特表2019-532699(P2019-532699A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2019-532699スペクトルコンピュータ断層撮影法(CT)のスペクトル較正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-532699(P2019-532699A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(54)【発明の名称】スペクトルコンピュータ断層撮影法(CT)のスペクトル較正
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20191018BHJP
   G01T 1/24 20060101ALI20191018BHJP
   G01T 1/17 20060101ALI20191018BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20191018BHJP
   G01N 23/046 20180101ALI20191018BHJP
【FI】
   A61B6/03 373
   A61B6/03 350F
   A61B6/03 350H
   G01T1/24
   G01T1/17 E
   G01T7/00 C
   G01N23/046
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-515314(P2019-515314)
(86)(22)【出願日】2017年9月12日
(85)【翻訳文提出日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】US2017051096
(87)【国際公開番号】WO2018057338
(87)【国際公開日】20180329
(31)【優先権主張番号】15/273,043
(32)【優先日】2016年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100115462
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヤナン
(72)【発明者】
【氏名】フ,ゲン
(72)【発明者】
【氏名】エディック,ピーター・エム
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ヘウェイ
【テーマコード(参考)】
2G001
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA01
2G188AA02
2G188BB02
2G188CC29
2G188DD20
2G188DD28
2G188EE07
2G188FF04
2G188FF28
4C093AA22
4C093CA13
4C093EA07
4C093EB13
4C093FC16
4C093FC17
4C093GA01
(57)【要約】
本明細書では、CT画像化システムのX線検出器アレイを用いて1つまたは複数の較正スキャンを実行することを含む方法が記載され、1つまたは複数の較正スキャンは、X線検出器アレイの第1から第Nの要素の各要素に対して、1つまたは複数の較正測定値を取得することと1つまたは複数の較正測定値を使用して、第1から第N要素の各要素に対してのスペクトル応答モデルを更新することとを含む。別の態様では、CT画像化システムは、X線検出器アレイの要素のための更新されたスペクトル応答モデルを使用して、例えば物質分解(MD)画像化を含む、画像化を実行することができる。スペクトル応答モデルは、X線検出器アレイの異なる要素が異なるスペクトル応答モデルを有するように、較正プロセスを使用して更新することができる。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)CT画像化システム(10)のX線検出器アレイ(18)を用いて1つまたは複数の較正スキャンを実行し、前記1つまたは複数の較正スキャンは、前記X線検出器アレイ(18)の第1から第Nの要素(20)の各要素に対して、1つまたは複数の較正測定値を取得することを含むことと、
(b)第1から第Nの要素(20)の前記各要素に対して前記1つまたは複数の較正測定値を使用して、CT画像化システム(10)のX線検出器アレイ(18)の前記第1から第Nの要素(20)の各要素に対してスペクトル応答モデルを更新し、前記更新は前記第1から第Nの要素(20)の各要素に対して更新されたスペクトル応答モデルをもたらし、前記CT画像化システム(10)は、画像化の実行のために第1から第Nの要素(20)の各要素に対して前記更新されたスペクトル応答モデルを使用するように構成されることと
を含む、方法(100)。
【請求項2】
前記スペクトル応答モデルの初期モデルを確立することは、モンテカルロシミュレーション、解析モデル、およびシンクロトロン源を用いた測定からなる群から選択される1つまたは複数の使用を含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記第1から第Nの要素(20)のうちの或る要素に対する前記スペクトル応答モデルは、狭帯域源による照明下での前記或る要素のスペクトル応答を特徴付ける、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項4】
画像化の前記実行が物質分解の実行を含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記第1から第Nの要素(20)の各々に対する前記スペクトル応答モデルは、検出器要素の1つまたは複数の物理的特徴に応じて確立される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項6】
1つまたは複数の較正スキャンの前記実行は、スキャン視野内の1つまたは複数の位置で1つまたは複数の較正ファントム(22)を使用して較正スキャンを実行することを含み、前記較正ファントム(22)は任意選択で、原子番号20以上を有する物質を含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項7】
1つまたは複数の較正スキャンの前記実行は、前記スキャン視野内の1つまたは複数の位置で1つまたは複数の較正ファントム(22)の第1スキャンを使用して較正スキャンを実行することを含み、1つまたは複数の較正ファントム(22)の前記第1スキャンは物資の第1セットを含み、前記スキャン視野内の1つまたは複数の位置における1つまたは複数の較正ファントム(22)を使用して第2スキャンを実行し、1つまたは複数の較正ファントム(22)の前記第2スキャンは物質の第2セットを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項8】
1つまたは複数の較正スキャンの前記実行は、少なくとも第1位置に配置された較正ファントム(22)を実行することと、前記第1位置からオフセットした較正ファントム(22)を使用して追加のスキャンを実行することとを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記方法が、前記1つまたは複数の較正スキャンを実行し、繰り返し更新して、スペクトルの不均一性を補償することとを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項10】
前記更新は、較正測定値に対する予測値が実際の較正測定値と比較されるフォワードモデルプロセスを用いることを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項11】
前記更新は、或る要素に対する較正測定値の予測値が実際の較正測定値と比較されるフォワードモデルプロセスを用いることを含み、類似性をもたらすスペクトル応答モデルが、前記或る要素に対して出力スペクトル応答モデルとして選択される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項12】
前記更新は、或る要素に対する較正測定値に対する予測値が実際の較正測定値と比較されるフォワードモデルプロセスを採用することを含み、類似をもたらすスペクトル応答モデルが、前記或る要素に対する更新されたスペクトル応答モデルとして選択され、前記或る要素に対する最新の更新されたスペクトル応答モデルが画像化の実行において使用される、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項13】
前記第1から第Nの要素(20)のうちの或る要素に対して、スペクトル応答モデルについての1つまたは複数の調整パラメータを確立することを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項14】
前記1つまたは複数の調整パラメータが、スペクトル応答プロファイルのガウス部分をモデル化するための1つまたは複数の調整パラメータと、スペクトル応答プロファイルのテール部分をモデル化するための1つまたは複数の調整パラメータとを含む、請求項13に記載の方法(100)。
【請求項15】
前記第1から第Nの要素(20)のそれぞれの要素毎にスペクトル応答モデルを前記更新することは、前記第1から第Nの要素(20)の各要素に対する前記スペクトル応答モデルを繰り返し更新することを含む、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項16】
前記第1から第Nの要素(20)の各要素に対する前記更新されたスペクトル応答モデルは、較正プロセスの終了時に最も新しく更新された最新の更新されたスペクトル応答モデルである、請求項15に記載の方法(100)。
【請求項17】
CT画像化システム(10)であって、
X線検出器アレイ(18)を含み、
前記CT画像化システム(10)は、前記X線検出器アレイ(18)から1つまたは複数の較正測定値を取得して、前記X線検出器アレイ(18)の前記第1から第Nの要素(20)の各要素に対して更新されたスペクトル応答モデルを生成するように動作し、
前記CT画像化システム(10)は、画像化の実行のために前記それぞれの第1から第Nの要素(20)の各々に対して前記更新されたスペクトル応答モデルを使用するように動作可能であり、前記スペクトル応答モデルは前記第1から第Nの要素(20)の要素間で区別される、CT画像化システム(10)。
【請求項18】
(a)CT画像化システム(10)のX線検出器アレイ(18)を用いて1つまたは複数の較正スキャンを実行し、前記1つまたは複数の較正スキャンは、前記CT画像化システム(10)内の前記スキャン視野内の1つまたは複数の位置に1つまたは複数の較正ファントム(22)を配置し、前記第1から第Nの要素(20)の各要素に対して、1つまたは複数の較正測定値を取得し、前記較正ファントム(22)は、任意選択で、少なくとも20の原子番号を有する物質を含むことと、
(b)各要素に対して前記1つまたは複数の較正測定値を使用して、較正情報を利用して、各要素に対して更新されたスペクトル応答モデルを生成し、前記CT画像化システム(10)は、画像化の実行のために前記第1から第Nの要素(20)の各要素に対して前記更新されたスペクトル応答モデルを使用するように構成されることと
を含む、方法。
【請求項19】
画像化の前記実行が物質分解の実行を含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、非侵襲的画像化に関し、特に、コンピュータ断層撮影(CT)システム画像化の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に開示される主題は、非侵襲的画像化に関し、特に、放射線画像化システムのスペクトル較正に関する。
【0003】
医用画像化およびセキュリティスクリーニングの分野において、非侵襲的画像化技術は、利便性およびスピードを含む利点のために重要性を増している。医学的および研究的状況において、皮膚表面下の器官または組織を画像化するために、非侵襲的画像化技術が使用される。同様に、工業的または品質管理(QC)の状況では、外部検査からは明らかではない場合がある隠れた欠陥について部品または品目を検査するために非侵襲的画像化技術が使用される。セキュリティスクリーニングでは、容器を開けることなく容器の内容物(例えば、パッケージ、バッグ、または荷物)を検査するために、および/またはセキュリティ保護された場所に出入りする個人を審査するために、非侵襲的画像化技術が典型的に使用される。
【0004】
非侵襲的画像化システムの一例は、X線源が対象物または被験体(例えば患者、製造された部品、パッケージ、または荷物の一部)に向かって、様々な角度の位置から放射線(例えばX線)を放出するコンピュータ断層撮影(CT)画像化システムである。放出されたX線は、被験体または対象物によって減衰された後、典型的には電子検出器の放射線検出器要素のアレイに衝突し、アレイは検出器上の異なる位置に入射放射線を示す信号を生成する。X線源および放射線検出器を含むガントリは、対象物の周りを回転してもよく、またはX線源および放射線検出器の位置は固定したまま対象物を回転させてもよい。検出器に到達する放射線の強度は、典型的には、X線管から放出されたX線スペクトル、ならびにスキャンされた被験体または対象物を通るX線の減衰および吸収に依存する。検出器で生成された信号は、被験体または対象物の内部構造の画像および/または立体表現を生成するために処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/076767号パンフレット
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、CT画像化システムのX線検出器アレイを用いて1つまたは複数の較正スキャンを実行することを含む方法が記載され、X線検出器アレイは、個々の検出器要素を含み、1つまたは複数の較正スキャンは、X線検出器アレイの第1から第Nの要素の各要素に対して、1つまたは複数の較正測定値を取得することと、各要素に対して1つまたは複数の較正測定値を使用して、第1から第Nの要素の各要素に対してのスペクトル応答モデルを更新することとを含む。
【0007】
別の態様では、CT画像化システムは、X線検出器アレイの要素のための更新されたスペクトル応答モデルを使用して、例えば物質分解(MD)画像化を含む、画像化を実行することができる。スペクトル応答モデルは、X線検出器アレイの異なる要素が異なるスペクトル応答モデルを有するように、較正プロセスを使用して更新することができる。
【0008】
本発明のこれらの、ならびに他の特徴、態様および利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されよう。添付の図面では、図面の全体にわたって、類似する符号は類似する部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】CT画像化システムの物理的斜視図である。
図2】本開示の一実施形態を示すCT画像化システムのブロック図である。
図3】検出器アレイの一実施形態において、X線検出器アレイを較正するための方法を示す流れ図である。
図4A】要素に対するスペクトル応答モデルのプロットである。
図4B】要素に対するスペクトル応答モデルのプロットである。
図5】CT画像化システムにおける較正ファントムの使用を示す概略図である。
図6】一実施形態における較正信号収集ルーチンの実行を示す流れ図である。
図7】一実施形態におけるスペクトル応答モデルの更新を示す流れ図である。
図8】物質分解(MD)パラメータの取得を示す流れ図である。
図9】MDパラメータの取得を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、CT画像化システムのX線検出器アレイを用いて1つまたは複数の較正スキャンを実行することを含む方法が記載され、1つまたは複数の較正スキャンは、第1から第Nの要素の各要素に対して、1つまたは複数の較正測定値を取得することと、各要素に対して1つまたは複数の較正測定値を使用して、第1から第Nの要素の各要素に対してのスペクトル応答モデルを更新することとを含む。
【0011】
図1および図2を参照すると、例示的なコンピュータ断層撮影(CT)画像化システム10がガントリ12を含むものとして示されている。ガントリ12は、ガントリ12の反対側の検出器アセンブリ15に向かってX線ビーム16を投影するX線源14を有する。検出器アセンブリ15は、複数の要素20を有するX線検出器アレイ18と、データ取得システム(DAS)32とを含むことができる。検出器アセンブリ15はまた、コリメータ(図示せず)を含み得る。複数の要素20は、CT画像化システム10の開口部48内に配置された医療患者を通過する投影X線を検出し、DAS32は、後続の処理のために測定データをデジタル信号に変換する。
【0012】
CT画像化システム10の各要素20は、衝突するX線ビームの強度を表し、したがって、ビームが患者、対象物、または図1に示すようにスペクトル較正ファントム22を通過するときの減衰ビームを表すアナログ電気信号を生成することができる。X線投影データを取得するためのスキャン中、ガントリ12およびガントリに取り付けられた構成要素は、回転中心24の周りを回転する。本明細書の実施形態は、製造公差により、変化するエネルギーレベルのX線に曝されると、異なる要素20が異なるように応答することができることを認識する。X線検出器アレイ18の不均一性は、画像化されている対象物の真の特性を誤って表す画像化「アーチファクト」をもたらす可能性がある。一実施形態では、X線検出器アレイ18は、テルル化カドミウム亜鉛(CZT)検出器アレイとすることができる。一実施形態では、X線検出器アレイ18はテルル化カドミウム(CdTe)検出器アレイとすることができる。本明細書の実施形態は、記載のタイプを含む様々なタイプのX線検出器アレイ18が不均一性を含み得ることを認識する。
【0013】
ガントリ12の回転およびX線源14の動作は、CT画像化システム10の制御機構26によって制御される。制御機構26は、X線源14に電力およびタイミング信号を供給するX線コントローラ28と、ガントリ12の回転速度および位置を制御するガントリモータコントローラ30とを含むことができる。画像再構成装置34は、DAS32からサンプリングされデジタル化されたX線データを受け取り、高速再構成を実行する。高速再構成は、本明細書に記載の物質分解(MD)プロセスによるマルチエネルギー投影データの使用を含むことができる。
【0014】
再構成画像はコンピュータ36への入力として利用することができ、コンピュータは画像を大容量記憶装置38に格納することができる。コンピュータ36はまた、DAS32からのデータを大容量記憶装置38に格納することもできる。コンピュータ36はまた、コンソール40を介してオペレータからコマンドおよびスキャンパラメータを受け取る。関連するディスプレイ42によって、オペレータは、コンピュータ36からの再構成画像および他のデータを見ることが可能になる。オペレータが供給したコマンドおよびパラメータは、制御信号および情報をDAS32、X線コントローラ28、およびガントリモータコントローラ30に提供するためにコンピュータ36によって使用される。さらに、コンピュータ36は、テーブルモータコントローラ44を制御して、画像化手順(例えば、患者またはスペクトル較正ファントム22のスキャン)を受けている患者または対象物をガントリ12内に位置決めするように電動テーブル46を制御することができる。具体的には、テーブル46は、ガントリ開口部48を通じて被験体または他の対象物の一部を移動させる。
【0015】
図3の流れ図を参照すると、CT画像化システム10のX線検出器アレイ18を用いてブロック112で1つまたは複数の較正スキャンを実行して、ブロック112で得られた第1から第Nの要素の各要素に対して1つまたは複数の較正測定値を得ること、ブロック116で、各要素に対して1つまたは複数の較正測定値を用いて、X線検出器アレイ18の第1から第Nの要素のそれぞれについてのスペクトル応答モデルを更新することとを含む方法100が示される。
【0016】
一態様では、CT画像化システム10は、1つまたは複数のスペクトル応答モデルを使用して、CT画像化システム10内に配置された対象物に対して物質分解(MD)を実行するように構成でき、1つまたは複数のスペクトル応答モデルは各要素に対してスペクトル応答を特徴付ける。一実施形態では、較正プロセスを実行して、X線検出器アレイ18の第1から第Nの要素に対するスペクトル応答モデルを更新することができる。本明細書に記載の較正プロセスの結果として、X線検出器アレイ18の異なる要素は、較正プロセスを通して提供される異なる更新されたスペクトル応答モデルを有することができる。本明細書の方法は、X線検出器アレイ18の要素の不均一性に対処する処理技術によって、被験体のより正確な表現をもたらすことができる。
【0017】
図3の流れ図を参照して説明した方法100をさらに参照すると、方法100は、ブロック112の前に、X線検出器アレイ18の第1から第Nの要素の各々に対する初期スペクトル応答モデルを確立することを含み得る。
【0018】
要素に対する例示的なスペクトル応答モデル200を図4Aおよび図4Bに示す。スペクトル応答モデル200は、幾つかの仮説の狭帯域照明エネルギーレベル(狭帯域エネルギーレベルは理想的には単一のエネルギーレベルに対応する)の各々について、要素の予想スペクトル応答、例えば、照明エネルギーレベルに対するスペクトル応答プロファイル201、第2照明エネルギーレベルに対する第2スペクトル応答プロファイル202、第3照明エネルギーレベルに対する第3スペクトル応答プロファイル203、第4照明エネルギーレベルに対する第4スペクトル応答プロファイル204、第5照明エネルギーレベルに対する第5スペクトル応答プロファイル205、第6照明エネルギーレベルに対する第6スペクトル応答プロファイル206などを含むことができる。スペクトル応答モデルを確立することは、検出器サイズ、検出器ピッチ、検出器のセンサ物質の厚さ、関連する電子機器の整形時間、およびセンサにかかる印加電圧などの検出器設計の特徴に基づいて、スペクトル応答モデルを確立することを含み得る。
【0019】
一実施形態では、モンテカルロシミュレーションは、初期スペクトル応答モデルを確立するために実行することができる。モンテカルロシミュレーションへの入力には、入射X線フォトンのエネルギー、センサ材料(X線吸収効率、電荷輸送寿命、移動度を含む)、センサの厚さ、相互作用するX線フォトンによって生成された電子雲のサイズ、センサにかかる電圧、検出器要素のサイズ、隣接要素間の距離、および検出器内のノイズレベルを含めることができる。初期スペクトル応答モデルを確立することは、モンテカルロシミュレーションの使用に加えて、またはその代わりに、プロセスの使用を含むことができ、例えば、解析モデルの使用またはシンクロトロン源による測定の使用のうちの1つまたは複数を含むことができる。図4Aおよび図4Bの表現では、スペクトル応答モデルは、異なるエネルギーレベルに対する6つの個別のスペクトル応答プロファイルを含むものとして表されている。しかしながら、当業者は、スペクトル応答モデルが、連続したエネルギーレベルに対するスペクトル応答プロファイルを表す関数を使用して確立され得ることを認識するであろう。スペクトル応答モデルのための分解能またはサンプリングは、例えば利用可能な処理リソースおよび/または処理時間要件に基づいて選択することができる。
【0020】
スペクトル応答モデルを確立することは、スペクトル応答モデルに対する調整パラメータを確立することを含み得る。一態様では、スペクトル応答モデルは、調整パラメータに関して表現することができる。例えば、各スペクトル応答プロファイル201〜206は、ガウスプロファイル成分(右側)およびテールプロファイル成分(左側)を含むと見なすことができる。テール成分は、隣接要素からの電荷共有およびセンサ物質から隣接要素への蛍光X線の漏出に起因し得る。ガウスプロファイル部分は、1つまたは複数の調整パラメータ、例えば平均値(ピーク位置)および標準偏差(幅に関連)に関して表現することができる。スペクトル応答プロファイルのテール部分は、1つまたは複数の調整パラメータ、例えば、線形タンジェント値に関して表現することができる。スペクトル応答モデルの調整パラメータは、本明細書に記載されるように較正プロセスの実行を用いて調整することができる。
【0021】
方法100をさらに参照して、ブロック112に関するさらなる詳細(1つまたは複数の較正スキャンを実行すること)を次に説明する。ブロック112における1つまたは複数のスキャンの実行は、図5に概略的に示されるように、CT画像化システム10内に配置されている較正ファントム22を用いる1つまたは複数のスキャンの実行を含み得る。一実施形態では、1つまたは複数の較正スキャンを実行することは、スキャン視野(FOV)内の中心位置および複数のオフセット位置で較正ファントム22を使用することを含むことができる。一実施形態では、1つまたは複数の較正スキャンを実行することは、2つ以上の較正ファントム22を使用することを含むことができる。
【0022】
ブロック112における1つまたは複数の較正スキャンの実行は、単一の較正ファントム22を用いた単一のスキャンの実行を含み得る。較正スキャン中に、X線検出器アレイ18の第1から第Nの要素に対して較正出力測定信号を得ることができる。較正ファントム22は、例えば、水および/またはヨウ素を含み得る。
【0023】
別の実施形態における1つまたは複数の較正スキャン(ブロック112)の実行は、図6の流れ図を参照してさらに詳細に説明される。ブロック1121において、中心位置に配置された第1較正ファントム(例えば水を含む)を用いて第1較正スキャンを実行することができる。ブロック1122において、1つまたは複数のオフセット位置に配置された第1較正ファントム(例えば水を含む)を用いて、少なくとも1つの第2較正スキャンを実行することができる。ブロック1123において、中心位置に配置された第2較正ファントム(例えば、ヨウ素を含む)を用いて、第1較正スキャンを実行することができる。ブロック1124において、1つまたは複数のオフセット位置に配置された第2較正ファントム(例えば、ヨウ素を含む)を用いて、少なくとも1つの第2較正スキャンを実行することができる。図6の流れ図で参照される各較正スキャンの間に、第1から第Nの要素の各要素に対する1つまたは複数の較正測定値は、X線検出器アレイ18の読み取りによってX線検出器アレイ18から得ることができる。各較正スキャンについて、ガントリ12の回転によってスキャン角度を複数回変えることができる。ヨウ素を含む較正ファントムが記載されている本明細書中の例では、ヨウ素は、高い原子番号、例えば、原子番号20以上を有する別の物質と置換することができる。一般に、1つまたは複数の物質を含む1つまたは複数のファントムをスキャン視野内の1つまたは複数の位置に配置して、本明細書に開示の処理方法を利用するために必要な較正測定値を取得することができる。
【0024】
方法100をさらに参照すると、ブロック116で方法100は、X線検出器アレイ18の各要素に対してスペクトル応答モデルを更新することができる。再び図4Aを参照すると、更新されたスペクトル応答モデルが概略的に示されている。図4Aを参照すると、初期スペクトル応答モデルは一セットのスペクトル応答プロファイル201〜206を含むことができる。図4Aに示されるようなスペクトル応答モデル200の各エネルギーレベルについて、スペクトル応答モデルは、一実施形態において異なる照明エネルギーレベルでのスペクトル応答プロファイルの例示的更新を示すスペクトル応答プロファイル301〜306によって示されるように、更新され得る。図4Bは、ブロック116で更新することができる他の要素に対するスペクトル応答モデルを示す。図4Bを参照すると、X線検出器アレイ18の他の要素は、更新されたスペクトル応答プロファイル401〜406によって示されるように、他の要素に対するスペクトルモデルとは異なるように更新されたスペクトルモデルを有することができる。
【0025】
一実施形態におけるブロック116における更新の態様は、以下のようにさらに説明される。本明細書の実施形態は、要素に対するスペクトル応答モデルが完全に確立される場合、特定のスキャン条件下でのX線検出器アレイ18の出力が正確に知られることになる(較正測定の予測値)ことを認識する。しかしながら、製造およびシステムセットアップ公差のために、要素の実際の較正測定値は予測値から外れることがある。本明細書の実施形態は、X線検出器アレイ18の第1から第Nの要素に対するスペクトル応答モデルを更新するように動作し、その結果、スペクトル応答モデルが各要素の機能をより正確に表し、要素間の機能的側面における不均一性を特徴付ける。ブロック116でスペクトル応答モデルを更新することは、X線検出器アレイ18の第1から第Nの要素の各々について、1つまたは複数のスキャンについて一連のスキャン角度から取得したデータから、出力較正スペクトル応答モデルを繰り返し更新することを含み得る。最新の更新された較正スペクトル応答モデルを、ブロック116に続く画像化の実行のために使用することができる。
【0026】
一実施形態では、CT画像化システム10は、X線検出器アレイ18の要素に対する更新されたスペクトル応答モデルを決定するためにフォワードモデルプロセスを使用することができる。フォワードモデルプロセスでは、較正測定値の予測値と実際の較正測定値の両方を使用できる。スペクトル応答モデルを更新するためのフォワードモデル手順の態様は、図7の流れ図を参照して説明される。
【0027】
ブロック702、706、および710を参照すると、システム10は、スペクトル応答モデルの調整パラメータを確立し、システムのフォワードモデルにおいてスキャン環境パラメータを利用することによって、現在のスキャン条件下で或る要素に対する較正測定値の予測値を決定できる。ブロック714を参照すると、システム10は、例えばブロック112に従って、或る要素に対する較正測定値を取得することができる。
【0028】
ブロック720において、システム10は、予測された較正測定値と実際の較正測定値とを比較し、決定ブロック726において、システム10は、ブロック714における出力として、現在の要素に対する較正測定値の予測値が実際の較正測定値と一致するか否かを判定し得る。システム10の場合、ブロック726で一致があると判定すると、システム10は少なくとも1つの一致基準を適用することができる。一実施形態における一致基準によれば、較正測定値の予測値は実際の較正測定値と同一である必要はないが、例えば実際の較正測定値と統計的に類似していてもよい。ブロック726でシステム10が較正測定値の予測値と実際の較正測定値との間に一致があると判定した場合、ブロック730でシステム10は現在の要素に対する更新された較正スペクトル応答モデルとして、一致をもたらすスペクトル応答モデルを選択できる。そうでなければ、ブロック728でスペクトル応答モデルの調整パラメータを調整することができ、ブロック702で、確立されたパラメータは、ブロック728で調整された調整パラメータに基づくことができ、プロセスフローは、一致基準が満たされるまで繰り返すことができる。
【0029】
予測要素信号値を出力するためのブロック702、706、および710の態様について、さらに説明する。ブロック702において、システム10は、或る要素、例えばX線検出器アレイ18の第1から第Nの要素の或る要素のスペクトル応答モデルのためのフォワードモデル調整パラメータを確立することができる。フォワードモデル調整パラメータは、図4Aおよび図4Bを参照して説明したスペクトル応答モデル調整パラメータ、例えばスペクトル応答プロファイルのガウス部分をモデル化するための1つまたは複数の調整パラメータと、スペクトル応答プロファイルのテール部分をモデル化するための1つまたは複数の調整パラメータ、に従って選択することができる。ブロック706で、システム10は、較正ファントム22をモデル化するためのパラメータおよびX線源14の動作パラメータ(動作管電圧および動作管電流)などの現在のスキャン環境をモデル化するための可変パラメータを確立することができる。パラメータは、ファントム22の物質と較正ファントム22のスキャン視野内のオフセットの両方をモデル化することができる。ブロック710において、システム10は、較正測定値のための予測出力値を決定するために、シミュレーション(フォワードモデル)を実行することができる。シミュレーションは、スペクトル応答モデル(ブロック702)と環境モデル(ブロック706)との畳み込みの実行を含むことができる。ブロック720で、システム10は、較正測定値の予測値を実際の較正測定値と比較することができる。ブロック702でシステム10によって確立されたスペクトル応答モデルは、図7の流れ図のフォワードモデル手順が、システム10の初期較正中に或る要素に対して初めて実行される場合の、初期スペクトル応答モデルであり得る。そうでなければ、スペクトル応答モデルは、調整されたスペクトル応答モデル調整パラメータ、例えば本明細書に記載されているように更新または調整された調整パラメータ、を有するスペクトル応答モデルとすることができる。
【0030】
ブロック726でシステム10が較正測定値の予測値と実際の較正測定値との間に一致があると判定した場合、ブロック730でシステム10は或る要素に対する更新されたスペクトル応答モデルとして、一致をもたらすスペクトル応答モデルを選択できる。スペクトル応答モデルを選択するために、ブロック726で決定された一致をもたらし、かつ一致するスペクトル応答モデルを定義するスペクトル応答モデル調整パラメータにフラグを付けることができる。ブロック730でスペクトル応答モデルが選択される場合、システム10は進行し、別の要素に対して、例えば、較正によって必要とされ得るような現在のスキャンの一連のスキャン角度について、次のスキャンの一連のスキャン角度について、図7の流れ図の手順を再度実行することができる。或る要素に対するスペクトル応答モデルは、較正、例えば、1つまたは複数の較正ファントム22の全ての較正ファントムに対する較正、ならびに1つまたは複数の較正ファントムの中心および1つまたは複数のオフセット位置に対する較正に必要とされるように、各スキャンの一連のスキャン角度に対して繰り返し更新することができる。図7の流れ図を参照して示されているフォワードモデル手順は、X線検出器アレイ18の第1から第Nの要素のそれぞれに対して繰り返すことができる。
【0031】
ブロック726でシステム10が較正測定値の予測値と実際の較正測定値との間に一致がないと判定した場合、システム10はブロック728でスペクトル応答モデルのスペクトル応答モデル調整パラメータを新しい値に調整し、ブロック702において、調整値に基づいてスペクトル応答モデル調整パラメータを確立することができる。システム10は、ブロック728において、分析(例えば最小二乗フィッティング)および/または反復(例えば最大尤度)方法を用いて、フォワードモデルを用いたシミュレートデータが測定データに類似するまでスペクトル応答モデル調整パラメータを調整することができる。
【0032】
ブロック112で参照される1つまたは複数の較正スキャンは、2つ以上の較正スキャンを含むことができ、各較正スキャンは複数のスキャン角度でのスキャンを含むことができる。単一の較正スキャンを有する較正プロセスの実行において、或る要素に対する較正スペクトル応答モデルは、単一のスキャンの一連のスキャン角度に対して更新され得る。複数の較正スキャンを有する較正プロセス(例えば、複数の較正ファントム22および/または較正ファントム22の複数の位置を使用する)の実行において、或る要素に対するスペクトル応答モデルは、別個にまたはまとめて、スキャンの集合の各スキャンに対する一連のスキャン角度に対して更新され得る。図7に関連して説明した方法は、X線検出器アレイ18の第1から第Nの要素の各々に対して実行することができる。第1から第Nの要素は、X線検出器アレイ18の全ての要素、要素の隣接するセットを含むX線検出器アレイ18の要素のサブセット、要素の隣接しないセット、隣接するおよび隣接しない要素を有する要素のセット、またはX線検出器アレイ18の要素のランダムサンプリングを指すことができる。
【0033】
一実施形態(図3)においてブロック116で第1から第Nの要素のセットに対するスペクトル応答モデルを更新するために、システム10は、X線検出器アレイ18のそれぞれの要素に対してスペクトル応答モデルを繰り返し更新することができる。本明細書に記載されているように、システム10は、それぞれの要素に対してスペクトル応答モデルを更新するために、それぞれの要素の較正測定信号を使用することができる。
【0034】
図3の流れ図に示される方法100をさらに参照すると、方法100はブロック116の後に、ヒトの被験体などの対象物の画像化を実行することを含むことができる。画像化を実行することは、ブロック116で更新されるように、第1から第Nの要素のそれぞれの要素に対して、スペクトル応答モデルを使用して物質分解(MD)を実行することを含むことができる。CT画像化性能を向上させるために、システム10によってMDを実行することができる。システム10を起動してCTスキャンを実行することができ、それに応じて画像化システム10は、決定されたMD情報を使用してCTスキャン画像を出力することができる。一実施形態では、システム10はMD情報を基底物質投影、例えば水およびヨウ素投影の形で出力することができ、これは、画像再構成装置34が画像再構成を実行するために使用することができる。一実施形態では、画像化の実行は、MDの実行および/または画像再構成の実行を含むことができる。
【0035】
物質分解(MD)を実行するために使用できる関数の一例は以下の通りである。
【0036】
【数1】
ここで、
【0037】
【数2】
は基底物質の集合に対する面積密度推定値のベクトル、λはi番目のエネルギービン内のフォトン計数である。
【0038】
【数3】
(M個の基底物質のそれぞれに対する面積密度推定値のM次元ベクトル)からのλの計算は、CT画像化システムのフォワードモデルに基づき、
【0039】
【数4】
ここで、S(E)はスペクトル応答を表し、Φ(E)はソーススペクトルを表し、D(E)は検出器要素の検出効率を表す。
【0040】
【数5】
ここで、R(E、E’)は要素毎に較正されたスペクトル応答関数であり、Ti−1およびTは、i番目のエネルギービンのエネルギー閾値である。
【0041】
減衰係数
【0042】
【数6】
は次のように定義される。
【0043】
【数7】
ここで、
【0044】
【数8】
は密度分布、fa(E)は質量減衰係数、Mは基底物質の総数である。したがって、式2の線積分は次のように書くことができる。
【0045】
【数9】
ここで、
【0046】
【数10】
は、
物質面積密度の定義である物質密度積分を指す。
【0047】
図7の流れ図および式1〜6のプロセスを包含する物質分解を実行するための方法は、図8の流れ図を参照して説明される。図8の流れ図を参照してブロック802において、システム10はCTスキャンから各検出器要素に対する測定信号を出力することができる。例えばCTスキャンの実行中に、人体をCT画像化システム10内に配置することができる。ブロック806で、システム10は、ブロック802で出力された各検出器要素に対する測定信号と、ブロック814でMD情報を出力するためのブロック810でのスペクトル応答モデル、例えば基底物質分布の面積密度推定とを使用して、MD処理を実行することができる。ブロック810を参照すると、スペクトル応答モデルをMD処理ブロック806に入力することができる。ブロック810で参照されるスペクトル応答モデルは、要素毎のスペクトル応答モデルとすることができ、これはスペクトル応答モデルを要素間で区別することができることを意味する。要素毎のスペクトル応答モデルは、図7の流れ図に関連して説明したように更新することができる。したがって、ブロック112およびブロック116で参照された較正プロセスに従って更新されるスペクトル応答モデルは、要素間で区別することができる。一実施形態では、MDプロセスで使用される或る要素に対する更新されたスペクトル応答モデルは、或る要素に対する最新の更新されたスペクトル応答モデル、例えば、図3図6、および図7の流れ図を参照した一実施形態に記載された較正プロセスの終わりに更新された更新されたスペクトル応答モデルであり得る。
【0048】
図4Aを参照すると、初期スペクトル応答モデルは一セットのスペクトル応答プロファイル201〜206を含むことができ、X線検出器アレイ18の第1から第Nの要素の任意の要素は、図4Aに示すように、スペクトル応答プロファイル301〜306の更新されたセットとしてのスペクトル応答プロファイル201〜206を有する初期スペクトル応答モデルから更新することができる。図4Bを参照すると、初期スペクトル応答モデルは一セットのスペクトル応答プロファイル201〜206を含むことができ、X線検出器アレイ18の第1から第Nの要素の第2の任意の要素は、図4Bに示すように、スペクトル応答プロファイル401〜406の更新されたセットとしてのプロファイル201〜206を有する初期スペクトル応答モデルから、例えば、図3図6、および図7の流れ図を参照して説明した較正プロセスを使用して、更新することができる。図4Aおよび図4Bを比較すると、製造公差および材料特性のために、異なる要素が異なる不均一な特性を有する可能性があるという事実を補償することができる正確な画像化を可能にするために、更新されたスペクトル応答モデル200を要素間で区別することができ、これらの特性により、要素は放射エネルギーに異なる反応をする。
【0049】
物質分解(MD)を実行するための代替方法を図9の流れ図を参照して説明する。ブロック902で、システム10はCTスキャンから各検出器要素に対する測定信号を出力することができる。被験体、例えば人体は、CTスキャンの実行中にCT画像化システム10内に配置することができる。ブロック906で、システム10は、前の較正プロセス中に決定された補正値を使用して、各検出器要素の測定値を補正することができる。ブロック910において、各検出器要素に対する補正された測定値は、ブロック910によって示されるMDプロセスへの入力として使用され得る。ブロック910によって示されるMDプロセスへの入力はまた、ブロック914によって示されるようにスペクトル応答モデルであり得る。MD情報は、例えば基底物質密度投影の形で、ブロック918、例えば基底物質分布の面積密度推定を使用して出力することができる。ブロック914に示されるスペクトル応答モデルは、X線検出器アレイ18の要素間で区別されないグローバル要素スペクトル応答モデルとすることができる。
【0050】
本明細書の実施形態は、要素間で区別される検出器要素のスペクトル応答モデルを提供し、その結果、要素間の物理的特性の差を考慮し補正することができることによって大きな利益が得られることを認識する。異なる要素の異なるモデル化は、より正確に、より高い信号対雑音比、および/またはより高解像度の画像化を提供することができる。CT画像化の文脈で説明したが、本明細書の実施形態は任意のX線検出器、例えば、放射線画像化用のX線検出器に適用することができる。
【0051】
本発明の技術的効果は、スキャンされる較正ファントムを用いたCTシステムのスペクトル較正を含み得る。他の技術的効果には、較正測定値を使用してスペクトル応答モデルを更新することが含まれる。他の技術的効果は、較正プロセスにおける或る較正ファントムの使用を含み得る。他の技術的効果は、検出器要素に対するスペクトル応答モデルを提供するための方法の使用を含むことができ、第1および第2の異なる要素は、要素の不均一性を補償するために異なってモデル化される。
【0052】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を使用して本発明を開示し、また、任意の装置またはシステムの製造および使用と、取り入れた任意の方法の実行とを含む本発明の実施が、当業者に可能となるようにしている。本発明の特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、かつ当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言から相違しない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言から実質的には相違しない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0053】
10 CT画像化システム
12 ガントリ
14 X線源
15 検出器アセンブリ
16 X線ビーム
18 X線検出器アレイ
20 要素
22 スペクトル較正ファントム
24 回転中心
26 制御機構
28 X線コントローラ
30 ガントリモータコントローラ
34 画像再構成装置
36 コンピュータ
38 大容量記憶装置
40 コンソール
42 ディスプレイ
44 テーブルモータコントローラ
46 電動テーブル
48 ガントリ開口部
100 方法
112 ブロック
116 ブロック
200 スペクトル応答モデル
201 スペクトル応答プロファイル
202 第2スペクトル応答プロファイル
203 第3スペクトル応答プロファイル
204 第4スペクトル応答プロファイル
205 第5スペクトル応答プロファイル
206 第6スペクトル応答プロファイル
301〜306 スペクトル応答プロファイル
401〜406 スペクトル応答プロファイル
702 ブロック
706 ブロック
710 ブロック
714 ブロック
720 ブロック
726 決定ブロック
728 ブロック
730 ブロック
802 ブロック
806 MD処理ブロック
810 ブロック
814 ブロック
902 ブロック
906 ブロック
910 ブロック
914 ブロック
918 ブロック
1121 ブロック
1122 ブロック
1123 ブロック
1124 ブロック
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】