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再表2018-56134異物が除去された魚卵ペーストの製造方法及び異物が除去された魚卵ペーストの製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年3月29日
【発行日】2019年6月27日
(54)【発明の名称】異物が除去された魚卵ペーストの製造方法及び異物が除去された魚卵ペーストの製造装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/30 20160101AFI20190607BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20190607BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20190607BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20190607BHJP
   G01N 21/89 20060101ALI20190607BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20190607BHJP
【FI】
   A23L17/30 Z
   B07C5/342
   G01N21/85 B
   G01N21/88 K
   G01N21/89 K
   G01N21/64 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
【出願番号】特願2018-540994(P2018-540994)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2016-182842(P2016-182842)
(32)【優先日】2016年9月20日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000004189
【氏名又は名称】日本水産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】橋立 知典
(72)【発明者】
【氏名】水城 健
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 優貴
【テーマコード(参考)】
2G043
2G051
3F079
4B042
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA17
2G043CA05
2G043CA06
2G043DA05
2G043DA06
2G043EA01
2G043FA01
2G043FA06
2G043KA02
2G043KA03
2G043LA03
2G051AA04
2G051AA33
2G051AA90
2G051AB01
2G051BA01
2G051BA05
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB10
2G051DA06
2G051DA13
3F079AC02
3F079BA11
3F079CA31
3F079CB26
3F079CB30
3F079CC06
3F079DA11
4B042AC10
4B042AD23
4B042AD40
4B042AG12
4B042AG34
4B042AH09
4B042AP08
4B042AP11
(57)【要約】
魚卵ペーストの製造装置10は、魚卵ペーストを薄く広げた状態で搬送する流路70を形成する流路形成部72と、流路形成部72の上面72a及び下面72bに設けられ、所定の可視光または紫外線を透過する材質で形成された少なくとも2つの被撮像領域56,58と、少なくとも2つの被撮像領域56,58を撮像可能な位置に設けられ、撮像処理を行う少なくとも2つの撮像部50、60と、検査処理を行う検査部40と、流路形成部72における搬送方向100の下流側に設けられ、除去処理を行う除去部80と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚卵ペーストを搬送する流路の全幅に渡って設けられた少なくとも2つの被撮像領域を透過して魚卵ペーストに可視光または紫外線を照射すると共に、前記被撮像領域を通過する魚卵ペーストの画像を撮像する撮像処理と、
前記撮像処理によって撮像された画像に基づいて、可視光または紫外線によって蛍光する異物の有無を判定する検査処理と、
前記検査処理によって異物を有すると判定された部分を魚卵ペーストから除去する除去処理と、
を含み、
2つの前記被撮像領域は、前記流路を挟んで配置されることを特徴とする、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
魚卵ペーストに用いる魚卵の種類に応じて前記被撮像領域における前記流路の高さを1.4mm〜15mmの間で調整することを特徴とする、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記被撮像領域における前記流路の高さは、魚卵ペーストにおける魚卵の最大直径を超える高さであって、かつ、最小直径の2倍未満に前記流路の高さを調節することを特徴とする、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記検査処理は、線状の形状を有する異物の有無を判定することを特徴とする、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
前記検査処理は、前記流路における魚卵ペーストの搬送方向に直交する方向に1又は複数の被検査領域を設定し、前記被検査領域ごとに異物の有無を判定し、
前記除去処理は、異物を有すると判定された被検査領域の魚卵ペーストを除去することを特徴とする、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項の異物が除去された魚卵ペーストの製造方法に用いる製造装置であって、
魚卵ペーストを薄く広げた状態で搬送する前記流路を形成する流路形成部と、
前記流路形成部の上面及び下面に設けられ、所定の可視光または紫外線を透過する材質で形成された少なくとも2つの前記被撮像領域と、
少なくとも2つの前記被撮像領域を撮像可能な位置に設けられ、前記撮像処理を行う少なくとも2つの撮像部と、
前記検査処理を行う検査部と、
前記流路形成部における搬送方向の下流側に設けられ、前記除去処理を行う除去部と、を含むことを特徴とする、異物が除去された魚卵ペーストの製造装置。
【請求項7】
魚卵ペーストを薄く広げた状態で搬送する流路を形成する流路形成部と、
前記流路形成部の上面及び下面に設けられ、所定の可視光または紫外線を透過する材質で形成された少なくとも2つの被撮像領域と、
少なくとも2つの前記被撮像領域を撮像可能な位置に設けられ、前記被撮像領域を通過する魚卵ペーストの画像を撮像する少なくとも2つの撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて、可視光または紫外線によって蛍光する異物の有無を判定する検査部と、
前記流路形成部における搬送方向の下流側に設けられ、前記検査部において異物を有すると判定された部分を魚卵ペーストから除去する除去部と、
を含むことを特徴とする、異物が除去された魚卵ペーストの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法及び異物が除去された魚卵ペーストの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
魚卵加工品としては、タラコ、イクラ、スジコ、数の子、トビッコ、キャビア、マダラ卵等の塩加工品がよく食される。塩タラコはスケトウダラの卵巣を塩漬けにした加工食である。原料卵の鮮度、成熟度、大小が品質に大きく影響し、最も新鮮なものは全体に不透明なピンクである。成熟卵(マコ)は、卵巣が正常に発達して不透明であり、卵巣は丸みをおびてふくよかであり上級品とされる。大小区別は多くの場合、大中小の3段階に重量区分されるが、漁場、時季などによって多少差がある。品質は薄いピンク色で光沢があり、卵の張った感じのするもの、卵粒が破損していないものがよい。輸入品の多くは冷凍魚卵で、これはスケトウダラの卵巣を、品質、大小、鮮度別に仕訳してブロック凍結したものである。ほとんど国内の加工工場で塩蔵処理されてタラコ、辛子明太子、タラコペーストなどの製品になる。
【0003】
従来、タラコペーストなどの魚卵ペーストについて、異物、特にアニサキスのような寄生虫の存在を除去するため、異物の除去作業が行われている。このような寄生虫は冷凍処理により死滅しているが魚卵ペースト中の異物となるため除去作業が必要となる。例えば、アニサキスなどのいくつかの寄生虫は、所定波長の可視光または紫外線を照射されたときに蛍光する特性がある(例えば、特許文献1参照)。通常、除去作業では、魚卵ペーストに紫外線を照射しながら作業員による目視による判別と該当部分の除去が行われる。
【0004】
しかしながら、長時間の紫外線を目視することは人体にとって好ましくなく、また、目視によって判別できるアニサキスのような線虫の太さは作業員によって異なるが細いものでも0.4mm〜0.7mm程度である。
【0005】
また、異物の除去方法については、メッシュ状の皿目構造体を用いる方法(特許文献2参照)などがある。しかし、アニサキスのような線虫は魚卵の大きさとほぼ同じ太さのものが存在するため、メッシュを通過する場合があり、この方法では確実に除去することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平04−502962号公報
【特許文献2】特開2014−68619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、魚卵ペーストにおける異物を確実で効率よく除去することができる、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法及び異物が除去された魚卵ペーストの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0009】
[適用例1]
本適用例に係る異物が除去された魚卵ペーストの製造方法は、
魚卵ペーストを搬送する流路の全幅に渡って設けられた少なくとも2つの被撮像領域を透過して魚卵ペーストに可視光または紫外線を照射すると共に、前記被撮像領域を通過する魚卵ペーストの画像を撮像する撮像処理と、
前記撮像処理によって撮像された画像に基づいて、可視光または紫外線によって蛍光する異物の有無を判定する検査処理と、
前記検査処理によって異物を有すると判定された部分を魚卵ペーストから除去する除去処理と、
を含み、
2つの前記被撮像領域は、前記流路を挟んで配置されることを特徴とする。
【0010】
[適用例2]
上記適用例に係る異物が除去された魚卵ペーストの製造方法において、
魚卵ペーストに用いる魚卵の種類に応じて前記被撮像領域における前記流路の高さを1.4mm〜15mmの間で調整することができる。
【0011】
[適用例3]
上記適用例に係る異物が除去された魚卵ペーストの製造方法において、
前記被撮像領域における前記流路の高さは、魚卵ペーストにおける魚卵の最大直径を超える高さであって、かつ、最小直径の2倍未満に前記流路の高さを調節することができる。
【0012】
[適用例4]
上記適用例に係る異物が除去された魚卵ペーストの製造方法において、
前記検査処理は、線状の形状を有する異物の有無を判定することができる。
【0013】
[適用例5]
上記適用例に係る異物が除去された魚卵ペーストの製造方法において、
前記検査処理は、前記流路における魚卵ペーストの搬送方向に直交する方向に1又は複数の被検査領域を設定し、前記被検査領域ごとに異物の有無を判定し、
前記除去処理は、異物を有すると判定された被検査領域の魚卵ペーストを除去することができる。
【0014】
[適用例6]
本適用例に係る異物が除去された魚卵ペーストの製造装置は、
上記適用例に係る異物が除去された魚卵ペーストの製造方法に用いる製造装置であって、
魚卵ペーストを薄く広げた状態で搬送する前記流路を形成する流路形成部と、
前記流路形成部の上面及び下面に設けられ、所定の可視光または紫外線を透過する材質で形成された少なくとも2つの前記被撮像領域と、
少なくとも2つの前記被撮像領域を撮像可能な位置に設けられ、前記撮像処理を行う少なくとも2つの撮像部と、
前記検査処理を行う検査部と、
前記流路形成部における前記搬送方向の下流側に設けられ、前記除去処理を行う除去部と、
を含むことを特徴とする。
【0015】
[適用例7]
本適用例に係る異物が除去された魚卵ペーストの製造装置は、
魚卵ペーストを薄く広げた状態で搬送する流路を形成する流路形成部と、
前記流路形成部の上面及び下面に設けられ、所定の可視光または紫外線を透過する材質で形成された少なくとも2つの被撮像領域と、
少なくとも2つの前記被撮像領域を撮像可能な位置に設けられ、前記被撮像領域を通過する魚卵ペーストの画像を撮像する少なくとも2つの撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像に基づいて、可視光または紫外線によって蛍光する異物の有無を判定する検査部と、
前記流路形成部における搬送方向の下流側に設けられ、前記検査部において異物を有すると判定された部分を魚卵ペーストから除去する除去部と、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、魚卵ペーストにおける異物を確実で効率よく除去する、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法及び異物が除去された魚卵ペーストの製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、異物が除去された魚卵ペーストの製造装置を模式的に示す側面図である。
図2図2は、一部を断面で示す第1撮像部、第2撮像部及び除去部の側面図である。
図3図3は、一部を断面で示す第1撮像部、第2撮像部及び除去部の側面図である。
図4図4は、流路及び除去部の平面図である。
図5図5は、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法を説明するフローチャートである。
図6図6は、撮像された魚卵ペースト中のアニサキスを示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0019】
一実施の形態に係る異物が除去された魚卵ペーストの製造方法は、魚卵ペーストを搬送する流路の全幅に渡って設けられた少なくとも2つの被撮像領域を透過して魚卵ペーストに可視光または紫外線を照射すると共に、前記被撮像領域を通過する魚卵ペーストの画像を撮像する撮像処理と、前記撮像処理によって撮像された画像に基づいて、可視光または紫外線によって蛍光する異物の有無を判定する検査処理と、前記検査処理によって異物を有すると判定された部分を魚卵ペーストから除去する除去処理と、を含み、2つの前記被撮像領域は、前記流路を挟んで配置されることを特徴とする。
【0020】
一実施の形態に係る異物が除去された魚卵ペーストの製造装置は、魚卵ペーストを薄く広げた状態で搬送する流路を形成する流路形成部と、前記流路形成部の上面及び下面に設けられ、所定の可視光または紫外線を透過する材質で形成された少なくとも2つの被撮像領域と、少なくとも2つの前記被撮像領域を撮像可能な位置に設けられ、前記被撮像領域を通過する魚卵ペーストの画像を撮像する少なくとも2つの撮像部と、前記撮像部で撮像された画像に基づいて、可視光または紫外線によって蛍光する異物の有無を判定する検査部と、前記流路形成部における搬送方向の下流側に設けられ、前記検査部において異物を有すると判定された部分を魚卵ペーストから除去する除去部と、を含むことを特徴とする。
【0021】
1.魚卵ペースト
魚卵ペーストは、タラコなどの魚卵の卵粒子の集合物である。魚卵ペーストは、卵粒子のみでもよく、例えば多少の調味液が含まれていてもよい。魚卵ペーストは、魚卵から卵嚢膜を除去して卵粒子のみにしたものであり、魚卵がタラコの場合にはバラ子又はタラコペーストなどと呼ばれる。調味液が含まれるものとしては、パスタやおにぎり用に味付けされた魚卵ソース、魚卵ペーストと呼ばれるものが例示される。
【0022】
魚卵ペーストで用いる魚卵類としては、タラコ、イクラ、筋子、数の子、トビッコ、キャビア、マダラ卵等が例示される。タラコの成分は水分67%、蛋白質26%、脂質1.5%、灰分1.5%などからなる。使用する原卵は形態を問わない。生タラコ、冷凍のタラコ、塩タラコ、冷凍の塩タラコのいずれの形態であってもよい。筋子がバラになったのがイクラであり、生イクラは水分53%、蛋白質25%、脂肪15%、その他の成分7%とから成る液状の組成物を比較的強靱な卵膜で包被して成る球体であり、魚種により卵巣粒、色沢が異なる。使用する筋子は魚種を選ばない。ベニザケは卵巣の型が扁平であり、卵粒は小さく、色沢は鮮紅色である。シロサケは卵巣の型がやや丸く、卵粒は大きく、色沢は黄赤色である。カラフトマスは卵巣の型は細長く、卵粒数が少なく色沢は黄赤色である。ギンサケは卵巣の型は扁平でベニザケに似ていて、卵粒は小さく、色はベニザケよりやや紫がかっている。マスノスケは卵巣の型は大型で卵粒はシロサケと同じく大きい。色はややくすんだ黄赤色である。原料筋子は形態を問わない。生筋子、冷凍の生筋子、塩蔵筋子、冷凍の塩蔵筋子のいずれの形態であってもよい。筋子からイクラを作るには、例えば飽和食塩水で3〜5分攪拌した後にザルで揉んでイクラにする。
【0023】
2.異物が除去された魚卵ペーストの製造装置の概要
図1を用いて、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法に用いる異物が除去された魚卵ペーストの製造装置10(以下、単に「魚卵ペースト製造装置」という)について説明する。図1は、魚卵ペースト製造装置10を模式的に示す側面図である。
【0024】
図1に示すように、魚卵ペースト製造装置10は、原料である魚卵ペーストを投入する投入部20と、魚卵ペーストにおける異物を除去する前処理部30と、前処理された魚卵ペーストの画像を撮像する第1撮像部50及び第2撮像部60と、前処理された魚卵ペーストの画像を検査する検査部40と、異物を除去する除去部80と、異物が除去された魚卵ペースト(製品)を取り出す製品取出部90と、を含む。
【0025】
投入部20から投入された魚卵ペーストは、第1ポンプ22によって前処理部30に接続された第1管路24へ送り込まれる。第1ポンプ22は、魚卵をつぶすことなく魚卵ペーストを移送するポンプであり、例えば、モーノポンプなどを用いる。第1管路24を矢印の方向へ移送された魚卵ペーストは、前処理部30に送り込まれる。
【0026】
前処理部30は、ストレーナー32と、第2ポンプ34と、第2管路36と、を含む。前処理部30に送り込まれた魚卵ペーストは、ストレーナー32で異物が除去される。ストレーナー32は所定の大きさの魚卵が通過可能な大きさの孔を多数備え、該孔を通過した魚卵ペーストが第2ポンプ34に投入され、該孔を通過できない異物が魚卵ペースト製造装置10から外部へ排出される。第2ポンプ34は第2管路36へ魚卵ペーストを送り込み、第2管路36は流路70に接続される。第2ポンプ34は第1ポンプ22と同じものを用いることができる。
【0027】
第1撮像部50及び第2撮像部60は、第2管路36が接続する流路70の上下に配置される。第2管路36から流路70へ送り込まれた魚卵ペーストは、流路70で薄く広げられて搬送方向100へ搬送され、第1撮像部50及び第2撮像部60によって搬送中の魚卵ペーストの画像が上下方向から撮像される。
【0028】
検査部40は、第1撮像部50及び第2撮像部60に電気的に接続する。検査部40は、画像処理部42と、判定部44と、表示部46と、信号出力部48と、を含む。判定部44は、画像処理部42で生成された検査画像における異物の有無を判定する。判定部44において異物があると判定されると、信号出力部48は除去部80へ不良品信号を出力する。
【0029】
除去部80は、不良品信号を受信して魚卵ペーストを除去部80で除去する指令を出力する除去部用制御部86を含む。除去部80は、判定部44で異物がないと判定された場合には魚卵ペーストを製品取出部90へ導き、異物があると判定された場合には除去部用制御部86の指令により異物が含まれる魚卵ペーストの対象範囲を魚卵ペースト製造装置10の外へ排出する。
【0030】
製品取出部90は、判定部44で異物がないと判定された魚卵ペーストを集め、製品として後工程例えば袋詰めなどを行う。
【0031】
3.第1撮像部及び第2撮像部
図1図4を用いて、第1撮像部50、第2撮像部60及び除去部80について説明する。図2は一部を断面で示す第1撮像部50、第2撮像部60及び除去部80の側面図であり、図3は一部を断面で示す第1撮像部50、第2撮像部60及び除去部80の側面図であり、図4は流路70及び除去部80の平面図である。
【0032】
図2及び図3に示すように、魚卵ペースト製造装置10は、流路70の上方に配置される第1撮像部50と、流路70の下方に配置される第2撮像部60とを含む。少なくとも2つの撮像部(第1撮像部50及び第2撮像部60)は、後述する少なくとも2つの被撮像領域(第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58)を撮像可能な位置に設けられ、撮像処理を行う。2つの撮像部(第1撮像部50及び第2撮像部60)は、被撮像領域(第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58)を通過する魚卵ペーストの画像を撮像する。第1撮像部50は第1照射部52及び第1センサ54を含み、第2撮像部60は第2照射部62及び第2センサ64を含む。
【0033】
第1照射部52及び第2照射部62は、魚卵ペーストに対し可視光または紫外線を照射する。可視光または紫外線を照射することで異物を励起させ、魚卵と異物とを判別するためである。励起する波長は対象とする異物によって異なるが、アニサキスの場合には可視光である380nm〜450nmと紫外線である315nm〜380nmで励起して蛍光を発する。画像により判別するため(強く蛍光を発しやすい)紫外線がより好ましい。第1照射部52は、流路70の上方に配置し、第1検査窓75に対し所定の角度例えば45度で所定の光を照射する。第2照射部62は、流路70の下方に配置し、第2検査窓76に対し所定の角度例えば45度で所定の光を照射する。
【0034】
第1センサ54及び第2センサ64は、魚卵ペースト中のアニサキスを撮像可能なものであり、例えばラインセンサカメラまたはエリアセンサカメラを用いることができる。魚卵ペーストを薄く広げた状態で高速搬送するため、処理能力の高さからラインセンサカメラを用いることが好ましい。ラインセンサカメラは、CCD素子が一列に並んだものを採用することができる。第1センサ54及び第2センサ64は、流路70の幅Dの全体について撮像することができる。検査漏れを無くすためである。第1センサ54は、第1照射部52からの照射によって蛍光した異物が第1被撮像領域56を通過する際に撮像する。第2センサ64は、第2照射部62からの照射によって蛍光した異物が第2被撮像領域58を通過する際に撮像する。第1センサ54及び第2センサ64は、第1照射部52及び第2照射部62の光の内、異物に正反射した光を逃がして全体的に均一な光を受ける拡散反射方式で撮像する。異物と魚卵表面との拡散反射の違いにより異物を検出するためである。
【0035】
4.流路
図1図4に示すように、流路70は、魚卵ペーストを搬送する領域である。流路形成部72は、魚卵ペーストを薄く広げた状態で搬送する流路70を形成する。流路70は、流路形成部72の第1開口73と流路形成部72の第2開口74との間に形成される。第1開口73は第2管路36の一端に接続し、第2開口74は除去部80側に開口し、第1開口73から第2開口74へ搬送方向100に魚卵ペーストを搬送する。第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58における流路70は、図2に示す高さHを有し、図4に示す幅Dを有する。流路70は、第1開口73から幅Dに薄膜状に広がるため、高さHは幅Dよりも小さい。
【0036】
第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58は、流路形成部72の上面72a及び下面72bに設けられ、所定の可視光または紫外線を透過する材質で形成される。第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58は、流路70の幅Dに渡って形成される。2つの被撮像領域を設けたが、これに限らず、3箇所以上としてもよい。流路形成部72は、その上面72aに第1検査窓75と下面72bに第2検査窓76とを含む。第1検査窓75及び第2検査窓76の少なくとも一部を第1撮像部50及び第2撮像部60によって撮像される第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58とするためである。第1検査窓75及び第2検査窓76は、流路70の幅Dに渡って形成される。本実施形態における第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58は、後述するようにラインセンサを採用しているため、図4において破線で示す第2被撮像領域58のように直線状である。
【0037】
第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58は、流路70を挟んで配置される。流路の異なる面を通過する異物を確実に撮像するためである。従来のように目視による手作業では魚卵ペーストを上から見て判断するだけであったため魚卵の下にあって見えない異物を発見しにくかったが、流路70の上下から異物を検査することにより異物をより確実に発見できる。第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58は互いに対向して配置される。第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58が搬送方向100における全く同じ位置で互いに対向して配置されていてもよいし、搬送方向100の前後の異なる位置で互いに対向して配置されていてもよい。図2及び図3に示すように流路形成部72が水平面上に薄く広がるように配置される場合には、第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58が流路形成部72の上面72a及び下面72bにあればよい。上面72a側を通過する異物も下面72b側を通過する異物も撮像することができるからである。特にアニサキスのような線状の異物は、魚卵に比べて長いため、異物の少なくとも一部が第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58のいずれか少なくとも一方に表れる可能性が高いからである。
【0038】
第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58は、搬送方向100における近い位置で隣接して配置されることが好ましい。魚卵ペーストが上下に流動することによって異物の撮像漏れを防止するためである。また、第1検査窓75及び第2検査窓76は搬送方向100の前後の異なる位置に配置し、第1検査窓75及び第2検査窓76を透過した光が反射する流路形成部72の下面72b側の面及び上面72a側の面は金属光沢を有する金属板で形成されることが好ましい。流路70を通る魚卵ペースト中の気泡が金属板で反射して高輝度(ハレーション)となり、高輝度の部分を気泡として画像処理で判別し、異物と認識することを防止できる。なお、金属板に代えてアクリル板などの光を透過するものとしてもよい。その場合には気泡の部分を光が透過することで低輝度(黒色)の部分を気泡として画像処理で判別すればよい。
【0039】
第1検査窓75及び第2検査窓76は、第1照射部52及び第2照射部62から出射した光を透過し、かつ、異物が励起した蛍光を透過する材質である。第1検査窓75及び第2検査窓76は、ガラスまたはアクリル樹脂を採用することができる。流路形成部72が金属製であるため、所定の光を透過する第1検査窓75及び第2検査窓76を設けたが、流路形成部72の全体が所定の光を透過する材質で形成されていれば、「窓」を設ける必要はない。したがって、流路形成部72の全体が所定の光を透過する材質で形成されている場合、第1検査窓75及び第2検査窓76には、第1撮像部50及び第2撮像部60が異物を撮像する領域を仮想的に「窓」として設定することを含む。
【0040】
流路形成部72は、流路70の幅を形成する溝を有する底部材78と、底部材78の溝の上を塞ぐ蓋部材77と、を含む。図4では流路70の幅Dの変化が判るように蓋部材77を省略して示している。流路70は、第1開口73から第1検査窓75及び第2検査窓76の手前で幅Dとなり、第2開口74まで同じ幅Dを有する。第1検査窓75及び第2検査窓76を通過した魚卵ペーストが流路70の幅方向における位置を変えずに除去部80まで到達させるためである。
【0041】
流路形成部72は、第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58における流路70の高さHを調節可能である。高さHを調節するための方法としては、例えば、蓋部材77と底部材78との間にスペーサを入れる方法や、溝の深さが異なる複数の底部材78を交換する方法などがある。高さHは、検査対象となる魚卵ペーストに用いる魚卵の種類に応じて1.4mm〜15mmの間で調整することができる。魚卵の種類によって魚卵の卵径(卵の直径)が異なるため、検査効率の向上と異物発見の確実性の向上のためである。流路70の高さが1.4mm未満では、食用魚卵として利用されている比較的小さな魚卵(タラコなど)でもスムーズに通過させるのが困難である。流路7の高さを1.4mm以上とすることにより、流路70における魚卵ペーストの流速を実用的な範囲まで上げることで検査効率を向上させることができる。また、食用魚卵として利用されている比較的大きな魚卵(イクラなど)でも流路70の高さが15mm以下で対応することができる。すなわち、大きなイクラを用いても、魚卵ペーストの流速を実用的な範囲まで上げることができ、かつ、異物がイクラの陰に隠れることを防止でき、第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58を通過することで異物検出の確実性が向上する。
【0042】
図2及び図3に示すように、搬送方向100における流路70の全域において高さHで統一してもよい。また、第1検査窓75及び第2検査窓76を構成する部材を流路形成部72に対し交換することで、第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58における流路70の高さHを調整してもよい。交換作業が容易になるためである。
【0043】
第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58における流路70の高さHは、検査対象となる魚卵ペーストにおける魚卵の最大直径を超える高さであって、かつ、最小直径の2倍未満に流路70の高さHを調節することができる。高さHが魚卵の最大直径を超えるのであれば流路70内で魚卵ペーストを搬送できる。高さHが魚卵の最小直径の2倍未満であれば第1被撮像領域56または第2被撮像領域58から異物をより確実に撮像できる。すなわち、魚卵2個分の高さがなければ異物が魚卵によって上下から挟まれて見えなくなることがなく、異物が第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58のいずれか一方を通過することになり、異物を撮像できるということである。高さHを魚卵の最小直径の2倍未満とすることで、異物を見落とす確率を最小限にすることができる。
【0044】
食用魚卵として利用されている魚卵の卵径は、おおよそ以下の通りである。したがって、具体的には、イクラでは、高さHを9mm〜15mm程度に調節するのが好ましく、卵径が2mm以下のその他の魚卵では、1mm〜5mm、より好ましくは1.4mm〜3mmに調節するのが好ましい。魚卵自体の大きさのバラツキが大きい場合は、魚卵自体を大きさで分別してから、本発明の方法に付することによって、効果的に異物を除去することができる。
【0045】
【表1】
5.検査部
検査部40は、検査処理を行う。図1図4に示すように、検査部40は、第1撮像部50の第1センサ54及び第2撮像部60の第2センサ64によって撮像された画像に基づいて、可視光または紫外線によって蛍光する異物の有無を判定する。従来のように作業員の目視による手作業に比べ、確実で効率よく異物の有無を判定できる。
【0046】
検査部40の画像処理部42、判定部44及び信号出力部48は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、制御プログラムを格納したROM、制御プログラムを展開するRAM、制御プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置などを備えている。表示部46は、第1センサ54及び第2センサ64で撮像されたまたは画像処理部42で生成された画像を表示する。
【0047】
画像処理部42は、第1撮像部50の第1センサ54及び第2撮像部60の第2センサ64によって撮像された画像に適宜の画像処理を施して検査画像を生成する。検査画像は、第1検査窓75及び第2検査窓76に設けられた第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58における流路70を流れる魚卵ペーストの画像である。画像処理としては、例えば、濃淡値ヒストグラム、トーンカーブによる濃淡変換、ガンマ変換、S字トーンカーブによる変換、濃淡の反転または二値化処理などの濃淡変換や、線形フィルタ処理、平滑化フィルタ処理、メディアンフィルタ処理、エッジ強調または鮮鋭化などの空間フィルタ処理などを異物の形状や特性に応じて適宜採用することができる。画像処理部42は、検査画像として各画素の明暗に応じて多階調で表現されたグレースケールの濃淡画像や二値化処理をして得られるモノクロ(白黒)の二値画像などを用いることができる。第1照射部52及び第2照射部62の光によって蛍光した異物は検査画像において白くなり、魚卵の部分は黒くなる。
【0048】
検査部40は、特に線状の形状を有する異物の有無を判定する。異物は魚卵に混入する寄生虫であることができ、例えばアニサキスであることができる。アニサキスは所定の紫外線によって蛍光することが知られている。アニサキスのような異物は前処理部30のストレーナー32の孔を通過してしまうことがあるため、検査部40で検出することが望ましい。
【0049】
判定部44は、画像処理部42で生成された検査画像における異物の有無を判定する。判定方法としては、例えば、検査画像における所定しきい値以上の明るさの画素を検出体とし、その検出体の連続する面積を基準として判定する方法、当該検出体の連続する長さを基準として判定する方法、検出体とあらかじめ用意したパターンとのマッチングで判定する方法などを異物の形状や特性に応じて適宜採用することができる。異物があると判定された検査画像は表示部46に表示される。また、判定部44において異物があると判定されると、信号出力部48は除去部80へ不良品信号を出力する。
【0050】
検査処理は、流路70における魚卵ペーストの搬送方向100に直交する方向に例えば1又は複数の被検査領域を設定し、被検査領域ごとに異物の有無を判定する。より具体的には、判定部44が検査画像について図4に示すように流路70における魚卵ペーストの搬送方向100に直交する方向に複数の被検査領域として仮想的な第1被検査領域79a〜第5被検査領域79eを設定する。図4では第1被検査領域79a〜第5被検査領域79eを第2検査窓76上に仮想的に破線で示している。そして、判定部44が検査画像における第1被検査領域79a〜第5被検査領域79eごとに異物の有無を判定する。ここでは検査画像を幅Dの方向に5等分した第1被検査領域79a〜第5被検査領域79eとしたが、流路70の幅Dが狭い場合には1つの被検査領域としてもよいし、除去部80の構成に応じて2以上の被検査領域としてもよい。個々の被検査領域を小さくすることにより、搬送方向100の下流にある除去部80において、第1被検査領域79a〜第5被検査領域79eに対応する第1昇降板82a〜第5昇降板82eを動作させて除去する魚卵ペーストのロスを小さくすることができる。
【0051】
6.除去部
図1図4に示すように、除去部80は、流路形成部72における搬送方向100の下流側に設けられ、除去処理を行う。除去部80は、第2開口74に隣接して設けられる。除去部80は、昇降板82と排出路84と除去部用制御部86とを含む。
【0052】
除去部80は、検査部40によって異物を有すると判定された部分を魚卵ペーストから除去する。したがって、第1撮像部50及び第2撮像部60により確実に異物を撮像し、検査部40で効率よく異物の有無を判定することで、除去部80によって異物を確実にかつ効率よく除去することができる。
【0053】
昇降板82は、第1昇降板82a〜第5昇降板82eを含む。第1昇降板82a〜第5昇降板82eは、第1被検査領域79a〜第5被検査領域79eに対応して設けられる。すなわち、第1被検査領域79aで撮像された魚卵ペーストの部分は搬送方向100に沿って搬送され、第1昇降板82a上に至る。第2被検査領域79b〜第5被検査領域79eにおいても同様に第2昇降板82b〜第5昇降板82eに対応する。
【0054】
第1昇降板82a〜第5昇降板82eは、それぞれ除去部用制御部86の指令によって図2及び図3に示すように第2開口74側が昇降する。
【0055】
除去部80は、第1被検査領域79a〜第5被検査領域79eの内、判定部44において異物を有すると判定された被検査領域の魚卵ペーストを除去する。例えば、判定部44が第1被検査領域79aにおいて異物が有ると判定した場合、信号出力部48は除去部用制御部86に対し不良品信号を出力する。除去部用制御部86は、第1昇降板82aの第2開口74側を上昇させて、第3図に示す状態を所定期間維持する。所定期間は、少なくとも異物が第1昇降板82aに到達する前から異物が排出路84へ落下するまでの時間である。所定期間は、魚卵ペーストの搬送する速度から求めることができる。
【0056】
異物があると判定された部分の魚卵ペーストは、第1昇降板82aの下方にある排出路84へ落下する。排出路84に落下した魚卵ペーストは廃棄される。また、異物があると判定されなかった魚卵ペーストは、第2昇降板82b〜第5昇降板82eの上を滑り、製品取出部90へ落下する。所定期間が経過すると第1昇降板82aは下降して図2の状態に戻り、魚卵ペーストは第1昇降板82a〜第5昇降板82eの上を滑って製品取出部90に集められる。
【0057】
流路70が水平面上に広がるように設置されているため、第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58を通過した魚卵ペーストは搬送方向100に直交する方向へほとんど移動することなく昇降板82へ搬送される。第1被検査領域79a〜第5被検査領域79eと同じ幅で第1昇降板82a〜第5昇降板82eが配置されるため、例えば第1被検査領域79aを通過した異物は第1昇降板82aに搬送されることになる。流路70を水平面以外に広がるように設置する場合には、異物が搬送方向100と直交する方向に移動しないように、流路70の搬送方向100に沿って第1被検査領域79a〜第5被検査領域79eから第1昇降板82a〜第5昇降板82eまで延びる板を設けてもよい。
【0058】
また、2つの被検査領域が隣接する部分、例えば、第1被検査領域79aと第2被検査領域79bとの間に異物があると判定した場合には、第1昇降板82a及び第2昇降板82bを上げればよい。異物を確実に除去するためである。
【0059】
このように昇降板82を複数の第1昇降板82a〜第5昇降板82eで構成することで、製品となりうる魚卵ペーストを無駄に排除することなく、異物が存在する少量の魚卵ペーストに限って除去することができる。
【0060】
なお、第1昇降板82a〜第5昇降板82eの代わりに1枚の昇降板82としてもよい。その場合には、判定部44における処理も第1被検査領域79a〜第5被検査領域79eに分けて判定しなくてよいので、判定部44の処理負担が低減できる。
【0061】
本発明の除去部80は異物を混入する魚卵を系外に取り出すことができる方法であれば、どのような方法を採用してもよい。上述のように、異物が混入した領域の魚卵を落下させて除去するのでも良いし、異物の箇所を吸引する方法で除去するのでもよい。
【0062】
7.異物が除去された魚卵ペーストの製造方法
図1図5を用いて、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法について詳細に説明する。図5は、異物が除去された魚卵ペーストの製造方法(以下「魚卵ペーストの製造方法」という)を説明するフローチャートである。
【0063】
魚卵ペーストの製造方法は、魚卵ペーストを搬送する流路70の全幅に渡って設けられた第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58を透過して魚卵ペーストに可視光または紫外線を照射すると共に、第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58を通過する魚卵ペーストの画像を撮像する撮像処理と、撮像処理によって撮像された画像に基づいて、可視光または紫外線によって蛍光する異物の有無を判定する検査処理と、検査処理によって異物を有すると判定された部分を魚卵ペーストから除去する除去処理と、を含む。また、異物を有すると判定されなかった魚卵ペーストについては、製品として製品取出部90へ搬送される製品搬送処理が実行される。第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58は、流路70を挟んで配置される。
【0064】
図5に示すように、撮像処理はS10〜S30の処理を行い、検査処理はS40の処理を行い、製品搬送処理はS50の処理を行い、除去処理はS60の処理を行う。
【0065】
S10:第1照射部52及び第2照射部62から例えば紫外線を照射する。魚卵ペースト中の異物を励起させ、蛍光を発するためである。第1照射部52及び第2照射部62については上記3で説明したため、詳細な説明は省略する。
【0066】
S20:第1撮像部50及び第2撮像部60において第1センサ54及び第2センサ64が第1被撮像領域56及び第2被撮像領域58の魚卵ペーストを撮像する。第1センサ54及び第2センサ64については上記3で説明したため、詳細な説明は省略する。
【0067】
S30:画像処理部42が撮像された画像に所定の処理を施して検査画像を生成する。判定部44において異物の有無を確実に判定するためである。
【0068】
S40:判定部44が検査処理を開始し、検査画像における異物の有無を判定する。異物は、検査画像中に紫外線で蛍光を発した所定形状の異物を検出することで行う。例えば、検査処理は、線状の形状を有する異物(例えばアニサキス)の有無を判定することができる。アニサキスのように線状であるとストレーナー32を通過する可能性があり、容易に除去できないからである。検査処理で異物があると判定された場合には、信号出力部48が不良品信号を除去部用制御部86へ出力する。異物があると判定された部分を除去部80で製品から除去するためである。
【0069】
S50:検査処理によって異物を有すると判定されなかった魚卵ペーストを製品として搬送する。製品の魚卵ペーストは、流路形成部72の第2開口74から押し出され、昇降板82の上面を流れて製品取出部90に集められる(図2)。
【0070】
S60:検査処理によって異物を有すると判定された部分を製品とする魚卵ペーストから除去する。具体的には、除去部80において、除去部用制御部86の指令により、昇降板82を上昇させ、異物を有する部分を排出路84へ落下させて製品取出部90への混入を防止する。異物を含む除去する魚卵ペーストを少なくして無駄を減らすために、検査処理は、流路70における魚卵ペーストの搬送方向100に直交する方向に複数の被検査領域(第1被検査領域79a〜第5被検査領域79e)を設定し、第1被検査領域79a〜第5被検査領域79eごとに異物の有無を判定してもよい。その場合、除去処理は、異物を有すると判定された被検査領域の魚卵ペーストを除去する。除去部80については上記6で説明したため、詳細な説明は省略する。
【実施例1】
【0071】
図1図5を用いて説明した魚卵ペースト製造装置10及び魚卵ペーストの製造方法を用いて、タラコ(卵径約1mm)の魚卵ペーストからアニサキスを除去する実験を行った。
【0072】
第1照射部52及び第2照射部62は365nmの波長を有する紫外線を第1検査窓75及び第2検査窓76に対して45度で照射した。流路70の幅Dは160mmで行った。第1センサ54及び第2センサ64は、ラインセンサカメラであって、第1検査窓75及び第2検査窓76の鉛直方向から撮像した。流路70における魚卵ペーストの流速は60m/min〜70m/minであった。
【0073】
画像処理部42で生成された画像の内、異物があると判定された部分を拡大して図6に示した。画像には魚卵ペースト中に、アニサキスが確認できた。判定部44で異物と判定されたアニサキスは、最も細いもので0.2mm(長さは約5mm)であった。図6における各画像において線状の白い部分がアニサキスである。アニサキスは通常螺旋状であるが、流路70を移動する際に搬送方向100に引き延ばされて図6に示す状態となったと考えられる。
【0074】
製品取出部90の魚卵ペーストを目視で検査したところ、アニサキスは発見できなかった。
【0075】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0076】
10…異物が除去された魚卵ペーストの製造装置(魚卵ペースト製造装置)、20…投入部、22…第1ポンプ、24…第1管路、30…前処理部、32…ストレーナー、34…第2ポンプ、36…第2管路、40…検査部、42…画像処理部、44…判定部、46…表示部、48…信号出力部、50…第1撮像部、52…第1照射部、54…第1センサ、56…第1被撮像領域、58…第2被撮像領域、60…第2撮像部、62…第2照射部、64…第2センサ、70…流路、72…流路形成部、72a…上面、72b…下面、73…第1開口、74…第2開口、75…第1検査窓、76…第2検査窓、77…蓋部材、78…底部材、79a〜79e…第1被検査領域〜第5被検査領域、80…除去部、82…昇降板、82a〜82e…第1昇降板〜第5昇降板、84…排出路、86…除去部用制御部、90…製品取出部、100…搬送方向、D…流路の幅、H…流路の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】