特表-20161879IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2020-161879ドライエッチング方法及びドライエッチング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年8月13日
【発行日】2021年2月18日
(54)【発明の名称】ドライエッチング方法及びドライエッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20210122BHJP
【FI】
   H01L21/302 104H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
【出願番号】特願2019-542638(P2019-542638)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年2月8日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小藤 直行
(72)【発明者】
【氏名】桑原 謙一
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA09
5F004AA16
5F004BA04
5F004BA14
5F004BB07
5F004BB14
5F004BB18
5F004CA01
5F004CA03
5F004CA04
5F004CA06
5F004CA09
5F004DA23
5F004DA26
5F004DB23
5F004EA38
(57)【要約】
プラズマを用いたドライエッチング方法によれば、有機膜をエッチングする際に、Arイオンを遮蔽して酸素ラジカルのみを試料の有機膜に照射する第1の工程と、希ガスのイオンを有機膜に照射する第2の工程とを交互に繰り返すことにより、有機膜のエッチングのばらつきを抑えて精度良いエッチング処理を行うことができる。これによりシリコン基板などに形成されるLSパターンの倒れを抑制することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機膜のドライエッチング方法であって、
プラズマから、希ガスもしくは窒素のイオンの濃度を減少させた第1の雰囲気で中性ラジカルを有機膜の表面に吸着させる第1の工程と、前記第1の雰囲気よりもイオン濃度が高い第2の雰囲気で希ガスもしくは窒素のイオンを前記有機膜の表面に供給する第2の工程とを交互に繰り返す、
ことを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項2】
請求項1のドライエッチング方法において、
前記中性ラジカルが酸素もしくは水素である、
ことを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項3】
請求項1のドライエッチング方法において、
前記希ガスがアルゴンガスである、
ことを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項4】
請求項1のドライエッチング方法において、
前記有機膜がPMMA製である、
ことを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項5】
請求項1のドライエッチング方法において、
前記第1の工程において、前記中性ラジカルが前記有機膜に飽和吸着する、
ことを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項6】
請求項1のドライエッチング方法において、
前記第1の工程は、前記第2の工程よりも処理時間が長い、
ことを特徴とするドライエッチング方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のドライエッチング方法を実行するドライエッチング装置であって、
減圧処理室内にプラズマを発生させるプラズマ発生装置と、
前記減圧処理室内に配置された多孔板と、
前記プラズマの発生位置を、前記多孔板の上方もしくは下方に変更可能とするプラズマ制御装置と、を有する、
ことを特徴とするドライエッチング装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のドライエッチング方法を実行するドライエッチング装置であって、
試料の有機膜に前記第1の雰囲気で中性ラジカルを照射する第1の装置と、
試料の有機膜に前記第2の雰囲気で希ガスもしくは窒素のイオンを照射する第2の装置と、
前記第1の装置から前記第2の装置へ、また前記第2の装置から前記第1の装置へと、前記試料を搬送する搬送装置と、を有する、
ことを特徴とするドライエッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライエッチング方法及びドライエッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、半導体装置に含まれるコンポーネントの微細化や集積化に対応することが求められている。例えば、近年では、集積回路やナノ電気機械システムにおいてナノスケールのような小さい構造が求められている。
通常、半導体デバイスの製造工程においては、リソグラフィ技術が用いられている。この技術は、レジスト層の上にデバイス構造のパターンを適用し、レジスト層のパターンによって露出した基板を選択的にエッチング除去するものである。その後の処理工程において、エッチング領域内に他の材料を堆積させれば、集積回路を形成できる。
【0003】
しかしながら、こうした技術を用いてもナノスケールの構造体をスループット良く製造することは難しく、様々な技術の改良がなされている。これらの先行技術には、例えば特許文献1に開示されるものがある。特許文献1には、図1に示すように、ポリスチレン(PS)1とポリメチルメタクリレート(PMMA)2の自己組織化ブロック共重合体(DSA)を形成した後、PMMA2のみをエッチング除去する技術が示されている。そして、この方法を用いることで、図2のように、PS1のラインアンドスペースパターン(以降、LSパターンという)が形成されることが、同特許文献1に記載されている。
【0004】
また、その他の公知例としては、特許文献2に示す技術がある。特許文献2では、磁場とマイクロ波のECR共鳴でプラズマを形成するドライエッチング装置において、試料と誘電体窓の間に誘電体製の多孔板を配置した構造の装置が開示されている。
【0005】
この装置においては、ECR面と呼ばれる磁場強度875ガウス(Gauss)の面の位置を多孔板より上にする。これにより、プラズマ中で生成されるイオンとラジカルのうち、電荷を帯びているイオンを遮蔽して、ラジカルなどの電気的に中性な粒子のみを試料に照射することができる。
一方、ECR面の位置を、多孔板より下にすることで、イオンとラジカルの両方を試料に照射することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−75578号公報
【特許文献2】国際特許公開第2016/190036号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、試料に有機膜を形成した後、プラズマを用いてエッチング処理を行ってLSパターンを形成した場合には、エッチングによって得られたLSパターンに倒れが発生する場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、有機膜をエッチングする際に、LSパターンの倒れを抑制して、精度良くエッチング処理を行えるドライエッチング方法及びドライエッチング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、代表的な本発明のドライエッチング方法は、プラズマから希ガスもしくは窒素のイオンの濃度を減少させた第1の雰囲気で中性ラジカルを有機膜の表面に吸着させる第1工程と、前記第1の雰囲気よりもイオン濃度が高い第2の雰囲気で希ガスもしくは窒素のイオンを前記有機膜の表面に供給する第2の工程とを交互に繰り返すことにより達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特に、有機膜をエッチングする際に、LSパターンの倒れを抑制して、精度良くエッチング処理を行うことができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、PMMAのエッチング処理前におけるDSAの試料の拡大断面図である。
図2図2は、理想的なPMMAエッチング処理後におけるDSAの試料の拡大断面図である。
図3図3は、本実施形態のドライエッチング装置の概略構成図である。
図4図4は、比較例にかかるPMMAのエッチング処理後におけるDSAの試料の拡大断面図である。
図5図5は、比較例にかかるPMMAのエッチング処理後におけるDSAの試料の拡大上面図である。
図6図6は、比較例にかかるPMMAのエッチング処理によりLSパターンが倒れる原因を説明するための図である。
図7図7は、比較例にかかるPMMAのエッチング処理における第一の工程中の試料の表面状態を模式的に示す図である。
図8図8は、実施例にかかるPMMAエッチング処理中の試料の表面状態を模式的に示す図である。
図9図9は、実施例にかかるPMMAエッチング処理中の試料の表面状態を模式的に示す図である。
図10図10は、実施例にかかるPMMAのエッチング処理後におけるDSAの試料の拡大断面図である。
図11図11は、実施例にかかるPMMAのエッチング処理後におけるDSAの試料の拡大上面図である。
図12図12は、実施例にかかる第1の工程におけるPMMAのエッチング量と試料温度との関係を示すグラフである。
図13図13は、エッチング処理前の三層レジストの試料の拡大断面図である。
図14図14は、比較例の有機膜エッチング処理後における三層レジストの試料の拡大断面図である。
図15図15は、実施例の有機膜エッチング処理後における三層レジストの試料の拡大断面図である。
図16図16は、別の実施形態にかかるエッチング処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
[実施形態1]
図3は、本実施形態のドライエッチング方法を実行するダウンフロー型のドライエッチング装置の概略構成図である。図3のドライエッチング装置では、マグネトロン13から導波管11を通り誘電体窓17を介して減圧処理室12に供給される2.45GHzのマイクロ波と、ソレノイドコイル14の作る磁場によって形成されるECR共鳴によって、減圧処理室12内にプラズマを生成できる。また、試料21を保持する試料台20に、整合器22を介して高周波電源23が接続されている。
ここで、マグネトロン13とソレノイドコイル14とで、プラズマ発生装置を構成する。また、減圧処理室12におけるプラズマの発生状態を制御するプラズマ制御装置26と、ソレノイドコイル14と、これを制御する磁場制御装置18が設けられている。
【0014】
このドライエッチング装置では、高周波電源23から供給する電力を調整すれば、イオン照射のエネルギーを数10eVから数KeVまで制御できる。また、試料21を載置する試料台20は温度調整されており、エッチング中も試料温度が20℃に維持されている。さらに、Ar(アルゴン)ガスとO(酸素)ガスが、ガス導入口15を介して減圧処理室12内に導入される。減圧処理室12内は負圧ポンプにより減圧されている。
【0015】
また、このドライエッチング装置では、誘電体製の多孔板16が減圧処理室12の内部に設置されている。このドライエッチング装置では、ECR面と呼ばれる磁場強度875ガウス(Gauss)の面付近でプラズマが生成される。このため、ECR面が多孔板16と誘電体窓17の間になるよう、プラズマ制御装置26である磁場制御装置18及びソレノイドコイル14が、多孔板16の誘電体窓側(つまり、多孔板16の上方で)プラズマ25Aを生成できる。これにより、Arイオンを遮蔽して、酸素の中性ラジカルのみを試料21に照射することができる。かかる状態では、試料21の周囲はArイオン濃度が比較的低い状態の第1の雰囲気となる。
【0016】
一方で、ECR面が多孔板16と試料21の間になるよう、磁場制御装置18がソレノイドコイル14を制御して磁場を調整すれば、多孔板16より試料側で(つまり、多孔板16の下方で)プラズマ25Bを生成できる。このため、Arイオンと酸素の中性ラジカルの両方を試料に照射できる。かかる状態では、試料21の周囲はArイオン濃度が第1の雰囲気よりも高い第2の雰囲気となる。第1の雰囲気におけるArのイオン濃度は、第2の雰囲気のイオン濃度に対し10%未満であると好ましい。
なお、本発明のドライエッチング処理を行えるドライエッチング装置は、以上のダウンフロー型のドライエッチング装置に限られず、RIE型のドライエッチング装置を用いてもよい。
【0017】
(比較例1)
本発明者らは、図3のドライエッチング装置を用いて、図1に示すDSAの試料においてPMMA2のエッチング処理を行った。まず比較例のエッチング処理では、ECR面を多孔板16より試料側に配置して、イオンとラジカルの両方が試料に照射される状態でエッチングを行った。その結果を図4に示す。エッチング処理後において複数の壁として形成されるPS1のLSパターンは、図4のように左右に倒れてしまった。
そのため、図5の上面図のように、パターンの歪みであるラインエッジラフネス(LERという)が増加した。また、PS1の倒れが強い箇所では、隣接するPS1同士が接してしまい、イオンの照射が遮られてその下方にあるPMMA2に到達せず、エッチングが進まなくなった。
【0018】
本発明者らは、エッチング途中におけるパターン形状評価や応力解析などを用いて、LSパターンの倒れの原因を調べた。その結果、このPMMA2が本来的に収縮(Tensile)応力を持っているため、PMMA2の残膜にばらつきがあると、図6においてPMMA2の残膜の厚い部位の収縮力が高まることを見出した。それによりLSパターンが引っ張られて倒れることとなる。
【0019】
次に、PMMA2の残膜のばらつき、すなわちPMMA2のエッチング量のばらつきが生じる原因を調べた。PMMA2に酸素ラジカル4とArイオン5の両方が照射されることによりエッチングが進むが、LSパターンにおけるPS1とPS1の間のスペース間隔のばらつきによって、図7に示すようにPMMA2の表面に到達する酸素ラジカル4の量に違いが生じる。PMMA2のエッチング量は、PMMA2の表面に到達する酸素ラジカル4の量に比例するため、上記スペース間隔が広いとエッチング量が増大し、狭いとエッチング量が減少することがわかった。
【0020】
そこで、本発明者らは、エッチング量のばらつきを抑制するため、次のような二つの工程を繰り返すエッチング手法を導出した。まず、第1の工程では、ECR面を多孔板16の誘電体窓17側に配置して酸素のプラズマ25Aを生成させる(図3)。これにより、Arイオンを遮蔽して、第1の雰囲気中で酸素ラジカルを試料に照射する。
このとき、Arイオンが遮蔽されているため、酸素ラジカルが試料に照射されてもエッチングは進まない。第1の工程時間が長いと、図8に示すようにPMMA2のいずれの表面にも酸素ラジカル4が飽和吸着した状態になる。「飽和吸着」とは、それ以上中性ラジカルが実質的に吸着しない状態をいう。
【0021】
次に、第2の工程では、ECR面を多孔板16の試料21側に配置して、Arのプラズマ25Bを生成させる(図3)。これにより、第2の雰囲気中でPMMA2にArイオン5が照射される。このイオン照射によって、図9のようにPMMA2の表面に吸着した酸素ラジカル4が活性化され、PMMA2のエッチングが進む。
【0022】
この際のエッチング量は、PMMA2の表面に吸着した酸素ラジカル4の量で決まるため、酸素ラジカル4がPMMA2の表面に飽和吸着していれば、一定量のPMMA2がエッチングされることとなる。したがって、第1の工程と第2の工程とを交互に繰り返すことにより、パターンのばらつきに関わらず、PMMA2のエッチング量を均一に維持しつつエッチング処理が進行するため、LSパターンの倒れが抑制される。第1の工程は、第2の工程よりも処理時間が長いと飽和吸着が有効になるので好ましい。
【0023】
(実施例1)
以上のエッチング方法でエッチングされた試料の断面形状を図10に示す。PS1の倒れは見られない。また、加工後のサンプルの上面図を図11に示す。形成されたPS1のLSパターンには倒れに起因したLERは見られず、真っ直ぐなパターンが形成されていることがわかった。
【0024】
ここでは、第1の工程で酸素ガスを用いたが、例えば、酸素を希ガスで希釈したガスのように酸素を含む混合ガスであれば、いずれも用いることができる。さらに、酸素を含まないガスであっても有機材料を化学反応でエッチングできるガス、例えば、水素や水、メタノールを含む混合ガスを用いても良い。また、第2の工程ではArガスを使用したが、有機膜を化学反応でエッチングしないガスのみで構成されていれば、他の希ガスや窒素ガスを用いてもよい。エッチングできる有機膜はPMMAに限られない。
【0025】
(実施例2)
実施例1では試料の温度を20℃に維持してPMMAのエッチングを行った。本発明者らは、この試料の温度の影響について調べた。第1の工程で酸素ラジカルを照射した際のPMMAのエッチング量と試料温度の関係を図12に示す。100℃以下ではPMMAは全くエッチングされないことがわかった。一方、試料温度が100℃を超えるとPMMAのエッチング量が加速的に増加するため、エッチング量のばらつきを招くことがわかった。
【0026】
また、100℃以下ではLSパターンの倒れやそれに起因したLERの増加は見られなかったが、100℃を超えるとLSパターンの倒れやそれに起因したLERが急激に増加することがわかった。ここで100℃を特異点とする。以上より、実施例1で述べたPMMAエッチング処理の効果を実現するには、第1の工程中の試料温度を100℃以下に維持することが好ましいことがわかる。
また、第1の工程のプラズマに水素ラジカルを含む場合には、この温度の特異点が50℃に低下することがわかっている。その場合、試料温度を50℃以下に維持することが望ましい。
【0027】
(比較例2)
次に、本実施形態のエッチング方法を三層レジストの加工に応用した例を示す。この加工では、図13のように、シリコン基板3上に有機膜6と無機膜7を積層させた上に、30nmピッチのLSパターンのレジストマスク8を形成した試料を用いた。各層の膜厚は有機膜6の膜厚が200nm、無機膜7の膜厚が20nm、レジストマスク8の膜厚が20nmである。
【0028】
比較例1と同様なドライエッチング処理によって、この試料の無機膜7をエッチングして、無機膜のマスクを形成し、更にこの無機膜のマスクを用いて、有機膜6をエッチングした。しかし、比較例1と同様な処理では、酸素などで有機膜6をエッチングした場合に、形成された有機膜6のLSパターンがエッチング中に倒れてしまうという現象が生じた。
【0029】
実際、イオンと中性ラジカルの両方が試料に照射される状態において、図14のように隣同士の有機膜6のLSパターンが接してエッチングが停止してしまうという現象が見られた。解析の結果、この場合も、有機膜6の残膜にばらつきがあり、有機膜6の残膜の収縮応力によって、残膜の厚い側に有機膜6のLSパターンが引っ張られて倒れることが判明した。
【0030】
(実施例3)
そこで、実施例1と同様に、Arイオンを遮蔽した状態で酸素プラズマを試料に照射する第1の工程と、Arイオンを遮蔽しない状態でArプラズマを試料に照射する第2の工程を繰り返したところ、有機膜6の残膜の厚さが均一なままエッチングが進行した。このため、図15に示すように、パターン倒れやパターン同士が接するという現象は発生しなかった。
【0031】
[実施形態2]
図16は、ダウンフロー型エッチャ101と反応性イオンエッチング(RIE)型エッチャ102を、真空搬送ユニット103で連結したドライエッチング装置を示す図である。本実施形態では、第1の工程において、試料をダウンフロー型エッチャ(第1の装置)101に搬送して、酸素のプラズマを照射する。
【0032】
ダウンフロー型エッチャ101では、プラズマ中のイオンを遮蔽して中性ラジカルのみを照射できる構造になっているため、第1の雰囲気中で酸素ラジカルのみが照射される。酸素ラジカルのみでは、PMMAはエッチングされないため、図8に示すようにPMMA表面に酸素ラジカルが飽和吸着した状態になる。
【0033】
続いて、第2の工程では、真空搬送ユニット(搬送装置)103で試料をダウンフロー型エッチャ101からRIE型エッチャ(第2の装置)102に搬送して、その内部でArのプラズマを生成させる。RIE型エッチャ102ではプラズマ中のイオンも中性ラジカルも照射されるため、第2の雰囲気中でPMMAにArイオンが試料に照射される。このイオン照射によって、図9に示す例と同様にPMMA表面に吸着した酸素ラジカルが活性化されPMMAのエッチングが進む。
【0034】
この際のエッチング量は、PMMA表面に飽和吸着した酸素ラジカルの量で決まるため、一定量のPMMAがエッチングされる。ダウンフロー型エッチャ101とRIE型エッチャ102との間で真空搬送ユニット103を介して試料を繰り返し搬送することで、第1の工程と第2の工程を交互に繰り返すことができる。これにより、PMMA残膜が均一なままエッチングが進むため、LSパターンの倒れが抑制される。
【0035】
この方法でエッチングされた試料の断面形状は図10に示すものと同様であり、LSパターンの倒れは見られない。また、加工後の試料の上面形状は、図11に示すものと同様になる。形成されたPSのLSパターンには倒れに起因したLERは見られず。真っ直ぐなパターンが形成されていることがわかった。
【0036】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態における構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態における構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…ポリスチレン(PS)、2…ポリメチルメタクリレート(PMMA)、3…シリコン基板、4…酸素ラジカル、5…Arイオン、6…有機膜、7…無機膜、8…レジストマスク、11…導波管、12…減圧処理室、13…マグネトロン、14…ソレノイドコイル、16…多孔板、17…誘電体窓、20…試料台、21…試料、22…整合器、23…高周波電源、101…ダウンフロー型エッチャ、102…RIE型エッチャ、103…真空搬送ユニット、200…シリコン、202…シリコン酸化膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】