特表-20161887IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2020-161887エッチング処理装置、エッチング処理方法および検出器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年8月13日
【発行日】2021年2月18日
(54)【発明の名称】エッチング処理装置、エッチング処理方法および検出器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20210122BHJP
【FI】
   H01L21/302 103
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
【出願番号】特願2020-512755(P2020-512755)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年2月8日
(11)【特許番号】特許第6804694号(P6804694)
(45)【特許公報発行日】2020年12月23日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江藤 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】峯邑 浩行
(72)【発明者】
【氏名】臼井 建人
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BB18
5F004CB02
5F004CB09
5F004CB17
(57)【要約】
エッチングにおける処理中のウェハの膜厚・深さ測定では光源の光量揺らぎ、光が通過する領域の空気の揺らぎなどによって検出光量に変動が発生し、膜厚・深さの測定精度が低下するため、エッチング処理中の各時刻にて測定する分光スペクトルから任意の波長の総光量又は平均光量を算出し、現時刻より過去に測定した総光量又は平均光量を用いて推定される現時刻の推定総光量又は推定平均光量を算出し、現時刻の総光量と推定総光量の比、又は平均光量と推定平均光量の比である変化率を算出し、算出した変化率を用いて現時刻の各波長の光量を補正し、補正した各波長の光量を用いて膜厚・深さ測定を実施する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング処理中に、処理対象から出射された複数の波長の光を受光し、受光した光の強度に応じた信号をそれぞれ出力する受光器と、
前記受光器から出力された信号に基づいて、前記処理対象の膜厚を決定する膜厚決定部と、
前記膜厚決定部が決定した前記処理対象の膜厚と、閾値とを比較することにより、前記エッチング処理の終点を判定する判定器とを備え、
前記膜厚決定部は、所定のサンプリング時間の各時刻毎における前記受光器からの波長毎の信号を平滑化演算して得られる算出光量値と、前記サンプリング時間より以前の参照時間における前記算出光量値から決定される参照光量値とに基づいて、変化率を求め、
前記サンプリング時間の各時刻毎における前記受光器からの信号と、前記変化率とに基づいて、波長毎に補正光量値を求め、
更に前記補正光量値に基づいて、前記サンプリング時間における前記処理対象の膜厚を決定する、
エッチング処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエッチング処理装置であって、
前記膜厚決定部は、前記受光器からの波長毎の信号を、総和、平均、加重積算、又は加重平均することにより前記平滑化演算を行って、前記算出光量値を求める、
エッチング処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエッチング処理装置であって、
前記膜厚決定部は、前記算出光量値を平均化した光量値、前記算出光量値を多項式近似することにより得られた前記サンプリング時間における光量値、又は前記算出光量値から高周波成分を除去して得られた光量値を、前記参照光量値として決定する、
エッチング処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、
前記膜厚決定部は、前記補正光量値の微分波形パターンを求め、前記補正光量値の微分波形パターンを、光量値の微分波形パターンと膜厚とが予め対応付けられたデータベースに照らし合わせることにより、前記処理対象の膜厚を決定する、
エッチング処理装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、
前記膜厚決定部は、前記算出光量値を求めるために使用する光の波長の数を変更可能である、
エッチング処理装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、
前記膜厚決定部は、前記受光器の出力において暗電流ノイズを除去する、
エッチング処理装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、
前記膜厚決定部は、前記受光器の出力において暗電流ノイズを除去しない、
エッチング処理装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、
前記算出光量値は、一定であるか、もしくは漸次減少する、
エッチング処理装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、
前記膜厚決定部は、前記受光器からの信号に含まれるパルス状のノイズ成分又はステップ状のノイズ成分を除去する、
エッチング処理装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、
前記膜厚決定部は、前記参照時間のタイミングと長さの少なくとも一方を変更可能である、
エッチング処理装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、
前記膜厚決定部は、前記参照時間を固定する、
エッチング処理装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、
前記受光器は、光源部から出射され前記処理対象で反射した光を受光する、
エッチング処理装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のエッチング処理装置であって、
真空容器内部でプラズマを発生させて、前記処理対象をエッチング処理する処理部を有し、
前記受光器は、前記プラズマから出射され前記処理対象で反射した光を受光する、
エッチング処理装置。
【請求項14】
エッチング処理中に、処理対象から出射された複数の波長の光を受光し、受光した光の強度に応じた信号をそれぞれ出力する第1工程と、
出力された前記信号に基づいて、前記処理対象の膜厚を決定する第2工程と、
決定された前記処理対象の膜厚と、閾値とを比較することにより、前記エッチング処理の終点を判定する第3工程とを備え、
前記第2工程において、所定のサンプリング時間の各時刻毎における波長毎の前記信号を平滑化演算して得られる算出光量値と、前記サンプリング時間より以前の参照時間における前記算出光量値から決定される参照光量値とに基づいて、変化率を求め、
前記サンプリング時間の各時刻毎における前記信号と、前記変化率とに基づいて、波長毎に補正光量値を求め、
更に前記補正光量値に基づいて、前記サンプリング時間における前記処理対象の膜厚を決定する、
エッチング処理方法。
【請求項15】
エッチング処理中に、処理対象から出射された複数の波長の光を受光し、受光した光の強度に応じた信号をそれぞれ出力する受光器と、
前記受光器から出力された信号に基づいて、前記処理対象の膜厚を決定する膜厚決定部と、を備え、
前記膜厚決定部は、所定のサンプリング時間の各時刻毎における前記受光器からの波長毎の信号を平滑化演算して得られる算出光量値と、前記サンプリング時間より以前の参照時間における前記算出光量値から決定される参照光量値とに基づいて、変化率を求め、
前記サンプリング時間の各時刻毎における前記受光器からの信号と、前記変化率とに基づいて、波長毎に補正光量値を求め、
更に前記補正光量値に基づいて、前記サンプリング時間における前記処理対象の膜厚を決定する、
検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング処理装置、エッチング処理方法および検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造において、ウェハの表面上に様々なコンポーネントやそれらを相互接続する配線などが形成される。これらは、導体・半導体・絶縁体など種々の材料の成膜と、不要な部分の除去を繰り返すことで形成することができる。不要な部分の除去プロセスとして、プラズマを用いたドライエッチング(プラズマエッチング)が広く使用されている。
プラズマエッチングでは、エッチング処理装置の処理室内に導入したガスを高周波電源などでプラズマ化し、ウェハをプラズマ化したガスに暴露することでエッチング処理を行う。この時、プラズマ中のイオンによるスパッタリングやラジカルによる化学反応などによって異方性や等方性のエッチングが行われ、これらを使い分けることでウェハ表面上には種々の構造のコンポーネントや配線などが形成される。
【0003】
プラズマエッチングによる加工形状が設計形状と異なる場合、形成される各種コンポーネントはその機能を発揮できない虞れがある。そこで、加工形状を検出するために、エッチング処理を監視・安定化するプロセスモニタ技術が多数提案されてきた。例えば、膜厚・深さモニタと呼ばれるプロセスモニタが知られている。このプロセスモニタは、処理中のウェハからの反射光を計測することにより、ウェハ上に成膜された膜の膜厚やウェハ上に形成された溝や穴の深さを測定するものであり、エッチング処理の終点判定などに利用されてきた。
【0004】
特許文献1には、この膜厚・深さモニタを用いた加工精度高精度化技術が記載されている。特許文献1の技術によれば、プラズマ光を光源とした膜厚・深さモニタを用いて処理対象の膜が完全に除去される直前を検知し、当該エッチング処理を終了する。その後、処理対象部分と処理非対象部分を高い精度で選択的にエッチングする条件に切り替えてエッチング処理を行うことで、全体の処理時間を短く抑えつつ、ウェハ面内での処理ばらつきを抑制し、処理対象膜の完全な除去を実現することができる。
【0005】
特許文献2には、膜厚・深さモニタの膜厚や深さの測定精度の高精度化技術が記載されている。特許文献2の技術によれば、ウェハに照射する光源としてプラズマ光の代わりに外部光源を使用する。これにより、光源の光量変動が小さくなり高精度な膜厚・深さの測定を実現することができる。
【0006】
ところで、半導体デバイスの高機能化に伴い、構造の微細化やレイアウトの複雑化が推進され、特に先端デバイスのエッチングプロセスには更なる高精度な加工が要求されている。先端デバイスのエッチングでは、エッチング処理される領域が少ない(低開口率)場合や、エッチング速度が低い(低エッチングレート)場合がある。これら処理工程の終点判定では、終点判定に用いる指標である各波長の光量時間変化(干渉信号)が小さくなる。そこで、高精度な終点判定を実現するには、時間方向の光量揺らぎであるノイズを低減する必要がある。
【0007】
光量揺らぎノイズの一つとして認識される現象として、エッチング中に測定光量がステップ状に変化する場合がある。かかる現象は、光源であるプラズマ光や外部光の光量が変化することによって発生する。
【0008】
特許文献3、4には、このステップ状のノイズを除去する手法が記載されている。例えば特許文献3の手法では、エッチング中の各時刻に測定される分光スペクトルを1時刻前と比較し、全波長で光量変化が同一方向で、且つその変化量が閾値を超えた場合に光量変動のノイズが発生したと判断し、光量補正を実施する。
【0009】
光量の補正は、ノイズ発生検出時にその変化倍率を算出し、現時刻以降の測定データにはその変化倍率を除算することで実施する。これらにより終点判定の高精度化が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−260799号公報
【特許文献2】特表2004−507070号公報
【特許文献3】特開2007−234666号公報
【特許文献4】特開2008−218898号公報
【特許文献5】特開平5−255850号公報
【特許文献6】特開平8−236592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一方、膜厚・深さ測定における干渉信号のノイズは、ステップ状の光量変化(ステップ状のノイズという)だけでなく、パルス状の光量変化(パルス状のノイズという)である場合もある。パルス状のノイズの発生原因の一つとして、測定するウェハ反射光が通過する領域の空気の揺らぎがある。特にウェハの処理を行う真空チャンバが高温に加熱されている場合、チャンバ付近と光検出器の間の空気に温度勾配が生じ、その高・低温の空気が対流することによって検出される光量に変動が生じる。
【0012】
このパルス状のノイズは、特許文献5、6に開示されているように既に知られている。パルス状ノイズが発生した場合の干渉信号の例を、図1に示す。図には、エッチング中に測定する分光スペクトルデータにおける3波長(λ1、λ2、λ3)に関して、それら光量の時間変化(干渉信号)を示す。かかる干渉信号において、時刻20sec付近にパルス状の光量変動ノイズが発生しており、この光量変動ノイズは膜厚・深さ測定の精度を低下させる。
【0013】
特許文献3の手法を用いてこの光量変動ノイズを除去した干渉信号を、図2に示す。この図2からは、時刻20secの光量変動ノイズは低減されているが、完全に除去できていないことがわかる。このようにノイズが完全に除去できていない干渉信号を用いた場合、正確な膜厚・深さ測定を実現することはできない。
【0014】
また、ステップ状の光量変動ノイズにおいても、その変化量が小さい場合には、従来技術では光量変動ノイズの除去が不可能である。図3に、小さい変動のステップ状ノイズが発生した干渉信号の例を示す。図3において、時刻15secから20sec付近に小さなステップ状ノイズが発生しており、波長λ2およびλ3では、ウェハエッチングに伴う光量変化と区別が付きにくい状態である。
【0015】
この光量変動ノイズに対して、特許文献3の手法を用いて光量変動ノイズの除去を行った干渉信号を、図4に示す。光量変動量ノイズが明確に観測される波長λ1の干渉信号ではノイズが除去されているが、ノイズ除去の副作用として波長λ2の干渉信号では光量が右肩上がり、波長λ3の干渉信号では光量が右肩下りに変化する補正歪みが生じている。
【0016】
これは、ウェハエッチングに伴う光量変化と、ステップ状の光量変動ノイズとが切り分けられず、これらを合わせた光量変化をノイズと検出して補正を行ってしまったためである。従って、ステップ状のノイズにおいても、従来の光量変動ノイズの補正技術では正確な光量変動ノイズの補正を実現することが困難である。
【0017】
以上述べてきたように、高精度な膜厚・深さ測定を実現するためには干渉信号から光量変動ノイズを正確に除去することが必須である。
【0018】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、干渉信号から光量変動ノイズを除去することにより、高精度な膜厚・深さのモニタリングを実施することができるエッチング処理装置、エッチング処理及び検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、代表的な本発明のエッチング処理装置は、
エッチング処理中に、処理対象から出射された複数の波長の光を受光し、受光した光の強度に応じた信号をそれぞれ出力する受光器と、
前記受光器から出力された信号に基づいて、前記処理対象の膜厚を決定する膜厚決定部と、
前記膜厚決定部が決定した前記処理対象の膜厚と、閾値とを比較することにより、前記エッチング処理の終点を判定する判定器とを備え、
前記膜厚決定部は、所定のサンプリング時間の各時刻毎における前記受光器からの波長毎の信号を平滑化演算して得られる算出光量値と、前記サンプリング時間より以前の参照時間における前記算出光量値から決定される参照光量値とに基づいて、変化率を求め、
前記サンプリング時間の各時刻毎における前記受光器からの信号と、前記変化率とに基づいて、波長毎に補正光量値を求め、
更に前記補正光量値に基づいて、前記サンプリング時間における前記処理対象の膜厚を決定することにより達成される。
【0020】
代表的な本発明のエッチング処理方法は、
エッチング処理中に、処理対象から出射された複数の波長の光を受光し、受光した光の強度に応じた信号をそれぞれ出力する第1工程と、
出力された前記信号に基づいて、前記処理対象の膜厚を決定する第2工程と、
決定された前記処理対象の膜厚と、閾値とを比較することにより、前記エッチング処理の終点を判定する第3工程とを備え、
前記第2工程において、所定のサンプリング時間の各時刻毎における波長毎の前記信号を平滑化演算して得られる算出光量値と、前記サンプリング時間より以前の参照時間における前記算出光量値から決定される参照光量値とに基づいて、変化率を求め、
前記サンプリング時間の各時刻毎における前記信号と、前記変化率とに基づいて、波長毎に補正光量値を求め、
更に前記補正光量値に基づいて、前記サンプリング時間における前記処理対象の膜厚を決定することにより達成される。
【0021】
代表的な本発明の膜厚を検出する検出器は、
エッチング処理中に、処理対象から出射された複数の波長の光を受光し、受光した光の強度に応じた信号をそれぞれ出力する受光器と、
前記受光器から出力された信号に基づいて、前記処理対象の膜厚を決定する膜厚決定部と、を備え、
前記膜厚決定部は、所定のサンプリング時間の各時刻毎における前記受光器からの波長毎の信号を平滑化演算して得られる算出光量値と、前記サンプリング時間より以前の参照時間における前記算出光量値から決定される参照光量値とに基づいて、変化率を求め、
前記サンプリング時間の各時刻毎における前記受光器からの信号と、前記変化率とに基づいて、波長毎に補正光量値を求め、
更に前記補正光量値に基づいて、前記サンプリング時間における前記処理対象の膜厚を決定することにより達成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、干渉信号から光量変動ノイズを除去することにより、高精度な膜厚・深さのモニタリングを実施することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、パルス状光量変動ノイズを含む干渉信号の一例を示す図である。
図2図2は、パルス状光量変動ノイズを含む干渉信号に対して、従来技術を用いて光量変動ノイズの除去を行った結果の一例を示す図である。
図3図3は、ステップ状光量変動ノイズを含む干渉信号の一例を示す図である。
図4図4は、ステップ状光量変動ノイズを含む干渉信号に対して、従来技術を用いて光量変動ノイズの除去を行った結果の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態にかかるプラズマを用いたエッチング処理装置の一例を示す概略図である。
図6A図6Aは、膜厚・深さ測定の処理方法を実行する装置の一例を示すブロック図である。
図6B図6Bは、干渉信号の光量変動補正の処理方法を実行する装置の一例を示すブロック図である。
図7A図7Aは、短時間幅のパルス状光量変動ノイズを含む干渉信号の経時変化を示すグラフである。
図7B図7Bは、当該干渉信号を用いた算出光量、推定算出光量、変化率の計算結果の経時変化を示すグラフである。
図7C図7Cは、光量変動補正を実施した場合の、当該変化率を用いた各波長の補正光量の計算結果示す図である。
図7D図7Dは、予め取得した各波長の光量1次微分値と膜厚・深さの関係を用いた膜厚深さ測定を示す図である。
図7E図7Eは、光量変動補正を実施しない場合の、各波長の光量1次微分値と膜厚・深さの関係を用いた膜厚深さ測定を示す図である。
図8A図8Aは、光量変動補正を実施した場合の、予め取得した各波長の光量と膜厚・深さの関係を用いた膜厚・深さ測定結果を示す図である。
図8B図8Bは、光量変動補正を実施しない場合の、予め取得した各波長の光量と膜厚・深さの関係を用いた膜厚・深さ測定結果を示す図である。
図9A図9Aは、長時間幅のパルス状光量変動ノイズを含む干渉信号の経時変化を示すグラフである。
図9B図9Bは、当該干渉信号を用いた算出光量、推定算出光量、変化率の経時変化を示すグラフである。
図9C図9Cは、当該変化率を用いた各波長の補正光量の経時変化を示すグラフである。
図9D図9Dは、各波長の補正光量を用いた膜厚・深さ測定結果を示す図である。
図10A図10Aは、ウェハエッチングに伴う全波長の光量変化があり、且つ短時間幅のパルス状光量変動ノイズを含む干渉信号を含む場合の光量の経時変化を示すグラフである。
図10B図10Bは、当該干渉信号を用いた算出光量、推定算出光量、変化率の計算結果の経時変化を示すグラフである。
図10C図10Cは、当該変化率を用いた各波長の補正光量の経時変化を示すグラフである。
図10D図10Dは、各波長の補正光量を用いた膜厚・深さ測定結果を示す図である。
図11A図11Aは、ステップ状光量変動ノイズを含む干渉信号の経時変化を示すグラフである。
図11B図11Bは、当該干渉信号を用いた算出光量、推定算出光量、変化率の計算結果の経時変化を示すグラフである。
図11C図11Cは、当該変化率を用いた各波長の補正光量の経時変化を示すグラフである。
図11D図11Dは、各波長の補正光量を用いた膜厚・深さ測定結果を示す図である。
図12A図12Aは、各波長の光量の平均により計算した算出光量及び推定算出光量、変化率の経時変化を示すグラフである。
図12B図12Bは、各波長の光量の加重積算又は加重平均により算出光量を計算する場合に用いる各波長の重み付け値(重み付け係数)と、使用する波長の数との関係を示すグラフである。
図12C図12Cは、各波長の光量の加重積算により計算した算出光量及び推定算出光量、変化率の経時変化を示す図である。
図12D図12Dは、各波長の光量の加重平均により計算した算出光量及び推定算出光量、変化率の計算結果を示す図である。
図13A図13Aは、所定の波長範囲を用いた算出光量、推定算出光量、変化率の経時変化を示すグラフである。
図13B図13Bは、当該変化率により計算した各波長の補正光量を用いた膜厚・深さ測定結果を示す図である。
図13C図13Cは、選択した少数個の波長を用いた算出光量、推定算出光量、変化率の経時変化を示す図である。
図13D図13Dは、当該変化率により計算した各波長の補正光量を用いた膜厚・深さ測定結果を示す図である。
図13E図13Eは、選択した単一波長を用いた算出光量、推定算出光量、変化率の経時変化を示すグラフである。
図13F図13Fは、当該変化率により計算した各波長の補正光量を用いた膜厚・深さ測定結果を示す図である。
図14A図14Aは、暗電流レベルの除去を行わない各波長の光量を用いた算出光量、推定算出光量、変化率の経時変化を示す図である。
図14B図14Bは、当該変化率により計算した各波長の補正光量を用いた膜厚・深さ測定結果を示す図である。
図15A図15Aは、1次直線近似を用いて過去の算出光量から推定算出光量、変化率の経時変化を示す図である。
図15B図15Bは、当該変化率により計算した各波長の補正光量を用いた膜厚・深さ測定結果を示す図である。
図16A図16Aは、推定算出光量の計算に用いる算出光量の時間を現時点の1時刻前から15sec前までとした場合における膜厚・深さの測定結果を示す図である。
図16B図16Bは、推定算出光量の計算に用いる算出光量の時間を現時点の1時刻前から10sec前までとした場合における膜厚・深さの測定結果を示す図である。
図16C図16Cは、推定算出光量の計算に用いる算出光量の時間を現時点の1時刻前から5sec前までとした場合における膜厚・深さの測定結果を示す図である。
図16D図16Dは、推定算出光量の計算に用いる算出光量の時間を現時点の1時刻前から3sec前までと変更した場合における膜厚・深さの測定結果を示す図である。
図17A図17Aは、ウェハエッチングに伴う全波長の光量変化があり、且つ短時間幅のパルス状光量変動ノイズを含む干渉信号の経時変化を示すグラフである。
図17B図17Bは、当該干渉信号から計算した算出光量、及び過去特定時刻の算出光量から計算した推定算出光量、及び変化率の経時変化を示すグラフである。
図17C図17Cは、当該変化率を用いた各波長の補正光量の経時変化を示すグラフである。
図17D図17Dは、各波長の補正光量を用いた膜厚・深さ測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態として膜厚・深さ測定方法を実施できるエッチング処理装置を、図面を参照しながら説明する。以下では、エッチング処理を行う膜厚・深さ測定装置を備えた半導体製造装置としてのエッチング処理装置の構成を説明したうえで、かかるエッチング処理装置におけるエッチング処理中の膜厚・深さ測定方法を説明する。
なお、図面中のグラフに数値を示す光量の単位は、例えば分光器のカウント値である。
【0025】
[実施形態]
本実施形態で使用するエッチング処理装置の概略断面図を、図5に示す。エッチング処理装置1は真空処理室(単に処理室ともいう)10を備えている。真空処理室10の内部において、図示を省略したガス導入装置から導入されたエッチングガスが、処理部11(簡略図示)を用いて発生させた高周波電力やマイクロ波によって励起・分解しプラズマ12となり、このプラズマ12により、試料台14に設置された半導体ウェハ等の処理対象16がエッチング処理(プラズマ処理)される。
【0026】
真空処理室10内へのガスの導入、プラズマ12の生成及び制御、図示しない高周波電源等によって行われる処理対象への電圧印加などは、制御部40の制御により行われ、所望のエッチング処理が実現されるように、各機器間での同期・タイミング調整が実施される。
【0027】
プラズマ12をパルス化する場合、パルス化の制御も制御部40によって行われる。具体的には、プラズマ12は、制御部40の制御による高周波電源等による電圧印加、マイクロ波照射などの変調によってパルス化される。また、エッチングガスの導入を時間変調することによっても、プラズマのパルス化は実施される。
【0028】
エッチング処理装置1は、処理対象16の表面に形成された膜の厚さ(膜厚という)・微細構造の深さ(深さという)を測定する測定装置を備えている。この測定装置は、光源部18と、検出器DETとを有する。検出器DETは、検出部(受光器)28と、膜厚・深さ算出部(膜厚決定部)30とを有する。
【0029】
光源部18から射出された光は、光ファイバ等及び導入レンズ20を介して処理室10内に導入され、導入レンズ20を通過した照射光22が処理対象16に照射され、その表面で反射する。
【0030】
なお、光源部18は、紫外から赤外までの広帯域波長の連続光(連続スペクトル光)を用いるが、特定波長の光を用いて膜厚・深さ測定を実施する場合には、特定波長の光源を用いれば良い。
【0031】
処理対象16から反射した反射光24は、検出レンズ26で集光され、光ファイバなどを介して検出部28に導入される。検出部28は分光器で構成され、導入された光を分光し、波長毎の光量を検出する。特定波長を用いて膜厚・深さ測定を行う場合、検出部28は、分光器に限らずフォトディテクタ等を用いてもよい。
【0032】
このとき、検出部28に導入される光が所望の特定波長のみであれば、直接フォトディテクタを用いればよく、広帯域波長の連続光が導入される場合には、フォトディテクタ前段にモノクロメータなどで特定波長のみを選択する機構を設ければよい。
【0033】
図5では処理室10に光を導入する導入レンズ20と、反射光を検出する検出レンズ26は、異なる位置に設置している。この構成の場合、反射光24を最も効率よく検出するためには、導入レンズ20の光軸と検出レンズ26の主光線軸が処理対象16を反射面として一致するように、互いに傾斜させて設置することが望ましい。
【0034】
導入レンズ20と検出レンズ26の構成は図5に限ったものではなく、完全同軸構成として、導入レンズ20と検出レンズ26を1つで共用してもよい。この場合、共用レンズの光軸は処理対象16に垂直な方向とし、垂直照射光による垂直反射光を検出できる構成にすることが望ましい。
【0035】
また、図5では一組の測定系として、光源部18の導入系と反射光24の検出系を記載しているが、処理対象16の複数の位置で膜厚・深さを測定する場合には、複数組の測定系を設ければよい。
【0036】
さらに図5では、光源として外部の光源部18から光を入射した場合について説明したが、光源としてプラズマ12の光を用いることもできる。その場合には、光源部18は使用しなくてもよい。プラズマ12を光源として用いる場合も、プラズマ12から放出された光は処理対象16より反射し、反射光24が光源部18を用いた場合と同様に分光器で検出される。
【0037】
検出部28のデータは、膜厚・深さ算出部30に入力され膜厚・深さが決定される。膜厚・深さ算出部30の機能ブロックの構成を、図6Aに示す。所定のサンプリング時間の間に、検出部28から膜厚・深さ算出部30に入力された各波長の光量の時系列データD0は、後述する光量変動補正器110で処理される。
【0038】
その処理結果として出力される信号D1は、第1デジタルフィルタ100によって平滑化処理され、第1平滑化時系列データD2として微分器102に供給される。微分器102では、例えばS−G法(Savitzky−Golay method)を用いて微分係数値(1次微分値または2次微分値)である微分時系列データD3を算出する。微分時系列データD3は、第2デジタルフィルタ104に供給される。第2デジタルフィルタ104では、微分時系列データD3を平滑化処理し、第2平滑化時系列データD4を求める。第2平滑化時系列データD4は微分比較器106に供給される。
【0039】
次に、各データD2、D3、D4の算出について説明する。第1デジタルフィルタ100としては、例えば2次バタワース型のローパスフィルタを用いる。2次バタワース型のローパスフィルタにより第1平滑化時系列データD2は、次式により求められる。
D2(i) = b1・D1(i) + b2・D1(i-1) + b3・D1(i-2) - [ a2・D2(i-1) + a3・D2(i-2)]
【0040】
ここで、Dk(i)は各データDkの時刻iのデータを示し、係数b、aはサンプリング周波数およびカットオフ周波数により数値が異なる。またデジタルフィルタの係数値は例えば、a2=−1.143、a3=0.4128、b1=0.067455、b2=−0.013491、b3=0.067455(サンプリング周波数10Hz、カットオフ周波数1Hz)である。
【0041】
微分係数値の時系列データD3は微分器102により、例えば5点の時系列データD2の多項式適合平滑化微分法を用いて以下のように算出される。
【0042】
【数1】
【0043】
ここで重み係数wに関して、1次微分計算では、例えばw−2=−2、w−1=−1、w0=0、w1=1、w2=2が用いられる。また、2次微分計算では、例えばw−2=2、w−1=−1、w0=−2、w1=−1、w2=2が用いられる。
【0044】
前記微係数値の時系列データD3を用いた第2平滑化時系列データD4の算出における第2デジタルフィルタ104としては、例えば2次バタワース型ローパスフィルタにより以下のように算出される。
D4(i) = b1・D3(i) + b2・D3(i-1) + b3・D3(i-2) - [ a2・D4(i-1) + a3・D4(i-2)]
【0045】
微分比較器106に入力された第2平滑化時系列データD4は、各波長毎に異なる周期と振幅の成分を含む微分波形パターンを持つ。そこで、この導出した微分波形パターンを、予め取得済みである膜厚・深さと微分波形パターンとを関連付けた微分波形パターンデータベース108と比較(照合)する。
【0046】
より具体的には、微分比較器106は、算出された第2平滑化時系列データD4の微分波形パターンと最も近い微分波形パターンを、微分波形パターンデータベース108の中から特定し、その最も近い微分波形パターンに対応付けて記憶された膜厚・深さを、処理対象の膜厚・深さとして決定する。決定された膜厚・深さは、膜厚・深さ算出部30の外部へ供給され、例えば不図示のモニタに表示され、或いはメモリに記憶される。
【0047】
また、決定された膜厚・深さは、制御部40(図5)へと送られる。判定器としての制御部40は、決定された膜厚・深さを、記憶された閾値と比較して、エッチング処理の終点に到達したと判断したときは、エッチング処理装置1のエッチング処理を停止させる。
【0048】
図6Aの膜厚・深さ算出部30では、処理対象の膜厚に対する各波長の光量変化の1次微分値又は2次微分値を予め取得している場合である。つまり、各検出結果の時刻に対する波長毎に光量の1次微分値又は2次微分値を取得し、それと予め取得しているデータを比較することで当該時刻の膜厚を特定している。しかし、膜厚・深さ特定の方法はこれに限ったものではない。
【0049】
例えば、処理対象の膜厚・深さと波長毎の反射率のデータを予め取得しておき、検出結果と照射した外部光の波長毎の光量と用いて波長毎の反射率を算出し、算出した波長毎の反射率と予め取得している反射率のデータとを比較することで、当該測定における膜厚・深さを特定するようにしてもよい。
【0050】
また、処理対象の膜厚・深さと波長毎の光量データを予め取得しておき、検出結果から波長毎の光量を取得し、それと予め取得している光量データとを比較することで、当該時刻の膜厚を特定するようにしてもよい。
【0051】
さらに、処理対象の膜厚と各波長の光量変化の1次微分値又2次微分値を光量で規格化した1次微分規格化値又は2次微分規格化値のデータを予め取得しておき、検出結果から波長毎の光量変化の1次微分規格化値又は2次微分規格化値を取得し、それと予め取得しているデータを比較することで当該時刻の膜厚を特定するようにしてもよい。
【0052】
ここで、検出部28から膜厚・深さ算出部30に入力された各波長の光量の時系列データD0に、光量変動ノイズが含まれていた場合の補正について、以下に説明する。
【0053】
光量変動ノイズを除去する原理は、以下の通りである。複数の波長の光量には、処理対象からの反射による干渉成分と、全波長で共通の光量変動ノイズ成分が含まれる。干渉成分は、波長間で非同期(位相、周波数、振幅が異なる)であるため、例えば総光量算出により相殺できる。
【0054】
その結果、総光量の時系列データから、全波長に共通の光量変動ノイズが観測される。そこで、過去総光量データから算出される現時点での推定総光量(推定算出光量という)と測定総光量(算出光量という)の比を、変化率として計算する。この変化率を用いて光量変動の補正を行うことができる。以下、具体的に光量変動ノイズの除去について説明する。
【0055】
まず、光量変動補正器110の機能ブロックの構成を、図6Bに示す。上述したように、所定のサンプリング時間の間に、検出部28から入力される各波長の光量の時系列データD0により、算出光量計算部202において当該時刻の算出光量が計算される。
【0056】
算出光量の計算手法には、特定波長の光量の積算(総和)、平均、各波長に設定した重み付け係数を用いた加重積算、加重平均などが用いられる。これらの計算手法により光量を処理することを平滑化演算という。特定波長としては、観測される全波長、指定した波長範囲の全波長、任意に選択した複数又は1つの波長が用いられる。計算に用いる各波長の光量は、測定光量そのものを用いても良い。
【0057】
ただし、光量変動ノイズによって分光器の暗電流レベル(光入力が無い状態で分光器から出力される信号レベル、暗電流ノイズともいう)を除く測定光量が倍率変動することを考慮すると、測定光量から暗電流レベルを減算した光量値を用いる方が高精度な光量補正が実現できるので好ましい。
【0058】
これらに限らず、各波長の光量時系列データを用いてLPF(Low Pass Filter)を付加した光量値、当該時刻と1時刻前の光量差や光量変化率、直前数時刻を用いて算出される平均光量変化(微分値)やその当該時刻の光量での規格化値を用いることもできる。
【0059】
これら手法で算出される算出光量D0−1は、推定算出光量計算部204に供給され推定算出光量が算出される。この推定算出光量を参照光量値とする。推定算出光量計算部204には、図示しない記憶部によって現在及び過去の算出光量が記憶されており、推定算出光量計算部204では過去の算出光量を用いて推定算出光量が計算される。
【0060】
推定算出光量の計算方法には、過去算出光量の平均値や、多項式近似で算出される現時刻(サンプリング時間)の算出光量値や、LPFを付加した(高周波成分を除去した)算出光量値が用いられる。これらの計算に用いられる算出光量の過去時間(サンプリング時間以前の参照時間とする)は、サンプリング時間直前の特定時間(過去数秒等)、特定時刻から直前時刻の全時刻(エッチング開始直後から直前時刻等)、特定時刻又は特定時間(エッチング開始5秒後やエッチング開始直後から10秒まで等)が用いられる。参照時間は、サンプリング時間と連続していてもよいし、サンプリング時間と不連続でもよく、光量変動補正器110において任意に選択できる。
【0061】
過去算出光量の平均値を例にとると、平均化に用いる時間を長くすることは移動平均範囲を伸ばすことに相当するため、平均化時間を伸ばすに従い算出光量の時系列データから除去される変動のカットオフ周波数が下がっていくことに相当する。つまり平均化時間を調整することで、それによって計算される推定算出光量の時間変化をどこまで抑制するかを調整可能である。
【0062】
過去特定時刻から直前時刻までの平均を用いる場合は、強くLPFを掛けることに相当する。また、過去特定時刻又は特定時間を用いる場合は、その時間が短くなるにつれて高周波変動成分を残すことに相当する。一方、平均値ではなく多項式近似を用いる場合、多項式の次数が上がるにつれてLPFのカットオフ周波数は高くなる。これらは除去したい光量変動ノイズの周波数に応じて使い分ければよい。
【0063】
これら手法によって算出された推定算出光量D0−2及び現時刻の算出光量D0−1は、変化率計算部206に供給され、変化率D0−3が計算される。変化率の計算方法には、算出光量を推定算出光量で除算する方法が用いられる[時刻毎に(D0−3)=(D0−1)/(D0−2)]。
但し、各波長の光量として上述の光量変化率や平均光量変化の規格化値を用いる場合には、算出光量から推定算出光量を減算する方法が用いられる。
【0064】
算出された変化率D0−3は、各波長補正光量計算部208に供給され、現時刻の各波長の測定光量又は暗電流レベルを除去した測定光量を変化率D0−3で除算し、各波長の補正光量(補正光量値)が計算される。計算された各波長の補正光量D1は、光量変動補正器110から出力され、更に第1デジタルフィルタ100に供給され、膜厚・深さデータの算出に使用される。
【0065】
(実施例1)
かかるプラズマ処理装置を用いた膜厚・深さの測定動作及びその結果を、図7A〜7Eを用いて説明する。図7Aには、エッチング中の分光計測によって取得される各波長の光量変化の一例が示してあり、本例では時刻20sec近傍に半値幅0.2sec程度の光量変動ノイズ発生している。
【0066】
このような観測光量に光量変動がある場合に対しても、本実施例では光量変動の影響を受けることなく、高精度な膜厚・深さ測定を実施することができる。ウェハ反射光の分光計測、測定信号の信号処理及びそれらの動作制御は、全て図5における制御部40及び膜厚・深さ算出部30によって行われる。
【0067】
本実施例ではウェハ照射を行う光源として白色LEDを用い、ウェハ反射光は波長250nm〜950nmを2000波長に分割して計測する構成とした。測定のサンプリング速度は0.1secであり、エッチング時間30secにおいて膜厚推定を行った。ウェハの初期膜厚は100nmであり、30secエッチング後の膜厚は0nmである。
【0068】
図7Aには、各時刻に計測される各波長の光量を波長λ1、λ2、λ3に関して示している。観測される各波長の光量を用いて、図6Bの算出光量計算部202にて計算される各時刻の算出光量を、図7Bの実線に示す。
【0069】
ここで、算出光量の算出は、観測される全波長の合計によって計算した。また、各波長の光量は、測定光量から分光器の暗電流レベルを除去した結果を用いた。算出光量の時間変化には光量変動ノイズが観測されており、各波長のウェハエッチングに伴う光量変化は、ほぼ観測されていないことが確認できる。
【0070】
この算出光量を用いて、図6Bの推定算出光量計算部204にて計算される各時刻の推定算出光量を図7Bの短破線で示す。ここで、推定算出光量の算出は、時刻0secから直前時刻までの平均値を計算することで行った。推定算出光量には算出光量で観測される光量変動ノイズがほぼ観測されず、算出光量がほぼ一定という光量変動ノイズが無い状態の算出光量が推定されている。
【0071】
図6Bの変化率計算部206にて変化率を計算した結果を、図7Bの長破線で示す。ここで、変化率は各時刻の算出光量を推定算出光量で除算することで算出した。変化率は光量変動が発生していない部分ではほぼ1であるが、光量変動が発生している時刻では1以外となる。
【0072】
図6Bの各波長補正光量計算部208にて各波長の補正光量を計算した結果を、図7Cに示す。図中には波長λ1、λ2、λ3に関してのみ示している。各波長の光量変動から光量変動ノイズが除去され、ウェハエッチングに伴う各波長固有の光量変動のみが観測されることが分かる。
【0073】
図7A図7Cを比較して明らかであるが、波長毎の信号波形における周期及び振幅が補正前と補正後とでほぼ変わらないことであり、この特性により膜厚・深さを精度よく測定できる。ここから、本実施形態によって光量変動ノイズを除去できることが確認できる。
【0074】
上記手法で算出した各波長の補正光量を用いて膜厚・深さの測定を行った結果を、図7Dに示す。図中の実線は各時刻において特定して測定膜厚であり、短破線は真の膜厚、長破線は測定膜厚と真の膜厚との誤差である。
【0075】
ここで、膜厚・深さの特定は、予め取得した補正光量の1次微分値と膜厚・深さが相関付けられたデータベースを用い、算出した補正光量の1次微分値とデータベースを比較することで行った。各時刻の測定膜厚と真の膜厚は一致しており、その誤差は各時刻でゼロである。
【0076】
ここから、本実施形態を用いることで、光量変動ノイズを除去した場合でも、エッチング中の全ての時刻において正確な膜厚推定が実現できることが確認できる。
【0077】
(比較例)
参考として、図6Aの光量変動補正器110を通さずに膜厚測定を実施した結果を、図7Eに示す。図7Eによれば、光量変動ノイズが発生している時刻20sec付近において測定膜厚と真の膜厚に乖離が発生しており、正確な膜厚測定が実現できていないことが分かる。
この結果から、図7E図7Dとを比較すると明らかであるが、本実施例を用いることで、従来方法では正確な膜厚測定ができない光量変動ノイズが発生した場合においても、正確な膜厚測定が実現できることが確認できる。
【0078】
(変形例)
ここで、本実施形態では膜厚・深さの特定手法として補正光量の1次微分値を用いた。しかし、それ以外にも、補正光量そのものを用いる手法や、補正光量を光源光量で規格化して算出する反射率を用いる手法や、補正光量の1次微分値又は2次微分値を当該時刻の補正光量で規格化する規格化1次微分値又は規格化2次微分値を用いる手法を用いることができる。
【0079】
本実施形態では、図7Cに示すように光量変動ノイズを除去し、各波長のウェハエッチングに伴う光量変動のみを残すことができるため、以上の膜厚・深さの特定手法のいずれを用いた場合においても、正確な膜厚測定を実現することが可能である。
【0080】
例として補正光量そのものを用いた場合の膜厚推定結果を、図8Aに示す。図8Bには図6Aの光量変動補正器110を通さずに膜厚測定を実施した結果を示す。
【0081】
図8Bによれば、光量変動ノイズが発生している時刻20sec付近において測定膜厚誤差が生じ、正確な膜厚測定が実現できていないことが分かる。一方、図8Aによれば、測定膜厚誤差が生じていない。
【0082】
これらの結果から、本実施例の光量変動ノイズの補正を用いることで、補正光量そのものを用いた方法による膜厚・深さ測定においても、正確な膜厚測定が実現できることが確認できる。
【0083】
なお、本実施例で用いた光源、分光測定、測定条件、ウェハ条件は一例であり、これら以外の構成・条件に対しても本発明は適用可能であることは明らかである。
【0084】
(実施例2)
本実施例では、光量変動ノイズの時間幅が図7Aよりも長い場合において、本実施形態を用いて膜厚・深さ測定を行った結果について述べる。これら以外の条件に関しては実施例1と同じとした。
【0085】
本実施例に用いるエッチング中の各波長の光量変化を図9Aに示す。本実施例の観測光量には時刻20sec付近に半値幅5sec程度の光量変動ノイズがある。かかる信号を用いて算出光量、推定算出光量、変化率を計算した結果を、図9Bに示す。
【0086】
実施例1と同様に、本実施形態の計算処理により光量変動ノイズの変化率が算出できることが確認できる。算出した変化率を用いて各波長の補正光量を計算した結果を図9Cに示す。推定算出光量は、なだらかに変化しているが、本実施例の光量補正により各波長の測定光量から光量変動ノイズが除去されているこが確認できる。
【0087】
この補正光量を用いて膜厚測定を実施した結果を、図9Dに示す。推定算出光量が、なだらかに変化しているので、各波長の光量は若干右肩上がりとなっているが、波長毎の信号波形の周期及び振幅が、補正前と補正後とでほぼ変わらない。したがって、本実施例でも実施例1と同様に正確な膜厚測定ができており、光量変動の時刻幅が広い場合においても本実施形態を用いることで光量変動ノイズは補正可能であり、正確な膜厚推定を実現できることが確認できる。
【0088】
(実施例3)
本実施例ではウェハエッチングに伴い全光量が変化するプロセスにおいて、図7Aの光量変動ノイズが発生した場合に対して、本実施形態を用いて膜厚・深さ測定を行った結果について述べる。これら以外の条件に関しては実施例1と同じとした。
【0089】
本実施例に用いるエッチング中の各波長の光量変化を、図10Aに示す。本実施例の観測光量はエッチングが進行するにつれて全波長で光量が低下し、時刻20sec付近には半値幅0.2sec程度の光量変動ノイズがある。
【0090】
かかる信号を用いて算出光量、推定算出光量、変化率を計算した結果を、図10Bに示す。実施例1と同様に本実施形態の計算処理により光量変動ノイズの変化率が算出できることが確認できる。
【0091】
ここで、推定算出光量において過去全時刻の平均値を用いているため、ウェハエッチングに伴う全波長の光量変動も光量変動の一部として捉えることにより、算出した変化率にはエッチングに伴う光量変化も若干観測されることとなる。
【0092】
算出した変化率を用いて各波長の補正光量を計算した結果を、図10Cに示す。変化率が、なだらかに減少しているので、各波長の光量は若干右肩下がりとなっているが、波長毎の信号波形の周期及び振幅が、補正前と補正後とでほぼ変わらない。したがって、本実施例の光量補正により各波長の測定光量から光量変動ノイズが除去されていることが確認できる。
【0093】
この補正光量を用いて膜厚測定を実施した結果を、図10Dに示す。他の実施例と同様に正確な膜厚測定ができており、本実施例を用いることでエッチングに伴う全波長の光量変動があった場合においても、その光量変動は残しつつ、光量変動ノイズは補正可能であり、正確な膜厚推定を実現できることが確認できる。
【0094】
(実施例4)
本実施例ではステップ状の光量変動ノイズが発生した場合に対して、本実施形態を用いて膜厚・深さ測定を行った結果について述べる。これら以外の条件に関しては、実施例1と同じとした。
【0095】
本実施例に用いるエッチング中の各波長の光量変化を、図11Aに示す。本実施例の観測光量には時刻15secから20secの間にステップ状の光量変動ノイズがある。かかる信号を用いて算出光量、推定算出光量、変化率を計算した結果を、図11Bに示す。本実施形態の計算により光量変動ノイズの変化率が算出できることが確認できる。
【0096】
算出した変化率を用いて各波長の補正光量を計算した結果を、図11Cに示す。変化率が15sec以降で、なだらかに増大しているので、各波長の光量は15sec以降、若干上がり気味となっているが、波長毎の信号波形の周期及び振幅が、補正前と補正後とでほぼ変わらない。したがって、本実施例の光量補正により各波長の測定光量から光量変動ノイズが除去されていることが確認できる。
【0097】
この補正光量を用いて膜厚測定を実施した結果を、図11Dに示す。他の実施例と同様に正確な膜厚測定ができており、本実施例を用いることでステップ状の光量変動があった場合においても、光量変動ノイズを補正可能であり、正確な膜厚推定を実現できることが確認できる。
【0098】
(実施例5)
本実施例では算出光量の算出において各波長光量の平均、加重積算、加重平均を用いた場合に対して、本実施形態を用いて膜厚・深さ測定を行った結果について述べる。これら以外の条件に関しては実施例1と同じとした。
【0099】
実施例1の図7Aの測定光量データを用い、全波長の光量平均値を算出光量として計算し、推定算出光量、変化率を算出した結果を、図12Aに示す。算出光量の計算に平均値を用いた場合も変化率には光量変動ノイズが観測されており、その値は実施例1の図7Bと同じであることが確認できる。したがって、本手法を用いた場合においても、正確な膜厚測定が実施できることは明らかである。
【0100】
また、算出光量の算出に加重積算を用いた場合の算出光量、推定算出光量、変化率を、図12Cに示す。ここで、各波長の重み付けには、図12Bに示すような波長番号に対応づけた重み付け係数を使用した。
【0101】
本実施例では、この重み付け値は測定開始時の各波長の光量の逆数とした。算出光量の計算に加重積算を用いた場合も、変化率には光量変動ノイズが観測されており、その値は実施例1の図7Bに示すものと同じであることが確認できる。したがって、本手法を用いた場合においても、正確な膜厚測定が実施できることは明らかである。
【0102】
さらに、算出光量の算出に加重平均を用いた場合の算出光量、推定算出光量、変化率を、図12Dに示す。ここで、各波長の重み付けには、図12Bに示す関係を使用した。算出光量の計算に加重積算を用いた場合も、変化率には光量変動ノイズが観測されており、その値は実施例1の図7Bに示すものと同じであることが確認できる。したがって、本手法を用いた場合においても、正確な膜厚測定が実施できることは明らかである。
【0103】
以上の結果から、算出光量の計算に平均、加重積算、加重平均を用いた本実施例によっても光量変動ノイズを補正することが可能であり、正確な膜厚推定が実現できることが確認できる。
【0104】
本実施例にかかる算出光量の計算手法は実施例1への適用に限らず、本明細書に記載される他の実施例及び記載していない類似の実施形態に適用した場合においても同様な効果を得ることが可能である。
【0105】
(実施例6)
本実施例では算出光量の算出において使用する波長を特性波長範囲、選択少数波長、単一波長とした場合において、本実施形態を用いて膜厚・深さ測定を行った結果について述べる。これら以外の条件に関しては実施例1と同じとした。
【0106】
実施例1の図7Aの測定光量データを用い、波長範囲250nmから500nmの光を使用して算出光量、推定算出光量、変化率を算出した結果を、図13Aに示す。算出光量の計算に特定波長範囲を用いた場合も変化率には光量変動ノイズが観測されており、その値は実施例1の図7Bに示すものとほぼ同じであることが確認できる。
【0107】
この変化率を用いて各波長の補正光量を算出し、膜厚測定を実施した結果を、図13Bに示す。膜厚推定誤差は全時刻でゼロであり、本手法を用いることによっても正確な膜厚推定ができていることが確認できる。上記の波長範囲以外にも、任意の波長範囲を選択できる。
【0108】
波長250nm、450nm、650nm、850nmの4波長を使用して算出光量、推定算出光量、変化率を計算した結果を、図13Cに示す。算出光量の計算に選択少数波長を用いた場合には波長数が少ないために、計算に用いた波長のエッチングに起因する光量変化が変化率には若干観測されることになるが、光量変動ノイズは実施例1の図7Bとほぼ同様に観測されている。上記の波長以外にも、任意の波長及び/又は波長の数を選択できる。
【0109】
この変化率を用いて各波長の補正光量を算出し、膜厚測定を実施した結果を、図13Dに示す。膜厚推定誤差は全時刻でゼロであり、本手法を用いることによっても正確な膜厚推定ができていることが確認できる。
【0110】
エッチングに起因する光量変化が小さい波長950nmのみ(単一波長)を使用して算出光量、推定算出光量、変化率を計算した結果を、図13Eに示す。計算に用いた波長のエッチングに起因する光量変化が変化率には観測されることになるが、光量変動ノイズは実施例1の図7Bに示すものとほぼ同様に観測されている。
【0111】
この変化率を用いて各波長の補正光量を算出し、膜厚測定を実施した結果を、図13Fに示す。光量変動発生時刻20secにおいて膜厚推定誤差はゼロであり、本手法によって光量変動ノイズが除去され、正確な膜厚測定が実現できていることが分かる。
【0112】
一方、他の時刻では、最大0.6nm以下の膜厚測定誤差が生じており、これは変化率に選択した波長のエッチング起因の光量変動が観測され、その変化率で補正光量を算出したことによる補正光量歪みが発生した影響である。
【0113】
このように、算出光量の計算に用いる波長数を減少することによって膜厚測定誤差が生じるため、使用する波長数は多い方が望ましいが、生じる膜厚測定誤差は本実施形態を用いない実施例1の図7Dに比べ十分小さい。
【0114】
従って、使用する波長数が少ない場合においても本実施形態を用いることは膜厚測定の高精度化に有効であり、要求される膜厚測定精度に応じて使用する波長数は減少させて使用すればよい。
【0115】
本実施例にかかる算出光量の計算手法は実施例1への適用に限らず、本明細書に記載される他の実施例及び記載していない類似の実施形態に適用した場合においても同様な効果を得ることが可能である。
【0116】
(実施例7)
本実施例では算出光量の算出に用いる各波長の光量として測定光量そのもの、1時刻前との変化率(又は1次微分値の当該測定光量での規格化値)を使用した場合において、本実施形態を用いて膜厚・深さ測定を行った結果について述べる。これら以外の条件に関しては実施例1と同じとした。
【0117】
実施例1の図7Aの測定光量データを用い、各波長の測定光量そのもの(暗電流レベルを除去しない光量)から算出光量、推定算出光量、変化率を算出した結果を、図14Aに示す。本手法においても変化率には光量変動ノイズが観測されており、その値は実施例1の図7Bに示すものと同じであることが確認できる。
【0118】
この変化率を用いて各波長の補正光量を算出し、膜厚測定を実施した結果を、図14Bに示す。光量変動の発生時刻20secにおいて若干の膜厚測定誤差が発生しているが、凡そ正確に膜厚測定が実現できていることが確認できる。
【0119】
この膜厚測定誤差は、各波長の光量から暗電流レベルは光量変動ノイズによって変動しない成分であるため、正確に変化率を算出できなかったことによる誤差である。しかし、実施例1の図7Dに比べ膜厚測定誤差は大幅に低減しており、膜厚測定に十分な精度を必要とせず、簡易なデータ処理構成で本実施形態を実現する場合に本実施例は適している。
【0120】
本実施例にかかる算出光量の計算手法は実施例1への適用に限らず、本明細書に記載される他の実施例及び記載していない類似の実施形態に適用した場合においても同様な効果を得ることが可能である。
【0121】
(実施例8)
本実施例では推定算出光量の算出において多項式近似を用いて本実施形態の膜厚・深さ測定を行った結果について述べる。これら以外の条件に関しては実施例1と同じとした。
【0122】
実施例1の図7Aの測定光量データを用い、算出光量を1次直線近似することで推定算出光量、変化率を算出した結果を、図15Aに示す。具体的な計算方法として、例えば本実施例では時刻0secから直前時刻までの全算出光量の時間変化を1次関数でフィッティングし、そのフィッティング関数を用いて現時刻の算出光量を推定する方法で推定算出光量を計算した。
【0123】
本計算方法を用いた場合においても実施例1の図7Dと同等な光量変動が算出した変化率には観測されている。本変化率を用いて各波長の補正光量を計算し、膜厚測定を行った結果を図15Bに示す。全ての時刻において測定膜厚誤差はゼロであり、本計算方法を用いることによっても光量変動ノイズを補正でき、正確な膜厚測定が実現可能であることが確認できる。
【0124】
本実施例にかかる算出光量の計算手法は実施例1への適用に限らず、本明細書に記載される他の実施例及び記載していない類似の実施形態に適用した場合においても同様な効果を得ることが可能である。
【0125】
(実施例9)
本実施例では、推定算出光量の算出に用いる算出光量の時間(参照時間)を直前から特定範囲の時刻に変更した場合について述べる。これら以外の条件に関しては実施例1と同じとした。
【0126】
実施例1の図7Aの測定光量データを用い、推定算出光量の計算に用いる算出光量の時間を直前から15sec間、10sec間、5sec間、3sec間と変更した場合における、膜厚測定結果を図16A、16B、16C、16Dにそれぞれ示す。
【0127】
過去15sec間を使用した場合には、実施例1の図7Dに示すものと同様に正確な膜厚測定が実現できていることが確認できており、使用する過去時間範囲を短くした場合にも本実施形態によって正確な膜厚測定が実現可能である。
【0128】
一方、過去時間範囲を10sec間、5sec間、3sec間と短くしていくことに応じて、膜厚測定誤差が大きくなることが分かる。これは、使用する過去時間範囲を短くすることによって、算出光量から推定算出光量を計算する際の高周波変動除去(LPFと同様)効果が低下していることを示している。
【0129】
従って、本実施形態の計算手法における使用する過去時間範囲は長い方が良いが、十分な過去時間範囲を確保できない場合においても、本実施形態を使用しない実施例1の図7Eの膜厚測定結果に比べ大幅に精度を改善することが可能である。
【0130】
本実施例にかかる算出光量の計算手法は実施例1への適用に限らず、本明細書に記載される他の実施例及び記載していない類似の実施形態に適用した場合においても同様な効果を得ることが可能である。
【0131】
(実施例10)
本実施例では、推定算出光量の算出に用いる算出光量の時間を特定の時間に固定した場合について述べる。これら以外の条件に関しては実施例1と同じとし、測定信号に関しては実施例2のエッチングに起因して全波長の光量が減少する例を用いた。
【0132】
図17Aは実施例2と同様な全波長の光量が減少する信号を示し、この信号を用いて、推定算出光量の計算に用いる算出光量を時刻0secから5secまでに固定した場合において計算される推定算出光量および変化率を、図17Bに示す。
【0133】
本手法では推定光量は常に一定値となるため、変化率には光量変動ノイズ以外にエッチングに起因する全波長の光量変化が観測されることとなる。本変化率を用いて各波長の補正光量を計算した結果を、図17Cに示す。
【0134】
変化率にエッチング起因の光量変化も含まれることから、光量変動ノイズ以外に補正光量からは全波長で共通のエッチング起因の光量変化も除去されていることが分かる。この補正光量を用いた膜厚測定結果を図17Dに示す。全ての時刻において測定膜厚誤差はゼロであり、正確な膜厚測定が実現できていることが分かる。
【0135】
本実施例の場合、エッチング起因の光量変化を除去しても正確な膜厚測定が実現できているが、このエッチング起因の光量変化に基づいて膜厚測定を実施している場合においては、この光量変化は除去するべきではなく、実施例3の計算手法を用いることでエッチング起因の光量変化を残すように光量変動ノイズの補正を実施するほうが望ましい。
【0136】
一方、エッチング起因の光量変化を除去しても良い場合においては、本手法は過去短い時刻を参照することで光量変動ノイズを正確に除去することが可能な点で非常に有用である。算出光量の時間は、任意に選択可能である。
【0137】
本実施例にかかる算出光量の計算手法は実施例1への適用に限らず、本明細書に記載される他の実施例及び記載していない類似の実施形態に適用した場合においても同様な効果を得ることが可能である。
【0138】
各波長の光量を用いた算出光量の計算は、処理対象のエッチング進行に起因する各波長の光量の変化が算出光量において観測され難くなっているものであれば好ましく、例えば複数の波長の光量を合計することができる。また、複数の波長の光量を平均してもよく、予め設定した各波長の重み付け係数を用いた加重積算又は加重平均を行ってもよい。
【0139】
算出光量の計算に用いる特定波長として、測定される全波長を用いてもよく、また特定波長範囲の全波長や、特定波長範囲内で選択した複数波長を用いてもよい。計算に用いる波長数が低下するに従い、算出光量には計算に用いた各波長のウェハエッチング進行に起因する光量変化が観測され、上記光量変動補正によって各波長の光量変化に歪みが生じる。
【0140】
しかし、この光量変化は各波長の光量変化(信号強度)よりも小さいため、上記光量変動補正によってウェハエッチング進行に起因する各波長の光量変化が完全に除去されてしまうことはない。したがって、上記光量変動補正によって生じる光量変化の歪みが許容できる範囲であれば、計算に用いる波長数は少なくてもよい。また、特定波長においてウェハエッチング進行に起因する光量変化が略ゼロである場合には、その特定波長内の1波長または少数の波長を用いてもよい。
【0141】
算出光量の計算に用いる各波長の光量は、検出器への入射光量に比例する観測値であることが望ましく、例えば測定光量から分光器の暗電流レベルを差し引いた光量値を用いてもよい。測定光量に比べ暗電流レベルが十分小さい場合には、測定光量そのものを用いてもよい。
【0142】
現時刻より過去の算出光量からの推定算出光量の計算は、例えば過去算出光量の平均でもよく、多項式近似により推定される現時刻の算出光量でもよい。
【0143】
平均や多項式近似に用いる過去算出光量の範囲は、現時刻から特定範囲の過去時間でもよく、例えば、任意に決定した過去特定時刻から現時刻より1時刻前の全ての過去時間を用いてもよい。また、上記のように経時につれて推定算出光量の計算に用いる過去時間を必ずしも変更する必要は無く、常に過去特定時間(参照時間)を固定して用いてもよい。過去特定時間を固定すると、推定算出光量は常に一定となる。
【0144】
推定算出光量の算出には上述の様々な方法があるが、いずれの方法でも過去算出光量の時間変化から高周波成分(高速な算出光量変化)を除去し、算出光量が無かった場合の現時刻の算出光量を推定算出光量として計算している。従って、計算に用いる過去時間による光量変動補正への影響は、光量変動のカットオフ周波数が変化することに相当する。
【0145】
算出光量と推定算出光量を用いた変化率の計算は、算出光量を推定算出光量で除算することで実施される。
【0146】
変化率を用いた各波長の補正光量の計算は、各波長の光量を変化率で除算することで実施する。
【0147】
これら方法によって取得される各波長の補正光量を用いた処理対象ウェハの膜厚・深さの特定方法は、各波長の補正光量を予め取得してある各波長の光量と膜厚・深さが関連付けられたデータと比較することで行えばよい。
【0148】
処理対象の膜厚・深さと各波長の光量が関連付けられたデータベースを予め取得している場合、各波長の補正光量と予め取得しているデータベースを比較することで、当該時刻の膜厚・深さを特定すればよい。
【0149】
処理対象の膜厚・深さと各波長の反射率が関連付けられたデータベースを予め取得している場合、各波長の補正光量と照射した外部光の各波長の光量を用いて各波長の反射率を算出し、算出した各波長の反射率と予め取得しているデータベースを比較することで、当該測定における膜厚・深さを特定すればよい。
【0150】
処理対象の膜厚・深さと各波長の光量変化の1次微分値又は2次微分値が関連付けられたデータベースを予め取得している場合、各波長の補正光量の1次微分値又は2次微分値を取得し、それと予め取得しているデータベースを比較することで当該時刻の膜厚・深さを特定すればよい。
【0151】
処理対象の膜厚・深さと各波長の光量変化の1次微分値又は2次微分値の光量での規格化値が関連付けられたデータベースを予め取得している場合、各波長の補正光量の1次微分値又は2次微分値を取得し、それと予め取得しているデータベースを比較することで、当該時刻の膜厚・深さを特定すればよい。
【0152】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態における構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態における構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0153】
1:エッチング処理装置、10:処理室、12:プラズマ、14:試料台、16:処理対象、18:光源部、20:導入レンズ、22:照射光、24:反射光、26:検出レンズ、28:検出部、30:膜厚・深さ算出部、40:制御部、100:第1デジタルフィルタ、102:微分器、104:第2デジタルフィルタ、106:微分比較器、108:微分波形パターンデータベース、110:光量変動補正器、202:算出光量計算部、204:推定算出光量計算部、206:変化率計算部、208:各波長補正光量計算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図17C
図17D
【国際調査報告】