特表2016-527252(P2016-527252A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナビディア・バイオファーマシューティカルズ,インコーポレーテッドの特許一覧
特表2016-527252CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット
<>
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000006
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000007
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000008
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000009
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000010
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000011
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000012
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000013
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000014
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000015
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000016
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000017
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000018
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000019
  • 特表2016527252-CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット 図000020
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-527252(P2016-527252A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(54)【発明の名称】CD206発現細胞関連障害を診断および処置するための組成物、方法およびキット
(51)【国際特許分類】
   A61K 49/00 20060101AFI20160815BHJP
   A61K 51/00 20060101ALI20160815BHJP
【FI】
   A61K49/00 A
   A61K49/02 B
   A61K49/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】42
(21)【出願番号】特願2016-529843(P2016-529843)
(86)(22)【出願日】2014年7月22日
(85)【翻訳文提出日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】US2014047708
(87)【国際公開番号】WO2015013341
(87)【国際公開日】20150129
(31)【優先権主張番号】61/857,232
(32)【優先日】2013年7月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/879,649
(32)【優先日】2013年9月18日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】516022828
【氏名又は名称】ナビディア・バイオファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(71)【出願人】
【識別番号】514137997
【氏名又は名称】オハイオ・ステイト・イノベーション・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】コープ,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ブルー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】メッツ,ウェンディ
(72)【発明者】
【氏名】シュレジンガー,ラリー
【テーマコード(参考)】
4C085
【Fターム(参考)】
4C085HH03
4C085HH11
4C085KA27
4C085KA29
4C085KB09
4C085KB15
4C085KB55
4C085KB80
4C085LL13
4C085LL17
4C085LL18
4C085LL20
(57)【要約】
対象に医薬組成物を投与することによりCD206発現細胞関連障害を診断する方法であって、該組成物は、それに結合した検出可能部分を有するキャリヤー分子を含む。該キャリヤー分子は、デキストラン主鎖および該デキストラン主鎖に直接または間接的にコンジュゲートした少なくとも1の受容体基質を有し、該受容体基質は、CD206に特異的に結合するように選択される。CD206発現細胞関連障害を処置する方法、ならびに体液中のCD206を発現している細胞の数を定量化するためのエキソビボの方法およびキットも提供される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD206発現細胞関連障害を診断する方法であって、以下の工程:
(a)対象に医薬組成物を投与し、前記の組成物は、それに結合した検出可能部分を有するキャリヤー分子を含み、前記のキャリヤー分子は、以下:
i.デキストラン主鎖;および
ii.前記のデキストラン主鎖に直接または間接的にコンジュゲートした少なくとも1の受容体基質、ここで前記の少なくとも1の受容体基質は、CD206に特異的に結合するように選択される;
を含み、ここで前記のキャリヤー分子は水溶性であり;そして
(b)前記の投与工程後、前記の検出可能部分の存在を、該対象中のセンチネルリンパ節以外の位置で検出する;
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記の受容体基質が、マンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸およびノイラミン酸の残基からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の受容体基質が、該デキストラン主鎖の単一のグルコース部分にコンジュゲートした、マンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸およびノイラミン酸からなる群から選択される2以上の残基を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記のキャリヤー分子が、少なくとも1のリーシュを有し、前記の受容体基質および前記の検出可能部分の少なくとも1が、前記のリーシュを介してデキストラン主鎖に結合している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記のリーシュが−O(CHS(CHNHである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記の検出工程が、診断されているCD206発現細胞関連障害と関係する予め決められた位置における組織における該検出可能部分のレベルの定量化を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
該CD206発現細胞関連障害が炎症性障害である、いずれかの先行する請求項に記載の方法。
【請求項8】
該CD206発現細胞関連障害が血管新生障害である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
該CD206発現細胞関連障害が、癌、結核、HIV、カポジ肉腫、アルツハイマー病、リウマチ性関節炎、または多発性硬化症である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記の少なくとも1の受容体基質が多糖である、請求項1および4〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該多糖がマンナンである、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
該検出可能部分が蛍光体である、いずれかの前記の請求項に記載の方法。
【請求項13】
該検出可能部分がCy−3である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
該検出可能部分が放射性同位体である、いずれかの前記の請求項に記載の方法。
【請求項15】
該検出可能部分が68Gaである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
該検出可能部分が99mTcである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
CD206発現細胞関連障害を処置する方法であって、以下の工程:
(a)対象に療法上有効量の医薬組成物を投与し、前記の組成物は、それに結合した療法剤を有するキャリヤー分子を含み、前記のキャリヤー分子は、以下:
i.デキストラン主鎖;および
ii.前記のデキストラン主鎖に直接または間接的にコンジュゲートした少なくとも1の受容体基質、ここで前記の少なくとも1の受容体基質は、CD206に特異的に結合するように選択される;
を含み、ここで前記のキャリヤー分子は水溶性である;
を含む、前記方法。
【請求項18】
前記の受容体基質が、マンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸およびノイラミン酸の残基からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記の受容体基質が、該デキストラン主鎖の単一のグルコース部分にコンジュゲートした、マンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸およびノイラミン酸の2以上の残基を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記のキャリヤー分子が、少なくとも1のリーシュを有し、前記の受容体基質および前記の療法剤の少なくとも1が、前記のリーシュを介してデキストラン主鎖に結合している、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記のリーシュが−O(CHS(CHNHである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
該CD206発現細胞関連障害が炎症性障害である、請求項17〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
該CD206発現細胞関連障害が血管新生障害である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
該CD206発現細胞関連障害が、癌、結核、HIV、カポジ肉腫、アルツハイマー病、リウマチ性関節炎、不安定性プラーク薄線維性粥腫(thin−fibro−atheroma)または多発性硬化症である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記の少なくとも1の受容体基質が多糖である、請求項17および20〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
該多糖がマンナンである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
該CD206発現細胞関連障害がリウマチ性関節炎である、請求項17〜21または25〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
該CD206発現細胞関連障害がカポジ肉腫である、請求項17〜21または25〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
該CD206発現細胞関連障害がリウマチ性関節炎である、請求項1〜6または10〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
該CD206発現細胞関連障害がカポジ肉腫である、請求項1〜6または10〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
結核を診断および/または処置する方法であって、以下の工程:
(a)対象に医薬組成物を投与し、前記の組成物は、それに結合した検出可能部分および/または療法剤を有するキャリヤー分子を含み、前記のキャリヤー分子は、以下:
i.デキストラン主鎖;
ii.前記のデキストラン主鎖に直接または間接的にコンジュゲートした少なくとも1の受容体基質、ここで前記の少なくとも1の受容体基質は、CD206に特異的に結合するように選択される;および
iii.前記のデキストラン主鎖に直接または間接的にコンジュゲートした少なくとも1の放射性同位体または細胞毒性薬剤;
を含み;そして
(b)場合により、前記の投与工程後に、該対象の肺組織中の前記の放射性同位体の存在を検出する;
を含む、前記方法。
【請求項32】
該受容体基質が、マンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸およびノイラミン酸の残基からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
該受容体基質がマンナンである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
68Gaが前記のデキストラン主鎖にコンジュゲートしている、請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
哺乳類の対象から得られた体液中のCD206を発現している細胞の数を定量化するためのエキソビボの方法であって、以下の工程:
(a)該哺乳類の対象から得られた体液を、それに結合した少なくとも1の検出可能部分を有するキャリヤー分子と、該キャリヤー分子が該体液中に存在するCD206を発現している細胞に結合するように接触させ、該キャリヤー分子が以下:
i.デキストラン主鎖;および
ii.前記のデキストラン主鎖に直接または間接的にコンジュゲートした少なくとも1の受容体基質、ここで前記の少なくとも1の受容体基質は、CD206に特異的に結合するように選択される;
を含み、前記のキャリヤー分子が水溶性であり;
(b)不溶性の細胞を未結合のキャリヤー分子から分離して、細胞画分を提供し;そして
(d)CD206を発現している細胞の数を定量化するために、該細胞画分中の検出可能部分のレベルを測定する;
を含む、前記方法。
【請求項36】
該体液を該キャリヤー分子と接触させる工程が、該体液およびキャリヤー分子を容器中で組み合わせ、その後結果として得られた混合物を予め決められた期間の間インキュベートすることを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記の結果として得られた混合物が、約0℃〜約25℃の温度でインキュベートされる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記の結果として得られた混合物が、約4℃の温度でインキュベートされる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
不溶性の細胞を未結合のキャリヤー分子から分離する工程が、該体液およびキャリヤー分子の混合物を遠心分離することを含む、請求項36〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
該検出可能部分が、少なくとも1の蛍光体を含み、該細胞画分中の検出可能部分のレベルを測定する前記の工程が、該細胞画分の蛍光のレベルを分光学的に測定することを含む、請求項35〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記のキャリヤー分子がチルマノセプトを含む、請求項35〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記の蛍光体がCy3である、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記の体液が滑液を含む、請求項35〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
哺乳類の対象から得られた体液中のCD206を発現している細胞の数を定量化するための診断キットであって、以下:
(a)それに結合した少なくとも1の分光学的に検出可能な部分を有するキャリヤー分子を含有する第1の密封された容器、該キャリヤー分子は以下:
i.デキストラン主鎖;および
ii.前記のデキストラン主鎖に直接または間接的にコンジュゲートした少なくとも1の受容体基質、ここで前記の少なくとも1の受容体基質は、CD206に特異的に結合するように選択される;
を含み、ここで前記のキャリヤー分子は水溶性である;
(b)希釈剤を含有する第2の密封された容器;
(c)少なくとも1個の遠心分離バイアル;ならびに
(d)少なくとも1個のキュベット;
を含む、前記診断キット。
【請求項45】
前記の希釈剤が、無菌生理食塩水または緩衝された希釈剤溶液である、請求項44に記載の診断キット。
【請求項46】
前記の請求項のいずれか1項に記載のキャリヤー分子組成物。
【請求項47】
請求項1〜34のいずれか1項に記載の診断または療法組成物の調製のためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
Frederick O. Cope
Michael S. Blue
Wendy L. Metz
Larry S. Schlesinger
関連出願への相互参照
[0001] 本出願は、“マクロファージ関連障害を診断および処置するための組成物および方法”と題された2013年7月22日に出願された米国仮特許出願第61/857,232号および“マクロファージ関連障害を診断および処置するための組成物および方法”と題された2013年9月18日に出願された米国仮特許出願第61/879,649号に対する優先権を主張する。前記の仮特許出願の全開示は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002] 様々な受容体結合化合物が、様々な医学的状態の診断または処置における使用のために開発されてきた。そのような受容体結合化合物は、典型的には1以上の特異的なタンパク質上の1以上の受容体部位に結合するように設計されている。受容体結合化合物は、療法剤もしくは診断剤を特定の標的細胞に送達するために、またはさらには特定の受容体を療法的理由のために遮断するために用いられ得る。
【0003】
[0003] 例として、2002年6月25日に発行され、本明細書に参照により援用される、“薬物および診断剤の送達のための高分子キャリヤー”と題された米国特許第6,409,990号(“‘990特許”)は、乳癌およびメラノーマを病期分類するためのセンチネル節造影における使用のための放射性同位体の送達のためのキャリヤー分子として有用であることが示されている受容体結合高分子を開示している。‘990特許において記載されたキャリヤー分子は、センチネルリンパ節による著しい持続性の取り込みを示し、従ってキャリヤー分子に結合した放射性同位体の送達を可能にする。
【0004】
[0004] より具体的な例として、‘990特許に従って生成される1つの現在市場に出されている診断剤は、テクネチウムTc 99mチルマノセプト(tilmanocept)であり、それは、オハイオ州ダブリンのNavidea Biopharmaceuticals Inc.により、LYMPHOSEEK(登録商標)注射キットという名称の下で市場に出されている。LYMPHOSEEKキットは、チルマノセプト粉末を含有するバイアルの形態で配布されている。チルマノセプト粉末は、テクネチウムTc 99mチルマノセプト診断剤を調製するために、使用前にテクネチウムTc 99mにより放射標識される。この診断剤は、テクネチウムTc 99m過テクネチウム酸塩溶液がチルマノセプト粉末および還元剤を含有するバイアルに添加された際に、テクネチウムTc 99mがチルマノセプト分子のジエチレントリアミン五酢酸(“DTPA”)部分にキレートされるように形成される。結果として生じる放射性診断剤は、乳癌、メラノーマ、または扁平上皮癌(SCC)を有する患者における原発腫瘍部位に所属するリンパ節(すなわちセンチネルリンパ節)の位置の特定を助けるための、単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT;コンピューター断層撮影、CTを伴う、または伴わない)、および/またはガンマ放射ベースシンチグラフィーを用いる、および/または手持ち式ガンマカウンターを用いるリンパマッピングにおける使用に関して認可されている。
【0005】
[0005] LYMPHOSEEK(登録商標)診断剤の非放射標識前駆体であるチルマノセプトは、デキストラン主鎖を有し、それに対して複数のアミノ末端状リーシュ(leashes)(−−O(CHS(CHNH)がコアグルコース要素に結合している。加えて、マンノース部分が、いくつかのリーシュのアミノ基にコンジュゲートしており、キレーターであるジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)が、マンノースを含有しない他のリーシュのアミノ基にコンジュゲートしている。チルマノセプトは、一般に、デキストラン 3−[(2−アミノエチル)チオ]プロピル 17−カルボキシ−10,13,16−トリス(カルボキシメチル)−8−オキソ−4−チア−7,10,13,16−テトラアザヘプタデカ−1−イル 3−[[2−[[1−イミノ−2−(D−マンノピラノシルチオ)エチル]アミノ]エチル]チオ]プロピル エーテル錯体からなり、一般に次の構造を有する:
【0006】
【化1】
【0007】
一部の場合において、グルコース部分のあるものは結合したアミノチオールリーシュを有しない可能性があることは、特筆されるべきである。
【0008】
[0006] チルマノセプトのDTPAキレーター部分は、放射性同位体Tc 99mのキャリヤー分子への結合のために用いられる。(例えば‘990特許において記載されているような)放射標識後、テクネチウムチルマノセプトが形成される:テクネチウムTc 99m、デキストラン 3−[(2−アミノエチル)チオ]プロピル 17−カルボキシ−10,13,16−トリス(カルボキシメチル)−8−オキソ−4−チア−7,10,13,16−テトラアザヘプタデカ−1−イル 3−[[2−[[1−イミノ−2−(D−マンノピラノシルチオ)エチル]アミノ]エチル]チオ]プロピル エーテル錯体。テクネチウムTc 99mチルマノセプトは、次の構造を有する:
【0009】
【化2】
【0010】
テクネチウムTc 99mチルマノセプトの分子式は、[C10・(C192899mTc)・(C1324・(C11NS)であり、式中、nは約35〜約58であり、n≧(a+b+c)である。商業的に市場に出されているバージョンでは、それは3〜8個のコンジュゲートしたDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)部分(a);12〜20個のコンジュゲートしたマンノース部分(b)、および0〜17個のコンジュゲートしていないアミノ側鎖(c)を含有する。
【0011】
[0007] 乳癌、メラノーマまたはSCCを病期分類するために用いられる場合、テクネチウムTc 99mで標識されたチルマノセプト(すなわちLymphoseek)は、注射部位からの急速なクリアランス、センチネルリンパ節(単数または複数)による急速かつ持続性の取り込み、遠位または第2階層(echelon)リンパ節による低い取り込みを示す。チルマノセプト上のマンノース部分が受容体結合の原因であることが知られていたが、そのような結合の性質および範囲は未知であった。
【0012】
[0008] マクロファージ関連障害を診断および/または処置するための様々な装置および技法が存在し得るが、本発明者らの前には誰も本明細書で記載されるような発明を作製または使用していなかったと信じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6,409,990号
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1-1】図1Aは、マクロファージおよびリンパ球に焦点を合わせた、PBMCの蛍光活性化細胞選別(“FACS”)分析を示す。図1Bにおいて示されるように、コールドチルマノセプト(100倍過剰)で前処理されたマクロファージに関して、Cy3−チルマノセプトの結合は、最高濃度においてさえもほぼ消滅した。
図1-2】図1Cにおける左上および左下の画像は、蛍光体を有しないチルマノセプトの非存在下または存在下でのチルマノセプト−Cy3のマクロファージへの結合(左上)および結合の阻害(左下)をそれぞれ示す、共焦点顕微鏡法の代表的な画像(拡大:120倍)を示す。図1Cにおける右上および右下の画像は、(それぞれのDIC画像の左の)隣接する蛍光画像の個々の細胞構造を示すDIC画像である。
図2図2は、CD206の発現(図2A)、マクロファージによるチルマノセプト結合(図2B)を示す代表的な共焦点画像(拡大:160倍)、ならびに共焦点および位相差画像の両方におけるCD206およびチルマノセプトの間の同時局在(図2Cおよび2D)を図説する。
図3図3は、核(青)、KS腫瘍細胞(赤)およびCD206(緑)に関するマーカーを示すKS腫瘍細胞の顕微鏡写真を示す。
図4図4において示されるように、KS腫瘍細胞およびマクロファージは両方ともCD206を発現し、表面上でチルマノセプト−Cy3(赤)に結合し(図4A)、続いてチルマノセプト−Cy3を細胞質小胞中に内部移行させる(図4B)。
図5図5は、LANA発現腫瘍細胞および組織マクロファージの両方の上でのマクロファージマンノース受容体CD206の同時局在を示す共焦点顕微鏡法の代表的な画像を示す。A、DAPI(青);B、CD206(緑);C、LANA(赤);D、CD68(黄);E、全部の重ね合わせ(63倍)。
図6図6は、Cy3−チルマノセプトを含むKS生検組織培養物の共焦点画像の例を示す。HHV8+ KS腫瘍細胞生検の共焦点画像。25倍(CD68、黄;Cy3−チルマノセプト、赤;HHV8、緑;DAPI、青)。
図7図7は、Cy3−チルマノセプトと共にインキュベートした3日目のCD206+マクロファージ培養物におけるCy3およびCD206のフローサイトメトリーでの評価を示す。
図8図8は、Cy3−チルマノセプトがマクロファージに結合し、マクロファージにより内部移行されていることを実証している。
図9図9は、アカゲザルからの左心室および大動脈の免疫蛍光染色の画像を示す。画像は、CD163/Alex−Fluor 488、CD206/Alexa−Fluor 568、およびCy3チルマノセプトの同時局在を図説する。
図10】マクロファージ浸潤の程度ならびにCD206の正常な組織およびOA組織における在留は、図10において見られるように、RA組織におけるよりも有意に低い。
図11図11において見られるように、特異的な蛍光が、関節炎の膝および肘において検出された。
図12図12は、免疫媒介性関節炎を有するマウス(上)および対照マウス(下)の肘および足のインビボ蛍光を示す。
図13図13は、エキソビボの蛍光データを示す。
図14図14は、対照マウスおよび免疫媒介性関節炎を有するマウスの膝のエキソビボ蛍光を示す。
【0015】
[0009] 本明細書は、本発明を詳細に指摘し、明確に特許請求する特許請求の範囲で終わっているが、本発明は、添付の図面と合わせて受け取られる以下の特定の実施例の記載からよりよく理解されるであろうと信じられる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0010] 以下の特定の実施例の記載は、本発明の範囲を限定するために用いられるべきではない。本明細書で開示されるバージョンの他の特徴、側面、および利点は、以下の記載から当業者に明らかになるであろう。理解されるであろうように、本明細書で記載されるバージョンは、他の異なる明らかな側面が、本発明から一切逸脱することなく可能である。従って、図面および記載は、本質的に説明的であり、制限するものではないと考えられるべきである。
【0017】
[0011] 本発明は、合成高分子(例えば約2〜30kDa)を用いたCD206発現細胞関連障害の診断および/または処置のための組成物、方法およびキットに向けられている。CD206発現細胞関連障害は、マクロファージ、樹状細胞または他のCD206発現細胞が関わっている、または召集される(recruited)あらゆる疾患、障害または病気、例えば、マクロファージもしくは他のCD206発現細胞の数が増大している、および/またはそのような細胞が異常に(例えば、腫瘍において、冒された関節において、脈管内皮に、等)局在している疾患、障害または病気を含む。そのような障害は、免疫疾患、免疫媒介性免疫疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患、自己炎症性疾患、および感染症を含むが、それらに限定されない。
【0018】
[0012] 下記でさらに論じられるように、本明細書で記載される組成物は、合成高分子キャリヤー分子、ならびにそれに結合した1以上の検出可能部分および/または療法剤を有する合成高分子キャリヤー分子を含む。本明細書で記載される態様は、そのようなキャリヤー分子を、場合により該キャリヤー分子を哺乳類の対象に投与するのに適した薬学的に許容可能なキャリヤー(例えば薬学的に許容可能なビヒクルを含むキャリヤー)中に、またはエキソビボの診断検査を容易にする溶液中に含有する診断および/または処置キットも提供する。一部の態様において、キットは、1以上の検出可能部分および/または1以上の療法剤をキャリヤー分子に結合させるのに適した形態のキャリヤー分子を含み、一方で他の態様において、キットは、既にそれに結合した1以上の検出可能部分および/または1以上の療法剤を有するキャリヤー分子を含む。ある特定の態様において、キットは、(例えば、凍結乾燥粉末の形態の)キャリヤー分子を、容器中に、対象への投与の前の1以上の放射性同位体の結合を促進するための1以上の補助剤と共に含む。
【0019】
[0013] さらに別の態様において、診断および/または処置法が提供され、これらの方法は、キャリヤー分子の対象への投与を含む。処置法の場合、1以上の療法剤がキャリヤー分子に結合している。診断法では、1以上の検出可能部分がキャリヤー分子に結合している。追加の態様において、組み合わせられた診断および処置法が提供され、ここで、1以上の療法剤および1以上の検出可能部分が両方とも、キャリヤー分子に、キャリヤー分子が診断法および処置の両方のために用いられ得るように、結合している。さらに別の態様において、療法剤および検出可能診断部分は、同じ化合物または物質である−すなわち、結合した部分は、検出可能であるだけでなく、療法的でもある(例えば、ガリウム−68)。他の態様は、エキソビボの診断法を提供し、ここで、体液または組織試料が対象から採取され、次いでそれに結合した1以上の検出可能部分を有するキャリヤー分子と接触する。
【0020】
[0014] 本明細書で用いられる際、用語“診断すること”は、対象において障害の存在または非存在を決定すること、将来特定の障害が発現するであろう可能性を決定すること、および/または以前に確証された障害の状態を決定することを含む。例えば、癌の場合、診断することという用語は、患者における癌の存在もしくは非存在、癌の病期を決定すること、および/または前癌状態の存在、非存在、もしくは病期の検出を包含する。以前に確証された障害の状態の決定は、障害(例えばマクロファージ関連障害)の進行、進行がないこと、減退または寛解の決定も含む。そして、用語“処置”(ならびに“処置すること”)は、障害(例えば疾患または医学的状態)を治療または排除することだけでなく、障害の1以上の作用を低減すること、その進行を遅くすること、または改善することも含む、最も広い定義を意味することが意図されている。
【0021】
[0015] 本明細書における組成物および方法が用いられ得るマクロファージ関連障害および他のCD206発現細胞関連障害は、以下の障害を含むが、それらに限定されない:後天性免疫不全症候群(AIDS)、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アディソン病、無ガンマグロブリン血症、アレルギー性疾患、円形脱毛症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、抗合成酵素症候群、動脈プラーク障害、喘息、アテローム性動脈硬化、アトピー性アレルギー、アトピー性皮膚炎、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性心筋症、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性甲状腺機能低下症、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性末梢神経障害、自己免疫性膵炎、自己免疫性多腺内分泌症候群、自己免疫性月経疹、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性蕁麻疹、自己免疫性ブドウ膜炎、バロー病/バロー同心性硬化症、ベーチェット病、ベルガー病、ビッカースタッフ型脳幹脳炎、ブラウ症候群、水疱性類天疱瘡、心血管不安定性プラーク、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパチー、慢性再発性多巣性骨髄炎、慢性閉塞性肺疾患、慢性静脈うっ血性潰瘍、チャーグ・ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、補体成分2欠乏症、接触皮膚炎、頭蓋動脈炎、CREST症候群、コーエン病、クッシング症候群、皮膚白血球破砕性血管炎、ドゴー病、ダーカム病、疱疹状皮膚炎、皮膚筋炎、I型糖尿病、II型糖尿病、広汎性全身性強皮症、ドレスラー症候群、薬物誘発性狼瘡、円板状紅斑性狼瘡、湿疹、気腫、子宮内膜症、腱付着部炎関連性関節炎、好酸球性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性肺炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、胎児赤芽球症、本態性混合型クリオグロブリン血症、エヴァンズ症候群、進行性骨化性線維異形成症、線維化性肺胞隔炎(または特発性肺線維症)、胃炎、胃腸性類天疱瘡、ゴーシェ病、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、グレーヴス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本脳症、橋本甲状腺炎、心疾患、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、妊娠疱疹(別名妊娠性類天疱瘡)、汗腺膿瘍、HIV感染、Hughes−Stovin症候群、低ガンマグロブリン血症、感染症(細菌感染症を含む)、特発性炎症性脱髄疾患、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgAニューロパチー、封入体筋炎、炎症性関節炎、炎症性腸疾患、炎症性認知症、間質性膀胱炎、間質性肺炎、若年性特発性関節炎(別名若年性リウマチ性関節炎)、川崎病、ランバート・イートン筋無力症候群、白血球破壊性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状IgA病(LAD)、ルポイド肝炎(別名自己免疫性肝炎)、紅斑性狼瘡、リンパ腫様肉芽腫症、マジード症候群、癌を含む悪性病変(例えば、肉腫、カポジ肉腫、リンパ腫、白血病、癌腫およびメラノーマ)、メニエール病、顕微鏡的多発血管炎、ミラー・フィッシャー症候群、混合性結合組織病、斑状強皮症、ムッハ・ハーベルマン病(別名急性痘瘡状苔癬状粃糠疹)、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、ナルコレプシー、視神経脊髄炎(別名デビック病)、神経性筋緊張病、眼部瘢痕性類天疱瘡、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群、オード甲状腺炎、回帰性リウマチ、PANDAS(ストレプトコッカス属と関係する小児自己免疫性神経精神障害)、傍腫瘍性小脳変性症、パーキンソン病様障害、発作性夜間血色素尿症(PNH)、パリー・ロンベルク症候群、パーソネージ・ターナー症候群、扁平部炎、尋常性天疱瘡、末梢動脈疾患、悪性貧血、静脈周囲脳脊髄炎、POEMS症候群、結節性多発動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、進行性炎症性ニューロパチー、乾癬、乾癬性関節炎、壊疽性膿皮症、純赤血球無形成症、ラスムッセン脳炎、レーノー現象、再発性多発性軟骨炎、ライター症候群、再狭窄、下肢静止不能症候群、後腹膜線維症、リウマチ性関節炎、リウマチ熱、類肉腫症、精神分裂病、シュミット症候群、シュニッツラー症候群、強膜炎、強皮症、敗血症、血清病、シェーグレン症候群、脊椎関節症、スティル病(成人発症性)、スティッフパーソン症候群、卒中、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、スイート症候群、シデナム舞踏病、交感性眼炎、全身性紅斑性狼瘡、全身性リウマチ性疾患、高安動脈炎、側頭動脈炎(別名“巨細胞性動脈炎”)、薄被膜線維性粥腫、血小板減少症、トロサ・ハント症候群、移植片(例えば、心/肺移植片)拒絶反応、横断性脊髄炎、結核、潰瘍性大腸炎、未分化結合組織病、未分化脊椎関節症、蕁麻疹様血管炎、脈管炎、白斑、およびウェゲナー肉芽腫症。
【0022】
[0016] 出願者は、チルマノセプトならびに‘990特許において記載されている他の関連するキャリヤー分子、ならびにデキストラン主鎖に基づく他のキャリヤー分子は、哺乳類に投与された際に、またはエキソビボでCD206発現細胞と接触した際に、マクロファージおよび特定の他の細胞(例えばカポジ肉腫の紡錘細胞および樹状細胞)の表面上にあるマンノース受容体タンパク質CD206に排他的に結合することを発見している。たとえ哺乳類において見付かっている数多くの他の炭水化物結合受容体が存在していても、他の受容体で、これらのキャリヤー分子に特異的に結合する、またはそれらを伝達すると考えられるものはない。CD206は、マクロファージおよび特定の他のタイプの細胞の表面上にあるC型レクチンタンパク質である。例えばマクロファージの表面上にあるCD206タンパク質は、哺乳類患者におけるチルマノセプト結合に関する唯一の入口であるようであるという発見は、チルマノセプトキャリヤー分子(ならびに関連するキャリヤー分子)は、マクロファージ関連障害および他のCD206発現細胞関連障害の診断および/または処置における使用のための様々な療法上および診断上有効な分子種を調製するための基礎として用いられることができることを意味する。
【0023】
[0017] 本明細書で記載される組成物、キットならびに療法および診断法において用いられるキャリヤー分子は、検出可能部分および/または療法剤(例えば細胞毒性薬剤)を細胞に送達するために用いられる。これらのキャリヤー分子は、検出可能部分および/または療法剤がキャリヤー分子に結合することを可能にする1以上の特徴、ならびにキャリヤー分子がCD206に排他的に結合するように方向付ける1以上の受容体リガンド(受容体基質とも呼ばれる)を含む。この様式で、検出可能部分または療法剤は、CD206を発現している細胞に、その後の検出のために(すなわち診断目的のために)、および/または療法的目的のために(例えば、細胞毒性薬剤をCD206を発現している細胞またはCD206を発現している細胞の近隣の細胞に対して標的化するために)送達される。
【0024】
[0018] 本明細書で記載されるキャリヤー分子は、細胞表面上のCD206に結合するだけでなく、細胞中に内部移行することも発見されている。一度マクロファージの内部に入ると、キャリヤー分子は、安定な非消化性小胞に見えるものの中で存続する。この追加の発見は、一度キャリヤー分子が内部移行すると、キャリヤー分子が結合しているCD206タンパク質は再利用により追加のキャリヤー分子に結合するために利用可能になると考えられるため、インビボで細胞に結合するキャリヤー分子の量は、細胞表面上のCD206受容体の数に限定されないことを意味する。この観点は、より多くの数のキャリヤー分子および結合した検出可能および/または療法的部分が標的化された細胞に(その内部を含め)結合することを可能にし、そうして診断検出および/または標的化された細胞に送達される療法剤の量を向上させる。文脈が別途示さない限り、CD206発現細胞に結合したキャリヤー分子に言及した際は常に、これはCD206に結合して次いで細胞中に内部移行したキャリヤー分子を含むものと理解されるであろうことは、特筆されるべきである。
【0025】
[0019] エキソビボ診断試験の場合、本明細書でさらに記載されるように、一部の態様において、キャリヤー分子の内部移行を妨げる、または制限することが望ましい可能性がある。これに関する理由は、エキソビボ診断法の一部が、細胞に結合したキャリヤー分子の数をマクロファージまたは他のCD206発現細胞の数に関連付けることに基づいていることである。キャリヤー分子が細胞中に内部移行する場合、より多くのキャリヤー分子がCD206受容体に結合することができ、従って、一部の場合、結合したキャリヤー分子の数をCD206発現細胞の数に関連付けることをより困難にする。下記で記載されるように、キャリヤー分子の内部移行を妨げる、または制限する1つの手段は、インキュベーション期間の間の体液およびキャリヤー分子の混合物の温度を、哺乳類の対象の正常な生理的温度(すなわち正常な体温)より下に下げることである。キャリヤー分子の内部移行の阻害の最高のレベルは、(下記で論じられるように)0℃よりわずかに上の温度で起こる。
【0026】
[0020] 本明細書で用いられるキャリヤー分子は、一般に‘990特許において記載されているタイプのデキストラン主鎖を含む。従って、主鎖は、主にα−1,6グリコシド結合により連結された複数のグルコース部分(すなわち残基)を含む。他の結合、例えばα−1,4および/またはα−1,3結合も存在していてよい。一部の態様において、デキストラン主鎖は、約1kDa〜約50kDaの分子量を有し、一方で他の態様において、デキストラン主鎖は、約5〜約25kDaの分子量を有する。さらに他の態様において、デキストラン主鎖は、約8〜約15kDa、例えば約10kDaの分子量を有する。一方で、他の態様において、デキストラン主鎖は、約1〜約5kDa、例えば約2kDaの分子量を有する。デキストラン主鎖の分子量は、診断、評価、または処置されるべき特定の障害、ならびに高分子コンストラクトが処置、診断、または評価のために用いられるべきかどうかに基づいて選択されることができる。
【0027】
[0021] 一例として、より小さい分子量のデキストラン主鎖を有するキャリヤー分子は、例えば、その分子が血液脳関門を越えることが望まれる場合、または低減した残留時間が望まれる(すなわち、CD206への結合の期間が低減する)場合に適切である可能性がある。より大きい分子量のデキストラン主鎖を有するキャリヤー分子は、例えば、増大した残留時間が望まれる(すなわち、CD206への結合の期間が増大する)場合に適切である可能性がある。さらに他の態様において、より小さい分子量のデキストラン主鎖(例えば約1〜約5kDa)を有するキャリヤー分子は、より効率的な受容体基質(例えば、下記で記載されるような分枝状マンノース部分)がデキストラン主鎖に結合している場合に用いられ得る。より効率的な受容体基質は、CD206により長い期間および/またはより効率的に結合し、従ってより小さいデキストラン主鎖の使用を可能にするであろう。
【0028】
[0022] デキストラン主鎖に加えて、キャリヤー分子は、さらにCD206に結合する1以上の受容体基質を含み、ここでその受容体基質は、デキストラン主鎖にコンジュゲートしている。デキストラン主鎖に結合しているそれぞれの受容体基質は、デキストラン主鎖のグルコース残基の1個以上に結合したマンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸およびノイラミン酸からなる群から選択される1以上の残基を含む。一部の態様において、受容体基質は、デキストラン主鎖のグルコース残基の約10%〜約50%、またはグルコース残基の約20%〜約45%、またはグルコース残基の約25%〜約40%に結合している。(合成技法は結果としていくらかの変動性をもたらすと考えられるため、本明細書で言及される分子量、ならびにデキストラン主鎖に結合した受容体基質、リーシュ、および診断/療法部分のコンジュゲーションの数および程度は、所与の量のキャリヤー分子に関する平均量を指すことは特筆されるべきである。)
[0023] 一部の態様において、それぞれの受容体基質は、別々のグルコース残基に結合したマンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸またはノイラミン酸の単一の残基を含む(すなわち、それぞれの受容体基質は単糖である)。他の態様において、(同じでも異なっていてもよい)2個以上の受容体基質が、互いにコンジュゲートし、デキストラン主鎖に単一のグルコース残基において結合している。従って、これらの態様において、それぞれの受容体基質は、二糖、オリゴ糖または多糖を含む。多糖受容体基質の場合、ある態様はマンナン、特に分枝状マンナンを含む。
【0029】
[0024] ある特定の態様において、キャリヤー分子は、(例えば、約1〜約50kDaの分子量を有する)デキストラン主鎖を含み、それに少なくとも1個のマンノース残基が、場合によりフコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸およびノイラミン酸の1個以上の残基と共に結合している。さらに別の態様において、1個以上の分枝状マンノース残基が、デキストラン主鎖の1個のグルコース部分に結合している。分枝状マンノース残基は、1個以上のマンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸またはノイラミン酸残基が個々に、または組み合わせで結合している(線状であっても1個以上の分枝としてでもよい)マンノース残基を含む二糖、オリゴ糖または多糖を意味する。例えば、キャリヤー分子の一部の態様は、デキストランのグルコース部分に結合した少なくとも1個の受容体基質を有するデキストラン主鎖を含み、ここで、その受容体基質は、3個以上のマンノース残基(線状または分枝状)を含む。そのような追加のマンノース残基は、CD206への増大した結合を提供し、それにより、例えばより小さい分子量のデキストラン主鎖の使用を可能にする。
【0030】
[0025] 受容体基質は、デキストラン主鎖のグルコース部分に直接または間接的に結合している。一部の態様において、受容体基質は、リーシュを介して結合しており、それは、デキストラン主鎖のグルコース残基の少なくとも一部に最初に結合している(例えば、リーシュは、グルコース部分の約50%〜100%、または約70%〜約95%、またはさらには約80%〜90%に結合している)。同じリーシュがその位置の全部において結合していることができ、または2種類以上の異なるリーシュが用いられることもできる。
【0031】
[0026] ‘990特許において記載されているように、一部の態様において、複数のアミノ末端状リーシュが、グルコース部分の大部分に結合しており、ここでそのアミノ末端状リーシュは、−−O(CHS(CHNHを、デキストラン主鎖のグルコース残基のヒドロキシル基がアミノ末端状リーシュで置き換えられるように含む。リーシュは、デキストラン主鎖に、デキストラン主鎖上のヒドロキシル基の少なくとも一部を臭化アリルを用いてアリル化することにより結合することができる。次いで、アリル基をアミノエタンチオール塩酸塩と反応させて、複数の−O(CHS(CHNHリーシュを有するデキストラン主鎖を生成する。CD206結合を提供するため、(上記で記載されたような)受容体基質を、リーシュの少なくとも一部のアミノ基にコンジュゲートさせる。これは、‘990特許において記載されている方法により、または当業者に既知の他の方法で成し遂げられ得る。例として、マンノースおよび/またはガラクトースが、リーシュの一部のアミノ基にコンジュゲートしている。上記で論じられたように、結合した受容体基質は、単一の部分、または2個以上の受容体基質の線状もしくは分枝鎖であることができる。
【0032】
[0027] 当業者に既知の、または後に発見される様々な他のリーシュは、−−O(CHS(CHNHの代わりに(またはそれに加えて)用いられることができる。これらは、例えば、二官能性リーシュ基、例えばアルキレンジアミン類(HN−(CH−NH)、式中、rは2〜12である;アミノアルコール類(HO−(CH−NH)、式中、rは2〜12である;アミノチオール類(HS−(CH−NH)、式中、rは2〜12である;場合によりカルボキシ保護されているアミノ酸;エチレンおよびポリエチレングリコール類(H−(O−CH−CH−OH、式中、nは1〜4である)を含む。適切な二官能性ジアミンは、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、スペルミジン、2,4−ジアミノ酪酸、リジン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ジアミノプロピオン酸、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロパンジアミン、2−(4−アミノフェニル)エチルアミン、および類似の化合物を含む。1以上のアミノ酸が、二官能性リーシュ分子、例えばβ−アラニン、γ−アミノ酪酸もしくはシステイン、またはオリゴペプチド、例えばジ−もしくはトリ−アラニンとして用いられることもできる。
【0033】
[0028] 他の二官能性リーシュは、以下のものを含むが、それらに限定されない:
−NH−(CH−NH−、式中、rは2〜5である、
−O−(CH−NH−、式中、rは2〜5である、
−NH−CH−C(O)−、
−O−CH−CH−O−CH−CH−O−、
−NH−NH−C(O)−CH−、
−NH−C(CHC(O)−、
−S−(CH−C(O)−、式中、rは1〜5である、
−S−(CH−NH−、式中、rは2〜5である、
−S−(CH−O−、式中、rは1〜5である、
−S−(CH)−CH(NH)−C(O)−、
−S−(CH)−CH(COOH)−NH−、
−O−CH−CH(OH)−CH−S−CH(COH)−NH−、
−O−CH−CH(OH)−CH−S−CH(NH)−C(O)−、
−O−CH−CH(OH)−CH−S−CH−CH−NH−、
−S−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−、および
−NH−O−C(O)−CH−CH−O−P(OH)−。
【0034】
[0029] 本明細書で記載される療法および診断法ならびに療法組成物および診断組成物において用いられる高分子は、さらに、キャリヤー分子に結合している検出可能部分および/または療法剤を含む。一部の態様において、検出可能部分および/または療法剤は、キャリヤー分子のグルコース残基に直接(例えば共有結合化学および合成技法により)結合しており、一方で他の態様において、検出可能部分および/または療法剤は、下記で記載されるように、1以上のリーシュを用いて結合している(それは、受容体基質を結合させるために用いられるリーシュと同じリーシュであっても異なるリーシュであってもよい)。
【0035】
[0030] さらに別の態様において、キレーターが、検出可能部分および/または療法剤の結合における使用のためにキャリヤー分子に結合している。キャリヤー主鎖に結合したリーシュを用いる一部の態様において、そして‘990特許において記載されているように、キレーターは、リーシュの一部のアミノ基にコンジュゲートしており、検出可能部分をそれに結合させるために用いられる。適切なキレーターは、例えばテトラアザシクロドデカン四酢酸(DOTA)、メルカプトアセチルグリシルグリシル−グリシン(MAG3)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ジメルカプトコハク酸、ジフェニルエチレンジアミン、ポルフィリン、イミノ二酢酸、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような、当業者に既知の、または今後開発されるキレーターを含む。
【0036】
[0031] ある特定の態様において、キャリヤー分子は、約10〜約15個のグルコース部分、または約11〜約12個のグルコース部分、または約13個のグルコース部分のデキストラン主鎖を含む。受容体基質は、グルコース部分の約2〜約4個、または他の態様においてグルコース部分の2個にコンジュゲートしている。受容体基質は、グルコース部分に直接、またはリーシュ(例えば、本明細書で前に記載されたリーシュの1つ、例えば−−O(CHS(CHNH)を用いて間接的に結合している。受容体基質は、分枝状オリゴ糖部分を含み、それぞれが、マンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸およびノイラミン酸からなる群から選択される3個以上の結合した部分を含む。一部の場合において、デキストラン主鎖のグルコース部分の1つに結合しているそれぞれの受容体基質は、マンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸およびノイラミン酸からなる群から選択される4個以上の結合した部分を含む分枝状オリゴ糖を含む。さらなる態様において、デキストラン主鎖のグルコース部分の1つに結合しているそれぞれの受容体基質は、マンノース、フコース、n−アセチルグルコサミン、D−ガラクトース、n−アセチルガラクトサミン、シアル酸およびノイラミン酸からなる群から選択される5個以上、またはさらには6個以上の結合した部分を含む分枝状オリゴ糖を含む。さらに別の態様において、デキストラン主鎖のグルコース残基の1つに結合しているそれぞれの受容体基質は、4個以上、または一部の場合において5個以上のマンノース残基を含む分枝状オリゴ糖を含む。約10〜15、11〜12または13個のグルコース部分のデキストラン主鎖を含むキャリヤー分子のこれらの態様において、キレーター、例えばDTPAおよび/またはDOTAが、受容体基質を有しないグルコース部分の1個以上に、検出可能部分および/または療法剤のための結合点を提供するためにコンジュゲートしており、それは直接でもリーシュを介してでもよい。
【0037】
[0032] 他の態様において、特に検出可能部分および/または療法剤をデキストラン主鎖のグルコース残基の1つに、またはデキストラン主鎖のグルコース残基に結合しているリーシュの1つに直接結合させることができる場合、キレーターは必要とされない。例として、アミン反応性色素、例えば様々な商業的に利用可能な蛍光体は、リーシュ−−O(CHS(CHNHのアミノ基と容易に反応する。これらの色素は、典型的にはN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル類の形態であり、キャリヤー分子リーシュ上のアミノ基と、単にキャリヤー分子および色素のNHSエステルを共溶媒(例えばDMSOまたはDMF)中で混合することにより、反応することができる。従って、一部の適用に関して、キレーターはキャリヤー分子上に必要ではない。
【0038】
[0033] ある特定の態様において、キャリヤー分子は、チルマノセプト(その構造は、本明細書における背景技術の節において記載された)を含む。検出可能部分、例えばアミン反応性色素は、単に色素をコンジュゲートしていないアミン側鎖(すなわち、マンノース残基またはDTPAに結合していないリーシュ)と反応させることにより、容易にチルマノセプトに結合させることができる。放射性同位体も、検出可能部分および/または療法剤を提供するために、チルマノセプトに容易に結合させることができる。
【0039】
[0034] ある特定の態様において、キャリヤー分子は、チルマノセプトであり、それは、以前に記載されたように、リーシュの一部のアミノ基に結合したキレーターDTPAを含む。放射性同位体、例えば99mTcは、診断目的のための使用の(すなわち検出可能部分として作用する)少し前にDTPAに結合する。特定の例として、そして本明細書に参照により援用される米国特許第8,545,808号において記載されているように、チルマノセプト粉末をバイアル中に含むキットが提供され、ここでバイアルは、250mcgのチルマノセプト、20mgのトレハロース二水和物、0.5mgのグリシン、0.5mgのアスコルビン酸ナトリウム、および0.075mgの塩化第1スズ二水和物の混合物を含有する。バイアルの内容物は凍結乾燥されており、窒素下にある。対象への投与の前に、過テクネチウム酸ナトリウムTc 99m溶液は、チルマノセプトをTc 99mにより放射標識するために、チルマノセプト粉末のバイアルに無菌的に添加される。その後、希釈剤、例えば無菌生理食塩水、または0.04%(w/v)リン酸カリウム、0.11%(w/v)リン酸ナトリウム(七水和物)、0.5%(w/v)塩化ナトリウム、および0.4%(w/v)フェノールを含む約6.8〜7.2のpHを有する無菌の緩衝された希釈溶液が、バイアルに添加される。得られた放射標識されたチルマノセプトは、次いで患者への(例えば静脈内)投与の準備ができる。本明細書で記載される他のキャリヤー分子は、類似の様式で、99mTcまたは様々な他の放射性同位体により放射標識されることができる。放射性療法剤は、同様に、キャリヤー分子に、所望されるように、1以上の検出可能部分または他の療法剤との組み合わせでも単独でも結合することができる。
【0040】
[0035] 本明細書で用いられる際、用語“検出可能部分”は、(1)キャリヤー分子への結合が可能であり;(2)ヒトまたは他の哺乳類の対象に非毒性であり;かつ(3)検出可能なシグナル、特に、測定され得るだけでなく、その強度が検出可能部分の量に関連する(例えば比例する)シグナルを直接または間接的に提供する原子、同位体、または化学構造を意味する。シグナルは、分光学的、電気的、光学的、磁気的、聴覚的、無線シグナル、または触診検出手段を含むあらゆる適切な手段により検出されることができる。
【0041】
[0036] 適切な検出可能部分は、放射性同位体(放射性核種)、蛍光体、化学発光剤、生物発光剤、磁性部分(常磁性部分を含む)、(例えばコントラスト剤としての使用のための)金属、RFID部分、酵素反応物、比色分析用遊離剤(release agents)、色素、および微粒子形成剤を含むが、それらに限定されない。
【0042】
[0037] 特定の例として、適切な検出部分は、以下のものを含むが、それらに限定されない:
−磁気共鳴画像法(MRI)に適したコントラスト剤、例えばガドリニウム(Gd3+)、常磁性および超常磁性物質、例えば超常磁性酸化鉄;
−コンピュータ断層撮影(CT)画像化に適したコントラスト剤、例えばヨウ素化分子、イッテルビウムおよびジスプロシウム;
−シンチグラフィー画像化(またはシンチグラフィー)に適した放射性同位体、例えばテクネチウム−99m、210/212/213/214Bi、131/140Ba、11/14C、51Cr、67/68Ga、153Gd、88/90/91Y、123/124/125/131I、111/115mIn、18F、105Rh、153Sm、67Cu、166Ho、177Lu、186Reおよび188Re、32/33P、46/47Sc、72/75Se、35S、182Ta、123m/127/129/132Te、65Znならびに89/95Zr;
−単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT)に適したガンマ放射剤、例えば99mTc、111In、117mSnおよび123I;
−色素、例えばシアニン蛍光体(例えば、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7)、Alexa Fluor(登録商標)色素(Molecular Probes,Inc.から入手可能)、アントラセン、クマリン、フルオロセイン、ローダミン、pHrodo(商標)、緑色蛍光タンパク質、二ヒ素−テトラシステイン、2−(4)−デヒドロキシセレンテラジン、5−FAM−ジアセテート、インドシアニングリーン、およびそれらの誘導体を含むがそれらに限定されない、光学画像化に適した色素および蛍光剤;ならびに
−陽電子放射断層撮影法(PET)に適した薬剤、例えば18F。
【0043】
[0038] ある特定の態様において、本明細書で記載される療法および診断法ならびに療法組成物および診断組成物において用いられるキャリヤー分子は、シアニン色素Cy3を含む。Cy3−チルマノセプトは、例えば、マンノシル−デキストランのジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を、Vera et al JNM 2001, 42:951-9において記載されている方法を用いて、Cy3のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルのDMSO溶液で一滴ずつ処理することにより調製され得る。室温で1時間静置した後、反応混合物を精製し、Cy3−チルマノセプトを得た。
【0044】
[0039] 別の特定の態様において、蛍光剤Alexa Fluor(登録商標)488(Alexa Fluor(登録商標)488カルボン酸、スクシンイミジルエステル)が、Cy3と類似の様式で、キャリヤー分子に結合している。
【0045】
[0040] 一部の態様において、本明細書で記載される療法および診断法ならびに療法組成物および診断組成物において用いられるキャリヤー分子は、キャリヤー分子に結合している療法剤を含み、それは検出可能部分の代わりにでも、それと一緒にでもよい。本明細書で用いられる際、用語“療法剤”は、疾患または他の状態の治療または排除において有効である原子、同位体、または化学構造、ならびに疾患または他の状態の有害な作用の低減、進行の減速、または改善において有効である原子、同位体、または化学構造を意味する。
【0046】
[0041] 一部の態様において、療法剤は、周囲のマクロファージ環境においてマクロファージおよび組織を殺す能力を有する高エネルギー殺傷(killing)同位体を含む。適切な放射性同位体は、以下のものを含む:210/212/213/214Bi、131/140Ba、11/14C、51Cr、67/68Ga、153Gd、99mTc、88/90/91Y、123/124/125/131I、111/115mIn、18F、105Rh、153Sm、67Cu、166Ho、177Lu、186Reおよび188Re、32/33P、46/47Sc、72/75Se、35S、182Ta、123m/127/129/132Te、65Znならびに89/95Zr。
【0047】
[0042] 他の態様において、療法剤は、以下のものからなる群から選択されるがそれらに限定されない非放射性種を含む:Bi、Ba、Mg、Ni、Au、Ag、V、Co、Pt、W、Ti、Al、Si、Os、Sn、Br、Mn、Mo、Li、Sb、F、Cr、Ga、Gd、I、Rh、Cu、Fe、P、Se、S、ZnおよびZr。
【0048】
[0043] さらに別の態様において、療法剤は、以下の薬剤からなる群から選択される:細胞増殖抑制剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、抗増殖剤、チューブリン結合剤、ホルモン類およびホルモン拮抗薬、アンスラサイクリン系薬物、ビンカ系薬物、マイトマイシン類、ブレオマイシン類、細胞毒性ヌクレオシド類、プテリジン系薬物、ジイネン類、ポドフィロトキシン類、毒性酵素、および放射線増感薬。より具体的な例として、療法剤は、以下の薬剤からなる群から選択される:メクロレタミン、トリエチレンホスホルアミド、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファラン、トリアジクオン、ニトロソウレア化合物、アドリアマイシン、カルミノマイシン、ダウノルビシン(ダウノマイシン)、ドキソルビシン、イソニアジド、インドメタシン、ガリウム(III)、68ガリウム(III)、アミノプテリン、メトトレキサート、メトプテリン、ミトラマイシン、ストレプトニグリン、ジクロロメトトレキセート、マイトマイシンC、アクチノマイシン−D、ポルフィロマイシン、5−フルオロウラシル、フロキシウリジン、フトラフル、6−メルカプトプリン、シタラビン、シトシンアラビノシド、ポドフィロトキシン、エトポシド、リン酸エトポシド、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ロイロシジン、ビンデシン、ロイロシン、タキソール、タキサン、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、テニポシド、コルヒチン、ジヒドロキシアントラセンジオン、ミトキサントロン、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、リシンサブユニットA、アブリン、ジフテリア毒素、ボツリヌス、シアンギノシン類、サキシトキシン、志賀毒素、破傷風、テトロドトキシン、トリコテシン、ベルクロゲン、コルチコステロイド類、プロゲスチン類、エストロゲン類、抗エストロゲン類、アンドロゲン類、アロマターゼ阻害剤、カリケアミシン、エスペラミシン類、およびジネマイシン類。
【0049】
[0044] 療法剤がホルモンまたはホルモン拮抗薬である態様において、療法剤は、プレドニゾン、ヒドロキシプロゲステロン、メドロプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール、タモキシフェン、テストステロン、およびアミノグルテチミドからなる群から選択されることができる。
【0050】
[0045] 療法剤がプロドラッグである態様において、療法剤は、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、サルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、ラクタム含有プロドラッグ、場合により置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、場合により置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシン、および5−フルオロウリジンプロドラッグからなる群から選択されることができ、それはより活性な細胞毒性遊離薬物に変換され得る。
【0051】
[0046] 療法剤は、キャリヤー分子に様々な様式で結合している。一部の態様において、そして‘990特許において記載されているように、キレーターがリーシュの一部のアミノ基にコンジュゲートしており、療法剤をそれに結合させるために用いられている。適切なキレーターは、例えばテトラアザシクロドデカン四酢酸(DOTA)、メルカプトアセチルグリシルグリシル−グリシン(MAG3)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ジメルカプトコハク酸、ジフェニルエチレンジアミン、ポルフィリン、イミノ二酢酸、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のような、当業者に既知の、または今後開発されるキレーターを含む。
【0052】
[0047] 本明細書で記載される高分子化合物は、様々な方法で、様々な薬学的に許容可能なキャリヤーおよびビヒクルのいずれかを用いて投与されることができる。例えば、それに結合した1以上の検出可能部分および/または療法剤を有するキャリヤー分子を薬学的に許容可能なキャリヤーとの組み合わせで含む医薬製剤は、静脈内注射、皮下注射、皮内注射、実質導入、吸入、肺洗浄、坐剤、または経口、舌下、頭蓋内、眼内、鼻内、または耳内導入により投与される。本発明の診断法は、障害の存在または(of)非存在を検出するだけでなく、障害に関する処置の経過を、例えば第1の時点においてCD206発現細胞を予め決定された標的位置において検出し、処置を(本明細書で記載される処置法または他の処置法により)施し、より後の第2の時点においてCD206発現細胞を予め決定された標的位置において検出することにより、追跡することも含む。CD206発現細胞における差異は、十分に有意であれば、処置の有効性または有効性がないことを実証するために用いられることができる。診断は、ある障害にかかりやすい対象を同定すること、または障害が将来において症候性になりそうである、もしくは発現しそうであることを示すマーカーを診断することも含む。
【0053】
[0048] 様々な障害を診断および処置するインビボの方法に加えて、上記で記載されたキャリヤー分子は、特に1以上の検出可能部分がキャリヤー分子に結合している場合、エキソビボの診断法および診断キットにおいて用いられることができる。これらの方法およびキットは、体液試料中のCD206を発現している細胞の数を定量化するために用いられ、次いでそれは、診断目的のために用いられる。例えば、所与の量の体液中のCD206を発現している細胞の決定された数は、CD206発現細胞の数を以前に獲得または収集されたデータに対して比較することにより、患者において医学的状態の存在もしくは非存在を診断するために用いられ、または以前に確証された医学的状態の状況を決定するために用いられる。
【0054】
[0049] ある特定の例において、これらのエキソビボ診断法およびキットは、哺乳類の対象においてリウマチ性関節炎(“RA”)の存在を診断するために、および以前にRAを有することが決定された哺乳類の対象においてリウマチ性関節炎の病期または処置の経過を評価するために用いられる。RAの場合、対象から収集された体液は、RAに冒されていることが疑われる、または既知である関節から抜き取られた滑液である。
【0055】
[0050] 体液は、それに結合した少なくとも1個の検出可能部分を有するキャリヤー分子と、キャリヤー分子が体液中に存在するCD206を発現している細胞に結合するように接触する。この接触工程は、あらゆる適切な容器、例えば流体およびキャリヤー分子の完全な混合を可能にするように蓋をされることができる適切に掴まれた(seized)バイアル中で成し遂げられることができる。一態様において、流体およびキャリヤー分子は、遠心分離バイアル(遠心分離チューブとしても知られている)中で組み合わせられる。流体およびキャリヤー分子の混合後、得られた混合物は、キャリヤー分子が体液中の細胞の表面上のCD206に結合することを可能にするために十分な予め決定された期間の間インキュベートされる。
【0056】
[0051] 一部の態様において、インキュベーションは、キャリヤー分子が細胞中に内部移行するのを妨げるために、対象の生理的温度より下の温度で実施される。キャリヤー分子が細胞中に内部移行した場合、分子が結合したCD206受容体が、追加のキャリヤー分子の結合のためにもう一度利用可能になる。しかし、インキュベーション温度を下げることにより、キャリヤー分子の内部移行が、阻害または予防される。一部の態様において、混合物は、0℃〜約25℃;他の態様において、約1℃〜約10℃;さらに別の態様において、約1℃〜約4℃の温度でインキュベートされる。ある特定の態様において、混合物は、約4℃の温度でインキュベートされる。
【0057】
[0052] 一部の態様において、混合物は、約1分間〜約1日の期間の間インキュベートされる。一部の態様において、混合物は、約1分間〜約1時間の期間の間インキュベートされる。他の態様において、混合物は、約1分間〜約5分間の期間の間インキュベートされる。
【0058】
[0053] インキュベーション後、体液の細胞は、未結合のキャリヤー分子から分離される。細胞は不溶性であり、キャリヤー分子は水溶性であるため、分離は、遠心分離により成し遂げられることができる。未結合のキャリヤー分子は、液相中に残ると考えられ、従って(例えばデカンテーションまたはピペットの使用により)容易に除去され得る。その後、細胞部分(すなわち遠心分離後の固相)中の検出可能部分のレベルが測定される。測定法は、検出可能部分の性質に依存するであろう。
【0059】
[0054] 例として、検出可能部分が、色素、例えば蛍光体である場合、細胞画分中の検出可能部分のレベルの測定は、細胞画分の蛍光のレベルを分光学的に測定することを含む。
【0060】
[0055] 本発明の態様は、さらに体液試料中のCD206を発現している細胞の数を定量化するための診断キットを含み、次いでそれは診断目的のために用いられる。キットは、一般に以下のものを含む:
(a)本明細書で前に記載されたようなキャリヤー分子をそれに結合した少なくとも1の分光学的に検出可能な部分(例えば蛍光体)と共に含有する第1の密封された容器;
(b)希釈剤を含有する第2の密封された容器;
(c)少なくとも1個の遠心分離バイアル;および
(d)分光測定装置における使用のための少なくとも1個のキュベット。
【0061】
ある特定の態様において、希釈剤は、生理食塩水、滅菌された水または緩衝溶液、例えばリン酸緩衝液である。
【0062】
[0056] 診断キットは、例えば、診察室または小さい実験室における使用に適合した蛍光計と共に用いられることができる。あらゆる適切な蛍光計が、用いられることができる。蛍光計の例は、Quantus(商標)蛍光計(Promega Corporation)シングルチューブ蛍光計およびGloMax(登録商標)−Multi+マルチモードマイクロプレートリーダーを含むが、それらに限定されない。
【0063】
[0057] 同様に、キットは、例えば、診察室または小さい実験室における使用に適合した遠心分離機と共に用いられることができる。一態様において、遠心分離機は、小型遠心分離機である。別の態様において、遠心分離機は、微量遠心分離機である。遠心分離機の例は、MyFuge(商標)小型遠心分離機(Alkali Scientific)を含むが、それに限定されない。
【0064】
[0058] 一態様において、遠心分離チューブは、遠心濾過器である。別の態様において、遠心分離チューブは、微量遠心濾過器である。ある特定の態様において、微量遠心濾過器は、約50μL〜約750μLの容積を有する。別の特定の態様において、微量遠心濾過器は、先細の2mLの蓋付きのレシーバーチューブを有するポリプロピレンフィルターハウジング(Thermo Scientific)を含む。
【0065】
[0059] 次の節は、キャリヤー分子のCD206への結合を実証する実施例を提供し、本明細書で記載されるキャリヤー分子を用いて診断および/または処置されることができる様々なCD206発現細胞関連障害も(データおよび診断/処置法を含めて)記載する。しかし、以下の実施例において記載される特定のキャリヤー分子は、下記で論じられる障害の診断または処置において用いられることができるキャリヤー分子の典型的なものにすぎないことは理解されるであろう。従って、前に記載されたキャリヤー分子の全てが、下記の特定の実施例におけるキャリヤー分子の代わりに用いられることができる。加えて、本発明は、下記で論じられる特定の障害の診断および/または処置に、これらは特定の態様の典型的なものにすぎないことが意図されているため、限定されないことも、理解されるであろう。
【実施例】
【0066】
チルマノセプト−Cy3のヒトマクロファージへの結合
[0060] チルマノセプトがリンパ球またはマクロファージに結合するかどうかを、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を用いて決定した。リンパ球およびマクロファージからなるある量のPBMCを、血液単球がマクロファージ(ヒト単球由来マクロファージ、または“MDM”)に分化することを可能にするために5日間培養し、次いで未標識の(コールド)チルマノセプトを用いて、または用いずに前処理した。次に、細胞を、様々な濃度(1.25、2.5、5.0、10および20μg/mL)のCy3標識チルマノセプト(Cy3−チルマノセプト)と共にインキュベートした。チルマノセプトのPBMC細胞集団への結合を、フローサイトメトリーにより、マクロファージおよびリンパ球に関して別々にゲート処理することにより分析した。得られたデータは、図1Aにおいて示されているように、チルマノセプトがマクロファージ集団に用量依存的様式で特異的に結合することを示した。図1Aは、マクロファージおよびリンパ球に焦点を合わせた、PBMCの蛍光活性化細胞選別(“FACS”)分析を示す。図1Bにおいて示されるように、コールドチルマノセプト(100倍過剰)で前処理されたマクロファージに関して、Cy3−チルマノセプトの結合は、最高濃度においてさえもほぼ消滅した(未標識のチルマノセプトの存在下でのチルマノセプト−Cy3のマクロファージへの結合の阻害を示すFACS分析、**P<0.005)。
【0067】
[0061] これらの発見を確証するため、MDMを、単層培養において同様の方法で処理し、蛍光共焦点顕微鏡実験を実施した。図1Cにおいて見られるように、Cy3−チルマノセプトのマクロファージへの結合は、容易に明らかであり、この結合は、コールドチルマノセプトで前処理されたマクロファージに関してほぼ消滅した。示されたデータは、2つの独立した実験の代表的なものであり、それぞれ2通りで(in duplicate)実施され、結果は、チルマノセプトのマクロファージへの受容体に媒介される結合と一致していた。図1Cにおける左上および左下の画像は、蛍光体を有しないチルマノセプトの非存在下または存在下でのチルマノセプト−Cy3のマクロファージへの結合(左上)および結合の阻害(左下)をそれぞれ示す、共焦点顕微鏡法の代表的な画像(拡大:120倍)を示す。灰色の領域は、マクロファージの核を示しており、白い部分は、チルマノセプト−Cy3を示している。図1Cにおける右上および右下の画像は、(それぞれのDIC画像の左の)隣接する蛍光画像の個々の細胞構造を示すDIC画像である。“DIC”は、微分干渉コントラスト(位相差顕微鏡法)である。
【0068】
チルマノセプトのヒトマクロファージ上のCD206との同時局在
[0062] MDMの単層を、Cy−3チルマノセプトと共に10分間インキュベートし、パラホルムアルデヒドで固定し、抗MR一次抗体と共にインキュベートし、Alexa Fluor 488コンジュゲート二次抗体を用いて染色した。次いで、単層を共焦点顕微鏡法により分析した。図2は、CD206の発現(図2A)、マクロファージによるチルマノセプト結合(図2B)を示す代表的な共焦点画像(拡大:160倍)、ならびに共焦点および位相差画像の両方におけるCD206およびチルマノセプトの間の同時局在(図2Cおよび2D)を図説する。示された結果は、3つの独立した実験の代表的なものである。
【0069】
[0063] マクロファージは、いくつかの疾患状態、例えばカポジ肉腫(KS)、リウマチ性関節炎(RA)および結核(TB)と関係していることが知られており、ここで高いCD206発現を有するマクロファージが疾患病巣に局在しており、CD206バイオマーカー技術を用いた画像化の標的とされ得る。
【0070】
カポジ肉腫の診断および処置
[0064] 炎症は、腫瘍発現を含む数多くの疾患状態に対する必要な応答である。この炎症プロセスの主な構成要素は、今日ではマクロファージにより駆動されることが認識されており、それは腫瘍の開始、促進および進行に影響を及ぼす。癌組織に関して、腫瘍関連マクロファージ(TAM)が同定されており、それは腫瘍浸潤、癌細胞の増殖および転移において重要な役割を果たす。これらのM2型マクロファージは、典型的には高レベルのCD206を発現している。マクロファージ依存性の進行に関するモデル腫瘍は、カポジ肉腫(KS)であり、これはKSがTAMSにより駆動されるためである。KSの転移がマクロファージマーカーを同時発現する腫瘍細胞と関係しているという強い証拠も存在する。従って、マクロファージは、KSの病理発生において利用するべき重要な標的である可能性がある。
【0071】
[0065] HIV関連KSは、ヘルペスウイルス(HHV8/KSHV)感染と関係する侵襲性の多病巣性新生物である。KSは、皮膚および内臓組織を含み、後者の疾患は臓器の関与(involvement)と関係する。KSは、癌の一形態であり、炎症が腫瘍発現において重要な役割を果たしているようである。様々なマクロファージマーカーを同時発現するKS腫瘍細胞は、KSおよびAIDSの処置に関する現在の抗ウイルスアプローチに耐性になりつつある。出願者らは、上記で記載されたチルマノセプトおよび関連するキャリヤー分子は腫瘍実質においてCD206に結合するため、このCD206発現は、TAMおよび転移性腫瘍細胞に対して向けられた新規の抗腫瘍剤の開発ならびにそれらの転移パターンの追跡、診断、および療法に対する応答における重要な経路である可能性があることを発見している。
【0072】
[0066] KSマクロファージは、標準的な抗レトロウイルス療法に抵抗性の感染細胞の重要なHIVリザーバーである可能性がある。腫瘍と関係する形態は、KSの病理発生に直接寄与している可能性があるが、進行期の疾患を有するAIDS患者における組織内のHIVの全ての形態は、マクロファージ指向性である。
【0073】
[0067] リポソーム性ドキソルビシン(Doxil(登録商標)(ドキソルビシンHClリポソーム注射薬)、Janssen Products,LP)は、抗レトロウイルス療法(ART)に耐性のKSを処置するために最も有効であるが、それは一般に利用できない。処置は、療法応答一般を監視するために特に重要なカポジ肉腫の免疫構成のよりよい理解から利益を得るであろう。
【0074】
[0068] 歴史的に、KSを有する患者においてKS特異的病巣または転移巣を同定することができた画像化プラットフォームは存在していなかった。これは、医師が皮膚病巣の追跡以外にKSを有する患者を適切に病期分類することができないため、臨床ケアの送達において問題となってきた。KSは、リンパ節および器官を含むことが知られているが、現在までに、皮膚を越える腫瘍の関与を確証することができたアプローチはない。
【0075】
[0069] 一態様において、CD206に結合する受容体基質を有する上記で記載されたキャリヤー分子は、KSに含まれる節および疾患の他の内臓部位の有効な画像化のための方法を提供するために用いられる。別の態様において、本発明の組成物は、世界中の増大する数のKS患者において効果がないことが証明されている現在の抗レトロウイルス療法単独での使用を越えるより早期の腫瘍に特異的な処置を可能にする腫瘍負荷を定める方法を提供する。別の態様において、本発明の組成物は、腫瘍転移パターンを、シンチグラフィー、SPECT、SPECT/CT、ガンマプロービング(インビボまたはエキソビボ)、外部(エキソビボ)または内部(インビボ)蛍光を含むがそれらに限定されないいくつかの外部画像化法の1つにより追跡する方法を提供する。別の態様において、本発明の組成物は、すぐ前の方法において示されたような腫瘍療法に対する応答を追跡するための方法、またはインビトロでの生検組織および実験室設定において用いられるものと同じ診断剤の利用を提供する。
【0076】
[0070] 上記に対するエレガントな高精度の診断アプローチは、重要な受容体であるCD206に媒介されるマクロファージ標的化画像化である。CD206は、チルマノセプトを用いる高精度の画像化のための標的としてうまく利用されてきており、それはチルマノセプト分子上のマンノース部分の相互作用によりCD206に結合し、マクロファージ中に取り込まれ、そこでそれは安定な非消化性小胞中で存続する。検出可能部分、例えばCy3またはTc99mは、標的化された画像化を可能にする。この高精度の標的化機序は、KSならびに他のマクロファージに媒介される疾患および障害におけるようなマクロファージに駆動される疾患プロセスの重要な機能を画像化するための新規の経路を提供する。CD206の存在は、本発明の組成物がKSを有する患者において腫瘍細胞ならびにTAMの両方を同定することができる腫瘍特異的画像化剤として用いられることを可能にする。
【0077】
[0071] 下記で概説される研究において、CD206標的化チルマノセプトプラットフォーム画像化アプローチは、AIDS患者に由来するカポジ肉腫(KS)において評価された。これらの研究は、TAMSおよびKS細胞の両方の大部分が、本明細書で記載されたキャリヤー分子、例えばチルマノセプトで特異的に標的化され得るマクロファージマーカーCD206を発現していることを実証する。これは、例えば、検出可能部分が診断目的のためにKS病巣に標的化されることを可能にする。これは、本明細書で記載されるキャリヤー分子を用いる処置組成物および方法も提供する。出願者らは、KSの皮膚および内臓形態両方の大量の収集物を試験し、CD206がKS腫瘍細胞およびTAM両方の上に存在するであろうかどうかを決定した。出願者らは、HHV8/KSHVに感染したKS腫瘍細胞上のマクロファージ抗原の頻度およびKS病巣細胞亜集団内のCD206+チルマノセプト結合細胞の頻度を試験した。
【0078】
KS病巣細胞の96%より大きい割合が、ヒトマンノース受容体(MR、CD206)を発現している
[0072] KS病巣細胞の免疫表現型分析は、腫瘍関連マクロファージ(TAM)およびKS細胞両方の96%より大きい割合が、KS病巣を定める、またはKSの標的化された処置を提供するために本明細書で記載されるキャリヤー分子により特異的に標的化され得るCD206を発現していることを確証した。AIDS KSの66症例および対照を含有する組織顕微鏡アレイ(TMA)を、エイズおよび癌標本リソース(ACSR)から得た。MO抗原を、IHC研究により同定し、結果をKSHV LANA+細胞(KS腫瘍特異的マーカー)の割合に対して標準化した。TMAを、HHV8/KSHV潜伏抗原(LANA)、ならびにマクロファージマーカーMAC387(M1)、CD163(M2)、CD68(汎(pan)マクロファージ)、およびCD206(マクロファージマンノース受容体、M2)の存在に関して染色し、KSの症例におけるこれらの抗原の普及(prevalence)に関して試験した。皮膚ならびに内臓病巣はTMAに含まれていた。KSの66症例の免疫組織化学分析の結果を、表1において示す。
【0079】
【表1】
【0080】
[0073] 表1は、TAMおよびHHV8/KSHV LANA+腫瘍細胞上でマクロファージ抗原を発現しているKS症例の割合を要約している。免疫組織化学分析は、マクロファージ抗原がKS腫瘍関連細胞内で高度に関係していることを示している。KS病巣内のCD68マクロファージ抗原染色の頻度は、KSが広範囲にわたるTAM浸潤を有する腫瘍であることと高度に一致している。また、限られた数の症例において報告されていたように、この広範囲にわたる分析は、KS紡錘細胞もCD206を含むマクロファージ抗原を同時発現していることを確証した。
【0081】
[0074] KS組織におけるほとんどのTAMは、M2特異的抗CD163抗体により同定され、一方でM1抗MAC387抗体は、細胞のより小さい部分集合を同定した。CD68抗体も、腫瘍の90%より多くの割合において多数のTAMを同定した。KS腫瘍紡錘細胞は、一般にマクロファージ抗原を発現していた;しかし、KS腫瘍細胞(LANA+)およびTAM両方に関する最も普及した抗原は、CD206分子であった。腫瘍組織内のLANAのレベルに関連するMO抗原およびCD206の発現は、KSの全ての組織形態(プラーク、口、内臓)にわたって類似していた。アフリカからのKS組織のパイロット研究は、類似の結果を示した。LANA+ KS腫瘍細胞のほとんどが、CD206を同時発現していた。CD68+組織マクロファージも、アフリカKS組織においてCD206抗原と関係していた。その結果は、TAMおよびKS腫瘍細胞の両方がCD206マクロファージマンノース受容体を発現していることを確証した(Uccini et al. AJP March 1997, 150: 929 938)。
【0082】
[0075] 図3は、核(青)、KS腫瘍細胞(赤)およびCD206(緑)に関するマーカーを示すKS腫瘍細胞の顕微鏡写真を示し、それは、本明細書で記載されるキャリヤー分子に結合するCD206ヒトマンノース受容体の汎細胞発現を実証している。
【0083】
CD206を発現するKS腫瘍細胞およびマクロファージは、チルマノセプト−Cy3に結合し、それを内部移行させる。
【0084】
[0076] 図4において示されるように、KS腫瘍細胞およびマクロファージは両方ともCD206を発現し、表面上でチルマノセプト−Cy3(赤)に結合し(図4A)、続いてチルマノセプト−Cy3を細胞質小胞中に内部移行させる(図4B)。内部移行は、チルマノセプト−Cy3の安定な蓄積および可能性のある特異的なKS病巣の画像化を提供することが予想される。従って、チルマノセプトおよび本明細書で記載される他のキャリヤーは、例えば療法に対する腫瘍特異的応答を病期分類し、定量的に画像化するための、KSを有する患者における有用な診断および処置組成物である。拡張により、他のクラスの腫瘍は、類似のハイブリッド様細胞を含有する可能性があり、チルマノセプトベースの薬剤を用いて画像化され、マクロファージ標的化療法により臨床的に取り組まれ得る。
【0085】
免疫蛍光染色および共焦点顕微鏡法
[0077] 免疫蛍光染色および共焦点顕微鏡法研究は、組織マクロファージおよびLANA発現KS腫瘍細胞の両方の上でのCD206の同時発現の比率を決定した。免疫蛍光染色および共焦点顕微鏡法研究を、エイズおよび癌標本リソース(ACSR)から得たAIDS KSの66症例および対照を含有する組織顕微鏡アレイ(TMA)において実施した。結果を図5において示し、それは、LANA発現腫瘍細胞および組織マクロファージの両方の上でのマクロファージマンノース受容体CD206の同時局在を示す共焦点顕微鏡法の代表的な画像を示す。A、DAPI(青);B、CD206(緑);C、LANA(赤);D、CD68(黄);E、全部の重ね合わせ(63倍)。HHV8+ KS腫瘍細胞によるCy3−チルマノセプトの取り込みも調べ、図6は、Cy3−チルマノセプトを含むKS生検組織培養物の共焦点画像の例を示す。HHV8+ KS腫瘍細胞生検の共焦点画像。25倍(CD68、黄;Cy3−チルマノセプト、赤;HHV8、緑;DAPI、青)。
【0086】
[0078] CD206発現マクロファージ中へのCy3−チルマノセプトの取り込みも調べた。3日目のCD206+マクロファージ培養物を、Cy3−チルマノセプト(100μg/mL)と共に、37℃で4、24および48時間インキュベートした。Cy3蛍光のバックグラウンドレベルを、室温で同じ期間の間コンジュゲートに曝露した培養物において決定した。Cy3およびCD206のフローサイトメトリーでの評価を、全ての時点において実施し、それはCy3−チルマノセプトのCD206+マクロファージ中への取り込みを示した。図7は、Cy3−チルマノセプトと共にインキュベートした3日目のCD206+マクロファージ培養物におけるCy3およびCD206のフローサイトメトリーでの評価を示す。
【0087】
[0079] 上記を考慮すると、さらなる特定の態様において、本明細書で記載されるキャリヤー分子は、KS(および類似のタイプの癌および腫瘍)を診断および/または処置するために用いられる。診断目的のため、検出可能部分、例えば99mTcまたは68Gaをキャリヤー分子に(例えばDTPAまたはDOTAキレーターに)結合させ、放射標識された組成物を、対象に、例えば腫瘍もしくは疑わしい病巣に近位の(すなわち隣接した)皮下もしくは皮内注射により、腫瘍もしくは病巣中に直接腫瘍内/病巣内注射して、または静脈内注射により投与する。本明細書で記載される、当業者に既知の、または今後開発される他の検出可能部分、例えば様々な蛍光体のいずれかを、KSの診断における使用のためのキャリヤー分子に結合させることができることは理解されるであろう。患者への投与後に、腫瘍または病巣部位(または疑わしい腫瘍または病巣部位)を、例えば(例えばガンマカメラを用いる)シンチグラフィー、単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT)、陽電子放射断層撮影(PET)、または光学的画像化(例えば検出可能部分が蛍光色素、例えばシアニンである場合)により画像化する。しかし、KS腫瘍または病巣中の標識されたキャリヤー分子の存在を検出するために、上記で言及された診断部分以外の他の診断部分、ならびに様々な他の画像化または診断法を用いることができることは、理解されるであろう。
【0088】
[0080] KS診断画像化に関するある特定の態様において、キャリヤー分子は、チルマノセプト:デキストラン 3−[(2−アミノエチル)チオ]プロピル 17−カルボキシ−10,13,16−トリス(カルボキシメチル)−8−オキソ−4−チア−7,10,13,16−テトラアザヘプタデカ−1−イル 3−[[2−[[1−イミノ−2−(D−マンノピラノシルチオ)エチル]アミノ]エチル]チオ]プロピル エーテル錯体である。この特定の態様において、検出可能部分は99mTcまたは68Gaであり、検出可能部分を、DTPAキレーターに、使用直前に、キャリヤー分子を当業者に既知であるように99mTc生成装置またはガリウム−68生成装置からの溶離物と混合することにより結合させる。他の態様において、検出可能部分はCy−3であり、それを当業者に既知であるようにチルマノセプトのリーシュに結合させる。99mTc−チルマノセプトまたは68Ga−チルマノセプトを用いるKSの診断画像化に関して、一部の態様において、放射標識されたキャリヤー分子は、対象に局所的に(例えば皮下)投与された際に、約0.3〜約5.0ミリキュリー、または約0.5〜約2.0ミリキュリー、または約0.5もしくは約1ミリキュリーの線量を提供する。例えば99mTc−チルマノセプトまたは68Ga−チルマノセプトを用いるKSの診断画像化に関する他の態様において、放射標識されたキャリヤー分子は、対象に全身(例えば静脈内)投与された際に、約2mCi〜約30mCi、約5mCi〜約30mCi、約10mCi〜約25mCiの線量を提供するために十分な放射性同位体を有する。注射により対象に投与される場合、放射標識されたキャリヤーは、一部の態様において、1種類以上の賦形剤、希釈剤等(例えば無菌生理食塩水)を含有する薬学的に許容可能なキャリヤーと組み合わせられる。それに結合した1以上の検出可能部分を有するチルマノセプトを用いるKSの診断画像化に関して、約50〜約500マイクログラムのチルマノセプトが投与される。
【0089】
[0081] KSの処置における本明細書で記載されたキャリヤー分子の療法的使用に関して、適切な療法剤がキャリヤーに結合しており、得られた組成物は、1種類以上の賦形剤、希釈剤等を含有する薬学的に許容可能なキャリヤーと組み合わせられる。診断画像化と同様に、結合した療法剤を有するキャリヤー分子は、患者に、例えば注射により、またはさらには腫瘍もしくは病巣に対して局所的に投与される。KSを処置するための適切な療法剤は、機能性化学療法剤、例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、ブレオマイシン、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、およびエトポシド(VP−16)を含む。ある特定の態様において、療法組成物は、ドキソルビシン−チルマノセプトを含み、それは局所的に(例えば10μg用量として)または静脈内に(例えば5mg用量として)投与される。
【0090】
KS画像化実施例1
[0082] Navidea Biopharmaceuticals Inc.によりLYMPHOSEEK(登録商標)注射キットの名称の下で市場に出されているチルマノセプト凍結乾燥粉末を得る。そのチルマノセプト粉末は、約7nmの平均直径を有し、0.5mLバイアル中に、0.250mgチルマノセプト、20mgトレハロース二水和物、0.5mgグリシン、0.5mgアスコルビン酸ナトリウムおよび0.075mg塩化第1スズ二水和物の混合物として含有されている。次いで、そのチルマノセプト粉末を、テクネチウム−99m生成装置から溶離された99mTc−過テクネチウム酸ナトリウムを用いてTc 99mで放射標識する。無菌の注射器を用いて、約0.35mL中のおおよそ92.5MBq(2.5mCi)の99mTc−過テクネチウム酸ナトリウムを、バイアルに無菌的に添加する。バイアルを穏やかに振盪し、放射標識反応を室温で少なくとも10〜15分間進行させる。次いで、通常の生理食塩水をバイアルに添加して内容量を2.5ccにする。場合により、参照により本明細書に援用される2010年8月5日に公開された米国特許公開番号2010/0196272 A1において記載されているように、緩衝液を添加する。
【0091】
[0083] 1回の患者の用量は、上記で調製されたような50mcgのチルマノセプトおよび0.5mCiのテクネチウム99m、合計0.5ccである。放射標識されたチルマノセプトは、放射標識の6時間以内に、皮下または皮内注射により投与される。代替の態様において、100mcgのチルマノセプトおよび1.0mCiのテクネチウム、合計1ccが、放射標識の6時間以内に静脈内注射される。
【0092】
[0084] 注射の30〜180分以内に、患者を単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT)を用いて画像化する。皮膚病巣(単数または複数)内の局在した放射活性の発見は、マンノース結合受容体および/またはマクロファージ活性の推定証拠であり、それはカポジ肉腫の存在と一致し、そしてそのような活性の非存在は、カポジ肉腫を本質的に除外するであろう。
【0093】
KS画像化実施例2
[0085] 以下は、樹状細胞およびマクロファージの表面上にあるマンノース結合受容体(CD206)に結合する放射性医薬であるLymphoseek(登録商標)(テクネチウム99mTc−チルマノセプト注射剤としても知られている)を用いたSPECTおよびSPECT/CT画像化による原発性皮膚カポジ肉腫(KS)の評価のさらに別の実施例を説明する。結果は、原発性皮膚カポジ肉腫を有する患者において、Lymphoseekは単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT)およびSPECTコンピューター断層撮影(SPECT/CT)を用いるカポジ肉腫の病巣(単数または複数)の検出を助けることを示している。
【0094】
[0086] 18歳の男性患者に、2.0mCi 99mTcで放射標識した50μgチルマノセプトの1回量を皮下注射により与える。99mTc−チルマノセプト注射の総量は、0.3〜0.5mLである。
【0095】
[0087] 患者は、パンチ生検によるKS(CD206発現皮膚KS)の確定診断を有するマーカー病巣(直径1cm以上)を有する。マーカーKS病巣の位置は、四肢上である:肩から中手領域まで、または鼠径部から中足領域まで。
【0096】
[0088] 用量は、5/8インチ、25もしくは27ゲージの固定された針を有する注射器、または皮下注射に許容可能である他の注射器/針の組み合わせにより投与される。注射は、マーカー病巣から1.5±0.25cm遠位、マーカー病巣に対して4〜8cm遠位、またはマーカー病巣に対して4〜8cm近位になされる。
【0097】
[0089] 患者は、注射の直後に30分の期間の間局所的ダイナミックSPECTスキャンを受ける。最初のスキャン後、患者は、注射の1時間後に全身SPECT/CT画像化および注射の4〜6時間後に全身SPECT画像化を受ける。患者は、SPECTスキャンの4〜6時間後に画像化センターを去ることを許可される。
【0098】
[0090] ダイナミックSPECT/CT(限定的CT曝露;GE Infinia Hawkeye 4)画像化は、注射の直後に30分間(約3分間/回転)行われる。それぞれのデュアルヘッドスピン(dual head spin)は、32(5.625°)の角度に分割されている。SPECT画像は、前側、45°斜め前側、および側方の位置において獲得され、それぞれの獲得は合計30〜45分間の期間中の3〜5分間である。
【0099】
[0091] SPECT/CTシステムにおける獲得は、連続モードで実施される。低線量CT構成要素を有する装置に関して、データは典型的にはX線検出機を患者の周囲で220°回転させることにより獲得され、X線管は140kVおよび2.5mAで操作される。得られたCT画像は、2.5mmの面内空間分解能および軸方向での10mmの分解能を有する。スキャン時間は、CTに関する30〜45分間の合計期間に関して、スライスあたりおおよそ16秒である。診断CT構成要素を用いるSPECT/CTシステムは、より高い空間分解能およびより速いスキャン時間(全視野に関しておおよそ30秒)を特徴とするが、より高い放射線量と関係している。減弱マップがCT獲得時間の終了時に作成される。
【0100】
結核の診断および処置
[0092] 結核は、細菌マイコバクテリウム・ツベルクローシス(mycobacterium tuberculosis)により引き起こされる呼吸器感染症である。TB感染に反応して、患者の免疫系が肉芽腫を形成し、それはTB細菌がTBの明らかな臨床症状なしで肉芽種内に長期間留まることを可能にする。処置は、活性TB感染を発現する患者の危険性を低減し得るが、肉芽腫が診断および療法剤に対する障壁として作用する。マクロファージは、肉芽腫の形成および維持のプロセスの一部である。このため、出願者らは、本明細書で記載されるキャリヤー分子はTB肉芽腫と関係するマクロファージの表面上のCD206を標的化するために用いられることができると推測してきた。
【0101】
チルマノセプトのTBに感染したマクロファージへの結合
[0093] 本明細書で記載されたキャリヤー分子の、TBに感染したマクロファージに結合してTB細菌が位置するマクロファージの内部に診断および/または療法剤を送達する能力を実証するため、TB肉芽腫の構成要素を構成する単層培養状態のヒト単球由来マクロファージに、マクロファージにより内部移行されるGFP発現M.ツベルクローシスを感染させた(GFP=緑色蛍光タンパク質)。次いで、感染した細胞を、シアニン(Cy3)色素で標識されたチルマノセプトに曝露し、共焦点顕微鏡法により分析した。図5は、TB感染マクロファージの共焦点顕微鏡法を示す。赤はCy3−チルマノセプトを示し、緑はGFP M.ツベルクローシスを示し、黄はCy3−チルマノセプトおよびGFP M.ツベルクローシスの同時局在を示す。従って、図8は、Cy3−チルマノセプトがマクロファージに結合し、マクロファージにより内部移行されていることを実証している。
【0102】
[0094] 上記を考慮して、さらなる特定の態様において、本明細書で記載されるキャリヤー分子は、結核を診断および/または処置するために用いられる。診断目的のため、検出可能部分、例えば99mTcまたは68Gaを、キャリヤー分子に(例えばDTPAまたはDOTAキレーターに)結合させ、放射標識された組成物を、対象に、例えば吸入、静脈内注射または肺洗浄により投与する。本明細書で記載される、当業者に既知の、または今後開発される他の検出可能部分を、結核の診断における使用のためにキャリヤー分子に結合させることができることは理解されるであろう。患者への投与後、対象の肺を、例えば(例えばガンマカメラを用いる)シンチグラフィー、単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT)、または陽電子放射断層撮影(PET)により画像化する。しかし、対象の肺組織中の標識されたキャリヤー分子の存在を検出するために、上記で言及された診断部分以外の他の診断部分、ならびに様々な他の画像化または診断法を用いることができることは、理解されるであろう。
【0103】
[0095] 結核診断画像化に関するある特定の態様において、キャリヤー分子は、チルマノセプト:デキストラン 3−[(2−アミノエチル)チオ]プロピル 17−カルボキシ−10,13,16−トリス(カルボキシメチル)−8−オキソ−4−チア−7,10,13,16−テトラアザヘプタデカ−1−イル 3−[[2−[[1−イミノ−2−(D−マンノピラノシルチオ)エチル]アミノ]エチル]チオ]プロピル エーテル錯体である。この特定の態様において、検出可能部分は99mTcまたは68Gaであり、検出可能部分を、DTPAキレーターに、使用直前にキャリヤー分子を当業者に既知であるように99mTc生成装置またはガリウム−68生成装置からの溶離物と混合することにより結合させる。99mTc−チルマノセプトまたは68Ga−チルマノセプトを用いる結核の診断画像化に関して、一部の態様において、放射標識されたキャリヤー分子は、対象に投与された際に、約0.3〜約5.0ミリキュリー、または約0.5〜約2.0ミリキュリー、または約1ミリキュリーの線量を提供する。
【0104】
[0096] 吸入により対象に投与される場合、放射標識されたキャリヤーは、一部の態様において、薬学的に許容可能なビヒクルと組み合わせられる。特定の例として、放射標識されたキャリヤーは、ヒトの対象の肺に、吸入装置−例えば固定用量吸入器、乾燥粉末吸入器、計量式吸入器、またはネブライザーにより送達される。一態様において、放射標識されたキャリヤーは、薬学的に許容可能な不活性な液体噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン、フルオロカーボンまたはヒドロフルオロアルカンを含むビヒクル中の放射標識されたキャリヤーの懸濁液を含有する計量式吸入器を用いて投与される。より具体的な例として、計量式吸入器は、ひと吹きあたり約10〜約5000マイクログラム、または約10〜約500マイクログラムの放射標識されたキャリヤーを送達するように設計されている。さらに別の態様において、放射標識されたキャリヤーは、滅菌された水または生理食塩水を含む薬学的に許容可能なビヒクル中に懸濁されており、噴霧により投与される。さらに別の態様において、放射標識されたキャリヤーは、乾燥して粉末になり、次いで子袋(pouch)または他の容器から投与される。
【0105】
[0097] 本明細書で記載されたキャリヤー分子のTBの処置における療法的使用に関して、適切な療法剤がキャリヤーに結合しており、得られた組成物は、1種類以上の賦形剤、希釈剤等を含有する薬学的に許容可能なキャリヤーと組み合わせられる。診断画像化と同様に、結合した療法剤を有するキャリヤー分子は、患者に、TB(潜伏または活性感染)の処置のために、例えば吸入、静脈内注射または肺洗浄により投与される。
【0106】
[0098] 吸入により対象に投与される場合、療法剤+キャリヤーは、一部の態様において、薬学的に許容可能なビヒクルと組み合わせられる。特定の例として、療法剤+キャリヤーは、ヒトの対象の肺に、吸入装置−例えば固定用量吸入器、乾燥粉末吸入器、計量式吸入器、またはネブライザーにより送達される。一態様において、療法剤+キャリヤーは、薬学的に許容可能な不活性な液体噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン、フルオロカーボンまたはヒドロフルオロアルカンを含むビヒクル中の療法剤+キャリヤーの懸濁液を含有する計量式吸入器を用いて投与される。より具体的な例として、計量式吸入器は、ひと吹きあたり約10〜約5000マイクログラム、または約10〜約500マイクログラムの療法剤+キャリヤーを送達するように設計されている。さらに別の態様において、療法剤+キャリヤーは、滅菌された水または生理食塩水を含む薬学的に許容可能なビヒクル中に懸濁されており、噴霧により投与される。さらに別の態様において、療法剤+キャリヤーは、乾燥されて粉末になり、次いで子袋または他の容器から投与される。そして、さらに別の態様において、療法剤+キャリヤーは、薬学的に許容可能なビヒクル中で懸濁され、10mgの療法剤+キャリヤー分子までの投与量で静脈内投与される。
【0107】
[0099] TBを処置するためにキャリヤー分子に結合させる適切な療法剤は、インドメタシン、イソニアジド、および/またはGa(場合により、組成物が診断および療法組成物の両方として用いられるように68Gaとして)を含む。さらにべつの態様において、結核の診断および処置両方のための組成物が提供され、ここで68GaおよびGa(すなわち非放射性Ga)の両方がキャリヤー分子にコンジュゲートしている。他の態様において、インドメタシン、イソニアジド、およびGa(場合により68Gaとして)の2種類以上がキャリヤー分子にコンジュゲートしている。インドメタシン、イソニアジド、およびGaは、TBに関する既知の処置剤であるが、これらの薬剤の1種類以上を本明細書で記載されたキャリヤー分子に結合させることにより、それらはTBと関係する肉芽腫のマクロファージによりよく入ることができ、そこでその療法剤は、それらのマクロファージ内のTB細菌を標的化するであろう。
【0108】
[00100] 下記で提供されるのは、TBを診断または処置するために有効である組成物および方法の実施例である。
【0109】
結核画像化実施例
[00101] Navidea Biopharmaceuticals Inc.によりLYMPHOSEEK(登録商標)注射キットの名称の下で市場に出されているチルマノセプト凍結乾燥粉末を得る。そのチルマノセプト粉末は、0.5mLバイアル中に、0.250mgチルマノセプト、20mgトレハロース二水和物、0.5mgグリシン、0.5mgアスコルビン酸ナトリウムおよび0.075mg塩化第1スズ二水和物の混合物として含有されている。次いで、そのチルマノセプト粉末を、テクネチウム−99m生成装置から溶離された99mTc−過テクネチウム酸ナトリウムを用いてTc 99mで放射標識する。無菌の注射器を用いて、約0.35mL中のおおよそ92.5MBq(2.5mCi)の99mTc−過テクネチウム酸ナトリウムを、バイアルに無菌的に添加する。バイアルを穏やかに振盪し、放射標識反応を室温で少なくとも10〜15分間進行させる。次いで、投与の直前に通常の生理食塩水をバイアルに添加して内容量を5ccにする。
【0110】
[00102] 放射標識された組成物の1回の患者の用量は、用量が100mcgの99mTc−チルマノセプト、1mCi、合計2ccであるように調製される。放射標識されたチルマノセプトは、放射標識の6時間以内に、吸入により投与される。組成物は、エアロゾル機械中に装填され、次いで患者がその組成物を吸入する。吸入後約30〜180分以内に、患者の肺を単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT)を用いて画像化する。胸腔の肺門および縦隔領域における局在した放射活性の所見は、肉芽腫形成の推定証拠であり、それは結核の特徴である。
【0111】
結核処置実施例
[00103] Navidea Biopharmaceuticals Inc.によりLYMPHOSEEK(登録商標)注射キットの名称の下で市場に出されているチルマノセプト凍結乾燥粉末を得る。そのチルマノセプト粉末は、約7nmの平均直径を有し、0.5mLバイアル中に、0.250mgチルマノセプト、20mgトレハロース二水和物、0.5mgグリシン、0.5mgアスコルビン酸ナトリウムおよび0.075mg塩化第1スズ二水和物の混合物として含有されている。次いで、そのチルマノセプト粉末を、イソニアジド分子に結合させる。次いで、通常の生理食塩水をバイアルに添加して内容量を2.5ccにする。場合により、参照により本明細書に援用される2010年8月5日に公開された米国特許公開番号2010/0196272 A1において記載されているように、緩衝液を添加する。
【0112】
[00104] 上記のように調製された組成物の1回の患者の用量は、患者の年齢および体重に応じて、約100〜約500mcgのチルマノセプト、合計1ccである。イソニアジド−チルマノセプト組成物を、患者に静脈内注射により投与する。この様式で投与された場合、イソニアジド−チルマノセプト組成物は、細胞内の結核菌を含有する肉芽腫中に局在し、イソニアジドをTBが位置しているマクロファージ内の細胞内空間に送達することが予想されるであろう。これは、濃縮された用量のイソニアジドが、TB処置において頻繁に直面する薬物送達の通常の障壁を迂回して、結核菌に直接送達されることを可能にするであろう。
【0113】
[00105] 上記のTB処置組成物および処置法のバリエーションにおいて、インドメタシンおよび/またはGa(場合により68Gaとして)も、チルマノセプトに、前に記載された様式で、Ga−イソニアジド−チルマノセプト、インドメタシン−イソニアジド−チルマノセプト、および/またはインドメタシン−Ga−イソニアジド−チルマノセプトを提供するように結合しており、次いでそれは適切な組成物中に配合され、前に記載された様々な様式で投与される。さらに別のバリエーションとして、Ga(場合により68Gaとして)および/またはGa−イソニアジド−チルマノセプトが、チルマノセプトに、イソニアジドの代わりに、前に記載された様式で、Ga−チルマノセプト、インドメタシン−チルマノセプトおよび/またはGa−インドメタシン−チルマノセプトを提供するように結合しており、次いでそれは適切な組成物中に配合され、前に記載された様々な様式で投与される。
【0114】
[00106] 増大した動脈の炎症の診断
[00107] 心臓性突然死を経験した患者からの高危険度冠動脈アテローム硬化性プラーク試料中のマクロファージは、CD206をCD163と共に発現している。これらの高危険度プラークは、形態学的に薄被膜線維性粥腫(TCFA)として特性付けられており、壊死性のプラークの核および薄い線維性のプラークの蓋(cap)全体を通して、活性化されたマクロファージにより浸潤される。従って、マクロファージの存在により証明されるような増大した動脈の炎症は、高危険度形態の冠動脈プラークの負荷の発現に関する増大した危険性の指標である。
【0115】
[00108] 図9は、アカゲザルからの左心室および大動脈の免疫蛍光染色の画像を示す。画像は、CD163/Alex−Fluor 488、CD206/Alexa−Fluor 568、およびCy3チルマノセプトの同時局在を図説する。Alexa−Fluor 568は、前に記載された様式で容易にチルマノセプトに結合可能な蛍光色素である。
【0116】
[00109] 活性化されたマクロファージをタグ付けするそれらの独特の特性に基づいて、本発明の組成物は、動脈の炎症を画像化し、動脈のマクロファージ特異的な炎症および高められた免疫媒介性心血管疾患(CVD)の危険性を有する人を同定するための方法を提供する。
【0117】
[00110] 本発明の一態様は、全身的に注射された本発明のCD206標的化組成物の測定可能な大動脈の取り込みを、単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT/CT)を用いて定量化する方法を提供する。別の態様において、本発明は、動脈のアテローム硬化性プラークにおける浸潤している活性化されたマクロファージの密度を測定する方法を提供する。
【0118】
[00111] 別の態様において、本発明は、個々の冠動脈プラークが破裂する傾向を特性付けるための機能的動脈画像化の方法を提供する。別の態様において、本発明は、CVDの危険性のある患者を、彼らが臨床的に重大な事象を経験する前に同定するための方法を提供する。ある特定の態様において、その方法は、特定の高危険度の患者、例えばHIVに感染した患者に適用される。別の特定の態様において、その方法は、一般集団における破裂の危険性のある不安定プラークを有する患者に適用される。別の特定の態様において、本発明は、加速されたアテローム形成を調節する抗炎症戦略の有効性をモニターするための機能的動脈画像化を提供する。
【0119】
動脈炎症画像化実施例
[00112] 以下の実施例は、SPECTおよびSPECT/CT画像化を用いた大動脈および冠動脈の99mTc−チルマノセプトの取り込みの評価を説明する。
【0120】
[00113] CCTAにおいて無症候性の大動脈プラークおよび高危険度形態の冠動脈プラークの病歴を伴う文書で証明されたHIV感染を有する18歳の男性患者に、カテーテルを介して約10mCiの99mTc−チルマノセプトの静脈内注射を与える。カテーテルを、注射後におおよそ10mLの生理食塩水溶液でフラッシュする。
【0121】
[00114] 対象を、Siemens SPECT/CTスキャナー(Siemens Medical Solutions,イリノイ州ホフマンエステーツ)のスキャナーテーブル上に配置した。おおよそ60分間の遅延時間の後、SPECTの獲得を、2×60ビュー(views)、ステップアンドシュートモード(step and shoot mode)、SPECTの前に実施されたスカウトCTに基づいて胸部および頚部のビューあたり1分を用いて実施するであろう。心臓を画像化する際には、ゲート処理された獲得が実施される。胸部の画像は、肺の全部を含む。SPECTおよびCTのデータの獲得にはおおよそ70分間かかる。全ての投影は、2つのエネルギーウインドウ、すなわち[90〜120keV]および[126〜154keV]において獲得され、コンプトン散乱に関して散乱ウインドウを用いて、そして減衰に関してCTACを用いて補正され、反復オーダーサブセット(ordered subsets)期待値最大化アルゴリズム(OSEM)を用いて再構築される。結果として得られた再構築された体積(volume)を用いて、対象の参照領域に対して標準化された対象の99mTc−チルマノセプト取り込みの面積上に引かれた(drawn on areas)対象領域(ROI)を用いて標的対バックグラウンド比を定量化する。
【0122】
リウマチ性関節炎の診断
[00115] リウマチ性関節炎(“RA”)は、やはり診断および処置するのが困難である自己免疫疾患である。本明細書で記載されたキャリヤー分子(例えばチルマノセプト)は、限局性RA組織、例えば関節のRAと関係して存在する、および/または内臓が含まれる限局性RA組織に対して浸潤性である細網内皮細胞のCD206に結合するように設計されている。従って、これらのキャリヤー分子は、RAの診断画像化ならびに処置のために用いられることができる。チルマノセプトに関して、例えば、マンノースはCD206に関するリガンド部分として作用し、DTPAは例えばTc 99mによる放射標識のためのキレート部分の役目を果たす。Tc 99m−チルマノセプトが疑わしい疾患部位(すなわちRAが存在する、または疑われる関節)の極めて近位に注射された場合、固定ガンマカメラと一緒での、および/または手術中に手持ち式ガンマ検出プローブと一緒でのシンチグラフィー画像化を用いて、RAを診断するために、含まれる組織の位置を特定することができる。チルマノセプトは、約7nmの平均直径を有し、この小さい直径が、組織の流路(channels)および毛細血管中への高められた拡散を可能にし、結果として急速な注射部位のクリアランスおよびインフラマソームにおけるCD206結合をもたらす。例として、前に記載された蛍光性および/または放射性チルマノセプトおよび他のキャリヤー分子を、RAの早期の形態を有する関節の診断および非侵襲的画像化のために用いることができる。
【0123】
[00116] チルマノセプトが、RAを有する対象の滑液中のマクロファージ上にあるCD206受容体に結合することを実証するため、滑液および組織を明白なRAを有すると診断された患者から獲得した。組織を、Manocept−Cy3、DAPI核蛍光体、および抗CD206シアニングリーンを用いて調べた。組織および流体を、マイクロ蛍光により画像化し、正常な凍結保存記録組織および骨関節炎(OA)を有する患者から調達された滑液組織に対して比較した。MPの局在および蛍光の程度を、デジタル画像分析により比較した。特に、マイクロ蛍光画像を、走査型定量蛍光顕微鏡を用いて分析し、統合アルゴリズムを用いて、組織および滑液の画像におけるCy3蛍光色素のピクセル数を定量化し、対比した。
【0124】
[00117] その結果は、RAを有する対象からの滑液組織および流体は、高レベルのCD206を発現する大きなマクロファージ集団を含有することを示した。加えて、これらのMPは、CD206上のCy3−チルマノセプトを強力に局在させる。加えて、マクロファージ浸潤の程度ならびにCD206の正常な組織およびOA組織における在留は、図10において見られるように、RA組織におけるよりも有意に低い。従って、本発明のキャリヤー分子は、検出可能部分、例えば蛍光体と共に提供された場合、(インビボでもエキソビボでも)滑液からRAを診断することができるだけでなく、RAをOAから識別することもできる。
【0125】
Cy3−チルマノセプトを用いた、マウスにおける軟骨抗体に誘発される関節炎におけるマクロファージの画像化
[00118] Cy3−チルマノセプトを用いて、Dba1マウスにおける早期免疫媒介性関節炎および軟骨抗体に誘発される関節炎のマウスモデルにおいて、蛍光発光を用いてマクロファージを画像化した。関節炎を、マウスにおいて、5種類のモノクローナル抗体抗軟骨カクテルの注射、3日後に大腸菌リポ多糖の注射により誘発した。そのマウスは、7〜11日間で、関節炎の証拠である、不定の程度の足、手根、足根、肘、および膝における関節腫脹および赤くなった関節を発現した。
【0126】
[00119] マウスを7または8日目にインビボで画像化し、マウスを9または11日目に安楽死させた。安楽死後、四肢を解剖し、皮膚を除去し、試料を再度画像化し(落射蛍光画像化)、放射線写真を撮り(Faxitron MX20)、次いでカルシウムを除き、包理し、H&Eで染色した。
【0127】
[00120] 落射蛍光画像化のため、マウスに静脈内にCy3−チルマノセプトを注射し、落射蛍光画像化を、インビボおよびエキソビボで、1〜2時間の時点で、IVIS Lumina II機械(Caliper Life Sciences、マサチューセッツ州ホプキントン)を用いて実施した。Living Imageソフトウェアを用いて、可視および蛍光画像を可視化し、対象領域(“ROI”)およびバックグラウンド蛍光の減算を用いて光子の数を定量化した。安楽死後、四肢を解剖し、皮膚を除去し(指を除く)、再度画像化した。図11において見られるように、特異的な蛍光が、関節炎の膝および肘において検出された。図12は、免疫媒介性関節炎を有するマウス(上)および対照マウス(下)の肘および足のインビボ蛍光を示す。関節炎を有するマウスは、対照マウスと比較して、肘において増大したCy3−チルマノセプトによる蛍光を有していた。皮膚からのバックグラウンド蛍光が存在し、それは足において顕著であった。図13は、エキソビボの蛍光データを示し、図14は、対照マウスおよび免疫媒介性関節炎を有するマウスの膝のエキソビボ蛍光を示す。処置されたマウス(下の画像)における両膝は関節炎を有していたが、右側の膝は、より重篤に冒されており、より大きいCy3−チルマノセプト標識による蛍光を有していた。
【0128】
[00121] RA診断画像化に関する特定の態様において、キャリヤー分子はチルマノセプトであり、検出可能部分は、使用前にDTPAキレーターに結合した99mTcもしくは68Ga、またはアミノ末端状リーシュに結合した蛍光色素(例えばCy3)である。Cy3−チルマノセプトの場合、光学画像化を用いて、RAの存在および/または程度を決定する。上記のマウスの研究は、標識されたチルマノセプト(例えばCy3−チルマノセプト)がRAの診断において有用であることを確証した。
【0129】
[00122] RA処置に関する特定の態様において、キャリヤー分子はチルマノセプトであり、療法薬は療法用同位体である。ある特定の態様において、療法用同位体は117mSnである。RA処置に関する他の特定の態様において、キャリヤー分子はチルマノセプトであり、療法薬は毒素である。ある特定の態様において、毒素はボツリヌスまたはコレラ毒素である。RA処置に関する別の特定の態様において、キャリヤー分子はチルマノセプトであり、療法薬はメトトレキサートである。
【0130】
RA画像化実施例
[00123] Navidea Biopharmaceuticals Inc.によりLYMPHOSEEK(登録商標)注射キットの名称の下で市場に出されているチルマノセプト凍結乾燥粉末を得る。そのチルマノセプト粉末は、約7nmの平均直径を有し、0.5mLバイアル中に、0.250mgチルマノセプト、20mgトレハロース二水和物、0.5mgグリシン、0.5mgアスコルビン酸ナトリウムおよび0.075mg塩化第1スズ二水和物の混合物として含有されている。次いで、そのチルマノセプト粉末を、テクネチウム−99m生成装置から溶離された99mTc−過テクネチウム酸ナトリウムを用いてTc 99mで放射標識する。無菌の注射器を用いて、約0.35mL中のおおよそ92.5MBq(2.5mCi)の99mTc−過テクネチウム酸ナトリウムを、バイアルに無菌的に添加する。バイアルを穏やかに振盪し、放射標識反応を室温で少なくとも10〜15分間進行させる。次いで、通常の生理食塩水をバイアルに添加して内容量を5ccにして、場合により前に記載されたように緩衝液を添加することができる。
【0131】
[00124] 1回の患者の用量は、100mcgのチルマノセプトおよび1mCiのテクネチウム99m、合計2ccである。放射標識されたチルマノセプトは、放射標識の6時間以内に、静脈内注射により投与される。注射の30〜180分以内に、患者を単一光子放射コンピューター断層撮影(SPECT)を用いて画像化する。関節における局在した放射活性の所見は、関節内領域における炎症プロセスの推定証拠であり、それはリウマチ性関節炎(RA)の特徴であり、それにより、それが存在しない場合にRAを排除し、それが存在する場合に早期または進行中のRAの診断を助ける。
【0132】
[00125] マクロファージ関連障害の診断および/または処置のためのいくつかの組成物および方法が、上記で詳細に論じられてきたが、論じられた組成物、特徴、構成、および組成物を用いる方法は、上記で提供された状況に限定されないことは理解されるべきである。
図1-1】
図1-2】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】