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再表2019-187643列車制御システムおよび列車制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年10月3日
【発行日】2020年12月3日
(54)【発明の名称】列車制御システムおよび列車制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/40 20060101AFI20201106BHJP
【FI】
   B60L15/40 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
【出願番号】特願2020-510344(P2020-510344)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年2月4日
(31)【優先権主張番号】特願2018-60079(P2018-60079)
(32)【優先日】2018年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 光彦
(72)【発明者】
【氏名】中邨 友彦
(72)【発明者】
【氏名】家重 直也
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA05
5H125CA05
5H125CB10
5H125EE52
5H125EE53
5H125EE55
(57)【要約】
列車の現在の速度を検出する速度検出部と、列車の現在の位置を検出する位置検出部と、列車を停止させる目標の地点を示す目標停止点までの距離と列車の速度との関係を規定する目標速度情報、および列車の現在の位置に基づいて特定される速度と、列車の現在の速度との差を示す速度差を算出する算出部と、目標速度情報から特定される速度と列車の速度との速度差とブレーキノッチ数との関係が規定されたブレーキノッチ情報と、目標速度情報から特定される速度と、列車の現在の速度と、算出部により算出された速度差とに基づいて、出力するブレーキノッチ数を決定する決定部と、目標速度情報における減速度と、列車の減速度とが所定の許容値の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定した場合、列車の減速度に対応するようにブレーキノッチ情報を補正する補正部と、を設けるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車を制動するためのブレーキノッチ数に基づいて、前記列車の停止制御を行う列車制御システムであって、
前記列車の現在の速度を検出する速度検出部と、
前記列車の現在の位置を検出する位置検出部と、
前記列車を停止させる目標の地点を示す目標停止点までの距離と前記列車の速度との関係を規定する目標速度情報、および前記列車の現在の位置に基づいて特定される速度と、前記列車の現在の速度との差を示す速度差を算出する算出部と、
前記目標速度情報から特定される速度と前記列車の速度との速度差と前記ブレーキノッチ数との関係が規定されたブレーキノッチ情報と、前記目標速度情報から特定される速度と、前記列車の現在の速度と、前記算出部により算出された速度差とに基づいて、出力するブレーキノッチ数を決定する決定部と、
前記目標速度情報における減速度と、前記列車の減速度とが所定の許容値の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定した場合、前記列車の減速度に対応するように前記ブレーキノッチ情報を補正する補正部と、
を備えることを特徴とする列車制御システム。
【請求項2】
前記補正部は、前記列車の減速度が前記目標速度情報の減速度よりも小さい場合、前記列車の制動力が大きくなるように、前記ブレーキノッチ情報を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の列車制御システム。
【請求項3】
前記補正部は、前記列車の減速度が前記目標速度情報の減速度よりも大きい場合、前記列車の制動力が小さくなるように、前記ブレーキノッチ情報を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の列車制御システム。
【請求項4】
前記ブレーキノッチ情報は、所定のブレーキノッチ数を、前記算出部により算出される速度差がないときの切片とする所定の関数であり、
前記補正部は、前記目標速度情報の減速度が前記所定の許容値の範囲内にあると判定した場合、前記決定部により直近に決定されたブレーキノッチ数を前記切片として前記所定の関数を平行移動し、
前記決定部は、前記補正部により平行移動された関数に基づいて、出力するブレーキノッチ数を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の列車制御システム。
【請求項5】
前記補正部は、前記列車の減速度と前記目標速度情報の減速度とが前記所定の許容値の範囲内にないと判定した場合、前記列車の減速度が極値を有するか否かを判定し、極値を有すると判定したとき、前記目標速度情報の減速度に最も近い減速度を示したブレーキノッチ数を特定し、特定したブレーキノッチ数を前記切片として前記所定の関数を平行移動する、
ことを特徴とする請求項4に記載の列車制御システム。
【請求項6】
前記補正部は、前記列車が停止するまでの間、前記速度検出部により検出される前記列車の速度に基づいて前記ブレーキノッチ情報を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の列車制御システム。
【請求項7】
列車を制動するためのブレーキノッチ数に基づいて、前記列車の停止制御を行う列車制御方法であって、
速度検出部が、前記列車の現在の速度を検出する第1のステップと、
位置検出部が、前記列車の現在の位置を検出する第2のステップと、
算出部が、前記列車を停止させる目標の地点を示す目標停止点までの距離と前記列車の速度との関係を規定する目標速度情報、および前記列車の現在の位置に基づいて特定される速度と、前記列車の現在の速度との差を示す速度差を算出する第3のステップと、
決定部が、前記目標速度情報から特定される速度と前記列車の速度との速度差と前記ブレーキノッチ数との関係が規定されたブレーキノッチ情報と、前記目標速度情報から特定される速度と、前記列車の現在の速度と、前記算出部により算出された速度差とに基づいて、出力するブレーキノッチ数を決定する第4のステップと、
補正部が、前記目標速度情報における減速度と、前記列車の減速度とが所定の許容値の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定した場合、前記列車の減速度に対応するように前記ブレーキノッチ情報を補正する第5のステップと、
を備えることを特徴とする列車制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は列車制御システムおよび列車制御方法に関し、例えばブレーキノッチ数に基づいて列車の停止制御を行う列車制御システムおよび列車制御方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、目標とした停止点(目標停止点)に列車を停止させるために、列車の車両特性を示す車両特性データを利用して列車を目標停止点に停止させる制御(定位置停止制御)が行われる。
【0003】
近年、車両特性データに基づいて算出された列車の速度と目標停止点までの距離との関係を示すパターン(目標速度パターン)を用いて、目標速度パターンに列車の速度が沿うようにブレーキノッチを選択し、目標停止点に列車を停止させる技術が開示されている(特許文献1参照)。列車が減速して走行している間(減速走行中)、上記制御を所定の制御サイクルに従って繰り返すことにより、列車は目標停止点に近い位置に停止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−53845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、車両特性データに基づいて算出された目標速度パターンに従って定位置停止制御が行われるので、車両特性データとして設定された特性と実際の車両特性との間の誤差が大きいと、車両特性データによる予測の精度が悪化し、停止制御の性能が悪化してしまう。例えば、応加重装置の限界を超えるような一時的な乗車率の上昇があると、実際の減速度が車両特性データによる減速度よりも小さい値となり、停止制御の精度が悪化してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、停止目標位置に列車を精度よく停止することができる列車制御システムおよび列車制御方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明においては、列車を制動するためのブレーキノッチ数に基づいて、前記列車の停止制御を行う列車制御システムであって、前記列車の現在の速度を検出する速度検出部と、前記列車の現在の位置を検出する位置検出部と、前記列車を停止させる目標の地点を示す目標停止点までの距離と前記列車の速度との関係を規定する目標速度情報、および前記列車の現在の位置に基づいて特定される速度と、前記列車の現在の速度との差を示す速度差を算出する算出部と、前記目標速度情報から特定される速度と前記列車の速度との速度差と前記ブレーキノッチ数との関係が規定されたブレーキノッチ情報と、前記目標速度情報から特定される速度と、前記列車の現在の速度と、前記算出部により算出された速度差とに基づいて、出力するブレーキノッチ数を決定する決定部と、前記目標速度情報における減速度と、前記列車の減速度とが所定の許容値の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定した場合、前記列車の減速度に対応するように前記ブレーキノッチ情報を補正する補正部と、を設けるようにした。
【0008】
また本発明においては、列車を制動するためのブレーキノッチ数に基づいて、前記列車の停止制御を行う列車制御方法であって、速度検出部が、前記列車の現在の速度を検出する第1のステップと、位置検出部が、前記列車の現在の位置を検出する第2のステップと、算出部が、前記列車を停止させる目標の地点を示す目標停止点までの距離と前記列車の速度との関係を規定する目標速度情報、および前記列車の現在の位置に基づいて特定される速度と、前記列車の現在の速度との差を示す速度差を算出する第3のステップと、決定部が、前記目標速度情報から特定される速度と前記列車の速度との速度差と前記ブレーキノッチ数との関係が規定されたブレーキノッチ情報と、前記目標速度情報から特定される速度と、前記列車の現在の速度と、前記算出部により算出された速度差とに基づいて、出力するブレーキノッチ数を決定する第4のステップと、補正部が、前記目標速度情報における減速度と、前記列車の減速度とが所定の許容値の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあると判定した場合、前記列車の減速度に対応するように前記ブレーキノッチ情報を補正する第5のステップと、を設けるようにした。
【0009】
上記構成によれば、例えば、列車の実際の減速度に対応するようにブレーキノッチ情報が補正されるので、停止目標位置に列車を精度よく停止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両特性に応じて定位置停止制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態による列車制御システムに係る構成の一例を示す図である。
図2】第1の実施の形態による定位置停止制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
図3】第1の実施の形態による定位置停止制御が行われた列車の速度と目標停止点までの距離との関係を示す図である。
図4】第1の実施の形態によるブレーキノッチパターンの補正の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0013】
(1)第1の実施の形態
図1において、1は全体として第1の実施の形態による列車制御システムを示す。列車制御システム1では、列車100を停止させる目標の地点を示す目標停止点に列車100を停止させるための制御(定位置停止制御)が行われる。
【0014】
列車100は、列車100の現在の速度を検出可能な速度検出部101と、列車100の現在の位置を検出可能な位置検出部102と、速度検出部101により検出された列車100の速度および位置検出部102により検出された列車100の位置の情報から列車100を制動するためのブレーキノッチ数を算出する制御部103と、制御部103から出力されるブレーキノッチ数に基づいて、列車100のブレーキを操作する(列車100の停止制御を行う)ブレーキ出力部104と含んで構成される。
【0015】
制御部103は、計算機(コンピュータ)を含んで構成され、処理を行うCPU、情報を記憶するメモリ等を備える。制御部103の機能(算出部、決定部、補正部など)は、例えば、CPUがプログラムをメモリに読み出して実行すること(ソフトウェア)により実現されてもよいし、専用の回路などのハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとが組み合わされて実現されてもよい。また、制御部103の機能の一部は、制御部103と通信可能な他のコンピュータにより実現されてもよい。
【0016】
制御部103は、例えば、目標停止点までの距離と列車100の速度との関係を規定する目標速度パターン(目標速度情報の一例)を所定のブレーキノッチ数の減速度を用いて算出する。
【0017】
また、制御部103は、目標速度パターンから特定される速度と列車100の速度との差(速度差)と、出力するブレーキノッチ数との関係が規定されたブレーキノッチパターン(ブレーキノッチ情報の一例)等を有する(メモリに記憶されている)。
【0018】
なお、ブレーキノッチパターンについては、所定のブレーキノッチ数に基づいて規定されたブレーキノッチパターン(所定のブレーキノッチパターン)が1つ設けられていてもよいし、所定のブレーキノッチパターンに加え、各ブレーキノッチ数に基づいて規定された各ブレーキノッチパターン(補正用の各ブレーキノッチパターン)が設けられていてもよい。
【0019】
制御部103は、列車100が減速して走行しているときに列車100の実際の車両特性(運転区間、駅間の距離、勾配(その路線の区間の勾配)、列車の速度、列車の種別、列車の型式、乗車率など)を計測し、計測した車両特性に基づいて減速動作を制御し、列車100を停止目標位置に精度よく停止させる。
【0020】
例えば、制御部103は、目標速度パターンの速度の単位時間当りの速度の変化率(ブレーキノッチの設計値の減速度)と列車100の速度の単位時間当りの速度の変化率(列車100の減速度)とを比較し、所定の許容値の範囲内にあると判定した場合、ブレーキノッチ数の決定に用いるブレーキノッチパターンを列車100の実際の減速度に対応するように補正する。例えば、制御部103は、列車100の減速度が目標速度パターンの減速度よりも小さい場合、列車100の制動力が大きくなるように、ブレーキノッチパターンを補正する。また、例えば、制御部103は、列車100の減速度が目標速度パターンの減速度よりも大きい場合、列車100の制動力が小さくなるように、ブレーキノッチパターンを補正する。かかる補正によれば、列車100を停止目標位置に精度よく停止させることができる。
【0021】
図2は、制御部103が実行する定位置停止制御処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【0022】
制御部103は、定位置停止制御を開始するか否かを判定する(ステップS11)。より具体的には、制御部103は、定位置停止制御を開始する位置(制御開始位置)を示す地上子を通過したか否かを判定する。制御部103は、定位置停止制御を開始すると判定した場合、ステップS12に処理を移し、定位置停止制御を開始しないと判定した場合、再びステップS11の処理を行う。
【0023】
ステップS12では、制御部103は、制御開始位置と目標停止点とに基づいて所定のブレーキノッチ数の減速度における目標速度パターンを算出する。
【0024】
ステップS13では、制御部103は、速度検出部101に検出された列車100の現在の速度と、位置検出部102により検出された列車100の現在の位置に対応する目標速度パターンにおける速度との差(速度差)を算出する。例えば、速度差については、列車100の現在の速度から目標速度パターンの速度を減算することにより算出することができる。
【0025】
ステップS14では、制御部103は、ブレーキ処理を行う。より具体的には、制御部103は、ブレーキノッチパターンと、目標速度パターンから特定される速度と、列車100の現在の速度と、算出した速度差とに基づいて、出力するブレーキノッチ数を決定する。制御部103は、ブレーキノッチ数を決定した場合、決定したブレーキノッチ数をブレーキ出力部104に出力する。なお、ブレーキ出力部104は、制御部103から出力されるブレーキノッチ数に基づいて、列車100のブレーキを制御する。
【0026】
ステップS15では、制御部103は、ブレーキノッチパターンよりブレーキノッチ数を出力したか否か(ブレーキノッチ数をブレーキ出力部104に出力したか否か)を判定する。制御部103は、ブレーキノッチ数をブレーキ出力部104に出力したと判定した場合、ステップS16に処理を移し、ブレーキノッチ数をブレーキ出力部104に出力していないと判定した場合、ステップS19に処理を移す。
【0027】
ステップS16では、制御部103は、速度検出部101により検出された列車100の現在の速度に基づいて、列車100の現在の減速度を算出する。
【0028】
ステップS17では、制御部103は、列車100の現在の減速度と、目標速度パターンの減速度とが所定の許容値の範囲内であるか否か(一致しているか否か)を判定する。制御部103は、一致していると判定した場合、ステップS18に処理を移し、一致していないと判定した場合、ステップS19に処理を移す。
【0029】
ステップS18では、制御部103は、出力したブレーキノッチ数に基づいて、ブレーキノッチパターンを変更する。例えば、制御部103は、出力したブレーキノッチ数をブレーキノッチパターンにおけるΔV=0のブレーキノッチ数として補正する(ベースブレーキノッチパターンを平行移動する)。また、例えば、制御部103は、出力したブレーキノッチ数に対応して設けられた補正用のブレーキノッチパターンを用いるようにする。
【0030】
なお、ステップS17およびステップS18は、上述の内容に限られるものではない。例えば、ステップS17およびステップS18に加えてまたは替えて、制御部103は、列車100の減速度が極値(極大値または極小値)を有するか否かを判定し、極値を有すると判定した場合、ステップS18では、ブレーキノッチパターンの減速度に最も近い列車100の減速度のブレーキノッチ数を特定し、特定したブレーキノッチ数に基づいてブレーキノッチパターンを変更するようにしてもよい。かかる処理によれば、例えば、一致する減速度がないと判定した場合であっても、変更可能な減速度のうち最適な減速度に基づいて、目標停止点に列車100を適切に停止させることができるようになる。
【0031】
ステップS19では、制御部103は、定位置停止制御を終了するか否かを判定する。より具体的には、制御部103は、列車100が停止したか否かを判定する。制御部103は、定位置停止制御を終了すると判定した場合、定位置停止制御を終了し、定位置停止制御を終了しないと判定した場合、ステップS13に処理を移す。
【0032】
(定位置停止制御の例)
図2図4を用いて定位置停止制御の具体的態様について説明する。図3は、定位置停止制御が行われた列車100の速度と目標停止点301までの距離との関係(一例)を示す図である。図4は、ブレーキノッチパターン401の補正の一例を示す図である。
【0033】
ここでは、下記の条件(A)〜(C)としたケースを例に挙げて説明する。
条件(A)
列車100のブレーキノッチ数は、「1」から「7」ノッチまであるものとする。
条件(B)
目標速度パターン302は、所定のブレーキノッチ数の減速度としてブレーキノッチ数「4」の減速度を用いて算出したものとする。
条件(C)
列車100の減速度は、架線電圧の状況、乗車効率の状態による応荷重装置の状況などによって左右される。例えば、列車100に多くのお客様が乗車している等の理由により、列車100の所定のブレーキノッチ数による減速度が、定格の減速度(設計時の所定のブレーキノッチ数による減速度(設計値の減速度))よりも低くなっているものとする。
【0034】
(制御開始地点303)
定位置停止制御を開始する位置を示す制御開始地点303に設けられた地上子304を列車100が通過すると、列車100の位置検出部102が制御部103に位置情報を送信する。制御部103は、受信した位置情報から定位置停止制御を開始すると判定し(ステップS11)、位置情報に基づいて目標停止点301に停止するための目標速度パターン302を演算する(ステップS12)。
【0035】
続いて、制御部103は、制御開始地点303での列車100の速度(列車速度305)と目標速度パターン302の速度とを比較して速度差を算出する(ステップS13)。続いて、制御部103は、ブレーキ処理を行う(ステップS14)。
【0036】
この際、制御部103は、制御開始地点303では、目標速度パターン302の速度>列車100の速度、かつ、ブレーキノッチ数「1」の速度差よりも算出した速度差が小さいので、ブレーキノッチ数を決定(選定)することなく、ブレーキノッチ数を出力しないと判定し(ステップS15)、ステップS19に処理を移す。続いて、制御部103は、列車100が停止しているかを判定するが(ステップS19)、列車100は停止していないので、ステップS13に処理を移す。
【0037】
(第1の地点306)
制御部103は、同様に処理を行い、列車100が第1の地点306まで進んだとする。第1の地点306では、制御部103は、目標速度パターン302の速度>列車100の速度、かつ、算出した速度差が、ブレーキノッチ数「1」〜ブレーキノッチ数「3」の速度差の範囲内になったので、ブレーキノッチパターン401より、算出した速度差に対応するブレーキノッチ数(ブレーキノッチ数「1」から「3」の何れか)を決定し(ステップS14)、決定したブレーキノッチ数を出力すると判定する(ステップS15)。
【0038】
続いて、制御部103は、列車100の現在の減速度を算出し(ステップS16)、目標速度パターン302の減速度と列車100の減速度とを比較する(ステップS17)。この際、目標速度パターン302は、ブレーキノッチ数「4」の減速度を用いて算出したものとし(条件(B))、ブレーキノッチ数「1」から「3」の何れかが出力され、かつ、列車100の減速度は設計値の減速度より低いので(条件(C))、両者の減速度は一致せず、ステップS19に処理を移す。続いて、制御部103は、列車100が停止しているかを判定するが(ステップS19)、列車100は停止していないので、ステップS13に処理を移す。
【0039】
(第2の地点307)
制御部103は、同様に処理を行い、列車100が第2の地点307まで進んだとする。第2の地点307では、制御部103は、目標速度パターン302の速度=列車100の速度であるため、速度差は「0」となり、ブレーキノッチパターン401より、ブレーキノッチ数「4」を決定し(ステップS14)、決定したブレーキノッチ数「4」を出力すると判定する(ステップS15)。続いて、制御部103は、列車100の現在の減速度を算出する(ステップS16)。
【0040】
本来ならば、目標速度パターン302は、ブレーキノッチ数「4」の減速度を用いて算出したものとしているため、ブレーキノッチ数「4」を出力すると、目標速度パターン302に沿って減速するが、ここでは列車100のブレーキノッチ数「4」は設計値のブレーキノッチ数「4」の減速度よりも低い値であることとしたため(条件(C))、十分な減速力が得られずに、列車100の速度は、目標速度パターン302の速度を超えてしまう。
【0041】
制御部103は、列車100が想定していた減速度を得ることができなかったため、算出した減速度と目標速度パターン302の減速度とが一致しなかったと判定し(ステップS17)、ステップS19に処理を移す。続いて、制御部103は、列車100が停止しているかを判定するが(ステップS19)、列車100は停止していないので、ステップS13に処理を移す。
【0042】
(第3の地点308)
制御部103は、同様に処理を行い、列車100が第3の地点308まで進んだとする。第3の地点308では、制御部103は、目標速度パターン302の速度<列車100の速度、かつ、算出した速度差が、ブレーキノッチ数「5」〜ブレーキノッチ数「7」の速度差の範囲内になったので、ブレーキノッチパターン401より、算出した速度差に対応するブレーキノッチ数(ブレーキノッチ数「5」から「7」の何れか)を決定し、決定したブレーキノッチ数を出力すると判定する(ステップS15)。ここで、第3の地点308では、制御部103は、ブレーキノッチ数「5」を出力したものする。
【0043】
続いて、制御部103は、列車100の現在の減速度を算出する(ステップS16)。ここで、ブレーキノッチ数「5」を出力すると、設計値のブレーキノッチ数「4」の減速度と同じ値309(所定の許容値の範囲内)であったとする。この場合、制御部103は、算出した減速度と、目標速度パターン302の減速度とが一致したと判定し(ステップS17)、ステップS18に処理を移す。
【0044】
続いて、制御部103は、ブレーキノッチパターン401では、ΔV=0のときのブレーキノッチ数は「4」であるが、目標速度パターン302の減速度と一致したブレーキノッチ数は、「5」であったため、図4に示すように、ブレーキノッチパターン401をブレーキノッチ数「5」に対応するブレーキノッチパターン402に補正する(ステップS18)。換言するならば、ブレーキノッチパターン401は、所定のブレーキノッチ数(本例では、「4」)を、速度差がないときの切片とする所定の関数であり、制御部103は、列車100の減速度と目標速度パターン302の減速度とが所定の許容値の範囲内にあると判定した場合、列車100の制動力が大きくなるように、直近に決定したブレーキノッチ数(本例では、「5」)を切片として所定の関数を平行移動する。なお、補正後のステップS14では、制御部103は、ブレーキノッチパターン402を用いてブレーキノッチ数を決定する。かかる補正により、補正後の列車100の速度310は、目標速度パターン302に沿う(追従する)ようになる。
【0045】
続いて、制御部103は、列車100が停止しているかを判定するが(ステップS19)、列車100は停止していないので、ステップS13に処理を移す。
【0046】
本例では、列車100が設計値の減速度よりも低い減速度を出力するものとしたケースについて説明したが、列車100が設計値の減速度よりも高い減速度を出力するものとしたケースであっても、同様に定位置停止制御を行うことができる。
【0047】
このように、実際の列車運行において、出力したブレーキノッチ数に対応する実際の減速度を測定し、実際の減速度に基づいてブレーキノッチパターンの補正を行うことにより、定位置停止制御の精度を向上することができる。更には、目標速度パターンに沿って列車100の速度を制御できるようになるで、列車100の乗り心地の低下が発生する事態を回避できるようになる。
【0048】
また、制御部103は、ブレーキノッチパターンの補正を行った後も、列車100が停止するまでの間、速度検出部101により検出される列車100の速度に基づいてブレーキノッチパターンを補正する処理を繰り返すことにより、雨、強風、線路形状の変化などの変化に対応する(車両特性の変化にリアルタイムに対応する)ことができ、車両特性の変化による定位置停止制御の精度の悪化を回避することができる。
【0049】
本実施の形態によれば、車両特性に応じて定位置停止制御を行うことができる。
【0050】
(2)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、本発明を列車制御システム1に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の列車制御システム、列車制御方法に広く適用することができる。
【0051】
また上述の実施の形態においては、ブレーキノッチパターンが1次関数である場合について示したが、本発明はこれに限らず、ブレーキノッチパターンが2次関数、階段関数、指数関数などの他の関数であってもよい。
【0052】
また上述の実施の形態においては、ブレーキノッチパターンよりブレーキノッチ数を出力した場合に、列車100の減速度と目標速度パターンの減速度を比較してブレーキノッチパターンを補正する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これに加えてまたは替えて、定期的に、列車100の減速度と目標速度パターンの減速度を比較してブレーキノッチパターンを補正するようにしてもよい。
【0053】
また、上記の説明において各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0054】
なお、速度検出部101が列車100の速度を検出する方式については、限定されるものではない。例えば、車軸に小型の速度発電機を取付けて発生する電圧、周波数等を計測する方式であってもよいし、駆動装置の歯車を磁気誘導でカウントする方式であってもよいし、その他の方式であってもよい。
【0055】
また、位置検出部102が列車100の位置を検出する方式については、限定されるものではない。例えば、レールに信号電流を流しておいた区間に列車100が進入すると車軸によって両方のレールが短絡されて信号電流がリレーに流れなくなることを検知する方式であってもよいし、列車100に特定の電波を発信する装置を設け、地上側でこれを検知する方式であってもよいし、GPS(Global Positioning System)を用いる方式であってもよいし、その方式であってもよい。
【0056】
また上述した構成については、本発明の要旨を超えない範囲において、適宜に、変更したり、組み替えたり、組み合わせたり、省略したりしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1……列車制御システム、100……列車、101……速度検出部、102……位置検出部、103……制御部、104……ブレーキ出力部。
図1
図2
図3
図4

【手続補正書】
【提出日】2019年7月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車を制動するためのブレーキノッチ数に基づいて、前記列車の停止制御を行う列車制御システムであって、
前記列車の現在の速度を検出する速度検出部と、
前記列車の現在の位置を検出する位置検出部と、
前記列車を停止させる目標の地点を示す目標停止点までの距離と前記列車の速度との関係を規定する目標速度情報、および前記列車の現在の位置に基づいて特定される速度と、前記列車の現在の速度との差を示す速度差を算出する算出部と、
前記目標速度情報から特定される速度と前記列車の速度との速度差と前記ブレーキノッチ数との関係が規定された情報であって、所定のブレーキノッチ数を、前記算出部により算出される速度差がないときの切片とする所定の関数であるブレーキノッチ情報と、前記目標速度情報から特定される速度と、前記列車の現在の速度と、前記算出部により算出された速度差とに基づいて、出力するブレーキノッチ数を決定する決定部と、
前記目標速度情報における減速度と、前記列車の減速度とが所定の許容値の範囲内にあるか否かを判定し、前記所定の許容値の範囲内にあると判定した場合、前記決定部により直近に決定されたブレーキノッチ数を前記切片として前記所定の関数を平行移動し、前記所定の許容値の範囲内にないと判定した場合、前記列車の減速度が極値を有するか否かを判定し、極値を有すると判定したとき、前記目標速度情報の減速度に最も近い減速度を示したブレーキノッチ数を特定し、特定したブレーキノッチ数を前記切片として前記所定の関数を平行移動する補正部と、
を備え、
前記決定部は、前記補正部により平行移動された関数に基づいて、出力するブレーキノッチ数を決定する、
ことを特徴とする列車制御システム。
【請求項2】
前記補正部は、前記列車の減速度が前記目標速度情報の減速度よりも小さい場合、前記列車の制動力が大きくなるように、前記ブレーキノッチ情報を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の列車制御システム。
【請求項3】
前記補正部は、前記列車の減速度が前記目標速度情報の減速度よりも大きい場合、前記列車の制動力が小さくなるように、前記ブレーキノッチ情報を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の列車制御システム。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
前記補正部は、前記列車が停止するまでの間、前記速度検出部により検出される前記列車の速度に基づいて前記ブレーキノッチ情報を補正する、
ことを特徴とする請求項1に記載の列車制御システム。
【請求項7】
列車を制動するためのブレーキノッチ数に基づいて、前記列車の停止制御を行う列車制御方法であって、
速度検出部が、前記列車の現在の速度を検出する第1のステップと、
位置検出部が、前記列車の現在の位置を検出する第2のステップと、
算出部が、前記列車を停止させる目標の地点を示す目標停止点までの距離と前記列車の速度との関係を規定する目標速度情報、および前記列車の現在の位置に基づいて特定される速度と、前記列車の現在の速度との差を示す速度差を算出する第3のステップと、
決定部が、前記目標速度情報から特定される速度と前記列車の速度との速度差と前記ブレーキノッチ数との関係が規定された情報であって、所定のブレーキノッチ数を、前記算出部により算出される速度差がないときの切片とする所定の関数であるブレーキノッチ情報と、前記目標速度情報から特定される速度と、前記列車の現在の速度と、前記算出部により算出された速度差とに基づいて、出力するブレーキノッチ数を決定する第4のステップと、
補正部が、前記目標速度情報における減速度と、前記列車の減速度とが所定の許容値の範囲内にあるか否かを判定し、前記所定の許容値の範囲内にあると判定した場合、前記決定部により直近に決定されたブレーキノッチ数を前記切片として前記所定の関数を平行移動し、前記所定の許容値の範囲内にないと判定した場合、前記列車の減速度が極値を有するか否かを判定し、極値を有すると判定したとき、前記目標速度情報の減速度に最も近い減速度を示したブレーキノッチ数を特定し、特定したブレーキノッチ数を前記切片として前記所定の関数を平行移動する第5のステップと、
を備え、
前記決定部は、前記補正部により平行移動された関数に基づいて、出力するブレーキノッチ数を決定する、
ことを特徴とする列車制御方法。
【国際調査報告】