【実施例】
【0147】
以下に本発明の実施例について更に詳細に説明するが、本発明は当該実施例に何ら限定されない。
【0148】
実施例の説明において使用している略語の意味は、それぞれ以下の通りである。
siRNA:スモールインターフェリングRNA
mRNA:メッセンジャーRNA
Chol:コレステロール
DMG−PEG2k:1,2−ジミリストイル−sn−グリセロール,メトキシポリエチレングリコール(PEG MW 2000)
DSG−PEG5k:1,2−ジステアロイル−sn−グリセロール,メトキシポリエチレングリコール(PEG MW 5000)
DOPE:1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン
DOPC:1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
MES:2−モルホリノエタンスルホン酸
TNS:6−(p−トルイジノ)−2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム
【0149】
表1に、以下の実施例及び比較例において製造したカチオン性脂質の名称と構造を示した。比較例1および2は、特許文献2の製造方法に準じて製造した。
【0150】
【表2-1】
【0151】
【表2-2】
【0152】
[実施例1]O−Ph−P3C1の合成
O−Ph−P3C1は式(2)の方法で製造したが、製造はこの方法に限定されない。
【0153】
式(2)
【0154】
【化11】
【0155】
<オレイン酸の酸無水物化>
オレイン酸(日油(株)製)70.0g(248mmol)をクロロホルム560gに室温で溶解させ、10−15℃まで冷却した。そこへ、DCC((株)大阪合成有機化学研究所製)25.1g(121mmol)をクロロホルム140gで溶解させた懸濁液を滴下により加え、10−25℃で2時間反応させた。反応溶液をろ過後、ろ液をエバポレーターにより濃縮した。得られた濃縮物をヘキサン210gに再溶解させ、不溶物をろ過により除去した。得られたろ液をエバポレーターにより濃縮し、オレイン酸無水物を64.2g得た。
【0156】
オレイン酸無水物の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.86−0.90ppm(t、6H)、δ1.25−1.40ppm(m、40H)、δ1.61−1.68(m、4H)、δ1.94−2.05(m、8H)、δ2.39−2.46(t、4H)、δ5.30−5.38(m、4H)
【0157】
<4−オレオイルオキシフェニル酢酸の合成>
オレイン酸無水物43.1g(78.9mmol)および4−ヒドロキシフェニル酢酸(東京化成工業(株)製)6.00g(39.4mmol)をクロロホルム647gに溶解させた。そこへDMAP(広栄化学(株)製)1.93g(15.8mmol)を加えて、室温で9時間反応を行った。反応溶液を10%酢酸水溶液216gで2回、イオン交換水216gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム(関東化学(株)製)12.9gを有機層へ加え、30分間攪拌した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮した。濃縮物をヘキサン284gで再溶解し、不溶物をろ過後、アセトニトリル168gを用いた抽出を6回行った。アセトニトリル層を回収し、エバポレーターにて濃縮することで、18.1gの粗体を得た。得られた粗体14.5gをカラム精製することで、4−オレオイルオキシフェニル酢酸を3.66g得た。
【0158】
4−オレオイルオキシフェニル酢酸の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.77−0.89(t、3H)、δ1.27−1.42(m、20H)、δ1.71−1.77(m、2H)、δ1.99−2.03(m、4H)、δ2.52−2.56(m、2H)、δ3.64(s、2H)、δ5.32−5.38(m、2H)、δ7.03−7.06(m、2H)、δ7.28−7.31(m、2H)
【0159】
<O−Ph−P3C1の合成>
特許文献2に記載の方法で合成したビス{2−[3−(ヒドロキシメチル)ピペリジル]エチル}ジスルフィド(di−3PM体)0.340g(0.975mmol)と、4−オレオイルオキシフェニル酢酸0.813g(1.95mmol)、およびDMAP 0.0477g(0.390mmol)を室温でクロロホルム10.2gに溶解させた。そこへEDC(東京化成工業(株)製)0.561g(2.93mmol)を加え、30−35℃で3時間反応させた。反応溶液を20%食塩水6.80gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム0.340gを用いて脱水した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮し、0.870gの粗体を得た。得られた粗体をカラム精製することで、O−Ph−P3C1を0.584g得た。
【0160】
O−Ph−P3C1の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.86−0.90(t、6H)、δ0.92−1.05(m、2H)、δ1.20−1.42(m、40H)、δ1.50−1.60(m、2H)、δ1.62−1.80(m、10H)、δ1.90−2.04(m、12H)、δ2.52−2.56(m、4H)、δ2.61−2.65(m、4H)、δ2.78−2.82(m、8H)、δ3.61(s、4H)、δ3.89−4.02(m、4H)、δ5.34−5.37(m、4H)、δ7.02−7.05(m、4H)、δ7.26−7.30(m、4H)
【0161】
[実施例2]O−Ph−P4C1の合成
O−Ph−P4C1は実施例1と同様の合成経路で合成した。
特許文献2に記載の方法で合成したビス{2−[4−(ヒドロキシメチル)ピペリジル]エチル}ジスルフィド(di−4PM体)0.340g(0.975mmol)と、4−オレオイルオキシフェニル酢酸0.853g(2.05mmol)、およびDMAP 0.0477g(0.390mmol)を室温でクロロホルム10.2gに溶解させた。そこへEDC 0.561g(2.93mmol)を加え、30−35℃で3時間反応させた。反応溶液を20%食塩水6.80gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム0.340gを用いて脱水した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮し、0.900gの粗体を得た。得られた粗体をカラム精製することで、O−Ph−P4C1を0.629g得た。
【0162】
O−Ph−P4C1の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.86−0.90(t、6H)、δ1.27−1.42(m、44H)、δ1.62−1.76(m、10H)、δ1.96−2.00(m、12H)、δ2.52−2.56(m、4H)、δ2.64−2.67(m、4H)、δ2.81−2.93(m、8H)、δ3.60(s、4H)、δ3.93−3.95(d、4H)、δ5.34−5.37(m、4H)、δ7.02−7.05(m、4H)、δ7.26−7.30(m、4H)
【0163】
[実施例3]O−Ph−P4C2の合成
O−Ph−P4C2は実施例1と同様の合成経路で合成した。
特許文献2に記載の方法で合成したビス{2−[4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジル]エチル}ジスルフィド(di−4PE体)0.350g(0.929mmol)と、4−オレオイルオキシフェニル酢酸0.813g(1.95mmol)、およびDMAP 0.0454g(0.372mmol)を室温でクロロホルム10.5gに溶解させた。そこへEDC 0.534g(2.79mmol)を加え、30−35℃で4時間反応させた。反応溶液を20%食塩水7.00gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム0.350gを用いて脱水した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮し、1.10gの粗体を得た。得られた粗体をカラム精製することで、O−Ph−P4C2を0.722g得た。
【0164】
O−Ph−P4C2の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.86−0.90(t、6H)、δ1.22−1.42(m、46H)、δ1.54−1.76(m、12H)、δ1.94−2.03(m、12H)、δ2.52−2.56(m、4H)、δ2.62−2.66(m、4H)、δ2.80−2.89(m、8H)、δ3.59(s、4H)、δ4.11−4.14(t、4H)、δ5.34−5.37(m、4H)、δ7.02−7.05(m、4H)、δ7.26−7.30(m、4H)
【0165】
[実施例4]O−Bn−P4C2
O−Bn−P4C2は実施例1と同様の合成経路で合成した。
<4−(オレオイルオキシメチル)フェニル酢酸の合成>
オレイン酸無水物13.2g(24.1mmol)および4−(ヒドロキシメチル)フェニル酢酸(東京化成工業(株)製)2.01g(12.1mmol)をクロロホルム198gに溶解させた。そこへDMAP 0.590g(4.83mmol)を加えて、室温で7時間反応を行った。反応溶液を10%酢酸水溶液66gで2回、イオン交換水66gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム(関東化学(株)製)4.00gを有機層へ加え、30分間攪拌した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮した。濃縮物をヘキサン87.0gで再溶解し、不溶物をろ過後、アセトニトリル51.5gを用いた抽出を6回行った。アセトニトリル層を回収し、エバポレーターにて濃縮することで、7.47gの粗体を得た。得られた粗体5.98gをカラム精製することで、4−(オレオイルオキシメチル)フェニル酢酸を1.03g得た。
【0166】
4−(オレオイルオキシメチル)フェニル酢酸の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.86−0.89(t、3H)、δ1.15−1.37(m、20H)、δ1.60−1.66(m、2H)、δ1.98−2.04(m、4H)、δ2.32−2.36(m、2H)、δ3.66(s、2H)、δ5.09(s、2H)、δ5.31−5.38(m、2H)、δ7.25−7.29(m、2H)、δ7.31−7.44(m、2H)
【0167】
<O−Bn−P4C2の合成>
di−4PE体 0.250g(0.664mmol)、4−(オレオイルオキシメチル)フェニル酢酸0.600g(1.39mmol)、およびDMAP 0.0324g(0.266mmol)を室温でクロロホルム7.5gに溶解させた。そこへEDC 0.382g(1.99mmol)を加え、30−35℃で4時間反応させた。反応溶液を20%食塩水5.00gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム0.250gを用いて脱水した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮し、0.823gの粗体を得た。得られた粗体をカラム精製することで、O−Bn−P4C2を0.463g得た。
【0168】
O−Bn−P4C2の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.86−0.89(t、6H)、δ1.20−1.30(m、46H)、δ1.50−1.65(m、12H)、δ1.92−2.03(m、12H)、δ2.32−2.36(t、4H)、δ2.62−2.65(m、4H)、δ2.80−2.90(m、8H)、δ3.61(s、4H)、δ4.11−4.14(t、4H)、δ5.09(s、4H)、δ5.31−5.38(m、4H)、δ7.26−7.28(m、4H)、δ7.30−7.32(m、4H)
【0169】
[実施例5]E−Ph−P4C2
E−Ph−P4C2は実施例1と同様の合成経路で合成した。
<コハク酸D−α−トコフェロールの酸無水物化>
コハク酸D−α−トコフェロール(SIGMA−ALDRICH製)70.0g(132mmol)をクロロホルム560gに室温で溶解させ、10−15℃まで冷却した。そこへ、DCC((株)大阪合成有機化学研究所製)13.7g(66mmol)をクロロホルム140gで溶解させた懸濁液を滴下により加え、10−25℃で2時間反応させた。反応溶液をろ過後、ろ液をエバポレーターにより濃縮した。得られた濃縮物をヘキサン210gに再溶解させ、不溶物をろ過により除去した。得られたろ液をエバポレーターにより濃縮し、無水コハク酸D−α−トコフェロールを64.2g得た。
【0170】
無水コハク酸D−α−トコフェロールの
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.84−0.87ppm(m、24H)、δ1.02−1.85ppm(m、52H)、δ1.96(s、6H)、δ2.01(s、6H)、δ2.08(s、6H)、δ2.56−2.59(t、4H)、δ2.90−2.95(m、8H)
【0171】
<4−(D−α−トコフェロールヘミスクシニル)フェニル酢酸の合成>
無水コハク酸D−α−トコフェロール43.1g(41.3mmol)および4−ヒドロキシフェニル酢酸(東京化成工業(株)製)3.13g(20.6mmol)をクロロホルム647gに溶解させた。そこへDMAP(広栄化学(株)製)1.01g(8.26mmol)を加えて、室温で9時間反応を行った。反応溶液を10%酢酸水溶液216gで2回、イオン交換水216gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム(関東化学(株)製)12.9gを有機層へ加え、30分間攪拌した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮した。濃縮物をヘキサン284gで再溶解し、不溶物をろ過後、アセトニトリル168gを用いた抽出を6回行った。アセトニトリル層を回収し、エバポレーターにて濃縮することで、17.0gの粗体を得た。得られた粗体13.6gをカラム精製することで、4−(D−α−トコフェロールヘミスクシニル)フェニル酢酸を3.44g得た。
【0172】
4−(D−α−トコフェロールヘミスクシニル)フェニル酢酸の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.83−0.87ppm(m、12H)、δ1.02−1.85ppm(m、26H)、δ1.96ppm(s、3H)、δ2.01ppm(s、3H)、δ2.08ppm(s、3H)、δ2.56−2.59ppm(t、2H)、δ2.71−2.76ppm(m、2H)、δ2.92−2.96ppm(m、2H)、δ3.66ppm(s、2H)、δ7.05−7.08ppm(m、2H)、δ7.27−7.31ppm(m、2H)
【0173】
<E−Ph−P4C2の合成>
di−4PE体 0.350g(0.929mmol)と、4−(D−α−トコフェロールヘミスクシニル)フェニル酢酸1.04g(1.95mmol)、およびDMAP 0.0454g(0.372mmol)を室温でクロロホルム10.5gに溶解させた。そこへEDC 0.534g(2.79mmol)を加え、30−35℃で4時間反応させた。反応溶液を20%食塩水7.00gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム0.350gを用いて脱水した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮し、1.31gの粗体を得た。得られた粗体をカラム精製することで、E−Ph−P4C2を0.860g得た。
【0174】
E−Ph−P4C2の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.83−0.87ppm(m、24H)、δ1.02−1.85ppm(m、66H)、δ1.94−1.98ppm(m、10H)、δ2.00ppm(s、6H)、δ2.08ppm(s、6H)、δ2.53−2.66ppm(m、8H)、δ2.71−2.85ppm(m、8H)、δ2.85−2.95ppm(m、8H)、δ3.65ppm(s、4H)、δ4.11−4.14ppm(t、4H)、δ7.05−7.08ppm(m、2H)、δ7.27−7.31ppm(m、2H)
【0175】
[実施例6]L−Ph−P4C2
L−Ph−P4C2は実施例1と同様の合成経路で合成した。
<リノール酸の酸無水物化>
リノール酸(日油(株)製)69.6g(248mmol)をクロロホルム560gに室温で溶解させ、10−15℃まで冷却した。そこへ、DCC25.1g(121mmol)をクロロホルム140gで溶解させた懸濁液を滴下により加え、10−25℃で2時間反応させた。反応溶液をろ過後、ろ液をエバポレーターにより濃縮した。得られた濃縮物をヘキサン210gに再溶解させ、不溶物をろ過により除去した。得られたろ液をエバポレーターにより濃縮し、リノール酸無水物を63.8g得た。
【0176】
リノール酸無水物の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.86−0.90ppm(t、6H)、δ1.25−1.40ppm(m、32H)、δ1.61−1.68(m、4H)、δ1.94−2.05(m、8H)、δ2.39−2.46(t、4H)、δ5.30−5.38(m、8H)
【0177】
<4−リノレオイルオキシフェニル酢酸の合成>
リノール酸無水物42.8g(78.9mmol)および4−ヒドロキシフェニル酢酸6.00g(39.4mmol)をクロロホルム647gに溶解させた。そこへDMAP1.93g(15.8mmol)を加えて、15−20℃で9時間反応を行った。反応溶液を10%酢酸水溶液216gで2回、イオン交換水216gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム12.9gを有機層へ加え、30分間攪拌した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮した。濃縮物をヘキサン284gで再溶解し、不溶物をろ過後、アセトニトリル168gを用いた抽出を6回行った。アセトニトリル層を回収し、エバポレーターにて濃縮することで、18.1gの粗体を得た。得られた粗体14.5gをカラム精製することで、4−リノレオイルオキシフェニル酢酸を3.66g得た。
【0178】
4−リノレオイルオキシフェニル酢酸の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.77−0.89(t、3H)、δ1.27−1.42(m、4H)、δ1.71−1.77(m、2H)、δ1.99−2.03(m、4H)、δ2.52−2.56(m、2H)、δ3.64(s、2H)、δ5.34−5.39(m、4H)、δ7.03−7.06(m、2H)、δ7.28−7.31(m、2H)
【0179】
<L−Ph−P4C2の合成>
di−4PE体 0.350g(0.929mmol)と、4−リノレオイルオキシフェニル酢酸0.808g(1.95mmol)、およびDMAP 0.0454g(0.372mmol)を室温でクロロホルム10.5gに溶解させた。そこへEDC 0.534g(2.79mmol)を加え、30−35℃で4時間反応させた。反応溶液を20%食塩水7.00gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム0.350gを用いて脱水した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮し、1.02gの粗体を得た。得られた粗体をカラム精製することで、L−Ph−P4C2を0.668g得た。
【0180】
L−Ph−P4C2の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.87−0.90(t、6H)、δ1.24−1.41(m、38H)、δ1.55−1.76(m、12H)、δ1.93−2.07(m、12H)、δ2.53−2.56(m、4H)、δ2.63−2.65(m、4H)、δ2.77−2.89(m、8H)、δ3.59(s、4H)、δ4.11−4.13(t、4H)、δ5.34−5.39(m、8H)、δ7.02−7.05(m、4H)、δ7.26−7.30(m、4H)
【0181】
[実施例7]HD−Ph−P4C2
HD−Ph−P4C2は実施例1と同様の合成経路で合成した。
<2−ヘキシルデカン酸の酸無水物化>
2−ヘキシルデカン酸(東京化成工業(株)製)6.36g(24.8mmol)をクロロホルム56gに室温で溶解させ、10−15℃まで冷却した。そこへ、DCC2.51g(12.1mmol)をクロロホルム14gで溶解させた懸濁液を滴下により加え、10−25℃で2時間反応させた。反応溶液をろ過後、ろ液をエバポレーターにより濃縮した。得られた濃縮物をヘキサン21gに再溶解させ、不溶物をろ過により除去した。得られたろ液をエバポレーターにより濃縮し、2−ヘキシルデカン酸無水物を5.83g得た。
【0182】
2−ヘキシルデカン酸無水物の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.86−0.90ppm(m、12H)、δ1.25−1.40ppm(m、40H)、δ1.61−1.68(m、8H)、δ2.39−2.46(m、2H)
【0183】
<2−ヘキシルデカノイルオキシフェニル酢酸の合成>
2−ヘキシルデカン酸無水物3.90g(7.89mmol)および4−ヒドロキシフェニル酢酸0.600g(3.94mmol)をクロロホルム65gに溶解させた。そこへDMAP0.193g(1.58mmol)を加えて、室温で9時間反応を行った。反応溶液を10%酢酸水溶液22gで2回、イオン交換水22gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム1.5gを有機層へ加え、30分間攪拌した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮した。濃縮物をヘキサン28gで再溶解し、不溶物をろ過後、アセトニトリル17gを用いた抽出を6回行った。アセトニトリル層を回収し、エバポレーターにて濃縮することで、1.64gの粗体を得た。得られた粗体1.32gをカラム精製することで、2−ヘキシルデカノイルオキシフェニル酢酸を0.333g得た。
【0184】
2−ヘキシルデカノイルオキシフェニル酢酸の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.77−0.89(t、6H)、δ1.27−1.42(m、20H)、δ1.71−1.77(m、4H)、δ2.52−2.56(m、2H)、δ3.64(s、2H)、δ7.03−7.06(m、2H)、δ7.28−7.31(m、2H)
【0185】
<HD−Ph−P4C2の合成>
di−4PE体 0.117g(0.310mmol)と、2−ヘキシルデカノイルオキシフェニル酢酸0.254g(0.650mmol)、およびDMAP 0.0151g(0.124mmol)を室温でクロロホルム3.5gに溶解させた。そこへEDC 0.178g(0.930mmol)を加え、30−35℃で4時間反応させた。反応溶液を20%食塩水3gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム0.3gを用いて脱水した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮し、0.320gの粗体を得た。得られた粗体をカラム精製することで、HD−Ph−P4C2を0.210g得た。
【0186】
HD−Ph−P4C2の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.87−0.90(t、12H)、δ1.23−1.41(m、40H)、δ1.54−1.76(m、20H)、δ1.93−1.97(m、4H)、δ2.54−2.57(m、2H)、δ2.63−2.65(m、4H)、δ2.81−2.89(m、8H)、δ3.59(s、4H)、δ4.11−4.13(t、4H)、δ7.00−7.02(m、4H)、δ7.26−7.29(m、4H)
【0187】
[実施例8]O−Ph−amide−P4C2
<di−4PE体水酸基のアミノ化>
di−4PE体 0.815g(2.16mmol)と、フタルイミド(関東化学(株)製)0.892g(6.06mmol)、およびトリフェニルホスフィン(関東化学(株)製) 1.59g(6.06mmol)を室温でジクロロメタン5gに溶解させた。そこへアゾジカルボン酸ジイソプロピル(ACROS ORGANICS製)1.05g(5.20mmol)を加え、室温で4時間反応させた。反応溶液にメタノール10gを加え、エバポレーターにて濃縮した後、濃縮物をメタノール4gで再溶解し、エチレンジアミン・一水和物(関東化学(株)製)5.08g(65.0mmol)を加え、35−45℃で3時間反応させた。反応溶液をエバポレーターにて濃縮した後、濃縮物を5%リン酸二水素ナトリウム水溶液10gで再溶解し、酢酸エチル10gで3回洗浄を行った。その後、水酸化ナトリウム水溶液を用いて水層をpH12に調整し、ジクロロメタン10gで抽出を2回行い、硫酸ナトリウム(関東化学(株)製)1gを用いて脱水した。硫酸ナトリウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮することで、di−4PE−amine体を0.572g得た。
【0188】
di−4PE−amine体の
1H−NMRスペクトル(400MHz、CDCl
3)
δ1.20−1.55ppm(m、10H)、δ1.51−1.54ppm(m、4H)、δ1.95−2.05ppm(m、4H)、δ2.58−2.66ppm(m、4H)、δ2.72ppm(t、4H)、δ2.78−2.83ppm(m、4H)、δ2.89−2.92ppm(m、4H)
【0189】
<O−Ph−amide−P4C2の合成>
di−4PE−amine体 0.348g(0.929mmol)と、4−オレオイルオキシフェニル酢酸0.813g(1.95mmol)、およびDMAP 0.0454g(0.372mmol)を室温でクロロホルム10.5gに溶解させた。そこへEDC 0.534g(2.79mmol)を加え、30−35℃で4時間反応させた。反応溶液を20%食塩水7.00gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム0.350gを用いて脱水した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮し、1.10gの粗体を得た。得られた粗体をカラム精製することで、O−Ph−amide−P4C2を0.629g得た。
【0190】
O−Ph−amide−P4C2の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.86−0.90(t、6H)、δ1.22−1.42(m、46H)、δ1.61−1.77(m、12H)、δ1.92−2.03(m、12H)、δ2.52−2.56(m、4H)、δ2.62−2.66(m、4H)、δ2.80−2.89(m、8H)、δ3.22−3.25(m、4H)、δ3.54(s、4H)、δ5.32−5.37(m、6H)、δ7.05−7.05(m、4H)、δ7.25−7.26(m、4H)
【0191】
[実施例9]O−Ph−C3M
<O−Ph−C3Mの合成>
特許文献2に記載の方法で合成したビス[{N−メチル−N−(3-ヒドロキシプロピル)アミノ}エチル]ジスルフィド(di−MAP体) 0.275g(0.929mmol)と、4−オレオイルオキシフェニル酢酸0.813g(1.95mmol)、およびDMAP 0.0454g(0.372mmol)を室温でクロロホルム10.5gに溶解させた。そこへEDC 0.534g(2.79mmol)を加え、30−35℃で4時間反応させた。反応溶液を20%食塩水7.00gで2回洗浄した後、硫酸マグネシウム0.350gを用いて脱水した。硫酸マグネシウムをろ過後、ろ液をエバポレーターにて濃縮し、0.871gの粗体を得た。得られた粗体をカラム精製することで、O−Ph−C3Mを0.498g得た。
【0192】
O−Ph−C3Mの
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.86−0.90(t、6H)、δ1.22−1.42(m、44H)、δ1.77−1.82(m、8H)、δ1.99−2.03(m、8H)、δ2.26(s、6H)、δ2.28−2.30(t、4H)、δ2.52−2.56(m、4H)、δ2.67−2.69(m、4H)、δ2.79−2.81(m、4H)、δ3.54(s、4H)、δ4.10−4.13(t、4H)、δ5.32−5.37(m、4H)、δ7.05−7.05(m、4H)、δ7.25−7.26(m、4H)
【0193】
[比較例1]O−P4C2の合成
特許文献2に記載の合成経路にて合成した。
【0194】
O−P4C2の
1H−NMRスペクトル(600MHz、CDCl
3)
δ0.86−0.90(t、6H)、δ1.20−1.35(m、40H)、δ1.58−1.70(m、4H)、δ1.75−1.83(m、4H)、δ1.95−2.05(m、8H)、δ2.24−2.32(m、10H)、δ2.66−2.70(m、4H)、δ2.78−2.82(m、4H)、δ4.10−4.13(t、4H)、δ5.13−5.38(m、4H)
【0195】
[比較例2]E−P4C2の合成
特許文献2に記載の合成経路にて合成した。
【0196】
E−P4C2の
1H−NMRスペクトル(400MHz、CDCl
3)
δ0.83−0.88(m、24H)、δ1.00−1.81(m、66H)、δ1.95−2.10(m、22H)、δ2.55−2.60(t、4H)、δ2.62−2.66(m、4H)、δ2.73−2.77(t、4H)、δ2.80−2.84(m、4H)、δ2.86−2.95(m、8H)、δ4.12−4.17(t、4H)
【0197】
[試験例1]mRNA封入粒子の調製と物性評価
1.エタノール希釈法によるmRNA封入LNPの調製
(1)脂質のエタノール溶液の調製
脂質のエタノール溶液は、5mLチューブに5mMのカチオン性脂質、5mMリン脂質、5mMコレステロールを総脂質量131.5nmolとなるように目的の割合で混合し、DMG−PEG2k(1mMエタノール溶液)をさらに総脂質量の3%相当量添加し、全量が30μLとなるようにエタノールを加えることで調製した。
【0198】
(2)核酸の酸性バッファー溶液の調製
核酸の酸性バッファー溶液は、エッペンドルフチューブにmRNA溶液(濃度はインビトロ翻訳の効率により変化するが概ね0.6−0.8μg/μL)を3μgとなるようにはかり取り、全量が45μLとなるように酸性リンゴ酸バッファー(20mM,pH3.0,30mM NaClを含む)を加えることで調製した。
【0199】
(3)エタノール希釈法によるLNP調製
核酸の酸性バッファー溶液45μLを脂質のエタノール溶液30μLにボルテックスしながら加えた。続いて混合液へMES緩衝液(pH5.5)を925μL加えた。事前にMES緩衝液1mLを加えておいたAmicon Ultra 4(Millipore社)へLNP溶液を全量移した。LNP溶液の入っていた5mLチューブへ1mLのMES緩衝液を加え、洗い込みを行った。本洗い込みは二度行った。遠心条件(25℃,1000g,3min)で約100μLまで限外濾過し濃縮した後、PBSを用いて4mLまでメスアップし、再度、遠心条件(25℃,1000g,10min)で濃縮した。最後に、PBSを用いて目的の脂質濃度になるようメスアップした。
【0200】
2.各種mRNA封入LNPの粒子径、及び表面電位の測定
粒子径並びに表面電位は、動的光散乱法(Zetasizer Nano;Malvern社)により測定した。上記1.の方法で調製した各種LNPの粒子径、表面電位の1例を表3〜9に示す。
【0201】
【表3】
【0202】
【表4】
【0203】
【表5】
【0204】
【表6】
【0205】
【表7】
【0206】
【表8】
【0207】
【表9】
【0208】
3.結果
いずれのLNPも好ましい形態である粒子径30〜300nmであり、生理的pHでの電荷(ゼータ電位)も、好ましい形態である−15〜+15mVであった。
【0209】
[試験例2]siRNA封入粒子の調製と物性評価
1.マイクロ流路法によるsiRNA封入LNPの調製
(1)脂質のエタノール溶液の調製
脂質のエタノール溶液は、エッペンドルフチューブに5mMのカチオン性脂質、5mMコレステロールを総脂質量900nmolとなるように目的の割合で混合し、DMG−PEG2k(2mMエタノール溶液)をさらに総脂質量の1.5%相当量添加し、全量が100μLとなるようにエタノールを加えることで調製した。
【0210】
(2)核酸の酸性バッファー溶液の調製
核酸の酸性バッファー溶液は、5mLチューブに4mg/mLのsiRNA溶液を4.5μgとなるようにはかり取り、全量が900μLとなるように酸性リンゴ酸バッファー(20mM,pH3.0)を加えることで調製した。
【0211】
(3)マイクロ流路を用いたLNP調製
核酸の酸性バッファー溶液および脂質のエタノール溶液をそれぞれシリンジにはかり取った。超高速ナノ医薬作成装置NanoAssmblr(Precision NanoSystems製)を用いて、核酸溶液を18mL/min、脂質溶液を2mL/min、シリンジホルダー温度を30℃の条件にて、LNPを調製し、15mLチューブへ回収した。15mLチューブへPBSを3000μL加えた後、Amicon Ultra 4へ移し、遠心条件(30℃,1000g,6min)で約100μLまで限外濾過し濃縮した。その後、PBSを用いて4mLまでメスアップし、再度、遠心条件(30℃,1000g,6min)で濃縮した。最後に、PBSを用いて目的の脂質濃度になるようメスアップした。
【0212】
2.各種siRNA封入LNPの粒子径、及び表面電位の測定
粒子径並びに表面電位は、動的光散乱法により測定した。[試験例5]の1に記載の方法で調製した各種LNPの粒子径、表面電位の1例を表10〜12に示す。
【0213】
【表10】
【0214】
【表11】
【0215】
【表12】
【0216】
3.結果
いずれのLNPも好ましい形態である粒子径30〜300nmであり、生理的pHでの電荷(ゼータ電位)も、好ましい形態である−10〜+10mVであった。
【0217】
[試験例3]Liposomal pKaの測定
1.各種LNPの調製
Liposomal pKaの評価には核酸を封入していない空のLNPを使用した。空のLNP(カチオン性脂質:DOPC:Chol:DMP−PEG2k=60:10:30:3)は[試験例1]に記載の方法において核酸を使用せずに粒子調製を行うことで作製した。
【0218】
2.Liposomal pKaの測定
pH3.0〜10.0の範囲で種々のpHに合わせた、終濃度150mMのNaClを含む20mMのクエン酸緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液およびトリスHCl緩衝液を用意した。[試験例3]1.で調製したLNPを脂質濃度として0.5mMとなるようにPBSで希釈した。TNS(Sigma製)は0.6mMとなるように超純水で希釈した。黒色96wellプレートにTNS溶液を2μL、各種LNP溶液を12μL、および種々のpHに調整した緩衝液を186μL加えた。プレートを遮光し、400rpmで10分間振盪した。プレートリーダー(TECAN製)を用いて、蛍光強度(励起:321nm/発光:447nm)を測定した。各LNPにおける蛍光強度の最大値を100%、最小値を0%として、相対蛍光強度を百分率で算出した。また、相対蛍光強度が50%であるpHをLiposomal pKaとした。各種LNPのLiposomal pKaの評価結果を表13に示す。
【0219】
【表13】
【0220】
3.結果
いずれのLNPのLiposomal pKaも、エンドソーム脱出に好ましいpKa(5.5〜7.2)の範囲内であった。また、カチオン性脂質のアミノ基周辺構造を改変することで、LNPのLiposomal pKaを調整することができた。
【0221】
[試験例4]pH7.4および5.5でのヘモライシス活性(膜融合能)の評価
1.各種LNPの調整
ヘモライシス活性の評価には核酸を封入していない空のLNPを使用した。空のLNPは[試験例2]の1に記載の方法において核酸を使用せずに粒子調製を行うことで作製した。
【0222】
2.マウス赤血球の取得
6−7週齢の雄のICRマウスを安楽死させ、下大静脈から血液約1000μLを採取した。取得した血液は直ちに0.5μLのヘパリン溶液(5000U/5mL)と混合した。血液にPBS約9mLを加え全量を10mLとし、転倒混和した後、遠心分離を行った(4℃,400g,10min)。血漿成分を含む上清をパスツールピペットにより取り除いた。血球成分へPBS約9mLを加え全量を10mLとし、再度遠心分離を行った。同様の洗浄作業を4度繰り返し、マウス赤血球を得た。
【0223】
3.ヘモライシス活性の評価
マウス赤血球を2、4、6、8、10μLはかり取り、1%(w/v)のTriton−X100を含むPBSで希釈した。全量を透明96wellプレートへ移し、プレートリーダーを用いて545nmにおける吸光度を測定した。本希釈系列を用いて検量線を作成し、吸光度が1になる点をヘモライシスアッセイに使用する血球量として決定した。空のLNP溶液をエッペンドルフチューブにはかり取り、リンゴ酸−PBS緩衝液(pH5.5,pH6.5,pH7.4)で希釈し、さらにマウス赤血球を加えた。脂質の終濃度を100μM、溶液の最終体積を250μLとした。各チューブを1900rpmで30分間振盪した。各サンプルを遠心条件(4℃,400g,5min)で遠心分離し、上清200μLを透明96wellプレートに移し545nmにおける吸光度を測定した。ネガティブコントロールとして、未処理赤血球を用いた。ポジティブコントロールとして1%(w/v)のTriton−Xを用いた。各サンプルの吸光度はネガティブコントロールとポジティブコントロールで規格化した。
【0224】
4.結果
結果を
図1に示す。値が高い程、膜融合能(ヘモライシス活性)が高いことを意味する。本発明のカチオン性脂質を用いたLNP(O−Ph−P4C2_LNP)は生理的pH(7.4)ではヘモライシス活性を有さなかった。一方で、エンドソーム内環境pH(5.5)では80%以上の高いヘモライシス活性を示した。
【0225】
[試験例5]各種LNPのpH5.5でのヘモライシス活性の評価
1.各種LNPの調整
空のLNPは[試験例2]の1に記載の方法において核酸を使用せずに粒子調製を行うことで作製した。
【0226】
2.マウス赤血球の取得
マウス赤血球の取得は「試験例4」に記載の方法で行った。
【0227】
3.ヘモライシス活性の評価
マウス赤血球を2、4、6、8、10μL測り取り、1%(w/v)のTriton−X100を含むPBSで希釈した。全量を透明96wellプレートへ移し、プレートリーダーを用いて545nmにおける吸光度を測定した。本希釈系列を用いて検量線を作成し、吸光度が1になる点をヘモライシスアッセイに使用する血球量として決定した。空のLNP溶液をエッペンドルフチューブにはかり取り、リンゴ酸−PBS緩衝液(pH5.5)で希釈し、さらにマウス赤血球を加えた。脂質の終濃度を1.56、6.25、25、100、400μM、溶液の最終体積を250μLとした。各チューブを1900rpmで30分間振盪した。各サンプルを遠心条件(4℃,400g,5min)で遠心分離し、上清200μLを透明96wellプレートに移し545nmにおける吸光度を測定した。ネガティブコントロールとして未処理赤血球、ポジティブコントロールとして1%(w/v)のTriton−X100を添加したものを用いた。各サンプルの吸光度はネガティブコントロールとポジティブコントロールで規格化した。
【0228】
4.結果
結果を
図2に示す。値が高い程、膜融合能(ヘモライシス活性)が高いことを意味する。本発明のカチオン性脂質を用いたLNP(O−Ph−P4C2_LNPおよびO−Bn−P4C2_LNP)はいずれも、比較例1のLNPよりも、各種脂質濃度においてヘモライシス活性が高かった。O−Ph−P4C2_LNPとO−Bn−P4C2_LNPはヘモライシス活性に差はなかった。pH5.5においてヘモライシス活性が高いことは、エンドソーム内環境においてエンドソーム膜との相互作用が高いこと、つまり、エンドソームからの脱出効率が高いことを意味している。本発明のカチオン性脂質を用いたLNP(O−Ph−P4C2_LNPおよびO−Bn−P4C2_LNP)は、ヘモライシス活性が高いので、エンドソーム脱出に優位であることが分かる。
【0229】
[試験例6]インビトロにおける遺伝子発現の評価1
1.各種LNPの調製
ルシフェラーゼを発現するmRNAを封入したLNP(カチオン性脂質:DOPC:Chol=60:10:30)を[試験例1]の1に記載の方法で調製した。
【0230】
2.インビトロにおける遺伝子発現の経時評価
トランスフェクション24時間前にヒト腎がん細胞OSRC2を1.0×10
4cells/2mL/Dishとなるように3.5cmディッシュに播種した。24時間後、培地を0.1mMのD−ルシフェリンを含む培養培地(RPMI1640)へ交換した。調製したmRNA封入LNPをmRNAの濃度で6μg/mLとなるようにPBSで希釈した。希釈したmRNA封入LNP溶液33μL(mRNA0.2μg)を3.5cmディッシュに加え、インキュベーター型ルミノメーターKronosDio(ATTO製)にセットした。ルシフェラーゼの発光強度を1時間ごとに2分間計測した。得られた発現の時間変化から、24時間の累積発光強度を算出した。
【0231】
3.結果
結果を
図3に示す。値が高い程、即ち総ルシフェラーゼ活性が高い程、遺伝子発現が高いことを意味する。本発明のカチオン性脂質を用いたLNP(O−Ph−P4C1_LNPおよびO−Ph−P4C2_LNP)は、比較例1のカチオン性脂質を用いたLNP(O−P4C2_LNP)と比較して、高い遺伝子発現を示した。
【0232】
[試験例7]インビトロにおける遺伝子発現の評価2
1.各種LNPの調製
ルシフェラーゼを発現するmRNAを封入したLNP(カチオン性脂質:DOPC:Chol=52.5:7.5:40)を[試験例1]の1に記載の方法で調製した。
【0233】
2.インビトロにおける遺伝子発現の経時評価
トランスフェクション24時間前にマウス大腸がん細胞CT26を8.0×10
4/2mL/Dishとなるように3.5cmディッシュに播種した。24時間後、培地を0.1mMのD−ルシフェリンを含む培養培地へ交換した。調製したmRNA封入LNPをmRNAの濃度で6μg/mLとなるようにPBSで希釈した。希釈したmRNA封入LNP溶液67μL(mRNA0.4μg)を3.5cmディッシュに加え、インキュベーター型ルミノメーターKronosDioにセットした。ルシフェラーゼの発光強度を1時間ごとに2分間計測した。得られた発現の時間変化から、24時間の累積発光強度を算出した。
【0234】
3.結果
結果を
図4に示す。値が高い程、即ち総ルシフェラーゼ活性が高い程、遺伝子発現が高いことを意味する。本発明のカチオン性脂質を用いたLNP(O−Ph−P4C2_LNPおよびO−Bn−P4C2_LNP)は、比較例1のLNPと比較して、高い遺伝子発現活性を示した。特に、O−Ph−P4C2_LNPは、比較例1のLNPよりも10倍程度高い遺伝子発現活性を示しており、インビトロでの優れたmRNAの送達能を有していることがわかる。
【0235】
[試験例8]インビボにおける遺伝子発現の経時評価
1.各種LNPの調製
エリスロポエチンを発現するmRNAを封入したLNP(カチオン性脂質:DOPC:Chol=52.5:7.5:40)を[試験例1]に記載の方法で調製した。
【0236】
2.インビボにおける遺伝子発現の経時評価
調製したmRNA封入LNPをmRNAの濃度で5μg/mLとなるようにPBSで希釈した。希釈したmRNA封入LNPを、6週齢の雌のBalb/cマウスに体重1gあたり10μLとなるように尾静脈内投与した(mRNAの投与量として0.05mg/kg)。投与後0.5、1、2、3、6、9、24時間後にマウス尾静脈から血液15μLを採取した。採取した血液は直ちに0.3μLのヘパリン溶液(5000U/5mL)と混合した。各血液サンプルを遠心条件(25℃,2000g,20min)で遠心分離し、上清を回収した。上清中のエリスロポエチン濃度をMouse Erythropoietin Quantikine ELISA Kit(R&D Systems製)を用いて、Kitのプロトコルに記載の方法で測定した。
【0237】
3.市販の遺伝子導入試薬TransIT(登録商標)を用いたmRNA−TransIT複合体の調製
本複合体の調製は文献(Thess A et al. Molecular Therapy. 2017)を参考に行った。mRNA溶液をmRNAが5μgとなるようにエッペンドルフチューブにはかり取った。mRNA溶液をダルベッコ改変イーグル培地(High−Glucose)で希釈し491μLとした。そこへTransIT−mRNA試薬5.5μLとmRNA Boost試薬を3.5μL加え、2分インキュベーションすることでmRNA−TransIT複合体を調製した。
【0238】
4.インビボにおけるmRNA−TransIT複合体の遺伝子発現の経時評価
本遺伝子発現活性評価は文献(Thess A et al. Molecular Therapy. 2017)を参考に行った。調製したmRNA−TransIT複合体を6週齢の雌のBalb/cマウスの腹腔内へ体重1gあたり5μL投与した(mRNAの投与量として0.05mg/kg)。各種タイムポイントでのマウス尾静脈からの血液採取、並びにエリスロポエチン濃度の定量を[試験例7]の2に記載の方法で行った。
【0239】
5.結果
結果を
図5に示す。値が高い程、即ちエリスロポエチン活性が高い程、遺伝子発現が高いことを意味する。本発明のカチオン性脂質を用いたLNP(O−Ph−P4C2_LNPおよびO−Bn−P4C2_LNP)はいずれも、市販の遺伝子導入試薬(TransIT(登録商標))と比較して、高い遺伝子発現活性を示した。特に、O−Ph−P4C2_LNPは、市販の遺伝子導入試薬よりも10倍程度高い遺伝子発現活性を示しており、インビボでの優れたmRNAの送達能を有していることがわかる。
【0240】
[試験例9]インビボにおける遺伝子ノックダウン活性の評価(肝臓へのsiRNAの送達)
1.各種LNPの調製
肝臓特異的タンパク質である凝固第VII因子(FVII)に対するsiRNA封入LNPを[試験例2]の1に記載の方法で調製した。
【0241】
2.インビボ肝臓における遺伝子ノックダウン活性の評価
調製したsiRNA封入LNPをsiRNAの濃度で2μg/mLとなるようにPBSで希釈した。希釈したsiRNA封入LNPを、4週齢の雄のICRマウスに体重1gあたり10μLとなるように尾静脈内投与した(siRNAの投与量として0.02mg/kg)。24時間後にマウスを安楽死させ、下大静脈から血液約500μLを取得した。取得した血液は直ちに0.5μLのヘパリン溶液(5000U/5mL)と混合し、アッセイまで氷上で保存した。血中のFVII濃度はBiophen VII assay kit(Aniara社)を用い、Kitのプロトコルに記載の方法にて測定した。各サンプル投与後24時間におけるFVIIの血中濃度は未処理マウスの血中FVII濃度により規格化した。
【0242】
3.結果
結果を
図6に示す。値が低い程、即ちFVIIタンパク質の発現活性が低い程、遺伝子ノックダウン活性が高いことを意味する。本発明のカチオン性脂質を用いたLNP(O−Ph−P4C2_LNPおよびO−Bn−P4C2_LNP)はいずれも、比較例1のLNPよりも遺伝子ノックダウン活性が高く、特に、O−Ph−P4C2_LNPは、インビボでの優れたsiRNAの送達能を有していることがわかる。
【0243】
[試験例10]mRNA封入粒子の調製と物性評価
1.マイクロ流路法によるmRNA封入LNPの調製
(1)脂質のエタノール溶液の調製
脂質のエタノール溶液は、5mLチューブに5mMのカチオン性脂質、5mMリン脂質、5mMコレステロールを総脂質量2550nmolとなるように目的の割合で混合し、DMG−PEG2k(1mMエタノール溶液)をさらに総脂質量の1.5%相当量添加し、全量が510μLとなるようにエタノールを加えることで調製した。
【0244】
(2)核酸の酸性バッファー溶液の調製
核酸の酸性バッファー溶液は、5mLチューブにmRNA溶液(濃度はインビトロ翻訳の効率により変化するが概ね0.6−0.8μg/μL)を10.8μgとなるようにはかり取り、全量が1300μLとなるように酸性リンゴ酸バッファー(20mM,pH3.0,30mM NaClを含む)を加えることで調製した。
【0245】
(3)マイクロ流路を用いたLNP調製
核酸の酸性バッファー溶液および脂質のエタノール溶液をそれぞれシリンジにはかり取った。超高速ナノ医薬作成装置NanoAssmblrを用いて、核酸溶液を3mL/min、脂質溶液を1mL/minにてLNP調製を行い、1.2mLを15mLチューブへ回収した。15mLチューブへpH6.5の20mMのMES(NaOHで調製)を3000μL加えた後、Amicon Ultra 4へ移し、遠心(25℃,1000g,3min)を繰り返し、約300μLまで限外濾過し濃縮した。その後、PBSを用いて4mLまでメスアップし、再度、遠心(25℃,1000g,3min)を繰り返し、濃縮した。最後に、PBSを用いて目的の脂質濃度になるようメスアップした。
【0246】
2.各種mRNA封入LNPの粒子径、及び表面電位の測定
粒子径並びに表面電位は、動的光散乱法により測定した。上記1.の方法で調製した各種LNPの粒子径、表面電位の1例を表14〜21に示す。
【0247】
【表14】
【0248】
【表15】
【0249】
【表16】
【0250】
【表17】
【0251】
【表18】
【0252】
【表19】
【0253】
【表20】
【0254】
【表21】
【0255】
3.結果
いずれのLNPも好ましい形態である粒子径30〜300nmであり、生理的pHでの電荷(ゼータ電位)も、好ましい形態である−15〜+15mVであった。
【0256】
[試験例11]Liposomal pKaの測定
1.各種LNPの調製
Liposomal pKaの評価には核酸を封入していない空のLNPを使用した。空のLNP(カチオン性脂質:DOPC:Chol:DMG−PEG2k=52.5:7.5:40:1.5)は[試験例10]に記載の方法において核酸を使用せずに粒子調製を行うことで作製した。
【0257】
2.Liposomal pKaの測定
Liposomal pKaは[試験例3]に記載の方法で算出した。各種LNPのLiposomal pKaの値を表22に示す。
【0258】
【表22】
【0259】
3.結果
いずれのLNPのLiposomal pKaも、エンドソーム脱出に好ましいpKa(5.5〜7.2)の範囲内であった。O−Ph−amide−P4C2を加えることでpKaが向上した。
【0260】
[試験例12]pH7.4および5.5でのヘモライシス活性(膜融合能)の評価
1.各種LNPの調整
ヘモライシス活性の評価には核酸を封入していない空のLNPを使用した。空のLNPは[試験例11]の1に記載の方法で作製した。
【0261】
2.マウス赤血球の取得
[試験例4]の2に記載の方法でマウス赤血球を得た。
【0262】
3.ヘモライシス活性の評価
[試験例4]の3に記載の方法でヘモライシス活性を評価した。
【0263】
4.結果
結果を
図7に示す。本発明のカチオン性脂質または比較例1のカチオン性脂質を用いたLNPはいずれも生理的pH(7.4)ではヘモライシス活性を有さなかった。一方で、エンドソーム内環境pH(5.5)では本発明のカチオン性脂質を用いたLNPはいずれも比較例1のカチオン性脂質を用いたLNPよりも優れたヘモライシス活性を有することがかわる。
【0264】
[試験例13]インビトロにおける遺伝子発現の評価3
1.各種LNPの調製
ルシフェラーゼを発現するmRNAを封入したLNP(カチオン性脂質:DOPC:Chol=52.5:7.5:40)を[試験例10]の1に記載の方法で調製した。
【0265】
2.インビトロにおける遺伝子発現の経時評価
トランスフェクション24時間前にヒト子宮頚がん細胞であるHeLa細胞を5.0×10
4cells/2mL/Dishとなるように3.5cmディッシュに播種した。24時間後、培地を0.1mMのD−ルシフェリンを含む培養培地(D−MEM)へ交換した。調製したmRNA封入LNPをmRNAの濃度で約8μg/mLとなるようにPBSで希釈した。希釈したmRNA封入LNP溶液約50μL(mRNA 0.4μg)を3.5cmディッシュに加え、インキュベーター型ルミノメーターKronosDioにセットした。ルシフェラーゼの発光強度を1時間ごとに2分間計測した。得られた発現の時間変化から、24時間の累積発光強度を算出した。
【0266】
3.結果
結果を
図8に示す。値が高い程、即ち総ルシフェラーゼ活性が高い程、遺伝子発現が高いことを意味する。本発明のカチオン性脂質を用いたLNP(O−Ph−P4C2_LNP、L−Ph−P4C2_LNP、HD−Ph−P4C2_LNP、O−Ph−P4C2+O−Ph−amide−P4C2_LNP、およびL−Ph−P4C2_LNP)は、比較例1のカチオン性脂質を用いたLNP(O−P4C2_LNP)と比較して、高い遺伝子発現を示した。さらに、O−Ph−P4C2_LNPおよびO−Ph−P4C2+O−Ph−amide−P4C2_LNPは、市販のmRNA導入試薬よりも高い遺伝子発現活性を示した。
【0267】
[試験例14]インビトロにおける遺伝子発現の評価4
1.LNPの調製
ルシフェラーゼを発現するmRNAを封入したLNP(O−Ph−P4C2:DOPC:Chol:DMG−PEG2k=52.5:7.5:40:0.75)を[試験例10]の1の記載に類する方法で調製した。
【0268】
2.遺伝子導入試薬(Lipofectamine MssengerMAX)を用いたLipofectamine−mRNAの複合体の調製
本複合体の調製は、メーカー記載のプロトコルに従って行った。エッペンドルフチューブにOpti−MEM培地125μLおよびLipofectamine MessengerMAX試薬を7.5μL加え、10分間インキュベーションした。別のエッペンドルフチューブにmRNA2.5μg/Opti−MEM培地125μLの溶液を調製した。そこへインュベートしたLipofectamine溶液を125μL加えて、5分間インキュベートすることでLipofectamine−mRNAの複合体を調製した。
【0269】
3.インビトロにおける遺伝子発現の経時評価
トランスフェクション24時間前にヒト白血病T細胞であるJurkat細胞を2.0×10
5cells/1.8mL/Dishとなるように3.5cmディッシュに播種した。24時間後、終濃度が0.1mMとなるようにD−ルシフェリン入りの培地(RPMI1640)を各ディッシュに200μL加えた。そこへ、各種濃度に調製したmRNA封入LNP溶液を80μL(mRNAとして0.4、0.8、1.6、3.2μg)、またはLipofectamine−mRNA複合体を40、80、160、320μL(mRNAとして0.4、0.8、1.6、3.2μg)加え、インキュベーター型ルミノメーターKronosDioにセットした。ルシフェラーゼの発光強度を3時間ごとに2分間計測した。得られた発現の時間変化から、48時間の累積発光強度を算出した。
【0270】
4.結果
結果を
図9に示す。本発明のカチオン性脂質を用いたLNP(O−Ph−P4C2_LNP)は、いずれのmRNA量においても遺伝子導入試薬と比較して優れた遺伝子発現活性を示した。
【0271】
[試験例15]インビトロにおける遺伝子発現の評価5
1.LNPの調製
EGFPを発現するmRNAを封入したLNP(O−Ph−P4C2:DOPC:Chol:DMG−PEG2k=52.5:7.5:40:0.75)を[試験例10]の1の記載に類する方法で調製した。
【0272】
2.遺伝子導入試薬を用いたLipofectamine−mRNAの複合体の調製
Lipofectamine−mRNAの複合体は[試験例14]の2に記載の方法にて調製した。
【0273】
3.インビトロにおける遺伝子発現の経時評価
トランスフェクション24時間前にヒト白血病T細胞であるJurkat細胞を2.0×10
5cells/2mL/Dishとなるように3.5cmディッシュに播種した。24時間後、各種濃度に調製したmRNA封入LNP溶液を80μL(mRNAとして 0.4、0.8、1.6、3.2μg)、またはLipofectamine−mRNA複合体を40、80、160、320μL(mRNAとして 0.4、0.8、1.6、3.2μg)3.5cmディッシュに加え、インキュベーターで24時間培養した。培養液をFACSバッファー(0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)、0.1%NaN
3含有PBS)に交換し、フローサイトメーター(NovoCyte;ACEA Biosciences製)にて測定を行い、遺伝子導入された細胞の分析を行った。
【0274】
4.結果
結果を
図10に示す。値が高いほど多くの細胞に遺伝子導入されていることを表す。遺伝子導入試薬では、いずれのmRNA量でも一部の細胞でのみ遺伝子発現しており、発現の均一性が低かった。対して、本発明のカチオン性脂質を用いたLNPでは、mRNA量に関係なく殆ど全ての細胞に遺伝子導入されており、発現の均一性が非常に高いことが分かる。
【0275】
[試験例16]インビボにおける遺伝子発現の評価(皮下投与)
1.各種LNPの調製
ルシフェラーゼを発現するmRNAを封入したLNP(カチオン性脂質:DOPE:Chol=60:30:10)を、[試験例10]に記載のマイクロ流路を用いた方法にて調製した。
【0276】
2.インビボにおける遺伝子ノックダウン活性の評価
調製したmRNA封入LNPを、6週齢の雌のC57/BL6Jマウスに体重1gあたり10μLとなるように頸背部に皮下投与した(mRNAの投与量として0.05mg/kg)。投与5時間半後、体重1gあたり10μLとなるようにマウスにルシフェリンを腹腔内投与した(ルシフェリンの投与量として1.5g/kg)。30分後、IVISイメージングシステムを用いてイメージングを行った。取得した画像からマウスの頸背部における輝度の平均値をPhotoms/secとして算出し、これを頸背部における遺伝子発現活性の指標とした。
【0277】
3.結果
結果を
図11に示す。値が高い程、即ち総ルシフェラーゼ活性が高い程、遺伝子発現が高いことを意味する。本発明のカチオン性脂質を用いたLNP(E−Ph−P4C2_LNP)は、マウスの皮下において比較例2よりも高い遺伝子発現活性を示した。