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再表2018-134941車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年7月26日
【発行日】2019年11月7日
(54)【発明の名称】車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/095 20120101AFI20191011BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20191011BHJP
【FI】
   B60W30/095
   B60W30/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
【出願番号】特願2018-562803(P2018-562803)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年1月19日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】石岡 淳之
(72)【発明者】
【氏名】武田 政宣
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241AA41
3D241AD10
3D241AD31
3D241AD41
3D241AE02
3D241AE41
3D241AE45
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3D241BA33
3D241BA60
3D241BB01
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3D241BB45
3D241BB46
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3D241CC08
3D241CC17
3D241CE01
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3D241CE05
3D241DA13Z
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3D241DC34Z
3D241DC35Z
3D241DC41Z
3D241DC43Z
3D241DC50Z
3D241DC57Z
3D241DD12Z
(57)【要約】
車両制御システムは、自車両の周辺の物標を認識する認識部と、前記認識部により認識された物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第1目標速度を決定する処理を、第1周期で行う第1処理部と、前記第1処理部により決定された第1目標速度と、前記認識部により認識された物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第2目標速度を決定する処理を、前記第1周期より短い第2周期で行う第2処理部と、前記第1処理部により決定された第1目標速度、または前記第2処理部により決定された第2目標速度の少なくとも一方に基づいて、前記自車両の加減速を制御する走行制御部と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺の物標を認識する認識部と、
前記認識部により認識された物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第1目標速度を決定する処理を、第1周期で行う第1処理部と、
前記第1処理部により決定された第1目標速度と、前記認識部により認識された物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第2目標速度を決定する処理を、前記第1周期より短い第2周期で行う第2処理部と、
前記第1処理部により決定された第1目標速度、または前記第2処理部により決定された第2目標速度の少なくとも一方に基づいて、前記自車両の加減速を制御する走行制御部と、
を備える車両制御システム。
【請求項2】
前記第1処理部は、更に、前記認識部により認識された物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標位置を決定し、
前記走行制御部は、前記第1処理部により決定された目標位置に基づいて、前記自車両の操舵を制御する、
請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記第2処理部は、
前記目標位置に到達する過程で、前記自車両と前記物標とが干渉するか否かを判定し、
前記自車両と前記物標とが干渉すると判定した場合に、前記第2目標速度を、前記第1目標速度に比して小さい速度に決定する、
請求項2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記第2処理部は、
前記自車両と前記物標との相対距離または相対速度に基づいて、前記第2目標速度を決定する、
請求項3に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記自車両の周囲に設けられた複数のセンサを更に備え、
前記認識部は、前記複数のセンサのそれぞれの検出結果を用いて、前記物標を認識し、
前記第2処理部は、前記複数のセンサのうち、前記自車両の前側に設けられたセンサの検出結果を用いて前記認識部により認識された物標と、前記第1目標速度とに基づいて、前記第2目標速度を決定する、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項6】
前記複数のセンサは、互いに検出周期が異なり、
前記第2処理部は、前記複数のセンサのうち、他のセンサに比して検出周期が短いセンサの検出結果を用いて前記認識部により認識された物標に基づいて、前記第2目標速度を決定する、
請求項5に記載の車両制御システム。
【請求項7】
車載コンピュータが、
自車両の周辺の物標を認識し、
前記認識した物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第1目標速度を決定する処理を、第1周期で行い、
前記決定した第1目標速度と、前記認識した物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第2目標速度を決定する処理を、前記第1周期より短い第2周期で行い、
前記決定した第1目標速度、または前記決定した第2目標速度の少なくとも一方に基づいて、前記自車両の加減速を制御する、
車両制御方法。
【請求項8】
車載コンピュータに、
自車両の周辺の物標を認識させ、
前記認識させた物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第1目標速度を決定する処理を、第1周期で行わせ、
前記決定させた第1目標速度と、前記認識させた物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第2目標速度を決定する処理を、前記第1周期より短い第2周期で行わせ、
前記決定させた第1目標速度、または前記決定させた第2目標速度の少なくとも一方に基づいて、前記自車両の加減速を制御させる、
車両制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の進行方向前方に障害物が存在する場合に、この障害物を回避するように車両の操作または加減速の少なくとも一方を制御する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−100123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、障害物が認識されてから回避行動がとられるまでの時間が長くなる場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、物標に対して、より速やかに回避行動をとることができる車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、自車両の周辺の物標を認識する認識部と、前記認識部により認識された物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第1目標速度を決定する処理を、第1周期で行う第1処理部と、前記第1処理部により決定された第1目標速度と、前記認識部により認識された物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第2目標速度を決定する処理を、前記第1周期より短い第2周期で行う第2処理部と、前記第1処理部により決定された第1目標速度、または前記第2処理部により決定された第2目標速度の少なくとも一方に基づいて、前記自車両の加減速を制御する走行制御部と、を備える車両制御システムである。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の車両制御システムにおいて、前記第1処理部が、更に、前記認識部により認識された物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標位置を決定し、前記走行制御部が、前記第1処理部により決定された目標位置に基づいて、前記自車両の操舵を制御するものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の車両制御システムにおいて、前記第2処理部が、前記目標位置に到達する過程で、前記自車両と前記物標とが干渉するか否かを判定し、前記自車両と前記物標とが干渉すると判定した場合に、前記第2目標速度を、前記第1目標速度に比して小さい速度に決定するものである。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の車両制御システムにおいて、前記第2処理部が、前記自車両と前記物標との相対距離または相対速度に基づいて、前記第2目標速度を決定するものである。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1から4のうちいずれか1項に記載の車両制御システムにおいて、前記自車両の周囲に設けられた複数のセンサを更に備え、前記認識部が、前記複数のセンサのそれぞれの検出結果を用いて、前記物標を認識し、前記第2処理部が、前記複数のセンサのうち、前記自車両の前側に設けられたセンサの検出結果を用いて前記認識部により認識された物標と、前記第1目標速度とに基づいて、前記第2目標速度を決定するものである。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の車両制御システムにおいて、前記複数のセンサが、互いに検出周期が異なり、前記第2処理部が、前記複数のセンサのうち、他のセンサに比して検出周期が短いセンサの検出結果を用いて前記認識部により認識された物標に基づいて、前記第2目標速度を決定するものである。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1から4のうちいずれか1項に記載の車両制御システムにおいて、車載コンピュータが、自車両の周辺の物標を認識し、前記認識した物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第1目標速度を決定する処理を、第1周期で行い、前記決定した第1目標速度と、前記認識した物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第2目標速度を決定する処理を、前記第1周期より短い第2周期で行い、前記決定した第1目標速度、または前記決定した第2目標速度の少なくとも一方に基づいて、前記自車両の加減速を制御する車両制御方法である。
【0013】
請求項8記載の発明は、車載コンピュータに、自車両の周辺の物標を認識させ、前記認識させた物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第1目標速度を決定する処理を、第1周期で行わせ、前記決定させた第1目標速度と、前記認識させた物標と、前記自車両の状態とに基づいて、前記自車両の将来の目標速度である第2目標速度を決定する処理を、前記第1周期より短い第2周期で行わせ、前記決定させた第1目標速度、または前記決定させた第2目標速度の少なくとも一方に基づいて、前記自車両の加減速を制御させる車両制御プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
各請求項に記載の発明によれば、自車両の周辺の物標と、自車両の状態とに基づいて、自車両の将来の目標速度である第1目標速度を決定する処理を、第1周期で行い、決定した第1目標速度と、自車両の周辺の物標と、自車両の状態とに基づいて、自車両の将来の目標速度である第2目標速度を決定する処理を、第1周期より短い第2周期で行い、第1目標速度、または第2目標速度の少なくとも一方に基づいて、自車両の加減速を制御するため、物標に対して、より速やかに回避行動をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態における車両制御システム1が搭載された車両の有する構成要素を示す図である。
図2】実施形態における車両制御システム1の構成図である。
図3】自車位置認識部121により自車線L1に対する自車両Mの相対位置および姿勢が認識される様子を示す図である。
図4】第1軌道生成部123aおよび第2軌道生成部123bの処理周期を説明するための図である。
図5】推奨車線に基づいて第1目標軌道が生成される様子を示す図である。
図6】第1軌道生成部123aによる一連の処理を表すフローチャートである。
図7】第2軌道生成部123bによる一連の処理を表すフローチャートである。
図8】第1軌道生成部123aおよび第2軌道生成部123bの処理のタイミングを模式的に示す図である。
図9】本実施形態の制御方法を適用した自車両Mの挙動を模式的に示す図である。
図10】センサの検出周期の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムの実施形態について説明する。
【0017】
[車両構成]
図1は、実施形態における車両制御システム1が搭載された車両(以下、自車両Mと称する)の有する構成要素を示す図である。自車両Mは、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0018】
図1に示すように、自車両Mには、例えば、カメラ10、レーダ12−1から12−6、およびファインダ14−1から14−7等のセンサと、後述する自動運転制御ユニット100とが搭載される。以下、レーダ12−1から12−6を特段区別しない場合は、単に「レーダ12」と記載し、ファインダ14−1から14−7を特段区別しない場合は、単に「ファインダ14」と記載する。
【0019】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウィンドウシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0020】
レーダ12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ12は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。レーダ12は、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0021】
ファインダ14は、照射光に対する散乱光を測定し、対象までの距離を検出するLIDAR(Light Detection and Ranging、或いはLaser Imaging Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に一つまたは複数が取り付けられる。
【0022】
なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0023】
[車両制御システムの構成]
図2は、実施形態における車両制御システム1の構成図である。車両制御システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ12と、ファインダ14と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Micro-Processing Unit)60と、運転操作子80と、自動運転制御ユニット100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。
【0024】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両(周辺車両の一例)と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0025】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種ディスプレイ、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0026】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。車両センサ40は、検出した情報(速度、加速度、角速度、方位等)を自動運転制御ユニット100に出力する。
【0027】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備え、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。
【0028】
GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置(絶対位置)を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。
【0029】
ナビHMI52は、ディスプレイ、スピーカ、タッチパネル、入力キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。
【0030】
経路決定部53は、例えば、ナビHMI52を用いて、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、乗員により入力された目的地までの経路を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。経路決定部53により決定された経路は、MPU60に提供される。
【0031】
また、ナビゲーション装置50は、経路決定部53により決定された経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。なお、ナビゲーション装置50は、例えば、ユーザの保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。また、ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから返信された経路を取得してもよい。
【0032】
MPU60は、例えば、推奨車線設定部61として機能し、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線設定部61は、ナビゲーション装置50から提供された経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに自車両Mが走行すべき推奨車線を設定する。
【0033】
例えば、推奨車線設定部61は、ナビゲーション装置50から提供された経路が複数の車線を有する場合、各ブロックにおいて、各ブロックに含まれる一つ以上の車線の中から、いずれか一つの車線を推奨車線として設定する。推奨車線設定部61は、提供された経路において分岐地点や合流地点などが存在する場合、自車両Mが、その地点において目的地に進行するための合理的な走行経路を走行できるように、推奨車線を設定する。例えば、複数の車線を含む本線から分岐した車線の延長線上に目的地がある場合、推奨車線設定部61は、本線に含まれる車線のうち、分岐先の車線(分岐車線)に向かう車線を、推奨車線として設定する。このとき、推奨車線は、分岐地点の所定距離手前において、本線に含まれる複数の車線のうち、分岐車線に沿う車線(分岐車線に接続される車線)に設定される。所定距離は、例えば、分岐地点までに余裕をもって車線変更が可能な程度の距離(例えば2[km]程度)に設定される。
【0034】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。道路情報には、高速道路、有料道路、国道、都道府県道といった道路の種別を表す情報や、道路の車線数、各車線の幅員、道路の勾配、道路の位置(経度、緯度、高さを含む3次元座標)、車線のカーブの曲率、車線の合流および分岐地点の位置、道路に設けられた標識等の情報が含まれる。第2地図情報62は、通信装置20を用いて他装置にアクセスすることにより、随時、アップデートされてよい。
【0035】
運転操作子80は、例えば、アクセルペダルや、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール等を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御ユニット100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一方または双方に出力される。
【0036】
[自動運転制御ユニットの構成]
自動運転制御ユニット100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部140とを備える。第1制御部120および第2制御部140は、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、第1制御部120および第2制御部140の構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0037】
第1制御部120は、例えば、自車位置認識部121と、外界認識部122と、行動計画生成部123とを備える。自車位置認識部121および外界認識部122は、「認識部」の一例である。
【0038】
自車位置認識部121は、例えば、自車両Mが走行している自車線、並びに自車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢を認識する。自車位置認識部121は、例えば、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、自車線を認識する。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。
【0039】
また、自車位置認識部121は、レーダ12やファインダ14の検出結果に基づいて、自車線を認識してもよい。例えば、道路区画線が平坦部と凸部とを有するリブ式標示である場合、自車位置認識部121は、自車両Mから平坦部までの距離と、自車両Mから凸部までの距離とを比較し、自車両Mの進行方向に延在する凸部を認識することで、自車線を認識する。また、自車位置認識部121は、ファインダ14の検出結果から、例えば、路面のアスファルトと、道路区画線との光の反射強度の差分を求めることで、自車線を認識する。
【0040】
そして、自車位置認識部121は、例えば、認識した自車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。図3は、自車位置認識部121により自車線L1に対する自車両Mの相対位置および姿勢が認識される様子を示す図である。自車位置認識部121は、例えば、自車両Mの基準点(例えば重心)の自車線中央CLからの乖離OS、および自車両Mの進行方向の自車線中央CLを連ねた線に対してなす角度θを、自車線L1に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識する。なお、これに代えて、自車位置認識部121は、自車線L1のいずれかの側端部に対する自車両Mの基準点の位置などを、自車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。自車位置認識部121により認識される自車両Mの相対位置は、外界認識部122および行動計画生成部123に提供される。
【0041】
なお、自車位置認識部121は、自ら自車線を認識する代わりに、後述する外界認識部122により認識された自車線を参照することで、この自車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識してもよい。
【0042】
外界認識部122は、カメラ10、レーダ12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物標(ターゲット)を認識する。物標とは、例えば、周辺車両、車道の落下物、ガードレール、電柱、路上の駐車車両、歩行者、道路路面の標示、白線などの道路区画線、標識などである。周辺車両とは、例えば、自車両Mの周辺を走行する車両であって、自車両Mと同じ方向に走行する車両である。例えば、物標の位置は、自車位置認識部121により認識された自車両Mの位置に対する相対位置として認識される。
【0043】
また、外界認識部122は、認識した物標が周辺車両である場合、さらに、周辺車両の「状態」を認識してよい。周辺車両の「状態」とは、例えば、周辺車両の速度、加速度、ジャーク、進行方向などである。また、周辺車両の「状態」には、例えば、周辺車両が車線変更をしている、またはしようとしているかといった「行動状態」が含まれてよい。外界認識部122は、認識結果を行動計画生成部123に提供する。
【0044】
行動計画生成部123は、例えば、第1軌道生成部123aと、第2軌道生成部123bとを備える。これらの第1軌道生成部123aおよび第2軌道生成部123bは、実行する処理の周期が互いに異なる。第1軌道生成部123aは、「第1処理部」の一例であり、第2軌道生成部123bは、「第2処理部」の一例である。
【0045】
図4は、第1軌道生成部123aおよび第2軌道生成部123bの処理周期を説明するための図である。図示のように、例えば、第1軌道生成部123aの処理周期(以下、第1周期Taと称する)に比して、第2軌道生成部123bの処理周期(以下、第2周期Tbと称する)は、短い周期となる。
【0046】
第1軌道生成部123aは、推奨車線設定部61により推奨車線として設定された車線を走行するように、且つ、自車両Mの周辺状況に対応できるように、行動計画を生成する。例えば、第1軌道生成部123aは、推奨車線が設定された経路、道路区画線を用いて認識された自車両Mの位置、自車両Mの位置を基準とした物標の位置、自車両Mと物標との相対速度や相対距離等に基づいて、行動計画を生成する。
【0047】
行動計画とは、自動運転モード下において順次実行されるイベントで構成される。自動運転モードとは、自車両Mの加減速または操舵の少なくとも一方を、自動運転制御ユニット100が制御することをいう。
【0048】
イベントには、例えば、一定速度で同じ走行車線を走行する定速走行イベント、先行車両に追従する追従走行イベント、走行車線を変更させる車線変更イベント、先行車両を追い越させる追い越しイベントなどを含む。
【0049】
また、イベントには、本線に合流するための合流車線において自車両Mを加減速させ、合流車線へと走行車線を変更させる合流イベント、分岐地点において本線から分岐した分岐車線に自車両Mを車線変更させる分岐イベント、周辺車両などの挙動に合わせて自車両Mを緊急停止させる緊急停止イベント、自動運転モードを終了して手動運転モードに切り替えるための切替イベント(テイクオーバイベント)などが含まれてよい。手動運転モードとは、運転操作子80に対する乗員の操作によって、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220が制御されることをいう。また、これらのイベントの実行中に、自車両Mの周辺状況(車道の停止車両、周辺車両、歩行者の存在、道路工事による車線狭窄など)に基づいて、回避のための回避イベントが計画される場合もある。
【0050】
そして、第1軌道生成部123aは、車両センサ40により検出された速度、加速度、角速度、および方位等の自車両Mの状態に基づいて、計画したイベントごとに、自車両Mが将来走行する目標軌道である第1目標軌道を生成する。
【0051】
第1目標軌道は、軌道点を順に並べたものとして表現される。軌道点は、所定の走行距離ごとの自車両Mの将来の到達すべき目標位置である。また、第1目標軌道は、軌道点とは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの自車両Mの将来の目標速度および目標加速度の要素を含む。第1目標軌道の速度要素および加速度要素は、「第1目標速度」の一例である。
【0052】
また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき目標位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度は、軌道点の間隔に応じて決定されてよい。
【0053】
図5は、推奨車線に基づいて第1目標軌道が生成される様子を示す図である。図示するように、推奨車線は、目的地までの経路に沿って走行するのに都合が良いように設定される。第1軌道生成部123aは、推奨車線の切り替わり地点の手前に差し掛かると、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベントなどを起動する。例えば、第1軌道生成部123aは、車線変更イベントを起動する場合、自車位置認識部121により認識された自車線から、外界認識部122により認識された隣接車線に至る第1目標軌道を生成する。
【0054】
また、各イベントの実行中(起動中)に、外界認識部122により障害物OBが認識された場合、第1軌道生成部123aは、回避イベントを計画および実行すると共に、障害物OBを回避するために、図示するように自車両Mを隣接車線に一旦車線変更させ、障害物OBを回避させる第1目標軌道を生成する。障害物OBとは、自車両Mの進行方向前方に位置する物標であり、例えば、自車線上に存在する周辺車両、落下物、歩行者、車線狭窄地点などである。
【0055】
また、第1軌道生成部123aは、障害物OBを回避させる第1目標軌道を生成する代わりに、障害物OBの手前で自車両Mを停止させるように減速させる第1目標軌道を生成してもよい。
【0056】
第1軌道生成部123aは、例えば、各イベント時に、軌道の形状(目標位置の位置関係)が互いに異なる複数の第1目標軌道の候補を生成し、安全性と効率性の観点に基づいて、複数の第1目標軌道の候補の中から、その時点での最適な第1目標軌道を選択する。そして、第1軌道生成部123aは、選択した第1目標軌道を、第2軌道生成部123bに提供する。
【0057】
第2軌道生成部123bは、第1軌道生成部123aにより提供された第1目標軌道と、外界認識部122により認識された物標と、車両センサ40により検出された自車両Mの状態とに基づいて、自車両Mが将来走行する目標軌道である第2目標軌道を生成する。
【0058】
第2目標軌道は、第1目標軌道と同様に、軌道点を順に並べたものとして表現される。また、また、第2目標軌道は、軌道点とは別に、所定のサンプリング時間ごとの自車両Mの将来の目標速度および目標加速度の要素を含む。第2目標軌道の速度要素および加速度要素は、「第2目標速度」の一例である。
【0059】
第2軌道生成部123bは、例えば、外界認識部122により障害物OBが認識された場合、第1目標軌道と障害物OBとが干渉するか否かを判定し、第1目標軌道と障害物OBとが干渉すると判定した場合に、第2目標軌道を生成する。
【0060】
例えば、第2軌道生成部123bは、第1目標軌道に沿って自車両Mを走行させることを想定したときに、自車両Mの車幅と、障害物OBの車線幅方向の大きさとを考慮して、自車両Mの車体の少なくとも一部が障害物OBに干渉する場合、第1目標軌道と障害物OBとが干渉すると判定する。
【0061】
第1目標軌道と障害物OBとが干渉すると判定した場合、例えば、第2軌道生成部123bは、第1目標軌道の軌道形状を維持しつつ(目標位置は変更せずに)、第1目標軌道の各サンプリング時刻での目標速度および目標加速度を、障害物OBと自車両Mとの相対速度または相対距離に応じて低下させた第2目標軌道を生成する。例えば、第2軌道生成部123bは、相対速度が大きいほど、または相対距離が短いほど、より目標速度および目標加速度を低下させた第2目標軌道を生成する。
【0062】
例えば、第2目標軌道の軌道形状を、第1目標軌道の軌道形状を維持した軌道形状とすることから、自車線の形状の認識結果や、その自車線に隣接する隣接車線の形状の認識結果、隣接車線上の周辺車両の状態の認識結果などを参照する必要がなくなる。また、これらの認識結果が自車位置認識部121や外界認識部122から提供されるまで待機したり、これらの認識結果を同期したりする必要がなくなる。この結果、第2軌道生成部123bでの処理は、第1軌道生成部123aの処理と比べて軽い処理となる。従って、上述したように、第2軌道生成部123bの処理周期である第2周期Tbは、第1軌道生成部123aの処理周期である第1周期Taに比して短い周期とすることができる。
【0063】
第2軌道生成部123bは、生成した第2目標軌道を走行制御部141に提供する。また、第2軌道生成部123bは、第1目標軌道と障害物OBとが干渉しないと判定した場合、第1軌道生成部123aにより提供された第1目標軌道を走行制御部141に提供する。
【0064】
第2制御部140は、走行制御部141を備える。走行制御部141は、行動計画生成部123により提供された第1目標軌道または第2目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0065】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECUとを備える。ECUは、走行制御部141から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0066】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、走行制御部141から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、走行制御部141から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0067】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、走行制御部141から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0068】
以下、第1軌道生成部123aおよび第2軌道生成部123bによる一連の処理についてフローチャートを用いて説明する。図6は、第1軌道生成部123aによる一連の処理を表すフローチャートである。本フローチャートの処理は、第1周期Taで繰り返し行われる。
【0069】
まず、第1軌道生成部123aは、外界認識部122による認識結果を参照して、外界認識部122により障害物OBが認識されたか否かを判定する(ステップS100)。外界認識部122により障害物OBが認識されたと判定した場合、第1軌道生成部123aは、回避イベントを計画および実行すると共に、障害物OBを回避するための第1目標軌道を生成する(ステップS102)。
【0070】
一方、外界認識部122により障害物OBが認識されなかったと判定した場合、第1軌道生成部123aは、予め計画したイベントに応じた第1目標軌道を生成する(ステップS104)。例えば、定速走行イベントが計画されている場合、第1軌道生成部123aは、目標速度および目標加速度を一定とし、且つ軌道点が同じ車線上に配置された第1目標軌道を生成する。
【0071】
次に、第1軌道生成部123aは、生成した第1目標軌道を第2軌道生成部123bに提供する(ステップS106)。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
【0072】
図7は、第2軌道生成部123bによる一連の処理を表すフローチャートである。本フローチャートの処理は、第2周期Tbで繰り返し行われる。
【0073】
まず、第2軌道生成部123bは、第1軌道生成部123aにより第1目標軌道が提供されたか否かを判定し(ステップS200)、第1軌道生成部123aにより第1目標軌道が提供されると、第2目標軌道の生成時に参照する第1目標軌道を、過去に提供された第1目標軌道から、新たに提供された第1目標軌道に更新する(ステップS202)。第2目標軌道の生成時に参照される第1目標軌道は、例えば、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disc Drive)、フラッシュメモリなどの記憶装置(不図示)に記憶されてよい。なお、過去に一度も第1軌道生成部123aにより第1目標軌道が提供されていない場合には、第2軌道生成部123bは、S202の処理を省略してよい。
【0074】
次に、第2軌道生成部123bは、外界認識部122による認識結果を参照して、外界認識部122により障害物OBが認識されたか否かを判定する(ステップS204)。外界認識部122により障害物OBが認識されなかったと判定した場合、第2軌道生成部123bは、第1軌道生成部123aにより提供された第1目標軌道のうち、更新時刻が最も新しい第1目標軌道を走行制御部141に提供する(ステップS206)。
【0075】
一方、外界認識部122により障害物OBが認識されたと判定した場合、第2軌道生成部123bは、更新時刻が最も新しい第1目標軌道と障害物OBとが干渉するか否かを判定する(ステップS208)。
【0076】
第1目標軌道と障害物OBとが干渉しないと判定した場合、第2軌道生成部123bは、上述したS206に処理を移す。
【0077】
一方、第1目標軌道と障害物OBとが干渉すると判定した場合、第2軌道生成部123bは、第1目標軌道の軌道形状を維持しつつ、第1目標軌道の各サンプリング時刻での目標速度および目標加速度を、障害物OBと自車両Mとの相対速度または相対距離に応じて低下させた第2目標軌道を生成する(ステップS210)。
【0078】
次に、第2軌道生成部123bは、生成した第2目標軌道を走行制御部141に提供する(ステップS212)。これによって、本フローチャートの処理が終了する。
【0079】
図8は、第1軌道生成部123aおよび第2軌道生成部123bの処理のタイミングを模式的に示す図である。図中横軸は、時間(例えば単位は[ms])を表している。
【0080】
例えば、時刻t1のタイミングで、外界認識部122により障害物OBが認識され始めたとする。このとき、第1軌道生成部123aが、時刻t0における外界認識部122の認識結果を参照して、上述した図6に示すフローチャートの処理を開始している場合、次に、障害物OBが存在するという認識結果が参照されるには、第1周期Ta分の時間が経過するのを待つ必要がある。図示のように、例えば、時刻tx(≒t0+Ta)において第1目標軌道の生成処理が終了した場合、第1軌道生成部123aは、次に外界認識部122による認識結果が提供された時点(時刻t3)で、障害物OBの存在を反映させた第1目標軌道の生成処理を開始することができる。障害物OBの存在を反映させた第1目標軌道は、例えば、上述したように、自車両Mを隣接車線へと車線変更させて障害物OBを回避させる軌道である。
【0081】
例えば、第1軌道生成部123aが、時刻ty(≒t3+Ta)において、時刻t3の認識結果を用いた第1目標軌道の生成処理を終了した場合、第2軌道生成部123bは、第1軌道生成部123aにより提供された第1目標軌道と、外界認識部122により提供された認識結果との双方を受けた時点で、上述した図7に示すフローチャートの処理を開始し、第1目標軌道と障害物OBとの干渉の有無に応じて、第1目標軌道または第2目標軌道を走行制御部141に提供する。ここでは、障害物OBを回避するように(自車両Mが障害物OBに干渉しないように)第1目標軌道が生成されるため、第2軌道生成部123bの処理周期である第2周期Tbが経過した時刻t6#(≒t6+Tb)では、第1目標軌道が提供されることになる。
【0082】
一方、図示の例では、第2軌道生成部123bの処理周期の合間に、外界認識部122から時刻t0における認識結果が提供されているため、第2軌道生成部123bは、認識結果が提供された時点で処理を開始する。この時点では、障害物OBが認識された以前(時刻t1以前)に生成された第1目標軌道が第1軌道生成部123aにより提供されているため、第1目標軌道と障害物OBとが干渉する場合がある。
【0083】
例えば、第2軌道生成部123bが、第1目標軌道と障害物OBとの干渉判定を行ってから、第2目標軌道を生成するという処理を行わない場合、第1軌道生成部123aにより回避のための第1目標軌道が生成されるまでの期間、時刻t1以前に生成された第1目標軌道が走行制御部141に提供されることになる。この結果、最大2Ta程度の時間が経過するまでの間、自車両Mは、障害物OBに対する回避行動をとれない場合がある。
【0084】
これに対して、本実施形態では、第2軌道生成部123bが、第1周期Taよりも短い第2周期Tbで、第1目標軌道と障害物OBとの干渉判定を行い、更に、これらが干渉していれば一周期Tb経過した時刻t1#(≒t1+tb)に第2目標軌道を走行制御部141に提供する。これにより、走行制御部141は、より早いタイミングで自車両Mの加減速を制御することができる。この結果、自車両Mは、障害物OBに対して、より速やかに回避行動をとることができる。
【0085】
また、第2軌道生成部123bは、障害物OBを考慮した第1目標軌道が生成されるまでの間、外界認識部122により時々刻々と認識され続ける障害物OBとの相対距離や相対速度に応じて、第2目標軌道の速度要素である目標速度および目標加速度を変更しながら第2目標軌道を生成し続ける。例えば、障害物OBが停止している場合、障害物OBと、これに接近する自車両Mとの相対距離は時間が経過するごとに短くなっていくため、第2軌道生成部123bは、処理周期(処理回数)を重ねるごとに、目標速度および目標加速度をより低下させながら第2目標軌道を生成する。これによって、自車両Mの速度および加速度は、段階的に減らされていくため、乗員の負荷を軽減することができる。
【0086】
図9は、本実施形態の制御方法を適用した自車両Mの挙動を模式的に示す図である。図中の各時刻における自車両Mの挙動は、図8において例示した、各時刻における第1軌道生成部123aおよび第2軌道生成部123bの処理結果を反映している。
【0087】
例えば、未だ障害物OBが認識されていない時刻t1以前において、定速走行イベントが計画されている場合、図示のように、第1軌道生成部123aは、目標速度を一定とし、且つ軌道点が同じ車線上に配置された第1目標軌道する。図中矢印V1は、第1目標軌道の速度要素および加速度要素を表し、その矢印の長さは、目標速度の大きさを表している。
【0088】
外界認識部122は、時刻t1において障害物OBを認識した場合、その認識結果を、第1軌道生成部123aおよび第2軌道生成部123bに提供する。上述したように、第1軌道生成部123aは、時刻t1以前の認識結果を参照して、第1目標軌道の生成処理を開始しているため、時刻t1の認識結果を反映できない。一方、第2軌道生成部123bは、時刻t1以前の認識結果(時刻t0での認識結果)を参照した一連の処理を終了しているため、時刻t1の認識結果を取得して処理を開始する。なお、外界認識部122は、第1軌道生成部123aおよび第2軌道生成部123bによる処理の開始タイミングと終了タイミングとを監視することで、処理実行中の生成部には認識結果を提供しないようにしてもよい。
【0089】
第2軌道生成部123bは、時刻t1#において、時刻t1の認識結果を参照して第2目標軌道を生成する。図中矢印V2は、第2目標軌道の目標速度を表し、その矢印の長さは、目標速度の大きさを表している。図中矢印V1とV2の長さを比較してわかるように、第2目標軌道の目標速度は、第1目標軌道の目標速度に比して小さいものとなる。これにより、走行制御部141は、障害物OBを考慮した第1目標軌道が生成される前に、障害物OBを考慮した第2目標軌道に基づいて、自車両Mの減速を開始する。
【0090】
時刻t6#において、第1軌道生成部123aにより提供される第1目標軌道は、例えば、図示のように、自車両Mを隣接車線へと車線変更させる軌道となる。この際、第1軌道生成部123aは、第2目標軌道に従って自車両Mが減速している際に、車両センサ40が検出した速度や加速度等の検出結果を用いて第1目標軌道を生成するため、直近の第2目標軌道と同程度の速度要素をもつ第2目標軌道を生成することになる。これによって、走行制御部141は、障害物OBを考慮した第1目標軌道に基づいて自車両Mの操舵および加減速を制御する際に、急な加速等をさせることなく、円滑に自車両Mを走行させることができる。
【0091】
以上説明した実施形態によれば、自車両Mの周辺の物標を認識する自車位置認識部121および外界認識部122と、自車位置認識部121および外界認識部122により認識された物標と、車両センサ40により検出された自車両Mの状態とに基づいて、自車両Mの将来の目標速度、目標加速度、および目標位置の要素を含む第1目標軌道を生成する処理を、第1周期Taで行う第1軌道生成部123aと、第1軌道生成部123aにより生成された第1目標軌道と、自車位置認識部121および外界認識部122により認識された物標と、車両センサ40により検出された自車両Mの状態とに基づいて、自車両Mの将来の目標速度、目標加速度、および目標位置の要素を含む第2目標軌道を生成する処理を、第1周期Taよりも短い第2周期Tbで行う第2軌道生成部123bと、第1軌道生成部123aにより生成された第1目標軌道、または第2軌道生成部123bにより生成された第2目標軌道の少なくとも一方に基づいて、自車両Mの加減速および操舵を制御する走行制御部141とを備えることにより、障害物OBなどの物標に対して、より速やかに回避行動をとることができる。
【0092】
以下、上述した実施形態の変形例について説明する。例えば、図1に示すように、自車両Mの周囲に複数のセンサ(カメラ10、レーダ12、およびファインダ14)が設けられている場、外界認識部122は、自車両Mの周囲に設けられた全てのセンサの検出結果を用いて認識した認識結果を、第1軌道生成部123aに提供し、自車両Mの周囲に設けられた複数のセンサのうち、自車両Mの前側に設けられたセンサ(例えば、カメラ10、レーダ12−1、ファインダ14−1)の検出結果を用いて認識した認識結果を、第2軌道生成部123bに提供するようにしてよい。
【0093】
例えば、第1軌道生成部123aは、推奨車線が設定された経路、道路区画線を用いて認識された自車両Mの位置、自車両Mの位置を基準とした物標の位置、自車両Mと物標との相対速度や相対距離等に基づいて、行動計画として種々のイベントを計画したり、各イベントに応じて第1目標軌道を生成したりするため、自車両M周囲の全てのセンサの検出結果を利用するのが好ましい。
【0094】
一方、第2軌道生成部123bは、第1目標軌道と障害物OBとの干渉判定をする際に、少なくとも障害物OBの認識結果のみを取得していればよいため、自車両Mの側方や後方を検出するセンサ(例えば、レーダ12−2から12−6、ファインダ14−2から14−7)の検出結果の利用を省略することができる。
【0095】
この結果、第2軌道生成部123bは、第1目標軌道の生成時に用いる情報に比して、より少ない情報(この場合、前側のセンサの検出結果と第1目標軌道)で、第2目標軌道を生成することができる。
【0096】
また、自車両Mの周辺環境を認識する際に利用するセンサの検出結果は、そのセンサの検出周期に基づいて選択されてもよい。
【0097】
図10は、センサの検出周期の一例を示す図である。図中の検出周期には、例えば、各センサが行う所定の処理の実行時間が含まれてよい。所定の処理とは、例えば、センサがカメラ10であれば、撮像画像の生成処理や、生成した撮像画像のコントラストなどを補正する画像処理であり、センサがレーダ12やファインダ14であれば、変復調をはじめとする各種信号処理である。
【0098】
例えば、図示のように、レーダ12の検出周期が、他のセンサに比して最も短い場合、外界認識部122は、レーダ12−1から12−6の検出結果を用いて認識した認識結果のみを第2軌道生成部123bに提供してよい。また、外界認識部122は、自車両Mの前側に設けられた複数のセンサ(例えば、カメラ10、レーダ12−1、ファインダ14−1)のうち、他のセンサに比して最も検出周期が短いセンサの検出結果を用いて認識した認識結果を、第2軌道生成部123bに提供してもよい。これによって、センサフュージョン処理において、各センサの検出結果の同期が速くなるため、より早いタイミングで、第2目標軌道が生成される。この結果、自車両Mは、障害物OBに対して、より速やかに回避行動をとることができる。
【0099】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0100】
1…車両制御システム、10…カメラ、12…レーダ、14…ファインダ、20…通信装置、30…HMI、40…車両センサ、50…ナビゲーション装置、51…GNSS受信機、52…ナビHMI、53…経路決定部、54…第1地図情報、60…MPU、61…推奨車線設定部、62…第2地図情報、80…運転操作子、100…自動運転制御ユニット、120…第1制御部、121…自車位置認識部、122…外界認識部、123…行動計画生成部、123a…第1軌道生成部、123b…第2軌道生成部、140…第2制御部、141…走行制御部、200…走行駆動力出力装置、210…ブレーキ装置、220…ステアリング装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】