特表2016-536579(P2016-536579A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2016-536579(P2016-536579A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(54)【発明の名称】等時性が改善された複合共振器
(51)【国際特許分類】
   G04C 5/00 20060101AFI20161028BHJP
   G04B 17/06 20060101ALI20161028BHJP
【FI】
   G04C5/00
   G04B17/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-520614(P2016-520614)
(86)(22)【出願日】2015年7月7日
(85)【翻訳文提出日】2016年4月6日
(86)【国際出願番号】EP2015065434
(87)【国際公開番号】WO2016037726
(87)【国際公開日】20160317
(31)【優先権主張番号】01360/14
(32)【優先日】2014年9月9日
(33)【優先権主張国】CH
(31)【優先権主張番号】01361/14
(32)【優先日】2014年9月9日
(33)【優先権主張国】CH
(31)【優先権主張番号】14184631.1
(32)【優先日】2014年9月12日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ストランツル,マルク
(72)【発明者】
【氏名】ボルン,ジャン−ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ファーヴル,ジェローム
(57)【要約】
少なくとも2つの方向の自由度を有する複合共振器を有する計時器用アセンブリー(10)であって、この複合共振器は、第1の方向(Y)のわずかな振幅を有する線形ないし回転性の第1の発振器(O1)と、及びこの第1の発振器(O1)に対して、第1の方向(Y)と実質的に直交する第2の方向(X)のわずかな振幅を有する線形ないし回転性の第2の発振器(O2)とを有し、第2の発振器(O2)は、摺動ブロックを支えている第2の重量体(M2)を有し、当該計時器用アセンブリー(10)は、複合共振器にトルクを与えるように構成する車セット(3)を有し、車セット(3)には、溝(1)が設けられており、この溝(1)の中で、摺動ブロックが最小限の遊びを有するように摺動し、摺動ブロックは、溝(1)に曲がっている部分がある場合には溝(1)の曲がりに追従するように、溝(1)の中で摩擦が発生するように擦り合わせられるように、あるいは摺動ブロックが備える磁気的又は電気的にチャージされた面によって溝(1)の側方の内側面(11、12)に反発するように、構成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの方向の自由度を有する複合共振器を有する計時器用アセンブリー(10)であって、
この複合共振器は、実質的に第1の方向(Y)にて振動するわずかな振幅を有する線形ないし回転性の第1の発振器(O1)と、及びこの第1の発振器(O1)に対して、前記第1の方向(Y)と実質的に直交する第2の方向(X)にて実質的に振動するわずかな振幅を有する線形ないし回転性の第2の発振器(O2)とを有し、
前記第2の発振器(O2)は、摺動ブロックを支えている第2の重量体(M2)を有し、
当該計時器用アセンブリー(10)は、前記複合共振器にトルクを与えるように構成する車セット(3)を有し、
前記車セット(3)には、溝(1)が設けられており、
この溝(1)の中で、前記摺動ブロックが最小限の遊びを有するように摺動し、
前記摺動ブロックは、前記溝(1)に曲がっている部分がある場合には前記溝(1)の曲がりに追従するように、前記溝(1)の中で摩擦が発生するように擦り合わせられるように、あるいは前記摺動ブロックが備える磁気的又は電気的にチャージされた面によって前記溝(1)の側方の内側面(11、12)に反発するように、構成する
ことを特徴とする計時器用アセンブリー(10)。
【請求項2】
前記溝(1)は、実質的に、前記車セット(3)の回転軸(D)に対しての半径方向に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項3】
前記溝(1)は、少なくとも1つの曲がっている部分を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計時器用アセンブリー。
【請求項4】
前記溝(1)は、前記車セット(3)の前記回転軸(D)から出る半径方向の線に対して凹んでいる領域を少なくとも1つ有する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項5】
前記溝(1)は、前記車セット(3)の前記回転軸(D)に対して半径方向の内側の第1の部分と、及び凹みが一定又は前記回転軸(D)から離れるにしたがって減少するような曲がっている第2の部分とを有し、
前記第1の部分は、前記第2の部分と滑らかに接続している
ことを特徴とする請求項3に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項6】
両側の内側面(11、12)どうしは、平行である
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項7】
前記摺動ブロックは、前記溝(1)の中で摩擦が発生するように摺動する摩擦パッド(4)を有し、
前記第2の重量体(M2)が支えているピン(2)は、前記摩擦パッド(4)の内側で回転する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項8】
前記摩擦パッド(4)が前記溝(1)の前記側方の内側面(11、12)と接触する面は、前記内側面(11、12)のうちの第1の内側面(11)と連係している互いに離れている2つの前記第1の準筒状のボス(41)と、及び前記内側面(11、12)のうちの第2の内側面(12)と連係している互いに離れている2つの第2の準筒状のボス(42)とに制限されている
ことを特徴とする請求項7に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項9】
前記摩擦パッド(4)は、少なくとも1つの弾性部分及び/又はヒンジ付けされた部分を有し、この部分は、前記摩擦パッド(4)がスライドするにしたがって前記摩擦パッド(4)が前記溝(1)の曲がりに追従することを可能にするように構成している
ことを特徴とする請求項7に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項10】
前記摩擦パッド(4)は、ボールベアリング(6)の外側ケージ(62)を支えており、
このボールベアリング(6)の内側ケージ(61)は、前記ピン(2)の回転軸としてはたらく
ことを特徴とする請求項7に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項11】
前記溝(1)の前記側方の内側面(11、12)は、磁気的又は電気的にチャージされており、前記摺動ブロックの磁気的又は電気的にチャージされた面に対して反発するように構成している
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項12】
前記摺動ブロックは、前記溝(1)の中で摺動可能に運動可能であり、反発性の磁場及び/又は静電場の影響の下で前記溝(1)の前記側方の内側面(11、12)から間隔を空けられるリング(21)を有し、
このリング(21)は、前記第2の重量体(M2)が支えているピン(2)の軸部分(20)にマウントされるように又は前記ピン(2)を形成するように、構成している
ことを特徴とする請求項11に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項13】
前記第1の発振器(1)及び/又は前記第2の発振器(2)は、12°未満の角振幅の範囲内で回転可能である
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載の計時器用アセンブリー(10)を有する
ことを特徴とする計時器用ムーブメント(100)。
【請求項15】
請求項14に記載の計時器用ムーブメント(100)を備える
ことを特徴とする腕時計(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの方向の自由度を有する複合共振器を有する計時器用アセンブリーに関し、この複合共振器は、実質的に第1の方向にて振動するわずかな振幅を有する線形ないし回転性の第1の発振器と、及びこの第1の発振器に対して、前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向にて実質的に振動するわずかな振幅を有する線形ないし回転性の第2の発振器とを有し、前記第2の発振器は、摺動ブロックを支えている第2の重量体を有し、当該計時器用アセンブリーは、前記複合共振器にトルクを与えるように構成する車セットを有し、前記車セットには、溝が設けられており、この溝の中で、前記摺動ブロックが最小限の遊びを有するように摺動する。
【0002】
本発明は、さらに、このような計時器用アセンブリーを1つ有する計時器用ムーブメントに関する。
【0003】
本発明は、さらに、このようなムーブメントを備える腕時計に関する。
【0004】
本発明は、計時器機構の分野、より詳細には、機械的な共振器に関する。
【背景技術】
【0005】
可撓性ベアリングを備え、互いに直列に配置された2つの共振器を有する複合共振器であって、一方の共振器の重量体が、トルクを受ける車セットの溝と連係するピンを支えているものが知られている。
【0006】
しかし、このピン−溝の接続においては、一定でない又は制御されていない摩擦がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような複合共振器の等時性を改善することを提案するものであり、これは、具体的には、摺動ブロック又はピンと、溝との間の摩擦を制御することによって達成する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、請求項1によると、少なくとも2つの方向の自由度を有する複合共振器を有する計時器用アセンブリーに関し、この複合共振器は、実質的に第1の方向にて振動するわずかな振幅を有する線形ないし回転性の第1の発振器と、及びこの第1の発振器に対して、前記第1の方向と実質的に直交する第2の方向にて実質的に振動するわずかな振幅を有する線形ないし回転性の第2の発振器とを有し、前記第2の発振器は、摺動ブロックを支えている第2の重量体を有し、当該計時器用アセンブリーは、前記複合共振器にトルクを与えるように構成する車セットを有し、前記車セットには、溝が設けられており、この溝の中で、前記摺動ブロックが最小限の遊びを有するように摺動する。
【0009】
本発明は、さらに、このような計時器用アセンブリーを1つ有する計時器用ムーブメントに関する。
【0010】
本発明は、さらに、このようなムーブメントを備える腕時計に関する。
【0011】
添付図面を参照しながら下記の詳細な説明を読むことで、本発明の他の特徴及び利点を理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】可撓性ベアリングを備え、互いに直列に配置された2つの共振器を有する複合共振器であって、一方の共振器の重量体が、トルクを受ける車セット(例、エスケープ車)の溝と連係するピンを支えているものの概略平面図である。
図2】本発明の第1の実施形態におけるこのピン及び車セットの溝の特定の構成の概略平面図であって、この溝は、少なくとも1つの曲がっている部分を有する。
図3】この第1の実施形態の別の変種の概略平面図であって、溝は、少なくとも1つの曲がっている部分を有する部分と滑らかに接続している半径方向の部分を有する。
図4】このような複合共振器の第2の実施形態の変種(これに限定されない)の特定の構成の概略平面図である。摺動ブロックが車セットの溝の中で摺動し、溝は、直線状かつ半径方向であり、摺動ブロックは、溝の中の摩擦パッド内で回転するピンを有する。また、パッドがボールベアリングを支えており、このボールベアリングの中で、ピンが回転するような変種(これに限定されない)をも示している。
図5】このような複合共振器の本発明の第3の実施形態の変種(これに限定されない)の特定の構成の概略平面図である。摺動ブロックは、車セットの溝の中を摺動し、溝は、直線状かつ半径方向である。特定の変種において、反発性の摺動ブロックは、場に対抗するように溝の中を摺動し、反発性の摺動ブロックは、リングの形をしており、これは、反発性の磁場及び/又は静電場の影響の下で、溝の側方の面から間隔を空けられ、溝の中を摺動可能に運動可能である。このリングは、ピンを形成してもよく、また、筒状のピンないし同様の要素を受けるようになっていてもよい。
図6】第1及び第2の実施形態が組み合わさった第4の実施形態の概略平面図であって、摩擦パッドを備えた摺動ブロックが、少なくとも1つの曲がっている部分を有する溝の中を摺動する。
図7】第1及び第3の実施形態が組み合わさった第5の実施形態の概略平面図であって、反発性の摺動ブロックが、少なくとも1つの曲がっている部分を有する溝の中を摺動する。
図8】当該複合共振器を備えるムーブメントを有する腕時計を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、2つの共振器を直列に配置することによって得られた少なくとも2つの方向の自由度を有する複合共振器であって、これらの2つの共振器が、それぞれ重量体M1、M2を有し、可撓性ベアリングを備え、第1の共振器O1の重量体M1が、第1の可撓性細長材L1によってプレートのような固定構造体Pから懸架されているものが知られている。この第1の発振器O1は、本質的に、第1の線形方向Yにて振動する。第1の共振器O1の第1の可動重量体M1は、第2の共振器O2の第2の可撓性細長材L2のためのアンカーとしてはたらく。この第2の共振器O2は、本質的に、第1の線形方向Yと実質的に垂直な第2の線形方向Xにて振動する。第2の共振器O2の第2の可動重量体M2は、摺動ブロック(図1の特定の場合において、単純なピン2で形成されている)を有している。この摺動ブロックは、トルクを受ける車セット3に設けられている溝1と連係している。この車セット3は、典型的にはエスケープ車である。
【0014】
本発明は、小さい振幅、特に、12°未満の角振幅、を有する回転性の発振器、又は線形発振器に適用可能である。本発明を、特に、線形発振器を用いる変種によって説明する。
【0015】
復帰力は、運動に正確に比例するわけではない。なぜなら、このような複合共振器において用いられる可撓性ガイドメンバーL1、L2が非常に短いからである。このことによって、運動の関数としてのばねの力が非線形性となり、これによって、等時性の欠陥が発生する。
【0016】
また、2つの共振器O1及びO2が適切に同期しない場合、このことは、車セット3とともに回転する溝1によって駆動される摺動ブロックが楕円運動をしてしまう原因となる。
【0017】
楕円運動の偏心性がゼロではなくなったり、単純な線形の往復運動に変わったりするリスクがある。これでは、システムに大きい害を与えてしまう。
【0018】
このように、摺動ブロックが溝1の中でガイドされる特性は、当該計時器に用いられる複合共振器の等時性に影響を与える。
【0019】
したがって、本発明は、溝1の形及び/又はガイドの特性にはたらきかけることによって、このような摺動ブロック(又はピン2)と溝1の間の相対的な直接又は間接的なガイドを制御することを提案するものである。
【0020】
このために、本発明は、少なくとも2つの方向の自由度を有するこのような複合共振器を1つ有する計時器用アセンブリー10に関し、これは、実質的に第1の方向Yにて振動する振幅が減少した線形ないし回転性の第1の発振器O1を有し、これに対して、第1の方向Yと実質的に直交する第2の方向Xにて実質的に振動する振幅が減少した線形ないし回転性の第2の発振器O2が振動する。第2の発振器O2は、摺動ブロックを支えている第2の重量体M2を有する。計時器用アセンブリー10は、共振器にトルクを与えるように構成する車セット3を有する。この車セット3には、溝1が設けられ、この溝1の中で、摺動ブロックが最小限の遊びを有するように摺動する。
【0021】
本発明によると、この摺動ブロックは、当該摺動ブロックが有する磁気的又は電気的にチャージされた面によって、溝1が曲がっている部分を有する場合は溝1の曲がっている部分を追従すること、溝1の中で摩擦が発生するように擦り合わさること、あるいは又は溝1の側方の内側面11、12に反発すること、のいずれかをするように構成している。
【0022】
摺動ブロックは、最も一般的な場合を表したものであり、いくつかの部品を備えた機械的なサブアセンブリーであって、そのいくつかの部品が、具体的には、互いに対して回転するように、いくつかの自由度を有するものであることができる。特定の場合では、摺動ブロックが単純化されており、ピンとなっている。
【0023】
図2及び図3に示すように、本発明の第1の実施形態において、システムが等時性を有するようにするために、摺動ブロックのためのガイドとしてはたらく溝1は、特定の形態で構成しており、ここでは単純化してピン2になっており、第2の発振器O2の第2の重量体M2に設けられている。
【0024】
本発明の第1の実施形態によると、この溝1は、可撓性ガイド細長材のばね定数の変動を修正するような半径方向の力を発生させる形を与えられる。この力は、溝の形に依存して、中心側ないし外側の方向を有することができる。
【0025】
これを達成するために、溝1は、少なくとも1つの曲がっている部分を有する。
【0026】
特定の形態において、溝1は、車セット3の回転軸Dに対して実質的に半径方向に延在する。
【0027】
特定の形態において、溝1は、車セット3の回転軸Dから出る半径方向の線に対して凹んでいる領域を少なくとも1つ有する。
【0028】
図2に示すように、第1の実施形態は、全体が曲がった溝である。
【0029】
好ましい変種において、この溝1の凹みは、当該溝1が設けられている車セットの回転軸側から徐々に減少している。
【0030】
図3に示すように、第2の実施形態においては、溝1が、当該溝1が設けられている車セット3の回転軸Dに対する半径方向に延在する内側の第1の部分と、この第1の部分と滑らかに接続している曲がっている第2の部分とを有し、この第2の部分においては、等時性の欠陥を補償するように、回転軸Dから離れるにしたがって凹みが一定又は減少している。
【0031】
別の図示していない変種においては、溝1は、半径方向ではない向きに延在し直線状である。
【0032】
具体的には、様々な実施形態において図示しているように、側方の内側面11、12どうしは平行である。
【0033】
図4に示す第2の実施形態では、システムが等時性を有するようにするために、溝1には、溝1の中において摩擦が発生するように摺動する摩擦パッド4を有する摺動ブロックが設置される。図4の例(これに制限されない)においては、この摩擦パッドは、溝1の輪郭に対して相補的な輪郭を有する角柱状の形を有し、これが溝1の中で摺動する。
【0034】
摩擦パッド4と溝1の間の摩擦によって、摺動ブロックの楕円運動を円運動に近づくように減衰させる機能がはたらく。
【0035】
第2の重量体M2が支えているピン2を摩擦パッド4が支えている場合、ピン2と溝1の間に以下の2つの種類の摩擦を発生させることができる。
− 1つ目は、ピン2と摩擦パッド4の間の第1の摩擦である。好ましいことに、この第1の摩擦は、ボールベアリング6と、ボールベアリング6の内側ケージ61を支えているピン2と、及び摩擦パッド4の内側にマウントされているボールベアリング6の外側ケージ62とによって、最小限にされ、特に、一定にされる。
− 2つ目は、摩擦パッド4と溝1の間の第2の摩擦である。
【0036】
この摩擦パッド4は、2つの発振器O1、O2の間の90°の位相ずれを可能にし、したがって、軌跡が合わさって1つの線状になることを防ぐことができる。
【0037】
図5に示すように、本発明の第3の実施形態において、互いに反発する面を用いることによって摺動ブロックと溝1の間の摩擦をなくして、この設計の効率を改善することができる。具体的には、磁石及び/又はエレクトレットを有する面を用いる。図5において、このような構成を提案している。これは、具体的には、磁気反発を用いる場合(これに限定されない)である。
【0038】
溝1の側方の内側面11、12は、磁気的又は電気的にチャージされており、摺動ブロックの磁気的又は電気的にチャージされた面に反発するように構成している。この場合、摺動ブロックは、反発性の摺動ブロックである。これは、特定の形態(これに限定されない)においては、半径方向に磁化されている磁性リング21の形態であり、あるいは図5に示す特定の変種においては、このような磁性リング21を支えている軸部分20を有している。具体的には、リング21は、第2の重量体M2が支えているピン2の軸部分20にマウントされるように、又はこのようなピン2を形成するように、構成している。
【0039】
図5に示す磁気を用いる代替実施形態では、溝1も磁気的にチャージされている。これによって、溝1が反発性の摺動ブロックによって常に反発される。
【0040】
摺動ブロックと同じ形態で、溝1は、その構造の全体にわたって磁気的にチャージされ、又は溝1の内側面の局所的な接線方向に対して垂直な方向に磁化されている十分な数の磁石を有する。
【0041】
このようにして、溝1と反発性の摺動ブロックはともに、摩擦なしのクランクロッドシステムを形成する。この主な利点は、効率が改善することと摩耗が減ることである。また、複合共振器の発振の自己始動性も改善される。
【0042】
静電気を用いる変種においては、磁石の代わりにエレクトレットを用いることができる。
【0043】
磁気を用いる変種でも静電気を用いる変種でも、溝1及び/又は反発性の摺動ブロックの磁気的又は電気的にチャージされた領域は、具体的には、リング21の形態であり、これは、溝1及び/又は反発性の摺動ブロックを形成する強磁性材料又は静電気伝導性の材料の表面層処理によって作ることができる。
【0044】
この反発性の摺動ブロックは、好ましくは、反発性の磁場及び/又は静電場の影響の下で、溝1の側方の内側面11、12から間隔を空けて、車セット3の溝1の中で最小限の遊びで摺動可能に運動可能であるようにマウントされる。このように、反発性の摺動ブロックの周部22は、これらの側方の面11、12から常に間隔を空けている。これらの面11、12は、好ましい応用例においては平行である。
【0045】
図6に示すように、第4の実施形態においては、第1及び第2の実施形態が組み合わさっており、溝1が少なくとも1つの曲がっている部分を有し、その中を摩擦パッド4が摺動する。
【0046】
この第4の実施形態の第1の変種において、摩擦パッド4には、溝1の側方の内側面11、12と接触する面があり、これは、非常に小さな面積であり、具体的には、それぞれは、一又は複数の準筒状のボス41、42又はこれと類似の形態である。少なくとも第1のボス41が、溝1の第1の内側面11と連係し、少なくとも第2のボス42が、溝1の第2の内側面12と連係する。好ましくは、少なくとも2つの第1のボス41が、溝1の第1の内側面11と連係し、少なくとも1つの第2のボス42が、溝1の第2の内側面12と連係する。これは、逆であってもよい。図示した変種においては、第1の内側面11と連係しており互いに離れている2つの第1のボス41と、及び第2の内側面12と連係しており互いに離れている2つの第2のボス42とを有する。
【0047】
この第4の実施形態の別の変種においては、摩擦パッドは、少なくとも1つの弾性部分及び/又はヒンジ付けされた部分を有する。これによって、摩擦パッドが摺動するにしたがって、実質的に一定の摩擦を維持しつつ、溝1の局所的に曲がっている部分に追従することが可能になる。
【0048】
図7に示すように、第5の実施形態においては、第1及び第3の実施形態が組み合わさっており、これにおいては、溝1は、反発性の摺動ブロックが摺動する少なくとも1つの曲がっている部分を有する。
【0049】
本発明は、さらに、溝1が設けられた車セット3を1つ備えるこのような複合共振器10であって、溝1は、直線状であり又は少なくとも1つの曲がっている部分を有し、及び/又は磁気的又は電気的に内側チャージされた内側面を有するものに関する。この溝1は、溝1に曲がっている部分がある場合に溝1の曲がりに追従するように構成する摺動ブロックを摺動可能に受け、及び/又は、当該摺動ブロックは、溝1の中で摩擦が発生するように擦り合わされる摺動ブロック又は磁気的又は電気的にチャージされた反発性の摺動ブロックである。
【0050】
本発明は、さらに、このような計時器用アセンブリー10を1つ有する計時器用ムーブメント100に関する。
【0051】
本発明は、さらに、このようなムーブメント100を1つ有する腕時計200に関する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2016年4月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの方向の自由度を有する複合共振器を有する計時器用アセンブリー(10)であって、
この複合共振器は、実質的に第1の方向(Y)にて振動するわずかな振幅を有する線形ないし回転性の第1の発振器(O1)と、及びこの第1の発振器(O1)に対して、前記第1の方向(Y)と実質的に直交する第2の方向(X)にて実質的に振動するわずかな振幅を有する線形ないし回転性の第2の発振器(O2)とを有し、
前記第2の発振器(O2)は、摺動ブロックを支えている第2の重量体(M2)を有し、
当該計時器用アセンブリー(10)は、前記複合共振器にトルクを与えるように構成する車セット(3)を有し、
前記車セット(3)には、溝(1)が設けられており、
この溝(1)の中で、前記摺動ブロックが最小限の遊びを有するように摺動し、
前記摺動ブロックは、前記溝(1)に曲がっている部分がある場合には前記溝(1)の曲がりに追従するように、前記溝(1)の中で摩擦が発生するように擦り合わせられるように、あるいは前記摺動ブロックが備える磁気的又は電気的にチャージされた面によって前記溝(1)の側方の内側面(11、12)に反発するように、構成する
ことを特徴とする計時器用アセンブリー(10)。
【請求項2】
前記溝(1)は、実質的に、前記車セット(3)の回転軸(D)に対しての半径方向に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項3】
前記溝(1)は、少なくとも1つの曲がっている部分を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用アセンブリー。
【請求項4】
前記溝(1)は、前記車セット(3)の前記回転軸(D)から出る半径方向の線に対して凹んでいる領域を少なくとも1つ有する
ことを特徴とする請求項3に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項5】
前記溝(1)は、前記車セット(3)の前記回転軸(D)に対して半径方向の内側の第1の部分と、及び凹みが一定又は前記回転軸(D)から離れるにしたがって減少するような曲がっている第2の部分とを有し、
前記第1の部分は、前記第2の部分と滑らかに連続している
ことを特徴とする請求項3に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項6】
両側の内側面(11、12)どうしは、平行である
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項7】
前記摺動ブロックは、前記溝(1)の中で摩擦が発生するように摺動する摩擦パッド(4)を有し、
前記第2の重量体(M2)が支えているピン(2)は、前記摩擦パッド(4)の内側で回転する
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項8】
前記摩擦パッド(4)が前記溝(1)の前記側方の内側面(11、12)と接触する面は、前記内側面(11、12)のうちの第1の内側面(11)と連係している互いに離れている2つの前記第1の準筒状のボス(41)と、及び前記内側面(11、12)のうちの第2の内側面(12)と連係している互いに離れている2つの第2の準筒状のボス(42)とに制限されている
ことを特徴とする請求項7に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項9】
前記摩擦パッド(4)は、少なくとも1つの弾性部分及び/又はヒンジ付けされた部分を有し、この部分は、前記摩擦パッド(4)がスライドするにしたがって前記摩擦パッド(4)が前記溝(1)の曲がりに追従することを可能にするように構成している
ことを特徴とする請求項7に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項10】
前記摩擦パッド(4)は、ボールベアリング(6)の外側ケージ(62)を支えており、
このボールベアリング(6)の内側ケージ(61)は、前記ピン(2)の回転軸としてはたらく
ことを特徴とする請求項7に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項11】
前記溝(1)の前記側方の内側面(11、12)は、磁気的又は電気的にチャージされており、前記摺動ブロックの磁気的又は電気的にチャージされた面に対して反発するように構成している
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項12】
前記摺動ブロックは、前記溝(1)の中で摺動可能に運動可能であり、反発性の磁場及び/又は静電場の影響の下で前記溝(1)の前記側方の内側面(11、12)から間隔を空けられるリング(21)を有し、
このリング(21)は、前記第2の重量体(M2)が支えているピン(2)の軸部分(20)にマウントされるように又は前記ピン(2)を形成するように、構成している
ことを特徴とする請求項11に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項13】
前記第1の発振器(1)及び/又は前記第2の発振器(2)は、12°未満の角振幅の範囲内で回転可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の計時器用アセンブリー(10)。
【請求項14】
請求項1に記載の計時器用アセンブリー(10)を有する
ことを特徴とする計時器用ムーブメント(100)。
【請求項15】
請求項14に記載の計時器用ムーブメント(100)を備える
ことを特徴とする腕時計(200)。
【国際調査報告】