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再表2018-30314光学的測定装置、光学的測定方法、及び光学的測定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年2月15日
【発行日】2019年7月18日
(54)【発明の名称】光学的測定装置、光学的測定方法、及び光学的測定プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20190627BHJP
【FI】
   A61B10/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】25
【出願番号】特願2018-533016(P2018-533016)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年8月4日
(31)【優先権主張番号】特願2016-158031(P2016-158031)
(32)【優先日】2016年8月10日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】庭山 雅嗣
(57)【要約】
光学的測定装置は、表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に照射された光のうち表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した第1位置で受光すると共に、表層及び深層を通過した光を受光するように照射位置から第2の所定距離だけ離間した第2位置で受光し、表層の血流に変化を与える前後で第1位置及び第2位置で受光された光の吸光度の変化量に基づいて補正係数を算出し、表層の血流に変化を与えた後に第2位置で受光された光の吸光度の変化量と、補正係数と、表層及び深層の血流に変化を与えた後に第2位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、深層の吸光度の変化量を演算する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射する発光部と、
前記発光部から発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように前記発光部から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、前記発光部から発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記発光部から第2の所定距離だけ離間した位置で受光する受光部と、
前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で前記受光部により受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で前記受光部により受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出する算出部と、
前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記算出部により算出された補正係数と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算する演算部と、
を備えた光学的測定装置。
【請求項2】
前記測定対象は生体の一部であり、前記表層は頭皮であり、前記深層は脳である
請求項1記載の光学的測定装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量から、前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量に前記補正係数を乗算した値を減算することにより、前記深層の吸光度の変化量を演算する
請求項1又は請求項2記載の光学的測定装置。
【請求項4】
前記発光部は、異なる複数の波長で前記測定対象に光を照射し、
前記受光部は、前記複数の波長の光を受光し、
前記算出部は、前記複数の波長毎に前記補正係数を算出し、
前記演算部は、前記複数の波長毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記複数の波長毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する
請求項1〜3の何れか1項に記載の光学的測定装置。
【請求項5】
前記受光部は、前記発光部から前記第1の所定距離だけ離間した第1の受光部と、前記発光部から前記第2の所定距離だけ離間した第2の受光部と、を含む
請求項1〜4の何れか1項に記載の光学的測定装置。
【請求項6】
少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射し、
発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光し、
前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出し、
前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算する
光学的測定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射するステップと、
発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光するステップと、
前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出するステップと、
前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算するステップと、
を含む処理を実行させるための光学的測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的測定装置、光学的測定方法、及び光学的測定プログラムに係り、特に、人体の深層組織の光の吸光度について測定する光学的測定装置、光学的測定方法、及び光学的測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の近赤外分光法(NIRS:near−infrared spectroscopy)による脳計測では、頭皮(表層)の血液の情報が重畳するため、脳(深層)だけの信号を取得するためには、表情や温度を変えない等の多くの制限があった。脳計測の際には頭部を動かさないことや周囲温度を一定にする必要があるため、車載計測や日常的動作を伴う計測で正確度が低下する、という問題があった。
【0003】
皮膚の影響を補正する手法として、皮膚の光路長を平均的な値を用いて補正する手法(非特許文献1参照)や、独立成分分析で皮膚の信号を抽出し、それを差し引く方法(非特許文献2参照)等があるが、皮膚の光路長の個人差に起因する誤差により、適用できる対象が極めて限定的な補正法となっていた。
【0004】
また、生体を圧迫することと光計測を組み合わせた技術として、皮膚を圧迫してその計測値から末梢動脈機能を評価する技術が提案されている(特許文献1参照)。また、光源部と検出部とを頭部に押し付ける板ばね部を有する脳機能測定装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2015/134245号パンフレット
【特許文献2】特開2010−167039号公報
【非特許文献1】Fabbri F, Sassaroli A, Henry ME et al: Optical measurements of absorption changes in two-layered diffusive media. Phys. Med. Biol. 49(2004) 1183-1201.
【非特許文献2】Funane T, Atsumori H, Ktura T et al: Quantitative evaluation of deep and shallow tissue layer's contribution to fNIRS signal using multi-distance optodes and independent component analysis. NeuroImage 85 (2014) 150-165.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、表層の影響を補正して深層の情報を測定する技術は未だ提案されていない。
【0007】
本発明は上記事実を考慮して成されたものであり、表層の影響を精度良く補正して深層の情報を測定することができる光学的測定装置、光学的測定方法、及び光学的測定プログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る光学的測定装置は、少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射する発光部と、前記発光部から発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように前記発光部から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、前記発光部から発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記発光部から第2の所定距離だけ離間した位置で受光する受光部と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で前記受光部により受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で前記受光部により受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出する算出部と、前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記算出部により算出された補正係数と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算する演算部と、を備える。
【0009】
本発明の第2の態様は、前記測定対象は生体の一部であり、前記表層は頭皮であり、前記深層は脳である。
【0010】
本発明の第3の態様は、前記演算部は、前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量から、前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量に前記補正係数を乗算した値を減算することにより、前記深層の吸光度の変化量を演算する。
【0011】
本発明の第4の態様は、前記発光部は、異なる複数の波長で前記測定対象に光を照射し、前記受光部は、前記複数の波長の光を受光し、前記算出部は、前記複数の波長毎に前記補正係数を算出し、前記演算部は、前記複数の波長毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記複数の波長毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する。
【0012】
本発明の第5の態様は、前記受光部は、前記発光部から前記第1の所定距離だけ離間した第1の受光部と、前記発光部から前記第2の所定距離だけ離間した第2の受光部と、を含む。
【0013】
本発明の第6の態様に係る光学的測定方法は、少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射し、発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光し、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出し、前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算する。
【0014】
本発明の第7の態様に係る光学的測定プログラムは、コンピュータに、少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射するステップと、発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光するステップと、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出するステップと、前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算するステップと、を含む処理を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表層の影響を精度良く補正して深層の情報を測定することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】光学的測定装置の概略構成図である。
図2】プローブが頭部に装着された状態を示す図である。
図3】光学的測定処理のフローチャートである。
図4】吸光度の変化量を示す線図である。
図5】吸光度の変化量を示す線図である。
図6】総ヘモグロビンの変化量を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本実施形態では、一例として、近赤外光分光法(NIRS:near−infrared spectroscopy)を用いて、人間の脳内における血液に関する情報、例えばヘモグロビン濃度の変化量を測定する場合について説明する。
【0019】
図1には、光学的測定装置10の概略構成を示した。同図に示すように、光学的測定装置10は、プローブ12、制御部16、操作部18、メモリ20、及び出力部22を含んで構成されている。
【0020】
プローブ12は、LED(発光ダイオード)24、2つのPD(フォトダイオード)26A、26B、及び圧力センサ28が、例えば可撓性を有する平板状の部材(例えばゴム性の部材等)30に設けられた構成である。
【0021】
図2に示すように、プローブ12は、例えば被測定者の頭部32内に光を当てるために被測定者の頭部32に接触させる。頭部32は、表層としての頭皮34、頭蓋骨36、脳脊髄液38、及び深層としての脳40で構成される。
【0022】
LED24は、本実施形態では一例としてピーク波長が第1の波長λ1、第2の波長λ2の2波長の発光ダイオードである。第1の波長λ1、第2の波長λ2は、水の吸収が少ない波長、具体的には900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンHHbと酸素化ヘモグロビンOHbの吸収スペクトルが交差する位置の波長である約805nmから略等距離にある波長に設定される。本実施形態では一例として第1の波長λ1が770nm、第2の波長λ2が830nmである。
【0023】
図1に示すように、LED24とPD26Aとは、第1の所定距離d1だけ離間して配置されており、LED24とPD26Bとは第2の所定距離d2だけ離間して配置されている。
【0024】
第1の所定距離d1は、LED24から発光された光が、頭部32の表層、すなわち頭皮34を通ってPD26Aに到達するような距離に設定される。本実施形態では、第1の所定距離d1は一例として4mmとするが、これに限られるものではない。
【0025】
また、第2の所定距離d2は、LED24から発光された光が、頭部32の深層、すなわち脳40を通ってPD26Bに到達するような距離に設定される。本実施形態では、第2の所定距離d2は一例として35mmとするが、これに限られるものではない。
【0026】
圧力センサ28は、圧力センサ28が設けられた位置に加えられた圧力を検出する。圧力センサ28により検出された圧力の変化を検出することにより、プローブ12が頭部32に押し付けられたか否かを検出することができる。
【0027】
制御部16は、CPU、ROM、RAM等を含んだコンピュータで構成される。制御部16は、後述する光学的測定処理を実行する。この光学的測定処理では、LED24を発光させ、PD26A、26Bで受光した光の光強度に基づいて、頭皮34の影響を除去して脳40の光の吸光度を算出し、算出結果に基づいて脳40のヘモグロビン濃度を算出する。算出結果は、出力部22を介して例えばディスプレイやプリンタ等の外部装置に出力される。
【0028】
メモリ20は、例えば不揮発性のメモリで構成され、上記の算出結果や、後述する光学的測定処理の処理ルーチンのプログラムが予め記憶される。
【0029】
次に、本実施形態の作用として、制御部16で実行される測定処理について、図3に示すフローチャートを参照して説明する。なお、この処理は、光学的測定装置10の電源がオンされると実行される。
【0030】
測定する際には、プローブ12を被測定者の頭部32に装着し、操作部18を操作することにより、測定開始を指示する。
【0031】
ステップ100では、操作部18の操作により測定開始が指示されたか否かを判断し、測定開始が指示された場合にはステップ102へ移行する。
【0032】
ステップ102では、初期状態の光強度を測定する。すなわち、LED24に発光を指示し、PD26A、PD26Bで受光した光の光強度IA0、IB0を取り込む。なお、第1の波長λ1、第2の波長λ2で順次発光させ、それぞれの光強度IA0、IB0を取り込む。以下では、第1の波長λ1で発光した場合のPD26A、PD26Bで受光した光の光強度をIA0−1、IB0−1とし、第2の波長λ2で発光した場合のPD26A、PD26Bで受光した光の光強度をIA0−2、IB0−2とする。なお、以下では、符号をフォトダイオードで区別しない場合は添え字の「A」、「B」を省略し、符号を波長で区別しない場合は添え字の「−1」、「−2」を省略する。
【0033】
ステップ104では、ステップ102で測定した光強度IA0−1、IB0−1、IA0−2、IB0−2を初期状態の光強度としてメモリ20に記憶させる。
【0034】
ステップ106では、ステップ102と同様に、任意状態の光強度を測定する。すなわち、LED24を第1の波長λ1、第2の波長λ2で順次発光させ、それぞれの光強度I、Iを取り込む。以下では、第1の波長λ1で発光した場合のPD26A、PD26Bで受光した光の光強度をIA−1、IB−1とし、第2の波長λ2で発光した場合のPD26A、PD26Bで受光した光の光強度をIA−2、IB−2とする。
【0035】
ステップ108では、ステップ102、106で測定した光強度に基づいて、第1の波長λ1の吸光度の変化量ΔODA−1、ΔODB−1、第2の波長λ2の吸光度の変化量ΔODA−2、ΔODB−2を算出する。
【0036】
吸光度の変化量ΔODは、初期状態の光強度をI、その後の任意の状態における光強度をI、lnを自然対数として、次式で表される。
【0037】
ΔOD=ln(I/I) ・・・(1)
【0038】
従って、第1の波長λ1の吸光度の変化量ΔODA−1は、上記(1)式のIにIA0−1を、IにIA−1を代入することにより算出できる。第1の波長λ1の吸光度の変化量ΔODB−1、第2の波長λ2の吸光度の変化量ΔODA−2、ΔODB−2についても同様に上記(1)式を用いて算出できる。
【0039】
ここで、頭部32に圧力を加えた場合、圧力を加える前後で吸光度の変化量ΔODは変化する。一例として、図4には、頭部32を軽く数回圧迫した場合に、PD26Aで受光した第1の波長λ1の吸光度の変化量ΔODA−1、第2の波長λ2の吸光度の変化量ΔODA−2を示した。図4に示すように、頭部32を押下しているt期間は、吸光度の変化量ΔODが低下しているのが判る。
【0040】
また、図5には、頭部32を軽く数回圧迫した場合に、PD26Bで受光した第1の波長λ1の吸光度の変化量ΔODB−1、第2の波長λ2の吸光度の変化量ΔODB−2を示した。図5に示すように、頭部32を押下しているt期間は、吸光度の変化量ΔODが低下しているのが判る。
【0041】
ユーザーは、操作部18を操作して測定開始を指示してから、ステップ108までの処理が終了する程度の時間の経過後、例えば数秒経過後に、プローブ12を例えば数秒程度軽く押圧し、頭部32に圧力を加える。なお、ビープ音等を鳴らす等して頭部32に押圧するタイミングをユーザーに報知するようにしてもよい。
【0042】
そして、ステップ110では、頭部32が押圧されたか否かを検出する。具体的には、圧力センサ28により検出された圧力値を取り込み、取り込んだ圧力値が、頭部32に圧力が加えられたと判定できる閾値以上であるか否かを判定する。そして、圧力値が閾値以上の場合はステップ112へ移行し、圧力値が閾値未満の場合はステップ106へ戻る。なお、押圧する力は、頭皮34内でのみ血流が変化する程度の力、すなわち、頭皮34内の血流には影響するが、脳40内の血流には影響しない程度の力であることが好ましく、例えば0.3N程度の力が好ましい。
【0043】
なお、圧力センサ28により検出された圧力値に基づいて頭部32が押圧されたか否かを判定するのではなく、吸光度の変化量ΔODに基づいて頭部32が押圧されたか否かを判定するようにしてもよい。前述したように、頭部32を押下すると、図4、5に示したように吸光度の変化量ΔODが低下するので、吸光度の変化量ΔODが頭部32に圧力が加えられたと判定できる閾値以下であるか否かを判定することにより、頭部32が押圧されたか否かを判定するようにしてもよい。
【0044】
ステップ112では、押圧後の光強度をステップ102と同様に測定する。すなわち、LED24を第1の波長λ1、第2の波長λ2で順次発光させ、それぞれの光強度I’、I’を取り込む。以下では、第1の波長λ1で発光した場合のPD26A、PD26Bで受光した光の光強度をI’A−1、I’B−1とし、第2の波長λ2で発光した場合の押圧後におけるPD26A、PD26Bで受光した光の光強度をI’A−2、I’B−2とする。
【0045】
ステップ114では、ステップ106、112で測定した光強度に基づいて、押圧前後における第1の波長λ1の吸光度の変化量ΔOD’A−1、ΔOD’B−1、第2の波長λ2の吸光度の変化量ΔOD’A−2、ΔOD’B−2を算出する。
【0046】
具体的には、押圧前後における第1の波長λ1の吸光度の変化量ΔOD’A−1は、上記(1)式のIに押圧前のIA−1を、Iに押圧後のI’A−1を代入することにより算出できる。押圧前後における第1の波長λ1の吸光度の変化量ΔOD’B−1、第2の波長λ2の吸光度の変化量ΔOD’A−2、ΔOD’B−2についても同様に上記(1)式を用いて算出できる。
【0047】
ステップ116では、ステップ114で算出した押圧前後における吸光度の変化量ΔOD’、ΔOD’に基づいて、補正係数Kを算出する。具体的には次式により補正係数Kを算出する。
【0048】
K=L/L=ΔOD’/ΔOD’ ・・・(2)
【0049】
補正係数Kは、波長毎に算出する。すなわち、上記(2)式のΔOD’にΔOD’A−1を、ΔOD’にΔOD’B−1を代入することにより、第1の波長λ1における補正係数Kを算出することができる。同様に、上記(2)式のΔOD’にΔOD’A−2を、ΔOD’にΔOD’B−2を代入することにより、第2の波長λ2における補正係数Kを算出することができる。
【0050】
ここで、Lは、頭皮34内におけるLED24からPD26Aまでの平均光路長であり、Lは、頭皮34内におけるLED24からPD26Bまでの平均光路長である。図2に示すように、LED24から発光された光のうち、或る光LA1は頭皮34内を通ってPD26Aに到達し、或る光LA2は頭蓋骨36まで到達してからPD26Aに到達する。従って、平均光路長Lは、LED24から発光され、様々な経路を通ってPD26Aに到達した光のうち、頭皮34内を通る光の光路長の平均値である。すなわち、平均光路長Lは、図2のハッチングで示された領域42Aを通る光の光路長の平均値である。
【0051】
同様に、図2に示すように、LED24から発光された光のうち、或る光LB1は頭皮34内を通ってPD26Bに到達し、或る光LB2は脳40まで到達してからPD26Bに到達する。従って、平均光路長Lは、LED24から発光され、様々な経路を通ってPD26Bに到達した光のうち、頭皮34内を通る光の光路長の平均値である。すなわち、平均光路長Lは、図2のハッチングで示された領域42Bを通る光の光路長の平均値である。
【0052】
そして、平均光路長LとLとの比は、押圧前後の吸光度の変化量ΔOD’とΔOD’との比に等しいため、上記(2)式が成立する。なお、頭皮34の散乱係数や吸収係数は個人によって異なり、これらが異なると補正係数Kも異なる。従って、個人によって補正係数Kの値は異なる。
【0053】
ステップ118では、頭部32への押圧が終了したか否かを検出する。具体的には、圧力センサ28により検出された圧力値を取り込み、取り込んだ圧力値が、頭部32に圧力が加えられていないと判定できる閾値以下であるか否かを判定する。そして、圧力値が閾値以下の場合はステップ120へ移行し、圧力値が閾値より大きい場合は閾値以下になるまで待機する。
【0054】
ステップ120では、ステップ106と同様に、任意状態の光強度を測定する。
【0055】
ステップ122では、ステップ108と同様に、ステップ102、120で測定した光強度に基づいて、吸光度の変化量ΔOD、ΔODを算出する。
【0056】
ステップ124では、ステップ122で算出した吸光度の変化量ΔOD、ΔODと、ステップ116で算出した補正係数Kと、に基づいて、頭皮34の影響を除去した脳40の吸光度の変化量ΔOD”を算出する。具体的には、次式によりΔOD”を算出する。
【0057】
ΔOD”=ΔOD−K×ΔOD ・・・(3)
【0058】
頭皮34の影響を除去した脳40の吸光度の変化量ΔOD”は、波長毎に算出する。すなわち、上記(3)式のΔODにΔODA−1を、ΔODにΔODB−1を、KにKを代入することにより、第1の波長λ1におけるΔOD”B−1を算出することができる。同様に、上記(3)式のΔODにΔODA−2を、ΔODにΔODB−2を、KにKを代入することにより、第2の波長λ2におけるΔOD”B−2を算出することができる。
【0059】
ステップ126では、脳40の血液に関する情報、例えば酸素化ヘモグロビンOHbの変化量、脱酸素化ヘモグロビンHHbの変化量を算出する。まず、脳40の光の吸収係数変化量を算出する。
【0060】
頭皮34の影響を除去した脳40の吸光度の変化量ΔOD”は、次式でも表すことができる。
【0061】
ΔOD”=Δμ×L ・・・(4)
【0062】
ここで、Δμは、脳40の光の吸収係数変化量を表す。また、Lは、脳40の平均光路長であり、LED24から発光されてPD26Bに到達した光の光路長の中で脳40のみを通る光の光路長の平均値である。上記(4)式をΔμの式で表すと次式のようになる。
【0063】
Δμ=ΔOD”/L ・・・(5)
【0064】
上記(5)式のΔOD”に第1の波長λ1における上記(3)式で求めたΔOD”B−1を、Lに第1の波長λ1における平均光路長LC−1を代入することにより、第1の波長λ1における吸収係数変化量ΔμB−1を算出することができる。同様に、上記(5)式のΔOD”に第2の波長λ2における上記(3)式で求めたΔOD”B−2を、Lに第2の波長λ2における平均光路長LC−2を代入することにより、第2の波長λ2における吸収係数変化量ΔμB−2を算出することができる。
【0065】
なお、第1の波長λ1における平均光路長LC−1は、層状モデルを用いた光輸送理論に基づく理論解析により算出できる。同様に、第2の波長λ2における平均光路長LC−2は、層状モデルを用いた光輸送理論に基づく理論解析により算出できる。
【0066】
そして、第1の波長λ1における吸収係数変化量ΔμBー1及び第2の波長λ2における吸収係数変化量ΔμB−2に基づいて、酸素化ヘモグロビンOHbの変化量ΔOHb及び脱酸素化ヘモグロビンHHbの変化量ΔHHbを算出する。また、酸素化ヘモグロビンOHbの変化量ΔOHbと脱酸素化ヘモグロビンHHbの変化量ΔHHbを足し合わせることにより、総ヘモグロビンの変化量ΔHbを算出する。酸素化ヘモグロビンOHbの変化量ΔOHb及び脱酸素化ヘモグロビンHHbの変化量ΔHHbの算出については、種々公知の算出方法を用いることができる。
【0067】
上記のように算出した脳40の血液に関する情報は、出力部22を介して例えばディスプレイやプリンタ等の外部装置に出力する。
【0068】
ステップ128では、操作部18の操作により測定終了が指示されたか否かを判断し、測定終了が指示された場合には本ルーチンを終了し、測定終了が指示されていない場合はステップ120へ移行してステップ120〜126の処理を繰り返す。
【0069】
図6には、頭部32に外乱(Pressure)が加えられた場合に、上記のようにして補正係数Kで補正して算出した総ヘモグロビンHbの変化量ΔHb(After)、補正係数Kで補正せずに算出した総ヘモグロビンHbの変化量ΔHb(Before)と、を示した。
【0070】
図6に示すように、補正係数Kで補正しない場合、外乱(Pressure)の影響によって総ヘモグロビンHbの変化量ΔHb(Before)が低下してしまっている。これは、頭皮34の影響を除去できていないためである。
【0071】
これに対し、本実施形態のように補正係数Kで補正した場合、総ヘモグロビンHbの変化量ΔHb(After)は、外乱(Pressure)の影響によって総ヘモグロビンHbの変化量ΔHb(Before)はほとんど変化していない。このように、脳40の吸光度をユーザー固有の補正係数Kで補正し、補正した吸光度を用いて酸素化ヘモグロビン等の脳40内の血液に関する情報を算出することにより、頭皮34の影響を除去して脳40内の血液に関する情報を精度良く算出することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、人の脳内のヘモグロビン濃度等を測定する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば他の部位の筋肉のヘモグロビン濃度等を測定する場合にも適用可能である。この場合、頭皮に代えて皮膚を表層とし、脳に代えて筋肉を深層とし、プローブ12を測定対象の部位に装着して図3に示す処理を実行すればよい。
【0073】
また、本実施形態では、頭皮34の血流に変化を与えるのに頭部32を押圧する場合について説明したが、これに限らず、頭部32に熱を与えることにより頭皮34の血流に変化を与えるようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、PDを二つ設けた構成の場合について説明したが、これに限らず、PDを一つとし、LEDを二つとしてもよい。また、LED又はPDを移動可能な構成として、すなわちLEDとPDとの距離を調整可能な構成としてもよい。この場合、LEDとPDとの距離を第1の所定距離d1に設定してLEDから発光された光を受光し、その後LEDとPDとの距離を第2の所定距離d2に設定してLEDから発光された光を受光するようにすればよい。
【0075】
本実施形態に係る光学的測定装置10を用いることにより、温度の変化の大きい車内や、表情変化・視認動作を伴うような日常的な活動時であっても、表層(頭皮)の影響を受けにくい脳計測が可能となるため、従来よりも計測の適用範囲を大きく広げることができる。
【0076】
光による脳計測は、機能的近赤外分光法(functional near infrared spectroscopy)として広く普及しつつあるが、常に表層の影響の有無が測定値の信頼性を左右する要因となっている。本実施形態に係る光学的測定装置10によれば、測定値から得られる知見の信頼性や正確度の面で優位となる。さらに、頭皮の血流が外乱によって変化する状態でも精度良く頭皮の影響を除去して測定できるようになるため、利便性の面でも優位となる。
【符号の説明】
【0077】
10 光学的測定装置
12 プローブ
16 制御部
18 操作部
20 メモリ
22 出力部
24 LED
26A、26B PD
28 圧力センサ
32 頭部
34 頭皮
36 頭蓋骨
38 脳脊髄液
40 脳
図1
図2
図3
図4
図5
図6

【手続補正書】
【提出日】2017年11月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射する発光部と、
前記発光部から発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように前記発光部から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、前記発光部から発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記発光部から第2の所定距離だけ離間した位置で受光する受光部と、
前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で前記受光部により受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で前記受光部により受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出する算出部と、
前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記算出部により算出された補正係数と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算する演算部と、
を備え、
前記発光部は、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、
前記受光部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を受光し、
前記算出部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記補正係数を算出し、
前記演算部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する
光学的測定装置。
【請求項2】
前記測定対象は生体の一部であり、前記表層は頭皮であり、前記深層は脳である
請求項1記載の光学的測定装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量から、前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量に前記補正係数を乗算した値を減算することにより、前記深層の吸光度の変化量を演算する
請求項1又は請求項2記載の光学的測定装置。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記受光部は、前記発光部から前記第1の所定距離だけ離間した第1の受光部と、前記発光部から前記第2の所定距離だけ離間した第2の受光部と、を含む
請求項1〜3の何れか1項に記載の光学的測定装置。
【請求項6】
少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射するステップと、
発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光するステップと、
前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出するステップと、
前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算するステップと、
を含み、
前記光を照射するステップは、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、
前記受光するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を受光し、
前記算出するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長
の光毎に前記補正係数を算出し、
前記演算するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する
光学的測定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射するステップと、
発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光するステップと、
前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出するステップと、
前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算するステップと、
を含み、
前記光を照射するステップは、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、
前記受光するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を受光し、
前記算出するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記補正係数を算出し、
前記演算するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する
処理を実行させるための光学的測定プログラム。
【請求項8】
前記複数の層は、前記表層と前記深層との間に少なくとも1つの層を含む
請求項1、2、3、及び5の何れか1項に記載の光学的測定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
深層の吸光度の変化量を演算する演算部と、を備え、前記発光部は、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、前記受光部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を受光し、前記算出部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記補正係数を算出し、前記演算部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する。
[0009]
本発明の第2の態様は、前記測定対象は生体の一部であり、前記表層は頭皮であり、前記深層は脳である。
[0010]
本発明の第3の態様は、前記演算部は、前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量から、前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量に前記補正係数を乗算した値を減算することにより、前記深層の吸光度の変化量を演算する。
[0011]
[0012]
本発明の第5の態様は、前記受光部は、前記発光部から前記第1の所定距離だけ離間した第1の受光部と、前記発光部から前記第2の所定距離だけ離間した第2の受光部と、を含む。
[0013]
本発明の第6の態様に係る光学的測定方法は、少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射するステップと、発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光するステップと、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出するステップと、前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算するステップと、を含み、前記光を照射するステップは、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、前記受光するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を受光し、前記算出するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記補正係数を算出し、前記演算するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
[0014]
本発明の第7の態様に係る光学的測定プログラムは、コンピュータに、少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射するステップと、発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光するステップと、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出するステップと、前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算するステップと、を含み、前記光を照射するステップは、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、前記受光するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を受光し、前記算出するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記補正係数を算出し、前記演算するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する処理を実行させる。
本発明の第8の態様に係る光学的測定装置は、前記複数の層は、前記表層と前記深層との間に少なくとも1つの層を含む。
発明の効果
[0015]
本発明によれば、表層の影響を精度良く補正して深層の情報を測定することができる、という効果を有する。
図面の簡単な説明
[0016]
図1]光学的測定装置の概略構成図である。
図2]プローブが頭部に装着された状態を示す図である。
図3]光学的測定処理のフローチャートである。
図4]吸光度の変化量を示す線図である。
図5]吸光度の変化量を示す線図である。
図6]総ヘモグロビンの変化量を示す線図である。
発明を実施するための形態
[0017]
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。

【手続補正書】
【提出日】2018年4月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射する発光部と、
前記発光部から発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように前記発光部から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、前記発光部から発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記発光部から第2の所定距離だけ離間した位置で受光する受光部と、
前記受光部により受光された光の吸光度の変化量に基づいて前記表層の血流に変化を与えたか否かを判定する判定部と、
前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で前記受光部により受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で前記受光部により受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出する算出部と、
前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記算出部により算出された補正係数と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算する演算部と、
を備え、
前記発光部は、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、
前記受光部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を受光し、
前記算出部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記補正係数を算出し、
前記演算部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する
光学的測定装置。
【請求項2】
前記測定対象は生体の一部であり、前記表層は頭皮であり、前記深層は脳である
請求項1記載の光学的測定装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量から、前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量に前記補正係数を乗算した値を減算することにより、前記深層の吸光度の変化量を演算する
請求項1又は請求項2記載の光学的測定装置。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記受光部は、前記発光部から前記第1の所定距離だけ離間した第1の受光部と、前記発光部から前記第2の所定距離だけ離間した第2の受光部と、を含む
請求項1〜3の何れか1項に記載の光学的測定装置。
【請求項6】
少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射するステップと、
発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光するステップと、
前記受光するステップにより受光された光の吸光度の変化量に基づいて前記表層の血流に変化を与えたか否かを判定するステップと、
前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出するステップと、
前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算するステップと、
を含み、
前記光を照射するステップは、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、
前記光を照射するステップは、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、
前記算出するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記補正係数を算出し、
前記演算するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する
光学的測定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射するステップと、
発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光するステップと、
前記受光するステップにより受光された光の吸光度の変化量に基づいて前記表層の血流に変化を与えたか否かを判定するステップと、
前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出するステップと、
前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算するステップと、
を含み、
前記光を照射するステップは、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、
前記受光するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を受光し、
前記算出するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記補正係数を算出し、
前記演算するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する
処理を実行させるための光学的測定プログラム。
【請求項8】
前記複数の層は、前記表層と前記深層との間に少なくとも1つの層を含む
請求項1、2、3、及び5の何れか1項に記載の光学的測定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
非特許文献1:Fabbri F,Sassaroli A,Henry ME et al:Optical measurements of absorption changes in two−layered diffusive media.Phys.Med.Biol.49(2004)1183−1201.
非特許文献2:Funane T,Atsumori H,Ktura T et al:Quantitative evaluation of deep and shallow tissue layer’s contribution to fNIRS signal using multi−distance optodes and independent component analysis.NeuroImage 85(2014)150−165.
[発明の概要]
発明が解決しようとする課題
[0006]
しかしながら、表層の影響を補正して深層の情報を測定する技術は未だ提案されていない。
[0007]
本発明は上記事実を考慮して成されたものであり、表層の影響を精度良く補正して深層の情報を測定することができる光学的測定装置、光学的測定方法、及び光学的測定プログラムを得ることを目的とする。
課題を解決するための手段
[0008]
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る光学的測定装置は、少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射する発光部と、前記発光部から発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように前記発光部から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、前記発光部から発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記発光部から第2の所定距離だけ離間した位置で受光する受光部と、前記受光部により受光された光の吸光度の変化量に基づいて前記表層の血流に変化を与えたか否かを判定する判定部と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で前記受光部により受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で前記受光部により受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出する算出部と、前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記算出部により算出された補正係数と、に基づいて、前記
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
深層の吸光度の変化量を演算する演算部と、を備え、前記発光部は、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、前記受光部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を受光し、前記算出部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記補正係数を算出し、前記演算部は、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する。
[0009]
本発明の第2の態様は、前記測定対象は生体の一部であり、前記表層は頭皮であり、前記深層は脳である。
[0010]
本発明の第3の態様は、前記演算部は、前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量から、前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量に前記補正係数を乗算した値を減算することにより、前記深層の吸光度の変化量を演算する。
[0011]
[0012]
本発明の第5の態様は、前記受光部は、前記発光部から前記第1の所定距離だけ離間した第1の受光部と、前記発光部から前記第2の所定距離だけ離間した第2の受光部と、を含む。
[0013]
本発明の第6の態様に係る光学的測定方法は、少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射するステップと、発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光するステップと、前記受光するステップにより受光された光の吸光度の変化量に基づいて前記表層の血流に変化を与えたか否かを判定するステップと、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出するステップと、前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算するステップと、を含み、前記光を照射するステップは、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、前記受光するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を受光し、前記算出するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記補正係数を算出し、前記演算するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
[0014]
本発明の第7の態様に係る光学的測定プログラムは、コンピュータに、少なくとも表層及び深層を含む複数の層で形成された測定対象に光を照射するステップと、発光された光のうち前記表層を通過した光を受光するように光の照射位置から第1の所定距離だけ離間した位置で受光すると共に、発光された光のうち前記表層及び深層を通過した光を受光するように前記照射位置から第2の所定距離だけ離間した位置で受光するステップと、前記受光するステップにより受光された光の吸光度の変化量に基づいて前記表層の血流に変化を与えたか否かを判定するステップと、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第1の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、前記表層の血流に変化を与える前後で前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、補正係数を算出するステップと、前記表層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、算出された補正係数と、前記表層及び前記深層の血流に変化を与えた後に前記第2の所定距離だけ離間した位置で受光された光の吸光度の変化量と、に基づいて、前記深層の吸光度の変化量を演算するステップと、を含み、前記光を照射するステップは、900nm以下の波長で、かつ、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの吸収スペクトルが交差する位置の波長よりも短い第1の波長及び前記交差する位置の波長よりも長い第2の波長で前記測定対象に光を照射し、前記受光するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光を受光し、前記算出するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記補正係数を算出し、前記演算するステップは、前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎に前記深層の吸光度の変化量を演算し、演算した前記第1の波長の光及び前記第2の波長の光毎の前記深層の吸光度の変化量に基づいて、前記深層の血液に関する情報を算出する処理を実行させる。本発明の第8の態様に係る光学的測定装置は、前記複数の層は、前記表層と前記深層との間に少なくとも1つの層を含む。
発明の効果
[0015]
本発明によれば、表層の影響を精度良く補正して深層の情報を測定することができる、という効果を有する。
図面の簡単な説明
[0016]
図1]光学的測定装置の概略構成図である。
図2]プローブが頭部に装着された状態を示す図である。
図3]光学的測定処理のフローチャートである。
図4]吸光度の変化量を示す線図である。
図5]吸光度の変化量を示す線図である。
図6]総ヘモグロビンの変化量を示す線図である。
発明を実施するための形態
[0017]
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【国際調査報告】