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再表2019-216279ポリウレタンの改質方法,ポリウレタン,研磨パッド及び研磨パッドの改質方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年11月14日
【発行日】2021年6月17日
(54)【発明の名称】ポリウレタンの改質方法,ポリウレタン,研磨パッド及び研磨パッドの改質方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/83 20060101AFI20210521BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20210521BHJP
   C08G 18/69 20060101ALI20210521BHJP
   C08G 18/68 20060101ALI20210521BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20210521BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20210521BHJP
【FI】
   C08G18/83 030
   C08G18/67
   C08G18/69
   C08G18/68
   B24B37/24 C
   H01L21/304 622F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
【出願番号】特願2020-518281(P2020-518281)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年4月26日
(31)【優先権主張番号】特願2018-92608(P2018-92608)
(32)【優先日】2018年5月11日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100133798
【弁理士】
【氏名又は名称】江川 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100189991
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 通子
(72)【発明者】
【氏名】大下 梓紗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 充
(72)【発明者】
【氏名】竹越 穣
(72)【発明者】
【氏名】岡本 知大
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晋哉
【テーマコード(参考)】
3C158
4J034
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AA09
3C158CB01
3C158CB04
3C158CB10
3C158DA12
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3C158EA11
3C158EB06
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3C158EB25
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4J034DB04
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4J034LA13
4J034QB19
4J034RA14
4J034RA19
5F057AA03
5F057AA14
5F057AA24
5F057DA03
5F057EB03
(57)【要約】
エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンを準備する工程と、ポリウレタンを共役二重結合を有する化合物を含有する液で処理する工程と、を含むポリウレタンの改質方法、または、共役二重結合を有するポリウレタンを準備する工程と、ポリウレタンを、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する液で処理する工程と、を含むポリウレタンの改質方法を用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンを準備する工程と、
前記ポリウレタンを、共役二重結合を有する化合物を含有する液で処理する工程と、を含むポリウレタンの改質方法。
【請求項2】
前記ポリウレタンは、エチレン性不飽和結合を有する化合物に由来するポリマー構成単位を含む請求項1に記載のポリウレタンの改質方法。
【請求項3】
前記エチレン性不飽和結合を有する化合物が、cis-2-ブテン-1,4-ジオール,4,5-ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール,5-ノルボルネン-2,3-ジメタノール,cis-2-ノネン-1-オール,cis-3-ノネン-1-オール,cis-3-オクテン-1-オール、ポリブタジエンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項2に記載のポリウレタンの改質方法。
【請求項4】
共役二重結合を有するポリウレタンを準備する工程と、
前記ポリウレタンを、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する液で処理する工程と、を含むポリウレタンの改質方法。
【請求項5】
前記ポリウレタンは、共役二重結合を有する化合物に由来するポリマー構成単位を含むポリウレタンである請求項4に記載のポリウレタンの改質方法。
【請求項6】
前記共役二重結合を有する化合物が、4,5-ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール,4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール,ポリエチレンフラノエートからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む請求項5に記載のポリウレタンの改質方法。
【請求項7】
エチレン性不飽和結合を有するポリウレタン。
【請求項8】
前記エチレン性不飽和結合に、共役二重結合を有する化合物を付加させた請求項7に記載のポリウレタン。
【請求項9】
カルボン酸基を有する請求項8に記載のポリウレタン。
【請求項10】
共役二重結合を有するポリウレタン。
【請求項11】
前記共役二重結合に、エチレン性不飽和結合を有する化合物を付加させた請求項10に記載のポリウレタン。
【請求項12】
カルボン酸基を有する請求項11に記載のポリウレタン。
【請求項13】
少なくとも研磨面に請求項7〜9の何れか1項に記載のポリウレタンを含み、pH3.0におけるゼータ電位が−1.0mV以下である研磨パッド。
【請求項14】
少なくとも研磨面に請求項10〜12の何れか1項に記載のポリウレタンを含み、pH3.0におけるゼータ電位が−1.0mV以下である研磨パッド。
【請求項15】
少なくとも研磨面に反応性部位を有する樹脂を含む、研磨パッドを準備する工程と、
前記反応性部位に化合物を反応させて官能基を付加する工程と、を含む研磨パッドの改質方法。
【請求項16】
前記官能基が、アニオン性官能基またはカチオン性官能基である請求項15に記載の研磨パッドの改質方法。
【請求項17】
前記官能基が、カルボン酸基,スルホン基,リン酸基,アミノ基,水酸基またはイミダゾール基である請求項15に記載の研磨パッドの改質方法。
【請求項18】
前記官能基の付加により、前記研磨面のゼータ電位が変化する請求項15〜17の何れか1項に記載の研磨パッドの改質方法。
【請求項19】
前記研磨面の前記ゼータ電位が3mV以上変化する請求項18に記載の研磨パッドの改質方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンの改質方法、新規なポリウレタン、及び研磨パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハを鏡面加工したり半導体基板上に回路を形成するために酸化膜等の絶縁膜や導電体膜を有する被研磨物の表面を平坦化したりする、工程に用いられる研磨方法として、化学機械研磨(CMP)が知られている。CMPは被研磨物の表面に砥粒および反応液を含むスラリーを供給しながら研磨パッドで被研磨物を高精度に研磨する方法である。ポリウレタンは、CMPに用いられる研磨パッドの素材として好ましく用いられている。
【0003】
近年、半導体基板上に形成される回路の高集積化および多層配線化の進展に伴い、CMPには研磨速度の向上や、より高い平坦度の向上が求められている。このような要求を満たすべく、スラリー中の砥粒と研磨パッドの研磨面との親和性を高めることによって研磨速度を上げるために、ポリウレタンの表面のゼータ電位を調整する技術等の表面特性の改良が提案されている。例えば、下記特許文献1は、研磨パッドを研磨装置に取り付けて、研磨装置を立ち上げた使用の初期段階におけるドレッシング処理による、研磨面の目立て処理をする準備工程(ブレークイン(立ち上げ))に要する時間を短縮化できる研磨パッドを開示する。特許文献1は、被研磨物に圧接される研磨面を有し、研磨面のうねりが、周期5mm〜200mmであって、最大振幅40μm以下である研磨パッドを開示する。また、特許文献1は、研磨面のゼータ電位が−50mV以上0mV未満である場合には、研磨面に対するスラリー中の負の砥粒との反発が抑制されることにより、研磨面と砥粒とのなじみが良好となってブレークイン時間の短縮が図られることを開示する。
【0004】
また、下記特許文献2は、研磨面への研磨屑付着を抑制することにより被研磨物表面のスクラッチやディフェクトの発生を低減させて、製品の歩留まりを向上させ、かつ、高い平坦化性能と適度な研磨速度が得られる、研磨パッドを開示する。特許文献2は、被研磨物と相対する研磨面のゼータ電位が−55mVより小さく−100mV以上であることを特徴とする研磨パッドを開示する。
【0005】
また、下記特許文献3は、CMPにおいて、低負荷で絶縁層に欠陥を生じさせずに研磨できる、定盤に固定して研磨に使用される研磨パッドを開示する。特許文献3は、研磨面の少なくとも一部に、室温における引張弾性率が0.2GPa以上で、かつ被研磨物と研磨パッドとの間に供給されるスラリーのpH領域におけるゼータ電位が+0.1〜+30mVである材質を用いたことを特徴とする研磨パッドを開示する。また、特許文献3は、比較例として、pH3〜5の酸性のスラリーを使用してCMPを行う場合にゼータ電位が−8.5mVである研磨パッドを開示する。
【0006】
ところで、研磨パッドの研磨層の素材としてポリウレタンが好ましく用いられている。ポリウレタンは、鎖伸長剤と高分子ポリオールと有機ポリイソシアネート等を含むウレタン原料を反応させることにより製造される。例えば、下記特許文献4は、機械的強度に優れるとともに、優れた熱安定性を備える熱可塑性ポリウレタン樹脂を製造できるポリウレタン樹脂の原料成分として用いられる、アミド基含有ジオールからなる鎖伸長剤を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開2008−029725号パンフレット
【特許文献2】特開2013−018056号公報
【特許文献3】特開2005−294661号公報
【特許文献4】特開2011−213866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、表面特性を容易に改質できるポリウレタンの改質方法、新規なポリウレタン、研磨パッド及び研磨パッドの改質方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面は、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンを準備する工程と、エチレン性不飽和結合に、共役二重結合を有する化合物を反応させる工程と、を含むポリウレタンの改質方法である。エチレン性不飽和結合に共役二重結合を有する化合物を付加させて、6員環構造を形成させるディールス・アルダー反応が知られている。ディールス・アルダー反応におけるジエノフィルとなるエチレン性不飽和結合を有するポリウレタンに、求める特性に応じた共役二重結合を有する化合物を選択して反応させることにより、共役二重結合を有する化合物の種類に応じた官能基を有するポリウレタンが得られる。
【0010】
また、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンは、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含むウレタン原料を反応させて得られた、エチレン性不飽和結合を有する化合物に由来するポリマー構成単位を含むポリウレタンであることが好ましい。このようなエチレン性不飽和結合を有するポリウレタンによれば、ディールス・アルダー反応におけるジエノフィルとなるエチレン性不飽和結合を有するポリウレタンが得られる。エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、cis-2-ブテン-1,4-ジオール,4,5-ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール,5-ノルボルネン-2,3-ジメタノール,cis-2-ノネン-1-オール、cis-3-ノネン-1-オール,cis-3-オクテン-1-オール,ポリブタジエンジオール等が挙げられる。また、ジエノフィルとしてのエチレン性不飽和結合を有するポリウレタンに反応させる共役二重結合を有する化合物の種類に応じて、例えば、アルデヒド基,カルボン酸基,スルホン基,リン酸基,水酸基,またはアミノ基等を有するポリウレタンが得られる。
【0011】
また、本発明の他の一局面は、共役二重結合を有するポリウレタンを準備する工程と、共役二重結合にエチレン性不飽和結合を有する化合物を反応させる工程と、を含むポリウレタンの改質方法である。このような改質方法によれば、共役二重結合を有するポリウレタンにエチレン性不飽和結合を有する化合物を反応させることにより、エチレン性不飽和結合を有する化合物の種類に応じた、官能基を有するポリウレタンが得られる。
【0012】
また、共役二重結合を有するポリウレタンは、共役二重結合を有する化合物を含むウレタン原料を反応させて得られた、共役二重結合を有する化合物に由来するポリマー構成単位を含むポリウレタンであることが好ましい。このようなポリウレタンは、ポリウレタンの分子中に、共役二重結合を有する。共役二重結合を有する化合物としては、例えば、ポリエチレンフラノエ−トが挙げられる。また、共役二重結合を有するポリウレタンに反応させるエチレン性不飽和結合を有する化合物の種類に応じて、例えば、アルデヒド基,カルボン酸基,スルホン基,リン酸基,水酸基,またはアミノ基を有するポリウレタンが得られる。
【0013】
また、本発明の他の一局面は、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンである。このようなポリウレタンは、エチレン性不飽和結合に、共役二重結合を有する化合物を付加させることにより、表面特性が改質される。例えば、カルボン酸を保持させた場合には、pH3.0におけるゼータ電位が−1.0mV以下になるような研磨パッドの研磨面に好ましく用いられるポリウレタンになる。このようなポリウレタンは、アルカリ性のスラリーを用いた場合でなく、酸性のスラリーを用いた場合にも、砥粒に対して高い親和性を示す点から好ましい。
【0014】
また、本発明の他の一局面は、共役二重結合を有するポリウレタンである。このようなポリウレタンの表面特性は、共役二重結合に、エチレン性不飽和結合を有する化合物を付加させて官能基を導入することにより改質される。例えば、カルボン酸を保持させた場合には、pH3.0におけるゼータ電位が−1.0mV以下になるような研磨パッドの研磨面に好ましく用いられるポリウレタンが得られる。
【0015】
また、本発明の他の一局面は、少なくとも研磨面に上述した何れかのポリウレタンを含み、pH3.0におけるゼータ電位が−1.0mV以下である研磨パッドである。このような研磨パッドは、アルカリ性のスラリーを用いた場合だけでなく、酸性のスラリーを用いた場合においても、砥粒に対して高い親和性を示す点で好ましい。
【0016】
また、本発明の他の一局面は、少なくとも研磨面に反応性部位を有する樹脂を含む、研磨パッドを準備する工程と、反応性部位に化合物を反応させて官能基を付加する工程と、を含む研磨パッドの改質方法である。このような研磨パッドの改質方法によれば、研磨パッドの製造後に、研磨面の表面特性を改質することができる。
【0017】
また、官能基は、アニオン性官能基またはカチオン性官能基であることが好ましい。研磨面にアニオン性官能基を付加した場合には、研磨面を陰性に、また、カチオン性官能基を付加した場合には研磨面を陽性に、改質することができる。このような改質によれば、研磨面のゼータ電位を変化させることができる。また、研磨面に水酸基を導入した場合には、研磨面の親水性を向上させることができる。
【0018】
官能基の付加により、研磨面のゼータ電位が変化することがとくに好ましい。この場合、例えば、pH5、好ましくはpH5〜8の全範囲において、ゼータ電位を3mV以上変化させることがとくに好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、表面特性が改質された新規なポリウレタンが得られる。また、研磨パッドの研磨面の表面特性を容易に改質することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンを、ソルビン酸の水溶液で処理することにより、カルボン酸基を有するポリウレタンに改質する過程を説明する説明図である。
図2図2は、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンを、フルフリルアルコールの水溶液で処理することにより、水酸基を有するポリウレタンに改質する過程を説明する説明図である。
図3図3は、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンを、ジビニレンイミンの水溶液で処理することにより、アミノ基を有するポリウレタンに改質する過程を説明する説明図である。
図4図4は、共役二重結合を有するポリウレタンを、マレイン酸の水溶液でカルボン酸基を有するポリウレタンに改質する過程を説明する説明図である。
図5図5は、共役二重結合を有するポリウレタンを、cis-2-ブテン-1,4-ジオールの水溶液で水酸基を有するポリウレタンに改質する過程を説明する説明図である。
図6図6は、共役二重結合を有するポリウレタンを、3−アミノ−1−プロペンの水溶液でアミノ基を有するポリウレタンに改質する過程を説明する説明図である。
図7図7は、ポリウレタンに導入されたカルボン酸基の解離を説明する説明図である。
図8図8は、研磨方法を説明する説明図である。
図9図9は、実施例1及び実施例2で得られた研磨パッドの、ゼータ電位のpH依存性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
本発明に係るポリウレタンの改質方法の第1実施形態について以下に説明する。第1実施形態のポリウレタンの改質方法は、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンを準備する工程と、ポリウレタンのエチレン性不飽和結合に共役二重結合を有する化合物を反応させる工程と、を含む。
【0022】
エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンは、鎖伸長剤,高分子ポリオール,有機ポリイソシアネート等を含むウレタン原料中に、例えば、鎖伸長剤としてエチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤を配合したり、高分子ポリオールとしてエチレン性不飽和結合を有する高分子ポリオールを配合したり、末端修飾剤としてエチレン性不飽和結合を有する化合物を配合することにより得られる。なお、エチレン性不飽和結合とは、ディールス・アルダー反応において、ジエノフィルとなるための不飽和結合である。また、共役二重結合とは、ディールス・アルダー反応において、ポリウレタンのジエノフィルのエチレン性不飽和結合に付加するための、共役ジエンまたは共役環構造における、cis型の共役する2つ以上の二重結合を含む構造である。
【0023】
エチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤としては、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を含むヒドロキシル基やアミノ基等を分子中に2個以上有する、低分子化合物であって、且つ、分子中にエチレン性不飽和結合を有する化合物であればとくに限定なく用いられる。このような化合物の具体例としては、例えば、cis-2-ブテン-1,4-ジオール,5-ノルボルネン-2,3-ジメタノール等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中では、cis-2-ブテン-1,4-ジオールが、反応性や力学的物性を維持しやすい点からとくに好ましい。
【0024】
また、エチレン性不飽和結合を有する高分子ジオールとしては、分子中にエチレン性不飽和結合を有する、ポリエーテルポリオール,ポリエステルポリオール,ポリカーボネートポリオール等の高分子ポリオールが挙げられる。このような高分子ポリオールの具体例としては、例えば、ポリブタジエンジオールが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0025】
また、エチレン性不飽和結合を有する末端修飾剤としては、例えばcis-2-ノネン-1-オール、cis-3-ノネン-1-オール、cis-3-オクテン-1-オール等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中では、cis-3-ノネン-1-オールが反応性の点からとくに好ましい。
【0026】
エチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤以外の鎖伸長剤や、エチレン性不飽和結合を有する高分子ポリオール以外の高分子ポリオール、及び有機ポリイソシアネートとしては、従来からウレタン原料として用いられている鎖伸長剤や、高分子ポリオールや、有機ポリイソシアネートがとくに限定なく用いられる。なお、熱可塑性ポリウレタンを製造する場合には、熱可塑性を維持するために高分子ポリオールとして、高分子ジオールを用いることが好ましい。また、熱可塑性ポリウレタンを製造する場合には、熱可塑性を維持するために有機ポリイソシアネートとして、有機ジイソシアネートを用いることが好ましい。
【0027】
エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンの製造は、エチレン性不飽和結合を有する、鎖伸長剤,高分子ポリオール,有機ポリイソシアネート,末端修飾剤等のエチレン性不飽和結合を有する化合物をウレタン原料中に配合する以外は、従来から知られたポリウレタンの重合方法である、溶液重合または溶融重合による、公知のプレポリマー法またはワンショット法を用いたウレタン化反応がとくに限定なく用いられる。また、ポリウレタンとしては、発泡ポリウレタンでも、非発泡ポリウレタンでもよく、また、熱硬化性ポリウレタンであっても、熱可塑性ポリウレタンであってもよい。
【0028】
エチレン性不飽和結合を有する化合物を含むウレタン原料にエチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤や高分子ポリオールを配合する場合、鎖伸長剤全量に対するエチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤や、高分子ポリオール全量に対するエチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤の割合は、目的に応じて適宜選択され、例えば、5〜95モル%、さらには10〜90モル%であることが好ましい。エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有割合が低すぎる場合には改質効果が小さくなる傾向がある。
【0029】
第1実施形態のポリウレタンの改質方法においては、上述したような、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンのエチレン性不飽和結合に共役二重結合を有する化合物を反応させる工程を含む。
【0030】
第1実施形態の共役二重結合を有する化合物とは、エチレン性不飽和結合にディールス・アルダー反応により付加して6員環構造を形成する、cis型の共役二重結合を有する化合物である。このような化合物の具体例としては、例えば、cis型の、ソルビン酸,2,5-フランジカルボン酸,2−フランカルボン酸,等のカルボン酸基含有ジエン化合物またはソルビン酸カリウム等のそれらの金属塩等のカルボン酸基含有化合物;フルフリルアルコール等の水酸基含有ジエン化合物等の水酸基含有化合物;ジビニレンイミン等のアミノ基含有ジエン化合物等のアミノ基含有化合物;2-ナフタレンスルホン酸水和物等のスルホン酸基含有化合物;1-ナフチルリン酸ナトリウム水和物等のリン酸基含有化合物;イミダゾールや1H-イミダゾール-4,5-ジカルボン酸等のイミダゾール基含有化合物等、が挙げられる。これらの中では、研磨パッドの研磨面を陰性に改質できる点からは、カルボン酸基含有化合物やスルホン酸基含有化合物が好ましい。また、研磨パッドの研磨面を陽性に改質できる点からは、アミノ基含有化合物やイミダゾール基含有化合物が好ましい。また、研磨パッドの研磨面を親水性に改質できる点からは、水酸基含有化合物が好ましい。
【0031】
ポリウレタンのエチレン性不飽和結合に共役二重結合を有する化合物を反応させるための処理方法や処理条件は、エチレン性不飽和結合と共役二重結合を有する化合物との種類の組み合わせに応じて適宜好ましい処理方法や処理条件が選択される。具体的には、例えば、共役二重結合を有する化合物を溶解した水溶液に、予め準備したエチレン性不飽和結合を有するポリウレタンの成形体を浸漬して所定の時間放置する方法が挙げられる。この場合、限定されるものではないが、例えば、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは、30〜80℃の共役二重結合を有する化合物の水溶液にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタンの成形体を1〜24時間浸漬するような方法及び条件が挙げられる。水溶液中の共役二重結合を有する化合物の濃度も、限定されるものではないが、例えば、0.2〜15質量%の濃度が選択される。
【0032】
また別の方法としては、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンが溶液重合されたものである場合には、ポリウレタンの重合後の溶液に、共役二重結合を有する化合物を溶解し、所定の時間放置するような方法が挙げられる。共役二重結合を有する化合物を溶解する溶液の溶媒は特に限定されないが、N-メチルピロリドン(NMP)やN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。
【0033】
このようにしてエチレン性不飽和結合を有するポリウレタンのエチレン性不飽和結合に、共役二重結合を有する化合物がディールス・アルダー反応により付加したポリウレタンが得られる。このようなポリウレタンによれば、エチレン性不飽和結合に付加される共役二重結合を有する化合物の種類に応じて、カルボン酸基,スルホン基,リン酸基,水酸基,アミノ基,イミダゾール基等の種々の官能基をポリウレタンに付加することができる。また、ポリウレタンに付加された官能基を、さらに他の官能基に変換することもできる。具体的には、カルボン酸基を還元することによりアルデヒド基に変換することができる。
【0034】
具体的には、一例として、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンを、ソルビン酸の水溶液で処理した場合、図1に示すように、ポリウレタンの分子鎖中のエチレン性不飽和結合にソルビン酸が付加反応することにより、カルボン酸基を有するポリウレタンが得られる。また、そのカルボン酸基を還元することにより、アルデヒド基を有するポリウレタンも得られる。
【0035】
また、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンをフルフリルアルコールの水溶液で処理した場合、図2に示すように、ポリウレタンの分子鎖のエチレン性不飽和結合にフルフリルアルコールが付加反応することにより水酸基を有するポリウレタンが得られる。さらに、図3に示すように、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンをジビニレンイミンの水溶液で処理した場合、エチレン性不飽和結合にジビニレンイミンが付加反応することによりアミノ基を有するポリウレタンが得られる。
【0036】
以上のように、第1実施形態のポリウレタンの改質方法によれば、エチレン性不飽和結合を有するポリウレタンを改質するための、共役二重結合を有する化合物の種類に応じて、カルボン酸基,アルデヒド基,スルホン基,リン酸基,水酸基,アミノ基,イミダゾール基等の種々の官能基を有するポリウレタンが得られる。カルボン酸基を有するポリウレタンは、例えば、後述するように酸性の水溶液中でカルボン酸基が陰イオン化することにより、ポリウレタンの表面電気特性を陰性にすることができる。また、水酸基を有するポリウレタンは、水酸基によりポリウレタンの表面に親水性を付与することができる。また、アミノ基を有するポリウレタンは、アルカリ性の水溶液中でアミノ基が陽イオン化することにより、ポリウレタンの表面電気特性を陽性にすることができる。また、各官能基は、架橋点となる等、更なる反応の起点ともなる。
【0037】
また、第1の実施形態のポリウレタンの改質によれば、pH3.0〜8.0のいずれかのpHにおけるポリウレタンの表面のゼータ電位を、改質前に比べて1.5mV以上、さらには2.0mV以上、とくには3.0mV以上、ことには5.0mV以上変化させることができる。
【0038】
[第2実施形態]
本発明に係るポリウレタンの改質方法の第2実施形態について以下に説明する。第2実施形態のポリウレタンの改質方法は、共役二重結合を有するポリウレタンを準備する工程と、ポリウレタンの共役二重結合にエチレン性不飽和結合を有する化合物を反応させる工程と、を含む。
【0039】
共役二重結合を有するポリウレタンは、鎖伸長剤,高分子ポリオール,有機ポリイソシアネート等を含むウレタン原料として、例えば、鎖伸長剤や高分子ポリオールとしてcis型の共役二重結合を有する化合物を配合することにより得られる。
【0040】
cis型の共役二重結合を有する鎖伸長剤としては、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を含むヒドロキシル基やアミノ基等を分子中に2個以上有する、分子量300以下の低分子化合物であって、且つ、分子中にcis型の共役二重結合を有する化合物であればとくに限定なく用いられる。このような化合物の具体例としては、例えば、4,5-ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール、4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中では、4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾールが反応性及び力学的物性の点からとくに好ましい。
【0041】
また、cis型の共役二重結合を有する高分子ジオールとしては、分子中にcis型の共役二重結合を有する、ポリエーテルポリオール,ポリエステルポリオール,ポリカーボネートポリオール等の高分子ポリオールが挙げられる。このような化合物の具体例としては、例えば、ポリエチレンフラノエ−トが挙げられる。
【0042】
cis型の共役二重結合を有する鎖伸長剤以外の鎖伸長剤や、cis型の共役二重結合を有する高分子ポリオール以外の高分子ポリオール、及び有機ポリイソシアネートとしては、従来からポリウレタンの製造原料として用いられている鎖伸長剤や、高分子ポリオールや、有機ポリイソシアネートがとくに限定なく用いられる。なお、熱可塑性ポリウレタンを製造する場合には、熱可塑性を維持するために高分子ポリオールとして、高分子ジオールを用いることが好ましい。また、熱可塑性ポリウレタンを製造する場合には、熱可塑性を維持するために有機ポリイソシアネートとして、有機ジイソシアネートを用いることが好ましい。
【0043】
共役二重結合を有するポリウレタンの製造は、鎖伸長剤にcis型の共役二重結合を有する鎖伸長剤を配合したり、高分子ポリオールにcis型の共役二重結合を有する高分子ポリオールを配合したりする以外は、従来から知られたポリウレタンの重合方法である、溶液重合または溶融重合による、公知のプレポリマー法またはワンショット法を用いたウレタン化反応がとくに限定なく用いられる。また、ポリウレタンとしては、発泡ポリウレタンでも、非発泡ポリウレタンでもよく、また、熱硬化性ポリウレタンであっても、熱可塑性ポリウレタンであってもよい。
【0044】
cis型の共役二重結合を有する鎖伸長剤や高分子ポリオールを用いる場合、鎖伸長剤全量に対するcis型の共役二重結合を有する鎖伸長剤や高分子ポリオールの割合は、目的に応じて適宜選択されるが、例えば、5〜95モル%、さらには10〜90モル%であることが好ましい。cis型の共役二重結合を有する鎖伸長剤や高分子ポリオールの含有割合が低すぎる場合には改質効果が小さくなる傾向がある。
【0045】
第2実施形態のポリウレタンの改質方法においては、上述したような、ポリウレタンの共役二重結合を、エチレン性不飽和結合を有する化合物と反応させる工程を含む。
【0046】
第2実施形態のエチレン性不飽和結合を有する化合物とは、cis型の共役二重結合にディールス・アルダー反応により付加して6員環構造を形成する、エチレン性不飽和結合を有する化合物である。このようなエチレン性不飽和結合を有する化合物の具体例としては、例えば、マレイン酸,マレイミド,フマル酸等のカルボン酸基含有化合物;3−アミノ−1−プロペン等のアミノ基含有化合物;2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含有化合物;ビニルホスホン酸等のリン酸基含有化合物;1-ビニルイミダゾール等のイミダゾール基含有化合物等が挙げられる。これらの中では、電位の変化の発現性の点からマレイン酸がとくに好ましい。
【0047】
共役二重結合を有するポリウレタンを、エチレン性不飽和結合を有する化合物と反応させるための処理方法や処理条件は、共役二重結合とエチレン性不飽和結合を有する化合物との種類の組み合わせに応じて、適宜好ましい処理方法や処理条件が選択される。具体的には、例えば、エチレン性不飽和結合を有する化合物を溶解した水溶液に、予め準備した共役二重結合を有するポリウレタンの成形体を浸漬して所定の時間放置して反応を進行させる方法が挙げられる。この場合、限定されるものではないが、例えば、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは、30〜80℃のエチレン性不飽和結合を有する化合物の水溶液に共役二重結合を有するポリウレタンの成形体を1〜24時間浸漬するような方法及び条件が挙げられる。水溶液中のエチレン性不飽和結合を有する化合物の濃度も、限定されるものではないが、例えば、0.2〜15質量%の濃度が選択される。
【0048】
また別の方法としては、共役二重結合を有するポリウレタンが溶液重合されたものである場合には、ポリウレタンの重合後の溶液に、エチレン性不飽和結合を有する化合物を溶解し、所定の時間放置して反応を進行させるような方法が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する化合物を溶解する溶液の溶媒は特に限定されないが、N-メチルピロリドン(NMP)やN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。
【0049】
このようにしてポリウレタンの共役二重結合に、エチレン性不飽和結合を有する化合物がディールス・アルダー反応により付加したポリウレタンが得られる。このようなポリウレタンによれば、エチレン性不飽和結合を有する化合物の種類に応じて、カルボン酸基,アルデヒド基,スルホン基,リン酸基,水酸基,アミノ基,イミダゾール基等の種々の官能基をポリウレタンに付加することができる。また、ポリウレタンに付加された官能基を、さらに他の官能基に変換することもできる。
【0050】
具体的には、一例として、共役二重結合を有するポリウレタンを、マレイン酸の水溶液で処理した場合、図4に示すように、ポリウレタンの分子鎖中の共役二重結合にマレイン酸が付加反応することによりカルボン酸基を有するポリウレタンが得られる。また、そのカルボン酸基を還元することにより、アルデヒド基を有するポリウレタンも得られる。
【0051】
また、共役二重結合を有するポリウレタンをcis-2-ブテン-1,4-ジオールの水溶液で処理した場合、図5に示すように、ポリウレタンの分子鎖中の共役二重結合にcis-2-ブテン-1,4-ジオールが付加反応することにより水酸基を有するポリウレタンが得られる。さらに、共役二重結合を有するポリウレタンを3-アミノ-1-プロペンの水溶液で処理した場合、図6に示すように、ポリウレタンの分子鎖中の共役二重結合に3-アミノ-1-プロペンが付加反応することによりアミノ基を有するポリウレタンが得られる。
【0052】
以上説明した第2の実施形態のポリウレタンの改質によれば、pH3.0〜8.0のいずれかのpHにおけるポリウレタンの表面のゼータ電位を、改質前に比べて1.5mV以上、さらには2.0mV以上、とくには3.0mV以上、ことには5.0mV以上変化させることができる。
【0053】
以上のように、第2実施形態のポリウレタンの改質方法によれば、共役二重結合を有するポリウレタンを処理するためのエチレン性不飽和結合を有する化合物の種類を選択することにより、カルボン酸基,アルデヒド基,スルホン基,リン酸基,水酸基,アミノ基,イミダゾール基等の種々の官能基を有するポリウレタンが得られる。
【0054】
[第3実施形態]
第1実施形態のエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン、または第2実施形態の共役二重結合を有するポリウレタンの製造方法について、熱可塑性ポリウレタンを製造する方法を例として、さらに詳しく説明する。
【0055】
熱可塑性ポリウレタンは、例えば、鎖伸長剤と、高分子ジオールと、有機ジイソシアネートとを、実質的に溶剤の不存在下で、各原料を所定の配合割合で配合して単軸又は多軸スクリュー型押出機を用いて溶融混合しながら連続溶融重合することにより製造される。この場合において、第1実施形態のエチレン性不飽和結合を有するポリウレタンを製造する場合には、エチレン性不飽和結合を有する化合物を配合する。また、第2実施形態の共役二重結合を有するポリウレタンを製造する場合には、共役二重結合を有する化合物を配合する。
【0056】
第1実施形態のエチレン性不飽和結合を有する化合物または第2実施形態の共役二重結合を有する化合物以外の鎖伸長剤としては、それら以外の、従来、ポリウレタンの製造に用いられている鎖伸長剤である、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を含むヒドロキシル基やアミノ基等を、分子中に2個以上有する、分子量300以下の低分子化合物が挙げられる。
【0057】
第1実施形態のエチレン性不飽和結合を有する化合物である鎖伸長剤または第2実施形態の共役二重結合を有する化合物である鎖伸長剤以外の、鎖伸長剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール,ジエチレングリコール,1,2-プロパンジオール,1,3-プロパンジオール,2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール,1,2-ブタンジオール,1,3-ブタンジオール,2,3-ブタンジオール,1,4-ブタンジオール,1,5-ペンタンジオール,ネオペンチルグリコール,1,6-ヘキサンジオール,3-メチル-1,5-ペンタンジオール,1,4-ビス(β-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン,1,4-シクロヘキサンジオール,シクロヘキサンジメタノール(1,4-シクロヘキサンジメタノール等),ビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレート,1,9-ノナンジオール,m-キシリレングリコール,p-キシリレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール等のジオール類;エチレンジアミン,トリメチレンジアミン,テトラメチレンジアミン,ヘキサメチレンジアミン,ヘプタメチレンジアミン,オクタメチレンジアミン,ノナメチレンジアミン,デカメチレンジアミン,ウンデカメチレンジアミン,ドデカメチレンジアミン,2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン,2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン,3-メチルペンタメチレンジアミン,1,2-シクロヘキサンジアミン,1,3-シクロヘキサンジアミン,1,4-シクロヘキサンジアミン,1,2-ジアミノプロパン,ヒドラジン,キシリレンジアミン,イソホロンジアミン,ピペラジン,o-フェニレンジアミン,m-フェニレンジアミン,p-フェニレンジアミン,トリレンジアミン,キシレンジアミン,アジピン酸ジヒドラジド,イソフタル酸ジヒドラジド,4,4’-ジアミノジフェニルメタン,4,4’-ジアミノジフェニルエーテル,4,4’-ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル,4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル,1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン,1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン,1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン,3,4’-ジアミノジフェニルエーテル,4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン,3,4-ジアミノジフェニルスルフォン,3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン,4,4’-メチレン−ビス(2-クロロアニリン),3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル,4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド,2,6-ジアミノトルエン,2,4-ジアミノクロロベンゼン,1,2-ジアミノアントラキノン,1,4-ジアミノアントラキノン,3,3’-ジアミノベンゾフェノン,3,4-ジアミノベンゾフェノン,4,4’-ジアミノベンゾフェノン,4,4’-ジアミノビベンジル,2,2’−ジアミノ-1,1’-ビナフタレン,1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン,1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン,1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン等の1,n-ビス(4-アミノフェノキシ)アルカン(nは3〜10),1,2-ビス[2-(4-アミノフェノキシ)エトキシ]エタン,9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン,4,4’-ジアミノベンズアニリド等のジアミン類が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中では、1,4-ブタンジオールが好ましい。
【0058】
また、第1実施形態のエチレン性不飽和結合を有する化合物である高分子ジオールまたは第2実施形態の共役二重結合を有する化合物である高分子ジオール以外の高分子ジオールとしては、それら以外の、従来、熱可塑性ポリウレタンの製造に用いられている、高分子ジオールが挙げられる。
【0059】
第1実施形態のエチレン性不飽和結合を有する化合物である高分子ジオールまたは第2実施形態の共役二重結合を有する化合物である高分子ジオール以外の高分子ジオールの具体例としては、それら以外の、ポリエーテルジオール,ポリエステルジオール,ポリカーボネートジオール等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中では、ポリエーテルジオールやポリエステルジオールが好ましい。また、高分子ジオールの数平均分子量としては、450〜3000、さらには500〜2700、とくには500〜2400であることが剛性,硬度,親水性等の要求特性を維持した研磨面が得られやすい点から好ましい。なお、高分子ジオールの数平均分子量は、JISK1557に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出された数平均分子量を意味する。
【0060】
ポリエーテルジオールの具体例としては、例えば、ポリエチレングリコール,ポリプロピレングリコール,ポリテトラメチレングリコール,ポリ(メチルテトラメチレングリコール),グリセリンベースポリアルキレンエーテルグリコール等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中では、ポリエチレングリコール,ポリテトラメチレングリコール、とくにはポリテトラメチレングリコールが好ましい。
【0061】
また、ポリエステルジオールは、例えば、ジカルボン酸またはそのエステル、無水物などのエステル形成性誘導体と低分子ジオールとを直接エステル化反応またはエステル交換反応させることにより得られる。
【0062】
ポリエステルジオールを製造するためのジカルボン酸またはそのエステル、無水物などのエステル形成性誘導体の具体例としては、例えば、シュウ酸,コハク酸,グルタル酸,アジピン酸,ピメリン酸,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,ドデカンジカルボン酸,2-メチルコハク酸,2-メチルアジピン酸,3-メチルアジピン酸,3-メチルペンタン二酸,2-メチルオクタン二酸,3,8-ジメチルデカン二酸,3,7-ジメチルデカン二酸等の炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸;トリグリセリドの分留により得られる不飽和脂肪酸を二量化した炭素数14〜48の二量化脂肪族ジカルボン酸(ダイマー酸)およびこれらの水素添加物(水添ダイマー酸)等の脂肪族ジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸,イソフタル酸,オルトフタル酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、ダイマー酸および水添ダイマー酸の具体例としては、例えば、ユニケマ社製商品名「プリポール1004」、「プリポール1006」、「プリポール1009」、「プリポール1013」等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を組合せて用いてもよい。
【0063】
また、ポリエステルジオールを製造するための低分子ジオールの具体例としては、例えば、エチレングリコール,1,3-プロパンジオール,1,2-プロパンジオール,2-メチル-1,3-プロパンジオール,1,4-ブタンジオール,ネオペンチルグリコール,1,5-ペンタンジオール,3-メチル-1,5-ペンタンジオール,1,6-ヘキサンジオール,1,7-ヘプタンジオール,1,8-オクタンジオール,2-メチル-1,8-オクタンジオール,1,9-ノナンジオール,1,10-デカンジオール等の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール,シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。これらの中では、炭素数6〜12、さらには炭素数8〜10、とくには炭素数9のジオールが好ましい。
【0064】
ポリカーボネートジオールとしては、低分子ジオールと、ジアルキルカーボネート,アルキレンカーボネート,ジアリールカーボネート等のカーボネート化合物との反応により得られるものが挙げられる。ポリカーボネートジオールを製造するための低分子ジオールとしては先に例示した低分子ジオールが挙げられる。また、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネート等が挙げられる。また、アルキレンカーボネートとしてはエチレンカーボネート等が挙げられる。ジアリールカーボネートとしてはジフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0065】
有機ジイソシアネートとしては、従来ポリウレタンの製造に用いられている有機ジイソシアネートであれば特に限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、エチレンジイソシアネート,テトラメチレンジイソシアネート,ペンタメチレンジイソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネート,2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート,2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート,ドデカメチレンジイソシアネート,イソホロンジイソシアネート,イソプロピリデンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート),シクロヘキシルメタンジイソシアネート,メチルシクロヘキサンジイソシアネート,4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート,リジンジイソシアネート,2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート,ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート,ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート,2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート,シクロヘキシレンジイソシアネート,メチルシクロヘキシレンジイソシアネート,ビス(2-イソシアナトエチル)-4-シクロへキセンなどの脂肪族又は脂環式ジイソシアネート;2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート,4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート,2,4-トリレンジイソシアネート,2,6-トリレンジイソシアネート,m−フェニレンジイソシアネート,p-フェニレンジイソシアネート,m-キシリレンジイソシアネート,p-キシリレンジイソシアネート,1,5-ナフチレンジイソシアネート,4,4’-ジイソシアナトビフェニル,3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル,3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン,クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート,テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートを挙げることができる。これらは単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。
【0066】
各成分の配合割合は目的とする特性に応じて適宜調整される。例えば、高分子ジオールと鎖伸長剤とに含まれる活性水素原子1モルに対して、有機ジイソシアネートに含まれるイソシアネート基が0.95〜1.3モル、さらには0.96〜1.10モル、とくには0.97〜1.05モルとなる割合で配合することが好ましい。有機ジイソシアネートに含まれるイソシアネート基の割合が低すぎる場合には熱可塑性ポリウレタンの機械的強度および耐摩耗性が低下して、研磨層の寿命が短くなる傾向があり、高すぎる場合には、熱可塑性ポリウレタンの生産性、保存安定性が低下し、研磨層の製造が困難になる傾向がある。
【0067】
上述のように連続溶融重合することにより得られた熱可塑性ポリウレタンは、例えば、ペレット化された後、押出成形法,射出成形法,ブロー成形法,カレンダー成形法などの各種の成形法によりシート状の成形体に成形される。とくには、Tダイを用いた押出成形によれば厚さの均一なシート状の成形体が得られる点から好ましい。
【0068】
また、熱可塑性ポリウレタンは、必要に応じて、架橋剤,充填剤,架橋促進剤,架橋助剤,軟化剤,粘着付与剤,老化防止剤,発泡剤,加工助剤,密着性付与剤,無機充填剤,有機フィラー,結晶核剤,耐熱安定剤,耐候安定剤,帯電防止剤,着色剤,滑剤,難燃剤,難燃助剤(酸化アンチモンなど),ブルーミング防止剤,離型剤,増粘剤,酸化防止剤,導電剤等の添加剤を含有してもよい。熱可塑性ポリウレタンの添加剤の含有割合は特に限定されないが、50質量%以下、さらには20質量%以下、とくには5質量%以下であることが好ましい。
【0069】
以上のようにして、熱可塑性ポリウレタンである、第1実施形態のエチレン性不飽和結合を有するポリウレタン、または第2実施形態の共役二重結合を有するポリウレタンが重合される。
【0070】
以上、熱可塑性ポリウレタンを溶融重合する方法について詳しく説明した。なお、ポリウレタンの重合は溶融重合に限られず、例えば、DMFを溶媒とした溶液重合においても作製される。
【0071】
[第4実施形態]
第1〜第3実施形態で説明した、種々の官能基を有するように改質されたポリウレタンは、その官能基による表面特性を活かして、研磨パッドの素材として好ましく用いられる。以下、このような研磨パッドの例について説明する。
【0072】
(第1の研磨パッド)
例えば、CMPに用いられるスラリーとしては、酸性のスラリーやアルカリ性のスラリーがある。酸性のスラリーとアルカリ性のスラリーとは、研磨の目的に応じて選択されたり、多段の研磨プロセスを行う場合にそれらを併用したりして用いられる。アルカリ性のスラリーに含まれる砥粒は、通常、負のゼータ電位を有する。アルカリ性のスラリーを使用した場合、アルカリ性でゼータ電位が負になるポリウレタンを含む研磨面に対して、負のゼータ電位を有する砥粒は反発するために、研磨面に研磨屑が付着しにくくなってスクラッチやディフェクトの発生が低減する。しかしながら、アルカリ性においてゼータ電位が負になるポリウレタンであっても、酸性のスラリーを用いた場合には、ゼータ電位が正になることが多かった。
【0073】
酸性のスラリーでは、砥粒のゼータ電位が正になることが多い。一方、例えば、シリコンウェハの表面のゼータ電位は酸性において通常負になる。この場合、シリコンウェハの表面の負電荷と、酸性のスラリー中の砥粒の正電荷が引き付けられるために、互いの親和性は高い。さらに一方、一般的なポリウレタンのゼータ電位は酸性領域のとくにpH3より低いpH領域においては、ゼータ電位が正になり、pH3付近で等電点になって0に近づき、pHが高いアルカリ領域で負になる傾向がある。
【0074】
酸性のスラリーを用いた場合、ゼータ電位が負になる被研磨面を、ゼータ電位が正になる砥粒を用いてゼータ電位が正になるポリウレタンを含む研磨面で研磨した場合、ゼータ電位が正のポリウレタンとゼータ電位が正の砥粒とが反発しあって親和性が乏しくなる。従って、酸性のスラリーを用いた場合、ゼータ電位が負になる基材の被研磨面を、ゼータ電位が正になる砥粒を含む酸性のスラリーを用いて研磨した場合には、酸性領域でゼータ電位が負になるポリウレタンを含む研磨面を用いることが好ましい。このような場合には、負のゼータ電位を示す被研磨面と、負のゼータ電位を示す研磨面との間に、正のゼータ電位を示す砥粒が介在することになることにより、砥粒が被研磨面及び研磨面の両方に対して高い親和性を示す。その結果、研磨速度が向上する。
【0075】
第1の研磨パッドは、アニオン性を示すカルボン酸基を有するポリウレタンを研磨面に含む研磨パッドである。図7に示すように、ポリウレタンのカルボン酸基は、カルボン酸基をイオン化させる酸性領域のpHの水溶液に接したとき、カルボン酸基が-COOとH+に解離する。そして、この表面の-COOによりポリウレタンの表面に負の電位を付与する。従って、カルボン酸基を有するポリウレタンの表面は、カルボン酸基をイオン化する例えばpH3.0のスラリーと接したとき、表面のカルボン酸基が-COO-に解離して、−1.0mV以下になるゼータ電位を有する表面を形成することができる。このようなポリウレタンを研磨面に含む研磨パッドは、研磨面が酸性のスラリーと接したときにpH3.0におけるゼータ電位が−1.0mV以下の負になり、酸性領域において正のゼータ電位を示す砥粒と高い親和性を示す。そして、酸性領域においてゼータ電位が負になる基材の被研磨面と負のゼータ電位を示す研磨面との間に、正のゼータ電位を示す砥粒が介在することにより、被研磨面及び研磨面の両方に対して砥粒が高い親和性を示す。その結果、高い研磨速度を実現する。
【0076】
第1の研磨パッドの研磨面に含まれるポリウレタンは、pH3.0におけるゼータ電位が−1.0〜−40mV、さらには−2.0〜−30mV、とくには−3.0〜−27mV、ことには−5.0〜−20mVであることが好ましい。第1の研磨パッドの研磨面に含まれるポリウレタンのpH3.0におけるゼータ電位が高すぎる場合には、砥粒と研磨面とが電気的に反発するために親和性が低くなる。一方、第1の研磨パッドの研磨面に含まれるポリウレタンのpH3.0におけるゼータ電位が低すぎる場合には、研磨面に保持される砥粒が多くなりすぎて被研磨面のスクラッチが増加しやすくなることがある。ここでゼータ電位とは、物質が液体と接したときに、物質の表面電荷に応じて、対イオンによって電気二重層表面(滑り面)に生じる電位である。本実施形態においては、ゼータ電位は、電気泳動光散乱装置(ELS-Z、大塚電子(株)製)を使用し、pH3.0にHCl水溶液で調整した10mM NaCl水溶液中に分散したモニターラテックス(大塚電子(株)製)を用いて測定されたゼータ電位である。
【0077】
また、第1の研磨パッドの研磨面に含まれるポリウレタンのpH5.0におけるゼータ電位は、−1.0mV以下、さらには−5.5〜−40mV、とくには−7.5〜−30mV、ことには−10〜−30mVであることが、pH3.0におけるゼータ電位が−1.0mV以下の研磨面が得られやすい点から好ましい。
【0078】
(第2の研磨パッド)
CMPに用いられるスラリーは、通常、水等の水系媒体を用いた水系の分散液である。そのために、CMPに用いられる研磨パッドのスラリーに接触する研磨面の親水性が高ければ高いほど、スラリーとの親和性が高くなる。
【0079】
第2の研磨パッドは、水酸基を保持するポリウレタンを研磨面に含む研磨パッドである。水酸基を保持するポリウレタンの水酸基は、ポリウレタンの表面の親水性を高めて濡れ性を向上させる。水酸基を保持するポリウレタンを研磨面に含む研磨パッドは、表面の水酸基により親水性が付与される。その結果、研磨面が水系のスラリーと接したときに、高い研磨速度を実現する。
【0080】
(第3の研磨パッド)
本実施形態の研磨パッドの素材として用いられる第3の例のポリウレタンとしては、研磨面に、カチオン性を示すアミノ基またはイミダゾール基を有するものである。研磨面にアミノ基またはイミダゾール基を有するポリウレタンを含む研磨パッドを用いた場合、塩基性領域においてもゼータ電位が正になる研磨面を有する研磨パッドを提供することが出来る。正のゼータ電位を示す研磨面と、負のゼータ電位を示す砥粒との間に高い親和性が発現する。
【0081】
上述のように例示された各研磨面を形成するポリウレタンとしては、50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における貯蔵弾性率が50〜1200MPa、さらには100〜1100MPa、とくには200〜1000MPaであることが好ましい。ポリウレタンの50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における貯蔵弾性率が低すぎる場合には研磨面を含む研磨層が柔らかくなりすぎて研磨速度が低下し、高すぎる場合には被研磨物の被研磨面にスクラッチが増加する傾向がある。
【0082】
また、各研磨面を含む研磨層に含まれるポリウレタンの、イソシアネート基に由来する窒素原子の含有率としては、4.5〜7.6質量%、さらには5.0〜7.4質量%、とくには5.2〜7.3質量%であることが、50℃の水で飽和膨潤させた後の50℃における貯蔵弾性率が50〜1200MPaである熱可塑性ポリウレタンが得られやすくなる点から好ましい。
【0083】
また、各研磨面を含む研磨層に含まれるポリウレタンの、水との接触角は、80度以下、さらには78度以下、とくには76度以下、ことには74度以下であることが好ましい。ポリウレタンの水との接触角が大きすぎる場合には、研磨面の親水性が低下することによりスクラッチが増加する傾向がある。
【0084】
また、各研磨面を含む研磨層は、例えば、熱可塑性ポリウレタンのシート状の成形体を切削,スライス,打ち抜き加工等により寸法、形状、厚さ等を調整することにより研磨層に仕上げられる。研磨層の厚さは特に限定されないが、0.3〜5mm、さらには1.7〜2.8mm、とくには2.0〜2.5mmであることが生産や取り扱いのしやすさ、研磨性能の安定性から好ましい。
【0085】
また、各研磨層の硬度としては、JIS−D硬度で60以上、さらには、65以上であることが好ましい。JIS−D硬度が低すぎる場合には、被研磨面への研磨パッドの追従性が高くなってローカル平坦性が低下する傾向がある。
【0086】
各研磨層の研磨面には、研削加工やレーザー加工により、例えば、螺旋状や同心円状や格子状等のパターンで溝や穴のような凹部が形成されることが好ましい。このような凹部は、研磨面にスラリーを均一かつ充分に供給するとともに、スクラッチ発生の原因となる研磨屑の排出や、研磨層の吸着によるウェハ破損の防止に役立つ。例えば同心円状に溝を形成する場合、溝間の間隔としては、1.0〜50mm、さらには1.5〜30mm、とくには2.0〜15mm程度であることが好ましい。また、溝の幅としては、0.1〜3.0mm、さらには0.2〜2.0mm程度であることが好ましい。また、溝の深さとしては、0.2〜1.8mm、さらには0.4〜1.5mm程度であることが好ましい。また、溝の断面形状としては、例えば、長方形,台形,三角形,半円形等の形状が目的に応じて適宜選択される。
【0087】
また、各研磨層を形成するポリウレタンとしては熱可塑性ポリウレタンでも熱硬化性ポリウレタンであってもよい。連続溶融重合により連続生産可能であり、シート成形性にも優れる点から熱可塑性ポリウレタンがとくに好ましい。また、各研磨層を形成するポリウレタンは、発泡体であっても非発泡体であってもよいが、研磨特性が変動しにくく安定した研磨が実現できる点から非発泡体であること好ましい。例えば、注型発泡硬化することによって製造される発泡ポリウレタンを用いた研磨層の場合には、発泡構造がばらつくことにより、平坦性や平坦化効率等の研磨特性が変動しやすくなる傾向があり、また、平坦性を向上させるための高硬度化が難しくなる傾向がある。
【0088】
非発泡の熱可塑性ポリウレタンの場合、成形体の密度としては、1.0g/cm以上、さらには1.1g/cm以上、とくには、1.2g/cm以上であることが好ましい。熱可塑性ポリウレタンの成形体の密度が低すぎる場合には、研磨層が柔らかくなり過ぎてローカル平坦性が低下する傾向がある。また、熱可塑性ポリウレタンとしては非発泡の熱可塑性ポリウレタンが高い剛性と材料の均質さにより研磨安定性に優れる点から特に好ましい。
【0089】
研磨パッドは、上述したポリウレタンからなる研磨層のみからなるものであっても、必要に応じて研磨層の研磨面ではない側の面にクッション層を積層した積層体であってもよい。クッション層としては、研磨層の硬度より低い硬度を有する層であることが好ましい。クッション層の硬度が研磨層の硬度よりも低い場合には、被研磨面の局所的な凹凸には硬質の研磨層が追従し、被研磨基材全体の反りやうねりに対してはクッション層が追従するためにグローバル平坦性とローカル平坦性とのバランスに優れた研磨が可能になる。
【0090】
クッション層として用いられる素材の具体例としては、不織布にポリウレタンを含浸させた複合体(例えば、「Suba400」(ニッタ・ハース(株)製));天然ゴム,ニトリルゴム,ポリブタジエンゴム,シリコーンゴム等のゴム;ポリエステル系熱可塑性エラストマー,ポリアミド系熱可塑性エラストマー,フッ素系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー;発泡プラスチック;ポリウレタン等が挙げられる。これらの中では、クッション層として好ましい柔軟性が得られやすい点から、発泡構造を有するポリウレタンがとくに好ましい。
【0091】
クッション層の厚さは特に限定されないが、例えば0.5〜5mm程度であることが好ましい。クッション層が薄すぎる場合には、被研磨面の全体の反りやうねりに対する追従効果が低下してグローバル平坦性が低下する傾向がある。一方、クッション層が厚すぎる場合には、研磨パッド全体が柔らかくなって安定した研磨が難しくなる傾向がある。研磨層にクッション層を積層する場合には、研磨パッドの厚みが0.3〜5mm程度であることが好ましい。
【0092】
以上、例示したように、少なくとも研磨面に反応性部位を有する樹脂を含む、研磨パッドを準備する工程と、反応性部位に化合物を反応させて官能基を付加する工程によれば、研磨面に所望の官能基を導入することにより、研磨パッドの製造後に、研磨面の表面特性を改質することができる。具体的には、反応性部位にアニオン性官能基を導入した場合には研磨面を陰性に、カチオン性官能基を導入した場合には研磨面を陽性に、改質することができる。このような改質によれば、研磨面のゼータ電位を変化させることができる。また、水酸基を導入した場合には、研磨面に親水性を付与することができる。
【0093】
なお、反応性部位とは、後に他の化合物と反応させることにより官能基を導入される部位であれば特に限定されず、不飽和結合であっても官能基であってもよい。上述したようなポリウレタンの例においては、ポリウレタン中のエチレン性不飽和結合または共役二重結合が反応性部位となり、ディールス・アルダー反応する他の化合物との反応により所望の官能基が付与される。
【0094】
表面特性の改質としては、ゼータ電位を変化させる改質がとくに好ましい。この場合、例えば、pH5、好ましくはpH5〜8の全範囲において、ゼータ電位を3mV以上、さらには5mV以上、とくには10mV以上も変化させることができる。
【0095】
なお、以上の例ではポリウレタンを研磨面に含む研磨パッドの例を代表的に説明したが、上述した研磨パッドの改質方法は、ポリウレタン以外の樹脂を素材として含む研磨面を有する研磨パッドにも同様に適用できる。
【0096】
[研磨方法]
次に、上述したような研磨パッドを用いたCMPの一実施形態について説明する。
【0097】
CMPにおいては、例えば、図8に示す上面視したときに円形の回転定盤2と、スラリー供給ノズル3と、キャリア4と、パッドコンディショナー6とを備えたCMP装置10が用いられる。回転定盤2の表面に上述した研磨層を備えた研磨パッド1を両面テープ等により貼付ける。また、キャリア4は被研磨物5を支持する。
【0098】
CMP装置10においては、回転定盤2は図略のモータにより矢印に示す方向に回転する。また、キャリア4は、回転定盤2の面内において、図略のモータにより例えば矢印に示す方向に回転する。パッドコンディショナー6も回転定盤2の面内において、図略のモータにより例えば矢印に示す方向に回転する。
【0099】
はじめに、回転定盤2に固定されて回転する研磨パッド1の研磨面に蒸留水を流しながら、例えば、ダイアモンド粒子をニッケル電着等により担体表面に固定したCMP用のパッドコンディショナー6を押し当てて、研磨パッド1の研磨面のコンディショニングを行う。コンディショニングにより、研磨面が被研磨面の研磨に好適な表面粗さに調整される。次に、回転する研磨パッド1の研磨面にスラリー供給ノズル3からスラリー7が供給される。またCMPを行うに際し、必要に応じ、スラリーと共に、潤滑油、冷却剤などを併用してもよい。
【0100】
ここで、スラリーは、例えば、水やオイル等の液状媒体;シリカ,アルミナ,酸化セリウム,酸化ジルコニウム,炭化ケイ素等の砥粒;塩基,酸,界面活性剤,過酸化水素水等の酸化剤,還元剤,キレート剤等を含有しているCMPに用いられる酸性のスラリーが好ましく用いられる。なお、スラリーには、酸性のスラリー、アルカリ性のスラリー、中性近傍のスラリーがあるが、上述した第1の例の研磨層を用いる場合には、とくには、pH2.0〜7.0、とくには、pH3.0〜6.0の酸性のスラリーを用いてCMPを行うときにもスラリーとの高い親和性を維持することができる点から好ましい。なお、スラリー中に酸化剤が含有される場合には、研磨前に表面にアルデヒド基またはヒドロキシル基を有する研磨層であっても、スラリー中の酸化剤によりカルボン酸基に酸化されるために、研磨中に、研磨面のゼータ電位を負にすることができる。
【0101】
そして、研磨層の研磨面にスラリー7が満遍なく行き渡った研磨パッド1に、キャリア4に固定されて回転する被研磨物5を押し当てる。そして、所定の平坦度が得られるまで、研磨処理が続けられる。研磨中に作用させる押し付け力や回転定盤2とキャリア4との相対運動の速度を調整することにより、仕上がり品質が影響を受ける。
【0102】
研磨条件は特に限定されないが、効率的に研磨を行うためには、回転定盤とキャリアのそれぞれの回転速度は300rpm以下の低回転が好ましく、被研磨物にかける圧力は、研磨後に傷が発生しないように150kPa以下とすることが好ましい。研磨している間、研磨面には、スラリーをポンプ等で連続的に供給することが好ましい。スラリーの供給量は特に限定されないが、研磨面が常にスラリーで覆われるように供給することが好ましい。
【0103】
そして、研磨終了後の被研磨物を流水でよく洗浄した後、スピンドライヤ等を用いて被研磨物に付着した水滴を払い落として乾燥させることが好ましい。このように、被研磨面をスラリーで研磨することによって、被研磨面全面にわたって平滑な面を得ることができる。
【0104】
このような本実施形態のCMPは、各種半導体装置、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等の製造プロセスにおける研磨に好ましく用いられる。研磨対象の例としては、半導体基板上に形成された酸化膜等の絶縁膜の他、銅,アルミニウム,タングステン等の配線用金属膜;タンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタン等のバリアメタル膜、特には、酸化膜等の絶縁膜を研磨するのに好ましく用いられる。金属膜として配線パターンやダミーパターン等のパターンが形成されたものを研磨することも可能である。パターンにおけるライン間のピッチは、製品により異なるが、通常は50nm〜100μm程度である。
【実施例】
【0105】
本発明に係るポリウレタンの製造方法,改質方法,ポリウレタン,研磨パッドの改質方法について実施例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明の範囲は以下の実施例に何ら限定して解釈されるものではない。
【0106】
[実施例1]
エチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤であるcis-2-ブテン-1,4-ジオール(CBD)、エチレン性不飽和結合を有さない鎖伸長剤である1,5-ペンタンジオール(PD)、数平均分子量850のポリテトラメチレングリコール(PTG850)、及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、エチレン性不飽和結合を有さない鎖伸長剤との合計量中のエチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤(CBD)の割合が20モル%になる、表1に示した配合割合(質量%)で混合し、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機に連続的に供給して、熱可塑性ポリウレタンの連続溶融重合を行った。そして、2軸押出機から押し出された溶融状態の熱可塑性ポリウレタンのストランドを水中に連続的に押出して冷却した後、ペレタイザーで細断してペレットにした。そして、得られたペレットを80℃で20時間除湿乾燥することにより、エチレン性不飽和結合を有する熱可塑性ポリウレタン(PU1)を製造した。
【0107】
そして、熱プレス機を用いて、PU1のペレットをテフロンシートに挟み、200〜230℃でプレス成形することにより厚さ0.3〜0.5mmのPU1の成形シートを得た。そして、共役二重結合を有する化合物(B1)の水溶液として、50℃のソルビン酸(SBA)の0.25質量%水溶液にPU1の成形シートを浸漬し、24時間放置した後取り出し、水洗、乾燥した。このようにして改質処理されたPU1の成形シートを得た。
【0108】
そして、改質処理前と改質処理後のPU1の表面特性を次のようにして評価した。
【0109】
(ゼータ電位)
30mm×60mmに切り出したPU1の成形シートの表面を洗浄した。そして、電気泳動光散乱装置(ELS-Z、大塚電子(株)製)を使用し、平板測定用セルにサンプルを取り付け、pH3.0、及びpH5.0にHCl水溶液で調整した10mM NaCl水溶液中に分散したモニターラテックス(大塚電子(株)製)を用いて測定した。同様に、pH8.0にNaOH水溶液で調整した10mM NaCl水溶液中に分散したモニターラテックスを用いても測定を行った。図9に、実施例1及び後述する実施例2で得られた研磨パッドの、ゼータ電位のpH依存性を示すグラフを示す。
【0110】
(水に対する接触角)
改質処理前及び改質処理後の厚さ0.3mmのPU1の成形シートを準備した。各成形シートを20℃、65%RHの条件下に3日間放置した後、協和界面科学(株)製DropMaster500を用いて水に対する接触角を測定した。
【0111】
以上の結果を下記表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】
[実施例2]
共役二重結合を有する化合物(B1)の水溶液として、50℃の2,5-フランジカルボン酸(FDCA)の0.25質量%水溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてPU1を改質処理し、評価した。結果を表1に示す。
【0114】
[実施例3]
共役二重結合を有する化合物(B1)の水溶液として、50℃のフルフリルアルコール(FFA)の0.25質量%水溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてPU1を改質処理し、評価した。結果を表1に示す。
【0115】
[実施例4]
共役二重結合を有する化合物(B1)の水溶液として、50℃のジビニレンイミン(DBI)の0.25質量%水溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてPU1を改質処理し、評価した。結果を表1に示す。
【0116】
[実施例5]
エチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤であるcis-2-ブテン-1,4-ジオール(CBD)、数平均分子量850のポリテトラメチレングリコール(PTG850)、及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、エチレン性不飽和結合を有さない鎖伸長剤との合計量中のエチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤(CBD)の割合が100モル%になる、表1に示した配合割合(質量%)で混合し、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機に連続的に供給して、熱可塑性ポリウレタンの連続溶融重合を行った。そして、2軸押出機から押し出された溶融状態の熱可塑性ポリウレタンのストランドを水中に連続的に押出して冷却した後、ペレタイザーで細断してペレットにした。そして、得られたペレットを80℃で20時間除湿乾燥することにより、エチレン性不飽和結合を有する熱可塑性ポリウレタン(PU2)を製造した。
実施例1において、PU1の代わりにPU2を用いた以外は実施例1と同様にしてPU2を改質処理し、評価した。結果を表1に示す。
【0117】
[実施例6]
共役二重結合を有する化合物(B1)の水溶液として、50℃のFDCAの0.25質量%水溶液を用いた以外は実施例5と同様にしてPU2を改質処理し、評価した。結果を表1に示す。
【0118】
[実施例7]
エチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤であるcis-3-ノネン-1-オール(CNO)、エチレン性不飽和結合を有さない鎖伸長剤である1,5-ペンタンジオール(PD)、数平均分子量850のポリテトラメチレングリコール(PTG850)、及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、エチレン性不飽和結合を有さない鎖伸長剤との合計量中のエチレン性不飽和結合を有する鎖伸長剤(CNO)の割合が20モル%になる、表1に示した配合割合で混合し、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機に連続的に供給して、熱可塑性ポリウレタンの連続溶融重合を行った。そして、2軸押出機から押し出された溶融状態の熱可塑性ポリウレタンのストランドを水中に連続的に押出して冷却した後、ペレタイザーで細断してペレットにした。そして、得られたペレットを80℃で20時間除湿乾燥することにより、エチレン性不飽和結合を有する熱可塑性ポリウレタン(PU3)を製造した。
実施例1において、PU1の代わりにPU3を用いた以外は実施例1と同様にしてPU3を改質処理し、評価した。結果を表1に示す。
【0119】
[実施例8]
共役二重結合を有する化合物(B1)の水溶液として、50℃のFDCAの0.25質量%水溶液を用いた以外は実施例7と同様にしてPU3を改質処理し、評価した。結果を表1に示す。
【0120】
[実施例9]
1,5-ペンタンジオール(PD)、エチレン性不飽和結合を有する高分子ポリオールである数平均分子量1000のポリブタジエンジオール、数平均分子量850のポリテトラメチレングリコール(PTG850)、及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、PTG850との合計量中のエチレン性不飽和結合を有する高分子ジオールの割合が20モル%になる、表1に示した配合割合で混合し、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機に連続的に供給して、熱可塑性ポリウレタンの連続溶融重合を行った。そして、2軸押出機から押し出された溶融状態の熱可塑性ポリウレタンのストランドを水中に連続的に押出して冷却した後、ペレタイザーで細断してペレットにした。そして、得られたペレットを80℃で20時間除湿乾燥することにより、エチレン性不飽和結合を有する熱可塑性ポリウレタン(PU4)を製造した。実施例1において、PU1の代わりにPU4を用いた以外は実施例1と同様にしてPU4を改質処理した。結果を表1に示す。
【0121】
[実施例10]
共役二重結合を有する化合物(B1)の水溶液として、50℃のFDCAの0.25質量%水溶液を用いた以外は実施例9と同様にしてPU4を改質処理質した。結果を表1に示す。
【0122】
[比較例1]
1,5-ペンタンジオール(PD)、数平均分子量850のポリテトラメチレングリコール(PTG850)、及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、表1に示した配合割合で混合し、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機に連続的に供給して、熱可塑性ポリウレタンの連続溶融重合を行った。そして、2軸押出機から押し出された溶融状態の熱可塑性ポリウレタンのストランドを水中に連続的に押出して冷却した後、ペレタイザーで細断してペレットにした。そして、得られたペレットを80℃で20時間除湿乾燥することにより、エチレン性不飽和結合を有しない熱可塑性ポリウレタン(PU5)を製造した。実施例1において、PU1の代わりにPU5を用いた以外は実施例1と同様にしてPU5を改質処理し、評価した。結果を表1に示す。
【0123】
[比較例2]
共役二重結合を有する化合物(B1)の水溶液として、50℃のFDCAの0.25質量%水溶液を用いた以外は比較例1と同様にしてPU5を改質処理し、評価した。結果を表1に示す。
【0124】
[実施例11]
共役二重結合を有する鎖伸長剤である4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール(HMI)、1,5-ペンタンジオール(PD)、数平均分子量850のポリテトラメチレングリコール(PTG850)、及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、PDとの合計量中のHMIの割合が20モル%になる、表2に示した配合割合で混合し、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機に連続的に供給して、熱可塑性ポリウレタンの連続溶融重合を行った。そして、2軸押出機から押し出された溶融状態の熱可塑性ポリウレタンのストランドを水中に連続的に押出して冷却した後、ペレタイザーで細断してペレットにした。そして、得られたペレットを80℃で20時間除湿乾燥することにより、共役二重結合を有する熱可塑性ポリウレタン(PU11)を製造した。
【0125】
そして、実施例1と同様にして、熱プレス機を用いて、厚さ0.3〜0.5mmのPU11の成形シートを得た。そして、エチレン性不飽和結合を有する化合物(B2)の水溶液として、50℃のマレイン酸(MA)の0.25質量%水溶液にPU11の成形シートを浸漬し、24時間放置した後取り出し、水洗、乾燥した。このようにして改質処理されたPU11の成形シートを得た。そして、改質処理前と改質処理後のPU11の表面特性を実
施例1と同様にして評価した。結果を下記表2に示す。
【0126】
【表2】
【0127】
[実施例12]
エチレン性不飽和結合を有する化合物(B2)の水溶液として、50℃の3−アミノ−1−プロペン(3A1P)の0.25質量%水溶液を用いた以外は実施例11と同様にしてPU11を改質処理し、評価した。結果を表2に示す。
【0128】
[比較例3]
1,5-ペンタンジオール(PD)、数平均分子量850のポリテトラメチレングリコール(PTG850)、及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、表1に示した配合割合で混合し、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機に連続的に供給して、熱可塑性ポリウレタンの連続溶融重合を行った。そして、2軸押出機から押し出された溶融状態の熱可塑性ポリウレタンのストランドを水中に連続的に押出して冷却した後、ペレタイザーで細断してペレットにした。そして、得られたペレットを80℃で20時間除湿乾燥することにより、共役二重結合を有しない熱可塑性ポリウレタン(PU12)を製造した。実施例11において、PU11の代わりにPU12を用いた以外は実施例1と同様にしてPU12を改質処理し、評価した。結果を表2に示す。
【0129】
[実施例13]
cis-2-ブテン-1,4-ジオール(CBD)、1,5-ペンタンジオール(PD)、数平均分子量850のポリテトラメチレングリコール(PTG850)、及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、表3に示した配合割合(質量%)で混合し、20質量%DMF溶液中で熱可塑性ポリウレタンの溶液重合を行った。そして、溶液中において2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を0.25質量%となるよう添加し改質した。その後得られた溶液を80℃で20時間除湿乾燥することにより、カルボン酸を有する熱可塑性ポリウレタン(PU21)を製造した。PU1の代わりにPU21を用い、後の改質処理を省略した以外は実施例1と同様にして評価し、結果を表3に示す。
【0130】
[比較例4]
1,5-ペンタンジオール(PD)、数平均分子量850のポリテトラメチレングリコール(PTG850)、及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、表3に示した配合割合(質量%)で混合し、20wt%DMF溶液中で熱可塑性ポリウレタンの溶液重合を行った。そして、溶液中において2,5-フランジカルボン酸(FDCA)を0.25質量%となるよう添加した。その後得られた溶液を80℃で20時間除湿乾燥することにより、熱可塑性ポリウレタン(PU22)を製造した。PU1の代わりにPU22を用い、後の改質処理を省略した以外は実施例1と同様にして評価し、結果を表3に示す。
【0131】
【表3】

【符号の説明】
【0132】
1 研磨パッド
2 回転定盤
3 スラリー供給ノズル
4 キャリア
5 被研磨物
6 パッドコンディショナー
10 CMP装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】