特表-19138684IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2019-138684ブランク材、該ブランク材のプレス成形方法及びプレス成形装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年7月18日
【発行日】2020年11月26日
(54)【発明の名称】ブランク材、該ブランク材のプレス成形方法及びプレス成形装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/20 20060101AFI20201030BHJP
   B21D 22/26 20060101ALI20201030BHJP
   B21D 24/04 20060101ALI20201030BHJP
【FI】
   B21D22/20 E
   B21D22/26 D
   B21D24/04 G
   B21D24/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
【出願番号】特願2019-564319(P2019-564319)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年11月14日
(31)【優先権主張番号】特願2018-2591(P2018-2591)
(32)【優先日】2018年1月11日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】前田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】石原 好光
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康裕
(72)【発明者】
【氏名】根本 直也
(72)【発明者】
【氏名】狩野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】蔭山 直佑
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA06
4E137AA08
4E137BA01
4E137BB01
4E137CA09
4E137CA26
4E137DA14
4E137EA02
4E137FA03
4E137FA24
4E137GA01
4E137GB02
4E137HA01
4E137HA07
(57)【要約】
プレス成形装置(10)を構成する下型(48)の成形凹部(58)には第1ブランクホルダ(52)が設けられると共に、一方の第1ブランクホルダ(52)の外周側には環状の第2ブランクホルダ(54)が移動自在に設けられる。一方、ブランク材(14)には、開口した第1及び第2ブランク孔(32、34)のうち、第2ブランク孔(34)の直線部(40a、40b)に一組の張力調整部(42a、42b)が形成されると共に、第1及び第2開口部(36、38)の円弧部(44a、44b)が、第2ブランクホルダ(54)に載置される。そして、ブランク材(14)の絞り成形を行う際、直線部(40a、40b)へと付与される外側への張力が張力調整部(42a、42b)によって調整されると共に、円弧部(44a、44b)に付与される径方向外側への張力が第2ブランクホルダ(54)によって調整される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス成形装置によって絞り成形が施され自動車のボディパネルとなるブランク材であって、
前記ボディパネルにおける上下方向に設けられる円弧部と、該円弧部に対して略直交する前記ボディパネルの前後方向に設けられ、該円弧部に接続される略直線状の接続部とからなる開口部を有し、
前記接続部には、前記開口部の内側に向かって延在し、成形時において外側に向かって付与される張力を調整可能な張力調整部が設けられる、ブランク材。
【請求項2】
請求項1記載のブランク材において、
前記張力調整部は、一組の前記接続部に対してそれぞれ形成される、ブランク材。
【請求項3】
請求項1又は2記載のブランク材において、
前記円弧部は、該円弧部の成形された成形体の成形円弧部に対して小さく、且つ、近接した形状で形成される、ブランク材。
【請求項4】
円弧部と該円弧部に接続される略直線状の接続部とからなる開口部を有したブランク材に対して絞り成形を施すプレス成形方法であって、
下型内に設けられた第1ブランクホルダと上型とによって前記開口部の周縁を加圧して挟持すると共に、
前記第1ブランクホルダと前記上型によって挟持された前記ブランク材の挟持部に対して外側となる前記円弧部を、該第1ブランクホルダの外側に設けられた第2ブランクホルダと前記上型との間で加圧して挟持する、プレス成形方法。
【請求項5】
請求項4記載のプレス成形方法において、
前記接続部から前記開口部の内側に向かって延在した張力調整部を前記上型と前記第1ブランクホルダとで挟持してビードを形成する、プレス成形方法。
【請求項6】
円弧部と該円弧部に接続される略直線状の接続部とからなる開口部を有したブランク材に対して絞り成形を施すプレス成形装置であって、
上型と、
前記上型に対向するように配置され前記ブランク材の載置される載置面を有した下型と、
前記上型に対向配置され、該上型と共に前記ブランク材における開口部の周縁を挟持する第1ブランクホルダと、
前記第1ブランクホルダの外側に配置され、該第1ブランクホルダと前記上型によって挟持された前記ブランク材の挟持部に対して外側となる前記円弧部を前記上型との間で挟持する第2ブランクホルダと、
を備え、
前記第1ブランクホルダ及び前記上型には、前記ブランク材における前記接続部から内側に向けて延在した張力調整部を加圧して挟持するビードが設けられる、プレス成形装置。
【請求項7】
請求項6記載のプレス成形装置において、
前記第2ブランクホルダは環状に形成される、プレス成形装置。
【請求項8】
請求項6又は7記載のプレス成形装置において、
前記ビードは、前記張力調整部の延在方向と略直交方向に沿って延在する、プレス成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を有したブランク材、このブランク材に対して絞り成形を行うためのプレス成形方法及びそのプレス成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、自動車のサイドパネルは金属板材をプレス成形することによって生産されており、このサイドパネルは深絞り成形により成形されるもので、予め成形されたサイドパネル全周及び同様に予め成形された開口部縁部全周をブランクホルダで挟持し深絞り成形を行っていた。
【0003】
近年、自動車の意匠性を高めるために、例えば、深絞り成形によってサイドパネルにおけるリアホイルアーチ上部をより凸状に形成しているものが知られている。このようなサイドパネルを1枚の板材から深絞り成形する場合、特にリアホイルアーチ側に予め成形されたリアドア用の開口部において、この開口部におけるリアホイルアーチ上部の凸状に近い箇所である直線部位は、成形時に前記リアホイルアーチ上部の凸状への材料流入量が多くしわが発生しやすいため張力が必要とされる箇所である。
【0004】
また、リアドア用の開口部において、上下方向のR部位は材料の流入により引き伸ばされ亀裂が発生しやすい箇所であるため、材料の伸び量を少なくすることが求められる。従って、開口部においてR部位と直線部位とで異なる対応が求められることとなる。なお、リアホイルアーチとサイドパネルとをそれぞれ別体で成形して溶接等で接合する方法もあるが、この場合には製造工程が増えると共に製造コストが増加してしまうという問題がある。
【0005】
例えば、特許第3814711号公報に開示されたプレス成形方法では、金属製板材から凹部を形成する際、成形品においてスクラップとなる部位の内側の全周に沿って予めスリットを形成しておくことで、絞り成形を行った際に前記スリットの外側のみに力が作用するため、該スリットの端部に亀裂等を生じさせることなく成形を行うことを可能としている。
【0006】
しかしながら、上述したプレス成形方法では、スクラップとなる部分の一辺の中央部内側部分のみにビードを設置するように凹部を絞り成形するものであり、張力が必要な直線部位に張力を付与することが難しいという問題がある。
【0007】
また、実開昭63−145519号公報に開示されたプレス成形装置では、下型となるポンチにおいて外周側に配置されたブランクホルダ近傍となる位置に収納溝が形成され、この収納溝にフローティングポンチがシリンダを介して上下動自在に設けられている。そして、ポンチの上面にワークが載置された状態で、上方からダイが下降して前記ダイとブランクホルダとによってワークの外縁部が保持された後、さらにダイが下降してフローティングポンチに接触することでワークを保持しつつ、ダイと下型との間でワークの絞り成形がなされる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、開口部を有したブランク材に対する絞り成形において、該開口部における亀裂の発生を防止しつつ高品質な成形品を得ることが可能なブランク材、該ブランク材のプレス成形方法及びプレス成形装置を提供することを目的とする。
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、プレス成形装置によって絞り成形が施され自動車のボディパネルとなるブランク材であって、
ボディパネルにおける上下方向に設けられる円弧部と、円弧部に対して略直交するボディパネルの前後方向に設けられ、円弧部に接続される略直線状の接続部とからなる開口部を有し、
接続部には、開口部の内側に向かって延在し、成形時において外側に向かって付与される張力を調整可能な張力調整部が設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、プレス成形装置によって絞り成形がなされるブランク材において、ボディパネルにおける上下方向に設けられる円弧部と、ボディパネルの前後方向に設けられ円弧部に接続される略直線状の接続部とからなる開口部を備え、開口部の内側に向かって延在した張力調整部を接続部に設け、絞り成形が行われる際に、接続部に対して外側へと付与される張力を調整可能としている。
【0011】
従って、開口部を有したブランク材で深絞り成形を行う場合でも、略直線状に形成された接続部の外側への流入量を円弧部に対して好適に調整することで、開口部の前後方向に設けられる凸状の成形部位へのしわの発生を防止して高品質な成形品を得ることが可能となる。
【0012】
また、成形時にリアホイルアーチ上部の凸状への材料流入量によるしわ発生を防止するために、張力調整部を、一組の接続部に対してそれぞれ形成するとよい。これにより、張力調整部をプレス成形装置の(第1及び第2)ブランクホルダで把持することによって張力を付与することができるため、しわの発生を防止することが可能となる。
【0013】
さらに、リアドア用の開口部において、円弧部(R部位)の材料流入による亀裂の発生を防止するために、円弧部を、円弧部の成形された成形体の成形円弧部に対して小さく、且つ、近接した形状で形成するとよい。これにより、円弧部における材料の伸び量を少なくして亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0014】
さらにまた、本発明は、円弧部と円弧部に接続される略直線状の接続部とからなる開口部を有したブランク材に対して絞り成形を施すプレス成形方法であって、
下型内に設けられた第1ブランクホルダと上型とによって開口部の周縁を加圧して挟持すると共に、
第1ブランクホルダと上型によって挟持されたブランク材の挟持部に対して外側となる円弧部を、第1ブランクホルダの外側に設けられた第2ブランクホルダと上型との間で加圧して挟持することを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、開口部を有したブランク材に対して絞り成形を行う際、下型内に設けられた第1ブランクホルダと上型とで開口部の周縁を加圧して挟持し、且つ、第1ブランクホルダ及び上型によって挟持されたブランク材の挟持部に対して外側となる開口部の円弧部を、第1ブランクホルダの外側に設けられた第2ブランクホルダと上型との間で加圧して挟持する。
【0016】
従って、第1ブランクホルダによって開口部の周縁を上型との間で挟持しつつ、その外側に設けられた第2ブランクホルダによって挟持部の外側となる円弧部を上型との間で挟持することが可能となる。
【0017】
その結果、円弧部が第1ブランクホルダの外側となるように開口部を形成することで成形時における外側への流入量を抑制して亀裂の発生を防止しつつ、第2ブランクホルダによって確実に絞り成形を行うことが可能となる。
【0018】
またさらに、接続部から開口部の内側に向かって延在した張力調整部を上型と第1ブランクホルダとで挟持してビードを形成するとよい。これにより、ブランク材に対してより一層効果的に張力を付与することが可能となる。
【0019】
また、本発明は、円弧部と円弧部に接続される略直線状の接続部とからなる開口部を有したブランク材に対して絞り成形を施すプレス成形装置であって、
上型と、
上型に対向するように配置されブランク材の載置される載置面を有した下型と、
上型に対向配置され、上型と共にブランク材における開口部の周縁を挟持する第1ブランクホルダと、
第1ブランクホルダの外側に配置され、第1ブランクホルダと上型によって挟持されたブランク材の挟持部に対して外側となる円弧部を上型との間で挟持する第2ブランクホルダと、
を備え、
第1ブランクホルダ及び上型には、ブランク材における接続部から内側に向けて延在した張力調整部を加圧して挟持するビードが設けられることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、円弧部及び接続部からなる開口部を有したブランク材に絞り成形を行うプレス成形装置において、上型に対向し上型と共にブランク材における開口部の周縁を挟持する第1ブランクホルダと、第1ブランクホルダの外側に配置される第2ブランクホルダとを備え、この第2ブランクホルダが、第1ブランクホルダと上型によって挟持されたブランク材の挟持部に対して外側となる円弧部を上型との間で挟持可能に設けられている。
【0021】
従って、ブランク材に対して絞り成形を行う際、開口部における接続部へと付与される外側への張力を張力調整部のビードによって好適に調整しつつ、同時に、円弧部を第2ブランクホルダを介して挟持することで外側への張力を調整することが可能となる。
【0022】
その結果、開口部を有したブランク材に対して絞り成形を行う場合に、ブランク材の流入量が多くても亀裂の発生しにくい接続部の張力調整と、該流入量が多くなると亀裂の発生しやすい円弧部の張力調整とを好適に両立させることで、成形時における接続部周縁におけるしわの発生と円弧部周縁の亀裂発生を防止しつつ絞りの深い高品質な成形品を得ることが可能となる。
【0023】
さらに、第2ブランクホルダを環状に形成するとよい。これにより、接続部における張力調整部を第2ブランクホルダで把持することになり、より一層効果的に張力を付与することができる。
【0024】
さらにまた、ビードを、張力調整部の延在方向と略直交方向に沿って延在させるとよい。これにより、ブランク材に対して張力を均等に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態に係るプレス成形装置によって成形された自動車用のサイドアウターパネルの正面図である。
図2図1のサイドアウターパネルが成形される前のブランク材を示す正面図である。
図3】成形されたブランク材の第2ブランク孔近傍を示す拡大平面図である。
図4】プレス成形装置を構成する下型、第1及び第2ブランクホルダの平面図である。
図5図4に示す第1ブランクホルダの第2ホルダ部及び第2ブランクホルダの拡大平面図である。
図6図5のVI−VI線に沿った断面図である。
図7図5のVII−VII線に沿った断面図である。
図8図8Aは、図2の直線部を成形する際の成形前後の断面変化を示す概念図であり、図8Bは、図2における成形前の円弧部と成形後の成形円弧部との比較を行うための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
このプレス成形装置10は、ブランク材14に対してプレス成形を施すためのものであり、ここでは、前記プレス成形装置10によって自動車用のサイドアウターパネル(ボディパネル)12をブランク材14となる鋼板から成形する場合について説明する。
【0027】
先ず、成形品であるサイドアウターパネル12について図1を参照しながら説明する。このサイドアウターパネル12は、例えば、自動車におけるボディの側部を構成し、車両方向に沿った前方側(矢印A方向)に形成されるフロントピラー部16と、後方側(矢印B方向)に形成されるリアピラー部18と、前記車両方向の略中央部に形成されるセンターピラー部20と、前記フロントピラー部16、センターピラー部20及びリアピラー部18の上端を繋ぐルーフ部22と、前記フロントピラー部16、センターピラー部20及びリアピラー部18の下端を繋ぐサイドシル部24とを含む。
【0028】
また、サイドアウターパネル12には、フロントピラー部16、センターピラー部20、ルーフ部22及びサイドシル部24によって囲まれた第1ドア開口部26が形成されると共に、前記センターピラー部20、リアピラー部18、前記ルーフ部22及び前記サイドシル部24とに囲まれた第2ドア開口部28が形成され、この第2ドア開口部28の後方側(矢印B方向)には、図示しないリアタイヤの上方となる位置にリアフェンダー部30が形成される。
【0029】
次に、プレス成形されるブランク材14について図2及び図3を参照しながら説明する。
【0030】
このブランク材14は、例えば、一定の板厚を有した鋼板等からなり、車両の前後方向(矢印A、B方向)に沿った長片に形成されている。また、ブランク材14には、その一端部側(矢印A方向)に形成され成形品(サイドアウターパネル12)の第1ドア開口部26となる第1ブランク孔32と、他端部側(矢印B方向)に形成され前記成形品の第2ドア開口部28となる第2ブランク孔(開口部)34が形成され、前記第1ブランク孔32と前記第2ブランク孔34とが車両の前後方向(矢印A、B方向)に沿って所定間隔離間して開口している。
【0031】
第1ブランク孔32は、例えば、断面略三角形状に形成され、一方、第2ブランク孔34は、ブランク材14の前後方向と略直交する上下方向(矢印C方向)に長尺な略長円状に形成される。この第2ブランク孔34は、上部及び下部にそれぞれ半円状に開口した第1及び第2開口部36、38と、第1開口部36と第2開口部38とを繋ぐ一組の直線部(接続部)40a、40bと、前記直線部40a、40bから内側に向かって延在した一組の張力調整部42a、42bとから構成される。
【0032】
この第1開口部36は、上方に形成され該上方に向かって断面円弧状に湾曲した円弧部44aを有し、第2開口部38は、第1開口部36に対して下方に形成され該下方に向かって断面円弧状に湾曲した円弧部44bを有しており、図3に示されるように、前記円弧部44a、44bは、成形後における成形品の成形円弧部46に対して若干だけ径方向内側となるように形成されている。
【0033】
換言すれば、円弧部44a、44bは、その径寸法が成形品の成形円弧部46の径寸法に対して小さく、且つ、一方の円弧部44aが上方の成形円弧部46に対して近接し、他方の円弧部44bが下方の成形円弧部46に対して近接するように形成される。
【0034】
すなわち、第2ブランク孔34は、第1開口部36と第2開口部38とが上下方向において互いに向かい合うように形成され、一方の直線部40aと他方の直線部40bとが前後方向(矢印A、B方向)において互いに向かい合うように第1及び第2開口部36、38の間に形成されている。
【0035】
一方の直線部40aが、第1開口部36の円弧部44aの一端部と第2開口部38の円弧部44bの一端部とを繋ぎ、他方の直線部40bが前記第1開口部36における円弧部44aの他端部と第2開口部38における円弧部44bの他端部とを繋いでいる。
【0036】
張力調整部42a、42bは、一組の直線部40a、40bに対して略直交するように互いに内側へと延在し、上下方向(矢印C方向)に所定幅で形成されると共に前記直線部40a、40bから所定長さだけ突出している。換言すれば、一組の張力調整部42a、42bは、第2ブランク孔34の中心に向かって互いに接近するようにそれぞれ延在している。
【0037】
次に、上述したブランク材14のプレス成形を行うプレス成形装置10について説明する。
【0038】
このプレス成形装置10は、いわゆる絞り成形を施すためのものであり、図4図7に示されるように、ブランク材14であるワークを深絞り加工する成形型としての下型48と、図示しない昇降機構の作用下に前記下型48に対して接近又は離間する上型50と、前記ブランク材14を保持するための第1及び第2ブランクホルダ52、54とを有する。
【0039】
下型48は、図示しない基台等に固定された固定型であり、その外縁部56(図6及び図7参照)が凸形状をなし、略中央部には凹状の成形凹部58を有している。上型50は、鉛直方向(図6及び図7中、矢印D方向)に変位可能な可動型であり、前記下型48の成形凹部58に挿入可能な成形凸部60を有すると共に、この成形凸部60の下面には第1ブランクホルダ52の頂部に臨む位置に突出部62がそれぞれ形成される。
【0040】
そして、上型50と下型48との型閉じが行われた際、該上型50の成形凸部60が該下型48の成形凹部58内に進入し、これにより両者の間に成形品(サイドアウターパネル12)の形状となるキャビティが形成される。
【0041】
第1ブランクホルダ52は、下型48の成形凹部58内において鉛直方向に移動自在に設けられ、ブランク材14の第1ブランク孔32近傍を成形する第1ホルダ部64と、前記ブランク材14の第2ブランク孔34近傍を成形する第2ホルダ部66とを有している。そして、第1及び第2ホルダ部64、66は、下型48の前後方向(矢印A方向)に沿って互いに離間するように形成される(図4参照)。
【0042】
また、第1及び第2ホルダ部64、66は、図6及び図7に示されるように、その下端が図示しない付勢手段から延在する複数のクッションピン68に支持され、前記第1及び第2ホルダ部64、66からなる第1ブランクホルダ52が、前記クッションピン68が鉛直方向(矢印D方向)に沿って前進(上昇)・後退(下降)動作することに追従して変位する。
【0043】
さらに、第1及び第2ホルダ部64、66は、上型50に臨む頂部が略平面状に形成され、この第1ホルダ部64の頂部には外縁部近傍に環状溝部70が形成される。一方、第2ホルダ部66の頂部には、下型48の略上下方向に延在する一対の溝部72が形成される。そして、ブランク材14を上型50と第1ブランクホルダ52との間で成形する際、ブランク材14を間に挟んだ状態で該上型50の突出部62(図6参照)が環状溝部70及び溝部72へとそれぞれ挿入されることで、前記ブランク材14の第1及び第2ブランク孔32、34の近傍にそれぞれビード74が形成される。
【0044】
なお、第1ホルダ部64によって形成されたビード74は環状溝部70に対応した環状に形成され、第2ホルダ部66によって形成されたビード74は、一対の溝部72に対応した直線状にそれぞれ形成される(図3参照)。
【0045】
第2ブランクホルダ54は、第1ブランクホルダ52における第2ホルダ部66の周りを囲むように環状に形成され、複数のシリンダ76が下部に設けられシリンダロッド78によって支持される。また、上型50に臨む第2ブランクホルダ54の成形面54aは、内側となる第1ブランクホルダ52側から径方向外側となる下型48側に向かって高くなるように形成される。
【0046】
そして、第2ブランクホルダ54は、シリンダ76のシリンダロッド78が前進(上昇)・後退(下降)動作することに伴って、下型48に対して鉛直方向に進退動作(昇降動作)する。
【0047】
本発明の実施の形態に係るプレス成形装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にブランク材14を成形する成形方法について説明する。
【0048】
先ず、型開きされた下型48と上型50の間にブランク材14が配置される。この際、第1及び第2ブランクホルダ52、54は、それぞれクッションピン68及びシリンダ76の付勢作用下に最も上昇した上死点位置にあり、前記ブランク材14が前記第1及び第2ブランクホルダ52、54の頂部(載置面)に当接するように載置される。
【0049】
また、ブランク材14は、その第1ブランク孔32が第1ブランクホルダ52の第1ホルダ部64に臨むように載置され、第2ブランク孔34の直線部40a、40b及び張力調整部42a、42bが第2ホルダ部66に臨み、第1及び第2開口部36、38の円弧部44a、44bが第2ブランクホルダ54に臨むように載置される。
【0050】
そして、プレス成形を施すべく、図示しない昇降機構の駆動作用下に上型50が下降動作して下型48に対して接近し、前記上型50の成形凸部60が前記下型48の成形凹部58へと進入することで、前記成形凸部60の第1ブランクホルダ52に対向する面が、先ず、ブランク材14における第1ブランクホルダ52に載置された部位へと当接して押圧する。
【0051】
これにより、第1ブランクホルダ52が上型50からの押圧力を受けてクッションピン68を押し下げながら下降すると共に、前記上型50の突出部62によってブランク材14が第1ホルダ部64の環状溝部70へと押し込まれることで塑性変形して環状のビード74が形成される。これと同時に、第2ブランク孔34の張力調整部42a、42bが、上型50と第2ホルダ部66の頂部との間に挟持されることで、図3に示されるように、該張力調整部42a、42bに下方へと窪んだ直線状の2本のビード74が形成される。このビード74は、ブランク材14の上下方向となる張力調整部42a、42bの幅方向に沿ってそれぞれ形成される。
【0052】
この上型50がさらに下降すると、図6に示されるように、成形凸部60の外縁部56と成形凹部58の内縁部との間で鉛直方向(矢印D方向)に絞り成形がなされ、それに伴って、ブランク材14の内側が車両後方側(矢印B方向)となる外側に向かって所定のテンションで引っ張られることとなる。この際、第2ブランク孔34の直線部40a、40bは、ビード74を介して上型50と第1ブランクホルダ52との間に挟持された張力調整部42a、42bによって所定の張力となるように調整され、それに伴ってブランク材14の車両前後方向(矢印A、B方向)への流入量が調整される。
【0053】
また、図8Aに示されるように、直線部40a、40bでは、上型50と下型48とによって鉛直方向(矢印D方向)への変形量が大きくなるが、ブランク材14の外側(矢印E方向)への流入量が大きいため成形時に亀裂が生じることがない。
【0054】
同時に、上型50の下降に伴って、図7に示されるように、シリンダ76のシリンダロッド78が下方へと押圧されブランク材14を介して第2ブランクホルダ54が押し下げられると共に、第2ブランク孔34の第1及び第2開口部36、38の円弧部44a、44bが第2ブランクホルダ54との間に挟持され加圧されることで成形面54aにおいて絞り成形がなされる。
【0055】
この際、図3に示されるように、第2ブランク孔34における第1及び第2開口部36、38は、その円弧部44a、44bが予め成形後の成形円弧部46に対して径方向に近くなるような形状で形成されているため、第2ブランク孔34に対する径方向外側へのブランク材14の流入量がわずかとなる。
【0056】
ここで、上述した第2ブランク孔34の円弧部44aにおける成形時のブランク材14の流入量の変化について、図8Bを参照しながら簡単に説明する。なお、図8Bにおいて、成形前における円弧部44aの一部を取り出した第1円弧部位をR1とし、プレス成形によって前記第1円弧部位R1が成形された成形円弧部46を第2円弧部位R2としている。
【0057】
図8Bから諒解されるように、円弧部44aの一部である第1円弧部位R1の長さはL1であり、この第1円弧部位R1が成形されることで径方向外側に所定距離だけ押し出されて拡大し、成形された成形円弧部46の第2円弧部位R2となる。この第2円弧部位R2は、第1円弧部位R1よりも長尺な長さL2となる。
【0058】
すなわち、径方向への押し出し距離であるブランク材14の流入量がF1の場合、成形後の第2円弧部位R2の長さL2と、成形前の第1円弧部位R1の長さL1との差がL2−L1となる。
【0059】
一方、第1円弧部位R1に対してブランク材14の径方向外側への流入量が大きくなるように、例えば、該第1円弧部位R1よりも径方向内側となる位置に、成形前である第3円弧部位R1´(図8B中、破線参照)を設定した場合には、前記第3円弧部位R1´から前記第2円弧部位R2を成形するために、上記よりも大きな流入量F2(距離)が必要となり、しかも、前記第3円弧部位R1´の長さL1´と成形後の第2円弧部位R2の長さL2との差がL2−L1´となる。
【0060】
そのため、流入量F1で成形した場合の第2円弧部位R2の長さL2に対し、より径方向外側へと大きく流入させた流入量F2で成形した場合には、前記第2円弧部位R2の長さL2との差がL1−L1´の分だけ長くなる。
【0061】
この円弧部44aにおいては、図8Bに示されるように、成形時におけるブランク材14の径方向外側への流入量が大きくなるほど成形時において亀裂が発生しやすくなる。そのため、成形後の第2円弧部位R2に対してなるべく流入量が少ない、すなわち、径方向への離間距離が小さくなるように成形前における円弧部位の形状を設定することが好ましいことが諒解される。
【0062】
なお、上記の説明では、第1開口部36の円弧部44aについて説明したが、第2開口部38の円弧部44bに関しても同様であるため詳細な説明は省略する。
【0063】
このように、ブランク材14が成形される際、第2ブランク孔34の直線部40a、40bに付与される張力を張力調整部42a、42bで調整することで車両前後方向への張力をコントロールし、且つ、第1及び第2開口部36、38の円弧部44a、44bに付与される上下方向への張力を第2ブランクホルダ54によってコントロールしている。
【0064】
なお、各図においては簡素に示しているが、実際には、ブランク材14における第2ブランク孔34の内縁には三次元的な形状が付与され、特に、成形が進行するに従って、車両後方側(矢印B方向)となる一方の直線部40bには後方側(矢印B方向)に向かってに指向する引張力が作用する。この引張力により、ブランク材14には車両方向と略直交方向となる幅方向に深い絞り成形がなされ、成形品における第2ドア開口部28からリアフェンダー部30にかけて三次元的な形状とすることができる。
【0065】
そして、上型50が最大限下降した下死点に到達すると、下型48、第1及び第2ブランクホルダ52、54と上型50との間に挟持されたブランク材14が、成形凹部58と、該成形凹部58へ進入した成形凸部60とによって形成されるキャビティの形状に対応した成形品(サイドアウターパネル12)へと成形される。
【0066】
その後、図示しない昇降機構の作用下に上型50を下型48、第1及び第2ブランクホルダ52、54から離間させて型開きを行い、成形品をプレス成形装置10から取り外すことでブランク材14のプレス成形が終了し成形品であるサイドアウターパネル12が得られる。なお、成形品に対してトリム加工を行うことで、第1及び第2ドア開口部26、28の開口したサイドアウターパネル12となる。
【0067】
以上のように、本実施の形態では、第1及び第2ブランク孔32、34を有したブランク材14の絞り成形を行うプレス成形装置10において、下型48における成形凹部58内に第1ブランクホルダ52と、車両後方側に配置される第1ブランクホルダ52の第2ホルダ部66の外周側に環状の第2ブランクホルダ54とを設けると共に、前記第2ブランク孔34は、断面半円状の第1及び第2開口部36、38と、該第1開口部36と第2開口部38とを繋ぐ一組の直線部40a、40bとを有し、前記直線部40a、40bには第2ブランク孔34の内側に向かって延在した一組の張力調整部42a、42bを備えている。
【0068】
これにより、ブランク材14に対して絞り成形を行う際、上型50と第1ブランクホルダ52によって張力調整部42a、42bを挟んでビード74を形成することで、第2ブランク孔34の直線部40a、40bに対して外側へと付与される張力を好適に調整することが可能となる。これにより、ブランク材14の車両前後方向(矢印A、B方向)への流入量を多くした場合でも、その張力を好適に調整することでサイドアウターパネル12におけるリアフェンダー部30近傍の凸状部位をしわを発生させることなく成形可能となる。
【0069】
また、成形時に亀裂の発生しやすい第2ブランク孔34における第1及び第2開口部36、38の円弧部44a、44bを、その形状が成形後における成形円弧部46の形状と径方向に近くなるように予め設定することで、成形時におけるブランク材14の径方向外側への流入量を抑制することが可能となり、それに伴って、成形後の変形量(伸び量)を抑制することで亀裂の発生を好適に防止することができる。
【0070】
さらに、上述したように円弧部44a、44bの径方向外側へと拡大させた場合でも、第1ブランクホルダ52の外周側に設けられた第2ブランクホルダ54によって前記円弧部44a、44bを上型50との間で確実に挟持することで、ビードを設けることなく径方向外側へと付与される張力を好適に調整することができる。
【0071】
換言すれば、第2ブランク孔34において、第1及び第2開口部36、38における円弧部44a、44bの径寸法を大きくして第1ブランクホルダ52より外周側となってしまった場合でも、第2ブランクホルダ54によって確実に挟持して成形することが可能となる。
【0072】
すなわち、プレス成形装置10においてブランク材14に対して絞り成形を行う際、第2ブランク孔34の直線部40a、40bに対して外側へと付与される張力をそれぞれビード74を有した張力調整部42a、42bによって好適に調整し、且つ、円弧部44a、44bの形状を成形後の成形円弧部46に対して径方向に近い形状とすることで亀裂の発生を防止しつつ、前記円弧部44a、44bに対し、第2ブランクホルダ54で挟持することによって外側への張力を調整することができる。
【0073】
その結果、開口部を有したブランク材14に対して深絞り成形を行う場合においても、該ブランク材14の流入量が多くても亀裂が発生しにくい反面でしわの発生しやすい直線部40a、40bの張力調整と、該流入量が多くなると引き伸ばされて亀裂の発生しやすい断面円弧状の第1及び第2開口部36、38における円弧部44a、44bの張力調整とを好適に両立させることで、深絞り成形を行った場合でも、円弧部44a、44bと直線部40a、40bとを有するブランク材14の第2ブランク孔34において亀裂を生じさせることなく、例えば、第2ドア開口部28からリアフェンダー部30にかけて車両の幅方向に深い絞り形状が要求される自動車用のサイドアウターパネル12(成形品)を得ることが可能となる。
【0074】
なお、本発明に係るブランク材、該ブランク材のプレス成形方法及びプレス成形装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】