特表-18092873IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2018年5月24日
【発行日】2019年10月17日
(54)【発明の名称】光学素子駆動方法及び光学装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20060101AFI20190920BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20190920BHJP
【FI】
   G02B7/08 B
   G02B27/01
   G02B7/08 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2018-551697(P2018-551697)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2017年11月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-224581(P2016-224581)
(32)【優先日】2016年11月17日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】橋村 淳司
(72)【発明者】
【氏名】山田 範秀
(72)【発明者】
【氏名】菅原 和弘
【テーマコード(参考)】
2H044
2H199
【Fターム(参考)】
2H044DA01
2H044DA02
2H044DA03
2H044DB02
2H044DB03
2H044DC00
2H044DE06
2H199DA02
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA15
2H199DA17
2H199DA31
(57)【要約】
駆動対象であるレンズを含めた系でのアクチュエーターの負荷低減を可能にする光学素子駆動方法を提供する。光学素子駆動方法は、投影光学系13等を構成する少なくとも1つの可動光学素子を光軸AX方向に沿って移動させるものであって、アクチュエーター74に付随して、少なくとも可動光学素子の移動方向に平行な方向に関して可動光学素子に作用するばね75を設け、ばね75の作用を用いながらアクチュエーター74を動作させる。ここで、可動光学素子は、例えば可動レンズ部51を意味する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を構成する少なくとも1つの可動光学素子を光軸方向に沿って移動させる光学素子駆動方法であって、
前記アクチュエーターに付随して、少なくとも前記可動光学素子の移動方向に平行な方向に関して前記可動光学素子に作用するばねを設け、
前記ばねの作用を用いながらアクチュエーターを動作させる光学素子駆動方法。
【請求項2】
前記アクチュエーターによって前記可動光学素子を往復運動させる駆動周波数と、前記ばねの共振周波数とを略一致させる、請求項1に記載の光学素子駆動方法。
【請求項3】
前記可動光学素子が移動する際に当該可動光学素子の姿勢を保持するガイド部材を備えている、請求項1及び2のいずれか一項に記載の光学素子駆動方法。
【請求項4】
前記ばねは、前記ガイド部材に取り付けられている、請求項3に記載の光学素子駆動方法。
【請求項5】
前記ばねは、軸状の前記ガイド部材の軸の周りに巻き付けられたコイルばねである、請求項4に記載の光学素子駆動方法。
【請求項6】
前記可動光学素子は、3枚以下のレンズからなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学素子駆動方法。
【請求項7】
前記アクチュエーターに付随して、前記ばねが1つ以上設けられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学素子駆動方法。
【請求項8】
前記可動光学素子の位置情報を取得する位置情報取得部からの情報を用いて前記アクチュエーターの駆動制御を行う、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学素子駆動方法。
【請求項9】
投影像を形成する光学系と、
前記光学系を構成する少なくとも1つの可動光学素子を光軸方向に沿って移動させるアクチュエーターと、
少なくとも前記可動光学素子の駆動方向に平行な方向に関して前記可動光学素子に作用するばねと、
前記ばねの作用を用いながら前記アクチュエーターを動作させる駆動制御部と
を備える光学装置。
【請求項10】
前記可動光学素子の位置情報を取得する位置情報取得部をさらに備え、
前記駆動制御部は、前記位置情報取得部からの前記位置情報を用いて前記アクチュエーターの駆動制御を行う、請求項9に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系の可動光学素子を光軸方向に沿って移動させる光学素子駆動方法及び光学装置に関し、特に可動光学素子を高速で移動させる光学素子駆動方法及び光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学素子駆動方法として、電圧印加で伸張する電気機械変換素子を用いて弾性体を振動させる振動アクチュエーターによってレンズを駆動する方法が公知となっている(特許文献1)。特許文献1には、電気機械変換素子に印加する駆動電圧の周波数を弾性体の固有振動数に応じた共振周波数とすれば、効率よく振動を生じさせてそれを継続できる、という記述がある。しかしながら、特許文献1に開示されたような弾性体を振動させる構造では振幅を大きく取ることができない。また、駆動対象であるレンズを含めた系でのアクチュエーターの負荷低減については考慮がなされていない。
【0003】
また、別の光学素子駆動方法として、カメラの手ブレ補正駆動に超音波アクチュエーターを用いる方法が公知となっている(特許文献2)。特許文献2には、超音波アクチュエーターについて所定の共振状態で駆動するので効率よく振動する、という記述がある。しかしながら、特許文献2においても、駆動対象であるレンズを含めた系でのアクチュエーターの負荷低減については考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−124793号公報
【特許文献2】特開2004−56878号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、駆動対象であるレンズを含めた系でのアクチュエーターの負荷低減を可能にする光学素子駆動方法及び光学装置を提供することを目的とする。
【0006】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した光学素子駆動方法は、光学系を構成する少なくとも1つの可動光学素子を光軸方向に沿って移動させる光学素子駆動方法であって、アクチュエーターに付随して、少なくとも可動光学素子の移動方向に平行な方向に関して可動光学素子に作用するばねを設け、ばねの作用を用いながらアクチュエーターを動作させる。ここで、可動光学素子は、例えば可動レンズを意味する。
【0007】
上述した目的のうち少なくとも一つを実現するために、本発明の一側面を反映した光学装置は、投影像を形成する光学系と、光学系を構成する少なくとも1つの可動光学素子を光軸方向に沿って移動させるアクチュエーターと、少なくとも可動光学素子の駆動方向に平行な方向に関して可動光学素子に作用するばねと、ばねの作用を用いながらアクチュエーターを動作させる駆動制御部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは、第1実施形態の光学装置である画像表示装置を車体に搭載した状態を示す側方断面図であり、図1Bは、画像表示装置の外観を説明する車内側からの正面図である。
図2図1Aの画像表示装置の構造を説明する拡大側方断面図である。
図3図1Aの画像表示装置の投影光学系の構成を説明する概念図である。
図4図4Aは、画像表示装置による結像を説明する断面図であり、図4Bは、虚像を観察可能なアイボックスを説明する図である。
図5図5Aは、投影光学系に含まれる可動光学素子とその駆動装置とを説明する平面図であり、図5Bは、可動レンズ等の正面図である。
図6図6A及び6Bは、駆動装置による可動レンズの動作を説明する平面図である。
図7図1Aの画像表示装置の制御系を説明するブロック図である。
図8】可動レンズの運動及び駆動方法を説明する図である。
図9】第2実施形態の画像表示装置に組み込まれる可動レンズとその駆動装置とを説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る第1実施形態の光学素子駆動方法及び当該方法を利用する光学装置について説明する。
【0010】
図1A及び1Bは、実施形態の光学素子駆動方法を実行する画像表示装置100を説明する概念的な側方断面図及び正面図である。この画像表示装置100は、例えばヘッドアップディスプレイ装置として車体2内に搭載される光学装置であり、描画ユニット10と表示スクリーン20とを備える。画像表示装置(光学装置)100は、描画ユニット10中の後述する表示素子11に表示されている画像情報を、表示スクリーン20を介してドライバーUN向けに虚像表示するものである。
【0011】
画像表示装置100のうち描画ユニット10は、車体2のダッシュボード4内に埋め込むように設置されており、運転関連情報を含む画像に対応する表示光HKを表示スクリーン20に向けて射出する。表示スクリーン20は、半透過性を有する凹面鏡であり、コンバイナーとも呼ばれる。表示スクリーン20は、下端の支持によってダッシュボード4上に立設され、描画ユニット10からの表示光HKを車体2の後方に向けて反射する。この場合、表示スクリーン20は、フロントウィンドウ8とは別体で設置される独立型のものとなっている。表示スクリーン(コンバイナー)20で反射された表示光HKは、運転席6に座ったドライバーUNの瞳HT及びその周辺位置に対応するアイボックスSY(図4B参照)に導かれる。ドライバーUNは、表示スクリーン20で反射された表示光HK、つまり車体2の前方にある虚像としての表示像IMを観察することができる。一方、ドライバーUNは、表示スクリーン20を透過した外界光、つまり前方景色等の実物又は実像を観察することができる。結果的に、ドライバーUNは、表示スクリーン20の背後の外界像に重ねて、表示スクリーン20での表示光HKの反射によって形成される運転関連情報等を含む表示像(虚像)IMを観察することができる。
【0012】
図2及び図3に示すように、描画ユニット10は、表示素子11を備えた描画デバイス12と、投影光学系13と、レンズ駆動系70と、回路部分19と、ハウジング14とを備える。描画ユニット10によってドライバーUNに提示される運転関連情報は、速度のような車体2の動作状態に関する情報に限らず、車体2の前方に存在する車両、歩行者といったドライバーUNを補助する運転環境に関する情報を含む。
【0013】
描画デバイス12は、詳細な説明を省略するが、表示素子11のほかに、表示素子11を照明するための光を射出するLED(light emitting diode)、レーザーその他の光源、かかる光源からの光を均一化等する照明光学系等を備える。表示素子11は、DMD(Digital Mirror Device)やLCOS(Liquid crystal on silicon)等の反射型の素子でも、液晶等の透過型の素子でもよい。特に、表示素子11にDMDを用いると、明るさを維持しつつ画像を高速で切り替えることができ、表示に有利である。
【0014】
投影光学系13は、投影距離や投影変倍を変化させる可変型の光学系であり、表示素子11に形成された画像に対応する第1中間像を形成する第1投影光学部30と、第1中間像TI1に対応する像光を表示スクリーン20に入射させることによって虚像を表示する第2投影光学部40とを備える。投影光学系13は、光学系の光学性能を確保しつつ小型化を図る観点で、非球面を少なくとも1面以上有することが望ましい。
【0015】
投影光学系13において、第1投影光学部30と第2投影光学部40との間で、第1中間像TI1を形成する位置には、中間スクリーンmSCが配置されている。第1中間像TI1は光軸AX方向等に移動しないため、中間スクリーンmSCを移動させる必要がなく、後述する可動光学素子としての可動レンズ部51の作用のみで表示像(虚像)IMの奥行位置を変化させ、かつ視野角とアイボックスとの両方を大きくすることができる。中間スクリーンmSCは、配光角を所望の角度に制御した拡散板である。拡散板には、例えば摺りガラス、レンズ拡散板、マイクロレンズアレイ等が用いられる。中間スクリーンmSCとして拡散板を設けることにより、視野角とアイボックスサイズとを簡易に確保しつつ、光学系の光利用効率を比較的高くすることができる。
【0016】
図3に例示するように、第1投影光学部30は、表示素子11の画像を投影させる複数のレンズ又はレンズ群を有している。図示の例では、第1投影光学部30は、4枚のレンズで構成されている。
【0017】
第2投影光学部40は、第1中間像TI1をリレーするリレー光学部50と、リレー光学部50に対して表示スクリーン20側に配置される第3投影光学部60とを有している。第2投影光学部40は、リレー光学部50と第3投影光学部60との間で第2中間像TI2を形成する。第2投影光学部40を、リレー光学部50及び第3投影光学部60の2つの光学系で構成することで、全体の拡大倍率をリレー光学部50と第3投影光学部60とに振り分けることができる。これにより、リレー光学部50のF値を大きくしながら全系としての視野角及びアイボックスサイズを大きくでき、使いやすい仕様でありながらリレー光学部50の大型化を防ぎ、虚像表示時の像面性や非点隔差等の光学性能を確保することができる。
【0018】
リレー光学部50は、拡大投影系であり、複数のレンズ又はレンズ群を有する。図3に示す例では、リレー光学部50は、7枚のレンズで構成されている。リレー光学部50は、複数のレンズ又はレンズ群のうち表示スクリーン20側に可動光学素子として可動レンズ部51を有している。可動レンズ部(可動光学素子)51を後に詳述するレンズ駆動系70を利用して光軸AX方向に移動させることで、投影光学系13の焦点距離の変更又は変倍を行うことができる。可動レンズ部51は、3枚以下のレンズからなる。これにより、可動レンズ部51を構成するレンズ枚数を少なくできるので、可動レンズ部51の重量の低減によりアクチュエーター74の負荷がより軽減される。なお、可動レンズ部51は、望ましくは1枚または2枚のレンズ等で構成される。図示の例では、可動レンズ部51は2枚の可動レンズを有し、これら2枚の可動レンズを一体的に光軸AX方向に移動させることで、表示像IMの奥行方向の表示位置を変化させることができる。焦点距離変更又は変倍のための可動レンズ部51をリレー光学部50内に配置することにより、可動レンズ部51を小型にすることができ、可動機構等を簡素化することができる。また、可動レンズ部51を構成する可動レンズの枚数を少なくすることで、可動レンズ部51のレンズ重量を軽くすることができる。これにより、可動レンズ部51を駆動させるための機構を含むレンズ駆動系70を大掛かりなものにする必要がなくなり、装置の大型化や複雑化を防ぐことができる。また、可動レンズ部51をプラスチックレンズで構成すれば、さらなる軽量化を図ることができる。
【0019】
投影光学系13は、可動レンズ部51による焦点距離の変更に伴い、表示像IMの奥行方向の表示位置又は表示距離を変化させている。既に説明したように、投影光学系13は、リレー光学部50と第3投影光学部60との間に第2中間像TI2を形成する構成となっており、可動レンズ部51で焦点距離変更又は変倍を行った際に、第2中間像TI2の位置が光軸AXに沿って移動する。これにより、表示像IMは、焦点距離変更又は変倍の度合に応じて、表示スクリーン20に近い位置(表示像IM1の位置)から中間の位置(表示像IM2の位置)を経て遠い位置(表示像IM3の位置)まで位置が変化して連続的又は断続的に表示される。例えば、最も遠い位置から最も近い位置までの表示距離を高速(例えば、1/30秒以内)に変動させて表示像IMを連続的に表示させれば、擬似的な3D虚像表示を行うことができる。
【0020】
第3投影光学部60は、複数のミラーを有している。図示の例では、第3投影光学部60は、2枚のミラーMR1,MR2で構成されている。第3投影光学部60を構成するミラーは、凸面、凹面、又は平面とでき、曲面の場合、球面に限らず、非球面、自由曲面等とすることができる。第3投影光学部60は、後述する表示スクリーン20と共働して、虚像の拡大投影系を構成する。
【0021】
図2に示すように、ハウジング14は、表示光HKを通過させる開口14aを有し、この開口14aには、フィルム状又は薄板状の光透過部材15を配置することができる。
【0022】
表示スクリーン20は、板状の部材であり、観察者であるドライバーUNのいる観察側又は運転席6(図1A参照)側に設けた第1光学面21と、反観察側又はフロントウィンドウ8側に設けた第2光学面22とを有する。第1光学面21は、凹の曲面であり、非球面又は自由曲面となっている。第2光学面22は、凸の曲面(観察者側から見た場合には凹の曲面)であり、非球面又は自由曲面となっている。第1光学面21は、基材である本体層20a上に例えば5〜30%の反射率を有するハーフミラーコート20bを形成することによって得たものであり、表示光HKを適度に反射しつつ外界光GKを所望の程度に透過させることができる。第2光学面22には、反射防止膜や保護コートが形成されている。
【0023】
図4Aに示すように、表示スクリーン20の第1光学面21で反射された表示光HKは、ドライバーUNの瞳HTに導かれる。ここで、表示光HKを表示スクリーン20の背後に延長した虚像光線KKは、ドライバーの瞳HTに対して前方の所定位置に表示像(虚像)IMを形成する。なお、瞳HTから表示スクリーン20までの距離d1は、車体2の仕様によるが例えば0.5〜1m程度としてあり、表示スクリーン20から表示像IMまでの距離d2は、可変であるが、例えば1m程度以上としている。また、視野角は、5〜15度程度としている。また、図4Bに示すアイボックスSYは、標準的なドライバーUNの瞳HTの位置をカバーするように設定され、例えば横10〜15cm、縦5〜8cmと言ったサイズに設定される。
【0024】
〔実施例〕
以下、本発明の投影光学系13の実施例を示す。
【0025】
実施例1の投影光学系13のデータを以下の表1に示す。なお、以下の表1において、投影光学系13を構成するレンズ群の番号を「m」で表し、各レンズ群の焦点距離を「fm」で表し、表示位置を遠距離とした場合における各レンズ群間の間隔を「dm(LR)」で表し、表示位置を近距離とした場合における各レンズ群間の間隔を「dm(SR)」で表している。また、表示素子を「DD」で表し、中間スクリーンを「mSC」で表している。また、「M」の欄における各レンズ群の間隔「dm」は、最終光学系(つまり、第3投影光学部60)から瞳HT(つまり、ドライバーの目の位置)までの距離であり、「N」の欄における間隔「dm」は、瞳HTから虚像の表示位置までの距離である。なお、間隔「dm」については、虚像表示が遠距離のときと近距離のときで、第3及び第4レンズ群間の間隔、並びに第4及び第5レンズ群間の間隔をそれぞれ変えている。本実施例では、遠距離を約50mとし、近距離を約3mとしているが、後述する第3及び第4レンズ群間の間隔、並びに第4及び第5レンズ群間の間隔の変動幅(つまり、第4レンズ群の移動量)を変えると、これらの距離範囲をもっと広くしたり狭くしたりすることができる。また、表には示されていないが、実際の使用時には、虚像を表示するための表示スクリーン20は、第6レンズ群とドライバーの目(つまり、瞳HT)との間に配置される。なお、符号「←」は、左側の数値と同じであることを示す。
〔表1〕
m fm dm(LR) dm(SR)
DD
52.50 ←
1 45.000
315.00 ←
mSC
120.00 ←
2 120.000
173.33 ←
3 -74.270
16.00 6.00
4 63.903
488.78 498.78
5 -500.000
94.63 ←
6 271.462
M 1499.43 ←
N -50132.33 -2999.58
【0026】
実施例1の表示素子11のサイズ及び視野角を以下に示す。
表示素子水平方向サイズ(単位:mm):9.86
水平方向視野角(単位:度):-12.2
【0027】
本実施例において、虚像の表示位置が最も遠いときのリレー光学部50の倍率β2Lは1.5倍であり、3群射出後の遠距離投影時におけるF値は約3.42である。その際のアイボックスサイズは画面横方向で約127〜116mm確保される。
【0028】
実施例1の投影光学系13は、図3を参照して表示素子11側から順に、第1投影光学部30と、中間スクリーンmSCと、第2投影光学部40とからなる。第1投影光学部30は、第1レンズ群で構成される。第2投影光学部40は、第2〜第6レンズ群で構成される。ここで、第2投影光学部40は、第2〜第4レンズ群で構成されるリレー光学部50と、第5及び第6レンズ群(具体的には、ミラーMR1,MR2)で構成される第3投影光学部60とからなる。このうちリレー光学部50の第4レンズ群が可動レンズ部51となっている。可動レンズ部51である第4レンズ群は、光軸AX方向に移動することで焦点調整又は変倍を行っている。
【0029】
本実施例では、各レンズ群の焦点距離と各レンズ群間の間隔とを示したが、各レンズ群は、1枚のレンズ又は1枚のミラーで構成してもよいし、複数枚のレンズ又は複数枚のミラーで構成してもよい。さらに、実施例に示していないが、光学系の光路中に光路を折り曲げるミラーを配置することで、光学系全体のサイズを小さくすることもできる。第3投影光学部60は、少なくとも1枚のミラーで構成するとよい。第3投影光学部60については、表示スクリーン20までの光路の取り回し自由度が出るとともに、色収差の発生もないことから、ミラー、特に自由曲面のミラーの構成が望ましい。
【0030】
また、本実施例では、第2レンズ群を出射する光束がアフォーカルになっているが、特にアフォーカルとする必要はなく、光学系のサイズや各レンズ群の焦点距離、F値、倍率等の仕様に合わせて望ましい構成に変更可能である。さらに、本実施例では、リレー光学部50内で焦点距離を変えるために移動させる第4レンズ群について、レンズを移動させる機構への負担を小さくするために、その位置を、リレー光学部50の瞳位置とほぼ同じになるように設定しているが、設計に際して仕様その他の要素も配慮して異なる位置に設定してもよい。
【0031】
図5A及び5Bを参照して、可動レンズ部51を光軸AX方向に移動させるためのレンズ駆動系70について説明する。
【0032】
レンズ駆動系70は、可動レンズ部51を支持するレンズホルダー72と、レンズホルダー72を介して可動レンズ部51の移動を案内するガイド部材73と、レンズホルダー72を介して可動レンズ部51を駆動して移動させるアクチュエーター74と、可動レンズ部51の移動方向に平行な方向に関して可動レンズ部51に作用するばね75と、可動レンズ部51の位置情報を取得する位置情報取得部78とを備える。
【0033】
レンズホルダー72は、可動レンズ部51として2つの可動レンズ51a,51bを保持している。レンズホルダー72は、ガイド部材73を構成する2つのガイド軸73aを通す2つの軸受部72aを有している。軸受部72aは、ガイド軸73aに沿ったレンズホルダー72の滑らかでガタツキのない移動を可能にする。なお、可動レンズ部51を構成する可動レンズ51a,51bをプラスチックレンズとすると、可動レンズ部51の重量を軽減することができ、後述するアクチュエーター74への負荷が減る。さらには、これらの可動レンズ51a,51bを非球面レンズとすれば、可動レンズ部51を少ない枚数で構成しても、可動レンズ部51を移動させた際の収差変動を小さく抑えた設計が可能となり望ましい。
【0034】
ガイド部材73は、2つのガイド軸73aを有し、これらのガイド軸73aは、支持体73d,73eに支持されて不図示の基板上に固定されている。ガイド軸73aは、レンズホルダー72の軸受部72aに挿通されて光軸AX方向に摺動する。ガイド部材73は、可動レンズ部51が移動する際に当該可動レンズ部51の姿勢を保持する役割を有する。つまり、ガイド部材73は、可動レンズ部51の光軸AX方向の高速移動を可能にするだけでなく、可動レンズ部51の姿勢を安定させて、可動レンズ部51に傾き等の姿勢の変化が生じないようにしている。
【0035】
アクチュエーター74は、モーターその他の動力源からなる本体74aと、本体74aからの駆動力をレンズホルダー72に伝達する動力伝達部74bとを有する。動力伝達部74bは、本体74aからの回転動作を光軸AXに沿った往復動作に変換してレンズホルダー72に伝達する。つまり、アクチュエーター74は、レンズホルダー72又は可動レンズ部51を光軸AXに沿って高速で往復運動させる。ここで、動力伝達部74bは、本体74aからの動力をレンズホルダー72に伝えるがレンズホルダー72のブレーキにならないような動力の伝達に方向性を有するものであることが望ましいが、これに限るものではない。例えば、本体74aの移動量を所定の関数で伝達するものあってもよい。アクチュエーター74は、リニアモーターのようにレンズホルダー72を光軸AX方向に直接進退させるものであってもよく、サーボモーター、ステッピングモーター等を用いた別の駆動機構とすることもできる。
【0036】
ばね75は、コイルばね又はつるまきばねである。ばね75は、一端がガイド部材73の支持体73dに固定されており、他端がレンズホルダー72に固定されている。ばね75は、レンズホルダー72側が可動端となっており、レンズホルダー72の光軸AX方向に関する振動を許容する。ここで、可動レンズ部51及びレンズホルダー72の質量とばね75のばね定数とが定まれば、レンズホルダー72に固有の振動数である共振周波数が与えられる。よって、レンズホルダー72に初動の振幅を与えれば、レンズホルダー72は、サイン波で表される共振周波数の振動を繰り返す。レンズホルダー72の振動は、摩擦抵抗等で徐々に減衰するので、アクチュエーター74でレンズホルダー72の運動を加速してレンズホルダー72の振幅を確保する必要がある。この際、アクチュエーター74によってレンズホルダー72又は可動レンズ部51を往復運動させる駆動周波数は、ばね75の共振周波数と略一致させる。これにより、ばね75の共振を利用することで、アクチュエーター74を動作させる際の負荷を効率的に低減することができる。ここでの「略一致」は、両周波数が一致する場合のほか、アクチュエーター74の駆動周波数とばね75の共振周波数とが実質的に等しい状態を含み、例えば駆動周波数が共振周波数±10%程度以下の範囲の差であれば、略一致と考えてよい。アクチュエーター74によってレンズホルダー72を往復運動させる駆動周波数と、ばね75の共振周波数とが精密に一致しなくても、両周波数が近ければ、アクチュエーター74を動作させる際の負荷を低減することができる。以上では、ばね75によるレンズホルダー72の振動をアクチュエーター74で減衰しないようにするとしたが、ばね75によるレンズホルダー72の振動が減衰しやすい場合、アクチュエーター74によるレンズホルダー72又は可動レンズ部51の駆動が主となる。この場合も、駆動周波数と共振周波数とが近ければ、アクチュエーター74を動作させる際の負荷を低減することができる。
【0037】
位置情報取得部78は、レンズホルダー72の光軸AX方向に関する位置を検出するセンサー等を備えている。位置情報取得部78としては、リニアエンコーダーを用いることができる。位置情報取得部78としては、リニアエンコーダーの他に、磁界の強さで抵抗が変化するリニアータイプのMRE(Magneto Resistive Element)、PSD(Position Sensitive Device)等を用いることができる。MREを用いる場合、例えば移動するレンズホルダー72側に磁性体を取り付け、固定側に光軸AXに沿って延びるセンサーを設置する。PSDを用いる場合、例えば移動するレンズホルダー72側に点滅する光源を取り付け、固定側に光軸AXに沿って延びるセンサーを設置する。また、例えばサーボモーターを用いる場合等では、モーターの軸に直結されたロータリーエンコーダーの値を読み取って位置を特定することも可能である。
【0038】
位置情報取得部78によって、レンズホルダー72又は可動レンズ部51の位置を逐次検出する構成は必須のものではなく、位置情報取得部78として、レンズホルダー72又は可動レンズ部51の移動範囲の両端又は最大振幅の位置の手前に通過センサー178を設けることもできる。通過センサー178としては、例えばフォトインターラプターやホール素子を用いることができる。通過センサー178によって、レンズホルダー72又は可動レンズ部51の移動の振幅が減少し加速が必要な状態であることを検知することができる。或いは、通過センサー178によって、レンズホルダー72等の振動周期との関係でアクチュエーター74を動作させるタイミングを調整することができる。
【0039】
図6Aは、ばね75が最も伸びた振幅端での可動レンズ部51又はレンズホルダー72の位置を示し、図6Bは、ばね75が最も縮んだ振幅端での可動レンズ部51又はレンズホルダー72の位置を示す。図6Aに示すようにばね75が最も延びた場合、可動レンズ部51等は、光軸AX方向において最も+Y側に位置し、ばね75は、可動レンズ部51等に対して縮む方向である−Y方向に作用する。図6Bに示すようにばね75が最も縮んだ場合、可動レンズ部51等は、光軸AX方向において最も−Y側に位置し、ばね75は、可動レンズ部51等に対して伸びる方向である+Y方向に作用する。アクチュエーター74によって可動レンズ部51等を駆動する場合、ばね75が中立又はニュートラルの状態から図6Aの状態に向けて伸びるときには、可動レンズ部51等の慣性を利用してばね75の力に抗して可動レンズ部51等を効率的に移動させることができる。ばね75が図6Aの状態に達すると、ばね75が最も長くなって可動レンズ部51等の移動が停止し可動レンズ部51等の移動方向が逆転する。よって、アクチュエーター74によって可動レンズ部51等の駆動を逆転させる際のアクチュエーター74の負荷が軽減され、アクチュエーター74の逆転駆動にかかる電力を減らす効果がある。以上は、ばね75が中立の状態から図6Aの状態に向けて伸びるときであったが、ばね75が中立の状態から図6Bの状態に向けて縮むときも同様であり、可動レンズ部51等の慣性を利用してばね75の力に抗して可動レンズ部51等を効率的に移動させることができる。ばね75が図6Bの状態に達すると、ばね75が最も縮まって可動レンズ部51等の移動が停止し可動レンズ部51等の移動方向が逆転する。この場合も、アクチュエーター74によって可動レンズ部51等の駆動を逆転させる際のアクチュエーター74の負荷が軽減され、電力を減らす効果がある。
【0040】
図7は、図1A等に示す画像表示装置(光学装置)100の制御系を説明するブロック図である。画像表示装置100は、既に説明した描画ユニット10等のほかに、主制御部90を備える。
【0041】
描画ユニット10は、回路部分19として、表示素子11等を備える描画デバイス12を動作させる表示制御部18と、可動レンズ部51用のアクチュエーター74を動作させるアクチュエーター駆動制御部81とを備える。なお、虚像表示光学系113は、投影光学系13と描画デバイス12とを組み合わせたものである。
【0042】
表示制御部18は、主制御部90の制御下で描画デバイス12を動作させて、表示スクリーン20の背後に虚像距離又は投影距離が変化する3次元的な表示像IMを表示させる。表示制御部18は、主制御部90を介して受信した表示情報から、投影光学系13によって表示させる表示像IMを生成する。表示像IMは、例えば表示スクリーン20の背後に存在する自動車、自転車、歩行者その他の対象物に対してその奥行き位置方向を含めた周辺に位置する表示枠のような標識とすることができる。
【0043】
アクチュエーター駆動制御部81は、主制御部90の制御下で位置情報取得部78の位置検出結果に基づいてアクチュエーター74を動作させて、投影光学系13によって表示させる表示像IMの位置を調整する。可動レンズ部51の位置情報を取得する位置情報取得部78からの情報を用いてアクチュエーター74の駆動制御を行うことにより、可動レンズ部51の動作が所期の状態となっているかをモニターできる。そのため、例えばフィードバック制御を行うことで、可動レンズ部51の動作の信頼性を向上させることができる。また、可動レンズ部51の位置情報を得ることで、光学系の状態に応じた正確で適切な光学的動作が可能になる。例えば光学系が投影光学系13である場合、可動レンズ部51によって投影距離が可変となるが、可動レンズ部51の位置をモニターすることで、投影距離に応じた所望の表示を行うことができる。具体的には、アクチュエーター駆動制御部81は、アクチュエーター74を適宜動作させて可動レンズ部51を光軸AXに沿って変位させることで、表示像IMの表示位置を遠距離、中間、近距離等に周期的に変化させる。この際、表示制御部18によって、表示像IMの表示位置又は表示距離に対応して描画デバイス12の表示素子11に表示させる内容が変化し、表示像IMを所望の奥行方向の表示位置に表示させることができる。つまり、運転関連情報を3次元的に表示することができる。
【0044】
主制御部90は、車体2に設けたカメラ、各種センサー等からの情報を収集しており、描画ユニット10の動作を車体2の動作と調和したものにしている。
【0045】
図8は、図5A等に示すレンズ駆動系70の動作例を説明する図であり、レンズホルダー72の光軸AX方向に関する位置の経時的な変化の一例を示している。この場合、レンズホルダー72は、サイン波で表される共振周波数で振動している。ここで、レンズホルダー72の振動の周波数や周期は、可動レンズ部51及びレンズホルダー72の質量とばね75のばね定数とによって定まる。よって、可動レンズ部51等を軽くし、ばね75のばね定数を大きくすれば、周波数が大きくなり周期が短くなる。具体的には、可動レンズ部51及びレンズホルダー72の質量をM(kg)とし、ばね75のばね定数をk(kg/sec)とすると、レンズホルダー72等の共振周波数F(1/sec)又は周期T(sec)は、
F=1/T=2π√(k/M)
で与えられる。つまり、可動レンズ部51及びレンズホルダー72の質量や共振周波数Fが決まっている場合、ばね75のばね定数kは、
k=4π・M・F
で与えられる。なお、図5Aに示すように、2つの同一のばね75を並列に用いる場合、1本のばね72のばね定数k0は、k0=k/2となって
k0=2π・M・F
で与えられる。具体的な例で説明すると、一対のばね75の合成のばね定数k≒1.42×10(kg/sec)として可動レンズ部51及びレンズホルダー72の質量Mが0.1kgの場合、共振周波数Fは約60Hzとなり、その際の振動周期は1/60秒となる。
【0046】
図8に示す例において、例えば可動レンズ部51を等間隔に設定された3つの位置A1〜A3に移動させたい場合、時刻B1〜B3において目的の位置に存在することが分かる。描画デバイス12は、位置情報取得部78の検出出力等に基づいて調整される時刻B1〜B3及びその近傍のタイミングで表示素子11に表示を行わせる。これにより、段階的に設定された複数箇所に可動レンズ部51を移動させつつ可動レンズ部51の位置に応じた前方位置に表示像(虚像)IMを形成することができる(図3参照)。
【0047】
アクチュエーター74によってレンズホルダー72に駆動力を与える際に、ばね75の振動開始後から継続するものである必要はなく、位置情報取得部78の検出出力を利用して、アクチュエーター74からの駆動力付与のタイミング制御を行うことができる。例えば、位置情報取得部78の検出出力に基づいて可動レンズ部51の移動速度を監視し、ばね75が中立又はニュートラルとなる位置における可動レンズ部51の移動速度vの絶対値(速さの最大値)が、共振周波数に対応する既定の値A(m/s)以下、すなわち|v|≦Aとなった際にアクチュエーター74の駆動力をONし、可動レンズ部51の移動速度vが規定の値Aを超えたタイミングでアクチュエーター74の駆動力をOFFとすることで、可動レンズ部51の往復運動の減衰を防ぎ、所望の速度での可動レンズ部51の移動を継続することが可能となる。
【0048】
レンズホルダー72又は可動レンズ部51の動作状態の監視については、レンズホルダー72又は可動レンズ部51の移動速度の下限だけでなく上限を設定してもよく、例えば目標速度の±1%以内または±2%以内で設定するなど、予め許容範囲を決めて制御を行えばよい。なお、アクチュエーター74のタイミング制御については、レンズホルダー72又は可動レンズ部51の速さを監視するものに限らず、レンズホルダー72又は可動レンズ部51の振幅等の様々な動作状態を監視してアクチュエーター74の動作のタイミング制御を行うことができる。例えば、レンズホルダー72又は可動レンズ部51の共振周波数について許容範囲を設定することもできる。つまり、アクチュエーター74の駆動周波数をばね75の共振周波数よりも大きくしてある場合、アクチュエーター74の動作がOFFとなると、ばね75の振動周期が徐々に低下するので、これに基づいてアクチュエーター74の動作の要否を判断することができる。この方法では、例えば60Hzでレンズホルダー72等を駆動する場合を考えると、伸縮両端又は振幅両端の間の時間が、例えば8.3msecより長い時間、または8.3msecより長い時間で設定したある一定時間より長い時間、となればアクチュエーター74の動作をONして振幅や移動速度を維持するといった方法も考えられる。
【0049】
アクチュエーター74の駆動力のON及びOFFのタイミングについては、レンズホルダー72又は可動レンズ部51の動作状態を監視するものに限らず、アクチュエーター74の移動量、速度等の動作状態又は動作項目について予め許容範囲を定め、アクチュエーター74の動作状態が上記許容範囲内にあるときは、アクチュエーター74の駆動力をOFFとし、レンズホルダー72等の動作状態が上記許容範囲を超えた場合に、上記許容範囲内となるまでアクチュエーター74の駆動力をONさせる方法も考えられる。ここでの許容範囲判断は、アクチュエーター74の駆動速度で行ってもよいし、駆動速度以外に振幅などの条件を加えてもよい。このような駆動方法を用いる場合、アクチュエーター74の動作を監視する必要があるが、位置情報取得部78は必須のものではなくなる。
【0050】
レンズホルダー72又は可動レンズ部51の動作状態、或いはアクチュエーター74の動作状態を監視してアクチュエーター74の駆動力のON及びOFF制御を行う場合、動作状態又は動作項目が許容範囲に入った場合でも、許容範囲となって予め設定した所定時間に亘って許容範囲内に維持されている場合に限ってアクチュエーター74の駆動力をOFFさせるといった制御を行うことができる。このような制御とすることで、アクチュエーター74の駆動力のOFF後に許容範囲外となるまでの時間を長く保てるといった効果が期待できる。このようにして、アクチュエーター74の駆動力をOFFとする時間をできるだけ長くすることで、アクチュエーター74の駆動のための電力消費を抑えることができ望ましい。
【0051】
アクチュエーター74の駆動力のレンズホルダー72への伝達は、レンズホルダー72の振動が弱まった場合に限らず、レンズホルダー72の1つの振動中の特定のタイミングや位相で行うことができる。例えばばね75が伸びた状態から縮む方向にレンズホルダー72が移動している際には、ばね75が最も伸びた位置からばね75が中立又はニュートラル位置となるまでの期間(図8の区間TA1参照)は、アクチュエーター74の駆動力をOFFとし、ばね75が中立位置よりも更に縮んで最も縮んだ状態となるまでの期間(図8の区間TA2参照)は、ばね75が逆の作用をするので、振動が減衰しないようアクチュエーター74の駆動力をONとする。また、逆の動きの際には、ばね75が最も縮んだ位置からばね75が中立位置となるまでの期間(図8の区間TA3参照)は、アクチュエーター74の駆動力をOFFとし、ばね75が中立位置よりも更に伸びて最も伸びた状態となるまでの期間(図8の区間TA4参照)は、ばね75が逆の作用をするので、振動が減衰しないようアクチュエーター74の駆動力をONとする。なお、以上は例示であり、区間TA2,TA4のうち一方のみでアクチュエーター74の駆動力をONとするといった制御も可能である。さらに、レンズホルダー72の移動速度が最大になったタイミングでアクチュエーター74によってレンズホルダー72を加速すること、或いはレンズホルダー72の振幅端付近でレンズホルダー72の移動速度が遅くなったタイミングでアクチュエーター74によってレンズホルダー72を加速することもできる。
【0052】
レンズホルダー72又は可動レンズ部51の移動を開始する際の制御については、例えばアクチュエーター74に徐々に負荷をかけていき、最初はレンズホルダー72等の変位を小さくし小さい振幅で振動動作をスタートさせ、その後徐々に振幅を増やしつつ速度を増して、所望の振幅となった時点で共振周波数にて駆動している状態とする方法が考えられる。この際アクチュエーター74への負荷は比較的小さい状態で制御することが可能であるが、一方で、可動レンズ部51の移動が定常状態になるまでの立ち上がり時間が長くなるという問題も発生する。したがって、可動レンズ部51の移動に関して立ち上がり時間を速くする必要があるような場合又は用途においては、例えばアクチュエーター74による駆動速度を一気に高めて可動レンズ部51等を所望の振幅で共振させる制御とすれば、スタート時のアクチュエーター74に負荷がかかるものの、定常状態となるまでの立ち上がり時間が短くできる利点がある。また、アクチュエーター74の負荷と可動レンズ部51等の振幅とをうまくバランスさせて、立ち上がり時の振幅及び周波数の制御を行うことで、所望の時間内で可動レンズ部51の移動を定常状態としつつアクチュエーター74の負荷が軽減されたスムーズな立ち上がり制御を行うこともできる。
【0053】
以上説明した光学素子駆動方法では、ばね75の作用を用いながらアクチュエーター74を動作させるので、可動レンズ部51を駆動するためのアクチュエーター74の負荷を軽減でき、低消費電力化や高耐久化が可能であるとともに、可動レンズ部51を高速で駆動することができる。
【0054】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る光学素子駆動方法及びこれを利用する光学装置について説明する。なお、第2実施形態の光学素子駆動方法等は第1実施形態の光学素子駆動方法等を変形したものであり、特に説明しない事項は第1実施形態と同様である。
【0055】
図9に示すように、第2実施形態に係る光学素子駆動方法に用いるレンズ駆動系70において、ばね75,175は、ガイド部材73に取り付けられている。より具体的には、ばね75,175は、ガイド部材73の2つのガイド軸73aの周りに被せるように巻き付けられている。この場合、ばね75,175の伸縮方向をガイド部材73の延びる方向と一致させやすくなり、ばね75,175からの動力をレンズホルダー72又は可動レンズ部51に効率的に伝えることができる。また、ばね75,175がガイド部材73のガイド軸73aの周りに巻き付けられたコイルばねであることにより、ばね75,175がガイド部材73に確実に保持されるので、ばね75,175やレンズホルダー72の挙動が安定して望ましい。
【0056】
図示の例では、各ガイド軸73aに対してレンズホルダー72等を挟んでそれぞれ2本のばね75及びばね175が取り付けられている。全体では、計4本のばね75,175が取り付けられている。ガイド軸73aはレンズ移動方向と平行となるように延びており、レンズホルダー72等が移動した際には、4本のばね75,175がレンズ移動方向と平行な±Yに伸び縮みして作用する。ここで、同じガイド軸73aに取り付けられた2本のばね75,175の片方のばね75が伸びると他方のばね175が縮む構造となっている。両ばね75,175の伸び縮みがガイド軸73aに沿って行われるので、両ばね75,175の力の作用がレンズ移動方向と同じとなり、レンズホルダー72を移動させる際の歪みやたわみといった誤差が発生しにくくなっている。
【0057】
以上で説明した実施形態では、レンズ駆動系70によってレンズホルダー72を光軸AX方向に移動させているが、レンズ駆動系70によって可動レンズ部51を直接光軸AX方向に移動させることもできる。
【0058】
レンズ駆動系70によって可動レンズ部51を移動させるかわりに、フィルター、拡散板等の光学素子を移動させることもできる。特に、図3に示す可動レンズ部51を固定し、第2中間像TI2の位置に拡散板を配置し、レンズ駆動系70と同様の機構によって拡散板を光軸AXに沿って変位させることで、拡散板上に第2中間像TI2が強制的に形成され移動するので、拡散板の移動に応じて表示像(虚像)IMの表示位置を高速で変化させることができる。
【0059】
ばね75については、コイルばねに限らず、レンズ等の変位量を大きくできるものであればよく、板ばねその他の各種ばねを用いることができる。なお、ばね75は、2本以上に限らず、1本で用いることができる。さらに、ばね75は、光軸AXに対して平行とせず傾けて配置することもできる。
【0060】
表示像(虚像)IMの表示位置は、上記実施形態で例示した3か所に限らず、4か所以上の適当数に設定することができる。また、表示像IMの表示は、位置を変化させて連続的又は断続的に行うことができる。
【0061】
レンズ駆動系70のガイド部材73としては、軸状のものを用いる必要はなく、レンズホルダー72等の移動を滑らかに案内する様々な手法を用いることができる。ガイド軸73aを用いる場合にも、2本のガイド軸73aを用いる必要はなく、可動レンズ部51を変位させる際の挙動が安定するなら、ガイド軸を省略し、或いは1本のガイド軸を用いるだけでも構わないし、逆に安定が容易でない場合、3本以上のガイド軸を用いることもできる。通常は、2本以上のガイド軸を用いてそれらの配置をバランスさせることで、駆動時の可動レンズ部51の傾き、振動等を低減することができる。
【0062】
図3等に示す投影光学系13は、単なる例示であり、これら投影光学系13の光学的構成については適宜変更することができる。例えば、第1中間像TI1を形成しない光学系とでき、さらに第1及び第2中間像TI1,TI2を形成しない光学系とすることもできる。
【0063】
投影光学系13は、虚像を投影するものに限らず、実像である拡大像や縮小像を結像するものであってもよい。可動レンズ部51を移動又は変位させる目的も、投影位置や投影サイズを変化させるものに限らず、結像に際してのフォーカシング位置や投影サイズを単独で変化させるものとできる。
【0064】
コンバイナーとしての表示スクリーン20は、フロントウィンドウ8とは別体で設置されるものに限らず、フロントウィンドウ8の内面を利用したり、フロントウィンドウ8中に埋め込まれたりするものとできる。
【0065】
上記実施形態において、アクチュエーター74に付随して、ばね75が1つ以上設けられている。例えばばね75が1つであれば、構成が簡素化されてコストを抑えることが可能となる。また、ばね75,175が2つ以上であれば、力の作用をバランスさせることが容易となるので、例えば可動レンズ部51の姿勢や動作を安定化させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】