特表2019-534852(P2019-534852A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2019-534852窒素及びジオキソラン含有ヒドロフルオロエーテル並びにその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-534852(P2019-534852A)
(43)【公表日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】窒素及びジオキソラン含有ヒドロフルオロエーテル並びにその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 317/28 20060101AFI20191108BHJP
   C07D 413/06 20060101ALI20191108BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20191108BHJP
   C09K 5/04 20060101ALI20191108BHJP
   C09K 5/10 20060101ALI20191108BHJP
   B23K 1/015 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   C07D317/28CSP
   C07D413/06
   C11D7/26
   C09K5/04 C
   C09K5/04 D
   C09K5/10 E
   B23K1/015 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-511699(P2019-511699)
(86)(22)【出願日】2017年8月22日
(85)【翻訳文提出日】2019年2月27日
(86)【国際出願番号】US2017047879
(87)【国際公開番号】WO2018044613
(87)【国際公開日】20180308
(31)【優先権主張番号】62/380,617
(32)【優先日】2016年8月29日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(72)【発明者】
【氏名】テヴェロフスキー,ゲオルギー
(72)【発明者】
【氏名】コステロ,マイケル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ラマンナ,ウィリアム エム.
【テーマコード(参考)】
4C063
4H003
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB04
4C063CC81
4C063DD54
4C063EE10
4H003BA12
4H003DA15
4H003EB06
4H003EB13
4H003ED02
(57)【要約】
開示されるのは、洗浄組成物中に、電解質溶媒として、熱伝達流体として、又は気相はんだ付け流体として、使用するための、式(i):[式中、(i)R及びRは、独立して、1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、かつ場合により少なくとも1個の鎖状に連結されたヘテロ原子を含むか、又は(ii)R及びRは、共に結合して、4〜6個の炭素原子を有する環構造を形成し、かつ場合により1個以上の鎖状に連結されたヘテロ原子を含み、Rは、1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、R及びRは、独立して、H、F、Cl、1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択され、場合により、当該アルキル基は、フッ素、塩素、ヒドロキシル基、又は鎖状に連結されたヘテロ原子のうちの少なくとも1つを含む]のジオキソラン含有化合物である。塩基存在下で1,2−ジオール化合物をフルオロ化エチレン性不飽和化合物と接触させることを含む、ジオキソラン含有化合物の製造方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のジオキソラン含有化合物
【化1】
[式中、(i)R及びRは、独立して、1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、かつ場合により少なくとも1個の鎖状に連結されたヘテロ原子を含むか、又は(ii)R及びRは、共に結合して4〜6個の炭素原子を有する環構造を形成し、かつ場合により1個以上の鎖状に連結されたヘテロ原子を含み、
は、1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、
及びRは、独立して、H、F、Cl、1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択され、場合により、前記アルキル基は、フッ素、塩素、ヒドロキシル基、又は鎖状に連結されたヘテロ原子のうちの少なくとも1つを含む]。
【請求項2】
及びRがHである、請求項1に記載のジオキソラン含有化合物。
【請求項3】
がCFである、請求項1又は2に記載のジオキソラン含有化合物。
【請求項4】
及びRが、共に結合して5、6、又は7員環を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のジオキソラン含有化合物。
【請求項5】
及びRが、共に結合して、鎖状に連結されたO原子を含む6員ペルフルオロ環を形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のジオキソラン含有化合物。
【請求項6】
及びRがモルホリン基を形成する、請求項5に記載のジオキソラン含有化合物。
【請求項7】
及びRが、共に結合して、追加の鎖状に連結されたN原子を含む6員ペルフルオロ環を形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のジオキソラン含有化合物。
【請求項8】
及びRがN−ペルフルオロアルキルピペリジン基を形成する、請求項7に記載のジオキソラン含有化合物。
【請求項9】
及びRがピロリジン基を形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のジオキソラン含有化合物。
【請求項10】
及びRが、独立して、CF、C、及びCから選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のジオキソラン含有化合物。
【請求項11】
請求項1〜11のいずれか一項に記載のジオキソラン含有化合物を含む作動流体であって、前記ジオキソラン含有化合物が、前記作動流体中に、前記作動流体の総重量に基づいて少なくとも5重量%の量で存在する、作動流体。
【請求項12】
前記ジオキソラン含有化合物が、
(a)洗浄組成物中にある、
(b)電解質溶媒若しくは添加剤である、
(c)熱伝達流体である、又は
(d)気相はんだ付け流体である、
請求項1〜10のいずれか一項に記載のジオキソラン含有化合物の使用。
【請求項13】
デバイスと、
前記デバイスに又は前記デバイスから熱を伝達するための機構と、を備え、前記機構が、請求項1〜10のいずれか一項に記載のジオキソラン含有化合物を含む熱伝達流体を含む、
熱を伝達するための装置。
【請求項14】
デバイスを準備することと、
請求項1〜10のいずれか一項に記載のジオキソラン含有化合物を含む熱伝達流体を用いて、前記デバイスに又は前記デバイスから熱を伝達することと、
を含む、熱を伝達する方法。
【請求項15】
(a)塩基存在下で1,2−ジオール化合物をフルオロ化エチレン性不飽和化合物と接触させることを含み、前記フルオロ化エチレン性不飽和化合物が、(i)内部二重結合、(ii)オレフィン性C−F結合、及び(iii)前記内部二重結合に対してα位のフッ素原子を含む、
ジオキソラン含有ヒドロフルオロエーテルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジオキソラン及びアミン部分を含有するヒドロフルオロエーテル、並びにその使用方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
地球温暖化係数が低く、同時に高い熱安定性、低毒性、不燃性、良好な溶解力、及び広い動作温度範囲を実現して種々の用途の要件を満たす不活性フルオロ流体が継続して必要とされている。その用途としては、これらに限定されないが、熱伝達、溶媒洗浄、消火剤、並びに電解質溶媒及び添加剤が挙げられる。
【0003】
一態様では、式(I)のジオキソラン含有化合物
【化1】
[式中、(i)R及びRは、独立して、1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、かつ場合により少なくとも1個の鎖状に連結されたヘテロ原子を含むか、又は(ii)R及びRは、共に結合して4〜6個の炭素原子を有する環構造を形成し、かつ場合により1個以上の鎖状に連結されたヘテロ原子を含み、
は、1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、
及びRは、独立して、H、F、Cl、1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択され、場合により、アルキル基は、フッ素、塩素、ヒドロキシル基、又は鎖状に連結されたヘテロ原子のうちの少なくとも1つを含む]が記載される。
【0004】
一態様では、上記式(I)のジオキソラン含有化合物を含む作動流体が記載される。
【0005】
別の態様では、上記式(I)のジオキソラン含有化合物を含む熱を伝達するための装置が記載される。
【0006】
上記の発明の概要は、各実施形態について説明することを意図するものではない。本発明における1つ以上の実施形態の詳細は、下記の説明にも記載されている。他の特徴、目的、及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で用いる場合、用語
「a」、「an」、及び「the」という用語は、互換的に使用され、1以上を意味し、
「及び/又は」は、述べられた事例の一方又は両方が起こり得ることを示すために使用され、例えば、A及び/又はBは、(A及びB)と(A又はB)とを含み、
「アルキル」は、飽和炭化水素であるアルカンの基である、一価の基を示す。アルキル基は、直鎖、分枝鎖、環状、又はこれらの組み合わせであり得る。
「鎖状に連結された」は、炭素鎖(直鎖若しくは分枝鎖又は環内)の少なくとも2個の炭素原子に結合して炭素−ヘテロ原子−炭素結合を形成する、炭素以外の原子(例えば、酸素、窒素、又は硫黄)を意味する。
「ペルフルオロ/ペルフルオロ化」は、C−H結合中の全ての水素原子がC−F結合で置き換えられている基又は化合物を意味する。
【0008】
本明細書で使用する場合、環の中心に「F」の文字が示された化学構造は、環の全ての記載のない結合がフッ素原子であることを示す。
【0009】
図示されていない場合であっても、一般的な命名法に従って、環状環の炭素原子に結合する水素原子が、個々の炭素原子の原子価を満たすように存在することを理解されたい。
【0010】
また、本明細書において、端点による範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1〜10は、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などを含む)。
【0011】
また、本明細書において、「少なくとも1」の記載は、1以上の全ての数(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100など)を含む。
【0012】
国際公開第2016/048808号(Lamannaら)は、種々の用途に使用することができる窒素含有ヒドロフルオロエーテル化合物を記載する。国際公開第2016/048808号は、かかる化合物の製造方法を記載しており、当該方法では、塩基存在下でジオールをペルフルオロビニルアミン(すなわち、N(Rf)(Rf)−CF=CF))に付加することで、実施例10、16、18、25〜27及び30に示すように、ペルフルオロビニルアミンの二量体化が起こる。驚くべきことに、本開示では、塩基存在下で1,2−ジオールをペルフルオロ1−アルキルアミンと反応させることによって、アミン化合物の二量体化ではなく、スキーム1に示すように、ジオキソラン含有アミン化合物が生成することを発見した。
【0013】
【化2】
【0014】
一実施形態において、本開示の化合物は、低コストの出発物質によって高収率で容易に調製することができる。出発物質は、容易に購入できるか、又は電気化学的フルオロ化から誘導できる。したがって、本開示に記載される化合物は、熱伝達、洗浄、及び電解質用途を含めた様々な用途において潜在的利点を与える、新たな分類の有用かつ潜在的に低コストのフルオロ流体を表す。
【0015】
本開示のジオキソラン含有化合物(本明細書で本開示の化合物と互換可能に呼ばれる)は、一般式(I)
【化3】
[式中、(i)R及びRは、独立して、1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、かつ場合により少なくとも1個の鎖状に連結されたヘテロ原子O、N、又はSなどを含むか、又は(ii)R及びRは、共に結合して4〜6個の炭素原子を有するフルオロ化環構造を形成し、かつ場合により1個以上の鎖状に連結されたヘテロ原子を含み、
は、1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、
及びRは、独立して、H、F、Cl、及び1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択され、場合により、アルキル基は、フッ素、塩素、ヒドロキシル基、又は鎖状に連結されたヘテロ原子のうちの少なくとも1つを含む]のものである。
【0016】
例示的なR及びR基としては、−CF、−C、−C、−CFOCF、−CFOCF、及び−CFOCF(CFが挙げられる。
【0017】
一実施形態において、R及びRは、共に結合して5、6、又は7員環構造を形成する。一実施形態において、R及びRは、共に結合して、鎖状に連結されたO原子を含む6員環を形成し、例えば、フルオロ化モルホリン環を形成する。別の実施形態において、R及びRは、共に結合して、追加の鎖状に連結された窒素原子を含む環構造を形成し、当該追加の窒素ヘテロ原子は第三級であり、かつ1〜3個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基に結合している。一実施形態において、R及びRは、共に結合して、追加の鎖状に連結された窒素原子を含む6員環を形成し、例えば、フルオロ化ピペラジン環を形成し、当該追加の窒素ヘテロ原子は第三級であり、かつ1〜3個の炭素原子を有するペルフルオロアルキル基に結合している。一実施形態において、R及びRは、共に結合してピロリジン基を形成する。
【0018】
例示的なR基としては、CF、CFCF、CF(CF、及び(CFCFが挙げられる。
【0019】
一実施形態において、R及びRは、いずれもHである。
【0020】
例示的な本開示のジオキソラン含有化合物としては、
【化4】
が挙げられる。
【0021】
いくつかの実施形態において、本開示のジオキソラン含有化合物は、電子産業用の熱伝達流体として特に有用となる特性を示し得る。例えば、ジオキソラン含有化合物は、化学的に不活性であり得(すなわち、塩基、酸、水等と容易に反応しない)、かつ高沸点(最高300℃)、低凝固点、低粘度、高い熱安定性、良好な熱伝導率、潜在的に重要な溶質の範囲内での適切な溶解力、及び低い毒性を有し得る。
【0022】
本開示の化合物は、良好な環境特性を有し、不燃性、化学的不活性、高い熱安定性、良好な溶解力等などの良好な性能属性を有する。
【0023】
一実施形態において、本開示の化合物は、環境への影響が低いものであり得る。この点に関して、本開示の化合物は、100、50、40、又は更には10未満の地球温暖化係数(GWP)を有し得る。本明細書で使用する場合、GWPは、化合物の構造に基づく化合物の地球温暖化の潜在能力の相対的尺度である。化合物のGWPは、1990年に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)(Intergovernmental Panel on Climate Change)によって規定され、2007年に改訂されており、特定の積分期間(ITH)にわたる、1キログラムのCO放出による温暖化に対する、1キログラムの化合物放出による温暖化として計算される。
【数1】
【0024】
この等式において、aは大気中の化合物の単位質量増加当たりの放射強制力(その化合物のIR吸光度に起因する大気を通る放射束の変化)であり、Cは化合物の大気濃度であり、τは化合物の大気寿命であり、tは時間であり、iは対象化合物である。一般的に許容されるITHは、短期間の効果(20年間)と長期間の効果(500年間以上)との間の折衷点を表す100年間である。大気中の有機化合物iの濃度は、擬一次速度式(すなわち、指数関数的減衰)に従うと仮定する。同じ時間間隔のCOの濃度は、大気からのCOの交換及び除去に関する、より複雑なモデルを組み込む(Bern炭素循環モデル)。
【0025】
一実施形態において、本開示の化合物は、1年未満、0.75年、0.05年、又は更には0.1年未満の大気寿命を有する。
【0026】
不燃性は、ASTM D−3278−96e−1、D56−05「Standard Test Method for Flash Point of Liquids by Small Scale Closed−Cup Apparatus」等の標準方法を使用することによって評価することができる。一実施形態において、本開示の化合物は、ASTM D−327−96e−1に準拠した密閉式引火点試験に基づいて不燃性である。
【0027】
一実施形態において、本開示の化合物は、動物組織において生体内蓄積しない。例えば、本開示のいくつかの化合物は、動物組織において生体内蓄積する傾向の低減を示す低log Kow値を実現することができ、ここでKowは、オクタノール相及び水性相を含む二相系中の所与の化合物の濃度比として規定される、オクタノール/水の分配係数である。一実施形態において、log Kow値は、6、5、又は更には4未満である。
【0028】
一実施形態において、本開示の化合物は、U.S.EPA「Health Effects Test Guidelines OPPTS 870.1100 Acute Oral Toxicity」及び/又はOECD Test No.436「Acute Inhalation Toxicity−Acute Toxic Class Method」に準拠したラットにおける4時間の急性吸入毒性試験又は急性経口毒性試験に基づいて、低い急性毒性をもたらすことが期待される。例えば、本開示の化合物は、スプラーグドーリーラット雌雄において、30、50、100、200、又は更には300mg/kgより高い経口単回投与の半数致死量(LD50)を有する。
【0029】
本開示の化合物の有用な流動性範囲は、その流動点とその沸点との間である。流動点は、化合物をなおも注ぐことができる最低温度である。流動点は、例えば、ASTM D97−16「Standard Test Method for Pour Point of Petroleum Products」によって決定することができる。一実施形態において、本開示の化合物は、0℃、−20℃、−40℃又は更には−60℃未満の流動点を有する。一実施形態において、本開示の化合物は、少なくとも100℃、150℃、200℃、250℃又は更には300℃の沸点を有する。
【0030】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、疎水性であり、比較的化学反応性に乏しく、熱的に安定であり得る。
【0031】
上記のように、本開示の化合物は、好適な塩基の存在下で1,2−ジオールをエチレン性不飽和化合物に求核付加してジオキソラン環を形成することによって、調製されてもよい。エチレン性不飽和化合物は、内部二重結合α−アミン及び少なくとも1つオレフィン性C−F結合を含む。一実施形態において、エチレン性不飽和化合物は、ペルフルオロ化されている。
【0032】
エチレン性不飽和フルオロ化合物は、参照によって本明細書に援用する特開第01070444(A)号及び特開第0107445(A)号にAbeによって記載されたものを含む、当該技術分野で周知の標準的な合成手順によって調製することができる。
【0033】
本開示のジオキソラン含有ヒドロフルオロエーテルを調製するための出発化合物として有用なエチレン性不飽和フルオロ化合物の代表例としては、例えば、図1に示す1−プロペニルアミンが挙げられる。図1の構造は全てトランス異性体として示されているが、対応するシス異性体も同等に有用な出発化合物である。典型的には、図1のシス及びトランス−エチレン性不飽和フルオロ化合物は、シス及びトランス異性体の混合物として調製され、かつ使用される。
【化5】
注:上記図1の1−プロペニルアミンはトランス異性体のみが示されているが、シス若しくはトランス異性体又はこれらの混合物であり得る。
【0034】
有用な1,2−ジオールは、一般的に市販されているか又は容易に調製され、本開示のジオキソラン含有ヒドロフルオロエーテル組成物を高収率で調製するための有用な出発化合物を提供する。いくつかの実施形態において、炭化水素ジオールは、(フッ化炭素ジオールと比較して)比較的低価格であることから、使用されてもよい。いくつかの実施形態において、好適なアルコールは、概ね、不燃性である本開示のジオキソラン含有化合物を提供するアルコールである。
【0035】
好適な1,2−ジオールの代表例としては、例えば、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、3−クロロプロパン−1,2−ジオール、3−フルオロプロパン−1,2−ジオール、グリセロール等が挙げられる。
【0036】
一実施形態において、エチレン性不飽和フルオロ化合物と1,2−ジオールとの比は、1:2〜2:1であり、1:1が典型的には使用される。スキーム1に示したアルコール付加反応は、エチレン性不飽和化合物と1,2−ジオールとを、少なくとも1種の塩基(例えば、ルイス塩基)の存在下で組み合わせることによって実施することができる。有用な塩基としては、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、トリエチルアミン、トリメチルアミン、シアン酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムメトキシド、フッ化セシウム、リチウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等、及びこれらの混合物が挙げられ、炭酸カリウム、水酸化カリウム、及びこれらの混合物が好ましい。出発1,2−ジオール試薬の金属塩もまた、塩基として使用することができる。典型的には、塩基は、エチレン性不飽和フルオロ化合物を基準にして、約2〜3当量で存在する。
【0037】
反応物質及び塩基は、反応器(例えば、ガラス反応器又は金属圧力反応器)内で、任意の順序で組み合わせてもよく、反応は、所望の温度で撹拌しながら実施することができる。しかしながら、通常、非反応性の非プロトン性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、アセトン、テトラハイドロフラン、グリム、又はこれらの2つ以上の混合物)の使用によって、反応を促進することができる。
【0038】
一実施形態において、実施温度は、約0℃〜約80℃ある。一般的に、実施温度はエチレン性不飽和化合物の沸点を超える。
【0039】
反応は、周囲圧力以上(例えば、>760Torr)で起こり得る。一実施形態において、反応は、密封圧力容器内で実施される。一実施形態において、反応は発熱的であることから、反応圧を維持するために反応容器の冷却を用いることができる。
【0040】
反応は、完了まで進行させる(例えば、12時間)。反応は、ジオキソラン含有化合物を生成し、これは典型的には種々の異性体の混合物である。
【0041】
生成物を、その後、水で洗浄して、塩基、塩及び残留アルコールを除去することができる。回収した水層を低沸点の非官能性フルオロケミカルで洗浄して、フルオロ化生成物を捕集し、収率を最大にすることができる。その後、低沸点の非官能性フルオロケミカルを除去して、フルオロ化生成物を単離することができる。一実施形態において、反応収率は50、60、70又は75%を超える。低沸点の非官能性フルオロケミカルの例としては、「3MパフォーマンスフルイズPF−5052」、「3M NOVEC 7100高機能性液体」及び「3M NOVEC 7000高機能性液体」の商標名で3M Co.(St.Paul,MN)から入手可能なものが挙げられる。
【0042】
一実施形態において、得られるフルオロ化合物を精製して、所望のジオキソラン含有ヒドロフルオロエーテルを単離することができる。精製は、蒸留、吸収、抽出、クロマトグラフィー及び再結晶を含む従来の手段によって行うことができる。精製は、本開示の化合物を(その立体異性体の全ての形態で)出発物質、副生成物等の不純物から単離するために実施することができる。本明細書で使用する用語「精製形態」は、本開示の化合物が少なくとも95、98、99重量%又は更には99.9重量%の純度であることを意味する。
【0043】
本開示の化合物を、様々な用途において作動流体として使用することができる。作動流体は、上記の式(I)の化合物を、作動流体の総重量に基づいて少なくとも5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、50重量%、70重量%、80重量%、90重量%、95重量%、99重量%、又は更には100重量%含んでもよい。本開示の化合物に加えて、作動流体は、次の構成成分:アルコール、エーテル、アルカン、アルケン、ハロアルケン、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロ第三級アミン、ペルフルオロエーテル、シクロアルカン、エステル、ケトン、オキシラン、芳香族、シロキサン、不飽和ハイドロクロロカーボン、不飽和ハイドロクロロフルオロカーボン、不飽和ハイドロフルオロカーボン、ヘテロ原子非含有ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、不飽和ヒドロフルオロエーテル、又はこれらの混合物のうちの1種以上を、作動流体の総重量に基づいて合計で最大95重量%、90重量%、85重量%、80重量%、75重量%、最大50重量%、最大30重量%、最大20重量%、最大10重量%、又は最大5重量%含んでもよい。そのような追加成分は、組成物の特性を、特定の用途向けに改変又は強化するために選択され得る。
【0044】
一実施形態において、作動流体は、引火点を有さない(例えば、ASTM D−3278−96e−1に準拠して測定した場合)。
【0045】
一実施形態において、本開示の化合物は、デバイスと、当該デバイスに又は当該デバイスから熱を伝達するための機構とを含む、熱を伝達するための装置中で使用され得る。熱を伝達するための機構は、本開示の式(I)の化合物を含む熱伝達作動流体を含んでもよい。
【0046】
提供される、熱を伝達するための装置は、デバイスを含んでもよい。デバイスとは、冷却、加熱又は所定の温度若しくは温度範囲に維持されるコンポーネント、加工対象物、アセンブリ等であってもよい。このようなデバイスには、電気コンポーネント、機械コンポーネント及び光学コンポーネントが含まれる。本開示のデバイスの例として、マイクロプロセッサ、半導体デバイスの製造に用いられるウエハ、出力制御用半導体、配電スイッチギヤ、電力変圧器、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージされた及びパッケージされていない半導体デバイス、レーザー、化学反応器、燃料電池並びに電気化学セルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスは、冷却器、加熱器、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0047】
更にその他の実施形態において、デバイスは、マイクロプロセッサを含むプロセッサのような、電子デバイスを含み得る。これらの電子デバイスが強力になると、単位時間当たりに生成される熱量が増加する。したがって、熱伝達の機構は、プロセッサの性能において重要な役割を果たす。熱伝達流体は、典型的には、良好な熱伝達性能、良好な電気適合性(冷却板を用いるもの等の「間接接触」用途で使用される場合であっても)、並びに低い毒性、低い燃焼性(又は不燃性)及び低い環境影響度を有する。電気適合性が良好であることは、熱伝達流体候補が、高絶縁耐力、高体積抵抗率、及び極性物質に対する乏しい溶解性を呈することを示唆する。加えて、熱伝達流体は、良好な機械適合性を示す必要があり、すなわち、構造体の典型的材料に悪影響を与えないことが必要である。
【0048】
提供される装置は、熱を伝達するための機構を備えてもよい。当該機構は、熱伝達流体を含んでもよい。熱伝達流体は、1種以上の本開示の化合物を含んでもよい。デバイスと熱接触するように熱伝達機構を配置することによって、熱を伝達し得る。熱伝達機構は、デバイスと熱接触するように配置されると、デバイスから熱を除去するか、若しくはデバイスに熱を供給するか、又は選択された温度若しくは温度範囲にデバイスを維持する。熱流の方向(デバイスから又はデバイスに)は、デバイスと熱伝達機構との間の相対的温度差によって決まる。
【0049】
熱伝達機構としては、これらに限定されるものではないが、ポンプ、弁、流体収納システム、圧力制御システム、凝縮器、熱交換器、熱源、ヒートシンク、冷却システム、能動型温度制御システム及び受動型温度制御システムを含む、熱伝達流体を管理するための設備を挙げることができる。好適な熱伝達機構の例としては、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)ツールの温度制御ウエハチャック、ダイ性能試験のための温度制御試験ヘッド、半導体加工装置内の温度制御作業領域、熱衝撃試験槽液体収容容器及び恒温槽が挙げられるが、これらに限定されない。エッチャー、アッシャー、PECVDチャンバ、気相はんだ付けデバイス、及び熱衝撃試験器等のいくつかの系では、所望の動作温度の上限は、170℃、200℃、又は更には230℃の高温であり得る。
【0050】
デバイスと熱接触するように熱伝達機構を配置することにより、熱を伝達することができる。熱伝達機構は、デバイスと熱接触するように配置されると、デバイスから熱を除去するか、若しくはデバイスに熱を供給するか、又はデバイスを選択された温度若しくは温度範囲に維持する。熱流の方向(デバイスから又はデバイスに)は、デバイスと熱伝達機構との間の相対的温度差によって決まる。提供される装置として、冷蔵システム、冷却システム、試験装置及び機械加工装置も挙げることができる。いくつかの実施形態において、提供される装置は、恒温槽又は熱衝撃試験槽であり得る。エッチャー、アッシャー、PECVDチャンバ、気相はんだ付けデバイス、及び熱衝撃試験器などの一部の系では、所望の動作温度の上限は、最高170℃、最高200℃、最高250℃又は更に高い温度であり得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、気相はんだ付けにおいて使用される熱伝達剤として使用され得る。気相はんだ付けにおいて本開示の化合物を使用する際には、例えば、米国特許第5,104,034号(Hansen)に記載のプロセスを使用することができ、その記載内容は参照により本明細書に組み込まれる。簡潔に述べると、このようなプロセスは、本開示の少なくとも1種のジオキソラン含有化合物を含む蒸気体中に、はんだ付けしようとする部品をさらして、はんだを溶融させることを含む。このようなプロセスを実施するにあたり、ジオキソラン含有化合物(又はジオキソラン含有化合物を含む作動流体)の液体プールをタンク内で沸騰するまで加熱して、沸騰液体と凝縮手段との間の空間に飽和蒸気を形成する。
【0052】
はんだ付けされるワークピースは、(170℃より高い、200℃より高い、230℃より高い、250℃又は更にそれより高い温度で)蒸気中にさらされ、蒸気はワークピースの表面上に凝縮して、はんだを溶融しリフロー(reflow)させる。そして最後に、はんだ付けされたワークピースを、蒸気を含む空間から取り出す。
【0053】
別の実施形態において、本開示の化合物は、ランキンサイクルで熱エネルギーを機械エネルギーに変換する装置中で使用される。この装置は、1種以上の式(I)の化合物を含む作動流体を含んでもよい。装置は、作動流体を気化させて気化作動流体を形成するための熱源と、気化作動流体を通過させることにより熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービンと、タービンを通過した後の気化作動流体を冷却するための凝縮器と、作動流体を再循環させるためのポンプとを更に含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、本開示は、ランキンサイクルで熱エネルギーを機械エネルギーに変換するプロセスに関する。このプロセスは、熱源を使用して、1種以上の式(I)の化合物を含む作動流体を気化し、気化作動流体を形成することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、熱は、熱源からエバポレーター又はボイラー内の作動流体に伝達される。気化作動流体は、加圧されてもよく、膨張により機能するように使用することができる。熱源は、化石燃料(例えば、石油、石炭、又は天然ガス)由来のもの等、任意の形態であってもよい。更に、いくつかの実施形態において、熱源は、原子力、太陽エネルギー、又は燃料電池から得ることができる。他の実施形態において、熱は、他の場合であれば大気に失われていたはずの他の熱伝達システムからの「廃熱」であることができる。いくつかの実施形態において、「廃熱」は、第2のランキンサイクルシステム、第2のランキンサイクルの凝縮器又は他の冷却デバイスから回収される熱であることができる。
【0055】
「廃熱」の更なる供給源は、メタンガスが燃焼処理される埋立地で見出すことができる。メタンガスが環境に入って地球温暖化の一因になることを防止するために、埋立地によって発生するメタンガスを「フレア」によって燃焼させ、二酸化炭素と水を生成することができ、この二酸化炭素と水はいずれも、地球温暖化係数の点から環境有害性がメタンよりも低い。提供されるプロセスにおいて有用であり得る「廃熱」の他の供給源は、地熱源、並びに排気ガスから著しい熱を出すガスタービンエンジンなどの他の種類のエンジンから水及び潤滑剤などの冷却液への熱である。
【0056】
提供されるプロセスにおいて、気化作動流体は、デバイスを通って膨張し、デバイスは、加圧した作動流体を機械的エネルギーに変換することができる。いくつかの実施形態において、気化作動流体は、タービンを通って膨張し、タービンは気化作動流体の膨張圧からシャフトを回転させることができる。このタービンは、その結果、いくつかの実施形態では発電機を作動させ、それにより発電するといった、機械的仕事を行うために使用することができる。他の実施形態では、このタービンは、ベルト、ホイール、ギア、又は取り付けた若しくは連結したデバイスで使用するための機械的仕事若しくはエネルギーを伝達できる他のデバイスを駆動するために使用することができる。
【0057】
気化作動流体が機械エネルギーに変換された後、気化した(その時点で膨張した)作動流体を、冷却源を用いて凝縮し、再使用のために液化することができる。凝縮器によって放出された熱は、同じ又は別のランキンサイクルシステムに再循環させる等、他の目的に使用して、エネルギーを節約することができる。最後に、凝縮された作動流体は、閉鎖系で再使用するため、ポンプによってボイラー又はエバポレーターに戻すことができる。
【0058】
有機ランキンサイクル作動流体の所望の熱力学的特性は、当業者には公知であり、例えば、米国特許公開第2010/0139274号(Zyhowskiら)に説明されている。熱源の温度と凝縮液体又は凝縮後に生成されたヒートシンクの温度との差が大きいほど、ランキンサイクルの熱力学的効率は高い。熱力学的効率は、作動流体を熱源温度とマッチングさせることにより、影響を受ける。作動流体の気化温度が熱源温度に近いほど、システムの効率は高い。トルエンは、例えば、79℃〜約260℃の温度範囲で使用できるが、トルエンは、毒性及び可燃性の点で懸念される。1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン等の流体を代替としてこの温度範囲で使用することができる。しかし、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタンは、300℃未満では毒性化合物を形成する可能性があり、かつ気化温度の約93℃〜約121℃に限定する必要がある。したがって、ガスタービン及び内燃機関排気ガス等の供給源の温度を作動流体とより良くマッチさせることができるように、より高い臨界温度を有する他の環境に優しいランキンサイクル作動流体が望まれている。
【0059】
一実施形態において、本開示の化合物は、1種以上の共溶媒と共に洗浄組成物中に使用される。いくつかの実施形態において、本開示は、基材を洗浄するプロセスに関する。洗浄プロセスは、汚染された基材を洗浄組成物と接触させることによって実施できる。本開示の化合物は、単独で使用しても、互いとの又は他の一般に使用される洗浄共溶媒との混合物中で使用してもよい。洗浄組成物に使用できる共溶媒の代表例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、シクロヘキサン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−デカン、テルペン(例えば、a−ピネン、カンフェン、及びリモネン)、トランス−1,2−ジクロロエチレン、シス−1,2−ジクロロエチレン、メチルシクロペンタン、デカリン、メチルデカノエート、t−ブチルアセテート、エチルアセテート、ジエチルフタレート、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、ナフタレン、トルエン、p−クロロベンゾトリフルオライド、トリフルオロトルエン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロヘプタン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロ−N−メチルモルホリン、ペルフルオロ−2−ブチルオキサシクロペンタン、メチレンクロライド、クロロシクロヘキサン、1−クロロブタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、1,1,1−トリフルオロ−2,2−ジクロロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパン、2,3−ジハイドロペルフルオロペンタン、1,1,1,2,2,4−ヘキサフルオロブタン、1−トリフルオロメチル−1,2,2−トリフルオロシクロブタン、3−メチル−1,1,2,2−テトラフルオロシクロブタン、1−ハイドロペンタデカフルオロヘプタン、又はこれらの混合物が挙げられる。このような共溶媒は、特定の用途のために洗浄組成物の溶解特性を改変又は強化するように選択でき、得られる組成物が引火点を持たない比率(式(I)による化合物に対する共溶媒の比率)で用いることができる。特定の用途に望ましい場合、洗浄組成物は、1種以上の溶解又は分散された気体、液体又は固体添加剤(例えば、二酸化炭素ガス、界面活性剤、安定剤、酸化防止剤又は活性炭)を更に含有することができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、本開示は、1種以上の本開示の化合物と、任意選択により1種以上の界面活性剤とを含む、洗浄組成物に関する。好適な界面活性剤としては、本開示の化合物に十分に可溶性である界面活性剤、及び汚れを溶解、分散又は排除することによって汚れの除去を促進する界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の1つの有用な分類は、約14未満の親水性−親油性バランス(HLB)を有する非イオン性界面活性剤である。例としては、エトキシル化アルコール、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪酸、アルキルアリールスルホネート、グリセロールエステル、エトキシル化フルオロアルコール及びフルオロスルホンアミドが挙げられる。1種の界面活性剤が油性汚れの除去を促進するために洗浄組成物に添加され、別の界面活性剤が水溶性の汚れの除去を促進するために添加された、相補的特性を有する界面活性剤の混合物を使用してもよい。界面活性剤は、使用する場合、汚れ除去を促進するのに十分な量で添加することができる。典型的には、界面活性剤は、洗浄組成物の0.1〜5.0重量%又は0.2〜2.0重量%の量で添加されてもよい。
【0061】
洗浄組成物は、気体状態又は液体状態のいずれか(又は両方)で使用することができ、基材と「接触させる」ための既知技法又は将来の技法のいずれかを用いることができる。例えば、液体洗浄組成物を基材上に噴霧若しくは刷毛塗りすることができ、気体洗浄組成物を基材に吹き付けることができ、又は基材を気体若しくは液体組成物のいずれかにさらすことができる。高温、超音波エネルギー及び/又は撹拌を使用して、洗浄を促進することができる。様々な異なる溶媒洗浄技術が、B.N.EllisによってCleaning and Contamination of Electronics Components and Assemblies,Electrochemical Publications Limited,Ayr,Scotland,182〜94(1986)に記載されている。
【0062】
有機基材及び無機基材の両方を本開示のプロセスによって洗浄することができる。基材の代表例としては、金属、セラミック、ガラス、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、天然繊維(及び天然繊維に由来する布地)、例えば、綿、絹、毛皮、スエード、革、リネン及びウール、合成繊維(及び布地)、例えば、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン又はこれらの混紡、天然繊維と合成繊維の混紡を含む布地、並びに上記材料の複合材が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記プロセスは、電子部品(例えば回路基板)、光媒体若しくは磁気媒体又は医療機器の精密洗浄に使用され得る。
【0063】
更に別の実施形態において、本開示の化合物を誘電性流体中に使用し、これを電気デバイス(例えば、コンデンサ、スイッチギヤ、変圧器、又は電気ケーブル若しくはバス)内で使用することができる。本出願の目的のために、用語「誘電性流体」は、液体誘電体及び気体誘電体の両方を包含する。流体、気体又は液体の物理的状態は、それが使用される電気デバイスの温度動作条件及び圧力動作条件で決まる。
【0064】
いくつかの実施形態において、誘電性流体は、1種以上の式(I)の化合物と、場合により、1種以上の第2の誘電性流体とを含む。好適な第2の誘電性流体としては、例えば、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン及び二酸化炭素又はこれらの組み合わせが挙げられる。第2の誘電性流体は、非凝縮性ガス又は不活性ガスであってもよい。一般に、第2の誘電性流体は、25℃又は電気デバイスの動作温度において、蒸気圧が少なくとも70kPaである量で使用され得る。
【0065】
式(I)の化合物を含む本出願の誘電性流体は、電気絶縁に有用であり、送電及び配電に使用されるアーク消去及び電流遮断機器に有用である。概して、本開示の流体を使用できる電気デバイスには、(1)ガス絶縁回路遮断器及び電流遮断設備、(2)ガス絶縁送電線、並びに(3)ガス絶縁変圧器の3つの主要な種類がある。このようなガス絶縁設備は、送配電システムの主要構成要素である。
【0066】
いくつかの実施形態において、本開示は、気体誘電体が電極間の空間を満たすように互いに離れた金属電極を備える、コンデンサなどの電気デバイスを提供する。電気デバイスの内部空間は、気体誘電性流体と平衡状態にある液体誘電性流体の収容容器を備えることもある。したがって、収容容器は、誘電性流体のいかなる損失も補充し得る。
【0067】
別の実施形態において、本開示は、(a)1種以上の本開示の化合物を含む溶媒組成物と、(b)この溶媒組成物に可溶性又は分散性である1種以上のコーティング材料と、を含む、コーティング組成物に関する。
【0068】
様々な実施形態において、コーティング組成物のコーティング材料としては、顔料、潤滑剤、安定剤、接着剤、酸化防止剤、染料、ポリマー、医薬品、離型剤、無機酸化物等、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。例えば、コーティング材料としては、不飽和ペルフルオロポリエーテル、不飽和炭化水素、及びシリコーン潤滑剤;テトラフルオロエチレンの非晶質コポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。好適なコーティング材料の更なる例としては、二酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、不飽和ペルフルオロポリエーテル、ポリシロキサン、ステアリン酸、アクリル接着剤、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンの非晶質コポリマー、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
いくつかの実施形態において、上記コーティング組成物は、コーティング付着に有用となる可能性があり、この場合、式(I)の化合物がコーティング材料のキャリアとして機能し、基材表面への材料の付着を可能にする。これに関連して、本開示は、更に、コーティング組成物を使用して基材表面にコーティングを付着させるプロセスに関する。このプロセスは、基材の少なくとも一方の表面の少なくとも一部分に、(a)1種以上の式(I)の化合物を含有する溶媒組成物と、(b)この溶媒組成物に可溶性又は分散性である1種以上のコーティング材料と、を含む液体コーティング組成物のコーティングを適用する工程を含む。溶媒組成物は、1種以上の共分散剤若しくは共溶媒及び/又は1種以上の添加剤(例えば、界面活性剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤、難燃剤等)を更に含んでもよい。好ましくは、プロセスは、例えば、蒸発させることによって(蒸発は、例えば、熱又は真空の適用によって促進することができる)、コーティングから溶媒組成物を除去する工程を更に含む。
【0070】
様々な実施形態において、コーティング組成物を形成するために、コーティング組成物の構成成分(すなわち、用いられる、式(I)の化合物、コーティング材料及び任意の共分散剤又は共溶媒)を、コーティング材料を溶解、分散又は乳化するために使用される任意の従来の混合技術によって、例えば、機械的撹拌、超音波撹拌、手動撹拌等によって組み合わせることができる。溶媒組成物及びコーティング材料は、所望のコーティング厚に応じて任意の比率で組み合わせることができる。例えば、コーティング材料は、コーティング組成物の約0.1〜約10重量パーセントを構成し得る。
【0071】
例示的な実施形態において、本開示の付着プロセスは、任意の従来技術によりコーティング組成物を基材に適用することによって実行することができる。例えば、組成物を基材上にはけ塗りすること若しくは噴霧すること(例えば、エアゾールとして)ができ、又は基材にスピンコーティングすることができる。いくつかの実施形態において、基材は、組成物に浸漬することによりコーティングされてもよい。浸漬は、任意の好適な温度で行うことができ、任意の都合のよい長さの時間にわたって維持することができる。基材が、カテーテルなどの管であり、カテーテルの管腔壁に組成物を確実にコーティングすることが望ましい場合、減圧の適用により管腔内に組成物を引き込んでもよい。
【0072】
様々な実施形態において、コーティングを基材に適用した後、溶媒組成物をコーティングから(例えば、蒸発によって)除去することができる。所望であれば、蒸発速度を、減圧又は穏やかな熱の適用により加速することができる。コーティングは、任意の都合のよい厚さであってよく、実際には、厚さは、コーティング材料の粘度、コーティングが適用される温度及び引き上げ速度(浸漬が用いられる場合)などの要因によって決定されるものとなる。
【0073】
有機基材及び無機基材の両方を本開示のプロセスによってコーティングすることができる。基材の代表例としては、金属、セラミック、ガラス、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、天然繊維(及び天然繊維に由来する布地)、例えば、綿、絹、毛皮、スエード、革、リネン及びウール、合成繊維(及び布地)、例えば、ポリエステル、レーヨン、アクリル、ナイロン又はこれらの混紡、天然繊維と合成繊維の混紡を含む布地、並びに上記材料の複合材が挙げられる。いくつかの実施形態において、コーティングされ得る基材としては、例えば、ペルフルオロポリエーテル潤滑剤を用いた磁気ハードディスク若しくは電気コネクタ、又はシリコーン潤滑剤を用いた医療機器が挙げられる。
【0074】
いくつかの実施形態において、本開示は更に、1種以上の本開示の化合物を含む電解質組成物に関する。電解質組成物は、(a)1種以上の式(I)による化合物を含む溶媒組成物と、(b)少なくとも1種の電解質塩とを含み得る。本開示の電解質組成物は、優れた酸化安定性を呈し、高圧電気化学セル(例えば、充電式リチウムイオン電池)に使用すると、卓越したサイクル寿命及びカレンダー寿命をもたらす。例えば、黒鉛化炭素電極を有する電気化学セルにこのような電解質組成物を使用すると、電解質は、少なくとも4.5V、最大6.0V(対Li/Li)の最大充電電圧に対して安定なサイクルをもたらす。
【0075】
本開示の電解質組成物の調製における使用に好適な電解質塩としては、少なくとも1つのカチオン及び少なくとも1つの弱配位アニオン(炭化水素スルホン酸以上の酸性度を有するアニオン(例えば、PFアニオン又はビス(ペルフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオン)の共役酸)を含む塩、式(I)の選択された化合物(又は式(I)の選択された化合物と、1種以上の他の式(I)の化合物若しくは1種以上の従来の電解質溶媒とのブレンド)に少なくとも部分的に可溶性の塩、並びに少なくとも部分的に解離して伝導性電解質組成物を形成する塩が挙げられる。塩は、動作電圧の範囲にわたって安定であり得、非腐食性であり、かつ熱安定性及び加水分解に安定性であり得る。好適なカチオンとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、IIB族金属、IIIB族金属、遷移金属、希土類金属及びアンモニウム(例えば、テトラアルキルアンモニウム又はトリアルキルアンモニウム)カチオン、並びにプロトンが挙げられる。いくつかの実施形態において、電池に使用するためのカチオンとしては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のカチオンが挙げられる。好適なアニオンとしては、(FSO、BF、PF、AsF、及びSbF等のフッ素含有無機アニオン、CIO、HSO、HPO;アルカン、アリール、及びアルカリルスルホネート等の有機アニオン;フッ素含有及び非フッ素化テトラアリールボレート;カルボラン及びハロゲン−、アルキル−、又はハロアルキル置換カルボランアニオン(メタロカルボランアニオンを含む);並びにペルフルオロアルカンスルホネート、シアノペルフルオロアルカンスルホニルアミド、ビス(シアノ)ペルフルオロアルカンスルホニルメチド、(ペルフルオロアルカンスルホニル)イミド、ビス(ペルフルオロアルカンスルホニル)メチド、及びトリス(ペルフルオロアルカンスルホニル)メチド等のフッ素含有有機アニオン等が挙げられる。電池に使用するのに好ましいアニオンとしては、フッ素含有無機アニオン(例えば、(FSO、BF、PF及びAsF)並びにフッ素含有有機アニオン(例えば、ペルフルオロアルカンスルホネート、ビス(ペルフルオロアルカンスルホニル)イミド及びトリス(ペルフルオロアルカンスルホニル)メチド)が挙げられる。フッ素含有有機アニオンは、完全にフルオロ化、すなわちペルフルオロ化されているか、又は(その有機部分内で)部分的にフルオロ化されているかのいずれかであってよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有有機アニオンは、少なくとも約80%がフルオロ化されている(すなわち、アニオンの炭素結合置換基のうちの少なくとも約80%がフッ素原子である)。いくつかの実施形態において、アニオンはペルフルオロ化されている。アニオンは、ペルフルオロアニオンを含め、例えば、窒素、酸素又は硫黄等の1個以上の鎖状に連結したヘテロ原子を含有してもよい。いくつかの実施形態において、フッ素含有有機アニオンとしては、ペルフルオロアルカンスルホネート、ビス(ペルフルオロアルカンスルホニル)イミド及びトリス(ペルフルオロアルカンスルホニル)メチドが挙げられる。
【0076】
いくつかの実施形態において、電解質塩は、リチウム塩を含んでもよい。好適なリチウム塩としては、例えば、リチウムヘキサフルオロホスフェート、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(ペルフルオロエタンスルホニル)イミド、リチウムテトラフルオロボレート、リチウムパークロレート、リチウムヘキサフルオロアルシネート、リチウムトリフルオロメタンスルホネート、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Li−FSI)及びこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0077】
本開示の電解質組成物は、少なくとも1種の電解質塩と、少なくとも1種の式(I)の化合物を含む溶媒組成物とを組み合わせ、それにより塩を所望の動作温度で溶媒組成物中に少なくとも部分的に溶解させることによって調製することができる。本開示の化合物(又は、本開示の化合物を含む、本開示の化合物からなる、若しくは本開示の化合物から本質的になる、通常は液体の組成物)は、このような調製において使用することができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、電解質塩は、電解質組成物の伝導率が最大値又はその近傍となる濃度(典型的には、例えば、リチウム電池用電解質の場合、Liモル濃度約0.1〜4.0M、又は1.0〜2.0M)で、電解質組成物中に用いられるが、広範囲の他の濃度も使用してもよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、1種以上の従来の電解質溶媒が、式(I)の化合物と混合される(例えば、式(I)の化合物は、得られる溶媒組成物の約1〜約80又は90%を構成する)。有用な従来の電解質溶媒としては、例えば、有機及びフッ素含有電解質溶媒(例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメトキシエタン、7−ブチロラクトン、ジグリム(すなわち、ジエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグリム(すなわち、テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、モノフルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチルアセテート、メチルブチレート、テトラヒドロフラン、アルキル置換テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル置換1,3−ジオキソラン、テトラヒドロピラン、アルキル置換テトラヒドロピラン等、及びこれらの混合物)が挙げられる。他の従来の電解質添加剤(例えば、界面活性剤)も、所望であれば存在してもよい。
【0080】
本開示は更に、上記の電解質組成物を含む電気化学セル(例えば、燃料電池、電池、コンデンサ、エレクトロクロミックウインドウ)に関する。このような電気化学セルは、正極、負極、セパレータ及び上記の電解質組成物を含んでもよい。
【0081】
様々な負極及び正極を電気化学セルに用いてもよい。代表的な負極としては、黒鉛炭素、例えば、(002)結晶面同士の間隔(d002)が3.45A>d002>3.354Aであり、粉末、フレーク、繊維又は球(例えば、メソカーボンマイクロビーズ)等の形態で存在するもの;米国特許第6,203,944号(Turnerら)及び第6,255,017号(Turner)に記載のLi4/3Ti5/3のリチウム合金組成物;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。代表的な正極としては、LiFePO、LiMnPO、LiCoPO、LiMn、LiCoO及びこれらの組み合わせが挙げられる。負極又は正極は、当業者によく知られる添加剤、例えば、負極にはカーボンブラック、正極にはカーボンブラック、片状黒鉛等を含有してもよい。
【0082】
本開示の電気化学デバイスは、コンピュータ、電動工具、自動車、通信デバイス等の様々な電子物品に使用することができる。
【0083】
本開示の例示的な実施形態としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
実施形態1.式(I)のジオキソラン含有化合物
【化6】
[式中、(i)R及びRは、独立して、1〜8個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、かつ場合により少なくとも1個の鎖状に連結されたヘテロ原子を含むか、又は(ii)R及びRは、共に結合して4〜6個の炭素原子を有する環構造を形成し、かつ場合により1個以上の鎖状に連結されたヘテロ原子を含み、
は、1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖ペルフルオロアルキル基であり、
及びRは、独立して、H、F、Cl、1〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基から選択され、場合により、アルキル基は、フッ素、塩素、ヒドロキシル基、又は鎖状に連結されたヘテロ原子のうちの少なくとも1つを含む]。
【0085】
実施形態2.R及びRがHである、実施形態1に記載のジオキソラン含有化合物。
【0086】
実施形態3.RがCFである、実施形態1又は2に記載のジオキソラン含有化合物。
【0087】
実施形態4.R及びRが、共に結合して5、6、又は7員環を形成する、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物。
【0088】
実施形態5.R及びRが、共に結合して、鎖状に連結されたO原子を含む6員ペルフルオロ環を形成する、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物。
【0089】
実施形態6.R及びRがモルホリン基を形成する、実施形態5に記載のジオキソラン含有化合物。
【0090】
実施形態7.R及びRが、共に結合して、追加の鎖状に連結されたN原子を含む6員ペルフルオロ環を形成する、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物。
【0091】
実施形態8.R及びRがN−ペルフルオロアルキルピペリジン基を形成する、実施形態7に記載のジオキソラン含有化合物。
【0092】
実施形態9.R及びRがピロリジン基を形成する、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物。
【0093】
実施形態10.R及びRが、独立して、CF、C、及びCから選択される、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物。
【0094】
実施形態11.ジオキソラン含有化合物が、ASTM D−327−96e−1に準拠した密閉式引火点試験に基づいて不燃性である、実施形態1〜10のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物。
【0095】
実施形態12.100未満の地球温暖化係数を有する、実施形態1〜11のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物。
【0096】
実施形態13.実施形態1〜12のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物の精製形態を含む、組成物。
【0097】
実施形態14.実施形態1〜11のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物を含む作動流体であって、当該ジオキソラン含有化合物が、作動流体中に、作動流体の総重量に基づいて少なくとも5重量%の量で存在する、作動流体。
【0098】
実施形態15.共溶媒を更に含む、実施形態14に記載の作動流体。
【0099】
実施形態16.ジオキソラン含有化合物が、洗浄組成物中にある、実施形態1〜11のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物の使用。
【0100】
実施形態17.ジオキソラン含有化合物が、電解質溶媒又は添加剤である、実施形態1〜11のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物の使用。
【0101】
実施形態18.ジオキソラン含有化合物が、熱伝達流体である、実施形態1〜11のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物の使用。
【0102】
実施形態19.ジオキソラン含有化合物が、気相はんだ付け流体である、実施形態1〜11のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物の使用。
【0103】
実施形態20.
デバイスと、
デバイスに又はデバイスから熱を伝達するための機構と、を備え、当該機構が、実施形態1〜11のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物を含む熱伝達流体を含む、熱を伝達するための装置。
【0104】
実施形態21.デバイスが、マイクロプロセッサ、半導体デバイスの製造に用いられる半導体ウエハ、出力制御用半導体、電気化学セル、配電スイッチギヤ、電力変圧器、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージ化された又はパッケージ化されていない半導体デバイス、燃料電池及びレーザーから選択される、実施形態20に記載の熱を伝達するための装置。
実施形態22.熱を伝達するための機構が、電子デバイスの温度又は温度範囲を維持するシステム中の構成要素である、実施形態20又は21に記載の装置。
【0105】
実施形態23.デバイスが、はんだ付けされる電子部品を備える、実施形態20又は21に記載の装置。
【0106】
実施形態24.
デバイスを準備することと、
実施形態1〜11のいずれか1つに記載のジオキソラン含有化合物を含む熱伝達流体を用いて、デバイスに又はデバイスから熱を伝達することと、
を含む、熱を伝達する方法。
【0107】
実施形態25.
(a)塩基存在下で1,2−ジオール化合物をフルオロ化エチレン性不飽和化合物と接触させることを含み、当該フルオロ化エチレン性不飽和化合物が、(i)内部二重結合、(ii)オレフィン性C−F結合、及び(iii)内部二重結合に対してα位のフッ素原子を含む、
ジオキソラン含有ヒドロフルオロエーテルの製造方法。
【実施例】
【0108】
別途断りのない限り、実施例及び明細書のその他の部分における、部、百分率、比などは全て重量によるものであり、実施例で用いた全ての試薬は、一般的な化学物質供給元、例えば、Sigma−Aldrich Company(Saint Louis,Missouri)などから入手したもの、若しくは入手可能なものであるか、又は、通常の方法によって合成することができる。
【0109】
以下の実施例において、次の略記を使用する。「phr」は100部のゴム当たりの部、「g」はグラム、「min」は分、「h」は時間、「℃」は摂氏度、「MPa」はメガパスカル、及び「N−m」はニュートンメートルである。
【0110】
実施例1:
【化7】
の調製
【0111】
エチレングリコール(36g、5.81.62mmol、1.5当量)、水酸化カリウム(43.51g、775.49mmol、2当量)、及びアセトニトリル(140g)を、ステンレス鋼製Parr反応器(Parr Instrument Company(Moline IL)から入手)に加えた。装置を密封して−78℃に冷却した。反応器を真空排気し、2,2,3,3,5,5,6,6−オクタフルオロ−4−(ペルフルオロプロパ−1−エン−1−イル)モルホリン(140g、387.74mmol、1当量)を、装置に真空移送した。容器を完全に密封して室温に達するまで放置した後、80℃で72時間加熱した。その後、反応器を冷却し、ベントした。内容物を、氷水が入った1Lビーカーに注いだ。フルオロケミカル相を回収し、水層を、全フルオロ化液体(「3M PERFORMANCE LIQUID PF−5052」の商標名で3M Co.(St.Paul,MN)から入手可能)で洗浄(3回、1回につき100mL)した。フルオロケミカル相を回収し、この物質を分別蒸留により精製して、2,2,3,3,5,5,6,6−オクタフルオロ−4−(フルオロ(2−(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)メチル)モルホリンを、透明な無色の液体として得た。
【0112】
実施例2:
【化8】
の調製
【0113】
エチレングリコール(51.1mL、914mmol)、水酸化カリウム(126g、1826.6mmol、2.2当量)、及びアセトニトリル(117g)を、ステンレス鋼製Parr反応器(Parr Instrument Company(Moline IL)から入手)に加えた。装置を密封して−78℃に冷却した。反応器を真空排気し、1,2,3,3,3−ペンタフルオロ−N,N−ビス(トリフルオロメチル)プロパ−1−エン−1−アミン(235g、830.27mmol)を、装置に真空移送した。容器を完全に密封して室温に達するまで放置した後、80℃で72時間加熱した。その後、反応器を冷却し、ベントした。内容物を、氷水が入った1Lビーカーに注いだ。フルオロケミカル相を回収し、水層を、全フルオロ化液体(「3M PERFORMANCE LIQUID PF−5052」の商標名で3M Co.(St.Paul,MN)から入手可能)で洗浄(3回、1回につき100mL)した。フルオロケミカル相を回収し、この物質を分別蒸留により精製して、1,1,1−トリフルオロ−N−[フルオロ−[2−(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−N−(トリフルオロメチル)メタンアミン(155g、収率57%)を、透明な無色の液体として得た。
【国際調査報告】