特表2015-520372(P2015-520372A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2015-520372少なくとも1つの複合セラミックス装飾で象眼されるセラミックス要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-520372(P2015-520372A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(54)【発明の名称】少なくとも1つの複合セラミックス装飾で象眼されるセラミックス要素
(51)【国際特許分類】
   G04B 45/00 20060101AFI20150619BHJP
   C04B 41/85 20060101ALI20150619BHJP
   C04B 41/83 20060101ALI20150619BHJP
【FI】
   G04B45/00 D
   C04B41/85 A
   C04B41/83 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-513069(P2015-513069)
(86)(22)【出願日】2013年4月25日
(85)【翻訳文提出日】2014年11月21日
(86)【国際出願番号】EP2013058661
(87)【国際公開番号】WO2013178412
(87)【国際公開日】20131205
(31)【優先権主張番号】12170045.4
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス・シウルレオ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ジュリエット
(72)【発明者】
【氏名】ブルバン,ステュー
(57)【要約】
本発明は、 計時器(1)用の象眼セラミックス要素(10)を製造する方法(21)であって、a)セラミックス製構成体(11)を形成するステップと、b)前記セラミックス製構成体(11)の1つの面(F)において、それぞれが装飾(13)のためのパターン化された空洞を形成するような少なくとも1つの凹部(12)を形成するようにエッチングするステップと、c)前記少なくとも1つの凹部の底の接触面を増加させるように、前記底の表面状態を変更するステップと、d)前記装飾(13)を形成するように、前記凹部を複合セラミックス(16)で充填するステップと、及びe)前記複合セラミックスが前記少なくとも1つの凹部の窪みにおいてのみ残るように、前記複合セラミックス(16)を平坦化するステップとを備えるものに関する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器(1)用の象眼セラミックス要素(10)を製造する方法(21)であって、
a)セラミックス製構成体(11)を形成するステップと、
b)前記セラミックス製構成体(11)の1つの面(F)において、それぞれが装飾(13)のためのパターン化空洞を形成するような少なくとも1つの凹部(12)を形成するようにエッチングするステップと、
c)前記少なくとも1つの凹部の底の接触面を増加させるように、前記底の表面状態を変更するステップと、
d)前記装飾(13)を形成するように、前記少なくとも1つの凹部を複合セラミックス(16)で充填するステップと、及び
e)前記複合セラミックスが前記少なくとも1つの凹部の窪みにおいてのみ残るように、前記複合セラミックス(16)を平坦化するステップと
を備えることを特徴とする方法(21)。
【請求項2】
前記ステップa)は、焼結により達成される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(21)。
【請求項3】
前記セラミックス製構成体(11)は、チタン、ケイ素、アルミニウム又はジルコニウムのような材料の炭化物、酸化物又は窒化物を含有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法(21)。
【請求項4】
前記セラミックス製構成体(11)は、サーメットである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法(21)。
【請求項5】
前記ステップb)は、レーザーによって行われる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の方法(21)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの凹部(12)のそれぞれは、接着力を最適にするように、80〜500μmの深さを有する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の方法(21)。
【請求項7】
前記ステップc)は、レーザーによって行われる
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法(21)。
【請求項8】
前記ステップc)は、前記少なくとも1つの凹部の前記底において空洞を形成する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法(21)。
【請求項9】
前記空洞は、前記少なくとも1つの凹部の前記底に延在する溝を形成する
ことを特徴とする請求項8に記載の方法(21)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの凹部の底に延在する前記溝どうしが交わる
ことを特徴とする請求項9に記載の方法(21)。
【請求項11】
前記空洞は、前記少なくとも1つの凹部(12)の深さの5分の1未満である深さを有する
ことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の方法(21)。
【請求項12】
前記ステップc)は、サンドブラストによって行われる
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法(21)。
【請求項13】
前記ステップd)は、
i)前記少なくとも1つの凹部をセラミックス粒子を含有する有機基質で充填する段階、及び
ii)複合セラミックスを形成するように、制御された雰囲気の下で前記有機基質を交差結合して密度を高める段階を有する
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法(21)。
【請求項14】
前記有機基質は、改質済み又は未改質のエポキシ樹脂、及び/又は改質済み又は未改質のアクリル樹脂、及び/又はポリウレタン及び/又はシリコーンで形成される
ことを特徴とする請求項13に記載の方法(21)。
【請求項15】
前記セラミックス粒子は、チタン、ケイ素、アルミニウム又はジルコニウムのような材料の炭化物、酸化物又は窒化物で形成される
ことを特徴とする請求項13又は14に記載の方法(21)。
【請求項16】
前記段階ii)は、20〜300℃の温度で行われる
ことを特徴とする請求項13〜15のいずれかに記載の方法(21)。
【請求項17】
前記段階ii)は、105〜6×105N/m2の圧力で行われる
ことを特徴とする請求項13〜16のいずれかに記載の方法(21)。
【請求項18】
ステップd)の前に、
f)前記複合セラミックスの接着性を増加させるために、前記少なくとも1つの凹部の前記底にボンディング層を形成するステップ(25)
を備えることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の方法(21)。
【請求項19】
前記ボンディング層はラッカーで形成される
ことを特徴とする請求項18に記載の方法(21)。
【請求項20】
前記ボンディング層は、金属又は金属性合金で形成される
ことを特徴とする請求項18に記載の方法(21)。
【請求項21】
前記ボンディング層は、金属性窒化物、金属性炭化物、シラン、オルガノシロキサン、アルカンチオール、アルカンジスルフィド、ジルコニウム酸塩、チタン酸塩及び/又はアルミン酸塩で形成される
ことを特徴とする請求項18に記載の方法(21)。
【請求項22】
ステップd)とステップe)の間で、
b’)前記複合セラミックスの1つの面において少なくとも第2の凹部をエッチングするステップと、
c’)前記少なくとも1つの第2の凹部の底の接触面を増加させるために、前記底の表面状態を変更するステップと、
d’)2つの複合セラミックスを有する装飾の形成するように、セラミックス粒子を搭載する有機基質で作られた第2の複合セラミックスで、前記少なくとも1つの第2の凹部を充填するステップと
を備えることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の方法(21)。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれかに記載の方法によって製造され、かつ、少なくとも1つの複合セラミックス(16)を有する少なくとも1つの装飾(13)で象眼されるセラミックス要素(10)を有する計時器(1)であって、
前記セラミックス要素(10)のセラミックス製構成体(11)が、当該計時器の外装の一部(2、3、4、5、6、7、8)を形成する
ことを特徴とする計時器(1)。
【請求項24】
請求項1〜22のいずれかに記載の方法によって製造され、かつ、少なくとも1つの複合セラミックス(16)を有する少なくとも1つの装飾(13)で象眼されるセラミックス要素(10)を有する計時器(1)であって、
前記セラミックス要素(10)のセラミックス製構成体(11)が、当該計時器のムーブメントの一部を形成する
ことを特徴とする計時器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの複合セラミックス装飾で象眼されるセラミックス要素に関し、より詳細には、計時器に取り付けられるように意図されたこの種の要素に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも部分的に合成サファイアで作られた腕時計用ベゼルを形成して、透明度を利用して、例えば、スケール又はブランド名を形成するような、ベゼルの下の凹部における堆積物を見せることが知られている。この構成は、サファイア部分で堆積物全体を覆うことによって任意の機械的な劣化から堆積物を保護することができるという長所を有する。しかし、この構成は、堆積物の色の透過が害されることによって、また、サファイアと堆積物の間の色差の不足によって、装飾を読むことを困難にすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、機械抵抗の利点を維持しつつ、視覚的な質の改善という利点を加えて、前記課題のすべて又は一部を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このために、本発明は、計時器又は宝石用の象眼セラミックス要素を製造する方法であって、
a)セラミックス製構成体を形成するステップと、
b)前記セラミックス製構成体の1つの面において、それぞれが装飾のためのパターン化された空洞を形成するような少なくとも1つの凹部を形成するようにエッチングするステップと、
c)前記凹部の底の接触面を増加させるように、前記底の表面状態を変更するステップと、
d)前記装飾を形成するように、前記凹部を複合セラミックスで充填するステップと、及び
e)前記複合セラミックスが前記凹部の窪みにおいてのみ残るように、前記複合セラミックスを平坦化するステップとを備えるものに関する。
【0005】
装飾及び/又はセラミックスの様々なシェード機能が、装飾及び/又はセラミックスの透明度によって制限されず、これにもかかわらず、良好な耐摩耗性が確実になるということをすぐにわかるであろう。このようにして、例えば、暗い色のセラミックス製構成体及び1つの(又はより複数の)明るい色の複合セラミックス製の装飾によって、「セラミックス的」な外観を有していながら、コントラストが高い視覚的な外観を達成することができる。
【0006】
本発明の他の好ましい特徴によると、
−ステップa)は、焼結により達成される。
−セラミックス製構成体は、チタン、ケイ素、アルミニウム又はジルコニウムのような材料の炭化物、酸化物、窒化物を有し、又はサーメットを有する。
−ステップb)は、レーザーによって行われる。
−前記少なくとも1つの凹部のそれぞれは、接着力を増すために、80〜500μmの深さを有する。
−ステップc)は、レーザー、サンドブラスト又は化学的エッチングによって行われる。
−ステップc)がレーザーによって行われる場合、前記凹部の底に空洞を形成することができる。
−空洞は、前記凹部の底で延在する溝を形成する。
−前記凹部の底に延在する前記溝どうしが交わる。
−空洞は、前記凹部の深さの5分の1未満である深さを有する。
−ステップd)は、i)前記凹部をセラミックス粒子を含有する有機基質で充填する段階、及びii)複合セラミックスを形成するように、制御された雰囲気の下で有機基質を交差結合して密度を高める段階を有する。
−有機基質は、改質済み又は未改質のエポキシ樹脂、及び/又は改質済み又は未改質のアクリル樹脂、及び/又はポリウレタン、及び/又はシリコーンで形成される。
−セラミックス粒子は、チタン、ケイ素、アルミニウム又はジルコニウムのような材料の炭化物、酸化物又は窒化物で形成される。
−段階ii)は、温度20〜300℃で、及び/又は圧力105〜6×105N/m2(1〜6bar)で行われる。
−ステップd)の前に、f)複合セラミックスの接着性を増加させるために、前記1つの凹部の底にボンディング層を形成するステップを備える。
−ボンディング層は、ラッカー、金属、金属性合金、金属性窒化物、金属性炭化物、シラン、オルガノシロキサン、アルカンチオール、アルカンジスルフィド、ジルコニウム酸塩、チタン酸塩及び/又はアルミン酸塩で形成される。
−ステップd)とステップe)の間で、
b’)前記複合セラミックスの1つの面において少なくとも第2の凹部をエッチングするステップと、
c’)前記第2の凹部の底の接触面を増加させるために、前記底の表面状態を変更するステップと、及び
d’)2つの複合セラミックスを有する装飾の形成するように、セラミックス粒子を有する有機基質で作られた第2の複合セラミックスで、前記第2の凹部を充填するステップとを有する。
【0007】
また、本発明は、計時器の外装部品の一部、計時器用ムーブメントの一部、又はより一般的には、計時器であって、前記の変形例のいずれかに従い、かつ、少なくとも1つの複合セラミックスによって形成された装飾で象眼されるセラミックス要素を少なくとも1つ有する。
【0008】
好ましいことに、セラミックス要素は、具体的には、腕時計のケース、腕輪、ベゼル、表盤、表蓋、押しボタン、つまみ、ブリッジ、プレート及び/又は振動重りのすべて又は一部を形成することができる。
【0009】
添付図面を参照して行う以下の説明(例としてのみ示している)から、他の特徴及び利点を明確に認識できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る計時器の図である。
図2-4】本発明に係る製造方法の連続的なステップである。
図5】本発明によって得られた要素の部分図である。
図6】本発明に係る方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示した例は、少なくとも1つの象眼要素10を有する計時器(全体的に符号1で表す)を示す。象眼要素10はそれぞれ、例えば、視覚的な質が特にコントラストの点から改善される有機基質内のセラミックスのような、少なくとも1つの複合セラミックス装飾13を有する耐摩耗性の部分を形成するように意図されている。
【0012】
本発明に係る象眼要素10は、計時器1の外装のすべて又は一部を形成することができる。したがって、象眼要素10は、ケース2、腕輪3、ベゼル4、表盤5、表蓋6、押しボタン7及び/又はつまみ8のすべて又は一部を形成することができる。以下に説明する例においては、象眼装飾13を有する輪10であってベゼル4の目盛を形成するものを参照して、本発明の説明を行う。また、ブリッジ、プレート及び/又は振動する重りのような計時器用ムーブメント用の象眼要素10を形成することもできる。
【0013】
図1及び5に示すように、象眼セラミックス要素10は、装飾13用のパターン化された空洞を形成する少なくとも1つの凹部12を有する構成体11を有する。図1は、本発明に従って、好ましいことに、装飾13はそれぞれ、幾何学的図形や英数字文字のような任意の形態であってもよいことを示している。本発明によると、凹部12はそれぞれ、少なくとも1つの複合セラミックス16で完全に充填される。この構成は、構成体11における各装飾13を保護する。
【0014】
本発明によると、以下において明確に説明するように、複合セラミックス16は、セラミックス粒子を有する有機基質から得られる。これによって、構成体11と同時に磨くことができるような十分な硬度の種々様々な材料を得ることが可能になる。
【0015】
本発明によると、構成体11は種々様々な材料から得ることができる。好ましくは、構成体11はセラミックスで作られる。また、セラミックスと金属の混合物で形成される材料であるサーメット(cermet)によって形成することもできる。より一般的には、例えば、構成体11のすべて又は一部を形成するために、チタン、ケイ素、アルミニウム又はジルコニウムのような材料の炭化物、酸化物又は窒化物を使用することができる。
【0016】
構成体11における装飾13の接着性を改善するために、凹部12は80〜500μmの深さを有し、好ましくは、実質的に400μmの深さを有する。なお、凹部12が反対側の面Pに開いていないことが好ましいことを理解できるであろう。
【0017】
さらに、複合セラミックス16の接着性の理由で、好ましくは、接触面を増加させるために、少なくとも1つの凹部12の底はそれぞれ、改質された表面状態を有する。以下に説明するように、具体的には、前記少なくとも1つの凹部の底に空洞を形成することによって又はその粗さを局所的に増加させることによって、表面を増加させることができる。
【0018】
最後に、図5に示すように、装飾13の接着性の改善を確実にするために、前記少なくとも1つの凹部の底と複合セラミックス16の間に、2〜150μmのボンディング層15を随意に形成することができる。例えば、ボンディング層15を、前記少なくとも1つの凹部の底を連続的にカバーするように、印刷技術で形成することができる。具体的には、この技術は、パッド印刷、スパッタリング、又はローラー又はブラシによる塗布を伴うことができる。
【0019】
具体的には、このボンディング層15は、ラッカー、金属、金属性合金、金属性窒化物、金属性炭化物、シラン、チタン酸塩、ジルコニウム酸塩及び/又はアルミン酸塩を含有させることができる。クロム、チタン又はクロム窒化物の層が、構成体11のセラミックスと複合セラミックス16の間のボンディングを改善することを実証できた(これらに限定されない)。
【0020】
したがって、本発明によると、各装飾13の視覚的な外観が、複合セラミックス16の色を通して得られる。結果として、複合セラミックス16に使用される材料の選択は、その色によってガイドされるのが好ましく、又は一般的には、その美的外観によってガイドされるのが好ましい。例えば、暗い色の構成体11と、1つの(又は複数の)明るい色の装飾13とによって、「セラミックス的」な外観を維持しつつ、コントラストが高い視覚的な外観を得ることができる。
【0021】
随意的なボンディング層15が使用される場合、その色も、複合セラミックス16の外見を変更するように、選択ないし変更することができる。実際に、応用用途に依存して、複合セラミックス16の厚みによって、複合セラミックス16を実質的に半透明にすることができる。結果的に、随意的なボンディング層15が使用される場合、そのボンディング層15の色は複合セラミックス16を介して目に見えるようになる。したがって、複合セラミックス16の実質的に半透明の外見を変更するために、例えば、随意的なボンディング層15の構成に色素又は選択された材料を加えることができる。
【0022】
なお、装飾13は、例えば、均質的な外観を与えるように、同じ材料を用いて形成することができ、あるいは図1の場合において指標に第1の色、英数字文字に別の色を与える場合のように、2つの装飾に異なる色を与えるように、いくつかの異なる材料を順番に用いて形成することができる。
【0023】
色を均質にするために、構成体11の周囲と同じ材料で装飾13を形成することも想起することができる。図1の実施形態の例において、ケース2、腕輪3、ベゼル4の残り、表盤5、押しボタン7及び/又はつまみ8と同じ材料のベゼル4の装飾13を有することができる。
【0024】
図2〜6を参照して、セラミックス製構成体11の例を用いて、象眼要素10を製造する方法21を説明する。
【0025】
図6に示す第1のステップ22において、方法21は、ジルコニア又はアルミナ等で作られた構成体11を形成する。図2から図3への変化によって部分的に示したように、ステップ22の最終的な構成体11は、焼結によって得るのが好ましい。すなわち、射出及び/又は押し出しプロセスによって予成形された素地17を焼結して得る。ステップ22の終わりにおいて、図3において見ることができる構成体11はその最終寸法を有する。もちろん、ステップ22は、焼結以外によっても達成することができる。
【0026】
図6に示すように、方法21は、セラミックス製構成体11の1つの面Fにおいて、少なくとも1つの非貫通凹部12をエッチングするように意図された第2のステップ23を有する。この凹部12が、図4において見ることができるような将来的な装飾13のためのパターン化された空洞を形成する。好ましくは、凹部12はそれぞれ、80〜500μmの深さを有する。好ましくは、ステップ23は、適切なエッチングの精度を得るために、レーザーを使用する破壊的な放射によって得られる。
【0027】
図6に示すように、方法21は、接触面を増加させるために、前記少なくとも1つの凹部12の底の表面状態を変更するように意図された第3のステップ24へと続く。好ましくは、ステップ24は、前記少なくとも1つの凹部の底における空洞を形成するか、又は単に、その局所的な粗さを増加させる。
【0028】
このような空洞や粗さは、接触面が増加することを確実にするために、好ましくは、凹部12の深さの高々5分の1である深さを有する。ステップ24は、レーザーを使用する破壊的な放射によって、サンドブラストによって、又は化学的エッチングによって、達成することが好ましい。
【0029】
例えば、400μmの深さを有する凹部12を使用して試験を行った。空洞が破壊的な放射によって作られ、実質的に平行な直線状の溝の第1の群を形成した。これは、実質的に平行な直線状の溝の第2の群と交差する。空洞の深さは10〜50μmとなるように調整され、構成体11への装飾13の接着性に関して各回とも満足的であることがわかった。結果的に、空洞は、前記少なくとも1つの凹部の底に延在する溝を形成することができ、溝のすべて又は一部が互いに交わらせることができる。
【0030】
もちろん、同じエッチングの精度を得るために、型に穴を粗く形成して、その後に、レーザーによる仕上げ操作を行うことも想起することができる。空洞及び各凹部を充填しなければならない材料の湿潤性に悪影響を与えずに、表面の増加によって接着性を改善するということが目的である。
【0031】
第1の実施形態において、図6における二重線で見られるように、方法21のステップ24の後には、前記少なくとも1つの凹部の底にボンディング層15を形成するステップ25が続く。これによって、ステップ26において形成される将来的な複合セラミックス16の接着性の改善が確実になる。図5に示すように、この第1の実施形態は、複合セラミックス16によって、そして随意にボンディング層15によって、装飾13の材料が形成されるような場合に関連する。
【0032】
ステップ25は、加熱処置及び/又は乾燥処置を用いる活性化が後で必要なバインダーの液体又はペースト状態での堆積によって形成することができる。このようなボンディング層15は、例えば、単独で又は部分的に加水分解されたシラン又はビニル・オルガノシロキサン、加えて、単独で又は部分的に加水分解されたエポキシ官能性シラン又はオルガノシロキサンからの反応生成物のうちの1つ、加えて、単独で又は部分的に加水分解された、アミノ官能性シラン又はオルガノシロキサンからの反応生成物のうちの1つ、加えて、単独で又は部分的に加水分解された、無水物ラジカル官能性のシラン又はオルガノシロキサンの反応生成物のうちの1つ、加えて、反応生成物のうちの1つ、及び/又はチタン、ジルコニウム、アルミニウムのようなものの金属アルコキシド又は金属キレート、例えば、tert-チタン酸ブチル、で形成することができる。したがって、ラッカー、金属、金属性合金、金属性窒化物、金属性炭化物、シラン、オルガノシロキサン、アルカンチオール、アルカン二硫化物、ジルコニウム酸塩、チタン酸塩及び/又はアルミン酸塩も想起することができる。
【0033】
第1の実施形態では、方法21は、ステップ25の後に、ステップ26に続く。
【0034】
第2の実施形態では、図6において単線で示すように、ステップ26の後にすぐにステップ24が続く。この第2の実施形態は、装飾13の材料が複合セラミックス16のみによって形成される場合に関連している。
【0035】
ステップ26では、装飾を形成するために、前記少なくとも1つの凹部12を複合セラミックス16で充填する。好ましくは、ステップ26は、段階i)及びii)を有する。
【0036】
方法21は、第1の段階i)では、セラミックス粒子を有する有機基質で前記少なくとも1つの凹部12を充填する。方法21は、交差結合し密度を高めるために、制御された雰囲気の下で有機基質を加熱するように意図された第2段階ii)に続く。このようにして、構成体11と同時に磨くことができるために十分な硬度を有する複合セラミックス16を得ることができることは明らかである。
【0037】
好ましくは、ステップ26で使用される有機基質は、例えば、改質済み又は未改質のエポキシ樹脂、改質済み又は未改質のアクリル樹脂、ポリウレタン又はシリコーンで作られる。このように、基質の性質に依存して、紫外線(UV)放射のような電磁放射を用いて、交差結合を、開始及び/又は実行及び/又は改質することができる。例えば、The Swatch Group Research and Development Ltd.のPolymers Divisionによって販売されている商品E28311、E2840を使用することができる。結果的に、これらの材料を鑑みて、段階ii)を、温度20〜300℃、圧力105〜6×105N/m2(1〜6bar)で行うことができる。
【0038】
さらに、好ましくは、本発明によると、装飾13のすべて又は一部を形成するために、セラミックス粒子は、チタン、ケイ素、アルミニウム又はジルコニウムのような材料の炭化物、酸化物又は窒化物で形成することができる。なお、これらの粒子は、構成体11の系と同じ系であってもなくてもよい。また、セラミックス粒子に加えて、ダイヤモンド粒子を加えることができる。
【0039】
上で説明したように、所望の色、又はより一般的には、所望の視覚的な外観に依存して、ステップ26で形成される複合セラミックス16は、構成体11の色とコントラストを有する一又は複数の色を有する。
【0040】
最後に、最後のステップ27において、方法21は、複合セラミックス16が各凹部12の窪みにおいてのみ残るように各複合セラミックス16の平坦化を行って終わる。象眼要素10はこのように仕上げられ、残りは単に最後の部分においてアセンブリが必要となる。このステップ27は、いずれの残材も除去するように、研削又はラップ仕上げのような通常の表面処理方法を行い、後に研磨することによって達成することができる。
【0041】
もちろん、本発明は図示した例に限定されず、当業者が思いつく様々な変種化や変更を行うことができる。具体的には、本発明に係る象眼要素10の応用用途は、何ら計時器1に限定されない。したがって、象眼要素10を、例えば、宝石片に、そして食器類にも用いることができる。
【0042】
また、ステップ23におけるレーザーエッチング及び/又はステップ24のレーザーエッチング、サンドブラスト又は化学的エッチングを、精度及び不合格品割合が許容範囲内であれば、別の種類のエッチングに置き換えることを思いつくことができる。
【0043】
また、いくつかの象眼及び/又は隣接の複合セラミックスを有する装飾を作ることもできる。この種の実施形態は、例えば、多色の要素を可能にする。したがって、第1の色を有する第1の複合セラミックスが、例えば、レーザーによって、それ自体がエッチングされて、第2の色を有する第2の複合セラミックスを形成することができる。このように、実際の装飾内において、2つのコントラストを有する色、又はsuperluminova(登録商標)のようなリン光性の材料を含有する1つの色を得ることができる。
【0044】
最後に、また、構成体11は、セラミックス要素に限定されるべきでなく、より一般的に、機械加工可能な硬質材で作られた要素というように限定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2014年11月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器(1)又は宝石用の象眼セラミックス要素(10)を製造する方法(21)であって、
a)セラミックス製構成体(11)を形成するステップと、
b)前記セラミックス製構成体(11)の1つの面(F)において、それぞれが装飾(13)のためのパターン化された空洞を形成するような少なくとも1つの凹部(12)を形成するようにエッチングするステップと、
c)前記凹部の底の接触面を増加させるように、前記底の表面状態を変更するステップと、
d)前記装飾(13)を形成するように、前記凹部を複合セラミックス(16)で充填するステップと、及び
e)前記複合セラミックスが前記凹部の窪みにおいてのみ残るように、前記複合セラミックス(16)を平坦化するステップとを備え、
前記充填するステップd)は、
i)前記凹部(12)を、セラミックス粒子を有する有機基質で充填する段階と、
ii)前記複合セラミックスを形成するために、制御された雰囲気の下で前記有機基質を交差結合させ密度を高める段階と
を備えることを特徴とする方法(21)。
【請求項2】
前記ステップa)は、焼結により達成される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法(21)。
【請求項3】
前記セラミックス製構成体(11)は、チタン、ケイ素、アルミニウム又はジルコニウムのような材料の炭化物、酸化物又は窒化物を含有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法(21)。
【請求項4】
計時器(1)又は宝石用の象眼サーメット要素(10)を製造する方法(21)であって、
a)サーメット製構成体(11)を形成するステップと、
b)前記サーメット製構成体(11)の1つの面(F)において、それぞれが装飾(13)のためのパターン化された空洞を形成するような凹部(12)を形成するようにエッチングするステップと、
c)前記凹部の底の接触面を増加させるように、前記底の表面状態を変更するステップと、
d)前記装飾(13)を形成するように、前記凹部を複合セラミックス(16)で充填するステップと、及び
e)前記複合セラミックスが前記凹部の窪みにおいてのみ残るように、前記複合セラミックス(16)を平坦化するステップとを備え、
前記充填するステップd)は、
i)前記凹部(12)を、セラミックス粒子を有する有機基質で充填する段階と、
ii)前記複合セラミックスを形成するために、制御された雰囲気の下で前記有機基質を交差結合させ密度を高める段階と
を備えることを特徴とする方法(21)。
【請求項5】
前記サーメット製構成体(11)は、チタン、ケイ素、アルミニウム又はジルコニウムそれぞれの炭化物、酸化物又は窒化物を含有する
ことを特徴とする請求項4に記載の方法(21)。
【請求項6】
前記ステップb)は、レーザーによって行われる
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項7】
前記凹部(12)のそれぞれは、接着力を最適にするように、80〜500μmの深さを有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項8】
前記ステップc)は、レーザーによって行われる
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項9】
前記ステップc)は、前記凹部の前記底において空洞を形成する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項10】
前記空洞は、前記凹部の前記底に延在する溝を形成する
ことを特徴とする請求項9に記載の方法(21)。
【請求項11】
前記凹部の底に延在する前記溝どうしが交わる
ことを特徴とする請求項10に記載の方法(21)。
【請求項12】
前記空洞は、前記少なくとも1つの凹部(12)の深さの5分の1未満である深さを有する
ことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項13】
前記ステップc)は、サンドブラストによって行われる
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項14】
前記有機基質は、改質済み又は未改質のエポキシ樹脂、及び/又は改質済み又は未改質のアクリル樹脂、及び/又はポリウレタン及び/又はシリコーンで形成される
ことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項15】
前記セラミックス粒子は、チタン、ケイ素、アルミニウム又はジルコニウムそれぞれの炭化物、酸化物又は窒化物で形成される
ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項16】
前記段階ii)は、20〜300℃の温度で行われる
ことを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項17】
前記段階ii)は、105〜6×105N/m2の圧力で行われる
ことを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項18】
ステップd)の前に、
f)前記複合セラミックスの接着性を増加させるために、前記凹部の前記底にボンディング層を形成するステップ
を備えることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項19】
前記ボンディング層はラッカーで形成される
ことを特徴とする請求項18に記載の方法(21)。
【請求項20】
前記ボンディング層は、金属又は金属性合金で形成される
ことを特徴とする請求項18に記載の方法(21)。
【請求項21】
前記ボンディング層は、金属性窒化物、金属性炭化物、シラン、オルガノシロキサン、アルカンチオール、アルカンジスルフィド、ジルコニウム酸塩、チタン酸塩及び/又はアルミン酸塩で形成される
ことを特徴とする請求項18に記載の方法(21)。
【請求項22】
ステップd)とステップe)の間で、
b’)前記複合セラミックスの1つの面において少なくとも第2の凹部をエッチングするステップと、
c’)前記少なくとも1つの第2の凹部の底の接触面を増加させるために、前記底の表面状態を変更するステップと、
d’)2つの複合セラミックスを有する装飾の形成するように、セラミックス粒子を有する有機基質で作られた第2の複合セラミックスで、前記第2の凹部を充填するステップと
を備えることを特徴とする請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法(21)。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法によって製造され、かつ、少なくとも1つの複合セラミックス(16)を有する少なくとも1つの装飾(13)で象眼されるセラミックス要素又はサーメット要素(10)を有する計時器(1)であって、
前記セラミックス要素又はサーメット要素(10)のセラミックス製構成体(11)又はサーメット製構成体(11)が、当該計時器の外装部品の一部(2、3、4、5、6、7、8)を形成する
ことを特徴とする計時器(1)。
【請求項24】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法によって製造され、かつ、少なくとも1つの複合セラミックス(16)を有する少なくとも1つの装飾(13)で象眼されるセラミックス要素又はサーメット要素(10)を有する計時器(1)であって、
前記セラミックス要素又はサーメット要素(10)のセラミックス製構成体(11)又はサーメット製構成体(11)が、当該計時器のムーブメントの一部を形成する
ことを特徴とする計時器(1)。
【請求項25】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法によって製造され、かつ、少なくとも1つの複合セラミックス(16)を有する少なくとも1つの装飾(13)で象眼されるセラミックス要素又はサーメット要素(10)を有する宝石であって、
前記セラミックス要素又はサーメット要素(10)のセラミックス製構成体(11)又はサーメット製構成体(11)が、当該宝石の一部を形成する
ことを特徴とする宝石。
【国際調査報告】