特表2015-534071(P2015-534071A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2015-534071(P2015-534071A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(54)【発明の名称】照明されるバランスばね
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/06 20060101AFI20151030BHJP
   G04B 45/00 20060101ALI20151030BHJP
【FI】
   G04B17/06 Z
   G04B45/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2015-534954(P2015-534954)
(86)(22)【出願日】2013年9月20日
(85)【翻訳文提出日】2015年4月1日
(86)【国際出願番号】EP2013069560
(87)【国際公開番号】WO2014053336
(87)【国際公開日】20140410
(31)【優先権主張番号】12187216.2
(32)【優先日】2012年10月4日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】エスレ,ティエリ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイサス,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ウィルマン,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】マルタン,ジャン−クロード
(57)【要約】
バランス(2)と、バランスコック(3)と、少なくとも1つの光エネルギー源(5)と、及び前記バランス(2)と前記バランスコック(3)の間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばね(4)とを有する腕時計又は計時器用の規制メンバー(1)であって、前記バランスばね(4)は、石英、ガラス又はセラミックスで作られているか、又は可視光波長及び/又は紫外線波長に対して部分的に透過性を有するか又は少なくとも部分的にアモルファスな材料で作られており、光エネルギー源(5)によって発せられた光を透過し散乱する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランス(2)と、バランスコック(3)と、少なくとも1つの光エネルギー源(5)と、及び前記バランス(2)と前記バランスコック(3)の間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばね(4)とを有する腕時計又は計時器用の規制メンバー(1)であって、
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、前記少なくとも1つの光エネルギー源(5)によって発せられた光を透過し散乱する
ことを特徴とする規制メンバー(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、石英、ガラス又はセラミックスで作られているか、又は可視光波長及び/又は紫外線波長に対して部分的に透過性を有するか又は少なくとも部分的にアモルファスな材料で作られている
ことを特徴とする請求項1に記載の規制メンバー(1)。
【請求項3】
前記バランスコック(3)は、前記バランスばね(4)の外側端(6)の近傍において前記光エネルギー源(5)を支える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の規制メンバー(1)。
【請求項4】
前記バランス(2)は、前記バランスばね(4)の内側端(7)の近傍において前記光エネルギー源(5)を支える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の規制メンバー(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、その断面の少なくとも一部分において光を散乱する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、前記バランスコック(3)と前記バランス(2)の間で全長にわたって光を散乱する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、矩形断面を有し、単一の材料で作られる
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、矩形断面を有し、
一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長に対して部分的に透過性を有する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、
他方では、前記第1の材料の塊に取り入れられる少なくとも1つのリン光性ないし蛍光性のドーパントによって作られる
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、矩形断面を有し、
一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長に部分的に透過性を有する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、
他方では、バランスばね(4)の側面の少なくとも1つに薄い層(40)を形成するように施された少なくとも第2のリン光性又は蛍光性材料によって作られる
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項10】
前記第2のリン光性ないし蛍光性材料は、薄い層(40)を形成するように前記バランスばね(4)の4つの側面に施される
ことを特徴とする請求項9に記載の規制メンバー(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、矩形断面を有し、
一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長に部分的に透過性を有する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、
他方では、薄い層(40)を形成するように前記バランスばね(4)の前記側面の少なくとも1つに施された少なくとも第2の有色の材料によって作られる
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、10nm〜20μmの表面の粗さRtを有する2つの平行な平面(P1、P2)を定める上側表面(41)及び下側表面(42)を有する
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項13】
前記バランスばね(4)の端(6、7)の少なくとも一方は、前記光源(5)から又は前記光源(5)の光リレー(50)から直接光を受ける端面(43)を有する
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項14】
前記端(6、7)は、前記バランスばね(4)の上側表面(41)及び下側表面(42)によって定められる2つの平行な平面(P1、P2)と平行な平面と実質的に垂直な方向の光を受けるための少なくとも1つの斜面(44)を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の規制メンバー(1)。
【請求項15】
前記光源(5)は、発光ダイオード又はリン光性ないし蛍光性の部品である
ことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項16】
機械的な計時器用ムーブメント(10)であって、
バランス(2)と、バランスコック(3)と、及び前記バランス(2)と前記バランスコック(3)の間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばね(4)とを有する少なくとも1つの腕時計又は計時器用の規制メンバー(1)を有し、
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、前記少なくとも1つの光エネルギー源(5)によって発せられた光を透過し散乱し、
前記光エネルギー源(5)は、前記規制メンバー(1)の外側であって当該ムーブメント(10)内にあり、
前記光エネルギー源(5)は、前記規制メンバー(1)内であって前記バランスばね(4)の近傍に位置している光リレー(50)へと、少なくとも1つの光導波路(51)又は光ファイバーによって接続している
【請求項17】
請求項16に記載の機械的ムーブメント(10)、及び/又は請求項1〜15のいずれかに記載の規制メンバー(1)の少なくとも1つを有する機械的ムーブメント(10)を有する
ことを特徴とする計時器(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランスと、バランスコックと、少なくとも1つの光エネルギー源と、及びバランスとバランスコックの間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばねとを有する腕時計又は計時器用の規制メンバーに関する。
【0002】
本発明は、さらに、このような規制メンバーを少なくとも1つ有する機械的な計時器用ムーブメントに関する。
【0003】
本発明は、さらに、このような機械的ムーブメントを1つ及び/又はこのような規制メンバーの少なくとも1つを有する計時器に関する。
【0004】
本発明は、機械的な測時技術の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
顧客に対して機械的な計時器、特に腕時計の機構の部品を見えるようにすることで、その評判が高くなることが多い。ムーブメントの中が見えると、顧客が自身の所有物の中の複雑な部品の重要な機能を見ることができ、そのような顧客によって高く評価される。ハイエンドな計時器の中の渦巻又は伝統的な計時器の中のバランスばねを見えるようにすることは、ムーブメントの心臓部を見えるようにすることとなり、それは、特に評価される。したがって、可能なかぎり最良に表示することによって、購入者の重要な資産及び判断基準を形成することができる。このように、バランスばねをできるだけ目に見えるようにすることは有用であり、日中又は夜間のいつでも、特に、輝かせることは有効である。
【0006】
ユーザーは、しばしば、自身の腕時計又は計時器の適正な動作を確認する必要性を感じる。これは、機構のチッキングを聞くことによって達成することができる。しかし、この方法はノイズの多い環境において又は難聴の人には可能ではない。
【0007】
RICHEMONT名義のスイス特許出願CH699780A2は、ばねの外側表面の一部分をカバーする被覆を有する自己補償式シリコン製腕時計用ばねを開示している。
【0008】
CSEM名義の欧州特許出願EP1605182A1は、石英ばね、具体的には、石英基板を備えた温度補償されるばね仕掛けバランスであって、バランスばねの偏差及びバランスの偏差を熱的に補償するように切断形状が選ばれるものを開示している。
【0009】
ROLEX名義の欧州特許出願EP2407831A1は、全長にわたって分布しブリッジと互い違いになっている貫通孔を有するケイ素、ダイヤモンド又は石英のバランスばねを開示している。
【0010】
SWATCH GROUP RESEARCH AND DEVELOPMENT名義の欧州特許出願EP1791039A1は、光構成可能なガラスからの熱ガラスでUV放射によって作られたバランスばねを開示している。
【0011】
COMPLITIME名義の国際特許出願WO2008/080570A2は、同じ材料、特にダイヤモンド、石英又はセラミックスで作られたバランスばねとバランスを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、機械的な腕時計、より一般には、機械的な計時器の、バランスばねを視覚的に表示するという課題に対して、コンパクトでエネルギー消費が低い解決策を提案するものである。
【0013】
より詳細には、ムーブメントの心臓部としてバランスばねを表示し強調し、バランスばねの周期的な短縮及び伸張の運動と、人間の心臓の周期的な短縮及び伸張の運動との類似性を利用する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このために、本発明は、バランスと、バランスコックと、少なくとも1つの光エネルギー源と、及び前記バランスと前記バランスコックの間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばねとを有する腕時計又は計時器用の規制メンバーであって、前記少なくとも1つのバランスばねは、前記少なくとも1つの光エネルギー源によって発せられた光を透過し散乱するものに関する。
【0015】
本発明の特徴の1つによると、前記少なくとも1つのバランスばねは、石英、ガラス又はセラミックスで作られているか、又は可視光波長及び/又は紫外線波長に対して部分的に透過性を有するか又は少なくとも部分的にアモルファスな材料で作られている。
【0016】
本発明は、さらに、機械的な計時器用ムーブメントであって、バランスと、バランスコックと、及び前記バランスと前記バランスコックの間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばねとを有する少なくとも1つの腕時計又は計時器用の規制メンバーを有し、前記少なくとも1つのバランスばねは、前記少なくとも1つの光エネルギー源によって発せられた光を透過し散乱し、前記光エネルギー源は、前記規制メンバーの外側であって当該ムーブメント内にあり、この場合において、前記光エネルギー源は、前記規制メンバー内であって前記バランスばねの近傍に位置している光リレーへと、少なくとも1つの光導波路又は光ファイバーによって接続しているものに関する。
【0017】
本発明は、さらに、このような機械的ムーブメントを1つ有する計時器及び/又はこのような規制メンバーを少なくとも1つ有する機械的ムーブメントに関する。
【0018】
添付図面を参照して下の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点を理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】バランスと、バランスばねと、バランスコックと、及びバランスばねの一端の近傍の光源とを有する腕時計用規制メンバーの概略的な部分的な斜視図を示す。
図2】第1の実施形態に係るバランスばねの正規的な概略断面図を示す。このバランスばねは、矩形断面を有し、露出している。
図3】第2の実施形態に係るバランスばねの正規的な概略断面図を示す。このバランスばねは矩形断面を有し、その4つの表面上に薄い被覆を有する。
図4】外側コイルを有するバランスばねの端の概略的な部分的な斜視図であり、この外側コイルの断面の向きは、他のコイルのものと平行であって、その端が光リレーに面している。
図5】ねじられた外側コイルを備えたバランスばねの端の概略的な部分的な斜視図を示しており、この外側コイルの断面の向きは、他のコイルと垂直であって、その端は斜面を有し、これは、その面に実質的に垂直な方向からの光を集める。
図6図1の規制メンバーのバランスのピボット軸を通る概略的な部分的な断面図を示しており、これにおいて、腕時計内に位置する光源は、規制メンバーのすぐ近くにはなく、バランスばねの近傍のバランスコックに位置する光リレーへと光導波路によって接続されている。
図7】この種の規制メンバーを有するムーブメントを備えた計時器についての概略図である。
図8】バランスばねの下に配置された2つの光源についての部分平面図を示しており、これらの光源の一方は、コレットの近傍にあり、光源の他方は、スタッドの近傍にあり、バランスばねは2つの位置を占める。図8Aには最大短縮状態、図8Bには最大伸張状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、機械的な測時技術の分野に関する。
【0021】
本発明は、機械的な腕時計、より一般には、機械的な計時器の、バランスばねの新規な視覚的な表示を提供する。
【0022】
これは、ムーブメントの心臓部としてバランスばねを表示し強調し、バランスばねの周期的な短縮及び伸張の運動と、人間の心臓の周期的な短縮及び伸張の運動との類似性を利用する。
【0023】
より詳細には、このバランスばねは、光散乱を可能にする特定の材料の使用によって輝くようにされる。具体的には、単結晶石英及びガラスを光導波路として用いることができる。能動性又は受動性の光源からの光がバランスばねの一部分に入射され、バランスばねの全長にわたって又はその一部分にわたって分散された形態で出射する。これによって、バランスばねを暗やみで見ることができる。この光をバランスばねが透過し散乱させる。光の入射は、バランスばねの端の一方で、具体的には、外側端にて行うことによって、より容易に行うことができる。これは、発光ダイオードのような光源又は受動性のリン光性の層で被覆された部品によって行う。なお、これらの光源は、例(これに制限されない)として挙げた。
【0024】
必要ならば、バランスばねは、光の一部のみ外側に散乱させることを可能にする層で被覆されつつ、バランスばねに沿ったほとんどの光をガイドし、この表面層も、リン光性又は蛍光性であることができる。バランスばねに、石英、ガラス、光構成可能なガラスなどの材料を堆積させて、これら材料の塊の形態で又は注入によって、リン光性ないし螢光性を持たせることができる。本発明に係るバランスばねは、光のガイド及び散乱のための光ファイバーのようにふるまう。
【0025】
このように、本発明は、バランス2と、バランスコック3と、少なくとも1つの光エネルギー源5と、及びバランス2とバランスコック3の間に固定された少なくとも1つのバランスばね4とを有する腕時計又は計時器用の規制メンバーに関する。用語「バランスコック」は、主板又はブリッジがバランスばね4の端の一方を支えるような実施形態をもカバーするものである。
【0026】
バランスばねが実質的に平坦な場合(これに制限されない)について、本発明を説明する。これは、すなわち、バランスばね4の短縮及び伸張時に、2つの平行な平面P1及びP2の間でアクティブなコイルすべてが延在する場合である。バランスばね4の内側端7における1つの内側コイル及びバランスばね4の外側端6における1つの外側コイルのみが、既知の方法で、これらの2つの平面の間のギャップの外側の空間へと延在することができる。これは、特に、グロースマンカーブ(Grossmann curve)を有するブレゲ式オーバーコイルないしコイルの場合においてである。
【0027】
本発明によると、前記少なくとも1つのバランスばね4は、少なくとも1つの光エネルギー源5によって発せられた光を透過し散乱する。好ましくは、この少なくとも1つのバランスばね4は、石英、ガラス又はセラミックスで作られており、あるいは可視光の波長及び/又は紫外線波長に対して部分的に透過性を有し又は少なくとも部分的にアモルファスな材料で作られている。
【0028】
この光エネルギー源5は、エネルギーを格納し光を伝達することによってそのエネルギーを戻すような一次光エネルギー源、あるいは二次光エネルギー源であることができる。この二次光エネルギー源は、ここで「光リレー」50と呼び、これは、光導波路51又は光ファイバーで形成された光路によって前記一次光エネルギー源5に接続される。この場合に、バランスばね4は、一次光エネルギー源又は光リレー50に、接していたり又はすぐ近くにある。その選択は、腕時計において利用可能な空間、及び一次光エネルギー源5又はリレー50の体積に応じてなされる。
【0029】
図1及び6によって説明する特定の実施形態では、バランスコック3はバランスばね4の外側端6の近傍にて光エネルギー源5を支える。なお、バランスコック3は、一次光エネルギー源5又は光リレー50を等しく支えることができる。その選択もまた、腕時計において利用可能な空間、及び光エネルギー源5又はリレー50の体積に応じてなされる。
【0030】
図示していない別の変種において、バランス2は、バランスばね4の内側端7の近傍において光エネルギー源5又は光リレー50を支える。これは、より詳細には、石英、ガラス又は少なくとも部分的にアモルファスな材料で作られた一部品のばね仕掛けバランスアセンブリの場合であることができ、光をバランススタッフなどの上の集合領域に集めて戻すことができる。
【0031】
更なる別の変種において、光源5又はリレー50は、ばねのコイルの上又は下であってバランスばね4の近傍にある。この変種の特定の種類において、このような光源のいくつかがバランスばね4の近傍に配置される。したがって、図8は、バランスばね4の下に配置された2つの光源5A及び5Bを示しており、それら光源の一方は、バランス2のコレット21の近傍にあり、光源の他方は、バランスばねスタッド31の近傍にあり、これによって、バランスばね4をバランスコック3に取り付ける。これら光源の構成は、第1の光エネルギー源5Aが少なくとも1つの外側コイル86のすぐ近くとなり、好ましくは、バランスばね4の最大伸張時にいくつかの連続する外側コイル84、85、86のすぐ近くとなるように構成する。また、この伸張した構成においてのみこれらのコイル84、85及び86の3つすべてに光を同時に伝達しつつ、バランスばねの短縮構成においては、光源5Aがコイル86のうちの1つに光を伝達するように構成する。同様に、第2の光源5Bは、バランスばね4の最大短縮時に少なくとも1つの内側コイル87、好ましくは、いくつかの連続する内側コイル87、82及び83のすぐ近くとなり、この短縮構成においてのみ、これらの3つのコイル87、81及び82すべてに光を同時に伝達しつつ、他方では、光源5Bがバランスばねの短縮構成においてコイル87の1つのみに光を伝達する。したがって、第1の光源5A及び第2の光源5Bに対してそれぞれ異なる色のフィルターを使用して、あるいは内側コイル87(及び隣接するコイル81及び82)とは異なるようにバランスばね4の外側コイル86(及び隣接するコイル84及び85)の色を付けて、バランスばね4の短縮又は伸張の様子を見ることができる。これは、バランスばねを形成する材料の塊の形態で、又は単にバランスばね4の側面の少なくとも1つの上の表面層40によってなされる。
【0032】
バランスばね4を形成するために選ばれた特定の材料に起因して、ばねは、好ましくは、同じウェーハ上のクラスターにおいて作られる。バランスばね4はそれぞれ、バランスばね4のコイル8の断面Sに対して大きな寸法の大きな取り付け点を有する。この取り付け点は、光源5又はリレー50から出る光に好適な受け面を形成し、同時に、バランスばね4のバランスコック3への良好な機械的な取り付けを可能にする。
【0033】
前記少なくとも1つのバランスばね4は、その断面の少なくとも一部分にわたって光を散乱させる。バランスばねは、好ましくは、外側43及び内側の2つの端面に加えて、バランスばね4の長さにわたって延在する上側41及び下側42、内側側面46及び外側側面47の側面を有する。このように、この光は、バランスばねの側面の少なくとも1つで散乱する。
【0034】
側面の1つがユーザーに見えないようなよくある場合には、この見えない表面は、ムーブメントの不透明な部品、主板又はブリッジに対向するので、少なくとも1つの薄い表面金属化層40を有するようにすることができ、これによって、反射する鏡面を形成し、その見えない表面を通しての光散乱を防ぐことができる。これは、特に、下側表面42及び/又は直交面46、47の場合に施すことができる。このような反射層40で側面のすべてを局所的に被覆することによって、大きな損失なく特定の距離にわたって光が通り抜けることが可能になる。したがって、バランスばね4の長さにわたって、光散乱が望まれる領域、及び関心事の表面の向きを選ぶことができる。これは、一般的には、上側表面41及び直交面46、47の一方及び/又は他方についてのものである。
【0035】
特定の実施形態において、前記少なくとも1つのバランスばね4は、バランスコック3とバランス2の間の全長にわたって光を散乱する。
【0036】
好ましくは、図2によれば、前記少なくとも1つのバランスばね4は、矩形断面を有し、石英又はガラスの単一の材料、あるいは少なくとも部分的にアモルファスな材料で作られる。
【0037】
好ましくは、バランスばねのこの断面の寸法は、厚みが100μm未満、高さが1000μm未満である。
【0038】
本発明の変種において、前記少なくとも1つのバランスばね4は、矩形断面を有し、一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長を部分的に透過する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、他方では、第1の材料の塊に取り入れられるリン光性ないし蛍光性のドーパントを含有する材料によって作られる。材料、石英又はガラスなどの塊にリン光性ないし蛍光性のドーパントでドープすることができる(例、注入によって)。
【0039】
本発明の別の変種において、前記少なくとも1つのバランスばね4は、矩形断面を有し、一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長を部分的に透過する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、他方では、薄い層40においてバランスばね4の側面の少なくとも1つに対して施された少なくとも第2のリン光性ないし蛍光性材料によって作られる。
【0040】
本発明の別の変種において、前記少なくとも1つのバランスばね4は、矩形断面を有し、一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長を部分的に透過する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、他方では、薄い層40においてバランスばね4の側面の少なくとも1つに施された少なくとも第2の材料、特に、有色の材料によって作られる。
【0041】
図3に示す変種において、第2のリン光性ないし蛍光性材料が、バランスばね4の4つの側面における薄い層40において施される。
【0042】
有利な変種において、前記少なくとも1つのバランスばね4は、2つの平行な平面P1、P2を定める上側表面41及び下側表面42上で、10nm〜20μmの表面の粗さRtを有し、これは、好ましくは、1μmの近傍又はこの値よりわずかに大きい。このような少しの粗さがあることによって、例えば、石英製のバランスばね4の製造時に、バランスばね4に対して、すり処理された外観を与えることができる。これにおいて、この方法の制御パラメータによって、多かれ少なかれ滑らかな表面仕上げを得ることが可能になる。特定の角度における直交面46、47に沿った張出しの存在によって、同様な結果を得ることができる。バランスばね4は、必要な局所的な粗さを与える微小セルを有するように、再加工することもできる。
【0043】
図3による薄い層の堆積40の付与によって、例えば、バランスばね4の内部の光散乱又は光ガイドを強くしたり弱くしたりすることができる。蛍光性ないしリン光性の層40の場合には、透過スペクトルを変更したり(例、紫外光を発するダイオードが光源5として使用される場合)、あるいはこの層の内部にて光を格納し透過することができる(ユウロピウムでドープしたアルミン酸ストロンチウムSrAl24に類似するようにであって、その1つの種類は「Super−Luminova」の名前で知られている)。
【0044】
このような薄い層の堆積40を、バランスばね4の少なくとも1つのコイルを通しての散乱によって光が再び透過した際に、少なくとも1つの側面に色を付けるように使用することができる。
【0045】
層の堆積によって、良好な散乱に必要な表面の粗さを確実に得ることができる。
【0046】
この層40の厚みは、好ましくは、10nm〜1μmであり、より好ましくは、100nmの近傍である。
【0047】
異なる性質の層40を使用することができる。例えば、金属、TiO、TiO2、Tr2O5、SiO2、Si34、Al23のような酸化物、あるいはアルミニウム又は金ベースの金属間化合物である。なお、このリストは網羅的ではない。また、側面の様々な箇所を異なる性質の層40で被覆することができる。
【0048】
層40には、特定の波長の色を付けることができる。光源5に由来する光との相互作用によって、特に、光源5又はリレー50が単色フィルターを有するか又は単一波長でパルス化されている場合に、特定の効果を得ることができる。
【0049】
特に、フォトリソグラフィーによって、バランスばね4の側面を構成することができる。
【0050】
例えば、バランスばね4内の光路を、特定の障害の存在によって、あるいは切り欠き、貫通孔、食いつき部などの存在による光環境の変化によって変えることができる。
【0051】
バランスばね4の製造時のマスクを構成することによって、特に、切り欠きの対を形成すること又は偏光などによって、バランスばね4の2つの隣接するコイルのための特定の直交面46、47を作ることが可能になり、これによって、バランスばね4の短縮時に2つのコイルのうちの内側コイルの外側直交面47に最も近い場合に、2つのコイルのうちの外側コイルの内側直交面46が特定の形態で連係し、これによって、この最も接近した際に発生する光学的な効果は、バランスばね4の伸張時にお互いの距離が最も離れている際の2つの隣接するコイルがともに発生させる光学的な効果と比べて異なる。具体的には、これらの対向する2つの直交面に対して、異なる単色処理を施すことができる。例えば、一方の面に青、他方の面に黄色というようにである。これらの2つの色は、伸張時に判別可能なように目に見え、他方、短縮位置において緑色の散乱になる。
【0052】
特定の実施形態では、バランスばね4の端6及び7の少なくとも一方は、光源5又は光源の光リレー50から直接光を受ける端面43を有する。図4は、このような実施形態を示している。ここで、バランスばね4のコイルどうしはすべて平行である。
【0053】
図5に示す別の特定の実施形態において、具体的には、バランスばね4が、端6、7の一方の近くでねじれ45を有しており、この端は、バランスばね4の上側表面41及び下側表面42によって定められる2つの平行な平面P1、P2と平行な平面と実質的に垂直な方向Dの光を受けるための少なくとも1つの斜面44を有する。好ましいことに、方向Dは、バランス2のピボット軸Aと平行である。この構成によって、光源5又は光リレー50を、バランスばね4の上又は下であってバランスコック3のすぐ上又はすぐ下に構成することが可能になる。これは、空間の点から有利であり得る。
【0054】
本発明によって、光導波路としてバランスばねの全長にわたって、損失が制御された形態で、バランスばね4を光ガイドとして作ることが可能になる。
【0055】
バランスばね4の照明は、必ずしも望ましい方向に発生しない。実際に、照明は、バランスばね4の上側表面41(図の平面P1)及び/又は直交面46、47を通るように発生することがある。
【0056】
光源5のデザイン及びバランスばね4のデザインに依存して、いくつかの種類の照明を達成することができる。具体的には、下記のものを記す。
− バランスばねの運動にもかかわらず一定の照明を行う。
− バランスばねの運動に応じて変化する照明であって、例えば、人間の心臓の鼓動をシミュレーションするようにである。コイルどうしが近い場合にその長さにわたってバランスばねを照明することができ、コイルどうしが遠い場合に照明を最小にすることができ(消衰効果)、反対であってもよい。したがって、コイルの位置に応じて損失が制御される。
− バランスばねの両端に異なる色の有色の照明を行う。これは、バランスばね4をアドホックな薄い層40で被覆することによって達成することができる。
【0057】
光源5又はリレー50と、バランスばね4との間の連結は、それらが近傍にあることによって行われ得る。光源5又はリレー50は、散乱によって再び透過する前に、バランスばね4が光を補足するために十分なエネルギーレベルの光を伝える。
【0058】
また、この連結は、直接的な表面どうしの接触によって、プラグを入れる構成によって、又は任意の既知の光ガイド及び光ファイバー技術によって、達成することが有利であり好ましい。
【0059】
好ましくは、バランスばねに伝わる前の上流において、又はバランスばね4に入る際に、光が集められる。特定の好ましい実施形態において、その集合器は、製造時にバランスばね4内で一体化される。
【0060】
バランスばね4における応力の分布は、所与のセッティング用のバランスばねの短縮又は伸張時に変わる。また、規制メンバーの特性が変わる場合にも変わる。特に、バランス2の振動振幅とともに変わる。したがって、バランスばね4の照明が変化することによって、振幅の変化が明らかになる。
【0061】
本発明に係るバランスばね4は、不均質であることができる。これによって、特定の技術的な機能や別個の光散乱領域を設けることが可能になる。
【0062】
ここで、「アモルファスにする」とは、屈折率が変わるように構造を変えることを意味する。コイルは、特にレーザー処理によって、局所的にアモルファスにすることができる。また、バランスばね4の全体をアモルファスにすることもできる。
【0063】
バランスばね4を、少なくとも局所的に磨くことができる。特別に機械的な構造によって、光が漏れる表面を作ることが可能になり、これは、特定の表面上及び特定の場所において特定の向きを有するように選択される。
【0064】
大きく伸張した長さであり得るバランスばね4の長さ全体にわたって光をガイドし散乱する困難さによって、一部のコイル又は一部のコイル部分の中性化をもたらし得る。これによって、例えば、反射層又は同様の機能的なマスクによって、光がコイルから出て行くことが防がれる。したがって、これによって、光を節約し、バランスばね4の端6及び7へと光をガイドすることが可能になる。
【0065】
光源5は、様々な形態であることができる。好ましくは、光源5は発光ダイオード又はリン光性ないし蛍光性の部品である。
【0066】
好ましいことに、光源5はリン光性及び/又は蛍光性であり、好ましくは、リン光性である。これは、残光持続時間がより長いためであり、それは、数時間になることもあり、一晩を通してバランスばねを照明する可能性と両立できる。
【0067】
この光源は、簡明さのために下の説明において「リン光」と呼ぶ。このようなリン光源は、好ましいことに、物理学者によく知られているアルミン酸希土類を含有し、例えば、ユウロピウムでドープしたアルミン酸ストロンチウムSrAl24である。その1つの変種が、「Super−LumiNova」として知られており、あるいは希土類ケイ酸塩又はアルミン酸希土類とケイ酸塩の混合物を含有する。また、「Lumibrite」のような他の市販材料も適している。トリチウム(3H)、プロメチウム−147又はラジウム−226のような材料は、優れたリン光特性を有するが、ベータ線及び/又はガンマ線の放射能が強いので、用途が大きく制限されており、微量でのみ使用されており、好ましくは、アルミン酸希土類と組み合わせられて使用される。非常に独特な軍事や宇宙工学での用途などでは、大きな厚みの物が使用される。また、保護によって、計時器の体積を相当に増やすことになる。これらの材料が使用される場合には、用語「放射線ルミネセンス」又は「内部ルミネセンス」が用いられる。また、MB Microtechによって生産される「GTLS」(ガス状トリチウム光源:gaseous tritium light source)として知られるトリチウム(3H)を含有する気体を含むホウケイ酸ガラスのカプセルが知られている。これは、ラジウムのように、光を発するためにいずれの外部励起をも必要としない。このようなカプセルは、具体的には、主として軍事用の腕時計の針又はアップリケを照明するために使用される。
【0068】
励起光は、ユーザーの環境、太陽の光、周囲の光が元となっている。光源は、計時器又は腕時計のケースの内側体積内に収容される。周囲のエネルギーは、部分的又は完全に透過性を有するか又は半透明のケースの中側にて、あるいは部分的又は完全に透過性を有するか又は半透明の表盤、及び/又は具体的には日付などのための表示の開口部にて、集めることができる。また、周囲のエネルギーを、腕時計用バンド又はストラップのような計時器に隣接するアクセサリーによって集めることができ、導波路又は光ファイバーなどによって伝えられる。同様に、裏蓋、ベゼル、フランジ又は他の部分のような他の外側の部品において周囲のエネルギーを捕らえることができる。
【0069】
本発明は、さらに、少なくとも1つの規制メンバー1を有する機械的な計時器用ムーブメント10を有し、これにおいて、光源5は、上記のように規制メンバー1内に位置しているか又は規制メンバー1の外側であってムーブメント10内に位置している。この場合、光源5は、少なくとも1つの光導波路51又は光ファイバーによって、バランスばね4の近傍の規制メンバー1において位置している光リレー50に接続される。
【0070】
具体的には、この機械的な計時器用ムーブメント10は、バランス2と、バランスコック3と、及びバランス2とバランスコック3の間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばね4とを有する少なくとも1つの腕時計又は計時器用の規制メンバー1を有する。この少なくとも1つのバランスばね4は、少なくとも1つの光エネルギー源5によって発せられた光を透過し散乱し、光エネルギー源5は、規制メンバー1の外側であってムーブメント10内にあり、光エネルギー源5は、少なくとも1つの光導波路51又は光ファイバーによって、バランスばね4の近傍の規制メンバー1内に位置している光リレー50へと接続している。
【0071】
本発明は、さらに、このような機械的ムーブメントを1つ有する計時器100及び/又は一体化された光エネルギー源を備えた少なくとも1つの規制メンバー1に関する。光源5は、規制メンバー1内に位置しているか又は規制メンバー1の外側であってムーブメント10内に位置している。この場合、少なくとも1つの光導波路51又は光ファイバーによって、バランスばね4の近傍の規制メンバー1に位置しムーブメント10の外側であって計時器100内に位置する光リレー50へと、光源5が接続されている。
【0072】
好ましくは、この計時器100は、腕時計であり、バランスばね4は、上記の「平坦な」種類のものである。
【0073】
図示していない変種において、本発明は、光源とバランスばねの間の光の軌道に挿入されるストロボ的なデバイスにつなぐことができる。これによって、特定の照明効果を達成することができる。
【0074】
ストロボ的な構造形成は、光源5又はリレー50によって散乱された光の周波数及び波長に応じて、構造形成又はマスキングによって、偽造防止マーク又は秘密の署名を作ることが可能になる。これは、特定の照明条件の下でのみ見えるようになる。
【0075】
光を遅くなることは、屈折率の多様性に起因し、これは、バランスばねの短縮又は伸張時の内部応力の多様性に結びついており、光を遅くなることで、特定の認証が可能になる。
【0076】
バランスばね4による散乱は、別の波長のパルス単色光の第1の波長に処理され色がつけられ、特定の視覚的な表示を提供する。
【0077】
本発明の変種の1つは、時計や静的な計時器により適用可能となっており、これは、規制メンバーのばねに施すことを伴う。規制メンバーは、上記のように実質的に平坦なバランスばねではないが、らせん状のばねである。
【0078】
まとめると、本発明によって提示されるバランスばねの視覚的な表示のためのデバイスは、コンパクトであり、エネルギー消費が少ない。これは、ユーザーの腕時計又は計時器の見ることができる心臓部をユーザーに熟視させ、機械的な計時器が生きている性質を特に強調する。
【0079】
また、規制メンバーの機能ではない他の機能を有する同じ材料で作られたバランスばねに対して、上記の様々な提案を適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
【手続補正書】
【提出日】2015年4月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランスと、バランスコックと、少なくとも1つの光エネルギー源と、及びバランスとバランスコックの間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばねとを有する腕時計又は計時器用の規制メンバーであって、前記少なくとも1つのバランスばねが光を透過し散乱するように構成するものに関する。
【0002】
本発明は、さらに、このような規制メンバーを少なくとも1つ有する機械的な計時器用ムーブメントに関する。
【0003】
本発明は、さらに、このような機械的ムーブメントを1つ及び/又はこのような規制メンバーの少なくとも1つを有する計時器に関する。
【0004】
本発明は、機械的な測時技術の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
顧客に対して機械的な計時器、特に腕時計の機構の部品を見えるようにすることで、その評判が高くなることが多い。ムーブメントの中が見えると、顧客が自身の所有物の中の複雑な部品の重要な機能を見ることができ、そのような顧客によって高く評価される。ハイエンドな計時器の中の渦巻又は伝統的な計時器の中のバランスばねを見えるようにすることは、ムーブメントの心臓部を見えるようにすることとなり、それは、特に評価される。したがって、可能なかぎり最良に表示することによって、購入者の重要な資産及び判断基準を形成することができる。このように、バランスばねをできるだけ目に見えるようにすることは有用であり、日中又は夜間のいつでも、特に、輝かせることは有効である。
【0006】
ユーザーは、しばしば、自身の腕時計又は計時器の適正な動作を確認する必要性を感じる。これは、機構のチッキングを聞くことによって達成することができる。しかし、この方法はノイズの多い環境において又は難聴の人には可能ではない。
【0007】
RICHEMONT名義のスイス特許出願CH699780A2は、ばねの外側表面の一部分をカバーする被覆を有する自己補償式シリコン製腕時計用ばねを開示している。
【0008】
CSEM名義の欧州特許出願EP1605182A1は、石英ばね、具体的には、石英基板を備えた温度補償されるばね仕掛けバランスであって、バランスばねの偏差及びバランスの偏差を熱的に補償するように切断形状が選ばれるものを開示している。
【0009】
ROLEX名義の欧州特許出願EP2407831A1は、全長にわたって分布しブリッジと互い違いになっている貫通孔を有するケイ素、ダイヤモンド又は石英のバランスばねを開示している。
【0010】
SWATCH GROUP RESEARCH AND DEVELOPMENT名義の欧州特許出願EP1791039A1は、光構成可能なガラスからの熱ガラスでUV放射によって作られたバランスばねを開示している。
【0011】
COMPLITIME名義の国際特許出願WO2008/080570A2は、同じ材料、特にダイヤモンド、石英又はセラミックスで作られたバランスばねとバランスを開示している。
【0012】
RHULとALLANO名義のフランス特許出願FR2957688A1は、光ファイバーで作られ外部光源によって発せられた光を伝えることができるバランスばねを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、機械的な腕時計、より一般には、機械的な計時器の、バランスばねを視覚的に表示するという課題に対して、コンパクトでエネルギー消費が低い解決策を提案するものである。
【0014】
より詳細には、ムーブメントの心臓部としてバランスばねを表示し強調し、バランスばねの周期的な短縮及び伸張の運動と、人間の心臓の周期的な短縮及び伸張の運動との類似性を利用する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このために、本発明は、バランスと、バランスコックと、少なくとも1つの光エネルギー源と、及び前記バランスと前記バランスコックの間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばねとを有する腕時計又は計時器用の規制メンバーであって、前記少なくとも1つのバランスばねは、光を透過し散乱するように構成し、前記少なくとも1つのバランスばねは、当該規制メンバーの前記少なくとも1つの光エネルギー源によって発せられた光を透過し散乱するものに関する。
【0016】
本発明の特徴の1つによると、前記少なくとも1つのバランスばねは、石英、ガラス又はセラミックスで作られているか、又は可視光波長及び/又は紫外線波長に対して部分的に透過性を有するか又は少なくとも部分的にアモルファスな材料で作られている。
【0017】
本発明は、さらに、機械的な計時器用ムーブメントであって、バランスと、バランスコックと、及び前記バランスと前記バランスコックの間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばねとを有する少なくとも1つの腕時計又は計時器用の規制メンバーを有し、前記少なくとも1つのバランスばねは、前記少なくとも1つの光エネルギー源によって発せられた光を透過し散乱し、前記光エネルギー源は、前記規制メンバーの外側にずれており当該ムーブメント内にあり、前記光エネルギー源は、前記規制メンバー内であって前記バランスばねの近傍に位置している光リレーへと、少なくとも1つの光導波路又は光ファイバーによって接続しているものに関する。
【0018】
本発明は、さらに、このような機械的ムーブメントを1つ有する計時器及び/又はこのような規制メンバーを少なくとも1つ有する機械的ムーブメントに関する。
【0019】
添付図面を参照して下の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点を理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】バランスと、バランスばねと、バランスコックと、及びバランスばねの一端の近傍の光源とを有する腕時計用規制メンバーの概略的な部分的な斜視図を示す。
図2】第1の実施形態に係るバランスばねの正規的な概略断面図を示す。このバランスばねは、矩形断面を有し、露出している。
図3】第2の実施形態に係るバランスばねの正規的な概略断面図を示す。このバランスばねは矩形断面を有し、その4つの表面上に薄い被覆を有する。
図4】外側コイルを有するバランスばねの端の概略的な部分的な斜視図であり、この外側コイルの断面の向きは、他のコイルのものと平行であって、その端が光リレーに面している。
図5】ねじられた外側コイルを備えたバランスばねの端の概略的な部分的な斜視図を示しており、この外側コイルの断面の向きは、他のコイルと垂直であって、その端は斜面を有し、これは、その面に実質的に垂直な方向からの光を集める。
図6図1の規制メンバーのバランスのピボット軸を通る概略的な部分的な断面図を示しており、これにおいて、腕時計内に位置する光源は、規制メンバーのすぐ近くにはなく、バランスばねの近傍のバランスコックに位置する光リレーへと光導波路によって接続されている。
図7】この種の規制メンバーを有するムーブメントを備えた計時器についての概略図である。
図8】バランスばねの下に配置された2つの光源についての部分平面図を示しており、これらの光源の一方は、コレットの近傍にあり、光源の他方は、スタッドの近傍にあり、バランスばねは2つの位置を占める。図8Aには最大短縮状態、図8Bには最大伸張状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、機械的な測時技術の分野に関する。
【0022】
本発明は、機械的な腕時計、より一般には、機械的な計時器の、バランスばねの新規な視覚的な表示を提供する。これは、ムーブメントの心臓部としてバランスばねを表示し強調し、バランスばねの周期的な短縮及び伸張の運動と、人間の心臓の周期的な短縮及び伸張の運動との類似性を利用する。
【0023】
より詳細には、このバランスばねは、光散乱を可能にする特定の材料の使用によって輝くようにされる。具体的には、単結晶石英及びガラスを光導波路として用いることができる。能動性又は受動性の光源からの光がバランスばねの一部分に入射され、バランスばねの全長にわたって又はその一部分にわたって分散された形態で出射する。これによって、バランスばねを暗やみで見ることができる。この光をバランスばねが透過し散乱させる。光の入射は、バランスばねの端の一方で、具体的には、外側端にて行うことによって、より容易に行うことができる。これは、発光ダイオードのような光源又は受動性のリン光性の層で被覆された部品によって行う。なお、これらの光源は、例(これに制限されない)として挙げた。
【0024】
必要ならば、バランスばねは、光の一部のみ外側に散乱させることを可能にする層で被覆されつつ、バランスばねに沿ったほとんどの光をガイドし、この表面層も、リン光性又は蛍光性であることができる。バランスばねに、石英、ガラス、光構成可能なガラスなどの材料を堆積させて、これら材料の塊の形態で又は注入によって、リン光性ないし螢光性を持たせることができる。本発明に係るバランスばねは、光のガイド及び散乱のための光ファイバーのようにふるまう。
【0025】
このように、本発明は、バランス2と、バランスコック3と、少なくとも1つの光エネルギー源5と、及びバランス2とバランスコック3の間に固定された少なくとも1つのバランスばね4とを有する腕時計又は計時器用の規制メンバーに関する。用語「バランスコック」は、主板又はブリッジがバランスばね4の端の一方を支えるような実施形態をもカバーするものである。
【0026】
バランスばねが実質的に平坦な場合(これに制限されない)について、本発明を説明する。これは、すなわち、バランスばね4の短縮及び伸張時に、2つの平行な平面P1及びP2の間でアクティブなコイルすべてが延在する場合である。バランスばね4の内側端7における1つの内側コイル及びバランスばね4の外側端6における1つの外側コイルのみが、既知の方法で、これらの2つの平面の間のギャップの外側の空間へと延在することができる。これは、特に、グロースマンカーブ(Grossmann curve)を有するブレゲ式オーバーコイルないしコイルの場合においてである。
【0027】
本発明によると、前記少なくとも1つのバランスばね4は、少なくとも1つの光エネルギー源5によって発せられた光を透過し散乱する。好ましくは、この少なくとも1つのバランスばね4は、石英、ガラス又はセラミックスで作られており、あるいは可視光の波長及び/又は紫外線波長に対して部分的に透過性を有し又は少なくとも部分的にアモルファスな材料で作られている。
【0028】
この光エネルギー源5は、エネルギーを格納し光を伝達することによってそのエネルギーを戻すような一次光エネルギー源、あるいは二次光エネルギー源であることができる。この二次光エネルギー源は、ここで「光リレー」50と呼び、これは、光導波路51又は光ファイバーで形成された光路によって前記一次光エネルギー源5に接続される。この場合に、バランスばね4は、一次光エネルギー源又は光リレー50に、接していたり又はすぐ近くにある。その選択は、腕時計において利用可能な空間、及び一次光エネルギー源5又はリレー50の体積に応じてなされる。
【0029】
図1及び6によって説明する特定の実施形態では、バランスコック3はバランスばね4の外側端6の近傍にて光エネルギー源5を支える。なお、バランスコック3は、一次光エネルギー源5又は光リレー50を等しく支えることができる。その選択もまた、腕時計において利用可能な空間、及び光エネルギー源5又はリレー50の体積に応じてなされる。
【0030】
図示していない別の変種において、バランス2は、バランスばね4の内側端7の近傍において光エネルギー源5又は光リレー50を支える。これは、より詳細には、石英、ガラス又は少なくとも部分的にアモルファスな材料で作られた一部品のばね仕掛けバランスアセンブリの場合であることができ、光をバランススタッフなどの上の集合領域に集めて戻すことができる。
【0031】
更なる別の変種において、光源5又はリレー50は、ばねのコイルの上又は下であってバランスばね4の近傍にある。この変種の特定の種類において、このような光源のいくつかがバランスばね4の近傍に配置される。したがって、図8は、バランスばね4の下に配置された2つの光源5A及び5Bを示しており、それら光源の一方は、バランス2のコレット21の近傍にあり、光源の他方は、バランスばねスタッド31の近傍にあり、これによって、バランスばね4をバランスコック3に取り付ける。これら光源の構成は、第1の光エネルギー源5Aが少なくとも1つの外側コイル86のすぐ近くとなり、好ましくは、バランスばね4の最大伸張時にいくつかの連続する外側コイル84、85、86のすぐ近くとなるように構成する。また、この伸張した構成においてのみこれらのコイル84、85及び86の3つすべてに光を同時に伝達しつつ、バランスばねの短縮構成においては、光源5Aがコイル86のうちの1つに光を伝達するように構成する。同様に、第2の光源5Bは、バランスばね4の最大短縮時に少なくとも1つの内側コイル87、好ましくは、いくつかの連続する内側コイル87、82及び83のすぐ近くとなり、この短縮構成においてのみ、これらの3つのコイル87、81及び82すべてに光を同時に伝達しつつ、他方では、光源5Bがバランスばねの短縮構成においてコイル87の1つのみに光を伝達する。したがって、第1の光源5A及び第2の光源5Bに対してそれぞれ異なる色のフィルターを使用して、あるいは内側コイル87(及び隣接するコイル81及び82)とは異なるようにバランスばね4の外側コイル86(及び隣接するコイル84及び85)の色を付けて、バランスばね4の短縮又は伸張の様子を見ることができる。これは、バランスばねを形成する材料の塊の形態で、又は単にバランスばね4の側面の少なくとも1つの上の表面層40によってなされる。
【0032】
バランスばね4を形成するために選ばれた特定の材料に起因して、ばねは、好ましくは、同じウェーハ上のクラスターにおいて作られる。バランスばね4はそれぞれ、バランスばね4のコイル8の断面Sに対して大きな寸法の大きな取り付け点を有する。この取り付け点は、光源5又はリレー50から出る光に好適な受け面を形成し、同時に、バランスばね4のバランスコック3への良好な機械的な取り付けを可能にする。
【0033】
前記少なくとも1つのバランスばね4は、その断面の少なくとも一部分にわたって光を散乱させる。バランスばねは、好ましくは、外側43及び内側の2つの端面に加えて、バランスばね4の長さにわたって延在する上側41及び下側42、内側側面46及び外側側面47の側面を有する。このように、この光は、バランスばねの側面の少なくとも1つで散乱する。
【0034】
側面の1つがユーザーに見えないようなよくある場合には、この見えない表面は、ムーブメントの不透明な部品、主板又はブリッジに対向するので、少なくとも1つの薄い表面金属化層40を有するようにすることができ、これによって、反射する鏡面を形成し、その見えない表面を通しての光散乱を防ぐことができる。これは、特に、下側表面42及び/又は直交面46、47の場合に施すことができる。このような反射層40で側面のすべてを局所的に被覆することによって、大きな損失なく特定の距離にわたって光が通り抜けることが可能になる。したがって、バランスばね4の長さにわたって、光散乱が望まれる領域、及び関心事の表面の向きを選ぶことができる。これは、一般的には、上側表面41及び直交面46、47の一方及び/又は他方についてのものである。
【0035】
特定の実施形態において、前記少なくとも1つのバランスばね4は、バランスコック3とバランス2の間の全長にわたって光を散乱する。
【0036】
好ましくは、図2によれば、前記少なくとも1つのバランスばね4は、矩形断面を有し、石英又はガラスの単一の材料、あるいは少なくとも部分的にアモルファスな材料で作られる。
【0037】
好ましくは、バランスばねのこの断面の寸法は、厚みが100μm未満、高さが1000μm未満である。
【0038】
本発明の変種において、前記少なくとも1つのバランスばね4は、矩形断面を有し、一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長を部分的に透過する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、他方では、第1の材料の塊に取り入れられるリン光性ないし蛍光性のドーパントを含有する材料によって作られる。材料、石英又はガラスなどの塊にリン光性ないし蛍光性のドーパントでドープすることができる(例、注入によって)。
【0039】
本発明の別の変種において、前記少なくとも1つのバランスばね4は、矩形断面を有し、一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長を部分的に透過する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、他方では、薄い層40においてバランスばね4の側面の少なくとも1つに対して施された少なくとも第2のリン光性ないし蛍光性材料によって作られる。
【0040】
本発明の別の変種において、前記少なくとも1つのバランスばね4は、矩形断面を有し、一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長を部分的に透過する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、他方では、薄い層40においてバランスばね4の側面の少なくとも1つに施された少なくとも第2の材料、特に、有色の材料によって作られる。
【0041】
図3に示す変種において、第2のリン光性ないし蛍光性材料が、バランスばね4の4つの側面における薄い層40において施される。
【0042】
有利な変種において、前記少なくとも1つのバランスばね4は、2つの平行な平面P1、P2を定める上側表面41及び下側表面42上で、10nm〜20μmの表面の粗さRtを有し、これは、好ましくは、1μmの近傍又はこの値よりわずかに大きい。このような少しの粗さがあることによって、例えば、石英製のバランスばね4の製造時に、バランスばね4に対して、すり処理された外観を与えることができる。これにおいて、この方法の制御パラメータによって、多かれ少なかれ滑らかな表面仕上げを得ることが可能になる。特定の角度における直交面46、47に沿った張出しの存在によって、同様な結果を得ることができる。バランスばね4は、必要な局所的な粗さを与える微小セルを有するように、再加工することもできる。
【0043】
図3による薄い層の堆積40の付与によって、例えば、バランスばね4の内部の光散乱又は光ガイドを強くしたり弱くしたりすることができる。蛍光性ないしリン光性の層40の場合には、透過スペクトルを変更したり(例、紫外光を発するダイオードが光源5として使用される場合)、あるいはこの層の内部にて光を格納し透過することができる(ユウロピウムでドープしたアルミン酸ストロンチウムSrAl24に類似するようにであって、その1つの種類は「Super−Luminova」の名前で知られている)。
【0044】
このような薄い層の堆積40を、バランスばね4の少なくとも1つのコイルを通しての散乱によって光が再び透過した際に、少なくとも1つの側面に色を付けるように使用することができる。
【0045】
層の堆積によって、良好な散乱に必要な表面の粗さを確実に得ることができる。
【0046】
この層40の厚みは、好ましくは、10nm〜1μmであり、より好ましくは、100nmの近傍である。
【0047】
異なる性質の層40を使用することができる。例えば、金属、TiO、TiO2、Tr2O5、SiO2、Si34、Al23のような酸化物、あるいはアルミニウム又は金ベースの金属間化合物である。なお、このリストは網羅的ではない。また、側面の様々な箇所を異なる性質の層40で被覆することができる。
【0048】
層40には、特定の波長の色を付けることができる。光源5に由来する光との相互作用によって、特に、光源5又はリレー50が単色フィルターを有するか又は単一波長でパルス化されている場合に、特定の効果を得ることができる。
【0049】
特に、フォトリソグラフィーによって、バランスばね4の側面を構成することができる。
【0050】
例えば、バランスばね4内の光路を、特定の障害の存在によって、あるいは切り欠き、貫通孔、食いつき部などの存在による光環境の変化によって変えることができる。
【0051】
バランスばね4の製造時のマスクを構成することによって、特に、切り欠きの対を形成すること又は偏光などによって、バランスばね4の2つの隣接するコイルのための特定の直交面46、47を作ることが可能になり、これによって、バランスばね4の短縮時に2つのコイルのうちの内側コイルの外側直交面47に最も近い場合に、2つのコイルのうちの外側コイルの内側直交面46が特定の形態で連係し、これによって、この最も接近した際に発生する光学的な効果は、バランスばね4の伸張時にお互いの距離が最も離れている際の2つの隣接するコイルがともに発生させる光学的な効果と比べて異なる。具体的には、これらの対向する2つの直交面に対して、異なる単色処理を施すことができる。例えば、一方の面に青、他方の面に黄色というようにである。これらの2つの色は、伸張時に判別可能なように目に見え、他方、短縮位置において緑色の散乱になる。
【0052】
特定の実施形態では、バランスばね4の端6及び7の少なくとも一方は、光源5又は光源の光リレー50から直接光を受ける端面43を有する。図4は、このような実施形態を示している。ここで、バランスばね4のコイルどうしはすべて平行である。
【0053】
図5に示す別の特定の実施形態において、具体的には、バランスばね4が、端6、7の一方の近くでねじれ45を有しており、この端は、バランスばね4の上側表面41及び下側表面42によって定められる2つの平行な平面P1、P2と平行な平面と実質的に垂直な方向Dの光を受けるための少なくとも1つの斜面44を有する。好ましいことに、方向Dは、バランス2のピボット軸Aと平行である。この構成によって、光源5又は光リレー50を、バランスばね4の上又は下であってバランスコック3のすぐ上又はすぐ下に構成することが可能になる。これは、空間の点から有利であり得る。
【0054】
本発明によって、光導波路としてバランスばねの全長にわたって、損失が制御された形態で、バランスばね4を光ガイドとして作ることが可能になる。
【0055】
バランスばね4の照明は、必ずしも望ましい方向に発生しない。実際に、照明は、バランスばね4の上側表面41(図の平面P1)及び/又は直交面46、47を通るように発生することがある。
【0056】
光源5のデザイン及びバランスばね4のデザインに依存して、いくつかの種類の照明を達成し得る。具体的には、下記のものを記す。
− バランスばねの運動にもかかわらず一定の照明を行う。
− バランスばねの運動に応じて変化する照明であって、例えば、人間の心臓の鼓動をシミュレーションするようにである。コイルどうしが近い場合にその長さにわたってバランスばねを照明することができ、コイルどうしが遠い場合に照明を最小にすることができ(消衰効果)、反対であってもよい。したがって、コイルの位置に応じて損失が制御される。
− バランスばねの両端に異なる色の有色の照明を行う。これは、バランスばね4をアドホックな薄い層40で被覆することによって達成することができる。
【0057】
光源5又はリレー50と、バランスばね4との間の連結は、それらが近傍にあることによって行われ得る。光源5又はリレー50は、散乱によって再び透過する前に、バランスばね4が光を補足するために十分なエネルギーレベルの光を伝える。
【0058】
また、この連結は、直接的な表面どうしの接触によって、プラグを入れる構成によって、又は任意の既知の光ガイド及び光ファイバー技術によって、達成することが有利であり好ましい。
【0059】
好ましくは、バランスばねに伝わる前の上流において、又はバランスばね4に入る際に、光が集められる。特定の好ましい実施形態において、その集合器は、製造時にバランスばね4内で一体化される。
【0060】
バランスばね4における応力の分布は、所与のセッティング用のバランスばねの短縮又は伸張時に変わる。また、規制メンバーの特性が変わる場合にも変わる。特に、バランス2の振動振幅とともに変わる。したがって、バランスばね4の照明が変化することによって、振幅の変化が明らかになる。
【0061】
本発明に係るバランスばね4は、不均質であることができる。これによって、特定の技術的な機能や別個の光散乱領域を設けることが可能になる。
【0062】
ここで、「アモルファスにする」とは、屈折率が変わるように構造を変えることを意味する。コイルは、特にレーザー処理によって、局所的にアモルファスにすることができる。また、バランスばね4の全体をアモルファスにすることもできる。
【0063】
バランスばね4を、少なくとも局所的に磨くことができる。特別に機械的な構造によって、光が漏れる表面を作ることが可能になり、これは、特定の表面上及び特定の場所において特定の向きを有するように選択される。
【0064】
大きく伸張した長さであり得るバランスばね4の長さ全体にわたって光をガイドし散乱する困難さによって、一部のコイル又は一部のコイル部分の中性化をもたらし得る。これによって、例えば、反射層又は同様の機能的なマスクによって、光がコイルから出て行くことが防がれる。したがって、これによって、光を節約し、バランスばね4の端6及び7へと光をガイドすることが可能になる。
【0065】
光源5は、様々な形態であることができる。好ましくは、光源5は発光ダイオード又はリン光性ないし蛍光性の部品である。
【0066】
好ましいことに、光源5はリン光性及び/又は蛍光性であり、好ましくは、リン光性である。これは、残光持続時間がより長いためであり、それは、数時間になることもあり、一晩を通してバランスばねを照明する可能性と両立できる。
【0067】
この光源は、簡明さのために下の説明において「リン光」と呼ぶ。このようなリン光源は、好ましいことに、物理学者によく知られているアルミン酸希土類を含有し、例えば、ユウロピウムでドープしたアルミン酸ストロンチウムSrAl24である。その1つの変種が、「Super−LumiNova」として知られており、あるいは希土類ケイ酸塩又はアルミン酸希土類とケイ酸塩の混合物を含有する。また、「Lumibrite」のような他の市販材料も適している。トリチウム(3H)、プロメチウム−147又はラジウム−226のような材料は、優れたリン光特性を有するが、ベータ線及び/又はガンマ線の放射能が強いので、用途が大きく制限されており、微量でのみ使用されており、好ましくは、アルミン酸希土類と組み合わせられて使用される。非常に独特な軍事や宇宙工学での用途などでは、大きな厚みの物が使用される。また、保護によって、計時器の体積を相当に増やすことになる。これらの材料が使用される場合には、用語「放射線ルミネセンス」又は「内部ルミネセンス」が用いられる。また、MB Microtechによって生産される「GTLS」(ガス状トリチウム光源:gaseous tritium light source)として知られるトリチウム(3H)を含有する気体を含むホウケイ酸ガラスのカプセルが知られている。これは、ラジウムのように、光を発するためにいずれの外部励起をも必要としない。このようなカプセルは、具体的には、主として軍事用の腕時計の針又はアップリケを照明するために使用される。
【0068】
励起光は、ユーザーの環境、太陽の光、周囲の光が元となっている。光源は、計時器又は腕時計のケースの内側体積内に収容される。周囲のエネルギーは、部分的又は完全に透過性を有するか又は半透明のケースの中側にて、あるいは部分的又は完全に透過性を有するか又は半透明の表盤、及び/又は具体的には日付などのための表示の開口部にて、集めることができる。また、周囲のエネルギーを、腕時計用バンド又はストラップのような計時器に隣接するアクセサリーによって集めることができ、導波路又は光ファイバーなどによって伝えられる。同様に、裏蓋、ベゼル、フランジ又は他の部分のような他の外側の部品において周囲のエネルギーを捕らえることができる。
【0069】
本発明は、さらに、少なくとも1つの規制メンバー1を有する機械的な計時器用ムーブメント10を有し、これにおいて、光源5は、上記のように規制メンバー1内に位置しているか又は規制メンバー1の外側であってムーブメント10内に位置している。この場合、光源5は、少なくとも1つの光導波路51又は光ファイバーによって、バランスばね4の近傍の規制メンバー1において位置している光リレー50に接続される。
【0070】
具体的には、この機械的な計時器用ムーブメント10は、バランス2と、バランスコック3と、及びバランス2とバランスコック3の間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばね4とを有する少なくとも1つの腕時計又は計時器用の規制メンバー1を有する。この少なくとも1つのバランスばね4は、少なくとも1つの光エネルギー源5によって発せられた光を透過し散乱し、光エネルギー源5は、規制メンバー1の外側であってムーブメント10内にあり、光エネルギー源5は、少なくとも1つの光導波路51又は光ファイバーによって、バランスばね4の近傍の規制メンバー1内に位置している光リレー50へと接続している。
【0071】
本発明は、さらに、このような機械的ムーブメントを1つ有する計時器100及び/又は一体化された光エネルギー源を備えた少なくとも1つの規制メンバー1に関する。光源5は、規制メンバー1内に位置しているか又は規制メンバー1の外側であってムーブメント10内に位置している。この場合、少なくとも1つの光導波路51又は光ファイバーによって、バランスばね4の近傍の規制メンバー1に位置しムーブメント10の外側であって計時器100内に位置する光リレー50へと、光源5が接続されている。
【0072】
好ましくは、この計時器100は、腕時計であり、バランスばね4は、上記の「平坦な」種類のものである。
【0073】
図示していない変種において、本発明は、光源とバランスばねの間の光の軌道に挿入されるストロボ的なデバイスにつなぐことができる。これによって、特定の照明効果を達成することができる。
【0074】
ストロボ的な構造形成は、光源5又はリレー50によって散乱された光の周波数及び波長に応じて、構造形成又はマスキングによって、偽造防止マーク又は秘密の署名を作ることが可能になる。これは、特定の照明条件の下でのみ見えるようになる。
【0075】
光を遅くなることは、屈折率の多様性に起因し、これは、バランスばねの短縮又は伸張時の内部応力の多様性に結びついており、光を遅くなることで、特定の認証が可能になる。
【0076】
バランスばね4による散乱は、別の波長のパルス単色光の第1の波長に処理され色がつけられ、特定の視覚的な表示を提供する。
【0077】
本発明の変種の1つは、時計や静的な計時器により適用可能となっており、これは、規制メンバーのばねに施すことを伴う。規制メンバーは、上記のように実質的に平坦なバランスばねではないが、らせん状のばねである。
【0078】
結論的に言えば、本発明によって提示されるバランスばねの視覚的な表示のためのデバイスは、コンパクトであり、エネルギー消費が少ない。これは、ユーザーの腕時計又は計時器の見ることができる心臓部をユーザーに熟視させ、機械的な計時器が生きている性質を特に強調する。
【0079】
また、規制メンバーの機能ではない他の機能を有する同じ材料で作られたバランスばねに対して、上記の様々な提案を適用することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランス(2)と、バランスコック(3)と、少なくとも1つの光エネルギー源(5)と、及び前記バランス(2)と前記バランスコック(3)の間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばね(4)とを有する腕時計又は計時器用の規制メンバー(1)であって、
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、光を透過し散乱するように構成し、
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、前記少なくとも1つの光エネルギー源(5)によって発せられた光を透過し散乱する
ことを特徴とする規制メンバー(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、石英、ガラス又はセラミックスで作られているか、又は可視光波長及び/又は紫外線波長に対して部分的に透過性を有するか又は少なくとも部分的にアモルファスな材料で作られている
ことを特徴とする請求項1に記載の規制メンバー(1)。
【請求項3】
前記バランスコック(3)は、前記バランスばね(4)の外側端(6)の近傍において前記光エネルギー源(5)を支える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の規制メンバー(1)。
【請求項4】
前記バランス(2)は、前記バランスばね(4)の内側端(7)の近傍において前記光エネルギー源(5)を支える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の規制メンバー(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、その断面の少なくとも一部分において光を散乱する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、前記バランスコック(3)と前記バランス(2)の間で全長にわたって光を散乱する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、矩形断面を有し、単一の材料で作られる
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、矩形断面を有し、
一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長に対して部分的に透過性を有する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、
他方では、前記第1の材料の塊に取り入れられる少なくとも1つのリン光性ないし蛍光性のドーパントによって作られる
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、矩形断面を有し、
一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長に部分的に透過性を有する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、
他方では、バランスばね(4)の側面の少なくとも1つに薄い層(40)を形成するように施された少なくとも第2のリン光性又は蛍光性材料によって作られる
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項10】
前記第2のリン光性ないし蛍光性材料は、薄い層(40)を形成するように前記バランスばね(4)の4つの側面に施される
ことを特徴とする請求項9に記載の規制メンバー(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、矩形断面を有し、
一方では、石英、ガラス、セラミックス、可視光波長及び/又は紫外線波長に部分的に透過性を有する材料、又は少なくとも部分的にアモルファスな材料である第1の材料によって作られ、
他方では、薄い層(40)を形成するように前記バランスばね(4)の前記側面の少なくとも1つに施された少なくとも第2の有色の材料によって作られる
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、10nm〜20μmの表面の粗さRtを有する2つの平行な平面(P1、P2)を定める上側表面(41)及び下側表面(42)を有する
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項13】
前記バランスばね(4)の端(6、7)の少なくとも一方は、前記光源(5)から又は前記光源(5)の光リレー(50)から直接光を受ける端面(43)を有する
ことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項14】
前記端(6、7)は、前記バランスばね(4)の上側表面(41)及び下側表面(42)によって定められる2つの平行な平面(P1、P2)と平行な平面と実質的に垂直な方向の光を受けるための少なくとも1つの斜面(44)を有する
ことを特徴とする請求項13に記載の規制メンバー(1)。
【請求項15】
前記光源(5)は、発光ダイオード又はリン光性ないし蛍光性の部品である
ことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の規制メンバー(1)。
【請求項16】
機械的な計時器用ムーブメント(10)であって、
バランス(2)と、バランスコック(3)と、及び前記バランス(2)と前記バランスコック(3)の間で取り付けられた少なくとも1つのバランスばね(4)とを有する少なくとも1つの腕時計又は計時器用の規制メンバー(1)を有し、
前記少なくとも1つのバランスばね(4)は、前記少なくとも1つの光エネルギー源(5)によって発せられた光を透過し散乱し、
前記光エネルギー源(5)は、前記規制メンバー(1)の外側にずれており当該ムーブメント(10)内にあり、
前記光エネルギー源(5)は、前記規制メンバー(1)内であって前記バランスばね(4)の近傍に位置している光リレー(50)へと、少なくとも1つの光導波路(51)又は光ファイバーによって接続していることを特徴とする機械的な計時器用ムーブメント。
【請求項17】
請求項16に記載の機械的ムーブメント(10)、及び/又は請求項1〜15のいずれかに記載の規制メンバー(1)の少なくとも1つを有する機械的ムーブメント(10)を有する
ことを特徴とする計時器(100)。
【国際調査報告】