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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年12月5日
【発行日】2020年12月10日
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20201113BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20201113BHJP
【FI】
   H02J9/06 120
   H02M7/48 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】27
【出願番号】特願2020-522503(P2020-522503)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年5月31日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中森 俊樹
【テーマコード(参考)】
5G015
5H770
【Fターム(参考)】
5G015GA06
5G015HA15
5G015JA11
5G015JA32
5G015JA52
5H770BA15
5H770CA02
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA41
5H770GA02
5H770GA03
5H770GA07
5H770GA13
5H770GA14
5H770HA01X
5H770HA02W
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA03Y
5H770JA17W
5H770JA17Y
5H770JA17Z
5H770KA01W
5H770KA01Y
5H770LA03W
5H770LB07
(57)【要約】
複数のゲート駆動回路は、コンバータ(6)およびインバータ(10)に含まれる複数のスイッチング素子のゲートをそれぞれ駆動する。ゲート駆動回路は、ゲートドライバおよび電源回路を含む。ゲートドライバは、制御装置(18)からスイッチング素子のゲート電極に入力されるゲート信号に従って、スイッチング素子のゲート電位をHレベルまたはLレベルに相当する電位に駆動する。電源回路はゲートドライバに電力を供給する。制御装置(18)は、第1のスイッチ(14)がオンかつ第2のスイッチ(15)がオフの場合において、ゲート駆動回路の電源回路の異常を検出されたときには、第2のスイッチ(15)をオンし、第1のスイッチ(14)をオフする。ゲート駆動回路は、電源回路の異常が検出されてから第2のスイッチ(15)がオンされるまでの期間、スイッチング素子のゲート電位を保持するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用交流電源に接続される第1の端子と、
バイパス交流電源に接続される第2の端子と、
負荷に接続される第3の端子と、
複数のスイッチング素子を含み、前記商用交流電源から前記第1の端子を介して供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
複数のスイッチング素子を含み、前記コンバータによって生成された直流電力または電力貯蔵装置の直流電力を交流電力に変換するインバータと、
一方端子に前記インバータの出力電圧を受け、他方端子が前記第3の端子に接続される第1のスイッチと、
前記第2の端子および前記第3の端子間に接続された第2のスイッチと、
前記コンバータおよび前記インバータに含まれる前記複数のスイッチング素子のオンオフを制御する制御装置と、
前記複数のスイッチング素子のゲートをそれぞれ駆動する複数のゲート駆動回路とを備え、
前記複数のゲート駆動回路の各々は、
前記制御装置からスイッチング素子のゲート電極に入力されるゲート信号に従って、前記スイッチング素子のゲート電位をHレベルまたはLレベルに相当する電位に駆動するゲートドライバと、
前記ゲートドライバに電力を供給する電源回路とを含み、
前記制御装置は、各前記複数のゲート駆動回路の前記電源回路の異常を検出するように構成された異常検出回路を含み、前記第1のスイッチがオンかつ前記第2のスイッチがオフの場合において、前記異常検出回路により前記電源回路の異常が検出されたときには、前記第2のスイッチをオンし、前記第1のスイッチをオフするように構成され、
前記ゲート駆動回路は、前記電源回路の異常が検出されてから前記第2のスイッチがオンされるまでの期間、前記スイッチング素子のゲート電位を保持するように構成される、無停電電源装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記電源回路の異常が検出されたときには、前記第2のスイッチをオンするための制御指令を生成した後、前記スイッチング素子をオフするための前記ゲート信号を各前記複数のゲート駆動回路に出力する、請求項1に記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記インバータの出力電圧が前記バイパス交流電源に同期している場合において、前記電源回路の異常が検出されたときには、前記第2のスイッチをオンするための制御指令を生成した後、前記スイッチング素子をオフするための制御指令を生成する、請求項2に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記インバータの出力電圧が前記バイパス交流電源に同期していない場合において、前記電源回路の異常が検出されたときには、前記スイッチング素子をオフするための制御指令を生成した後、前記第2のスイッチをオンするための制御指令を生成する、請求項3に記載の無停電電源装置。
【請求項5】
前記電源回路は、
交流電源と、
前記交流電源から供給される交流電力を整流する整流器と、
前記整流器によって整流された電圧を平滑して前記ゲートドライバに供給する平滑コンデンサとを含み、
前記平滑コンデンサは、前記電源回路の異常が発生してから前記スイッチング素子をオフするための前記ゲート信号が出力されるまでの期間、前記ゲートドライバの電源電圧を補償するためのエネルギーを蓄えることができる容量を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記平滑コンデンサは電解コンデンサである、請求項5に記載の無停電電源装置。
【請求項7】
前記交流電源は前記複数の駆動回路の間で共有されており、
前記異常検出回路は、前記交流電源の供給電圧または供給電流の検出値に基づいて前記電源回路の異常を検出する、請求項5に記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特開平11−178243号公報(特許文献1)には、商用電源からの交流電力を直流電力に変換するコンバータと、直流電力を交流電力に変換して負荷に供給するインバータとを備えた無停電電源装置が開示されている。特許文献1に記載の無停電電源装置は、インバータと負荷との間に設けられた出力スイッチと、商用電源と負荷との間に設けられたサイリスタスイッチとを有しており、出力スイッチまたはサイリスタスイッチのオン指令に基づいて、負荷への給電を商用電源またはインバータに切り替えるように構成されている。
【0003】
特許文献1においては、インバータ給電中に上記オン指令等を生成する制御手段の制御電源が異常が検出された場合、制御電源異常検出回路は、コンデンサによりバックアップされた時間、異常検出信号を送出するように構成されている。これにより、制御電源が異常になっても、インバータ側から商用電源側に切り替えて負荷に電力を供給し続けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−178243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような無停電電源装置は、一般的に、コンバータおよびインバータに含まれる複数のスイッチング素子のゲートを駆動するゲート駆動回路を有している。ゲート駆動回路は、制御装置から与えられるゲート信号に従って、スイッチング素子のゲート電位をH(論理ハイ)レベルまたはL(論理ロー)レベルに駆動するように構成される。
【0006】
このようなゲート駆動回路に電力を供給するための電源に異常が発生した場合、当該電源はゲート駆動回路の電源電圧を確保することが困難となる。そのため、負荷への給電がインバータから商用電源に切り替えられるまでの期間、スイッチング素子のゲート電位が不定となる可能性がある。これにより、スイッチング素子が誤ってオンする、またはスイッチング素子が誤ってオフする等スイッチング素子が誤動作することが懸念される。
【0007】
この発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ゲート駆動回路の電源異常が発生した場合において、スイッチング素子の誤動作を発生させることなく、負荷への給電をインバータからバイパス交流電源に切り替えることが可能な無停電電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る無停電電源装置は、商用交流電源に接続される第1の端子と、バイパス交流電源に接続される第2の端子と、負荷に接続される第3の端子と、コンバータと、インバータと、第1のスイッチと、第2のスイッチと、制御装置と、複数のゲート駆動回路とを備える。コンバータは、複数のスイッチング素子を含み、商用交流電源から第1の端子を介して供給される交流電力を直流電力に変換する。インバータは、複数のスイッチング素子を含み、コンバータによって生成された直流電力または電力貯蔵装置の直流電力を交流電力に変換する。第1のスイッチは、一方端子にインバータの出力電圧を受け、他方端子が第3の端子に接続される。第2のスイッチは、第2の端子および第3の端子間に接続される。制御装置は、コンバータおよびインバータに含まれる複数のスイッチング素子のオンオフを制御する。複数のゲート駆動回路は、複数のスイッチング素子のゲートをそれぞれ駆動する。複数のゲート駆動回路の各々は、ゲートドライバと、電源回路とを含む。ゲートドライバは、制御装置からスイッチング素子のゲート電極に入力されるゲート信号に従って、スイッチング素子のゲート電位をHレベルまたはLレベルに相当する電位に駆動する。電源回路は、ゲートドライバに電力を供給する。制御装置は、各複数のゲート駆動回路の電源回路の異常を検出するように構成された異常検出回路を含む。制御装置は、第1のスイッチがオンかつ第2のスイッチがオフの場合において、異常検出回路により電源回路の異常が検出されたときには、第2のスイッチをオンし、第1のスイッチをオフするように構成される。ゲート駆動回路は、電源回路の異常が検出されてから第2のスイッチがオンされるまでの期間、スイッチング素子のゲート電位を保持するように構成される。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、ゲート駆動回路の電源異常が発生した場合において、スイッチング素子の誤動作を発生させることなく、負荷への給電をインバータからバイパス交流電源に切り替えることが可能な無停電電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態に従う無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
図2図1に示した無停電電源装置の要部を示す回路図である。
図3図1に示したコンバータおよびインバータにおけるスイッチング素子の制御に関連する部分の構成を示すブロック図である。
図4】比較例に従うゲート駆動回路の構成を示すブロック図である。
図5】比較例に従うゲート駆動回路の交流電源に異常が生じた場合の図4のA点〜D点における電位の時間的変化を模式的に示す波形図である。
図6図3に示した制御装置のうちのIGBTの制御に関連する部分の構成を示すブロック図である。
図7図6に示した異常検出回路の構成を示すブロック図である。
図8図6に示した切替指令生成回路の構成を示すブロック図である。
図9】ゲート駆動回路の交流電源に異常が生じた場合の図7および図8のA点〜J点における電位の時間的変化を模式的に示す波形図である。
図10図6に示した異常検出回路の第1の変更例を示すブロック図である。
図11図6に示した異常検出回路の第2の変更例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0012】
図1は、この発明の実施の形態に従う無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。無停電電源装置1は、商用交流電源21からの三相交流電力を直流電力に一旦変換し、その直流電力を三相交流電力に変換して負荷24に供給するものである。図1では、図面および説明の簡単化のため、三相(U相、V相、W相)のうちの一相(例えばU相)に対応する部分の回路のみが示されている。
【0013】
無停電電源装置1は、インバータ給電モード(第1のモード)と、バイパス給電モード(第2のモード)とを有する。インバータ給電モードは、インバータ10から負荷24に交流電力が供給される運転モードである。バイパス給電モードは、バイパス交流電源22から半導体スイッチ15(第2のスイッチ)を介して負荷24に交流電力が供給される運転モードである。
【0014】
インバータ給電モードでは、商用交流電源21から供給される交流電力をコンバータ6によって直流電力に変換し、その直流電力をインバータ10によって交流電力に変換して負荷24に供給する。そのため、インバータ給電モードは、負荷24への給電安定性に優れている。
【0015】
これに対して、バイパス給電モードでは、バイパス交流電源22から供給される交流電力を、半導体スイッチ15(第2のスイッチ)を介して、言い換えればコンバータ6およびインバータ10を通さずに負荷24に供給する。そのため、コンバータ6およびインバータ10における電力損失の発生が抑制され、結果的に無停電電源装置1の運転効率を向上させることができる。
【0016】
図1において、無停電電源装置1は、交流入力端子T1、バイパス入力端子T2、バッテリ端子T3、および交流出力端子T4を備える。交流入力端子T1は、商用交流電源21から商用周波数の交流電力を受ける。バイパス入力端子T2は、バイパス交流電源22から商用周波数の交流電力を受ける。バイパス交流電源22は、商用交流電源であってもよいし、発電機であってもよい。
【0017】
バッテリ端子T3は、バッテリ(電力貯蔵装置)23に接続される。バッテリ23は、直流電力を蓄える。バッテリ23の代わりにコンデンサが接続されていても構わない。交流出力端子T4は、負荷24に接続される。負荷24は、交流電力によって駆動される。
【0018】
無停電電源装置1は、さらに、電磁接触器2,8,14、電流検出器3,11、コンデンサ4,9,13、リアクトル5,12、コンバータ6、双方向チョッパ7、インバータ10、半導体スイッチ15、操作部17、および制御装置18を備える。
【0019】
電磁接触器2およびリアクトル5は、交流入力端子T1とコンバータ6の入力ノードとの間に直列接続される。コンデンサ4は、電磁接触器2とリアクトル5の間のノードN1に接続される。電磁接触器2は、無停電電源装置1の使用時にオンされ、たとえば無停電電源装置1のメンテナンス時にオフされる。
【0020】
ノードN1に現れる交流入力電圧Viの瞬時値は、制御装置18によって検出される。交流入力電圧Viの瞬時値に基づいて、停電の発生の有無などが判別される。電流検出器3は、ノードN1に流れる交流入力電流Iiを検出し、その検出値を示す信号Iifを制御装置18に与える。
【0021】
コンデンサ4およびリアクトル5は、低域通過フィルタを構成し、商用交流電源21からコンバータ6に商用周波数の交流電力を通過させ、コンバータ6で発生するスイッチング周波数の信号が商用交流電源21に通過することを防止する。
【0022】
コンバータ6は、制御装置18によって制御され、商用交流電源21から交流電力が供給されている通常時は、交流電力を直流電力に変換して直流ラインL1に出力する。商用交流電源21からの交流電力の供給が停止された停電時は、コンバータ6の運転は停止される。コンバータ6の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。
【0023】
コンデンサ9は、直流ラインL1に接続され、直流ラインL1の電圧を平滑化させる。直流ラインL1に現れる直流電圧VDCの瞬時値は、制御装置18によって検出される。直流ラインL1は双方向チョッパ7の高電圧側ノードに接続され、双方向チョッパ7の低電圧側ノードは電磁接触器8を介してバッテリ端子T3に接続される。
【0024】
電磁接触器8は、無停電電源装置1の使用時はオンされ、たとえば無停電電源装置1およびバッテリ23のメンテナンス時にオフされる。バッテリ端子T3に現れるバッテリ23の端子間電圧VBの瞬時値は、制御装置18によって検出される。
【0025】
双方向チョッパ7は、制御装置18によって制御され、商用交流電源21から交流電力が供給されている通常時は、コンバータ6によって生成された直流電力をバッテリ23に蓄え、商用交流電源21からの交流電力の供給が停止された停電時は、バッテリ23の直流電力を直流ラインL1を介してインバータ10に供給する。
【0026】
双方向チョッパ7は、直流電力をバッテリ23に蓄える場合は、直流ラインL1の直流電圧VDCを降圧してバッテリ23に与える。また、双方向チョッパ7は、バッテリ23の直流電力をインバータ10に供給する場合は、バッテリ23の端子間電圧VBを昇圧して直流ラインL1に出力する。直流ラインL1は、インバータ10の入力ノードに接続されている。
【0027】
インバータ10は、制御装置18によって制御され、コンバータ6または双方向チョッパ7から直流ラインL1を介して供給される直流電力を商用周波数の交流電力に変換して出力する。すなわち、インバータ10は、通常時はコンバータ6から直流ラインL1を介して供給される直流電力を交流電力に変換し、停電時はバッテリ23から双方向チョッパ7を介して供給される直流電力を交流電力に変換する。インバータ10の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。
【0028】
インバータ10の出力ノード10aはリアクトル12の一方端子に接続され、リアクトル12の他方端子(ノードN2)は電磁接触器14を介して交流出力端子T4に接続される。コンデンサ13は、ノードN2に接続される。
【0029】
電流検出器11は、インバータ10の出力電流Ioの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号Iofを制御装置18に与える。ノードN2に現れる交流出力電圧Voの瞬時値は、制御装置18によって検出される。
【0030】
リアクトル12およびコンデンサ13は、低域通過フィルタを構成し、インバータ10で生成された商用周波数の交流電力を交流出力端子T4に通過させ、インバータ10で発生するスイッチング周波数の信号が交流出力端子T4に通過することを防止する。
【0031】
電磁接触器14は、制御装置18によって制御され、インバータ給電モード時にはオンされ、バイパス給電モード時にはオフされる。本願明細書では、電磁接触器14をインバータ10の出力電力を負荷24に供給するための「出力スイッチ」とも称する。電磁接触器14は「第1のスイッチ」の一実施例に対応する。
【0032】
半導体スイッチ15は、サイリスタを含み、バイパス入力端子T2と交流出力端子T4との間に接続される。半導体スイッチ15は、制御装置18によって制御され、インバータ給電モード時にはオフされ、バイパス給電モード時にはオンされる。半導体スイッチ15は「第2のスイッチ」の一実施例に対応する。例えば、半導体スイッチ15は、インバータ給電モード時にインバータ10が故障した場合は瞬時にオンし、バイパス交流電源22からの交流電力を負荷24に供給する。バイパス入力端子T2および半導体スイッチ15の間のノードN3に現れる交流入力電圧Vi2の瞬時値は、制御装置18によって検出される。交流入力電圧Vi2の瞬時値および交流出力電圧Voの瞬時値に基づいて、バイパス交流電源22の電圧とインバータ10の出力電圧との同期/非同期が判別される。
【0033】
操作部17は、無停電電源装置1の使用者によって操作される複数のボタン、種々の情報を表示する画像表示部などを含む。使用者が操作部17を操作することにより、無停電電源装置1の電源をオンおよびオフしたり、バイパス給電モードおよびインバータ給電モードのうちのいずれか一方のモードを選択することが可能となっている。
【0034】
制御装置18は、操作部17からの信号、交流入力電圧Vi,Vi2、交流入力電流Ii、直流電圧VDC、バッテリ電圧VB、交流出力電流Io、および交流出力電圧Voなどに基づいて無停電電源装置1全体を制御する。すなわち、制御装置18は、交流入力電圧Viの検出値に基づいて停電が発生したか否かを検出し、交流入力電圧Viの位相に同期してコンバータ6およびインバータ10を制御する。
【0035】
さらに制御装置18は、商用交流電源21から交流電力が供給されている通常時は、直流電圧VDCが所望の目標電圧VDCTになるようにコンバータ6を制御し、商用交流電源21からの交流電力の供給が停止された停電時は、コンバータ6の運転を停止させる。
【0036】
さらに制御装置18は、通常時は、バッテリ電圧VBが所望の目標バッテリ電圧VBTになるように双方向チョッパ7を制御し、停電時は、直流電圧VDCが所望の目標電圧VDCTになるように双方向チョッパ7を制御する。
【0037】
図2は、図1に示した無停電電源装置1の要部を示す回路図である。図1では三相交流電圧のうちの一相に関連する部分のみを示したが、図2では三相に関連する部分を示している。また、電磁接触器2,14、半導体スイッチ15、操作部17、および制御装置18の図示は省略されている。
【0038】
図2において、無停電電源装置1は、交流入力端子T1a,T1b,T1c、交流出力端子T4a,T4b,T4c、電流検出器3,11,コンデンサ4a,4b,4c,13a,13b,13c、リアクトル5a,5b,5c,12a,12b,12c、コンバータ6、直流ラインL1,L2、およびインバータ10を備える。
【0039】
交流入力端子T1a,T1b,T1cは、商用交流電源21(図1)からの三相交流電圧(U相交流電圧、V相交流電圧、およびW相交流電圧)をそれぞれ受ける。交流出力端子T4a,T4b,T4cには、商用交流電源21からの三相交流電圧に同期した三相交流電圧が出力される。負荷24は、交流出力端子T4a,T4b,T4cからの三相交流電圧によって駆動される。
【0040】
リアクトル5a,5b,5cの一方端子はそれぞれ交流入力端子T1a,T1b,T1cに接続され、それらの他方端子はコンバータ6の入力ノード6a,6b,6cにそれぞれ接続される。コンデンサ4a,4b,4cの一方電極はそれぞれリアクトル5a〜5cの一方端子に接続され、それらの他方電極はともに中性点NPに接続される。
【0041】
コンデンサ4a〜4cおよびリアクトル5a〜5cは、低域通過フィルタを構成し、交流入力端子T1a,T1b,T1cからコンバータ6に商用周波数の三相交流電力を通過させ、コンバータ6で発生するスイッチング周波数の信号を遮断する。リアクトル5aの一方端子に現れる交流入力電圧Viの瞬時値は制御装置18(図1)によって検出される。電流検出器3は、ノードN1(すなわち交流入力端子T1a)に流れる交流入力電流Iiを検出し、その検出値を示す信号Iifを制御装置18に与える。
【0042】
コンバータ6は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)Q1〜Q6およびダイオードD1〜D6を含む。IGBTは「スイッチング素子」を構成する。IGBTQ1〜Q3のコレクタはともに直流ラインL1に接続され、それらのエミッタはそれぞれ入力ノード6a,6b,6cに接続される。IGBTQ4〜Q6のコレクタはそれぞれ入力ノード6a,6b,6cに接続され、それらのエミッタはともに直流ラインL2に接続される。ダイオードD1〜D6は、それぞれIGBTQ1〜Q6に逆並列に接続される。
【0043】
IGBTQ1,Q4はそれぞれゲート信号Au,Buによって制御され、IGBTQ2,Q5はそれぞれゲート信号Av,Bvによって制御され、IGBTQ3,Q6はそれぞれゲート信号Aw,Bwによって制御される。ゲート信号Bu,Bv,Bwは、それぞれゲート信号Au,Av,Awの反転信号である。
【0044】
IGBTQ1〜Q3は、それぞれゲート信号Au,Av,Awが「H(論理ハイ)」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号Au,Av,Awが「L(論理ロー)」レベルにされた場合にオフする。IGBTQ4〜Q6は、それぞれゲート信号Bu,Bv,Bwが「H」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号Bu,Bv,Bwが「L」レベルにされた場合にオフする。
【0045】
ゲート信号Au,Bu,Av,Bv,Aw,Bwの各々は、パルス信号列であり、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。ゲート信号Au,Buの位相とゲート信号Av,Bvの位相とゲート信号Aw,Bwの位相とは120度ずつずれている。ゲート信号Au,Bu,Av,Bv,Aw,Bwは、制御装置18によって生成される。
【0046】
例えば、交流入力端子T1aの電圧レベルが交流入力端子T1bの電圧レベルよりも高い場合は、IGBTQ1,Q5がオンされ、交流入力端子T1aからリアクトル5a、IGBTQ1、直流ラインL1、コンデンサ9、直流ラインL2、IGBTQ5、およびリアクトル5bを介して交流入力端子T1bに電流が流れ、コンデンサ9が正電圧に充電される。
【0047】
逆に、交流入力端子T1bの電圧レベルが交流入力端子T1aの電圧レベルよりも高い場合は、IGBTQ2,Q4がオンされ、交流入力端子T1bからリアクトル5b、IGBTQ2、直流ラインL1、コンデンサ9、直流ラインL2、IGBTQ4、およびリアクトル5aを介して交流入力端子T1aに電流が流れ、コンデンサ9が正電圧に充電される。他の場合も同様である。
【0048】
ゲート信号Au,Bu,Av,Bv,Aw,BwによってIGBTQ1〜Q6の各々を所定のタイミングでオンおよびオフさせるとともに、IGBTQ1〜Q6の各々のオン時間を調整することにより、入力ノード6a〜6cに与えられた三相交流電圧を直流電圧VDC(コンデンサ9の端子間電圧)に変換することが可能となっている。
【0049】
インバータ10は、IGBTQ11〜Q16およびダイオードD11〜D16を含む。IGBTは「スイッチング素子」を構成する。IGBTQ11〜Q13のコレクタはともに直流ラインL1に接続され、それらのエミッタはそれぞれ出力ノード10a,10b,10cに接続される。IGBTQ14〜Q16のコレクタはそれぞれ出力ノード10a,10b,10cに接続され、それらのエミッタはともに直流ラインL2に接続される。ダイオードD11〜D16は、それぞれIGBTQ11〜Q16に逆並列に接続される。
【0050】
IGBTQ11,Q14はそれぞれゲート信号Xu,Yuによって制御され、IGBTQ12,Q15はそれぞれゲート信号Xv,Yvによって制御され、IGBTQ13,Q16はそれぞれゲート信号Xw,Ywによって制御される。ゲート信号Yu,Yv,Ywは、それぞれゲート信号Xu,Xv,Xwの反転信号である。
【0051】
IGBTQ11〜Q13は、それぞれゲート信号Xu,Xv,XwがHレベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号Xu,Xv,XwがLレベルにされた場合にオフする。IGBTQ14〜Q16は、それぞれゲート信号Yu,Yv,YwがHレベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号Yu,Yv,YwがLレベルにされた場合にオフする。
【0052】
ゲート信号Xu,Yu,Xv,Yv,Xw,Ywの各々は、パルス信号列であり、PWM信号である。ゲート信号Xu,Yuの位相とゲート信号Xv,Yvの位相とゲート信号Xw,Ywの位相とは120度ずつずれている。ゲート信号Xu,Yu,Xv,Yv,Xw,Ywは、制御装置18によって生成される。
【0053】
例えば、IGBTQ11,Q15がオンすると、正側の直流ラインL1がIGBTQ11を介して出力ノード10aに接続されるとともに、出力ノード10bがIGBTQ15を介して負側の直流ラインL2に接続され、出力ノード10a,10b間に正電圧が出力される。
【0054】
また、IGBTQ12,Q14がオンすると、正側の直流ラインL1がIGBTQ12を介して出力ノード10bに接続されるとともに、出力ノード10aがIGBTQ14を介して負側の直流ラインL2に接続され、出力ノード10a,10b間に負電圧が出力される。
【0055】
ゲート信号Xu,Yu,Xv,Yv,Xw,YwによってIGBTQ11〜Q16の各々を所定のタイミングでオンおよびオフさせるとともに、IGBTQ11〜Q16の各々のオン時間を調整することにより、直流ラインL1,L2間の直流電圧を三相交流電圧に変換することが可能となっている。
【0056】
リアクトル12a〜12cの一方端子はインバータ10の出力ノード10a,10b,10cにそれぞれ接続され、それらの他方端子はそれぞれ交流出力端子T4a,T4b,T4cに接続される。コンデンサ13a,13b,13cの一方電極はそれぞれリアクトル12a〜12cの他方端子に接続され、それらの他方電極はともに中性点NPに接続される。
【0057】
リアクトル12a〜12cおよびコンデンサ13a,13b,13cは、低域通過フィルタを構成し、インバータ10から交流出力端子T4a,T4b,T4cに商用周波数の三相交流電力を通過させ、インバータ10で発生するスイッチング周波数の信号を遮断する。
【0058】
電流検出器11は、リアクトル12aに流れる交流出力電流Ioを検出し、その検出値を示す信号Iofを制御装置18に与える。リアクトル12aの他方端子(ノードN2)に現れる交流出力電圧Voの瞬時値は制御装置18(図1)によって検出される。
【0059】
図3は、図1に示したコンバータ6およびインバータ10におけるスイッチング素子の制御に関連する部分の構成を示すブロック図である。図3では、コンバータ6のIGBTQ1〜Q6およびインバータ10のIGBTQ11〜Q16をまとめて、IGBTQxと示す。
【0060】
図3を参照して、IGBTQxにはゲート駆動回路30が接続される。ゲート駆動回路30は、制御装置18から与えられるゲート信号に従って、IGBTQxを駆動するゲートドライバ30Aと、ゲートドライバ30Aに電力を供給する電源回路30Bとから構成される。
【0061】
電源回路30Bは、交流電源31から供給された交流電力を直流電圧に変換して直流母線PL1,NL1へ出力する。代表的には、交流電源31は、所定周波数(例えば、50Hzまたは60Hz)の交流電圧を供給する商用交流電源によって構成される。以下では、電源回路30Bから出力される直流電圧を、単に出力電圧とも称する。出力電圧は、直流正母線PL1および直流負母線NL1間に電気的に接続されたゲートドライバ30Aに供給される。
【0062】
まず、電源回路30Bの構成について説明する。電源回路30Bは、交流電源31、トランス32、整流器33、直流正母線PL1、直流負母線NL1、直流中性点母線CL1、および平滑コンデンサC1,C1を有する。
【0063】
トランス32は、一次巻線および二次巻線を有する。一次巻線は、交流電源31と電気的に接続される。交流電源31から供給された交流電圧は一次巻線に印加される。二次巻線には、一次巻線および二次巻線の巻数比に従って振幅が変換された、一次巻線の交流電圧と同一周波数の交流電圧が出力される。
【0064】
整流器33は、ダイオードブリッジを有する。整流器33は、トランス32の二次巻線に出力された交流電圧を全波整流して、直流正母線PL1および直流負母線NL1に出力する。
【0065】
平滑コンデンサC1,C2は直流正母線PL1および直流負母線NL1間に直列接続される。平滑コンデンサC1,C2は例えば電解コンデンサである。平滑コンデンサC1,C2は、整流器33によって整流された電圧を平滑する。この結果、平滑コンデンサC1,C2によって、直流正母線PL1および直流負母線NL1間の電圧は、トランス32の二次巻線の出力電圧の振幅相当の直流電圧に保持される。これにより、交流電源31からの電力によって、ゲートドライバ30Aの電源電圧を確保することができる。平滑コンデンサC1,C2の接続点は直流中性点母線CL1に接続される。直流中性点母線CL1はIGBTQxのエミッタと電気的に接続される。
【0066】
次に、ゲートドライバ30Aの構成について説明する。ゲートドライバ30Aは、npnトランジスタTr1、pnpトランジスタTr2およびゲート抵抗R1を有する。npnトランジスタTr1のコレクタは直流正母線PL1に接続され、エミッタはpnpトランジスタTr2のコレクタに接続される。pnpトランジスタTr2のエミッタは直流負母線NL1に接続される。ゲート抵抗R1は、npnトランジスタTr1およびpnpトランジスタTr2の接続点とIGBTQxのゲート電極との間に電気的に接続される。
【0067】
npnトランジスタTr1およびpnpトランジスタTr2の制御電極(ベース)には制御装置18からゲート信号が印加される。npnトランジスタTr1およびpnpトランジスタTr2は、ゲート信号に従って相補的にオンオフされる。具体的には、ゲート信号がHレベルの期間では、npnトランジスタTr1がオンする一方で、pnpトランジスタTr2がオフする。このとき、npnトランジスタTr1によって、IGBTQxのゲート電極を充電するための駆動電流が、直流正母線PL1からゲート電極へ供給される。これにより、ゲート電極は、ゲート抵抗R1を経由した充電経路によって、高電位側に駆動される。これに伴いIGBTQxは、ゲート・ソース間電圧が閾値電圧よりも高くなるのに応じてオンする。
【0068】
これに対して、ゲート信号がLレベルの期間では、npnトランジスタTr1がオフする一方で、pnpトランジスタTr2がオンする。これにより、IGBTQxのゲート電極からゲート抵抗R1を経由して直流負母線NL1に至る放電経路が形成されることによってゲート・ソース間電圧が閾値電圧よりも低くなると、IGBTQxはオフされる。
【0069】
このようにゲートドライバ30Aは、電源回路30Bから電力の供給を受けることにより、制御装置18から与えられるゲート信号に従って、IGBTQxをオンオフさせることができる。
【0070】
制御装置18は、コンバータ6およびインバータ10を構成するIGBTQxのゲート信号を生成するとともに、半導体スイッチ15(第2のスイッチ)のオンオフを制御するための制御指令(以下、「半導体スイッチオン指令」とも称す)、および出力スイッチ14(第1のスイッチ)のオンオフを制御するための制御指令(以下、「出力スイッチオン指令」とも称す)を生成する。
【0071】
半導体スイッチ15は、半導体スイッチオン指令がHレベルにされた場合にオンし、半導体スイッチオン指令がLレベルにされた場合にオフする。出力スイッチ14は、出力スイッチオン指令がHレベルにされた場合にオンし、出力スイッチオン指令がLレベルにされた場合にオフする。
【0072】
具体的には、制御装置18は、インバータ給電モード時、Hレベルの出力スイッチオン指令を生成する一方で、Lレベルの半導体スイッチオン指令を生成する。出力スイッチ14がオンすることにより、インバータ10によって生成された交流電力が負荷24に供給される。
【0073】
一方、バイパス給電モード時には、制御装置18は、Hレベルの半導体スイッチオン指令を生成する一方で、Lレベルの出力スイッチオン指令を生成する。半導体スイッチ15がオンすることにより、バイパス交流電源22からの交流電力が負荷24に供給される。
【0074】
制御装置18は、さらに、インバータ給電モード時において、ゲート駆動回路30における交流電源31の異常を検出するように構成される。制御装置18は、交流電源31の異常を検出すると、出力スイッチオン指令をHレベルからLレベルに遷移させるとともに、半導体スイッチオン指令をLレベルからHレベルに遷移させることにより、無停電電源装置1をインバータ給電モードからバイパス給電モードへ移行させる。これにより、交流電源31の異常が生じた後においても、無停電電源装置1は負荷24への給電を継続することができる。
【0075】
なお、制御装置18には、交流電源31とは別の電源である制御電源19から電源が供給されている。そのため、交流電源31が異常になっても、上述したインバータ給電モードおよびバイパス給電モードの切替動作を行なうことができる。
【0076】
しかしながら、交流電源31の異常が発生すると、電源回路30Bはゲートドライバ30Aの電源電圧を確保することが困難となるため、半導体スイッチ15がオンされるまでの期間において、IGBTQxのゲート電極の電位が不定となる可能性がある。その結果、IGBTQxが誤ってオンする、またはIGBTQxが誤ってオフする等IGBTQxが誤動作することが懸念される。
【0077】
以下、図4および図5を用いて、比較例に従うゲート駆動回路において交流電源の異常が生じた場合の問題点について説明する。
【0078】
図4には、比較例に従うゲート駆動回路100が示される。比較例に係るゲート駆動回路100は、図3に示したゲート駆動回路30と同様に、ゲートドライバ100Aおよび電源回路100Bにより構成される。ゲートドライバ100Aおよび電源回路100Bは、平滑コンデンサC10,C20を除いて、図3に示したゲートドライバ30Aおよび電源回路30Bと同様の構成を有する。平滑コンデンサC10,C20は例えばフィルムコンデンサである。
【0079】
図4に示すゲート駆動回路100において、トランス32の一次巻線の一方端を「A点」、直流正母線PL1と平滑コンデンサC1の一方端との接続点を「B点」、ゲートドライバ100AのnpnトランジスタTr1の制御電極を「C点」、IGBTQxのゲート電極を「D点」とする。
【0080】
図5は、比較例に従うゲート駆動回路100の交流電源31に異常が生じた場合の図4のA点〜D点における電位の時間的変化を模式的に示す波形図である。
【0081】
図5を参照して、A点の電位は交流電源31から供給される電源電位を示している。B点の電位は直流正母線PL1の電位を示している。C点の電位は制御装置18から供給されるゲート信号の電位を示している。D点の電位はIGBTQxのゲート電極の電位を示している。図5の例では、npnトランジスタTr1およびpnpトランジスタTr2の制御電極に対して、図示しない制御装置からHレベルのゲート信号が入力されているものとする。
【0082】
交流電源31が正常である場合、交流電源31から供給される交流電圧は、トランス32によって振幅が変換された後、整流器33を経由することで全波整流されて直流正母線PL1へ出力される。したがって、直流正母線PL1の電位(B点)は、平滑コンデンサC10によって平滑されることで、電源電位(A点)の振幅に比例した振幅を有する直流電圧に保持される。制御電極にHレベルのゲート信号(C点)を受けてnpnトランジスタTr1がオンすることで、IGBTQxのゲート電極の電位(D点)は、直流正母線PL1の電位に応じたHレベルの電位に駆動される。IGBTQxは、ゲート・ソース間電圧が閾値電圧よりも高くなるのに応じてオンする。
【0083】
ここで、時刻t1において、交流電源31の電源電圧が消失する異常が発生した場合を想定する。
【0084】
交流電源31から交流電圧の供給が途絶えると、平滑コンデンサC10に蓄積されたエネルギーが放出されるため、時刻t1以降、直流正母線PL1の電位(B点)が徐々に低下する。これにより、npnトランジスタTr1のコレクタ・エミッタ間電圧も徐々に低下する。
【0085】
その一方で、npnトランジスタTr1の制御電極にはHレベルのゲート信号が入力されている(C点)。ただし、npnトランジスタTr1のコレクタ・エミッタ間電圧が低下しているため、npnトランジスタTr1をオン状態に保つことができなくなり、結果的にIGBTQxのゲート電位が不定となってしまうという問題がある。なお、npnトランジスタTr1のコレクタ・エミッタ間電圧が0になると、ゲート電位もLレベル(接地電位)となり、IGBTQxはオフされる。
【0086】
このように比較例に従うゲート駆動回路100においては、電源異常によってIGBTQxのゲート電位が不定となることによって、IGBTQxが誤動作してしまうおそれがある。そのため、電源異常が発生した時刻t1から無停電電源装置がインバータ給電モードからバイパス給電モードへ移行する時刻までの期間において、コンバータ6またはインバータ10が誤動作することが懸念される。
【0087】
そこで、本実施の形態に従う無停電電源装置1では、制御装置18およびゲート駆動回路30は、ゲート駆動回路30の電源異常が検出されてから半導体スイッチ15がオンされるまでの期間、IGBTQxのゲート電位を保持するように構成される。これにより、IGBTQxの誤動作を発生させることなく、無停電電源装置1をバイパス給電モードへ移行させる。
【0088】
図6は、図3に示した制御装置18のうちのIGBTQxの制御に関連する部分の構成を示すブロック図である。
【0089】
図6を参照して、制御装置18は、制御指令生成回路40、異常検出回路42、切替指令生成回路44および論理積回路46を含む。
【0090】
制御指令生成回路40は、無停電電源装置1の動作を制御するための制御指令を生成する。この制御指令には、コンバータ6およびインバータ10を構成するIGBTQxのオンオフを制御するためのゲート信号、同期信号、切替指令、出力スイッチオン指令、および電源停止指令が含まれる。
【0091】
ゲート信号は、図2に示したゲート信号Au,Bu,Av,Bv,Aw,Bwと、ゲート信号Xu,Yu,Xv,Yv,Xw,Ywとを含む。各ゲート信号は、パルス信号例であり、PWM信号である。
【0092】
同期信号は、インバータ10により生成される交流電圧がバイパス交流電源22から供給される交流電圧に同期しているか否かを示す信号である。インバータ10の出力電圧がバイパス交流電源22の電圧に同期しているとき、同期信号はHレベルとなる。一方、インバータ10の出力電圧がバイパス交流電源22の電圧に同期していないとき、同期信号はLレベルとなる。
【0093】
切替指令は、無停電電源装置1の運転モードをインバータ給電モードとバイパス給電モードとの間で切り替えるための制御指令である。切替指令は、操作部17(図1)の操作に基づいて生成される。使用者が操作部17を操作することにより、インバータ給電モードが選択された場合にはLレベルの切替指令が生成され、バイパス給電モードが選択された場合にはHレベルの切替指令が生成される。
【0094】
出力スイッチオン指令は、出力スイッチ14のオンオフを制御するための制御指令である。出力スイッチオン指令がHレベルのときに出力スイッチ14がオンし、出力スイッチオン指令がLレベルのときに出力スイッチ14がオフする。使用者が操作部17を操作することによってインバータ給電モードが選択された場合、制御指令生成回路40は、Lレベルの切替指令を生成するとともに、Hレベルの出力スイッチオン指令を生成する。
【0095】
電源停止指令は、ゲート駆動回路30において、電源回路30Bからゲートドライバ30Aへの給電の実行および停止を制御するための制御指令である。電源停止指令は、操作部17(図1)の操作に基づいて生成される。使用者が操作部17を操作することにより、無停電電源装置1の電源をオンしたときにはLレベルの電源停止指令が生成される。一方、無停電電源装置1の電源をオフしたときにはHレベルの電源停止指令が生成される。電源停止指令がLレベルの期間において電源回路30Bからゲートドライバ30Aに電力が供給される。電源停止指令がHレベルになると、電源回路30Bからゲートドライバ30Aへの給電が停止される。
【0096】
異常検出回路42は、ゲート駆動回路30における交流電源31の異常を検出するように構成される。異常検出回路42は、交流電源31から供給される交流電圧を検出し、その検出値に基づいて交流電源31が正常であるか異常であるかを判定する。交流電源31が正常であると判定された場合、異常検出回路42はLレベルの異常検出信号を生成する。一方、交流電源31が異常であると判定された場合、異常検出回路42はHレベルの異常検出信号を生成する。
【0097】
異常検出回路42は、さらに、制御指令生成回路40からHレベルの電源停止指令を受けたとき、もしくは、交流電源31の異常が検出されたときには、ゲート駆動回路30に対してHレベルの電源停止指令を出力する。ゲート駆動回路30は、Hレベルの電源停止指令を受けると、電源回路30Bからゲートドライバ30Aへの給電を停止する。
【0098】
切替指令生成回路44は、制御指令生成回路40から同期信号、切替指令および出力スイッチオン指令を受け、異常検出回路42から異常検出信号を受ける。切替指令生成回路44は、これらの入力信号に基づいて、出力スイッチ14および半導体スイッチ15のオンオフを制御するとともに、コンバータ6およびインバータ10に含まれるIGBTQxのオンオフを制御する。
【0099】
具体的には、切替指令生成回路44は、同期信号、切替指令、出力スイッチオン指令および異常検出信号に基づいて、半導体スイッチオン指令、出力スイッチオン指令およびゲートオフ指令を生成する。ゲートオフ指令は、IGBTQxを強制的にオフするための制御指令である。切替指令生成回路44は、IGBTQxをオフさせたい場合、ゲートオフ指令はHレベルに活性化させる。
【0100】
論理積回路46は、ゲートオフ指令およびゲート信号を受けて、それらの論理積を演算する。論理積回路26の演算結果は、ゲート信号としてゲート駆動回路30(ゲートドライバ30A)に与えられる。
【0101】
論理積回路46の第1入力端子にはゲート信号が入力され、第2入力端子にはゲートオフ指令の反転信号が入力される。したがって、ゲートオフ指令がLレベルのときには、制御指令生成回路40により生成されたゲート信号に一致したゲート信号が論理積回路46からゲート駆動回路30に入力されることになる。一方、ゲートオフ指令がHレベルのときには、制御指令生成回路40により生成されたゲート信号に依らず、Lレベルのゲート信号がゲート駆動回路30に入力されることになる。すなわち、ゲートオフ指令がHレベルに活性化されると、ゲート信号が強制的にLレベルに駆動され、結果的にIGBTQxは強制的にオフされる。
【0102】
図7を用いて、図6に示した異常検出回路42の構成についてさらに説明する。
図7を参照して、異常検出回路42は、整流回路50、フィルタ51、比較器52,53、および論理和回路54,55を有する。
【0103】
整流回路50は、交流電源31からの交流電圧を全波整流してフィルタ51へ出力する。フィルタ51は、整流回路50によって整流された電圧の高周波成分を除去する。フィルタ51の出力電圧は、交流電源31による交流電圧の振幅相当の直流電圧に保持される。整流回路50およびフィルタ51は、交流電源31の供給電圧の振幅を検出するための「電圧検出器」を構成する。
【0104】
比較器52は、交流電源31の供給電圧の振幅と第1の基準値VLとを比較して、比較結果を示す信号を出力する。第1の基準値VLは、交流電源31が過小(電源消失を含む)であるときの供給電圧の振幅に設定されている。供給電圧の振幅が第1の基準値VLよりも大きい場合、比較器52の出力信号はLレベルとなる。一方、供給電圧の振幅が第1の基準値VL以下の場合、比較器52の出力信号はHレベルとなる。
【0105】
比較器53は、供給電圧の振幅と第2の基準値VHとを比較して、比較結果を示す信号を出力する。第2の基準値VHは、交流電源31が過大であるときの供給電圧の振幅に設定されている。供給電圧の振幅が第2の基準値VHよりも大きい場合、比較器53の出力信号はHレベルとなる。一方、供給電圧の振幅が第2の基準値VH以下の場合、比較器53の出力信号はLレベルとなる。
【0106】
論理和回路54は、比較器52の出力信号および比較器53の出力信号を受けて、それらの論理和を演算する。比較器52の出力信号および比較器53の出力信号のいずれかがHレベルのとき、すなわち、供給電圧の振幅が第1の基準値VL以下、または供給電圧の振幅が第2の基準値VHより大きい場合、論理和回路54の演算結果はHレベルとなる。論理和回路34は、演算結果を異常検出信号として、切替指令生成回路44(図6)へ出力する。このようにして交流電源31の供給電圧が過大または過小であるときには、異常検出回路42は、ゲート駆動回路30の交流電源31が異常であると判定し、切替指令生成回路44に対してHレベルの異常検出信号を出力する。
【0107】
一方、交流電源31の供給電圧の振幅が第1の基準値VLより大きく、かつ第2の基準値VH以下の場合、論理和回路54の演算結果はLレベルとなる。この場合、異常検出回路42は、ゲート駆動回路30の交流電源31が正常であると判定し、切替指令生成回路44に対してLレベルの異常検出信号を出力する。
【0108】
論理和回路55は、論理和回路54が出力する異常検出信号および制御指令生成回路40が出力する電源停止指令を受けて、それらの論理和を演算する。論理和回路55の演算結果は電源停止指令として、ゲート駆動回路30へ出力される。これによると、制御指令生成回路40によりHレベルの電源停止指令が生成されたとき、または、異常検出回路42によりHレベルの異常検出信号が生成されたとき(交流電源31の異常が検出されたときに相当)、ゲート駆動回路30にHレベルの電源停止指令が与えられることになる。ゲート駆動回路30は、Hレベルの電源停止指令を受けると、電源回路30Bからゲートドライバ30Aへの給電を停止する。
【0109】
図8を用いて、図6に示した切替指令生成回路44の構成についてさらに説明する。
図8を参照して、切替指令生成回路44は、論理和回路60,67,69、反転器61、Dフリップフロップ62、RSフリップフロップ63、論理積回路64,65,70、オンディレイ回路66,68を有する。
【0110】
論理和回路60は、異常検出回路42(図7)から異常検出信号を受け、制御指令生成回路40(図6)から切替指令を受けると、それらの論理和を演算する。異常検出信号がHレベルのとき、すなわちゲート駆動回路30の電源異常が検出されたとき、または、切替指令がHレベルのとき、すなわち操作部17(図1)の操作によってバイパス給電モードが選択されたときには、論理和回路60はHレベルの演算結果を出力する。一方、切替指令がLレベルのとき、すなわち操作部17の操作によってインバータ給電モードが選択されたときであり、かつ、異常検出信号がLレベルのとき、すなわちゲート駆動回路30の交流電源31が正常であるときには、論理和回路60はLレベルの演算結果を出力する。
【0111】
論理和回路60の演算結果は、切替セット指令として、RSフリップフロップ63のセット端子Sに入力される。RSフリップフロップ63のリセット端子Rには、反転器61により切替セット指令の反転信号(切替リセット指令)が入力される。RSフリップフロップ63の出力端子Qは、論理積回路64,65,70の第1入力端子に接続される。なお、論理積回路70の第1入力端子には、RSフリップフロップ63の出力信号の反転信号が入力される。
【0112】
RSフリップフロップ63は、切替セット指令がHレベルのときにセット状態となり、出力信号がHレベルとなる。一方、切替セット指令がLレベルときにリセット状態となり、出力信号がLレベルとなる。
【0113】
切替セット指令はさらに、Dフリップフロップ62のトリガ端子Tに入力される。Dフリップフロップ62のディレイ端子Dには同期信号が入力される。Dフリップフロップ62の出力端子Qは、論理積回路64,65の第2入力端子に接続される。なお、論理積回路65の第2入力端子には、Dフリップフロップ62の出力信号の反転信号が入力される。Dフリップフロップ62は、切替セット指令の立上りに応じて同期信号を取り込み、同期信号を出力する。
【0114】
論理積回路64は、Dフリップフロップ62の出力信号およびRSフリップフロップ63の出力信号を受け、それらの論理積を演算する。同期信号がHレベル、かつ、切替セット指令がHレベルのとき、論理積回路64はHレベルの信号を出力する。一方、同期信号がLレベル、または、切替セット指令がLレベルのとき、論理積回路64はLレベルの信号を出力する。論理積回路64の出力信号は論理和回路69の第1入力端子に入力されるとともに、オンディレイ回路66を介して論理和回路67の第1入力端子に入力される。オンディレイ回路66は、Hレベルの信号が入力されてから所定時間経過後にHレベルの信号を出力する。
【0115】
論理積回路65は、Dフリップフロップ62の出力信号の反転信号およびRSフリップフロップ63の出力信号を受け、それらの論理積を演算する。同期信号がLレベル、かつ、切替セット指令がHレベルのとき、論理積回路65はHレベルの信号を出力する。一方、同期信号がHレベル、または、切替セット指令がLレベルのとき、論理積回路65はLレベルの信号を出力する。論理積回路65の出力信号は論理和回路67の第2入力端子に入力されるとともに、オンディレイ回路68を介して論理和回路69の第2入力端子に入力される。オンディレイ回路68は、Hレベルの信号が入力されてから所定時間経過後にHレベルの信号を出力する。
【0116】
論理和回路67は、オンディレイ回路66の出力信号および論理積回路65の出力信号を受け、それらの論理和を演算する。オンディレイ回路66の出力信号がHレベル、または、論理積回路65の出力信号がHレベルのとき、論理和回路67はHレベルの信号を出力する。一方、オンディレイ回路66の出力信号がLレベル、かつ、論理積回路65の出力信号がLレベルのとき、論理和回路67はLレベルの信号を出力する。論理和回路67の出力信号はゲートオフ指令として論理積回路46の第1入力端子に入力される。
【0117】
ゲートオフ指令は、同期信号がHレベル、かつ、切替セット指令がHレベルのとき、または、同期信号がLレベル、かつ、切替セット指令がHレベルのとき、Hレベルとなる。なお、同期信号がHレベル、かつ、切替セット指令がHレベルのときには、切替セット指令がHレベルになってから所定時間経過後にゲートオフ指令がHレベルとなる。
【0118】
論理積回路46は、ゲート信号およびゲートオフ指令の反転信号を受け、それらの論理積を演算する。論理積回路46の出力信号はゲート信号としてゲート駆動回路30に入力される。ゲートオフ指令がLレベルのときには、論理積回路46に入力されるゲート信号が論理積回路46から出力されてゲート駆動回路30に入力される。一方、ゲートオフ指令がHレベルのときには、Lレベルのゲート信号がゲート駆動回路30に入力される。すなわち、ゲートオフ指令がHレベルになると、ゲート信号が強制的にLレベルとされる。
【0119】
論理和回路69は、論理積回路64の出力信号およびオンディレイ回路68の出力信号を受け、それらの論理和を演算する。オンディレイ回路68の出力信号がHレベル、または、論理積回路64の出力信号がHレベルのとき、論理和回路69はHレベルの信号を出力する。一方、オンディレイ回路68の出力信号がLレベル、かつ、論理積回路64の出力信号がLレベルのとき、論理和回路69はLレベルの信号を出力する。論理和回路69の出力信号は半導体スイッチオン指令として半導体スイッチ15(図1)に入力される。
【0120】
半導体スイッチオン指令は、同期信号がHレベル、かつ、切替セット指令がHレベルのとき、または、同期信号がLレベル、かつ、切替セット指令がHレベルのとき、Hレベルとなる。なお、同期信号がLレベル、かつ、切替セット指令がHレベルのとき、切替セット指令がHレベルになってから所定時間経過後に半導体スイッチオン指令がHレベルとなる。
【0121】
以上をまとめると、同期信号がHレベルの場合には、切替セット指令がHレベルになると、半導体スイッチオン指令がHレベルとなり、所定時間経過後にゲートオフ指令がHレベルとなる。これによると、インバータ10の出力電圧がバイパス交流電源22の電圧と同期している場合、半導体スイッチオン指令がHレベルになってから所定時間経過後にゲート信号がLレベルとなる。
【0122】
一方、同期信号がLレベルの場合には、切替セット指令がLレベルになると、ゲートオフ指令がHレベルとなり、所定時間経過後に半導体スイッチオン指令がオンとなる。これによると、インバータ10の出力電圧がバイパス交流電源22の電圧と同期していない場合、ゲート信号がLレベルになってから所定時間経過後に半導体スイッチオン指令がオンとなる。
【0123】
論理積回路70は、RSフリップフロップ63の出力信号の反転信号および出力スイッチオン指令を受け、それらの論理積を演算する。論理積回路70の出力信号は出力スイッチオン指令として、出力スイッチ14(図1)に入力される。
【0124】
出力スイッチオン指令は、切替セット指令がLレベル、かつ、出力スイッチオン指令がHレベルのとき、Hレベルとなる。一方、切替セット指令がHレベルになると、出力スイッチオン指令はLレベルとなる。
【0125】
次に、図9を用いて、本実施の形態に係る無停電電源装置1の動作について説明する。以下の説明では、図7に示すゲート駆動回路30において、トランス32の一次側巻線の一方端を「A点」、直流正母線PL1と平滑コンデンサC1の一方端との接続点を「B点」、ゲートドライバ30AのnpnトランジスタTr1の制御電極を「C点」、IGBTQxのゲート電極を「D点」とする。図7に示す異常検出回路42において、フィルタ51の出力端子を「E点」、論理和回路54の出力端子を「F点」とする。図8に示す切替指令生成回路44において、同期信号を「G点」、論理和回路69の出力端子を「H点」、論理和回路67の出力端子を「I点」、論理積回路70の出力端子を「J点」とする。
【0126】
図9は、ゲート駆動回路30の交流電源31に異常が生じた場合の図7および図8のA点〜J点における電位の時間的変化を模式的に示す波形図である。
【0127】
図9を参照して、A点の電位は交流電源31から供給される電源電位を示している。B点の電位は直流正母線PL1の電位を示している。C点の電位は制御装置18から供給されるゲート信号の電位を示している。D点の電位はIGBTQxのゲート電極の電位を示している。E点の電位は電圧検出器(整流回路50およびフィルタ51)により検出される交流電源31の電圧振幅を示している。F点の電位は異常検出信号の電位を示している。G点の電位は同期信号の電位を示している。H点の電位は半導体スイッチオン指令の電位を示している。I点の電位はゲートオフ指令の電位を示している。J点の電位は出力スイッチオン指令の電位を示している。図9の例では、npnトランジスタTr1およびpnpトランジスタTr2の制御電極に対して、制御装置18からHレベルのゲート信号が入力されているものとする。
【0128】
交流電源31が正常である場合、交流電源31から供給される交流電圧は、トランス32によって振幅が変換された後、整流器33を経由することで全波整流されて直流正母線PL1へ出力される。したがって、直流正母線PL1の電位(B点)は、平滑コンデンサC1によって平滑されることで、電源電位(A点)の振幅に比例した振幅を有する直流電圧に保持される。電圧検出器(整流回路50およびフィルタ51)の検出値(E点)は、電源電位(A点)の振幅に比例した振幅を有する。
【0129】
制御電極にHレベルのゲート信号(C点)を受けてnpnトランジスタTr1がオンすることで、IGBTQxのゲート電極の電位(D点)は、直流正母線PL1の電位に応じたHレベルの電位に駆動される。IGBTQxは、ゲート・ソース間電圧が閾値電圧よりも高くなるのに応じてオンする。インバータ10の出力電圧とバイパス交流電源22の電圧とが同期しているため、同期信号の電位(G点)はHレベルを保っている。
【0130】
ここで、時刻t1において、交流電源31において電源電圧が消失する異常が発生した場合を想定する。
【0131】
交流電源31から交流電圧の供給が途絶えると、平滑コンデンサC1に蓄積されたエネルギーが放出されるため、時刻t1以降、直流正母線PL1の電位(B点)が徐々に低下する。これにより、npnトランジスタTr1のコレクタ・エミッタ間電圧も徐々に低下する。
【0132】
時刻t1以降、電圧検出器の検出値(E点)も徐々に低下する。異常検出回路42は、検出値が第1の基準値VL以下になると(時刻t2)、交流電源31が異常であると判定し、切替指令生成回路44(図8)に対してHレベルの異常検出信号を出力する(F点)。
【0133】
切替指令生成回路44(図8)においては、異常検出回路42からHレベルの異常検出信号を受けることにより、Hレベルの切替セット指令が生成される。このHレベルの切替セット指令を受けて、出力スイッチオン指令の電位(J点)はHレベルからLレベルに遷移する(時刻t3)。
【0134】
Hレベルの切替セット指令が生成されることで、さらに、半導体スイッチオン指令の電位(H点)がLレベルからHレベルに遷移する。また、ゲートオフ指令の電位(I点)がLレベルからHレベルに遷移する。ただし、ゲートオフ指令の電位(I点)は、半導体スイッチオン指令の電位(H点)がHレベルとなる時刻t3から、オンディレイ回路66の遅延時間に相当する時間遅れた時刻t4においてHレベルに遷移する。
【0135】
ゲートオフ指令の電位(I点)がHレベルになったことにより(時刻t4)、ゲート信号の電位(C点)はHレベルからLレベルに遷移する。ゲートドライバ30AのnpnトランジスタTr1の制御電極にLレベルのゲート信号が入力されることにより、npnトランジスタTr1がオフされる。これにより、IGBTQxのゲート電位(D点)がLレベルとなり、IGBTQxはオフされる。
【0136】
図9に示すように、ゲート駆動回路30の電源異常が検出されると(時刻t2)、出力スイッチオン指令がLレベルになり、かつ、半導体スイッチオン指令がHレベルになることにより、出力スイッチ14がオフされ、半導体スイッチ15がオンされる。これにより、無停電電源装置1はインバータ給電モードからバイパス給電モードへ移行する。npnトランジスタTr1の制御電極に印加されるゲート信号は、半導体スイッチ15がオンされる時刻t3より後の時刻t4までHレベルに保持されている。
【0137】
したがって、交流電源31の電源電圧が消失した時刻t1以降において、ゲート信号がHレベルに保持される期間、npnトランジスタTr1のコレクタ・エミッタ間電圧を保持することができれば、半導体スイッチ15がオンされる時刻t3まで、npnトランジスタTr1をオン状態に保つことができる。
【0138】
本実施の形態では、ゲート駆動回路30の電源回路30Bにおいて、平滑コンデンサC1,C2の各々に、容量の大きいコンデンサが用いられる。平滑コンデンサC1,C2の容量は、交流電源31の電源電圧が消失してからゲート信号がHレベルに保持される期間(図9の時刻t1〜t4の期間)、npnトランジスタTr1のコレクタ・エミッタ間電圧を補償するためのエネルギーを蓄えることができる容量に設定されている。平滑コンデンサC1,C2は、例えば電解コンデンサである。ただし、npnトランジスタTr1のコレクタ・エミッタ間電圧を補償するためのエネルギーを蓄えることができれば、平滑コンデンサC1,C2はフィルムコンデンサであってもよい。
【0139】
これによると、交流電源31が消失しても、Hレベルのゲート信号に応じてIGBTQxのゲート電位(D点)がHレベルに維持されるため、電源異常が発生した時刻t1から半導体スイッチ15がオンされる時刻t3までの期間において、IGBTQxが誤動作することを防止することができる。したがって、IGBTQxの誤動作を発生させることなく、無停電電源装置1をバイパス給電モードへ移行させることができる。
【0140】
なお、インバータ10の出力電圧とバイパス交流電源22の電圧とが同期していない場合には、同期信号の電位(G点)がLレベルとなるため、切替指令生成回路44では、Hレベルの異常検出信号を受けてHレベルの切替セット指令が生成されると、ゲートオフ指令の電位(I点)がHレベルに遷移した後、オンディレイ回路68の遅延時間に相当する時間遅れて、半導体スイッチオン指令の電位(H点)がHレベルに遷移することになる。
【0141】
これは、インバータ10の出力電圧とバイパス交流電源22の電圧とが非同期である場合、例えばインバータ10の出力電圧とバイパス交流電源22の電圧とで位相が180°ずれている状態で出力スイッチ14がオフされ、半導体スイッチ15がオンされると、負荷24に過電圧が印加されて負荷24が故障してしまう可能性があるためである。そこで、図9に示すように、オンディレイ回路68で設定された遅延時間の経過後に半導体スイッチ15をオンすることで、瞬断が生じるものの、負荷24に過電圧が印加されることを抑制している。このような場合であっても、電源異常が発生した時刻から出力スイッチ14がオフされる時刻までの期間において、IGBTQxのゲート電位をHレベルに保つことができるため、半導体スイッチ15がオンされる時刻までにIGBTQxの誤動作を防止することができる。
【0142】
以上説明したように、本実施の形態に従う無停電電源装置によれば、インバータ給電モード時において、ゲート駆動回路30の電源異常が検出されてから半導体スイッチ15がオンされるまでの期間、スイッチング素子のゲート電位を保持することができる。これにより、スイッチング素子の誤動作を発生させることなく、無停電電源装置をバイパス給電モードへ移行させることができる。
【0143】
[変更例]
次に、図10および図11を用いて、本実施の形態に従う無停電電源装置1の変更例について説明する。
【0144】
図10は、図6に示した異常検出回路42の第1の変更例を示すブロック図である。
図10を参照して、第1の変更例に従う異常検出回路42は、図7に示した異常検出回路42と比較して、比較器52,53および論理和回路54に代えて、シャント抵抗R2および比較器56を有する点が異なる。
【0145】
シャント抵抗R2は、電源回路30Bにおいて交流電源31およびトランス32の一次巻線の間に電気的に接続される。シャント抵抗R2は、交流電源31およびトランス32の一次巻線の間を流れる電流に応じた電圧を発生させる。シャント抵抗R2に高電流が流れると、シャント抵抗R2の端子間の電圧が大きくなる。シャント抵抗R2の端子間に発生した電圧は整流回路50に入力される。
【0146】
整流回路50は、シャント抵抗R2の電圧を全波整流してフィルタ51へ出力する。フィルタ51は、整流回路50によって整流された電圧の高周波成分を除去する。フィルタ51の出力電圧は、シャント抵抗R2の電圧の振幅相当の直流電圧に保持される。シャント抵抗R2、整流回路50およびフィルタ51は、交流電源31から供給される電流を検出するための「電流検出器」を構成する。
【0147】
比較器56は、フィルタ51の出力電圧と基準値Vthとを比較して、比較結果を示す信号を出力する。基準値Vthは、交流電源31の供給電流が過電流であるときにシャント抵抗R2に生じる電圧の振幅値に設定されている。フィルタ51の出力電圧が基準値Vthよりも大きい場合、比較器56の出力信号はHレベルとなる。一方、フィルタ51の出力電圧が基準値Vth以下の場合、比較器56の出力信号はLレベルとなる。比較器56の出力信号は異常検出信号として切替指令生成回路44(図8)に与えられる。
【0148】
このようにして交流電源31の供給電流が過電流であるときには、異常検出回路42は、ゲート駆動回路30の交流電源31が異常であると判定し、切替指令生成回路44に対してHレベルの異常検出信号を出力する。切替指令生成回路44は、図8で説明したように、Hレベルの異常検出信号を受けると、Hレベルのゲートオフ指令およびHレベルの半導体スイッチオン指令を生成するとともに、Lレベルの出力スイッチオン指令を生成する。
【0149】
一方、交流電源31の供給電流が正常であるときには、異常検出回路42は、ゲート駆動回路30の交流電源31が正常であると判定し、切替指令生成回路44に対してLレベルの異常検出信号を出力する。
【0150】
論理和回路55は、比較器56が出力する異常検出信号および制御指令生成回路40(図6)が出力する電源停止指令を受けて、それらの論理和を演算する。論理和回路55の演算結果は電源停止指令として、ゲート駆動回路30へ出力される。これによると、制御指令生成回路40によりHレベルの電源停止指令が生成されたとき、または、異常検出回路42によりHレベルの異常検出信号が生成されたとき(交流電源31の異常が検出されたときに相当)、ゲート駆動回路30にはHレベルの電源停止指令が与えられることになる。ゲート駆動回路30は、Hレベルの電源停止指令を受けると、電源回路30Bからゲートドライバ30Aへの給電を停止する。
【0151】
図11は、図6に示した異常検出回路42の第2の変更例を示すブロック図である。
図11を参照して、第2の変更例に従う異常検出回路42は、複数のゲート駆動回路30の間で共有されている。第2の変更例に従う異常検出回路42の構成は、図6に示した異常検出回路42と同じである。
【0152】
本変更例では、複数のゲート駆動回路30の間で交流電源31が共有されている。そのため、この交流電源31の異常を検出する異常検出回路42も複数のゲート駆動回路30の間で共有することができる。これによると、無停電電源装置1に含まれる複数のIGBTに対して、交流電源31および異常検出回路42を各々1台ずつ設ければ足りることから、無停電電源装置1の小型化および低コスト化に貢献することができる。
【0153】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0154】
1 無停電電源装置、2,8,14 電磁接触器、3,11 電流検出器、4,9,13 コンデンサ、5,12 リアクトル、6 コンバータ、7 双方向チョッパ、10 インバータ、15 半導体スイッチ、17 操作部、18 制御装置、19 制御電源、21 商用交流電源、22 バイパス交流電源、23 電力貯蔵装置、24 負荷、30,100 ゲート駆動回路、30A,100A ゲートドライバ、30B,100B 電源回路、31 交流電源、32 トランス、33 整流器、40 制御指令生成回路、42 異常検出回路、44 切替指令生成回路、46,64,65,70 論理積回路、50 整流回路、521 フィルタ、52,53,56 比較器、54,55,60,67,69 論理和回路、62 Dフリップフロップ、63 RSフリップフロップ、66,68 オンディレイ回路、Tr1 npnトランジスタ、Tn2 pnpトランジスタ、R1 ゲート抵抗、R2 シャント抵抗、Q1〜Q6,Q11〜Q16,Qx IGBT(スイッチング素子)、D1〜D6,D11〜D16,Dx ダイオード、C1,C2,C10,C20 平滑コンデンサ、PL1 直流正母線、CL1 直流中性点母線、NL1 直流負母線、L1,L2 直流ライン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】