特表2015-507740(P2015-507740A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-507740(P2015-507740A)
(43)【公表日】2015年3月12日
(54)【発明の名称】部品を作成する方法
(51)【国際特許分類】
   G04B 31/004 20060101AFI20150213BHJP
   G04B 15/14 20060101ALI20150213BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20150213BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20150213BHJP
【FI】
   G04B31/004
   G04B15/14 Z
   G04B15/14 A
   B23K26/53
   B23K26/00 N
【審査請求】有
【予備審査請求】有
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-548038(P2014-548038)
(86)(22)【出願日】2012年12月20日
(85)【翻訳文提出日】2014年8月1日
(86)【国際出願番号】EP2012076502
(87)【国際公開番号】WO2013092924
(87)【国際公開日】20130627
(31)【優先権主張番号】11195421.0
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】エスレ,ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】ルボー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】エルフェ,ジャン−リュック
(72)【発明者】
【氏名】リシャール,ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】グラフ,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AE02
4E168DA47
4E168JA14
4E168JA15
4E168JA17
(57)【要約】
本発明は、基材において部品を製造する方法に関し、(a)少なくとも1つの領域をより選択的にするために基材の少なくとも1つの領域の構造を修飾するステップと、及び(b)部品を選択的に製造するために前記少なくとも1つの領域を化学的にエッチングするステップとを有する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(101、300)において部品を製造する方法であって、
(a)前記基材の少なくとも1つの領域の構造を、前記少なくとも1つの領域をより選択的にするために、加工するステップと、及び
(b)前記部品を選択的に製造するために、前記少なくとも1つの領域を化学的にエッチングするステップと
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
(c)前記基材から前記部品を分離するステップ
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの領域の前記構造は、レーザー(L)によって加工される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記基材は、レーザ波長に対して透過性を有する材料で作られる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記レーザー(L)のパルス持続時間は、1フェムト秒〜1ピコ秒の範囲内である
ことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記基材は、単結晶材料で作られる
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記基材は、多結晶材料で作られる
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記基材は、高分子で作られる
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項9】
前記基材は、セラミック又はガラスのようなアモルファス物質で作られる
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項10】
前記部品は、計時器の部品である
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記部品は、計時器のベアリング(101)である
ことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記基材は、前記構造を加工するステップの前に作られる非貫通の穴(107)を有する
ことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
前記ベアリングは、さらに、少なくとも1つの凹部(200)を有する
ことを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの凹部(200)は、非貫通の穴(107)である
ことを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの凹部(200)は、潤滑剤を格納するための貯蔵槽(204)として用いられ、
前記少なくとも1つの凹部(200)は、前記穴(107)の表面から少なくとも延在する
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の製造方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの凹部は、さらに、前記少なくとも1つの貯蔵槽(204)を前記穴(107)に連通させる少なくとも1つの流路(202)を有する
ことを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの凹部(200)は、弾性構造(206)を形成するために用いられる
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記弾性構造は、アーバーの旋回シャンクを中に挿入することができるように構成された中央部(214)を有し、この中央部から少なくとも1つの弾性アーム(216)が延在する
ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記部品は、変形に用いられる構成体を有する共振器(300)である
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項20】
前記共振器(300)は、ベース(302)を有し、このベース(302)から少なくとも2つの平行なアーム(304)が延在し、そのそれぞれが上部表面(314)及び下部表面(316)を有する
ことを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
前記構成体は、渦巻き状の棒体であり、バランスバネを形成する
ことを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【請求項22】
前記共振器(300)は、さらに、前記構成体の表面の1つにおいて作られる少なくとも1つの凹部(310)を有する
ことを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の製造方法。
【請求項23】
前記部品は、パレット石である
ことを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項24】
アーバーと連係するように構成する計時器の部品(101)であって、
この部品は、穴(107)を有し、この穴の中に前記アーバーの旋回シャンクが挿入され、
前記部品は、少なくとも1つの凹部(200)を有し、この凹部(200)は、前記穴(107)の表面の少なくとも1つから前記部品へと延在する
ことを特徴とする計時器の部品。
【請求項25】
前記少なくとも1つの凹部は、液体を収容するための少なくとも1つの貯蔵槽(204)を有する
ことを特徴とする請求項24に記載の計時器の部品。
【請求項26】
前記少なくとも1つの凹部(200)は、さらに、前記少なくとも1つの貯蔵槽(204)を前記穴に連通させる少なくとも1つの流路(202)を有する
ことを特徴とする請求項25に記載の計時器の部品。
【請求項27】
前記少なくとも1つの凹部(200)は、弾性構造(206)を形成するように延在する
ことを特徴とする請求項24に記載の計時器の部品。
【請求項28】
前記凹部(200)は、前記部品が、環状リム(212)、中央部(214)、及び前記中央部を前記環状リムに接続する弾性アーム(216)を有する円筒状部品を有するように構成し、
前記中央部が、前記穴(107)を有する
ことを特徴とする請求項24に記載の計時器の部品。
【請求項29】
前記部品は、少なくとも2つの凹部(200)を有し、それらの少なくとも1つの凹部は、液体を収容するための少なくとも1つの貯蔵槽(204)を有し、少なくとも1つの凹部が弾性構造(206)を形成するように延在する
ことを特徴とする請求項24〜28のいずれかに記載の計時器の部品。
【請求項30】
計時器のムーブメントのエスケープホイールの歯と連係するためのパレット石(602)であって、
このパレット石は、エスケープ平面(602c)、ロック平面(602b)、及びインパルス平面(602a)を有し、少なくとも1つの主流路(700)が前記エスケープ平面(602c)を前記ロック平面(602b)に接続し、
当該パレット石は、さらに、
流路に連通する貯蔵槽(702)を有し、
これによって、前記少なくとも1つの主流路及び前記貯蔵槽に必要な潤滑剤をすべて格納することができる
ことを特徴とするパレット石。
【請求項31】
前記パレット石は、さらに、前記少なくとも1つの主流路を前記インパルス平面に連通させる少なくとも1つの副流路(704)を有する
ことを特徴とする請求項30に記載のパレット石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの凹部を有する部品要素に関し、この凹部は、当該部品の少なくとも1つの表面から当該部品の内部へと延在する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によって、単結晶又は多結晶の材料で作られるマイクロ技術的な部品の一部が、エッチングによって作られることが知られている。この技術は、エッチングされる基材を用意し、その上に感光性樹脂の層を堆積することを伴う。マスクが樹脂の上に置かれ、全体のアセンブリーが露光され、これによって、露光される感光性樹脂の構造が加工される。この加工された樹脂は、化学成分の作用によって除去され、樹脂が除去された場所においては基材が露出する。
【0003】
続いて、これらの基板の露出された領域は、中空部分を作るように化学的エッチングされる。加工されていない感光性樹脂ではなく基材を形成する材料のみをエッチングするように、化学剤が選ばれる。この化学的エッチングステップの継続時間によって、中空部分の寸法が決まる。
【0004】
同様に、機械加工及び/又は研磨によってマイクロ技術的な部分を作り、これによって、ドリル又はポリシャーを用いて当該部分を形成するということも想起することができる。
【0005】
この化学的エッチング技術の第1の課題は、この技術では、垂直方向の壁ないし側面を有する中空部分を作ることができないということである。実際に、得られる中空部分は、傾斜した丸まった側面を有する。これは、中空部分の断面が深さに応じて変わることを意味する。すなわち、穴の深さに応じて断面が大きくなったり小さくなったりする。一般に、深くなると断面が小さくなる。この観察結果は、垂直方向の側面を有する中空部分を得るためには、理論的な計算を適用する必要があるということを意味する。また、中空部分の輪郭における理論と実践の間でのこのばらつきは、特性のばらつきをもたらす。
【0006】
これらの化学的エッチングないし機械加工の技術の第2の課題は、これらの技術は複雑な深さを有する構造を作ることができないということである。実際に、化学的エッチングによって表面における中空部分のみを形成することができない。なぜなら、側面が傾斜していることは、深く進ませることが不可能であることを意味するからである。機械加工については、ポリシャーやドリルを利用しても複雑な内部構造を作ることはできない。例えば、単一片のルビーで作られた計時器のベアリングを作ることが可能であり、しかし、潤滑剤を格納するために必要な構造が設けられなければ、ベアリングを潤滑することができない。なお、単一片のルビーとは、すなわち、非貫通の穴を開けられた単一の石体から作られたルビーのことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、まっすぐな側面を有する中空部分を有し、単に表面ではなく内部構造を有する部品を作る製造方法を提案することによって、上記の課題を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、基材中の部品を製造する方法に関し、(a)前記基材の少なくとも1つの領域の構造を、前記少なくとも1つの領域をより選択的にするために、加工するステップと、及び(b)前記部品を選択的に製造するために、前記少なくとも1つの領域を化学的にエッチングするステップとを有する。
【0009】
本発明の利点の1つは、表面の下に位置する凹部を作ることが可能になるということである。なぜなら、使用される材料として、レーザー透過性を有するものが選ばれるからである。このことによって、当該部品の表面上又は表面の下のいかなる点をもレーザーが狙うことが可能になる。これによって、レーザーによる加工処理をした材料に対してのみ、化学的エッチングが行われるように、材料は選択的にされる。このように、複雑な内側の凹部を作ることを可能にする方法が得られる。
【0010】
本発明に係る方法の好ましい実施形態が、従属請求項の主題を形成する。
【0011】
第1の好ましい実施形態において、本方法は、さらに、(c)前記基材から前記部品を分離するステップを有する。
【0012】
第2の好ましい実施形態において、前記基材は、レーザ波長に対して透過性を有する材料で作られる。
【0013】
第3の好ましい実施形態において、前記レーザーのパルス持続時間は、1フェムト秒〜1ピコ秒の範囲内である。
【0014】
第4の好ましい実施形態において、前記基材は、単結晶材料で作られる。
【0015】
第5の好ましい実施形態において、前記基材は、多結晶材料で作られる。
【0016】
別の好ましい実施形態において、前記基材は、高分子で作られる。
【0017】
別の好ましい実施形態において、前記基材は、セラミック又はガラスのようなアモルファス物質で作られる。
【0018】
別の好ましい実施形態において、前記部品は、計時器の部品である。
【0019】
別の好ましい実施形態において、前記部品は、計時器のベアリングである。
【0020】
別の好ましい実施形態において、前記基材は、前記構造を加工するステップの前に作られる非貫通の穴を有する。
【0021】
別の好ましい実施形態において、前記ベアリングは、さらに、少なくとも1つの凹部を有する。
【0022】
別の好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの凹部は、非貫通の穴である。
【0023】
別の好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの凹部は、潤滑剤を格納するための貯蔵槽として用いられ、前記少なくとも1つの凹部は、前記穴の表面から少なくとも延在する。
【0024】
別の好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの凹部は、さらに、前記少なくとも1つの貯蔵槽を前記穴に連通させる少なくとも1つの流路(202)を有する。
【0025】
別の好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの凹部は、弾性構造(206)を形成するために用いられる。
【0026】
別の好ましい実施形態において、アーバーの旋回シャンクを中に挿入することができるように構成された中央部を有し、この中央部から少なくとも1つの弾性アームが延在する。
【0027】
別の好ましい実施形態において、前記部品は、変形に用いられる構成体を有する共振器である。
【0028】
別の好ましい実施形態において、前記共振器は、ベースを有し、このベースから少なくとも2つの平行なアームが延在し、そのそれぞれが上部表面及び下部表面を有する。
【0029】
別の好ましい実施形態において、前記構成体は、渦巻き状の棒体であり、バランスバネを形成する。
【0030】
別の好ましい実施形態において、前記共振器は、さらに、前記構成体の表面の1つにおいて作られる少なくとも1つの凹部を有する。
【0031】
別の好ましい実施形態において、前記部品は、パレット石(つめ石)である。
【0032】
本発明は、さらに、アーバーと連係するように構成する計時器の部品に関し、この部品は、穴を有し、この穴の中に前記アーバーの旋回シャンクが挿入され、前記部品は、少なくとも1つの凹部を有し、この凹部(200)は、前記穴の表面の少なくとも1つから前記部品へと延在する。
【0033】
第1の好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの凹部は、液体を収容するための少なくとも1つの貯蔵槽を有する。
【0034】
第2の好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの凹部は、さらに、前記少なくとも1つの貯蔵槽を前記穴に連通させる少なくとも1つの流路を有する。
【0035】
別の好ましい実施形態において、前記少なくとも1つの凹部は、弾性構造を形成するように延在する。
【0036】
別の好ましい実施形態において、前記凹部は、前記部品が、環状リム、中央部、及び前記中央部を前記環状リムに接続する弾性アームを有する円筒状部品を有するように構成し、前記中央部が、前記穴を有する。
【0037】
別の好ましい実施形態において、前記部品は、少なくとも2つの凹部を有し、それらの少なくとも1つの凹部は、液体を収容するための少なくとも1つの貯蔵槽を有し、少なくとも1つの凹部が弾性構造を形成するように延在する。
【0038】
本発明は、さらに、計時器のムーブメントのエスケープホイールの歯と連係するためのパレット石に関し、このパレット石は、エスケープ平面、ロック平面、及びインパルス平面を有し、少なくとも1つの主流路が前記エスケープ平面を前記ロック平面に接続し、当該パレット石は、さらに、流路に連通する貯蔵槽を有し、これによって、前記少なくとも1つの主流路及び前記貯蔵槽に必要な潤滑剤をすべて格納することができる。
【0039】
好ましい実施形態において、前記パレット石は、さらに、前記少なくとも1つの主流路を前記インパルス平面に連通させる少なくとも1つの副流路を有する。
【0040】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明によって、本発明に係る部品の目的、利点及び特徴をより明確に理解できるであろう。これらの実施形態は、これらに限定されない例としてのみ与えられるものであり、添付図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1-2】従来技術の旋回システムを概略的に示す。
図3】本発明に係る旋回システムについての概略図を示す。
図4-5】本発明に係る旋回システムの第1の実施形態についての概略図を示す。
図6-7】本発明に係る旋回システムの第2の実施形態の第1の実装例についての概略図を示す。
図8】本発明に係る旋回システムの第2の実施形態の第2の実装例についての概略図を示す。
図9-10】本発明に係る旋回システムの第1の変形例についての概略図を示す。
図11A-11D】本発明に係る方法の各ステップの概略図である。
図12】従来技術に係る共振器の概略正面図を示す。
図13】本発明に係る方法を用いる共振器の概略正面図を示す。
図14】本発明に係る方法を使用する共振器の変形例の概略上面図を示す。
図15】本発明に係る方法を使用する共振器の変形例の概略正面図を示す。
図16】本発明に係る方法を使用する共振器の別の変形例の概略上面図を示す。
図17】既知のパレット石の概略図である。
図18】本発明に係るパレット石についての概略図である。
図19】本発明に係るパレット石の変形例についての概略図である。
図20】本発明に係るスパイラル共振器についての概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図3は、本発明に係る計時器の部品についての概略図を示す。
【0043】
第1の実施形態において、部品101は、計時器の部品である。この場合では、部品101は、計時器のベアリングである。すなわち、計時器のアーバーの旋回に用いられる要素である。ベアリング101は、支持体102を有する旋回システム100の一部であり、支持体102の底には、旋回シャンクにおいて終端するバランス真(天桴真)を通過させるための穴108を有する。支持体102は、ベアリング101を収容するためのハウジング103を有する。アタッチメント手段105によってベアリング101がハウジング106の内部で固定される。このアタッチメント手段105は、弾性体であっても弾性体でなくてもよい。
【0044】
図4の実施形態に係るベアリング101は、単一片の部品であり、これは、上部表面1011及び下部表面1012及び円形の壁1013を有する円筒状ないし円盤状の部品1010の形態である。このベアリングは、さらに、下部表面1012に位置する少なくとも1つの凹部200を有する。この凹部は、例えば、アーバーの旋回シャンクが中に挿入される穴107であることができる。もちろん、ベアリング101は、いずれの形状であってもよく、例えば、平行六面体、三角形、又は他の可能性のある形状である。同様に、計時器のブリッジに部品101を直接組み入れることも想起することができる。これによって、ブリッジはベアリング101が作られる基材として機能する。
【0045】
本発明は、部品101及びその凹部200を作るための製造方法を提供することを提案する。本件において、凹部200の作成に重点を置いて説明する。
【0046】
図11Aに示す第1のステップにおいて、基材が用意される。この基材は、ここでは部品101である。すなわち、凹部200が設けられていないベアリングである。このように、ベアリング101が前もって作られることを理解できるであろう。ベアリング101は、ここにおいて「第1の材料」として呼ぶその構成材料に応じて最適な方法によって作られる。これは、例えば、機械加工や研磨である。
【0047】
第2のステップは、レーザー(L)を用意することを伴う。このレーザー(L)は、フェムト秒級パルス持続時間を有するものであり、これは、すなわち、10-15秒(典型的には100fs)である。このパルス持続時間は、1フェムト秒から1ピコ秒(10-12秒)の範囲内であることができる。その後、このレーザー(L)は、図11Bに示すように、ベアリング101の構造を加工するのに用いられる。この目的のために、第1の材料は、レーザーに対して透過性を有するものが選ばれる。これは、レーザー(L)の焦点(P)によって、ベアリング101の表面上又はその下にあることがある点(P)を狙うことができるということを意味する。ここにおいて、フェムト秒級パルス持続時間を有するレーザー(L)に対して、第1の材料は、石英、サファイア又は合成ルビーのような単結晶材料、多結晶ルビーのような多結晶材料、又はシリカやセラミックのようなガラスのようなアモルファス材料とすることができる。また、高分子の部品を作ることも想起することができる。その後、作ろうとする、形状を有する構造に従って、ベアリングの表面上又はその下のベアリング101の領域へと焦点(P)が移動する。これらはすべて、多光子の吸収によって材料の構造の局所的な加工が行われるような、所定又は所望の順序で行われる。実際に、多光子の吸収によって材料の構造を加工することには、非常に大きなエネルギー密度が必要になる。このような大きなエネルギー密度を現在得ることができるのは、パルス持続時間が非常に短い、すなわち、1フェムト秒や1ピコ秒程度の、レーザーによってのみである。これらのレーザーは、実際に、このようなエネルギー密度を焦点において供給することができる。すなわち、エネルギー密度が最も大きい位置において供給することができる。このように、図11Cに示すように、ベアリング101が得られる。
【0048】
第3のステップは、化学剤を用意することを伴う。この化学剤としては、構造が加工されている領域Z1が、構造が加工されていない領域Z2よりも速く溶かされることを可能にするようなものが選ばれる。これは、構造が加工されている領域Z1に対するレーザー(L)の焦点(P)によるエッチング速度が、構造が加工されていない領域Z2に対するレーザー(L)によるエッチング速度よりも大きいことを意味する。実際に、フェムト秒級レーザー(L)の焦点(P)で構造を局所的に加工するということは、加工されていない領域Z2よりも加工されている領域Z1に対して、より反応性が高い化学剤を選ぶことが可能であることを意味する。したがって、化学剤の槽に所定時間ベアリング101を浸漬することによって、構造が加工されている領域Z1の全領域が、レーザー(L)の焦点(P)によって溶かされる。もちろん、加工されていない領域が化学剤でエッチングされることを考慮して部品の寸法を計算し、これによって、構造が加工されていない領域を過度に溶かさないようにする。このようにして、図11Dに示すように、ベアリング101が得られる。
【0049】
また、構造が加工されている領域Z1が溶けるためには、この領域Z1に化学剤がアクセス可能である必要があることに留意すべきである。このようにして、少なくとも1つの表面又は表面に近い少なくとも1つの領域Z1が加工されることを理解できるであろう。実際に、この方法によって、内部構造を作ることが可能になる。しかし、この方法は、構造が加工されている領域Z1に化学剤がアクセス可能であることを必要とする。構造が加工されている領域Z1が表面にある場合、化学剤は加工されている領域Z1を直ちに溶かすことができる。しかし、構造が加工されている領域Z1が表面上ではなく、表面よりもすぐ下であることを想起することができる。この場合、化学剤がある加工されている領域Z1から離れた加工されていない領域Z2では化学剤は少ししか溶かさないが、加工されている領域Z1では溶かす。もちろん、これは、ベアリング101の凹部200それぞれが、表面に対して開いているか、表面に近くなければならないことを意味する。しかし、様々な凹部200に溶解が伝わるように、共通の表面の下で様々な凹部が互いに連通しているということを想起することができる。加工されている領域Z1のすべてが溶解すれば、ベアリング101は、槽から取り除かれる。
【0050】
第4のステップは、化学剤の残留物のすべてを除去するためにベアリング101を清浄化することを伴う。これによって、化学反応が恒久的に止められる。
【0051】
本発明の利点の1つとして、バッチ生産にも大規模生産にも同じように良好に適しているということがある。実際に、この化学的エッチングステップは、一度にいくつかの基材を対象にするバッチ生産と、一度に多数の基材を対象にする大規模生産の両方に適している。
【0052】
このように、この方法の利点として、ベアリング101の構造において小さな寸法の凹部200をすぐに作ることができるということがあり、これは、従来の機械加工では実現することができない。実際に、計時器のベアリング101は、1ミリメートル程度の非常に小さな寸法を有し、このような構造において凹部200を機械加工するには複雑すぎる。しかし、本発明に係る方法を使用することで、ベアリング101の内部の中空を作ることが容易になる。
【0053】
もちろん、本件の場合において、アーバーの旋回シャンクが中に挿入される穴107がないベアリング101に対して、既知の方法を使用して予め機械加工をすることができ、また、本発明に係る方法を、穴107及び他の凹部200を作るのに用いることができるということは理解できるであろう。しかし、穴107が予め形成されたベアリング101において凹部200を作るためにここで開示した方法を用いることも想起することができる。基材から始めてベアリング101全体を直ちに作るために本方法を用いることができる。このベアリングは、本発明に係る方法を使用された基材から作ることができる。
【0054】
また、部品101が作られる基材が、ベアリングが即座に一体化されてブリッジとベアリングのアセンブリーが単一部品となった計時器のブリッジであってもよいということも理解できるだろう。
【0055】
図4及び5に示す第1の変形例において、アーバーの旋回シャンクが中に挿入される穴107が予め機械加工され、本発明に係る方法によって作られる一又は複数の凹部200が、マイクロ流体の応用用途に使用される。このことは、液体を含んだり液体の流れを可能にするように、凹部200が用いられることを意味する。
【0056】
このように、ベアリングの例において、ベアリング101における穴107に挿入されるアーバーを潤滑するために用いられる潤滑剤を旋回シャンクを介して格納するためにこの凹部200を用いることができるということを理解できるであろう。実際に、潤滑によって、摩擦を減らすことができ、よって、損失を減らすことができる。これによって、計時器の動作上の精度を改善したり、計時器の予備動力源を増やしたり、あるいはその両方を実現することができる。上で説明したように、単一の石体の形態のベアリング101に潤滑剤を格納することは不可能である。本発明に係る方法によって、少なくとも1つの凹部200を作ることによって、ベアリング101として機能する石体の内部に潤滑剤を格納することが可能になる。
【0057】
この凹部200は、穴107の表面からベアリング101の内部へと延在する。これによって、凹部200の内部に格納された潤滑剤が穴107にアクセスできるようになり、よって、アーバーが回転した際に旋回シャンクを潤滑することが可能になる。このようにして、この凹部200は、潤滑剤を格納するように構成し、この潤滑剤はアーバーの旋回シャンクに向かって流れることができる。
【0058】
好ましいことに、凹部200は、少なくとも1つの空洞204を有し、少なくとも1つの流路202を有することができる。実際に、制限された空間の下ではベアリング101をより小型にするために、凹部は穴107の表面近くに配置される。反対に、空間の制約がない場合は、穴107を空洞204に連通させるための少なくとも1つの流路を有することを想起することができる。この場合、ベアリング101を適切に潤滑するために必要な潤滑剤の量を空洞204が格納することができ、流路202が十分な量の潤滑剤を規則的に通すことができるように、流路202及び空洞204の寸法が計算される。1つの流路202と1つの空洞204を有する単一の凹部200では不十分な場合、空洞204を穴107に連通させるためにそれぞれが1つの空洞204と1つの流路202を有するようないくつかの凹部200を設けることができる。また、それぞれが流路202に関連付けられたいくつかの空洞204によって凹部200が形成され、様々な流路202が接合点で接合されることも考えることができ、これによって、潤滑剤が単一の出口を通って旋回シャンクに運ばれる。また、流路202は、傾斜を有することができ、これによって、潤滑剤を空洞204から穴107に向けて自然に運ぶことができる。図5に示すように、凹部は、ベアリング101の別の表面へと開いている出口流路203を有することができ、これによって、空洞204内に潤滑剤を配置することが容易になる。また、この構成は、化学剤によるエッチング及びベアリング101の清浄化を促進する。
【0059】
図6、7及び8に示した第2の変形例において、弾性体であることができる構造206を形成するために、得られる凹部200が利用される。
【0060】
図6及び7に示すこの第2の変形例の第1の実装例によれば、円筒状ないし円盤状の部分1010は、中央部分214を有し、これは、ベアリング101の周辺部ないし環状リム212に対して、少なくとも1つの弾性アーム216によって、接続されている。好ましくは、周辺部212及び中央部分214は、同じ高さを有する。中央部214は円筒状であり、アーバーの旋回シャンクが中に挿入される穴107を有する。前記少なくとも1つの弾性アーム216は、寸法と厚さを変更することによって可撓性を変更することができる材料片であることができる。好ましくは、前記少なくとも1つのアーム216は、図7に示すように、厚さが円筒状の中央部分214の高さに等しい曲がっているアームの形態である。好ましくは、構造206は、3つの曲がっているアーム216を有し、それらのリム212及び中央部214への取り付け点はそれぞれ120度の角度ずれている。
【0061】
図8に示すこの第2の変形例の実装例において、一又は複数の凹部200は、弾性構造206を形成する。この構造206は、実質的に円筒状の凹部200を有し、これは、貫通した凹部であっても貫通していない凹部であってもよい。また、壁222を有し、この壁から少なくとも2つの材料片224が延在する。これらの材料片224は、好ましくは、正反対の側にあり、凹部207の軸中心に向けて延在する。これらの材料片224は、凹部200を2つの部分107、226に分ける。第1の一部分107は、ベアリングの外部へと開いており、アーバーの旋回シャンクを受けるために用いられる穴107である。凹部200の第2の部分226は、材料片224どうしの間のクリアランスのために利用される。これらの少なくとも2つの材料片224は、製造上の理由によって、可撓性を有する。この可撓性は、材料片224が長くて薄く、これによって、アーバーが動いた際に、その旋回シャンクが材料片224に接触するために、可能となるものである。この材料片224は、衝撃吸収体として機能するように、アーバーの旋回シャンクによって与えられる応力を受けて変形する。凹部200全体が同時に作られる。すなわち、焦点(P)が凹部を形成する領域を掃引して当該領域の構造を加工するように、レーザー光線(L)が導かれる。その後、化学剤による凹部を形成する領域の溶解が進行する。好ましくは、第2の部分207は4つの可撓性を有する材料片を有する。これらの材料片は、異なる水平方向の平面上に存在することができる。
【0062】
図9及び10に示す第3の変形例は、上記の2つの変形例が組み合わさったものである。これによって、ベアリングは、弾性構造206を形成する少なくとも1つの凹部200と、潤滑剤を格納するための空洞204を形成する少なくとも1つの凹部200との両方を有する。実際に、ベアリング101は、衝撃を吸収するために、少なくとも1つの弾性アーム216によってベアリングの周辺部分212に接続された中央部分214で形成された構造を有するように構成することができ、これは、ベアリングとアーバーの旋回シャンクとの間の相互作用を改善するために、潤滑剤の貯蔵槽として用いられる空洞204も有する。これを達成するために、図10に示すように、潤滑剤用空洞204として用いられる凹部200を、弾性構造216の中央部分214に配置することができる。好ましいことに、この凹部200は、穴107の上に配置され、これによって、重力又は毛管作用によって潤滑剤が穴107の中へと流れることができる。潤滑剤の流れを制御するために、狭い流路202を設けることができる。また、この凹部200は、穴107の壁に位置する円形の溝の形態であることができる。
【0063】
しかし、図9に示すように、潤滑剤を格納するための一又は複数の凹部200が、ベアリングの周辺部分212に位置すること、及び潤滑剤が少なくとも1つの流路202を介して穴107に運ばれることを考えることができる。したがって、一又は複数の流路202が、弾性構造206の弾性アーム216を通り抜けるということを理解できるであろう。
【0064】
第2の実施形態において、本発明に係る方法を用いて製造される部品は、共振器300である。この共振器は、変形に利用される構成体を有する。図12及び14に示す従来の共振器は、スタンド306に配置されたベース302を有し、これから少なくとも2つの平行なアーム304が延在する。これらの2つの平行なアームは、金属化部分を備えるように構成しており、これらは、アーム上で電極308で2つの群を形成し、これによって、アームを電場に置いてアームを振動させることが可能になる。共振器300は、さらに、図14に示すように、ベース302上に接続パッド309を有し、これらはそれぞれ電極308の群に接続される。各アーム304は、上部表面と下部表面を有する。
【0065】
共振器300の特性を改善するために、アーム304に溝ないし流路310を形成することが知られる。これらの溝ないし流路310は、圧電カップリングを増加させ、これによって、共振器300のQ(品質ファクター)を増加させる。このようにQが増加したことによって、電力消費が減る。このような電力消費の減少は、共振器300の等価回路における損失を表す電気抵抗の減少に起因する。
【0066】
本発明に係る製造装置製造方法は、これらの溝ないし流路310を作るために用いることができる。説明した例において、各アーム304は、少なくとも1つの溝310を有し、そのそれぞれは対応するアーム304の上部表面に配置される。
【0067】
これを達成するために、まず、電極が形成される前に、共振器300を用意することが必要である。
【0068】
その後に、フェムト秒級パルス持続時間を有するレーザーを用いて、アーム304の構造を局所的に加工する。このようにして、多光子の吸収によって構造が加工されたアーム304の領域であって、予め定められた、好ましくは、平行六面体の、形状を有する領域を得ることができる。この構造の加工によって、これらの領域をより選択的にすることができる。これは、これらの領域が、加工されていない領域よりも特定の化学剤に対してより反応的であることを意味する。
【0069】
このことによって、後に化学的エッチングステップを行うことができる。この化学的エッチングステップは、共振器300をレーザーによって加工されている領域を選択的にエッチングするように選択された化学的溶液内に共振器300を浸漬することを伴う。しかし、加工されていない領域よりも速く加工されている領域をエッチングするような化学的溶液を選択することができる。その場合、加工されていない領域に対する化学剤のエッチングによって最終的な寸法に対して悪い影響を受けることを回避することを考慮して、共振器300の寸法が定められる。
【0070】
好ましくは、各アーム304が単一の溝310を有する場合、溝310は、アーム304の中央部分に配置され、複数の溝が同じ表面314上に配置される
【0071】
本発明に係る方法によって、より大きな圧電カップリングを与える溝ないし流路310を作ることが可能になる。なぜなら、本方法は、図13に示すように、より多くの垂直方向の側面材312を有する溝310を設けることができるからである。この垂直性は、カップリングに著しく影響を与える。
【0072】
図15に示すこの第2の実施形態の第1の変形例において、各アーム304の各表面314及び316は溝ないし流路310を有する。2つのアーム304を有する共振器300の場合、共振器300は4つの溝310を有することを理解できるであろう。このように、各アーム304の上部表面314上に1つの溝310があり、各アーム304の下部表面316上には1つの溝310がある。この変形例において、各アーム304の溝310は、図15に示す平面A−A’に関して対称である。
【0073】
図16に示す第2の実装例において、共振器300が第3のアーム304を有し、これによって、共振器300が三つ又の矛(trident)の形状と同様な形状を有する。この第3のアーム304は、ここでは中央にあり、これは、共振器300を固定するために用いられ、より具体的には、その重心を変更するために用いられる。実際に、この第3のアーム304は、固定点として用いられ、共振器300を支持するベース306に接触するようにされる。中央アーム304として機能する第3のアーム304のこのような構成によって、重心を集中させ、共振器300の平衡を改善することを可能にする。このようにして、本発明に係る方法を用いて、基材から共振器300が作られる。本発明に係る方法の精度によって、複雑な形状を作ることが可能になる。このように、本発明に係る方法を用いて共振器300全体を形成することができる点は有利である。なぜなら、外形と溝310を単一のステップで作ることができるからである。もちろん、これは、2つのアーム304を有する標準的な共振器300によっても可能である。
【0074】
もちろん、共振器がバランスバネ400の形態であれば、図20に示すように、スパイラル共振器の表面の少なくとも1つに少なくとも1つの凹部200が作られ、槽310の形態であることが理解できるであろう。
【0075】
この製造方法は、他の部分を作成するためにも用いることができることも理解できるであろう。具体的には、潤滑剤の貯蔵槽として用いられる少なくとも1つの凹部200を有するルビーパレット石を作るのに用いることができる。図17において、2つのパレット石602を有する従来の構造を有するパレットレバー601を示す(図17において出口パレットだけを示す)。パレット石602は一般に、ルビーの一部分であり、その表面すべては研磨され、パレットレバー601のアーム601aに配置されたハウジング604の内部に動かされ、その内部において接着される。パレット石602は、インパルス平面602a、ロック平面602b、及びエスケープ平面602cを有し、そのインパルス平面601a及びエスケープ平面602cは、出口側エッジないしインパルス尖口602dに沿って交差する。インパルス平面602a及びロック平面602bはそれぞれ、エスケープホイールの歯606と連係し、より具体的には、歯606のロック平面606a及びロック尖口606bに連係する。エスケープホイール6は、矢Fの方向に従来の方法によって着実に回転する。このように、最も重要な潤滑箇所は、インパルス平面602aとロック平面602bであり、これによって、エスケープの様々な動作段階において、エスケープホイールの歯とこれらの平面の間で、潤滑剤が必要になる。
【0076】
現在、潤滑には、エスケープホイールの歯に少量の潤滑剤を配置することを伴い、これでは、長い期間にわたって潤滑を確実にすることはできない、なぜなら、潤滑剤が蓄積するパレット石602のロック平面602bに向かって潤滑剤が速く動いてしまい、所望の潤滑のために利用可能でなくなってしまうからである。
【0077】
本発明は、この問題を、潤滑剤を格納するために、少なくとも1つの流路700及び少なくとも1つの貯蔵槽702の形態である凹部200を作ることによって解決する。これを実現するために上記の方法を用いる。
【0078】
図18に示す結果は、主流路700を有するパレット石602の形態であり、これは、エスケープ平面602cをロック平面602bに接続する。また、パレット石602は、貯蔵槽702として機能する凹部200を有し、この貯蔵槽702は、パレット石602の内部に位置して主流路700と連通する。この貯蔵槽702は、エスケープ平面602c及びロック平面602bに平行な方向であって、インパルス平面602aから離れる方向に延在する。この貯蔵槽702は、必要な潤滑剤すべてを格納できる大きさを有する。エスケープの動作時において、潤滑剤が毛管作用によって主流路700へ吸い込まれ、ロック平面602bに出現する。
【0079】
好ましい変形例において、図19に示すように、パレット石602は、さらに、副流路704を有し、これは、主流路700から延在し、ロック平面602aにて開いている。このようにして、これらの副流路704は、ロック平面602aを潤滑するのに用いられ、これによって、エスケープの潤滑を改善することができる。
【0080】
潤滑剤をすべてパレット石602の内部に直接格納するこの貯蔵槽の存在によって、衝撃を受けた際に潤滑剤が飛び出る問題をなくすことができる。
【0081】
添付の請求の範囲によって定められる本発明の範囲から逸脱せずに、上述の本発明の様々な実施形態に対して当業者であれば、様々な加工、改善及び/又は組合せを行うことができるのは明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】