特表-20080010IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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再表2020-80010蓄電池の制御装置及び蓄電池の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
【公報種別】再公表特許(A1)
(11)【国際公開番号】WO/0
(43)【国際公開日】2020年4月23日
【発行日】2021年9月24日
(54)【発明の名称】蓄電池の制御装置及び蓄電池の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20210827BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210827BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210827BHJP
【FI】
   H01M10/44 P
   H01M10/48 301
   H01M10/48 P
   H02J7/00 X
   H02J7/00 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】22
【出願番号】特願2020-552971(P2020-552971)
(21)【国際出願番号】PCT/0/0
(22)【国際出願日】2019年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2018-196369(P2018-196369)
(32)【優先日】2018年10月18日
(33)【優先権主張国】JP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100134991
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148507
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 弘行
(72)【発明者】
【氏名】八田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 浩幸
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503BB02
5G503CA08
5G503CB11
5G503DA04
5G503DA05
5G503EA05
5G503GB06
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS03
5H030BB10
5H030BB21
5H030FF22
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
蓄電池の劣化を抑制しながら、非常時に蓄電池にその性能を十分に発揮させる。蓄電池の温度の上限及び蓄電量の下限の少なくとも一方を含む制限を守ることができるように蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間が制御される。通常時には、制限が第1の裕度を有する第1の制限に設定される。非常時には、制限が、第1の裕度より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限に設定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の温度の上限及び蓄電量の下限の少なくとも一方を含む制限を守ることができるように前記蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する制御部と、
通常時には前記制限を第1の裕度を有する第1の制限に設定し、非常時には前記制限を前記第1の裕度より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限に設定する設定部と、
を備える蓄電池の制御装置。
【請求項2】
前記制限は、前記蓄電池の温度の上限を含み、
前記制御部は、前記蓄電池の温度の上限を守ることができるように前記蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御し、
前記第1の制限は、前記蓄電池の温度の第1の上限を含み、
前記第2の制限は、前記蓄電池の温度の第1の上限より高い前記蓄電池の温度の第2の上限を含む
請求項1の蓄電池の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記蓄電池の温度の上限を守ることができるように前記蓄電池の放熱量をさらに制御する
請求項2の蓄電池の制御装置。
【請求項4】
前記蓄電池は、ナトリウム−硫黄電池であり、
前記蓄電池の温度の第1の上限は、340℃であり、
前記蓄電池の温度の第2の上限は、340℃より高く370℃以下である
請求項2又は3の蓄電池の制御装置。
【請求項5】
前記制限は、前記蓄電池の蓄電量の下限を含み、
前記制御部は、前記蓄電池の蓄電量の下限を守ることができるように前記蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御し、
前記第1の制限は、前記蓄電池の蓄電量の第1の下限を含み、
前記第2の制限は、前記蓄電池の蓄電量の第1の下限より低い前記蓄電池の蓄電量の第2の下限を含む
請求項1から4までのいずれかの蓄電池の制御装置。
【請求項6】
前記蓄電池の蓄電量の第1の下限は、前記蓄電池の実際に使用することができる蓄電容量より小さい第1の蓄電容量を放電した場合の蓄電量であり、
前記蓄電池の蓄電量の第2の下限は、前記蓄電池の実際に使用することができる蓄電容量と同じ第2の蓄電容量を放電した場合の蓄電量である
請求項5の蓄電池の制御装置。
【請求項7】
前記第1の蓄電容量は、前記蓄電池の絶対容量から前記蓄電池の残留容量及び裕度を減じた蓄電容量であり、
前記第2の蓄電容量は、前記蓄電池の絶対容量から前記蓄電池の残留容量を減じた蓄電容量である
請求項5又は6の蓄電池の制御装置。
【請求項8】
前記第1の蓄電容量は、前記蓄電池の電圧が設定された電圧より高い電圧に達するまでに前記蓄電池が放電することができる蓄電容量であり、
前記第2の蓄電容量は、前記蓄電池の電圧が設定された電圧に達するまでに前記蓄電池が放電することができる蓄電容量である
請求項5から7までのいずれかの蓄電池の制御装置。
【請求項9】
前記通常時は、非停電時であり、
前記非常時は、停電時である
請求項1から8までのいずれかの蓄電池の制御装置。
【請求項10】
蓄電池の温度の上限及び蓄電量の下限の少なくとも一方を含む制限を守ることができるように前記蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する工程と、
通常時には前記制限を第1の裕度を有する第1の制限に設定し、非常時には前記制限を前記第1の裕度より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限に設定する工程と、
を備える蓄電池の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池の制御装置及び蓄電池の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
独立システムは、離島、遠隔地等に構築され、他の系統に連系していない。独立システムは、独立系統、独立電力系統等とも呼ばれる。
【0003】
独立システムは、多くの場合は、再生可能エネルギー発電機、蓄電池、制御機器及び負荷を備える。再生可能エネルギー発電機、蓄電池及び制御機器は、電力を供給する電源システムを構成する。制御機器は、再生可能エネルギー発電機及び蓄電池を制御する。再生可能エネルギー発電機は、電力を発電する。蓄電池は、再生可能エネルギー発電機により発電された電力により充電される。制御機器及び負荷には、再生可能エネルギー発電機により発電された電力、及び蓄電池が放電した電力が供給される。
【0004】
蓄電池の充放電電力の電力値、充放電時間、放熱量等は、蓄電池の温度の上限、蓄電量の下限等を含む制限を守ることができるように制御される。制限は、蓄電池の劣化、故障等を抑制するための裕度を有するように設定される。例えば、蓄電池がナトリウム−硫黄電池である場合は、蓄電池の温度の上限が、ナトリウム−硫黄電池が動作する370℃に対して裕度を有する340℃に設定される。
【0005】
特許文献1に記載された技術においては、ナトリウム−硫黄電池モジュールであるモジュールの最高到達温度が、その運転時において340℃〜370℃に設定される(段落0031及び0040)。これにより、常に電池の充放電効率が高い状態でモジュールが運転される(段落0031)。特許文献1は、モジュール温度が370℃を超えて上昇すると、単電池を構成する部材の劣化の進行が早くなることに言及する(段落0031)。また、特許文献1は、モジュールが340℃未満の温度で運転されると、充放電効率が上がらず、モジュール自体の持つ性能、又はモジュールを構成する単電池の性能を十分に発揮できないことに言及する(段落0031)。特許文献1に記載された技術においては、モジュールの放熱量の変更が、断熱容器上蓋が有する空洞部の真空度を調整することにより行われる(段落0033−0035)。
【0006】
特許文献2に記載された技術においては、集合電池が内蔵された筐体内の温度が一定の許容範囲に維持される(段落0028)。特許文献2に記載された技術においては、蓄電池の温度が高くなる時期に先駆けて放熱量を多くするようにファンを備える放熱装置が制御される(段落0020及び0036)。
【0007】
特許文献3は、ナトリウム−硫黄電池の絶対容量は一定であるが、ナトリウム−硫黄電池の残留容量は時間経過とともに増加することに言及する(段落0032)。また、特許文献3は、ナトリウム−硫黄電池の設計においては、使用可能容量に対して裕度を考慮し、残留容量が増加する分は裕度で補い、最終年まで使用可能容量を確保することに言及する(段落0032)。
【0008】
特許文献4に記載された技術においては、ナトリウム−硫黄電池の放電中の温度が測定され、放電深度がカウントされ、ナトリウム−硫黄電池の放電中の両端間の作動電圧が内部抵抗の温度による補正及び放電深度による補正を加味した補正電圧に達した時点で放電が停止される(段落0011)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−54146号公報
【特許文献2】国際公開第2016/136507号
【特許文献3】国際公開第2010/109977号
【特許文献4】特開2000−182662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
蓄電池の温度の上限、蓄電量の下限等を含む制限は、蓄電池の劣化、故障等を抑制することに役立つが、低い頻度で発生する非常時に蓄電池にその性能を十分に発揮させることを妨げる。
【0011】
例えば、独立系統において停電が発生した場合は、蓄電池から制御機器及び負荷に電力が供給される。このため、停電が長時間に渡って続いた場合は、蓄電池の放電が長時間に渡って続き、制限を守るために蓄電池の放電を停止しなければならない場合がある。例えば、蓄電池の温度がその上限より高くなることを避けるために、蓄電池の性能を十分に発揮させることなく蓄電池の放電を停止しなければならない場合がある。また、蓄電池の蓄電量がその下限より低くなることを避けるために、蓄電池の性能を十分に発揮させることなく蓄電池の放電を停止しなければならない場合がある。そして、蓄電池の放電を停止しなければならなくなった場合は、制御機器への電力の供給が絶たれ、電源システムを構成する機器の劣化、故障等が起こる場合がある。
【0012】
この問題は、独立システムに備えられる蓄電池以外の蓄電池においても生じる。
【0013】
本発明は、この問題に鑑みてなされた。本発明が解決しようとする課題は、蓄電池の劣化を抑制しながら、非常時に蓄電池にその性能を十分に発揮させることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、蓄電池の制御装置に向けられる。
【0015】
蓄電池の制御装置は、制御部及び設定部を備える。
【0016】
制御部は、蓄電池の温度の上限及び蓄電量の下限の少なくとも一方を含む制限を守ることができるように蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する。
【0017】
設定部は、通常時には、制限を第1の裕度を有する第1の制限に設定する。また、設定部は、非常時には、制限を第1の裕度より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限に設定する。
【0018】
本発明は、蓄電池の制御方法にも向けられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、通常時には、第1の裕度を有する第1の制限を守ることができるように蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間が制御され、蓄電池の劣化が抑制される。また、非常時には、第1の裕度より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限を守ることができるように蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間が制御され、蓄電池にその性能を十分に発揮させることができる。これにより、蓄電池の劣化を抑制しながら、非常時に蓄電池にその性能を十分に発揮させることができる。
【0020】
この発明の目的、特徴、局面及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態の独立システムを図示するブロック図である。
図2】第1実施形態の独立システムに備えられるエネルギーマネジメントシステム(EMS)、及び蓄電池を制御する制御機器を図示するブロック図である。
図3】第1実施形態の独立システムにおいて設定される蓄電池の温度の上限の例を説明する図である。
図4】第1実施形態の独立システムにおいて設定される蓄電池の蓄電量の下限の例を説明する図である。
図5】第1実施形態の変形例の独立システムに備えられるEMS、及び蓄電池を制御する制御機器を図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1 独立システム
図1は、第1実施形態の独立システムを図示するブロック図である。
【0023】
図1に図示される第1実施形態の独立システム1000は、再生可能エネルギー発電機1020、再生可能エネルギー発電機1020を制御する制御機器1022、蓄電池1024、蓄電池1024を制御する制御機器1026、発電機1028、発電機1028を制御する制御機器1030、負荷1032、エネルギーマネジメントシステム(EMS)1034及び配電線1036を備える。独立システム1000がこれらの要素とは異なる要素を備えてもよい。独立システム1000が、追加の再生可能エネルギー発電機、及び追加の再生可能エネルギー発電機を制御する制御機器を備えてもよい。独立システム1000が、追加の蓄電池、及び追加の蓄電池を制御する制御機器を備えてもよい。独立システム1000が、追加の発電機、及び追加の発電機を制御する制御機器を備えてもよい。発電機1028及び制御機器1030が省略されてもよい。独立システム1000が、追加の負荷を備えてもよい。
【0024】
再生可能エネルギー発電機1020、制御機器1022、蓄電池1024、制御機器1026、発電機1028、制御機器1030、負荷1032及びEMS1034は、配電線1036に電気的に接続されている。これにより、再生可能エネルギー発電機1020及び発電機1028により発電された電力で蓄電池1024を充電することができる。また、再生可能エネルギー発電機1020及び発電機1028により発電された電力、並びに蓄電池1024が放電した電力を、制御機器1022、制御機器1026、制御機器1030、負荷1032及びEMS1034に供給することができる。
【0025】
再生可能エネルギー発電機1020は、太陽光発電機、風力発電機、流れ込み式水力発電機、地熱発電機、太陽熱発電機、バイオマス発電機等である。
【0026】
蓄電池1024は、ナトリウム−硫黄電池、レドックスフロー電池、リチウムイオン電池、鉛電池、ニッケル水素電池等である。
【0027】
発電機1028は、再生可能エネルギー発電機1020でなく発電電力を調整することができる発電機である。発電機1028は、ディーゼル発電機、ガスタービン発電機、貯水式水力発電機、調整池式水力発電機等である。
【0028】
制御機器1022及び1030の各々は、通信機器、出力調整機器等を備える。制御機器1026は、通信機器、双方向変換器、ヒーター、放熱ファン、空調機等を備える。
【0029】
2 蓄電池の充放電電力の電力値、充放電時間及び放熱量の制御
図2は、第1実施形態の独立システムに備えられるエネルギーマネジメントシステム、及び蓄電池を制御する制御機器を図示するブロック図である。
【0030】
蓄電池1024を制御する制御機器1026は、双方向変換器1100及び放熱ファン1102を備える。双方向変換器1100は、入力された指令にしたがって、蓄電池1024が放電した電力を配電線1036に供給し、配電線1036から供給された電力で蓄電池1024を充電する。蓄電池1024の充放電電力の電力値は、双方向変換器1100に入力された指令に応じて変化する。放熱ファン1102は、入力された指令にしたがって、蓄電池1024に放熱させるための空気流を生成する。蓄電池1024の放熱量は、放熱ファン1102に入力された指令に応じて変化する。
【0031】
EMS1034は、蓄電池1024の制御装置となり、制御部1120及び設定部1122を備える。制御部1120及び設定部1122は、コンピュータにプログラムを実行させることにより構成される。制御部1120及び設定部1122の全部又は一部がプログラムを実行しないハードウェアにより構成されてもよい。制御部1120及び設定部1122が、制御機器1026に備えられてもよい。
【0032】
制御部1120は、双方向変換器1100に対して指令を出力する。これにより、制御部1120は、蓄電池1024の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する。また、制御部1120は、放熱ファン1102に対して指令を出力する。これにより、制御部1120は、蓄電池1024の放熱量を制御する。
【0033】
制御部1120は、蓄電池1024の温度の上限及び蓄電量の下限の少なくとも一方を含む制限を守ることができるように、蓄電池1024の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御し、望ましくはこれらに加えて蓄電池1024の放熱量を制御する。蓄電池1024の温度の上限は、最高許容温度上限、最高到達温度等とも呼ばれる。
【0034】
蓄電池1024が充電及び放電の少なくとも一方が行われる場合に温度が上昇する蓄電池である場合は、制御部1120が守らなければならない制限は、蓄電池1024の温度の上限を含む。充電及び放電の少なくとも一方が行われる場合に温度が上昇する蓄電池は、充電及び放電の少なくとも一方が行われる場合に発熱し、発熱する際の発熱量が環境への放熱量より大きい蓄電池である。ナトリウム−硫黄電池、リチウムイオン電池等は、通常の環境に設置された場合は、充電及び放電の少なくとも一方が行われる場合に温度が上昇する蓄電池となるが、極端に寒冷な環境に設置された場合は、充電及び放電の少なくとも一方が行われる場合に温度が上昇する蓄電池とならない場合もある。充電反応が発熱反応である蓄電池、及び充電反応が吸熱反応であるがジュール熱が吸熱反応により発生する吸熱より大きい蓄電池は、充電が行われる場合に発熱する蓄電池になる。放電反応が発熱反応である蓄電池、及び放電反応が吸熱反応であるがジュール熱が吸熱反応により発生する吸熱より大きい蓄電池は、放電が行われる場合に発熱する蓄電池になる。ナトリウム−硫黄電池においては、条件にもよるが、多くの場合は、充電反応により発生する吸熱がジュール熱よりも大きい。このため、ナトリウム−硫黄電池は、多くの場合は、放電が行われる場合に温度が上昇し充電が行われる場合に温度が下降する蓄電池である。
【0035】
制御部1120が守らなければならない制限が蓄電池1024の温度の上限を含む場合は、制御部1120は、設定された蓄電池1024の温度の上限を守ることができるように、蓄電池1024の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御し、望ましくはこれらに加えて蓄電池1024の放熱量を制御する。これにより、蓄電池1024の温度は、設定された蓄電池1024の温度の上限以下に維持される。
【0036】
制御部1120が守らなければならない制限が蓄電池1024の蓄電量の下限を含む場合は、制御部1120は、設定された蓄電池1024の蓄電量の下限を守ることができるように蓄電池1024の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する。これにより、蓄電池1024の蓄電量は、設定された蓄電池1024の蓄電量の下限以上に維持される。
【0037】
設定部1122は、通常時には、制御部1120が守らなければならない制限を、第1の裕度を有する第1の制限に設定する。また、設定部1122は、非常時には、制御部1120が守らなければならない制限を一時的に第1の制限より緩和することを許容し、当該制限を、第1の裕度より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限に設定する。通常時は、例えば非停電時であり、異常時は、例えば停電時である。非常時には、通常時に利用されない第1の裕度の少なくとも一部が利用される。第1の制限は、多数回設定することが許容される常用の制限である。第2の制限は、限られた回数だけ設定することが許容される一時的な制限である。
【0038】
図3は、第1実施形態の独立システムにおいて設定される蓄電池の温度の上限の例を説明する図である。
【0039】
制御部1120が守らなければならない制限が蓄電池1024の温度の上限を含む場合は、第1の制限は、図3に示される、蓄電池1024の温度の第1の上限TU1を含み、第2の制限は、図3に示される、蓄電池1024の温度の第1の上限TU1より高い蓄電池1024の温度の第2の上限TU2を含む。蓄電池1024の温度の第1の上限TU1は、蓄電池1024の温度の第1の裕度TT1を有する。蓄電池1024の温度の第2の上限TU2は、蓄電池1024の温度の第1の裕度TT1より小さい蓄電池1024の温度の第2の裕度を有するか、又は蓄電池1024の温度の裕度を有しない。図3には、蓄電池1024の温度の第2の上限TU2が蓄電池1024の温度の裕度を有しない場合が示されている。蓄電池1024がナトリウム−硫黄電池である場合は、望ましくは、蓄電池1024の温度の第1の上限TU1は、340℃であり、蓄電池1024の温度の第2の上限TU2は、340℃より高く370℃以下である。ナトリウム−硫黄電池は、放電時に発熱反応を起こす蓄電池であるので、蓄電池1024がナトリウム−硫黄電池である場合は、蓄電池1024の温度の上限TU1及びTU2は、主に放電時に適用される。
【0040】
図4は、第1実施形態の独立システムにおいて設定される蓄電池の蓄電量の下限の例を説明する図である。
【0041】
制御部1120が守らなければならない制限が蓄電池1024の蓄電量の下限を含む場合は、第1の制限は、図4に示される、蓄電池1024の蓄電量の第1の下限SL1を含み、第2の制限は、図4に示される、蓄電池1024の蓄電量の第1の下限SL1より低い蓄電池1024の蓄電量の第2の下限SL2を含む。蓄電池1024の蓄電量の第1の下限SL1は、蓄電池1024の蓄電量の第1の裕度RT1を有する。蓄電池1024の蓄電量の第2の下限SL2は、蓄電池1024の蓄電量の第1の裕度RT1より小さい蓄電池1024の蓄電量の第2の裕度を有するか、又は蓄電池1024の蓄電量の裕度を有しない。図4には、蓄電池1024の蓄電量の第2の下限SL2が蓄電池1024の蓄電量の裕度を有しない場合が示されている。望ましくは、蓄電池1024の蓄電量の第1の下限SL1は、蓄電池1024の実際に使用することができる蓄電容量C−Rより小さい第1の蓄電容量C1を放電した場合の蓄電量であり、蓄電池1024の蓄電量の第2の下限SL2は、蓄電池1024の実際に使用することができる蓄電容量C−Rと同じ第2の蓄電容量C2を放電した場合の蓄電量である。第1の蓄電容量C1は、蓄電池1024の絶対容量Cから蓄電池1024の残留容量R及び第1の裕度RT1を減じた蓄電容量であり、第2の蓄電容量C2は、蓄電池1024の絶対容量Cから蓄電池1024の残留容量Rを減じた蓄電容量である。ここでいう絶対容量Cは、製品容量とも呼ばれ、蓄電池1024について決まっている、時間が経過しても変化しない容量である。また、残存容量Rは、時間が経過するにつれて増加する充放電することができない容量である。蓄電池1024の電圧が設定された電圧に達した時点で蓄電池1024の放電が停止され、蓄電池1024の電圧が設定された電圧より高い電圧に達するまでに放電することができる蓄電容量が第1の蓄電容量C1であると定義されている場合は、第2の蓄電容量C2は、蓄電池1024の電圧が設定された電圧に達するまでに蓄電池1024が放電することができる蓄電容量であると定義される。
【0042】
EMS1034による制御によれば、通常時には、第1の裕度TT1、RT1等を有する第1の制限を守ることができるように蓄電池1024の充放電電力の電力値、充放電時間、放熱量等が制御され、蓄電池1024の劣化が抑制される。また、非常時には、第1の裕度TT1、RT1等より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限を守ることができるように蓄電池1024の充放電電力の電力値、充放電時間、法熱量等が制御され、蓄電池1024にその性能を十分に発揮させることができる。これにより、蓄電池1024の劣化を抑制しながら、非常時に蓄電池1024にその性能を十分に発揮させることができる。例えば、非常時に、蓄電池1024に大きな電力を放電させることができ、蓄電池1024に多くの電力量を放電させることができ、蓄電池1024に長時間に渡って放電させることができる。
【0043】
また、EMS1034による制御によれば、電源システムに備えられる制御機器1022、制御機器1026、制御機器1030、EMS1034等の制御機器への電力の供給を維持することができる可能性が高くなり、独立システム1000を安定して運用することができる。例えば、当該電源システムを再起動する回数を減らし、当該電源システムの稼働率を上げることができる。また、独立システム1000における全電源喪失の回数を減らし、独立システム1000に備えられる機器の故障及び劣化を抑制することができる。
【0044】
図5は、第1実施形態の変形例の独立システムに備えられるEMS、及び蓄電池を制御する制御機器を図示するブロック図である。
【0045】
第1実施形態の変形例の独立システムにおいては、図5に図示されるように、蓄電池1024を制御する制御機器1026が、双方向変換器1100、放熱ファン1102、バッテリーマネジメントシステム(BMS)1200及び温度センサ1220を備える。また、EMS1034が、制御部1120及び設定部1122を備える。また、蓄電池1024、放熱ファン1102及び温度センサ1220が、電池モジュール1210を構成する。第1実施形態の変形例の独立システムにおいては、EMS1034及びBMS1200が蓄電池1024の制御装置となる。
【0046】
第1実施形態の変形例の独立システムにおいては、EMS1034に備えられる制御部1120が、双方向変換器1100に対して指令を出力し、蓄電池1024の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する。また、BMS1200が、放熱ファン1102に対して指令を出力し、蓄電池1024の放熱量を制御する。BMS1200は、温度センサ1220から蓄電池1024の温度を示す温度データを取得し、取得した温度データを蓄電池1024の放熱量の制御に用いる。例えば、BMS1200は、蓄電池1024の温度が高くなったことを検出した場合に蓄電池1024の放熱量を多くする。また、BMS1200は、取得した温度データを、双方向変換器1100を経由して、制御部1120に送信する。
【0047】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0048】
1000 独立システム
1024 蓄電池
1034 エネルギーマネジメントシステム(EMS)
1100 双方向変換器
1102 放熱ファン
1120 制御部
1122 設定部
1200 バッテリーマネジメントシステム(BMS)
図1
図2
図3
図4
図5

【手続補正書】
【提出日】2021年4月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池の制御装置及び蓄電池の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
独立システムは、離島、遠隔地等に構築され、他の系統に連系していない。独立システムは、独立系統、独立電力系統等とも呼ばれる。
【0003】
独立システムは、多くの場合は、再生可能エネルギー発電機、蓄電池、制御機器及び負荷を備える。再生可能エネルギー発電機、蓄電池及び制御機器は、電力を供給する電源システムを構成する。制御機器は、再生可能エネルギー発電機及び蓄電池を制御する。再生可能エネルギー発電機は、電力を発電する。蓄電池は、再生可能エネルギー発電機により発電された電力により充電される。制御機器及び負荷には、再生可能エネルギー発電機により発電された電力、及び蓄電池が放電した電力が供給される。
【0004】
蓄電池の充放電電力の電力値、充放電時間、放熱量等は、蓄電池の温度の上限、蓄電量の下限等を含む制限を守ることができるように制御される。制限は、蓄電池の劣化、故障等を抑制するための裕度を有するように設定される。例えば、蓄電池がナトリウム−硫黄電池である場合は、蓄電池の温度の上限が、ナトリウム−硫黄電池が動作する370℃に対して裕度を有する340℃に設定される。
【0005】
特許文献1に記載された技術においては、ナトリウム−硫黄電池モジュールであるモジュールの最高到達温度が、その運転時において340℃〜370℃に設定される(段落0031及び0040)。これにより、常に電池の充放電効率が高い状態でモジュールが運転される(段落0031)。
【0006】
許文献1は、モジュール温度が370℃を超えて上昇すると、単電池を構成する部材の劣化の進行が早くなることに言及する(段落0031)。また、特許文献1は、モジュールが340℃未満の温度で運転されると、充放電効率が上がらず、モジュール自体の持つ性能、又はモジュールを構成する単電池の性能を十分に発揮できないことに言及する(段落0031)。特許文献1に記載された技術においては、モジュールの放熱量の変更が、断熱容器上蓋が有する空洞部の真空度を調整することにより行われる(段落0033−0035)。
【0007】
特許文献2に記載された技術においては、集合電池が内蔵された筐体内の温度が一定の許容範囲に維持される(段落0028)。特許文献2に記載された技術においては、蓄電池の温度が高くなる時期に先駆けて放熱量を多くするようにファンを備える放熱装置が制御される(段落0020及び0036)。
【0008】
特許文献3は、ナトリウム−硫黄電池の絶対容量は一定であるが、ナトリウム−硫黄電池の残留容量は時間経過とともに増加することに言及する(段落0032)。また、特許文献3は、ナトリウム−硫黄電池の設計においては、使用可能容量に対して裕度を考慮し、残留容量が増加する分は裕度で補い、最終年まで使用可能容量を確保することに言及する(段落0032)。
【0009】
特許文献4に記載された技術においては、ナトリウム−硫黄電池の放電中の温度が測定され、放電深度がカウントされ、ナトリウム−硫黄電池の放電中の両端間の作動電圧が内部抵抗の温度による補正及び放電深度による補正を加味した補正電圧に達した時点で放電が停止される(段落0011)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−54146号公報
【特許文献2】国際公開第2016/136507号
【特許文献3】国際公開第2010/109977号
【特許文献4】特開2000−182662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
蓄電池の温度の上限、蓄電量の下限等を含む制限は、蓄電池の劣化、故障等を抑制することに役立つが、低い頻度で発生する非常時に蓄電池にその性能を十分に発揮させることを妨げる。
【0012】
例えば、独立系統において停電が発生した場合は、蓄電池から制御機器及び負荷に電力が供給される。このため、停電が長時間に渡って続いた場合は、蓄電池の放電が長時間に渡って続き、制限を守るために蓄電池の放電を停止しなければならない場合がある。例えば、蓄電池の温度がその上限より高くなることを避けるために、蓄電池の性能を十分に発揮させることなく蓄電池の放電を停止しなければならない場合がある。また、蓄電池の蓄電量がその下限より低くなることを避けるために、蓄電池の性能を十分に発揮させることなく蓄電池の放電を停止しなければならない場合がある。そして、蓄電池の放電を停止しなければならなくなった場合は、制御機器への電力の供給が絶たれ、電源システムを構成する機器の劣化、故障等が起こる場合がある。
【0013】
この問題は、独立システムに備えられる蓄電池以外の蓄電池においても生じる。
【0014】
本発明は、この問題に鑑みてなされた。本発明が解決しようとする課題は、蓄電池の劣化を抑制しながら、非常時に蓄電池にその性能を十分に発揮させることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、蓄電池の制御装置に向けられる。
【0016】
蓄電池の制御装置は、制御部及び設定部を備える。
【0017】
制御部は、蓄電池の温度の上限及び蓄電量の下限の少なくとも一方を含む制限が守られるように蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する。
【0018】
設定部は、通常時には、制限を第1の裕度を有する第1の制限に設定する。また、設定部は、非常時には、制限を第1の裕度より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限に設定する。
【0019】
本発明は、蓄電池の制御方法にも向けられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、通常時には、第1の裕度を有する第1の制限が守られるように蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間が制御されることで、蓄電池の劣化が抑制される。また、非常時には、第1の裕度より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限が守られるように蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間が制御されることで、非常時ではあっても蓄電池性能十分に発揮される。これにより、通常時における蓄電池の劣化を抑制しながら、非常時においても蓄電池にその性能を十分に発揮させることができる。
【0021】
この発明の目的、特徴、局面及び利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1独立システムを図示するブロック図である。
図2独立システムに備えられるエネルギーマネジメントシステム(EMS)、及び蓄電池を制御する制御機器を図示するブロック図である。
図3独立システムにおいて設定される蓄電池の温度の上限の例を説明する図である。
図4独立システムにおいて設定される蓄電池の蓄電量の下限の例を説明する図である。
図5変形例の独立システムに備えられるEMS、及び蓄電池を制御する制御機器を図示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
1 独立システム
図1は、本実施形態の独立システムを図示するブロック図である。
【0024】
図1に図示される独立システム1000は、再生可能エネルギー発電機1020、再生可能エネルギー発電機1020を制御する制御機器1022、蓄電池1024、蓄電池1024を制御する制御機器1026、発電機1028、発電機1028を制御する制御機器1030、負荷1032、エネルギーマネジメントシステム(EMS)1034及び配電線1036を備える。独立システム1000がこれらの要素とは異なる要素を備えてもよい。独立システム1000が、追加の再生可能エネルギー発電機、及び追加の再生可能エネルギー発電機を制御する制御機器を備えてもよい。独立システム1000が、追加の蓄電池、及び追加の蓄電池を制御する制御機器を備えてもよい。独立システム1000が、追加の発電機、及び追加の発電機を制御する制御機器を備えてもよい。発電機1028及び制御機器1030が省略されてもよい。独立システム1000が、追加の負荷を備えてもよい。
【0025】
再生可能エネルギー発電機1020、制御機器1022、蓄電池1024、制御機器1026、発電機1028、制御機器1030、負荷1032及びEMS1034は、配電線1036に電気的に接続されている。これにより、再生可能エネルギー発電機1020及び発電機1028により発電された電力で蓄電池1024を充電することができる。また、再生可能エネルギー発電機1020及び発電機1028により発電された電力、並びに蓄電池1024が放電した電力を、制御機器1022、制御機器1026、制御機器1030、負荷1032及びEMS1034に供給することができる。
【0026】
再生可能エネルギー発電機1020は、太陽光発電機、風力発電機、流れ込み式水力発電機、地熱発電機、太陽熱発電機、バイオマス発電機等である。
【0027】
蓄電池1024は、ナトリウム−硫黄電池、レドックスフロー電池、リチウムイオン電池、鉛電池、ニッケル水素電池等である。
【0028】
発電機1028は、再生可能エネルギー発電機1020とは異なり、発電電力を調整することができる発電機である。発電機1028は、ディーゼル発電機、ガスタービン発電機、貯水式水力発電機、調整池式水力発電機等である。
【0029】
制御機器1022及び1030の各々は、通信機器、出力調整機器等を備える。制御機器1026は、通信機器、双方向変換器、ヒーター、放熱ファン、空調機等を備える。
【0030】
2 蓄電池の充放電電力の電力値、充放電時間及び放熱量の制御
図2、独立システムに備えられるエネルギーマネジメントシステム、及び蓄電池を制御する制御機器を図示するブロック図である。
【0031】
蓄電池1024を制御する制御機器1026は、双方向変換器1100及び放熱ファン1102を備える。双方向変換器1100は、入力された指令にしたがって、蓄電池1024が放電した電力を配電線1036に供給し、配電線1036から供給された電力で蓄電池1024を充電する。蓄電池1024の充放電電力の電力値は、双方向変換器1100に入力された指令に応じて変化する。放熱ファン1102は、入力された指令にしたがって、蓄電池1024に放熱させるための空気流を生成する。蓄電池1024の放熱量は、放熱ファン1102に入力された指令に応じて変化する。
【0032】
EMS1034は、蓄電池1024の制御装置となり、制御部1120及び設定部1122を備える。制御部1120及び設定部1122は、コンピュータにプログラムを実行させることにより構成される。制御部1120及び設定部1122の全部又は一部がプログラムを実行しないハードウェアにより構成されてもよい。制御部1120及び設定部1122が、制御機器1026に備えられてもよい。
【0033】
制御部1120は、双方向変換器1100に対して指令を出力する。これにより、制御部1120は、蓄電池1024の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する。また、制御部1120は、放熱ファン1102に対して指令を出力する。これにより、制御部1120は、蓄電池1024の放熱量を制御する。
【0034】
制御部1120は、蓄電池1024の温度の上限及び蓄電量の下限の少なくとも一方を含む制限が守られるように、蓄電池1024の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御し、望ましくはこれらに加えて蓄電池1024の放熱量を制御する。蓄電池1024の温度の上限は、最高許容温度上限、最高到達温度等とも呼ばれる。
【0035】
蓄電池1024が充電及び放電の少なくとも一方が行われる場合に温度が上昇する蓄電池である場合は、制御部1120による制御において守られねばならない制限(必須的制限)は、蓄電池1024の温度の上限を含む。充電及び放電の少なくとも一方が行われる場合に温度が上昇する蓄電池は、充電及び放電の少なくとも一方が行われる場合に発熱し、発熱する際の発熱量が環境への放熱量より大きい蓄電池である。
【0036】
電反応が発熱反応である蓄電池、及び充電反応が吸熱反応であるがジュール熱が吸熱反応により発生する吸熱より大きい蓄電池は、充電が行われる場合に発熱する蓄電池になる。放電反応が発熱反応である蓄電池、及び放電反応が吸熱反応であるがジュール熱が吸熱反応により発生する吸熱より大きい蓄電池は、放電が行われる場合に発熱する蓄電池になる。
【0037】
ナトリウム−硫黄電池、リチウムイオン電池等は、通常の環境に設置された場合は、充電及び放電の少なくとも一方が行われる場合に温度が上昇する蓄電池となるが、極端に寒冷な環境に設置された場合は、充電及び放電の少なくとも一方が行われる場合に温度が上昇する蓄電池とならない場合もある。
【0038】
ナトリウム−硫黄電池においては、条件にもよるが、多くの場合は、充電反応により発生する吸熱がジュール熱よりも大きい。このため、ナトリウム−硫黄電池は、多くの場合は、放電が行われる場合に温度が上昇し充電が行われる場合に温度が下降する蓄電池である。
【0039】
必須的制限が蓄電池1024の温度の上限を含む場合は、制御部1120は、設定された温度の上限が守られるように、蓄電池1024の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御し、望ましくはこれらに加えて蓄電池1024の放熱量を制御する。これにより、蓄電池1024の温度は、設定された上限以下に維持される。
【0040】
必須的制限が蓄電池1024の蓄電量の下限を含む場合は、制御部1120は、設定された蓄電量の下限が守られるように蓄電池1024の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する。これにより、蓄電池1024の蓄電量は、設定された下限以上に維持される。
【0041】
設定部1122は、通常時には、必須的制限を第1の裕度を有する第1の制限に設定する。一方、非常時には、必須的制限を一時的に第1の制限より緩和することが許容され、設定部1122は、当該必須的制限を、第1の裕度より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限に設定する。通常時は、例えば非停電時であり、非常時とは、例えば停電時である。非常時には、通常時に利用されない第1の裕度の少なくとも一部が利用される。第1の制限は、多数回設定することが許容される常用の制限である。第2の制限は、限られた回数だけ設定することが許容される一時的な制限である。
【0042】
図3、独立システムにおいて設定される蓄電池の温度の上限の例を説明する図である。
【0043】
必須的制限が蓄電池1024の温度の上限を含む場合は、図3に示されるように、蓄電池1024の温度について、第1の上限TU1と、第1の上限TU1より高い温度である第2の上限TU2とが設定される。
【0044】
第1の上限TU1は、第1の裕度TT1を有する。第2の上限TU2は、第1の裕度TT1より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない。図3には、第2の上限TU2が裕度を有しない場合が示されている。
【0045】
蓄電池1024がナトリウム−硫黄電池である場合は、望ましくは、第1の上限TU1は340℃であり、第2の上限TU2は340℃より高く370℃以下である。ナトリウム−硫黄電池は、放電時に発熱反応を起こす蓄電池であるので、蓄電池1024がナトリウム−硫黄電池である場合は、第1の上限TU1及び第2の上限TU2は、主に放電時に適用される。
【0046】
図4、独立システムにおいて設定される蓄電池の蓄電量の下限の例を説明する図である。
【0047】
必須的制限が蓄電池1024の蓄電量の下限を含む場合は、図4に示されるように、蓄電池1024の蓄電量について、第1の下限SL1と、第1の下限SL1より低い第2の下限SL2とが設定される。
【0048】
第1の下限SL1は、第1の裕度RT1を有する。第2の下限SL2は、第1の裕度RT1より小さい蓄電池1024の蓄電量の第2の裕度を有するか、又は蓄電池1024の蓄電量の裕度を有しない。図4には、第2の下限SL2が蓄電池1024の蓄電量の裕度を有しない場合が示されている。
【0049】
蓄電池1024の絶対容量Cとし、残存容量Rとするとき、絶対容量Cから残留容量Rを減じた値が、蓄電池1024において実際に使用可能な蓄電容量(使用可能容量)C−Rであり、望ましくは、第1の下限SL1は、係る使用可能容量C−Rより小さい第1の蓄電容量C1を放電した場合の蓄電量に設定され、一方、第2の下限SL2は、使用可能容量C−Rと同じ大きさの第2の蓄電容量C2を放電した場合の蓄電量に設定される。
【0050】
ここで絶対容量Cは、製品容量とも呼ばれ、蓄電池1024について決まっている、時間が経過しても変化しない容量である。また、残存容量Rは、時間が経過するにつれて増加する充放電することができない容量である。
【0051】
係る場合、第1の蓄電容量C1は、使用可能容量C−Rからさらに第1の裕度RT1を減じた蓄電容量でもある。第2の蓄電容量C2は、使用可能容量と同じ蓄電容量である。
【0052】
蓄電池1024の電圧がある設定に達した時点で蓄電池1024の放電が停止される場合第1の蓄電容量C1は、電圧が当該設定より高い第1の電圧に達するまでに蓄電池1024が放電することができる蓄電容量であると定義され、第2の蓄電容量C2は、電圧が当該設定値に等しい第2の電圧に達するまでに蓄電池1024が放電することができる蓄電容量であると定義される。
【0053】
常時には、第1の裕度TT1、RT1等を含む第1の制限が守られるように蓄電池1024の充放電電力の電力値、充放電時間、放熱量等が制御される。これにより、通常時における蓄電池1024の劣化が抑制される。一方、非常時には、第1の裕度TT1、RT1等より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限が守られるように蓄電池1024の充放電電力の電力値、充放電時間、熱量等が制御される。これにより、非常時ではあっても、蓄電池1024性能十分に発揮されるようになっている。
【0054】
すなわち、EMS1034による制御によれば、通常時における蓄電池1024の劣化を抑制しながら、非常時においても蓄電池1024にその性能を十分に発揮させることができる。例えば、非常時に、蓄電池1024に大きな電力を放電させることができ、蓄電池1024に多くの電力量を放電させることができ、蓄電池1024に長時間に渡って放電させることができる。
【0055】
また、EMS1034による制御によれば、電源システムに備えられる制御機器1022、制御機器1026、制御機器1030、さらにはEMS1034それ自体等の制御機器への電力の供給を維持することができる可能性が高くなるので、独立システム1000を安定して運用することができる。例えば、当該電源システムを再起動する回数を減らし、当該電源システムの稼働率を上げることができる。また、独立システム1000における全電源喪失の回数を減らし、独立システム1000に備えられる機器の故障及び劣化を抑制することができる。
【0056】
図5、変形例の独立システムに備えられるEMS、及び蓄電池を制御する制御機器を図示するブロック図である。
【0057】
形例の独立システムにおいては、図5に図示されるように、蓄電池1024を制御する制御機器1026が、双方向変換器1100、放熱ファン1102、バッテリーマネジメントシステム(BMS)1200及び温度センサ1220を備える。また、EMS1034が、制御部1120及び設定部1122を備える。また、蓄電池1024、放熱ファン1102及び温度センサ1220が、電池モジュール1210を構成する。変形例の独立システムにおいては、EMS1034及びBMS1200が蓄電池1024の制御装置となる。
【0058】
形例の独立システムにおいては、EMS1034に備えられる制御部1120が、双方向変換器1100に対して指令を出力し、蓄電池1024の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する。また、BMS1200が、放熱ファン1102に対して指令を出力し、蓄電池1024の放熱量を制御する。BMS1200は、温度センサ1220から蓄電池1024の温度を示す温度データを取得し、取得した温度データを蓄電池1024の放熱量の制御に用いる。例えば、BMS1200は、蓄電池1024の温度が高くなったことを検出した場合に蓄電池1024の放熱量を多くする。また、BMS1200は、取得した温度データを、双方向変換器1100を経由して、制御部1120に送信する。
【0059】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0060】
1000 独立システム
1024 蓄電池
1034 エネルギーマネジメントシステム(EMS)
1100 双方向変換器
1102 放熱ファン
1120 制御部
1122 設定部
1200 バッテリーマネジメントシステム(BMS)
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の温度の上限及び蓄電量の下限の少なくとも一方を含む制限が守られるように前記蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する制御部と、
通常時には前記制限を第1の裕度を有する第1の制限に設定し、非常時には前記制限を前記第1の裕度より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限に設定する設定部と、
を備える蓄電池の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電池の制御装置であって、
前記制限は、前記蓄電池の温度の上限を含み、
前記制御部は、前記蓄電池の温度の上限が守られるように前記蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御し、
前記第1の制限は、前記蓄電池の温度の第1の上限を含み、
前記第2の制限は、前記蓄電池の温度の第1の上限より高い前記蓄電池の温度の第2の上限を含む
蓄電池の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の蓄電池の制御装置であって、
前記制御部は、前記蓄電池の温度の上限が守られるように前記蓄電池の放熱量をさらに制御する
蓄電池の制御装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の蓄電池の制御装置であって、
前記蓄電池は、ナトリウム−硫黄電池であり、
前記蓄電池の温度の第1の上限は、340℃であり、
前記蓄電池の温度の第2の上限は、340℃より高く370℃以下である
蓄電池の制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の蓄電池の制御装置であって、
前記制限は、前記蓄電池の蓄電量の下限を含み、
前記制御部は、前記蓄電池の蓄電量の下限が守られるように前記蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御し、
前記第1の制限は、前記蓄電池の蓄電量の第1の下限を含み、
前記第2の制限は、前記蓄電池の蓄電量の第1の下限より低い前記蓄電池の蓄電量の第2の下限を含む
蓄電池の制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の蓄電池の制御装置であって、
前記蓄電池の蓄電量の第1の下限は、前記蓄電池実際に使用可能な蓄電容量より小さい第1の蓄電容量を放電した場合の蓄電量であり、
前記蓄電池の蓄電量の第2の下限は、前記蓄電池実際に使用可能な蓄電容量と同じ第2の蓄電容量を放電した場合の蓄電量である
蓄電池の制御装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の蓄電池の制御装置であって、
前記第1の蓄電容量は、前記蓄電池の絶対容量から前記蓄電池の残留容量及び裕度を減じた蓄電容量であり、
前記第2の蓄電容量は、前記蓄電池の絶対容量から前記蓄電池の残留容量を減じた蓄電容量である
蓄電池の制御装置。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の蓄電池の制御装置であって、
前記第1の蓄電容量は、前記蓄電池の電圧が設定された電圧より高い電圧に達するまでに前記蓄電池が放電することができる蓄電容量であり、
前記第2の蓄電容量は、前記蓄電池の電圧が設定された電圧に達するまでに前記蓄電池が放電することができる蓄電容量である
蓄電池の制御装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の蓄電池の制御装置であって、
前記通常時は、非停電時であり、
前記非常時は、停電時である
蓄電池の制御装置。
【請求項10】
蓄電池の温度の上限及び蓄電量の下限の少なくとも一方を含む制限が守られるように前記蓄電池の充放電電力の電力値及び充放電時間を制御する工程と、
通常時には前記制限を第1の裕度を有する第1の制限に設定し、非常時には前記制限を前記第1の裕度より小さい第2の裕度を有するか、又は裕度を有しない第2の制限に設定する工程と、
を備える蓄電池の制御方法。
【国際調査報告】