特表-19111458IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年6月13日
【発行日】2020年12月24日
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/02 20060101AFI20201127BHJP
   B60K 6/36 20071001ALI20201127BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20201127BHJP
   B60K 6/40 20071001ALI20201127BHJP
   B60K 6/547 20071001ALI20201127BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20201127BHJP
   B60W 20/40 20160101ALI20201127BHJP
   B60W 20/20 20160101ALI20201127BHJP
   B60K 6/26 20071001ALI20201127BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20201127BHJP
   B60K 17/356 20060101ALI20201127BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20201127BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20201127BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20201127BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20201127BHJP
【FI】
   B60W10/02 900
   B60K6/36ZHV
   B60K6/442
   B60K6/40
   B60K6/547
   B60W10/08 900
   B60W20/40
   B60W20/20
   B60K6/26
   B60K17/04 G
   B60K17/356 B
   B60L50/60
   B60L50/16
   B60L58/10
   B60L15/20 S
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】27
【出願番号】特願2019-558002(P2019-558002)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年8月29日
(31)【優先権主張番号】特願2017-232751(P2017-232751)
(32)【優先日】2017年12月4日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(74)【代理人】
【識別番号】100183689
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 華子
(72)【発明者】
【氏名】安部 洋則
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮
(72)【発明者】
【氏名】那須 剛太
【テーマコード(参考)】
3D039
3D043
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D039AA02
3D039AB01
3D039AB27
3D039AC04
3D039AC37
3D043AB01
3D043AB17
3D043EA02
3D043EA05
3D202AA02
3D202BB11
3D202BB37
3D202BB63
3D202BB64
3D202CC51
3D202CC83
3D202CC85
3D202DD05
3D202DD11
3D202DD12
3D202DD26
3D202DD31
3D202DD44
3D202EE02
3D202EE13
3D202EE23
3D202FF08
3D202FF11
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BA04
5H125BC05
5H125BE05
5H125CA09
5H125CA10
5H125EE08
5H125EE21
5H125EE42
5H125EE49
5H125EE51
(57)【要約】
駆動源として設けられバッテリ(6)と電力の授受を行なう第一の回転電機(3)及び駆動源としてのエンジン(2)を備えた車両(10)には、第一の回転電機(3)から駆動輪に至る第一動力伝達経路上に第一断接機構(20)が設けられ、エンジン(2)から駆動輪に至る第二動力伝達経路上に第二断接機構(30)が設けられる。車両(10)には第二断接機構(30)を係合状態にしてエンジン(2)の動力で車両(10)を駆動する第一走行モードと第一断接機構(20)を係合状態にしつつ前記第二断接機構(30)を切断する他の走行モードとが設けられる。また、制御装置(5)は、第一走行モードで所定条件が成立すれば第一断接機構(20)を切断する断接機構制御部(5D)と、第一断接機構(20)が切断されている場合に第一の回転電機(3)の待機回転速度(Nw)を可変制御する回転電機制御部(5E)とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の駆動源として設けられバッテリと電力の授受を行う第一の回転電機、及び、前記駆動源としてのエンジンを備えた車両の制御装置において、
前記車両には、前記第一の回転電機から駆動輪に至る第一動力伝達経路上における第一断接機構と、前記エンジンから前記駆動輪に至る第二動力伝達経路上における第二断接機構とが設けられるとともに、前記第二断接機構を係合状態にして前記エンジンの動力で前記車両を駆動する第一走行モードと、前記第一断接機構を係合状態にするとともに前記第二断接機構を切断する他の走行モードとが設けられ、
前記制御装置は、
前記第一走行モードで所定条件が成立すれば前記第一断接機構を切断する断接機構制御部と、
前記第一断接機構が切断されている場合に、前記第一の回転電機の待機回転速度を可変制御する回転電機制御部と、を備える
ことを特徴とする、車両の制御装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記バッテリが出力可能な最大出力を算出する算出部を備え、
前記回転電機制御部は、前記最大出力に応じて前記待機回転速度を制御する
ことを特徴とする、請求項1記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記車両には、前記駆動輪側の回転速度と相関のある回転速度を車軸回転速度として検出する回転速度センサが設けられるとともに、
前記制御装置は、前記バッテリが出力可能な最大出力を算出する算出部を備え、
前記回転電機制御部は、前記最大出力が低いほど、前記車軸回転速度と前記待機回転速度との差が小さくなるように、前記待機回転速度を制御する
ことを特徴とする、請求項1記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記回転電機制御部は、前記最大出力が所定値以下では前記待機回転速度を前記車軸回転速度に一致させる
ことを特徴とする、請求項3記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記回転電機制御部は、前記第一断接機構を再接続させる際の同期時間が所定時間以内になるように前記待機回転速度を制御する
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記車両には、前記走行モードとは別に複数の運転モードが設けられており、
前記回転電機制御部は、前記複数の運転モードのうち、電力及び燃料の少なくとも一方の消費を抑制したエネルギー抑制モードが設定されている場合には前記待機回転速度を0に設定する
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項7】
前記車両には、前記走行モードとは別に複数の運転モードが設けられており、
前記回転電機制御部は、前記複数の運転モードのうち、加速性を重視したスポーツモードが設定されている場合には、前記スポーツモード以外の運転モードが設定されている場合よりも前記第一断接機構を再接続させる際の同期時間が短くなるように前記待機回転速度を制御する
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項8】
前記車両には、前記走行モードとは別に複数の運転モードが設けられており、
前記所定条件は、前記複数の運転モードのうち、加速性を重視したスポーツモードが設定されていないことを含む
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項9】
アクセルペダルの踏み込み操作量に基づいて要求出力を推定する推定部を備え、
前記所定条件は、前記要求出力が所定の出力値以下であることを含む
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項10】
前記車両には、前輪及び後輪のいずれか一方の車輪を駆動する前記第一の回転電機と他方の車輪を駆動する第二の回転電機とが設けられ、
前記所定条件は、前記第二の回転電機が出力可能な最大出力の方が、前記バッテリが出力可能な最大出力よりも大きいことを含む
ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項11】
前記車両には、前記エンジンの動力で駆動されて発電することで前記バッテリに電力を供給する第三の回転電機が設けられるとともに、前記第二断接機構を切断して前記エンジンを停止した状態で前記第一の回転電機及び前記第二の回転電機の少なくとも一方の動力を前記車輪に伝達可能な第二走行モードと、前記第二断接機構を切断して前記第三の回転電機で発電した状態で前記第一の回転電機及び前記第二の回転電機の少なくとも一方の動力を前記車輪に伝達可能な第三走行モードとが設けられ、
前記断接機構制御部は、前記第二走行モード又は前記第三走行モードでの走行中に前記第一の回転電機を使用せず前記第二の回転電機の動力で前記車両が駆動される場合には、前記第一断接機構を切断する
ことを特徴とする、請求項10記載の車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源としての回転電機及びエンジンと、駆動用のバッテリと備えたハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンと回転電機(モータ,ジェネレータ,モータジェネレータ)とを装備したハイブリッド車両において、走行モードを切り替えながら走行する車両が実用化されている。走行モードには、バッテリの充電電力を用いてモータのみで走行するEVモード、エンジンによってジェネレータを駆動し、発電しながらモータのみで走行するシリーズモード、エンジン主体で走行しつつモータでアシストするパラレルモード等が含まれる。走行モードの切り替えは、エンジン及びモータと出力軸との間にそれぞれ介装されたクラッチ(断接機構)が制御されることで実施される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−179780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エンジンの動力とモータの動力とを個別に出力可能なハイブリッド車両では、エンジンから駆動輪までの動力伝達経路とモータから駆動輪までの動力伝達経路とが別々に設けられる。また、こうしたハイブリッド車両では一般的に、走行負荷や車速が高くなるとエンジン主体で走行するモード(パラレルモード)が選択される。パラレルモードにおいて、モータアシストが不要な場合、すなわちエンジンの動力のみで走行可能な場合には、モータが駆動輪に連れ回されて回転する。このときのモータの連れ回りによって生じた誘起電圧が駆動用バッテリの電圧を上回ると、車両に対して回生ブレーキが働くことになるため、運転者に違和感を与えかねない。
【0005】
従来は、このような違和感を与えないように、弱め磁束制御を実施することで高速走行時に意図しない回生ブレーキが生じることを防いでいた。しかし、弱め磁束制御の実施には電力を消費することから、電費向上の観点からはこの制御の実施は好ましくない。また、例えば、上記の特許文献1のように、エンジン走行中にモータを動力伝達経路から切り離すクラッチを設けることも考えられる。
【0006】
しかし、油圧式の摩擦クラッチ(例えば多板クラッチ)を設ける場合には、油圧回路やオイルポンプを設ける必要があり、装置の大型化や複雑化は避けられない。一方で、機械式のクラッチ(例えば噛み合いクラッチ)を設ける場合には装置の小型化や簡素化を図れるが、一旦クラッチを開放すると、そのクラッチを再接続するためには、少なくとも回転を同期させる必要がある。すなわちこの場合は、クラッチの再接続に時間がかかり、車両の動力性能が低下するおそれがある。
【0007】
本件の車両の制御装置は、このような課題に鑑み案出されたもので、電費を向上させるとともに動力性能の低下を防止することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)ここで開示する車両の制御装置は、走行用の駆動源として設けられバッテリと電力の授受を行なう第一の回転電機、及び、前記駆動源としてのエンジンを備えた車両の制御装置である。前記車両には、前記第一の回転電機から駆動輪に至る第一動力伝達経路上における第一断接機構と、前記エンジンから前記駆動輪に至る第二動力伝達経路上における第二断接機構とが設けられるとともに、前記第二断接機構を係合状態にして前記エンジンの動力で前記車両を駆動する第一走行モード(いわゆるパラレルモード)と、前記第一断接機構を係合状態にするとともに前記第二断接機構を切断する他の走行モード(いわゆるEVモードやシリーズモード)とが設けられる。前記制御装置は、前記第一走行モードで所定条件が成立すれば前記第一断接機構を切断する断接機構制御部と、前記第一断接機構が切断されている場合に、前記第一の回転電機の待機回転速度を可変制御する回転電機制御部と、を備える。
【0009】
(2)前記制御装置は、前記バッテリが出力可能な最大出力を算出する算出部を備え、前記回転電機制御部は、前記最大出力に応じて前記待機回転速度を制御することが好ましい。
(3)前記車両には、前記駆動輪側の回転速度と相関のある回転速度を車軸回転速度として検出する回転速度センサが設けられることが好ましい。この場合、前記制御装置は、前記バッテリが出力可能な最大出力を算出する算出部を備え、前記回転電機制御部は、前記最大出力が低いほど、前記車軸回転速度と前記待機回転速度との差が小さくなるように、前記待機回転速度を制御することが好ましい。
【0010】
(4)前記回転電機制御部は、前記最大出力が所定値以下では前記待機回転速度を前記車軸回転速度に一致させることが好ましい。
(5)前記回転電機制御部は、前記第一断接機構を再接続させる際の同期時間が所定時間以内になるように前記待機回転速度を制御することが好ましい。
(6)前記車両には、前記走行モードとは別に複数の運転モードが設けられていることが好ましい。この場合、前記回転電機制御部は、前記複数の運転モードのうち、電力及び燃料の少なくとも一方の消費を抑制したエネルギー抑制モードが設定されている場合には前記待機回転速度を0に設定することが好ましい。
【0011】
(7)前記車両には、前記走行モードとは別に複数の運転モードが設けられていることが好ましい。この場合、前記回転電機制御部は、前記複数の運転モードのうち、加速性を重視したスポーツモードが設定されている場合には、前記スポーツモード以外の運転モードが設定されている場合よりも前記第一断接機構を再接続させる際の同期時間が短くなるように前記待機回転速度を制御することが好ましい。
(8)前記車両には、前記走行モードとは別に複数の運転モードが設けられていることが好ましい。この場合、前記所定条件は、前記複数の運転モードのうち、加速性を重視したスポーツモードが設定されていないことを含むことが好ましい。
(9)前記制御装置は、アクセルペダルの踏み込み操作量に基づいて要求出力を推定する推定部を備えることが好ましい。この場合、前記所定条件は、前記要求出力が所定の出力値以下であることを含むことが好ましい。
(10)前記車両には、前輪及び後輪のいずれか一方の車輪を駆動する前記第一の回転電機と他方の車輪を駆動する第二の回転電機とが設けられることが好ましい。この場合、前記所定条件は、前記第二の回転電機が出力可能な最大出力の方が、前記バッテリが出力可能な最大出力よりも大きいことを含むことが好ましい。
【0012】
(11)前記車両には、前記エンジンの動力で駆動されて発電することで前記バッテリに電力を供給する第三の回転電機が設けられるとともに、前記第二断接機構を切断して前記エンジンを停止した状態で前記第一の回転電機及び前記第二の回転電機の少なくとも一方の動力を前記車輪に伝達可能な第二走行モード(いわゆるEVモード)と、前記第二断接機構を切断して前記第三の回転電機で発電した状態で前記第一の回転電機及び前記第二の回転電機の少なくとも一方の動力を前記車輪に伝達可能な第三走行モード(いわゆるシリーズモード)とが設けられていることが好ましい。この場合、前記断接機構制御部は、前記第二走行モード又は前記第三走行モードでの走行中に前記第一の回転電機を使用せず前記第二の回転電機の動力で前記車両が駆動される場合には、前記第一断接機構を切断することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
開示の車両の制御装置によれば、エンジン主体で走行する第一走行モードで所定条件が成立したら第一断接機構が切断されるため、回転電機の連れ回りを防止できる。これにより、従来の弱め磁束制御が不要となることから、電費を向上させることができる。また、第一断接機構の切断中に第一の回転電機の待機回転速度を可変制御することから、第一断接機構を係合させるときの同期時間を短縮でき、第一断接機構を係合することになれば、速やかに第一断接機構の係合を実現できる。これにより、車両の動力性能の低下を防止でき、動力性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る制御装置を搭載した車両の内部構成を例示する上面図である。
図2図1の車両に搭載されるトランスアクスルを備えたパワートレインの模式的な側面図である。
図3図2のトランスアクスルを備えたパワートレインを示すスケルトン図である。
図4】所定車速Vpを設定するときに使用されるマップの一例である。
図5】車速Vに基づいてパラレルモードを選択する理由を説明するためのグラフである。
図6】(a)及び(b)は待機回転速度Nwを設定するためのマップの一例である。
図7図1の制御装置で実施されるモータ切り離し制御のフローチャート例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照して、実施形態としての車両の制御装置について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0016】
[1.全体構成]
本実施形態の制御装置5は、図1に示す車両10に適用され、この車両10に搭載されるトランスアクスル1を制御する。この車両10は、駆動源としてのエンジン2と走行用のモータ3(電動機,第一の回転電機)と発電用のジェネレータ4(発電機,第三の回転電機)とを装備したハイブリッド車両である。ジェネレータ4はエンジン2に連結され、モータ3の作動状態とは独立して作動可能である。また、車両10にはEVモード,シリーズモード,パラレルモードの三種類の走行モードが用意される。これらの走行モードは、制御装置5によって、車両状態や走行状態,運転者の要求出力等に応じて択一的に選択され、その種類に応じてエンジン2,モータ3,ジェネレータ4が使い分けられる。
【0017】
EVモード(第二走行モード,他の走行モード)は、エンジン2及びジェネレータ4を停止させたまま、駆動用のバッテリ6の充電電力を用いてモータ3のみで車両10を駆動する走行モードである。EVモードは、走行負荷,車速が低い場合やバッテリ6の充電レベルが高い場合に選択される。シリーズモード(第三走行モード,他の走行モード)は、エンジン2でジェネレータ4を駆動して発電しつつ、その電力を利用してモータ3で車両10を駆動する走行モードである。シリーズモードは、走行負荷,車速が中程度の場合やバッテリ6の充電レベルが低い場合に選択される。パラレルモード(第一走行モード)は、後述する第二ドグクラッチ30を係合状態にして、おもにエンジン2の動力で車両10を駆動し、必要に応じてモータ3で車両10の駆動をアシストする走行モードであり、走行負荷,車速が高い場合に選択される。
【0018】
駆動輪8(本実施形態では前輪)には、トランスアクスル1を介してエンジン2及びモータ3が並列に接続され、エンジン2及びモータ3のそれぞれの動力が互いに異なる動力伝達経路から個別に伝達される。すなわち、エンジン2及びモータ3のそれぞれは、車両10の出力軸12を駆動する駆動源である。また、エンジン2には、トランスアクスル1を介してジェネレータ4及び駆動輪8が並列に接続され、エンジン2の動力が、駆動輪8に加えてジェネレータ4にも伝達される。
【0019】
トランスアクスル1は、デファレンシャルギヤ18(差動装置、以下「デフ18」と呼ぶ)を含むファイナルドライブ(終減速機)とトランスミッション(減速機)とを一体に形成した動力伝達装置であり、駆動源と被駆動装置との間の動力伝達を担う複数の機構を内蔵する。本実施形態のトランスアクスル1は、ハイロー切替(高速段,低速段の切替)が可能に構成されており、パラレルモードでの走行時において、制御装置5によって走行状態や要求出力等に応じてハイギヤ段とローギヤ段とが切り替えられる。以下、パラレルモードでの走行を「パラレル走行」ともいう。
【0020】
エンジン2は、ガソリンや軽油を燃料とする内燃機関(ガソリンエンジン,ディーゼルエンジン)である。このエンジン2は、クランクシャフト2a(回転軸)の向きが車両10の車幅方向に一致するように横向きに配置されたいわゆる横置きエンジンであり、トランスアクスル1の右側面に対して固定される。クランクシャフト2aは、駆動輪8のドライブシャフト9に対して平行に配置される。エンジン2の作動状態は、制御装置5で制御される。
【0021】
本実施形態のモータ3及びジェネレータ4はいずれも、電動機としての機能と発電機としての機能とを兼ね備えた電動発電機(モータ・ジェネレータ)である。モータ3は、バッテリ6と電力の授受を行なう駆動源であり、おもに電動機として機能して車両10を駆動し、回生時には発電機として機能する。ジェネレータ4は、エンジン2を始動させる際に電動機(スターター)として機能し、エンジン2の作動時にはエンジン動力で駆動されて発電することでバッテリ6に電力を供給する。モータ3及びジェネレータ4の各周囲(又は各内部)には、直流電流と交流電流とを変換するインバータ(図示略)が設けられる。モータ3及びジェネレータ4の各回転速度は、インバータを制御することで制御される。なお、モータ3,ジェネレータ4,各インバータの作動状態は、制御装置5で制御される。
【0022】
図2はパワートレイン7を左側から見た側面図である。パワートレイン7は、エンジン2,モータ3,ジェネレータ4,トランスアクスル1を含んで構成される。なお、図2ではエンジン2は省略している。
【0023】
車両10には、車両10に搭載される各種装置を統合制御する制御装置5が設けられる。また、車両10には、アクセルペダルの踏み込み操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ41と、車速Vを検出する車速センサ42と、モータ3の回転速度を検出するモータ回転速度センサ43と、駆動輪8の回転速度と相関のある回転速度(本実施形態では出力軸12の回転速度)を車軸回転速度Naとして検出する回転速度センサ44と、バッテリ6の電圧を検出する電圧センサ45と、バッテリ6の入出力電流を検出する電流センサ46とが設けられる。各センサ41〜46で検出された情報は、制御装置5に伝達される。
【0024】
また、本実施形態の車両10には複数の運転モードが設けられるとともに、運転モードを設定するためのモード設定スイッチ47が設けられる。運転モードは、走行モード(EVモード,シリーズモード,パラレルモード)とは別の制御上のモードであり、動力性能が互いに異なる。本実施形態の車両10には、加速性よりも電力及び燃料の少なくとも一方の消費を抑制した(燃費や電費を重視した)エコモード(エネルギー抑制モード)と、燃費や電費よりも加速性を重視したスポーツモードと、加速性と燃費,電費とを同程度に扱うノーマルモードとが設けられる。本実施形態では、ノーマルモードが車両10の起動時に自動的に設定されるとともに、運転者の手動操作により運転モードが自由に切り替えられる。なお、運転モードが車両10により自動的に設定される(切り替えられる)ものであってもよい。モード設定スイッチ47で設定されたモード情報は、制御装置5に伝達される。
【0025】
制御装置5は、例えばマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして構成された電子制御装置であり、車両10に搭載される各種装置を統合制御する。本実施形態の制御装置5は、運転者の要求出力等に応じて走行モードを選択し、選択した走行モードに応じて各種機器(例えばエンジン2やモータ3)を制御するとともにトランスアクスル1内のクラッチ20,30の断接状態を制御する。この制御については後述する。
【0026】
[2.トランスアクスル]
図3は、本実施形態のトランスアクスル1を備えたパワートレイン7のスケルトン図である。図2及び図3に示すように、トランスアクスル1には、互いに平行に配列された六つの軸11〜16が設けられる。以下、クランクシャフト2aと同軸上に接続される回転軸を入力軸11と呼ぶ。
【0027】
同様に、ドライブシャフト9,モータ3の回転軸3a,ジェネレータ4の回転軸4aのそれぞれと同軸上に接続される回転軸を、出力軸12,モータ軸13,ジェネレータ軸14と呼ぶ。また、入力軸11と出力軸12との間の動力伝達経路上に配置された回転軸を第一カウンタ軸15と呼び、モータ軸13と出力軸12との間の動力伝達経路上に配置された回転軸を第二カウンタ軸16と呼ぶ。六つの軸11〜16はいずれも、両端部が図示しない軸受を介してケーシング1Cに軸支される。
【0028】
トランスアクスル1の内部には、三つの動力伝達経路が形成される。具体的には、図2中に二点鎖線で示すように、モータ3からモータ軸13を介して出力軸12に至る動力伝達経路(以下「第一経路51」と呼ぶ)と、エンジン2から入力軸11を介して出力軸12に至る動力伝達経路(以下「第二経路52」と呼ぶ)と、エンジン2から入力軸11を介してジェネレータ軸14に至る動力伝達経路(以下「第三経路53」と呼ぶ)とが形成される。ここで、第一経路51及び第二経路52は駆動用動力伝達経路であり、第三経路53は発電用動力伝達経路である。
【0029】
第一経路51(第一動力伝達経路)は、モータ3から駆動輪8への動力伝達に係る経路であり、モータ3の動力伝達を担うものである。第一経路51上には、モータ3と同期して回転することで動力が伝達されるモータ軸13及びモータ軸13の動力が伝達される第二カウンタ軸16が設けられ、第一経路51の中途にはその動力伝達を断接する後述の第一ドグクラッチ20(第一断接機構)が介装される。
【0030】
第二経路52(第二動力伝達経路)上には、ジェネレータ4と同期して回転することで動力が伝達される入力軸11及び入力軸11の動力が伝達される第一カウンタ軸15が設けられ、第二経路52の中途にはその動力伝達の断接とハイロー切替とを実施する後述の第二ドグクラッチ30(第二断接機構)が介装される。
【0031】
第三経路53(第三動力伝達経路)は、エンジン2からジェネレータ4への動力伝達に係る経路であり、エンジン始動時の動力伝達及びエンジン2による発電時の動力伝達を担うものである。
次に、図3を用いてトランスアクスル1の構成を詳述する。なお、以下の説明において、「固定ギヤ」とは、軸と一体に設けられ、軸に対して同期回転する(相対回転不能な)歯車を意味する。また、「遊転ギヤ」とは、軸に対して相対回転可能に枢支された歯車を意味する。
【0032】
入力軸11には、エンジン2に近い側から順に、固定ギヤ11aと、ハイ側の第二ドグクラッチ30(以下、「ハイ側ドグクラッチ30H」と呼ぶ)と、遊転ギヤ11Hと、固定ギヤ11Lとが設けられる。また、第一カウンタ軸15には、エンジン2の近い側から順に、固定ギヤ15aと、固定ギヤ15Hと、遊転ギヤ15Lと、ロー側の第二ドグクラッチ30(以下、「ロー側ドグクラッチ30L」と呼ぶ)とが設けられる。
【0033】
入力軸11の固定ギヤ11aは、ジェネレータ軸14に設けられた固定ギヤ14aと常時噛合している。つまり、入力軸11とジェネレータ軸14とは、二つの固定ギヤ11a,14aを介して連結されており、エンジン2とジェネレータ4との間で動力伝達可能とされる。また、第一カウンタ軸15の固定ギヤ15aは、出力軸12に設けられたデフ18のリングギヤ18aと常時噛合している。
【0034】
入力軸11の遊転ギヤ11Hは、隣接する固定ギヤ11Lよりも歯数が多く、第一カウンタ軸15の固定ギヤ15Hと常時噛合してハイギヤ段を形成する。また、入力軸11の固定ギヤ11Lは第一カウンタ軸15の遊転ギヤ15Lと常時噛合してローギヤ段を形成する。遊転ギヤ11H,15Lは、固定ギヤ15H,11Lと噛み合う各歯面部の側面に一体で設けられたドグギヤ11d,15dを有する。各ドグギヤ11d,15dの先端部(径方向外側の端部)には、図示しないドグ歯が設けられる。
【0035】
ハイ側ドグクラッチ30H及びロー側ドグクラッチ30Lはいずれも第二経路52上に設けられた断接機構であり、エンジン2の動力の断接状態を制御するとともにハイギヤ段とローギヤ段とを切り替えるものである。本実施形態では、走行モードがパラレルモードである場合に、ハイ側ドグクラッチ30H及びロー側ドグクラッチ30Lの一方が係合されて他方が切断される。なお、どちらのクラッチ30H,30Lが係合するかは、車両10の走行状態や要求出力等に基づいて決定される。
【0036】
ハイ側ドグクラッチ30Hは、入力軸11に固定されたハブ31Hと環状のスリーブ32Hとを有する。また、ロー側ドグクラッチ30Lは、第一カウンタ軸15に固定されたハブ31Lと環状のスリーブ32Lとを有する。各スリーブ32H,32Lは、各ハブ31H,31Lに対して相対回転不能であって軸方向に摺動自在に結合されている。各スリーブ32H,32Lは、図示しないアクチュエータ(例えばサーボモータ)が制御装置5によって制御されることで軸方向にスライド移動する。各スリーブ32H,32Lの近傍には、その移動量(ストローク量)を検出するストロークセンサ(図示略)が設けられる。また、各スリーブ32H,32Lの径方向内側には、ドグギヤ11d,15dの各ドグ歯と噛合するスプライン歯(図示略)が設けられる。
【0037】
スリーブ32Hとドグギヤ11dとが係合した状態では、エンジン2からの駆動力がハイ側のギヤ対11H,15Hを通じて出力軸12へと伝達される。反対に、スリーブ32Hとドグギヤ11dとが離隔している場合には遊転ギヤ11Hが空転状態となり、第二経路52におけるハイ側の動力伝達が遮断された状態となる。また、スリーブ32Lとドグギヤ15dと係合した状態では、エンジン2からの駆動力がロー側のギヤ対11L,15Lを通じて出力軸12へと伝達される。反対に、スリーブ32Lとドグギヤ15dとが離隔している場合には遊転ギヤ15Lが空転状態となり、第二経路52におけるロー側の動力伝達が遮断された状態となる。
【0038】
第二カウンタ軸16には、エンジン2に近い側から順に、第一ドグクラッチ20と、遊転ギヤ16Mと、パーキングギヤ19と、固定ギヤ16aとが設けられる。固定ギヤ16aは、デフ18のリングギヤ18aと常時噛合している。パーキングギヤ19は、パーキングロック装置を構成する要素であり、運転者によりPレンジが選択されると、図示しないパーキングスプラグと係合して、第二カウンタ軸16(すなわち出力軸12)の回転を禁止する。
【0039】
遊転ギヤ16Mは、モータ軸13に設けられた固定ギヤ13aよりも歯数が多く、この固定ギヤ13aと常時噛合している。遊転ギヤ16Mは、固定ギヤ13aと噛み合う歯面部の右側に一体で設けられたドグギヤ16dを有する。なお、このドグギヤ16dの先端部には、ドグ歯が設けられる。第一ドグクラッチ20は、第二カウンタ軸16に固定されたハブ21と、ハブ21(第二カウンタ軸16)に対して相対回転不能であって軸方向に摺動自在に結合された環状のスリーブ22とを有する。スリーブ22は、図示しないアクチュエータが制御装置5によって制御されることで軸方向にスライド移動するものであり、図示しないストロークセンサによってその移動量(ストローク量)が検出される。スリーブ22の径方向内側には、ドグギヤ16dの先端部のドグ歯と噛合するスプライン歯(いずれも図示略)が設けられる。
【0040】
本実施形態では、走行モードがEVモード又はシリーズモードである場合、又はパラレルモードであってモータアシストが必要な場合には、第一ドグクラッチ20が係合される。すなわち、スリーブ22とドグギヤ16dとが噛合(係合)され、モータ3からの駆動力が出力軸12へと伝達される。また、走行モードがパラレルモードであってモータ3によるアシストが不要な場合には、第一ドグクラッチ20が切断される。すなわち、スリーブ22とドグギヤ16dとが離隔され、遊転ギヤ16Mが空転状態となり、第一経路51の動力伝達が遮断された状態となる。
【0041】
[3.制御構成]
上述したトランスアクスル1では、パラレルモードでの走行中にモータアシストが不要であれば、第一経路51上に介装された第一ドグクラッチ20を切断し、モータ3を出力軸12から切り離す。なお、本実施形態では、上記の通り、走行モードの選択、ドグクラッチ20,30の断接状態、エンジン2やモータ3等の作動状態を、すべて制御装置5が制御する。以下、これらの制御のうち、第一ドグクラッチ20を切断するときの制御(以下「モータ切り離し制御」と呼ぶ)について詳述する。
【0042】
制御装置5には、モータ切り離し制御を実施するための要素として、選択部5A,推定部5B,算出部5C,クラッチ制御部5Dおよびモータ制御部5Eが設けられる。これらの要素は、制御装置5で実行されるプログラムの一部の機能を示すものであり、ソフトウェアで実現されるものとする。ただし、各機能の一部又は全部をハードウェア(電子回路)で実現してもよく、あるいはソフトウェアとハードウェアとを併用して実現してもよい。
【0043】
選択部5Aは、車両10の運転状態やバッテリ6の充電状態に基づいて走行モードを選択するものである。本実施形態の選択部5Aは、バッテリ6の充電率に基づいて設定される所定車速Vp以上である場合にパラレルモードを選択する。より具体的に説明すると、車速Vが所定車速Vp以上である場合にはパラレルモードを選択し、車速Vが所定車速Vp未満である場合には、例えばバッテリ6の充電率や要求出力Pd等に応じてシリーズモード又はEVモードを選択する。本実施形態の選択部5Aは、所定車速Vpを、バッテリ6の充電率に基づいて設定する。すなわち、パラレルモードを選択するか否かの判定閾値(所定車速Vp)にも、バッテリ6の充電状態が加味される。
【0044】
本実施形態の選択部5Aは、充電率が低いほど所定車速Vpを小さな値に設定する。すなわち、バッテリ6の充電率が低いほどエンジン主体のパラレルモードに切り替わりやすくなる。選択部5Aは、例えば図4に示すように、充電率が第一所定値S1以上かつ第二所定値S2未満の範囲において、充電率が低いほど所定車速Vpが小さくなるように設定されたマップを使って所定車速Vpを設定する。なお、所定車速Vpの設定方法はこれに限られず、例えば充電率と所定車速Vpとの関係が規定された数式や表などを用いて、所定車速Vpを設定してもよいし、充電率にかかわらず所定車速Vpを予め設定された固定値としてもよい。
【0045】
ここで、図5を用いて、選択部5Aが車速Vに基づいてパラレルモードを選択する理由を説明する。図5は、本実施形態の車両10が持つ、車速Vに対する最大駆動トルクの特性を示したグラフであり、EVモードで走行した場合(実線)と、パラレル走行した場合(破線,一点鎖線)を示す。図中の実線のグラフは、バッテリ6が最大の出力を出せる状態で、車両10がモータ3のみで走行をしたときの特性である。破線のグラフは、ローギヤ段が選択された状態でエンジン2が最大出力を出し、かつ、バッテリ6が最大の出力を出せる状態でモータアシストしたときの特性である。一点鎖線のグラフは、ハイギヤ段が選択されている点が破線とは異なる。
【0046】
図5に示すように、いずれの走行モードでも車速Vが高いほど最大駆動トルクは低下するが、実線のグラフ(モータ3のみの走行)は、図中VLで示す車速値から急降下し始め、図中VHで示す車速値において破線のグラフと大小関係が逆転する。このため、車速値VLの近傍でモータ3のみの走行からエンジン主体の走行に切り替えることで、言い換えると、車速Vに基づいてパラレル走行を選択することで、大きな出力トルクが得られる走行を実現できる。
【0047】
推定部5Bは、アクセル開度(アクセル操作量)に対応する要求出力Pdを推定するものである。要求出力Pdは、運転者が車両10に対して要求する出力(出力要求)であり、アクセル開度が大きいほど大きな値とされる。推定部5Bは、例えばアクセル開度と車速Vとに基づいて要求出力Pdを推定する。なお、前後加速度や横加速度,ステアリング角度や車体の傾きといったパラメータを考慮して、より正確な要求出力Pdを推定してもよい。
【0048】
算出部5Cは、現時点でバッテリ6が出力可能な最大出力Bを算出するものである。最大出力Bは、ある瞬間にバッテリ6から持ち出し可能な(放電可能な)電池出力の最大値であり、バッテリ6の充電率が高いほど大きな値とされる。なお、算出部5Cは、バッテリ6の充電率に加え、バッテリ6の劣化度及びバッテリ6の温度等を考慮して、最大出力Bを算出してもよい。劣化度を考慮することで、バッテリ6の給電能力に見合った最大出力Bの算出が可能となる。また、バッテリ温度を考慮することで、バッテリ6に対して電気的な負荷が過剰にならない範囲内での最大出力Bの算出が可能となる。なお、充電率は、例えば算出部5Cがバッテリ電圧やバッテリ電流に基づき算出(推定)する。
【0049】
クラッチ制御部5D(断接機構制御部)は、走行モードに応じて、第一ドグクラッチ20の断接状態と第二ドグクラッチ30の断接状態とを制御するものである。本実施形態のクラッチ制御部5Dは、パラレル走行中に所定条件の成否を判定し、所定条件が成立した場合に第一ドグクラッチ20を切断してモータ3を出力軸12から切り離す。本実施形態の所定条件には、「要求出力Pdが所定の出力値Pp以下であること」が含まれる。つまり、クラッチ制御部5Dはパラレル走行中にモータアシストが必要か否かを判定し、要求出力Pdが小さい(すなわちモータアシストが不要な)場合には、モータ3を出力軸12から切り離すことで、モータ3の連れ回りを防ぐ。なお、出力値Ppは予め設定された固定値であってもよいし、車速Vやバッテリ6の最大出力B等に応じて設定される可変値であってもよい。
【0050】
モータ制御部5E(回転電機制御部)は、第一ドグクラッチ20が切断されている場合に、モータ3の待機回転速度Nwを可変制御するものである。ここでいう待機回転速度Nwとは、モータ3を待機させておくときの回転速度である。すなわち、モータ制御部5Eは、パラレル走行時にモータ3が出力軸12から切り離されると、モータ3の回転速度を待機回転速度Nwに維持するよう制御する。これにより、第一ドグクラッチ20を係合する場合に、モータ3の回転速度を出力軸12側の車軸回転速度Naに同期させるために要する時間(同期時間)を短縮でき、動力性能が向上する。
【0051】
本実施形態のモータ制御部5Eは、バッテリ6の最大出力Bに応じて待機回転速度Nwを制御する。具体的には、モータ制御部5Eは、最大出力Bが低いほど車軸回転速度Naと待機回転速度Nwとの差Xが小さくなるように、待機回転速度Nwを制御する。モータ3の回転速度を車軸回転速度Naに同期させるにはモータ3へ電力を供給する必要があるが、最大出力Bが小さい場合には同期時間が増加して動力性能が低下するという課題がある。そのため、最大出力Bが小さいほど差Xを小さくしておくことで、同期時間の増加を防止し、動力性能を確保する。換言すれば、バッテリ6の最大出力Bが低下しても第一ドグクラッチ20の再接続時(再係合時)の同期時間が所定時間以内になるように待機回転速度Nwは設定されることになる。
【0052】
さらに本実施形態のモータ制御部5Eは、最大出力Bが所定値Bp以下である場合には、待機回転速度Nwを車軸回転速度Naに一致させる。すなわち、モータ3は出力軸12から切り離されているものの、出力軸12側と同じ回転速度で回転するように制御される。これにより、例えばバッテリ6の極低温時のように最大出力Bが低く、同期時間の更なる長期化の可能性がある場合には、モータ3を出力軸12から切り離した後も、車軸回転速度Naと同じ回転速度に維持しておくことで、同期時間の短縮を図る。なお、所定値Bpは、バッテリ6の出力特性やモータ3の電力消費量や同期時間等を考慮して予め設定される。
【0053】
なお、モータ制御部5Eは、上記したように、第一ドグクラッチ20を再接続させる際の同期時間が所定時間以内になるように待機回転速度Nwを制御することが好ましい。この制御は、上述した最大出力Bに基づく制御と組み合わせて実施してもよいし、最大出力Bに基づく制御に代えて実施してもよい。なお、ここでいう所定時間は、同期時間の長期化による動力性能の低下を防ぐために予め設定された時間である。また、同期時間は、車軸回転速度Naと待機回転速度Nwとの差Xと最大出力Bとによって決まる。そのため、例えば、これら二つのパラメータX,Bと同期時間との関係が規定されたマップ等を予め記憶しておき、そのマップに差Xおよび最大出力Bを適用することで同期時間を取得可能である。
【0054】
また、本実施形態のモータ制御部5Eは、エコモードが設定されている場合には、待機回転速度Nwを0に設定する。エコモードは、加速性よりも燃費,電費を重視した運転モードであることから、運転者がエコモードを選択しているときには、待機回転速度Nwを0(すなわち、モータ3を停止させる)ことで、モータ3を出力軸12から切り離しているときに消費される電力量を抑制する。
【0055】
なお、モータ制御部5Eは、運転モードごとに(ノーマルモードかスポーツモードかに応じて)、最大出力Bに応じて待機回転速度Nwを制御してもよい。例えば、図6(a)及び(b)に示すような、運転モードごとに、横軸に最大出力Bをとり、縦軸に車軸回転速度Naから待機回転速度Nwを引いた差X(=Nw−Na)をとったマップを予め用意する。図6(a)はノーマルモードで使用するマップNであり、図6(b)はスポーツモードで使用するマップSである。
【0056】
図6(a)及び(b)に示すマップでは、マップSの縦軸(差X)の最大値Xsが、マップNの縦軸(差X)の最大値Xnよりも小さくなるように設定されている。また、これらのマップでは、マップSの所定値Bpから最大値Xsに到達するまでの差Xの変化率(グラフの傾き)と、マップNの所定値Bpから最大値Xnに到達するまでの差Xの変化率(グラフの傾き)とが等しくなるように設定されている。つまり、これら二つのマップでは、最大出力Bが所定値Bpよりも高い場合、ノーマルモードよりもスポーツモードの方が差Xが小さく設定される。言い換えれば、ノーマルモードよりもスポーツモードの方が第一ドグクラッチ20の再接続時の同期時間が短くなるように設定される。
【0057】
モード制御部5Eは、パラレル走行中に第一ドグクラッチ20が切断されたら、その時に設定されている運転モードがノーマルモードであれば図6(a)のマップNを選択し、スポーツモードであれば図6(b)のマップSを選択する。そして、算出部5Cで算出された最大出力BをマップN又はマップSに適用して差Xを取得し、回転速度センサ44で検出された車軸回転速度Naから差Xを減算した値(Na−X)を待機回転速度Nwとして設定する。
【0058】
なお、上述の通り、本実施形態のモータ制御部5Eは、エコモードが設定されているときには、待機回転速度Nwを0に設定する。このため、エコモードの設定時における差Xは車軸回転速度Naと等しくなり、マップSの縦軸(差X)の最大値Xsよりも大きくなる。つまり、本実施形態では、複数の運転モードのうちスポーツモードが設定されている場合には、他の運転モードが設定されている場合(スポーツモードが設定されていない場合)よりも差Xが小さくなるように待機回転速度Nwが制御される。言い換えれば、スポーツモードが設定されている場合には、他の運転モードが設定されている場合よりも、第一ドグクラッチ20を再接続させる際の同期時間が短くなるように待機回転速度Nwが制御される。
【0059】
[4.フローチャート]
図7は、上述したモータ切り離し制御の内容を説明するためのフローチャート例である。このフローチャートは、制御装置5において、車両10の走行中に所定の演算周期で実施される。なお、車両10の走行モード(EVモード,シリーズモード,パラレルモード)は、このフローチャートとは別に設定されるものとする。
【0060】
ステップS1では、各センサ41〜46及びモード設定スイッチ47からの情報が伝達される。ステップS2では、選択部5Aによって充電率に応じた所定車速Vpが設定され、続くステップS3では、車速Vが所定車速Vp以上であるか否かが判定される。V<VpであればステップS23に進み、V≧VpであればステップS4に進む。ステップS4では、現在の走行モードがパラレルモードであるか否かが判定され、パラレルモードであればステップS8に進み、パラレルモードでなければステップS5に進んで走行モードがパラレルモードに切り替えられる。
【0061】
ステップS6では、ハイ側ドグクラッチ30H又はロー側ドグクラッチ30Lの回転同期が行われ、第二ドグクラッチ30が係合される(ステップS7)。これにより、エンジン主体の走行が実現される。次いで、ステップS8では、推定部5Bによって要求出力Pdが推定され、要求出力Pdが所定の出力値Pp以下であるか否かが判定される(ステップS9)。Pd≦Ppであれば、モータアシストが不要であるため、ステップS10に進み、第一ドグクラッチ20が切断される。
【0062】
ステップS11では、現在の運転モードがエコモードであるか否かが判定され、エコモードであれば待機回転速度Nwが0に設定され(ステップS12)、モータ3の回転速度が0になるように制御され、このフローをリターンする。すなわち、この場合はモータ3が停止されるため、モータ3を0よりも大きな待機回転速度Nwに維持するための消費電力量が削減される。
【0063】
一方、エコモードでなければ、ステップS13においてノーマルモードであるか否かが判定される。ノーマルモードの場合はマップNから差Xが取得され(ステップS14)、スポーツモードの場合はマップSから差Xが取得される(ステップS15)。そして、ステップS16において、車軸回転速度Naから差Xが減算されて、待機回転速度Nwが設定される。ステップS17では、設定された待機回転速度Nwとなるように、モータ3が制御され、このフローをリターンする。
【0064】
ノーマルモード又はスポーツモードでフローをリターンした場合、次回以降の演算周期において、要求出力Pdが出力値Ppよりも大きくなると(ステップS9のNo)、モータアシストが必要であるためステップS20に進み、第一ドグクラッチ20が切断されているか否かが判定される。第一ドグクラッチ20が切断されている場合は、モータ3の回転速度を車軸回転速度Naに同期させる(ステップS21)。このとき、モータ3が0よりも大きな待機回転速度Nwに維持されているため、同期時間の短縮が図られる。回転が同期したら、ステップS22において第一ドグクラッチ20が係合され、このフローをリターンする。
【0065】
なお、ステップS3において、車速Vが所定車速Vp未満である場合には、シリーズモード又はEVモードに切り替えられる。すなわち、ステップS3からステップS23に進んだ場合は、現在の走行モードがパラレルモードであるか否かが判定され(ステップS23)、パラレルモードでなければこのフローをリターンし、パラレルモードであればシリーズモード又はEVモードを設定する(ステップS24)。そして、第二ドグクラッチ30を切断し(ステップS25)、第一ドグクラッチ20が切断されていれば回転を同期させ(ステップS26)、第一ドグクラッチ20を係合して(ステップS27)、このフローをリターンする。なお、ステップS26の同期の際にも、モータ3が0よりも大きな待機回転速度Nwに維持されているため、同期時間の短縮が図られる。
【0066】
[5.効果]
(1)上述した制御装置5では、エンジン主体で走行するパラレルモードで所定条件が成立したら第一ドグクラッチ20が切断されるため、モータ3の連れ回りを防止できる。これにより、従来の弱め磁束制御が不要となることから、電費を向上させることができる。また、第一ドグクラッチ20の切断中にモータ3の待機回転速度Nwを可変制御することから、第一ドグクラッチ20を係合させるときの同期時間を短縮でき、第一ドグクラッチ20を係合することになれば、速やかにクラッチ係合を実現できる。これにより、車両10の動力性能の低下を防止でき、動力性能を確保することができる。
【0067】
また、上述した制御装置5では、バッテリ6の充電状態を考慮したうえで車速Vに基づきパラレルモードが選択される。そして、所定条件が成立したら第一ドグクラッチ20が切断されるため、エンジン出力を効率よく利用して車両10を駆動でき、動力性能の低下を防止できる。
【0068】
(2)上述した制御装置5では、バッテリ6が出力可能な最大出力Bに応じて待機回転速度Nwが制御されることから、動力性能確保と電費向上とのバランスをとりつつ車両10を走行させることができる。
【0069】
(3)また、クラッチ係合の際にモータ3の回転速度を高めて回転を同期させるには、モータ3へ電力を供給する必要があり、バッテリ6の最大出力Bが低いほど同期時間が長期化する虞がある。これに対し、上述した制御装置5では、バッテリ6の最大出力Bが低いほど差Xが小さくなるように待機回転速度Nwが制御される(すなわち、最大出力Bが低いほど待機回転速度Nwが車軸回転速度Naに近い値に設定される)ことから、同期時間の短縮を図ることができ、動力性能を確保できる。
【0070】
(4)また、最大出力Bが所定値Bp以下である場合には、待機回転速度Nwが車軸回転速度Naと同じ値に設定される。このため、例えばバッテリ6の極低温時のように、バッテリ出力を確保しにくいような状況においても、車軸回転速度Naと同じ回転速度でモータ3を待機させておくことで、同期時間の短縮を図ることができ、動力性能を確保できる。
【0071】
(5)また、待機回転速度Nwは、第一ドグクラッチ20を再接続させる際の同期時間が所定時間以内になるように制御される。このため、第一ドグクラッチ20の再接続時の同期にかかる時間を、バッテリ6の最大出力Bに拠らず、一定の時間内に収めることができる。従って、車両10の動力性能を確保することができる。
【0072】
(6)上述した制御装置5では、エコモードが設定されている場合には待機回転速度Nwが0に設定される(すなわち、モータ3の作動が止められる)ため、モータ3を待機回転速度Nwで維持するための消費電力量を削減でき、電費向上を図ることができる。
【0073】
(7)上述した制御装置5では、スポーツモードが設定されている場合には、他の運転モードが設定されている場合よりも、第一ドグクラッチ20を再接続させる際の同期時間が短くなるように待機回転速度Nwが制御される。このため、例えばノーマルモードやエコモードといった他の運転モードが設定されている場合よりも、第一ドグクラッチ20の再接続時の同期にかかる時間を短縮することができ、より加速性を重視した走行を実現することができる。
【0074】
(8)なお、第一ドグクラッチ20を切断する所定条件に「要求出力Pdが所定の出力値Pp以下であること」が含まれるため、エンジン2のみで走行できる状態(すなわち、モータアシストが不要な状態)でモータ3の連れ回りを防止することができる。
【0075】
[6.変形例]
上述した実施形態では、車両10の前側にエンジン2及びモータ3が搭載された二輪駆動のハイブリッド車両を例示したが、上記のモータ切り離し制御は、図1中に二点鎖線で示すように、車両10の後側にリヤモータ3Rが搭載された四輪駆動のハイブリッド車両にも適用可能である。すなわち、車両10が、前輪8を駆動するフロントモータ3(第一の回転電機)と、後輪Rを駆動するリヤモータ3R(第二の回転電機)とを有する車両であってもよい。
【0076】
図1中に二点鎖線で示すリヤモータ3Rは、左右後輪8Rを接続する車軸に対して第二のトランスアクスル60を介して接続される。ただし、第二のトランスアクスル60にはクラッチが内蔵されていない。すなわち、リヤモータ3Rはクラッチを介さずに後輪8Rに接続されている。この場合、第一ドグクラッチ20を切断する条件(所定条件)の一つに、「リヤモータ3Rが出力可能な最大出力Prの方が、バッテリ6が出力可能な最大出力Bよりも大きいこと」が含まれることが好ましい。すなわち、バッテリ6の電力をすべてリヤモータ3Rで消費してトルクを出す場合には、フロントモータ3を出力軸12から切り離しておくことで、フロントモータ3の連れ回りを防ぐことができ、電費向上に繋がる。
【0077】
また、このような四輪駆動のハイブリッド車両の場合、上記のクラッチ制御部5Dは、EVモード又はシリーズモードでの走行中にリヤモータ3Rの動力のみで車両10が駆動される場合には、第一ドグクラッチ20を切断することが好ましい。すなわち、EV走行やシリーズ走行をする場合であっても、リヤモータ3Rのみで出力を確保できる場合には、フロントモータ3を出力軸12から切り離すことで、フロントモータ3の連れ回りを防ぐことができ、電費向上に繋がる。
【0078】
なお、上述したパワートレイン7が車両後側に搭載されて上記のモータ3が後輪8Rを駆動し、第二の回転電機(モータ)が車両前側に搭載されて前輪8を駆動するハイブリッド車両に対して、本変形例の制御を適用してもよい。少なくとも、前輪8及び後輪8Rのいずれか一方の車輪を駆動する第一の回転電機と他方を駆動する第二の回転電機とが設けられた車両に対して、本変形例の制御を適用可能である。
【0079】
[7.その他]
上述したモータ切り離し制御の内容は一例であって、上述したものに限られない。例えば、上記実施形態では、運転モードがノーマルモードである場合とスポーツモードである場合とで、待機回転速度Nwを設定するときに用いるマップを変更しているが、運転モードにかかわらず共通のマップを使用して待機回転速度Nwを設定してもよい。また、マップの代わりに数式等を用いて待機回転速度Nwを設定してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、エコモードである場合に待機回転速度Nwを0に設定しているが、エコモードであっても、モータ3を0よりも大きな待機回転速度Nwで維持してもよい。なお、エコモード以外の運転モードでは上記の待機回転速度Nwは、バッテリ6の最大出力Bに応じた可変値とされているが、待機回転速度Nwが予め設定された固定値であってもよい。
【0081】
また、上述した所定条件は一例であって、上記以外のものが含まれてもよい。例えば、「運転モードがエコモード又はノーマルモードであること」を所定条件の一つとしてもよい。すなわち、所定条件に「スポーツモードが設定されていないこと」が含まれていてもよい。この場合、運転モードがスポーツモードであれば、第一ドグクラッチ20は切断されない(第一ドグクラッチ20の切り離しが禁止される)ため、より加速性を重視することができる。また、例えば所定条件に、バッテリ6の充電率や最大出力B等に関する条件が含まれてもよい。
【0082】
上述した制御装置5が制御するトランスアクスル1の構成は一例であって、上述したものに限られない。例えば、上述したトランスアクスル1では、第二ドグクラッチ30が入力軸11及び第一カウンタ軸15のそれぞれに設けられているが、一方の軸11,15に一つの第二ドグクラッチが設けられていてもよい。また、第一断接機構及び第二断接機構はいずれもドグクラッチ(噛み合いクラッチ)に限られず、油圧式の摩擦クラッチや電磁クラッチ等の断接機構でもよい。また、これらの断接機構が上述した以外の場所に配置されていてもよい。
【0083】
上述した運転モード,走行モードはそれぞれ一例であって、上述したモード以外のモードが含まれていてもよいし、上述したモードのうちのいずれかが設けられていなくてもよい。なお、トランスアクスル1に対するエンジン2,モータ3,ジェネレータ4の相対位置は上述したものに限らない。これらの相対位置に応じて、トランスアクスル1内の六つの軸11〜16の配置を設定すればよい。また、トランスアクスル1内の各軸に設けられるギヤの配置も一例であって、上述したものに限られない。
【0084】
また、上述したモータ切り離し制御は、駆動源としての回転電機(モータやモータジェネレータ等)及びエンジンと、駆動用のバッテリとを備えた車両であって、回転電機から駆動輪に至る一つ目の動力伝達経路上に噛み合いクラッチが設けられ、エンジンから駆動輪に至る二つ目の動力伝達経路上に断接機構が設けられた車両に対して適用可能である。すなわち、上述したトランスアクスル1以外の変速装置を備えた車両に対して、上述したモータ切り離し制御を適用してもよい。
【符号の説明】
【0085】
2 エンジン
3 モータ,フロントモータ(第一の回転電機)
3R リヤモータ(第二の回転電機)
4 ジェネレータ(第三の回転電機)
5 制御装置
5A 選択部
5B 推定部
5C 算出部
5D クラッチ制御部(断接機構制御部)
5E モータ制御部(回転電機制御部)
6 バッテリ
8F 駆動輪,前輪,車輪
8R 後輪,車輪
10 車両
12 出力軸
20 第一ドグクラッチ(第一断接機構)
30 第二ドグクラッチ(第二断接機構)
44 回転速度センサ
51 第一経路(第一動力伝達経路)
52 第二経路(第二動力伝達経路)
Pd 要求出力
Pp 所定の出力値
Pr リヤモータ最大出力
B 最大出力
Bp 所定値
Na 車軸回転速度
Nw 待機回転速度
V 車速
Vp 所定車速
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7

【手続補正書】
【提出日】2019年4月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の駆動源として設けられバッテリと電力の授受を行う第一の回転電機、及び、前記駆動源としてのエンジンを備えた車両の制御装置において、
前記車両には、前記第一の回転電機から駆動輪に至る第一動力伝達経路上における第一断接機構と、前記エンジンから前記駆動輪に至る第二動力伝達経路上における第二断接機構と、前記駆動輪側の回転速度と相関のある回転速度を車軸回転速度として検出する回転速度センサと、が設けられるとともに、前記第二断接機構を係合状態にして前記エンジンの動力で前記車両を駆動する第一走行モードと、前記第一断接機構を係合状態にするとともに前記第二断接機構を切断する他の走行モードとが設けられ、
前記制御装置は、
前記第一走行モードで所定条件が成立すれば前記第一断接機構を切断する断接機構制御部と、
前記第一断接機構が切断されている場合に、前記第一の回転電機の待機回転速度を可変制御する回転電機制御部と、
前記バッテリの給電能力を算出する算出部と、を備え、
前記回転電機制御部は、前記給電能力が低いほど、前記車軸回転速度と前記待機回転速度との差が小さくなるように、前記待機回転速度を制御する
ことを特徴とする、車両の制御装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記バッテリが出力可能な最大出力を前記給電能力として算出し、
前記回転電機制御部は、前記最大出力に応じて前記待機回転速度を制御する
ことを特徴とする、請求項1記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記バッテリが出力可能な最大出力を前記給電能力として算出し、
前記回転電機制御部は、前記最大出力が低いほど、前記車軸回転速度と前記待機回転速度との差が小さくなるように、前記待機回転速度を制御する
ことを特徴とする、請求項1記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記回転電機制御部は、前記最大出力が所定値以下では前記待機回転速度を前記車軸回転速度に一致させる
ことを特徴とする、請求項3記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記回転電機制御部は、前記第一断接機構を再接続させる際の同期時間が所定時間以内になるように前記待機回転速度を制御する
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記車両には、前記走行モードとは別に複数の運転モードが設けられており、
前記回転電機制御部は、前記複数の運転モードのうち、電力及び燃料の少なくとも一方の消費を抑制したエネルギー抑制モードが設定されている場合には前記待機回転速度を0に設定する
ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項7】
前記車両には、前記走行モードとは別に複数の運転モードが設けられており、
前記回転電機制御部は、前記複数の運転モードのうち、加速性を重視したスポーツモードが設定されている場合には、前記スポーツモード以外の運転モードが設定されている場合よりも前記第一断接機構を再接続させる際の同期時間が短くなるように前記待機回転速度を制御する
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項8】
前記車両には、前記走行モードとは別に複数の運転モードが設けられており、
前記所定条件は、前記複数の運転モードのうち、加速性を重視したスポーツモードが設定されていないことを含む
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項9】
アクセルペダルの踏み込み操作量に基づいて要求出力を推定する推定部を備え、
前記所定条件は、前記要求出力が所定の出力値以下であることを含む
ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項10】
前記車両には、前輪及び後輪のいずれか一方の車輪を駆動する前記第一の回転電機と他方の車輪を駆動する第二の回転電機とが設けられ、
前記所定条件は、前記第二の回転電機が出力可能な最大出力の方が、前記バッテリが出力可能な最大出力よりも大きいことを含む
ことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項11】
前記車両には、前記エンジンの動力で駆動されて発電することで前記バッテリに電力を供給する第三の回転電機が設けられるとともに、前記第二断接機構を切断して前記エンジンを停止した状態で前記第一の回転電機及び前記第二の回転電機の少なくとも一方の動力を前記車輪に伝達可能な第二走行モードと、前記第二断接機構を切断して前記第三の回転電機で発電した状態で前記第一の回転電機及び前記第二の回転電機の少なくとも一方の動力を前記車輪に伝達可能な第三走行モードとが設けられ、
前記断接機構制御部は、前記第二走行モード又は前記第三走行モードでの走行中に前記第一の回転電機を使用せず前記第二の回転電機の動力で前記車両が駆動される場合には、前記第一断接機構を切断する
ことを特徴とする、請求項10記載の車両の制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
て生じた誘起電圧が駆動用バッテリの電圧を上回ると、車両に対して回生ブレーキが働くことになるため、運転者に違和感を与えかねない。
[0005]
従来は、このような違和感を与えないように、弱め磁束制御を実施することで高速走行時に意図しない回生ブレーキが生じることを防いでいた。しかし、弱め磁束制御の実施には電力を消費することから、電費向上の観点からはこの制御の実施は好ましくない。また、例えば、上記の特許文献1のように、エンジン走行中にモータを動力伝達経路から切り離すクラッチを設けることも考えられる。
[0006]
しかし、油圧式の摩擦クラッチ(例えば多板クラッチ)を設ける場合には、油圧回路やオイルポンプを設ける必要があり、装置の大型化や複雑化は避けられない。一方で、機械式のクラッチ(例えば噛み合いクラッチ)を設ける場合には装置の小型化や簡素化を図れるが、一旦クラッチを開放すると、そのクラッチを再接続するためには、少なくとも回転を同期させる必要がある。すなわちこの場合は、クラッチの再接続に時間がかかり、車両の動力性能が低下するおそれがある。
[0007]
本件の車両の制御装置は、このような課題に鑑み案出されたもので、電費を向上させるとともに動力性能の低下を防止することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
課題を解決するための手段
[0008]
(1)ここで開示する車両の制御装置は、走行用の駆動源として設けられバッテリと電力の授受を行なう第一の回転電機、及び、前記駆動源としてのエンジンを備えた車両の制御装置である。前記車両には、前記第一の回転電機から駆動輪に至る第一動力伝達経路上における第一断接機構と、前記エンジンから前記駆動輪に至る第二動力伝達経路上における第二断接機構と、前記駆動輪側の回転速度と相関のある回転速度を車軸回転速度として検出する回転速度センサと、が設けられるとともに、前記第二断接機構を係合状態にして前記エンジンの動力で前記車両を駆動する第一走行モード(いわゆるパラレルモード)と、前記
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
第一断接機構を係合状態にするとともに前記第二断接機構を切断する他の走行モード(いわゆるEVモードやシリーズモード)とが設けられる。前記制御装置は、前記第一走行モードで所定条件が成立すれば前記第一断接機構を切断する断接機構制御部と、前記第一断接機構が切断されている場合に、前記第一の回転電機の待機回転速度を可変制御する回転電機制御部と、前記バッテリの給電能力を算出する算出部と、を備える。また、前記回転電機制御部は、前記給電能力が低いほど、前記車軸回転速度と前記待機回転速度との差が小さくなるように、前記待機回転速度を制御する。
[0009]
(2)前記算出部は、前記バッテリが出力可能な最大出力を前記給電能力として算出し、前記回転電機制御部は、前記最大出力に応じて前記待機回転速度を制御することが好ましい。
(3)前記算出部は、前記バッテリが出力可能な最大出力を前記給電能力として算出し、前記回転電機制御部は、前記最大出力が低いほど、前記車軸回転速度と前記待機回転速度との差が小さくなるように、前記待機回転速度を制御することが好ましい。
[0010]
(4)前記回転電機制御部は、前記最大出力が所定値以下では前記待機回転速度を前記車軸回転速度に一致させることが好ましい。
(5)前記回転電機制御部は、前記第一断接機構を再接続させる際の同期時間が所定時間以内になるように前記待機回転速度を制御することが好ましい。
(6)前記車両には、前記走行モードとは別に複数の運転モードが設けられていることが好ましい。この場合、前記回転電機制御部は、前記複数の運転モードのうち、電力及び燃料の少なくとも一方の消費を抑制したエネルギー抑制モードが設定されている場合には前記待機回転速度を0に設定することが好ましい。
[0011]
(7)前記車両には、前記走行モードとは別に複数の運転モードが設けられていることが好ましい。この場合、前記回転電機制御部は、前記複数の運転モードのうち、加速性を重視したスポーツモードが設定されている場合に
【国際調査報告】