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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年4月19日
【発行日】2019年9月5日
(54)【発明の名称】新規ヒドロゲル化剤
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20190809BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20190809BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20190809BHJP
   C07H 15/203 20060101ALI20190809BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20190809BHJP
   C07C 275/40 20060101ALN20190809BHJP
   C07C 273/18 20060101ALN20190809BHJP
   A23L 29/00 20160101ALN20190809BHJP
【FI】
   C09K3/00 103M
   A61K8/60ZAB
   A61K47/26
   C07H15/203CSP
   A61K9/06
   C07C275/40
   C07C273/18
   A23L29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
【出願番号】特願2018-545094(P2018-545094)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年10月16日
(31)【優先権主張番号】特願2016-202988(P2016-202988)
(32)【優先日】2016年10月14日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(71)【出願人】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 正道
(72)【発明者】
【氏名】赤間 修斗
【テーマコード(参考)】
4B035
4C057
4C076
4C083
4H006
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LG04
4B035LG17
4B035LK04
4C057BB03
4C057CC03
4C057DD01
4C057JJ23
4C076AA09
4C076DD69P
4C076FF17
4C076FF35
4C083AD211
4C083AD212
4C083CC01
4C083DD41
4C083EE07
4C083FF01
4H006AA02
4H006AC52
4H006BA25
4H006BB14
4H006BE20
(57)【要約】
【課題】
簡便な手法によって作製することができる、糖構造を有するモノウレア化合物を含む新規なヒドロゲル化剤を提供すること。
【解決手段】
下記式[1]で表される化合物からなるヒドロゲル化剤。
【化1】

(式中、
は糖基を表し、
Aは2価の連結基を表し、
Rは、炭素原子数1乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数3乃至15の環状のアルキル基、炭素原子数2乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、又は未置換の若しくは炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数6乃至18のアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、フェニル基、炭素原子数2乃至10のアルキルカルボニル基及び炭素原子数7乃至18のアラルキル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換された炭素原子数6乃至18のアリール基を表す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式[1]で表される化合物からなるヒドロゲル化剤。
【化1】
(式中、
は糖基を表し、
Aは2価の連結基を表し、
Rは、炭素原子数1乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数3乃至15の環状のアルキル基、炭素原子数2乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、又は未置換の若しくは炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数6乃至18のアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、フェニル基、炭素原子数2乃至10のアルキルカルボニル基及び炭素原子数7乃至18のアラルキル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換された炭素原子数6乃至18のアリール基を表す。)
【請求項2】
前記糖基Sが単糖又は二糖由来の構造からなる1価の基である、請求項1に記載のヒドロゲル化剤。
【請求項3】
前記連結基Aが炭素原子数1乃至15の直鎖状アルキレン基又は炭素原子数6乃至15のアリーレン基であり、
前記Rが炭素原子数1乃至15の直鎖状のアルキル基、炭素原子数3乃至10の環状のアルキル基、又は未置換の若しくは炭素原子数1乃至10のアルキル基、ハロゲン原子及び炭素原子数7乃至18のアラルキル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたフェニル基である、
請求項2に記載のヒドロゲル化剤。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のヒドロゲル化剤と、水系溶媒よりなるヒドロゲル。
【請求項5】
下記式[1]で表される化合物。
【化2】
(式中、
は糖基を表し、
Aは2価の連結基を表し、
Rは、炭素原子数1乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数3乃至15の環状のアルキル基、炭素原子数2乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、又は未置換の若しくは炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数6乃至18のアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、フェニル基、炭素原子数2乃至10のアルキルカルボニル基及び炭素原子数7乃至18のアラルキル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換された炭素原子数6乃至18のアリール基を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ゲル化剤に関し、詳細には、水系溶媒に対してゲル形成可能である、糖構造を有するモノウレア化合物を含む新規なヒドロゲル化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゲルは、塗料や樹脂等の分野において塗料や樹脂等に添加して流動性を調整したり、廃油、廃液、廃水等をゲル化して固形物とし、水質汚染を防止したりする等、工業分野、日用品分野、環境分野、医療分野、香粧品分野、食品分野、農業分野、生体関連分野、分析分野等の各分野において幅広く利用されている。ゲルとは化学物質により形成された三次元網目構造中に水や有機溶剤などの流体が含まれている構造体をいい、流体が有機溶剤である場合をオルガノゲル、流体が水である場合をヒドロゲルという。
【0003】
近年では、生体関連試料や環境試料のセンシングやスクリーニング等の技術にゲルを応用することが検討されているが、この場合には、水系環境におけるゲル化、即ちヒドロゲルやヒドロゲル化剤に関する開発が不可欠である。
これまでにも、種々のヒドロゲルやヒドロゲル化剤が提案されており、その一例として、各種単糖類から誘導された糖誘導体を用いたゲル化剤が報告されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/121394号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したとおり、ヒドロゲルは幅広い分野で利用されており、今後も利用分野の拡大が期待されている。
本発明は、簡便な手法によって作製することができる、これまで提案されていない構造を有する新規なゲル化剤、特にヒドロゲルを形成できる新規なゲル化剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、糖構造を有するモノウレア化合物をゲル化剤として適用したところ、驚くべきことに種々の水系溶媒に対してゲルを形成可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は、第1観点として、下記式[1]で表される化合物からなるヒドロゲル化剤に関する。
【化1】
(式中、
は糖基を表し、
Aは2価の連結基を表し、
Rは、炭素原子数1乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数3乃至15の環状のアルキル基、炭素原子数2乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、又は未置換の若しくは炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数6乃至18のアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、フェニル基、炭素原子数2乃至10のアルキルカルボニル基及び炭素原子数7乃至18のアラルキル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換された炭素原子数6乃至18のアリール基を表す。)
第2観点として、前記糖基Sが単糖又は二糖由来の構造からなる1価の基である、第1観点に記載のヒドロゲル化剤に関する。
第3観点として、前記連結基Aが炭素原子数1乃至15の直鎖状アルキレン基又は炭素原子数6乃至15のアリーレン基であり、
前記Rが炭素原子数1乃至15の直鎖状のアルキル基、炭素原子数3乃至10の環状のアルキル基、又は未置換の若しくは炭素原子数1乃至10のアルキル基、ハロゲン原子及び炭素原子数7乃至18のアラルキル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたフェニル基である、
第2観点に記載のヒドロゲル化剤に関する。
第4観点として、第1観点乃至第3観点のいずれか1項に記載のヒドロゲル化剤と、水系溶媒よりなるヒドロゲルに関する。
第5観点として、下記式[1]で表される化合物に関する。
【化2】
(式中、
は糖基を表し、
Aは2価の連結基を表し、
Rは、炭素原子数1乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数3乃至15の環状のアルキル基、炭素原子数2乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、又は未置換の若しくは炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数6乃至18のアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、フェニル基、炭素原子数2乃至10のアルキルカルボニル基及び炭素原子数7乃至18のアラルキル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換された炭素原子数6乃至18のアリール基を表す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明のヒドロゲル化剤は、水系溶媒をゲル化させてゲルを形成することができるという効果を奏する。
また、本発明のヒドロゲル化剤は、高いゲル化能を有するという効果を奏する。
さらに、本発明のヒドロゲル化剤は、簡便な手法によって作製することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例2における、各種水系溶媒に対する式4の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真である(使用水系溶媒:純水、リン酸緩衝液、生理食塩水、30% 1,3−プロパンジオール、70% 1,3−プロパンジオール、30%エタノール、70%エタノール)(Sus:懸濁状態、PG:部分的にゲル化)。
図2図2は、実施例2における、各種水系溶媒に対する式7の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真である(使用水系溶媒:純水、リン酸緩衝液、生理食塩水、30% 1,3−プロパンジオール、70% 1,3−プロパンジオール、30%エタノール、70%エタノール)(Sus:懸濁状態)。
図3図3は、実施例2における、各種水系溶媒に対する式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真である(使用水系溶媒:純水、リン酸緩衝液、生理食塩水、30% 1,3−プロパンジオール、70% 1,3−プロパンジオール、30%エタノール、70%エタノール)(Sol:溶液に粘性がない状態)。
図4図4は、実施例3における、種々のpHの水系溶媒に対する式4の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真である(使用水系溶媒;pH1〜5:塩酸水溶液、pH7:純水、pH8〜10:水酸化ナトリウム水溶液)(Sus:懸濁状態、PG:部分的にゲル化)。
図5図5、実施例3における、種々のpHの水系溶媒に対する式7の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真である(使用水系溶媒;pH1〜5:塩酸水溶液、pH7:純水、pH8〜10:水酸化ナトリウム水溶液)(Sus:懸濁状態)。
図6図6、実施例3における、種々のpHの水系溶媒に対する式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真である(使用水系溶媒;pH1〜5:塩酸水溶液、pH7:純水、pH8〜10:水酸化ナトリウム水溶液)(Sol:溶液に粘性がない状態)。
図7図7は、実施例4における、各種水系溶媒に対する式4の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真である[使用水系溶媒:純水(最小ゲル化濃度:1.0wt%)、塩酸水溶液(pH3)(最小ゲル化濃度:0.5wt%)、水酸化ナトリウム水溶液(pH10)(最小ゲル化濃度:1.0wt%)、30%エタノール(最小ゲル化濃度:1.0wt%)]。
図8図8は、実施例4における、各種水系溶媒に対する式7の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真である[使用水系溶媒:純水(最小ゲル化濃度:0.1wt%)、水酸化ナトリウム水溶液(pH10)(最小ゲル化濃度:0.1wt%)、30%エタノール(最小ゲル化濃度:0.1wt%)、30% 1,3−プロパンジオール(最小ゲル化濃度:0.1wt%)、70% 1,3−プロパンジオール(最小ゲル化濃度:0.5wt%)]。
図9図9は、実施例4における、各種水系溶媒に対する式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真である[使用水系溶媒:純水(最小ゲル化濃度:0.5wt%)、塩酸水溶液(pH3)(最小ゲル化濃度:1.0wt%)、水酸化ナトリウム水溶液(pH10)(最小ゲル化濃度:0.5wt%)、生理食塩水(最小ゲル化濃度:0.5wt%)、30% 1,3−プロパンジオール(最小ゲル化濃度:1.0wt%)]。
図10図10は、実施例5における、加熱処理(40℃)に対する式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真である(ゲル化濃度:0.5wt%、1.0wt%)。
図11図11は、実施例5における、加熱処理(60℃)に対する式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真である(ゲル化濃度:0.5wt%、1.0wt%)。
図12図12は、実施例5における、超音波処理に対する式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の静置後の各サンプル管の写真である(ゲル化濃度:1.0wt%)。
図13図13は、実施例5における、振動処理に対する式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の静置後の各サンプル管の写真である(ゲル化濃度:1.0wt%)。
図14図14は、実施例7における、式4の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後のサンプル管の写真である(ゲル化濃度:1.0wt%)。
図15図15は、実施例8における、式7の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後のサンプル管の写真である[(左)ゲル化濃度:0.1wt%、(右)ゲル化濃度:0.5wt%](G:ゲル化)。
図16図16は、実施例9における、式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後のサンプル管の写真である。
図17図17は、実施例10における、ヒドロゲルの透明性評価の結果を示すグラフである。
図18図18は、実施例11における、振動処理に対する式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の静置後のサンプル管の写真である[左:振動処理前のサンプル管の写真、真中:振動処理の写真、右:静置後のサンプル管の写真]。
図19図19は、実施例12における、走査型電子顕微鏡(SEM)像の写真である。
図20図20は、実施例14における、式13の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後のサンプル管の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[ヒドロゲル化剤]
本発明のヒドロゲル化剤は、下記式[1]で表される、糖構造を有するモノウレア化合物からなる。
【化3】
(式中、
は糖基を表し、
Aは2価の連結基を表し、
Rは、炭素原子数1乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素原子数3乃至15の環状のアルキル基、炭素原子数2乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、又は未置換の若しくは炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、炭素原子数6乃至18のアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、フェニル基、炭素原子数2乃至10のアルキルカルボニル基及び炭素原子数7乃至18のアラルキル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換された炭素原子数6乃至18のアリール基を表す。)
【0011】
が表す糖基とは、糖由来の構造からなる1価の基であって、具体的には、糖からヒドロキシ基を1つ取り除いた残基である。
前記糖基は、アルキル基(メチル基やエチル基等)及びスルホ基等の置換基によって置換されていてもよい。
前記糖の種類は特に限定されないが、ゲル化活性の観点から、単糖又は二糖であることが好ましく、二糖であることがより好ましい。
【0012】
前記単糖としては、5炭糖又は6炭糖が好ましい。
前記5炭糖としては、リボース、デオキシリボース、及びフルクトース等が挙げられる。
前記6炭糖としては、グルコース、マンノース、ガラクトース、メチル−α−グルコース、及びメチル−α−マンノース等が挙げられる。
単糖の中でも、6炭糖が好ましく、グルコース、マンノース、ガラクトース、メチル−α−グルコース、及びメチル−α−マンノースが特に好ましい。
【0013】
前記二糖類としては、例えば、ラクトース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース、及びセロビオース等が挙げられ、その中でも、ラクトースが特に好ましい。
【0014】
Aが表す連結基としては、特に限定されないが、例えば、炭素原子数1乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、炭素原子数3乃至15の環状のアルキレン基、及び炭素原子数6乃至15のアリーレン基等が挙げられる。
【0015】
前記炭素原子数1乃至15の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、及びオクチレン基等、並びにこれらの基が分岐されてなる基が挙げられる。
前記炭素原子数3乃至15の環状のアルキレン基としては、環状のアルキレン基のみからなる基(例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロヘキセン基等)だけでなく、シクロペンチル環、シクロヘキシル環等の環構造を有する直鎖状及び/又は分岐鎖状のアルキレン基であって、炭素原子数が3乃至15の基であるものも挙げられる。
前記炭素原子数6乃至15のアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基等が挙げられる。
【0016】
Rが表す炭素原子数1乃至15の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基及びペンタデシル基、並びにこれらの基が分岐されてなる基が挙げられる。
Rが表す炭素原子数3乃至15の環状のアルキル基としては、環状のアルキル基のみからなる基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)だけでなく、シクロペンチル環、シクロヘキシル環等の環構造を有する直鎖状及び/又は分岐鎖状のアルキル基であって、炭素原子数が3乃至15の基であるものも挙げられる。
Rが表す炭素原子数2乃至15の直鎖状又は分岐鎖状のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基及びオクテニル基等、並びにこれらの基が分岐されてなる基が挙げられる。
【0017】
Rが表す炭素原子数6乃至18のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基及び9−フェナントリル基等が挙げられる。
【0018】
前記炭素原子数6乃至18のアリール基の置換基としての炭素原子数1乃至10のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基、2−メチル−シクロプロピル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、シクロペンチル基、1−メチル−シクロブチル基、2−メチル−シクロブチル基、3−メチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロプロピル基、2,3−ジメチル−シクロプロピル基、1−エチル−シクロプロピル基、2−エチル−シクロプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロペンチル基、2−メチル−シクロペンチル基、3−メチル−シクロペンチル基、1−エチル−シクロブチル基、2−エチル−シクロブチル基、3−エチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロブチル基、1,3−ジメチル−シクロブチル基、2,2−ジメチル−シクロブチル基、2,3−ジメチル−シクロブチル基、2,4−ジメチル−シクロブチル基、3,3−ジメチル−シクロブチル基、1−n−プロピル−シクロプロピル基、2−n−プロピル−シクロプロピル基、1−i−プロピル−シクロプロピル基、2−i−プロピル−シクロプロピル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0019】
前記置換基としての炭素原子数1乃至10のアルコキシ基としては、上記アルキル基が酸素に結合した基が挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、1−メチル−n−ブトキシ基、2−メチル−n−ブトキシ基、3−メチル−n−ブトキシ基、1,1−ジメチル−n−プロポキシ基、1,2−ジメチル−n−プロポキシ基、2,2−ジメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−n−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、1−メチル−n−ペンチルオキシ基、2−メチル−n−ペンチルオキシ基、3−メチル−n−ペンチルオキシ基、4−メチル−n−ペンチルオキシ基、1,1−ジメチル−n−ブトキシ基、1,2−ジメチル−n−ブトキシ基、1,3−ジメチル−n−ブトキシ基、2,2−ジメチル−n−ブトキシ基、2,3−ジメチル−n−ブトキシ基、3,3−ジメチル−n−ブトキシ基、1−エチル−n−ブトキシ基、2−エチル−n−ブトキシ基、1,1,2−トリメチル−n−プロポキシ基、1,2,2,−トリメチル−n−プロポキシ基、1−エチル−1−メチル−n−プロポキシ基、及び1−エチル−2−メチル−n−プロポキシ基等が挙げられる。
【0020】
前記置換基としての炭素原子数6乃至18のアリールオキシ基としては、上記アリール基が酸素に結合した基が挙げられ、例えばフェニルオキシ基(フェノキシ基)、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、1−アントリルオキシ基、2−アントリルオキシ基、9−アントリルオキシ基、1−フェナントリルオキシ基、2−フェナントリルオキシ基、3−フェナントリルオキシ基、4−フェナントリルオキシ基及び9−フェナントリルオキシ基等が挙げられる。
【0021】
前記置換基としてのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0022】
前記置換基としての炭素原子数2乃至10のアルキルカルボニル基としては、上記アルキル基がカルボニル基に結合した基が挙げられ、例えば、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、i−プロピルカルボニル基、シクロプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、i−ブチルカルボニル基、s−ブチルカルボニル基、t−ブチルカルボニル基、シクロブチルカルボニル基、1−メチル−シクロプロピルカルボニル基、2−メチル−シクロプロピルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、1−メチル−n−ブチルカルボニル基、2−メチル−n−ブチルカルボニル基、3−メチル−n−ブチルカルボニル基、1,1−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、1,2−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、2,2−ジメチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−n−プロピルカルボニル基、シクロペンチルカルボニル基、1−メチル−シクロブチルカルボニル基、2−メチル−シクロブチルカルボニル基、3−メチル−シクロブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−シクロプロピルカルボニル基、2,3−ジメチル−シクロプロピルカルボニル基、1−エチル−シクロプロピルカルボニル基、2−エチル−シクロプロピルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、1−メチル−n−ペンチルカルボニル基、2−メチル−n−ペンチルカルボニル基、3−メチル−n−ペンチルカルボニル基、4−メチル−n−ペンチルカルボニル基、1,1−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、2,2−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、2,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、3,3−ジメチル−n−ブチルカルボニル基、1−エチル−n−ブチルカルボニル基、2−エチル−n−ブチルカルボニル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピルカルボニル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、1−メチル−シクロペンチルカルボニル基、2−メチル−シクロペンチルカルボニル基、3−メチル−シクロペンチルカルボニル基、1−エチル−シクロブチルカルボニル基、2−エチル−シクロブチルカルボニル基、3−エチル−シクロブチルカルボニル基、1,2−ジメチル−シクロブチルカルボニル基、1,3−ジメチル−シクロブチルカルボニル基、2,2−ジメチル−シクロブチルカルボニル基、2,3−ジメチル−シクロブチルカルボニル基、2,4−ジメチル−シクロブチルカルボニル基、3,3−ジメチル−シクロブチルカルボニル基、1−n−プロピル−シクロプロピルカルボニル基、2−n−プロピル−シクロプロピルカルボニル基、1−i−プロピル−シクロプロピルカルボニル基、2−i−プロピル−シクロプロピルカルボニル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピルカルボニル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピルカルボニル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピルカルボニル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピルカルボニル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピルカルボニル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピルカルボニル基及び2−エチル−3−メチル−シクロプロピルカルボニル基等が挙げられる。
【0023】
前記置換基としての炭素原子数7乃至18のアラルキル基としては、上記アルキル基の水素原子をアリール基で置換した基、例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、5−フェニルペンチル基、6−フェニルヘキシル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、1−アントリルメチル基、2−アントリルメチル基、9−アントリルメチル基、1−フェナントリルメチル基、2−フェナントリルメチル基、3−フェナントリルメチル基、4−フェナントリルメチル基、9−フェナントリルメチル基、α−ナフチルエチル基、β−ナフチルエチル基、1−アントリルエチル基、2−アントリルエチル基、9−アントリルエチル基、1−フェナントリルエチル基、2−フェナントリルエチル基、3−フェナントリルエチル基、4−フェナントリルエチル基及び9−フェナントリルエチル基等が挙げられる。
【0024】
本発明のヒドロゲル化剤を用いて、後述の種々の水系溶媒を良好にゲル化させる観点から、前記式[1]において、上記Sは二糖由来の構造からなる1価の基が好ましく、最も好ましくはラクトース由来の構造からなる1価の基である。
また前記式[1]において、上記Aは炭素原子数1乃至15の直鎖状アルキレン基又は炭素原子数6乃至15のアリーレン基が好ましく、炭素原子数1乃至10の直鎖状アルキレン基又は炭素原子数6乃至10のアリーレン基がより好ましく、最も好ましくはフェニレン基である。
さらに前記式[1]において、上記Rは炭素原子数1乃至15の直鎖状アルキル基が好ましく、炭素原子数4乃至15の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素原子数4乃至12の直鎖状アルキル基が特に好ましく、最も好ましくはブチル基、n−オクチル基及びドデシル基である。
また上記Rは、炭素原子数3乃至10の環状のアルキル基が好ましく、最も好ましくはシクロヘキシル基である。
さらに上記Rは、未置換の又は炭素原子数1乃至10のアルキル基、ハロゲン原子及び炭素原子数7乃至18のアラルキル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたフェニル基であることが好ましい。より好ましくは、上記Rは、未置換の又は炭素原子数1乃至5のアルキル基、ハロゲン原子及び炭素原子数7乃至10のアラルキル基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたフェニル基であることが好ましく、特により良好なゲル化能を発現する観点から、上記Rは、未置換のフェニル基、又は、tert−ブチル基、ベンジル基若しくはブロモ基置換のフェニル基であることが好ましい。
【0025】
なお、本発明のヒドロゲル化剤である式[1]で表される化合物は、後述の種々の水系溶媒に投入すると、自己集合化して、ファイバー状或いはラメラ状といった二次集合体を形成し、これらが溶媒のゲル化に寄与するものと考えられる。そのため、式[1]における上記S、A及びRとしては、ゲル化させる溶媒に対する前記二次集合体の親和性の高さや、ゲル化させる溶媒に対して式[1]で表される化合物としての溶解度の高さを考慮して、好適ないし最適な基を選択することができる。
【0026】
また、上記式[1]で表される化合物も、本発明の対象である。
なお、前記式[1]で表される化合物中のS、A及びRの定義については、[ヒドロゲル化剤]で記載したとおりである。
【0027】
式[1]で表される化合物は、例えば、以下の方法(工程1乃至工程3)により簡便に合成することができる。
【0028】
【化4】
(式中、A、R及びSの定義は上記[1]中の定義と同義である。)
【0029】
工程1において、イソシアン酸のNO置換エステル化合物(a)とアミン化合物(b)とを反応させる。次に工程2において、工程1で得られたモノウレア化合物(c)のニトロ基を還元する。そして、工程3において、工程2で得られたアミノ基を有するモノウレア化合物(d)と糖(e)とを反応させる。
【0030】
前記工程1において、使用可能な有機溶媒としては、イソシアン酸のNO置換エステル化合物(a)及びアミン化合物(b)を溶解するものであれば特に限定されないが、例えばアルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール等)、セロソルブ類(例えばメトキシエタノール、エトキシエタノール等)、非プロトン性極性有機溶媒類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラメチルウレア、スルホラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、脂肪族炭化水素類(例えばペンタン、ヘキサン、シクロキサン、オクタン、デカン、デカリン、石油エーテル等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン等)、ハロゲン化炭化水素類(例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、低級脂肪族酸エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等)、アルコキシアルカン類(例えばジメトキシエタン、ジエトキシエタン等)、ニトリル類(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)等を使用することができる。
反応は、室温(25℃前後)乃至上記反応に使用する有機溶媒の還流温度以下にて適宜選択され得、反応時間は1時間〜5日間程度から適宜選択され得る。
反応終了後、溶媒を留去し、必要に応じて各種クロマトグラフィー法、再結晶法、再沈殿法、蒸留法、洗浄等の公知の精製方法にて精製することができる。
【0031】
前記工程2の反応は接触還元であり、接触還元法としては、ニッケル(Ni)やパラジウム(Pd)等の水素化触媒を用いた方法等の公知の方法を用いることができる。
反応終了後、溶媒を留去し、必要に応じて各種クロマトグラフィー法、再結晶法、再沈殿法、蒸留法、洗浄等の公知の精製方法にて精製することができる。
【0032】
前記工程3の反応は脱水反応であり、脱水反応に使用可能な有機溶媒としては、上記工程1で挙げた有機溶媒が挙げられる。
反応は、室温(25℃前後)乃至上記反応に使用する有機溶媒の還流温度以下にて適宜選択され得、反応時間は1時間〜14日間程度から適宜選択され得る。
反応終了後、溶媒を留去し、必要に応じて各種クロマトグラフィー法、再結晶法、再沈殿法、蒸留法、洗浄等の公知の精製方法にて精製することができる。
【0033】
[ヒドロゲル]
本発明のヒドロゲルは、上記ヒドロゲル化剤で溶媒をゲル化させることにより、得ることができる。具体的には、溶媒に所定量のヒドロゲル化剤を加熱溶解させ、冷却するという製造方法、並びに溶媒に所定量のヒドロゲル化剤を加えて、超音波処理や振動処理などを施すという製造方法などが例示される。通常、加熱溶解の際には、完全に溶解させることが好ましい。また、超音波処理や振動処理などを施す際には、ヒドロゲル化剤は加熱してもしなくてもよい。
なお、本明細書において、ゲル化とは、流動性のある液体が実質的に流動性を失った状態となることをいう。
溶媒をゲル化するに際し、本発明のヒドロゲル化剤の使用量は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、ゲル化される溶媒の質量に対して、通常0.001乃至20質量%、例えば0.05乃至5質量%である。なお、本明細書等では、質量%をwt%とも表記する。
【0034】
前記溶媒としては、ゲル化を防げるものでなければ特に限定されないが、好ましい具体例として、水系溶媒等を挙げることができる。
本発明のヒドロゲルは、前記ヒドロゲル化剤と、水系溶媒を含みて形成され得る。
【0035】
本発明における「水系溶媒」は、溶媒として少なくとも水を含む溶媒であれば特に限定されず、例えば、水、緩衝液、及び無機水溶液(酸性水溶液、塩基性水溶液、中性水溶液等)、並びに水と親水性有機溶媒との混合溶媒(本明細書において親水性有機溶液と称する。)等が挙げられる。
【0036】
前記緩衝液としては、例えば、三リン酸ナトリウム(sodium phosphate)緩衝液、トリス−塩酸(Tris−HCl)緩衝液、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸−水酸化ナトリウム(HEPES−NaOH)緩衝液、酢酸ナトリウム(NaOAc)緩衝液、ホウ酸緩衝液(Borate)、ホウ酸−水酸化ナトリウム(Borate NaOH)緩衝液、トリス−グリシン−ドデシル硫酸ナトリウム(Tris−glycine−SDS)緩衝液、トリス−ホウ酸−エチレンジアミン四酢酸(Tris−Borate−EDTA)緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、グリシン−水酸化ナトリウム(Glycine−NaOH)緩衝液、グリシン−塩酸(Glycine−HCl)緩衝液、リン酸(Phosphate)緩衝液、及びリン酸二水素ナトリウム−水酸化ナトリウム(NaHPO−NaOH)緩衝液等が挙げられる。
【0037】
前記無機水溶液としては、例えば、塩酸等の酸の水溶液、水酸化ナトリウム等のアルカリの水溶液、ナトリウム塩やアンモニウム塩等の無機塩の水溶液(海水、食塩水、生理食塩水を含む)等が挙げられる。
【0038】
前記親水性有機溶液における親水性有機溶媒は、水に任意の割合で溶解する有機溶媒であれば特に限定されず、アルコールや、アセトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジオキサン、グリセロール及びジメチルスルホキシド等が挙げられる。
前記アルコールは、好ましくは水に自由に溶解する水溶性アルコールであり、より好ましくは炭素原子数1乃至9のアルコール、多価アルコール、高級アルコール、グリセライド類が挙げられる。
具体的には、炭素原子数1乃至9のアルコールとしては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、i−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、1−オクタノール、イソオクタノール等;多価アルコールとしては、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等;高級アルコールとしては、オクチルドデカノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等;グリセライド類としてはトリオクタノイン、トリ(カプリルカプリル酸)グリセリル、ステアリン酸グリセリル等が挙げられる。
これらの中でも、前記親水性有機溶液に使用する親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、i−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、1−オクタノール、イソオクタノール、アセトン、シクロヘキサノン、アセトニトリル、ジオキサン、グリセロール、ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコール及びジメチルスルホキシドが好ましく、エタノール及びブタンジオールがより好ましい。
本発明で用いる親水性有機溶液における親水性有機溶媒の割合は特に限定されないが、例えば10wt%乃至90wt%とすることができる。
【0039】
また、本発明のヒドロゲル化剤は培地に適用することもでき、該培地としては、ダルベッコ改変イーグル培地(D−MEM)、ロズウェル・パーク・メモリアル・インスティテュート1640培地(RPMI1640培地)及びハムF12培地(F12培地)等が挙げられる。
【0040】
本発明のヒドロゲル化剤は、媒体である前述の水、緩衝液、培地、無機水溶液、又は親水性有機溶液等に加え、必要に応じて加熱撹拌又は超音波処理などをした後、室温に放置することにより、ヒドロゲルを得ることができる。ゲル強度は、ヒドロゲル化剤の濃度により調整することが可能である。
【0041】
なお、本発明のヒドロゲル化剤によって形成されるヒドロゲルは、ヒドロゲル化剤のゲル化能を阻害しない範囲において、その適用用途等、必要に応じて各種添加剤(界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤、香料、生理活性物質(薬効成分)等の有機化合物や、酸化チタン、タルク、マイカ、水等の無機化合物等)を混合することができる。
【0042】
本発明のヒドロゲル化剤は、上述のように種々の水系溶媒をゲル化できるため、本発明のヒドロゲル化剤及びそれから得られるヒドロゲルは、化粧品基材又は医療用基材、ゲル電解質、細胞培養基材、細胞やタンパク質などの生体分子保存用基材、外用基材、生化学用基材、食品用基材、コンタクトレンズ、紙おむつ、人工アクチュエーター、乾燥地農業用基材など、様々な分野における材料に使用することができる。また、酵素などのバイオリアクター担体として、研究、医療、分析、各種産業に幅広く利用することができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
(1)H−NMRスペクトル
装置:JNM ECA−600(日本電子株式会社製)
(2)ボルテックスミキサー
装置:VORTEX3(IKA社製)
(3)透過率
装置:JASCO V−630 spectrometer(日本分光株式会社製)
(4)走査型電子顕微鏡(SEM)
装置:JEOL JSM−6300 spectrometer(日本電子株式会社製)
【0045】
[実施例1:ヒドロゲル化剤の合成]
<式4で表される化合物の合成>
【化5】
100mL二口フラスコ、三方コック及び撹拌子を組み立て、ヒートガンを用いて容器を乾燥させた。該容器にイソシアヌル酸4−ニトロフェニル(599.0mg、3.65mmol)を加え、アルゴン(Ar)フラッシュし、テトラヒドロフラン(36mL)を加えた後にアニリン(0.66mL、7.30mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。その後、溶媒留去し、得られた反応生成物をアセトンとヘキサンを用いて再沈殿した。吸引濾過することで、目的化合物を白色固体にて得た(収量869mg、収率93%)。
1H-NMR (400MHz, Acetone-d6) δ: 8.79 (1H, s), 8.34 (1H, s), 8.16 (2H, dd, J = 7.1, 2.2 Hz), 7.76 (2H, td, J= 6.2, 3.7 Hz), 7.52 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.29-7.25 (2H, m), 7.00 (1H, t, J= 7.6 Hz).
【0046】
【化6】
300mL三口フラスコ、三方コック、セプタム及び撹拌子を組み、ヒートガンを用いて容器を乾燥させた。該容器をAr置換した後、化合物2(357mg、1.39mmol)を加え、Arフラッシュした。次にパラジウム炭素触媒(Pd/C)(47mg、10wt%)を加え、Arフラッシュした。エタノール(73mL)を加え、水素置換し、室温で1時間撹拌した。反応溶液をろ過し、ろ液を減圧留去することで目的化合物を白色固体として得た(収量285mg、収率90%)。
1H-NMR (400MHz, Acetone-d6) δ: 7.97 (1H, s), 7.70 (1H, s), 7.52 (2H, d, J = 7.3 Hz), 7.22 (4H, dtd, J= 15.3, 6.1, 2.8 Hz), 6.95-6.91 (1H, m), 6.61 (2H, dt, J = 9.4, 2.4 Hz), 4.40 (1H, s).
【0047】
【化7】
シュレンク管、攪拌子及びセプタムを組み立て、ヒートガンで容器を乾燥させた。該容器に化合物3(100mg、0.440mmol)及びβ−ラクトース(151mg、0.440mmol)を加え、メタノール(2mL)を加えた。還流下(65℃−70℃)で4日間攪拌した後、白色の沈殿物が存在し溶媒が見えず撹拌できなかったため沈殿物をろ取した。ろ取した沈殿物をN,N−ジメチルホルムアミドと酢酸エチルで再沈殿し、ろ取物を少量の冷水で複数回洗浄し、常温の水で1回洗浄し、式4で表される化合物を茶色固体にて得た(収量44.3mg、収率18%)。
1H-NMR (DMSO-d6) δ = 8.49 (1H, s), 8.22 (1H, s), 7.41 (2H, d, J = 7.8 Hz), 7.25 (2H, t, J = 7.8 Hz), 7.16 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.92 (1H, t, J = 7.6 Hz), 6.64 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.03 (1H, d, J = 7.8 Hz), 5.10 (1H, d, J = 3.9 Hz), 4.98 (1H, d, J = 5.4 Hz), 4.78 (1H, d, J = 5.4 Hz), 4.73 (1H, s), 4.66 (1H, t, J = 4.9 Hz), 4.51 (2H, dd, J = 10.5, 5.1 Hz), 4.38 (1H, t, J = 8.3 Hz), 4.24 (1H, d, J = 7.3 Hz), 3.70 (1H, s)
【0048】
<式7で表される化合物の合成>
【化8】
100mL二口フラスコ、三方コック、セプタム、攪拌子及びジムロート管を組み、ヒートガンによって容器を乾燥させた。該容器をAr置換した後に、イソシアン酸4−ニトロフェニル(1.55g、9.45mmol)を加え、次いでテトラヒドロフラン(40mL)、オクチルアミン(3.06mL、18.5mmol)の順で加えた。40℃で1日間攪拌した後、溶媒を減圧留去し、得られた反応生成物をテトラヒドロフランとヘキサンで再沈殿した。吸引濾過することで、目的化合物を得た(収量2.47g、収率63%)。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 9.19 (1H, s), 8.12 (2H, d, J = 9.3 Hz), 7.60 (2H, d, J= 9.3 Hz), 6.41 (1H, s), 3.08 (2H, q, J= 6.5 Hz), 1.42 (2H, s), 1.25 (11H, s), 0.83 (3H, t, J = 6.8 H)
【0049】
【化9】
200mL三口フラスコ、三方コック、セプタム及び撹拌子を組み、ヒートガンを用いて容器を乾燥させた。該容器をAr置換した後、化合物5(355mg、1.21mmol)を加え、Arフラッシュした。次にパラジウム炭素触媒(Pd/C)(140mg)を加え、Arフラッシュした。メタノール(50mL)を加え、水素置換し、室温で40分間撹拌した。反応溶液をろ過し、ろ液を減圧留去することで目的化合物を白色固体として得た(収量306mg、収率96%)。
1H-NMR (DMSO-d6) δ = 7.80 (1H, s), 6.98 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.45 (2H, d, J = 8.3 Hz), 5.85 (1H, s), 4.64 (1H, s), 3.01 (2H, q, J = 6.5 Hz), 1.38 (2H, s), 1.25 (11H, s), 0.86 (3H, t, J = 6.8 Hz)
【0050】
【化10】
シュレンク管、攪拌子及びセプタムを組み立て、ヒートガンで容器を乾燥させた。該容器に化合物6(108mg、0.380mmol)及びβ−ラクトース(149mg、0.436mmol)を加え、メタノール(3.0mL)を加えた。還流下(おそよ65℃)で3日間攪拌した後、沈殿物をろ取した。ろ取物を冷水で2回洗浄し、式7で表される化合物を藤色固体にて得た(収量0.139g、収率63%)。
1H-NMR (DMSO-d6) δ = 7.90 (1H, s), 7.08 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.58 (2H, d, J= 9.3 Hz), 5.90-5.87 (2H, m), 5.10 (1H, d, J= 3.9 Hz), 4.96 (1H, d, J = 5.4 Hz), 4.78 (1H, d, J = 4.9 Hz), 4.71 (1H, s), 4.67 (1H, t, J = 5.1 Hz), 4.50 (2H, dd, J = 12.4, 5.1 Hz), 4.35 (1H, t, J = 8.0 Hz), 4.23 (1H, d, J = 6.8 Hz), 3.70 (1H, dd, J = 10.0, 5.1 Hz), 3.02 (2H, q, J = 6.5 Hz), 1.39 (2H, t, J = 6.3 Hz), 1.26 (11H, s), 0.86 (3H, t, J = 6.8 Hz)
【0051】
<式10で表される化合物の合成>
【化11】
200mL二口フラスコ、三方コック及び撹拌子を組み立て、ヒートガンを用いて容器を乾燥させた。該容器にシクロヘキシルアミン(0.49mL、4.27mmol)及びイソシアン酸4−ニトロフェニル(0.700g、4.27mmol)を加え、Arフラッシュし、テトラヒドロフラン(40mL)を加えた後にシクロヘキシルアミン(0.49mL、4.27mmol)を加え、室温で1日間撹拌した。その後、溶媒留去し、得られた反応生成物をテトラヒドロフランとヘキサンを用いて再沈殿した。吸引濾過することで、目的化合物を白色固体にて得た(収量1.06g、収率95%)。
1H-NMR (ACETONE-d6) δ = 8.42 (1H, s), 8.13 (2H, td, J = 9.3, 2.4 Hz), 7.71 (2H, dt, J = 9.3, 2.4 Hz), 5.92 (1H, s), 3.62 (1H, s), 1.93-1.90 (2H, m), 1.72-1.70 (2H, m), 1.61-1.58 (1H, m), 1.40-1.34 (2H, m), 1.28-1.18 (3H, m).
【0052】
【化12】
500mL三口フラスコ、三方コック、セプタム及び撹拌子を組み、ヒートガンを用いて容器を乾燥させた。該容器をAr置換した後、化合物8(1.06g、4.04mmol)を加え、Arフラッシュした。次にパラジウム炭素触媒(Pd/C)(138mg、14wt%)を加え、Arフラッシュした。メタノール(150mL)を加え、水素置換し、室温で2時間撹拌した。反応溶液をろ過し、ろ液を減圧留去することで目的化合物を白色固体として得た(収量1.04g、収率111%)。
1H-NMR (DMSO-d6) δ = 7.74 (1H, s), 6.98 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.45 (2H, d, J= 8.3 Hz), 5.80 (1H, d, J = 8.3 Hz), 4.64 (1H, s), 1.76-1.73 (2H, m), 1.63-1.61 (2H, m), 1.52-1.49 (1H, m), 1.28-1.25 (2H, m), 1.13-1.10 (3H, m)
【0053】
【化13】
シュレンク管、攪拌子及びセプタムを組み立て、ヒートガンで容器を乾燥させた。該容器に化合物9(101mg、0.434mmol)及びβ−ラクトース(150mg、0.453mmol)を加え、メタノール(3mL)を加えた。還流下で4日間攪拌したのち白色沈殿物をろ取した。ろ取物をメタノール洗浄して、冷水で洗浄し、式10で表される化合物を白色固体にて得た(収量92.2mg、38%)。
1H-NMR (DMSO-d6) δ = 7.84 (1H, s), 7.08 (2H, d, J = 8.8 Hz), 6.58 (2H, d, J = 8.8 Hz), 5.91 (1H, d, J = 7.3 Hz), 5.84 (1H, d, J = 7.8 Hz), 5.10 (1H, d, J = 4.4 Hz), 4.97 (1H, d, J = 5.4 Hz), 4.79 (1H, d, J = 5.4 Hz), 4.72 (1H, s), 4.66 (1H, d, J = 5.4 Hz), 4.52-4.49 (2H, m), 4.35 (1H, t, J = 8.3 Hz), 4.23 (1H, d, J = 7.3 Hz)
【0054】
[実施例2:ヒドロゲル化剤のゲル形成能(1)]
実施例1で合成した3種の化合物をヒドロゲル化剤として、各種水系溶媒(純水、リン酸緩衝液、生理食塩水、30% 1,3−プロパンジオール、70% 1,3−プロパンジオール、30%エタノール、70%エタノール)に対するゲル形成能の評価を行った。
ゲル化試験は次のように行った。2.0mLのねじ口サンプル管に、ヒドロゲル化剤を量り取り、ここに各種水系溶媒を加えて、ヒドロゲル化剤の濃度が1.0質量%の試料をそれぞれ調製した。そして、120℃のホットプレート上にて加熱し、溶解させた。その後、室温にて一晩静置し、ゲルの形成を観察した。
静置放冷後、溶液の流動性が失われて、サンプル管を倒置しても溶液が流れ落ちない状態を「ゲル化」と判断した。表中の符号は形成したゲルの状態を示し(以下、本明細書中の他の表も同様である)、ゲル化したものは「G」、部分的にゲル化したものは「PG」、懸濁液の状態のものは「Sus」、サンプル管を倒置すると溶液が流れ落ち、溶液に粘性がない状態のものを「Sol」と評価した。また、評価しなかったものは「nd」とした。
評価結果を表1に示す。また静置後の各サンプル管の写真を図1(式4の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真)、図2(式7の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真)、及び図3(式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真)に示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1に示すように、本発明のヒドロゲル化剤は、水系溶媒に対してゲル形成できることが確認された。
【0057】
[実施例3:ヒドロゲル化剤のpH応答性]
水系溶媒として、種々のpHの水系溶媒(塩酸水溶液、純水、水酸化ナトリウム水溶液)のゲル化を行い、ゲル化能のpH応答性を調べた。ゲル化試験は[実施例2]の手順と同様の手順で行った。
評価結果を表2に示す。また静置後の各サンプル管の写真を図4(式4の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真)、図5(式7の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真)、及び図6(式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真)に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
表2に示すように、本発明のヒドロゲル化剤は、pH1〜10の範囲の水系溶媒に対してゲル形成できることが確認された。
【0060】
[実施例4:ヒドロゲル化剤の最小ゲル化濃度の評価]
実施例1で合成した3種の化合物をヒドロゲル化剤として、各種水系溶媒[純水、塩酸水溶液(pH3)、水酸化ナトリウム水溶液(pH10)、生理食塩水、30%エタノール、30% 1,3−プロパンジオール、70% 1,3−プロパンジオール]に対する最小ゲル化濃度[サンプル管を逆さにしてもゲルが崩壊しない程度のゲル(部分的にゲル化したものを含まない)を形成する濃度]を求めた。ゲル化試験は[実施例2]の手順と同様の手順で行った。
評価結果を表3に示す。また静置後の各サンプル管の写真を図7(式4の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真)、図8(式7の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真)、及び図9(式10の化合物からなるヒドロゲル化剤のゲル化試験の放冷後の各サンプル管の写真)に示す。
【0061】
【表3】
【0062】
表3に示すように、本発明のヒドロゲル化剤は、高いゲル化能を有することが確認された。
【0063】
[実施例5:ヒドロゲル化剤のゲル形成能(2)]
実施例1で合成した式10で表される化合物をヒドロゲル化剤として、各種ゲル化処理[加熱処理(40℃及び60℃)、超音波処理、振動処理]に対するゲル形成能の評価を行った。
各種ゲル化処理によるゲル化試験は次のように行った。
【0064】
<加熱処理(40℃)>
2.0mLのねじ口サンプル管に、所定量のヒドロゲル化剤を量り取り、ここに純水を加えて、表4に示す濃度(0.5質量%及び1.0質量%)の試料をそれぞれ調製した。そして、40℃のホットプレート上にて15分間加熱し、溶解させた。その後、室温にて30分間静置し、ゲルの形成を観察した。
【0065】
<加熱処理(60℃)>
加熱温度を60℃に変えた以外は、[加熱処理(40℃)]の手順と同様の手順で行った。
【0066】
<超音波処理>
2.0mLのねじ口サンプル管に、ヒドロゲル化剤を量り取り、ここに純水を加えて、ヒドロゲル化剤の濃度が1.0質量%の試料を調製した。そして、ブランソン卓上超音波洗浄器(ブランソン社製2510J−DTH)を用いて、10分間超音波処理を行った。その後、室温にて30分間静置し、ゲルの形成を観察した。
【0067】
<振動処理>
2.0mLのねじ口サンプル管に、ヒドロゲル化剤を量り取り、ここに純水を加えて、ヒドロゲル化剤の濃度が1.0質量%の試料を調製した。そして、ハンディマッサージャー(スライヴ社製)を用いて、サンプル管の下部に振動を約3分間与えた。その後、室温にて30分間静置し、ゲルの形成を観察した。
【0068】
評価結果を表4に示す。また静置後の各サンプル管の写真を図10[式10の化合物からなるヒドロゲル化剤の加熱処理(40℃)後、放冷したサンプル管の写真]、図11[式10の化合物からなるヒドロゲル化剤の加熱処理(60℃)後、放冷したサンプル管の写真]、図12[式10の化合物からなるヒドロゲル化剤の超音波処理後、静置したサンプル管の写真]及び図13[式10の化合物からなるヒドロゲル化剤の振動処理後、静置したサンプル管の写真]に示す。
【0069】
【表4】
【0070】
表4に示すように、本発明のヒドロゲル化剤は、加熱処理以外にも、室温での超音波処理や振動処理を施すことにより、ヒドロゲルを形成できることが確認された。
【0071】
[実施例6:ヒドロゲル化剤の合成(2)]
<式4で表される化合物の合成>
【化14】
100mL二口フラスコにアニリン(0.66mL、7.30mmol)、イソシアン酸4−ニトロフェニル(600mg、3.65mmol)及びテトラヒドロフラン(THF)(36mL)を加え、アルゴン(Ar)雰囲気下、室温にて2日間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をアセトンとヘキサンを用いて再沈殿することで、目的とする化合物を白色固体として得た(869mg、93%)。
【0072】
【化15】
300mL三口フラスコに化合物2(357mg、1.39mmol)、パラジウム炭素触媒(Pd/C)(47mg)及びエタノール(EtOH)(75mL)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応溶液をろ過した後、溶媒を減圧留去することで、目的化合物を白色固体として得た(285mg、90%)。
【0073】
【化16】
シュレンク管に、化合物3(100mg、0.44mmol)、β−ラクトース(151mg、0.44mmol)及びメタノール(MeOH)(2mL)を加え、Ar雰囲気下、約65℃で4日間撹拌した。溶媒を減圧留去して得られた固体を、ジメチルホルムアミド(DMF)と酢酸エチルで再沈殿した。さらに得られた固体を少量の冷水で洗浄し、目的の化合物を茶色固体として得た(44.3mg、18%)。
【0074】
<式7で表される化合物の合成>
【化17】
100mL二口フラスコにオクチルアミン(0.51mL、3.08mmol)、イソシアン酸4−ニトロフェニル(509mg、3.10mmol)及びDMF(40mL)を加え、Ar雰囲気下、約60℃にて2日間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をDMFとヘキサンを用いて再沈殿することで、目的とする化合物を白色固体として得た(355mg、93%)。
【0075】
【化18】
200mL三口フラスコに、化合物5(355mg、1.21mmol)、Pd/C(140mg)及びMeOH(50mL)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応溶液をろ過した後、溶媒を減圧留去することで目的化合物を白色固体として得た(306mg、96%)。
【0076】
【化19】
シュレンク管に、化合物6(111mg、0.42mmol)、β−ラクトース(146mg、0.42mmol)及びMeOH(3mL)を加え、Ar雰囲気下、約65℃で2日間撹拌した。反応溶液を室温に冷却し、生成した沈殿物をろ取した。得られた固体を少量の冷水で洗浄し、目的の化合物を薄紫固体として得た(92mg、40%)。
【0077】
<式10で表される化合物の合成>
【化20】
200mL二口フラスコに、シクロヘキシルアミン(1.47mL、13.1mmol)、イソシアン酸4−ニトロフェニル(1.05g、6.4mmol)及びアセトニトリル(60mL)を加え、Ar雰囲気下、室温にて1日撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をアセトニトリルを用いて洗浄することで、目的とする化合物を白色固体として得た(1.61g、95%)。
【0078】
【化21】
500mL三口フラスコに、化合物8(1.02g、3.86mmol)、Pd/C(136mg)、MeOH(120mL)及びEtOH(30mL)を加え、水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。反応溶液をろ過した後、溶媒を減圧留去することで、目的化合物を白色固体として得た(0.86g、96%)。
【0079】
【化22】
シュレンク管に、化合物9(210mg、0.90mmol)、β−ラクトース(326mg、0.91mmol)、硫酸アンモニウム(11.7mg、0.09mmol)及びMeOH(20mL)を加え、Ar雰囲気下、約65℃で4日間撹拌した。溶媒を減圧留去して得られた固体を、メタノールで洗浄することで、目的の化合物を白色固体として得た(458mg、89%)。
【0080】
[実施例7:ヒドロゲル化剤のゲル形成能(3)]
サンプル管に、ヒドロゲル化剤(実施例6で合成した式4で表される化合物)5.05mgを量り取り、ここに純水500μLを加えて、ヒドロゲル化剤の濃度が1.0質量%の試料を調製した。そして、120℃のホットプレート上で加熱溶解させた。その後、得られた溶液を室温で静置すると、白濁したヒドロゲルが得られた。ゲル化試験の放冷後のサンプル管の写真を図14に示す。
【0081】
[実施例8:ヒドロゲル化剤のゲル形成能(4)]
サンプル管に、ヒドロゲル化剤(実施例6で合成した式7で表される化合物)0.52mg及び2.51mgをそれぞれ量り取り、ここに純水500μLを加えて、ヒドロゲル化剤の濃度がそれぞれ0.1質量%及び0.5質量%の試料を調製した。そして、120℃のホットプレート上で加熱溶解させた。その後、得られた各溶液を室温で静置すると、ヒドロゲルがそれぞれ得られた。最小ゲル化濃度は0.1質量%であり、透明なヒドロゲルが生成した。ゲル化試験の放冷後のサンプル管の写真を図15に示す。
また、実施例6で合成した式7で表される化合物は、純水以外に、pH4〜9の塩酸又は水酸化ナトリウム水溶液、生理食塩水、エタノール及び水の混合液並びに1,3−プロパンジオール及び水の混合液に対してもゲル形成することができた。
【0082】
[実施例9:ヒドロゲル化剤のゲル形成能(5)]
サンプル管に、ヒドロゲル化剤(実施例6で合成した式10で表される化合物)及び純水500μLを加えて、試料を調製した。そして、120℃のホットプレート上で加熱溶解させた。その後、得られた溶液を室温で静置すると、ヒドロゲルが得られた。最小ゲル化濃度は0.3質量%であり、透明なヒドロゲルが生成した。ゲル化試験の放冷後のサンプル管の写真を図16に示す。
【0083】
[実施例10:ヒドロゲルの透明性評価]
サンプル管に、ヒドロゲル化剤(実施例6で合成した式10で表される化合物)を加え、ここに純水を加えて、ヒドロゲル化剤の濃度がそれぞれ0.1質量%、0.3質量%、0.5質量%、0.75質量%及び1.0質量%の試料を調製した。そして、120℃のホットプレート上で加熱溶解させた。その後、得られた各溶液を室温で静置すると、ヒドロゲル化剤の濃度が0.1質量%のものは溶液に粘性がない状態(ゾル)であったが、それ以外のものについては、ヒドロゲルが得られた。そして、得られたゾル及びヒドロゲルの透過率を測定した。その結果を図17に示す。
図17に示すように、ヒドロゲル化剤の濃度が0.5質量%までは、ヒドロゲルは高い透明性を有するが、それよりも高い濃度のヒドロゲルでは、透過率は低下した。
【0084】
[実施例11:ヒドロゲル化剤のゲル形成能(6)]
実施例6で合成した式10で表される化合物をヒドロゲル化剤として、振動処理に対するゲル形成能の評価を行った。
振動処理によるゲル化試験は次のように行った。
サンプル管に、ヒドロゲル化剤及び純水を加えて、試料を調製した。そして、ボルテックスミキサーを用いて、サンプル管の下部に振動を約5分間(2500rpm)与えた。その後、室温で静置すると、ヒドロゲルが得られた(図18)。最小ゲル化濃度は0.5質量%であった。
また、実施例6で合成した式10で表される化合物は、純水以外に、pH3〜10の塩酸又は水酸化ナトリウム水溶液、生理食塩水、リン酸緩衝液、エタノール及び水の混合液並びに1,3−プロパンジオール及び水の混合液に対しても、振動処理により、ゲル形成することができた。
【0085】
[実施例12:ヒドロゲルの走査型電子顕微鏡観察]
サンプル管に、ヒドロゲル化剤(実施例6で合成した式10で表される化合物)5.0mgを量り取り、ここに純水500μLを加えて、ヒドロゲル化剤の濃度が1.0質量%の試料を調製した。そして、120℃のホットプレート上で加熱溶解させた。その後、得られた溶液を室温で静置すると、ヒドロゲルが得られた。そして、得られたヒドロゲルを走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察した。走査型電子顕微鏡(SEM)像の写真を図19に示す。
図19に示すように、繊維状集合体が観察された。
【0086】
[実施例13:ヒドロゲル化剤の合成(3)]
<式13で表される化合物の合成>
【化23】
1L二口フラスコに、ブチルアミン(4.39g、55mmol)、イソシアン酸4−ニトロフェニル(4.50g、27mmol)及びTHF(200mL)を加え、Ar雰囲気下、約40℃にて1日間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をTHFとヘキサンを用いて再沈殿することで、目的とする化合物を白色固体として得た(5.91g、91%)。
【0087】
【化24】
200mL三口フラスコに、化合物11(636mg、2.68mmol)、Pd/C(106mg)及びMeOH(100mL)を加え、水素雰囲気下、室温で1時間撹拌した。反応溶液をろ過した後、溶媒を減圧留去することで、目的化合物を白色固体として得た(91%)。
【0088】
【化25】
1L二口フラスコに、化合物12(2.02g、9.75mmol)、β−ラクトース(3.35g、9.78mmol)及びMeOH(150mL)を加え、Ar雰囲気下、約50℃で6日間撹拌した。溶媒を減圧留去して得られた固体を、メタノールとクロロホルムより再沈殿することで、目的の化合物を薄紫固体として得た(3.36g、65%)。
【0089】
<式16で表される化合物の合成>
【化26】
1L二口フラスコに、ドデシルアミン(11.4g、62mmol)、イソシアン酸4−ニトロフェニル(5.06g、31mmol)及びTHF(200mL)を加え、Ar雰囲気下、約40℃にて1日間撹拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をTHFとヘキサンを用いて再沈殿することで、目的とする化合物を白色固体として得た(9.72g、90%)。
【0090】
【化27】
200mL三口フラスコに、化合物14(5.11g、14.6mmol)、Pd/C(106mg)及びMeOH(460mL)を加え、水素雰囲気下、室温で1日撹拌した。反応溶液をろ過した後、溶媒を減圧留去することで、目的化合物を白色固体として得た(3.54g、79%)。
【0091】
【化28】
500mLの二口フラスコに、化合物15(2.87g、8.98mmol)、β−ラクトース(3.09g、9.03mmol)及びMeOH(200mL)を加え、Ar雰囲気下、約50℃で12日間撹拌した。溶媒を減圧留去して得られた固体を、メタノールで洗浄することで、目的の化合物を薄紫固体として得た(69%)。
【0092】
[実施例14:ヒドロゲル化剤のゲル形成能(7)]
サンプル管に、ヒドロゲル化剤(式13で表される化合物)を加え、ここに純水500μLを加えて、試料を調製した。そして、120℃のホットプレート上で加熱溶解させた。その後、得られた溶液を室温で静置すると、ヒドロゲルが得られた。最小ゲル化濃度は1.0質量%であり、半透明なヒドロゲルが生成した。ゲル化試験の放冷後のサンプル管の写真を図20に示す。
式13で表される化合物は、純水以外に、pH4〜10の塩酸又は水酸化ナトリウム水溶液、生理食塩水並びにエタノール及び水の混合液に対してもゲル形成することができた。
【0093】
[実施例15:ヒドロゲル化剤のゲル形成能(8)]
サンプル管に、ヒドロゲル化剤(式16で表される化合物)及び純水を加えて、試料を調製した。そして、120℃のホットプレート上で加熱溶解させた。その後、得られた溶液を室温で静置すると、ゲル化せずに懸濁液が得られた。
一方、式16で表される化合物は、エタノール及び水の混合液並びに1,3−プロパンジオール/水の混合液に対して、ゲル形成することができた。
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【国際調査報告】