため、超弾性合金71は、高剛性状態から低剛性状態に変化を開始し、高剛性状態から低剛性状態に変化する。超弾性合金71の温度は、測定部107と剛性可変部70とによって電熱線73aの温度を基に測定される(Step14)。
【0070】
剛性可変制御部103は、測定部107の測定結果を基に、超弾性合金71の温度がTMfに到達したか否かを、判断する(Step15)。超弾性合金71の温度がTMfに到達していない場合(Step15:No)、挿入システム10の動作はStep13に戻る。
【0071】
超弾性合金71の温度がTMfに到達した場合(Step15:Yes)、超弾性合金71は冷却されて、超弾性合金71が高剛性状態から低剛性状態に変化し終える。この超弾性合金71の剛性状態の変化にしたがって、可撓管部45も高剛性状態から低剛性状態に変化し終える。
【0072】
Step13乃至Step15は、超弾性合金71を冷却し、冷却によって超弾性合金71を高剛性状態から低剛性状態に変化させ、超弾性合金71によって可撓管部45を高剛性状態から低剛性状態に変化させるStepである。本実施形態では、超弾性合金71及び可撓管部45が高剛性状態から低剛性状態に切り替わる際、超弾性合金71の温度は、TAfからTMsを介してTMfまでに連続して下がるのではない。超弾性合金71の温度は、TAfから超弾性合金71の湾曲量に応じて算出されたTMsに予め下がり、TMsにて待機した後に、TMsからTMfに下がる。このため、超弾性合金71の温度がTMsからTMfに下がる際の冷却に対する超弾性合金71の応答性は、超弾性合金71の温度がTAfからTMsを介してTMfに連続して下がる際の冷却に対する超弾性合金71の応答性よりも良好となる。よって、超弾性合金71及び可撓管部45は、短時間に高剛性状態から低剛性状態に切り替わる。そして、例えば挿入部40の所望する部位(セグメント)は、短時間に柔らかくなる。また例えば挿入部40が例えば被挿入体の管腔内を深部に向かって進み、挿入部40の形状が変化したとする。挿入部40の挿入性を向上するためには、高剛性状態の部位の範囲と低剛性状態の部位の範囲とが管腔の形状(挿入部40の形状)に応じて変化する必要がある。この場合であっても、挿入部40の所定の部位は短時間で低剛性状態に切り換わることができ、挿入部40の挿入性を向上できる。このようにStep13乃至Step15は、超弾性合金71及び可撓管部45の剛性を下げて、挿入部40の挿入性を向上させるStepでもある。
【0073】
そして挿入システム10の動作は、Step1に戻ってもよいし、終了してもよい。
【0074】
なお、例えば、Step10,11において、TMs1で超弾性合金71が待機している際に、挿入部40の湾曲量が変化し、超弾性合金71の湾曲量が変化することが考えられる。例えば、超弾性合金71の湾曲量が第1の湾曲量であり、超弾性合金71の温度がTMs1である状態から、超弾性合金71の湾曲量が第2の湾曲量に変化したとする。この場合、Step6と同様に超弾性合金71の湾曲量が湾曲状態検出部80によって再度検出され、Step7と同様に剛性可変制御部103は検出された超弾性合金71の第2の湾曲量と式(1)または式(2)を基にTMs2を算出する。そして、Step8において、超弾性合金71の温度が目標温度であるTMs2に向かって上がる。その後、Step9以降の動作が実施される。
【0075】
超弾性合金71の湾曲量が第1の湾曲量から第2の湾曲量に変化した際に、目標温度がTMs1のままだと、意図せずに、超弾性合金71の剛性が下がってしまう。したがって、湾曲状態検出部80は超弾性合金71の湾曲量をリアルタイムで検出し、剛性可変制御部103は、検出された超弾性合金71の湾曲量を基に、TMs2をリアルタイムで算出する。
【0076】
このように本実施形態では、湾曲状態検出部80によってリアルタイムで検出された剛性可変部70の湾曲状態を基に、剛性可変部70の温度をTMsに制御する。したがって、本実施形態では、超弾性合金71の湾曲状態に応じてTMsが変化しても、温度をTMsに適切に制御できる。本実施形態では、超弾性合金71及び挿入部40が高剛性状態から低剛性状態に切り替わる際、超弾性合金71の温度は、TAfからTMsを介してTMfまでに連続して下がるのではない。超弾性合金71の温度は、TAfから予め設定されたTMsに下がりTMsにて待機した後に、TMsからTMfに下がる。このため、超弾性合金71の温度がTMsからTMfに下がる際の冷却に対する超弾性合金71の応答性を、超弾性合金71の温度がTAfからTMsを介してTMfに連続して下がる際の冷却に対する超弾性合金71の応答性よりも良好にできる。よって、超弾性合金71及び可撓管部45を、短時間に高剛性状態から低剛性状態に切り替えることができる。そして、例えば挿入部40の所望する部位を、短時間に柔らかくできる。また例えば挿入部40が例えば被挿入体の管腔内を深部に向かって進み、挿入部40の形状が変化したとする。挿入部40の挿入性を向上するためには、高剛性状態の部位の範囲と低剛性状態の部位の範囲とが管腔の形状(挿入部40の形状)に応じて変化する必要がある。この場合であっても、挿入部40の所定の部位は短時間で低剛性状態に切り換わることができ、挿入部40の挿入性を向上できる。すなわち挿入部40の適切な範囲を短時間に低剛性状態及び高剛性状態にでき、挿入部40の挿入性を向上できる。
【0077】
本実施形態では、冷却機構を用いずに、自然冷却を実施する。このとき、超弾性合金71の温度をTAfからTMsに下げているため、冷却時間を短縮できる。また冷却機構120を用いることによる、挿入システム10のコストの増加、挿入装置30及び本体部100における充填率の向上を防止できる。
【0078】
本実施形態では、冷却時間の短縮のために、超弾性合金71の湾曲状態を基にTMsを算出し、超弾性合金71の温度がTAfに到達した後、超弾性合金71の温度を算出したTMsに下げる。したがって、超弾性合金71は、高剛性状態から低剛性状態に切り替わるために待機状態となる。そして、実際に超弾性合金71が高剛性状態から低剛性状態に切り替わる際、冷却によって、超弾性合金71は、短時間に高剛性状態から低剛性状態に切り替わることができる。
【0079】
剛性可変制御部103は、湾曲状態検出部80によって検出された超弾性合金71の湾曲量κと記憶部105に予め記憶される式(1)または式(2)とを基に、目標温度であるTMsを算出する。具体的には、剛性可変制御部103が湾曲状態検出部80から超弾性合金71の湾曲量κを入力された際に、剛性可変制御部103は、記憶部105にアクセスし、超弾性合金71の湾曲量κと式(1)または式(2)とを基に、目標温度であるTMsを算出する。したがって、TMsを短時間に算出でき、超弾性合金71の温度を短時間にTAfからTMsに制御できる。また記憶部105が予め式(1)または式(2)を記憶しているため、演算における剛性可変制御部103の負荷を軽減できる。
【0080】
剛性可変制御部103は、データテーブルを記憶する記憶部105にアクセスして、データテーブルから湾曲量κに対応するTMsを算出してもよい。したがって、TMsを短時間に算出でき、超弾性合金71の温度を短時間にTAfからTMsに制御できる。また記憶部105が予めデータベースを記憶しているため、演算における剛性可変制御部103の負荷を軽減できる。
【0081】
なお湾曲状態検出部80は、ファイバセンサを有することに限定される必要はない。図6に示すように、湾曲状態検出部80は、磁気を発生する1つの磁気発生部93と、磁気発生部93から発生された磁気の強度を検出する複数の磁気検出部95とを有してもよい。磁気発生部93は、例えば、被挿入体の外部に配置される。磁気検出部95は、例えば、少なくとも剛性可変部70が挿入部40の剛性を可変させる部位に配置される。すなわち、磁気検出部95は、超弾性合金71が配置される部位、例えば可撓管部45全体に配置される。磁気検出部95は、例えば、挿入部40の長手軸方向において、互いに対して等間隔に配置される。磁気検出部95は、例えば、コイルの磁気センサである。また、磁気発生部93は、複数のコイルにより互いに異なる磁界を発生させる。磁気検出部95によって検出される磁気の強度は、挿入部40と磁気発生部93との距離に応じて変化する。したがって、演算部89は、磁気発生部93が発生した互いに異なる磁界を磁気検出部95が検出した検出結果である複数の磁気の強度を基に、磁気発生部93に対する磁気検出部95それぞれの位置情報を演算する。そして演算部89は、磁気検出部95それぞれの位置情報を基に、剛性可変部70(例えば超弾性合金71)の湾曲状態を演算する。なお複数の磁気発生部93が挿入部40の内部に配置され、1つの磁気検出部95が被挿入体の外部に配置されてもよい。
【0082】
湾曲状態検出部80は、例えばX線を用いて、湾曲形状を検出してもよい。
【0083】
本実施形態では、表示部20は、湾曲状態検出部80によって検出された挿入部40の湾曲量と超弾性合金71の湾曲量とを表示してもよい。そして、挿入システム10の操作者は、表示部20に表示される湾曲量を確認する。操作者は、表示部20に表示される湾曲量を基にStep2,12において超弾性合金71の剛性を可変させるためにオン指示またはオフ指示を図示しない指示部から剛性可変制御部103介して剛性可変部70に指示してもよい。つまり、剛性可変制御部103は、湾曲状態検出部80によって検出され、表示部20に表示され、操作者に確認された剛性可変部70の湾曲状態を基に、剛性可変部70の温度を制御してもよい。
【0084】
また表示部20は、測定部107によって測定された剛性可変部70の温度を表示してもよい。操作者は、表示部20に表示される剛性可変部70の温度を確認する。そして操作者は、表示部20に表示される剛性可変部70の温度に対応する剛性を超弾性合金71が有するように、Step2,12において超弾性合金71の剛性を可変させる指示を図示しない指示部から剛性可変制御部103に指示してもよい。
【0085】
このように、超弾性合金71の剛性は、マニュアル操作によって可変してもよい。
【0086】
[第2の実施形態]
以下に、図7A図7Bとを参照して、第1の実施形態とは異なることのみを記載する。本実施形態では、冷却は、能動的に実施される。したがって、挿入システム10は、剛性可変部70を冷却可能な冷却機構120を有する。冷却機構120は、冷却部121と、冷却部121に電力を供給する第2電源123とを有する。
【0087】
図7Bに示すように、冷却部121は、剛性可変部70の周辺に配置される。具体的には、冷却部121は、例えば、挿入部40の内部に配置され、超弾性合金71の近傍に配置される。冷却部121は、超弾性合金71を直接冷却する。冷却部121は、図示の明瞭化のために超弾性合金71から離れて配置されているが、実際には超弾性合金71に当接されることが好ましい。冷却部121は、例えば、ペルチェ素子を有する。冷却部121は例えば被加熱部位それぞれ周辺に配置されることが好ましい。
【0088】
第2電源123は、電気線125を介して冷却部121の駆動を制御する。第2電源123は、剛性可変制御部103によって、第2電源123の駆動を制御される。第2電源123は、本体部100に配置される。
【0089】
本実施形態では、図5に示すStep3において、剛性可変制御部103は、第1電源101の駆動をオンに制御し、第2電源123の駆動をオフに制御する。したがって、加熱部73は超弾性合金71を加熱し、冷却部121は超弾性合金71に対する冷却を停止する。このように、剛性可変制御部103は第1電源101と電熱線73aと第2電源123と冷却部121とを介して超弾性合金71の温度をTAfに制御する。
【0090】
剛性可変制御部103は、湾曲状態検出部80によって検出された剛性可変部70の湾曲状態を基に、冷却機構120を制御する。例えば、図5に示すStep8において、剛性可変制御部103は、第1電源101の駆動をオフに制御し、第2電源123の駆動をオンに制御する。したがって、加熱部73は超弾性合金71に対する加熱を停止し、冷却部121は超弾性合金71を冷却する。そして自然冷却ではなく能動的な冷却が実施され、超弾性合金71の温度が目標温度であるTMsに向かって急速に下がる。このように、剛性可変制御部103は第1電源101と電熱線73aと第2電源123と冷却部121とを介して超弾性合金71の温度をTMsに制御する。
ここでStep8の動作は、Step12がNoとなった後の制御として、すでに温度がTMsに到達しておりこの温度を維持する制御や、挿入部40の湾曲量が変化して目標温度が上がり超弾性合金71の温度を上げる制御を含む。温度を維持する場合、剛性可変制御部103は、第1電源101及び第2電源123それぞれの駆動を適切にオンまたはオフに制御し、温度を維持する。温度を上げる場合は、剛性可変制御部103は、第1電源101の駆動をオンに制御し、第2電源123の駆動をオフに制御し、温度を上げる。
【0091】
図5に示すStep13において、剛性可変制御部103は、第1電源101の駆動をオフに制御し、第2電源123の駆動をオンに制御する。したがって、加熱部73は超弾性合金71に対する加熱を停止し、冷却部121は超弾性合金71を冷却する。そして自然冷却ではなく能動的な冷却が実施され、超弾性合金71の温度が目標温度であるTMfに向かって急速に下がる。このように、剛性可変制御部103は第1電源101と電熱線73aと第2電源123と冷却部121とを介して超弾性合金71の温度をTMfに制御する。超弾性合金71の温度がTMfに到達したのち、冷却は終了する。
【0092】
本実施形態では、冷却機構120によって、超弾性合金71の温度をTMs,TMfに精密に制御できる。また冷却機構120によって超弾性合金71を短時間に冷却できるため、超弾性合金71の温度をTAfからTMsに短時間に下げることができる。したがって、超弾性合金71の温度がTAfに到達した後に、超弾性合金71を短時間に待機状態に切り替えることができる。待機状態において、TMsを確実に維持できるため、待機状態であっても超弾性合金71及び可撓管部45を確実に高剛性状態に維持できる。また冷却機構120によって超弾性合金71を短時間に冷却できるため、超弾性合金71の温度をTMsからTMfに短時間に下げることができる。したがって超弾性合金71及び可撓管部45を、短時間に高剛性状態から低剛性状態に切り替えることができる。
【0093】
なお図示はしないが、冷却機構120は、超弾性合金71を能動的に冷却できれば、水冷または空冷によって超弾性合金71を冷却してもよい。冷却機構120は、冷却流体が流れる筒状の流路部と、流路部の内部を流れる冷却流体を循環させる循環部とを有する。流路部は、可撓性を有する。流路部は、剛性可変部70の周辺に配置される。流路部は、例えば、挿入部40を含む挿入装置30の内部に配置される。流路部の外周面には、ヒートシンク等の図示しない放熱部材が配設される。放熱部材は、剛性可変部70から離れた位置、例えば操作部50の内部に配置される。循環部は、挿入装置30の外部に配置され、例えばポンプを有する。冷却流体は、剛性可変部70から発生する熱を吸収し、放熱部材に熱を輸送及び伝導させる。熱は、放熱部材から挿入装置30の外部に排出される。
【0094】
本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示される複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】