特表-19189572IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2019-189572ブロック共重合体及びその製造方法、該ブロック共重合体を用いたゴム組成物及びタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年10月3日
【発行日】2021年4月22日
(54)【発明の名称】ブロック共重合体及びその製造方法、該ブロック共重合体を用いたゴム組成物及びタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08F 297/04 20060101AFI20210326BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20210326BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20210326BHJP
【FI】
   C08F297/04
   C08L53/02
   C08K3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
【出願番号】特願2020-509318(P2020-509318)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年3月28日
(31)【優先権主張番号】特願2018-66034(P2018-66034)
(32)【優先日】2018年3月29日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(71)【出願人】
【識別番号】510079008
【氏名又は名称】アミリス,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】特許業務法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香田 大輔
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
4J002BP011
4J002DA037
4J002DJ016
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD030
4J002FD140
4J002FD150
4J002GN01
4J026HA06
4J026HA13
4J026HA15
4J026HA20
4J026HA26
4J026HA32
4J026HA39
4J026HB06
4J026HB13
4J026HB15
4J026HB20
4J026HB32
4J026HB39
4J026HB45
4J026HB48
4J026HB50
4J026HC15
4J026HC32
4J026HC39
4J026HC50
4J026HE05
4J026HE06
(57)【要約】
ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含む重合体ブロックAと、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位(b1)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)を含むランダム共重合体ブロックBとを含有するブロック共重合体であり、該ブロック共重合体における重合体ブロックAとランダム共重合体ブロックBとの質量比(A/B)が30/70〜0.5/99.5であり、ランダム共重合体ブロックB中の芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)の含有量が1〜50質量%であり、重量平均分子量(Mw)が10万〜500万である、ブロック共重合体である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含む重合体ブロックAと、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位(b1)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)を含むランダム共重合体ブロックBとを含有するブロック共重合体であり、
該ブロック共重合体における重合体ブロックAとランダム共重合体ブロックBとの質量比(A/B)が30/70〜0.5/99.5であり、
ランダム共重合体ブロックB中の芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)の含有量が1〜50質量%であり、
ゲル浸透クロマトグラフィーで求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10万〜500万である、ブロック共重合体。
【請求項2】
重合体ブロックA中のファルネセン由来の単量体単位(a1)の含有量が60質量%以上である、請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項3】
ランダム共重合体ブロックB中の炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位(b1)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)の合計含有量が60質量%以上である、請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
【請求項4】
前記ブロック共重合体の少なくとも一部が、直鎖ブロック共重合体鎖の末端同士がカップリング剤を介して結合したブロック共重合体であり、カップリング率が40質量%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のブロック共重合体。
【請求項5】
前記ブロック共重合体の少なくとも一部が、直鎖ブロック共重合体鎖の末端同士がカップリング剤を介して結合した分岐ブロック共重合体である、請求項1〜4のいずれかに記載のブロック共重合体。
【請求項6】
重合体ブロックAを分子鎖末端に有する、請求項1〜5のいずれかに記載のブロック共重合体。
【請求項7】
ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含む重合体ブロックAと、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位(b1)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)を含むランダム共重合体ブロックBとを含有するブロック共重合体の製造方法であり、
下記工程1−1及び工程1−2を含む、ブロック共重合体の製造方法。
工程1−1:有機金属開始剤の存在下、ファルネセンを含む単量体を重合して、重合体ブロックAを含有するリビング重合体を得る工程
工程1−2:工程1−1で得られる重合体ブロックAを含有するリビング重合体の存在下で、炭素数12以下の共役ジエン、及び芳香族ビニル化合物を含む単量体を重合して、重合体ブロックA及びランダム共重合体ブロックBを含有するリビングブロック共重合体を得る工程
【請求項8】
さらに下記工程1−3を含む、請求項7に記載のブロック共重合体の製造方法。
工程1−3:工程1−2で得られるリビングブロック共重合体の少なくとも一部をカップリング剤によりカップリングする工程
【請求項9】
ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含む重合体ブロックAと、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位(b1)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)を含むランダム共重合体ブロックBとを含有するブロック共重合体の製造方法であり、
下記工程2−1及び工程2−2を含む、ブロック共重合体の製造方法。
工程2−1:有機金属開始剤の存在下、炭素数12以下の共役ジエン、及び芳香族ビニル化合物を含む単量体を重合して、ランダム共重合体ブロックBを含有するリビング重合体を得る工程
工程2−2:工程2−1で得られるランダム共重合体ブロックBを含有するリビング重合体の存在下で、ファルネセンを含む単量体を重合して、重合体ブロックA及びランダム共重合体ブロックBを含有するリビングブロック共重合体を得る工程
【請求項10】
さらに下記工程2−3を含む、請求項9に記載のブロック共重合体の製造方法。
工程2−3:工程2−2で得られるリビングブロック共重合体の少なくとも一部をカップリング剤によりカップリングする工程
【請求項11】
請求項1〜6のいずれかに記載のブロック共重合体を含むゴム成分(I)、及びフィラー(II)を含有するゴム組成物であって、ゴム成分(I)総量中における該ブロック共重合体の含有量が0.1〜99.9質量%であり、ゴム成分(I)100質量部に対し、フィラー(II)を20〜150質量部含有する、ゴム組成物。
【請求項12】
請求項11に記載のゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック共重合体及びその製造方法、該ブロック共重合体を用いたゴム組成物及びタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ファルネセン等の共役ジエンを重合してなる重合体は、架橋することでゴム弾性を示すため、該重合体を含有するゴム組成物は、架橋してタイヤとして用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1では、グリップ性能等を向上せしめるタイヤ用ゴム組成物を提供することを目的として、ファルネセン等の分枝共役ジエン化合物と共役ジエン化合物と特定のビニル化合物とを共重合して得られる分枝共役ジエン共重合体、該分枝共役ジエン共重合体を含んでなるゴム組成物、該ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤが記載されている。
また、特許文献2では、引張強度等の特性を改善することを目的として、共役ジエンの重合体ブロックA、及び共役ジエンと芳香族ビニルとのランダム共重合体ブロックBを含み、重合体ブロックAと共重合体ブロックBとの重量比(A:B)、共重合体ブロックB中の結合芳香族ビニル量、及び重量平均分子量が特定の範囲であるブロック共重合体、該ブロック共重合体と少なくとも一種のジエン系ゴムを含有するゴム組成物が記載されている。
特許文献3,4には、β−ファルネセンの重合体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/115010号
【特許文献2】特開平10−36465号公報
【特許文献3】特表2012−502135号公報
【特許文献4】特表2012−502136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のゴム組成物は、得られるタイヤの低燃費性能(以下、「転がり抵抗性能」とも称する)及び低温時や氷雪路面での操縦安定性(以下、「アイスグリップ性能」とも称する)が十分でなく、更なる改善が望まれている。また、特許文献2では、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の検討がなされていない。特許文献3,4には、β−ファルネセンの重合体が記載されているものの、実用的な物性については十分に検討されていない。
本発明は、上記の現状を鑑みてなされたものであり、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能を高い水準で備えるタイヤを与えることができるブロック共重合体及びその製造方法、該ブロック共重合体を含有するゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ファルネセン由来の単量体単位を含む重合体ブロックAと、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位を含むランダム共重合体ブロックBとを含有するブロック共重合体であり、これらの重合体ブロックの質量比を特定の範囲とし、ランダム共重合体ブロックB中の芳香族ビニル化合物由来の単量体単位の含有量を特定の範囲とし、ゲル浸透クロマトグラフィーで求めたポリスチレン換算の重量平均分子量を特定の範囲とすることによって、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は下記[1]〜[5]に関する。
[1]ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含む重合体ブロックAと、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位(b1)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)を含むランダム共重合体ブロックBとを含有するブロック共重合体であり、
該ブロック共重合体における重合体ブロックAとランダム共重合体ブロックBとの質量比(A/B)が30/70〜0.5/99.5であり、
ランダム共重合体ブロックB中の芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)の含有量が1〜50質量%であり、
ゲル浸透クロマトグラフィーで求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10万〜500万である、ブロック共重合体。
[2]ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含む重合体ブロックAと、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位(b1)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)を含むランダム共重合体ブロックBとを含有するブロック共重合体の製造方法であり、
下記工程1−1及び工程1−2を含む、ブロック共重合体の製造方法。
工程1−1:有機金属開始剤の存在下、ファルネセンを含む単量体を重合して、重合体ブロックAを含有するリビング重合体を得る工程
工程1−2:工程1−1で得られる重合体ブロックAを含有するリビング重合体の存在下で、炭素数12以下の共役ジエン、及び芳香族ビニル化合物を含む単量体を重合して、重合体ブロックA及びランダム共重合体ブロックBを含有するリビングブロック共重合体を得る工程
[3]ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含む重合体ブロックAと、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位(b1)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)を含むランダム共重合体ブロックBとを含有するブロック共重合体の製造方法であり、
下記工程2−1及び工程2−2を含む、ブロック共重合体の製造方法。
工程2−1:有機金属開始剤の存在下、炭素数12以下の共役ジエン、及び芳香族ビニル化合物を含む単量体を重合して、ランダム共重合体ブロックBを含有するリビング重合体を得る工程
工程2−2:工程2−1で得られるランダム共重合体ブロックBを含有するリビング重合体の存在下で、ファルネセンを含む単量体を重合して、重合体ブロックA及びランダム共重合体ブロックBを含有するリビングブロック共重合体を得る工程
[4]前記[1]のブロック共重合体を含むゴム成分(I)、及びフィラー(II)を含有するゴム組成物であって、ゴム成分(I)総量中における該ブロック共重合体の含有量が0.1〜99.9質量%であり、ゴム成分(I)100質量部に対し、フィラー(II)を20〜150質量部含有する、ゴム組成物。
[5]前記[4]のゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能を高い水準で備えるタイヤを与えることができるブロック共重合体及びその製造方法、該ブロック共重合体を含有するゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[ブロック共重合体]
本発明のブロック共重合体(以下、単に「ブロック共重合体」とも称する)は、ファルネセン由来の単量体単位(a1)(以下、単に「ファルネセン単位(a1)」とも称する)を含む重合体ブロックA(以下、単に「重合体ブロックA」とも称する)と、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位(b1)(以下、単に「共役ジエン単位(b1)」とも称する)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)(以下、単に「芳香族ビニル化合物単位(b2)」とも称する)を含むランダム共重合体ブロックB(以下、単に「共重合体ブロックB」とも称する)とを含有するブロック共重合体であり、該ブロック共重合体における重合体ブロックAと共重合体ブロックBとの質量比(A/B)が30/70〜0.5/99.5であり、共重合体ブロックB中の芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)の含有量が1〜50質量%であり、ゲル浸透クロマトグラフィーで求めたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10万〜500万である。
【0010】
〔重合体ブロックA〕
重合体ブロックAは、ファルネセン単位(a1)を含む。
ファルネセン単位(a1)は、α−ファルネセン由来の単量体単位であってもよく、また、下記式(I)で示されるβ−ファルネセン由来の単量体単位であってもよく、α−ファルネセン由来の単量体単位とβ−ファルネセン由来の単量体単位とを含むものでもよいが、製造容易性の観点から、β−ファルネセン由来の単量体単位を含有することが好ましい。
β−ファルネセン由来の単量体単位の含有量は、製造容易性の観点から、ファルネセン単位(a1)中、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、100モル%であること、すなわちファルネセン単位(a1)のすべてがβ−ファルネセン由来の単量体単位であることが更に好ましい。
【0011】
【化1】
【0012】
重合体ブロックAは、ファルネセン単位(a1)に加えて、さらにファルネセン以外の他の単量体に由来する単量体単位(a2)を含んでもよい。
かかるファルネセン以外の他の単量体としては、ファルネセンと共重合可能なものであれば特に限定されず、例えば芳香族ビニル化合物、ファルネセン以外の共役ジエン、アクリル酸及びその誘導体、メタクリル酸及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、並びにアクリロニトリル等が挙げられる。
重合体ブロックAが前記単量体単位(a2)を含む場合、重合体ブロックAにおける連鎖配列の結合様式に制限はなく、ランダム、ブロック等のいずれの結合様式でもよい。
【0013】
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、及びα−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のスチレン誘導体;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピリジン等が挙げられる。これらの中でもスチレン及びその誘導体が好ましく、スチレンがより好ましい。
【0014】
上記共役ジエンとしては、ファルネセン以外の炭素数12以下の共役ジエンが好ましく、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、クロロプレン等が挙げられる。これらの中でもブタジエン、イソプレン及びミルセンが好ましく、ブタジエンがより好ましい。
【0015】
上記アクリル酸の誘導体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸テトラエチレングリコール、アクリル酸トリプロピレングリコール、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル等が挙げられる。
【0016】
上記メタクリル酸の誘導体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0017】
上記アクリルアミドの誘導体としては、ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、イソプロピルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩、ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0018】
上記メタクリルアミドの誘導体としては、ジメチルメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、イソプロピルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリルアミド等が挙げられる。
これら他の単量体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
重合体ブロックA中のファルネセン単位(a1)の含有量は60質量%以上が好ましく、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、より好ましくは60〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%、より更に好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%の範囲であり、最も好ましくは100質量%である。
ブロック共重合体を構成する単量体単位の総量中におけるファルネセン単位(a1)の含有量は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.3〜25質量%、更に好ましくは0.5〜20質量%、より更に好ましくは0.7〜15質量%、特に好ましくは0.9〜10質量%の範囲である。該ファルネセン単位(a1)の含有量が前記範囲内であると、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能を向上させることができ、さらに後述するフィラー(II)としてシリカを用いる場合には、ブロック共重合体に含まれるファルネセン単位(a1)とシリカとの相互作用により、ブロック共重合体鎖の運動性が抑制され、転がり抵抗性能、及び湿潤路面でのブレーキ性能(以下、「ウェットグリップ性能」とも称する)をバランスよく改善できると考えられる。
前記ブロック共重合体を構成する単量体単位の総量中におけるファルネセン単位(a1)の含有量は、1H−NMRを用いた方法により測定できる。
【0020】
〔ランダム共重合体ブロックB〕
共重合体ブロックBは、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位(b1)(共役ジエン単位(b1))及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)(芳香族ビニル化合物単位(b2))を含み、共重合体ブロックBを構成する単量体単位はランダムに結合を形成する。
共役ジエン単位(b1)を構成する炭素数12以下の共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、クロロプレン等が挙げられる。これらの中でも、ブタジエン、イソプレン及びミルセンが好ましく、ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
芳香族ビニル化合物単位(b2)を構成する芳香族ビニル化合物としては、前述の単量体単位(a2)を構成する芳香族ビニル化合物と同様のものが挙げられる。それらの中でもスチレン及びその誘導体が好ましく、スチレンがより好ましい。
【0022】
共重合体ブロックBは、共役ジエン単位(b1)及び芳香族ビニル化合物単位(b2)に加えて、さらに炭素数12以下の共役ジエン及び芳香族ビニル化合物以外の他の単量体に由来する単位を含んでもよい。かかる他の単量体としては、炭素数12以下の共役ジエン及び芳香族ビニル化合物と共重合可能なものであれば特に限定されず、例えば、前述の、アクリル酸及びその誘導体、メタクリル酸及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、並びにアクリロニトリル等が挙げられる。
【0023】
ブロック共重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲で、重合体ブロックA及び共重合体ブロックB以外の重合体ブロックCを含有してもよい。
該重合体ブロックCとしては、炭素数12以下の共役ジエンのみからなる重合体ブロック、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位と芳香族ビニル化合物以外の他の単量体単位とを含む重合体ブロック等が挙げられる。
【0024】
共重合体ブロックBを構成する共役ジエン単位(b1)と芳香族ビニル化合物単位(b2)との組み合わせとしては、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、ブタジエン、イソプレン及びミルセンから選ばれる1種以上に由来する単量体単位と、スチレン及びその誘導体から選ばれる1種以上に由来する単量体単位との組み合わせが好ましく、ブタジエンに由来する単量体単位とスチレンに由来する単量体単位との組み合わせがより好ましい。
【0025】
共重合体ブロックB中の芳香族ビニル化合物単位(b2)の含有量は、1〜50質量%である。当該範囲内であると、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能を高い水準で備えるタイヤを与えるブロック共重合体を得ることができる。当該観点から、共重合体ブロックB中の芳香族ビニル化合物単位(b2)の含有量は、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜48質量%、更に好ましくは10〜45質量%、より更に好ましくは15〜43質量%の範囲である。
共重合体ブロックBにおける共役ジエン単位(b1)に対する芳香族ビニル化合物単位(b2)の質量比〔(b2)/(b1)〕は、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、好ましくは3/97〜50/50、より好ましくは5/95〜48/52、更に好ましくは10/90〜45/55、より更に好ましくは15/85〜43/57である。
共重合体ブロックB中の共役ジエン単位(b1)及び芳香族ビニル化合物単位(b2)の合計含有量は60質量%以上が好ましく、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、より好ましくは60〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%、より更に好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%の範囲であり、最も好ましくは100質量%である。
【0026】
ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、10万〜500万である。当該範囲内であると、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能を高い水準で備えるタイヤを与えるブロック共重合体を得ることができる。当該観点から、好ましくは30万〜300万、より好ましくは50万〜200万、更に好ましくは70万〜150万である。
本発明における重量平均分子量(Mw)は、後述する実施例に記載の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算によるものである。
【0027】
ブロック共重合体の示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は、結合様式(ミクロ構造)や各単量体単位の含有量によっても変化するが、好ましくは−90〜−10℃、より好ましくは−80〜−20℃、更に好ましくは−75〜−26℃である。ガラス転移温度が前記範囲内であると、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能が向上する。
本発明におけるガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法によるものである。
【0028】
前記ブロック共重合体における重合体ブロックAと共重合体ブロックBとの質量比(A/B)は30/70〜0.5/99.5である。当該範囲内であると、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能を高い水準で備えるタイヤを与えるブロック共重合体を得ることができる。当該観点から、質量比(A/B)は、好ましくは25/75〜0.5/99.5、より好ましくは23/77〜0.7/99.3、更に好ましくは20/80〜0.7/99.3である。また、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能に加えて、ウェットグリップ性能を向上させる観点からは、より更に好ましくは15/85〜0.7/99.3、特に好ましくは10/90〜1/99である。
【0029】
ブロック共重合体中の重合体ブロックA及び共重合体ブロックBの合計含有量は、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%、より更に好ましくは98〜100質量%である。
【0030】
本発明のブロック共重合体において、重合体ブロックA及び共重合体ブロックBの結合形態は特に制限されず、直鎖状、分岐鎖状、放射状又はそれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。
以下の記載において、本発明のブロック共重合体が直鎖状の形態を有する場合を「直鎖ブロック共重合体」と称し、該ブロック共重合体が分岐鎖状の形態を有する場合を「分岐ブロック共重合体」と称する。
例えば、ブロック共重合体が重合体ブロックA及び共重合体ブロックBからなり、各ブロックが直鎖状に結合した形態としては、重合体ブロックAをA、共重合体ブロックBをBで表したときに、(A−B)p、A−(B−A)q又はB−(A−B)rで表される直鎖ブロック共重合体が挙げられる。
また、ブロック共重合体が重合体ブロックA、共重合体ブロックB及び重合体ブロックCからなり、各ブロックが直鎖状に結合した形態としては、例えば(A−B−C)sで表される直鎖ブロック共重合体が挙げられる。
なお、前記p、q、r及びsはそれぞれ独立して1以上の整数を表す。
また、ブロック共重合体が重合体ブロックAを2個以上又は共重合体ブロックBを2個以上有する場合には、それぞれの重合体ブロックは、同じであっても異なっていてもよい。例えば、A−B−Aで表されるトリブロック共重合体における2個の重合体ブロックAにおいて、ファルネセン単位(a1)を含んでいればよく、ファルネセン単位(a1)の含有量、他の単量体単位の種類及びその含有量等の重合体ブロックの構造及び分子量は、同じであっても異なっていてもよい。
【0031】
ブロック共重合体の少なくとも一部は、転がり抵抗性能の観点から、下記式(II)で示される、直鎖ブロック共重合体鎖の末端同士がカップリング剤を介して結合した構造を有することが好ましい。これにより、ブロック共重合体を高分子量化することができる。
(P)nX (II)
(式(II)中、Pは直鎖ブロック共重合体鎖を表し、Xはカップリング剤残基、nは2以上の整数を表す。)
ここで、Pで表される直鎖ブロック共重合体鎖は、前述のブロック共重合体と同様に構成されてなる。すなわち、直鎖ブロック共重合体鎖を構成する各重合体ブロックを構成する各単量体の種類及び含有量、該ブロック共重合体鎖における各重合体ブロックの含有量等は前記のとおりである。
また、本明細書においては、同種の重合体ブロックが2官能のカップリング剤等を介して直鎖状に結合している場合には、結合している重合体ブロック同士は、それぞれ別個の重合体ブロックとして取り扱う。例えば、カップリング剤残基Xを含むブロック共重合体としては、例えば、B−A−X−A−B又は(B−A)2Xと表記される。この場合、式(II)におけるPはB−Aで表される直鎖ブロック共重合体鎖となる。
【0032】
カップリング剤の官能基数は、好ましくは2〜6、より好ましくは3〜4、更に好ましくは4である。
かかるカップリング剤としては、例えば、ジエトキシジメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシメチルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;ジビニルベンゼン;エポキシ化1,2−ポリブタジエン、エポキシ化大豆油、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の多価エポキシ化合物;四塩化錫、テトラクロロシラン、トリクロロシラン、トリクロロメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジブロモジメチルシラン等のハロゲン化物;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル等のエステル化合物;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジフェニル等の炭酸エステル化合物;2,4−トリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはアルコキシシラン化合物である。カップリング剤としてアルコキシシラン化合物を用いることにより、後述するフィラー(II)としてシリカを用いる場合には、ブロック共重合体のカップリング剤残基とシリカとの相互作用により、ブロック共重合体鎖の運動性が抑制され、転がり抵抗性能及びウェットグリップ性能をバランスよく向上させると考えられる。当該観点から、より好ましくはテトラエトキシシランである。
【0033】
ブロック共重合体は、カップリング剤によりカップリングされたブロック共重合体(以下、「カップリング−ブロック共重合体」とも称する)と、カップリング剤によりカップリングされなかったブロック共重合体(以下、「非カップリング−ブロック共重合体」とも称する)との混合物であることが好ましい。
本明細書において、「カップリング−ブロック共重合体」とは、2つ以上の直鎖ブロック共重合体鎖がカップリング剤を介して結合されたブロック共重合体、すなわち前記式(II)においてnが2以上であるブロック共重合体を意味する。
【0034】
カップリング−ブロック共重合体及び非カップリング−ブロック共重合体の総量に対するカップリング−ブロック共重合体の割合であるカップリング率(以下、「カップリング率」とも称する)は、40質量%以下が好ましく、転がり抵抗性能の観点から、より好ましくは1〜40質量%、更に好ましくは1〜30質量%、より更に好ましくは5〜28質量%、特に好ましくは10〜25質量%である。
カップリング率は、ブロック共重合体のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって得られる溶出曲線から、カップリング−ブロック共重合体の面積(高分子量側のピークの面積)を、該カップリング−ブロック共重合体の面積と非カップリング−ブロック共重合体の面積(低分子量側のピークの面積)との和で除することにより算出される。
カップリング反応を経たブロック共重合体の溶出曲線は、非カップリング−ブロック共重合体のピークが低分子量側に検出され、カップリング−ブロック共重合体である二量化物、三量化物、四量化物等の単一のピーク又は複数のピーク群が高分子量側に検出される形状を有することが好ましい。非カップリング−ブロック共重合体のピークをピーク1とし、カップリング−ブロック共重合体の単一ピーク又はピーク群をピーク2とし、ピーク1とピーク2に重なる部分がある場合、ピーク間の谷の最も深い最底点から、溶出曲線全体のベースラインと垂直な線を引き、ピーク1と、ベースラインと、前記垂直な線とで囲まれた領域を非カップリング−ブロック共重合体の面積とし、ピーク2と、ベースラインと、前記垂直な線とで囲まれた領域をカップリング−ブロック共重合体の面積としてカップリング率が算出される。
カップリング率はカップリング剤の添加量、反応温度、反応時間等によって調整することができる。
【0035】
転がり抵抗性能の観点からは、ブロック共重合体の少なくとも一部は、直鎖ブロック共重合体鎖の末端同士がカップリング剤を介して結合した分岐ブロック共重合体であることが好ましい。分岐ブロック共重合体とは、前記式(II)においてnが3以上であることを意味する。
【0036】
ブロック共重合体は、転がり抵抗性能及びウェットグリップ性能の観点から、重合体ブロックAを分子鎖末端に有することが好ましい。
本発明において、「分子鎖末端」とはブロック共重合体鎖の末端を意味し、前記分岐ブロック共重合体の場合には腕鎖の両末端の少なくとも一方を意味する。腕鎖とは、前記式(II)において直鎖ブロック共重合体鎖Pである。
重合体ブロックAを構成するファルネセンは、側鎖を有する共役ジエンの単量体である。そのため、重合体ブロックAを分子鎖末端に有すると、ファルネセンに由来する適度な大きさの側鎖をブロック共重合体の分子鎖末端に導入することができ、これによりポリマー鎖の絡み合いが抑制される。さらに後述するゴム組成物に用いられるフィラー(II)そのものやフィラー(II)上に結合したカップリング剤との相互作用を強固にすることができる。その結果、転がり抵抗性能及びウェットグリップ性能をバランスよく改善することができる。
【0037】
ブロック共重合体は、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、該ブロック共重合体の少なくとも一部が、直鎖ブロック共重合体鎖の末端同士がカップリング剤を介して結合した分岐ブロック共重合体であって、該分岐ブロック共重合体は、腕鎖(前記式(II)において直鎖ブロック共重合体鎖P)が、重合体ブロックA及び共重合体ブロックBがこの順に結合してなるAB型ジブロック共重合体、又は重合体ブロックA、共重合体ブロックB及び重合体ブロックCがこの順に結合してなるABC型トリブロック共重合体であることが好ましく、転がり抵抗性能、アイスグリップ性能及びウェットグリップ性能をバランスよく向上させる観点からは、該分岐ブロック共重合体が、AB型ジブロック共重合体を腕鎖として(A−B)−X、(B−A)−X、(A−B)−X、又は(B−A)−Xで表される3分岐又は4分岐ブロック共重合体、及びトリブロック共重合体を腕鎖として(A−B−C)−X又は(A−B−C)−Xで表される3分岐又は4分岐ブロック共重合体から選ばれる1種以上であることがより好ましい。なお、ゴム組成物の加工性、機械強度をバランスよく向上する観点から、3分岐ブロック共重合体が更に好ましい。
前記分岐ブロック共重合体における重合体ブロックA、共重合体ブロックBの好ましい態様は前述のとおりである。
【0038】
[ブロック共重合体の製造方法]
本発明の製造方法は、ファルネセン由来の単量体単位(a1)を含む重合体ブロックAと、炭素数12以下の共役ジエン由来の単量体単位(b1)及び芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(b2)を含むランダム共重合体ブロックBとを含有するブロック共重合体の製造方法である。
本発明の製造方法において、重合体ブロックを形成する順序に特に制限はない。まず、反応系にファルネセンを含む単量体を供給して重合体ブロックAを形成した後、炭素数12以下の共役ジエン、及び芳香族ビニル化合物を含む単量体を供給して共重合体ブロックBを形成する方法、又は、反応系に炭素数12以下の共役ジエン、及び芳香族ビニル化合物を含む単量体を供給して共重合体ブロックBを形成した後、ファルネセンを含む単量体を供給して重合体ブロックAを形成する方法等が挙げられる。また、ブロック共重合体が、重合体ブロックA及び共重合体ブロックB以外の重合体ブロックCを含有する場合には、重合体ブロックA及び共重合体ブロックBの各形成工程の前後に重合体ブロックCを形成する工程を有してもよい。
【0039】
本発明の製造方法としては、リビング重合法により製造することが好ましい。リビング重合法としては、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合、リビングラジカル重合等の公知の方法を適用できる。これらの中でもリビングアニオン重合法が好ましい。リビングアニオン重合法としては、溶媒、有機金属開始剤、及び必要に応じてルイス塩基の存在下、ファルネセン、炭素数12以下の共役ジエン、芳香族ビニル化合物、必要に応じて他の単量体を、所望のブロック構造及び分子量を有する重合体ブロックを形成し、ブロック共重合体を得ることができる。
【0040】
本発明の製造方法は、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、方法(i)下記工程1−1及び工程1−2を含む方法、又は方法(ii)下記工程2−1及び2−2を含む方法が好ましい。
(方法(i))
工程1−1:有機金属開始剤の存在下、ファルネセンを含む単量体を重合して、重合体ブロックAを含有するリビング重合体を得る工程
工程1−2:工程1−1で得られる重合体ブロックAを含有するリビング重合体の存在下で、炭素数12以下の共役ジエン、及び芳香族ビニル化合物を含む単量体を重合して、重合体ブロックA及び共重合体ブロックBを含有するリビングブロック共重合体を得る工程
方法(i)において、ブロック共重合体が、重合体ブロックA及び共重合体ブロックB以外の重合体ブロックCを含有する場合には、工程1−1及び工程1−2のいずれかの工程で、重合体ブロックCを形成する工程を有してもよい。
例えば、工程1−1において、重合体ブロックCを構成する単量体を重合して、重合体ブロックA及び重合体ブロックCを含有するリビング重合体を得てもよい。また、工程1−2において、重合体ブロックCを構成する単量体を重合して、重合体ブロックA、共重合体ブロックB及び重合体ブロックCを含有するリビングブロック共重合体を得てもよい。
工程1−1において、分子鎖末端に重合体ブロックAを有するブロック共重合体を得る観点からは、最初に重合体ブロックAを形成することが好ましい。
【0041】
(方法(ii))
工程2−1:有機金属開始剤の存在下、炭素数12以下の共役ジエン、及び芳香族ビニル化合物を含む単量体を重合して、共重合体ブロックBを含有するリビング重合体を得る工程
工程2−2:工程2−1で得られる共重合体ブロックBを含有するリビング重合体の存在下で、ファルネセンを含む単量体を重合して、重合体ブロックA及び共重合体ブロックBを含有するリビングブロック共重合体を得る工程
方法(ii)において、ブロック共重合体が、重合体ブロックA及び共重合体ブロックB以外の重合体ブロックCを含有する場合には、工程2−1及び工程2−2のいずれかの工程で、重合体ブロックCを形成する工程を有してもよい。
例えば、工程2−1において、重合体ブロックCを構成する単量体を重合して、共重合体ブロックB及び重合体ブロックCを含有するリビング重合体を得てもよい。また、工程2−2において、重合体ブロックCを構成する単量体を重合して、重合体ブロックA、共重合体ブロックB及び重合体ブロックCを含有するリビングブロック共重合体を得てもよい。
工程2−2において、分子鎖末端に重合体ブロックAを有するブロック共重合体を得る観点からは、最後に重合体ブロックAを形成することが好ましい。
方法(i)及び方法(ii)において、各重合体ブロックを構成する各単量体の種類及び含有量、ブロック共重合体における各重合体ブロックの含有量等は前記のとおりである。
【0042】
有機金属開始剤に用いられる活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の第2族元素;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。これらの中でもアルカリ金属及び第2族元素から選ばれる1種以上が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。有機金属開始剤としては、有機アルカリ金属化合物が好ましい。
【0043】
前記有機アルカリ金属化合物としては、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム、ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。なお、有機アルカリ金属化合物は、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして用いてもよい。
重合に用いる有機金属開始剤の使用量は、ブロック共重合体の分子量によって適宜決められるが、ブロック共重合体を構成する単量体の総量に対して0.001〜0.3質量%の範囲であることが好ましい。
【0044】
溶媒としてはアニオン重合反応に悪影響を及ぼさなければ特に制限はなく、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の飽和脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の飽和脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。溶媒の使用量には特に制限はない。
【0045】
ルイス塩基はファルネセン単位及びファルネセン以外の共役ジエンに由来する単量体単位におけるミクロ構造を制御する役割がある。かかるルイス塩基としては、例えばジブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;ピリジン;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物等が挙げられる。ルイス塩基を使用する場合、その量は、通常、有機金属開始剤1モルに対して0.01〜1,000モル当量の範囲であることが好ましい。
【0046】
重合反応の温度は、通常、−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃の範囲である。重合反応の形式は回分式でも連続式でもよい。
重合反応は、メタノール、イソプロパノール等のアルコールを重合停止剤として添加して停止できる。得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いでブロック共重合体を析出させるか、必要に応じて重合反応液を水で洗浄し、分離後、スチームストリッピング等で溶媒を蒸発させ乾燥することによりブロック共重合体を単離できる。また、溶媒を除去する前に、予め重合溶液と伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
【0047】
方法(i)及び方法(ii)において、工程1−2及び工程2−2で得られるリビングブロック共重合体の活性末端は、前述の重合停止剤を添加して反応を停止させてもよいが、さらに工程1−2で得られるリビングブロック共重合体の活性末端の少なくとも一部をカップリング剤によりカップリングする工程1−3、又は工程2−2で得られるリビングブロック共重合体の活性末端の少なくとも一部をカップリング剤によりカップリングする工程2−3を行うことが好ましい。
好ましいカップリング剤及びカップリング率は前記のとおりである。
工程1−3又は工程2−3により、得られるブロック共重合体を高分子量化させることができ、転がり抵抗性能を向上させることができる。
工程1−3及び工程2−3において、カップリング反応に供するリビングブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5万〜300万、より好ましくは10万〜200万、更に好ましくは20万〜100万である。該リビングブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜2.0、より好ましくは1.0〜1.6、更に好ましくは1.0〜1.3である。Mw/Mnが前記範囲内であると、カップリングされたブロック共重合体の各ブロック共重合体鎖の分子量分布の狭いブロック共重合体が得られる。
本発明における重量平均分子量及び分子量分布は、後述する実施例に記載の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算によるものである。
【0048】
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、前記ブロック共重合体を含むゴム成分(I)、及びフィラー(II)を含有するゴム組成物であって、ゴム成分(I)総量中における該ブロック共重合体の含有量が0.1〜99.9質量%であり、ゴム成分(I)100質量部に対し、フィラー(II)を20〜150質量部含有する。
【0049】
<ゴム成分(I)>
ゴム成分(I)は、前記ブロック共重合体を含み、ゴム成分(I)総量中における該ブロック共重合体の含有量が0.1〜99.9質量%である。これにより転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能が向上する。
ブロック共重合体のゴム成分(I)総量中における含有量は、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、好ましくは0.5〜95質量%、より好ましくは1〜90質量%、更に好ましくは5〜85質量%である。
【0050】
ゴム成分(I)に含まれるブロック共重合体以外の他のゴム成分としては、例えば天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(以下、「SBR」とも称する)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EMDM)、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、及びクロロプレンゴム等の合成ゴムが挙げられる。これらの中でも、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、天然ゴム;SBR、ブタジエンゴム、及びイソプレンゴム等の合成ゴムから選ばれる1種以上が好ましい。これらの他のゴム成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ブロック共重合体以外の他のゴム成分の含有量は、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、ゴム成分(I)総量中、0.1〜99.9質量%であり、好ましくは5〜99.5質量%、より好ましくは10〜99質量%、更に好ましくは15〜95質量%である。
【0051】
〔天然ゴム〕
ゴム成分(I)に用いられる天然ゴムは、例えばSMR(マレーシア産TSR)、SIR(インドネシア産TSR)、STR(タイ産TSR)等のTSR(Technically Specified Rubber)やRSS(Ribbed Smoked Sheet)等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム、高純度天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等が挙げられる。これらの中でも、品質のばらつきが少ない点及び入手容易性の点から、SMR20、STR20又はRSS#3が好ましい。これら天然ゴムは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上の天然ゴムを混合して用いる場合、その組み合わせは本発明の効果を損なわない範囲で任意に選択でき、またその組み合わせによって、物性値を調整できる。
【0052】
〔合成ゴム〕
ゴム成分(I)に用いられる合成ゴムは、2種以上の合成ゴムを混合して用いる場合、その組み合わせは本発明の効果を損なわない範囲で任意に選択でき、その組み合わせによって、物性値を調整できる。また、これらの製造方法は特に限定されず、市販されているものを使用できる。
【0053】
(SBR)
SBRとしては、タイヤ用途に用いられる一般的なものを使用できるが、具体的には、スチレン含有量が0.1〜70質量%のものが好ましく、5〜50質量%のものがより好ましい。また、ビニル含有量が0.1〜60質量%のものが好ましく、0.1〜55質量%のものがより好ましい。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、成形加工性、機械強度、耐摩耗性及び制動性能の観点から、10万〜250万であることが好ましく、15万〜200万であることがより好ましく、20万〜150万であることが更に好ましい。
【0054】
本発明において使用するSBRの示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は、好ましくは−95〜0℃であり、より好ましくは−95〜−5℃である。Tgが前記範囲内であると、ゴム組成物の高粘度化を抑制することができ、取り扱いが容易になる。
【0055】
本発明において用いることができるSBRは、スチレンとブタジエンとを共重合して得られる。SBRの製造方法について特に制限はなく、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができ、乳化重合法、溶液重合法が好ましい。
【0056】
乳化重合スチレンブタジエンゴム(以下、「E−SBR」とも称する)は、通常の乳化重合法により製造でき、例えば、所定量のスチレン及びブタジエン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合することにより得られる。また、得られるE−SBRの分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら共重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって共重合体をクラムとして回収できる。該クラムを水洗、次いで脱水後、バンドドライヤー等で乾燥することで、E−SBRが得られる。
【0057】
溶液重合スチレンブタジエンゴム(以下、「S−SBR」とも称する)は、通常の溶液重合法により製造でき、例えば、溶媒中でアニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、スチレン及びブタジエンを重合することにより製造できる。アニオン重合可能な活性金属としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましく、有機アルカリ金属化合物が更に好ましい。
有機アルカリ金属化合物としては、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。これらの中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は、要求されるS−SBRの分子量によって適宜決められる。
溶媒としては、例えばn−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は通常、単量体濃度が1〜50質量%となる範囲で用いることが好ましい。
【0058】
極性化合物としては、アニオン重合において反応を失活させず、ブタジエン部位のミクロ構造やスチレンの共重合体鎖中の分布を調整するために通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えばジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の第3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物等が挙げられる。
重合反応の温度は、通常−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式は、回分式あるいは連続式のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して反応を停止できる。重合停止剤を添加する前に重合末端変性剤を添加してもよい。重合反応停止後の重合溶液は、直接乾燥やスチームストリッピング等により溶媒を分離して、目的のS−SBRを回収できる。なお、溶媒を除去する前に、予め重合溶液と伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
【0059】
本発明においては、本発明の効果を損ねない範囲であれば、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えばアミノ基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、及びカルボキシル基等が挙げられる。この変性SBRにおいて、重合体中の官能基が導入される位置については重合体末端であってもよく、重合体の側鎖であってもよい。
【0060】
(ブタジエンゴム)
ブタジエンゴムとしては、例えばチーグラー系触媒、ランタノイド系希土類金属触媒、有機アルカリ金属化合物等を用いて重合して得られる市販のブタジエンゴムを用いることができる。これらの中でも、シス体含量が高い観点から、チーグラー系触媒を用いて重合して得られるブタジエンゴムが好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のブタジエンゴムを用いてもよい。
ブタジエンゴムのビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%以下であると転がり抵抗性能が良好になる。ビニル含量の下限は特に限定されない。
【0061】
ブタジエンゴムのガラス転移温度(Tg)は、ビニル含量によって変化するが、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
ブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は、成形加工性、機械強度、耐摩耗性及び制動性能の観点から、9万〜200万であることが好ましく、15万〜150万であることがより好ましく、25万〜80万であることが更に好ましい。
上記ブタジエンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
【0062】
(イソプレンゴム)
イソプレンゴムとしては、例えばチーグラー系触媒、ランタノイド系希土類金属触媒、有機アルカリ金属化合物等を用いて重合して得られる市販のイソプレンゴムを用いることができる。これらの中でも、シス体含量が高い観点から、チーグラー系触媒を用いて重合して得られるイソプレンゴムが好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のイソプレンゴムを用いてもよい。
イソプレンゴムのビニル含量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%以下であると転がり抵抗性能が良好になる。ビニル含量の下限は特に限定されない。
【0063】
イソプレンゴムのガラス転移温度(Tg)はビニル含量によって変化するが、−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。
イソプレンゴムの重量平均分子量(Mw)は、成形加工性、機械強度、耐摩耗性及び制動性能の観点から、9万〜200万であることが好ましく、15万〜150万であることがより好ましい。
上記イソプレンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
【0064】
<フィラー(II)>
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(I)100質量部に対し、フィラー(II)を20〜150質量部含有する。フィラー(II)を用いることにより、機械強度、耐摩耗性、耐熱性、耐候性等の物性が改善され、硬度の調整、ゴム組成物の増量をすることができる。
本発明で用いるフィラー(II)としては、シリカ、酸化チタン等の酸化物;クレー、タルク、マイカ、ガラス繊維、ガラスバルーン等のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;カーボンブラック、炭素繊維等の炭素類等の無機フィラー、樹脂粒子、木粉、コルク粉等の有機フィラー等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
フィラー(II)のゴム組成物中の含有量は、ゴム成分(I)100質量部に対してフィラー(II)の含有量が25〜130質量部であることが好ましく、30〜110質量部であることがより好ましい。フィラー(II)の含有量が前記範囲内であると、成形加工性、機械強度、耐摩耗性及び制動性能が向上する。
【0065】
フィラー(II)は、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、無機フィラーが好ましく、シリカ及びカーボンブラックから選ばれる1種以上がより好ましく、シリカが更に好ましく、シリカとカーボンブラックとを併用してもよい
【0066】
(シリカ)
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、成形加工性、機械強度、耐摩耗性及び制動性能の向上の観点から、湿式法シリカが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの平均粒径は、成形加工性、機械強度、耐摩耗性及び制動性能の向上の観点から、0.5〜200nmが好ましく、5〜150nmがより好ましく、10〜100nmが更に好ましく、10〜60nmがより更に好ましい。
なお、シリカの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
【0067】
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、及びケッチェンブラック等のカーボンブラックを用いることができる。これらの中でも、ゴム組成物の加硫速度やその加硫物の機械強度を向上させる観点から、ファーネスブラックが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ファーネスブラックの市販品としては、例えば、三菱化学株式会社製「ダイアブラック」、東海カーボン株式会社製「シースト」等が挙げられる。アセチレンブラックの市販品としては、例えば、電気化学工業株式会社製「デンカブラック」が挙げられる。ケッチェンブラックの市販品としては、例えば、ライオン株式会社製「ケッチェンブラックECP600JD」が挙げられる。
【0068】
カーボンブラックは、ゴム成分(I)への濡れ性や分散性を向上させる観点から、硝酸、硫酸、塩酸又はこれらの混合酸等による酸処理や、空気存在下での熱処理による表面酸化処理を行ってもよい。また、機械強度向上の観点から、黒鉛化触媒の存在下に2,000〜3,000℃で熱処理を行ってもよい。なお、黒鉛化触媒としては、ホウ素、ホウ素酸化物(例えば、B、B、B、B等)、ホウ素オキソ酸(例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等)及びその塩、ホウ素炭化物(例えば、BC、BC等)、窒化ホウ素(BN)、その他のホウ素化合物が好適に用いられる。
【0069】
カーボンブラックは、粉砕等により平均粒径を調整できる。カーボンブラックの粉砕には、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ピンミル、ケージミル)や各種ボールミル(転動ミル、振動ミル、遊星ミル)、撹拌ミル(ビーズミル、アトライター、流通管型ミル、アニュラーミル)等が使用できる。
カーボンブラックの平均粒径は、カーボンブラックの分散性、タイヤの機械強度及び耐摩耗性の向上の観点から、5〜100nmが好ましく、5〜80nmがより好ましく、10〜70nmが更に好ましい。
なお、カーボンブラックの平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
【0070】
本発明のゴム組成物において、シリカとカーボンブラックとを併用する場合、それぞれの成分の配合比は特に制限はなく、所望の性能に合わせて適宜選択することができる。
【0071】
本発明のゴム組成物は、機械強度及び耐摩耗性の向上、耐熱性や耐候性等の物性の改良、硬度調整、増量剤を含有させることによる経済性の改善等を目的として、必要に応じてシリカ及びカーボンブラック以外のフィラーをさらに含有していてもよい。
本発明のゴム組成物がシリカ及びカーボンブラック以外のフィラーを含有する場合、その含有量は、ゴム成分(I)100質量部に対して、0.1〜120質量部が好ましく、5〜90質量部がより好ましく、10〜80質量部が更に好ましい。シリカ及びカーボンブラック以外のフィラーの含有量が前記範囲内であると、加硫物の機械強度がより一層向上する。
【0072】
<任意成分>
(シランカップリング剤)
本発明のゴム組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、スルフィド系化合物、メルカプト系化合物、チオエステル系化合物、ビニル系化合物、アミノ系化合物、グリシドキシ系化合物、ニトロ系化合物及びクロロ系化合物等が挙げられる。
スルフィド系化合物としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等が挙げられる。
メルカプト系化合物としては、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−ジ(トリデカン−1−オキシ−13−ペンタ(エチレンオキサイド))エトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン及び2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
チオエステル系化合物としては、例えば3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルエトキシシタン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0073】
ビニル系化合物としては、例えばビニルトリエトキシシラン、及びビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アミノ系化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、及び3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
グリシドキシ系化合物としては、例えばγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
ニトロ系化合物としては、例えば3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、及び3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
クロロ系化合物としては、例えば3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、及び2−クロロエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、添加効果が大きい観点及びコストの観点から、スルフィド系化合物及びメルカプト系化合物から選ばれる1種以上が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、及び3−メルカプトプロピルトリメトキシシランから選ばれる1種以上がより好ましい。
【0074】
前記シランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が更に好ましい。シランカップリング剤の含有量が前記範囲内であると、分散性、カップリング効果、補強性、及びタイヤの耐摩耗性が向上する。
【0075】
(架橋剤)
本発明のゴム組成物は、架橋剤を添加して架橋(加硫)させて用いることが好ましい。架橋剤としては、例えば硫黄及び硫黄化合物、酸素、有機過酸化物、フェノール樹脂及びアミノ樹脂、キノン及びキノンジオキシム誘導体、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、金属ハロゲン化物及び有機金属ハロゲン化物、シランカップリング剤以外のシラン化合物等が挙げられる。これらの中でも硫黄及び硫黄化合物が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。架橋剤の含有量は、ゴム成分(I)100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜8質量部がより好ましく、0.8〜5質量部が更に好ましい。
【0076】
前記架橋剤の中でも、硫黄及び硫黄化合物を用いると、本発明のゴム組成物を加硫させ、加硫ゴムとして利用することもできる。加硫の条件、方法に特に制限はないが、加硫金型を用いて加硫温度120〜200℃及び加硫圧力0.5〜2.0MPaの加圧加熱条件で行うことが好ましい。
【0077】
本発明のゴム組成物は、加硫促進剤を含有してもよい。加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド−アミン系化合物又はアルデヒド−アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、キサンテート系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫促進剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(I)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
【0078】
本発明のゴム組成物は、さらに加硫助剤を含有してもよい。加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸;亜鉛華等の金属酸化物;ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記加硫助剤を含有する場合、その含有量は、ゴム成分(I)100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
【0079】
(その他の成分)
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、成形加工性、流動性等の改良を目的とし、必要に応じてシリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual Aromatic Extracts)、パラフィンオイル、及びナフテンオイル等のプロセスオイル、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂成分、低分子量ポリブタジエン、低分子量ポリイソプレン、低分子量スチレンブタジエン共重合体、及び低分子量スチレンイソプレン共重合体等の液状重合体を軟化剤として適宜使用することができる。なお、上記共重合体はブロック又はランダム等のいずれの重合形態であってもよい。液状重合体の重量平均分子量は500〜10万であることが成形加工性の観点から好ましい。
【0080】
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性、耐熱性、耐酸化性等の向上を目的として、必要に応じて老化防止剤、酸化防止剤、ワックス、滑剤、光安定剤、スコーチ防止剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、及び香料等の添加剤を1種又は2種以上含有していてもよい。
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、及びヒドロキシル系化合物等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えばアミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。
【0081】
本発明のゴム組成物中のゴム成分(I)及びフィラー(II)の合計含有量は、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。
【0082】
(ゴム組成物の製造方法)
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されず、前記各成分を均一に混合すればよい。均一に混合する方法としては、例えばニーダールーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の接線式もしくは噛合式の密閉式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、ローラー等が挙げられ、通常70〜270℃の温度範囲で行うことができる。
【0083】
[タイヤ]
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物を少なくとも一部に用いたタイヤである。そのため、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能に優れる。本発明のゴム組成物は、タイヤの各種部材に使用することができるが、特に乗用車用、トラックバス用、自動二輪車、産業車両用のタイヤトレッドとして好適に使用することができる。
なお、本発明のタイヤには、本発明のゴム組成物を架橋した架橋物を用いてもよい。本発明のゴム組成物あるいは本発明のゴム組成物からなる架橋物を用いたタイヤは、長期間使用した場合でも機械強度、耐摩耗性、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能等の特性を維持することができる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において使用した各成分は以下の通りである。
<ゴム成分(I)>
・実施例1−1〜1−2及び比較例1−1で得られたブロック共重合体
・ブタジエンゴム:BR01(JSR株式会社製、高シスタイプ〔1,4−シス結合95%〕、重量平均分子量520,000、Tg−103℃)
<フィラー(II)>
〔シリカ〕
・ULTRASIL7000GR(エボニック デグサ ジャパン株式会社製、湿式シリカ、平均粒径14nm)
〔カーボンブラック〕
・ダイアブラックI(三菱化学株式会社製、平均粒径20nm)
【0085】
<任意成分>
(シランカップリング剤)
・Si75(エボニック デグサ ジャパン株式会社製)
(架橋剤)
・硫黄:微粉硫黄200メッシュ(鶴見化学工業株式会社製)
(加硫促進剤)
・加硫促進剤(1):ノクセラーNS(大内新興化学工業株式会社製)
・加硫促進剤(2):ノクセラーM(大内新興化学工業株式会社製)
・加硫促進剤(3):ノクセラーD(大内新興化学工業株式会社製)
(加硫助剤)
・亜鉛華 :酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製)
・ステアリン酸:ルナックS−20(花王株式会社製)
(その他の成分)
・TDAE :VivaTec500(H&R社製)
・老化防止剤 :ノクラック6C(大内新興化学工業株式会社製)
・ワックス :サンタイトS(精工化学株式会社製)
【0086】
(ブロック共重合体の製造)
実施例1−1
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン9,500g、有機金属開始剤としてsec−ブチルリチウムの10.5質量%シクロヘキサン溶液3.5g(sec−ブチルリチウム0.37g)を仕込み、70℃に昇温した後、15.1gのテトラヒドロフランを仕込み、さらに予め調製した518gのスチレンと777gのブタジエンの混合液を10ml/分で加えて30分間重合した。次いでβ−ファルネセン15.1gを加えて30分間重合した後、カップリング剤として0.08gのテトラエトキシシランを加えて1時間反応した。得られた重合反応液にメタノールを0.2g添加して重合反応を停止させた後、TDAEを491g添加し、70℃で24時間熱風乾燥、12時間減圧乾燥することにより、油展されたブロック共重合体1を製造した。
【0087】
実施例1−2
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン9,500g、有機金属開始剤としてsec−ブチルリチウムの10.5質量%シクロヘキサン溶液5.0g(sec−ブチルリチウム0.53g)を仕込み、70℃に昇温した後、15.1gのテトラヒドロフランを仕込み、β‐ファルネセン259gを加えて30分間重合した。次いで予め調製した402gのスチレンと635gのブタジエンの混合液を10ml/分で加えて30分間重合した。次いでブタジエン9.3gを加えて30分間重合した後、カップリング剤として0.08gのテトラエトキシシランを加えて1時間反応した。得られた重合反応液にメタノールを0.3g添加して重合反応を停止させた後、TDAEを489g添加し、70℃で24時間熱風乾燥、12時間減圧乾燥することにより、油展されたブロック共重合体2を製造した。
【0088】
比較例1−1
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン9,460g、有機金属開始剤としてsec−ブチルリチウムの(10.5質量%シクロヘキサン溶液)3.5g(sec−ブチルリチウム0.37g)を仕込み、70℃に昇温した後、15.1gのテトラヒドロフランを仕込み、さらに予め調製した516gのスチレンと774gのブタジエンの混合液を10ml/分で加えて30分間重合した。次いでブタジエン9.0gを加えて30分間重合した後、カップリング剤として0.08gのテトラエトキシシランを加えて1時間反応した。得られた重合反応液にメタノールを0.2g添加して重合反応を停止させた後、TDAEを487g添加し、70℃で24時間熱風乾燥、12時間減圧乾燥することにより、油展されたブロック共重合体X1を製造した。
【0089】
実施例1−1〜1−2及び比較例1−1で得られたブロック共重合体1〜2及びX1を用いて、以下に示す方法に従って評価を行った。結果を表1に示す。
【0090】
(重量平均分子量)
重量平均分子量(Mw)はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算で求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「HLC−8320」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelSuperHZM−M」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :0.7ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
【0091】
(カップリング率)
カップリング率は、得られたブロック共重合体の上記GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって得られる溶出曲線から、カップリング−ブロック共重合体の面積(高分子量側のピークの面積)を、該カップリング−ブロック共重合体の面積と非カップリング−ブロック共重合体の面積(低分子量側のピークの面積)との和で除することにより算出した。
【0092】
(ガラス転移温度)
ブロック共重合体10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、微分曲線(DDSC)のピークトップの値をガラス転移温度とした。
【0093】
(ムーニー粘度)
JIS K 6300−1:2013に準拠し、ブロック共重合体(油展品)の100℃におけるムーニー粘度(予備加熱1分後、回転開始4分後)を測定した。
【0094】
【表1】
【0095】
実施例2−1〜2―3及び比較例2−1
表2に記載した配合割合(質量部)にしたがって、ゴム成分(I)、フィラー(II)、シランカップリング剤、加硫助剤、TDAE、老化防止剤、及びワックスを、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度75℃、樹脂温度が150℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却し、混合物(1)を得た。次いで、この混合物(1)を再度密閉式バンバリーミキサーに投入し、樹脂温度が150℃になるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却し、混合物(2)を得た。さらにこの混合物(2)を再度密閉式バンバリーミキサーに投入し、架橋剤(硫黄)及び加硫促進剤(1)〜(3)を加えて開始温度50℃、到達温度100℃となるように75秒混練することでゴム組成物を得た。
得られたゴム組成物をプレス成形(プレス条件:160℃、15分)して架橋物(加硫ゴム)のシート(厚み2mm)(加硫シート)を作製し、下記の方法に基づき、転がり抵抗性能を評価した。
また、上記と同様にして得られたゴム組成物をプレス成形(プレス条件:160℃、25分)して加硫させ、直径80mm、幅16mmのタイヤ形状の加硫ゴムサンプルを作製し、下記の方法に基づき、アイスグリップ性能を評価した。
【0096】
(転がり抵抗性能)
転がり抵抗性能の指標として、tanδを測定した。
各実施例及び比較例で作製した加硫シートから縦40mm×横7mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度60℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、tanδを測定し、その逆数の値を転がり抵抗性能として評価した。結果を表2に示す。
表2において、各実施例の数値は、比較例2−1の値を100とした際の相対値であり、この数値が大きいほど転がり抵抗性能が良好である。
【0097】
(アイスグリップ性能)
アイスグリップ性能の指標として、氷上摩擦係数(μ)の評価を行った。
各実施例及び比較例で得られた加硫ゴムサンプルの氷上摩擦係数を、下記測定装置を用いて測定した。測定装置及び条件は、以下のとおりである。
タイヤと路面のスリップ率を0から40%までの範囲で摩擦係数を測定し、得られた摩擦係数の最大値を、氷上摩擦係数(μ)とした。結果を表2に示す。
表2において、各実施例の数値は、比較例2−1の値を100とした際の相対値であり、この数値が高いほど、アイスグリップ性能が良好である。
〔測定装置及び測定条件〕
・装置:株式会社上島製作所製 RTM摩擦試験機
・測定温度:−3.0℃
・路面:氷
・速度:30km/時間
・荷重:50N
・スリップ率:0〜40%
【0098】
【表2】
【0099】
表2より、実施例のゴム組成物は、比較例に比べて、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能に優れていることが分かる。
【0100】
(ウェットグリップ性能)
タイヤの制動性能の指標として、さらにウェットグリップ性能を評価した。
実施例2−1及び比較例2−1で作製した加硫シートから縦40mm×横7mmの試験片を切り出し、GABO社製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度0℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、tanδを測定し、ウェットグリップ性能として評価した。結果を表3に示す。
表3において、実施例2−1の数値は、比較例2−1の値を100とした際の相対値である。この相対値が大きいほどウェットグリップ性能が良好である。
【0101】
【表3】
【0102】
表3より、一般に、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能とが背反性能であることから、実施例2−1は、転がり抵抗性能を向上させつつ、ウェットグリップ性能を維持していることが分かる。したがって、実施例2−1は、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能に加えて、優れたウェットグリップ性能も備えており、これらの特性バランスに優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明のブロック共重合体は、転がり抵抗性能及びアイスグリップ性能をバランスよく改善することができるため、該ブロック共重合体を含むゴム組成物は、タイヤ等のゴム組成物に好適に用いることができる。
【国際調査報告】