特表-18131655IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2018-131655粉体塗料、塗膜付き基材の製造方法、塗装物品および含フッ素重合体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年7月19日
【発行日】2019年11月21日
(54)【発明の名称】粉体塗料、塗膜付き基材の製造方法、塗装物品および含フッ素重合体
(51)【国際特許分類】
   C09D 127/12 20060101AFI20191025BHJP
   C09D 5/03 20060101ALI20191025BHJP
   C09D 133/00 20060101ALI20191025BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20191025BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20191025BHJP
   C08F 214/18 20060101ALI20191025BHJP
   C09D 133/02 20060101ALI20191025BHJP
【FI】
   C09D127/12
   C09D5/03
   C09D133/00
   B05D7/24 301A
   B05D7/24 302L
   B32B27/30 D
   C08F214/18
   C09D133/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
【出願番号】特願2018-561415(P2018-561415)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】特願2017-3520(P2017-3520)
(32)【優先日】2017年1月12日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100121393
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 裕以
(72)【発明者】
【氏名】原 祐二
(72)【発明者】
【氏名】鷲見 直子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J038
4J100
【Fターム(参考)】
4D075CA03
4D075CA04
4D075CA13
4D075CA48
4D075DB02
4D075DB04
4D075DB06
4D075DB07
4D075DB12
4D075DB13
4D075DB21
4D075DB31
4D075DB35
4D075DC01
4D075DC13
4D075EA02
4D075EB16
4D075EB52
4D075EB53
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4D075EC54
4F100AB10A
4F100AK17B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100GB07
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4J038CB172
4J038CG011
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4J038KA03
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4J038NA11
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4J038PB05
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4J038PC08
4J100AC24P
4J100AC25P
4J100AC26P
4J100AC27P
4J100AC28P
4J100AC31P
4J100AE02T
4J100AE04S
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4J100AE10T
4J100AE19T
4J100AG02Q
4J100AG02S
4J100AG04S
4J100AG06Q
4J100AJ01R
4J100AJ02R
4J100AL03Q
4J100AL08Q
4J100AL09T
4J100BC43Q
4J100CA03
4J100CA05
4J100CA06
4J100DA01
4J100DA09
4J100DA25
4J100DA29
4J100JA01
(57)【要約】
本発明の課題は、耐衝撃性、柔軟性および基材密着性に優れ、低温成膜条件であっても表面平滑性に優れた塗膜を形成できる粉体塗料、および含フッ素重合体の提供である。
本発明の粉体塗料は、フルオロオレフィンに基づく単位、式X−Zで表される単量体に基づく単位、および式CHR21=CR22(CHCOOHで表される単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体を含む粉体塗料であって、含フッ素重合体が含む全単位に対する、式X−Zで表される単量体に基づく単位の含有量が5〜20モル%であり、含フッ素重合体の170℃における溶融粘度が20〜100Pa・sである(式中、Xは特定1価重合性基、Zは特定アルキル基、特定シクロアルキル基または特定アリール基、R21およびR22はそれぞれ独立に水素原子または特定アルキル基、nは0〜12の整数である。)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロオレフィンに基づく単位、下式(1)で表される単量体に基づく単位および下式(2)で表される単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体を含む粉体塗料であって、
前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、前記式(2)で表される単量体に基づく単位の含有量が5〜20モル%であり、
前記含フッ素重合体の170℃における溶融粘度が20〜100Pa・sであることを特徴とする粉体塗料。
式(1) X−Z
式(2) CHR21=CR22(CHCOOH
式中の記号は、以下の意味を示す。
Xは、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
Zは、式−C(Zで表される炭素数4〜8のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基である。ただし、3個のZはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、3個のZが有する炭素原子の総数は3〜7の整数である。
21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
nは、0〜12の整数である。
【請求項2】
前記含フッ素重合体のガラス転移温度が45〜120℃である、請求項1に記載の粉体塗料。
【請求項3】
前記含フッ素重合体の重量平均分子量が15000〜75000である、請求項1または2に記載の粉体塗料。
【請求項4】
前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、前記フルオロオレフィンに基づく単位の含有量が20〜60モル%であり、前記式(1)で表される単量体に基づく単位の含有量が5〜60モル%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体塗料。
【請求項5】
前記含フッ素重合体が、さらに下式(3)で表される単量体に基づく単位を含み、前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、該単位の含有量が0モル%超40モル%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体塗料。
式(3) X−Z
式中の記号は、以下の意味を示す。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
は、炭素数1〜3のアルキル基である。
【請求項6】
前記含フッ素重合体が、下式(4)で表される単量体に基づく単位を含まないか、または該単位を含み、該単位を含む場合には、前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、該単位の含有量が5モル%未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉体塗料。
式(4) X−Q−OH
式中の記号は、以下の意味を示す。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
は、炭素数2〜20の、環構造を含んでもよいアルキレン基である。
【請求項7】
前記含フッ素重合体が、下式(5)で表される単量体に基づく単位を含まないか、または該単位を含み、該単位を含む場合には、前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、該単位の含有量が8モル%未満である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉体塗料。
式(5) X−Z
式中の記号は、以下の意味を示す。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
は、式−C(Zで表される炭素数4〜8のアルキル基を除く、炭素数4以上のアルキル基である。
3個のZはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、3個のZが有する炭素原子の総数は3〜7の整数である。
【請求項8】
さらに、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基またはβ−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する化合物からなる硬化剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の粉体塗料。
【請求項9】
前記硬化剤の含有量が、含フッ素重合体に対して、1〜50質量%である、請求項8に記載の粉体塗料。
【請求項10】
粉体塗料を構成する粒子が、前記含フッ素重合体と前記硬化剤とを含む粒子である、請求項8または9に記載の粉体塗料。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の粉体塗料を基材上に付与して粉体塗料層を形成し、該粉体塗料層を加熱処理して基材上に塗膜を形成することを特徴とする塗膜付き基材の製造方法。
【請求項12】
基材と、請求項1〜10のいずれか1項に記載の粉体塗料により前記基材上に形成された塗膜とを有することを特徴とする塗装物品。
【請求項13】
フルオロオレフィンに基づく単位、下式(1)で表される単量体に基づく単位および下式(2)で表される単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体であって、
前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、前記式(2)で表される単量体に基づく単位の含有量が5〜20モル%であり、
前記含フッ素重合体の重量平均分子量が15000〜75000であることを特徴とする含フッ素重合体。
式(1) X−Z
式(2) CHR21=CR22(CHCOOH
式中の記号は、以下の意味を示す。
Xは、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
Zは、式−C(Zで表される炭素数4〜8のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基である。ただし、3個のZはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、3個のZが有する炭素原子の総数は3〜7の整数である。
21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
nは、0〜12の整数である。
【請求項14】
フルオロオレフィンに基づく単位、下式(1)で表される単量体に基づく単位および下式(2)で表される単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体であって、
前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、前記式(2)で表される単量体に基づく単位の含有量が5〜20モル%であり、
前記含フッ素重合体の170℃における溶融粘度が20〜100Pa・sであることを特徴とする含フッ素重合体。
式(1) X−Z
式(2) CHR21=CR22(CHCOOH
式中の記号は、以下の意味を示す。
Xは、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
Zは、式−C(Zで表される炭素数4〜8のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基である。ただし、3個のZはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、3個のZが有する炭素原子の総数は3〜7の整数である。
21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
nは、0〜12の整数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体塗料、塗膜付き基材の製造方法、塗装物品および含フッ素重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗料領域において、環境負荷の観点から、有機溶剤等の揮発性有機化合物(VOC)の大気中への排出抑制が求められている。
そのため、脱VOCの観点から、有機溶剤を含まない粉体塗料が注目されている。粉体塗料は、塗装時の排気処理、廃水処理が不要で、回収再利用も可能なため、環境負荷が低い。
特許文献1には、カルボキシ基を有する含フッ素重合体を塗料用重合体として、β−ヒドロキシアルキルアミド基を有する化合物を硬化剤として含む粉体塗料が記載されている。該粉体塗料は、低温硬化性に優れ、ヤニおよび塗膜欠陥の発生の少ない塗膜を形成すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−96377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、含フッ素重合体を含む粉体塗料に求められる物性はさらに向上しており、耐衝撃性、柔軟性および基材密着性を具備した塗膜を基材上に形成できる粉体塗料が求められている。また、基材に塗装した粉体塗料を加熱処理により溶融させて塗膜にする際、基材のダメージ低減、作業効率等の観点から、加熱処理の温度は低い方が好ましい。
本発明者らは、特許文献1に記載の粉体塗料は、低温での塗膜形成能に優れる反面、その塗膜の耐衝撃性、柔軟性および基材密着性は、未だ充分ではないことを知見した。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、耐衝撃性、柔軟性および基材密着性に優れ、低温での塗膜形成においても表面平滑性に優れた塗膜を形成できる粉体塗料の提供を目的とする。また、本発明は、含フッ素重合体、塗膜付き基材の製造方法、および塗装物品の提供も目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、粉体塗料の物性に寄与する特定単量体に基づく単位を所定量含み、かつ、溶融粘度が所定範囲内にある含フッ素重合体を用いれば、所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]フルオロオレフィンに基づく単位、下式(1)で表される単量体に基づく単位および下式(2)で表される単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体を含む粉体塗料であって、前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、前記式(2)で表される単量体に基づく単位の含有量が5〜20モル%であり、前記含フッ素重合体の170℃における溶融粘度が20〜100Pa・sであることを特徴とする粉体塗料。
式(1) X−Z
式(2) CHR21=CR22(CHCOOH
式中の記号は、以下の意味を示す。
Xは、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
Zは、式−C(Zで表される炭素数4〜8のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基である。ただし、3個のZはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、3個のZが有する炭素原子の総数は3〜7の整数である。
21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
nは、0〜12の整数である。
【0008】
[2]前記含フッ素重合体のガラス転移温度が45〜120℃である、[1]の粉体塗料。
[3]前記含フッ素重合体の重量平均分子量が15000〜75000である、[1]または[2]の粉体塗料。
[4]前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、前記フルオロオレフィンに基づく単位の含有量が20〜60モル%であり、前記式(1)で表される単量体に基づく単位の含有量が5〜60モル%である、[1]〜[3]のいずれかの粉体塗料。
[5]前記含フッ素重合体が、さらに下式(3)で表される単量体に基づく単位を含み、前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、該単位の含有量が0モル%超40モル%以下である、[1]〜[4]のいずれかの粉体塗料。
式(3) X−Z
式中の記号は、以下の意味を示す。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
は、炭素数1〜3のアルキル基である。
【0009】
[6]前記含フッ素重合体が、下式(4)で表される単量体に基づく単位を含まないか、または該単位を含み、該単位を含む場合には、前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、該単位の含有量が5モル%未満である、[1]〜[5]のいずれかの粉体塗料。
式(4) X−Q−OH
式中の記号は、以下の意味を示す。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
は、炭素数2〜20の、環構造を含んでもよいアルキレン基である。
[7]前記含フッ素重合体が、下式(5)で表される単量体に基づく単位を含まないか、または該単位を含み、該単位を含む場合には、前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、該単位の含有量が8モル%未満である、[1]〜[6]のいずれかの粉体塗料。
式(5) X−Z
式中の記号は、以下の意味を示す。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
は、式−C(Zで表される炭素数4〜8のアルキル基を除く、炭素数4以上のアルキル基である。
3個のZはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、3個のZが有する炭素原子の総数は3〜7の整数である。
【0010】
[8]さらに、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基またはβ−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する化合物からなる硬化剤を含む、[1]〜[7]のいずれかの粉体塗料。
[9]前記硬化剤の含有量が、含フッ素重合体に対して、1〜50質量%である、[8]の粉体塗料。
[10]粉体塗料を構成する粒子が、前記含フッ素重合体と前記硬化剤とを含む粒子である、[8]または[9]の粉体塗料。
[11]前記[1]〜[10]のいずれかの粉体塗料を基材上に付与して粉体塗料層を形成し、該粉体塗料層を加熱処理して基材上に塗膜を形成することを特徴とする塗膜付き基材の製造方法。
[12]基材と、[1]〜[10]のいずれかの粉体塗料により前記基材上に形成された塗膜とを有することを特徴とする塗装物品。
【0011】
[13]フルオロオレフィンに基づく単位、下式(1)で表される単量体に基づく単位および下式(2)で表される単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体であって、前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、前記式(2)で表される単量体に基づく単位の含有量が5〜20モル%であり、前記含フッ素重合体の重量平均分子量が15000〜75000であることを特徴とする含フッ素重合体。
式(1) X−Z
式(2) CHR21=CR22(CHCOOH
式中の記号は、以下の意味を示す。
Xは、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
Zは、式−C(Zで表される炭素数4〜8のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基である。ただし、3個のZはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、3個のZが有する炭素原子の総数は3〜7の整数である。
21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
nは、0〜12の整数である。
【0012】
[14]フルオロオレフィンに基づく単位、下式(1)で表される単量体に基づく単位および下式(2)で表される単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体であって、前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、前記式(2)で表される単量体に基づく単位の含有量が5〜20モル%であり、前記含フッ素重合体の170℃における溶融粘度が20〜100Pa・sであることを特徴とする含フッ素重合体。
式(1) X−Z
式(2) CHR21=CR22(CHCOOH
式中の記号は、以下の意味を示す。
Xは、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
Zは、式−C(Zで表される炭素数4〜8のアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基である。ただし、3個のZはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、3個のZが有する炭素原子の総数は3〜7の整数である。
21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
nは、0〜12の整数である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐衝撃性、柔軟性および基材密着性に優れ、低温での塗膜形成においても表面平滑性に優れた塗膜を形成できる粉体塗料、および含フッ素重合体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明における用語の意味は以下の通りである。
「単位」とは、単量体が重合して直接形成された、上記単量体1分子に由来する原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。
重合体が含む全単位に対する、それぞれの単位の含有量(モル%)は、重合体を核磁気共鳴スペクトル(NMR)法により分析して求められる。
「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」および「メタクリレート」の総称であり、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」の総称である。
「ガラス転移温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定される中間点ガラス転移温度である。「ガラス転移温度」は、「Tg」ともいう。
「溶融粘度」とは、回転式レオメータを用いて、昇温速度:10℃/分の条件にて130℃から200℃まで昇温測定する際の、試料の170℃における溶融粘度の値を意味する。
「重量平均分子量」は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定される値である。「重量平均分子量」は、「Mw」ともいう。
「酸価」と「水酸基価」は、それぞれ、JIS K 0070−3(1992)の方法に準じて測定される値である。
粉体を構成する粒子の平均粒子径は、レーザー回折法を測定原理とした公知の粒度分布測定装置(Sympatec社製、商品名「Helos−Rodos」等。)を用いて測定される粒度分布より体積平均を算出して求められる値である。なお、以下、粉体塗料を構成する粒子を「塗料粒子」ともいう。
【0015】
本発明の粉体塗料は、フルオロオレフィンに基づく単位(以下、「単位F」ともいう。)、後述する式(1)で表される単量体(以下、「単量体A」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位A」ともいう。)および後述する式(2)で表される単量体(以下、「単量体B」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位B」ともいう。)を含む含フッ素重合体を含む粉体塗料である。また、本発明の粉体塗料において、含フッ素重合体が含む全単位に対する単位Bの含有量は、5〜20モル%である。また、含フッ素重合体の170℃における溶融粘度は、20〜100Pa・sである。
【0016】
本発明の粉体塗料を加熱して形成される塗膜(以下、「本塗膜」ともいう。)は、耐衝撃性と柔軟性に優れる。この理由は、含フッ素重合体中に所定量以上含まれる単位Bが有するカルボキシ基による架橋点の増加と、含フッ素重合体が所定値の溶融粘度であることによる。つまり、本塗膜の形成において、含フッ素重合体を含む塗料粒子は、密にパッキングした状態で高度に均一に架橋するため、耐衝撃性と柔軟性に優れた塗膜を形成すると考えられる。
また、本塗膜は基材密着性に優れる。この理由は、含フッ素重合体に、基材密着性を向上させる極性基であるカルボキシ基を有する単位Bが所定量以上含まれるためと推測される。
また、本発明の粉体塗料によれば、低温成膜条件(170℃程度の加熱処理により塗膜を形成する条件。以下同様。)であっても、表面平滑性に優れた塗膜を形成できる。この理由は、含フッ素重合体の170℃における溶融粘度が所定値以下であり、含フッ素重合体の流動性が良好になるためと推測される。
【0017】
一方、特許文献1に具体的に開示される含フッ素重合体における、カルボキシ基を有する単量体に基づく単位の含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して5モル%未満に過ぎず、この場合には本塗膜のような塗膜が得られないことを、本発明者らは知見している(後述の比較例1参照)。
このように、カルボキシ基を有する従来の含フッ素重合体は、カルボキシ基を有する単量体に基づく単位の含有量が低く、その粉体塗料は本塗膜のような塗膜を形成できなかった。
本発明者らは、含フッ素重合体が含む単位の種類および含有量を組み合せ、かつ、含フッ素重合体の溶融粘度を調製すれば、その粉体塗料の塗膜が、耐衝撃性、柔軟性、基材密着性および低温成膜性に優れるという効果を知見したのである(後述の実施例参照)。なお、この効果は、本発明の好適な範囲において、特に顕著に発現する。
【0018】
本発明におけるフルオロオレフィンは、水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されたオレフィンである。フルオロオレフィンは、フッ素原子で置換されていない水素原子の1個以上が塩素原子で置換されていてもよい。
フルオロオレフィンとしては、CF=CF、CF=CFCl、CF=CHF、CH=CF、CF=CFCF、CF=CHCF等が挙げられる。本塗膜の耐候性がより優れる観点から、フルオロオレフィンとしては、CF=CFおよびCF=CFClが好ましく、他の単量体(特に単量体B)との交互重合性と重合率の観点から、CF=CFClが特に好ましい。
フルオロオレフィンは、2種以上を併用してもよい。
本発明における単位Fの含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、耐候性がより優れる観点から、20〜60モル%であることが好ましく、30〜50モル%であることがより好ましく、35〜45モル%であることが特に好ましい。
【0019】
本発明における単量体Aは、下式(1)で表される単量体であり、含フッ素重合体のTgの上昇に主として寄与し、本発明の粉体塗料における耐ブロッキング性を向上させる単位を形成する単量体である。
式(1) X−Z
式中の記号は、以下の意味を示す。
Xは、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。本塗膜の耐候性の観点から、Xとしては、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−およびCH=CHCHO−が好ましく、CH=CHOC(O)−がより好ましい。XがCH=CHO−またはCH=CHOC(O)−である単量体A、特にXがCH=CHOC(O)−である単量体Aは、他の単量体(特に単量体B)との交互重合性と重合率に優れ、含フッ素重合体における単位Bを均一に存在させる効果が高い。その結果、耐衝撃性と柔軟性により優れた塗膜を形成する粉体塗料を調製しやすい。
【0020】
Zは、式−C(Zで表される炭素数4〜8のアルキル基(ただし、3個のZはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、3個のZが有する炭素原子の総数は3〜7の整数である。)、炭素数6〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数7〜12のアラルキル基である。本塗膜の耐候性の観点から、Zとしては、式−C(Zで表される炭素数4〜8のアルキル基および炭素数6〜10のシクロアルキル基が好ましい。
【0021】
式−C(Zで表される基は、この式で明示された「C(炭素原子)」に3個の式Zで表される基が結合した3級炭素原子を有する構造を有しており、該基が式Xで表される基に直接結合した構造を有している。3個のZは、3個ともにメチル基であるか、1個がメチル基であり、残りの2個がそれぞれ独立に炭素数2〜5のアルキル基であるのが好ましい。該基の残りの2個の炭素原子の総数は、6であるのが好ましい。
炭素数6〜10のシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基が好ましい。
炭素数6〜10のシクロアルキルアルキル基としては、シクロヘキシルメチル基が好ましい。
炭素数7〜12のアラルキル基としては、ベンジル基が好ましい。
炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基およびナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
なお、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基およびアラルキル基の水素原子は、アルキル基で置換されていてもよい。この場合、置換基としてのアルキル基の炭素数は、シクロアルキル基およびアリール基の炭素数には含めない。
また、単量体Aは、2種以上を併用してもよい。
【0022】
単量体Aの具体例としては、ピバル酸ビニルエステル、ネオノナン酸ビニルエステル(HEXION社製、商品名「ベオバ9」。)、安息香酸ビニルエステル、tert−ブチル安息香酸ビニルエステル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。他の単量体(特に単量体B)との交互重合性と重合率の観点から、単量体Aとしては、ピバル酸ビニルエステルおよびネオノナン酸ビニルエステルが好ましい。
本発明における単位Aの含有量は、含フッ素重合体のTgを粉体塗料に適した範囲に設定できる観点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、5〜60モル%であることが好ましく、10〜55モル%であることがより好ましく、30〜50モル%であることが特に好ましい。
【0023】
本発明における単量体Bは、下式(2)で表される単量体であり、含フッ素重合体の耐衝撃性および基材密着性に主として寄与する単位を形成する単量体である。
式(2) CHR21=CR22(CHCOOH
式中の記号は、以下の意味を示す。
21は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、水素原子であるかまたはメチル基であることが好ましい。
22は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、水素原子であることが好ましい。
nは、0〜12の整数であり、0であるかまたは6〜12の整数であることが好ましい。
【0024】
単量体Bとしては、含フッ素重合体の溶融粘度と、含フッ素重合体における単位Bの含有量とを好適に調整できる観点から、R21およびR22が水素原子でありnが6〜12である下式(21)で表される単量体(以下、「単量体B1」ともいう。)、およびR21が炭素数1〜3のアルキル基でありR22が水素原子でありnが0である下式(22)で表される単量体(以下、「単量体B2」ともいう。)が好ましい。
式(21) CH=CH(CHn1COOH
式(22) CHR211=CHCOOH
式中の記号は、以下の意味を示す。
211は、炭素数1〜3のアルキル基であり、メチル基であることが好ましい。
n1は、6〜12の整数であり、8〜12の整数であることが好ましい。
【0025】
単量体B1は、カルボキシ基がポリメチレン基を介して重合性基(CH=CH−)に結合した構造を有することより、単量体B1に基づく単位を含む含フッ素重合体は、分子内のカルボキシ基間の水素結合を形成しにくく、含フッ素重合体の溶融粘度を制御しやすい。
単量体B2は、カルボキシ基が重合性基(式CHR211=CH−で表される基)に直接結合した構造を有することより、含フッ素重合体のTgを上昇させやすい。また、単量体B2は、分子量が小さく、その使用質量に対して効率的にカルボキシ基を含フッ素重合体に導入しやすい。
【0026】
単量体Bの具体例としては、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、2−ヘキセン酸、3−ヘキセン酸、5−ヘキセン酸、3−ヘプテン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデシレン酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸が挙げられる。単量体Bとしては、10−ウンデシレン酸およびクロトン酸が好ましい。
また、単量体Bとしては、2種以上を併用してもよい。含フッ素重合体の溶融粘度およびTgを制御する観点から、単量体Bとして、単量体B1のみを使用するか、単量体B1と単量体B2とを併用することが好ましく、併用する場合には、単量体B1に対して単量体B2の0.5〜3.0倍モルを併用することが好ましく、1.0〜2.0倍モルを併用することがより好ましい。
【0027】
また、単量体Bは、式CHR21=CR22−で表される重合性基と、1個のカルボキシ基を有する単量体である。単量体Bは、マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸、またはα,β−不飽和ジカルボン酸のモノエステルに比較して、立体的障害が緩和されており、フルオロオレフィンおよび単量体Aとの交互重合性が高いだけでなく、重合時の位置規則性も高い。その結果、含フッ素重合体に、所定量以上の単位Bが含まれる場合、カルボキシ基が均一に存在するため、本塗膜の耐衝撃性、柔軟性および基材密着性が優れていると考えられる。
本発明における単位Bの含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、5〜20モル%であり、5〜15モル%であることが好ましく、7〜15モル%であることがより好ましく、8〜12モル%であることが特に好ましい。単位Bの含有量が5モル%未満である場合には、得られる塗膜の柔軟性、耐衝撃性および基材密着性が低下する。また、単位Bの含有量が20モル%超である場合には、粉体塗料の耐ブロッキング性と、得られる塗膜の柔軟性とが低下する。
【0028】
本発明の含フッ素重合体は、含フッ素重合体のTgを粉体塗料に適した範囲に設定できる観点から、下式(3)で表される単量体(以下、「単量体C」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位C」ともいう。)を含んでもよい。この場合、含フッ素重合体が含む全単位に対する単位Cの含有量は、0モル%超40モル%以下であることが好ましく、含フッ素重合体の溶融粘度を調整する観点から、0モル%超35モル%以下であることがより好ましく、0モル%超30モル%以下であることが特に好ましい。
式(3) X−Z
式中の記号は、以下の意味を示す。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。本塗膜の耐候性の観点から、Xとしては、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−およびCH=CHCHO−が好ましく、CH=CHOC(O)−がより好ましい。XがCH=CHO−またはCH=CHCHO−である単量体C、特にXがCH=CHOC(O)−である単量体Cは、他の単量体(特に単量体B)との交互重合性と重合率に優れ、含フッ素重合体における単位Bを均一に存在させる効果が高い。その結果、耐衝撃性と柔軟性により優れた塗膜を形成する粉体塗料を調製しやすい。
【0029】
は、炭素数1〜3のアルキル基であり、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
また、単量体Cは、2種以上を併用してもよい。
単量体Cの具体例としては、エチルビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルが挙げられる。他の単量体(特に単量体B)との交互重合性と重合率の観点から、酢酸ビニルが好ましい。
【0030】
本発明における含フッ素重合体は、耐ブロッキング性に優れた粉体塗料を得る観点、および、含フッ素重合体を粉体化する際に単位Bとの相互作用によるゲル化を防ぐ観点から、下式(4)で表される単量体(以下、「単量体D」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位D」ともいう。)を含まないか、または、含む場合であっても、単位Dの含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、5モル%未満であることが好ましく、3モル%未満であることがより好ましい。
【0031】
式(4) X−Q−OH
式中の記号は、以下の意味を示す。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
は、炭素数2〜20のアルキレン基である。Qが表すアルキレン基は、環構造を含んでいてもよい。
単量体Dの具体例としては、ヒドロキシアルキルビニルエーテル(2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等)、ヒドロキシアルキルアリルエーテル(ヒドロキシエチルアリルエーテル等)、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル((メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等)が挙げられる。
【0032】
本発明における含フッ素重合体は、含フッ素重合体のTgを保持し、本発明の粉体塗料における耐ブロッキング性を保持する観点から、下式(5)で表される単量体(以下、「単量体E」ともいう。)に基づく単位(以下、「単位E」ともいう。)を含まないか、または、含む場合であっても、単位Eの含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、8モル%未満であることが好ましい。
式(5) X−Z
式中の記号は、以下の意味を示す。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−である。
は、式−C(Zで表される炭素数4〜8のアルキル基を除く、炭素数4以上のアルキル基である。3個のZはそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、3個のZが有する炭素原子の総数は3〜7の整数である。
単量体Eの具体例としては、ノニルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、ネオデカン酸ビニルエステル(HEXION社製、商品名「ベオバ10」等)が挙げられる。
【0033】
本発明における含フッ素重合体は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、単位Fの含有量、単位Aの含有量および単位Bの含有量が、この順に、20〜60モル%、5〜60モル%および5〜20モル%であることが好ましく、30〜50モル%、10〜55モル%および5〜15モル%であることがより好ましい。
【0034】
本発明における含フッ素重合体の酸価は、20〜100mgKOH/gであることが好ましく、30〜60mgKOH/gであることがより好ましい。酸価が20mgKOH/g以上であれば、含フッ素重合体の架橋密度がより増大するため、本塗膜の、柔軟性、耐衝撃性および基材密着性がより優れる。酸価が100mgKOH/g以下であれば、含フッ素重合体の熱安定性、粉体塗料の耐ブロッキング性および本塗膜の柔軟性がより向上する。
本発明における含フッ素重合体におけるTgは、粉体塗料の耐ブロッキング性が向上する観点から、35〜150℃であることが好ましく、45〜120℃であることがより好ましく、50〜100℃であることがさらに好ましく、50〜80℃であることが特に好ましい。
【0035】
本発明における含フッ素重合体の170℃における溶融粘度(以下、「溶融粘度」ともいう)は、20〜100Pa・sであり、20〜95Pa・sであることが好ましく、20〜50Pa・sであることがより好ましい。溶融粘度が20Pa・s以上であると、得られる塗膜の耐衝撃性と耐溶剤性に優れる。溶融粘度が100Pa・s以下であると、低温成膜条件において得られる塗膜の表面平滑性と柔軟性に優れる。
【0036】
溶融粘度は、含フッ素重合体のMwおよび含フッ素重合体が含む単位の種類と含有量を制御して、上記範囲内に設定するのが好ましい。溶融粘度は、特に、含フッ素重合体が含む単位の種類と含有量を制御して調節し得るが、含フッ素重合体が含む単位の種類と含有量は、同時に含フッ素重合体のTgにも影響し得る。したがって、含フッ素重合体が含む単位の種類と含有量を本発明のように調節すれば、溶融粘度およびTgがともに好適である含フッ素重合体を得ることができる。
本発明における含フッ素重合体のMwは、15000〜75000であることが好ましく、20000〜70000であることがより好ましく、25000〜60000であることが特に好ましい。含フッ素重合体のMwが15000以上であれば、本塗膜の、耐衝撃性および耐溶剤性がより優れる。含フッ素重合体のMwが75000以下であれば、低温成膜条件における本塗膜の、耐衝撃性、表面平滑性および柔軟性を具備できる。
含フッ素重合体のMwは、含フッ素重合体の製造方法として溶液重合法を採用したり、重合溶媒を適切に選定したりして、上記範囲内に設定できる。
【0037】
本発明における含フッ素重合体の製造方法は、溶媒とラジカル重合開始剤の存在下、単量体(フルオロオレフィン、単量体Aおよび単量体B)を共重合させる方法が挙げられる。なお、さらに単量体C、単量体D、および単量体Eを共重合させてもよいが、上述した理由により単量体Dおよび単量体Eは共重合させないことが好ましい。
含フッ素重合体の製造方法における好適な重合法としては、溶液重合法が挙げられる。溶液重合法を用いれば、懸濁重合法および乳化重合法と比較して、含フッ素重合体のMwおよび単位Bの含有量を所定の範囲に制御しやすい。
溶媒は、アルコール(エタノール、ブチルアルコール、プロパノール、ブタノール等)が好ましい。アルコールは、キシレン等の非極性溶剤と比較して、単量体Bの溶解性に優れる。そのため、重合溶媒としてアルコールを用いれば、単位Bを含フッ素重合体中に適量に導入しやすい。
【0038】
ラジカル重合開始剤の具体例としては、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシカーボネートエステル、ジアシルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド等が挙げられる。
重合における反応温度は通常0〜130℃であり、反応圧力は通常0〜1.0MPaであり、反応時間は通常1〜50時間である。
【0039】
本発明の粉体塗料は、含フッ素重合体のみからなる粉体塗料であってもよいが、好ましくは、硬化剤、硬化触媒、顔料等の含フッ素重合体以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)の少なくとも1種を含む。他の成分を含む本発明の粉体塗料において、粉体塗料を構成する粒子(すなわち、塗料粒子)は、含フッ素重合体と他の成分とを含む粒子であることが好ましい。また、他の成分(たとえば、後述の他の樹脂や粒子状の顔料等)は、第2の塗料粒子として本発明の粉体塗料に含ませることもできる。この第2の塗料粒子もまた複数の他の成分を含む粒子であってもよい。
本発明の粉体塗料における塗料粒子としては、含フッ素重合体と他の成分(特に、硬化剤)とを含む粒子であることが好ましい。
【0040】
本発明の粉体塗料を構成する塗料粒子の平均粒子径は、1〜100μmであることが好ましく、25〜50μmであることがより好ましい。
平均粒子径が1μm以上であれば、粉体塗料の凝集性が低くなり、粉体塗装の際に均一に塗装しやすい。また、平均粒子径が100μm以下であれば、塗膜の表面平滑性がより良好になり、塗膜の外観がよい。
【0041】
本発明の粉体塗料は、さらに、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、またはβ−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する化合物からなる硬化剤を含むのが好ましい。本発明の含フッ素重合体は、単位Bに基づくカルボキシ基を有するため、カルボキシ基と反応しうる硬化剤を本発明の粉体塗料が含めば、本塗膜の、耐候性、耐酸性、隠蔽性等の物性がより向上する。
本発明の粉体塗料が硬化剤を含む場合の含有量は、粉体塗料中の含フッ素重合体に対して、1〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
【0042】
エポキシ基を1分子中に2以上有する化合物としては、ビスフェノール型エポキシ化合物(A型、F型、S型等)、ジフェニルエーテル型エポキシ化合物、ハイドロキノン型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ化合物、ポリプロピレングリコール型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、グリオキザール型エポキシ化合物、脂環型エポキシ化合物、脂環式多官能エポキシ化合物、複素環型エポキシ化合物(トリグリシジルイソシアヌレート(以下、「TGIC」ともいう。)等)が挙げられる。具体的には、TGICのグリシジル基部分にメチレン基を導入した「TM239」(日産化学工業社製)、トリアジン骨格を有するエポキシ化合物である「TEPIC−SP」(日産化学工業社製)、トリメリット酸グリシジルエステルとテレフタル酸グリシジルエステルの混合物である「PT−910」(HUNTSMAN社製)等が挙げられる。
【0043】
カルボジイミド基を1分子中に2以上有する化合物としては、脂環族カルボジイミド、脂肪族カルボジイミド、芳香族カルボジイミド、ならびにこれらの多量体および変性体が挙げられる。具体的には、ジカルボジイミド(N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等)、ポリカルボジイミド(ポリ(1,6−ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフタレンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(1,5−ジイソプロピルベンゼン)ポリカルボジイミド、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等)等が挙げられる。
【0044】
オキサゾリン基を1分子中に2以上有する化合物としては、2−オキサゾリン基を有する付加重合性オキサゾリン、該付加重合性オキサゾリンの重合体が挙げられる。具体的には、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−メチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−トリメチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレン−ビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレン−ビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド、オキサゾリン環含有重合体等が挙げられる。市販品の具体例としては、日本触媒社製のエポクロス WS−500、WS−700、K−2010、K−2020、K−2030(以上、全て商品名)が挙げられる。
【0045】
β−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する化合物の具体例としては、N,N,N’,N’−テトラキス−(2−ヒドロキシエチル)−アジパミド(PrimidXL−552、EMS社製)、N,N,N’,N’−テトラキス−(2−ヒドロキシプロピル)−アジパミド(Primid QM 1260、EMS社製)が挙げられる。
【0046】
本発明の粉体塗料は、硬化触媒を含んでもよい。
硬化触媒は、硬化剤を用いた際の硬化反応を促進する化合物であり、硬化剤の種類に応じて、公知の硬化触媒から選択できる。本発明の粉体塗料が硬化触媒を含む場合の含有量は、粉体塗料が含む硬化剤の全質量に対して、0.00001〜10質量%が好ましい。
【0047】
本発明の粉体塗料は、本発明における含フッ素重合体以外の含フッ素重合体を含んでもよく、フッ素原子を含まない樹脂(以下、「他の樹脂」ともいう。)を含んでもよい。本発明の粉体塗料が他の樹脂を含む場合、本塗膜において、基材上に、他の樹脂を主とする層と、含フッ素重合体を主とする層とが、この順に積層した塗膜が得られやすい観点から、含フッ素重合体のSP値と、他の樹脂のSP値との差は、絶対値で0.4〜16(J/cm1/2であることが好ましい。
本発明の粉体塗料が他の樹脂を含む場合、本発明の粉体塗料中の含フッ素重合体と他の樹脂との質量比(含フッ素重合体の質量/他の樹脂の質量)は、0.3〜3.5であることが好ましく、0.35〜3であることがより好ましい。
【0048】
他の樹脂は、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、エポキシポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、変性ポリエステル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。他の樹脂としては、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂およびエポキシ樹脂が好ましく、塗膜の基材密着性の観点と、他の樹脂を主とする層に含フッ素重合体が混入しにくい観点から、ポリエステル樹脂および(メタ)アクリル樹脂が特に好ましい。
【0049】
ポリエステル樹脂の具体例としては、ダイセル・オルネクス社製の「CRYLCOAT(登録商標) 4642−3」、「CRYLCOAT(登録商標) 4890−0」、「CRYLCOAT(登録商標) 4842−3」、日本ユピカ社製の「ユピカコート(登録商標) GV−250」、「ユピカコート(登録商標) GV−740」、「ユピカコート(登録商標) GV−175」、DSM社製の「Uralac(登録商標) 1680」等が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂の具体例としては、DIC社製の「ファインディック(登録商標) A−249」、「ファインディック(登録商標) A−251」、「ファインディック(登録商標) A−266」、三井化学社製の「アルマテックス(登録商標) PD6200」、「アルマテックス(登録商標) PD7310」、三洋化成工業社製の「サンペックス PA−55」等が挙げられる。
エポキシ樹脂の具体例としては、三菱化学社製の「エピコート(登録商標) 1001」、「エピコート(登録商標) 1002」、「エピコート(登録商標) 4004P」、DIC社製の「エピクロン(登録商標) 1050」、「エピクロン(登録商標) 3050」、新日鉄住金化学社製の「エポトート(登録商標) YD−012」、「エポトート(登録商標) YD−014」、ナガセケムテックス社製の「デナコール(登録商標) EX−711」、ダイセル社製の「EHPE3150」等が挙げられる。
【0050】
本発明の粉体塗料は、防錆顔料、体質顔料、着色顔料等の顔料を含んでもよい。
防錆顔料の具体例としては、シアナミド亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸カルシウムマグネシウム、モリブデン酸亜鉛、ホウ酸バリウム、シアナミド亜鉛カルシウム等が挙げられる。
体質顔料の具体例としては、タルク、硫酸バリウム、マイカ、炭酸カルシウムが挙げられる。
【0051】
着色顔料の具体例としては、キナクリドン、ジケトピロロピロール、イソインドリノン、インダンスロン、ペリレン、ペリノン、アントラキノン、ジオキサジン、ベンゾイミダゾロン、トリフェニルメタンキノフタロン、アントラピリミジン、黄鉛、フタロシアニン、ハロゲン化フタロシアニン、アゾ顔料(アゾメチン金属錯体、縮合アゾ等)、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニン、縮合多環顔料等が挙げられる。
また、着色顔料として、光輝顔料も挙げられる。具体例としては、金属粒子(アルミニウム、亜鉛、銅、ブロンズ、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属およびそれらの合金等)、マイカ粒子(雲母粉)、パール粒子、グラファイト粒子、ガラスフレーク、鱗片状酸化鉄粒子等が挙げられる。
本発明の粉体塗料が顔料を含む場合の含有量は、粉体塗料の全質量に対して、1〜50質量%であることが好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、本塗膜の耐候性の観点から、30〜40質量%であることが特に好ましい。
【0052】
本発明の粉体塗料は、必要に応じて上記以外の他の成分(以下、「他の添加剤」ともいう。)を含んでもよい。他の添加剤の具体例としては、上記以外の硬化剤(イソシアネート基を有する硬化剤、ブロック化イソシアネート基を有する硬化剤等)、紫外線吸収剤(各種の有機系紫外線吸収剤、無機系紫外線吸収剤等)、光安定剤(ヒンダードアミン光安定剤等)、つや消し剤(超微粉合成シリカ等)、レベリング剤、表面調整剤(塗膜の表面平滑性を向上させる。)、脱ガス剤、可塑剤、充填剤、熱安定剤、増粘剤、分散剤、帯電防止剤、防錆剤、シランカップリング剤、防汚剤、低汚染化処理剤等が挙げられる。
【0053】
本発明における粉体塗料の製造方法としては、特に限定されるものではないが、含フッ素重合体と他の成分(硬化剤、硬化触媒、顔料、他の樹脂、他の添加剤等)とを含む塗料粒子から構成される粉体塗料の製造方法として、以下の方法が挙げられる。
まず、含フッ素重合体と他の成分とを混合して混合物を得る。次いで、得られた混合物を、押出機により80〜130℃で溶融混練して押し出し、冷却して、固化した溶融混練物を得る。その後、得られた固化した溶融混練物を粉砕し分級して、所望の平均粒子径の粉体塗料を得る。
上記粉体塗料の製造に用いられる含フッ素重合体は、たとえば、上述した含フッ素重合体の製造方法で得られる、含フッ素重合体と溶媒とを含む溶液から、溶媒を留去し、必要により粉砕して製造できる。
【0054】
本発明の塗装物品は、基材と、上記粉体塗料により基材上に形成された塗膜と、を有する。
基材の材質の具体例としては、無機物、有機物、有機無機複合材等が挙げられる。
無機物の具体例としては、コンクリート、自然石、ガラス、金属(鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮、チタン等)等が挙げられる。
有機物の具体例としては、プラスチック、ゴム、接着剤、木材等が挙げられる。
有機無機複合材の具体例としては、繊維強化プラスチック、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリート等が挙げられる。
また、基材には、公知の表面処理(例えば、化成処理等)を行ったものを用いてもよい。また、基材の表面には、樹脂層(ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等)が形成されていてもよい。
【0055】
上記の中でも、基材は、金属が好ましく、アルミニウムがより好ましい。アルミニウム製の基材は、防食性に優れ、軽量で、外装部材等の建築材料用途に適している。
基材の形状、サイズ等は、特に限定されない。
基材の具体例としては、コンポジットパネル、カーテンウォール用パネル、カーテンウォール用フレーム、ウィンドウフレーム等の建築用の外装部材、タイヤホイール等の自動車部材、建機、自動2輪のフレーム等が挙げられる。
【0056】
塗膜の厚さは、20〜1000μmが好ましく、20〜500μmがより好ましい。アルミニウムカーテンウォール等の高層ビル用の部材等の用途では、20〜90μmが好ましい。海岸沿いに設置されたエアコンの室外機、信号機のポール、標識等の耐候性の要求が高い用途では、100〜200μmが好ましい。
【0057】
本発明の塗装物品は、本発明の粉体塗料を基材上に付与して粉体塗料層を形成し、該粉体塗料層を加熱処理して基材上に塗膜を形成することにより製造されることが好ましい。なお、塗装物品は、塗膜付き基材と換言できる。
【0058】
粉体塗料層は、静電塗装法、静電吹付法、静電浸漬法、噴霧法、流動浸漬法、吹付法、スプレー法、溶射法、プラズマ溶射法等の塗装法によって、本発明の粉体塗料を基材上に塗装することにより、形成されることが好ましい。本塗膜の表面平滑性と隠蔽性とにより優れる点から、塗装法としては、粉体塗装ガンを用いた静電塗装法が好ましい。
粉体塗装ガンの具体例としては、コロナ帯電型塗装ガンや摩擦帯電型塗装ガンが挙げられる。コロナ帯電型塗装ガンは、粉体塗料をコロナ放電処理して吹き付ける塗装ガンである。摩擦帯電型塗装ガンは、粉体塗料を摩擦帯電処理して吹き付ける塗装ガンである。
【0059】
粉体塗料層を加熱処理する際は、基材上の粉体塗料層を加熱して、基材上に粉体塗料の溶融物からなる溶融膜を形成することが好ましい。なお、溶融膜の形成は、基材への粉体塗料層の形成と同時に行ってもよく、粉体塗料層を形成した後に別途行ってもよい。
粉体塗料を加熱して溶融し、その溶融状態を所定時間維持するための加熱温度(以下、「焼付け温度」ともいう。)と加熱維持時間(以下、「焼付け時間」ともいう。)は、粉体塗料の原料成分の種類や組成、所望する塗膜の厚さ等により適宜設定されるが、本発明の粉体塗料によれば、焼付け温度を低くできる。
【0060】
たとえば、本発明の粉体塗料における含フッ素重合体のカルボキシ基が前記硬化剤と反応することで、本塗膜はより低温で硬化する。カルボキシ基と硬化剤との反応は、ブロック化イソシアネート基を有する硬化剤を使用する場合のような高温(200℃程度)を必要としない利点がある。
一方で、焼き付け温度を低くすると、一般に塗膜の物性は低下する傾向にある。しかしながら、本発明の粉体塗料を用いれば、低い焼き付け温度で焼き付けても、後述するような良好な物性を有する塗膜を形成できる。
焼付け温度は、120℃〜200℃であることが好ましく、140℃〜180℃であることがより好ましい。焼付け時間は、通常2〜60分間である。
基材上に形成された溶融膜は、20〜25℃まで冷却することにより、塗膜を形成させるのが好ましい。冷却は、急冷してもよく徐冷してもよく、本塗膜の基材密着性の観点から、徐冷が好ましい。
【0061】
本発明によれば、基材と、170℃という従来と比較して低い焼き付け温度で焼き付けて基材上に形成された本塗膜を有する塗膜付き基材および塗装物品が得られ、具体的には、以下の性能を有する。
・本発明の塗膜付き基材および塗装物品は、塗膜の基材密着性に優れ、後述するクロスカット法におけるハガレが10%以下であり、好ましくは0%である。
・本発明の塗膜付き基材および塗装物品は、塗膜の柔軟性に優れ、後述する円筒形マンドレル法において直径6mm未満、好ましくは4mm未満のマンドレルでの折り曲げでも割れやはがれが生じない。
・本発明の塗膜付き基材および塗装物品は、塗膜の耐衝撃性に優れ、後述するデュポン式衝撃試験において、20cm以上、好ましくは40cm以上からの落下試験においても割れやひびが生じない。
・本発明の塗膜付き基材および塗装物品は、塗膜の表面平滑性に優れ、後述するPCIが2以上、好ましくは4以上である。
【0062】
本発明の含フッ素重合体は、フルオロオレフィンに基づく単位、上記式(1)で表される単量体に基づく単位および上記式(2)で表される単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体であって、前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、上記式(2)で表される単量体に基づく単位の含有量が5〜20モル%であり、該含フッ素重合体の重量平均分子量が15000〜75000である、含フッ素重合体である。
本発明の含フッ素重合体は、また、フルオロオレフィンに基づく単位、上記式(1)で表される単量体に基づく単位および上記式(2)で表される単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体であって、前記含フッ素重合体が含む全単位に対する、上記式(2)で表される単量体に基づく単位の含有量が5〜20モル%であり、該含フッ素重合体の170℃における溶融粘度が20〜100Pa・sである、含フッ素重合体である。
本発明の含フッ素重合体の好適態様は、上述した本発明の粉体塗料に含まれる含フッ素重合体と同様なので、その説明を省略する。
本発明の含フッ素重合体は、上述した粉体塗料に好適に使用されるが、粉体塗料以外の用途にも適用できる。粉体塗料以外の用途の具体例としては、含フッ素重合体を溶剤中に溶解させた溶剤型塗料、含フッ素重合体を水中に分散させた水性塗料等が挙げられる。
【実施例】
【0063】
以下、例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし本発明はこれらの例に限定されない。なお、後述する表中における各成分の配合量は、質量基準を示す。また、例1〜7は実施例であり、例8〜9は比較例である。
【0064】
〔測定方法・評価方法〕
(含フッ素重合体が含む各単位の含有量(モル%))
含フッ素重合体をNMR分析法により分析して求めた。
(Mwの測定)
高速GPC装置(東ソー社製、カラムTSKgelG 400XL)を用い、ポリスチレン換算のMwを求めた。
(酸価の測定)
JIS K 0070−3(1992)の方法に準じて、テトラヒドロフラン溶液に、一定量の試料を溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、水酸化カリウムのエタノール溶液にて滴定し、酸価を求めた。
(Tgの測定)
示差走査熱量測定(DSC)法により求め、中間点ガラス転移温度をTgとした。
(溶融粘度の測定)
溶融粘度は、回転式レオメータ(Anton Paar社製、MCR302)を用いて、昇温速度:10℃/分の条件にて130℃から200℃まで昇温測定し、試料の170℃における値を読み取った。
【0065】
(粉体塗料の耐ブロッキング性)
後述する例に従って製造した粉体塗料を、密閉した瓶に入れて常温(25℃)で保存し、ブロッキングするまでの時間を観測した。
○:15日以上経過してもブロッキングしない。
△:15日超経過するとブロッキングが見られる。
×:1日未満でブロッキングが見られる。
【0066】
(塗膜の基材密着性)
クロスカット法(JIS K 5600−5−6)によって判定した。試験片の塗膜を1mm間隔100マスの碁盤目状にカットし、その上に粘着テープを貼付し、続けてその粘着テープを剥離したときに、100マスのうち、粘着テープによって剥離しなかったマス目の数から、以下の基準で密着性を評価した。
○:剥離しなかったマス目の数が100である。
△:剥離しなかったマス目の数が90以上99以下である。
×:剥離しなかったマス目の数が90未満である。
【0067】
(塗膜の柔軟性)
円筒形マンドレル法(JIS K 5600−5−1)によって判定した。試験片の塗膜面を外にして、規定された直径のマンドレルに沿って折り曲げたときに、塗膜表面に割れやはがれ等の致命的な変状が生じるかを目視で評価した。
○:直径4mm未満でも割れやはがれが生じない。
△:直径4mm以上6mm未満であれば割れやはがれが生じない。
×:直径6mm以上でも割れやはがれが生じる。
【0068】
(塗膜の耐衝撃性)
デュポン式衝撃試験(JIS K 5600−5−3)によって判定した。デュポン式衝撃試験器を用いて、試験片の塗膜面を上にして、塗膜上におもりを落下させ、落下地点の塗膜のひびや割れの有無を観測した。
○:40cm以上の高さから落下させても割れやひびが生じない。
△:20cm以上40cm未満の高さからの落下であれば割れやひびが生じない。
×:20cm未満の高さから落下させても割れやひびが生じる。
【0069】
(塗膜の表面平滑性(低温成膜条件時))
試験片の塗膜の表面平滑性を、PCI(パウダーコーティングスティテュート)による平滑性目視判定用標準版を用いて判定した。標準版は、1〜10の10枚あり、数字が大きくなるに従って平滑性が優れる。
○:PCI値4以上である。
△:PCI値2以上4未満である。
×:PCI値2未満である。
【0070】
〔粉体塗料の製造に使用した成分〕
(含フッ素重合体)
後述する例に従って製造した含フッ素重合体を使用した。単量体FとしてCF=CFCl(CTFE)を、単量体Aとしてピバリン酸ビニルエステル(PV)とネオノナン酸ビニルエステル(NV)(HEXION社製。商品名「ベオバ9」)とシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)を、単量体Bとして10−ウンデシレン酸(UDA。単位B1に相当。)とクロトン酸(CA。単位B2に相当。)を、単量体Cとして酢酸ビニル(AV)を、単量体Dとして4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)を使用した。
なお、NVは、式CH=CHOC(O)C(CH)(Z11で表されるビニルエステルであり、式中の2個のZ11はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基であり、2個のZ11が有する炭素原子の総数は6である。
【0071】
(硬化剤)
硬化剤A:エポキシ基を1分子中に2以上有する化合物(HUNTSMAN社製、PT−910(商品名))
硬化剤B:エポキシ基を1分子中に2以上有する化合物(日産化学工業社製、TEPIC−SP(商品名))
硬化剤C:β−ヒドロキシアルキルアミド基を1分子中に2以上有する化合物(EMS社製、PrimidXL−552(商品名))
(硬化触媒)
硬化触媒:ジブチルスズジラウレートのキシレン溶液(10000倍希釈品)
(顔料)
顔料:酸化チタン顔料(デュポン社製、Ti−Pure R960(商品名)、酸化チタン含有量:89質量%)
(上記以外の他の成分)
脱ガス剤:ベンゾイン
表面調整剤:ビックケミー社製、BYK−360P(商品名)
【0072】
〔合成例1〕
オートクレーブ(内容積2.7L、ステンレス鋼製、撹拌機付き。以下同様。)に、キョーワード KW500SH(商品名、協和化学工業社製。以下、「吸着剤」ともいう。)(15.1g)を仕込み、真空脱気した。
次に、tert−ブチルアルコール(422g)、エタノール(106g)、Tinuvin292(商品名、BASF社製。以下、「安定剤」ともいう。)(15.1g)、CTFE(465g)、PV(440g)、およびUDA(103g)をオートクレーブ内に導入して昇温し、65℃に保持した。この時点の圧力は0.59MPaであった。
オートクレーブ内に、tert−ブチルペルオキシピバレートの50質量%キシレン溶液(以下、「重合開始剤溶液」ともいう。)(2mL)を添加し、重合を開始させた。なお、重合中は重合開始剤溶液(45mL)を連続的に加えた。撹拌下で重合を続け、11時間後にオートクレーブを水冷して重合を停止した。その後、オートクレーブ内溶液をろ過して、得られたろ液に含まれる未反応単量体をエバポレーターで除去し、含フッ素重合体を含む溶液を得た。
得られた溶液を、65℃にて24時間真空乾燥して溶媒を除去し、さらに130℃にて20分間真空乾燥して得られたブロック状の含フッ素重合体を粉砕して、粉体状の含フッ素重合体1を得た。
含フッ素重合体1は、CTFEに基づく単位、PVに基づく単位、UDAに基づく単位をこの順に41モル%、50モル%、9モル%含む重合体であった。含フッ素重合体1の、Tgは52℃であり、Mwは59300であり、酸価は33mgKOH/gであり、溶融粘度は81Pa・sであった。
【0073】
〔合成例2〕
オートクレーブに、吸着剤(34.0g)を仕込み、真空脱気した。
次に、tert−ブチルアルコール(223g)、2−プロパノール(223g)、安定剤(34.0g)、CTFE(509g)、CHVE(397g)およびUDA(226g)をオートクレーブ中に導入した。徐々に昇温し、オートクレーブ内に導入して昇温し、65℃に保持した。この時点の圧力0.73MPaであった。
オートクレーブ内に、重合開始剤溶液(2mL)を添加し、重合を開始させた。なお、重合中は重合開始剤溶液(90mL)を連続的に加えた。撹拌下で反応を続け、11時間後にオートクレーブを水冷して重合を停止した。その後、オートクレーブ内溶液をろ過して、得られたろ液に含まれる未反応単量体をエバポレーターで除去し、含フッ素重合体を含む溶液を得た。
得られた溶液をメタノールで2回分液洗浄した。1回の分液洗浄では、含フッ素重合体の30gに対して、メタノールの500gを使用した。
溶液を、65℃にて24時間真空乾燥して溶媒を除去し、さらに130℃にて20分間真空乾燥し、得られたブロック状の含フッ素重合体を粉砕して、粉体状の含フッ素重合体2を得た。
含フッ素重合体2は、CTFEに基づく単位、CHVEに基づく単位、UDAに基づく単位をこの順に52モル%、41モル%、7モル%含む重合体であった。含フッ素重合体2の、Tgは51℃であり、Mwは18500であり、酸価は31mgKOH/gであり、溶融粘度は42Pa・sであった。
【0074】
〔合成例3〜5〕
使用する単量体の種類と量のほか、tert−ブチルアルコール(422g)およびエタノール(106g)を、tert−ブチルアルコール(370g)およびキシレン(158g)に変更する以外は、合成例1と同様にして、含フッ素重合体3〜5をそれぞれ得た。
【0075】
〔合成例6(比較合成例)〕
使用する単量体の種類と量のほか、tert−ブチルアルコール(223g)、2−プロパノール(223g)を、キシレン(356g)およびエタノール(90g)に変更する以外は、合成例2と同様にして、含フッ素重合体6を得た。
【0076】
〔合成例7(比較合成例)〕
使用する単量体の種類と量のほか、tert−ブチルアルコール(422g)およびエタノール(106g)を、tert−ブチルアルコール(528g)に変更する以外は、合成例1と同様にして、含フッ素重合体7を得た。
【0077】
〔合成例8(比較合成例)〕
使用する単量体の種類と量のほか、tert−ブチルアルコール(223g)、2−プロパノール(223g)を、キシレン(356g)およびエタノール(90g)に変更する以外は、合成例2と同様にして、ブロック状の含フッ素重合体8を得た。しかし、含フッ素重合体8は粉体化する際にゲル化してしまい、溶融粘度は測定不能であった。
【0078】
〔合成例9(比較合成例)〕
オートクレーブに、炭酸カリウム(12.3g)を仕込み、真空脱気した。
次に、キシレン(503g)、エタノール(142g)、吸着剤(4.5g)、CTFE(387g)、CHVE(326g)およびHBVE(84.9g)をオートクレーブ内に導入して昇温し、65℃に保持した。この時点の圧力は0.55MPaであった。
オートクレーブ内に、重合開始剤溶液(1mL)を添加し、重合を開始させた。なお、重合中は重合開始剤溶液(19mL)を連続的に加えた。撹拌下で重合を続け、11時間後にオートクレーブを水冷して重合を停止した。その後、オートクレーブ内溶液をろ過して、得られたろ液に含まれる未反応単量体をエバポレーターで除去し、含フッ素重合体を含む溶液を得た。
得られた溶液を、65℃にて24時間真空乾燥して溶媒を除去し、さらに130℃にて20分加真空乾燥して得られたブロック状の含フッ素重合体を粉砕して、粉体状の含フッ素重合体を得た。
さらに、フラスコ内にて、該含フッ素重合体(220g)をメチルエチルケトン(300g)に溶解させて撹拌した。つぎに、フラスコに無水コハク酸(14g)を加えてフラスコ内温を75℃まで昇温した後、トリエチルアミン(1g)を加え、5時間反応させた。フラスコ内温を25℃まで冷却した後、フラスコ内溶液をIR測定して、無水コハク酸の酸無水物基のピークが消失したのを確認した。
フラスコ内溶液を65℃にて24時間真空乾燥して溶媒を除去し、さらに130℃にて20分加真空乾燥して、ブロック状の含フッ素重合体9を得た。
含フッ素重合体9は、CTFEに基づく単位、CHVEに基づく単位、HBVEに基づく単位、HBVEに基づく単位のヒドロキシ基に無水コハク酸が付加して形成された単位(側鎖に−O(CHOC(O)CHCHCOOHを有する単位。以下、「他の単位」ともいう。)をこの順に50モル%、39モル%、3モル%、8モル%含む重合体であった。含フッ素重合体9の、Tgは52℃であり、Mwは45500であり、酸価は30mgKOH/gであった。しかし、含フッ素重合体9は粉体化する際にゲル化してしまい、溶融粘度は測定不能であった。
それぞれの合成例で得られた含フッ素重合体の物性をまとめて、表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
〔粉体塗料の製造〕
粉体状の各含フッ素重合体および表2に記載の各成分を、高速ミキサ(佑崎有限公司社製)を用いて10〜30分程度混合し、粉体状の混合物を得た。得られた混合物を、2軸押出機(サーモプリズム社製、16mm押出機)を用いて、120℃のバレル設定温度にて溶融混練を行い、ペレットを得た。得られたペレットを粉砕機(FRITSCH社製、製品名:ロータースピードミルP14)を用いて常温(25℃)で粉砕し、150メッシュによる分級を行い、平均粒子径が約40μmである各粉体塗料を得た。
なお、含フッ素重合体8および9を用いた場合には、含フッ素重合体8および9がゲル化していたため、粉体塗料を製造できなかった。
【0081】
〔試験片の作製〕
各粉体塗料を用いて、クロメート処理を行ったアルミニウム板(基材)の一面に、静電塗装機(小野田セメント社製、GX3600C)を用いて静電塗装を行い、170℃雰囲気中で20分間保持して、粉体塗料の溶融膜を得た。溶融膜を放置して室温(25℃)まで冷却し、厚さ55〜65μmの塗膜付きアルミニウム板を得た。得られた塗膜付きアルミニウム板を試験片として、それぞれ評価した。結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】
表2に示すように、含フッ素重合体が含む全単位に対して、単位Bの含有量が5〜20モル%であり、含フッ素重合体の170℃における溶融粘度が20〜100Pa・sである粉体塗料(例1〜7)を用いると、耐衝撃性、柔軟性および基材密着性に優れ、低温成膜条件であっても表面平滑性に優れた塗膜を形成できることが示された。
例8では、含フッ素重合体の単位Bの含有量が5モル%未満であるため、塗膜の基材密着性、柔軟性、および耐衝撃性に劣ったと考えられる。また、例9では、溶融粘度が所定値の範囲内でないため、加熱処理における含フッ素重合体の流動性が低く、塗膜の表面平滑性が劣るだけでなく、密な塗膜が形成されず塗膜の柔軟性が劣ったと考えられる。
なお、2017年01月12日に出願された日本特許出願2017−003520号の明細書、特許請求の範囲および要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
【国際調査報告】