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再表2019-65827ラジアルギャップ型回転電機及びその製造方法、回転電機用ティース片の製造装置、回転電機用ティース部材の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年4月4日
【発行日】2019年12月26日
(54)【発明の名称】ラジアルギャップ型回転電機及びその製造方法、回転電機用ティース片の製造装置、回転電機用ティース部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/14 20060101AFI20191129BHJP
   H02K 16/02 20060101ALI20191129BHJP
   H02K 1/22 20060101ALI20191129BHJP
   H02K 21/16 20060101ALI20191129BHJP
   H02K 21/22 20060101ALI20191129BHJP
【FI】
   H02K1/14 Z
   H02K16/02
   H02K1/22 A
   H02K21/16 M
   H02K21/22 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
【出願番号】特願2019-545606(P2019-545606)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年9月27日
(31)【優先権主張番号】特願2017-190456(P2017-190456)
(32)【優先日】2017年9月29日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】榎本 裕治
【テーマコード(参考)】
5H601
5H621
【Fターム(参考)】
5H601AA09
5H601AA26
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD03
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601DD22
5H601DD42
5H601DD48
5H601GA02
5H601GA24
5H601GA32
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GB48
5H601GC02
5H601GC12
5H601GC22
5H601HH02
5H601KK01
5H601KK13
5H601KK21
5H601KK22
5H621BB02
5H621BB07
5H621BB10
5H621GA04
5H621HH01
5H621JK05
(57)【要約】
高い効率を実現でき、かつ、生産性に優れたアモルファス金属を使用したラジアルギャップ型回転電機及びその製造方法、回転電機用ティース片の製造装置、回転電機用ティース部材の製造方法を提供する。
本発明のラジアルギャップ型回転電機は、回転軸と、回転軸の周りを回転可能な内周側回転子鉄心(31a)及び内周側回転子鉄心の外周側に配置され、回転軸の周りを回転可能な外周側回転子鉄心(31b)を有する回転子(102)と、内周側回転子鉄心(31a)と外周側回転子鉄心(31b)との間に設けられた固定子(101)とを備え、内周側回転子鉄心(31a)の外周側の表面及び外周側回転子鉄心(31b)の内周側の表面の少なくとも一方に永久磁石(22,23)が設けられ、固定子(101)は、アモルファス金属箔帯片が互いの摩擦で保持された積層体からなるティースを含む固定子鉄心を有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸の周りを回転可能な内周側回転子鉄心及び前記内周側回転子鉄心の外周側に配置され、前記回転軸の周りを回転可能な外周側回転子鉄心を有する回転子と、
前記内周側回転子鉄心と前記外周側回転子鉄心との間に設けられた固定子とを備え、
前記内周側回転子鉄心の外周側の表面及び前記外周側回転子鉄心の内周側の表面の少なくとも一方に永久磁石が設けられ、
前記固定子は、アモルファス金属箔帯片が互いの摩擦で保持された積層体からなるティースを含む固定子鉄心を有することを特徴とするラジアルギャップ型回転電機。
【請求項2】
前記固定子鉄心は、平面視で台形形状を有するアモルファス金属箔帯片が前記回転軸の軸方向に積層された積層体からなる前記ティースと、前記積層体を保持する樹脂製のボビンと、前記ボビンの外側に、前記積層体の積層方向に沿って巻き回されたコイル導体とを有するティース部材を有し、
複数の前記ティース部材が円環状に配置され、樹脂によってモールドされたものであることを特徴とする請求項1に記載のラジアルギャップ型回転電機。
【請求項3】
隣接する前記樹脂製のボビンの間に前記コイル導体が保持されていることを特徴とする請求項2に記載のラジアルギャップ型回転電機。
【請求項4】
前記ティースの前記回転軸側の端部が前記樹脂製のボビンから突出していることを特徴とする請求項2又は3に記載のラジアルギャップ型回転電機。
【請求項5】
前記固定子鉄心の下端部が、前記固定子の筐体と前記樹脂によって一体化されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のラジアルギャップ型回転電機。
【請求項6】
前記外周側回転子鉄心の内周側の表面に永久磁石が設けられ、
前記内周側回転子鉄心と前記固定子鉄心とが一体化されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のラジアルギャップ型回転電機。
【請求項7】
前記内周側回転子鉄心の外周側の表面に永久磁石が設けられ、
前記外周側回転子鉄心と前記固定子鉄心とが一体化されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のラジアルギャップ型回転電機。
【請求項8】
前記永久磁石は、前記内周側回転子鉄心又は前記外周側回転子鉄心の内部に埋め込まれていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のラジアルギャップ型回転電機。
【請求項9】
アモルファス金属箔帯の素材シートを台形形状にせん断する切断ステーションを備え、
前記切断ステーションは、前記アモルファス金属箔帯の素材シートに対して垂直な方向及び前記アモルファス金属箔帯の素材シートの幅方向に対して互いに異なる角度で往復可能なせん断刃を有し、前記せん断刃によって異なる角度の脚部を切断し、台形形状のアモルファス金属箔帯片を作製することを特徴とする回転電機用ティース片の製造装置。
【請求項10】
アモルファス金属箔帯の素材シートに対して垂直な方向及び前記アモルファス金属箔帯の素材シートの幅方向に対して互いに異なる角度で往復可能なせん断刃によって異なる角度の脚部を切断し、台形形状のアモルファス金属箔帯片を作製する切断工程と、
前記台形形状のアモルファス金属箔帯片を積層してティースを作製する積層工程と、
前記ティースをボビンに挿入し、コイル導体を巻回してティース部材を作製する挿入保持工程とを有することを特徴とする回転電機用ティース部材の製造方法。
【請求項11】
回転軸と、
前記回転軸の周りを回転可能な内周側回転子鉄心及び前記内周側回転子鉄心の外周側に配置され、前記回転軸の周りを回転可能な外周側回転子鉄心を有する回転子と、
前記内周側回転子鉄心と前記外周側回転子鉄心との間に設けられた固定子とを備え、
前記内周側回転子鉄心の外周側の表面及び前記外周側回転子鉄心の内周側の表面の少なくとも一方に永久磁石が設けられ、
前記固定子は、アモルファス金属箔帯片が互いの摩擦で保持された積層体からなるティースを含む固定子鉄心を有するラジアルギャップ型回転電機の製造方法において、
前記固定子を、請求項10に記載の前記ティース部材を用いて製造することを特徴とするラジアルギャップ型回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジアルギャップ型回転電機及びその製造方法、回転電機用ティース片の製造装置、回転電機用ティース部材の製造方法に関し、特に鉄心にアモルファス金属を使用したラジアルギャップ型回転電機及びその製造方法、回転電機用ティース片の製造装置、回転電機用ティース部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業機械の動力源や自動車駆動用として用いられる回転電機(モータ)は、高効率化が求められる。モータの高効率化は、使用する材料に低損失な物を利用したり、高エネルギー積の永久磁石を用いたりする設計が一般的である。
【0003】
モータの損失は、主に銅損と鉄損及び機械損からなり、要求仕様の出力特性(回転数とトルク)が決まると、機械損は一意に決まるため、鉄損と銅損を低減する設計が重要となる。銅損は、主にコイルの抵抗値と電流の関係で決まり、冷却によってコイル抵抗値の低減や、磁石の残留磁束密度の低下を抑えるような設計を行う。鉄損は、使用する軟磁性材料によって低減が可能である。一般的なモータでは鉄心部分には電磁鋼板が採用されており、その厚みやSiの含有量などによって損失レベルが異なるものが利用されている。
【0004】
軟磁性材料には、電磁鋼板よりも透磁率が高く、鉄損が低い鉄基アモルファス金属や、鉄基ナノ結晶合金等の高機能材料が存在するが、これらの材料系では、その板厚が0.025mmと非常に薄く、また、ビッカース硬度が900程度であり、電磁鋼板の5倍以上に硬い等、モータを効率よく安価に製造する上での課題が多い。
【0005】
アモルファス金属をラジアルギャップ型の回転電機に適用した例として、特許文献1がある。特許文献1には、多面体形状を有し且つ複数のアモルファス金属ストリップ層を含む、高効率の電動モータで使用するためのバルクアモルファス金属磁気構成要素が開示されている。特許文献1には、アモルファス金属ストリップ材料を所定の長さを持つ複数の切断ストリップに切断し、これを積み重ねたアモルファス金属ストリップ材料のバーを形成し、アニール処理を施した後、積み重ねたバーをエポキシ樹脂で含浸し、硬化させ、積み重ねたバーを所定の長さに切断し、所定の立体的形状を持つ多面形形状の複数の磁気構成要素を提供する方法が提案されている。
【0006】
また、特許文献2には、アモルファス薄板材から鉄心片を打抜き積層しアモルファス積層鉄心を製造する方法において、アモルファス薄板材から鉄心片の所要箇所を打抜き形成するとともに連結用穴を形成し、鉄心片をダイ孔に外形抜きし、ダイ孔を下方から臨み進退自在な受け台上に所望の厚さまで積層し、受け台をダイ孔の下方より後退させるとともに該受け台に積層された積層鉄心を把持拘束し、該積層鉄心の連結用穴に接着連結剤を注入充填し連結することを特徴とするアモルファス積層鉄心の製造方法が開示されている。特許文献2では、電磁鋼板でモータのコアをプレス打抜きするのと同様に順送金型によって、所定のモータコア形状を打抜きする例が示されている。この例では、打抜きで形状加工はできるが、アモルファス箔帯が薄すぎるために電磁鋼板で実現されている板間のカシメ締結が出来ないため、治具に積層された状態で接着剤をコアの所定の穴に注入して積層固着する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−21919号公報
【特許文献2】特開2003−309952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した特許文献1及び2に示されるラジアルギャップ型回転電機へのアモルファス金属の適用方法は、その製造に特殊な機械加工を行うための装置や、加工に時間がかかりすぎるなどの課題がある。
【0009】
さらに、特許文献2ではアモルファス金属をプレスして積層しているが、アモルファス金属は厚みが電磁鋼板の1/10以下であるため、10倍のプレス回数が必要となる。また、アモルファス金属は、電磁鋼板の5倍は硬いため金型に与える影響が5倍となる。したがって、電磁鋼板に比べて、金型への影響は50倍以上となり、通常は約200万回毎に金型の再研磨を行いながら製造を行うが、再研磨までの回数が1/50以下となるために大幅に製造コストの上昇を招いてしまう。1分間に180SPM(shot per minutes)のスピードでプレスを行なった場合では、約1ヶ月で200万回を迎えるが、同一速度でプレスを行った場合には、生産タクトは枚数の関係から10倍かかり、金型の再研磨は、1日たたないで研磨しなければならないことになる。加えて大型の金型のダイ、パンチの研磨には、プレス装置からの金型積み降ろしなどの手間も含めて多くの工数がかかるため、この条件での生産は現実的でない事がわかる。
【0010】
以上述べた通り、アモルファス金属を用いたラジアルギャップ型のモータの製造について、実用レベルで製造できる構造とその製造装置及び製造方法が見出されていないのが実情であった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、高い効率を実現でき、かつ、生産性に優れたアモルファス金属を使用したラジアルギャップ型回転電機及びその製造方法、回転電機用ティース片の製造装置、回転電機用ティース部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するため、回転軸と、回転軸の周りを回転可能な内周側回転子鉄心及び内周側回転子鉄心の外周側に配置され、回転軸の周りを回転可能な外周側回転子鉄心を有する回転子と、内周側回転子鉄心と外周側回転子鉄心との間に設けられた固定子とを備え、内周側回転子鉄心の外周側の表面及び外周側回転子鉄心の内周側の表面の少なくとも一方に永久磁石が設けられ、上記固定子は、アモルファス金属箔帯片が互いの摩擦で保持された積層体からなるティースを含む固定子鉄心を有することを特徴とするラジアルギャップ型回転電機を提供する。
【0013】
また、本発明は、上記課題を解決するため、アモルファス金属箔帯の素材シートを台形形状にせん断する切断ステーションを備えた回転電機用ティース片の製造装置を提供する。上記切断ステーションは、アモルファス金属箔帯の素材シートに対して垂直な方向及びアモルファス金属箔帯の素材シートの幅方向に対して互いに異なる角度で往復可能なせん断刃を有し、このせん断刃によって異なる角度の脚部を切断し、台形形状のアモルファス金属箔帯片を作製する。
【0014】
また、本発明は、上記課題を解決するため、アモルファス金属箔帯の素材シートに対して垂直な方向及びアモルファス金属箔帯の素材シートの幅方向に対して互いに異なる角度で往復可能なせん断刃によって異なる角度の脚部を切断し、台形形状のアモルファス金属箔帯片を作製する切断工程と、台形形状のアモルファス金属箔帯片を積層してティースを作製する積層工程と、ティースをボビンに挿入し、コイル導体を巻回してティース部材を作製する挿入保持工程とを有することを特徴とする回転電機用ティース部材の製造方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、上記課題を解決するため、回転軸と、回転軸の周りを回転可能な内周側回転子鉄心及び内周側回転子鉄心の外周側に配置され、回転軸の周りを回転可能な外周側回転子鉄心を有する回転子と、内周側回転子鉄心と外周側回転子鉄心との間に設けられた固定子とを備え、内周側回転子鉄心の外周側の表面及び外周側回転子鉄心の内周側の表面の少なくとも一方に永久磁石が設けられ、固定子は、アモルファス金属箔帯片が互いの摩擦で保持された積層体からなるティースを含む固定子鉄心を有するラジアルギャップ型回転電機の製造方法において、固定子を、上記ティース部材を用いて製造することを特徴とするラジアルギャップ型回転電機の製造方法を提供する。
【0016】
本発明のより具体的な構成は、特許請求の範囲に記載される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高い効率を実現でき、かつ、生産性に優れたアモルファス金属を使用したラジアルギャップ型回転電機及びその製造方法、回転電機用ティース片の製造装置、回転電機用ティース部材の製造方法を提供することができる。
【0018】
上述した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】本発明のラジアルギャップ型回転電機の第一の例を示す斜視図
図1B図1Aの縦断面図
図2A図1Aの固定子を示す斜視図
図2B図2Aの横断面図
図3A図2Aの固定子鉄心をより詳細に示す斜視図
図3B図3Aのティース部材を拡大する模式図
図4A】ティース1の上面を模式的に示す図
図4B】ティース1及び樹脂製ボビンを模式的に示す斜視図
図4C】ティース1及び樹脂製ボビンを模式的に示す斜視図
図5A】本発明のラジアルギャップ型回転電機を構成する回転子の一例を示す斜視図
図5B】本発明のラジアルギャップ型回転電機を構成する回転子の一例を示す斜視図
図5C図5Aの縦断面図
図6】本発明のラジアルギャップ型回転電機の第一の例の一部の上面図
図7】本発明のラジアルギャップ型回転電機の第二の例を示す上面図
図8】本発明のラジアルギャップ型回転電機の第三の例を示す上面図
図9】本発明のラジアルギャップ型回転電機の第四の例を示す上面図
図10A】アモルファス金属の素材シートを切断する装置の一例を模式的に示す斜視図
図10B図10Aの上面図
図11】アモルファス金属箔帯の素材シートを模式的に示す上面図
図12A】従来のラジアルギャップ型モータ(インナーロータ型)の構造を示す模式図
図12B図12Aの横断面図
図13A】従来のラジアルギャップ型モータ(アウターロータ型)の構造を示す模式図
図13B図13Aの横断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
本発明のラジアルギャップ型回転電機の説明に先立ち、従来のラジアルギャップ型回転電機の構成について説明する。図12Aは従来のラジアルギャップ型モータ(インナーロータ型)の構造を示す模式図であり、図12B図12Aの横断面図である。図12A及び図12Bに示すように、ラジアルギャップ型モータ200は一般的な円筒形状を有している。外側部分に放熱フィンが設けられたハウジング10の軸方向中心部に、固定子鉄心(固定子コア)11が配置される。
【0022】
固定子鉄心11のスロット部分には、ティース部分に巻き線された固定子コイル12が実装され、その固定子の内側には永久磁石13及び回転子鉄心(磁性体コア)14を備えた回転子が、ベアリング18を介して回転可能に保持されている。ベアリング18は、ハウジングの軸方向両端に設けられたエンドブラケット19で保持され、回転子の軸方向、および、重力方向の保持を行っている。回転子の中心には、回転軸(シャフト)17が取り付けられており、フロント側のエンドブラケット19の穴を貫通して、出力軸が構成されている。
【0023】
図12Bに示すように、シャフト17の周囲には回転子鉄心14が配置され、その表面には永久磁石13が配置されている。図12Bは8極構造を図示しており、N極磁石13(N)とS極磁石13(S)が交互に配置される構造となっている。
【0024】
固定子鉄心は軟磁性材料からなり、一般的には、電磁鋼板が利用され、プレス金型によって打ち抜き、積層されて構成される。アモルファス金属は、電磁鋼板よりも損失が大幅に小さく、モータの高効率化に寄与できる材料であるが、上述したように硬度が非常に高いため、図示のようなスロット型のモータコアをプレスで打ち抜いて積層することが困難である。このため、図12A及び図12Bに示す構造を有する回転電機にアモルファス金属を適用することは困難である。
【0025】
図13Aは従来のラジアルギャップ型モータ(アウターロータ型)の構造を示す模式図であり、図13B図13Aの横断面図である。図13A及び図13Bに示すように、回転電機300は、ハウジング兼ベアリングホルダー10の外側に、固定子鉄心11が圧入、又は焼嵌め等によって設けられている。ハウジングには、2つのベアリング18が保持され、回転子鉄心と結合されたシャフトが回転可能に保持されている。固定子鉄心11には巻き線12が施され、固定子が電磁石となるように構成される。回転子は、カップ状のコアの内側に永久磁石13が配置されている。図13A及び13Bには、8極構造を図示しており、N極磁石13(N)とS極磁石13(S)が交互に配置される構造となっている。
【0026】
固定子鉄心は軟磁性材料からなり、一般的には、電磁鋼板が利用され、プレス金型によって打ち抜き、積層されて構成される。アモルファス金属は、電磁鋼板よりも損失が大幅に小さく、モータの高効率化に寄与できる材料であるが、上述したように硬度が非常に高いため、図示のようなスロット型のモータコアをプレスで打ち抜いて積層することが困難である。このため、図13A及び図13Bに示す構造を有する回転電機にアモルファス金属を適用することは困難である。
【0027】
[ラジアルギャップ型回転電機]
続いて、本発明のラジアルギャップ型回転電機について説明する。本発明のラジアルギャップ型回転電機は、アモルファス金属を適用可能な構成を有するものである。図1Aは本発明のラジアルギャップ型回転電機の第一の例を示す斜視図であり、図1B図1Aの縦断面図である。図1A及び図1Bに示すように、ラジアルギャップ型回転電機100は、一端に開口部を有するカップ形状の固定子101と、この固定子101の開口部を覆うカップ形状の回転子102とを有する。
【0028】
回転軸(シャフト)37は、ベアリング38によって回転可能に保持されている。回転子102は、固定子101に対して間隙(ギャップ)を有しつつ、回転軸37の周りを回転可能な構成を有する。以下に、固定子101及び回転子102の構成について詳述する。
【0029】
図2A図1Aの固定子101を示す斜視図であり、図2B図2Aの縦断面図である。図2A及び図2Bに示すように、固定子101は、図1Bに示すベアリング38を保持するベアリング保持部26と、円環形状の固定子鉄心25と、固定子鉄心25を保持する固定子ベース20とを有する。図2Bに示すように、ベアリング保持部26は、ベアリング保持板27によって固定子の筐体である固定子ベース20に固定されている。固定子鉄心25は、アモルファス金属箔帯から形成された台形形状のアモルファス金属箔帯片の積層体からなるティース1を有する。なお、固定子鉄心25の下端部が、固定子の筐体(固定子ベース20)と樹脂によって一体化されている構成としている。
【0030】
図3A図2Aの固定子鉄心25をより詳細に示す斜視図であり、図3B図3Aのティース部材50を拡大する模式図である。図3Aに示すように、固定子鉄心25は、ティース部材50が円環状に複数個(図3Aでは48個)配列され、樹脂モールドによって固定されたものである。固定子鉄心25は、図2A及び2Bに示す固定子ベース20に樹脂モールドによって固定される。なお、固定子ベース20が樹脂モールドと一体化されていても良い。
【0031】
図3Bに示すように、ティース部材50は、台形形状のアモルファス金属箔帯片を複数枚積み重ねた積層体からなるティース1と、ティース1を保持する樹脂製のボビン3と、樹脂製のボビン(樹脂ボビン)3に巻回されたコイル導体4とを有する。つまり、図3A及び図3Bに示されるように、複数配置された樹脂製のボビン3の間にコイル導体4が保持されている構造となる。図3Bでは、コイル導体4は、集中巻で8回巻としているが、分布巻や、細線の多数巻でもよい。樹脂ボビン3の表面に突起301等を設けることよって、隣接するティース部材50同士の位置決めを行うことができるようにしてもよい。このような構成とすることで、各ティース部材50の周方向の位置精度を高くすることができる。
【0032】
図4Aはティース1の上面を模式的に示す図である。また、図4B及び図4Cはティース1及び樹脂製のボビン3を模式的に示す斜視図である。図4A図4Cに示すように、ティース1は、アモルファス金属箔帯片を複数枚積層した積層体が樹脂ボビン3に挿入され、積層体の積み厚方向の摩擦で保持されている構成を有する。つまり、金属箔帯にアモルファスを用い、それを1枚1枚積層することにより生じる金属箔帯片の積層表面間の摩擦により、各金属箔帯片間がずれ難くなり、特別に接着剤などを用いずとも、保持できる。よって、複数枚のアモルファス金属箔帯片がばらばらとならないように構成される。例えば、厚さ0.025mmのアモルファス金属箔帯片を回転軸方向に1200枚積層し、高さh≒30mmとした積層体をティース1として使用することができる。
【0033】
図4Aに示すように、ティース1を構成するアモルファス金属箔帯片は、一対の底辺(長辺1aと短辺1b)が平行で、長辺と短辺との間の一対の辺(脚部1c)がなす角度θは、固定子鉄心の一周360°を固定子鉄心のスロット数で除した角度を有する。例えば、スロット数を48とすると、θ=360°÷48=7.5°となる。
【0034】
図4Cに示すように、アモルファス金属箔帯片の先端が樹脂ボビンからはみ出る構成を有していてもよい。このように構成することで、はみ出した部分が樹脂モールドで覆われ、積層体を構成するアモルファス金属箔帯片を確実に固定することができる。
【0035】
アモルファス金属の材料に特に限定は無いが、例えば日立金属株式会社製のMetglas 2605HB1M(組成:Fe−Si−B)、Metglas 2605SA1(組成:Fe−Si−B)、Metglas 2605S3A(組成:Fe−Si−B−Cr)及びMetglas 2705M(組成:Co−Fe−Ni−Si−B−Mo)を用いることが好ましい。上述した「Metglas」は、日立金属株式会社のグループ会社であるMetglas Incorporatedの登録商標である。
【0036】
図5A及び図5Bは本発明のラジアルギャップ型回転電機を構成する回転子102を示す斜視図であり、図5C図5Aの縦断面図である。図5Aはカップ形状を有する回転子鉄心31の内側を見た図面であり、図5Bはカップ形状を有する回転子鉄心31の外側を見た図面である。
【0037】
図5Aに示すように、回転子鉄心31は、内周側の回転子鉄心31aと、外周側の回転子鉄心31bを有する。内周側の回転子鉄心31aと外周側の回転子鉄心31bは、両者の間にギャップを有し、それぞれ回転軸37の周りを回転可能な構成を有している。このような構成を有する回転電機は、「デュアルギャップ型」とも称される。
【0038】
カップ形状を有する回転子102の内側には、内周側の回転子鉄心31aを保持するためのリング状保持部材32が設けられている。このリング状保持部材32に、内周側の回転子鉄心31aに設けられる軟磁性体21及び永久磁石(回転子磁石)22が実装されている。また、その外側には外周側の回転子鉄心31bに設けられる軟磁性体24及び永久磁石(回転子磁石)23が実装されている。さらに、カップ状の回転子102の中央部には回転軸37を配置する構造となっている。それぞれの部材は、ネジ等を用いた締結、接着、溶接や、部分によっては圧入や焼嵌め等の方法でも固定が可能である。また、回転子102に配置される軟磁性体21,24は、電磁鋼板等の積層体でも良いが、直流界磁源の継鉄であるため、シャフト等の鉄塊でも良い。
【0039】
図6は本発明のラジアルギャップ型回転電機の第一の例を示す上面図である。上述した固定子101及び回転子102を組み合わせて図8の構成を形成する。回転子102の永久磁石22の外側は、固定子101との間にギャップG1を有しながら回転可能な構成を有している。また、回転子102の永久磁石23の内側は、固定子101との間にギャップG2を有しながら回転可能な構成を有している。
【0040】
従来、2ロータ型アキシャルギャップモータにアモルファス金属を適用する技術はあるが、この2ロータ型アキシャルギャップモータは、軸方向にギャップが対向する構造であるため、片側ロータを組み立てる場合に非常に大きな軸方向吸着力が発生する。2枚目のロータを組み立てた後には、吸着力はバランスするが、ギャップ寸法の誤差などによって、片側に吸着力が残るケースが発生する。また、ギャップを同等に管理しながら組立することも難しい構造となっている。また、回転子の径が大きくなり、その回転子に実装された磁石の遠心力に対する保持も難しい構造となる。
【0041】
図6に示す本発明のラジアルギャップ型回転電機では、永久磁石22,23は、あらかじめ回転子として構成されているため、組立時には、固定子の内側と外側ギャップG1、G2が同時に組立てられるので、上述したアキシャルギャップ型モータの場合に課題となっている吸着力を気にせず組立することができる。
【0042】
図7は本発明のラジアルギャップ型回転電機の第二の例を示す上面図である。図7は、インナーロータ型の構造を示している。すなわち、図6の外周側の回転子に永久磁石を設けないことで、インナーロータ型の構造となる。外周側回転子鉄心(外周側ロータ)を内周側回転子鉄心(内周側ロータ)と独立させ、外周側ロータとティースのギャップを無くして外周側回転子鉄心と固定子鉄心を一体とすることで、外周側回転子鉄心と固定子鉄心の一体化部材に対して内周側回転子鉄心(内周側ロータ)が回転するインナーロータモータを構成できる。
【0043】
図8は本発明のラジアルギャップ型回転電機の第三の例を示す上面図である。図8は、図7とは逆に、図6の内周側の回転子に永久磁石を設けないことで、アウターロータ型の構造となる。内周側回転子鉄心(内周側ロータ)を外周側回転子鉄心(外周側ロータ)と独立させ、内周側ロータとティースのギャップを無くして内周側回転子鉄心と固定子鉄心を一体とすることで、内周側回転子鉄心と固定子鉄心の一体化部材に対して外周側回転子鉄心(外周側ロータ)が回転するアウターロータモータを構成できる。
【0044】
図9は本発明のラジアルギャップ型回転電機の第四の例を示す上面図である。図9は、IPM(Interior Permanent Magnet Motor)構造である。これまでに説明した例では、永久磁石は回転子の表面に設けられていたが、電磁鋼板の内部に直方体の永久磁石(埋め込み磁石60)を埋め込み磁石保持部材61に挿入配置する埋め込み磁石型モータとすることもできる。埋め込み磁石60は単体でも良いし、複数個に分割して設けてもよい。また、ここではインナーロータ型を対象に図示したが、アウターロータ型の埋め込み磁石型モータも構成することが可能であり、2つの回転子とも埋め込み磁石型という構造も実施可能である。
【0045】
[回転電機用ティースの製造装置及び製造方法]
次に、上述した台形形状のアモルファス金属箔帯片の積層体を効率的に製造できる装置及び方法について説明する。図10Aは帯状のアモルファス金属の素材シート(アモルファス素材フォープ)を切断する装置の一例を模式的に示す斜視図であり、図10B図10Aの上面図である。図10Aに示すように、切断装置120は、アモルファス金属箔帯の素材シート121を送り出す送りローラ122と、アモルファス金属箔帯の素材シート121を切断する切断ステージ123と、アモルファス金属箔帯の素材シート121を台形形状に切断する切断刃(上刃124a及び下刃124b)と、上刃124aを支持する上プレート125と、切断ステージ123を支持するベースプレート126を有する。
【0046】
アモルファス金属箔帯の素材シート121は、送りローラ122によって等ピッチで切断ステージ123に供給される。切断ステージ123に送り出されたアモルファス金属箔帯の素材シートは、上刃124a及び下刃124bによって脚部がせん断切断され、アモルファス金属箔帯片となってベースプレート126の上に順次連続的に積層されて積層体1を製造する。このような方式によると、切断刃は単純な形状であるので、金型への取り付け取り外しが容易な上、安価で再研磨等のメンテナンスもしやすい。このため、アモルファス金属の硬さや薄さによる製造上の不利益に対して充分に製造コストを抑えて効率的に生産することができる。
【0047】
しかし、一組の切断刃で一様に切断すると、平行四辺形のアモルファス金属箔帯片が出来てしまう。そこで、本発明の製造装置と方法では、図10Bの実線と点線に示すように、それぞれ角度の異なる上刃124a及び下刃124bの一対の切断刃を2組(一方の脚部を切断する刃と他方の脚部を切断する刃)を用意し、上下の切断刃を同期させて1組ごと交互に使用する。図10Aの矢印A方向(アモルファス金属箔帯の素材シートに対して垂直な方向)と、図10Bの矢印B方向(アモルファス金属箔帯の素材シートの幅方向)に移動することで、角度をつけながらの連続的な切断が可能となる。よって、一対の脚部がなす角度がθとなるように切断するだけで台形形状のアモルファス金属箔片を連続的に形成できる。
【0048】
図11はアモルファス金属箔帯の素材シート121を模式的に示す上面図である。上述した製造装置によれば、図11の点線に示す脚部1cを切断するだけで、アモルファス金属箔帯の素材シート121を台形形状に形成し、1枚1枚のアモルファス金属箔帯片とすることができることを示している。
【0049】
また、機械式のカム等を用いて切断ステージ123を動かして角度を付けてアモルファス箔帯を切断することも可能である。さらに、アモルファス金属箔帯を送りローラ122で間欠送りして、間欠送り動作と同期して電動スライドによって上刃124a及び下刃124bを動作させる方法でも充分な生産スピードが期待できる。切断のスピードは、200SPM程度は期待でき、さらに複数枚重ねたアモルファス箔帯の素材シート121を供給することによって、商業的に効果が期待できる製造スピードで生産を行う事ができる。
【0050】
ベースプレート126に積層された積層体1は、積層体1を構成するアモルファス金属箔帯片の枚数管理か、又は重量管理等の方法によって所定の軸方向長(高さ)となるように管理し、整列した後、樹脂製のボビンに挿入することでティースブロックを完成することができる。
【0051】
以上、説明したように、本発明によれば、高い効率を実現でき、かつ、生産性に優れたアモルファス金属を使用したラジアルギャップ型回転電機、その製造方法、回転電機用ティース片の製造装置、回転電機用ティース部材の製造方法を提供できることが実証された。
【0052】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10…ハウジング、11…固定子鉄心、12…固定子コイル、13…永久磁石、14…回転子鉄心、15…筐体、17,37…シャフト、18…ベアリング、19…エンドブラケット、100…ラジアルギャップ型回転電機、101…固定子、102…回転子、1…ティース(アモルファス金属箔帯片の積層体)、3…樹脂製ボビン、4…コイル導体、20…固定子ベース、21,24…軟磁性体、22,23…永久磁石、25…固定子鉄心、26…ベアリング保持部、27…ベアリング保持板、31…回転子鉄心、31a…内周側回転子鉄心、31b…外周側回転子鉄心、32…リング状保持部材、37…回転軸(シャフト)、38…ベアリング、50…ティース部材、60…埋め込み磁石、61…埋め込み磁石保持部材、120…切断装置、121…アモルファス金属箔帯の素材シート、122…送りローラ、123…切断ステージ、124a…上刃、124b…下刃、125…上プレート、126…ベースプレート、130…アモルファス金属箔帯、301…突起。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
【国際調査報告】