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再表2018-216363ケアサポートシステムおよび電波制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年11月29日
【発行日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】ケアサポートシステムおよび電波制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/52 20060101AFI20200303BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20200303BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20200303BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   G01S13/52
   A61B5/11 110
   G08B21/02
   G08B25/04 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
【出願番号】特願2019-519502(P2019-519502)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年4月4日
(31)【優先権主張番号】特願2017-103863(P2017-103863)
(32)【優先日】2017年5月25日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 滋
(72)【発明者】
【氏名】楠田 将之
(72)【発明者】
【氏名】木戸 稔人
【テーマコード(参考)】
4C038
5C086
5C087
5J070
【Fターム(参考)】
4C038SS08
4C038ST04
4C038SV01
4C038SX07
4C038VA04
4C038VA15
4C038VA16
4C038VB01
4C038VB32
4C038VB33
4C038VB35
4C038VC01
4C038VC05
5C086AA22
5C086BA07
5C086CA06
5C086CA11
5C086CA28
5C086CB27
5C086CB36
5C086DA33
5C086EA15
5C086FA17
5C087AA19
5C087BB11
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD29
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF23
5C087GG50
5C087GG59
5C087GG83
5J070AB24
5J070AE09
5J070AF01
5J070AH35
5J070AH39
5J070AK13
5J070AK16
5J070AK22
5J070AK28
5J070BA01
5J070BD08
(57)【要約】
ケアサポートシステムは、センサ部と、放射制御部とを含む。センサ部は、被検者の居室に設置される動体検知ユニットの筐体内に配置され、電波の放射および受信によって被検者の生体情報を検知する。放射制御部は、生体情報の非検知時に、電波の放射周波数を変化させながら上記電波の受信によってセンサ部にてノイズレベルを検知させ、検知されたノイズレベルが、生体情報を検知可能な所定レベルよりも小さくなるような放射周波数を、生体情報の検知時にセンサ部から放射する電波の放射周波数として設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の居室に設置される動体検知ユニットの筐体内に配置され、電波の放射および受信によって被検者の生体情報を検知するセンサ部と、
前記電波の放射周波数を制御する放射制御部とを備え、
前記放射制御部は、前記生体情報の非検知時に、前記電波の放射周波数を変化させながら前記電波の受信によって前記センサ部にてノイズレベルを検知させ、検知された前記ノイズレベルが、前記生体情報を検知可能な所定レベルよりも小さくなるような放射周波数を、前記生体情報の検知時に前記センサ部から放射する電波の放射周波数として設定する、ケアサポートシステム。
【請求項2】
前記動体検知ユニットと通信可能に接続される管理サーバーをさらに含み、
前記放射制御部は、前記管理サーバーから、前記センサ部の向きの調整が完了したことを示す調整完了情報を取得した後に、前記放射周波数を変化させて前記センサ部にて前記ノイズレベルを検知させる、請求項1に記載のケアサポートシステム。
【請求項3】
前記動体検知ユニットは、
居室内を撮影して画像を取得する撮像部と、
前記撮像部にて取得された画像から、画像認識によって居室内の被検者の有無を検知する画像認識部とをさらに含み、
前記放射制御部は、前記画像認識部が居室内で被検者が不在であることを検知した後に、前記放射周波数を変化させて前記センサ部にて前記ノイズレベルを検知させる、請求項2に記載のケアサポートシステム。
【請求項4】
前記放射制御部は、検知された前記ノイズレベルが最小となるような放射周波数を、前記生体情報の検知時に前記センサ部から放射する電波の放射周波数として設定する、請求項1から3のいずれかに記載のケアサポートシステム。
【請求項5】
被検者の居室に設置される動体検知ユニットの筐体内に配置され、電波の放射および受信によって被検者の生体情報を検知するセンサ部にて、前記生体情報の非検知時に、前記電波の放射周波数を変化させながら前記電波の受信によってノイズレベルを検知させるノイズ検知工程と、
検知された前記ノイズレベルが、前記生体情報を検知可能な所定レベルよりも小さくなるような放射周波数を、前記生体情報の検知時に前記センサ部から放射する電波の放射周波数として設定する設定工程とを含む、電波制御方法。
【請求項6】
前記動体検知ユニットが、該動体検知ユニットと通信可能に接続される管理サーバーから、前記センサ部の向きの調整が完了したことを示す調整完了情報を取得する情報取得工程をさらに含み、
前記ノイズ検知工程は、前記情報取得工程の後に行われる、請求項5に記載の電波制御方法。
【請求項7】
居室内を撮影して画像を取得する撮影工程と、
前記画像から、画像認識によって居室内の被検者の有無を検知する画像認識工程とをさらに含み、
前記ノイズ検知工程は、前記画像認識工程にて、居室内で被検者が不在であることを検知した後に行われる、請求項6に記載の電波制御方法。
【請求項8】
前記設定工程では、前記ノイズ検知工程で検知された前記ノイズレベルが最小となるような放射周波数を、前記生体情報の検知時に前記センサ部から放射する電波の放射周波数として設定する、請求項5から7のいずれかに記載の電波制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の居室に設置される動体検知ユニットの筐体内に配置されるセンサ部が、電波の放射および受信によって被検者の生体情報(例えば呼吸状態)を検知するケアサポートシステムと、電波の放射周波数を制御する電波制御方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、物体に向けて電波を放射し、物体で反射してドップラーシフトした反射波を受信することで、物体の動きを検知するドップラーセンサが種々提案されている。このようなドップラーセンサでは、検知精度を上げるために、クラッターと呼ばれる不要なノイズ(検知対象以外の物体での反射波)を極力低減することが必要とされる。そこで、例えば特許文献1では、検知対象の物体が存在しない状態(クラッターのみが存在する状態)で取得した信号と、検知対象の物体が存在する状態(物体およびクラッターが存在する状態)で取得した信号との差をとることにより、ノイズとなるクラッター信号を除去するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−3289号公報(請求項1、段落〔0022〕、〔0023〕等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、介護施設や病院などにおいて、被介護者等の被検者の日常の生活を支援することを目的として、ドップラーセンサ(以下、センサ部とも称する)を用いて被検者の状態を検知し、これをサーバーで管理するケアサポートシステムが利用されつつある。このようなケアサポートシステムにおいても、センサ部での検知精度を上げることが望まれるが、このときに上記した特許文献1の方法を適用することは、以下の理由により適切ではない。
【0005】
上記した特許文献1の方法は、観測したい信号(物体での反射波)がクラッター信号よりも大きい場合のみ有効である。観測したい信号がクラッター信号よりも小さい場合、観測したい信号がクラッター信号の中に埋もれてしまうため、減算処理を行うと、観測したい信号を検知することができなくなる。特に、介護施設では、高齢者が入居している場合が多く、高齢者の場合、センサ部で検知される信号(例えば呼吸信号)は、中年層や若年層の人に比べて小さい。このため、観測したい信号(呼吸信号)がクラッター信号よりも小さい場合が多い。したがって、ケアサポートシステムでは、減算処理によってクラッター信号を除去する方法は採用できない。
【0006】
また、介護施設では、高齢や身体不自由などの理由により、一日の大半を居室内で過ごす被介護者も多い。このため、介護施設で構築されるケアサポートシステムにおいて、居室内で被介護者が存在せず、クラッターのみが存在する状況を自由に作り出すことができない。このため、ケアサポートシステムの用途では、クラッターのみが存在する状況を故意に作り出して減算処理を行う特許文献1の方法を使用することは困難である。
【0007】
また、ケアサポートシステムにおいて、センサ部(ドップラーセンサ)は筐体で覆われており、例えば居室の天井に設置される。そして、センサ部の向きは、通常、居室内のベッドや布団の方向を向くように調整される(就寝中の呼吸状態を検知するため)。センサ部の向きを調整すると、センサ部とその前方の筐体との相対的な位置関係(例えば相対距離)が変化するため、センサ部から放射される電波の放射周波数を一定としたとき、センサ部の向きによっては、センサ部から放射されて筐体内面で反射され、センサ部に戻ってくる不要な反射波(クラッター)が増大し、センサ部の向きによって検知性能がばらつく。したがって、センサ部がどの向きに設定されても、筐体との相対位置の変化に起因するノイズの増大を抑え、センサ部の向きによる検知性能のばらつきを抑えることが望まれる。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、クラッター信号の減算処理を行うことなく、ノイズとなるクラッターを低減してセンサ部(ドップラーセンサ)での検知精度を上げるとともに、センサ部の向きによる検知性能のばらつきを抑えることができるケアサポートシステムおよび電波制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係るケアサポートシステムは、被検者の居室に設置される動体検知ユニットの筐体内に配置され、電波の放射および受信によって被検者の生体情報を検知するセンサ部と、前記電波の放射周波数を制御する放射制御部とを備え、前記放射制御部は、前記生体情報の非検知時に、前記電波の放射周波数を変化させながら前記電波の受信によって前記センサ部にてノイズレベルを検知させ、検知された前記ノイズレベルが、前記生体情報を検知可能な所定レベルよりも小さくなるような放射周波数を、前記生体情報の検知時に前記センサ部から放射する電波の放射周波数として設定する。
【0010】
本発明の他の側面に係る電波制御方法は、被検者の居室に設置される動体検知ユニットの筐体内に配置され、電波の放射および受信によって被検者の生体情報を検知するセンサ部にて、前記生体情報の非検知時に、前記電波の放射周波数を変化させながら前記電波の受信によってノイズレベルを検知させるノイズ検知工程と、検知された前記ノイズレベルが、前記生体情報を検知可能な所定レベルよりも小さくなるような放射周波数を、前記生体情報の検知時に前記センサ部から放射する電波の放射周波数として設定する設定工程とを含む。
【発明の効果】
【0011】
ケアサポートシステムにおいて、クラッター信号の減算処理を後処理で行うことなく、ノイズとなるクラッターを低減してセンサ部での検知精度を上げるとともに、センサ部の向きによる検知性能のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の一形態に係るケアサポートシステムの概略の構成を示す説明図である。
図2】上記ケアサポートシステムの動体検知ユニットが設置された居室内の様子を模式的に示す説明図である。および第2の電波検出部が設置された居室内の様子を模式的に示す説明図である。
図3】上記動体検知ユニットの概略の構成を示すブロック図である。
図4】上記動体検知ユニットが有する光学検出部の詳細な構成を示すブロック図である。
図5】上記光学検出部での撮影によって取得された画像の一例を模式的に示す説明図である。
図6】上記動体検知ユニットの筐体の前カバーの取付状態および離脱状態のそれぞれにおける、上記動体検知ユニットおよび電波検出部の断面図である。
図7】上記電波検出部から出力される、無人のときの検知信号のフーリエ変換スペクトルの一例を示す説明図である。
図8】被介護者の呼吸状態を検知したときの、検知信号のフーリエ変換スペクトルを示す説明図である。
図9図6で示した動体検知ユニットの内部で発生するクラッター信号の発生経路を模式的に示す説明図である。
図10】上記電波検出部のセンサ部にて検知される呼吸信号の大きさと、ノイズレベルとの関係を模式的に示す説明図である。
図11】無人のときに上記センサ部にて検知される信号のフーリエ変換スペクトルを、クラッター信号の大小のそれぞれについて示す説明図である。
図12】クラッター信号が呼吸信号のパワーレベルよりも大きい場合の、上記センサ部での検知信号のフーリエ変換スペクトルを示す説明図である。
図13】波の干渉現象を説明するための説明図である。
図14】居室内の複数のベッドの位置に応じて変化する上記センサ部の向きを示す説明図である。
図15】レドーム角度とノイズレベルとの関係の一例を示す説明図である。
図16】送信波の放射周波数を変化させた場合の、送信波、反射波および合成波の各波形を模式的に示す説明図である。
図17】異なる放射周波数でのノイズレベルのレドーム角度依存性を示す説明図である。
図18】具体例のケアサポートシステムの構成を示すブロック図である。
図19】上記ケアサポートシステムにおける動作の流れを示すフローチャートである。
図20】各放射周波数と、検知されるノイズレベルとの対応関係を示すテーブルである。
図21】各放射周波数と上記ノイズレベルとの関係を示すグラフである。
図22】上記ノイズレベルを所定レベルと比較して示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0014】
〔ケアサポートシステムの概略〕
図1は、本実施形態のケアサポートシステム1の概略の構成を示す説明図である。ケアサポートシステム1は、介護施設や一般住宅に入居している被介護者や、病院に入院している患者(被看護者)の日常の生活を支援するためのシステムであり、見守りシステムとも呼ばれている。被介護者および被看護者は、ケアサポートシステム1による支援の対象、つまり、後述する画像認識システム20や電波検出部30での認識や検出等によって管理される対象者(被検者)である。ここでは、例として、ケアサポートシステム1が介護施設内で構築されている場合について説明する。
【0015】
介護施設には、スタッフステーション100および居室101が設けられている。スタッフステーション100は、介護施設で過ごす被介護者の生活をサポートする介護者のいわゆる詰め所である。このスタッフステーション100には、管理サーバー100aおよび表示部100bが設けられている。管理サーバー100aは、通信回線200を介して、居室101に設置される後述の動体検知ユニット10と通信可能に接続される端末装置であり、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)を含んで構成される。なお、通信回線200は、例えば有線LAN(Local Area Network)で構成されるが、無線LANであっても勿論構わない。
【0016】
管理サーバー100aは、通信回線200を介して、動体検知ユニット10から送信(出力)される各種の情報(例えば居室101内の撮影画像や被介護者の生体情報)を受信して管理するとともに、受信した情報を表示部100bに表示する処理を行う。これにより、介護施設の介護者は、表示部100bに表示された情報を見て、居室101内の様子や被介護者の生体情報を把握することができる。表示部100bは、例えばパーソナルコンピュータのディスプレイで構成することができる。また、後述する画像認識システム20での画像認識処理により、被介護者が床面で転倒するなど、被介護者の動作が異常であることが認識されたときには、管理サーバー100aは、動体検知ユニット10からその旨の情報を受信して、動体検知ユニット10の光学検出部23で取得される居室101内の撮影画像のデータを、介護者が所有する携帯端末に送信し、被介護者の異常を介護者に知らせることも可能である。なお、管理サーバー100aから上記携帯端末への画像データの送信時には、画像のサイズや解像度は適宜調整される。
【0017】
居室101は、介護施設において少なくとも1つ設けられており、図1では例として居室101が2つ設けられている場合を示している。各居室101内には、被介護者が使用するベッド102が1つ設置されている。なお、1つの居室101内に被介護者が二人以上入居する場合、被介護者の各々に対応する複数のベッド102が設置される。
【0018】
図2は、動体検知ユニット10が設置された居室101内の様子を模式的に示す説明図である。図1および図2に示すように、動体検知ユニット10は、各居室101の天井部101aに設置され、通信回線200と通信可能に接続されている。居室101が複数のベッド102が設置された多床室である場合、動体検知ユニット10は各ベッド102に対応して居室101の天井部101aに設置される。
【0019】
上述したケアサポートシステム1は、少なくとも1つの居室101に設置される動体検知ユニット10(少なくとも1つの動体検知ユニット10)と、スタッフステーション100に設けられた管理サーバー100aとを、通信回線200を介して通信可能に接続して構成されている。
【0020】
〔動体検知ユニット〕
次に、上記した動体検知ユニット10の詳細について説明する。図3は、動体検知ユニット10の概略の構成を示すブロック図である。動体検知ユニット10は、居室101内の被介護者の情報を検知するユニットであり、筐体11(図6参照)内に、画像認識システム20、電波検出部30およびユニット制御部40を備えている。動体検知ユニット10は、上記の電波検出部30をはじめ、後述する光学検出部23など、種々のセンサを備えていることから、センサボックスとも呼ばれる。
【0021】
画像認識システム20は、照明部21、照明制御部22および光学検出部23を備えている。照明部21は、暗闇での撮影を可能にすべく、赤外線(例えば近赤外光)を発光するLED(Light Emitting Diode)を含んで構成されており、居室101の天井部101aの中央部に位置して、居室101内を照明する。例えば、照明部21は、複数のLEDを有しており、居室101内の床面101b(図2参照)や、天井部101aと床面101bとをつなぐ壁を照明する。照明制御部22は、例えばCPUで構成されて、照明部21による照明(赤外線の発光)を制御する。
【0022】
光学検出部23は、照明部21の照明のもとで居室101内を撮影して画像を取得する撮像部であり、例えばカメラで構成される。図4は、光学検出部23の詳細な構成を示すブロック図であり、図5は、光学検出部23での撮影によって取得された画像の一例を模式的に示している。光学検出部23は、居室101の天井部101a(図2参照)の中央部に、照明部21と隣接して配置されており、撮影によって視野方向が直下である直上視点の画像を取得する。この光学検出部23は、レンズ51、撮像素子52、AD変換部53、画像処理部54および制御演算部55を備えている。
【0023】
レンズ51は、例えば固定焦点レンズであり、一般的な超広角レンズや魚眼レンズで構成されている。超広角レンズとしては、対角画角が150°以上のレンズを用いることができる。これにより、図5で示したように、天井部101aから居室101の全体を撮影することが可能となり、室内の被介護者と部屋全体とを死角レスで撮影することが可能となる。
【0024】
撮像素子52は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)といったイメージセンサで構成されている。撮像素子52は、真っ暗な環境でも被介護者の状態が画像として検出できるように、IRカットフィルタを除去して構成されている。撮像素子52からの出力信号は、AD変換部53に入力される。
【0025】
AD変換部53は、撮像素子52によって撮像された画像のアナログの画像信号を受信し、そのアナログの画像信号をデジタルの画像信号に変換する。AD変換部53から出力されるデジタルの画像信号は、画像処理部54に入力される。
【0026】
画像処理部54は、AD変換部53から出力されるデジタルの画像信号を受信し、そのデジタルの画像信号に対して、例えば黒補正、ノイズ補正、色補間、ホワイトバランスなどの画像処理を実行する。画像処理部54から出力される画像処理後の信号は、後述する画像認識部25に入力される。
【0027】
制御演算部55は、撮像素子52の制御に関する例えばAE(Automatic Exposure)などの演算を実行するとともに、撮像素子52に対して露光時間やゲインなどの制御を実行する。また、制御演算部55は、必要に応じて、照明部21に対して好適な光量設定や配光設定などの演算を実行するとともに、制御を実行する。なお、制御演算部55に、上述の照明制御部22の機能を持たせるようにしてもよい。
【0028】
上記の画像処理部54および制御演算部55は、例えば別々のCPUで構成されるが、1つのCPUで一体的に構成されてもよいし、画像処理や演算処理を行う専用の回路でそれぞれ構成されてもよい。
【0029】
上記した画像認識システム20は、さらに、記憶部24および画像認識部25を備えている。
【0030】
記憶部24は、ユニット制御部40が実行する制御プログラムや各種の情報を記憶するメモリであり、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリなどで構成されている。
【0031】
画像認識部25は、光学検出部23にて取得された画像の画像データに対して画像認識処理を行う。より具体的には、画像認識部25は、光学検出部23の画像処理部54が画像処理を実行した後の信号を受信し、例えば対象物の輪郭を抽出してパターンマッチング等の手法で形状を認識する画像認識処理を実行する。これにより、画像認識部25は、居室101内にいる被介護者の状態を認識することができる。
【0032】
ここで、居室101内にいる被介護者の状態としては、起床、離床、入床、転倒などが想定される。起床は、被介護者が目を覚ましてから、ベッドの上で体を起こすまでの状態を指す。離床は、被介護者がベッドの上で体を起こしてから、床面に降りてベッドから離れるまでの状態を指す。入床は、被介護者が床面からベッドの上に上がり、横になるまでの動作を指す。転倒は、被介護者が床面上で転倒する動作を指す。上記の起床、離床、入床、転倒は、被介護者の体の大きさ動作(体動)を伴う点で、電波検出部30で検出される微体動(呼吸等による体の微小な動き)と区別される。
【0033】
なお、画像認識部25は、画像認識によって、居室101内の被介護者の有無も認識(把握)することができる。例えば、撮影によって取得された画像内で、被介護者の身体の少なくとも一部(例えば頭部を含む)の形状パターンとマッチングする領域が検出されなかった場合は、居室101内に被介護者がいない状態(不在)と認識し、検出された場合は、居室101内に被介護者がいる状態と認識することができる。
【0034】
電波検出部30は、電波の放射および受信によって居室101内の動体を検出するブロックであり、不図示の放射部から例えば24GHz帯のマイクロ波を各居室のベッドに向けて放射し、被介護者にて反射してドップラーシフトした反射波を不図示の受信部にて受信する。これにより、電波検出部30は、受信した反射波から被介護者の生体情報(呼吸状態、睡眠状態、心拍数などの情報)を検出することができる。
【0035】
なお、被介護者が呼吸しているとき(睡眠中も含む)、被介護者の呼吸による体の微小な動き(微体動)が生じる。このため、被介護者の呼吸状態や睡眠状態を検出することは、被介護者の微体動を検出するのと同じである。このことから、電波検出部30は、被介護者(被検者)の微体動を検出する微体動検出部として機能しているとも言うことができる。
【0036】
ユニット制御部40は、画像認識システム20および電波検出部30の動作を制御するとともに、画像認識システム20および電波検出部30から得た情報に対して画像処理や信号処理を行い、得られた結果を被介護者の状態に関する情報として管理サーバー100aに出力する制御基板である。このユニット制御部40は、主制御部41、情報処理部42、およびインターフェース部43を備えており、さらに上記した記憶部24および画像認識部25を備えている。なお、記憶部24および画像認識部25は、ユニット制御部40とは独立して設けられていてもよい。
【0037】
主制御部41は、動体検知ユニット10内の各部の動作を制御するCPUで構成されている。情報処理部42および画像認識部25は、上記のCPUで構成されてもよいし(主制御部41と一体化されていてもよいし)、他の演算部や、特定の処理を行う回路で構成されてもよい。
【0038】
情報処理部42は、画像認識システム20の光学検出部23から出力される情報(例えば画像データ)や、電波検出部30から出力される情報(例えば呼吸状態に関するデータ)に対して、所定のアルゴリズムに基づいた信号処理を行う。信号処理によって得られた情報は、画像認識システム20(特に画像認識部25)での画像認識に利用される。
【0039】
インターフェース部43には、通信回線200のネットワークケーブル(不図示)が電気的に接続される。画像やマイクロ波に基づいて動体検知ユニット10が検出した被介護者の状態に関する情報は、インターフェース部43および通信回線200を介して管理サーバー100aに送信される。
【0040】
〔電波検出部についての補足〕
次に、上記した電波検出部30について説明を補足する。図6は、筐体11の後述する本体11bに対する前カバー11aの取付状態および離脱状態のそれぞれにおける、動体検知ユニット10および電波検出部30の断面図である。電波検出部30は、センサ部31と、レドームレンズ32とを有している。
【0041】
センサ部31は、電波の放射および受信によって被介護者の生体情報を個別に検出するためのマイクロ波ドップラーセンサによって構成されるチップであり、基板33に搭載されている。このセンサ部31は、RFLSI(高周波用集積回路素子)や、電波を送受信するための送信アンテナおよび受信アンテナを含んで構成されている。
【0042】
レドームレンズ32は、センサ部31を保護するとともに、センサ部31から放射される電波の指向性を制御する(例えば狭くする)ための電波レンズであり、センサ部31の前方(電波放射側)に位置するように、保持部34を介してセンサ部31と一体的に設けられている。レドームレンズ32は、例えばセンサ部31側の面32aが平面で、センサ部31とは反対側の面32bが電波放射側に凸形状の平凸レンズで構成されており、その主軸がセンサ部31の中心を通るように保持部34で保持されている。それゆえ、センサ部31の向きは、レドームレンズ32の主軸の方向と一致している。
【0043】
ここで、レドームレンズ32の主軸とは、レドームレンズ32の面32bの曲率中心を通り、面32aに垂直な軸であり、光軸または回転対称軸と同義である。また、上記した「センサ部31の向き」を規定する角度は、水平面(ここでは動体検知ユニット10が設置される居室101の天井部101aを想定)に垂直な方向を回転軸としてセンサ部31が回転するときのヨー角、および上記水平面に平行な方向を回転軸としてセンサ部31が回転するときのピッチ角によって規定されるが、ここでは説明の理解をしやすくするために、特に断らない限り、ピッチ角を指すものとする。
【0044】
また、ここでは、水平面に平行な面内で互いに垂直な2つの回転軸を考えたときに、一方の回転軸(例えば左右方向)を中心として回転するときの回転角であるピッチ角と、他方の回転軸(例えば前後方向)を中心として回転するときの回転角であるヨー角とを区別する必要がないため(水平面に平行な方向の回転によって上記一方の回転軸は上記他方の回転軸にもなり得るため)、両者はピッチ角として統一して扱うことにする。
【0045】
また、上述した動体検知ユニット10の筐体11は、レドームレンズ32の前方(センサ部31とは反対側)に位置する前カバー11aと、残りの本体11bとを含んで構成されている。前カバー11aは、本体11bに対して着脱自在に設置されている。これにより、後述するように就寝中の被介護者の呼吸状態をセンサ部31で検知すべく、センサ部31の向きを、ベッド102の方向を向くように調整する際には、本体11bから前カバー11aを取り外して調整することが可能となる。センサ部31の向きの調整が完了すると、前カバー11aは本体11bに再び装着される。
【0046】
センサ部31が搭載される上記の基板33は、固定部材38に固定されている。そして、固定部材38は、センサ部31の向きを変更できるように、筐体11の本体11bに固定された支持体39に回動自在に支持されている。
【0047】
〔センサ部の向きとノイズレベルとの関係について〕
次に、上記したセンサ部31の向きと、センサ部31にて検知されるノイズレベルとの関係について説明する。
【0048】
(ノイズレベルについて)
ドップラーセンサで構成されるセンサ部31にて検知される信号(データ)は、時系列の(連続した)振幅データとして得られる。これらのデータをフーリエ変換することにより、周波数領域での信号解析が可能となる。例えば、居室101内に被介護者がいないとき、センサ部31にて検知される信号のフーリエ変換スペクトルは、図7のような波形として得られる。なお、図7の縦軸のパワーレベルは、便宜的に、センサ部31にて検出される電波の強さ(dB)に対応する任意単位(arbitary unit)で示している。ノイズレベルとは、図7で示したスペクトル、つまり、検知対象である被介護者が居室101にいないときに、センサ部31にて検知される信号の大きさ(パワーレベル)を指す。
【0049】
一方、居室101内のベッド102で寝ている被介護者の呼吸状態をセンサ部31で検知したとき、検知信号のフーリエ変換スペクトルは、例えば図8のような波形となり、上記のノイズレベルに、呼吸信号が上乗せされたようなスペクトルとなる。このとき、呼吸周波数(約0.2Hz(12回/分)付近)での信号レベルと、ノイズレベルとの比がS/N(signal to noise)比となり、このS/N比が大きいほど、呼吸状態の検知精度が高くなる。なお、S/N比が大きいと、呼吸周波数のみならず、その高調波成分も検知できる。
【0050】
したがって、良好なS/N比で呼吸信号を検知するためには、ノイズレベルを、被介護者の生体情報の検知信号(呼吸信号)のレベルよりもできるだけ小さくすることが望ましい。つまり、センサ部31での検知精度を上げるためには、センサ部31にて検知されるノイズレベルを極力低減することが必要である。
【0051】
ここで、本願発明者らによる種々の検討および解析の結果、ノイズレベルを悪化させる主要因は、クラッター信号であることが分かっている。クラッター信号とは、ドップラーシフトしていない受信波、つまり、放射電波(送信波)と同一の周波数の受信波のことである。本来、ドップラーセンサは、送信波が動く物体で反射されて戻ってくる反射波を検知するセンサであるが、送信波も電波であるため、動いていない静止物体で直接反射されてセンサで受信される反射波も存在する。その直接反射波のことを、クラッター信号と呼ぶ。
【0052】
通常、ドップラーセンサ内部には、クラッターキャンセル回路が内蔵されており、フィルタ等を使用した電気的な処理によってクラッター信号をキャンセルさせる機能が備わっている。しかし、センサの電波送信部(送信アンテナ)の近傍に反射物体が存在する場合は、クラッターキャンセル回路でキャンセルできる能力以上のクラッター信号が発生してしまう。
【0053】
図9は、図6で示した動体検知ユニット10の内部で発生するクラッター信号の幾つかの発生経路を模式的に示している。上記クラッター信号の発生経路は、主に、以下の3つである。
(1)センサ部31の送信アンテナから送信された電波が、受信アンテナに直接入射する(漏れ込む)経路A。
(2)センサ部31の送信アンテナから送信された電波が、送信アンテナの極近傍に位置する静止物体であるレドームレンズ32のセンサ部31側の面32aで反射されてセンサ部31に直接入射する経路B。
(3)センサ部31の送信アンテナから送信された電波が、送信アンテナの近傍に位置する静止物体である筐体11の前カバー11aの内面で反射されてセンサ部31に直接入射する経路C。
【0054】
上記3つの経路A〜Cのうち、経路Cで発生するクラッター信号の影響が他の経路で発生するクラッター信号に比べて、ノイズへの影響が最も大きい。これは、経路Aおよび経路Bで発生するクラッター信号については、センサ部31の設計、および電波検出部30の設計(センサ部31とレドームレンズ32との位置関係の設定を含む)によって、ある程度抑えることができるが、経路Cで発生するクラッター信号については、センサ部31と前カバー11aとの相対的な位置関係が固定でないため(居室101内のベッド102の位置によってセンサ部31の向きが変化するため)、設計でコントロールすることができないことによる。
【0055】
ここで、図10は、センサ部31にて検知される呼吸信号の大きさと、ノイズレベルとの関係を模式的に示しており、上図はノイズレベルが相対的に小さい場合を、下図はノイズレベルが相対的に大きい場合を示している。なお、同図において、横軸の「呼吸信号の大きさ」は、図8で示した検知信号のフーリエ変換スペクトルの、呼吸検知区間(例えば呼吸周波数(0.2Hz付近)を含む0.1〜0.5Hzの呼吸周波数帯)における積分値(面積)に相当し、呼吸信号の小さい人(例えば高齢者)は、横軸の中央(呼吸信号の大きさが標準的な人)に対して左側に分布し、呼吸信号の大きい人(例えば若年層の人)は、横軸の中央に対して右側に分布する。また、縦軸の「頻度」とは、ある呼吸信号の大きさを示す人のトータルの数(度数)に対応している。また、図10で示すノイズレベルは、無人のときにセンサ部31にて検知される信号の上記呼吸検知区間での積分値に相当する。
【0056】
図10の上図のように、呼吸信号の大きさの分布に対して、ノイズレベルが十分小さければ、呼吸信号が小さくてもその呼吸信号を検知できる(呼吸信号を失報することはない)。しかし、図10の下図のように、クラッター信号によってノイズレベルが悪化(増大)すると、ノイズレベル以下の呼吸信号はノイズレベルに埋もれてしまうため、上記呼吸信号を検知できない(呼吸信号を失報する)。したがって、呼吸信号の検知精度を上げるためには、クラッター信号によるノイズレベルの増大を抑えることが必要である。
【0057】
また、図11は、居室101内に被介護者がいないときに、センサ部31にて検知される信号のフーリエ変換スペクトルであって、クラッター信号が大きい場合と小さい場合とを示している。クラッター信号によって発生するノイズは、全周波数に発生するホワイトノイズであるため、クラッター信号が大きい場合は、クラッター信号が小さい場合に比べて、パワーレベル全体が上方にオフセットされたようなスペクトルとなる。
【0058】
図12は、被介護者の呼吸信号の取得時の検知信号のフーリエ変換スペクトルであって、クラッター信号が、検知したい呼吸信号のパワーレベルよりも大きい場合を示している。同図のように、クラッター信号によって持ち上がったノイズレベルよりも、検知したい呼吸信号のレベルが小さい場合、検知したい呼吸信号がノイズに埋もれてしまうため、呼吸信号を検知できなくなることがわかる。
【0059】
前述の特許文献1のように、ノイズレベルを減算処理してクラッター信号をキャンセルする場合、図8で示したように、検知したい呼吸信号のパワーレベルがノイズレベルよりも大きければ、上記減算処理によってクラッター信号をキャンセルすることができる。しかし、図12のように、呼吸信号のパワーレベルがノイズレベルよりも小さい場合、呼吸信号がノイズに埋もれているため、上記減算処理を行っても呼吸信号を検知することができない。ケアサポートシステム1では、呼吸信号が決して大きくはない高齢者も被検者に含まれ、クラッター信号もかなり大きい場合を想定しているため、特許文献1のような減算処理でクラッター信号をキャンセルする手法を採用することはできない。そのため、減算処理以外の方法で、クラッター信号を低減することが必要となる。
【0060】
ところで、上記のクラッター信号は、波の干渉現象と同様に、送信波と反射波との合成波であると考えられる。波の場合、固定端の位置によって合成波が強まったり、弱まったりする。クラッター信号の場合、固定端は、図9で示したレドームレンズ32(面32a)や筐体11の前カバー11aに相当する。したがって、レドームレンズ32や前カバー11aと、センサ部31(特に送信アンテナ)との位置関係によって、クラッター信号も強まったり、弱まったりする。つまり、図13の上図に示すように、固定端での反射波が送信波(入射波)と逆位相となるような位置に固定端がある場合、送信波と反射波とは互いに打ち消される(振幅がゼロの合成波(定常波)が得られる)。一方、図13の下図に示すように、固定端での反射波が送信波と同位相となるような位置に固定端がある場合、送信波と反射波とは互いに強め合う(振幅が送信波の2倍である合成波(定常波)が得られる)。
【0061】
図14は、居室101内の複数のベッド102の位置に応じて変化するセンサ部31の向きを模式的に示している。なお、図14では、天井部101a(水平面)に垂直な鉛直方向を基準(0°)とし、その鉛直方向からのセンサ部31のピッチ角θ(ここではレドームレンズ32の主軸の角度(レドーム角度)とする)を、ベッド102の位置に応じて、θ=0°から、θ=+20°およびθ=+45°に変化させた場合を示している。ケアサポートシステム1では、センサ部31により、被介護者Pの就寝中に、ベッド102に横たわっている被介護者Pの呼吸状態を検知するため、天井部101aに設置された動体検知ユニット10内のセンサ部31は、ベッド102の方向に向けられて運用される。
【0062】
同図に示すように、センサ部31の向きをベッド102の位置に応じて変化させても、センサ部31(特に送信アンテナ)とレドームレンズ32との相対的な位置関係(相対距離)は変化しないが、センサ部31と前カバー11aとの相対的な位置関係(相対距離)は変化する。このことは、居室101内に設置されるベッド102の位置によって(動体検知ユニット10とベッド102との距離、および動体検知ユニット10から見たベッド102の方角によって)、センサ部31と前カバー11aとの相対距離が変化することを意味する。
【0063】
このように、センサ部31の向きによって、センサ部31と前カバー11aとの相対的な位置関係が変化すると、センサ部31に対して、図13で示した固定端(前カバー11a)の位置が変化する。これは、センサ部31の向きによってクラッター信号の大きさ(合成波の振幅、レベル)が変化し、センサ部31にて検知されるノイズレベルがセンサ部31の向きによって変化することを意味する。
【0064】
図15は、レドーム角度とノイズレベルとの関係の一例を示している。ただし、同図では、センサ部31からの電波の放射周波数(送信波周波数)はA(Hz)で一定とする。また、縦軸のノイズレベルは、無人のときにセンサ部31にて検知される信号のフーリエ変換スペクトルにおける呼吸検知区間の積分値を指す。レドーム角度θ1〜θ4のそれぞれにおいて、センサ部31と前カバー11aとの相対距離が異なるため、同図のように、ノイズレベルがレドーム角度に応じて変化していることがわかる。つまり、ノイズレベルにレドーム角度依存性がある。このような特性では、動体検知ユニット10とベッド102との位置関係(設定されるセンサ部31の向き)によって、検知されるノイズレベルが異なり(ばらつき)、センサ部31の向きによって微体動検知能力に差が出ることになる。
【0065】
〔ノイズレベルを低減する考え方〕
センサ部31の向きによるノイズレベルのばらつきを抑えるためには、センサ部31の向きを変化させたときに、検知されるノイズレベルの変化を抑えることが必要であり、そのためには、例えば、センサ部31の向きごとに、固定端となる前カバー11aの位置を、ノイズレベルが小さくなる位置(クラッター信号を打ち消すことができる位置)に変化させればよいとも考えられる。しかし、動体検知ユニット10において、センサ部31の向きごとに前カバー11aを上記の位置を変化させることは現実的には困難であり(ほぼ不可能に近く)、また、センサ部31の向きによらずにノイズレベルを低減できるような、前カバー11aの形状の設計も実際には困難である。
【0066】
そこで、再び波の性質に戻って検討する。波の場合、固定端の位置は同じであっても、送信波の周波数(放射周波数)を変えることにより、合成波の大きさを下げることができる。図16は、送信波の放射周波数をA(Hz)、B(Hz)、C(Hz)とした場合の、送信波、反射波および合成波の各波形を模式的に示している。なお、B=1.1Aであり、C=0.9Aである。同図のように、固定端の位置は同じであっても、送信波の放射周波数を変化させることにより、合成波の大きさ(振幅)は変化する。例えば、放射周波数がBおよびCの場合、放射周波数がAの場合よりも、合成波の振幅が送信波(または反射波)よりも30〜40%ほど小さくなっている。これは、放射周波数を変化させることで、固定端の位置での送信波の位相を変えているからである。
【0067】
図16に示すように、固定端の位置が同じであれば、送信波の放射周波数が変化すると、合成波の大きさ、つまり、クラッター信号の大きさも変化するため、ノイズレベルのレドーム角度依存性も放射周波数によって異なる特性を示す。図17は、異なる放射周波数AおよびBでのノイズレベルのレドーム角度依存性を示している。同図において、放射周波数Aでは、レドーム角度が増大するに伴ってノイズレベルが増大する特性となっているが、放射周波数Bでは、レドーム角度が増大するに伴ってノイズレベルが減少する特性となっている。この結果、レドーム角度がθ1およびθ2では、放射周波数Aのときにノイズレベルが最小となり、レドーム角度がθ3およびθ4では、放射周波数Bのときにノイズレベルが最小となっている。
【0068】
このように、レドーム角度によって、ノイズレベルが最小となる放射周波数が異なるため、レドーム角度の変更ごとに(ベッド102の位置に変更に応じてセンサ部31の向きを変更するごとに)、放射周波数を下限から上限までの範囲で一度スキャン(変化)してノイズレベルを実際に検知し、スキャンした放射周波数のうちで、検知されたノイズレベルが最小となる放射周波数を見つけ出せば、呼吸信号の検知時に、見つけ出した上記放射周波数でセンサ部31から電波を放射させることで、ノイズレベルを最小に抑えて、呼吸信号を検知することができる。また、どのレドーム角度でも、ノイズレベルを最小に抑えることができるため、レドーム角度による検知性能のばらつきを低減することもできる。本実施形態のケアサポートシステム1では、このような考え方に基づき、センサ部31から放射する電波の放射周波数を設定している。以下、本実施形態のケアサポートシステム1の特徴的な構成の具体例について説明する。
【0069】
〔具体例〕
図18は、本具体例のケアサポートシステム1の構成を示すブロック図である。なお、同図では、便宜的に、画像認識ユニット20の一部の構成を省略しているが、画像認識ユニット20の構成は、図3で示した通りである。本具体例のケアサポートシステム1では、上述した電波検出部30が、上記のセンサ部31およびレドームレンズ32等に加えて、放射制御部36と、インターフェース部37とをさらに備えている。放射制御部36は、センサ部31における電波の放射周波数を制御する制御部であり、例えばCPUで構成される。インターフェース部37は、ユニット制御部40との間で情報または制御信号を入出力するためのインターフェースであり、入出力ポート(端子)を含む。
【0070】
また、動体検知ユニット10は、上述した光学検出部23およびユニット制御部40を有している。特に、ユニット制御部40は、管理サーバー100aと通信回線200を介して通信可能に接続されており、これによって、管理サーバー100aから、センサ部31の向きの調整が完了したことを示す調整完了情報を取得することができる。なお、上記したセンサ部31の向きの調整には、居室101に動体検知ユニット10を設置する際に行うセンサ部102の向きの設定(初期設定)や、ユニット設置後のベッド102の位置変更に応じたセンサ部31の向きの調整(変更)が含まれる。
【0071】
また、システムの利用者(動体検知ユニット10の設置を行うサービスマンを含む)は、管理サーバー100aと通信回線200を介して無線通信可能な外部端末300を所有(携帯)している。これにより、例えばサービスマンは、居室101の天井部101aに動体検知ユニット10を設置し、センサ部31の向きを調整した後、外部端末300を介して管理サーバー100aに調整完了情報を提供することが可能となる。なお、外部端末300としては、例えば、タブレットやスマートフォンなどの多機能型携帯端末や、ノート型パーソナルコンピュータなど、少なくとも入力部を有する端末を想定することができる。
【0072】
また、ユニット制御部40の画像認識部25は、光学検出部23にて取得された画像から、画像認識によって居室101内の被介護者の有無(存在/不在)を検知する。電波検出部30の放射制御部36は、ユニット制御部40での調整完了情報の取得および画像認識部25での認識結果を踏まえて、センサ部31の放射周波数を以下のように制御する。
【0073】
図19は、具体例のケアサポートシステム1における動作の流れを示すフローチャートである。まず、サービスマンが、居室101内のベッド102の位置に応じてセンサ部102の向きを調整し、その調整が完了すると(S1)、外部端末300を操作して、管理サーバー100aに調整完了情報を送信する(S2)。これを受けて、管理サーバー100aは、動体検知ユニット10に対して調整完了情報を送信する(S3)。なお、S1において、被介護者がベッド102ではなく、床面に布団を敷いて寝る場合には、サービスマンは、居室101内での上記布団の位置に応じて(布団の方向を向くように)センサ部31の向きを調整することになる。
【0074】
動体検知ユニット10(特にユニット制御部40)が管理サーバー100aからの調整完了情報を取得すると(S4;情報取得工程)、ユニット制御部40の制御により、光学検出部23は、居室101内の撮影を開始する(S5;撮影工程)。そして、画像認識部25は、光学検出部23での撮影によって取得された画像に対して画像認識を行い、居室101内の被介護者の有無を検知する(S6、S7;画像認識工程)。居室101内に被介護者が存在する場合は(S7にてNo)、S6以降の工程を繰り返し、被介護者が不在になるまで次のステップには進まない。
【0075】
一方、被介護者が不在であることが検知されると(S7にてYes)、電波検出部30の放射制御部36は、電波の放射周波数のスキャンを開始し、電波の放射によってセンサ部31にて受信されるノイズレベルを検知する(S8)。そして、このようなノイズレベルの検知を、下限から上限まで全周波数にわたって放射周波数を変化させながら行う(S9)。なお、上記したS8およびS9の工程は、居室101内に被介護者が存在しない状態で、つまり、被介護者の生体情報(例えば呼吸情報)の非検知時に、電波の放射周波数を変化させながら上記電波の受信によってノイズレベルをセンサ部31にて検知させるノイズ検知工程に対応する。
【0076】
図20は、放射周波数をf1、f2、f3およびf4(単位はいずれもHz)に変化させたときに得られる、各放射周波数f1〜f4と、検知されるノイズレベルN1〜N4との対応関係を示すテーブルを例として示している。なお、上記ノイズレベルは、検知された信号(ノイズ信号)のフーリエ変換スペクトルにおける呼吸検知区間での積分値を示す。上記したノイズ検知工程では、変化させた放射周波数ごとに、そのときのノイズレベルを取得して、図20のようなテーブルを構築していく。上記テーブルは、例えばユニット制御部40の記憶部24に記憶されるが、電波検出部30内に記憶部を設けてそこに記憶するようにしてもよい。
【0077】
S9にて、放射周波数のスキャンが終了すると、放射制御部36は、構築されたテーブルから、検知されたノイズレベルが最小となるような放射周波数を把握し、その放射周波数を、生体情報の検知時にセンサ部31から放射する電波の放射周波数として設定する(S10;設定工程)。
【0078】
図21は、放射周波数f1〜f4と、ノイズレベルN1〜N4との関係をグラフで示したものである。同図の例では、ノイズレベルN1〜N4のうち、放射周波数f2のときに得られるノイズレベルN2が最も小さい。このため、放射制御部36は、S1で調整が完了したセンサ部31の向きに対して、ノイズレベルが最小となる放射周波数f2を、生体情報の検知時にセンサ部31から放射する電波の放射周波数として設定する。以降(次にセンサ部31の向きが変更されるまで)、被介護者の生体情報の検知時には、放射制御部36は、上記設定された放射周波数でセンサ部31から電波を放射させ、上記電波を受信することによって生体情報を検知することになる。
【0079】
以上のように、放射制御部36は、生体情報の非検知時に、電波の放射周波数を変化させながら上記電波の受信によってセンサ部31にてノイズレベルを検知させ(S8、S9)、検知されたノイズレベルが最小となるような放射周波数を、生体情報の検知時にセンサ部31から放射する電波の放射周波数として設定する(S10)。これにより、生体情報を検知すべく、設定された放射周波数でセンサ部31から電波を放射したときに、センサ部31が居室101内でどの向きに設定されていても、ノイズ(クラッターを含む)を最初から低減した信号(生体情報の検知信号)が得られる。これにより、従来のように、検知信号からクラッター信号を減算する後処理を行うことなくノイズを低減して、センサ部31での検知精度を上げることができる。また、センサ部31のどの向きにおいてもノイズレベルが小さいため、センサ部31の向きによって検知性能にばらつきが生じるのを抑えることが可能となる。
【0080】
また、放射制御部36は、上記調整完了情報を取得した後に、放射周波数を変化させてセンサ部31にてノイズレベルを検知させる。つまり、情報取得工程(S4)の後にノイズ検知工程(S8、S9)が行われる。これにより、放射制御部36は、センサ部31の向きの調整後の、センサ部31の向きに応じた放射周波数の設定が必要になる場合のみ、放射周波数を変化させてノイズレベルをセンサ部31にて検知させることができ、S10にて、センサ部31の向きに応じた適切な放射周波数を設定することができる。
【0081】
しかも、S4の情報取得工程では、動体検知ユニット10は、上記調整完了情報を管理サーバー100aから取得する。この場合、動体検知ユニット10側で、センサ部31の向きの調整完了を検知する必要がなくなる。
【0082】
例えば、センサ部31の向きの調整時には、本体カバー11bから前カバー11aを外す必要があり、その着脱を検知部にて検知することで、センサ部31の向きの調整が完了したかどうかを検知できる。また、動体検知ユニット10にリセットボタンを設けておけば、センサ部31の向きを調整した後に、サービスマンがリセットボタンを押圧することで、動体検知ユニット10は、センサ部31の向きの調整完了を検知できる。これらの手法も可能であるが、動体検知ユニット10に検知部やリセットボタンを設けることで、動体検知ユニット10の構成の複雑化、大型化、コスト増大が懸念される。上記のように、管理サーバー100aから調整完了情報を取得することにより、上記の検知部やリセットボタンを不要として、動体検知ユニット10の構成の簡素化、小型化およびコストダウンを図ることができる。
【0083】
また、放射制御部36は、画像認識部25が居室101内で被介護者が不在であることを検知した後に、放射周波数を変化させてセンサ部31にてノイズレベルを検知させる。つまり、ノイズ検知工程(S8、S9)は、画像認識工程(S6、S7)にて、居室101内で被介護者が不在であることを検知した後に行われる。ノイズレベルは、被介護者が居室101にいないときに、センサ部31にて検知される信号であり、ノイズレベルの検知は、居室101内に被介護者がいないことが条件となる。上記のように、被介護者の不在を検知した後に放射周波数のスキャンを行ってノイズレベルを検知することで、ノイズレベルとして適切な信号を確実に取得することができる。
【0084】
また、電波検出部30の上述したレドームレンズ32は、センサ部31と保持部34を介して一体的に設けられている。これにより、ベッド102の位置に応じて、レドームレンズ32とともにセンサ部31の向きがどのように設定されても、電波の指向性をレドームレンズ32によって適切に制御しながら、センサ部31の向きに応じた適切な放射周波数を設定して、センサ部31での検知精度を上げることができるとともに、センサ部31の向きによる検知性能のばらつきを低減することができる。
【0085】
また、S10の設定工程では、検知されたノイズレベルが最小となるような放射周波数を、生体情報の検知時にセンサ部31から放射する電波の放射周波数として設定している。これにより、生体情報を検知すべく、設定された放射周波数で電波を放射したときに、クラッター信号を含むノイズの影響を最も低減することができ、センサ部31にて検知すべき信号(観測したい生体情報の検知信号)を確実に取得することができる。
【0086】
なお、S10で設定される放射周波数は、S8およびS9で検知されるノイズレベルが最小となるような放射周波数には限定されない。例えば、図22に示すように、放射周波数がf1であっても、そのノイズレベルN1が、生体情報を検知可能な所定レベルNthよりも小さくなるのであれば、そのような放射周波数f1を、S10で設定してもよい。放射周波数f1のときに検知されるノイズレベルN1は、放射周波数f2のときに検知されるノイズレベルN2よりも大きいが、生体情報を検知可能な所定レベルNthよりも小さく、検知したい呼吸信号のレベルよりも小さいため、図12のように、ノイズレベルが呼吸信号のレベルよりも大きく、呼吸信号がノイズレベルに埋もれてしまう場合に比べて、呼吸信号の検知精度を上げることができることに変わりはない。
【0087】
このように、S10で設定される放射周波数を、ノイズレベルが最小となる放射周波数以外の周波数とすることで、例えば隣り合う居室101に設置された各動体検知ユニット10で、ノイズレベルが最小となるセンサ部31の放射周波数が一致する場合に、双方の放射周波数を互いにずらして設定することが可能となる。その結果、隣り合う居室101間で同一の放射周波数の場合に起こる、電波の混信による誤検知を避けることが可能となる。
【0088】
なお、上記したS7の工程では、光学検出部23にて取得された画像から、画像認識によって居室101内での被介護者の有無を検知しているが、被介護者の有無の検知はこの方法には限定されない。例えば、S5の工程で、光学検出部23にて取得された画像の情報を管理サーバー100aに送信し、表示部100bにその画像を表示させて、システムの利用者が表示画面を確認して、被介護者の有無を判断するようにしてもよい。被介護者が不在と判断できた場合は、上記利用者が管理サーバー100aの図示しない操作部(例えばパーソナルコンピュータのキーボード等)を操作して、放射周波数のスキャンの開始を指示する制御信号を動体検知ユニット10に送信することにより、動体検知ユニット10では、上記制御信号の受信に基づいて、放射制御部36にて放射周波数のスキャンを開始させることもできる。
【0089】
なお、以上では、電波検出部30がレドームレンズ32を有する構成について説明したが、レドームレンズ32は必要に応じて設けられればよく、レドームレンズ32の設置を省略することも可能である。電波検出部30において、レドームレンズ32がない場合、センサ部31の向きは、センサ部31が搭載される基板33に垂直な方向を考えればよい。また、上述した「レドーム角度」は「センサ部31のピッチ角」と読み替えればよい。
【0090】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。例えば、電波検出部30の放射制御部36は、ユニット制御部40に設けられていてもよく、また、ユニット制御部40の主制御部41が、上記した放射制御部36の機能を兼ねていてもよい。
【0091】
〔その他〕
以上で説明した本実施形態のケアサポートシステムおよび電波制御方法は、以下のように表現することができ、これによって以下の作用効果を奏する。
【0092】
本実施形態で説明したケアサポートシステムは、被検者の居室に設置される動体検知ユニットの筐体内に配置され、電波の放射および受信によって被検者の生体情報を検知するセンサ部と、前記電波の放射周波数を制御する放射制御部とを備え、前記放射制御部は、前記生体情報の非検知時に、前記電波の放射周波数を変化させながら前記電波の受信によって前記センサ部にてノイズレベルを検知させ、検知された前記ノイズレベルが、前記生体情報を検知可能な所定レベルよりも小さくなるような放射周波数を、前記生体情報の検知時に前記センサ部から放射する電波の放射周波数として設定する。
【0093】
上記の構成によれば、放射制御部は、生体情報の非検知時にセンサ部にて検知されるノイズレベルが所定レベルよりも小さくなるような放射周波数を、生体情報の検知時の放射周波数として設定する。これにより、生体情報を検知すべく、設定された上記放射周波数でセンサ部から電波を放射したときに、上記センサ部がどの向きに設定されていても、ノイズ(クラッターを含む)を最初から低減した信号(生体情報の検知信号)が得られる。これにより、従来のように、検知信号からクラッター信号を減算する後処理を行うことなくノイズを低減して、センサ部での検知精度を上げることができる。また、センサ部のどの向きにおいてもノイズレベルが小さいため、センサ部の向きによって検知性能にばらつきが生じるのを抑えることが可能となる。
【0094】
本実施形態で説明した電波制御方法は、被検者の居室に設置される動体検知ユニットの筐体内に配置され、電波の放射および受信によって被検者の生体情報を検知するセンサ部にて、前記生体情報の非検知時に、前記電波の放射周波数を変化させながら前記電波の受信によってノイズレベルを検知させるノイズ検知工程と、検知された前記ノイズレベルが、前記生体情報を検知可能な所定レベルよりも小さくなるような放射周波数を、前記生体情報の検知時に前記センサ部から放射する電波の放射周波数として設定する設定工程とを含む。この場合、上記したケアサポートシステムの構成による効果と同様の効果を得ることができる。
【0095】
上記のケアサポートシステムは、前記動体検知ユニットと通信可能に接続される管理サーバーをさらに含み、前記放射制御部は、前記管理サーバーから、前記センサ部の向きの調整が完了したことを示す調整完了情報を取得した後に、前記放射周波数を変化させて前記センサ部にて前記ノイズレベルを検知させることが望ましい。また、上記の電波制御方法は、前記動体検知ユニットが、該動体検知ユニットと通信可能に接続される管理サーバーから、前記センサ部の向きの調整が完了したことを示す調整完了情報を取得する情報取得工程をさらに含み、前記ノイズ検知工程は、前記情報取得工程の後に行われることが望ましい。
【0096】
上記調整完了情報の取得後にノイズレベルの検知が行われるため、センサ部の向きの調整完了という事実に基づき、センサ部の向きに応じた適切な放射周波数を設定する必要がある場合のみ、放射周波数を変化させてノイズレベルをセンサ部にて検知させることができる。しかも、動体検知ユニットが、上記調整完了情報を管理サーバーから取得することで、動体検知ユニット側で、センサ部の向きの調整完了を検知する検知部を設ける必要がなくなる。したがって、そのような検知部を不要とする分、動体検知ユニットの構成の簡素化およびコストダウンを図ることができる。
【0097】
上記のケアサポートシステムにおいて、前記動体検知ユニットは、居室内を撮影して画像を取得する撮像部と、前記撮像部にて取得された画像から、画像認識によって居室内の被検者の有無を検知する画像認識部とをさらに含み、前記放射制御部は、前記画像認識部が居室内で被検者が不在であることを検知した後に、前記放射周波数を変化させて前記センサ部にて前記ノイズレベルを検知させることが望ましい。また、上記の電波制御方法は、居室内を撮影して画像を取得する撮影工程と、前記画像から、画像認識によって居室内の被検者の有無を検知する画像認識工程とをさらに含み、前記ノイズ検知工程は、前記画像認識工程にて、居室内で被検者が不在であることを検知した後に行われることが望ましい。
【0098】
居室内を撮影した画像から画像認識によって被検者が不在であることを検知した後、放射周波数を変化させてセンサ部にてノイズレベルを検知させることで、ノイズレベルとして適切な信号(居室内に被検者が不在であるときに検出される信号)を確実に取得することができる。
【0099】
上記のケアサポートシステムにおいて、前記放射制御部は、検知された前記ノイズレベルが最小となるような放射周波数を、前記生体情報の検知時に前記センサ部から放射する電波の放射周波数として設定することが望ましい。また、上記の電波制御方法において、前記設定工程では、前記ノイズ検知工程で検知された前記ノイズレベルが最小となるような放射周波数を、前記生体情報の検知時に前記センサ部から放射する電波の放射周波数として設定することが望ましい。
【0100】
生体情報を検知すべく、設定された放射周波数で電波を放射したときに、センサ部にて検知されるノイズレベルが最小となるため、センサ部にて検知すべき信号(観測したい生体情報の検知信号)を確実に取得することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、例えば居室内での被介護者等の被検者の日常の生活を支援するケアサポートシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 ケアサポートシステム
10 動体検知ユニット
11 筐体
11a 前カバー
23 光学検出部(撮像部)
25 画像認識部
31 センサ部
32 レドームレンズ
34 保持部
36 放射制御部
40 ユニット制御部
100a 管理サーバー
101 居室
102 ベッド
図1
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【国際調査報告】