特表-18225551IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2018-225551インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年12月13日
【発行日】2020年4月9日
(54)【発明の名称】インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20200313BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20200313BHJP
【FI】
   B41J2/14 605
   B41J2/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2019-523457(P2019-523457)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年5月28日
(31)【優先権主張番号】特願2017-113968(P2017-113968)
(32)【優先日】2017年6月9日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱野 光
(72)【発明者】
【氏名】下村 章人
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA15
2C056FA04
2C056FA13
2C056HA05
2C056KB16
2C057AF10
2C057AF80
2C057AG15
2C057AG29
2C057AG45
2C057AN05
2C057BA05
2C057BA14
(57)【要約】
圧力室からのインク排出流量を確保するとともに、圧力室から個別インク排出路への圧力波の逃げを抑制する。インクジェットヘッド100は、複数のノズル111と、複数の圧力室131と、圧力発生手段(隔壁136)と、当該複数の圧力室131の各々から分岐して設けられ、複数の圧力室131内のインクを排出可能な複数の個別インク排出路121と、当該複数の個別インク排出路121が連結された共通インク排出路133と、を備える、個別インク排出路121は、圧力室131から共通インク排出路133への方向に向かって流路断面積が拡大する拡大流路122a,122bを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを射出する複数のノズルと、
前記複数のノズルの各々に連通し、インクが貯留された複数の圧力室と、
前記複数の圧力室の各々に対応して設けられ、前記圧力室内のインクに圧力を加える複数の圧力発生手段と、
前記複数の圧力室の各々から分岐して設けられ、当該複数の圧力室内のインクを排出可能な複数の個別インク排出路と、
前記複数の個別インク排出路が連結された共通インク排出路と、を備え、
前記個別インク排出路は、前記圧力室から前記共通インク排出路への方向に向かって流路断面積が拡大する拡大流路を有するインクジェットヘッド。
【請求項2】
前記拡大流路は、流路中心軸方向の所定長さに亘って流路断面積が一様の絞り部を有し、当該絞り部の前記圧力室に対する反対側が当該絞り部より流路断面積が拡大している請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記絞り部は、前記圧力室に接して連続している請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記拡大流路は、前記圧力室から前記共通インク排出路への方向に向かって一定の割合で流路断面積が拡大するテーパー流路を有する請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記テーパー流路は、前記ノズルの軸方向の流路断面幅のみ変化している請求項4に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記個別インク排出路の少なくとも前記圧力室との接続端における前記ノズルの軸方向に垂直な方向について流路断面幅が、同方向について前記圧力室の幅に一致している請求項5に記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記個別インク排出路は、前記拡大流路より前記共通インク排出路側に絞り部を有する請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
前記拡大流路の上流側最小流路断面が前記圧力室に接続している請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項9】
前記個別インク排出路は、前記複数の圧力室の各々に少なくとも二つ設けられている請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと、
前記圧力室から前記個別インク排出路への循環流を発生させるためのインクの供給手段と、
を備えるインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットヘッドに設けられた複数のノズルから、圧力室内に貯留するインクを射出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置が知られている。
このようなインクジェット記録装置では、インクジェットヘッド内に発生した気泡や混入した異物等によって、ノズルが詰まり、射出不良等の問題が生じる場合がある。また、インクの種類によっては、長時間使用しないままにしておくと、インク粒子の沈降等によってノズル付近のインク粘度が高まり、安定したインクの射出性能が得難い場合がある。
【0003】
そこで、ヘッド内に、圧力室のインクを循環可能な流路を備え、ヘッド内の気泡や異物等をインクとともにヘッドの外部に排出できるインクジェットヘッドが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
例えば、特許文献1には、ヘッド内部に、各圧力室からのインクを排出可能な個別インク排出路と、複数の個別インク排出路が合流する共通インク排出路と、を備えたインクジェットヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5385975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなインクジェットヘッドにおいて、気泡や異物等を排出しやすくするためには、個別インク排出路の断面積を大きくするなどして流路抵抗を小さくし、当該個別インク排出路にインクを流れやすくする必要がある。すなわち、循環流量を上げる必要がある。
しかし、インクを射出させる際の圧力波(射出エネルギー)が個別インク排出路に逃げないように、個別インク排出路の流路抵抗を高くする必要がある。
以上の個別インク排出路の流路抵抗を小さくする必要性と、高くする必要性とが相反するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、インクとともにヘッドチップ内の気泡や異物等を効果的に除去するための圧力室からのインク排出流量を確保できるとともに、圧力室から個別インク排出路への圧力波の逃げを抑制できるインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決のために、請求項1に記載の発明は、インクジェットヘッドであって、
インクを射出する複数のノズルと、
前記複数のノズルの各々に連通し、インクが貯留された複数の圧力室と、
前記複数の圧力室の各々に対応して設けられ、前記圧力室内のインクに圧力を加える複数の圧力発生手段と、
前記複数の圧力室の各々から分岐して設けられ、当該複数の圧力室内のインクを排出可能な複数の個別インク排出路と、
前記複数の個別インク排出路が連結された共通インク排出路と、を備え、
前記個別インク排出路は、前記圧力室から前記共通インク排出路への方向に向かって流路断面積が拡大する拡大流路を有する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記拡大流路は、流路中心軸方向の所定長さに亘って流路断面積が一様の絞り部を有し、当該絞り部の前記圧力室に対する反対側が当該絞り部より流路断面積が拡大している。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記絞り部は、前記圧力室に接して連続している。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記拡大流路は、前記圧力室から前記共通インク排出路への方向に向かって一定の割合で流路断面積が拡大するテーパー流路を有する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記テーパー流路は、前記ノズルの軸方向の流路断面幅のみ変化している。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記個別インク排出路の少なくとも前記圧力室との接続端における前記ノズルの軸方向に垂直な方向について流路断面幅が、同方向について前記圧力室の幅に一致している。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記個別インク排出路は、前記拡大流路より前記共通インク排出路側に絞り部を有する。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記拡大流路の上流側最小流路断面が前記圧力室に接続している。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記個別インク排出路は、前記複数の圧力室の各々に少なくとも二つ設けられている。
【0016】
請求項10に記載の発明は、インクジェット記録装置であって、
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと、
前記圧力室から前記個別インク排出路への循環流を発生させるためのインクの供給手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インクとともにヘッドチップ内の気泡や異物等を効果的に除去するための圧力室からのインク排出流量を確保できるとともに、圧力室から個別インク排出路への圧力波の逃げを抑制できるインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】インクジェット記録装置を示す概略図
図2】ヘッドユニットの底面図
図3A】インクジェットヘッドの斜視図
図3B】インクジェットヘッドの断面図
図4】インクジェットヘッドの分解斜視図
図5】ヘッドチップの分解斜視図
図6A】圧力室基板の平面図
図6B】圧力室基板の底面図
図7A】流路スペーサー基板の平面図
図7B】流路スペーサー基板の底面図
図8】ノズル基板の平面図
図9A】IXA-IXAで切断したときのヘッドチップの断面図
図9B】IXB-IXBで切断したときのヘッドチップの断面図
図10A】XA-XBで切断したときのヘッドチップの断面図
図10B】XA-XBで切断したときのヘッドチップの断面図
図11】インク循環系を示す模式図
図12】圧力室、ノズル及び第1個別インク排出路の一例を3次元的に描いた図
図13】圧力室、ノズル及び第1個別インク排出路の他の一例を3次元的に描いた図
図14】圧力室、ノズル及び第1個別インク排出路の他の一例を3次元的に描いた図
図15】圧力室、ノズル及び第1個別インク排出路の他の一例を3次元的に描いた図
図16】圧力室、ノズル及び第1個別インク排出路の他の一例を3次元的に描いた図
図17】圧力室、ノズル及び第1個別インク排出路の他の一例を3次元的に描いた図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、本明細書では、説明の便宜上、インクジェットヘッド100のノズル111の配列方向である印字幅方向を左右方向とし、ノズル111の下側で記録媒体の搬送される方向を前後方向とし、左右方向と前後方向の直交する方向を上下方向として説明する。また、図面の流路中の矢印は、インクの流れる方向を指す。
【0020】
[インクジェット記録装置]
インクジェット記録装置200は、図1に示すように、給紙部210と、画像記録部220と、排紙部230と、インクの供給手段としてのインク循環系8(図11参照)等を備える。インクジェット記録装置200は、給紙部210に格納された記録媒体Mを画像記録部220に搬送し、画像記録部220で記録媒体Mに画像を形成し、画像が形成された記録媒体Mを排紙部230に搬送する。
【0021】
給紙部210は、記録媒体Mを格納する給紙トレー211と、給紙トレー211から画像記録部220に記録媒体Mを搬送して供給する媒体供給部212とを有する。媒体供給部212は、内側が2本のローラーにより支持された輪状のベルトを備え、このベルト上に記録媒体Mを載置した状態でローラーを回転させることで記録媒体Mを給紙トレー211から画像記録部220へ搬送する。
【0022】
画像記録部220は、搬送ドラム221と、受け渡しユニット222と、加熱部223と、ヘッドユニット224と、定着部225と、デリバリー部226等を有する。
【0023】
搬送ドラム221は、円柱面をなしており、その外周面が記録媒体Mを載置させる搬送面となっている。搬送ドラム221は、その搬送面上に記録媒体Mを保持した状態で図1中の矢印の向きに回転することによって、記録媒体Mを搬送面に沿って搬送する。また、搬送ドラム221は、爪部及び吸気部(図示省略)を備え、爪部により記録媒体Mの端部を押さえ、かつ吸気部により記録媒体Mを搬送面に吸い寄せることで、搬送面上に記録媒体Mを保持している。
【0024】
受け渡しユニット222は、給紙部210の媒体供給部212と搬送ドラム221との間の位置に設けられ、媒体供給部212から搬送された記録媒体Mの一端をスイングアーム部222aで保持して取り上げ、受け渡しドラム222bを介して搬送ドラム221に引き渡す。
【0025】
加熱部223は、受け渡しドラム222bの配置位置とヘッドユニット224の配置位置との間に設けられ、搬送ドラム221により搬送される記録媒体Mが所定の温度範囲内の温度となるように当該記録媒体Mを加熱する。加熱部223は、例えば、赤外線ヒーター等を有し、制御部(図示省略)から供給される制御信号に基づいて赤外線ヒーターに通電してヒーターを発熱させる。
【0026】
ヘッドユニット224は、画像データに基づいて、記録媒体Mが保持された搬送ドラム221の回転に応じた適切なタイミングで記録媒体Mに対してインクを射出して画像を形成する。ヘッドユニット224は、インク射出面が搬送ドラム221に対向して所定の距離を置いて配置される。本実施形態のインクジェット記録装置200では、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する四つのヘッドユニット224が、記録媒体Mの搬送方向上流側からY,M,C,Kの色の順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
【0027】
ヘッドユニット224は、例えば、図2に示すように、前後方向に隣接する一対のインクジェットヘッド100の組が、前後方向について異なる位置に千鳥状に配置されている。また、ヘッドユニット224は、画像の記録時には搬送ドラム221の回転軸に対する位置が固定されて用いられる。即ち、インクジェット記録装置200は、ラインヘッドを用いた1パス描画方式の画像記録を行うインクジェット記録装置200である。
【0028】
定着部225は、搬送ドラム221のX方向の幅に亘って配置された発光部を有し、搬送ドラム221に載置された記録媒体Mに対して当該発光部から紫外線等のエネルギー線を照射して記録媒体M上に射出されたインクを硬化させて定着させる。定着部225の発光部は、搬送方向についてヘッドユニット224の配置位置の下流側かつデリバリー部226の受け渡しドラム226aの配置位置の上流側に搬送面と対向して配置される。
【0029】
デリバリー部226は、内側が2本のローラーにより支持された輪状のベルトを有するベルトループ226bと、記録媒体Mを搬送ドラム221からベルトループ226bに受け渡す円筒状の受け渡しドラム226aとを有し、受け渡しドラム226aにより搬送ドラム221からベルトループ226b上に受け渡された記録媒体Mをベルトループ226bにより搬送して排紙部230に送出する。
【0030】
排紙部230は、デリバリー部226により画像記録部220から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレー231を有する。
【0031】
[インクジェットヘッド]
本実施形態のインクジェットヘッド100は、図3A図3B及び図4等に示すように、ヘッドチップ1と、ヘッドチップ1が配設された配線基板2と、配線基板2とフレキシブル基板3を介して接続された駆動回路基板4と、ヘッドチップ1内の圧力室131に供給するインクを貯留するマニホールド5と、内側にマニホールド5が収納された筐体6と、筐体6の底面開口を塞ぐように取り付けられたキャップ受板7と、筐体6に取り付けられたカバー部材9等を備えている。
なお、図3Aでは、マニホールド5の図示を省略しており、図3B及び図4では、カバー部材9の図示を省略している。
また、本実施形態では、ヘッドチップ1のノズル111の列数が4列である例について説明するが、ノズル111の列数や配置は適宜変更可能であり、例えば、1列から3列までのいずれかであってもよく、5列以上であってもよい。
【0032】
ヘッドチップ1は、左右方向に長尺な略四角柱状の部材であり、圧力室基板13と、流路スペーサー基板12と、ノズル基板11とが順に積層されて構成されている(図5〜11)。
【0033】
圧力室基板13には、圧力室131、空気室132及び共通インク排出路133等が設けられている(図5図6A及び図6B等参照)。
圧力室131と空気室132は左右方向に交互に配置されるように多数設けられ、前後方向に4列で設けられている。
圧力室131は、略矩形状の断面を有し上下方向に沿って形成されており、圧力室基板13の上面に入口を有し、下面に出口を有している。また、圧力室131は、上方向の端部でインク貯留部51に連通しており、圧力室131には当該インク貯留部51からインクが供給され、圧力室131内部にはノズル111から射出するためのインクを貯留する。また、圧力室131は、圧力室基板13と流路スペーサー基板12とに跨がって、同一面積の略矩形状の断面を有するように上下方向に沿って形成されており、下方向の端部でノズル111に連通している(図9A図9B等参照)。
【0034】
空気室132は、圧力室131よりもやや大きい略矩形状の断面を有し上下方向に沿って圧力室131と平行になるように形成されている。また、空気室132は、圧力室131とは異なり、インク貯留部51には連通されておらず、空気室132内にインクが流れ込まないようになっている。また、空気室132は、ノズル111にも連通されていない(図9A図9B等参照)。
【0035】
圧力室131と空気室132とは、圧電材料によって形成された圧力発生手段としての隔壁136により隔てられて形成されている(図10A参照)。隔壁136には図示しない駆動電極が設けられており、当該駆動電極に電圧が印加されると、隣接する圧力室131間の隔壁136部分がシェアモード型の変位を繰り返すことで、圧力室131内のインクに圧力が加えられる。なお、図5〜10等に示す圧力室131では、片側にしか隔壁136を有しない左右方向の端部に位置する圧力室131は使用しておらず、それ以外の両側に隔壁136を有する圧力室131を使用している。
【0036】
なお、空気室132を設けずに圧力室131のみで形成してもよいが、上述したとおり、圧力室131と空気室132とを交互に設けることが好ましい。これにより、圧力室131同士が隣接しないようできるため、一の圧力室131に隣接する隔壁136が変形した際に、他の圧力室131に影響しないようにできる。
【0037】
共通インク排出路133は、第1共通インク排出路134と第2共通インク排出路135とが連結して構成されている(図5及び図6B等参照)。
第1共通インク排出路134は、圧力室基板13の下面側に、圧力室131及び空気室132が設けられた部分を避けるようにして、ヘッドチップ1の前側、後側、及びそれらの中央部に、3列並んで左右方向に沿って設けられている。また、第1共通インク排出路134の下面側には、流路スペーサー基板12に設けられた個別インク排出路121が複数連結しており、それら個別インク排出路121(第2個別インク排出路123)から流れてくるインクが第1共通インク排出路134で合流できるようになっている(図6B図7A及び図9A)。また、第1共通インク排出路134は、右端部付近で、ヘッドチップ1外にインクを排出可能な第2共通インク排出路135に連結している。したがって、第1共通インク排出路134は、個別インク排出路121(第2個別インク排出路123)から流れてきたインクが、当該第2共通インク排出路135に向かって流れる流路となっている。
【0038】
第2共通インク排出路135は、圧力室131と同様に、上下方向に沿って形成されている。また、第2共通インク排出路135は、圧力室基板13の下面側は第1共通インク排出路134に連通し、上面側は排出用液室57に連通しており、第1共通インク排出路134から流れてきたインクを上側(ノズル基板11側とは反対側)に向かって、ヘッドチップ1の外部に排出するための流路となっている。また、第2共通インク排出路135は、ヘッドチップ1の右端部付近に設けられ、第1共通インク排出路134に連通している。また、第2共通インク排出路135は、個々の圧力室131よりも大きな容積を有するように設けることによって、インクの排出効率を高めることができる。
【0039】
流路スペーサー基板12には、圧力室131と、当該圧力室131から分岐して設けられている個別インク排出路121とが形成されている(図5図7A図7B図9A及び図9B等参照)。
圧力室131は、流路スペーサー基板12と圧力室基板13とを跨がって、同一面積の略矩形状の断面を有するように上下方向に沿って形成されている。
【0040】
個別インク排出路121は、一端部が圧力室131と連結し、他端部が第1共通インク排出路134に連結しており、圧力室131のインクを第1共通インク排出路134に排出する流路となっている。
個別インク排出路121は、気泡や異物等をインクとともに排出しやすくする観点から、圧力室131の各々に少なくとも二つ設けられていることが好ましい。また、個別インク排出路121は、例えば、図9A及び図9Bに示すように、圧力室131の前方向と後方向にそれぞれ一つずつ、計二つ設けることが、気泡や異物等をインクとともに排出しやすくする効果を得ることができ、かつ製造効率も高いため好ましい。
【0041】
個別インク排出路121は、第1個別インク排出路122と、第2個別インク排出路123とが連結されて構成されている。第1個別インク排出路122は、一端が圧力室131に連結され、流路スペーサー基板12の下面側部分において前後方向に延設されている。第2個別インク排出路123は、第1個別インク排出路122の他端に連結され、上方向に延設され、第1共通インク排出路134に連結されている。
【0042】
個別インク排出路121は、圧力室131から共通インク排出路133への方向に向かって流路断面積が拡大する拡大流路を有する。循環流量を確保するとともに、圧力室131から個別インク排出路121への圧力波の逃げを抑制するためである。これについて図12から図17を参照して説明する。図12から図17は、圧力室131、ノズル111及び第1個別インク排出路122を3次元的に描いたものであり、それぞれ異なる構造を示す。以下、順に説明する。なお、圧力室131に接続する一つの第1個別インク排出路122を代表して示すが、圧力室131に接続する複数の第1個別インク排出路122のそれぞれを同様の構造として実施することが好ましい。圧力室131は、圧力室基板13に形成される部分を131Bとし、流路スペーサー基板12に形成される部分を131Aとする。第1個別インク排出路122は、圧力室131Aに接続している。
【0043】
図12に示す第1個別インク排出路122は、圧力室131に接続する断面一様の絞り部122a、これに接続するテーパー流路122b、これに接続する一様断面流路122cとからなる。圧力室131から共通インク排出路133への方向に向かって流路断面積が拡大する拡大流路は、断面一様の絞り部122aと、テーパー流路122bとで構成されている。
断面一様の絞り部122aは、流路中心軸方向の所定長さに亘って流路断面積が一様の流路である。断面一様の絞り部122aの圧力室131に対する反対側(下流側)がテーパー流路122bであることによって絞り部122aより流路断面積が拡大していることで拡大流路(122a,122b)を成す。
絞り部122aは、圧力室131に接して連続している。すなわち、圧力室131から見て個別インク排出路121の入口が絞り部122aとなっている。
テーパー流路122bは、圧力室131から共通インク排出路133への方向に向かって一定の割合で流路断面積が拡大する。
【0044】
絞り部122aは、左右方向の流路断面幅のみが絞られている。テーパー流路122bは、左右方向の流路断面幅のみが変化している。ここで左右方向は、第1個別インク排出路122における流路中心軸及びノズル111の軸方向に垂直な方向である。
絞り部122aの流路断面が、テーパー流路122bの上流側最小流路断面に一致し、テーパー流路122bの下流側最大流路断面が一様断面流路122cの流路断面に一致し、絞り部122a、テーパー流路122b及び一様断面流路122cが連続した構造である。
【0045】
図13及び図14に示す第1個別インク排出路122は、テーパー流路122bを有する。図13に示すように第1個別インク排出路122の全体をテーパー流路122bとしてもよいし、図14に示すように一部をテーパー流路122bとしてもよい。かかる構造では、テーパー流路122bが拡大流路(122b)である。
図14に示すように一部とする場合、テーパー流路122bの上流側最小流路断面を圧力室131に接続し、下流側最大流路断面に一様断面流路122cを接続する。圧力室131から個別インク排出路121への圧力波の逃げを抑制するためである。
【0046】
図15に示す第1個別インク排出路122は、断面一様の絞り部122aを流路中心軸方向に薄く形成したものであり、また、断面一様の絞り部122aの圧力室131に対する反対側(下流側)には、絞り部122aより流路断面積の大きい一様断面流路122cが接続する。かかる構造により、圧力室131から個別インク排出路121への圧力波の逃げを効果的に抑制することができる。
【0047】
図16に示す第1個別インク排出路122は、上流端部が図12に示す構造と同様に断面一様の絞り部122aと、これに接続するテーパー流路122bとで拡大流路が構成されるが、この拡大流路(122a,122b)より共通インク排出路133側(下流側)に絞り部122eを有する。これにより、共通インク排出路133からのインクの逆流を抑制する。
図16に示す構造にあっては、絞り部122eを断面一様のものとし、その上流側に流路断面積が縮小するテーパー流路122dを設けたが、断面一様の絞り部のみとする、テーパー流路のみとするなどの変形は可能である。
また、下流の絞り部(122d,122e)は、個別インク排出路121において拡大流路より下流で共通インク排出路133前であればよいので、第2個別インク排出路123の下流側端部に設けてもよい。
【0048】
図17に示す第1個別インク排出路122は、テーパー流路122fを有する。テーパー流路122fは、上下方向の流路断面幅のみが変化している。ここで上下方向は、ノズル111の軸方向である。
上下方向の流路断面幅のみが変化するテーパー流路122fを採用することで、個別インク排出路121の少なくとも圧力室131との接続端におけるノズル111の軸方向に垂直な方向(左右方向)について流路断面幅12gが、同方向(左右方向)について圧力室131の幅131gに一致している。これにより、圧力室131から第1個別インク排出路122へのインクの流動が同方向(左右方向)について流路断面幅の減少なく行えるため、インクとともに圧力室131内の気泡や異物等が排出されやすい。
なお、テーパー流路122fを第1個別インク排出路122の上流側端部に限定して設けるなどの変形は可能である。
【0049】
以上、図12から図17を参照して説明したように、圧力室131から見て個別インク排出路121の入口を絞る、すなわち、拡大流路の上流側最小流路断面を圧力室131に接続することで、圧力室131における圧力波の逃げを効果的に抑制可能であり、絞り部分が短いので流路抵抗の増大も抑えられ、後述するインク循環系8による循環流量を確保でき、従ってインクとともにヘッドチップ内の気泡や異物等を効果的に除去することができる。
【0050】
なお、本実施形態の第1個別インク排出路122は、ノズル基板11と隣接する流路スペーサー基板12の下面側部分に設けられていることとしたが、これに限られない。例えば、第1個別インク排出路122を、ノズル基板11と流路スペーサー基板12の両方に跨るように設けてもよいし、ノズル基板11にのみ設けてもよいし、流路スペーサー基板12の底面よりも少し上側に設けてノズル基板11に隣接しないように設けてもよい。
【0051】
ヘッドチップ1の上面には、図4に示すように、配線基板2が配設され、配線基板2の前後方向に沿った両縁部に、駆動回路基板4と接続された二つのフレキシブル基板3が配設されている。
【0052】
配線基板2は、左右方向に長尺な略矩形板状に形成されており、その略中央部に開口部22を有している。配線基板2の左右方向及び前後方向の各幅は、ヘッドチップ1よりもそれぞれ大きく形成されている。
【0053】
開口部22は、左右方向に長尺な略矩形状に形成されており、配線基板2にヘッドチップ1が取り付けられた状態においては、ヘッドチップ1における各圧力室131の入口と、第2共通インク排出路135の出口とを上側に露出させるようになっている。
【0054】
フレキシブル基板3は、駆動回路基板4と配線基板2の電極部とを電気的に接続させており、駆動回路基板4からの信号をフレキシブル基板3を介してヘッドチップ1内の隔壁136に設けられた駆動電極に印加できるようになっている。
【0055】
また、配線基板2の外縁部には、マニホールド5の下端部が接着により取り付け固定されている。すなわち、マニホールド5は、ヘッドチップ1の圧力室131の入口側(上側)に配置され、配線基板2を介してヘッドチップ1と連結されている。
【0056】
マニホールド5は、樹脂により成形されてなる部材であり、ヘッドチップ1の圧力室131の上部に設けられ、圧力室131に導入されるインクを貯留するものである。具体的には、図3B等に示すように、マニホールド5は、左右方向に長尺に形成されており、インク貯留部51を構成する中空状の本体部52と、インク流路を構成する第1〜第4インクポート53〜56とを備えている。また、インク貯留部51は、インク中のゴミを除去するためのフィルターFによって、上側の第1液室51aと下側の第2液室51bの二つ区画されている。
【0057】
第1インクポート53は、第1液室51aの右側上端部に連通されており、インク貯留部51へのインクの導入に用いられる。また、第1インクポート53の先端部には、第1ジョイント81aが外挿されている。
第2インクポート54は、第1液室51aの左側上端部に連通されており、第1液室51a内の気泡を除去するために用いられる。また、第2インクポート54の先端部には、第2ジョイント81bが外挿されている。
第3インクポート55は、第2液室51bの左側上端部に連通されており、第2液室51b内の気泡を除去するために用いられる。また、第3インクポート55の先端部には、第3ジョイント82aが外挿されている。
第4インクポート56は、ヘッドチップ1の第2共通インク排出路135に連通する排出用液室57に連通されており、ヘッドチップ1から排出されたインクが、第4インクポート56を通して、インクジェットヘッド100の外部に排出される。
【0058】
筐体6は、例えば、アルミニウムを材料としてダイキャスト法により成形されてなる部材であり、左右方向に長尺に形成されている。また、筐体6は、その内側にヘッドチップ1、配線基板2及びフレキシブル基板3が取り付けられたマニホールド5を収納可能に形成されてなり、当該筐体6の底面が開放されている。また、筐体6の左右方向の両端部には、当該筐体6をプリンタ本体側に取り付けるための取付用孔68がそれぞれ形成されている。
【0059】
キャップ受板7は、その略中央部に左右方向に長尺なノズル用開口部71が形成されており、ノズル基板11がノズル用開口部71を介して露出するようにして、筐体6の底面開口を塞ぐように取り付けられている。
【0060】
[インク循環系]
インク循環系8は、インクジェットヘッド100内の圧力室131から個別インク排出路121へのインクの循環流を発生させるためのインクの供給手段である。インク循環系8は、供給用サブタンク81、循環用サブタンク82及びメインタンク83等によって構成されている(図11)。
【0061】
供給用サブタンク81は、マニホールド5のインク貯留部51に供給するためのインクが充填されており、インク流路84によって第1インクポート53に接続されている。
循環用サブタンク82は、マニホールド5の排出用液室57から排出されたインクが充填されており、インク流路85によって第4インクポート56に接続されている。
また、供給用サブタンク81と循環用サブタンク82は、ヘッドチップ1のノズル面(以下、「位置基準面」ともいう。)に対して、上下方向(重力方向)に異なる位置に設けられている。これによって、当該位置基準面と供給用サブタンク81の水頭差による圧力P1と、当該位置基準面と循環用サブタンク82との水頭差による圧力P2が生じている。
また、供給用サブタンク81と循環用サブタンク82は、インク流路86で接続されている。そして、ポンプ88によって加えられた圧力によって、循環用サブタンク82から供給用サブタンク81にインクを戻すことができる。
【0062】
メインタンク83は、供給用サブタンク81に供給するためのインクが充填されており、インク流路87によって供給用サブタンク81に接続されている。そして、ポンプ89によって加えられた圧力によって、メインタンク83から供給用サブタンク81にインクを供給することができる。
【0063】
また、各サブタンク内のインク充填量と、各サブタンクの上下方向(重力方向)の位置とを適宜変更することによって、圧力P1及び圧力P2を調整することができる。そして、圧力P1及び圧力P2の圧力差によって、適宜の循環流速で、インクジェットヘッド100内のインクを循環できる。これにより、ヘッドチップ1内に発生した気泡や異物等を除去し、ノズル111の詰まりや、射出不良等を抑制することができる。
【0064】
なお、インク循環系8の一例として、水頭差によってインクの循環を制御する方法を説明したが、インクの循環流を発生できる構成であれば、当然適宜変更可能である。
【0065】
[その他]
以上で説明した本発明の実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。すなわち、本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0066】
例えば、本実施形態の第1個別インク排出路122として、流路壁の一つをノズル基板11によって形成した例を示したが、これに限られない。
【0067】
また、本実施形態のヘッドチップ1として、ノズル基板11、流路スペーサー基板12及び圧力室基板13が順に積層された例を示したが、これに限られず、ノズル基板11及び圧力室基板13の二層構成であってもよい。この場合は、ノズル基板11及び圧力室基板13の少なくとも一方に、個別インク排出路121を設けることとすればよい。
【0068】
また、本実施形態のインクジェットヘッド100として、シェアモード型の例を示したが、圧力室131内のインクに圧力が加えられる手段が設けられていればよく、これに限られない。
【0069】
また、本実施形態のインクジェット記録装置200の描画方式として、ラインヘッドを用いた1パス描画方式の例を示したが、これに限られず、例えば、スキャン方式であってもよい。
【0070】
また、本実施形態のインク循環系8として、ヘッドチップ1内部のインクを循環させる例を示したが、第2共通インク排出路135のインクを循環させずに吐き捨てる構成としてもよく、循環又は吐き捨てかを選択できる構成としてもよい。
【0071】
また、本実施形態のヘッドチップ1として、圧力室131及び第2共通インク排出路135がヘッドチップ1の上下面で開口するストレートタイプである例を示したが、これに限られない。例えば、ヘッドチップ1の前後左右方向のいずれかの側面で開口する構成でもよく、流路の途中でインクの流れる方向が変わる屈曲部を有する構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 ヘッドチップ
8 インク循環系(インクの供給手段)
11 ノズル基板
111 ノズル
12 流路スペーサー基板
121 個別インク排出路
122 第1個別インク排出路
123 第2個別インク排出路
13 圧力室基板
131 圧力室
132 空気室
133 共通インク排出路
134 第1共通インク排出路
135 第2共通インク排出路
136 隔壁(圧力発生手段)
100 インクジェットヘッド
200 インクジェット記録装置
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】