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再表2019-180920船舶の推進器の制御装置、船舶の推進器の制御方法、及び船舶の推進器の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年9月26日
【発行日】2021年1月7日
(54)【発明の名称】船舶の推進器の制御装置、船舶の推進器の制御方法、及び船舶の推進器の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B63H 25/02 20060101AFI20201204BHJP
   B63H 25/42 20060101ALI20201204BHJP
【FI】
   B63H25/02
   B63H25/42 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2020-507249(P2020-507249)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年3月23日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤間 昭史
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 崇
(72)【発明者】
【氏名】山本 宙
(57)【要約】
船舶の平行移動を正確に行うことを可能とする船舶の推進器の制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供する。ジョイスティック33が所定方向に倒されると、システム制御部30は、船舶100の現在位置における波の高さが閾値以上であれば、この所定方向に船舶100を移動させるために記憶部37に記憶されている船外機20R,20Lの制御パラメータを補正しながら補正後の制御パラメータにしたがって船舶100を平行移動させる第二の制御を行い、波の高さが閾値未満であれば、上記制御パラメータによって船舶100を移動させたときの船舶100の移動状態から、この制御パラメータが適正か否かを判定し、適正でない場合には、船舶100が平行移動するように、この制御パラメータを書き換える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の推進器を搭載する船舶における前記推進器を制御する船舶の推進器の制御装置であって、
前記船舶を平行移動させるための操作部から入力される操作信号に関連付けて前記複数の推進器の各々の制御パラメータのセットを記憶する記憶部と、
前記船舶を所定方向に平行移動させるための第一の操作信号が入力された場合に、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器を制御する第一の制御と、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器の制御を開始し、当該制御後の前記船舶の移動状態に基づいて前記船舶が平行移動するように当該セットを補正しながら補正後の前記セットにより前記複数の推進器を制御する第二の制御と、を選択的に行う制御部と、
前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記第一の操作信号に対応する前記セットを書き換える更新処理を行う更新処理部と、
前記船舶が存在する海の気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記気象情報に基づいて、前記更新処理に適した状況か否かを判定する第一の判定部と、を備え、
前記制御部は、前記第一の判定部により前記更新処理に適した状況であると判定された場合には前記第一の制御を行い、前記第一の判定部により前記更新処理に適した状況ではないと判定された場合には前記第二の制御を行い、
前記第一の判定部により前記更新処理に適した状況であると判定された場合に、前記制御部により行われる前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記第一の操作信号に対応する前記セットが適正か否かを判定する第二の判定部を更に備え、
前記更新処理部は、前記第二の判定部により前記セットが適正ではないと判定された場合に前記更新処理を行う船舶の推進器の制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の船舶の推進器の制御装置であって、
前記気象情報は、波の高さを示す情報であり、
前記第一の判定部は、前記波の高さが閾値以上となる場合には前記更新処理に適した状況ではないと判定し、前記波の高さが前記閾値未満となる場合には前記更新処理に適した状況であると判定する船舶の推進器の制御装置。
【請求項3】
請求項1記載の船舶の推進器の制御装置であって、
前記気象情報は、風の強さを示す情報であり、
前記第一の判定部は、前記風の強さが閾値以上となる場合には前記更新処理に適した状況ではないと判定し、前記風の強さが前記閾値未満となる場合には前記更新処理に適した状況であると判定する船舶の推進器の制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の船舶の推進器の制御装置であって、
前記第一の判定部は、前記閾値を制御する船舶の推進器の制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の船舶の推進器の制御装置であって、
前記第一の判定部は、前記船舶のサイズの情報を取得し、前記サイズが第一の値である場合には、前記サイズが前記第一の値よりも小さい第二の値である場合よりも前記閾値を高くする船舶の推進器の制御装置。
【請求項6】
請求項4記載の船舶の推進器の制御装置であって、
前記第一の判定部は、前記船舶の位置情報を取得し、当該位置情報に基づく前記船舶の位置が湾内にある場合には、前記位置が湾外にある場合よりも前記閾値を高くする船舶の推進器の制御装置。
【請求項7】
複数の推進器を含む船舶を平行移動させるための操作部と、前記操作部から入力される操作信号に関連付けて前記複数の推進器の各々の制御パラメータのセットを記憶する記憶部と、前記複数の推進器と、を搭載する前記船舶における前記推進器を制御する船舶の推進器の制御方法であって、
前記船舶を所定方向に平行移動させるための第一の操作信号が入力された場合に、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器を制御する第一の制御と、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器の制御を開始し、当該制御後の前記船舶の移動状態に基づいて前記船舶が平行移動するように当該セットを補正しながら補正後の前記セットにより前記複数の推進器を制御する第二の制御と、を選択的に行う制御ステップと、
前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記第一の操作信号に対応する前記セットを書き換える更新処理を行う更新処理ステップと、
前記船舶が存在する海の気象情報を取得する気象情報取得ステップと、
前記気象情報に基づいて、前記更新処理に適した状況か否かを判定する第一の判定ステップと、を備え、
前記制御ステップでは、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合には前記第一の制御を行い、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況ではないと判定された場合には前記第二の制御を行い、
前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合に、前記制御ステップにより行われる前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記第一の操作信号に対応する前記セットが適正か否かを判定する第二の判定ステップを更に備え、
前記更新処理ステップでは、前記第二の判定ステップにより前記セットが適正ではないと判定された場合に前記更新処理を行う船舶の推進器の制御方法。
【請求項8】
複数の推進器を含む船舶を平行移動させるための操作部と、前記操作部から入力される操作信号に関連付けて前記複数の推進器の各々の制御パラメータのセットを記憶する記憶部と、前記複数の推進器と、を搭載する前記船舶における前記推進器を制御する船舶の推進器の制御方法をコンピュータに実行させるための船舶の推進器の制御プログラムであって、
前記制御方法は、
前記船舶を所定方向に平行移動させるための第一の操作信号が入力された場合に、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器を制御する第一の制御と、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器の制御を開始し、当該制御後の前記船舶の移動状態に基づいて前記船舶が平行移動するように当該セットを補正しながら補正後の前記セットにより前記複数の推進器を制御する第二の制御と、を選択的に行う制御ステップと、
前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記第一の操作信号に対応する前記セットを書き換える更新処理を行う更新処理ステップと、
前記船舶が存在する海の気象情報を取得する気象情報取得ステップと、
前記気象情報に基づいて、前記更新処理に適した状況か否かを判定する第一の判定ステップと、を備え、
前記制御ステップでは、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合には前記第一の制御を行い、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況ではないと判定された場合には前記第二の制御を行い、
前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合に、前記制御ステップにより行われる前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記第一の操作信号に対応する前記セットが適正か否かを判定する第二の判定ステップを更に備え、
前記更新処理ステップでは、前記第二の判定ステップにより前記セットが適正ではないと判定された場合に前記更新処理を行う船舶の推進器の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の推進器の制御装置、船舶の推進器の制御方法、及び船舶の推進器の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ジョイスティック等の操作装置の操作に応じて、船尾に備えられた一対の船外機の出力及び操舵角を制御することによって、船舶を回頭させることなく横又は斜めに移動(以下、平行移動という)させることができる船舶が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2010−126085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような船舶では、ジョイスティックを所定の方向に倒したときに、その方向に対応する方向に船舶が平行移動できるように、ジョイスティックの操作状態と、一対の船外機の制御内容とを予め対応付けておく必要がある。
【0005】
しかし、ジョイスティックと船外機の組み合わせは様々であるため、その組み合わせによっては、予め決められている制御内容が適切なものとならないことがある。
【0006】
そこで、船舶にて、船舶が平行移動できているか否かを判定し、平行移動ができていない場合には、上記の制御内容を最適な内容に更新する更新処理を行うことが考えられる。しかし、風が強い日又は波が荒い日等では船舶の姿勢が安定しにくい。このため、風又は波によって船舶が平行移動できていない状態と、予め決められた制御内容が適切ではないために船舶が平行移動できていない状態とを区別する必要がある。
【0007】
風又は波によって船舶が回頭する状態にて船舶が平行移動できるように制御内容を更新してしまうと、風がない日又は波が静かな日においては、制御内容が適切なものとならなくなり、更新処理が繰り返し行われてしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、船舶の平行移動を正確に行うことを可能とする船舶の推進器の制御装置、船舶の推進器の制御方法、及び船舶の推進器の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の船舶の推進器の制御装置は、複数の推進器を搭載する船舶における前記推進器を制御する船舶の推進器の制御装置であって、前記船舶を平行移動させるための操作部から入力される操作信号に関連付けて前記複数の推進器の各々の制御パラメータのセットを記憶する記憶部と、前記船舶を所定方向に平行移動させるための第一の操作信号が入力された場合に、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器を制御する第一の制御と、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器の制御を開始し、当該制御後の前記船舶の移動状態に基づいて前記船舶が平行移動するように当該セットを補正しながら補正後の前記セットにより前記複数の推進器を制御する第二の制御と、を選択的に行う制御部と、前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記第一の操作信号に対応する前記セットを書き換える更新処理を行う更新処理部と、前記船舶が存在する海の気象情報を取得する気象情報取得部と、前記気象情報に基づいて、前記更新処理に適した状況か否かを判定する第一の判定部と、を備え、前記制御部は、前記第一の判定部により前記更新処理に適した状況であると判定された場合には前記第一の制御を行い、前記第一の判定部により前記更新処理に適した状況ではないと判定された場合には前記第二の制御を行い、前記第一の判定部により前記更新処理に適した状況であると判定された場合に、前記制御部により行われる前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記第一の操作信号に対応する前記セットが適正か否かを判定する第二の判定部を更に備え、前記更新処理部は、前記第二の判定部により前記セットが適正ではないと判定された場合に前記更新処理を行うものである。
【0010】
本発明の船舶の推進器の制御方法は、複数の推進器を含む船舶を平行移動させるための操作部と、前記操作部から入力される操作信号に関連付けて前記複数の推進器の各々の制御パラメータのセットを記憶する記憶部と、前記複数の推進器と、を搭載する前記船舶における前記推進器を制御する船舶の推進器の制御方法であって、前記船舶を所定方向に平行移動させるための第一の操作信号が入力された場合に、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器を制御する第一の制御と、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器の制御を開始し、当該制御後の前記船舶の移動状態に基づいて前記船舶が平行移動するように当該セットを補正しながら補正後の前記セットにより前記複数の推進器を制御する第二の制御と、を選択的に行う制御ステップと、前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記第一の操作信号に対応する前記セットを書き換える更新処理を行う更新処理ステップと、前記船舶が存在する海の気象情報を取得する気象情報取得ステップと、前記気象情報に基づいて、前記更新処理に適した状況か否かを判定する第一の判定ステップと、を備え、前記制御ステップでは、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合には前記第一の制御を行い、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況ではないと判定された場合には前記第二の制御を行い、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合に、前記制御ステップにより行われる前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記第一の操作信号に対応する前記セットが適正か否かを判定する第二の判定ステップを更に備え、前記更新処理ステップでは、前記第二の判定ステップにより前記セットが適正ではないと判定された場合に前記更新処理を行うものである。
【0011】
本発明の船舶の推進器の制御プログラムは、複数の推進器を含む船舶を平行移動させるための操作部と、前記操作部から入力される操作信号に関連付けて前記複数の推進器の各々の制御パラメータのセットを記憶する記憶部と、前記複数の推進器と、を搭載する前記船舶における前記推進器を制御する船舶の推進器の制御方法をコンピュータに実行させるための船舶の推進器の制御プログラムであって、前記制御方法は、前記船舶を所定方向に平行移動させるための第一の操作信号が入力された場合に、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器を制御する第一の制御と、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器の制御を開始し、当該制御後の前記船舶の移動状態に基づいて前記船舶が平行移動するように当該セットを補正しながら補正後の前記セットにより前記複数の推進器を制御する第二の制御と、を選択的に行う制御ステップと、前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記第一の操作信号に対応する前記セットを書き換える更新処理を行う更新処理ステップと、前記船舶が存在する海の気象情報を取得する気象情報取得ステップと、前記気象情報に基づいて、前記更新処理に適した状況か否かを判定する第一の判定ステップと、を備え、前記制御ステップでは、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合には前記第一の制御を行い、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況ではないと判定された場合には前記第二の制御を行い、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合に、前記制御ステップにより行われる前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記第一の操作信号に対応する前記セットが適正か否かを判定する第二の判定ステップを更に備え、前記更新処理ステップでは、前記第二の判定ステップにより前記セットが適正ではないと判定された場合に前記更新処理を行うものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、船舶の平行移動を正確に行うことを可能とする船舶の推進器の制御装置、船舶の推進器の制御方法、及び船舶の推進器の制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の制御装置の一実施形態であるシステム制御部を含む船舶の外観構成を示す模式図である。
図2図1に示す船舶のハードウェアの要部構成を示すブロック図である。
図3図2に示すシステム制御部の機能ブロックを示す図である。
図4】ジョイスティックが所定方向に倒された場合のシステム制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
図5】ジョイスティックが所定方向に倒された場合のシステム制御部の動作の第一の変形例を説明するためのフローチャートである。
図6】ジョイスティックが所定方向に倒された場合のシステム制御部の動作の第二の変形例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の制御装置の一実施形態であるシステム制御部を含む船舶100の外観構成を示す模式図である。
【0016】
船舶100は、船体10と、船体10の船尾10aに取り付けられた転舵角が可変な推進器を構成する船外機20R及び船外機20Lと、船体10に設けられた方位センサ31と、船体10の右側部に設けられた受信機32Rと、船体10の左側部に設けられた受信機32Lと、船体10に設けられた操作部を構成するジョイスティック33と、船体10に設けられたシフト・スロットル操作装置34と、船体10に設けられたステアリング装置35と、を備える。
【0017】
方位センサ31は、船体10の船首の方位を検出し、検出した方位の情報を後述のシステム制御部30(図2参照)に送信する。
【0018】
受信機32Rと受信機32Lは、それぞれ、GPS(Global Positioning System)等のGNSS(Global Navigation Satellite System)用の受信機であり、例えばGPS衛星から信号を受信し、受信した信号を後述のシステム制御部30(図2参照)に送信する。
【0019】
受信機32Rと受信機32Lは、船体10の船首と船尾10aを結ぶ方向に直交する方向に並んで配置されている。
【0020】
船外機20Rと船外機20Lは、同じ構成であるため、以下では船外機20Rについてのみ説明する。船外機20Rは、ECU(Electronic Control Unit)21と、図示省略の内燃機関と、この内燃機関からの動力によって回転するプロペラ27と、スロットル用モータ23と、転舵用モータ24と、シフト用モータ26と、を備える。
【0021】
ECU21は、プログラムを実行して処理を行う各種のプロセッサと、RAM(Ramdom Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)を含む。
【0022】
上記の各種のプロセッサとしては、プログラムを実行して各種処理を行う汎用的なプロセッサであるCPU(Central Prosessing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0023】
これら各種のプロセッサの構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0024】
スロットル用モータ23は、内燃機関のスロットルバルブを開閉駆動するためのアクチュエータである。
【0025】
転舵用モータ24は、船外機20Rを鉛直軸周りに回転させて船体10の船首と船尾10aを結ぶ方向に対する船外機20Rの向きを変える転舵機構を駆動するためのアクチュエータである。
【0026】
シフト用モータ26は、プロペラ27の回転方向を正逆で切り替えるシフト機構を駆動するためのアクチュエータである。
【0027】
ジョイスティック33は、船舶100を平行移動させる操作を行うための装置である。ジョイスティック33が所定方向に倒されると、船舶100をこの所定方向に平行移動させるための操作信号が後述のシステム制御部30に入力される。
【0028】
シフト・スロットル操作装置34は、船外機20R及び船外機20Lのシフトチェンジと推進力調整を行うための装置である。
【0029】
ステアリング装置35は、船外機20R及び船外機20Lの転舵操作を行うための装置である。
【0030】
図2は、図1に示す船舶100のハードウェアの要部構成を示すブロック図である。
【0031】
船舶100は、方位センサ31、受信機32R、受信機32L、ジョイスティック33、シフト・スロットル操作装置34、ステアリング装置35、船外機20R、及び船外機20Lに加えて、システム制御部30と、通信インタフェース(I/F)36と、記憶部37と、を備える。システム制御部30と記憶部37によって船舶の推進器の制御装置が構成される。
【0032】
システム制御部30は、制御プログラムを含むプログラムを実行して処理を行う、上述した各種のプロセッサである。
【0033】
システム制御部30と、方位センサ31、受信機32R、受信機32L、ジョイスティック33、シフト・スロットル操作装置34、ステアリング装置35、船外機20RのECU21、及び船外機20LのECU21の各部とは、有線通信又は無線通信によって通信可能に構成される。
【0034】
システム制御部30と各部とは、例えばNMEA(NationalMarine Electronics Association。米国船舶用電子機器協会)で規格された通信方式(例えばNMEA2000。具体的にはCAN(Controller Area Network))で接続される。
【0035】
記憶部37は、制御プログラムを含むプログラムを記憶するROMと、RAMと、を含む。記憶部37のROMには、ジョイスティック33から入力され得る複数の操作信号の各々に関連付けて、船外機20R及び船外機20Lの各々の制御パラメータ(制御内容)のセットが予め記憶されている。
【0036】
制御パラメータとは、スロットルバルブの開度、転舵機構の転舵角、及びプロペラ27の回転方向をそれぞれ指定する情報である。
【0037】
記憶部37のROMに記憶されるセットは、ジョイスティック33の製造時に作成されたデータである。このため、ジョイスティック33と船外機20R及び船外機20Lとの組み合わせによっては、このセットにしたがって船外機20R及び船外機20Lを制御した場合であっても、船舶100が平行移動しない場合がある。したがって、このセットについては、後述するように更新(書き換え)が必要になる場合がある。
【0038】
通信I/F36は、携帯電話ネットワーク等を介して、インターネット等のネットワークに接続するためのインタフェースである。
【0039】
図3は、図2に示すシステム制御部30の機能ブロックを示す図である。
【0040】
システム制御部30は、記憶部37に記憶されている制御プログラムを含むプログラムを実行して船舶100の各種ハードウェアと協働することにより、制御部30A、更新処理部30B、気象情報取得部30C、第一の判定部30D、及び第二の判定部30Eとして機能する。
【0041】
制御部30Aは、船舶100を所定方向に平行移動させるための第一の操作信号がジョイスティック33から入力された場合に、第一の制御と第二の制御とのいずれかを選択的に行う。
【0042】
第一の制御とは、記憶部37に記憶された複数のセットのうちの第一の操作信号に対応するセットにより船外機20R及び船外機20Lを制御することを言う。
【0043】
第二の制御とは、記憶部37に記憶された複数のセットのうちの第一の操作信号に対応するセットにより船外機20R及び船外機20Lの制御を開始し、この制御後の船舶100の移動状態に基づいて、船舶100が上記の所定方向に平行移動するように、このセットを補正しながら補正後のセットにより船外機20R及び船外機20Lを制御することを言う。
【0044】
この第二の制御においては、記憶部37に記憶されている第一の操作信号に対応するセットの書き換えは行われず、記憶部37のRAM上にてこのセットがリアルタイムに補正されて利用される。
【0045】
更新処理部30Bは、上記の第一の制御によって移動する船舶100の移動状態に基づいて、記憶部37に記憶されている上記第一の操作信号に対応するセットを書き換える更新処理を行う。
【0046】
具体的には、更新処理部30Bは、第一の制御によって移動する船舶100の方位を方位センサ31の情報に基づいて定期的に検出し、検出した方位が、第一の操作信号が入力された時点における船舶100の方位と同じになるように、船外機20R,20Lの制御パラメータを変更する。そして、この変更後の制御パラメータを、第一の操作信号に対応するセットに上書きして、このセットの更新を行う。
【0047】
この更新処理が行われることで、記憶部37のセットにしたがって船外機20R及び船外機20Lを制御した場合に、波が安定した状態であれば、船舶100を平行移動させることができるようになる。
【0048】
気象情報取得部30Cは、船舶100が存在する海の気象情報を取得する。気象情報は、波の高さの情報又は海上の風の強さ(風速)の情報等である。気象情報取得部30Cは、通信I/F36を介してインターネットにアクセスし、気象情報を提供するサーバから気象情報を取得する。
【0049】
なお、船舶100に風速計を設けておき、気象情報取得部30Cは、この風速計の情報から、風の強さの情報を取得してもよい。
【0050】
第一の判定部30Dは、気象情報取得部30Cにより取得された気象情報に基づいて、更新処理部30Bが行う更新処理に適した状況か否かを判定する。
【0051】
上記の更新処理は、波が安定している状態にて行う必要がある。波が安定していない状態にて更新処理が行われると、波が安定している状態にて、更新後のセットにしたがって船外機20R及び船外機20Rを制御した場合に、船舶100が平行移動できなくなってしまうためである。したがって、波が安定している状況が、更新処理に適した状況となる。波が安定しているかどうかは、波の高さの情報又は風の強さの情報等によって判断することができる。
【0052】
第二の判定部30Eは、第一の判定部30Dにより更新処理に適した状況であると判定された場合に、第一の操作信号に応じて行われた第一の制御によって移動する船舶100の移動状態に基づいて、この第一の操作信号に対応するセットが適正か否かを判定する。
【0053】
例えば、第二の判定部30Eは、第一の操作信号に対応するセットによって第一の制御が開始されると、方位センサ31からの情報に基づいて船舶100の方位を定期的に検出する。第一の操作信号に対応するセットが適正であれば、この方位はほぼ一定となる。しかし、第一の操作信号に対応するセットが適正でなければ、この方位は、一定方向に向かって一定量ずつ変化する。
【0054】
したがって、第二の判定部30Eは、第一の制御中における船舶100の方位が一定方向に変化し、且つ、その方位の変化量がほぼ同じである場合に、第一の操作信号に対応するセットが適正であると判定する。また、第二の判定部30Eは、第一の制御中における船舶100の方位の変化量がほとんどない場合に、第一の操作信号に対応するセットが適正であると判定する。
【0055】
或いは、第二の判定部30Eは、第一の操作信号に対応するセットによって第一の制御が開始されると、受信機32Rにより検出される船舶100の右側部の位置座標(以下、右座標という)と、受信機32Lにより検出される船舶100の左側部の位置座標(以下、左座標という)とを定期的に取得する。
【0056】
あるタイミングT1にて取得された右座標と左座標をそれぞれR(x1,y1)、L(x1,y1)とする。また、このタイミングT1の次のタイミングT2にて取得された右座標と左座標をそれぞれR(x2,y2)、L(x2,y2)とする。
【0057】
このようにした場合、タイミングT1とタイミングT2との間にて、船舶100がx方向に移動する移動量mxと、船舶100がy方向に移動する移動量myは、第一の操作信号に対応するセットの内容によって決まる値となる。したがって、セットが適正であれば以下の関係式が成り立つ。
【0058】
R(x2,y2)=R(x1+xm,y1+ym) 式(a)
L(x2,y2)=L(x1+xm,y1+ym) 式(b)
【0059】
第二の判定部30Eは、R(x2,y2)のx座標とR(x1,y1)のx座標の差が、移動量mx±α(αは例えば移動量mxの数%等)の範囲にあるという第一条件、R(x2,y2)のy座標とR(x1,y1)のy座標の差が、移動量my±β(βは例えば移動量myの数%等)の範囲にあるという第二条件、L(x2,y2)のx座標とL(x1,y1)のx座標の差が移動量mx±αの範囲にあるという第三条件、L(x2,y2)のy座標とL(x1,y1)のy座標の差が移動量my±βの範囲にあるという第四条件、を全て満たす場合に、セットが適正であると判定することができる。
【0060】
第二の判定部30Eは、これら第一条件、第二条件、第三条件、及び第四条件の少なくとも1つが満たされない場合には、セットが適正ではないと判定することができる。
【0061】
図4は、ジョイスティック33が所定方向に倒された場合の図2に示すシステム制御部30の動作を説明するためのフローチャートである。
【0062】
まず、システム制御部30の気象情報取得部30Cは、受信機32R又は受信機32Lからの情報に基づいて船舶100の位置情報を取得する(ステップS1)。そして、システム制御部30の気象情報取得部30Cは、この位置情報を利用して、船舶100の現在位置における海の気象情報を取得する(ステップS2)。ここでは気象情報として、波の高さの情報が取得されるものとして説明する。
【0063】
波の高さの情報が取得されると、システム制御部30の第一の判定部30Dは、この波の高さが予め決められた閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。気象情報として風の強さの情報がステップS2にて取得される場合には、ステップS3において、システム制御部30の第一の判定部30Dは、この風の強さが予め決められた閾値以上であるか否かを判定すればよい。
【0064】
システム制御部30の第一の判定部30Dは、ステップS3の判定がYESの場合(波の高さが閾値以上の場合)には、更新処理に適さない状況であると判定する(ステップS4)。ステップS4の後は、システム制御部30の制御部30Aによって第二の制御が開始される(ステップS5)。
【0065】
まず、システム制御部30の制御部30Aは、ジョイスティック33から入力された操作信号に対応するセットにしたがって船外機20R及び船外機20Lの制御を開始する。そして、システム制御部30の制御部30Aは、例えば、方位センサ31の情報から船舶100の方位を定期的に検出し、検出した方位が操作信号の入力時の方位と一致するように、このセットを補正し、補正後のセットにしたがって船外機20R及び船外機20Lを制御する。
【0066】
または、システム制御部30の制御部30Aは、上述した船舶100の右座標及び左座標を定期的に取得し、操作信号に含まれる移動方向に向かって、この右座標及び左座標が直線状に変化するように、セットを補正しながら船外機20R及び船外機20Lを制御する。
【0067】
こういった第二の制御により、船舶100はジョイスティック33の倒された方向に向かって平行移動することになる。
【0068】
システム制御部30の第一の判定部30Dは、ステップS3の判定がNOの場合(波の高さが閾値未満の場合)には、更新処理に適した状況であると判定する(ステップS6)。
【0069】
ステップS6の後は、システム制御部30の制御部30Aにより、第一の制御が開始される(ステップS7)。この第一の制御によって船舶100が移動を開始すると、システム制御部30の第二の判定部30Eが、船舶100の移動状態に基づいて、第一の制御に利用されているセットが適正か否かを判定する(ステップS8)。
【0070】
セットが適正であると判定された場合(ステップS8:YES)には、そのまま第一の制御が継続される。一方、セットが適正ではないと判定された場合(ステップS8:NO)には、システム制御部30の更新処理部30Bによってこのセットの更新処理が行われ(ステップS9)、更新後のセットによって第一の制御が行われる。
【0071】
以上のように、船舶100によれば、ジョイスティック33が操作されたときに、そのときの気象情報に基づいて、更新処理に適した状況か否かが判定され、更新処理に適さない状況においては更新処理が行われることはない。このため、記憶部37のROMに記憶されているセットが不正確な値に更新されてしまうのを防ぐことができる。
【0072】
また、更新処理に適さない状況においては、第二の制御によって船舶100が平行移動される。このため、記憶部37のROMに記憶されているセットが適正となっていない状態であったとしても、船舶100を正確に平行移動させることができる。
【0073】
また、船舶100によれば、更新処理に適した状況か否かを、波の高さ又は風の強さによって判定しているため、この判定を簡易且つ高速に行うことができる。したがって、船舶100のコスト増大を防ぐことができる。
【0074】
なお、システム制御部30の第一の判定部30Dが、ステップS3において気象情報と比較する閾値は、予め決められた固定値としているが、この閾値を可変としてもよい。以下、この場合のシステム制御部30の動作について説明する。
【0075】
図5は、ジョイスティック33が所定方向に倒された場合の図2に示すシステム制御部30の動作の第一の変形例を説明するためのフローチャートである。図5に示すフローチャートは、ステップS11、ステップS12、及びステップS13が追加された点を除いては、図4に示すフローチャートと同じである。図5において図4と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
ステップS2の後、システム制御部30の第一の判定部30Dは、ステップS1にて取得された船舶100の位置情報を取得し、この位置情報に基づく船舶100の位置が湾内であるか否かを判定する(ステップS11)。
【0077】
船舶100の位置が湾内であった場合(ステップS11:YES)には、システム制御部30の第一の判定部30Dは、気象情報と比較する閾値として相対的に高い閾値を設定する(ステップS12)。
【0078】
船舶100の位置が湾外であった場合(ステップS11:NO)には、システム制御部30の第一の判定部30Dは、気象情報と比較する閾値として、ステップS12にて設定される値よりも低い閾値を設定する(ステップS13)。ステップS12及びステップS13の後は、ステップS3以降の処理が行われる。
【0079】
船舶の位置における気象情報は、広範囲における予測情報等として提供される。そのため、船舶の位置が湾内にある場合と湾外にある場合とでは、船舶が湾内にある場合の方が、船舶の受ける波の高さや風の強さは、気象情報の予測値よりも小さくなる場合があると考えられる。したがって、船舶が湾内にある場合には、船舶が湾外にある場合よりも閾値を高く設定することで、更新処理に適した状況か否かの判定を正確に行うことができる。
【0080】
図6は、ジョイスティック33が所定方向に倒された場合の図2に示すシステム制御部30の動作の第二の変形例を説明するためのフローチャートである。図6に示すフローチャートは、ステップS21、ステップS22、及びステップS23が追加された点を除いては、図4に示すフローチャートと同じである。図6において図4と同じ処理には同一符号を付して説明を省略する。
【0081】
第二の変形例においては、前提として、気象情報と比較する閾値として、船舶100のサイズに対応させて複数の値が予め記憶部37に記憶されている。以下では、この複数の閾値として、所定値以上の船舶サイズに対する閾値HTと、所定値未満の船舶サイズに対する閾値LTとが記憶部37に記憶されているものとする。閾値HTは、閾値LTよりも高い値である。
【0082】
また、第二の変形例においては、船舶100の製造時において、船舶100のサイズの情報が記憶部37に記憶されるものとしている。
【0083】
図6において、ステップS2の後、システム制御部30の第一の判定部30Dは、記憶部37から船舶100のサイズの情報を取得し、このサイズが上記の所定値以上となるか否かを判定する(ステップS21)。
【0084】
船舶100のサイズが所定値以上であった場合(ステップS21:YES)には、システム制御部30の第一の判定部30Dは、気象情報と比較する閾値として、船舶100のサイズに対応する閾値HTを設定する(ステップS22)。
【0085】
船舶100のサイズが所定値未満であった場合(ステップS21:NO)には、システム制御部30の第一の判定部30Dは、気象情報と比較する閾値として、船舶100のサイズに対応する閾値LTを設定する(ステップS23)。ステップS22及びステップS23の後は、ステップS3以降の処理が行われる。
【0086】
同じ波の高さや風速であっても、船舶のサイズが大きい場合と小さい場合とでは、サイズが大きい船舶の方が、波や風の影響を受けにくい。したがって、船舶のサイズが大きい場合には、船舶のサイズが小さい場合よりも閾値を高く設定することで、更新処理に適した状況か否かの判定を正確に行うことができる。
【0087】
ここまで説明してきた船舶100において、システム制御部30の機能を、船外機20RのECU21又は船外機20LのECU21が有する構成としてもよい。
【0088】
また、船舶100において、ジョイスティック33、シフト・スロットル操作装置34、及びステアリング装置35を、船外機20R又は船外機20Lが有する構成であってもよい。
【0089】
また、船舶100は、推進器として2つの船外機20R及び船外機20Lを有しているが、3つ以上の船外機を有する船舶において、各船外機のシフト状態、転舵角、及び推進力を制御することで船舶の平行移動を行う場合にも本発明を適用可能である。
【0090】
また、船舶100は、推進器として船外機を有する構成であるが、推進器は船内機であってもよい。
【0091】
また、船舶100の推進器は、内燃機関を搭載するものに限らず、電動機の動力によってプロペラを回転させるものであってもよい。
【0092】
また、船舶100を平行移動させるための操作を行う操作部としてジョイスティック33が用いられているが、これに限らず、例えば、移動方向を指示するための複数のボタン等が操作部として用いられてもよい。
【0093】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0094】
(1)
複数の推進器を搭載する船舶における前記推進器を制御する船舶の推進器の制御装置であって、
前記船舶を平行移動させるための操作部から入力される操作信号に関連付けて前記複数の推進器の各々の制御パラメータのセットを記憶する記憶部と、
前記船舶を所定方向に平行移動させるための第一の操作信号が入力された場合に、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器を制御する第一の制御と、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器の制御を開始し、当該制御後の前記船舶の移動状態に基づいて前記船舶が平行移動するように当該セットを補正しながら補正後の前記セットにより前記複数の推進器を制御する第二の制御と、を選択的に行う制御部と、
前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記第一の操作信号に対応する前記セットを書き換える更新処理を行う更新処理部と、
前記船舶が存在する海の気象情報を取得する気象情報取得部と、
前記気象情報に基づいて、前記更新処理に適した状況か否かを判定する第一の判定部と、を備え、
前記制御部は、前記第一の判定部により前記更新処理に適した状況であると判定された場合には前記第一の制御を行い、前記第一の判定部により前記更新処理に適した状況ではないと判定された場合には前記第二の制御を行い、
前記第一の判定部により前記更新処理に適した状況であると判定された場合に、前記制御部により行われる前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記第一の操作信号に対応する前記セットが適正か否かを判定する第二の判定部を更に備え、
前記更新処理部は、前記第二の判定部により前記セットが適正ではないと判定された場合に前記更新処理を行う船舶の推進器の制御装置。
【0095】
この構成によれば、更新処理が不必要に実施されるのを防ぐことができ、船舶の平行移動を正確に行うことが可能となる。また、例えばセットが適正となっておらず、且つ更新処理に適した状況ではないと判定された場合であっても、第二の制御が行われるため、船舶を平行移動させることができる。
【0096】
(2)
(1)記載の船舶の推進器の制御装置であって、
前記気象情報は、波の高さを示す情報であり、
前記第一の判定部は、前記波の高さが閾値以上となる場合には前記更新処理に適した状況ではないと判定し、前記波の高さが前記閾値未満となる場合には前記更新処理に適した状況であると判定する船舶の推進器の制御装置。
【0097】
この構成によれば、波が高く、船舶の動きが安定しない状況においては更新処理が行われない。このため、セットが不正確に更新されるのを防ぐことができる。
【0098】
(3)
(1)記載の船舶の推進器の制御装置であって、
前記気象情報は、風の強さを示す情報であり、
前記第一の判定部は、前記風の強さが閾値以上となる場合には前記更新処理に適した状況ではないと判定し、前記風の強さが前記閾値未満となる場合には前記更新処理に適した状況であると判定する船舶の推進器の制御装置。
【0099】
この構成によれば、風が強く、船舶の動きが安定しない状況においては更新処理が行われない。このため、セットが不正確に更新されるのを防ぐことができる。
【0100】
(4)
(2)又は(3)記載の船舶の推進器の制御装置であって、
前記第一の判定部は、前記閾値を制御する船舶の推進器の制御装置。
【0101】
この構成によれば、更新処理に適した状況か否かの判定をより正確に行うことが可能になる。
【0102】
(5)
(4)記載の船舶の推進器の制御装置であって、
前記第一の判定部は、前記船舶のサイズの情報を取得し、前記サイズが第一の値である場合には、前記サイズが前記第一の値よりも小さい第二の値である場合よりも前記閾値を高くする船舶の推進器の制御装置。
【0103】
この構成によれば、更新処理に適した状況か否かの判定を正確に行うことができる。
【0104】
(6)
(4)記載の船舶の推進器の制御装置であって、
前記第一の判定部は、前記船舶の位置情報を取得し、当該位置情報に基づく前記船舶の位置が湾内にある場合には、前記位置が湾外にある場合よりも前記閾値を高くする船舶の推進器の制御装置。
【0105】
この構成によれば、更新処理に適した状況か否かの判定を正確に行うことができる。
【0106】
(7)
複数の推進器を含む船舶を平行移動させるための操作部と、前記操作部から入力される操作信号に関連付けて前記複数の推進器の各々の制御パラメータのセットを記憶する記憶部と、前記複数の推進器と、を搭載する前記船舶における前記推進器を制御する船舶の推進器の制御方法であって、
前記船舶を所定方向に平行移動させるための第一の操作信号が入力された場合に、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器を制御する第一の制御と、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器の制御を開始し、当該制御後の前記船舶の移動状態に基づいて前記船舶が平行移動するように当該セットを補正しながら補正後の前記セットにより前記複数の推進器を制御する第二の制御と、を選択的に行う制御ステップと、
前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記第一の操作信号に対応する前記セットを書き換える更新処理を行う更新処理ステップと、
前記船舶が存在する海の気象情報を取得する気象情報取得ステップと、
前記気象情報に基づいて、前記更新処理に適した状況か否かを判定する第一の判定ステップと、を備え、
前記制御ステップでは、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合には前記第一の制御を行い、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況ではないと判定された場合には前記第二の制御を行い、
前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合に、前記制御ステップにより行われる前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記第一の操作信号に対応する前記セットが適正か否かを判定する第二の判定ステップを更に備え、
前記更新処理ステップでは、前記第二の判定ステップにより前記セットが適正ではないと判定された場合に前記更新処理を行う船舶の推進器の制御方法。
【0107】
この方法によれば、更新処理が不必要に実施されるのを防ぐことができ、船舶の平行移動を正確に行うことが可能となる。また、例えばセットが適正となっておらず、且つ更新処理に適した状況ではないと判定された場合であっても、第二の制御が行われるため、船舶を平行移動させることができる。
【0108】
(8)
複数の推進器を含む船舶を平行移動させるための操作部と、前記操作部から入力される操作信号に関連付けて前記複数の推進器の各々の制御パラメータのセットを記憶する記憶部と、前記複数の推進器と、を搭載する前記船舶における前記推進器を制御する船舶の推進器の制御方法をコンピュータに実行させるための船舶の推進器の制御プログラムであって、
前記制御方法は、
前記船舶を所定方向に平行移動させるための第一の操作信号が入力された場合に、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器を制御する第一の制御と、前記第一の操作信号に対応する前記セットにより前記複数の推進器の制御を開始し、当該制御後の前記船舶の移動状態に基づいて前記船舶が平行移動するように当該セットを補正しながら補正後の前記セットにより前記複数の推進器を制御する第二の制御と、を選択的に行う制御ステップと、
前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記記憶部に記憶されている前記第一の操作信号に対応する前記セットを書き換える更新処理を行う更新処理ステップと、
前記船舶が存在する海の気象情報を取得する気象情報取得ステップと、
前記気象情報に基づいて、前記更新処理に適した状況か否かを判定する第一の判定ステップと、を備え、
前記制御ステップでは、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合には前記第一の制御を行い、前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況ではないと判定された場合には前記第二の制御を行い、
前記第一の判定ステップにより前記更新処理に適した状況であると判定された場合に、前記制御ステップにより行われる前記第一の制御によって移動する前記船舶の移動状態に基づいて、前記第一の操作信号に対応する前記セットが適正か否かを判定する第二の判定ステップを更に備え、
前記更新処理ステップでは、前記第二の判定ステップにより前記セットが適正ではないと判定された場合に前記更新処理を行う船舶の推進器の制御プログラム。
【0109】
このプログラムによれば、更新処理が不必要に実施されるのを防ぐことができ、船舶の平行移動を正確に行うことが可能となる。また、例えばセットが適正となっておらず、且つ更新処理に適した状況ではないと判定された場合であっても、第二の制御が行われるため、船舶を平行移動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明によれば、船舶の平行移動を正確に行うことを可能とする船舶の推進器の制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0111】
100 船舶
10 船体
10a 船尾
20R、20L 船外機
21 ECU
23 スロットル用モータ
24 転舵用モータ
26 シフト用モータ
27 プロペラ
30 システム制御部
30A 制御部
30B 更新処理部
30C 気象情報取得部
30D 第一の判定部
30E 第二の判定部
31 方位センサ
32R、32L 受信機
33 ジョイスティック
34 シフト・スロットル操作装置
35 ステアリング装置
36 通信インタフェース
37 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】