特表-20213036IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年10月22日
【発行日】2021年5月6日
(54)【発明の名称】路側通信装置および路車間通信方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20210409BHJP
   H04W 4/44 20180101ALI20210409BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20210409BHJP
   G01S 3/46 20060101ALI20210409BHJP
【FI】
   G08G1/09 F
   H04W4/44
   H04W64/00 110
   H04W64/00 130
   G01S3/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
【出願番号】特願2019-554949(P2019-554949)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年4月15日
(11)【特許番号】特許第6705609号(P6705609)
(45)【特許公報発行日】2020年6月3日
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100199749
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 成
(74)【代理人】
【識別番号】100197767
【弁理士】
【氏名又は名称】辻岡 将昭
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】大島 正資
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信弘
(72)【発明者】
【氏名】津田 喜秋
(72)【発明者】
【氏名】横江 隆文
【テーマコード(参考)】
5H181
5K067
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5K067AA26
5K067BB21
5K067DD17
5K067DD42
5K067DD44
5K067EE02
5K067EE10
5K067FF03
5K067FF16
5K067HH22
5K067JJ12
5K067JJ13
5K067JJ53
5K067JJ54
(57)【要約】
通信用アンテナ(101)を通じて受信された電波から検出された受信強度と、測角用アンテナ(104)を通じて受信された電波から推定された直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度とに基づいて、通信処理部(102)による車載器との通信可否が判定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器との通信に用いられる第1のアンテナと、電波の到来角の推定に用いられる第2のアンテナに接続される路側通信装置であって、
前記第1のアンテナを通じて車載器から受信された電波の受信強度を検出する通信処理部と、
前記第2のアンテナを通じて車載器から受信された電波の、直接波の到来角および受信強度と、反射波の到来角および受信強度とを推定する測角部と、
前記通信処理部によって検出された受信強度と、前記測角部によって推定された電波の直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度に基づいて、前記第1のアンテナを用いた前記通信処理部による車載器との通信可否を判定する判定部と、
を備えたことを特徴とする路側通信装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記通信処理部によって検出された受信強度が基準値を超え、かつ前記測角部によって推定された電波の直接波または反射波の到来角のいずれかが通信エリア内からの到来を示す場合、車載器との通信が可であると判定すること
を特徴とする請求項1記載の路側通信装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記通信処理部によって検出された受信強度が基準値を超え、かつ前記測角部によって推定された電波の直接波または反射波の受信強度のうち、値が大きい方の到来角が通信エリア内からの到来を示す場合、車載器との通信が可であると判定すること
を特徴とする請求項1記載の路側通信装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記通信処理部によって検出された受信強度が基準値を超え、かつ前記測角部によって推定された電波の直接波または反射波のいずれかの到来角が通信エリア内からの到来を示した回数が基準回数を超えた場合、車載器との通信が可であると判定すること
を特徴とする請求項1記載の路側通信装置。
【請求項5】
前記測角部は、前記第2のアンテナを通じて車載器から受信された電波に高分解能測角処理を行って直接波と反射波とに分離し、分離された直接波および反射波についての水平角と垂直角を推定すること
を特徴とする請求項1記載の路側通信装置。
【請求項6】
アレーアンテナに接続される路側通信装置であって、
前記アレーアンテナを構成する複数の素子アンテナを通じて受信された電波を合成し、送信信号を複数の前記素子アンテナに分配する合成分配部を有し、複数の前記素子アンテナを通じて車載器から受信され前記合成分配部によって合成された電波の受信強度を検出する通信処理部と、
複数の前記素子アンテナを通じて車載器から受信された電波の、直接波の到来角および受信強度と、反射波の到来角および受信強度とを推定する測角部と、
前記通信処理部によって検出された受信強度と、前記測角部によって推定された電波の直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度に基づいて、前記アレーアンテナを用いた前記通信処理部による車載器との通信可否を判定する判定部と、
を備えたことを特徴とする路側通信装置。
【請求項7】
前記通信処理部は、受信された電波から車載器識別情報を検出し、
前記測角部は、受信された電波から車載器識別情報を検出し、
前記判定部は、前記通信処理部によって検出された車載器識別情報および受信強度と、前記測角部によって検出された車載器識別情報、推定された直接波の到来角および受信強度の推定値と反射波の到来角および受信強度とに基づいて、前記通信処理部による車載器との通信可否を判定すること
を特徴とする請求項1または請求項6記載の路側通信装置。
【請求項8】
車載器との通信に用いられる第1のアンテナと、電波の到来角の推定に用いられる第2のアンテナに接続される路側通信装置の路車間通信方法であって、
通信処理部が、前記第1のアンテナを通じて車載器から受信された電波の受信強度を検出するステップと、
測角部が、前記第2のアンテナを通じて車載器から受信された電波の、直接波の到来角および受信強度と、反射波の到来角および受信強度とを推定するステップと、
判定部が、前記通信処理部によって検出された受信強度と、前記測角部によって推定された電波の直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度に基づいて、前記第1のアンテナを用いた前記通信処理部による車載器との通信可否を判定するステップと、
を備え、
前記通信処理部は、前記判定部の判定結果に応じて、前記第1のアンテナを通じて車載器との通信を行うこと
を特徴とする路車間通信方法。
【請求項9】
前記通信処理部は、受信された電波から車載器識別情報を検出し、
前記測角部は、受信された電波から車載器識別情報を検出し、
前記判定部は、前記通信処理部によって検出された車載器識別情報および受信強度と、前記測角部によって検出された車載器識別情報、推定された直接波の到来角および受信強度の推定値と反射波の到来角および受信強度とに基づいて、前記通信処理部による車載器との通信可否を判定すること
を特徴とする請求項8記載の路車間通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側通信装置および路車間通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ETC(Electronic Toll Control system)(登録商標)といった路車間通信システムでは、道路を走行する車両に搭載された車載器と、路側に設置された路側通信装置との間で様々な情報が送受されている。路側通信装置は、車載器から送出された電波の受信強度(Received Signal Strength Indicator;以下、RSSIと略して記載する)が基準値を超えた場合、車載器との通信を確立している。このため、通信対象の車載器の周辺に存在する、通信対象ではない車載器から送信された電波のRSSIが基準値を超えることによって、路側通信装置は、通信対象ではない車載器と誤通信する可能性がある。
【0003】
この問題に対して、例えば、特許文献1には、車載器との通信に用いる通信用アンテナに加え、電波の到来角を特定するための方位特定用アンテナを備えた情報処理装置が記載されている。この情報処理装置は、方位特定用アンテナによって受信された電波の到来角を推定し、推定された到来角に基づいて電波の送信元の車載器が対象のレーンを走行している車両に搭載された車載器であるか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−247958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載器から送信された電波は、周辺の車両または建物においてマルチパス反射を起こすことがある。特許文献1に記載された情報処理装置では、電波が反射波で受信されることが考慮されていないため、車載器から送信された電波の直接波と反射波が混在した状態で受信された場合、電波の到来角を正確に推定できないという課題があった。電波の到来角を正確に推定できない場合、通信対象ではない車載器と誤通信する可能性がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであって、通信対象ではない車載器との誤通信を回避することができる路側通信装置および路車間通信方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る路側通信装置は、車載器との通信に用いられる第1のアンテナと、電波の到来角の推定に用いられる第2のアンテナに接続される路側通信装置であって、第1のアンテナを通じて車載器から受信された電波の受信強度を検出する通信処理部と、第2のアンテナを通じて車載器から受信された電波の、直接波の到来角および受信強度と、反射波の到来角および受信強度とを推定する測角部と、通信処理部によって検出された受信強度と、測角部によって推定された電波の直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度とに基づいて、第1のアンテナを用いた通信処理部による車載器との通信可否を判定する判定部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1のアンテナを通じて受信された電波から検出された受信強度と、第2のアンテナを通じて受信された電波から推定された直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および電波受信強度とに基づいて、第1のアンテナを通じた車載器との通信可否が判定される。これにより、車載器から送信された電波の直接波と反射波が混在した状態で受信されても、通信対象ではない車載器との誤通信を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る路側通信装置の構成を示すブロック図である。
図2図1の路側通信装置を備えた路車間通信システムの概要を示す概要図である。
図3】アレーアンテナにおける素子アンテナの配列を示す図である。
図4図4Aは、アレーアンテナにおける素子アンテナの配列の変形例1を示す図である。図4Bは、アレーアンテナにおける素子アンテナの配列の変形例2を示す図である。図4Cは、アレーアンテナにおける通信用アンテナと測角用アンテナの構成を示す図である。
図5】実施の形態1に係る路車間通信方法を示すフローチャートである。
図6図6Aは、実施の形態1に係る路側通信装置の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図6Bは、実施の形態1に係る路側通信装置の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。
図7】実施の形態2に係る路側通信装置の構成を示すブロック図である。
図8】4つの素子アンテナから構成されたアレーアンテナ、合成分配部および高分解能測角部の接続関係の概要を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る路側通信装置100の構成を示すブロック図である。路側通信装置100は、路側に設けられて、車両に搭載された車載器との通信を行う。また、従来から、通信対象外の車載器から送信された電波を電波吸収体に吸収させることが一般に行われていたが、路側通信装置100は、車載器から送信された電波の直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度とを用いて、車載器との通信可否を判定する。従って、路側通信装置100は、通信対象外の車載器から送信された電波を吸収するための電波吸収体を用いることなく、通信対象外の車載器との誤通信を回避することができる。
【0011】
通信用アンテナ101は、車載器との通信に用いられる第1のアンテナであり、通信処理部102が有する通信部103aと復調部103bとに接続されている。例えば、通信用アンテナ101を通じて、通信制御情報チャンネルとサービス情報とを含む電波が車載器に送信され、車載器の応答信号が受信される。通信制御情報チャンネルは、FCMC(Frame Control Message Channel)であり、サービス情報は、BST(Beacon Service Table)である。また、車載器からの応答信号には、ACTC(Activation Channel)およびVST(Vehicle Service Table)がある。
【0012】
通信処理部102は、通信用アンテナ101を通じて車載器から受信された電波の受信強度を検出する。また、通信処理部102は、通信判定部106によって車載器との通信可と判定された場合に、通信用アンテナ101を用いた車載器との通信を行う。通信処理部102は、通信部103aと復調部103bとを有する。通信部103aは、FCMCの情報に基づいて、送信信号を変調し、変調された送信信号を周波数変換し、周波数変換された送信信号を増幅する。これらの処理が施された送信信号は、通信部103aから通信用アンテナ101に出力され、通信用アンテナ101を通じて車載器に向けて送信される。
【0013】
復調部103bは、通信用アンテナ101を通じて車載器から受信された電波を復調し、復調された電波を解析して、車載器IDおよび電波の受信強度を検出する。復調部103bは、検出した車載器IDおよび電波の受信強度を通信判定部106に出力する。車載器IDは、電波の送信元の車載器を識別するために付与された当該車載器に固有な情報である。例えば、車載器IDは、車載器から路側通信装置100に送信されるACTCに含まれる。また、電波の受信強度は、車載器から受信された電波のRSSIである。
【0014】
測角用アンテナ104は、車載器から受信された電波の到来角の推定に用いられる第2のアンテナであり、高分解能測角部105に接続されている。測角用アンテナ104は、アレーアンテナであり、複数の素子アンテナ107を備えている。
【0015】
高分解能測角部105は、測角用アンテナ104を通じて車載器から受信された電波の、直接波の到来角および受信強度と、反射波の到来角および受信強度とを推定する測角部である。高分解能測角部105は、測角用アンテナ104を通じて車載器から受信された電波を復調し、復調された電波から車載器IDを検出する。また、高分解能測角部105は、復調された電波を直接波と反射波とに分離する。そして、高分解能測角部105は、直接波の水平角および垂直角を推定するとともに、反射波の水平角および垂直角を推定する。なお、水平角と垂直角は、いずれも電波の到来角を示すものである。さらに、高分解能測角部105は、直接波の受信強度と反射波の受信強度を推定する。以下、電波の水平角の推定値および垂直角の推定値を、適宜「測角値」と記載する。また、電波の受信強度の推定値を「電波強度推定値」と記載する。高分解能測角部105は、車載器IDと、直接波の測角値および電波強度推定値と、反射波の測角値および電波強度推定値とを、通信判定部106に出力する。
【0016】
通信判定部106は、通信処理部102によって検出された受信強度と、高分解能測角部105によって推定された電波の直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度に基づいて、通信用アンテナ101を用いた通信処理部102による車載器との通信可否を判定する判定部である。例えば、通信判定部106は、復調部103bによって検出された電波の受信強度が閾値を超えており、かつ高分解能測角部105によって推定された電波の直接波の測角値または反射波の測角値のうち、いずれかの測角値が通信エリアからの到来を示している場合に、車載器との通信が可であると判定する。
【0017】
図2は、路側通信装置100を備えた路車間通信システムの概要を示す概要図である。図2に示す路車間通信システムは、ETC(登録商標)の料金所に設けられたシステムであり、路側通信装置100を備える。この料金所を通る2本のレーンのうち、一方のレーンを車両200が走行しており、車両200に続いて車両201が走行している。路側通信装置100は、エリア202〜205のいずれかに存在する車載器からの電波を受信可能である。また、料金所には、路側通信装置100が設けられたゲートと、ゲート近傍に設けられたブース206がある。
【0018】
例えば、路側通信装置100は、通信エリアであるエリア203内に存在する車両200に搭載された車載器200aが通信対象である。しかしながら、エリア203の後方にあるエリア205内に車両201が進入すると、路側通信装置100は、車載器200aから送信された電波の直接波D1の他に、車両201に搭載された車載器201aから送信された電波の直接波D2と、車載器201aから送信された電波がブース206で反射された反射波Rが受信可能となる。このため、直接波D2あるいは反射波RのRSSIが閾値を超えると、路側通信装置100は、通信対象ではない車載器201aと誤通信する可能性がある。
【0019】
例えば、車載器から送信されるACTCを含む電波は、基本的に車載器ごとに時分割で送信されるので、車載器同士で電波が混信することはない。従来の路側通信装置は、車載器から受信されたACTCを含む電波の到来角を推定し、推定された到来角に基づいて、車載器がエリア203内にあるか否かを判定する。しかしながら、従来の路側通信装置では、図2に示すように、通信対象ではない車載器201aから送信された電波の直接波D2と反射波Rが混在した状態で受信されると、電波の到来角を正確に推定できなくなる。
【0020】
そこで、路側通信装置100は、測角用アンテナ104を通じて受信された電波を直接波D2と反射波Rに分離し、分離された直接波D2と反射波Rの到来角を推定する。これにより、路側通信装置100は、車載器から送信された電波が直接波と反射波が混在した状態で受信されても、車載器との通信可否を正確に判定することができる。
【0021】
高分解能測角部105は、測角用アンテナ104を通じて車載器から受信された電波を直接波と反射波とに分離して高分解能測角を行う。高分解能測角方法としては、例えば、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)またはESPRIT(Estimation Signal Parameters via Rotational Invariance Technique)がある。これらの方法は、下記の参考文献1に詳しく記載されている。
(参考文献1)H. Krim, M. Viberg, “Two Decades of Array Signal Processing Research” ,IEEE Signal Processing Magazine, vol. 13, no.4, pp.67−94, July 1996.
【0022】
電波の直接波と反射波は一般に相関が高く、コヒーレント波と呼ばれる。コヒーレント波を分離して測角する方法には、例えば、空間平均法またはForward/Backward(F/B)平均法がある。空間平均法では、例えば、アレーアンテナの一部である部分アレーの相関行列と、この部分アレーを平行移動させたアレーの相関行列を平均することで、直接波と反射波の相関が抑圧される。また、F/B平均法では、反転させる前のアレーアンテナの相関行列と、このアレーアンテナを反転させた後の相関行列を平均することで、直接波と反射波の相関が抑圧される。
【0023】
なお、空間平均法による直接波と反射波の相関抑圧効果を向上させるためには、アレーアンテナを構成する素子アンテナ数が多いことが望ましい。しかしながら、素子アンテナ数を増加させると、装置規模が増大し、さらに、測角処理の演算量も増加する。そこで、直接波と反射波の2波入射モデルが想定される場合、高分解能測角部105は、空間平均法よりも演算量が少ないF/B平均法を用いて電波の直接波と反射波を分離し、それぞれの水平角と垂直角を推定する。
【0024】
図3は、アレーアンテナにおける素子アンテナ107の配列を示す図であって、測角用アンテナ104における素子アンテナ107の配列を示している。図3において、X軸、Y軸およびZ軸は、3次元空間内の直交座標系を表しており、Y軸の負の方向が車両の進行方向である。図3において、複数の素子アンテナ107は、いずれもX−Z面上に位置している。F/B平均法を適用するためには、アレーアンテナの素子アンテナ107の配列が、図3に示すようにアレー中心108に対して点対称である必要がある。また、互いに隣り合う素子アンテナ107同士の間隔dは、通常、送信電波の波長の半分程度に設定される。
【0025】
図4Aは、アレーアンテナにおける素子アンテナ107の配列の変形例1を示す図である。図4Bは、アレーアンテナにおける素子アンテナ107の配列の変形例2を示す図である。図4Aおよび図4Bに示すアレーアンテナは、いずれも測角用アンテナ104であり、6つの素子アンテナ107がアレー中心に対して点対称に配列されている。
【0026】
また、図3において、アレー中心108に向かう矢印は、車載器から送信された電波を示すベクトルである。高分解能測角部105は、測角用アンテナ104を通じて受信された電波の水平角θと垂直角φを推定する。水平角θは、水平面であるX−Y面上のY軸を基準とした当該水平面上の電波の到来角である。水平角θは、前述の電波を示すベクトルをX−Y面に正射影してできる直線とY軸とがなす角度と等しい。垂直角φは、X−Y面と基準とした電波の到来角である。垂直角φは、前述の電波を示すベクトルをX−Y面に正射影してできる直線と当該ベクトルとがなす角と等しい。
【0027】
図4Cは、アレーアンテナにおける通信用アンテナ101と測角用アンテナ104の構成を示す図である。図4Cに示すように、通信用アンテナ101は、例えば、複数の素子アンテナ107から構成されたアレーアンテナであってもよい。通信用アンテナ101がアレーアンテナである場合、測角用アンテナ104は、アレーアンテナの開口の一部(例えば、4つの素子アンテナ107を有する部分アレー)で構成することができる。
【0028】
車載器との通信に用いられる通信用アンテナは、通常、多数の素子アンテナを合成することでビームが形成され、形成されたビームによって通信エリアにある相手と通信できるように構成されている。このため、図4Cに示したように、多数の素子アンテナ107のうちの一部が測角用アンテナ104として利用されても、通信用アンテナ101への影響は軽微である。これは、既存の路側通信装置が備える通信用アンテナを利用して測角機能を追加できることを意味する。なお、実施の形態1は、1つのアレーアンテナから構成された通信用アンテナ101および測角用アンテナ104に限定されるものではなく、通信用アンテナ101を構成するアレーアンテナと、測角用アンテナ104を構成するアレーアンテナを別々に設けてもよい。
【0029】
次に、路側通信装置100を用いた路車間通信方法について説明する。
図5は、実施の形態1に係る路車間通信方法を示すフローチャートであって、路側通信装置100による一連の処理を示している。復調部103bは、通信用アンテナ101を通じて車載器から受信された電波を復調して車載器IDおよび電波受信強度を検出する(ステップST1)。例えば、復調部103bは、通信用アンテナ101を通じて受信されたACTC信号を増幅し、帯域制限フィルタに通し、中間周波数帯の信号(以下、IF信号と記載する)に周波数変換する。続いて、復調部103bは、IF信号をA/D変換してデジタル信号に変換し、デジタル信号をベースバンド信号に変換して復調する。復調部103bは、ベースバンド信号から車載器IDを検出し、ベースバンド信号を用いて電波の受信強度を検出する。
【0030】
高分解能測角部105は、測角用アンテナ104を通じて受信された電波を復調して解析することで、車載器IDを検出するとともに、電波の直接波と反射波の到来角および電波強度推定値を推定する(ステップST2)。例えば、高分解能測角部105は、測角用アンテナ104を通じて車載器から受信されたACTC信号を増幅し、増幅されたACTC信号を帯域制限フィルタに通し、帯域制限フィルタを通過したACTC信号をIF信号に周波数変換する。続いて、高分解能測角部105は、IF信号をA/D変換してデジタル信号に変換し、デジタル信号をベースバンド信号に変換して復調する。高分解能測角部105は、ベースバンド信号から車載器IDを検出する。
【0031】
続いて、高分解能測角部105は、ACTC信号に高分解能測角処理を行って、水平角θと垂直角φを推定する。以下、測角用アンテナ104を構成する素子アンテナ107の数が4つであり、高分解能測角方法として、ESPRITアルゴリズムを採用した場合について説明する。なお、この場合に限定されるものではなく、5つ以上の素子アンテナで測角用アンテナ104を構成してもよく、高分解能測角方法には、ESPRITの代わりに、MUSICまたはCAPONを用いてもよい。
【0032】
また、F/B平均法の代わりに、2DユニタリESPRIT法について説明する。2DユニタリESPRIT法は、ユニタリ変換を用いて、電波の水平角θと垂直角φとを同時に推定することが可能であり、下記の参考文献2に詳しく記載されている。
(参考文献2)M. D. Zoltowski, M. Haardt and C. P. Mathews, “Closed−Form 2−D Angle Estimation with Rectangular Arrays in Element Space or Beamspace via Unitary ESPRIT” ,IEEE Trans., vol. SP−44, no.2, pp.316−328, Feb. 1996.
【0033】
高分解能測角部105は、測角用アンテナ104の各素子アンテナ107を通じて受信された電波から得られたデジタルデータx(n)を用いて、下記式(1)から相関行列Rxxを算出する。素子番号mは、素子アンテナ107ごとに割り当てられた通し番号であり、m=1,2,3,・・・,Mが順に素子アンテナ107に割り当てられる。また、サンプリングデータ番号nは、サンプリングされたデータごとに割り当てられた通し番号であり、n=1,2,・・・,Nが順にデータに割り当てられる。x(n)は、下記式(2)で表される。(・)は、ベクトルまたは行列の転置であり、(・)は、ベクトルまたは行列のエルミート転置である。

【0034】
次に、高分解能測角部105は、下記式(3)で表されるユニタリ行列Qを用いて、下記式(4)に従い、相関行列Rxxに対してユニタリ変換を施す。下記式(4)において、Re{ }は、{ }内の実部を取ることを示す関数である。相関行列Rxxに対してユニタリ変換を施すことで、F/B平均と同様の効果が生じ、かつ、相関行列Rxxを実数化することができる。これにより、これに続く信号処理の演算量が低減される。

【0035】
次に、高分解能測角部105は、実数化された相関行列Ryyを、下記式(5)に従い固有値展開する。下記式(5)において、行列Eは、固有ベクトルを並べた行列であり、対角行列Λは、対角項に固有値が並んだ行列である。Eは、行列Eの転置行列である。

【0036】
高分解能測角部105は、相関行列Ryyを固有値展開して得られた固有値の分布から到来信号の波数を推定し、固有ベクトルを信号部分空間Eと雑音部分空間Eとに分離する。例えば、閾値判定による到来波信号の検出回数から、到来波信号の波数を推定することができ、閾値には、最小固有値に予め設定された一定値を乗算した値、全ての固有値の平均値、または、相乗平均値を用いることができる。
【0037】
ユニタリESPRIT法では、アレーアンテナから2つのサブアレー#1および#2が取り出され、サブアレー#1とサブアレー#2との間の位相回転行列Φを推定することにより、電波の到来角が算出される。位相回転行列Φを推定するために、サブアレー#1の信号部分空間Eとサブアレー#2の信号部分空間Eとを関係付ける変換行列Ψが算出される。
【0038】
2DユニタリESPRIT法では、水平角θと垂直角φとを同時に推定するため、下記式(6)および(7)に示すような、水平方向に抽出されたサブアレーの信号部分空間の関係式が利用される。下記式(6)は、固有ベクトルの信号部分空間Eを用いて、水平方向に抽出されたサブアレー#1の信号部分空間EXuを算出する関係式であり、Ku1は下記式(8)で表される。また、下記式(7)は、固有ベクトルの信号部分空間Eを用いて、水平方向に抽出されたサブアレー#2の信号部分空間EYuを算出する関係式であり、Ku2は下記式(9)で表される。

【0039】
さらに、2DユニタリESPRIT法では、水平角θと垂直角φとを同時に推定するため、下記式(10)および(11)に示すような、垂直方向に抽出されたサブアレーの信号部分空間の関係式が利用される。下記式(10)は、固有ベクトルの信号部分空間Eを用いて、垂直方向に抽出されたサブアレー#1の信号部分空間EXvを算出する関係式であり、Kv1は下記式(12)で表される。また、下記式(11)は、固有ベクトルの信号部分空間Eを用いて、垂直方向に抽出されたサブアレー#2の信号部分空間EYvを算出する関係式であり、Kv2は下記式(13)で表される。

【0040】
高分解能測角部105は、前述のようにして算出された各サブアレーの信号部分空間を用いて、下記式(14)から、水平方向に抽出されたサブアレーに関する変換行列Ψを算出し、下記式(15)から、垂直方向に抽出されたサブアレーに関する変換行列Ψを算出する。

【0041】
次に、水平方向の角度値と垂直方向の角度値とのペアリングの手間を省くために、変換行列ΨとΨを用いた下記式(16)から変換行列Ψuvが算出される。

【0042】
続いて、高分解能測角部105は、下記式(17)に従って、変換行列Ψuvを固有値展開することで、下記式(18)に示す位相回転行列Φを推定する。

【0043】
上記式(18)に示す固有値を用いて、下記式(19)から垂直方向の角度φが推定され、下記式(20)から水平方向の角度θが推定される。なお、l=1,2である。

【0044】
このようにして、測角用アンテナ104を通じて受信された電波の直接波の水平角θと垂直角φが推定される。実施の形態1では、相関行列の固有値展開の前処理として、F/B平均のみを適用し、空間平均処理は適用していない。この場合、相関抑圧可能な入射波数は最大2波となり、l=1,2に対応している。つまり、2つの角度が算出されるが、これらの角度のいずれが直接波に対応するどうかは通常不明である。従って、実施の形態1では、以下の二つの方法のいずれかを適用する。一つは、直接波と反射波との区別を行わずに、全ての測角値のうち、いずれかが通信エリアに含まれるか否かを判定する。もう一つは、推定した受信電力の大きさに基づいて直接波と反射波を判断して、直接波が通信エリア内に含まれるか否かを判定する。
【0045】
ユニタリ変換は、F/B平均と同様の相関抑圧効果があることが知られており、信号固有値は、2つ発生する。高分解能測角部105は、信号固有値を対角項に並べた行列Λと、信号以外の固有値またはその平均値を要素とする雑音固有値σを用いて、下記式(21)から行列Sを算出する。行列Sを算出すると、高分解能測角部105は、行列Sの対角項であるPS1およびPS2を用いて、電波の直接波と反射波の電波強度推定値を算出する。

【0046】
次に、通信判定部106が、通信用アンテナ101を通じて受信された電波から検出された車載器IDおよびRSSI(電波受信強度)と、測角用アンテナ104を通じて受信された電波から検出された車載器ID、並びに当該電波から推定された直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度とに基づいて、車載器との通信可否を判定する(ステップST3)。例えば、通信判定部106は、通信用アンテナ101を通じて受信された電波の受信強度を、予め設定された基準値(以下、閾値と記載する)と比較し、受信強度が閾値を超えるか否かを判定する。電波の受信強度が閾値を超えない場合、通信判定部106は、この電波の送信元の車載器との通信は不可であると判定する。
【0047】
復調部103bと高分解能測角部105が非同期で動作している場合、受信強度が閾値を超えた電波があっても、復調部103bと高分解能測角部105とで同一の車載器から送信された電波を扱っているかどうかを確認する必要がある。そこで、通信判定部106は、復調部103bによって受信強度が閾値を超えた電波から検出された車載器IDと、高分解能測角部105によって受信強度が閾値を超えた電波から検出された車載器IDが一致するか否かを判定する。通信判定部106は、車載器IDが互いに異なると判定した場合、両方の車載器との通信が不可であると判定する。
【0048】
ただし、復調部103bおよび高分解能測角部105が同期して同一の車載器から送信された電波を扱う場合、あるいは、復調部103bと高分解能測角部105が同期していなくても、両者が同一の車載器から送信された電波を扱っていることが明らかな場合は、車載器IDが一致するか否かの判定は省略される。すなわち、実施の形態1に係る路車間通信方法では、復調部103bによる車載器IDの検出と、高分解能測角部105による車載器IDの検出とを省略することができる。
【0049】
また、通信判定部106は、通信用アンテナ101を通じて車載器から受信された電波の受信強度が閾値を超えた回数が基準回数を超えたことを移行条件として、前述したような車載器IDが一致するか否かの判定を行ってもよい。
【0050】
さらに、通信判定部106は、測角用アンテナ104を通じて受信された電波から複数の車載器IDが検出された場合、これらの車載器IDのうち、基準数を超える数の車載器IDが復調部103bによって検出された車載器IDと一致したことを移行条件として、次の処理に移行してもよい。
【0051】
例えば、測角用アンテナ104が4つの素子アンテナ107から構成されている場合、高分解能測角部105は、4つの素子アンテナ107のそれぞれを通じて受信された電波から車載器IDを検出する。このため、通信判定部106には、4つの車載器IDが出力される。通信判定部106は、4つの車載器IDのうち、基準数を超える数の車載器IDが復調部103bによって検出された車載器IDと一致したことを移行条件として、次の処理に移行する。
【0052】
復調部103bによって検出された車載器IDと、高分解能測角部105によって検出された車載器IDとが一致する場合、通信判定部106は、この判定結果を高分解能測角部105に通知する。高分解能測角部105は、この通知を受けると、復調部103bによって検出された車載器IDと一致した車載器IDが検出された電波を直接波と反射波に分離して測角を行う。
【0053】
通信判定部106は、高分解能測角部105によって算出された測角値を蓄積し、蓄積された測角値の数がL以上になったか否かを判定する。続いて、蓄積された測角値の数がL以上になった場合、通信判定部106は、L個以上蓄積された測角値のうち、k個以上の測定値が通信エリア内からの到来を示しているか否かを判定する。
【0054】
高分解能測角部105による測角では、直接波と反射波の角度、振幅および位相関係によって直接波と反射波の相関抑圧が不十分になる可能性があり、相関抑圧が不十分であると、測角値がばらつくことが予想される。このため、通信判定部106は、前述したように、L個以上蓄積された測角値のうち、通信エリア内からの到来を示す測角値がk個未満であれば、この電波の送信元の車載器との通信は不可であること(通信NG)を通信処理部102に通知する。一方、k個以上の測定値が通信エリア内からの到来を示している場合、通信判定部106は、電波の送信元の車載器との通信が可であること(通信OK)を通信処理部102に通知する。
【0055】
通信処理部102は、通信判定部106から車載器との通信が可である通知を受けた場合、通信用アンテナ101を用いた車載器との通信を行う(ステップST4)。例えば、通信部103aが、車載器との通信信号であるBST信号を通信用アンテナ101に出力する。通信用アンテナ101は、BST信号を車載器に向けて送信する。一方、通信判定部106から車載器との通信が不可である通知を受けた場合、通信処理部102は、この車載器との通信を行わない。
【0056】
なお、通信判定部106は、復調部103bによって検出された電波の受信強度が閾値を超え、かつ高分解能測角部105によって推定された電波の直接波と反射波の測角値のうち、いずれかの測角値が通信エリア内からの到来を示した回数が基準回数を超えた場合に、車載器との通信が可であると判定してもよい。
【0057】
また、高分解能測角部105は、測角用アンテナ104を通じて車載器から受信された電波を分離した2波のうち、電波強度推定値が大きい方を直接波とし、電波強度推定値が小さい方を反射波として、直接波のみの測角値を算出してもよい。このとき、通信判定部106が、直接波の測角値が通信エリア内からの到来を示す場合に、車載器との通信が可であると判定してもよい。このようにしても、通信対象外の車載器との誤通信を回避することができる。
【0058】
次に、路側通信装置100の機能を実現するハードウェア構成について説明する。
路側通信装置100における通信処理部102、高分解能測角部105および通信判定部106の機能は、処理回路により実現される。すなわち、路側通信装置100は、図5に示したステップST1からステップST4の処理を実行するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0059】
図6Aは、路側通信装置100の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図6Bは、路側通信装置100の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図6Aおよび図6Bにおいて、入出力インタフェース300は、アンテナを介して路側通信装置100と車載器との間でやり取りされる信号を中継するインタフェースである。
【0060】
上記処理回路が図6Aに示す専用のハードウェアである場合、処理回路301は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)またはこれらを組み合わせたものが該当する。なお、通信処理部102、高分解能測角部105および通信判定部106の機能を別々の処理回路で実現してもよいし、これらの機能をまとめて1つの処理回路で実現してもよい。
【0061】
上記処理回路が図6Bに示すプロセッサ302である場合、通信処理部102、高分解能測角部105および通信判定部106の機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述されてメモリ303に記憶される。
プロセッサ302は、メモリ303に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、通信処理部102、高分解能測角部105および通信判定部106の機能を実現する。すなわち、路側通信装置100は、プロセッサ302により実行されるときに、図5に示したステップST1からステップST4の処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するためのメモリ303を備える。これらのプログラムは、通信処理部102、高分解能測角部105および通信判定部106の手順または方法をコンピュータに実行させるものである。メモリ303は、コンピュータを、通信処理部102、高分解能測角部105および通信判定部106として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0062】
メモリ303には、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically−EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
【0063】
なお、通信処理部102、高分解能測角部105および通信判定部106の機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。例えば、高分解能測角部105および通信判定部106については、プロセッサ302がメモリ303に記憶されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現し、通信処理部102については専用のハードウェアとしての処理回路でその機能を実現してもよい。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせによって、上記機能のそれぞれを実現することができる。
【0064】
以上のように、実施の形態1に係る路側通信装置100において、通信用アンテナ101を通じて受信された電波から検出された車載器IDおよび電波の受信強度と、測角用アンテナ104を通じて受信された電波から検出された車載器ID、並びに当該電波から推定された直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度とに基づいて、通信用アンテナ101を用いた車載器との通信可否が判定される。これにより、車載器から送信された電波の直接波と反射波が混在した状態で受信されても、通信対象外の車載器との誤通信を回避することができる。
【0065】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る路側通信装置100Aの構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。路側通信装置100Aは、通信用アンテナと測角用アンテナで1つのアレーアンテナを共用する点で、実施の形態1に係る路側通信装置100とは異なる。
【0066】
アレーアンテナ109は、複数の素子アンテナ107から構成されている。アレーアンテナ109を構成する複数の素子アンテナ107のそれぞれを通じて受信された高周波信号は、合成分配部110と高分解能測角部105とに出力される。合成分配部110は、複数の素子アンテナ107のそれぞれを通じて受信された高周波信号をアナログ合成し、通信部103aから送られてきた送信信号を、アレーアンテナ109を構成する複数の素子アンテナ107のそれぞれに分配して車載器に向けて送信させる。
【0067】
図8は、4つの素子アンテナ107から構成されたアレーアンテナ109、合成分配部110および高分解能測角部105の接続関係の概要を示す概要図である。アレーアンテナ109を通信用アンテナとして機能させる場合、合成分配部110は、アレーアンテナ109を通じて受信された高周波信号を合成し、通信部103aから送られてきた信号をアレーアンテナ109に分配する。アレーアンテナ109は、4つの素子アンテナ107が合成された開口のビーム幅と利得を有する。
【0068】
アレーアンテナ109を測角用アンテナとして機能させる場合、アレーアンテナ109を通じて受信された高周波信号は、合成分配部110を介さずに、高分解能測角部105に出力される。例えば、アレーアンテナ109が4つの素子アンテナ107で構成されている場合、高分解能測角部105には4つの信号が送られ、実施の形態1と同様にして、これらの信号の直接波と反射波の測角処理が行われる。
【0069】
なお、路側通信装置100Aにおける、通信処理部102A、高分解能測角部105および通信判定部106の機能は、処理回路によって実現される。すなわち、路側通信装置100Aは、図5に示したステップST1からステップST4までの処理を実行するための処理回路を備えている。処理回路は、図6Aに示した専用のハードウェアの処理回路301であってもよいし、図6Bに示した、メモリ303に記憶されたプログラムを実行するプロセッサ302であってもよい。
【0070】
以上のように、実施の形態2に係る路側通信装置100Aにおいて、アレーアンテナ109が、実施の形態1で示した通信用アンテナ101と測角用アンテナ104の両方の機能を有している。通信用アンテナ101と測角用アンテナ104の機能が1つのアレーアンテナ109によって実現されるので、路側通信装置100Aの装置規模を縮小することができる。さらに、通信処理部102A、高分解能測角部105および通信判定部106が実施の形態1と同様に動作するので、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0071】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、実施の形態のそれぞれの自由な組み合わせまたは実施の形態のそれぞれの任意の構成要素の変形もしくは実施の形態のそれぞれにおいて任意の構成要素の省略が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る路側通信装置は、車載器から送出された電波の直接波と反射波が混在した状態で受信されても、通信対象ではない車載器との誤通信を回避することができるので、例えば、複数の走行レーンが隣接しているETC(登録商標)の路車間通信システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
100,100A 路側通信装置、101 通信用アンテナ、102,102A 通信処理部、103a 通信部、103b 復調部、104 測角用アンテナ、105 高分解能測角部、106 通信判定部、107 素子アンテナ、108 アレー中心、109 アレーアンテナ、110 合成分配部、200,201 車両、200a,201a 車載器、202〜205 エリア、206 ブース、300 入出力インタフェース、301 処理回路、302 プロセッサ、303 メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8

【手続補正書】
【提出日】2020年1月31日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係る路側通信装置は、車載器との通信に用いられる第1のアンテナと、電波の到来角の推定に用いられる第2のアンテナに接続される路側通信装置であって、第1のアンテナを通じて車載器から受信された電波の受信強度を検出する通信処理部と、第2のアンテナを通じて車載器から受信された電波の、直接波の到来角および受信強度と、反射波の到来角および受信強度とを推定する測角部と、通信処理部によって検出された受信強度と、測角部によって推定された電波の直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度とに基づいて、第1のアンテナを用いた通信処理部による車載器との通信可否を判定する判定部を備える。判定部は、通信処理部によって検出された受信強度が基準値を超え、かつ測角部によって推定された電波の直接波または反射波の到来角のいずれかが通信エリア内からの到来を示す場合、車載器との通信が可であると判定する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載器との通信に用いられる第1のアンテナと、電波の到来角の推定に用いられる第2のアンテナに接続される路側通信装置であって、
前記第1のアンテナを通じて車載器から受信された電波の受信強度を検出する通信処理部と、
前記第2のアンテナを通じて車載器から受信された電波の、直接波の到来角および受信強度と、反射波の到来角および受信強度とを推定する測角部と、
前記通信処理部によって検出された受信強度と、前記測角部によって推定された電波の直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度に基づいて、前記第1のアンテナを用いた前記通信処理部による車載器との通信可否を判定する判定部と、
を備え
前記判定部は、前記通信処理部によって検出された受信強度が基準値を超え、かつ前記測角部によって推定された電波の直接波または反射波の到来角のいずれかが通信エリア内からの到来を示す場合、車載器との通信が可であると判定することを特徴とする路側通信装置。
【請求項2】
アレーアンテナに接続される路側通信装置であって、
前記アレーアンテナを構成する複数の素子アンテナを通じて受信された電波を合成し、送信信号を複数の前記素子アンテナに分配する合成分配部を有し、複数の前記素子アンテナを通じて車載器から受信され前記合成分配部によって合成された電波の受信強度を検出する通信処理部と、
複数の前記素子アンテナを通じて車載器から受信された電波の、直接波の到来角および受信強度と、反射波の到来角および受信強度とを推定する測角部と、
前記通信処理部によって検出された受信強度と、前記測角部によって推定された電波の直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度に基づいて、前記アレーアンテナを用いた前記通信処理部による車載器との通信可否を判定する判定部と、
を備え
前記判定部は、前記通信処理部によって検出された受信強度が基準値を超え、かつ前記測角部によって推定された電波の直接波または反射波の到来角のいずれかが通信エリア内からの到来を示す場合、車載器との通信が可であると判定することを特徴とする路側通信装置。
【請求項3】
前記通信処理部は、受信された電波から車載器識別情報を検出し、
前記測角部は、受信された電波から車載器識別情報を検出し、
前記判定部は、前記通信処理部によって検出された車載器識別情報および受信強度と、前記測角部によって検出された車載器識別情報、推定された直接波の到来角および受信強度の推定値と反射波の到来角および受信強度とに基づいて、前記通信処理部による車載器との通信可否を判定すること
を特徴とする請求項1または請求項2記載の路側通信装置。
【請求項4】
車載器との通信に用いられる第1のアンテナと、電波の到来角の推定に用いられる第2のアンテナに接続される路側通信装置の路車間通信方法であって、
通信処理部が、前記第1のアンテナを通じて車載器から受信された電波の受信強度を検出するステップと、
測角部が、前記第2のアンテナを通じて車載器から受信された電波の、直接波の到来角および受信強度と、反射波の到来角および受信強度とを推定するステップと、
判定部が、前記通信処理部によって検出された受信強度と、前記測角部によって推定された電波の直接波の到来角および受信強度と反射波の到来角および受信強度に基づいて、前記第1のアンテナを用いた前記通信処理部による車載器との通信可否を判定するステップと、
を備え、
前記判定部は、前記通信処理部によって検出された受信強度が基準値を超え、かつ前記測角部によって推定された電波の直接波または反射波の到来角のいずれかが通信エリア内からの到来を示す場合、車載器との通信が可であると判定し、
前記通信処理部は、前記判定部の判定結果に応じて、前記第1のアンテナを通じて車載器との通信を行うこと
を特徴とする路車間通信方法。
【請求項5】
前記通信処理部は、受信された電波から車載器識別情報を検出し、
前記測角部は、受信された電波から車載器識別情報を検出し、
前記判定部は、前記通信処理部によって検出された車載器識別情報および受信強度と、前記測角部によって検出された車載器識別情報、推定された直接波の到来角および受信強度の推定値と反射波の到来角および受信強度とに基づいて、前記通信処理部による車載器との通信可否を判定すること
を特徴とする請求項4記載の路車間通信方法。
【国際調査報告】