特表-18092624IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2018-92624表示部材、ヘッドアップディスプレイ装置及び治具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年5月24日
【発行日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】表示部材、ヘッドアップディスプレイ装置及び治具
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20190920BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20190920BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20190920BHJP
   B05C 3/09 20060101ALI20190920BHJP
【FI】
   G02B27/01
   B60K35/00 A
   B05C13/02
   B05C3/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】特願2018-551573(P2018-551573)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年11月6日
(31)【優先権主張番号】特願2016-222991(P2016-222991)
(32)【優先日】2016年11月16日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神蔵 高行
(72)【発明者】
【氏名】清末 成憲
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
4F040
4F042
【Fターム(参考)】
2H199DA02
2H199DA13
2H199DA15
2H199DA17
2H199DA30
3D344AA08
3D344AA27
3D344AC25
4F040AA14
4F040AB04
4F040BA44
4F040CC16
4F040CC18
4F040CC19
4F040DA14
4F042AA10
4F042BA08
4F042CA01
4F042DF04
4F042DF07
4F042DF29
4F042DF34
(57)【要約】
本発明の表示部材(200)は、所定の処理が施される光学面と、前記光学面に連結され、治具(302)の第1係合部材と第2係合部材とにより把持される部材係合部(202)とを有し、前記部材係合部(202)は、太部と、前記太部よりもサイズが小さな細部とを連結して有し、前記治具(302)が接近する際に、前記太部を通過するときは前記第1係合部材と前記第2係合部材とが離間する第1の関係となり、その後に前記細部に至ったときは前記第1係合部材と前記第2係合部材とが前記第1の関係より接近した第2の関係となり、少なくとも前記第2の関係の際に、前記第1係合部材と前記第2係合部材の両方と前記部材係合部(202)とが線接触又は面接触するようになっており、前記部材係合部(202)が、前記第2の関係となった前記第1係合部材と前記第2係合部材とにより挟持されることで、前記所定の処理の間、前記治具(302)を介して保持されるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の処理が施される光学面と、
前記光学面に連結され、治具の第1係合部材と第2係合部材とにより把持される部材係合部とを有し、
前記部材係合部は、太部と、前記太部よりもサイズが小さな細部とを連結して有し、前記治具が接近する際に、前記太部を通過するときは前記第1係合部材と前記第2係合部材とが離間する第1の関係となり、その後に前記細部に至ったときは前記第1係合部材と前記第2係合部材とが前記第1の関係より接近した第2の関係となり、少なくとも前記第2の関係の際に、前記第1係合部材と前記第2係合部材の両方と前記部材係合部とが線接触又は面接触するようになっており、
前記部材係合部が、前記第2の関係となった前記第1係合部材と前記第2係合部材とにより挟持されることで、前記所定の処理の間、前記治具を介して保持されるようになっている表示部材。
【請求項2】
前記太部は、円筒状断面を有する請求項1に記載の表示部材。
【請求項3】
前記所定の処理とは、前記治具により保持した前記表示部材の光学面を処理液に浸漬することである請求項1又は2に記載の表示部材。
【請求項4】
前記太部のサイズは、前記第1係合部材と前記第2係合部材が接近する方向において、その先端から徐々に大きくなっている請求項1〜3のいずれかに記載の表示部材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の表示部材と、前記表示部材に対して前記表示光出射する描画ユニットとを有することを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の表示部材を保持する為の治具であって、前記部材係合部の両側を挟持する第1係合部材と第2係合部材とを備えている治具。
【請求項7】
前記第1係合部材と前記第2係合部材のうち少なくとも一方は、前記部材係合部に当接するローラと、前記ローラを回転自在に保持しつつ所定方向に付勢されるアームとを有する請求項6に記載の治具。
【請求項8】
前記第1係合部材と前記第2係合部材のうち少なくとも一方は、前記部材係合部の前記太部に当接する際に弾性変形する請求項6に記載の治具。
【請求項9】
前記所定の処理とは、前記治具により保持した前記表示部材の光学面を処理液に浸漬することであり、前記第1係合部材と前記第2係合部材は前記処理液に浸漬されない請求項6〜8のいずれかに記載の治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車での使用を主たる用途とするヘッドアップディスプレイ装置、より詳細には、半透明の表示部材(コンバイナ)を介して、コンバイナを透過する光により視認される車両前方風景と、コンバイナを反射する光により提供される画像や情報をドライバー(観察者)の視野において重ねて視認させることが可能なヘッドアップディスプレイ装置に用いると好適な表示部材、ヘッドアップディスプレイ装置及び治具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の運転中、車両内で計器類の速度などの情報を直接、フロントガラス等に虚像として映し出すことができれば、視野を変化させることなく運転でき、事故防止につながる。そこで、人間の視野に直接情報を映し出す手段として、ヘッドアップディスプレイ装置が開発された。かかるヘッドアップディスプレイ装置においては、通常、小型の液晶プロジェクターなどの投影機から出射された光が、ハーフミラー材を含んだ透明基材からなるコンバイナ(表示部材)や、フロントガラスにおいて透過および反射されるようになっている。従ってドライバー(観察者)は、コンバイナ等に表示された情報を取得するとともに、コンバイナ等を透かして外の風景などの外部情報を同時に取得することができる。
【0003】
ところで、傷つき防止のためコンバイナにある程度の硬さを持たせるようにすべく、その表面に形成される層にハードコート層を設けることがある。ハードコート層は、一般的にはコンバイナの素材を処理液に浸漬したのち、乾燥、硬化させることで形成できる。かかる場合、射出成形されたコンバイナの素材を、どのようにして処理液に浸漬するかという課題がある。
【0004】
特許文献1には、移動する丸棒にS字フックの一端を掛け、その他端を基材の孔に引っかけて、基材を吊り下げた状態で浸漬部へと浸漬される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−248507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術によれば、S字フックに引っかけた基材を浸漬部へ浸漬する際に、液中で基材に揺れや倒れが生じる恐れがあり、これにより規定の位置まで精度良く浸漬することができないという問題がある。又、基材の穴とS字フックを用いた引掛け方式ではS字フックをめがけて基材を複雑にコントロールし、穴に通す作業が必要であったり、基材を引っかけるためのみに孔を設けると、この孔が製品後にも残存することになるため、それにより製品品質を低下させるという問題もある。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、適切に保持されて所定の処理を行える表示部材、これを用いたヘッドアップディスプレイ装置及び表示部材を保持する治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示部材は、
所定の処理が施される光学面と、
前記光学面に連結され、治具の第1係合部材と第2係合部材とにより把持される部材係合部とを有し、
前記部材係合部は、太部と、前記太部よりもサイズが小さな細部とを連結して有し、前記治具が接近する際に、前記太部を通過するときは前記第1係合部材と前記第2係合部材とが離間する第1の関係となり、その後に前記細部に至ったときは前記第1係合部材と前記第2係合部材とが前記第1の関係より接近した第2の関係となり、少なくとも前記第2の関係の際に、前記第1係合部材と前記第2係合部材の両方と前記部材係合部とが線接触又は面接触するようになっており、
前記部材係合部が、前記第2の関係となった前記第1係合部材と前記第2係合部材とにより挟持されることで、前記所定の処理の間、前記治具を介して保持されるようになっているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、適切に保持されて所定の処理を行える表示部材、これを用いたヘッドアップディスプレイ装置及び表示部材を保持する治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ヘッドアップディスプレイ装置を、車体VHに搭載した状態を示す図である。
図2】描画ユニット100の構成を示す図である。
図3A】本実施の形態にかかるコンバイナ200の正面(反ドライバー側)を示す図である。
図3B】本実施の形態にかかるコンバイナ200の上面図である。
図3C】本実施の形態にかかるコンバイナ200の側面図である。
図4】治具300によりコンバイナ200を保持する前の状態を示す図である。
図5】治具300によりコンバイナ200を保持した状態を示す図である。
図6】治具300をコンバイナ200から離脱させた状態を示す図である。
図7】部材係合部と治具係合部との関係を示す斜視図である。
図8】治具300により保持したコンバイナ200を浸漬する状態を示す図である。
図9】本実施の形態の変形例である把持部302’と、部材係合部202との関係を示す図である。
図10】本実施の形態の別な変形例における、把持部302と部材係合部202’との関係を示す斜視図である。
図11A】把持部302と部材係合部202との係合関係を時系列的に示した模式図であり、初期状態を示す。
図11B】把持部302と部材係合部202との係合関係を時系列的に示した模式図であり、第1の関係を示す。
図11C】把持部302と部材係合部202との係合関係を時系列的に示した模式図であり、第2の関係を示す。
図12A】第2の関係にある把持部302と部材係合部202とを示す模式図であり、部材係合部202が比較的長い連結部202cを持っている。
図12B】第2の関係にある把持部302と部材係合部202とを示す模式図であり、部材係合部202がローラ302dの外周になじむ形状の連結部202cを持っている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態にかかるヘッドアップディスプレイ装置を、車体VHに搭載した状態を示す図である。車体VHのダッシュボードDB内には描画ユニット100が配置されており、ダッシュボードDB上に固定配置された表示部材としてのコンバイナ200に表示光を投影するようになっている。かかる表示光は反射又は回折により観察者であるドライバーDRの瞳に導かれ、虚像(表示像)を表示するようになっている。一方、ドライバーDRは虚像に重ねて、フロントウインドウWS及びコンバイナ200を透過した風景等の実像を観察することができる。コンバイナ200は、折りたたみ式もしくは上下スライド収納式でダッシュボードDB内に収納可能となっていても良い。描画ユニット100とコンバイナ200とで、ヘッドアップディスプレイ装置を構成する。
【0012】
図2は、描画ユニット100の概略構成を示す図である。描画ユニット100は、液晶表示パネル111を備えた描画デバイス110と、凹面鏡120と、ハウジング130とから主に構成されている。描画デバイスの構成は、例えば特開2012−203176号公報に詳細が記載されている。
【0013】
液晶表示パネル111は、透明電極膜が形成された一対の透光性基板に液晶層を封入した液晶セルの前後両面に偏光板を貼着してなるものであり、描画デバイス110内の不図示の光源から液晶表示パネル111面へ導かれた光線は、液晶表示パネル111を透過して表示光Lとなり、投射光学系を構成する凹面鏡(又は平面ミラー)120に照射され、ここで反射した後コンバイナ200に向かうようになっている。コンバイナ200は、厚さ23〜35mm(10mm以下であると好ましい)の板状に形成された板材となっている。コンバイナ200の投影面(ドライバー側)は、虚像を形成するために曲率半径が100mm以上の凹状のトーリック面(自由曲面又は球面でも良い)であり、裏面(車両前方側)はそれに類似した球面又は非球面である。
【0014】
図3Aは、本実施の形態にかかるコンバイナ200の正面(反ドライバー側)を示す図であり、図3Bは、コンバイナ200の上面図であり、図3Cは、コンバイナ200の側面図である。コンバイナ200は、例えばポリカーボネート、COP、アクリルなどの透明な樹脂を射出成形(型内圧センサの利用も可)により成形することによって一体的に成形され、投影部201と、投影部201の一端に形成された部材係合部202とを有する。投影部201の投影面(一方の光学面)201aは、虚像を形成するために好適な凹状のトーリック面(自由曲面又は球面でも良い)であり、裏面(他方の光学面)201cはそれに類似した凸状の球面又は非球面である。投影部201の板厚は一定であると好ましいが、中心から離れるにしたがって厚みが増大又は減少するように構成しても良い。
【0015】
投影部201の面は、公知のハーフミラー膜を蒸着することで、透過率70%以上、80%以下のハーフミラー機能を有すると好ましい。又、コンバイナ200の表面全体にハードコートを形成することで、傷などがつきにくくなる。尚、コンバイナ200に付与するハードコートの屈折率は、コンバイナ200の屈折率と略等しくすることが望ましい。ハードコートは、ディッピング法、スプレー法、フロー法、スピン法等を用いて塗工するが、後述する例ではディッピング法を用いる。ハードコートの膜厚は0.5μ〜20μmの範囲で塗布し、好ましくは1〜10μmである。
【0016】
投影部201の端面(エッジ)として、車体VHに取り付けたときに上方になる上端面201bと、側端面201eなどが形成されている。投影面201aは、曲率半径が100mm以上、好ましくは200mm以上、800mm以下の球面又は非球面であると好ましい。
【0017】
部材係合部202は、図3Cに示す方向に見て断面が一様であり、投影部201に接合した基部202aと、基部202aに沿って延在する円筒部202bと、基部202aと円筒部202bを連結する平板状の連結部202cとを有する。太部を形成する円筒部202bの直径φは、連結部202cの厚さtより大きくなっている。コンバイナ200は、不図示の取り付け具や接着剤などにより車体VHの一部に固定させることで、図2に示すように車体VHに取り付けることができる。
【0018】
図4は、治具300によりコンバイナ200を保持する前の状態を示す図である。図5は、治具300によりコンバイナ200を保持した状態を示す図である。図6は、治具300をコンバイナ200から離脱させた状態を示す図である。図7は、部材係合部と治具係合部との関係を示す斜視図である。尚、図4にて一点鎖線でフレーム301を示すが、その他の図では省略している。
【0019】
図4に示すように、治具300は不図示のステージにより支持されて3次元的に移動可能な平板状のフレーム301と、フレーム301の下面に離間して取り付けられた一対の把持部302,302を有する。
【0020】
各把持部302は同様の構成を有し、具体的には図7を参照して、フレーム301に固定される筐体302aと、筐体302aに枢動可能に一端(上端)を連結された一対のアーム部材302b、302bと、アーム部材302b、302bの他端(下端)に両持ち支持された軸302c、302cと、軸302c、302cに対して回転自在に支持されたローラ302d、302dと、筐体302a内でアーム部材302b、302bの他端が近接するように付勢するバネ302eを有している。よって、通常はバネ302eの付勢力により、ローラ302d、302d同士は当接している。一方のアーム部材302bとローラ302dとが第1係合部材を構成し、他方のアーム部材302bとローラ302dとが第2係合部材を構成する。ここでローラ302dと軸302cは別部品でもよいし、一体に形成されていてもよい。
【0021】
次に、所定の処理であるコンバイナ200の表面処理方法について、図面を参照して説明する。図8は、治具300により保持したコンバイナ200を浸漬する状態を示す図である。処理前のコンバイナ200は、不図示の保管部に立てた状態で保管されている(図4参照)。例えば予め入力された3次元座標に従って移動する不図示のステージを用いて、図4に示すように、フレーム301と共に把持部302を処理前のコンバイナ200の上方に位置させ図11Aに示す初期状態とし、その後下降させる。
【0022】
部材係合部202に当接するまでは、図11Aに示すようにローラ302d、302dは互いに当接し合っているが、部材係合部202の円筒部202bに当接した後、更に把持部302が下降すると、円筒部202bから離間する方向に力を付与される。これにより図11Bに示すようにバネ302eの付勢力に抗してアーム部材302b、302bの下端が押し広げられ、ローラ302d、302dが円筒部202bの外周面に沿って離間する(第1の関係になる)。このとき、ローラ302d、302dが当接する位置の円筒部202bの幅(サイズ)は、ローラ302d、302dが接近する方向において、その上端から徐々に大きくなっているので、ローラ302d、302dの円筒部202bの係合を容易に行うことが出来る。又、円筒部202bの外周面に沿ってローラ302d、302dが転動するので、把持部302の下降が容易になる。
【0023】
更に把持部302が下降すると、ローラ302d、302dが円筒部202bの最大径を超え、アーム部材302b、302bが徐々に閉じ始める。ローラ302d、302dが連結部202cに至った時点で、図11Cに示す状態となり、ここで把持部302は下降を停止する(図5参照)。このとき、バネ302eの付勢力により、アーム部材302b、302bを介してローラ302d、302dが接近する方向に付勢され、その外周面が円筒部202b又は連結部202cに線接触することとなる(第1の関係より接近した第2の関係になる)。
【0024】
かかる状態で、フレーム301を上昇させると、ローラ302d、302dが円筒部202bに線接触で当接する。このとき、円筒部202bを乗り越えるためには、バネ302eの付勢力に抗してアーム部材302b、302bが押し広げられ、ローラ302d、302dが円筒部202bの外周面に沿って離間する第1の関係になる必要があるが、コンバイナ200の質量が比較的小さいので、バネ302eの付勢力に抗することはできず、アーム部材302b、302bの下端は閉じたままとなる。よって、そのままフレーム301を上昇させると、ローラ302d、302dにより部材係合部202が把持された状態で、コンバイナ200も上昇することとなる。
【0025】
その後、図8に示すように、フレームと共に把持部302をハードコート処理液HPLが貯留された液槽VL上へと移動した後に、投影部201の投影面(一方の光学面)201aと裏面(他方の光学面)201cに対して、ハードコート処理液面が規定位置にくるまで下降させる。投影部201をハードコート処理液HPLに浸漬した後、把持部302を上昇させ、コンバイナ200を液槽VLから引き上げて、その後に乾燥などの次工程へとコンバイナ200把持したまま搬送する。
【0026】
次工程では、フレームと共に把持部302を下降させて、図6に一点鎖線で示すような窪みCV内にコンバイナ200を載置して固定する。かかる状態から、把持部302を円筒部202bの長手方向へと変位させる。このとき、ローラ302d、302dの外周面が円筒部202b又は連結部202cに線接触しているから、その変位方向における摩擦力は面当たりする場合と比べて相当に低くなるので、把持部302を容易に部材係合部202から離脱させることができる。本発明者らが行った検討結果によれば、フレーム301をコンバイナ200に対して垂直方向に接近させて把持部302が部材係合部202に係合するまでの最大の力は17Nであり、フレーム301をコンバイナ200に対して水平方向に離脱させて把持部302が部材係合部202に係合するまでの最大の力は1.6Nであった。
【0027】
本実施の形態によれば、ローラ302d、302dの外周面を円筒部202b又は連結部202cに線接触させることで、光学面201a、201cを傷つけることなく、治具300により確実にコンバイナ200を保持することが出来、移動や処理の間にコンバイナ200がふらついたり,落下するなどの不具合を回避できる。又、ローラ302d、302dの外周面を円筒部202b又は連結部202cに線接触させることで、治具300により精度良くコンバイナ200を保持することが出来るから、液槽VL内のハードコート処理液HPLの液面に対して、コンバイナ200を適切な位置まで浸漬することができ、これにより製品品質を向上させることができる。またコンバイナ200に対する治具300の把持位置を一定することで、コンバイナ200をハードコート処理液に浸漬する際に、治具300をハードコート処理液に浸さないようにできるから、ハードコート処理液HPLの汚染等を回避できる。尚、以上の実施の形態では、アーム部材302bとローラ302dを2セット設けたが、例えば1セットのアーム部材302bとローラ302dを第1係合部材とし、ローラ302dに対向して延在するような平面を第2係合部材としても同様の効果が得られる。
【0028】
(変形例)
図9は、本実施の形態の変形例である把持部302’と、部材係合部202との関係を示す図である。図9において、この例では、不図示のフレームに固定される把持部302’は、樹脂などの弾性を有する素材から一体的に形成されてなり、湾曲した板状である一対の爪部材302f、302fを有する。爪部材302f、302f(それぞれが第1係合部材と第2係合部材を構成する)の先端は、円筒部202bの軸線に平行なエッジとなっていると好ましい。自由状態で爪部材302f、302fの内接円の直径Dは、円筒部202bの直径φと同じか、やや小さいと好ましい。また、このとき爪部材302f、302fの自由状態での先端間隔Δは連結部202cの幅より大きいものとする。
【0029】
図9に示す状態から、不図示のフレームを下降させてゆくと、爪部材302f、302fの先端が円筒部202bに当接した後、円筒部202bから離間する方向に力を付与される。これにより爪部材302f、302f自身の弾性力に抗して先端が押し広げられ、爪部材302f、302fが円筒部202bの外周面に沿って離間する(第1の関係)。
【0030】
更に把持部302’が下降すると、爪部材302f、302fの先端が円筒部202bの最大径を超え、徐々に閉じ始める。爪部材302f、302fが連結部202c側に移動した時点で、把持部302’は下降を停止する。このとき、爪部材302f、302fの弾性力により、その内周面が円筒部202bの外周面に密着して面接触することとなる(第1の関係より接近した第2の関係)。
【0031】
かかる状態で、円筒部202bの外周面と爪部材302f、302fの内周面との間に発生した保持力により両者の分離が抑制され、フレーム301を上昇させると、コンバイナ200を上昇させることができる。把持部302’を部材係合部202から分離しようとするときは、別の保持具(不図示)にコンバイナ200を固定して、フレーム301を上昇させてもよいし、水平方向に離脱させてもよい。
【0032】
別の変形例としては、自由状態での爪部材302f、302fの先端間隔Δは、連結部202cの厚さtより小さくすることもできる。
【0033】
この例では、把持部302’を下降させたとき、上述と同様に爪部材302f、302fの先端が円筒部202bの最大径を超え、その後に連結部202cに線接触することとなる。
【0034】
かかる状態で、フレーム301を上昇させると、爪部材302f、302fの先端が円筒部202bに引っかかるので、コンバイナ200を上昇させることができる。一方、把持部302’を部材係合部202から離脱させる場合には、上述した実施の形態と同様に、図6に示すごとき窪みCV内にコンバイナ200を載置し、フレーム301を円筒部202bの長手方向へと変位させると、爪部材302f、302fの先端が連結部202cの線接触した方向に滑動し、把持部302を容易に部材係合部202から離脱させることができる。尚、以上の変形例では、一対の爪部材302fを設けたが、例えば1つの爪部材302fを第1係合部材とし、爪部材302fに対向して延在するような平面を第2係合部材としても同様の効果が得られる。
【0035】
さらに別の変形例では、図10に示すように、部材係合部202の基部202aに沿って延在する平板状の連結部202cに連結された先端部を、円筒形ではなく断面がクサビ状または液滴状に形成された先太部202b’としてもよい。
【0036】
先太部202b’をクサビ状または液滴状にすることで、係合時に把持部302のローラ302d、302dがなだらかな斜面を転走するため、部材係合部202を導入しやすくなり、さらに把持部302が下降すると、ローラ302d、302dがクサビ状または液滴状の先太部202b’の最大幅を超え、先太部202b’の連結部202c側となる急峻な面あるいは角部にひっかかることでアーム部302b、302bが閉じることとなる。
【0037】
ハードコート処理後の次工程では、図6に示すごとき窪みCV内に、コンバイナ200を載置し、フレーム301をクサビ状または液滴状の先太部202b’の長手方向に変位させると、ローラ302d、302dの外周面はクサビ状または液滴状の先太部202b’と連結部202cに線接触しているので、把持部302を容易に部材係合部202から離脱させることができる。
【0038】
図7、10、11では前記第1の関係の状態から、さらに把持部302が下降し、ローラ302d、302dが円筒部202bの最大径を超え、前記第2の関係となったときに、ローラ302d、302dが円筒部202bと基部202aとに跨がるようになるような長さを連結部202cに持たせている。これに対し、例えば図12Aに示すように、ローラ302d、302dが基部202aに接触せずに連結部202cに線接触するよう連結部202cの長さをより長くしてもよい。あるいは図12Bに示すように、ローラ302d、302dの外周になじむような円弧形状を連結部202cに持たせてもよい。
【0039】
本発明は、明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施例や思想から本分野の当業者にとって明らかである。例えば、本発明の表示部材及びヘッドアップディスプレイ装置は、自動車に限らず、飛行機や重機にも用いることが出来る。処理液とはハードコート処理液に限られず、防汚コート、反射防止コートなど種々の層を形成する為の処理液を含む。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、表示部材、ヘッドアップディスプレイ装置及び治具に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
100 描画ユニット
110 描画デバイス
111 液晶表示パネル
120 凹面鏡
130 ハウジング
200 コンバイナ
201 投影部
201a、210c 投影面
201b 上端面
201e 側端面
202、202’ 部材係合部
202a 基部
202b 円筒部
202b’ クサビ状または液滴状の先太部
202c 連結部
300 治具
301 フレーム
302,302’ 把持部
302a 筐体
302b アーム部材
302c 軸
302d ローラ
302e バネ
302f 爪部材
DB ダッシュボード
DR ドライバー
HPL ハードコート処理液
L 表示光
VH 車体
VL 液槽
WS フロントウインドウ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
【国際調査報告】