特表-18182001IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井化学株式会社の特許一覧
<>
  • 再表WO2018182001-積層体及び吸音材 図000004
  • 再表WO2018182001-積層体及び吸音材 図000005
  • 再表WO2018182001-積層体及び吸音材 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年10月4日
【発行日】2019年11月7日
(54)【発明の名称】積層体及び吸音材
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/168 20060101AFI20191011BHJP
【FI】
   G10K11/168
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2019-509418(P2019-509418)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年3月30日
(31)【優先権主張番号】特願2017-72285(P2017-72285)
(32)【優先日】2017年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】飯場 康三
【テーマコード(参考)】
5D061
【Fターム(参考)】
5D061AA23
5D061AA25
5D061AA26
(57)【要約】
通気度が1cc/cm/sec以上30cc/cm/sec未満の第1の層と、通気度が30cc/cm/sec以上1000cc/cm/sec以下の第2の層と、通気度が1cc/cm/sec以上30cc/cm/sec未満の第3の層と、通気度が30cc/cm/sec以上1000cc/cm/sec以下の第4の層と、がこの順に積層した積層体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気度が1cc/cm/sec以上30cc/cm/sec未満の第1の層と、
通気度が30cc/cm/sec以上1000cc/cm/sec以下の第2の層と、
通気度が1cc/cm/sec以上30cc/cm/sec未満の第3の層と、
通気度が30cc/cm/sec以上1000cc/cm/sec以下の第4の層と、
がこの順に積層した積層体。
【請求項2】
前記第1の層及び前記第3の層の少なくとも1層は、不織布、多孔フィルム、織布、又は発泡体である請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記第2の層及び前記第4の層の少なくとも1層は、不織布、織布、又は発泡体である請求項1又は請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記第1の層の厚み及び前記第3の層の厚みは、それぞれ0.1mm以上2mm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項5】
前記第2の層の厚み及び前記第4の層の厚みは、それぞれ10mm以上50mm以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の積層体を含む吸音材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体及び吸音材に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅、オフィス等の住環境、航空機、車両、自動車等の輸送手段においては、外部からの騒音の遮断、内部からの音響を外部に漏らさない等の目的で、空気層を含むポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等の発泡体、フェルト、不織布等の繊維状物からなる吸音材が広く用いられている。
【0003】
特に、自動車等の輸送手段は、より軽量で且つ吸音性能に優れる吸音材が求められることから、吸音性能を改良する方法として、材質の異なる層をはり合わせて2層又は3層にして用いることが提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献5等)。
【0004】
特許文献1:特開2002−69823号公報
特許文献2:特開2002−161565号公報
特許文献3:特開2003−49351号公報
特許文献4:特開2014−232281号公報
特許文献5:特開2013−139188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1〜4で提案されている積層体のように、材質の異なる層をはり合わせて2層にした積層体は、特定の周波数領域において優れた吸音率を示すものの、当該周波数領域以外における吸音率が低下するという問題がある。
また、特許文献5で提案されている積層体は、広い周波数領域において吸音性が示されているものの、いまだ充分とは言えないのが現状である。
【0006】
本開示は、前記問題点に鑑みてなされたものであって、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示す積層体、及びこの積層体を含む吸音材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
<1> 通気度が1cc/cm/sec以上30cc/cm/sec未満の第1の層と、通気度が30cc/cm/sec以上1000cc/cm/sec以下の第2の層と、通気度が1cc/cm/sec以上30cc/cm/sec未満の第3の層と、通気度が30cc/cm/sec以上1000cc/cm/sec以下の第4の層と、がこの順に積層した積層体。
<2> 前記第1の層及び前記第3の層の少なくとも1層は、不織布、多孔フィルム、織布、又は発泡体である<1>に記載の積層体。
<3> 前記第2の層及び前記第4の層の少なくとも1層は、不織布、織布、又は発泡体である<1>又は<2>に記載の積層体。
<4> 前記第1の層の厚み及び前記第3の層の厚みは、それぞれ0.1mm以上2mm以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の積層体。
<5> 前記第2の層の厚み及び前記第4の層の厚みは、それぞれ10mm以上50mm以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の積層体。
【0008】
<6> <1>〜<5>のいずれか1つに記載の積層体を含む吸音材。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示す積層体、及びこの積層体を含む吸音材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る積層体の層構成の一例を示す概略部分断面図である。
図2図2は、実施例1、比較例1、及び比較例5の吸音材における吸音率の周波数特性を示す図である。
図3図3は、従来における積層体の層構成の一例を示す概略部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0012】
〔積層体〕
以下、本開示に係る積層体の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る積層体は、通気度が1cc/cm/sec以上30cc/cm/sec未満の第1の層(以下「低通気A層」ともいう)と、通気度が30cc/cm/sec以上1000cc/cm/sec以下の第2の層(以下「高通気B層」ともいう)と、通気度が1cc/cm/sec以上30cc/cm/sec未満の第3の層(以下「低通気C層」ともいう)と、通気度が30cc/cm/sec以上1000cc/cm/sec以下の第4の層(以下「高通気D層」ともいう)と、がこの順に積層した積層体である。
なお、通気度が1cc/cm/sec以上30cc/cm/sec未満の層を総称して「低通気層」ともいい、通気度が30cc/cm/sec以上1000cc/cm/sec以下の層を総称して「高通気層」ともいう。
【0013】
ここで、通気度(cc/cm/sec)は、サンプルの5箇所について、フラジール形試験機を用い、JIS L1096(2010)のA法(フラジール形法)に準拠して圧力差125Paでの通気量(層を通過する空気量)を測定し、平均した値である。
なお、積層体における各層の通気度を測定する場合は、測定対象の層を積層体から剥離して測定する。ただし、測定対象の層全体を積層体から剥離することが困難な場合は、測定対象の層の厚みを測定した上で、厚み方向の一部を切り出した試料の通気量を測定し、層厚みを考慮した値に換算することで、測定対象の層全体の通気度を求めてもよい。
【0014】
図1に、本実施形態に係る積層体の層構成の一例を示す。
図1に示す積層体10は、低通気A層12と、高通気B層14と、低通気C層16と、高通気D層18と、がこの順に積層されている。
積層体10は、上記構成であることにより、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示す。その理由は、以下のように推測される。
【0015】
従来における吸音材としては、例えば図3に示すように、低通気層112と、高通気層114と、をはり合わせて2層にした積層体110が挙げられる。積層体110では、上記2層構成とすることで、低通気層112が吸音層として機能し、高通気層114が背後空気層として機能するため、特定の周波数において、1層構成の吸音材に比べて高い吸音性能が得られる。具体的には、高通気層114における低通気層112と反対の面115を定常波の固定端としたとき、定常波の腹が低通気層112の位置となる周波数近辺の音(例えば、波長が高通気層114の厚みの4倍である音)に対して、高い吸音率が得られる。
しかしながら、積層体110では、前記特定の周波数以外の音、その中でも特に、定常波の節が低通気層112の位置となる周波数近辺の音(例えば、波長が高通気層114の厚みの2倍である音)に対しては、高い吸音率が得られにくい。
【0016】
これに対して積層体10は、低通気A層12、高通気B層14、低通気C層16、及び高通気D層18の順に積層されている。つまり、積層体10は、積層体110における低通気層112と同じ位置にある低通気A層12のほかに、積層体110における高通気層114の厚みの半分に相当する位置にも、通気度の低い低通気C層16が設けられている。
そして、積層体110と同様に、低通気A層12が吸音層として機能することで、高通気D層18における低通気C層16と反対側の面19を定常波の固定端としたとき、定常波の腹が低通気A層12の位置となる周波数近辺の音に対して高い吸音率が得られる。加えて、低通気C層16も吸音層として機能することで、定常波の節が低通気A層12の位置となり、かつ、定常波の腹が低通気C層16の位置となる周波数近辺の音(つまり、積層体110では高い吸音率が得られにくい音)に対しても、高い吸音率が得られる。
このようにして、積層体10では、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示す。
【0017】
また、積層体110を吸音材として用いる場合、吸音材を設置する環境によって積層体全体の厚みが制限されることがあり、高い吸音率が得られる周波数は高通気層114の厚みに依存するため、目的とする周波数に対して高い吸音率を得るのが難しい場合がある。しかし、積層体10を吸音材として用いれば、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示すため、積層体全体の厚みを変えずに、目的の周波数領域に対して高い吸音率を得やすくなる。
【0018】
なお、積層体10は、低通気A層12、高通気B層14、低通気C層16、及び高通気D層18がこの順に積層されていればよく、これらの層のほかに、その他の層(例えば補強層、接着層等)をさらに有してもよい。
その他の層は、層間(すなわち低通気A層12−高通気B層14間、高通気B層14−低通気C層16間、低通気C層16−高通気D層18間)に有してもよく、外側の面(すなわち低通気A層12における高通気B層14と反対側の面、面19)に有してもよい。
また、吸音率の入射方向依存性をなくすため、積層体10の面19に、通気度の低い層をさらに設けてもよい。
さらに、積層体10は、低通気A層12、高通気B層14、低通気C層16、及び高通気D層18の他に、低通気層及び高通気層をさらに有してもよい。具体的には、例えば、高通気D層18の面19側に、さらに低通気層と高通気層との組み合わせを追加した6層構成の積層体、8層構成の積層体等が挙げられる。これらの中でも、特に、低通気A層、高通気B層、低通気C層、高通気D層、低通気E層、及び高通気F層がこの順に積層した6層構成の積層体(不図示)が好ましい。
なお、低通気E層としては、低通気A層同様に、通気度が1cc/cm/sec以上30cc/cm/sec未満の層が好ましい。低通気E層の目付及び厚みについても低通気A層に準ずる。また、高通気F層としては、高通気B層同様に。通気度が30cc/cm/sec以上1000cc/cm/sec以下の層が好ましい。高通気F層の目付及び厚みについても高通気B層に準ずる。
すなわち、低通気層及び高通気層をさらに有する積層体の中でも、低通気層である第1の層と、高通気層である第2の層と、低通気層である第3の層と、高通気層である第4の層と、低通気層である第5の層と、高通気層である第6の層と、がこの順に積層した積層体が好ましい。
【0019】
なお、積層体10においては、低通気A層12と低通気C層16とが、同じ材質、同じ特性、及び同じ厚みを有する層であるが、各層の通気度が前記範囲であればこれに限られない。低通気層同士(すなわち、低通気A層12及び低通気C層16)における材質、特性、及び厚みは、それぞれ同じでもよく、異なっていてもよい。
また、積層体10においては、高通気B層14と高通気D層18とが、同じ材質、同じ特性、及び同じ厚みを有する層であるが、各層の通気度が前記範囲であればこれに限られない。高通気層同士(すなわち、高通気B層14及び高通気D層18)における材質、特性、及び厚みは、それぞれ同じでもよく、異なっていてもよい。
また、各層の通気度が前記範囲であれば、低通気層及び高通気層の両方を同じ材質(例えば不織布等)としてもよい。
以上のように、本開示の積層体は、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示す。そして、本開示の積層体を含む吸音材は、自動車用途に好適に用いることができる。特に、電気自動車では低音のロードノイズから高音のモーター音まで広い範囲の吸音特性が要求されるため、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を有する本開示の積層体は特に有用である。
【0020】
<通気度>
低通気A層12及び低通気C層16の通気度は、それぞれ1cc/cm/sec以上30cc/cm/sec未満であり、3cc/cm/sec以上20cc/cm/sec以下が好ましく、5cc/cm/sec以上10cc/cm/sec以下がより好ましい。
低通気A層12及び低通気C層16の通気度が上記範囲であることにより、上記範囲より高い場合に比べ積層体全体の通気度を低く抑えることができ、上記範囲よりも低い場合に比べ吸音層としての機能が発揮されやすくなる。
【0021】
高通気B層14及び高通気D層18の通気度は、それぞれ30cc/cm/sec以上1000cc/cm/sec以下であり、40cc/cm/sec以上700cc/cm/sec以下が好ましく、50cc/cm/sec以上500cc/cm/sec以下がより好ましい。
高通気B層14及び高通気D層18の通気度が上記範囲であることにより、上記範囲より低い場合に比べ吸音材の途中で反射する音波が少なくなり上記範囲よりも高い場合に比べ背後空気層としての機能が発揮されやすくなる。
【0022】
高通気B層14の通気度は、低通気A層12の通気度の2倍以上100倍以下が好ましく、5倍以上50倍以下がより好ましく、10倍以上20倍以下がさらに好ましい。
低通気C層16の通気度は、低通気A層12の通気度の0.5倍以上2倍以下が好ましく、0.7倍以上1.5倍以下がより好ましく、0.9倍以上1.1倍以下がさらに好ましい。
高通気D層18の通気度は、低通気C層16の通気度の2倍以上100倍以下が好ましく、5倍以上50倍以下がより好ましく、10倍以上20倍以下がさらに好ましい。
各層間における通気度の比が上記範囲であることにより、低通気層及び高通気層それぞれの役割が発揮され、積層体の吸音率が高くなる。
【0023】
積層体全体の通気度は、吸音率向上の観点から、例えば1cc/cm/sec以上25cc/cm/sec以下が挙げられ、2cc/cm/sec以上15cc/cm/sec以下が好ましく、3cc/cm/sec以上10cc/cm/sec以下がより好ましい。
【0024】
<厚み>
低通気A層12及び低通気C層16の厚みは、積層体全体の通気度を前記範囲に調整する観点から、それぞれ0.1mm以上2mm以下が好ましく、0.1mm以上1mm以下がより好ましく、0.1mm以上0.5mm以下がさらに好ましい。
高通気B層14及び高通気D層18の厚みは、吸音率を高めたい音の周波数に応じて設定され限定されるものではないが、例えばそれぞれ10mm以上50mm以下、好ましくは10mm以上40mm以下、より好ましくは10mm以上30mm以下が挙げられる。
高通気B層14の厚みと高通気D層18の厚みとの比は特に限定されず、目的の周波数領域における吸音率が向上する位置に低通気C層16を設ければよい。なお、低通気A層が吸音しにくい周波数の音を低通気C層で吸音させやすくする観点からは、高通気D層18の厚みが高通気B層14の厚みの0.7倍以上1.3倍以下であることが好ましく、0.9倍以上1.1倍以下であることがより好ましい。
積層体全体の厚みは、吸音率を高めたい音の周波数及び積層体を設置する環境等に応じて設定され、限定されるものではないが、例えば、20mm以上100mm以下が挙げられ、25mm以上80mm以下が好ましく、30mm以上60mm以下がより好ましい。
【0025】
<材質>
低通気層及び高通気層の材質は、各層における通気度が前記範囲内であれば特に限定されず、例えば、不織布、発泡体、多孔フィルム、紙、織物、編物、フェルト、無機繊維等のシート状のものが挙げられる。
【0026】
不織布としては、有機繊維(例えば樹脂繊維等)又はその混合物を含んで構成された不織布が挙げられ、長繊維不織布でも短繊維不織布でもよい。不織布としては、例えば、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ステッチボンド不織布、スパンレース不織布等が挙げられる。
なお、不織布の通気度は、例えば、厚み、目付、繊維径等を調整することでも制御でき、またカレンダー加工等の後加工により空隙率等を調整することでも制御できる。
【0027】
発泡体としては、気泡を含んだ樹脂材料が挙げられる。発泡体としては、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリオレフィン発泡体(例えばポリエチレンポリプロピレン発泡体等)、ポリスチレン発泡体、アクリル系共重合体の発泡体、ゴムの発泡体等が挙げられる。
なお、発泡体の通気度は、例えば、厚み、密度、独立気泡率等を調整することで制御できる。
【0028】
多孔フィルムとしては、微多孔膜、メソポーラス膜等が挙げられる。多孔フィルムとしては、例えば、充填剤を含む樹脂の延伸により多孔化したフィルム等の樹脂多孔フィルム、セメント多孔体フィルム等の無機多孔フィルム、ニードルパンチ等の加工により孔の開けられたフィルム等が挙げられる。
なお、多孔フィルムの通気度は、例えば、厚み、密度、孔径等を調整することで制御できる。
無機繊維としては、例えばガラス繊維、カーボンファイバー等が挙げられる。
【0029】
−低通気層の材質−
低通気層の材質は、これらの中でも、不織布、多孔フィルム、織布、又は発泡体が好ましく、その中でも、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布、ガラス繊維不織布、微多孔膜がより好ましく、メルトブローン不織布が特に好ましい。
【0030】
低通気層としてメルトブローン不織布を用いる場合、メルトブローン不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径としては、例えば0.1μm〜10μm、好ましくは1μm〜10μmの範囲が挙げられる。
【0031】
以下、低通気層に用いられる材料の一例として、メルトブローン不織布について説明する。
メルトブローン不織布は、例えば、溶融した熱可塑性樹脂組成物(すなわち、熱可塑性樹脂を含む組成物)をノズルより吐出するとともにガスを吹き付けて繊維化し、捕集して得られる。
【0032】
熱可塑性樹脂は、不織布を形成し得る熱可塑性樹脂であれば、特に限定はされず、種々 公知のものを用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、及び1−オクテン等のα−オレフィンの単独重合体若しくは共重合体であるポリオレフィン系重合体が挙げられる。
【0033】
オレフィン系重合体としては、例えば、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(所謂LLDPE)、高密度ポリエチレン等のエチレンの単独重合体;エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・1−ブテンランダム共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体等のエチレン系重合体;プロピレンの単独重合体(所謂ポリプロピレン);プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体(所謂ランダムポリプロピレン)、プロピレンブロック共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体等のプロピレン系重合体;1−ブテン単独重合体、1−ブテン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体等の1−ブテン系重合体;ポリ4−メチル−1−ペンテン単独重合体、4−メチル−1−ペンテン・プロピレン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体等の4−メチル−1−ペンテン系重合体;等が挙げられる。
【0034】
また、熱可塑性樹脂として、上記ポリオレフィン系重合体のほか、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(例えば、ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー又はこれらの混合物等も例示することができる。
【0035】
これら熱可塑性樹脂の中でも、成形時の紡糸安定性と、不織布の加工性、通気性、柔軟性、軽量性、及び耐熱性と、の観点から、ポリオレフィン系重合体が好ましく、ポリオレフィン系重合体の中でも、耐熱性、軽量性の面から、プロピレン系重合体がより好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、プロピレン系重合体の中でも、プロピレン単独重合体又はプロピレン・α−オレフィン共重合体がさらに好ましい。
【0036】
熱可塑性樹脂として好適なプロピレン系重合体としては、例えば、融点(Tm)が125℃以上(好ましくは130〜165℃)の範囲にあるプロピレンの単独重合体、又はプロピレンと1種若しくは2種以上の炭素数2以上(好ましくは炭素数2〜8)のα−オレフィン(例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等、但しプロピレンを除く)との共重合体が好ましい。
【0037】
プロピレン系重合体は、溶融紡糸し得る限り、メルトフローレート(MFR:ASTM D−1238、230℃、荷重2160g)は特に限定はされないが、例えば、10g/10分〜4000g/10分、好ましくは、50g/10分〜3000g/10分、さらに好ましくは100g/10分〜2000g/10分の範囲が挙げられる。
【0038】
熱可塑性樹脂繊維を形成する熱可塑性樹脂組成物には、本開示の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、耐候安定剤、耐光安定剤、ブロッキング防止剤、滑剤、顔料、柔軟剤、親水剤、助剤、撥水剤、フィラー、抗菌剤等の種々公知の添加剤が含まれていてもよい。
【0039】
なお、メルトブローン不織布は、メルトブローン法で形成された繊維のみからなるものでもよく、その他の繊維を含んでいてもよい。その他の繊維は、短繊維であっても長繊維であってもよく、また、捲縮した繊維であっても捲縮していない繊維であってもよい。これらのその他の繊維は、強度の付与などの機械的特性の付与、化学的特性の付与、増量など、任意の目的で添加することができる。
その他の繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル製の短繊維が挙げられる。
なお、その他の繊維の含量としては、例えば、メルトブローン不織布全体に対し、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下が挙げられる。
【0040】
−高通気層の材質−
高通気層の材質は、これらの中でも、不織布、発泡体が好ましく、その中でも、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布、ニードルパンチ不織布、ガラス繊維不織布、ポリウレタン発泡体、ポリオレフィン発泡体がより好ましく、ポリウレタン発泡体、メルトブローン不織布がさらに好ましく、ポリウレタン発泡体が特に好ましい。
【0041】
高通気層としてメルトブローン不織布を用いる場合、メルトブローン不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維の平均繊維径としては、例えば1μm〜60μm、好ましくは3μm〜20μmの範囲が挙げられる。
なお、高通気層に用いられるメルトブローン不織布に含まれる成分等については、前述の低通気層に用いられるメルトブローン不織布と同様である。
【0042】
高通気層として発泡体を用いる場合、発泡体におけるASTM D792のA法(水中置換法)に準拠して測定される密度としては、例えば9.0kg/m〜200kg/m、好ましくは10kg/m〜200kg/m、より好ましくは20kg/m〜200kg/mが挙げられる。
また、高通気層に用いられる発泡体におけるASTM D2856のC法に準拠して測定される独立気泡率としては、例えば0%以上60%未満、好ましくは0〜55%、より好ましくは0〜50%が挙げられる。つまり、高通気層に用いられる発泡体は、連続気泡構造を有することが、高通気層の通気度を高める観点及び積層体の吸音率を高める観点で、好ましい。
また、高空気層に用いられる発泡体におけるセルの平均直径(平均セル径)としては、例えば10μm以上2000μm以下、好ましくは300μm以上2000μm以下、より好ましくは600μm以上2000μm以下が挙げられる。
【0043】
以下、高通気層に用いられるポリウレタン発泡体について説明する。
ポリウレタン発泡体は、例えば、ポリイソシアネートと、ポリオールと、発泡剤と、必要に応じてその他の成分と、を含む組成物を反応させることで得られる。
ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、これらの誘導体等が挙げられ、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,2−、2,3−又は1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0045】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(例えば、4,4’−、2,4’−、若しくは2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート又はその混合物、H12MDI)、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン(例えば、2,5−若しくは2,6−ビス(イソシアナトメチル)ノルボルナン又はその混合物、NBDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
【0046】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート(例えば、1,3−若しくは1,4−キシリレンジイソシアネート又はその混合物、XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(例えば、1,3−若しくは1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート又はその混合物、TMXDI)、ω,ω’−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、ジフェニルメタンジイソシアネート(例えば、4,4’−、2,4’−、若しくは2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート又はその混合物、MDI)、トリレンジイソシアネート(例えば、2,4−若しくは2,6−トリレンジイソシアネート又はその混合物、TDI)、3,3’−ジメトキシビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、フェニレンジイソシアネート(m−若しくはp−フェニレンジイソシアネート又はその混合物)、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等が挙げられる。
【0047】
ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記ポリイソシアネートの多量体(例えば、2量体、3量体(例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体)、5量体、7量体等)、アロファネート変性体(例えば、上記ポリイソシアネートと、後述する低分子量ポリオールとの反応より生成するアロファネート変性体等)、ポリオール変性体(例えば、上記ポリイソシアネートと後述する低分子量ポリオールとの反応より生成するポリオール変性体(アルコール付加体)等)、ビウレット変性体(例えば、上記ポリイソシアネートと、水又はアミン類との反応により生成するビウレット変性体等)、ウレア変性体(例えば、上記ポリイソシアネートとジアミンとの反応により生成するウレア変性体等)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、上記ポリイソシアネートと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオン等)、カルボジイミド変性体(上記ポリイソシアネートの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体等)、ウレトジオン変性体、ウレトンイミン変性体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(例えば、クルードMDI、ポリメリックMDI)等が挙げられる。
【0048】
ポリオール成分としては、高分子量ポリオール、低分子量ポリオールが挙げられ、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量1000以上の化合物であり、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、及びビニルモノマー変性ポリオール等が挙げられる。
【0049】
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量1000未満の化合物であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜20)ジオール、シクロヘキサンジメタノール(例えば、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジメタノール又はそれらの混合物)、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミン等の3価アルコール;テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリン等の4価アルコール;キシリトール等の5価アルコール;ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトール等の6価アルコール;ペルセイトール等の7価アルコール;ショ糖等の8価アルコール;等の多価アルコールが挙げられる。
また、低分子量ポリオールとしては、例えば、低分子量(数平均分子量1000未満)のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等も挙げられる。
【0050】
発泡剤としては、例えば、水、ハロゲン置換脂肪族炭化水素系発泡剤(例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、塩化メチレン、トリクロロトリフルオロエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、四塩化炭素等)等が挙げられる。
発泡剤は、単独使用又は2種以上併用することができる。
【0051】
ポリウレタン発泡体を得るための組成物は、その他の成分として、例えば触媒を含んでもよい。
触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサハイドロ−S−トリアジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類;テトラエチルヒドロキシルアンモニウム等の4級アンモニウム塩;イミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;等のアミン系触媒が挙げられる。また、触媒として、上記アミン系触媒のほかに、例えば、酢酸スズ、オクチル酸スズ、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズクロライド等の有機スズ系化合物;オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛等の有機鉛系化合物;ナフテン酸ニッケル等の有機ニッケル系化合物;等の有機金属系触媒も挙げられる。
触媒は、単独使用又は2種以上併用することができる。
【0052】
ポリウレタン発泡体を得るための組成物に含まれるその他の成分は、上記触媒のほかに、例えば、整泡剤、難燃剤、減粘剤、老化防止剤、顔料等が挙げられる。
【0053】
<積層体の製造方法>
積層体の製造は、各層を別々に形成してから積層してもよく、積層しながら順次各層を形成してもよい。
例えば積層体10を製造する場合、低通気A層12、高通気B層14、低通気C層16、及び高通気D層18をそれぞれ形成した後に、得られた各層を積層してもよい。また、例えば、低通気A層12を形成した後、低通気A層12上において高通気B層14の形成を行い、同様に低通気C層16及び高通気D層18を順次形成してもよい。
【0054】
層と層との間における接着方法は、層の材質によっても異なるが、例えば、接着剤(例えば、ホットメルト接着剤、ウレタン系接着剤等)を用いた接着、熱融着(例えば、熱処理、熱エンボス加工、超音波融着等)、機械的交絡(例えば、ニードルパンチ、ウォータージェット等)等が挙げられる。
また、積層体は、本開示の目的を損なわない範囲で、例えば、印刷、塗布、熱処理、賦型加工等の二次加工を施してもよい。
【0055】
<積層体の用途>
積層体10は、前述したように、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示すため、特に吸音材用途に適しているが、これに限られず、断熱材、フィルター等の他の用途に用いてもよい。
【0056】
〔吸音材〕
本実施形態に係る吸音材は、上述した積層体を含む。具体的には、例えば、図1に示す積層体10を含む吸音材は、積層体10から構成された吸音材であってもよく、基材等に積層体10の面19側を貼り付けた吸音材であってもよい。積層体10を含む吸音材では、積層体10の低通気A層12側が音の入射側に来るように設置することで、広い周波数領域にわたってすぐれた吸音性が得られる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例に基づいて本開示をさらに具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
実施例、参考例及び比較例における物性値等は、以下の方法により測定した。
(1)目付(g/m
機械方向(MD)100mm×横方向(CD)100mmの目付測定用試料を10枚切り出し、これら10枚の目付測定用試料から平均値を算出した。
【0059】
(2)厚み(mm)
上記10枚の目付測定用試料について、中央及び四隅の計5箇所の厚みをそれぞれ測定し、計50箇所の平均値を算出した。厚みの測定には、荷重が7gf/cm(測定子直径50mmφ)の厚み計を使用した。
【0060】
(3)通気度(cc/cm/sec)
測定用試料(100mm×100mm)の中央及び四隅の計5箇所について、フラジール形試験機を用い、JIS L1096に準拠して圧力差125Paでの通気量を測定し、平均値を求めた。
【0061】
(4)吸音率(吸音性能)
得られた積層体から29mmφの円形の試験片を採取し、垂直入射吸音率測定装置〔ブリュエル&ケアー社製TYPE4206〕を用い、ASTM E 1050に準拠して、周波数1000〜6400Hzにおける試験片に平面音波が垂直に入射するときの垂直入射吸音率を測定した。得られた1000〜6400Hzの吸音率カーブから、1000Hz及び5000Hzの吸音率を求めた。なお、表1に示す吸音率は、入射した音がすべて吸音された場合を「1」とした値である。
【0062】
(5)不織布の平均繊維径(μm)
得られた不織布について、(株)日立製作所製電子顕微鏡「S−3500N」を用いて、倍率1000倍の写真を撮影し、撮影された写真から任意に繊維100本を選び、その繊維の幅(直径)を測定し、数平均に基づき平均繊維径を算出した。
【0063】
(6)発泡体の密度(kg/m
発泡体の密度は、ASTM D792のA法(水中置換法)に準拠して測定した。
【0064】
[実施例1]
<各層の準備>
積層体10の高通気B層14(第2層)及び高通気D層18(第4層)として、発泡成形されたウレタン製シート(イノアック製、品名:ECS10、密度:22kg/m)をそれぞれ準備した。ウレタン製シート(表1中の「第2層」及び「第4層」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
積層体10の低通気A層12(第1層)及び低通気C層16(第3層)として、以下のようにしてメルトブローン不織布(平均繊維径:1μm)を作製した。得られたメルトブローン不織布(表1中の「第1層」及び「第3層」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
【0065】
熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体(メルトフローレート:1550g/10分、融点157℃、以下「PP」と表記する〕を用い、上記熱可塑性樹脂をそのまま熱可塑性樹脂組成物として用いた。
ノズルとしてノズル孔径0.20mmであるメルトブローン用紡糸ノズルを装着したメルトブローン不織布製造装置を用いてメルトブローン不織布を得た。具体的には、このメルトブローン不織布製造装置を用いて、300℃で熱可塑性樹脂組成物を押出し、紡糸ノズルの両側から吹き出す加熱エアー(300℃、350Nm/m/時)で押出しにより得た繊維を細化及び固化した後、この繊維を紡糸ノズルからの距離20cmで捕集して、メルトブローン不織布を得た。
【0066】
<積層体の製造>
準備した各層の接着にはスプレー型接着剤(3M社製、品名:スプレーのり55)を用いた。
具体的には、まず、高通気D層18(第4層)となるウレタン製シートの表面に接着剤を散布して低通気C層16(第3層)となるメルトブローン不織布を重ねた。同様に、低通気C層16(第3層)となるメルトブローン不織布の表面に接着剤を散布して高通気B層14(第2層)となるウレタン製シートを重ねた。さらに、高通気B層14(第2層)となるウレタン製シートの表面に接着剤を散布して低通気A層12(第1層)となるメルトブローン不織布を重ねた。
【0067】
以上のようにして、接着剤を介して4層積層した実施例1の積層体を得た。
得られた積層体全体(表1中の「合計」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
また、得られた積層体における吸音性能を表1(表1中の「吸音率」)に示す。
さらに、実施例1の積層体における吸音率の周波数依存性を図2に示す。なお、図2に示すグラフの縦軸は吸音率、横軸は周波数(Hz)である。
【0068】
[実施例2]
積層体10の高通気B層14(第2層)及び高通気D層18(第4層)として、ウレタン製シートの代わりに、下記方法により得られたニードルパンチ不織布(平均繊維径:30μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。得られたニードルパンチ不織布(表1中の「第2層」及び「第4層」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
得られた積層体全体(表1中の「合計」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
また、得られた積層体における吸音性能を表1(表1中の「吸音率」)に示す。
なお、上記ニードルパンチ不織布は、以下のようにして製造した。
平均繊維径20μm、平均繊維長50mmのポリエチレンテレフタレート繊維(以下「PET短繊維」ともいう)を、ニードルパンチ機にて不織布シート状にすることで、ニードルパンチ不織布を得た。
【0069】
[実施例3]
前記6層構成の積層体における高通気B層(第2層)、高通気D層(第4層)、及び高通気F層(第6層)として、厚みを13mm、目付けを286g/m、通気度を166cc/cm/secとしたウレタン製シート(イノアック製、品名:ECS)をそれぞれ準備した。
前記6層構成の積層体における低通気A層(第1層)、低通気C層(第3層)、及び低通気E層(第5層)として、厚みを0.1mm、目付けを10g/m、通気度を7cc/cm/secとしたメルトブローン不織布を準備した。このメルトブローン不織布は、実施例1の第1層及び第3層と同じ物である。
実施例1と同様にして、第1層〜第6層の順に接着剤を介して積層し、全6層からなる積層体を得た。得られた実施例3の積層体における吸音性能を表1(表1中の「吸音率」)に示す。
【0070】
[比較例1]
図3に示す積層体110の高通気層114(第2層)として、厚み及び目付以外は実施例1の高通気層と同様のウレタン製シート(イノアック製、品名:ECS)を準備した。ウレタン製シート(表1中の「第2層」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
また、図3に示す積層体110の低通気層112(第1層)として、実施例1の低通気層と同様のメルトブローン不織布を作製した。得られたメルトブローン不織布(表1中の「第1層」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
【0071】
実施例1と同様にして2層の接着を行った。
得られた積層体全体(表1中の「合計」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。なお、表1中の斜線は、該当する層を有していないことを示し、以下同様である。
また、得られた積層体における吸音性能を表1(表1中の「吸音率」)に示す。
さらに、比較例1の積層体における吸音率の周波数依存性を図2に示す。
【0072】
[比較例2]
図3に示す積層体110の低通気層112(第1層)として、厚み及び目付以外は実施例1の低通気層と同様のメルトブローン不織布を作製した以外は、比較例1と同様にして積層体を得た。
得られたメルトブローン不織布(表1中の「第1層」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
また、得られた積層体全体(表1中の「合計」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
さらに、得られた積層体における吸音性能を表1(表1中の「吸音率」)に示す。
【0073】
[比較例3]
図3に示す積層体110の高通気層114(第2層)として、厚み及び目付以外は実施例2の高通気層と同様のニードルパンチ不織布を作製した以外は、比較例1と同様にして積層体を得た。
得られたニードルパンチ不織布(表1中の「第2層」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
また、得られた積層体全体(表1中の「合計」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
さらに、得られた積層体における吸音性能を表1(表1中の「吸音率」)に示す。
【0074】
[比較例4]
単層不織布吸音材(3M製、品名:TAI4027)を単層で用いた。
単層不織布吸音材全体(表1中の「合計」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
さらに、得られた積層体における吸音性能を表1(表1中の「吸音率」)に示す。
【0075】
[比較例5]
単層不織布吸音材(3M製、品名:TAI4027)を2層用い、実施例1と同様にして2層の接着を行って、積層体を得た。
得られた積層体全体(表1中の「合計」)における目付(表1中の「目付」、単位:g/m)、通気度(表1中の「通気」、単位:cc/cm/sec)、及び厚み(表1中の「厚み」、単位:mm)を表1に示す。
また、得られた積層体における吸音性能を表1(表1中の「吸音率」)に示す。
さらに、比較例5の積層体における吸音率の周波数依存性を図2に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1及び図2に示すように、実施例では、比較例に比べ、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示すことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本開示の積層体は、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を示すため、自動車、電車、船舶、航空機等の輸送機;掃除機、洗濯機、冷蔵庫、冷凍庫、乾燥機、ミキサー、エアコン、空気清浄機等の電化製品;複写機、ファクシミリ、パソコン、印刷機等のOA機器;壁材、天井材、床材等の家屋等を始め、吸音材を必要とする用途に用い得る。中でも、吸音材全体の厚みに制限のある用途(例えば、自動車等)では、全体の厚みを変えずに広い周波数領域にわたって吸音性を高めることができるため、本開示の積層体が特に有用である。また、電気自動車用途では、低音のロードノイズから高音のモーター音まで広い範囲の吸音特性が要求されるため、広い周波数領域にわたって優れた吸音性を有する本開示の積層体が特に有用である。
【0079】
2017年3月31日に出願された日本国特許出願2017−072285号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】