特表-19198372IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2019-198372メタルサポートセルおよびメタルサポートセルの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年10月17日
【発行日】2021年4月30日
(54)【発明の名称】メタルサポートセルおよびメタルサポートセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/1226 20160101AFI20210402BHJP
   H01M 8/124 20160101ALI20210402BHJP
   H01M 8/1213 20160101ALI20210402BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20210402BHJP
【FI】
   H01M8/1226
   H01M8/124
   H01M8/1213
   H01M8/12 102A
   H01M8/12 101
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】32
【出願番号】特願2020-513111(P2020-513111)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年2月28日
(31)【優先権主張番号】特願2018-77551(P2018-77551)
(32)【優先日】2018年4月13日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】入月 桂太
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA02
5H126AA15
5H126BB06
5H126EE03
5H126EE11
5H126EE22
5H126GG02
5H126JJ00
(57)【要約】
【課題】熱応力によるクラックを防止するため、電解質層に内部残留応力を付与したメタルサポートセルおよびメタルサポートセルの製造方法を提供する。
【解決手段】メタルサポートセル10は、電解質層40、電極層50、および金属支持層60を含む複数の層を積層して構成される。電解質層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、複数の層のうち、電解質層以外の他の層の少なくとも1つは、面方向に沿う引張残留応力を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層したメタルサポートセルであって、
前記電解質層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、
前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つは、面方向に沿う引張残留応力を有する、メタルサポートセル。
【請求項2】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方は、面方向に沿う引張残留応力を有する、請求項1に記載のメタルサポートセル。
【請求項3】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方は、面方向に沿う圧縮残留応力を有する、請求項1または請求項2に記載のメタルサポートセル。
【請求項4】
前記金属支持層は、複数の層によって構成され、
前記金属支持層の複数の層のうち少なくとも表面層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、
前記金属支持層の複数の層のうち前記表面層以外の層は、面方向に沿う引張残留応力を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタルサポートセル。
【請求項5】
線膨張係数の大小関係は、前記電解質層の線膨張係数<前記電極層の線膨張係数<前記金属支持層の線膨張係数である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のメタルサポートセル。
【請求項6】
電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層し、
前記電解質層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、
前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つに面方向に沿う引張残留応力を付与する、メタルサポートセルの製造方法。
【請求項7】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方に面方向に沿う引張残留応力を付与する、請求項6に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項8】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方に面方向に沿う圧縮残留応力を付与する、請求項6または請求項7に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項9】
前記金属支持層は、複数の層によって構成され、
前記金属支持層の複数の層のうち少なくとも表面層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、
前記金属支持層の複数の層のうち前記表面層以外の層に面方向に沿う引張残留応力を付与する、請求項6〜8のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項10】
線膨張係数の大小関係は、前記電解質層の線膨張係数<前記電極層の線膨張係数<前記金属支持層の線膨張係数である、請求項6〜9のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項11】
前記電解質層、前記電極層および前記金属支持層のうち、少なくとも1つの層を焼成して硬化収縮させ、前記焼成した層に隣接する層に前記圧縮残留応力を付与し、
前記圧縮残留応力に対する反力として前記焼成した層に前記引張残留応力を付与する、請求項6〜10のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項12】
前記電極層および前記電解質層において、前記金属支持層から積層方向に遠い側から近い側に向かって順に焼成する、請求項11に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項13】
前記電極層および前記電解質層よりも後に、前記金属支持層を焼成する、請求項11または請求項12に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項14】
前記金属支持層において、前記電解質層から積層方向に遠い側から近い側に向かって順に焼成する、請求項11〜13のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項15】
前記電極層は、
セラミックおよび触媒を含む第1電極層と、
前記第1電極層よりも前記金属支持層側に配置され、セラミック、金属および触媒を含む第2電極層と、を有し、
前記電解質層、前記第1電極層、前記第2電極層、前記金属支持層の順に焼成する、請求項11〜14のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルサポートセルおよびメタルサポートセルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機械的強度、急速起動性等に優れるメタルサポートセル(MSC:Metal−Supported Cell)が固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)に適用されている。
【0003】
メタルサポートセルは、電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層して構成される。脆弱なセラミックから形成された電解質層では、熱応力によりクラックが生じるという問題があった。
【0004】
上記課題に対して、例えば、下記特許文献1には、製造時において電解質層の化学的収縮量よりも熱収縮量の差(金属支持層−電解質層)を大きくし、焼成冷却時において電解質層の内部応力の圧縮状態を維持して電解質層のクラックを抑制するメタルサポートセルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−99408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のメタルサポートセルでは、製造時のクラックは防止できるものの、運転と停止を繰り返す実用領域では依然として熱膨張や冷却収縮による熱応力によって電解質層にクラックが発生する可能性が残されている。
【0007】
本発明の目的は、熱応力による電解質層のクラックを防止するため、電解質層に内部残留応力を付与したメタルサポートセルおよびメタルサポートセルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明のメタルサポートセルは、電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層したメタルサポートセルである。前記電解質層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つは、面方向に沿う引張残留応力を有する。
【0009】
上記目的を達成するための本発明のメタルサポートセルの製造方法は、電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層し、前記電解質層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つに面方向に沿う引張残留応力を付与する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る燃料電池スタックを示す分解斜視図である。
図2図1に示すセルユニットの分解斜視図である。
図3図2に示すメタルサポートセルアッセンブリーの分解斜視図である。
図4図2のA−A線に沿うメタルサポートセルアッセンブリーの部分断面図である。
図5図4に示すメタルサポートセルを拡大して示す部分断面図である。
図6図5に示すメタルサポートセルの電解質層およびアノード層を拡大して示す部分断面図である。
図7図5に示すメタルサポートセルの各層の内部応力を説明するための部分断面図および応力分布である。
図8】本発明の実施形態に係るメタルサポートセルの製造方法を説明するための概略図である。
図9】焼成工程において、第1アノード層を焼成硬化させた際の内部応力を示す断面図である。
図10】焼成工程において、第2アノード層を焼成硬化させた際の内部応力を示す断面図である。
図11図10に示す電解質層およびアノード層を拡大して示す部分断面図である。
図12図10に示す状態の電解質層の厚さ比率と電解質層の表面応力との関係を示すグラフである。
図13】焼成工程において、第2金属支持層を焼成硬化させた際の内部応力を示す断面図である。
図14】焼成工程において、第1金属支持層を焼成硬化させた際の内部応力を示す断面図である。
図15】変形例1に係るメタルサポートセルの各層の内部応力を説明するための部分断面図である。
図16A】変形例2に係るメタルサポートセルの各層の内部応力を説明するための部分断面図である。
図16B】変形例2に係るメタルサポートセルが反った状態を示す部分断面図である。
図17A】変形例3に係るメタルサポートセルの製造方法を説明するための概略断面図である。
図17B】変形例3に係る製造方法によって製造されたメタルサポートセルの内部応力を示す断面図である。
図18】変形例4に係るメタルサポートセルの製造方法を説明するための概略断面図である。
図19】変形例6に係るメタルサポートセルの製造方法を説明するための概略断面図である。
図20】変形例7に係るメタルサポートセルの製造方法を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。例えば、図中に示す各層の厚さや構成粒子(セラミック粒子や金属粒子)の寸法比率や形状は、特に言及しない限り、実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
図1図6を参照して、本発明の実施形態に係るメタルサポートセル(MSC)10について説明する。本実施形態のメタルサポートセル10は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)に用いられる。
【0013】
以下の説明の便宜のため、XYZ直交座標系を図中に示す。X軸およびY軸は水平方向、Z軸は上下方向にそれぞれ平行な軸を示す。
【0014】
図1は、第1実施形態に係る複数のセルユニット1Uを上下方向に積層して構成した燃料電池スタック1を示す分解斜視図である。以下、図中にZ軸で示す燃料電池スタック1の上下方向を「積層方向」とも称する。また、セルユニット1Uを構成する各層の面方向は、XY面方向に相当する。
【0015】
(セルユニット1U)
図2は、セルユニット1Uの分解斜視図である。図2に示すように、セルユニット1Uは、メタルサポートセルアッセンブリー1Aと、ガスの流路を区画形成する流路部121を備えるセパレータ120と、集電補助層130と、を積層して構成される。なお、メタルサポートセルアッセンブリー1Aと集電補助層130との間に両者を導通接触させる接点材を配置してもよいし、集電補助層130を省く構造としてもよい。
【0016】
図3は、メタルサポートセルアッセンブリー1Aの分解斜視図であり、図4は、メタルサポートセルアッセンブリー1Aの部分断面図である。図3および図4に示すように、メタルサポートセルアッセンブリー1Aは、メタルサポートセル10と、メタルサポートセル10の外周を保持するセルフレーム113と、を有する。
【0017】
(メタルサポートセル10)
図5は、図4に示すメタルサポートセル10を拡大して示す部分断面図である。図3図5に示すように、メタルサポートセル10は、電解質層40、電極層30、50および金属支持層60を含む複数の層を積層して構成される。電極層30、50は、カソード層30およびアノード層50を含む。以下、カソード層30およびアノード層50を総称して電極層30、50と称することもある。
【0018】
図5に示すように、メタルサポートセル10は、カソード層30、電解質層40、アノード層50および金属支持層60を順に積層して構成される。電極層30、50および電解質層40は、電解質電極接合体20を構成する。金属支持層60は、電解質電極接合体20を支持する。メタルサポートセル10は、電解質支持型セルや電極支持型セルに比べて機械的強度、急速起動性等に優れるためSOFCに好適に使用することができる。
【0019】
(電解質電極接合体20)
図3図5に示すように、電解質電極接合体20は、電解質層40の一方の面にカソード層30、他方の面にアノード層50を積層して構成される。
【0020】
(カソード層30)
カソード層30は、酸化剤極であって、カソードガス(例えば空気に含まれる酸素)と電子を反応させて、酸素分子を酸化物イオンに変換する。カソード層30は、酸化雰囲気に耐性を有し、カソードガスを透過させるガス透過性および電気(電子およびイオン)伝導度が高い。さらに、カソード層30は、酸素分子を酸素イオンに変換する触媒機能を有する。
【0021】
カソード層30の形成材料は、例えば、ランタン、ストロンチウム、マンガン、コバルト等からなる酸化物が挙げられる。
【0022】
(電解質層40)
電解質層40は、アノードガスとカソードガスを分離する機能を有する。電解質層40は、カソード層30からアノード層50に向かって酸化物イオンを通過させつつ、ガスと電子を通過させない。酸素イオンが発電の伝導体である場合には、電解質層40は、酸素イオンの伝導性が高い材料から形成されることが好ましい。
【0023】
電解質層40は、セラミックから形成される。電解質層40を形成するセラミックは、例えば、希土類酸化物(例えば、Y、Sc、Gd、Sm、Yb、Nd等から選択される1種または2種以上)をドープした安定化ジルコニア、セリア系固溶体、ペロブスカイト型酸化物(例えば、SrCeO、BaCeO、CaZrO、SrZrO等)等の固体酸化物セラミックなどが挙げられる。なお、本明細書中において、「セラミック」とは、無機物の焼結体を広く意味し、非金属の酸化物に限られず金属の酸化物も含まれるものとする。
【0024】
(アノード層50)
アノード層50は、燃料極であって、アノードガス(例えば水素)と酸化物イオンを反応させて、アノードガスの酸化物を生成するとともに電子を取り出す。アノード層50は、還元雰囲気に耐性を有し、アノードガスを透過させるガス透過性および電気(電子およびイオン)伝導度が高い。さらに、アノード層50は、アノードガスを酸化物イオンと反応させる触媒機能を有する。
【0025】
図6は、図5に示すメタルサポートセルの電解質層およびアノード層を拡大して示す部分断面図である。図6に示すように、アノード層50は、セラミック粒子210および金属粒子220を含む。本実施形態に係るアノード層50は、電解質層40に隣接して配置される第1アノード層51と、金属支持層60に隣接して配置される第2アノード層52と、を有する。
【0026】
第1アノード層51は、主にセラミック粒子210から形成される。第2アノード層52は、セラミック粒子210および金属粒子220からなるサーメットによって形成される。これにより、アノード層50中のセラミック粒子210の含有量に対する金属粒子220の含有量の比率は、金属支持層60側が電解質層40側よりも大きくなるように形成されている。
【0027】
上記のように、電解質層40側に配置される第1アノード層51では、セラミックの含有量が高い。このため、アノード層50と電解質層40との間の界面でのイオン伝導性を高めて発電性能を向上させることができる。
【0028】
アノード層50は、複数の空孔が形成された多孔体である。アノード層50内の空孔には、触媒が含浸される。アノード層50の触媒としては、例えば、ニッケル(Ni)等の金属触媒を用いることができる。
【0029】
セラミック粒子210の構成材料としては、電解質層40を形成するセラミックと同様の材料を用いることができる。
【0030】
金属粒子220の構成材料としては、金属支持層60を形成する金属と同様の材料を用いることができる。なお、本明細書中において、「金属粒子220」は、アノード層50を構成する主成分を意味し、金属触媒は含まないものとする。換言すると、金属粒子220は、触媒機能を備えない金属材料または触媒機能が主ではない金属材料によって構成される。また、「金属粒子220を形成する金属」および「金属支持層60を形成する金属」には、金属の酸化物などのセラミックは含まれないものとする。
【0031】
(金属支持層60)
金属支持層60は、図3および図4に示すように、電解質電極接合体20をアノード層50の側から支持するものである。金属支持層60によって電解質電極接合体20を支持することにより、電解質電極接合体20の機械的強度を向上させて破損を抑制することができる。金属支持層60は、ガス透過性および電子伝導性を有する多孔質の金属から形成される。
【0032】
図5に示すように、本実施形態に係る金属支持層60は、アノード層50に隣接して配置される第1金属支持層61と、第1金属支持層61に隣接して配置される第2金属支持層62と、を有する。第2金属支持層62は、メタルサポートセル10の表面層(最外層)に位置する。
【0033】
金属支持層60を形成する金属としては、例えば、ニッケル(Ni)やクロム(Cr)を含有するステンレス鋼(SUS)などを用いることができる。
【0034】
(セルフレーム113)
セルフレーム113は、図3および図4に示すように、メタルサポートセル10を周囲から保持するものである。図3に示すように、セルフレーム113は、開口部113Hを有する。セルフレーム113の開口部113Hには、メタルサポートセル10が配置される。メタルサポートセル10の外周は、セルフレーム113の開口部113Hの内縁に接合される。
【0035】
セルフレーム113は、図3に示すように、アノードガスが流通するアノードガス流入口113aおよびアノードガス流出口113bと、カソードガスが流通するカソードガス流入口113cおよびカソードガス流出口113dと、を有している。
【0036】
(セパレータ120)
図2に示すように、セパレータ120の流路部121は、凹凸形状が一方向(Y方向)に延在するように略直線状に形成されている。これにより、流路部121に沿って流れるガスの流れ方向は、Y方向である。
【0037】
図2に示すように、セパレータ120は、アノードガスが流通するアノードガス流入口125aおよびアノードガス流出口125bと、カソードガスが流通するカソードガス流入口125cおよびカソードガス流出口125dと、を有している。
【0038】
(集電補助層130)
集電補助層130は、ガスを通す空間を形成しつつ面圧を均等にして、メタルサポートセル10とセパレータ120との電気的な接触を補助する。集電補助層130は、例えば、金網状のエキスパンドメタル等によって形成することができる。
【0039】
[メタルサポートセル10の各層の内部応力]
図7は、メタルサポートセル10の各層の内部応力を説明するための部分断面図および応力分布である。メタルサポートセル10は、後述する製造方法によって各層が内部応力を有するように形成される。
【0040】
電解質層40は、XY面方向に沿う圧縮残留応力を有する。メタルサポートセル10を構成する複数の層のうち電解質層40以外の他の層の少なくとも1つは、XY面方向に沿う引張残留応力を有する。なお、本明細書において、「内部応力」とは、圧縮残留応力および引張残留応力を含み、外力に関係なく材料自体が各層の内部に保有または発生している応力のことを意味する。
である。こ
本実施形態では、図7に示すように、電解質層40、アノード層50および第2金属支持層62は、XY面方向に沿う圧縮残留応力を有する。第1金属支持層61は、XY面方向に沿う引張残留応力を有する。
【0041】
本実施形態に係るメタルサポートセル10は、メタルサポートセル10の表面層(電解質層40および第2金属支持層62)が圧縮残留応力を保持する。これにより、メタルサポートセル10は、表面層に圧縮残留応力に保持させることによって強度を向上させるという強化ガラスと同様のメカニズムを用いて強化されている。
【0042】
さらに、メタルサポートセル10の応力分布は、表面側の層(電解質層40、アノード層50および第2金属支持層62)が圧縮残留応力を有し、中心層(第1金属支持層61)が引張残留応力を有するシンメトリー応力分布となっている。これにより、メタルサポートセル10の内部応力が相殺される。その結果、メタルサポートセル10の反りを抑制することができる。その結果、より大きな圧縮残留応力を電解質層40に付与することができる。
【0043】
また、メタルサポートセル10の表面層は、集電補助層130やセパレータ120と接触して外部入力を受ける。メタルサポートセル10の表面層は、圧縮残留応力を有することによって強度が向上し、外部入力による変形や破損を抑制することができる。
【0044】
電解質層40およびアノード層50を構成する脆性なセラミック材料は引張応力に弱く圧縮応力に強いという特性がある。上記のように電解質層40およびアノード層50(セラミックス層)が圧縮残留応力を有するように形成することによって、セラミックス層(特に、電解質層40)にクラックが生じることを抑制することができる。
【0045】
一方で、金属支持層60は、延性特性を有するため、引張応力に強い。圧縮残留応力に対する反力を引張応力に強い第1金属支持層61が受け持つ構造とすることによって、メタルサポートセル10の強度をさらに高めることができる。
【0046】
[メタルサポートセル10の各層の線膨張係数]
室温(約15℃〜30℃)から焼成温度(約1000℃〜1400℃)の温度領域において、線膨張係数(CTE)は、セラミック材料を含む電解質層40およびアノード層50よりも金属材料からなる金属支持層60の方が一般的に大きい。また、本実施形態では、アノード層50はセラミック粒子210および金属粒子220を混合した材料から形成されるため、線膨張係数は、電解質層40よりもアノード層50の方が大きくなる。したがって、メタルサポートセル10の複数の層の線膨張係数の大小関係は、電解質層40の線膨張係数<アノード層50の線膨張係数<金属支持層60の線膨張係数となる。
【0047】
[メタルサポートセル10の製造方法]
次に、図8図14を参照して、メタルサポートセル10の製造方法について説明する。
【0048】
なお、以下の説明では、メタルサポートセル10の前駆体である電解質層40、アノード層50および金属支持層60から構成されるハーフセルの製造方法について説明し、カソード層30を形成する方法については省略する。
【0049】
図8は、メタルサポートセル10の製造方法を説明するための概略図である。図8に示すように、メタルサポートセル10の製造方法は、スラリー調製工程、塗工工程、貼り合わせ工程および焼成工程を有する。メタルサポートセル10の製造方法は、焼成工程の後に冷却する冷却工程をさらに有する。
【0050】
本実施形態では、焼成工程における各層の焼成硬化のタイミングおよび線膨張係数(CTE)に起因する冷却工程における各層の冷却収縮率の両方を調整してメタルサポートセル10の内部応力を制御する。焼成硬化のタイミングおよび線膨張係数(CTE)の両方を制御することによって、製造されたメタルサポートセル10の内部応力をより確実に調整することができる。
【0051】
(スラリー調製工程)
まず、スラリー調製工程では、スラリー原料を混合して電解質スラリー、第1アノードスラリー、第2アノードスラリー、第1金属支持スラリーおよび第2金属支持スラリーを調製する。スラリー原料の混合には、公知の攪拌装置を適宜選択して使用することができる。
【0052】
電解質スラリーは、セラミックを主成分とし、溶媒、焼結助剤およびバインダを含むスラリー原料を混合して形成される。
【0053】
第1アノードスラリーは、セラミック(セラミック粒子210)を主成分とし、溶媒、焼結助剤およびバインダを含むスラリー原料を混合して形成される。第2アノードスラリーは、セラミック(セラミック粒子210)および金属(金属粒子220)を主成分とし、溶媒、焼結助剤およびバインダを含むスラリー原料を混合して形成される。
【0054】
第1金属支持スラリーおよび第2金属支持スラリーは、金属を主成分とし、溶媒、焼結助剤およびバインダを含むスラリー原料を混合して形成される。
【0055】
本実施形態に係る製造方法では、焼結助剤の量を調整することによって、後工程の焼成工程において各層の焼成硬化のタイミングを制御する。具体的には、焼結助剤の量を電解質スラリー>第1アノードスラリー>第2アノードスラリー>第1金属支持スラリー、かつ、第2金属支持スラリー>第1金属支持スラリーとなるように調整する。これにより、焼成工程において、電解質スラリー→第1アノードスラリー→第2アノードスラリー→第1金属支持スラリーの順で、かつ、第2金属支持スラリー→第1金属支持スラリーの順で硬化収縮させることができる。焼成工程については後述において詳細に説明する。
【0056】
スラリー用の溶媒としては、例えば、溶媒としては、特に制限されないが、水、および/または、メタノール、エタノール、1−プロパノール(NPA)、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系溶媒、Nメチル−2ピロリドン(NMP)など有機溶媒が挙げられる。これら溶媒は、一種のみを用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。溶媒の使用量は、スラリーをシート状に成形する際において、その粘度が成形に適したものとなるように調整することが好ましい。
【0057】
スラリーに添加するバインダは、公知の有機バインダを適宜選択して使用することができる。有機バインダとしては、例えば、エチレン系共重合体、スチレン系共重合体、アクリレート系共重合体、メタクリレート系共重合体、ビニルブチラール系樹脂、ビニルアセタール系樹脂、ビニルホルマール系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、エチルセルロースなどのセルロース類が挙げられる。
【0058】
なお、各スラリーには、必要に応じて可塑剤や分散剤などを添加してもよい。
【0059】
(塗工工程)
次に、塗工工程では、ナイフコート、ドクターブレードなどの塗工装置を用いたテープキャスト法などのシート成形法を用いて上記スラリー調製工程で調製した各スラリーをシート状に成形する。得られたシート状のスラリーを、乾燥後、必要に応じて加熱処理することによって電解質シート、第1アノード電極シート、第2アノード電極シート、第1金属支持シートおよび第2金属支持シートを得ることができる。電解質シート、第1アノード電極シート、第2アノード電極シート、第1金属支持シートおよび第2金属支持シートは、一般的にグリーンシートと呼ばれる。
【0060】
(貼り合わせ工程)
次に、貼り合わせ工程では、電解質シート、第1アノード電極シート、第2アノード電極シート第1金属支持シートおよび第2金属支持シートを順に積層して貼り合わせて積層体を形成する。
【0061】
(焼成工程)
次に、図9図14を参照して、焼成工程について説明する。図9は、焼成工程において、第1アノード層51を焼成硬化させた際の内部応力を示す断面図である。図10は、焼成工程において、第2アノード層52を焼成硬化させた際の内部応力を示す断面図である。図11は、図10に示す電解質層40およびアノード層50を拡大して示す部分断面図である。図12は、図10に示す状態の電解質層40の厚さ比率と電解質層40の表面応力との関係を示すグラフである。図13は、焼成工程において、第2金属支持層62を焼成硬化させた際の内部応力を示す断面図である。図14は、焼成工程において、第1金属支持層61を焼成硬化させた際の内部応力を示す断面図である。
【0062】
焼成工程では、各層の焼成硬化のタイミングを制御することによって、メタルサポートセル10の内部応力を制御する。具体的には、電解質層40、アノード層50(電極層)および金属支持層60のうち少なくとも1つの層を焼成して硬化収縮させ、焼成した層に隣接する層に圧縮残留応力を付与する。さらに、圧縮残留応力に対する反力として焼成した層に引張残留応力を付与する。
【0063】
仮に、各層の焼成硬化のタイミングが同じ場合、各層は焼成時に同時に収縮する。このとき、各層の焼成収縮率に差を設けることによって、内部応力を制御することも考えられる。しかしながら、各層が同時に収縮する場合の焼成収縮率の差による収縮量の差は、隣接する層の一方のみが収縮する場合の収縮量の差よりも小さくなる。したがって、焼成収縮率を制御するよりも焼成硬化のタイミングを制御する方がより大きな圧縮残留応力を付与することができる。
【0064】
焼成工程では、上記積層体を脱脂および共焼成する。焼成温度は、例えば、1000℃〜1400℃とすることができる。前述したように、電解質スラリー→第1アノードスラリー→第2アノードスラリー→第1金属支持スラリーの順で、かつ、第2金属支持スラリー→第1金属支持スラリーの順で硬化収縮させる(焼きしまる)。本実施形態では、電解質スラリー→第1アノードスラリー→第2アノードスラリー→第2金属支持スラリー→第1金属支持スラリーの順で焼成硬化するように焼結助剤の量を調整する。
【0065】
まず、電解質スラリーが焼成硬化して電解質層40が形成される。次に、図9に示すように、第1アノードスラリーが焼成硬化して第1アノード層51が形成される。このとき、第1アノード層51が硬化収縮することによって、隣接する電解質層40に圧縮残留応力が付与される。第1アノード層51には、電解質層40の圧縮残留応力の反力として引張残留応力が付与される。
【0066】
次に、図10に示すように、第2アノードスラリーが焼成硬化して第2アノード層52が形成される。第2アノード層52が硬化収縮することによって、隣接する第1アノード層51に圧縮残留応力が付与される。また、第1アノード層51を介して電解質層40にもさらに圧縮残留応力が付与される。
【0067】
図11を参照して、セラミックス層(電解質層40およびアノード層50)において、金属支持層60から積層方向に遠い側から近い側に向かって順に焼成することによって、電解質層40に対してより大きな圧縮残留応力を付与することができる。
【0068】
本実施形態のように、発電性能を向上する目的でアノード層50内に金属骨格を持たない第1アノード層51が存在する場合においても、より破壊靭性と剛性が高い金属骨格(金属粒子220)を持つ第2アノード層52が後から硬化収縮することによって、セラミック主体の脆弱な第1アノード層51の内部応力を圧縮状態に置くことができる。さらに、第1アノード層51の圧縮残留応力の反力は引張応力に強い金属骨格を持つ第2アノード層52が支持することができる。
【0069】
ここで、図12を参照して、電解質層40の厚さ比率と電解質層40の表面応力との関係について検討する。焼成温度1200℃において、電解質層40のヤング率を150GPa、アノード層50のヤング率を55GPaとし、電解質層40とアノード層50との実質的な焼成収縮による歪差を0.5%と仮定する。図10に示すように、電解質層40からアノード層50まで焼成硬化した状態において、電解質層40の厚さ比率と電解質層40の表面応力(表面の圧縮残留応力)との関係を図12に示す。ここで、電解質層40の厚さ比率とは、電解質層40およびアノード層50の合計の厚さに対する電解質層40の厚さの割合である。なお、図12に示すグラフでは、電解質層40の表面の圧縮残留応力は負の値で表示される。圧縮残留応力の大きさは、絶対値であるため、縦軸の負に向かうほど高くなる。
【0070】
図12に示す結果から、電解質層40の厚さ比率は、0.3以下または0.5以上とすることによって、電解質層40の表面の圧縮残留応力をより高めることができることが分かった。電気抵抗を低減して発電性能を向上させる観点からは、電解質層40の厚さ比率は、0.3以下であることが望ましい。電解質層40の表面の圧縮残留応力を高める観点からは、電解質層40の厚さ比率は、0.5以上であることが望ましい。
【0071】
次に、図13に示すように、第2金属支持スラリーが焼成硬化して第2金属支持層62が形成される。
【0072】
その後、図14に示すように、第1金属支持スラリーが焼成硬化して第1金属支持層61が形成される。メタルサポートセル10内で最も破壊靭性と剛性の大きな第1金属支持層61を最後に硬化収縮させることによって、隣接する第2アノード層52および第2金属支持層62に圧縮残留応力が付与される。これにより、第2アノード層52の引張残留応力が圧縮残留応力に変化する。また、第1アノード層51を介して電解質層40にもさらに圧縮残留応力が付与される。第1金属支持層61には、第2アノード層52および第2金属支持層62の圧縮残留応力の反力として引張残留応力が付与される。
【0073】
上記のように、金属支持層60において、セラミックス層(電解質層40およびアノード層50)から積層方向に遠い側から近い側に向かって順に焼成する。これにより、外部からの入力を受けやすい表面層側の金属支持層60の一部が圧縮残留応力を有するため、外部入力に対する強度を向上させることができる。
【0074】
上記焼成工程により、図14に示すように、メタルサポートセル10内のセラミックを含む層(電解質層40およびアノード層50)は全て圧縮残留応力を有し、第1金属支持層61のみが引張残留応力を有するという応力状態が実現可能となる。これにより、メタルサポートセル10の内部応力が相殺されて構造がより安定する。
【0075】
さらに、金属支持層60を2分割し、第1金属支持層61の硬化収縮を最後にすることによって、メタルサポートセル10の表面層である第2金属支持層62に圧縮残留応力を付与することができる。これにより、メタルサポートセル10の上下表面層が圧縮残留応力を有し、中心層のみが引張残留応力を有するシンメトリー応力分布となる。その結果、メタルサポートセル10の内部で曲げモーメントが相殺されてメタルサポートセル10の反りを抑えることができ、より大きな圧縮残留応力を電解質層40に付与できる。
【0076】
(冷却工程)
最後に、冷却工程では、メタルサポートセル10を冷却する。冷却は、室温(15℃〜30℃)に放置して自然冷却させる。なお、自然冷却は、酸化防止のために還元雰囲気で冷却してもよいし、大気中で冷却してもよい。
【0077】
前述したように室温から焼成温度の温度領域において、複数の層の線膨張係数の大小関係は、電解質層40の線膨張係数<アノード層50の線膨張係数<金属支持層60の線膨張係数である。このため、冷却工程おける収縮率の大小関係は、電解質層40の収縮率<アノード層50の収縮率<金属支持層60の収縮率となる。これにより、実用領域の室温から運転温度(約600〜800℃)の温度領域において、線膨張係数が相対的に小さな電解質層40に対して圧縮残留応力を付与することができる。
【0078】
次に、本実施形態に係る作用効果について説明する。
【0079】
本実施形態に係るメタルサポートセル10は、電解質層40、電極層30、50および金属支持層60を含む複数の層を積層したメタルサポートセルである。電解質層40は、XY面方向に沿う圧縮残留応力を有し、複数の層のうち電解質層40以外の他の層の少なくとも1つは、XY面方向に沿う引張残留応力を有する。
【0080】
また、本実施形態に係るメタルサポートセル10の製造方法は、電解質層40、電極層30、50および金属支持層60を含む複数の層を積層し、電解質層40に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、複数の層のうち電解質層40以外の他の層の少なくとも1つに面方向に沿う引張残留応力を付与する。
【0081】
上記メタルサポートセル10およびメタルサポートセル10の製造方法によれば、電解質層40が面方向に沿う圧縮残留応力を有するため、実用領域の熱応力による電解質層40のクラックを防止することができる。また、電解質層40以外の他の層が圧縮残留応力の反力として引張残留応力を受け持つため、メタルサポートセル10の内部応力が相殺されて構造がより安定し、強度を向上させることができる。
【0082】
また、アノード層50(電極層)および金属支持層60のうち少なくとも一方は、面方向に沿う引張残留応力を有する。電解質層40以外のアノード層50(電極層)および金属支持層60が引張残留応力を受け持つため、メタルサポートセル10の内部応力が相殺されて構造がより安定し、強度を向上させることができる。
【0083】
また、アノード層50(電極層)および金属支持層60のうち少なくとも一方は、面方向に沿う圧縮残留応力を有する。セラミックを含むアノード層50が面方向に沿う圧縮残留応力を有する場合、熱応力によるアノード層50のクラックを防止することができる。また、金属支持層60が面方向に沿う圧縮残留応力を有する場合、メタルサポートセル10の表面層(電解質層40および金属支持層60)が圧縮残留応力を有し、中心層(アノード層50)のみ引張残留応力を有するシンメトリー応力分布となるため、メタルサポートセル10の内部応力が相殺される。これにより、メタルサポートセル10の反りを抑制することができる。その結果、より大きな圧縮残留応力を電解質層40に付与することができる。
【0084】
また、金属支持層60は、第1金属支持層61および第2金属支持層62(複数の層)によって構成される。金属支持層60の複数の層のうち少なくとも表面層である第2金属支持層62は、XY面方向に沿う圧縮残留応力を有する。金属支持層60の複数の層のうち表面層以外の層である第1金属支持層61は、XY面方向に沿う引張残留応力を有する。
【0085】
上記構成によれば、金属支持層60を2分割し、第1金属支持層61の硬化収縮を最後にすることによって、表面層に位置する第2金属支持層62に圧縮残留応力を付与することができる。これにより、メタルサポートセル10の上下表面層が圧縮残留応力を有し、中心層のみが引張残留応力を有するシンメトリー応力分布となる。その結果、メタルサポートセル10の内部で曲げモーメントが相殺されてメタルサポートセル10の反りを抑えることができ、より大きな圧縮残留応力を電解質層40に付与できる。また、外部からの入力を受けやすい第2金属支持層62が圧縮残留応力を有するため、外部入力に対する強度も向上させることができる。
【0086】
また、メタルサポートセル10の複数の層の線膨張係数の大小関係は、電解質層40の線膨張係数<アノード層50(電極層)の線膨張係数<金属支持層60の線膨張係数である。このため、冷却工程おける収縮率の大小関係は、電解質層40の収縮率<アノード層50の収縮率<金属支持層60の収縮率となる。これにより、線膨張係数が相対的に小さな電解質層40に対して圧縮残留応力を付与することができる。
【0087】
また、メタルサポートセル10の製造方法によれば、焼成硬化のタイミングを制御することによってメタルサポートセル10の内部応力を制御する。電解質層40、アノード層50(電極層)および金属支持層60のうち、少なくとも1つの層を焼成して硬化収縮させ、焼成した層に隣接する層に圧縮残留応力を付与し、圧縮残留応力に対する反力として焼成した層に引張残留応力を付与する。各層の焼成硬化のタイミングを制御することによって、焼成収縮率のみを制御する場合よりもより大きな圧縮残留応力を付与することができる。
【0088】
また、焼成硬化のタイミングの制御では、アノード層50(電極層)および電解質層40において、金属支持層60から積層方向に遠い側から近い側に向かって順に焼成する。これにより、金属支持層60からより遠い電解質層40により大きな圧縮残留応力を付与することができる。
【0089】
また、焼成硬化のタイミングの制御では、アノード層50(電極層)および電解質層40よりも後に、金属支持層60を焼成する。これにより、引張応力に強い金属支持層60が圧縮残留応力の反力として引張残留応力を受け持つ構造とすることができる。このため、メタルサポートセル10の内部応力が相殺されて構造がより安定し、強度をさらに向上させることができる。
【0090】
また、焼成硬化のタイミングの制御では、金属支持層60において、電解質層40から積層方向に遠い側から近い側に向かって順に焼成する。これにより、外部からの入力を受けやすい表面層側の金属支持層60の一部が圧縮残留応力を有するため、外部入力に対する強度を向上させることができる。
【0091】
また、アノード層50(電極層)は、セラミックおよび触媒を含む第1アノード層51(第1電極層)と、第1アノード層51よりも金属支持層60側に配置され、セラミック、金属および触媒を含む第2アノード層52(第2電極層)と、を有する。焼成硬化のタイミングの制御では、電解質層40、第1アノード層51、第2アノード層52、金属支持層60の順に焼成する。これにより、第2アノード層52を後から焼成して硬化収縮させることによって、セラミック主体の脆弱な第1アノード層51の内部応力を圧縮状態に置くことができる。さらに、第1アノード層51の圧縮残留応力の反力は引張応力に強い金属骨格を持つ第2アノード層52が支持することができる。
【0092】
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0093】
[メタルサポートセルの変形例]
以下、メタルサポートセルの変形例について説明する。本発明に係るメタルサポートセルは、少なくとも電解質層が面方向に沿う圧縮残留応力を有し、複数の層のうち電解質層以外の他の層の少なくとも1つが面方向に沿う引張残留応力を有する限りにおいてその構成は適宜変更することができる。以下の変形例1および変形例2では、本発明に含まれる複数の形態の一例を説明するが、本発明は、前述した実施形態および変形例に限定されるものではない。なお、前述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0094】
<変形例1>
図15は、変形例1に係るメタルサポートセルの各層の内部応力を説明するための部分断面図である。変形例1に係るメタルサポートセルは、金属支持層160が単層で構成され、内部応力を有さない点で前述した実施形態と異なる。
【0095】
電解質層40および第1アノード層51は、XY面方向に沿う圧縮残留応力を有する。第2アノード層52は、圧縮残留応力の反力としてXY面方向に沿う引張残留応力を有する。セラミック主体の脆弱な電解質層40および第1アノード層51が圧縮残留応力を有するため、実用領域の熱応力によるクラックの発生を抑制することができる。また、引張応力に強い金属骨格を持つ第2アノード層52が引張残留応力を受け持つため、メタルサポートセルの内部応力が相殺されて構造がより安定し、強度を向上させることができる。
【0096】
<変形例2>
図16Aは、変形例2に係るメタルサポートセルの各層の内部応力を説明するための部分断面図である。変形例2に係るメタルサポートセルは、金属支持層160が単層で構成され、引張残留応力を有する点で前述した実施形態とは異なる。
【0097】
金属材料を主成分とし、メタルサポートセルの複数の層の中で引張応力に最も強い金属支持層160が引張残留応力を受け持つため、メタルサポートセルの内部応力が相殺されて構造がより安定し、強度を向上させることができる。
【0098】
しかしながら、変形例2に係るメタルサポートセルでは、内部応力分布がアシンメトリーのため、反りが発生する可能性がある。図16Bは、変形例2に係るメタルサポートセルが反った状態を示す部分断面図である。XY面方向に圧縮残留応力を有する電解質層40では、XY面方向に伸びる方向に変形し、XY面方向に引張残留応力を有する金属支持層160では、XY面方向に縮む方向に変形する。これにより、図16Bに示すように反った状態に変形する可能性がある。したがって、反りを抑制する観点からは、前述した実施形態のようにメタルサポートセルの内部応力分布がシンメトリーの形態の方が好ましい。
【0099】
[メタルサポートセルの製造方法の変形例]
次に、メタルサポートセルの製造方法の変形例について説明する。本発明に係るメタルサポートセルの製造方法は、電解質層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、複数の層のうち、電解質層以外の他の層の少なくとも1つに面方向に沿う引張残留応力を付与する限りにおいてその方法は適宜変更することができる。以下の変形例3および変形例4では、本発明に含まれる構成のうちの一例を説明するが、本発明は、前述した実施形態および変形例に限定されるものではない。なお、前述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0100】
<変形例3>
図17Aは、変形例3に係るメタルサポートセルの製造方法を説明するための概略断面図である。図17Bは、変形例3に係る製造方法によって製造されたメタルサポートセルの内部応力を示す断面図である。変形例3に係るメタルサポートセルの製造方法では、変形例2に係るメタルサポートセルを製造する点で前述した実施形態とは異なる。
【0101】
図17Aに示すように、焼成工程において、電解質層40、アノード層150の順に焼成硬化した後に、金属支持層160を焼成硬化させる。これにより、セラミックス層(電解質層40およびアノード層150)に圧縮残留応力が付与され、金属支持層160にその反力として引張残留応力が付与される。
【0102】
図17Bに示すように、電解質層40が面方向に沿う圧縮残留応力を有するため、実用領域の熱応力による電解質層40のクラックを防止することができる。また、引張応力に強い金属支持層160が圧縮残留応力の反力として引張残留応力を受け持つため、メタルサポートセルの内部応力が相殺されて構造がより安定し、強度を向上させることができる。
【0103】
<変形例4>
図18は、変形例4に係るメタルサポートセルの製造方法を説明するための概略断面図である。変形例4に係るメタルサポートセルの製造方法では、先に電解質層40と金属支持層160を硬化収縮させ、最後にアノード層50を硬化収縮させる点で前述した実施形態と相違する。
【0104】
上記製造方法によって、電解質層40および金属支持層160に圧縮残留応力を付与することができる。アノード層50は引張応力に強い金属骨格を有するため、引張残留応力を受け持つことができる。また、メタルサポートセルの全体の応力分布がシンメトリーに近くなるため、メタルサポートセルの全体の反り量を低減することができる。
【0105】
(焼成硬化のタイミングを制御する方法の変形例)
前述した実施形態では、焼結助剤の量を調整して焼成硬化のタイミングを制御したが、焼成硬化のタイミングを制御する方法はこれに限定されない。例えば、各層の焼結抑制剤の量を調整する方法や、各層の焼成硬化温度、熱伝導率、昇温速度などを制御する方法や、製造要件によって各層の焼成温度を制御する方法などが挙げられる。以下の変形例5〜変形例7では、上記方法のうち幾つかの例を説明する。
【0106】
<変形例5>
変形例5に係るメタルサポートセルの製造方法では、各層の焼結抑制(遅延)剤の量を調整することによって焼成硬化のタイミングを制御する。スラリー調製工程において焼結助剤の代わりに焼結抑制剤を各スラリーに添加する。焼結抑制剤の量を調整することによって各層を焼成硬化させるタイミングを制御することができる。
【0107】
具体的には、焼結抑制剤の量を電解質スラリー<第1アノードスラリー<第2アノードスラリー<第1金属支持スラリー、かつ、第2金属支持スラリー<第1金属支持スラリーとなるように調整する。これにより、焼成工程において、前述した実施形態と同様に電解質スラリー→第1アノードスラリー→第2アノードスラリー→第1金属支持スラリーの順で、かつ、第2金属支持スラリー→第1金属支持スラリーの順で硬化収縮させることができる。
【0108】
<変形例6>
図19は、変形例6に係るメタルサポートセルの製造方法を説明するための概略断面図である。変形例6に係るメタルサポートセルの製造方法では、焼成工程の中で焼成と積層を繰り返しながら各層を重ね焼きすることによって焼成硬化のタイミングを制御する。
【0109】
まず、電解質層40をアノード層50に積層して重ね焼きする。次に、重ね焼きして焼成硬化した電解質層40およびアノード層50を金属支持層160に積層して重ね焼きする。
【0110】
これにより、電解質層40およびアノード層50の後に、金属支持層160を焼成硬化させることができる。これにより、セラミックス層(電解質層40およびアノード層50)全体に圧縮残留応力を保持させることができる。
【0111】
<変形例7>
図20は、変形例7に係るメタルサポートセルの製造方法を説明するための概略断面図である。変形例7に係るメタルサポートセルの製造方法では、PVD(物理蒸着)法を用いることによって焼成硬化のタイミングを制御する。
【0112】
まず、アノード層50を先に焼成硬化させる。次に、焼成硬化したアノード層50の上にPVD工程によって電解質層40を成膜する。最後に、電解質層40およびアノード層50を金属支持スラリーに積層して焼成して金属支持層160を形成する。これにより、セラミックス層(電解質層40およびアノード層50)全体に圧縮残留応力を付与することができる。
【0113】
以上、実施形態および変形例を通じて本発明に係るメタルサポートセルおよびメタルサポートセルの製造方法を説明したが、本発明は実施形態において説明した内容のみに限定されることはなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0114】
例えば、電解質層に圧縮残留応力を発生させる方法は、焼成硬化のタイミングや線膨張係数(CTE)を調整する方法に限定されない。例えば、表面焼入れやショットピーニングなどの表面処理によって圧縮残留応力を電解質層に発生させてもよい。
【0115】
また、前述した実施形態では、焼成硬化のタイミングを制御することによって内部応力を制御したが、焼成収縮率をさらに調整してもよい。焼成硬化のタイミングが前述した実施形態のように制御される前提において、焼成収縮率の大小関係は、電解質層の収縮率<アノード層の収縮率<金属支持層の収縮率に設定する方が、より大きな圧縮残留応力をセラミックス層(電解質層およびアノード層)に付与することが可能となる。なお、焼成収縮率は、各スラリーのバインダ量や材料の粒径を調整することによって制御することができる。
【0116】
また、アノード層とカソード層の積層の配置を入れ替えてもよい。この場合、カソード層は、前述した実施形態および変形例のアノード層と同様の構成を備えることができる。
【0117】
本出願は、2018年4月13日に出願された日本国特許出願第2018−077551号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
【符号の説明】
【0118】
1 燃料電池スタック、
1U セルユニット、
1A メタルサポートセルアッセンブリー、
10 メタルサポートセル、
20 電解質電極接合体、
30 カソード層、
40 電解質層、
50、150 アノード層、
51 第1アノード層、
52 第2アノード層、
60、160 金属支持層、
61 第1金属支持層、
62 第2金属支持層、
113 セルフレーム、
120 セパレータ、
130 集電補助層、
210 セラミック粒子、
220 金属粒子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図18
図19
図20

【手続補正書】
【提出日】2019年8月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層したメタルサポートセルであって、
前記電解質層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、
前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つは、面方向に沿う引張残留応力を有し、
前記金属支持層は、複数の層によって構成され、
前記金属支持層の複数の層のうち少なくとも表面層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、
前記金属支持層の複数の層のうち前記表面層以外の層は、面方向に沿う引張残留応力を有する、メタルサポートセル。
【請求項2】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方は、面方向に沿う引張残留応力を有する、請求項1に記載のメタルサポートセル。
【請求項3】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方は、面方向に沿う圧縮残留応力を有する、請求項1または請求項2に記載のメタルサポートセル。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
線膨張係数の大小関係は、前記電解質層の線膨張係数<前記電極層の線膨張係数<前記金属支持層の線膨張係数である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタルサポートセル。
【請求項6】
電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層し、
前記電解質層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、
前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つに面方向に沿う引張残留応力を付与するメタルサポートセルの製造方法であって、
前記金属支持層は、複数の層によって構成され、
前記金属支持層の複数の層のうち少なくとも表面層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、
前記金属支持層の複数の層のうち前記表面層以外の層に面方向に沿う引張残留応力を付与する、メタルサポートセルの製造方法。
【請求項7】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方に面方向に沿う引張残留応力を付与する、請求項6に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項8】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方に面方向に沿う圧縮残留応力を付与する、請求項6または請求項7に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
線膨張係数の大小関係は、前記電解質層の線膨張係数<前記電極層の線膨張係数<前記金属支持層の線膨張係数である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項11】
前記電解質層、前記電極層および前記金属支持層のうち、少なくとも1つの層を焼成して硬化収縮させ、前記焼成した層に隣接する層に前記圧縮残留応力を付与し、
前記圧縮残留応力に対する反力として前記焼成した層に前記引張残留応力を付与する、請求項6〜8、10のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項12】
前記電極層および前記電解質層において、前記金属支持層から積層方向に遠い側から近い側に向かって順に焼成する、請求項11に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項13】
前記電極層および前記電解質層よりも後に、前記金属支持層を焼成する、請求項11または請求項12に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項14】
前記金属支持層において、前記電解質層から積層方向に遠い側から近い側に向かって順に焼成する、請求項11〜13のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項15】
前記電極層は、
セラミックおよび触媒を含む第1電極層と、
前記第1電極層よりも前記金属支持層側に配置され、セラミック、金属および触媒を含む第2電極層と、を有し、
前記電解質層、前記第1電極層、前記第2電極層、前記金属支持層の順に焼成する、請求項11〜14のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項16】
電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層したメタルサポートセルであって、
前記電解質層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、
前記電極層は、アノード層を有し、
前記アノード層は、面方向に沿う圧縮残留応力および面方向に沿う引張残留応力のうち一方の内部応力を有し、
前記金属支持層において前記アノード層に隣接する部分は、面方向に沿う圧縮残留応力および面方向に沿う引張残留応力のうち前記アノード層が有する前記内部応力とは異なる内部応力を有する、メタルサポートセル。
【請求項17】
前記金属支持層は、前記アノード層と隣接する部分に形成された第1金属支持層と、表面層をなす第2金属支持層と、を有する複数の層によって構成され、
前記第2金属支持層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、
前記第1金属支持層は、面方向に沿う引張残留応力を有する、請求項16に記載のメタルサポートセル。
【請求項18】
電解質層、アノード層を有する電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層し、
前記電解質層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、
前記アノード層に、面方向に沿う圧縮残留応力および面方向に沿う引張残留応力のうち一方の内部応力を付与し、
前記金属支持層において前記アノード層に隣接する部分に、面方向に沿う圧縮残留応力および面方向に沿う引張残留応力のうち前記アノード層が有する前記内部応力とは異なる内部応力を付与する、メタルサポートセルの製造方法。
【請求項19】
前記金属支持層は、前記アノード層と隣接する部分に形成された第1金属支持層と、表面層をなす第2金属支持層と、を有する複数の層によって構成され、
前記第2金属支持層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、
前記第1金属支持層に面方向に沿う引張残留応力を付与する、請求項18に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
[0007]
本発明の目的は、熱応力による電解質層のクラックを防止するため、電解質層に内部残留応力を付与したメタルサポートセルおよびメタルサポートセルの製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段
[0008]
上記目的を達成するための本発明のメタルサポートセルは、電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層したメタルサポートセルである。前記電解質層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つは、面方向に沿う引張残留応力を有する。前記金属支持層は、複数の層によって構成されている。前記金属支持層の複数の層のうち少なくとも表面層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有する。前記金属支持層の複数の層のうち前記表面層以外の層は、面方向に沿う引張残留応力を有する。
[0009]
上記目的を達成するための本発明のメタルサポートセルの製造方法は、電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層し、前記電解質層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つに面方向に沿う引張残留応力を付与する。前記金属支持層は、複数の層によって構成されている。前記金属支持層の複数の層のうち少なくとも表面層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与する。前記金属支持層の複数の層のうち前記表面層以外の層に面方向に沿う引張残留応力を付与する。
図面の簡単な説明
[0010]
図1]本発明の実施形態に係る燃料電池スタックを示す分解斜視図である。
図2図1に示すセルユニットの分解斜視図である。
図3図2に示すメタルサポートセルアッセンブリーの分解斜視図である。
図4図2のA−A線に沿うメタルサポートセルアッセンブリーの部分断面図である。
図5図4に示すメタルサポートセルを拡大して示す部分断面図である。
図6図5に示すメタルサポートセルの電解質層およびアノード層を拡大して示す部分断面図である。
図7図5に示すメタルサポートセルの各層の内部応力を説明するための部分断面図および応力分布である。
図8]本発明の実施形態に係るメタルサポートセルの製造方法を説明するための概略図である。
図9]焼成工程において、第1アノード層を焼成硬化させた際の内部応力を示す断面図である。

【手続補正書】
【提出日】2020年10月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層したメタルサポートセルであって、
前記電解質層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、
前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つは、面方向に沿う引張残留応力を有し、
前記金属支持層は、複数の層によって構成され、
前記金属支持層の複数の層のうち少なくとも表面層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、
前記金属支持層の複数の層のうち前記表面層以外の層は、面方向に沿う引張残留応力を有する、メタルサポートセル。
【請求項2】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方は、面方向に沿う引張残留応力を有する、請求項1に記載のメタルサポートセル。
【請求項3】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方は、面方向に沿う圧縮残留応力を有する、請求項1または請求項2に記載のメタルサポートセル。
【請求項4】
線膨張係数の大小関係は、前記電解質層の線膨張係数<前記電極層の線膨張係数<前記金属支持層の線膨張係数である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタルサポートセル。
【請求項5】
電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層し、
前記電解質層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、
前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つに面方向に沿う引張残留応力を付与するメタルサポートセルの製造方法であって、
前記金属支持層は、複数の層によって構成され、
前記金属支持層の複数の層のうち少なくとも表面層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、
前記金属支持層の複数の層のうち前記表面層以外の層に面方向に沿う引張残留応力を付与する、メタルサポートセルの製造方法。
【請求項6】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方に面方向に沿う引張残留応力を付与する、請求項5に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項7】
前記電極層および前記金属支持層のうち少なくとも一方に面方向に沿う圧縮残留応力を付与する、請求項5または請求項6に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項8】
線膨張係数の大小関係は、前記電解質層の線膨張係数<前記電極層の線膨張係数<前記金属支持層の線膨張係数である、請求項5〜7のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項9】
前記電解質層、前記電極層および前記金属支持層のうち、少なくとも1つの層を焼成して硬化収縮させ、前記焼成した層に隣接する層に隣接する層に前記圧縮残留応力を付与し、
前記圧縮残留応力に対する反力として前記焼成した層に前記引張残留応力を付与する、請求項〜8のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項10】
前記電極層および前記電解質層において、前記金属支持層から積層方向に遠い側から近い側に向かって順に焼成する、請求項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項11】
前記電極層および前記電解質層よりも後に、前記金属支持層を焼成する、請求項9または請求項10に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項12】
前記金属支持層において、前記電解質層から積層方向に遠い側から近い側に向かって順に焼成する、請求項9〜11のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項13】
前記電極層は、
セラミックおよび触媒を含む第1電極層と、
前記第1電極層よりも前記金属支持層側に配置され、セラミック、金属および触媒を含む第2電極層と、を有し、
前記電解質層、前記第1電極層、前記第2電極層、前記金属支持層の順に焼成する、請求項9〜12のいずれか1項に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【請求項14】
電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層したメタルサポートセルであって、
前記電解質層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、
前記電極層は、アノード層を有し、
前記アノード層は、面方向に沿う圧縮残留応力および面方向に沿う引張残留応力のうち一方の内部応力を有し、
前記金属支持層において前記アノード層に隣接する部分は、面方向に沿う圧縮残留応力および面方向に沿う引張残留応力のうち前記アノード層が有する前記内部応力とは異なる内部応力を有する、メタルサポートセル。
【請求項15】
前記金属支持層は、前記アノード層と隣接する部分に形成された第1金属支持層と、表面層をなす第2金属支持層と、を有する複数の層によって構成され、
前記第2金属支持層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、
前記第1金属支持層は、面方向に沿う引張残留応力を有する、請求項14に記載のメタルサポート。
【請求項16】
電解質層、アノード層を有する電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層し、
前記電解質層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、
前記アノード層に、面方向に沿う圧縮残留応力および面方向に沿う引張残留応力のうち一方の内部応力を付与し、
前記金属支持層において前記アノード層に隣接する部分に、面方向に沿う圧縮残留応力および面方向に沿う引張残留応力のうち前記アノード層が有する前記内部応力とは異なる内部応力を付与する、メタルサポートセルの製造方法。
【請求項17】
前記金属支持層は、前記アノード層と隣接する部分に形成された第1金属支持層と、表面層をなす第2金属支持層と、を有する複数の層によって構成され、
前記第2金属支持層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、
前記第1金属支持層に面方向に沿う引張残留応力を付与する、請求項16に記載のメタルサポートセルの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記目的を達成するための本発明のメタルサポートセルは、電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層したメタルサポートセルである。前記電解質層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有し、前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つは、面方向に沿う引張残留応力を有する。前記金属支持層は、複数の層によって構成されている。前記金属支持層の複数の層のうち少なくとも表面層は、面方向に沿う圧縮残留応力を有する。前記金属支持層の複数の層のうち前記表面層以外の層は、面方向に沿う引張残留応力を有する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記目的を達成するための本発明のメタルサポートセルの製造方法は、電解質層、電極層、および金属支持層を含む複数の層を積層し、前記電解質層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与し、前記複数の層のうち前記電解質層以外の他の層の少なくとも1つに面方向に沿う引張残留応力を付与する。前記金属支持層は、複数の層によって構成されている。前記金属支持層の複数の層のうち少なくとも表面層に面方向に沿う圧縮残留応力を付与する。前記金属支持層の複数の層のうち前記表面層以外の層に面方向に沿う引張残留応力を付与する。
【国際調査報告】