特表-19069521IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2019年4月11日
【発行日】2020年9月24日
(54)【発明の名称】診断用X線装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20200828BHJP
【FI】
   A61B6/00 300D
   A61B6/00 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
【出願番号】特願2019-546536(P2019-546536)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2018年7月10日
(31)【優先権主張番号】特願2017-193312(P2017-193312)
(32)【優先日】2017年10月3日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】早川 徹
(72)【発明者】
【氏名】武本 肇
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA17
4C093EC04
4C093EC13
4C093EC55
(57)【要約】
この診断用X線装置(1)では、螺旋状滑車部(63)の半径は、第2ワイヤロープ(67b)にかかるバネ部材(61)の張力と、第1ワイヤロープ(67a)にかかるX線発生部(50)側の重量とが平衡になるように、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体にX線を照射するX線源を含み、鉛直方向に昇降可能なX線発生部と、
前記X線発生部の昇降に伴って伸縮するバネ部材と、
巻き付けられた少なくとも1本の第1ワイヤロープに前記X線発生部側の重量がかかるとともに半径が一定の円状滑車部と、
前記円状滑車部と同軸に回転可能に接続され、巻き付けられた少なくとも1本の第2ワイヤロープに前記バネ部材の張力がかかるとともに半径が螺旋状に変化する螺旋状滑車部とを備え、
前記螺旋状滑車部の半径は、前記第2ワイヤロープにかかる前記バネ部材の張力と、前記第1ワイヤロープにかかる前記X線発生部側の重量とが平衡になるように、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている、診断用X線装置。
【請求項2】
前記螺旋状滑車部の半径は、前記螺旋状滑車部の半径をRとし、前記円状滑車部の半径をrとし、前記X線発生部側の重量をWとし、前記バネ部材のバネ定数をkとし、前記バネ部材の長さの変化量をxとし、前記バネ部材の長さの初期変化量をxとし、前記螺旋状滑車部の回転角度をθとした場合、下記の式(1)に基づいて、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている、請求項1に記載の診断用X線装置。
【数1】
【請求項3】
前記螺旋状滑車部の半径Rを、2次以上の多項式関数、対数関数、および、指数関数のうちのいずれかの近似式により近似して、前記第2ワイヤロープにかかる前記バネ部材の張力と、前記第1ワイヤロープにかかる前記X線発生部側の重量とが平衡になる状態からのずれの力をFとした場合、下記の式(2)において前記ずれの力Fが略ゼロになるように、前記近似式に含まれる係数が定められている、請求項2に記載の診断用X線装置。
【数2】
【請求項4】
前記螺旋状滑車部の半径Rを、下記の式(3)に示される3次の多項式関数により近似するとともに、前記螺旋状滑車部の回転角度の境界条件に基づいて下記の式(3)に含まれる未知の係数a、b、cおよびdの数を減らした状態で、上記の式(2)において前記ずれの力Fが略ゼロになるように、前記近似式に含まれる係数が定められている、請求項3に記載の診断用X線装置。
【数3】
【請求項5】
前記バネ部材と前記螺旋状滑車部との間に設けられ、倍力用滑車部を含む倍力機構部をさらに備え、
前記螺旋状滑車部の半径は、前記螺旋状滑車部の半径をRとし、前記円状滑車部の半径をrとし、前記X線発生部側の重量をWとし、前記バネ部材のバネ定数をkとし、前記バネ部材の長さの変化量をxとし、前記バネ部材の長さの初期変化量をxとし、前記螺旋状滑車部の回転角度をθとし、倍力による定数をCとした場合、下記の式(4)に基づいて、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている、請求項1に記載の診断用X線装置。
【数4】
【請求項6】
前記バネ部材、前記円状滑車部、および、前記螺旋状滑車部が収納される支柱部と、
前記支柱部が取り付けられる診断用X線装置本体部と、
前記診断用X線装置本体部を移動可能にする車輪部とをさらに備える、請求項1に記載の診断用X線装置。
【請求項7】
前記バネ部材、前記円状滑車部、および、前記螺旋状滑車部が収納される支柱部をさらに備え、
前記支柱部が、天井に懸架された状態で配置されている、請求項1に記載の診断用X線装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断用X線装置に関し、特に、昇降可能なX線発生部を備えた診断用X線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、昇降可能なX線発生部を備えた診断用X線装置が知られている。このような診断用X線装置は、たとえば、社団法人日本画像医療システム工業会監修、「医用画像・放射線機器ハンドブック」、改訂第七版、2007年、P.26に開示されている。
【0003】
上記「医用画像・放射線機器ハンドブック」には、鉛直方向に昇降可能なX線発生部を備えるX線管装置が開示されている。このX線管装置では、天井に懸架されるバネ部材と、床面に配置される円状滑車部および螺旋状滑車部と、天井に懸架されるX線発生部とが設けられている。そして、円状滑車部に巻き付けられているワイヤにバネ部材の張力がかかる。また、螺旋状滑車部に巻き付けられているワイヤにX線発生部の重量がかかる。そして、X線発生部の昇降に伴って、ワイヤが螺旋状滑車部に巻き取られる(または、ワイヤが螺旋状滑車部から送り出される)。
【0004】
ここで、螺旋状滑車部の螺旋がアルキメデスの螺旋(回転に比例して半径が増加する螺旋)である場合、X線発生部のいずれの高さ位置においても、円状滑車部に巻き付けられたワイヤにかかるバネ部材の張力と、螺旋状滑車部に巻き付けられたワイヤにかかるX線発生部の重量とが常に釣り合う。その結果、X線発生部をいずれの高さ位置においても静止させることが可能になる。
【0005】
しかしながら、上記「医用画像・放射線機器ハンドブック」のX線管装置では、螺旋状滑車部に巻き付けられたワイヤにX線発生部が接続されているので、X線発生部の昇降に伴って、螺旋状滑車部に巻き付けられたワイヤは、螺旋状滑車部の回転軸線方向に沿って移動するとともに、螺旋状滑車部の回転軸線方向に交差する方向に沿っても移動する。このため、螺旋状滑車部を、X線管装置を支持する支柱部内に配置した場合、螺旋状滑車部のワイヤが巻き取られる部分(送り出される部分)を支柱部から露出させる必要がある。その結果、X線管装置が比較的大型化するという不都合がある。
【0006】
この不都合を解消するために、従来では、螺旋状滑車部に巻き付けられたワイヤにバネ部材の張力がかかるとともに、円状滑車部に接続されたワイヤにX線発生部の重量がかかるX線管装置(つまり、上記「医用画像・放射線機器ハンドブック」のX線管装置において、螺旋状滑車部と円状滑車部との配置を入れ替えた構成)が知られている。この従来のX線管装置では、X線発生部の昇降に伴って、ワイヤは、円状滑車部の回転軸線方向に沿って移動する一方、円状滑車部の回転軸線方向に交差する方向には移動しない。これにより、X線発生部が支持される支柱部から露出させる円状滑車部の部分を大きくする必要はない。その結果、X線管装置が大型化するのを抑制することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献1】社団法人日本画像医療システム工業会監修、「医用画像・放射線機器ハンドブック」、改訂第七版、2007年、P.26
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、螺旋状滑車部に巻き付けられたワイヤロープにバネ部材の張力がかかる従来のX線管装置では、螺旋状滑車部の螺旋が、アルキメデスの螺旋(螺旋状滑車部の回転に比例して半径が増加する螺旋)である場合、螺旋状滑車部にかかるバネ部材の張力と円状滑車部にかかるX線発生部の重量とが釣り合わない場合がある。この場合、使用者がX線発生部を鉛直方向に昇降させる場合に、比較的大きな力を要するという不都合がある。その結果、使用者がX線発生部を鉛直方向に昇降させる場合の負担が増大するという問題点がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、診断用X線装置が大型化するのを抑制しながら、使用者がX線発生部を鉛直方向に昇降させる場合の負担を軽減することが可能な診断用X線装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における診断用X線装置は、被写体にX線を照射するX線源を含み、鉛直方向に昇降可能なX線発生部と、X線発生部の昇降に伴って伸縮するバネ部材と、巻き付けられた第1ワイヤロープにX線発生部側の重量がかかるとともに半径が一定の円状滑車部と、円状滑車部と同軸に回転可能に接続され、巻き付けられた第2ワイヤロープにバネ部材の張力がかかるとともに半径が螺旋状に変化する螺旋状滑車部とを備え、螺旋状滑車部の半径は、第2ワイヤロープにかかるバネ部材の張力と、第1ワイヤロープにかかるX線発生部側の重量とが平衡になるように、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている。なお、「螺旋」とは、巻貝の殻の線のように旋回していることを意味する。
【0011】
この発明の一の局面による診断用X線装置では、上記のように、半径が一定の円状滑車部に巻き付けられた第1ワイヤロープにX線発生部側の重量がかかるので、X線発生部の昇降に伴って、第1ワイヤロープは、円状滑車部の回転軸線方向に沿って移動する一方、円状滑車部の回転軸線方向に交差する方向には移動しない。これにより、露出させる円状滑車部の部分を大きくする必要はないので、診断用X線装置が大型化するのを抑制することができる。また、螺旋状滑車部の半径を、第2ワイヤロープにかかるバネ部材の張力と、第1ワイヤロープにかかるX線発生部側の重量とが平衡になるように、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径(螺旋状に変化する半径)に設定することによって、第2ワイヤロープにかかるバネ部材の張力と、第1ワイヤロープにかかるX線発生部側の重量とが平衡(または、平衡に近い状態)になるので、使用者は、比較的小さな力でX線発生部を鉛直方向に昇降させることができる。その結果、使用者がX線発生部を鉛直方向に昇降させる場合の負担を軽減することができる。これにより、診断用X線装置が大型化するのを抑制しながら、使用者がX線発生部を鉛直方向に昇降させる場合の負担を軽減することができる。
【0012】
上記一の局面による診断用X線装置において、好ましくは、螺旋状滑車部の半径は、螺旋状滑車部の半径をRとし、円状滑車部の半径をrとし、X線発生部側の重量をWとし、バネ部材のバネ定数をkとし、バネ部材の長さの変化量をxとし、バネ部材の長さの初期変化量をxとし、螺旋状滑車部の回転角度をθとした場合、下記の式(1)に基づいて、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている。
【数5】
このように構成すれば、式(1)を満たすように螺旋状滑車部の半径R(螺旋状に変化する半径)を設定する(アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定する)ことにより、容易に、第2ワイヤロープにかかるバネ部材の張力と、第1ワイヤロープにかかるX線発生部側の重量とを平衡にすることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、螺旋状滑車部の半径Rを、2次以上の多項式関数、対数関数、および、指数関数のうちのいずれかの近似式により近似して、第2ワイヤロープにかかるバネ部材の張力と、第1ワイヤロープにかかるX線発生部側の重量とが平衡になる状態からのずれの力をFとした場合、下記の式(2)においてずれの力Fが略ゼロになるように、近似式に含まれる係数が定められている。
【数6】
このように構成すれば、式(1)に基づいて厳密に螺旋状滑車部の半径Rを設定することができない場合でも、近似式を用いて、第2ワイヤロープにかかるバネ部材の張力と、第1ワイヤロープにかかるX線発生部側の重量とが略平衡になる螺旋状滑車部の半径R(螺旋状に変化する半径)を設定することができる。
【0014】
上記螺旋状滑車部の半径Rを近似式により近似する診断用X線装置において、好ましくは、螺旋状滑車部の半径Rを、下記の式(3)に示される3次の多項式関数により近似するとともに、螺旋状滑車部の回転角度の境界条件に基づいて下記の式(3)に含まれる未知の係数a、b、cおよびdの数を減らした状態で、上記の式(2)においてずれの力Fが略ゼロになるように、近似式に含まれる係数が定められている。
【数7】
このように構成すれば、螺旋状滑車部の半径Rを2次の多項式関数により近似する場合に比べて、より精度よく、第2ワイヤロープにかかるバネ部材の張力と、第1ワイヤロープにかかるX線発生部側の重量とが平衡になる螺旋状滑車部の半径Rを設定することができる。また、未知の係数a、b、cおよびdの数が、螺旋状滑車部の回転角度の境界条件に基づいて減らされているので、未知の係数の算出を容易に行うことができる。
【0015】
上記一の局面による診断用X線装置において、好ましくは、バネ部材と螺旋状滑車部との間に設けられ、倍力用滑車部を含む倍力機構部をさらに備え、螺旋状滑車部の半径は、螺旋状滑車部の半径をRとし、円状滑車部の半径をrとし、X線発生部側の重量をWとし、バネ部材のバネ定数をkとし、バネ部材の長さの変化量をxとし、バネ部材の長さの初期変化量をxとし、螺旋状滑車部の回転角度をθとし、倍力による定数をCとした場合、下記の式(4)に基づいて、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている。
【数8】
このように構成すれば、倍力機構部が備えられた診断用X線装置も、式(4)を用いて、倍力機構部が備えられていない診断用X線装置と同様に、第2ワイヤロープにかかるバネ部材の張力と、第1ワイヤロープにかかるX線発生部側の重量とが平衡になる螺旋状滑車部の半径R(螺旋状に変化する半径)を設定することができる。
【0016】
上記一の局面による診断用X線装置において、好ましくは、バネ部材、円状滑車部、および、螺旋状滑車部が収納される支柱部と、支柱部が取り付けられる診断用X線装置本体部と、診断用X線装置本体部を移動可能にする車輪部とをさらに備える。このように構成すれば、移動可能な診断用X線装置において、使用者がX線発生部を鉛直方向に昇降させる場合の負担を軽減することができる。
【0017】
上記一の局面による診断用X線装置において、好ましくは、バネ部材、円状滑車部、および、螺旋状滑車部が収納される支柱部をさらに備え、支柱部が、天井に懸架された状態で配置されている。このように構成すれば、天井に懸架された支柱部を備える診断用X線装置において、使用者がX線発生部を鉛直方向に昇降させる場合の負担を軽減することができる。また、天井に懸架された診断用X線装置では、一般的に、ワイヤロープは天井に懸架された支柱部の内部を貫通して、X線発生部に接続されている。そこで、本発明のように、X線発生部側の重量が半径が一定の円状滑車部に巻き付けられるワイヤロープにかかるように構成することによって、円状滑車部に巻き取られる(送り出される)ワイヤロープの回転軸方向に交差する方向に移動しないので、支柱部の内側面に接触するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、診断用X線装置が大型化するのを抑制しながら、使用者がX線発生部を鉛直方向に昇降させる場合の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態による診断用X線装置の構成を示した図である。
図2】第1実施形態による診断用X線装置のバランス機構部の構成を示した図である。
図3】比較例による診断用X線装置のバランス機構部の構成を示した図である。
図4】比較例による診断用X線装置のバランス機構部の(a)上面図、(b)正面図、および、(c)側面図である。
図5】アイドラが設けられた比較例による診断用X線装置のバランス機構部の(a)上面図、(b)正面図、および、(c)側面図である。
図6】第1実施形態による診断用X線装置のバランス機構部の(a)上面図、(b)正面図、および、(c)側面図である。
図7】第1実施形態による螺旋状滑車部の正面図である。
図8】アルキメデスの螺旋を示す図である。
図9】回転角度と螺旋状滑車部の半径との関係を示した図である。
図10】回転角度と操作力との関係を示した図である。
図11】第2実施形態による診断用X線装置の構成を示した図である。
図12】第3実施形態による診断用X線装置の構成を示した図(側面図)である。
図13】第3実施形態による診断用X線装置の構成を示した図(上面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1図10を参照して、第1実施形態による診断用X線装置1の構成について説明する。
【0022】
(診断用X線装置の全体の構成)
図1に示すように、診断用X線装置1は、装置全体が移動可能であり、回診時に、病院の各病室にいる患者(被写体)の元へ移動してX線撮影することが可能に構成されている。診断用X線装置1は、本体部10と、支柱部20と、中間支柱部30と、X線管保持部40と、X線発生部50と、を備えている。なお、本体部10は、特許請求の範囲の「診断用X線装置本体部」の一例である。
【0023】
本体部10には、電源装置、バッテリー、操作パネル、等が設けられている。また、本体部10の下部には、診断用X線装置1を移動可能にする複数の車輪部11が設けられている。
【0024】
支柱部20は、本体部10の前部に鉛直方向に延びるように取り付けられている。支柱部20は、内部が中空になっており、中間支柱部30の平衡が保たれた状態で、中間支柱部30を昇降可能にするバランス機構部60(後述する、バネ部材61、ワイヤロープ67a、ワイヤロープ67b、円状滑車部62、および、螺旋状滑車部63)が収納されるように構成されている。なお、ワイヤロープ67aおよび67bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1ワイヤロープ」および「第2ワイヤロープ」の一例である。
【0025】
中間支柱部30は、支柱部20の前側に、鉛直方向に移動可能に取り付けられている。中間支柱部30の内部には、円状の(半径が一定の)滑車部31が設けられている。
【0026】
X線管保持部40は、中間支柱部30の前側に、鉛直方向に昇降可能に取り付けられている。X線管保持部40は、略L字形状(鉛直方向に延びる部分41および水平方向に延びる部分42)を有している。
【0027】
X線発生部50は、X線管保持部40の部分42の先端側に取り付けられている。また、X線発生部50は、X線管51を有している。X線管51は、X線管保持部40の昇降に伴って、高さ位置を変更させることができる。また、X線発生部50には、使用者が把持してX線発生部50を昇降させるためのハンドル部52が設けられている。なお、X線管51は、特許請求の範囲の「X線源」の一例である。
【0028】
(バランス機構部の構成)
次に、図2を参照して、バランス機構部60の構成について説明する。なお、図2は、バランス機構部60の模式図である。そして、図2では、説明を明確にするために円状滑車部62と螺旋状滑車部63とが離間した状態で回転軸に接続されている一方、実際には、円状滑車部62と螺旋状滑車部63とは、円状滑車部62と螺旋状滑車部63とが隣接するように一体的に形成(図6参照)されている。
【0029】
図2に示すように、バランス機構部60は、バネ部材61と、円状滑車部62と、螺旋状滑車部63とを含む。
【0030】
バネ部材61は、圧縮バネからなる。バネ部材61の上端は、上端バネ座64に固定されている。上端バネ座64は、支柱部20の内部に固定されている。また、バネ部材61の下端は、下端バネ座65に固定されている。下端バネ座65は、支柱部20の内部において移動可能に配置されている。また、下端バネ座65の中央部には、シャフト66が取り付けられている。また、シャフト66は、上端バネ座64の穴部(図示せず)を貫通して、上端バネ座64の上面から突出している。そして、シャフト66は、上端バネ座64の穴部を介して、鉛直方向に昇降可能に構成されている。また、バネ部材61は、バネ部材61の内部をシャフト66が貫通した状態で、上端バネ座64と下端バネ座65との間に配置されている。バネ部材61は、X線発生部50の昇降に伴って伸縮するように構成されている。
【0031】
円状滑車部62は、半径rが一定になるように構成されている。また、円状滑車部62には、ワイヤロープ67aが巻き付けられている。また、ワイヤロープ67aは、中間支柱部30の底部30aに接続(固定)されている。また、中間支柱部30に設けられる円状の滑車部31に巻き付けられたワイヤロープ68に、X線発生部50の重量(荷重)がかかる。具体的には、ワイヤロープ68の一方端は、支柱部20の底部20aに接続(固定)され、他方端は、X線管保持部40の底部40aに接続(固定)されている。これにより、円状滑車部62に巻き付けられたワイヤロープ67aにX線発生部50側(中間支柱部30)の重量Wがかかる。
【0032】
螺旋状滑車部63は、半径Rが螺旋状に変化するように構成されている。螺旋状滑車部63は、円状滑車部62と同軸に回転可能に接続されている。また、螺旋状滑車部63には、ワイヤロープ67bが巻き付けられている。また、ワイヤロープ67bは、シャフト66に接続されている。これにより、螺旋状滑車部63に巻き付けられたワイヤロープ67bにバネ部材61の張力がかかる。
【0033】
(バランス機構部の平衡)
次に、比較例によるバランス機構部160(円状滑車部162にバネ部材161の張力がかかる構成)と比較しながら、第1実施形態のバランス機構部60の平衡について説明する。
【0034】
(比較例によるバランス機構部)
図3に示すように、比較例によるバランス機構部160では、円状滑車部162にバネ部材161の張力がかかるとともに、螺旋状滑車部163にX線発生部50側の重量Wがかかるように構成されている。ここで、回転軸回りのトルクの釣り合いにより、螺旋状滑車部163の半径をR[mm]、円状滑車部162の半径をr[mm]、X線発生部50側のワイヤロープ167aの張力をT[kgf]、および、バネ部材161側のワイヤロープ167bの張力をT[kgf]とした場合、下記の式(5)の関係が成立する。
【数9】
【0035】
また、X線発生部50側のワイヤロープ167aの張力T[kgf]について、X線発生部50側の重量W[kgf]を用いて、下記の式(6)の関係が成立する。
【数10】
【0036】
また、バネ部材161側のワイヤロープ167bの張力T[kgf]について、バネ部材161のバネ定数k、および、バネ部材161の圧縮量x[mm]を用いて、下記の式(7)の関係が成立する。
【数11】
【0037】
式(5)に、式(6)および(7)を代入すると、下記の式(8)が得られる。
【数12】
【0038】
また、バネ部材161の圧縮量x[mm]は、円状滑車部162の半径r[mm]、螺旋状滑車部163および円状滑車部162の回転角度θ[rad]、および、バネ部材161の初期圧縮量x[mm]を用いて、下記の式(9)により表される。
【数13】
【0039】
式(8)に式(9)を代入して、螺旋状滑車部163の半径Rで解くと、下記の式(10)および式(11)が得られる。
【数14】
【0040】
式(11)において、k、r、Wおよびxは、全て定数であるので、これらの定数を項ごとに係数aおよびbで置き換えることにより、下記の式(12)および(13)が得られる。
【数15】
【0041】
比較例によるバランス機構部160では、式(13)のように、螺旋状滑車部163の半径Rは、回転角度θに比例して増加するので、螺旋状滑車部163の螺旋は、アルキメデスの螺旋となる。これにより、バネ部材161による張力が回転角度θに対して比例して増加するとともに、螺旋状滑車部163の半径Rも回転角度θに対して比例して増加するので、ワイヤロープ167bにかかるバネ部材161の張力と、ワイヤロープ167aにかかるX線発生部50側の重量Wとが常に釣り合う(平衡になる)。これにより、X線発生部50が所望の高さ位置で静止する。
【0042】
なお、図4に示すように、比較例によるバランス機構部160では、X線発生部50(図3参照)がワイヤロープ167aを介して螺旋状滑車部163に接続されているため、X線発生部50の昇降に伴って、ワイヤロープ167aの巻き取り位置(送り出し位置)が、図4(a)に示すように、螺旋状滑車部163の回転軸線方向に交差するA方向に沿って比較的大きく移動する。このため、バランス機構部160では、螺旋状滑車部163の一部分(比較的大きい長さL1、図4(a)参照)、支柱部120から露出させる必要がある。
【0043】
また、図5に示すように、螺旋状滑車部163の露出部分を小さくするために、アイドラ121を用いることが考えらえる。しかしながら、アイドラ121を用いた場合、X線発生部50の昇降量を維持する(アイドラ121が無い場合と同じにする)ためには、支柱部120の鉛直方向の大きさが大型化してしまう。また、ワイヤロープ167aとアイドラ121との摩擦に起因して、ワイヤロープ167aが損傷する。また、アイドラ121の分、部品点数が増加する。
【0044】
一方、図6に示すように、第1実施形態によるバランス機構部60では、X線発生部50側(中間支柱部30)がワイヤロープ67aを介して円状滑車部62に接続されているため、X線発生部50の昇降に伴って、ワイヤロープ67aの巻き取り位置(送り出し位置)が、螺旋状滑車部63の回転軸線方向に交差(直交)するC方向に沿って移動しない。このため、バランス機構部60では、円状滑車部62の支柱部20からの露出部分(長さL2、図6(a)参照)は、比較的小さい。また、アイドラ121を用いる必要がないので、診断用X線装置1の大型化を抑制することが可能であるとともに、アイドラ121との摩擦によるワイヤロープ67aの損傷を抑制することが可能である。また、部品点数が増加するのを抑制することが可能である。
【0045】
(第1実施形態によるバランス機構部)
次に、図2を参照して、第1実施形態によるバランス機構部60について説明する。なお、図2に示すバランス機構部60では、円状滑車部62にかかるワイヤロープ67aの張力は、中間支柱部30を持ち上げるための張力である。
【0046】
第1実施形態によるバランス機構部60において、回転軸回りのトルクの釣り合いにより、螺旋状滑車部63の半径をR[mm]、円状滑車部62の半径をr[mm]、X線発生部50側のワイヤロープ67aの張力をT[kgf]、および、バネ部材61側のワイヤロープ67bの張力をT[kgf]とした場合、下記の式(14)の関係が成立する。
【数16】
【0047】
また、X線発生部50側(中間支柱部30)のワイヤロープ67aの張力T[kgf]について、X線発生部50側の重量W[kgf]を用いて、下記の式(15)の関係が成立する。
【数17】
【0048】
また、バネ部材61側のワイヤロープ67bの張力T[kgf]について、バネ部材61のバネ定数k、および、バネ部材61の圧縮量x[mm]を用いて、下記の式(16)の関係が成立する。
【数18】
【0049】
式(14)に、式(15)および(16)を代入すると、下記の式(17)が得られる。
【数19】
【0050】
次に、バネ部材61の圧縮量x[mm]は、バネ部材61の初期圧縮量x[mm]と、螺旋状滑車部63が巻き取るワイヤロープ67bの長さに等しい。また、螺旋状滑車部63が巻き取るワイヤロープ67bの長さは、螺旋状滑車部63の螺旋の長さ(巻き取られたワイヤロープ67bが巻かれていた螺旋の部分の長さ)に等しい。そこで、バネ部材61の圧縮量x[mm]は、バネ部材61の初期圧縮量x[mm]、螺旋状滑車部63の半径R[mm]、および、螺旋状滑車部63の回転角度θ[rad]を用いて、下記の式(18)により表される。
【数20】
【0051】
そして、式(18)を、式(17)に代入することにより、下記の式(19)が得られる。
【数21】
【0052】
ここで、式(19)を螺旋状滑車部63の半径Rで解くことは困難である。また、螺旋状滑車部63の半径Rは、比較例によるバランス機構部160のように、アルキメデスの螺旋のように、1次の多項式にはならない。つまり、第1実施形態のバランス機構部60において、螺旋状滑車部63の半径Rをアルキメデスの螺旋に対応するように形成した場合、ワイヤロープ67bにかかるバネ部材61の張力と、ワイヤロープ67aにかかるX線発生部50側の重量Wとが釣り合わない(平衡にならない)。
【0053】
そこで、第1実施形態では、螺旋状滑車部63の半径Rは、ワイヤロープ67bにかかるバネ部材61の張力と、ワイヤロープ67aにかかるX線発生部50側の重量Wとが平衡になるように、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている。具体的には、螺旋状滑車部63の半径Rは、式(19)に基づいて、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている。
【0054】
なお、上記のように、式(19)は、螺旋状滑車部63の半径Rで解くことが困難であるので、第1実施形態では、下記の式(20)に示すように、螺旋状滑車部63の半径Rを、3次の多項式関数により近似する。
【数22】
【0055】
式(20)は、近似式であるので、式(19)を厳密に満たすことはできない。また、式(19)の右辺は定数である左辺に対して増減する。そこで、第1実施形態では、ワイヤロープ67bにかかるバネ部材61の張力と、ワイヤロープ67aにかかるX線発生部50側の重量Wとが平衡になる状態からのずれの力をFとした場合、下記の式(21)および式(22)においてずれの力Fが略ゼロになるように、近似式に含まれる係数a、b、cおよびdが定められている。
【数23】
【0056】
ずれの力F[kgf]が0に近づくように、複数の係数a、b、cおよびdを決定することにより、ワイヤロープ67bにかかるバネ部材61の張力と、ワイヤロープ67aにかかるX線発生部50側の重量Wとが略釣り合うようになる(略平衡になる)。これにより、使用者がずれの力F[kgf]を略認識することなく、X線発生部50を昇降することが可能になる。なお、ずれの力Fは、使用者がハンドル部52を把持してX線発生部50を上下方向に移動させる操作力を意味する。
【0057】
(係数の決定方法)
ここで、第1実施形態では、螺旋状滑車部63の回転角度θの境界条件に基づいて、式(20)に含まれる未知の係数a、b、cおよびdの数を減らした状態で、ずれの力Fが略ゼロになるように、近似式に含まれる係数が定められている。具体的には、回転角度θ[rad]が最小値0[rad]および最大値θmax[rad]となる際の境界条件に基づいて、未知の係数a、b、cおよびdの数が減らされる。
【0058】
ここで、バランス機構部60が収納される支柱部20の寸法の制限に基づいて、螺旋状滑車部63の半径Rの最大値RMax[mm]を、任意の値に決める。そして、最大値RMax[mm]の際の回転角度θを、最小値0[rad]として、式(20)に代入することにより、下記の式(23)および式(24)が得られる。
【数24】
【0059】
また、バランス機構部60が収納される支柱部20の寸法の制限に基づいて、円状滑車部62の半径rを、任意の値に決める。そして、円状滑車部62の半径rと、X線発生部50側(中間支柱部30)の上下のストローク量L[mm]とを用いて、回転角度θの最大値θMax[rad]は、下記の式(25)および式(26)により表される。
【数25】
【0060】
ここで、診断用X線装置1に用いられるワイヤロープ67a(ワイヤロープ67b)について、ワイヤロープ67a(ワイヤロープ67b)の直径および素線径と組み合わせ可能な滑車の最小半径が規格などで定められている。そこで、規格などにより定められた最小半径の範囲内で、螺旋状滑車部63の最小半径Rmin[mm]を任意の値に定める。そして、螺旋状滑車部63の半径Rが最小半径Rmin[mm]の際の回転角度θを最大値θMaxとして、式(24)および式(26)を、式(20)に代入することにより、下記の式(27)が得られる。
【数26】
【0061】
そして、式(27)を、係数aで解くと、下記の式(28)が得られる。
【数27】
【0062】
そして、式(24)および式(28)を、式(20)に代入すると、下記の式(29)に示すように、螺旋状滑車部63の半径R[mm]の残りの係数は2つ(bおよびc)になる。
【数28】
【0063】
式(29)の残りの係数bおよびcは、係数bおよびcに適当な値を代入して、最適な半径Rを探すか、または、数理計画問題を解くアルゴリズムが搭載されたソフトウェア(例、Excel(登録商標)のソルバーなど)を用いた自動計算により算出される。その結果、図7に示すように、螺旋状滑車部63の半径Rは、円周間の幅W1が変化しており、図8に示すアルキメデスの螺旋(円周間の幅W2が一定)の半径と異なるように設定されている。
【0064】
(螺旋状滑車部の半径の設定の効果)
次に、図9および図10を参照して、螺旋状滑車部63の半径Rをアルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定することの効果について説明する。
【0065】
図9に示すように、螺旋状滑車部63の半径Rがアルキメデスの螺旋である場合(図9の点線)、螺旋状滑車部63の半径Rは、回転角度θの増加に対して略直線的に小さくなる。一方、螺旋状滑車部63の半径Rを上記の式(29)に基づいて設定した場合(図9の実線)、螺旋状滑車部63の半径Rは、回転角度θの増加に対して、半径Rの減少の度合いが徐々に小さくなるように、減少する。
【0066】
そして、図10に示すように、螺旋状滑車部63の半径Rがアルキメデスの螺旋である場合(図10の点線)、使用者による操作力F[kgf]は、回転角度θの増加に対して急激に大きくなった後、最大(ピーク)に達し、その後、減少することが確認された。一方、螺旋状滑車部63の半径Rを上記の式(29)に基づいて設定した場合(図10の実線)、使用者による操作力F[kgf]は、回転角度θの増加(変化)に対して、増減するものの、略0[kgf]であることが確認された。
【0067】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
第1実施形態では、上記のように、半径rが一定の円状滑車部62に巻き付けられたワイヤロープ67aにX線発生部50側の重量Wがかかるので、X線発生部50の昇降に伴って、ワイヤロープ67aは、円状滑車部62の回転軸線方向に沿って移動する一方、円状滑車部62の回転軸線方向に交差する方向には移動しない。これにより、露出させる円状滑車部62の部分を大きくする必要はないので、診断用X線装置1が大型化するのを抑制することができる。また、螺旋状滑車部63の半径Rを、ワイヤロープ67bにかかるバネ部材61の張力と、ワイヤロープ67aにかかるX線発生部50側の重量Wとが平衡になるように、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径(螺旋状に変化する半径)に設定することによって、ワイヤロープ67bにかかるバネ部材61の張力と、ワイヤロープ67aにかかるX線発生部50側の重量Wとが平衡(または、平衡に近い状態)になるので、使用者は、比較的小さな力でX線発生部50を鉛直方向に昇降させることができる。その結果、使用者がX線発生部50を鉛直方向に昇降させる場合の負担を軽減することができる。これにより、診断用X線装置1が大型化するのを抑制しながら、使用者がX線発生部50を鉛直方向に昇降させる場合の負担を軽減することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、螺旋状滑車部63の半径Rは、上記の式(19)に基づいて、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている。これにより、式(19)を満たすように螺旋状滑車部63の半径R(螺旋状に変化する半径)を設定する(アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定する)ことにより、容易に、ワイヤロープ67bにかかるバネ部材61の張力と、ワイヤロープ67aにかかるX線発生部50側の重量Wとを平衡にすることができる。
【0070】
また、第1実施形態では、上記のように、螺旋状滑車部63の半径Rを3次の多項式関数により近似して、ワイヤロープ67bにかかるバネ部材61の張力と、ワイヤロープ67aにかかるX線発生部50側の重量Wとが平衡になる状態からのずれの力をFとした場合、式(21)においてずれの力Fが略ゼロになるように、近似式に含まれる係数が定められている。これにより、式(19)に基づいて厳密に螺旋状滑車部63の半径Rを設定することができない場合でも、近似式を用いて、ワイヤロープ67bにかかるバネ部材61の張力と、ワイヤロープ67aにかかるX線発生部50側の重量Wとが略平衡になる螺旋状滑車部63の半径R(螺旋状に変化する半径)を設定することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、上記のように、螺旋状滑車部63の半径Rを3次の多項式関数により近似するとともに、螺旋状滑車部63の回転角度の境界条件に基づいて式(20)に含まれる未知の係数a、b、cおよびdの数を減らした状態で、式(21)においてずれの力Fが略ゼロになるように、近似式に含まれる係数が定められている。これにより、螺旋状滑車部63の半径Rを2次の多項式関数により近似する場合に比べて、より精度よく、ワイヤロープ67bにかかるバネ部材61の張力と、ワイヤロープ67aにかかるX線発生部50側の重量Wとが平衡になる螺旋状滑車部63の半径Rを設定することができる。また、未知の係数a、b、cおよびdの数が、螺旋状滑車部63の回転角度θの境界条件に基づいて減らされているので、未知の係数の算出を容易に行うことができる。
【0072】
また、第1実施形態では、上記のように、本体部10を移動可能にする車輪部11を備える。これにより、移動可能な診断用X線装置1において、使用者がX線発生部50を鉛直方向に昇降させる場合の負担を軽減することができる。
【0073】
[第2実施形態]
次に、図11を参照して、第2実施形態による診断用X線装置200について説明する。第2実施形態では、バランス機構部260に倍力機構部270が設けられている。
【0074】
診断用X線装置200では、バネ部材261と螺旋状滑車部263との間に、倍力用滑車部271a〜271cを含む倍力機構部270が設けられている。具体的には、螺旋状滑車部263に巻きつけられたワイヤロープ267bに倍力用滑車部271a〜271cが配置されている。また、ワイヤロープ267bの一方端は、螺旋状滑車部263に巻きつけられ、他方端は、支柱部220に接続されている。倍力用滑車部271bは、支柱部220に固定されている。倍力用滑車部271aおよび271cは、バネ部材261に接続されている。このように倍力機構部270を設けることにより、バネ部材261の圧縮量に対して、螺旋状滑車部263のワイヤロープ267bの巻き取り量が増減する。また、ワイヤロープ267aの一方端は、円状滑車部262に巻き付けられ、他方端は、中間支柱部30に接続されている。なお、ワイヤロープ267aおよび267bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1ワイヤロープ」および「第2ワイヤロープ」の一例である。
【0075】
ここで、第2実施形態では、螺旋状滑車部263の半径Rは、螺旋状滑車部263の半径をRとし、円状滑車部262の半径をrとし、X線発生部50側(中間支柱部30)の重量をWとし、バネ部材261のバネ定数をkとし、バネ部材261の長さの変化量をxとし、バネ部材261の長さの初期変化量をxとし、螺旋状滑車部263の回転角度をθとし、倍力による定数をCとした場合、下記の式(30)に基づいて、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている。
【数29】
【0076】
すなわち、式(30)は、倍力機構部270がない上記第1実施形態の式(19)の右辺に定数Cが乗算されたものである。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0077】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0078】
第2実施形態では、上記のように、式(30)に基づいて、アルキメデスの螺旋の半径と異なる半径に設定されている。これにより、倍力機構部270が備えられた診断用X線装置200も、式(30)を用いて、倍力機構部270が備えられていない第1実施形態の診断用X線装置1と同様に、ワイヤロープ267bにかかるバネ部材261の張力と、ワイヤロープ267aにかかるX線発生部50側の重量Wとが平衡になる螺旋状滑車部263の半径R(螺旋状に変化する半径)を設定することができる。
【0079】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0080】
[第3実施形態]
次に、図12および図13を参照して、第3実施形態による診断用X線装置300について説明する。第3実施形態では、支柱部320が、天井400に懸架された状態で配置されている。
【0081】
診断用X線装置300は、医療施設の天井400の天井レール401に移動可能な状態で配置されている。また、診断用X線装置300の支柱部320は、支柱根元部320aと、伸縮式の伸縮式支柱部320bとを含む。バネ部材361、円状滑車部362および螺旋状滑車部363は、支柱根元部320aに配置されている。また、バネ部材361は、天井400の下面に沿うように配置されている。また、ワイヤロープ367aの一方端は、円状滑車部362に巻き付けられており、他方端は、X線発生部50に取り付けられている。ワイヤロープ367aは、伸縮式支柱部320bの内部を貫通した状態で、X線発生部50に取り付けられている。また、ワイヤロープ367bの一方端は、螺旋状滑車部363に巻き付けられ、他方端は、バネ部材361に接続されている。なお、ワイヤロープ367aおよび367bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1ワイヤロープ」および「第2ワイヤロープ」の一例である。また、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態(または第2実施形態)と同様である。
【0082】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0083】
第3実施形態では、上記のように、X線発生部50が取り付けられるとともに、バネ部材361、円状滑車部362、および、螺旋状滑車部363が収納される支柱部320が、天井400に懸架された状態で配置されている。これにより、天井400に懸架された支柱部320を備える診断用X線装置300において、使用者がX線発生部50を鉛直方向に昇降させる場合の負担を軽減することができる。また、天井400に懸架された診断用X線装置300では、ワイヤロープ367aは天井400に懸架された支柱部320の内部を貫通して、X線発生部50に接続されている。そこで、第3実施形態のように、X線発生部50側の重量Wが半径rが一定の円状滑車部362に巻き付けられるワイヤロープ367aにかかるように構成することによって、円状滑車部362に巻き取られる(送り出される)ワイヤロープ367aの回転軸方向に交差する方向に移動しないので、支柱部320の内側面に接触するのを抑制することができる。
【0084】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0085】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0086】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、上記の式(19)(または、式(30))に基づいて、螺旋状滑車部の半径を設定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記の式(19)および式(30)以外の式や手法に基づいて、螺旋状滑車部の半径を設定してもよい。
【0087】
また、上記第1〜第3実施形態では、螺旋状滑車部の半径を、3次の多項式関数により近似する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、螺旋状滑車部の半径を、下記の式(31)に示す2次の多項式や、4次以上の多項式により近似してもよい。また、下記の式(32)に示す対数関数や、下記の式(33)に示す指数関数により近似してもよい。
【数30】
【0088】
また、上記第1〜第3実施形態では、バネ部材が圧縮コイルバネからなる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、バネ部材を引張コイルバネから構成してもよい。また、バネ部材を、2個以上の複数のバネ部材から構成してもよい。
【0089】
また、上記第1および第2実施形態では、円状滑車部に巻き付けられたワイヤロープにかかる重量が、中間支柱の重量である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1および第2実施形態のような移動可能な診断用X線装置において、第3実施形態の様に、円状滑車部に巻き付けられたワイヤロープにX線発生部に直接接続してもよい。この場合、円状滑車部に巻き付けられたワイヤロープにかかる重量は、X線発生部の重量である。
【0090】
また、上記第1〜第3実施形態では、第1ワイヤロープと第2ワイヤロープとがそれぞれ1本ずつからなる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、安全性を高めるために、第1ワイヤロープと第2ワイヤロープとをそれぞれ2本ずつのペアとして使用してもよい。つまり、第1ワイヤロープと第2ワイヤロープとをそれぞれ複数本のワイヤロープにより構成してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1、200、300 診断用X線装置
10 本体部(診断用X線装置本体部)
11 車輪部
20、220、320 支柱部
50 X線発生部
51 X線管(X線源)
61、261、361 バネ部材
62、262、362 円状滑車部
63、263、363 螺旋状滑車部
67a、267a、367a ワイヤロープ(第1ワイヤロープ)
67b、267b、367b ワイヤロープ(第2ワイヤロープ)
271a、271b、271c 倍力用滑車部
270 倍力機構部
400 天井
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】