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再表2018-92418ポリアリレート樹脂及び電子写真感光体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年5月24日
【発行日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】ポリアリレート樹脂及び電子写真感光体
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/193 20060101AFI20190920BHJP
   C08G 63/672 20060101ALI20190920BHJP
   C08K 5/18 20060101ALI20190920BHJP
   C08L 67/03 20060101ALI20190920BHJP
   G03G 5/05 20060101ALI20190920BHJP
   G03G 5/06 20060101ALI20190920BHJP
   G03G 5/147 20060101ALI20190920BHJP
【FI】
   C08G63/193
   C08G63/672
   C08K5/18
   C08L67/03
   G03G5/05 101
   G03G5/06 312
   G03G5/06 313
   G03G5/06 314A
   G03G5/147 502
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】45
【出願番号】特願2018-551054(P2018-551054)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年9月25日
(31)【優先権主張番号】特願2016-225158(P2016-225158)
(32)【優先日】2016年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】東 潤
(72)【発明者】
【氏名】北口 健二
【テーマコード(参考)】
2H068
4J002
4J029
【Fターム(参考)】
2H068AA13
2H068AA20
2H068AA35
2H068AA37
2H068BA13
2H068BA14
2H068BA64
2H068BB20
2H068BB27
2H068BB52
2H068BB53
4J002CF161
4J002DA006
4J002DA116
4J002DB006
4J002DG026
4J002DG066
4J002EN067
4J002EN077
4J002EN127
4J002EU026
4J002FD117
4J002FD206
4J002FD207
4J002GF00
4J002GH00
4J002GM00
4J002GQ00
4J002GR00
4J029AA06
4J029AB01
4J029AC02
4J029AE01
4J029AE11
4J029BD09A
4J029BD09B
4J029CB05A
4J029CB10A
4J029CC06A
4J029CF08
4J029HA01
4J029HB05
4J029KB02
(57)【要約】
ポリアリレート樹脂は、下記一般式(1)で表される。一般式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。r及びsは、0以上49以下の整数を表す。t及びuは、1以上50以下の整数を表す。r+s+t+u=100である。r+t=s+uである。r及びtは、互いに同一であっても異なってもよい。s及びuは、互いに同一であっても異なってもよい。Xは、化学式(2A)、化学式(2B)、化学式(2C)、又は化学式(2D)で表される二価の基を表す。Yは、化学式(4A)、化学式(4B)、又は化学式(4C)で表される二価の基を表す。X及びYは、互いに異なる。
【化1】

【化2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるポリアリレート樹脂。
【化1】
前記一般式(1)中、
1、R2、R3、及びR4は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表し、
r及びsは、0以上49以下の整数を表し、
t及びuは、1以上50以下の整数を表し、
r+s+t+u=100であり、
r+t=s+uであり、
r及びtは、互いに同一であっても異なってもよく、
s及びuは、互いに同一であっても異なってもよく、
Xは、化学式(2A)、化学式(2B)、化学式(2C)、又は化学式(2D)で表される二価の基を表し、
Yは、化学式(4A)、化学式(4B)、又は化学式(4C)で表される二価の基を表し、
X及びYは、互いに異なる。
【化2】
【請求項2】
前記一般式(1)中、
s/(s+u)は、0.30以上0.70以下である、請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項3】
前記一般式(1)中、
sが1以上の整数を表し、
Xが前記化学式(2A)で表される前記二価の基を表すか、又はYが前記化学式(4A)で表される前記二価の基を表す、請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項4】
化学式(Resin−1)、化学式(Resin−2)、化学式(Resin−3)、化学式(Resin−4)、化学式(Resin−5)、化学式(Resin−6)、化学式(Resin−7)、化学式(Resin−8)、化学式(Resin−9)、化学式(Resin−10)で表される、請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【請求項5】
前記化学式(Resin−1)又は前記化学式(Resin−2)で表される、請求項4に記載のポリアリレート樹脂。
【請求項6】
導電性基体と、感光層とを備える電子写真感光体であって、
前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含有し、
前記バインダー樹脂は、請求項1に記載のポリアリレート樹脂を含む、電子写真感光体。
【請求項7】
前記正孔輸送剤が、一般式(2)、一般式(3)、又は一般式(4)で表される化合物を含む、請求項6に記載の電子写真感光体。
【化13】
前記一般式(2)中、
1は、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、前記フェニル基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を有してもよく、
2は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
3、Q4、Q5、Q6、及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7のうちの隣接した二つが互いに結合して環を形成してもよく、
2つのQ1は、互いに同一であっても異なってもよく、
aは、0以上5以下の整数を表し、aが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【化14】
前記一般式(3)中、
8、Q10、Q11、Q12、Q13、及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
9及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
bは、0以上5以下の整数を表し、bが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ9は、互いに同一でも異なっていてもよく、
cは、0以上4以下の整数を表し、cが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のQ15は、互いに同一でも異なっていてもよく、
kは、0又は1を表す。
【化15】
前記一般式(4)中、
a、Rb、及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表し、
qは、0以上4以下の整数を表し、qが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のRcは、互いに同一でも異なっていてもよく、
m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、mが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、nが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRaは、互いに同一でも異なっていてもよい。
【請求項8】
前記一般式(2)中、
1は、水素原子、又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を有するフェニル基を表し、
2は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表し、
3、Q4、Q5、Q6、及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表し、Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7のうち隣接した二つが互いに結合して環を形成してもよく、
aは、0又は1を表し、
前記一般式(3)中、
8、Q10、Q11、Q12、Q13、及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はフェニル基を表し、
b及びcは、0を表し、
前記一般式(4)中、
a及びRbは、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表し、
m及びnは、各々独立に、0以上2以下の整数を表し、
qは0を表す、請求項7に記載の電子写真感光体。
【請求項9】
前記正孔輸送剤は、前記一般式(3)又は前記一般式(4)で表される化合物を含む、請求項7に記載の電子写真感光体。
【請求項10】
前記正孔輸送剤は、化学式(HTM−1)、化学式(HTM−2)、化学式(HTM−3)、化学式(HTM−4)、化学式(HTM−5)、化学式(HTM−6)、化学式(HTM−7)、化学式(HTM−8)、又は化学式(HTM−9)で表される、請求項7に記載の電子写真感光体。
【化16】
【化17】
【化18】
【請求項11】
前記感光層は、前記電荷発生剤を含有する電荷発生層と、前記正孔輸送剤、及び前記バインダー樹脂を含有する電荷輸送層とを備え、
前記電荷輸送層は一層であり、前記電荷輸送層は最表面層として配置される、請求項6に記載の電子写真感光体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアリレート樹脂及び電子写真感光体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真感光体は、像担持体として電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンター又は複合機)において用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体は、例えば、単層型電子写真感光体、又は積層型電子写真感光体が用いられる。単層型電子写真感光体は、電荷発生の機能と、電荷輸送の機能とを有する感光層を備える。積層型電子写真感光体は、感光層が電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。
【0003】
特許文献1には、化学式(Resin−B3)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂が記載されている。また、上記ポリアリレート樹脂を含有する電子写真感光体が記載されている。
【0004】
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−265021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のポリアリレート樹脂は感光層用塗布液の溶剤への溶解性があるが、画像形成装置の高速化に耐えうるのに十分な耐摩耗性を感光体に発現させることができない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、優れた耐摩耗性を電子写真感光体に発現させるポリアリレート樹脂を提供することである。また、別の目的は、耐摩耗性に優れる感光層を備えた電子写真感光体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のポリアリレート樹脂は、下記一般式(1)で表される。
【0009】
【化2】
【0010】
前記一般式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。r及びsは、0以上49以下の整数を表す。t及びuは、1以上50以下の整数を表す。r+s+t+u=100である。r+t=s+uである。r及びtは、互いに同一であっても異なってもよい。s及びuは、互いに同一であっても異なってもよい。Xは、化学式(2A)、化学式(2B)、化学式(2C)、又は化学式(2D)で表される二価の基を表す。Yは、化学式(4A)、化学式(4B)、又は化学式(4C)で表される二価の基を表す。X及びYは、互いに異なる。
【0011】
【化3】
【0012】
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含有する。前記バインダー樹脂は、上述のポリアリレート樹脂を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明のポリアリレート樹脂は、優れた耐摩耗性を電子写真感光体に発現させることができる。また、本発明の電子写真感光体は、耐摩耗性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明の第二実施形態に係る電子写真感光体の構造の一例を示す概略断面図である。
図1B】本発明の第二実施形態に係る電子写真感光体の構造の一例を示す概略断面図である。
図1C】本発明の第二実施形態に係る電子写真感光体の構造の一例を示す概略断面図である。
図2A】本発明の第二実施形態に係る電子写真感光体の構造の別の例を示す概略断面図である。
図2B】本発明の第二実施形態に係る電子写真感光体の構造の別の例を示す概略断面図である。
図2C】本発明の第二実施形態に係る電子写真感光体の構造の別の例を示す概略断面図である。
図3】化学式(Resin−1)で表されるポリアリレート樹脂の1H−NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。なお、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
【0016】
以下、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、及び炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、各々、次の意味である。
【0017】
炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、又はオクチル基が挙げられる。
【0018】
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、又はヘキシル基が挙げられる。
【0019】
炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、又はt−ブチル基が挙げられる。
【0020】
炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、又はオクチルオキシ基が挙げられる。
【0021】
炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、又はt−ブトキシ基が挙げられる。
【0022】
炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンとしては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、又はシクロヘプタンが挙げられる。
【0023】
<第一実施形態:ポリアリレート樹脂>
本発明の第一実施形態に係るポリアリレート樹脂は、下記一般式(1)で表される。以下、このようなポリアリレート樹脂をポリアリレート樹脂(1)と記載することがある。
【0024】
【化4】
【0025】
一般式(1)中、R1、R2、R3、及びR4は、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。r及びsは、0以上49以下の整数を表す。t及びuは、1以上50以下の整数を表す。r+s+t+u=100である。r+t=s+uである。r及びtは、互いに同一であっても異なってもよい。s及びuは、互いに同一であっても異なってもよい。Xは、化学式(2A)、化学式(2B)、化学式(2C)、又は化学式(2D)で表される二価の基を表す。Yは、化学式(4A)、化学式(4B)、又は化学式(4C)で表される二価の基を表す。X及びYは、互いに異なる。
【0026】
【化5】
【0027】
感光体の耐摩耗性を更に向上させる観点から、一般式(1)中、sが1以上の整数を表すことが好ましく、一般式(1)中、sが1以上の整数を表し、Xが化学式(2A)で表される二価の基を表すか又はYが化学式(4A)で表される二価の基を表すことがより好ましい。
【0028】
ポリアリレート樹脂(1)は、モル分率r/(r+t)で一般式(1−5)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1−5)と記載することがある)、モル分率s/(s+u)で一般式(1−6)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1−6)と記載することがある)、モル分率t/(r+t)で一般式(1−7)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1−7)と記載することがある)、及びモル分率u/(s+u)で一般式(1−8)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1−8)と記載することがある)を有する。モル分率は、後述する。
【0029】
【化6】
【0030】
一般式(1−5)中のR1及びR2、一般式(1−6)中のX、一般式(1−7)中のR3及びR4、及び一般式(1−8)中のYは、それぞれ一般式(1)中のR1、R2、X、R3、R4、及びYと同義である。
【0031】
ポリアリレート樹脂(1)は、繰返し単位(1−5)〜(1−8)以外の繰返し単位を有してもよい。ポリアリレート樹脂(1)中の繰返し単位の物質量の合計に対する繰返し単位(1−5)〜(1−8)の物質量の合計の比率(モル分率)は、0.80以上が好ましく、0.90以上がより好ましく、1.00が更に好ましい。
【0032】
ポリアリレート樹脂(1)における繰返し単位(1−5)〜(1−8)の配列は、芳香族ジオール由来の繰返し単位と芳香族ジカルボン酸由来の繰返し単位とが互いに隣接する限り、特に限定されない。例えば、繰返し単位(1−5)は、繰返し単位(1−6)又は繰返し単位(1−8)と隣接して互いに結合している。同様に、繰返し単位(1−7)は、繰返し単位(1−6)又は繰返し単位(1−8)と隣接して互いに結合している。ポリアリレート樹脂(1)は、繰返し単位(1−5)〜(1−8)以外の繰返し単位を有してもよい。
【0033】
一般式(1)中のr及びsは、0以上49以下の整数を表し、t及びuは、1以上50以下の整数を表す。r+s+t+u=100である。r+t=s+uである。感光体の耐摩耗性と溶剤溶解性及び感光層用塗布液の溶液安定性とを向上させる観点から、s/(s+u)は、0.30以上0.70以下であることが好ましい。s/(s+u)は、ポリアリレート樹脂(1)における繰返し単位(1−6)の物質量及び繰返し単位(1−8)の物質量の合計に対する繰返し単位(1−6)の物質量の比率(モル分率)を表す。s/(s+u)が0.30以上0.70以下である場合、感光体の耐摩耗性や感光層用塗布液の液ライフ性が向上する。
【0034】
ポリアリレート樹脂(1)の粘度平均分子量は、感光層の耐摩耗性を向上させる観点から10,000以上であることが好ましく、20,000より大きいことがより好ましく、30,000より大きいことが更に好ましく、45,000より大きいことが特に好ましい。ポリアリレート樹脂(1)の粘度平均分子量が10,000以上である場合、バインダー樹脂の耐摩耗性が高まり、電荷輸送層が摩耗しにくくなる。一方、ポリアリレート樹脂(1)の粘度平均分子量は、80,000以下であることが好ましく、56,000以下であることがより好ましい。ポリアリレート樹脂(1)の粘度平均分子量が80,000以下である場合、電荷輸送層の形成時に、ポリアリレート樹脂(1)が溶剤に溶解し易くなり、電荷輸送層の形成が容易になる傾向がある。
【0035】
ポリアリレート樹脂(1)としては、例えば、化学式(Resin−1)〜(Resin−10)で表されるポリアリレート樹脂(以下、それぞれポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−10)と記載することがある)が挙げられる。
【0036】
【化7】
【0037】
【化8】
【0038】
【化9】
【0039】
【化10】
【0040】
【化11】
【0041】
【化12】
【0042】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】
ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−10)のうち、感光体の耐摩耗性を向上させる観点から、ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−3)及び(Resin−5)がより好ましい。ポリアリレート樹脂(Resin−1)及び(Resin−2)が更に好ましい。
【0047】
(ポリアリレート樹脂の製造方法)
バインダー樹脂(1)の製造方法は、ポリアリレート樹脂(1)を製造できれば、特に限定されない。これらの製造方法として、例えば、ポリアリレート樹脂(1)の繰返し単位を構成するための芳香族ジオールと芳香族ジカルボン酸とを縮重合させる方法が挙げられる。ポリアリレート樹脂(1)の合成方法は特に限定されず、公知の合成方法(より具体的には、溶液重合、溶融重合、又は界面重合等)を採用することができる。以下、ポリアリレート樹脂(1)の製造方法の一例を説明する。
【0048】
ポリアリレート樹脂(1)は、例えば、反応式(R−1)で表される反応(以下、反応(R−1)と記載することがある)に従って又はこれに準じる方法によって製造される。ポリアリレート樹脂(1)の製造方法は、例えば、反応(R−1)を含む。
【0049】
【化17】
【0050】
反応(R−1)において、一般式(1−11)中のR1及びR2、一般式(1−12)中のR3及びR4、一般式(1−9)中のX、並びに一般式(1−10)中のYは、それぞれ一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、X、及びYと同義である。
【0051】
反応(R−1)では、一般式(1−9)で表される芳香族ジカルボン酸及び一般式(1−10)で表される芳香族ジカルボン酸(以下、それぞれ芳香族ジカルボン酸(1−9)及び(1−10)と記載することがある)と、一般式(1−11)で表される芳香族ジオール及び一般式(1−12)で表される芳香族ジオール(以下、それぞれ芳香族ジオール(1−11)及び(1−12)と記載することがある)とを反応させて、ポリアリレート樹脂(1)を得る。
【0052】
芳香族ジカルボン酸(1−9)としては、例えば、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシビフェニル、テレフタル酸、イソフタル酸、又は2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸(1−10)としては、例えば、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシビフェニル、又は2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。反応(R−1)では、芳香族ジカルボン酸(1−9)及び(1−10)に加えて他の芳香族ジカルボン酸を用いてもよい。なお、反応(R−1)では、芳香族ジカルボン酸の代わりに、芳香族ジカルボン酸誘導体を用いることができる。芳香族ジカルボン酸誘導体としては、例えば、芳香族ジカルボン酸(1−9)及び(1−10)のハロゲン化アルカノイル又は酸無水物が挙げられる。
【0053】
芳香族ジオール(1−11)及び(1−12)としては、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロドデカン又は1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンが挙げられる。反応(R−1)では、芳香族ジオール(1−11)及び(1−12)に加えて他の芳香族ジオールを用いてもよい。他の芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールE、又はビスフェノールFが挙げられる。なお、反応(R−1)では、芳香族ジオールの代わりに、芳香族ジオール誘導体を用いることができる。芳香族ジオール誘導体としては、例えば、ジアセテートが挙げられる。
【0054】
芳香族ジカルボン酸(1−9)及び(1−10)の合計物質量1モルに対する、芳香族ジオール(1−11)及び(1−12)の合計物質量は、0.9モル以上1.1モル以下であることが好ましい。上記範囲であると、ポリアリレート樹脂(1)を精製し易く、ポリアリレート樹脂(1)の収率が向上するからである。
【0055】
反応(R−1)は、アルカリ及び触媒の存在下で進行させてもよい。触媒としては、例えば、第三級アンモニウム(より具体的には、トリアルキルアミン等)又は第四級アンモニウム塩(より具体的には、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド等)が挙げられる。アルカリとしては、例えば、アルカリ金属の水酸化物(より具体的には、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(より具体的には、水酸化カルシウム等)が挙げられる。反応(R−1)は、溶媒中及び不活性ガス雰囲気下で進行させてもよい。溶媒としては、例えば、水又はクロロホルムが挙げられる。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンが挙げられる。反応(R−1)の反応時間は、2時間以上5時間以下が好ましい。反応温度は、5℃以上25℃以下が好ましい。
【0056】
ポリアリレート樹脂(1)の製造では、必要に応じて他の工程(例えば、精製工程)を含んでもよい。このような工程としては、例えば、精製工程が挙げられる。精製方法としては、例えば、公知の方法(より具体的には、ろ過、クロマトグラフィー、又は晶析等)が挙げられる。
【0057】
<第二実施形態:電子写真感光体>
本発明の第二実施形態に係る電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)は、導電性基体と、感光層とを備える。感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体(以下、積層型感光体と記載することがある)、又は単層型電子写真感光体(以下、単層型感光体と記載することがある)が挙げられる。
【0058】
積層型感光体は、感光層として、電荷発生層と、電荷輸送層とを備える。以下、図1A図1Cを参照して、第二実施形態に係る感光体の一例である積層型感光体1の構造を説明する。図1A図1Cは、第二実施形態に係る感光体の構造の一例を示す概略断面図である。図1Aに示すように、積層型感光体1は、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、電荷発生層3aと電荷輸送層3bとを備える。図1Aに示すように、積層型感光体1は、導電性基体2上に電荷発生層3aを備え、電荷発生層3aの上に更に電荷輸送層3bを備えてもよい。また、図1Bに示すように、積層型感光体1は、導電性基体2上に電荷輸送層3bを備え、電荷輸送層3bの上に更に電荷発生層3aを備えてもよい。図1Aに示すように、電荷輸送層3bは積層型感光体1の最表面層として配置されてもよい。電荷輸送層3bは、一層(単層)であってもよい。
【0059】
図1Aに示すように、感光層3は導電性基体2上に直接的に配置されてもよい。また、図1Cに示すように、積層型感光体1は、例えば、導電性基体2と、中間層4(下引層)と、感光層3とを備える。図1Cに示すように、感光層3は導電性基体2上に間接的に配置されてもよい。図1Cに示すように、中間層4は、導電性基体2と電荷発生層3aとの間に設けられてもよい。中間層4は、例えば、電荷発生層3aと電荷輸送層3bとの間に設けられてもよい。電荷発生層3aは、単層であってもよく、複数層であってもよい。
【0060】
図2A図2Cを参照して、第二実施形態に係る感光体の別の例である単層型感光体1の構造を説明する。図2A図2Cは、第二実施形態に係る感光体の構造の別の例を示す概略断面図である。図2Aに示すように、単層型感光体1は、導電性基体2と、感光層3とを備える。感光層3は、単層型感光層3cである。図2Aに示すように、感光層3は導電性基体2上に直接的に配置されてもよい。また、図2Bに示すように、単層型感光体1は、例えば、導電性基体2と、中間層4(下引層)と、感光層3とを備える。図2Bに示すように、感光層3は導電性基体2上に間接的に配置されてもよい。図2Bに示すように、中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3cとの間に設けられてもよい。図2Cに示すように、単層型感光体1は、最表面層として保護層5を備えてもよい。
【0061】
第二実施形態に係る感光体1は、耐摩耗性に優れる。その理由は以下のように推測される。第二実施形態に係る感光体1は、バインダー樹脂としてポリアリレート樹脂(1)を含む。ポリアリレート樹脂(1)は、一般式(1)で表される。ポリアリレート樹脂(1)では、芳香族ジオール由来の繰返し単位がシクロドデシリデン基を有し、芳香族ジカルボン酸由来の繰返し単位が化学式(4A)〜(4C)で表される二価の置換基を有する。このような構造を有するポリアリレート樹脂(1)は、ポリアリレート樹脂(1)における複数の分子鎖間での絡み合いが低下しにくく、ポリアリレート樹脂(1)における複数の分子のパッキング性が低下しにくくなる。また、このような構造を有するポリアリレート樹脂(1)は溶剤への溶解性が高いため、感光層3を形成するための塗布液を調製し易い。その結果、層密度の高い感光層3を得られ易い。よって、第二実施形態に係る感光体1は、耐摩耗性に優れる。
【0062】
以下、第二実施形態に係る感光体1の要素(導電性基体2、感光層3、及び中間層4)を説明する。更に感光体の製造方法も説明する。
【0063】
[1.導電性基体]
導電性基体2は、感光体1の導電性基体2として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体2は、導電性を有する材料(以下、導電性材料と記載することがある)で少なくとも表面部を構成することができる。導電性基体2の一例としては、導電性材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体2の別の例としては、導電性材料で被覆されている導電性基体が挙げられる。導電性材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性材料の中でも、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又は真鍮等)が挙げられる。
【0064】
これらの導電性材料の中でも、感光層3から導電性基体2への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
【0065】
導電性基体2の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて適宜選択することができる。導電性基体2の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体2の厚みは、導電性基体2の形状に応じて、適宜選択することができる。
【0066】
[2.感光層]
感光層3は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(1)とを含有する。感光層は添加剤を更に含有してもよい。積層型感光体1の感光層3は、電荷発生層3aと、電荷輸送層3bとを備える。電荷発生層3aは、電荷発生剤を含有する。電荷発生層3aは電荷輸送層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することがある)を含有してもよい。電荷輸送層3bは、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを含有する。電荷発生層3aの厚さは、電荷発生層として十分に作用することができれば、特に限定されない。電荷発生層3aの厚さは、具体的には、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上3μm以下であることがより好ましい。電荷輸送層3bの厚さは、電荷輸送層3bとして十分に作用することができれば、特に限定されない。電荷輸送層3bの厚さは、具体的には、2μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0067】
単層型感光体1の感光層3は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(1)とを含有する。感光層3の厚さは、感光層としての機能を十分に発現できれば、特に限定されない。具体的には、感光層3の厚さは、5μm以上100μm以下であってもよく、10μm以上50μm以下であることが好ましい。
【0068】
[2−1.共通の構成要素]
以下、電荷発生剤、正孔輸送剤、及びバインダー樹脂を説明する。更に添加剤を説明する。
【0069】
[2−1−1.電荷発生剤]
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤であれば、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンのような無機光導電材料の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。フタロシアニン系顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料又はフタロシアニン誘導体の顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン顔料(より具体的には、X型無金属フタロシアニン顔料(x−H2Pc)等)が挙げられる。フタロシアニン誘導体の顔料としては、例えば、金属フタロシアニン顔料(より具体的には、チタニルフタロシアニン顔料、又はV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料等)が挙げられる。フタロシアニン系顔料の結晶形状については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。フタロシアニン系顔料の結晶形状としては、例えば、α型、β型、又はY型が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。感光層がバインダー樹脂としてポリアリレート樹脂(1)を含有している場合、感光体の耐摩耗性を向上させる観点から、電荷発生剤は、フタロシアニン系顔料が好ましく、チタニルフタロシアニン顔料がより好ましく、Y型チタニルフタロシアニン顔料(Y−TiOPc)が更に好ましい。
【0070】
所望の領域に吸収波長を有する電荷発生剤を単独で用いてもよいし、2種以上の電荷発生剤を組み合わせて用いてもよい。更に、例えば、デジタル光学式の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体1を用いることが好ましい。デジタル光学式の画像形成装置としては、例えば、半導体レーザーのような光源を使用したレーザービームプリンター又はファクシミリが挙げられる。そのため、例えば、フタロシアニン系顔料が好ましく、Y型チタニルフタロシアニン顔料がより好ましい。
【0071】
Y型チタニルフタロシアニン顔料は、Cu−Kα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
【0072】
(CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法)
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法を説明する。試料(チタニルフタロシアニン顔料)をX線回折装置(株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。得られたX線回折スペクトルから主ピークを決定し、主ピークのブラッグ角を読み取る。
【0073】
短波長レーザー光源を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料、又はペリレン系顔料が好適に用いられる。なお、短波長レーザー光源は、例えば、350nm以上550nm以下程度の波長を有する。
【0074】
電荷発生剤は、例えば、化学式(CGM−1)〜(CGM−4)で表されるフタロシアニン系顔料である(以下、それぞれ電荷発生剤(CGM−1)〜(CGM−4)と記載することがある)。
【0075】
【化18】
【0076】
【化19】
【0077】
【化20】
【0078】
【化21】
【0079】
電荷発生剤の含有量は、電荷発生層用バインダー樹脂(以下、ベース樹脂と記載することがある)100質量部に対して、5質量部以上1000質量部以下であることが好ましく、30質量部以上500質量部以下であることがより好ましい。
【0080】
[2−1−2.正孔輸送剤]
正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物が挙げられる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等);オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等);スチリル系化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等);カルバゾール系化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等);有機ポリシラン化合物;ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等);ヒドラゾン系化合物;インドール系化合物;オキサゾール系化合物;イソオキサゾール系化合物;チアゾール系化合物;チアジアゾール系化合物;イミダゾール系化合物;ピラゾール系化合物;トリアゾール系化合物が挙げられる。
【0081】
感光体1の耐摩耗性を更に向上させる観点から、これらの正孔輸送剤のうち一般式(2)、一般式(3)、又は一般式(4)で表される化合物(以下、それぞれ正孔輸送剤(2)、正孔輸送剤(3)、又は正孔輸送剤(4)と記載することがある)が好ましく、正孔輸送剤(4)がより好ましい。感光体1の感度特性を向上させる観点から、これらの正孔輸送剤のうち正孔輸送剤(2)、正孔輸送剤(3)、又は正孔輸送剤(4)が好ましく、正孔輸送剤(2)又は(3)がより好ましく、正孔輸送剤(3)が更に好ましい。感光体1の耐摩耗性を更に向上させる観点から、これらの正孔輸送剤のうち正孔輸送剤(2)、正孔輸送剤(3)、又は正孔輸送剤(4)が好ましく、正孔輸送剤(4)がより好ましい。
【0082】
【化22】
【0083】
一般式(2)中、Q1は、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。フェニル基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を有してもよい。Q2は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7のうちの隣接した二つが互いに結合して環を形成してもよい。2つのQ1は、互いに同一であっても異なってもよい。aは、0以上5以下の整数を表す。aが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0084】
【化23】
【0085】
一般式(3)中、Q8、Q10、Q11、Q12、Q13、及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。Q9及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。bは、0以上5以下の整数を表す。bが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ9は、互いに同一でも異なっていてもよい。cは、0以上4以下の整数を表す。cが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のQ15は、互いに同一でも異なっていてもよい。kは、0又は1を表す。
【0086】
【化24】
【0087】
一般式(4)中、Ra、Rb及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表す。qは、0以上4以下の整数を表す。qが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のRcは、互いに同一でも異なっていてもよい。m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。mが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRbは、互いに同一でも異なっていてもよい。nが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRaは、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0088】
一般式(2)中、Q1の表すフェニル基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を有するフェニル基であることが好ましく、メチル基を有するフェニル基であることがより好ましい。
【0089】
一般式(2)中、Q2の表す炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。aは、0又は1を表すことが好ましい。
【0090】
一般式(2)中、Q3〜Q7の表す炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基であることが好ましく、n−ブチル基であることがより好ましい。一般式(2)中、Q3〜Q7の表す炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基は、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基であることがより好ましい。一般式(2)中、Q3〜Q7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表すことが好ましく、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基を表すことがより好ましい。
【0091】
一般式(2)中、Q3〜Q7のうちの隣接した二つが互いに結合して、環(より具体的には、ベンゼン環、又は炭素原子数5以上7以下のシクロアルカン)を形成してもよい。例えば、Q3〜Q7のうちの隣接したQ6とQ7とが互いに結合して、ベンゼン環、又は炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成してもよい。Q3〜Q7のうちの隣接した二つが互いに結合してベンゼン環を形成する場合、このベンゼン環はQ3〜Q7が結合するフェニル基と縮合して二環縮合環基(ナフチル基)を形成する。Q3〜Q7のうちの隣接した二つが互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成する場合、この炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンはQ3〜Q7が結合するフェニル基と縮合して二環縮合環基を形成する。この場合、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンとフェニル基との縮合部位は、二重結合を含んでもよい。Q3〜Q7のうちの隣接した二つが互いに結合して、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成することが好ましく、シクロヘキサンを形成することがより好ましい。
【0092】
一般式(2)中、Q1は、水素原子、又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を有するフェニル基を表し、Q2は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表し、Q3〜Q7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基を表し、aは、0又は1を表すことが好ましい。Q3〜Q7のうち隣接した二つが互いに結合して環を形成してもよい。
【0093】
一般式(3)中、Q8及びQ10〜Q14の表す炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。一般式(3)中、Q8及びQ10〜Q14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又はフェニル基を表し、b及びcは、0を表すことが好ましい。
【0094】
一般式(4)中、Ra及びRbの表す炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基を表すことがより好ましい。一般式(4)中、Ra及びRbは、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表し、m及びnは、各々独立に、0以上2以下の整数を表し、qは0を表すことが好ましい。
【0095】
正孔輸送剤(2)の具体例としては、化学式(HTM−1)〜(HTM−4)で表される正孔輸送剤が挙げられる(以下、それぞれ正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−4)と記載することがある)。正孔輸送剤(3)の具体例としては、化学式(HTM−5)〜(HTM−7)で表される正孔輸送剤が挙げられる(以下、それぞれ正孔輸送剤(HTM−5)〜(HTM−7)と記載することがある)。正孔輸送剤(4)の具体例としては、化学式(HTM−8)〜(HTM−9)で表される正孔輸送剤が挙げられる(以下、それぞれ正孔輸送剤(HTM−8)〜(HTM−9)と記載することがある)。
【0096】
【化25】
【0097】
【化26】
【0098】
【化27】
【0099】
積層型感光体において、正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
【0100】
[2−1−3.バインダー樹脂]
バインダー樹脂は、ポリアリレート樹脂(1)を含む。バインダー樹脂は、電荷輸送層3b又は単層型感光層3cに用いられる。感光体1がポリアリレート樹脂(1)を含有することにより、感光体1の耐摩耗性を向上させることができる。
【0101】
バインダー樹脂としては、ポリアリレート樹脂(1)を単独で用いてもよいし、ポリアリレート樹脂(1)以外の他の樹脂を更に含んでもよい。他の樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアリレート樹脂(1)以外のポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂又はウレタン−アクリル酸系共重合体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリアリレート樹脂(1)の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して80質量部以上であることが好ましく、90質量部以上であることがより好ましく、100質量部であることが更に好ましい。
【0102】
バインダー樹脂の含有量の比率は、感光層3に含まれるすべての構成要素(例えば、正孔輸送剤及びバインダー樹脂)の質量の合計に対して40質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
【0103】
[2−1−4.添加剤]
電荷発生層3aと、電荷輸送層3bと、単層型感光層3cと、中間層4とのうちの少なくとも一つが、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、電子アクセプター化合物、ドナー、界面活性剤、又はレベリング剤が挙げられる。
【0104】
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、チオエーテル化合物、又はホスファイト化合物が挙げられる。これらの酸化防止剤の中でも、ヒンダードフェノール化合物及びヒンダードアミン化合物が好ましい。
【0105】
電荷輸送層3b中の酸化防止剤の添加量は、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。酸化防止剤の添加量がこのような範囲内であると、感光体が酸化されることによる電気特性の低下を抑制し易い。
【0106】
電子アクセプター化合物としては、例えば、3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジフェノキノンが挙げられる。
【0107】
[2−2.共通しない構成要素]
(2−1−1.ベース樹脂)
ベース樹脂は、感光体1に適用できる限り、特に限定されない。ベース樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、又はポリエステル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリル酸系樹脂、又はウレタン−アクリル酸系樹脂が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのベース樹脂のうち、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。
【0108】
ベース樹脂は、上述したバインダー樹脂と同様の樹脂も例示されているが、同一の積層型感光体1においては、通常、バインダー樹脂とは異なる樹脂が選択される。これは以下の理由を根拠としている。積層型感光体1を製造する際、通常、電荷発生層3a、電荷輸送層3bの順に形成するため、電荷発生層3a上に、電荷輸送層用塗布液を塗布することになる。電荷輸送層3bの形成時に、電荷発生層3aは、電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが好ましい。そこで、ベース樹脂は、同一の積層型感光体1においては、通常、バインダー樹脂とは異なる樹脂が選択される。
【0109】
[3.中間層]
第二実施形態に係る感光体1は、中間層4(例えば、下引き層)を有してもよい。中間層4は、例えば、無機粒子、及び樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層4を介在させると、電流リークの発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体1を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、電気抵抗の上昇を抑えることができる。
【0110】
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄、又は銅等)の粒子、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、又は酸化亜鉛等)の粒子、又は非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、無機粒子は、表面処理を施してもよい。
【0111】
中間層用樹脂としては、中間層4を形成する樹脂として用いることができれば、特に限定されない。
【0112】
[4.感光体の製造方法]
感光体1の製造方法について説明する。感光体1の製造方法は、例えば、感光層形成工程を有する。
【0113】
[4−1.積層型感光体の製造方法]
積層型感光体1の製造方法は、感光層形成工程を含む。感光層形成工程は、電荷発生層形成工程と電荷輸送層形成工程とを有する。電荷発生層形成工程では、まず、電荷発生層3aを形成するための塗布液(以下、電荷発生層用塗布液と記載することがある)を調製する。電荷発生層用塗布液を導電性基体2上に塗布し、塗布膜を形成する。次いで、適宜な方法で塗布膜を乾燥させることによって、塗布膜に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して電荷発生層3aを形成する。電荷発生層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、ベース樹脂と、溶剤とを含む。このような電荷発生層用塗布液は、電荷発生剤と、ベース樹脂とを溶剤に溶解又は分散させることにより調製する。電荷発生層用塗布液は、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
【0114】
電荷輸送層形成工程では、まず、電荷輸送層3bを形成するための塗布液(以下、電荷輸送層用塗布液と記載することがある)を調製する。電荷輸送層用塗布液を電荷発生層3a上に塗布し、塗布膜を形成する。次いで、適宜な方法で塗布膜を乾燥させることによって、塗布膜に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して電荷輸送層3bを形成する。電荷輸送層用塗布液は、正孔輸送剤と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(1)と、溶剤とを含む。電荷輸送層用塗布液は、正孔輸送剤と、ポリアリレート樹脂(1)とを溶剤に溶解又は分散させることにより調製することができる。電荷輸送層用塗布液には、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
【0115】
[4−2.単層型感光体の製造方法]
単層型感光体1の製造方法は、感光層形成工程を含む。感光層形成工程では、感光層3を形成するための塗布液(以下、感光層用塗布液と記載することがある)を調製する。感光層用塗布液を導電性基体2上に塗布し、塗布膜を形成する。次いで、適宜な方法で塗布膜を乾燥させることによって、塗布した感光層用塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去して感光層3を形成する。感光層用塗布液は、例えば、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(1)と、溶剤とを含む。このような感光層用塗布液は、電荷発生剤、正孔輸送剤、及びバインダー樹脂を溶剤に溶解又は分散させることにより調製する。感光層用塗布液は、必要に応じて各種添加剤を加えてもよい。
【0116】
引き続き、感光層形成工程を説明する。電荷発生層用塗布液、電荷輸送層用塗布液、及び感光層用塗布液(以下、これら3つの塗布液を塗布液と記載することがある)に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散でき、かつ乾燥により塗布膜から除去され易ければ、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン、又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、又はクロロベンゼン等)、エーテル(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、又はジエチレングリコールジメチルエーテル等)、ケトン(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、エステル(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの溶剤のうち、非ハロゲン溶剤を用いることが好ましい。2種以上の組合せとしては、例えば、メタノールとブタノールとトルエンとを含む混合溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルとテトラヒドロフランとを含む混合溶剤、又はテトラヒドロフランとトルエンとを含む混合溶剤が挙げられる。
【0117】
更に、電荷輸送層用塗布液に含有される溶剤は、電荷発生層用塗布液に含有される溶剤と、異なることが好ましい。積層型感光体1を製造する際、通常、電荷発生層3a、電荷輸送層3bの順に形成するため、電荷発生層3a上に、電荷輸送層用塗布液を塗布することになる。電荷輸送層3bの形成時に、電荷発生層3aは、電荷輸送層用塗布液の溶剤に溶解しないことが求められるからである。
【0118】
塗布液は、それぞれ各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散器を用いることができる。
【0119】
塗布液は、各成分の分散性、又は形成される各々の層の表面平滑性を向上させるために、例えば、界面活性剤又はレベリング剤を含有してもよい。
【0120】
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を均一に塗布できる方法であれば、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
【0121】
塗布液に含まれる溶剤の少なくとも一部を除去する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る方法であれば、特に限定されない。除去する方法としては、例えば、加熱、減圧、又は加熱と減圧との併用が挙げられる。より具体的には、高温乾燥機、又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(より具体的には、熱風乾燥等)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
【0122】
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて中間層を形成する工程を更に有してもよい。中間層を形成する工程は、公知の方法を適宜選択することができる。
【0123】
以上説明した本発明の第二実施形態に係る電子写真感光体は、耐摩耗性に優れるため、種々の画像形成装置で好適に使用できる。
【実施例】
【0124】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
【0125】
(感光体の材料の準備)
感光層を形成するために、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂とを準備した。
【0126】
(電荷発生剤)
第二実施形態で説明した電荷発生剤(CGM−2)を準備した。電荷発生剤(CGM−2)は、化学式(CGM−2)で表されるY型チタニルフタロシアニン顔料(Y型チタニルフタロシアニン結晶)であった。結晶構造はY型であった。
【0127】
Y型チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルチャートにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=9.2°、14.5°、18.1°、24.1°、27.2°にピークを有しており、主ピークは27.2°であった。なお、CuKα特性X線回折スペクトルは、第二実施形態で説明した測定装置及び測定条件で測定された。
【0128】
(正孔輸送剤)
第二実施形態で説明した正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−9)を準備した。
【0129】
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として第一実施形態で説明したポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−10)を準備した。また、バインダー樹脂(Resin−B1)、(Resin−B2)及び(Resin−B4)を準備した。バインダー樹脂(Resin−B1)、(Resin−B2)及び(Resin−B4)は、それぞれ化学式(Resin−B1)、(Resin−B2)及び(Resin−B4)で表される。
【0130】
【化28】
【0131】
【化29】
【0132】
【化30】
【0133】
<<ポリアリレート樹脂の調製>>
[ポリアリレート樹脂(Resin−1)の合成]
三口フラスコを反応容器として用いた。この反応容器は、温度計と、三方コックと、滴下ロート200mLとを備えた容量1Lの三口フラスコである。反応容器に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン29.10g(82.56ミリモル)と、t−ブチルフェノール0.124g(0.826ミリモル)と、水酸化ナトリウム7.84g(196ミリモル)と、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド0.240g(0.768ミリモル)とを投入した。次いで、反応容器内をアルゴン置換した。その後、水600mLを更に反応容器に投入した。反応容器の内温を20℃に保持して反応容器内の内容物を1時間攪拌した。その後、反応容器の内温を10℃に冷却した。その結果、アルカリ性水溶液を得た。
【0134】
一方、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド9.84g(38.9ミリモル)と、4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリド11.47g(38.9ミリモル)とをクロロホルム300gに溶解させた。その結果、クロロホルム溶液を得た。
【0135】
次いで、上記クロロホルム溶液を滴下ロートから上記アルカリ性水溶液に110分間かけてゆっくりと滴下して、重合反応を開始させた。反応容器内の内温を13±3℃に調節して、反応容器の内容物を3時間攪拌して重合反応を進行させた。
【0136】
その後、デカントを用いて反応容器の内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。次いで、容量2Lの三口フラスコにイオン交換水500mLを投入した後に、得られた有機層を投入した。更にクロロホルム300gと、酢酸6mLとを投入した。三口フラスコの内容物を室温(25℃)で30分攪拌した。その後、デカントを用いて密口フラスコの内容物における上層(水層)を除去し、有機層を得た。水500mLを用いて得られた有機層を分液ロートにて5回洗浄した。その結果、水洗した有機層を得た。
【0137】
次に、水洗した有機層をろ過し、ろ液を得た。容量3Lのビーカーにメタノール1.5Lを投入した。得られたろ液をビーカーにゆっくり滴下し、沈殿物を得た。沈殿物をろ過によりろ別した。得られた沈殿物を温度70℃で12時間真空乾燥した。その結果、ポリアリレート樹脂(Resin−1)を得た。ポリアリレート樹脂(Resin−1)の収量は36.1gであり、収率は83.9モル%であった。
【0138】
[ポリアリレート樹脂(Resin−2)〜(Resin−10)の合成]
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンをポリアリレート樹脂((Resin−2)〜(Resin−10))の出発物質である芳香族ジオールに変更し、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロリド及び4,4’−オキシビス安息香酸ジクロリドをポリアリレート樹脂((Resin−2)〜(Resin−10))の出発物質であるハロゲン化アルカノイルに変更した以外は、ポリアリレート樹脂(Resin−1)と同様にしてそれぞれポリアリレート樹脂(Resin−2)〜(Resin−10)を製造した。
【0139】
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、作製したポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−10)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。これらのうちポリアリレート樹脂(Resin−1)を代表例として挙げる。
【0140】
図3は、ポリアリレート樹脂(Resin−1)の1H−NMRスペクトルを示す。図3中、横軸は化学シフト(単位:ppm)を示し、縦軸は信号強度(単位:任意単位)を示す。また、ポリアリレート樹脂(Resin−1)の化学シフト値を以下に示す。
ポリアリレート樹脂(Resin−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.84(s, 2H), 8.28(d, 2H), 8.22(d, 4H), 8.11(d, 2H), 7.10−7.31(m, 20H), 2.12(brs, 8H), 1.38(brs, 28H), 1.00(brs, 8H).
【0141】
1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、ポリアリレート樹脂(Resin−1)が得られていることを確認した。他のポリアリレート樹脂(Resin−2)〜(Resin−10)も同様にして、1H−NMRスペクトルにより、それぞれポリアリレート樹脂(Resin−2)〜(Resin−10)が得られていることを確認した。
【0142】
<<感光体の製造>>
[感光体(A−1)の製造]
以下、実施例1に係る感光体(A−1)の製造について説明する。
【0143】
(中間層の形成)
はじめに、表面処理された酸化チタン(テイカ株式会社製「試作品SMT−A」、平均一次粒径10nm)を準備した。詳しくは、アルミナとシリカとを用いて酸化チタンを表面処理し、更に、表面処理された酸化チタンを湿式分散しながらメチルハイドロジェンポリシロキサンを用いて表面処理したものを準備した。次いで、表面処理された酸化チタン(2質量部)と、ポリアミド樹脂であるアミラン(登録商標)(東レ株式会社製「CM8000」)(1質量部)とを混合溶剤に添加した。アミランは、ポリアミド6,ポリアミド12,ポリアミド66,及びポリアミド610の四元共重合ポリアミド樹脂であった。この混合溶剤は、メタノール(10質量部)と、ブタノール(1質量部)と、トルエン(1質量部)とを含む溶剤であった。ビーズミルを用いて、5時間混合し溶剤中に材料(表面処理された酸化チタン、及びアミラン)を分散させた。これにより、中間層用塗布液を調製した。
【0144】
得られた中間層用塗布液を、目開き5μmのフィルターを用いてろ過した。その後、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体(直径30mm、全長246mm)の表面に、ディップコート法を用いて、中間層用塗布液を塗布し、塗布膜を形成した。続いて、塗布膜を130℃で30分間乾燥させて、導電性基体(ドラム状支持体)上に中間層(膜厚1.5μm)を形成した。
【0145】
(電荷発生層の形成)
Y型チタニルフタロシアニン顔料(1.5質量部)と、ベース樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業株式会社製「エスレックBX−5」)(1質量部)とを、混合溶剤に添加した。この混合溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(40質量部)と、テトラヒドロフラン(40質量部)とを含む溶剤であった。ビーズミルを用いて、これらを12時間混合し、混合溶剤中に材料(Y型チタニルフタロシアニン顔料、及びポリビニルアセタール樹脂)を分散させて、電荷発生層用塗布液を作製した。得られた電荷発生層用塗布液を、目開き3μmのフィルターを用いてろ過した。次いで、得られたろ過液を、上述のようにして形成された中間層上にディップコート法を用いて塗布し、塗布膜を形成した。50℃で5分間塗布膜を乾燥させた。これにより、中間層上に電荷発生層(膜厚0.3μm)を形成した。
【0146】
(電荷輸送層の形成)
正孔輸送剤(HTM−1)50質量部と、添加剤としてのヒンダードフェノール酸化防止剤(BASF株式会社製「イルガノックス(登録商標)1010」)2質量部と、電子アクセプター化合物としての3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジフェノキノン2質量部と、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(Resin−1)100質量部とを、混合溶剤に添加した。この混合溶剤は、テトラヒドロフラン550質量部と、トルエン150質量部とを含む溶剤であった。これらを12時間混合し、混合溶剤中に材料(正孔輸送剤(HTM−1)、ヒンダードフェノール酸化防止剤、電子アクセプター化合物、及びポリアリレート樹脂(Resin−1))を分散させて、電荷輸送層用塗布液を調製した。
【0147】
電荷発生層用塗布液と同様の操作により、電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に塗布し、塗布膜を形成した。その後、120℃で40分間塗布膜を乾燥させて、電荷発生層上に電荷輸送層(膜厚20μm)を形成した。その結果、感光体(A−1)が得られた。感光体(A−1)は、積層型感光体であって、導電性基体上に、中間層、電荷発生層、及び電荷輸送層が、この順で積層された構成を有していた。
【0148】
[感光体(A−2)〜(A−18)及び感光体(B−1)〜(B−3)]
正孔輸送剤(HTM−1)の代わりに表1に記載の正孔輸送剤を用い、バインダー樹脂としてポリアリレート樹脂(Resin−1)の代わりに表1に記載のバインダー樹脂を用いた以外は、感光体(A−1)と同様の手法により、それぞれ感光体(A−2)〜(A−18)及び感光体(B−1)〜(B−3)を作製した。なお、感光体(B−1)は、ポリアリレート樹脂(Resin−B2)が十分に溶解しなかったため、適切な感光層を形成できなかった。
【0149】
[感光体の性能評価]
(感光体の帯電特性評価:帯電電位V0の測定)
感光体(A−1)〜(A−18)及び感光体(B−1)〜(B−3)の何れかを、ドラム感度試験機(ジュンテック株式会社製)を用いて、回転数31rpmとし、ドラム流れ込み電流が−10μmA時の表面電位を測定した。測定した表面電位を帯電電位V0(単位:V)とした。測定環境は、温度23℃、かつ湿度50%RHとした。表1に帯電電位V0を示す。
【0150】
(感光体の感度特性評価:露光後電位VLの測定)
感光体(A−1)〜(A−18)及び感光体(B−1)〜(B−3)の何れかを、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、回転数を31rpmとし、感光層の表面電位が−600Vになるように帯電させた。次いで、単色光(波長:780nm、露光量:0.8μJ/cm2)をハロゲンランプの光からバンドパスフィルターを用いて取り出し、感光体の表面に照射した。単色光の照射終了後、80ミリ秒が経過した後の表面電位を測定した。測定した表面電位を露光後電位VL(単位V)とした。測定環境は、温度23℃、かつ相対湿度50%RHとした。表1に露光後電位VLを示す。
【0151】
(感光体の耐摩耗性評価:摩耗減量の測定)
感光体(A−1)〜(A−18)及び感光体(B−1)〜(B−3)の何れかの製造において調製した電荷輸送層用塗布液を、アルミパイプ(直径:78mm)に巻きつけたポリプロピレンシート(厚さ0.3mm)に塗布した。これを、120℃で40分乾燥し、膜厚30μmの電荷輸送層が形成された摩耗評価試験用のシートを作製した。摩耗させる前の摩耗評価試験用シートの質量を測定した。
【0152】
このポリプロピレンシートから電荷輸送層を剥離し、ウィールS−36(テーバー社製)に貼り付け、サンプルを作製した。作製したサンプルをロータリーアブレージョンテスター(株式会社東洋精機製作所製)にセットし、摩耗輪CS−10(テーバー社製)を用い、荷重500gfかつ回転速度60rpmの条件で1,000回転させ、摩耗評価試験を実施した。摩耗させた後の摩耗評価試験用シートの質量を測定した。摩耗前後の摩耗評価試験用シートの質量から、その質量変化の値を算出した。得られた質量変化の値を摩耗減量(単位:mg/1000回転)とした。得られた摩耗減量に基づいて、感光体の耐摩耗性を評価した。
【0153】
表1は、感光体(A−1)〜(A−18)及び感光体(B−1)〜(B−3)の構成及び性能評価結果を示す。表1中、欄「正孔輸送剤」のHTM−1〜HTM−9は、それぞれ正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−9)を表す。欄「バインダー樹脂」の分子量は、粘度平均分子量を表す。欄「バインダー樹脂」の種類のResin−1〜Resin−10、Resin−B1〜Resin−B2及びResin−B4は、それぞれポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−10)並びにバインダー樹脂(Resin−B1)〜(Resin−B2)及び(Resin−B4)を表す。なお、感光体(B−1)の表記「溶解せず」は、電気特性及び耐摩耗性の評価をしなかったことを示す。これは、適切な電荷輸送層を形成できなかったためである。
【0154】
【表1】
【0155】
表1に示すように、感光体(A−1)〜(A−18)では、電荷輸送層は、バインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−10)の何れかを含有していた。ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−10)は、一般式(1)で表されるポリアリレート樹脂に包含されるバインダー樹脂であった。表1に示すように、感光体(A−1)〜(A−18)では、摩耗減量が3.9mg以上5.8mg以下であった。
【0156】
表1に示すように、感光体(B−1)〜(B−3)では、電荷輸送層はそれぞれバインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(Resin−B1)、(Resin−B2)及び(Resin−B4)を含有していた。ポリアリレート樹脂(Resin−B1)、(Resin−B2)及び(Resin−B4)は、一般式(1)で表されるポリアリレート樹脂に包含されるバインダー樹脂ではなかった。表1に示すように、感光体(B−1)では、ポリアリレート樹脂(Resin−B1)が感光層用塗布液の溶剤に溶解しにくいため、十分に厚みのある感光層を形成できなかった。感光体(B−2)及び(B−3)では、摩耗減量がそれぞれ9.5mg及び6.9mgであった。
【0157】
表1から明らかなように、第一実施形態に係るポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−10)は、ポリアリレート樹脂(Resin−B1)、(Resin−B2)及び(Resin−B4)に比べ、感光体の耐摩耗性を向上させた。従って、本発明に係るポリアリレート樹脂は、感光体の耐摩耗性を向上させることが明らかである。従って、本発明に係るポリアリレート樹脂は、感光体の耐摩耗性を向上させることが明らかである。
【0158】
表1から明らかなように、第二実施形態に係る感光体(感光体(A−1)〜(A−18))は、感光体(B−2)及び(B−3)に比べ、耐摩耗試験において摩耗減量が少なかった。従って、本発明に係る感光体は、耐摩耗性に優れることが明らかである。
【0159】
表1に示すように、感光体(A−10)及び(A−16)〜(A−17)では、電荷輸送層は、それぞれバインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(Resin−2)及び(Resin−8)〜(Resin−9)を含有していた。ポリアリレート樹脂(Resin−2)及び(Resin−8)〜(Resin−9)は、一般式(1)中、s/(s+u)は、0.30以上0.70以下であるポリアリレート樹脂であった。表1に示すように、感光体(A−10)及び(A−16)〜(A−17)では、摩耗減量が4.1mg以上4.7mg以下であった。
【0160】
表1に示すように、感光体(A−14)〜(A−15)、及び(A−18)では、電荷輸送層は、それぞれバインダー樹脂としてのポリアリレート樹脂(Resin−6)〜(Resin−7)及び(Resin−10)を含有していた。ポリアリレート樹脂(Resin−6)〜(Resin−7)及び(Resin−10)は、一般式(1)中、s/(s+u)は、0.30未満又は0.70より大きいポリアリレート樹脂であった。表1に示すように、感光体(A−15)及び(A−18)では、摩耗減量が5.3mg以上5.8mg以下であった。
【0161】
表1から明らかなように、ポリアリレート樹脂(Resin−2)及び(Resin−8)〜(Resin−9)は、ポリアリレート樹脂(Resin−6)〜(Resin−7)及び(Resin−10)に比べ、感光体の耐摩耗性を向上させた。従って、一般式(1)中、s/(s+u)は、0.30以上0.70以下であるポリアリレート樹脂は、感光体の耐摩耗性を更に向上させることが明らかである。
【0162】
表1から明らかなように、感光体(A−10)及び(A−16)〜(A−17)は、感光体(A−14)〜(A−15)及び(A−18)に比べ、耐摩耗性に優れる。
【0163】
表1に示すように、感光体(A−1)、(A−10)、(A−11)及び(A−13)では、電荷輸送層は、それぞれバインダー樹脂としてポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−3)及び(Resin−5)を含有していた。ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−3)及び(Resin−5)は、一般式(1)中、sが1以上の整数を表し、かつXが化学式(2A)で表される二価の基を表すポリアリレート樹脂、又はsが1以上の整数を表し、かつYが化学式(4A)で表される二価の基を表すポリアリレート樹脂であった。感光体(A−1)、(A−10)、(A−11)及び(A−13)では、摩耗減量がそれぞれ4.3mg、4.3mg、4.2mg及び4.3mgであった。
【0164】
表1に示すように、感光体(A−12)及び(A−14)では、電荷輸送層は、それぞれバインダー樹脂としてポリアリレート樹脂(Resin−4)及び(Resin−6)を含有していた。ポリアリレート樹脂(Resin−4)及び(Resin−6)は、一般式(1)中、sが1以上の整数を表し、かつXが化学式(2A)で表される二価の基を表すポリアリレート樹脂、又はsが1以上の整数を表し、かつYが化学式(4A)で表される二価の基を表すポリアリレート樹脂の何れでもなかった。感光体(A−12)及び(A−14)では、摩耗減量がそれぞれ4.9mg及び5.8mgであった。
【0165】
表1から明らかなように、ポリアリレート樹脂(Resin−1)〜(Resin−3)及び(Resin−5)は、ポリアリレート樹脂(Resin−4)及び(Resin−6)に比べ、感光体の耐摩耗性を向上させた。従って、一般式(1)中、sが1以上の整数を表し、かつXが化学式(2A)で表される二価の基を表すポリアリレート樹脂、又はsが1以上の整数を表し、かつYが化学式(4A)で表される二価の基を表すポリアリレート樹脂は、感光体の耐摩耗性を更に向上させることが明らかである。
【0166】
表1から明らかなように、感光体(A−1)、(A−10)、(A−11)及び(A−13)は、感光体(A−12)及び(A−14)に比べ、耐摩耗性に優れる。
【0167】
表1に示すように、感光体(A−8)〜(A−9)では、電荷輸送層は、それぞれ正孔輸送剤(HTM−8)〜(HTM−9)を含有していた。正孔輸送剤(HTM−8)〜(HTM−9)は、一般式(4)で表される。感光体(A−8)〜(A−9)では、摩耗減量がそれぞれ4.0mg及び3.9mgであった。
【0168】
表1に示すように、感光体(A−1)〜(A−7)では、電荷輸送層は、それぞれ正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−7)を含有していた。正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−4)は、一般式(2)で表される。正孔輸送剤(HTM−5)〜(HTM−7)は、一般式(3)で表される。感光体(A−1)〜(A−7)では、摩耗減量が4.1mg以上4.6mg以下であった。
【0169】
表1から明らかなように、感光体(A−8)〜(A−9)は、感光体(A−1)〜(A−7)に比べ、耐摩耗性に優れる。
【0170】
表1に示すように、感光体(A−1)〜(A−7)では、電荷輸送層は、それぞれ正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−7)を含有していた。正孔輸送剤(HTM−1)〜(HTM−4)は、一般式(2)で表される。正孔輸送剤(HTM−5)〜(HTM−7)は、一般式(3)で表される。感光体(A−1)〜(A−7)では、露光後電位が−58V以上−33V以下であった。
【0171】
表1に示すように、感光体(A−8)〜(A−9)では、電荷輸送層は、それぞれ正孔輸送剤(HTM−8)〜(HTM−9)を含有していた。正孔輸送剤(HTM−8)〜(HTM−9)は、一般式(4)で表される。感光体(A−8)〜(A−9)では、それぞれ露光後電位が−89V及び−65Vであった。
【0172】
表1から明らかなように、感光体(A−1)〜(A−7)は、感光体(A−8)〜(A−9)に比べ、感度特性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明のポリアリレート樹脂は、電子写真感光体のバインダー樹脂として利用できる。また、本発明に係る電子写真感光体は、複合機のような画像形成装置に利用できる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
【国際調査報告】