(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-534955(P2019-534955A)
(43)【公表日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】特有の物理的強度特性を有する吸収紙製品
(51)【国際特許分類】
D21H 27/00 20060101AFI20191108BHJP
D21H 27/30 20060101ALI20191108BHJP
A47K 10/16 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
D21H27/00 F
D21H27/30 B
A47K10/16 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2019-515297(P2019-515297)
(86)(22)【出願日】2017年9月19日
(85)【翻訳文提出日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】US2017052195
(87)【国際公開番号】WO2018053475
(87)【国際公開日】20180322
(31)【優先権主張番号】62/396,812
(32)【優先日】2016年9月19日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518460509
【氏名又は名称】マーサー インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジーゲンベイン,トビアス
【テーマコード(参考)】
2D135
4L055
【Fターム(参考)】
2D135AA02
2D135AA03
2D135AA07
2D135AA17
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2D135DA31
4L055AA02
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4L055CF07
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4L055EA07
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4L055EA13
4L055EA28
4L055GA29
(57)【要約】
縦目および縦目に直角な横目を有する吸収性タオルペーパー製品であって、吸収性タオルペーパー製品は2プライの吸収性タオルペーパーウェブを含み、ここで各ペーパーウェブは、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約20重量%〜約90重量%の、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約18.5重量%〜約88.5重量%の長繊維軟材パルプ繊維(長繊維軟材パルプ繊維は混合物に添加される前に任意で精製される)を含む、精製された長繊維軟材パルプ繊維混合物;ティッシュペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.25重量%〜約5.0重量%のカチオン性強化ポリマ、ティッシュペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約10重量%〜約55重量%の硬材パルプ繊維混合物;ならびに約10重量%以下の水分を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦目および前記縦目に直角な横目を有する吸収性タオルペーパー製品であって、前記吸収性タオルペーパー製品は2プライの吸収性タオルペーパーウェブを含み、各ペーパーウェブは
(a)前記タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約20重量%〜約90重量%の精製された軟材パルプ繊維混合物であって:
i.)前記タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約18.5重量%〜約88.5重量%の軟材パルプ繊維であって、前記混合物に添加される前に任意で精製される、軟材パルプ繊維;
ii.)前記ティッシュペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.25重量%〜約5.0重量%のカチオン性強化ポリマ
を含む軟材パルプ繊維混合物;
(b)前記ティッシュペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約10重量%〜約55重量%の、硬材パルプ繊維混合物;ならびに
(c)約10重量%以下の水分;
を含み、
前記2プライ紙製品は約10Nm/g〜約18Nm/gの範囲の平均二乗引張強度を有し、かつ
前記2プライ紙製品は約0.295〜約0.33の範囲の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比値を有する、
吸収性タオルペーパー製品。
【請求項2】
前記軟材パルプ繊維は約25kWh/bdt未満の送達エネルギーで精製される、請求項1に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項3】
前記軟材パルプ繊維は約10kWH/bdt未満の送達エネルギーで精製される、請求項1に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項4】
前記繊維ウェブ内に密度差を導入する抄紙プロセスにより生成される、請求項1に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項5】
前記タオルペーパーウェブはスルーエア乾燥抄紙プロセスにより生成される、請求項1に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項6】
前記タオルペーパーウェブはNTT抄紙プロセスにより生成される、請求項1に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項7】
前記タオルペーパーウェブはATMOSプロセスにより生成される、請求項1に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項8】
前記抄紙プロセスはUCTAD乾燥プロセスである、請求項1に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項9】
縦目および前記縦目に直角な横目を有する吸収性タオルペーパー製品であって、前記吸収性タオルペーパー製品は2プライの吸収性タオルペーパーウェブを含み、各ペーパーウェブは
(a)前記タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約20重量%〜約90重量%の精製された軟材パルプ繊維混合物であって、
i.)前記タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約18.5重量%〜約88.5重量%の軟材パルプ繊維であって、前記混合物に添加される前に任意で精製される、軟材パルプ繊維;
ii.)前記タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.25重量%〜約5.0重量%のカチオン性強化ポリマ
を含む軟材パルプ繊維混合物;
(b)前記タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約10重量%〜約55重量%の硬材パルプ繊維混合物;ならびに
(c)約10重量%以下の水分;
を含み、
前記ペーパーウェブは約500N/m〜約1000N/mの範囲の総乾燥引張強度値を有し;かつ
前記ペーパーウェブは約0.295〜約0.33の範囲の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比値を有する、
吸収性タオルペーパー製品。
【請求項10】
前記軟材パルプ繊維は約25kWh/bdt未満の送達エネルギーで精製される、請求項9に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項11】
前記軟材パルプ繊維は約10kWh/bdt未満の送達エネルギーで精製される、請求項9に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項12】
前記繊維ウェブ内に密度差を導入する抄紙プロセスにより生成される、請求項9に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項13】
前記タオルペーパーウェブはスルーエア乾燥抄紙プロセスにより生成される、請求項9に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項14】
前記タオルペーパーウェブはNTT抄紙プロセスにより生成される、請求項9に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項15】
前記タオルペーパーウェブはATMOSプロセスにより生成される、請求項9に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項16】
前記抄紙プロセスはUCTAD乾燥プロセスである、請求項9に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項17】
縦目および前記縦目に直角な横目を有する吸収性タオルペーパー製品であって、前記吸収性タオルペーパー製品は2プライの吸収性タオルペーパーウェブを含み、各ペーパーウェブは
(a)前記タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約20重量%〜約90重量%の精製された軟材パルプ繊維混合物であって、
i.)前記タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約18.5重量%〜約88.5重量%の軟材パルプ繊維であって、前記混合物に添加される前に任意で精製される、軟材パルプ繊維;
ii.)前記タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.25重量%〜約5.0重量%のカチオン性強化ポリマ、
iii.)前記タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.05重量%〜約20重量%のセルロースナノフィラメント
を含む軟材パルプ繊維混合物;
(b)前記タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約10重量%〜約55重量%の、硬材パルプ繊維混合物;ならびに
(c)約10重量%以下の水分;
を含み、
前記タオルペーパーウェブは約10Nm/g〜約18Nm/gの範囲の平均二乗引張強度を有し;かつ
前記タオルペーパーウェブは約0.20〜約0.50の範囲の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比値を有する、
吸収性タオルペーパー製品。
【請求項18】
前記軟材パルプ繊維は約25kWh/bdt未満の送達エネルギーで精製される、請求項17に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項19】
前記軟材パルプ繊維は約10kWh/bdt未満の送達エネルギーで精製される、請求項17に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項20】
前記繊維ウェブ内に密度差を導入する抄紙プロセスにより生成される、請求項17に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項21】
前記タオルペーパーウェブはスルーエア乾燥抄紙プロセスにより生成される、請求項17に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項22】
前記タオルペーパーウェブはNTT抄紙プロセスにより生成される、請求項17に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項23】
前記タオルペーパーウェブはATMOSプロセスにより生成される、請求項17に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【請求項24】
前記抄紙プロセスはUCTAD乾燥プロセスである、請求項17に記載の吸収性タオルペーパーウェブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年9月19日に出願された米国仮特許出願番号第62/396,812号の出願日の恩典を主張する。
【0002】
開示の分野
本開示は、2プライ紙製品に関する。より特定的には、本開示は、特有の物理的強度特性を有する2プライ吸収紙製品に関する。さらにより特定的には、本開示は、高い乾燥引張強度および横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度の高い比率を有する2プライ吸収紙製品に関する。
【背景技術】
【0003】
化粧紙、ペーパータオル、バスティッシュ、ナプキンおよび他の同様の製品などのティッシュ製品は、いくつかの重要な特性を含むように設計される。例えば、製品は良好な嵩、良好な吸収性、柔らかい手触りを有するべきであり、および、良好な強度および耐久性を有するべきである。不運なことに、製品の1つの特性を増加させるように工程が取られると、製品の他の特性はしばしば悪影響を受ける。
【0004】
考案者たちは長い間、それらの構造の十分な強度を確保するために、それらの紙構造中の軟材繊維のレベルの均衡をとるように企図し、同時により高いレベルの軟材繊維に由来する悪影響を最小に抑えようとしてきた。
【0005】
問題の1つの例は、ペーパータオル地製品の考案者たちが、乾燥強度を維持または低減しながら、より高い使用中の湿潤強度を有する新規製品を開発するために提示し、働いてきた努力により証明される。しかしながら、考案者たちは典型的な抄紙機プロセス変数を使用して製品の使用中の湿潤強度を増加させるので、吸収性および/または柔らかさなどの他の消費者所望の属性は典型的には減少する。ペーパータオル地を改善するために考案者たちが取り組む問題は、どのようにして、柔らかさおよび/または吸収性を維持または改善しながらタオルの使用中の湿潤強度を増加させるか、および/または、総製品乾燥強度を維持または低減しかつおよびシート柔軟性を増加しながら軟材含有量を減少させるかである。強度を増加させるために製紙業者が使用できる全ての標準抄紙機プロセス変数は通常、シート手触りに悪影響を与える可能性があり、製品吸収性にマイナスの影響を与える可能性がある。
【0006】
したがって、柔らかさ、吸収性および抄紙信頼性を犠牲にせずに湿潤強度を増加させるタオル製品の物理的製品性能をさらに最適化する新規繊維状紙構造が、依然として必要とされている。特に、乾燥強度を維持または低減しながら湿潤強度を増加する新規繊維状紙構造が必要である。そのような構造はとりわけ、マルチ密度抄紙構造にとって有益であり、スルーエア乾燥(Through−Air Dried)、ファブリッククレープ(Fabric Crepe.)NTT、ATMOSおよびUCTAD機械プロセスで製造されるそのような構造が非限定的な例である。
【発明の概要】
【0007】
本開示の開発は、縦目およびタオルペーパーウェブが製造される抄紙機の方向に直角な横目を有する吸収性タオルペーパー製品であり、ここで、吸収性タオルペーパー製品は2プライの吸収性タオルペーパーウェブを含み、ここで、各ウェブは(a)タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約20重量%〜約90重量%の、i.)タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約18.5重量%〜約88.5重量%の軟材パルプ繊維(軟材パルプ繊維は混合物に添加される前に任意で精製される);ii.)タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.25重量%〜約5.0重量%のカチオン性強化ポリマを含む、精製された軟材パルプ繊維混合物、(b)ティッシュペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約10重量%〜約55重量%の硬材パルプ繊維混合物、および(c)約10重量%以下の水分を含み、ここで、ペーパータオルウェブは約10Nm/g〜約18Nm/gの範囲の平均二乗引張強度を有し;ここで、ペーパーウェブは約0.20〜約0.50の範囲の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示において使用するためのスルーエア乾燥抄紙機によるマルチ密度吸収性ペーパータオルを製造するためのプロセスの1つの実施形態の概略図である。
【
図2】本開示において使用するためのマルチ密度吸収性タオルウェブ製品を製造するための、別の「新ティッシュ技術」(「NTT」)プロセスの概略図である。
【
図3】本開示において使用するためのマルチ密度吸収性タオルウェブ製品を製造するための、先進ティッシュ成型システム「ATMOS」プロセスの概略図である。
【
図4】本開示において使用するためのマルチ密度吸収性タオルウェブ製品を製造するための、クレープ加工なしスルーエア乾燥技術「UCTAD」プロセスの概略図である。
【
図5】吸収紙製品を印刷およびエンボス加工するための装置の実施形態例の概略図である。
【
図6】送り込みニップおよび送り出しニップエンボス加工/印刷プロセスのユニットの一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、軟材流へのより低い精製エネルギー入力を有するにもかかわらず乾燥引張を維持しながら、およびカチオン性樹脂付加定数を維持しながら、高い湿潤引張強度対乾燥引張強度比を有する吸収性タオルペーパー製品に関する。吸収性タオル紙製品は2プライの吸収性タオルペーパーウェブを含む。
【0010】
ペーパータオルウェブの各々は、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約20重量%〜約90重量%の精製された軟材パルプ繊維混合物を含む。精製された軟材パルプ繊維混合物は、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約18.5重量%〜約88.5重量%の軟材パルプ繊維を含む。軟材パルプ繊維は混合物に添加される前に任意で精製される。軟材パルプ繊維混合物はまた、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.25重量%〜約5.0重量%のカチオン性強化ポリマを含む。ペーパータオルウェブはまた、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約10重量%〜約55重量%の硬材パルプ繊維混合物を含む。ペーパータオルウェブは約10重量%以下の水分を含む。
【0011】
2プライペーパータオル製品は、約10Nm/g〜約18Nm/gの範囲の平均二乗引張指数を有することにより測定される、または約500N/m〜約1000N/mの範囲の乾燥引張強度により測定される乾燥強度を維持する。ペーパータオルウェブは、約0.20〜約0.50、好ましくは約0.295〜約0.35の範囲の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比値を有することにより測定される、ウェブの乾燥強度との関連での改善された湿潤強度を有する。
【0012】
本明細書では、「紙製品」は、伝統的に、セルロース繊維を含むが、必ずしもそうではない任意の形成された、繊維状構造製品を示す。1つの実施形態では、本開示の紙製品は、吸収性タオル製品(「ペーパータオル製品」)を含む。他の実施形態では、本開示の紙製品はソフトサニタリティッシュ製品を含み得る。
【0013】
「吸収性タオル製品」は本明細書では、ソフトな手触りと共に、液体吸収および湿式洗浄に対する消費者の要求を満たすように設計され製造される紙製品のクラスである。吸収性タオルペーパーウェブは、サニタリティッシュおよび化粧紙のウェブと同じ抄紙技術で製造されるが、原料、抄紙プロセス設定、目付および他の原料が、所望の消費者属性を与えるように最適化される。
【0014】
本開示の紙製品は、ペーパーティッシュ製品またはペーパータオル製品を含む紙製品を指す。開示される紙技術としては、一般に、従来のフェルトプレス、または従来のウェットプレスティッシュペーパー、パターン高密度化ティッシュペーパー、ウェットクレープティッシュペーパー製品、クレープ加工ありまたはクレープ加工なしに関係なくスルーエア乾燥ティッシュペーパー製品が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、本開示の抄紙プロセスは、接着剤クレーピング、ウェットクレーピング、ダブルクレーピング、エンボス加工、ウェットプレス加工、エアプレス加工、スルーエア乾燥、クレープ加工ありスルーエア乾燥、クレープ加工なしスルーエア乾燥、ならびにペーパーウェブの形成における他の工程を利用できる。そのような技術のいくつかの例は、米国特許第4,529,480号、5,048,589号、5,399,412号、5,129,988号、5,494,554号、5,607,551号、6,398,916号、7,744,726号および8,388,803号において開示される。
【0015】
本開示の製品などの多層タオル製品を形成する場合、別個のプライを、同じプロセスから、または異なるプロセスから要望通り製造できる。例えば、1つの実施形態では、タオルウェブは、当技術分野で知られたプロセスを使用して形成されるクレープ加工ありスルーエア乾燥ウェブであってよい。
【0016】
そのようなウェブを形成するために、ロールにより好適に支持され、駆動されるエンドレス移動フォーミングファブリックは、へッドボックスから流れてくる層状または非層状抄紙ストックを受け取る。真空箱がフォーミングファブリックの真下に配置され、繊維完成紙料から水を除去するように適合されてウェブの形成を支援する。フォーミングワイヤー/ファブリックから、形成されたウェブが第2のファブリックに真空補助または機械的手段によりトランスファーされ、この第2のテンプレートは、所望のトポグラフィーがテンプレートの構造中に生成される限り、ワイヤー、フェルト、または織布のいずれかであってよい。シート形成テンプレートの使用は、複数の低局所目付領域と相互に連結された高い局所目付の複数の繊維強化領域を有する抄紙構造を生成する。ファブリックは、複数のガイドロールにより、連続パス周りの移動のために支持される。ファブリックからファブリックへのウェブのトランスファーを促進するように設計されたピックアップロールが、ウェブをトランスファーさせるために含められてもよい。
【0017】
形成されたウェブは次いで、約10重量%未満水分、好ましくは約6重量%未満、より好ましくは約4%重量%未満水分の水分レベルに乾燥される。好ましくは、形成されたウェブは、形成されたウェブを通って加熱空気を吹き付け、その後回転可能な加熱ドライヤードラム、例えばヤンキードライヤーの表面にトランスファーすることにより乾燥される。乾燥シリンダーには、樹脂製接着剤コーティング組成物の真下に樹脂製保護コーティング層が任意で提供される。樹脂製接着剤コーティング組成物は好ましくは再湿潤性である。プロセスは、接着剤コーティングが乾燥サイクルへのウェブのトランスファー時に十分なウェットタック強度を提供するように維持されて乾燥中にウェブを固定するように動作される。接着剤樹脂コーティング組成物はまた、乾燥された時に接着剤コーティング組成物が柔軟であるように維持され、乾燥が達成された時にウェブが顕著なシートダメージなしに乾燥シリンダーから除去され得る。ウェブは、乾燥ファブリックがトポグラフィーを有する場合、直接、スルー乾燥ファブリックからヤンキーにトランスファーされてよく、または好ましくは、インプレッションファブリックにトランスファーされ、それが次いでウェブをヤンキードライヤーにトランスファーさせるために使用される。ウェブはその後、クレーピングブレードによりドライヤードラムから除去される。ウェブのクレーピングはウェブ内の内部ボンディングをさらに低減し、柔らかさおよび吸収性を増加させる。
【0018】
他の実施形態では、ベースウェブは、クレープ加工なしスルーエア乾燥プロセスにより形成される。関連するクレープ加工なしスルーエア乾燥ティッシュプロセスは例えば、米国特許第5,656,132号および6,017,417号において記載される。
【0019】
本開示による繊維状構造物はスルーエア乾燥繊維状構造物、密度差繊維状構造物、目付差繊維状構造物、湿式繊維状構造物、エアレイド繊維状構造物、クレープ加工ありもしくはクレープ加工なし繊維状構造物、パターン−高密度化もしくは非パターン−高密度化繊維状構造物、圧縮または非圧縮繊維状構造物、ダブル再クレープ加工繊維状構造物(当技術分野でよく知られており、米国特許第3,301,746号、3,974,025号、4,191,609号および4,637,859号、6,398,906号および8,388,803号において例示されている)の形態であってよい。
【0020】
本開示の吸収性タオルペーパーウェブは、縦目および縦目に直角な横目を有する。「縦目」(MD)および「横目」(CD)は本明細書では、下記の通り規定される。ペーパーウェブの「縦目」は抄紙機の長さと平行であるペーパーウェブの面内の方向である。ペーパーウェブの「横目」は、抄紙機の長さに垂直であり、そのため、縦目に直角である、ペーパーウェブの面内の方向である。総乾燥引張は縦目と横目引張の合計である。
【0021】
本明細書では、「抄紙完成紙料」という句は、セルロースまたは非セルロース繊維のいずれか、抄紙機能助剤(強度、吸収性または柔らかさ改善)、フィラーおよび抄紙ウェブを形成するために使用される他の抄紙プロセス材料の水性混合物を指す。想定されるセルロース繊維は、軟材パルプ繊維、例えば針葉樹さらしクラフト、硬材パルプ繊維、例えば広葉樹さらしクラフト、非木質繊維、リサイクル繊維、合成ポリマ繊維およびまたはユーカリさらしクラフトパルプとして販売される標準の「市場」で入手可能な材料であり、表面ボンディング特性を増強させるように改良された繊維材料、例えば特許6,379,494号または繊維改良の同様の方法において教示される、増強されたカルボキシル化繊維を含まない。
【0022】
本開示の吸収性タオルペーパーウェブは、約20%〜約90%、好ましくは約30%〜約80%、より好ましくは約40%〜約70%、さらにいっそう好ましくは約50%〜約60%の、軟材パルプ繊維およびカチオン性強化ポリマを含む精製された軟材パルプ繊維混合物を含む。
【0023】
本明細書では、「乾燥繊維ベースの重量パーセント(%)」という句は、言及された材料成分のパーセンテージを指し、全ての水および他の揮発性材料が抄紙ウェブから除去された時点での任意の担体および/または送達ビヒクル対乾燥最終繊維ウェブを含む。
【0024】
「繊維」は本明細書では、見かけの長さがその見かけの直径を大きく超える、すなわち少なくとも約10かつ200未満の長さ対直径比を有する細長い物理的構造を意味する。非円形断面および/または管形状を有する繊維が一般的であり;この場合の「直径」は、繊維の断面積と等しい断面積を有する円の直径であると考えることができる。より特定的には、本明細書では、「繊維」は繊維状構造物を作る繊維を指す。本開示は、例として、天然繊維、例えばセルロースナノフィラメントおよび/または木材パルプ繊維、非木質繊維または任意の好適な繊維およびそれらの任意の組み合わせなどの、様々な繊維状構造物を作る繊維の使用を企図する。
【0025】
本開示において有用な天然の繊維状構造物を作る繊維としては、動物繊維、鉱物繊維、植物繊維、人工紡糸繊維、および加工繊維状要素、例えばセルロースナノフィラメントが挙げられる。動物繊維は、例えば、羊毛、絹、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。植物繊維は、例えば、木材、綿、コットンリンター、亜麻、サイザル麻、アバカ、ヘンプ、ヘスペラロエ、ジュート、竹、バガス、アフリカハネガヤ、わら、ジュート、ヘンプ、トウワタ綿毛、クズ、トウモロコシ、ソルガム、ヒョウタン、リュウゼツラン、トリコーム、ヘチマおよびそれらの混合物からなる群より選択される植物由来であってよい。
【0026】
しばしば木材パルプと呼ばれる木質繊維は、クラフト(硫酸塩)、亜硫酸塩、ポリスルフィド、ソーダパルプ化、などを含む当技術分野における経験豊かなものによく知られた多くの化学パルプ化プロセスのいずれか一つにより、それらの起源から遊離される。さらに、繊維はメカニカルおよびセミケミカルプロセスを使用して、それらの起源から遊離されてよく、例えば、丸太、サーモメカニカルパルプ、ケモメカニカルパルプ(CMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、アルカリ性過酸化物機械パルプ(APMP)、中性セミケミカル亜硫酸パルプ(NSCS)が挙げられ、それらも企図される。パルプは、所望であれば、二酸化塩素、酸素、アルカリ性過酸化物などの使用を含む、当技術分野における経験豊かなものによく知られたいずれか一つのプロセスまたはその組み合わせにより白化されてよい。しかしながら、化学パルプが好ましい場合があり、なぜならそれらは優れた手触りおよび/または所望のティッシュシート特性を付与するからである。落葉樹(以後、「硬材」と呼ばれる)および針葉樹(以後、「軟材」とも呼ばれる)の両方に由来するパルプが使用されてよく、および/または非木質植物由来の繊維が人工繊維と共に使用されてよい。硬材、軟材、および/または非木質繊維はブレンドされてよく、またはその代わりに、層に堆積されて重層化および/または層状ウェブを提供し得る。米国特許第4,300,981号および3,994,771号は、軟材および硬材繊維の層化を開示する。再生紙由来の繊維、ならびに他の非繊維材料、例えば元の抄紙および紙加工を促進するために使用される接着剤もまた本開示に適用可能である。木材パルプ繊維は、短くても(硬材繊維に典型的)または長く(軟材繊維およびいくつかの非木質繊維に典型的)てもよい。
【0027】
本開示のペーパータオルウェブにおいて使用できる軟材繊維の例としては、マツ、エゾマツ、モミ、カラマツ、ヘムロック、イトスギ、およびヒマラヤスギ由来の繊維が挙げられるが、それらに限定されない。クラフトプロセスに由来し、より北の気候に起因する軟材繊維が好ましい可能性がある。これらはしばしば北部針葉樹さらしクラフト(NBSK)パルプと呼ばれる。
【0028】
本開示の吸収性タオルペーパーウェブの軟材パルプ繊維混合物は、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約18.5重量%〜約88.5重量%、好ましくは約25重量%〜約75重量%、より好ましくは約35重量%〜約65重量%、さらにいっそう好ましくは約45重量%〜約55重量%の、軟材パルプ繊維を含む。
【0029】
軟材パルプ繊維は、任意で軟材パルプ繊維混合物への添加前にボンディングを増強させるために処理され得る。この繊維の調製は機械的精製処理を含んでよく、これにより繊維は、圧縮され、および/または高せん断に供されて、繊維をより柔軟にし、かつ繊維フィブリル化、繊維膨潤および増加した繊維柔軟性により増加された繊維対繊維ボンディング面積を生成する。精製は抄紙分野の当業者により知られている任意の手段により実施され得る。メカニカル精製は約20キロワット−時間/絶乾トン(kWh/bdt)未満、好ましくは約10kWh/bdt未満であってよく、より好ましくは、繊維は精製されずに、増強された湿潤強度を依然として与え、一定の化学薬品添加を維持しかつペーパーウェブ乾燥強度を維持することが、予想外に分かった。
【0030】
繊維ボンディングを増強させるための任意的な処理は、化学的処理またはパルプおよび抄紙技術分野において知られている「化学的精製」により達成されて、繊維フィブリル化、繊維膨潤を通して繊維対繊維ボンディング面積を増加し、これにより繊維柔軟性も増加する。
【0031】
短い硬材繊維の非限定的な例としては、アカシア、ユーカリ、カエデ、オーク、ヤマナラシ、カバノキ、ヒロハハコヤナギ、ハンノキ、トネリコ、サクランボ、ニレ、ヒッコリー、ポプラ、ゴム、クルミ、ニセアカシア、アメリカスズカケノキ、ブナ、キササゲ、サッサフラス、グメリン(gmelin)、ネムノキ属、およびモクレンからなる群より選択される繊維源由来の繊維が挙げられる。
【0032】
吸収性タオルペーパーウェブは、約10%〜約55%、好ましくは20%〜約45%、より好ましくは約30%〜約40%の、硬材パルプを含む硬材パルプ繊維混合物を含む。
【0033】
本開示の吸収性タオルペーパーウェブの異なる実施形態はまた、それらの個々の表面が変更されない限り、追加のパルプ繊維を含んでよい。
【0034】
リサイクル繊維が、完成紙料に任意の量で添加され得る。任意の好適なリサイクル繊維が使用され得るが、比較的低いレベルの砕木パルプを有するリサイクル繊維が多くの場合好ましく、例えば、15重量%未満のリグニン含量、または10重量%未満のリグニン含量を有するリサイクル繊維が、使用される完成紙料混合物および用途によって好ましい場合がある。
【0035】
「合成ポリマ繊維」および同様の専門用語は、合成ポリマ、例えばポリエステル、ナイロンおよびポリオレフィンなどから生成される繊維を指す。ポリエステルは、一般に公知の重合技術により、脂肪族または芳香族ジカルボン酸と飽和脂肪族または芳香族ジオールから得られる。好ましい芳香族二酸モノマは、低級アルキルエステル、例えばテレフタル酸またはイソフタル酸のジメチルエステルである。典型的な脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。好ましい芳香族ジカルボン酸またはそのエステルもしくは無水物は、エステル化またはエステル交換され、および飽和脂肪族または芳香族ジオールと重縮合される。典型的な飽和脂肪族ジオールとしては、好ましくは低級アルカン−ジオール、例えばエチレングリコールが挙げられる。典型的な脂環式ジオールは、1,4−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む。典型的な芳香族ジオールとしては、ヒドロキノン、レゾルシノールおよびナフタレンジオールの異性体(1,5−;2,6−;および2,7−)などの芳香族ジオールが挙げられる。脂肪族および芳香族ジカルボン酸ならびに飽和脂肪族および芳香族ジオールの様々な混合物もまた使用され得る。最も典型的には、芳香族ジカルボン酸は脂肪族ジオールと重合されて、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(テレフタル酸+エチレングリコール)を生成する。加えて、芳香族ジカルボン酸は芳香族ジオールと重合されて、全芳香族ポリエステル、例えばポリフェニレンテレフタレート(テレフタル酸+ヒドロキノン)を生成し得る。ポリエステルの例としては下記が挙げられる;ポリエチレンテレフタレート;ポリ(1,4−ブチレン)テレフタレート;および1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート/イソフタレートコポリマおよび、芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、ビ安息香酸(bibenzoic acid)、ナフタレン−ジカルボン酸、例えば1,5−;2,6−;および2,7−ナフタレン−ジカルボン酸;4,4,−ジフェニレン−ジカルボン酸;ビス(p−カルボキシフェニル)メタン酸;エチレン−ビス−p−安息香酸;1,4−テトラメチレンビス(p−オキシ安息香酸);エチレンビス(p−テトラメチレン酸;1,3−トリメチレンビス(p−オキシ安息香酸);および1,4−テトラメチレンビス(p−オキシ安息香酸)、ならびに2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;シクロヘキサンジメタノールおよび一般式HO(CH2)
nOHの脂肪族グリコール(ここで、nは2〜10の整数である)、例えば、エチレングリコール;1,4−テトラメチレングリコール;1,6−ヘキサメチレングリコール;1,8−オクタメチレングリコール;1,10−デカメチレングリコール;および1,3−プロピレングリコールからなる群より選択されるジオール;ならびに一般式HO(CH2CH2O)
nHのポリエチレングリコール(ここで、nは2〜10,000の整数である)、および芳香族ジオール、例えばヒドロキノン、レゾルシノールおよびナフタレンジオールの異性体(1,5−;2,6−;および2,7)由来の他の直鎖ホモポリマエステル。1つ以上の脂肪族ジカルボン酸、例えばアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸もまた存在してよい。
【0036】
好適なポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1,4−メチルペント−1−エンなどのオレフィンを、従来様式で重合することにより生成される材料が挙げられる。繊維に有用なポリオレフィンは高密度ポリエチレン(HDPE)およびポリプロピレンである。他のポリオレフィンホモポリマおよびエチレンのコポリマが、この開示の実施において使用されてよい。そのような他のポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)およびポリブチレン(PB)が挙げられる。しかしながら、これらの他のポリオレフィンは、他のポリオレフィン、例えばポリプロピレンまたは高密度ポリエチレン(HDPE)とブレンドされてよい。
【0037】
開示の実施において有用なナイロンまたはポリアミド樹脂は当技術分野でよく知られており、半結晶およびアモルファス樹脂を含み、それらは、例えば、ジアミンと4〜12の炭素原子を含む飽和ジカルボン酸の等モル量の縮合重合により、ラクタムの開環重合により、またはポリアミドの、例えばポリエーテルポリアミドブロックコポリマを形成する他の成分との共重合により、生成され得る。ポリアミドの例としては、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラアミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン612)、ポリドデカメチレンドデカノアミド(ナイロン1212)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリラウリンラクタム、ポリ−11−アミノウンデカン酸、ならびにアジピン酸、イソフタル酸、およびヘキサメチレンジアミンのコポリマが挙げられる。
【0038】
合成ポリマ繊維は、セルロースと比べて一般に疎水性であり、湿潤強力樹脂にボンディングするためのアニオン性部位またはパルプ由来繊維に効果的に水素結合するために十分なヒドロキシル基を欠く。この開示と関連して使用される好適な繊維としては、溶融紡糸繊維、メルトブロー繊維、複数のセグメントを有する分割性繊維およびとりわけ、ディスクリファイナーにおける精製によりそれらのセグメントに分割可能である分割型複合繊維が挙げられる。Fiber Innovation Technologyから入手可能な1つの好適な繊維は、以下で記載される、0.125デニールの特性繊度を有する、16−セグメント、2−デニールナイロン/ポリエステル複合繊維である。
【0039】
分割性繊維を製造するための分割型繊維調製は熱可塑性繊維との関連で一般に知られおり、ここで、繊維は、異なるポリマで形成されるセグメントを有する。例えば、Pikeらの米国特許第5,759,926号、ならびにSasseらの米国特許第5,895,710号、およびPolancoらの米国特許出願公開第2003/0203695号(米国特許出願番号第10/135,650号)を参照されたい。
【0040】
この開示と関連して生成され利用される分割性繊維は、分割型パイ形状、海島配置、サイドバイサイド配置、中空配置などを有し得る。Murakamiらの米国特許第4,735,849号、
図6A−6D、ならびに米国特許出願公開第US2002/0168912号(米国特許出願番号第09/852,888号)、
図2−9を参照されたい。分割性繊維は、以下で記載されるように完成紙料中への組み込み前に、好適に崩壊される。
【0041】
この開示でまた企図される人工繊維は、当業者により知られている複数の溶媒を介して調製されたセルロースドープを使用することにより形成される。このドープは繊維へと紡糸され、それは使用され、またはさらにフィブリル化され、吸収性シートに組み込まれ得る。理論に限定されないが、リヨセルなどの合成セルロースが、精製およびより小さな繊維および繊維セグメントを作製するための他の方法によりサイズが低減された改良リヨセルと共に考えられる。米国特許7,718,036号は様々な考えられる溶媒ならびにティッシュおよびタオル構造物中のフィブリル化ローゼル(losel)の包含物を示す。
【0042】
抄紙動作のための繊維の調製中、長繊維およびいくらかの短繊維パルプは機械的または化学的加工に供され、これにより繊維は圧縮され、高せん断に供されおよび/または化学的に処理されて、繊維をより柔軟にし、かつ繊維フィブリル化、繊維膨潤および増加した繊維柔軟性により増加された繊維対繊維ボンディング面積を生成する。当業者であればパルプ繊維を精製する3つの主要な生成物が下記のようであることを認識するであろう;1)あるパーセンテージの繊維は精製強度および濃度によって、全く影響されない、2)かなりのパーセンテージの繊維がフィブリル化され、これにより繊維細胞壁が層剥離され、元の繊維に結合されたままのミクロフィブリルが露出する、ならびに3)あるパーセンテージの繊維およびミクロフィブリルは切断されまたは非常に小さな小片(200ミクロン未満の長さ)へと機械的に破壊され、この画分は極細繊維画分と呼ばれる。これらの極細繊維は、一次的(天然木材源中に存在するもの)または二次的(精製の作用中に作製されるもの)であり得る。発見されたことは、精製強度、濃度および他の加工条件を変更することにより、セルロースナノフィラメントと呼ばれる新しい繊維構成要素を作製できること、ならびに加工段階および単位動作を最適化することにより、40%超の個別化セルロースナノフィラメントを含む終局パルプ繊維流が生成され得ることである。
【0043】
これらの「セルロースナノフィラメント」は、本開示の実施形態において使用され得る。それらは軟材および/または硬材のいずれかに由来してよく、そのようなものとして、軟材または硬材の繊維状要素を含み得る。セルロースナノフィラメントサイズおよび高アスペクト比により、この材料は特有の繊維クラスとして区別され、軟材または硬材材料のいずれかとして特徴づけられない。高アスペクト比により、繊維幅で割った繊維長が少なくとも200〜約5000、好ましくは約600超〜約1000であることが意味される。セルロースナノフィラメントはナノメートル範囲の平均幅、例えば約30nm〜約500nmの平均幅、およびマイクロメートル範囲またはそれを超える平均長、例えば約10μm超、好ましくは約100μm〜約2mm、より好ましくは約200μm〜約1mm、さらにいっそう好ましくは約300μm〜約500μmの平均長を有する。そのようなセルロースナノフィラメントは、例えば、機械的手段のみを使用するプロセス、例えば、2012年1月19日に出願された米国特許出願公開第2013/0017394号において開示される方法から得ることができる。加えて、セルロースナノフィラメントは、特定の幾何学的形状が維持される限り、様々なプロセスから製造できる。セルロースナノフィラメントを作製するために使用されるプロセスとしては改良精製機器、ホモジナイザー、超音波繊維処理、および酵素繊維改質を含む化学繊維処理が挙げられるが、それらに限定されない。
【0044】
論文“Nanocellulose Patent Trends: A Comprehensive Review on Patents on Cellulose Nanocrystals, Microfibrillated and Bacterial Cellulose”, Charreau et al, Nanotechnology, 2013 7, 56−80において、著者は長年にわたるミクロフィブリル化セルロース(MFC)に言及する様々な用語についてレビューしており、「セルロースナノフィラメント」はこれらの一般用語に当てはまり得る。本開示の「セルロースナノフィラメント」材料は特定的には、“High aspect ratio cellulose nanofilaments and method for their production”と題する、Hua, X.らの公開US20130017394A1号において開示されるプロセスの結果物である。このプロセスにより生成される材料は、開示されるプロセスが、前に開示された材料よりも著しく高いアスペクト比(長さ/幅)を有するセルロースナノフィラメントを生成するという点で特有である。
【0045】
セルロースナノフィラメントは、それらが少なくとも40重量%、好ましくは75重量%、より好ましくは90重量%の、最大で300−350μmのフィラメント長およびおよそ100−500nmの直径を有するフィブリル化セルロース材料のフィラメントを有するという点で、木材パルプ繊維の機械的分解のための他の方法を使用して調製されるミクロフィブリル化セルロース(MFC)またはナノフィブリル化セルロース(NFC)などの他のセルロース繊維とは構造的に非常に異なる。NFC中のフィブリル化セルロース材料は典型的には、100μmより短い長さを有し、一方、NFC中のフィブリル化セルロース材料は典型的には1μmより短い長さを有する。しかしながら、セルロースナノフィラメント材料の生成において、機械的手段を用いて生成される、同様の他のフィブリル化セルロース材料は1つの一次元値を有する均質な材料ではないことが当業者により認識されるべきである。上で記載されるセルロースナノフィラメント材料および精製されたパルプ流内に>50%セルロースナノフィラメントを含む精製されたパルプ流の好ましいブレンドが、この開示の基礎である。
【0046】
この開示で企図される実施形態で可能なセルロースナノフィラメントの別の想定される適用は、抄紙場所に輸送される前での、少パーセンテージの純粋セルロースナノフィラメントおよび/またはセルロースナノフィラメントおよび他の精製製品の混合物のいずれかのバージンまたはリサイクルパルプ流への包含である。このように、バージン繊維源はセルロースナノフィラメント添加により増強でき、次いでセルロースナノフィラメントは新規繊維投与流を導入することなしに、抄紙プロセスに添加できる。パルプ生成施設でセルロースにセルロースナノフィラメントを投与することにより、セルロースナノフィラメント包含によってのみ可能である特性を有する「スーパーパルプ」と呼ばれるものを生成できるであろう。そのため、セルロースモノフィラメント添加のための多くの異なる方法が本開示で考慮され、これらとしては、セルロースナノフィラメントおよび他の精製副産物(50%超の好ましいナノセルロース含量を有する)の混合物を含む、直接純粋セルロースナノフィラメント包含が挙げられるが、それらに限定されず、セルロースナノフィラメントは、製紙工場での包含前に未使用のまたはリサイクルされた繊維中の包含により添加される。
【0047】
「フィブリル化セルロース繊維」という句は、本明細書では、機械的または化学的処理を受けたセルロース繊維であり、その処理中に、個々のセルロースフィラメントまたはその束は、繊維本体から遊離されるが繊維に一端で接合したままであり、より大きなボンディング面積および増加した繊維−繊維接触を生成する。処理の程度が繊維から放出されるセルロースナノフィラメントの数を決定する。
【0048】
本明細書では、「非セルロース繊維」という句は、セルロース以外の材料から構成される天然または人工繊維のいずれかから構成される抄紙繊維の群を意味する。非セルロース繊維としては、人工紡糸繊維、動物起源、および/または微細藻類由来の繊維が挙げられるが、それらに限定されない。加えて、本開示の製品を形成する繊維は、ポリマ溶融組成物から、好適な紡糸動作、例えばメルトブローイングおよび/またはスピンボンディングを介して紡糸されてよく、および/またはそれらは天然源から入手されてもよい。そのような繊維は単成分および/または多成分であってよい。例えば、繊維状要素は複合繊維および/またはフィラメントを含んでよい。複合繊維および/またはフィラメントは任意の形態、例えばサイドバイサイド、芯鞘、海島などであってよい。フィラメントの非限定的な例としては、メルトブローおよび/またはスパンボンドフィラメントが挙げられる。フィラメントへと紡糸できるポリマの非限定的な例としては、天然ポリマ、例えばデンプン、デンプン誘導体、セルロース、例えばレーヨンおよび/またはリヨセル、およびセルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ならびに合成ポリマ、例えば、限定はされないが熱可塑性ポリマフィラメント、例えばポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン、例えばポリプロピレンフィラメント、ポリエチレンフィラメント、および生分解性熱可塑性繊維、例えばポリ乳酸フィラメント、ポリヒドロキシアルカノエートフィラメント、ポリエステルアミドフィラメントおよびポリカプロラクトンフィラメントが挙げられる。繊維の非限定的な例としては、パルプ繊維、例えば木材パルプ繊維、および合成ステープルファイバ、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、そのコポリマ、レーヨン、ガラス繊維およびポリビニルアルコール繊維が挙げられる。ステープルファイバは、フィラメントトウを紡糸し次いでその2つを5.08cm(2in.)未満のセグメントに切断し、繊維を生成することにより生成され得る。
【0049】
本明細書では、「セルロース極細繊維」という句は、200ミクロン未満の長さを有する繊維材料のクラスを意味する。これらの材料は木中の一次材料、または天然起源の材料を含んでよく、またはそれらは二次物、パルプ化および/またはパルプ繊維のハンドリングのいずれかにより作製されるものとして分類でき、そのため繊維セクションおよび/またはセルロースナノフィラメントセクションを含んでよい。極細繊維は均質な材料ではなく、規定された長さ制限を有する材料のクラスを表すために使用されるにすぎない。
【0050】
本開示の吸収性タオルペーパーウェブの好ましい実施形態は、約0.05〜約20.0%、好ましくは約1.0%〜約10.0%、より好ましくは約1.0%〜約3.0%のセルロースナノフィラメントを含む。
【0051】
この開示で有用なカチオン性強化ポリマとしては、限定はされないが、カチオン性水溶性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は湿潤強度を紙シートに付与し、抄紙技術分野でよく知られている。そのような樹脂としては、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ジアルデヒドデンプン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、ティッシュ製品の強度をさらに増強させるために他の強度剤を使用できる。本明細書では、「湿潤強度剤」は、パルプ繊維に添加されると、約0.1を超える湿潤幾何学的引張強度対乾燥幾何学的引張強度比(ration)を有する、結果として得られるウェブまたはシートを提供できる任意の材料である。典型的には、これらは「永久的」湿潤強度または「一時的」湿潤強度剤と呼ばれる。当技術分野でよく知られているように、一時的なおよび永久的な湿潤強度剤はまた、時として、乾燥時にティッシュ製品の強度を増強する乾燥強度剤としても機能し得る。任意的な化学材料成分のリストは本質的にほとんど例示的にすぎないことが意図され、本開示の範囲を制限することを意味しない。他の材料もまた、本開示の利点を妨害しない、または弱めない限り包含され得る。
【0053】
湿潤強度剤は、ウェブの所望の特性によって、様々な量で適用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、添加される総湿潤強度剤は約0.5〜50kg/T、いくつかの実施形態では、2〜約15kg/Tであってよく、いくつかの実施形態では、約3〜約5kg/Tの強度剤は、多層ティッシュウェブの任意の層に組み入れられてよい。この開示で有用なカチオン性湿潤強力樹脂としては、限定はされないがカチオン性水溶性樹脂が挙げられる。これらの樹脂は紙シートに湿潤強度を付与し、抄紙技術分野においてよく知られている。この樹脂は一時的または永久的湿潤強度のいずれかを繊維状シートに付与できる。そのような樹脂としては、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ジアルデヒドデンプン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0054】
強度添加物は、永久的湿潤強力樹脂、一時的湿潤強力樹脂、乾燥強度添加物、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。永久的湿潤強度が所望である場合、化学抄紙添加物は下記の化学薬品の群から選択できる:ポリアミドピクロロヒドリン、ポリアクリルアミド、不溶化ポリビニルアルコール;ウレアロムアルデヒド(ureaormaldehyde);ポリエチレンイミン;およびキトサンポリマ。ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂はカチオン性湿潤強力樹脂であり、特に有用性があることが見出されている。そのような樹脂の好適な型は、1972年10月24日に発行された米国特許第3,700,623号、および1973年11月13日に発行された3,772,076号(どちらも、Keimに発行)において記載される。有用なポリアミドエピクロロヒドリン樹脂の1つの商業的供給源はWilmington, Del.のSolenis LLC.であり、それはそのような樹脂を商標名KYMENE(登録商標)557H下で市場に出している。
【0055】
ポリアクリルアミド樹脂もまた、湿潤強力樹脂として有用性があることが見出されている。これらの樹脂は、1971年1月19日に、Cosciaらに発行された米国特許第3,556,932号、および1971年1月19日に、Williamsらに発行された3,556,933号において記載される。ポリアクリルアミド樹脂の1つの商業的供給源はヘルシンキ、フィンランドのKemira Oyjであり、それは1つのそのような樹脂をFennorezとして市場に出している。
【0056】
この開示において有用性を見出すさらに他の水溶性カチオン性樹脂は、尿素ホルムアルデヒドおよびメラミンホルムアルデヒド樹脂である。これらの多官能性樹脂のより一般的な官能基は、窒素含有基、例えばアミノ基および窒素に付着されるメチロール基である。ポリエチレンイミン型樹脂もまた、本開示において有用性を見出すことができる。
【0057】
一時的湿潤強度が所望である場合、化学抄紙添加物は下記化学薬品の群から選択できる:カチオン性ジアルデヒドデンプン系樹脂(例えば、Japan Carletにより生成されるCaldas、National Starch78−0080またはCobond1000、どちらもNational Starch and Chemical Corporationにより生成);およびジアルデヒドデンプン。加工デンプン一時的湿潤強力樹脂はまた、1987年6月23日に発行された、米国特許第4,675,394号、Solarekらに記載される。好ましい一時的湿潤強力樹脂としては、1991年1月1日にBjorkquistに発行された米国特許第4,981,557号に記載されるものが挙げられる。好ましい一時的湿潤強力樹脂の別の例はFennorez、ヘルシンキ、フィンランドのKemira Oyjにより製造される市販の改良ポリアクリルアミド樹脂である。乾燥強度が所望である場合、化学抄紙添加物は下記化学薬品の群から選択できる。ポリアクリルアミド(例えば、Wayne、N.J.のAmerican Cyanamidにより生成されるCypro514およびACCOSTRENGTH711の組み合わせ);デンプン(例えば、コーンスターチまたはジャガイモデンプン);ポリビニルアルコール(例えば、Allentown, Pa.のAir Products Incにより生成されるAIRVOL 540);グアーまたはローカストビーンガム;および/またはカルボキシメチルセルロース(例えば、CPKelco、Atlanta、GA製のCalexes)。一般に、本開示を実施するのに好適なデンプンは、水溶性、および親水性により特徴付けられる。例示的なデンプン材料としては、コーンスターチおよびジャガイモデンプンが挙げられるが、これにより好適なデンプン材料の範囲を制限することは意図されず;および工業的にアミオカ(amioca)デンプンとして知られているワキシーコーンスターチが特に好ましい。アミオカデンプンは、それが完全にアミロペクチンであるという点で一般的なコーンスターチと異なり、一方、一般的なコーンスターチはアミロペクチンおよびアミロースの両方を含む。アミオカデンプンの様々な特有の特性は、“Amioca − The Starch From Waxy Corn”, H. H. Schopmeyer, Food Industries, 1945年12月, pp. 106−108 (Vol. pp. 1476−1478)においてさらに記載される。デンプンは顆粒または分散形態であってよいが、顆粒形態が好ましい。デンプンは好ましくは十分調理されて顆粒の膨潤を誘導する。より好ましくは、デンプン顆粒は、デンプン顆粒の分散の直前に、ある程度まで加熱調理により膨潤される。そのような高膨潤デンプン顆粒は、「完全調理された」と呼ばれる。分散のための条件は、一般には、デンプン顆粒のサイズ、顆粒の結晶化度、および存在するアミロースの量によって変動し得る。完全調理されたアミオカデンプンは、例えば、約4%濃度のデンプン顆粒の水性スラリーを約190°F(約88℃)で約30〜約40分間加熱することにより調製できる。使用できる他の例示的なデンプン材料としては、加工カチオン性デンプン、例えば、National Starch and Chemical Company(Bridgewater、N.J.)から入手可能な、窒素含有基、例えばアミノ基および窒素に付着されたメチロール基を有するように加工されたものが挙げられる。そのような加工デンプン材料は今まで、湿潤および/または乾燥強度を増加させるためのパルプ完成紙料添加物として主に使用されてきた。しかしながら、ティッシュペーパーウェブへの適用によりこの開示により適用される場合、それらは同じ加工デンプン材料のウェットエンド添加に比べて、湿潤強度への低減された効果を有し得る。そのような加工デンプン材料が未加工デンプンよりも高価であることを考慮すると、後者が一般には好ましいものであった。これらの湿潤および乾燥強力樹脂は、この開示で記載されるプロセスにより添加されることに加えて、パルプ完成紙料に添加され得る。化学化合物、例えば上で記載される湿潤強力および一時的湿潤強力樹脂のパルプ完成紙料への添加は任意であり、本開発の実施に必要ではないことが理解されるべきである。
【0058】
本開示のプロセスの好ましい実施形態では、カチオン性強化ポリマは、生成される吸収性タオルまたはサニタリティッシュ製品の乾燥繊維ベースの約0.25重量%〜約5.0重量%、好ましくは約0.5重量%〜約3.0重量%、より好ましくは約1.0重量%〜約2.0重量%の範囲の量で完成紙料に添加される。一般に、吸収性タオル製品を製造するためのプロセスはより高いレベルのポリマを添加し、この場合、ポリマは最大で約5.0%、好ましくは最大で約3.0%、より好ましくは最大で約1.5%添加される。反対に、サニタリティッシュ製品を生成するためのプロセスはわずかに低いレベルの強化ポリマを添加し、この場合、ポリマは、最大で約3.0%、好ましくは最大で約1.5%添加される。
【0059】
本開示では、現在のところ抄紙メーカーが利用できるものより高い濃度または活性レベルを有し、本開示において開示される下限未満のレベルで吸収性タオルペーパーウェブと等価になるであろう実施形態となり得る、ポリマおよびポリマ溶液が、現在または将来生成され得ることが、理解され企図される。
【0060】
本開示の繊維状構造物は均質であってよく、または層状であってよい。層状である場合、繊維状構造物は少なくとも2および/または少なくとも3および/または少なくとも4および/または少なくとも5つの層を含み得る。
【0061】
「目付」は、本明細書では、lbs/3000ft
2またはg/m
2で報告される試料の単位面積あたりの重量である。本開示の繊維状タオル構造物および/またはサニタリティッシュ製品は10g/m2〜約120g/m2および/または約14g/m2〜約80g/m2および/または約20g/m2〜約60g/m2の目付を表してよい。
【0062】
目付は、ある一定の面積(m
2)の1つ以上の試料を調製すること、および本開示による繊維状構造物および/またはそのような繊維状構造物を含む紙製品の試料(複数可)を0.01gの最小分解能を有するトップローディングはかり上で量ることにより測定される。はかりは気流および他の障害からドラフトシールドを用いて防護される。
【0063】
重量を、はかりの読取り値が一定になった時に記録する。平均重量(g)および試料の平均面積(m
2)が計算される。目付(g/m
2)は平均重量(g)を試料の平均面積(m
2)で割ることにより計算される。
【0064】
「サニタリティッシュ製品」は本明細書では、排尿および排便後クリーニング(トイレットペーパー)、耳鼻咽喉科学的放出(化粧紙)、および多機能吸収性およびクリーニング用途(吸収性タオル)のための拭き道具として有用なソフト低密度(すなわち約0.15g/cm
3未満)ウェブを意味する。本開示により調製されるサニタリティッシュ製品は、任意の好適な後処理、例えば、限定はされないが印刷、エンボス加工、カレンダー仕上げ、スリッティング、折り畳み、他の繊維状構造物との組み合わせおよび/または巻取などに供されてよい。
【0065】
タオルペーパー製品の吸収性タオルペーパーウェブの好ましい実施形態では、繊維状構造物は、約20%〜90%(重量パーセント)の精製された軟材パルプ繊維混合物を含む。長繊維軟材パルプ繊維混合物は、タオル製品の乾燥繊維ベースの約18.5重量%〜約88.5重量%の軟材パルプを含み、ここで軟材パルプは、カチオン性強化ポリマと合わせる前に、任意で精製され、または精製されない。カチオン性強化ポリマは水性流に、約0.25重量%〜約5.0重量%のポリマが抄紙完成紙料に添加されることを可能にするように、添加される。軟材パルプおよびカチオン性ポリマを合わせた後、タオルペーパーウェブの乾燥繊維ベースの約0.05重量%〜約20重量%のセルロースナノフィラメントが、流れ中にブレンドされる。開示のこの実施形態では、この軟材繊維、セルロースナノフィラメントおよびカチオン性流はその後、タオル製品の、乾燥繊維ベースの10重量%〜55重量%の硬材パルプ繊維混合物とブレンドされ、上で記載されるプロセスのいずれかにより繊維状シートへと形成される。2プライ吸収性タオルペーパーは、約11Nm/g〜約18Nm/gの平均二乗引張指数、約500N/m〜約1000N/mの範囲の総乾燥引張強度値、および約0.20〜約0.50の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比を有する。
【0066】
本開示の別の実施形態では、軟材繊維流は、抄紙系の1つまたは複数の別個の層中に送り込まれ、10〜55重量%の硬材パルプ繊維流から分離される。このプロセス実施形態は、約11Nm/g〜約18Nm/gの平均二乗引張指数および約0.20〜約0.50の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比を有するより高い強度の吸収性タオルウェブ製品を生成する。
【0067】
本出願の吸収性ペーパータオルウェブはまた、カチオン性強化ポリマを含む。一般に、カチオン性強化ポリマは、ウェブの所望の特性によって、様々な量で適用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、添加される総湿潤強度剤は約0.5〜50kg/T、いくつかの実施形態では2〜約15kg/T、いくつかの実施形態では、約3〜約5kg/Tであってよい。強度ポリマは、多層ティッシュウェブの任意の層中に組み入れられてよい。
【0068】
任意的な材料成分−化学抄紙添加物:
所望であれば、様々な化学添加組成物が、消費者所望の利点、例えば柔らかさ、少ない糸くず、吸収性、および/またはシート柔軟性をさらに増強させるために、吸収性ペーパータオルウェブに任意で添加され得る。化学添加物は剥離剤(debonder)、ケイ素軟化添加物、非ケイ素軟化添加物、非カチオン性強化添加物、吸収性添加物および美的添加物からなる群より選択される。
【0069】
剥離剤
化学剥離剤もまた、ウェブを軟化させるために適用できる。特定的には、化学剥離剤はウェブの1つ以上の層内の水素結合の量を低減でき、これにより、よりソフトな製品が得られる。得られるティッシュ製品の所望の特性によって、剥離剤は、ペーパーウェブの乾燥繊維ベースの0重量%〜約3.0重量%、好ましくは約0.1〜約2.0重量%、より好ましくは約0.5〜約1.0重量%の量で適用できる。剥離剤は、単層または多層ティッシュウェブの任意の層に組み入れることができる。
【0070】
本開示において軟化剤添加物として使用するのに好適な剥離剤はカチオン性および非カチオン性界面活性剤の両方を含み、カチオン性界面活性剤が好ましい。非カチオン性界面活性剤としては、アニオン性、非イオン性、両性、および双性イオン性界面活性剤が挙げられる。好ましくは、界面活性剤は、ティッシュペーパーが製造された後、ティッシュペーパーの特性の製造後変化(そうでなければ界面活性剤の包含により起こり得る)を実質的に除去するために、インサイチューで実質的に非移動性である。これは、例えば、開示のティッシュペーパー製品実施形態の貯蔵、輸送、販売、および使用の間に普通に遭遇する温度を超える溶融温度を有する界面活性剤の使用により、達成され得る:例えば、約50℃以上の溶融温度。
【0071】
前記柔らかさ/引張利点を提供するためにティッシュペーパーウェブに適用される非カチオン性界面活性剤のレベルは、最終生成物についての一定引張ベースでそのような利点を付与するのに必要とされる最小有効レベル〜約2%の範囲であり:好ましくは約0.01%〜約2%の非カチオン性界面活性剤がウェブにより保持され;より好ましくは、約0.05%〜約1.0%;最も好ましくは、約0.05%〜約0.3%である。界面活性剤は好ましくは、8以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有する。例示的なアニオン性界面活性剤は直鎖スルホン酸アルキル、およびアルキルベンゼンスルホン酸塩である。例示的な非イオン性界面活性剤は、アルキルグリコシドであり、アルキルグリコシドエステル例えばCRODESTA(登録商標)SL−40(Croda, Inc. (New York, N.Y.)から入手可能である);1977年3月8日にW. K. Langdonに発行された米国特許第4,011,389号に記載されるアルキルグリコシドエーテル;アルキルポリエトキシル化エステル、例えばGlyco Chemicals, Inc. (Greenwich, Conn.)から入手可能なPEGOSPERSE(登録商標)200ML;アルキルポリエトキシル化エーテルおよびエステル、例えばShell Chemical Coから入手可能なNEODOLR25−12;ソルビタンエステル、例えばICI America, Inc製のSPAN60、エトキシル化ソルビタンエステル、プロポキシル化ソルビタンエステル、混合エトキシル化プロポキシル化ソルビタンエステル、およびポリエトキシル化ソルビタンアルコール、例えばTWEEN60(これもICI America, Inc.製)が挙げられる。アルキルポリグリコシドが、本開示における使用には特に好ましい。例示的な界面活性剤の上記リストは本質的に単に例示的なものであると意図され、本開示の範囲を制限することを意味しない。
【0072】
ケイ素
主として滑らかな手触りを付与することにより機能する化学軟化剤が所望である場合、ポリシロキサンまたは「ケイ素」が使用され得る。得られるティッシュ製品の所望の特性によって、ケイ素はペーパーウェブの乾燥繊維ベースの0重量%〜約3.0重量%、好ましくは約0.1〜約2.0重量%、より好ましくは約0.5〜約1.0重量%の量で適用できる。ケイ素は単層または多層ティッシュウェブの任意の層に組み入れることができる。本開示において使用するのに好適なケイ素化合物は下で詳細に記載される。
【0073】
ポリシロキサン化合物は、好ましくは、下記構造のモノマシロキサン単位を有し:
【化1】

式中、R1およびR2は、各独立したシロキサンモノマ単位について、それぞれ独立して、水素または任意のアルキル、アリール、アルケニル、アルカリル、アラキル(arakyl)、シクロアルキル、ハロゲン化炭化水素、または他のラジカルであってよい。そのようなラジカルのいずれも置換でき、または非置換であってよい。任意の特定のモノマ単位のR1およびR2ラジカルは、次の隣接するモノマ単位の対応する官能基と異なっていてよい。加えて、ポリシロキサンは直鎖、分枝鎖のいずれかであってよく、環状構造をとることもできる。ラジカルR1およびR2は、さらに独立して、他のケイ素(silaceous)官能基、例えば、限定はされないがシロキサン、ポリシロキサン、シラン、およびポリシランであってよい。ラジカルR1およびR2は、例えば、アルコール、カルボン酸、アルデヒド、ケトンおよびアミン、アミド官能基を含む、様々な有機官能基のいずれかを包含してよく、アミノ官能性シリコーン化合物が好ましい。例示的なアルキルラジカルはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、オクタデシルなどである。例示的なアルケニルラジカルはビニル、アリルなどである。例示的なアリールラジカルはフェニル、ジフェニル、ナフチルなどである。例示的なアルカリルラジカルはトイル(toyl)、キシリル、エチルフェニルなどである。例示的なアラキル(arakyl)ラジカルはベンジル、α−フェニルエチル、β−フェニルエチル、α−フェニルブチルなどである。例示的なシクロアルキルラジカルはシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、などである。例示的なハロゲン化炭化水素ラジカルはクロロメチル、ブロモエチル、テトラフルオロエチル、フルオロエチル、トリフルロエチル、トリフルオロトイル、ヘキサフルオロキシリルなどである。ポリシロキサンを開示する参考文献としては、1958年3月11日にGeenに発行された米国特許第2,826,551号;1976年6月22日にDrakoffに発行された米国特許第3,964,500号;1982年12月21日に、Paderに発行された米国特許第4,364,837号、1991年10月22日にAmpulskiらに発行された米国特許第5,059,282号;および1960年9月28日に公開されたWoolstonの英国特許第849,433号が挙げられる。また、Petrarch Systems, Inc.により1984年に分配されたSilicon Compounds,pp181−217は、一般にポリシロキサンの広範なリストおよび記載を含む。
【0074】
強度添加物
強度添加物はティッシュペーパーウェブに単独で、軟化剤、吸収性、および/または美的添加物の添加と同時に、その前に、またはその後に適用され得る。少なくとも有効量の強度添加物、好ましくはデンプンは、糸くず制御および同時に強度増加を、非バインダ処理と比べて乾燥時に提供するが、そうでなければ、同一のシートが好ましくはシートに適用される。好ましくは、乾燥繊維重量ベースで計算される、約0.01%〜約2.0%の強度添加物が乾燥シート中に保持され;より好ましくは、約0.1%〜約1.0%の強度添加物材料、好ましくはデンプン系が保持される。
【0075】
軟化添加物
化学抄紙添加物乳化界面活性剤材料以外の任意の界面活性剤は以後「界面活性剤」と呼ばれ、乳化された化学抄紙添加物の乳化成分として存在する任意の界面活性剤は以後「乳化剤」と呼ばれる。界面活性剤は単独で、または他の化学抄紙添加物と同時に、その後に、もしくはその前にティッシュペーパーに適用され得る。典型的なプロセスでは、別の添加物が存在する場合、界面活性剤は他の添加物(複数可)と同時にセルロース基材に適用される。糸くず制御のために、および/または引張強度を増加させるために、剥離剤含有ティッシュペーパーを比較的低いレベルのバインダで処理することもまた、望ましい可能性がある。
【0076】
主として滑らかな手触りを付与することにより機能する化学軟化剤が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる。有機材料(例えば、鉱物油またはワックス、例えばパラフィン(parafin)もしくはカルナバ(carnuba)、またはラノリン);およびポリシロキサン(例えば、Ampulskiに発行された米国特許第5,059,282号に記載される化合物)。本開示での使用に好適なポリシロキサン化合物は下で詳細に記載される。
【0077】
主として構造を可塑化することにより機能する化学軟化剤が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる:ポリエチレングリコール(例えばPEG400);ジメチルアミン;および/またはグリセリン。
【0078】
主として剥離することにより機能するカチオン性化学軟化剤が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる。カチオン性四級アンモニウム化合物(例えば二水素化獣脂ジメチルアンモニウムメチルスルフェート(DTDMAMS)または二水素化獣脂ジメチルアンモニウムクロリド(DTDMAC)、どちらもGreenwich, Conn.のWitco Corporationにより生成される;Berocel579(Stennungsund, SwedenのEka Nobel製);Osbornに発行された米国特許第4,351,699号および4,447,294号において記載される材料;および/またはDTDMAMSまたはDTDMACのジエステル誘導体)。特に、下記式を有する四級アンモニウム化合物もまた本開示での使用に好適である:
(R
1)
4−m−N
+−[R2]
mX
−
mは1〜3であり;
各R
1はC
1−C
8アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、またはそれらの混合物であり;各R
2はC
9−C
41アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビル基、アルコキシル化基、ベンジル基、またはそれらの混合物であり;ならびにX
−は任意の軟化剤−適合性アニオンである。好ましくは、各R
2はC
16−C
18アルキルであり、最も好ましくは各R
2は直鎖C
18アルキルである。好ましくは、各R
1はメチルであり、X
−は塩化物またはメチルスルフェートである。任意で、R
2置換基は植物油源由来であってよい。下記式を有する生分解性エステル−官能性四級アンモニウムもまた、本開示で使用できる:
(R
1)
4−m−N
+−[(CH
2)
n−Y−R
2]
mX
−
各Y=−O−(O)C−、または−C(O)−O−;
m=1〜3;好ましくは、m=2;
各n=1〜4;好ましくは、n=2;
各R
1置換基は短鎖C
1−C
6、好ましくはC
1−C
3、アルキル基、例えば、メチル(最も好ましい)、エチル、プロピル、など、ヒドロキシアルキル基、ヒドロカルビル基、ベンジル基またはそれらの混合物であり;各R
2は長鎖、少なくとも部分不飽和(約5超〜約100未満、好ましくは約10〜約85のIV)、C
11−C
23ヒドロカルビル、もしくは置換ヒドロカルビル置換基であり、対イオン、X
−は任意の軟化剤適合性アニオン、例えば、酢酸、塩化物、臭化物、メチル硫酸、ギ酸、硫酸、硝酸などである。好ましくは、R
2の大半は、少なくとも90%のC
18−C
24鎖長を含有する脂肪アシルを含む。より好ましくは、R
2の大半は、少なくとも90%のC
18、C
22およびそれらの混合物を含有する脂肪アシルからなる群より選択される。
【0079】
他の型の好適な四級アンモニウム化合物はKimberly−Clark Corporationに譲渡され、1995年12月12日に公開された欧州特許第0688901A2号において記載される。
【0080】
三級アミン軟化化合物もまた本開示で使用される。好適な三級アミン軟化剤の例は、James River Corporationに譲渡され、1995年3月21日に発行された米国特許第5,399,241号において記載される。
【0081】
吸収性添加物
増強された吸収性が所望である場合、界面活性剤が、本開示のペーパーウェブを処理するために使用され得る。界面活性剤のレベルは、使用される場合、1つの実施形態では、ティッシュウェブの乾燥繊維重量ベースにより約0.01%〜約2%であってよい。1つの実施形態では、界面活性剤は8以上の炭素原子を有するアルキル鎖を有する。あるいは、高度の不飽和(モノおよび/またはポリ)および/または分枝鎖アルキル基を有するカチオン性軟化剤活性材料成分は著しく吸収性を増強できる。
【0082】
吸収率を増強させる吸収性助剤が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる:ポリエトキシレート(例えばPEG400);アルキルエトキシル化エステル(例えばLonza Inc.製のPEGOSPERSE200ML);アルキルエトキシル化アルコール(例えばNeodol);アルキルポリエトキシル化ノニルフェノール(例えば、Rhone−Poulenc/GAFにより生成されるIGEPAL CO)、エトキシレートトリメチルペンタンジオール、および/またはSpendelに発行された米国特許第4,959,125号および4,940,513号において記載される材料。界面活性剤剥離剤軟化剤が湿潤を減少させるそれらの場合には、湿潤剤、例えば、第2の界面活性剤が適用溶液に添加され得る。例えば、ソルビタンステアレートエステルをアルキルポリエトキシル化アルコールと混合してソフト湿潤性紙を生成できる。
【0083】
水溶性ポリヒドロキシ化合物もまた、吸収性助剤および/または湿潤剤として使用できる。本開示での使用に好適な水溶性ポリヒドロキシ化合物の例としては、グリセロール、約150〜約800の重量平均分子量を有するポリグリセロールならびに約200〜約4000、好ましくは約200〜約1000、最も好ましくは約200〜約600の重量平均分子量を有するポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンが挙げられる。約200〜約600の重量平均分子量を有するポリオキシエチレンがとりわけ好ましい。上記ポリヒドロキシ化合物の混合物もまた使用され得る。例えば、グリセロールおよびポリグリセロールの混合物、グリセロールおよびポリオキシエチレンの混合物、ポリグリセロールおよびポリオキシエチレンの混合物、などが本開示で有用である。特に好ましいポリヒドロキシ化合物は約400の重量平均分子量を有するポリオキシエチレンである。この材料は、Danbury, Conn.のUnion Carbide Companyから商標名「PEG−400」で市販されている。
【0084】
吸収率を減少させる吸収性助剤が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる。アルキルケテン二量体(例えば、Hercules Inc., Wilmington, Del.により製造されるAQUAPELR 360XC Emulsion);フルオロカーボン(例えば、Minneapolis, Minn.の3MによるScotch Guard)疎水性シリコーン(例えば、Midland, Mich.のDow CoirningによるPDMS DC−200)、フルオロテロマー(例えば、Wilmington, Del.のDupontによるZONYL7040)、など。
【0085】
吸収性添加物は単独で、または強度添加物と組み合わせて使用できる。デンプン系強度添加物は、本開示での使用に好ましいバインダであることが見出されている。好ましくは、ティッシュペーパーはデンプンの水溶液で処理される。完成ティッシュペーパー製品の糸くずを低減することに加えて、低レベルのデンプンはまた、板性(boardiness)(すなわち、剛性)(高レベルのデンプンの添加に起因するであろう)を付与することなく、ティッシュペーパーの引張強度に適度な改善を付与する。また、これは、引張強度を増加させる従来の方法により強化されたティッシュペーパー:例えば、パルプのさらなる精製により;または他の乾燥強度添加物の添加により増加した引張強度を有するシートに比べて改善された強度/柔らかさ関係を有するティッシュペーパーを提供する。この結果はとりわけ驚きに値する。なぜならデンプンは伝統的に、柔らかさが重要な特徴ではない用途:例えば、板紙において、柔らかさを犠牲にして、強度を強化するために使用されてきたからである。加えて、補足的に、デンプンは、表面印刷適性を改善するために印刷用紙および筆記用紙のためのフィラーとして使用されてきた。
【0086】
美的添加物
美的添加物が所望である場合、それは下記の化学薬品の群から選択できる:インク;染料;芳香剤;乳白剤(例えばTiO2または炭酸カルシウム)、光学的増白剤、およびそれらの混合物。紙の美学もまた、この開示で記載されるプロセスを使用して改善できる。インク、染料、および/または芳香剤が好ましくは、水性組成物に添加され、その後、それはティッシュペーパーウェブに適用される。美的添加物は単独で、または湿潤、軟化、および/または強度添加物と組み合わせて適用され得る。
【0087】
本開示の2プライペーパーウェブは高い乾燥引張強度を有する。ペーパーウェブは約8Nm/g〜約20Nm/gの範囲の平均二乗引張を有する。好ましい実施形態ペーパーウェブは約10Nm/g〜約18Nm/gの範囲の平均二乗引張を有する。乾燥引張強度を別々に測定して、本開示の2プライペーパーウェブは、約500N/m〜約1000N/m、好ましくは約600N/m〜約900N/m、より好ましくは約700N/m〜約800N/mの範囲の総乾燥引張強度を有する。
【0088】
本開示の抄紙機上で生成される単層ペーパーウェブはまた、高い横目(CD)湿潤引張強度を有する。ペーパーウェブの単層実施形態は約25N/m〜約80N/mの範囲の横目(CD)湿潤引張強度を有する。好ましい実施形態ペーパーウェブは約30Nm/g〜約55Nm/gの範囲の横目湿潤引張強度を有する。別々に測定される場合、本開示のペーパーウェブは、約0.20〜約0.50N/mの範囲の横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度比を有し、好ましい実施形態は、約0.295〜約0.35の範囲のCD湿潤引張強度対CD乾燥引張強度比を有する。
【0089】
製造プロセス
図1で、抄紙へッドボックス1を有するツインワイヤフォーマーは、抄紙繊維の水性懸濁液の完成紙料を複数のフォーミングファブリック、例えば外側フォーミングファブリック5および内側フォーミングファブリック3上に注入または堆積し、これにより、ウェットティッシュウェブ6を形成する。本開示の形成プロセスは、抄紙業界で知られている任意の従来の形成プロセスであってよい。そのような形成プロセスとしては、長網、ルーフフォーマー、例えばサクションブレストロールフォーマー、およびギャップフォーマー、例えばツインワイヤフォーマーおよびクレセントフォーマーが挙げられるが、それらに限定されない。
【0090】
内側フォーミングファブリック3がフォーミングロール4周りに回転するにつれ、ウェットティッシュウェブ6が内側フォーミングファブリック3上に生じる。内側フォーミングファブリック3は、ウェットティッシュウェブ6が繊維の乾燥重量に基づき約10パーセントの濃度まで部分的に脱水される際に新たに形成されるウェットティッシュウェブ6をプロセスの下流で支持し運搬するように機能する。ウェットティッシュウェブ6の追加の脱水は公知の抄紙技術、例えば真空サクションボックスにより実施され得、その間、内側フォーミングファブリック3はウェットティッシュウェブ6を支持する。ウェットティッシュウェブ6は、少なくとも約20パーセント、より特定的には約20〜約40パーセント、より特定的には約20〜約30パーセントの濃度へとさらに脱水され得る。
【0091】
フォーミングファブリック3は一般に、好適な多孔性材料、例えば金属ワイヤーまたはポリマフィラメントから製造できる。例えば、いくつかの好適なファブリックとしては下記が挙げられるが、それらに限定されない:Albany International(Albany, N.Y.)から入手可能なAlbany84Mおよび94M、Asten856、866、867、892、934、939、959、または937;Asten Synweve Design274、それらは全て、Asten Forming Fabrics, Inc.(Appleton, Wis.)から入手可能;ならびにVoith Fabrics(Appleton, Wis.)から入手可能なVoith2164。不織ベース層を含むフォーミングファブリックまたはフェルトもまた有用であり得、押出ポリウレタンフォ一ム、例えばSpectra Seriesを用いて製造されたScapa Corporationのものが挙げられる。
【0092】
ウェットウエブ6はその後、フォーミングファブリック3からトランスファーファブリック8にトランスファーされ、その間、固体濃度は約10〜約40パーセント、特に、約20〜約30パーセントである。本明細書では、「トランスファーファブリック」はウェブ製造プロセスの形成セクションと乾燥セクションの間に配置されるファブリックである。
【0093】
トランスファーファブリック8へのトランスファーは、正圧および/または負圧の助けにより実施され得る。例えば、1つの実施形態では、真空シュー9は、フォーミングファブリック3およびトランスファーファブリック8が、真空スロットの先端で同時に合流し、分岐するように、負圧を適用できる。典型的には、真空シュー9は約10〜約25水銀柱インチのレベルで圧力を供給する。上記のように、真空トランスファーシュー9(負圧)は、ウェブを次のファブリック上に吹き飛ばすウェブの反対側からの正圧の使用により補充または置き換えることができる。いくつかの実施形態では、他の真空シューもまた、繊維ウェブ6をトランスファーファブリック8の表面上に引き出すのを助けるために使用できる。
【0094】
典型的には、トランスファーファブリック8は、ウェブのMDおよびCDストレッチを増強させるためにフォーミングファブリック3より遅い速度で進み、それは一般に、その横目(CD)または縦目(MD)のウェブのストレッチを指す(試料破損時のパーセント伸長として表される)。例えば、2つのファブリック間の相対速度差は約1〜約30パーセント、いくつかの実施形態では約5〜約20パーセント、いくつかの実施形態では、約10〜約15パーセントであってよい。これは一般に「ラッシュトランスファー」と呼ばれる。「ラッシュトランスファー」中、ウェブのボンドの多くは破壊されると考えられ、これにより、シートは、トランスファーファブリック8の表面上の凹みへと曲がって折り重なることを余儀なくされる。トランスファーファブリック8の表面の外形へのそのような成型は、ウェブのMDおよびCDストレッチを増加し得る。1つのファブリックから別のものへのラッシュトランスファーは、下記の特許、米国特許第5,667,636号、5,830,321号、4,440,597号、4,551,199号、4,849,054号のいずれか一つで教示される原理に従うことができる。
【0095】
ウェットティッシュウェブ6はその後、トランスファーファブリック8からスルーエア乾燥ファブリック11にトランスファーされる。典型的には、トランスファーファブリック8は、スルーエア乾燥ファブリック11とおよそ同じ速度で進む。しかしながら、今では、第2のラッシュトランスファーは、ウェブがトランスファーファブリック8からスルーエア乾燥ファブリック11にトランスファーされる時に実施され得ることが発見されている。このラッシュトランスファーは本明細書では、第2の位置で起こるものとして言及され、スルーエア乾燥ファブリック11をトランスファーファブリック8より遅い速度で動作させることにより達成される。2つの別個の位置で、すなわち、第1および第2の位置でラッシュトランスファーを実施することにより、増加したCDストレッチを有するティッシュ製品が生成され得る。
【0096】
ウェットティッシュウェブをトランスファーファブリック8からスルーエア乾燥ファブリック11にラッシュトランスファーすることに加えて、ウェットティッシュウェブ6は、真空トランスファーロール12または真空シュー9のような真空トランスファーシューの助けにより、スルーエア乾燥ファブリック11の表面に従うように肉眼的に再配列され得る。所望であれば、スルーエア乾燥ファブリック11は、トランスファーファブリック8の速度より遅い速度で移動されて、得られた吸収性ティッシュ製品のMDストレッチをさらに増強できる。トランスファーを真空補助により実施して、スルーエア乾燥ファブリック11のトポグラフィーへのウェットティッシュウェブ6の適合を確保してもよい。
【0097】
スルーエア乾燥ファブリック11により支持される間、ウェットティッシュウェブ6は、スルーエアードライヤー13により約94パーセント以上の最終濃度へと乾燥される。ウェブ15はその後、リールドラム22とリール23の間の巻取ニップを通過し、その後の加工、例えばスリッティング切断、折り畳み、およびパッケージングのためのティッシュのロール25に巻き取られる。
【0098】
ウェブは、最終乾燥のためのスルーエア乾燥ファブリックに、好ましくは真空の助けによりトランスファーされて、所望の嵩および外観を与えるためのウェブの肉眼的再配列を確保する。別々のトランスファーおよびスルーエア乾燥ファブリックの使用は様々な利点を与えることができる。なぜなら、それは、2つのファブリックが独立して重要な製品要件に対処するように特定的に設計されることを可能にするからである。例えば、トランスファーファブリックは一般に、高ラッシュトランスファーレベルの高MDストレッチへの効率的な変換を可能にするように最適化され、一方、スルーエア乾燥ファブリックは、嵩およびCDストレッチを届けるように設計される。そのため、中程度に粗く、中程度に3次元のトランスファーファブリックおよびスルーエア乾燥ファブリック(最適化配置ではかなり粗くおよび三次元である)を有することが有用である。結果は、比較的滑らかなシートがトランスファーセクションを出て行き、その後、肉眼的に再配列されて(真空援助により)、スルーエア乾燥ファブリックの高い嵩、高いCDストレッチ表面トポロジーを与えることである。シートトポロジーは完全にトランスファーからスルーエア乾燥ファブリックへと変化し、繊維は、著しい繊維−繊維移動を含み、肉眼的に再配列される。
【0099】
乾燥プロセスは、ウェットウェブの嵩または厚さを保存する傾向のある任意の非圧縮または圧縮乾燥方法であってよく、限定はされないが、スルーエア乾燥、赤外放射、マイクロ波乾燥、Valmet NTT、Voith ATMOS、などが挙げられる。その商業的入手性および実用性のために、スルーエア乾燥がよく知られており、この開示の目的のためのウェブを非圧縮で乾燥するための1つの一般的に使用される手段である。好適なスルーエア乾燥ファブリックとしては、実質的に連続な縦目リッジを有するファブリックが挙げられるが、それらに限定されず、それによりリッジは複数の縦糸がまとめられて形成され、例えば米国特許第6,998,024号において開示されるものである。他の好適なスルーエア乾燥ファブリックとしては、米国特許第7,611,607号において開示されるもの、特にFred(t1207−77)、Jeston(t1207−6)およびJack(t1207−12)と呼ばれるファブリックが挙げられる。ウェブは好ましくは、スルーエア乾燥ファブリック上で最終乾燥度へと乾燥され、ヤンキードライヤーの表面にプレスされず、その後のクレープ加工はない。
【0100】
ウェットティッシュウェブ6が非圧縮乾燥されるとすぐに、これにより乾燥ティッシュウェブ15を形成し、巻き取り前に乾燥ティッシュウェブ15をヤンキードライヤーにトランスファーすること、または代替短縮法、例えば米国特許第4,919,877号で開示されるマイクロクレープ加工を使用することにより、乾燥ティッシュウェブ15をクレープ加工できる。
【0101】
巻取製品では、製品を最も柔らかい側が消費者に面するように巻き取ることがしばしば有利であり、よって、この側の柔らかさを増加するせん断プロセスが好ましい。しかしながら、ファブリック側ではなくウェブのエア側を処理することもまた可能であり、これらの実施形態では、エア側の柔らかさを、ファブリック側よりも高いレベルに増加することが可能であろう。
【0102】
本開示のプロセスは多層ティッシュ製品を形成するのによく適している。多層ティッシュ製品は2プライ、3プライ、またはそれより大きな数のプライを含み得る。1つの特定の実施形態では、2プライロールティッシュ製品が本開示により形成され、この場合どちらのプライも、例えば、クレープ加工なしスルーエア乾燥などの、同じ抄紙プロセスを用いて形成される。しかしながら、他の実施形態では、プライは2つの異なるプロセスにより形成されてよい。一般に、ロールで巻取される前に、第1のプライおよび第2のプライが共に付着される。ウェブを一緒に積層させるための任意の好適な方法が使用され得る。例えば、プロセスはクリンピング装置を含み、これはプライを繊維交絡により機械的に共に付着させる。しかしながら、他の実施形態では、プライを共に付着させるために接着剤が使用され得る。
【0103】
加工および仕上げのプロセス
本開示により調製される吸収性タオルウェブは、任意の好適な後処理、例えば、限定はされないが、印刷、エンボス加工、カレンダー仕上げ、スリッティング、折り畳み、他の繊維状構造物との組み合わせ、などに供されて、最終2プライ吸収性タオル紙製品を形成してよい。
【0104】
この発明は2プライペーパータオル地に関し、特有の優れたCD湿潤引張対CD乾燥引張比を有する構造を生成するための2つの密度差プライの組み合わせに特に関する。発明は、2つの滑らかな外側を有するペーパータオルを含む2つのパイルを合わせる多くの以前に教示された過去の手段を企図し、それらは既知であり米国特許1,964,700号で教示されており、例えば;そのような構造で使用されるタオル地プライはウェブであり、それらは続いてクレープ加工され、エンボス加工され、面するそれらの粗い側と結合されて、プライ間に空間または空隙を与える。滑らかな外側は滑らかな手触りおよび大きな有効な面積を使用者の皮膚に与え、一方、内部空隙はプライ間での液体移動の速度を制限し、かつタオルが濡れた時のタオル崩壊を阻止する。使用時にまたは切断時などにおいて分離する多層タオル地の傾向は、米国特許1,96l,−914号において認識されており、プライを局部的にのみ、またはそれらの縁で接着剤により結合させる提案が成されている。米国特許1,786,781号はタオル地における接着剤の提供を教示し、その接着剤は水吸着性であり、よって、タオル乾燥能力を低減させる傾向があるいくつかの接着剤に対する反発を回避する。プライ間での接着適用は、多くの形態をとってよく、例えば、特許1,786,−781号の接着剤ドット、または、例えば、米国特許2,978,006号において説明されるような大量エンボス加工作用で使用される適用である。あるいは、接着剤は、タオル地中の圧縮ラインに沿ってあるサイズとして適用され得、したがって米国特許1,033,992号で設定されるようにまたは米国特許1,900,257号で示されるように小さなポケットを有するロールを通して材料を通過させることにより生成される吸収性タオルエリアの周辺でタオルを強化する。米国特許3708366A号は我々に、連続ニップにおいてどのようにエンボス加工動作を実施するかを教示し、1つのプライが複数のエンボス加工に供され、かつ第2のプライは1つのそのような動作にのみ供され、これにより1つのタオル地プライ上での機械的プレス動作を要望通りに制限し、これによりその吸収性を制御し;また、機械的配列は、エンボス加工を具体化するロールおよびバックアップロールの単一スタックに単純化されてもよく、最小空間を占める。製品自体は制御された面積および量でのみ適用される接着剤を含んでよく、所望であれば、プライ接着のためにエンボス加工動作のみを頼ってもよい。接着剤は、使用される場合、少ない別個の量で好ましくは適用されて最終製品の硬化を回避する。ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリビニルアルコールの水溶液、合成ラテックスなどの多くの接着剤のいずれも有用である。好ましくは、この場合、それらは幾分粘性で速乾性であり、ウェブ浸透性を制限し、ボンディングの急速な展開を確保する。
【0105】
特許米国4276338A号は我々に、タオル構造物の本質は、一般に平行で同延の整列で共に密接に接合された2つの隣接層を含む吸収体であり、そのため第1の層の主面は第2の層の主面に密接に積層されることを教示する。第1の層の低密度領域は、第2の層の低密度領域に関して配列され、そのため個々の層の低密度領域の重なりのパーセンテージが最小に抑えられる。発明の最も好ましい実施形態では、個々の層の低密度領域の重なりのパーセンテージはゼロである。しかしながら、動作環境において、吸収材料の第1および第2の層の重なりの完全な欠如を実施することは困難である。したがって、性能のいくらかの損失が犠牲となるが、ゼロを超える重なりのパーセンテージが許容され得る。本発明の範囲内の重なりの最大レベルは、層のランダム配向により規定され、この場合、第1および第2の層は穴の整列に関係なく接合され、重なりのパーセンテージについて分析される。好ましい最大レベルの重なりは、ランダムに整列された構造において観察される重なりのパーセンテージよりわずかに低いパーセンテージの重なりである。明らかに、低密度領域の全てが実質的に重なる2−層構造は本発明の範囲外である。
【0106】
吸収体が本発明の範囲内にあるために一定の特性が存在しなければならない。第1に、発明が適正に機能するために中間材料の量が最小であるように、一緒に接合される個々の層の主面は互いに直接隣接しなければならない。これは、粉末「スーパーソーバ(super−sorber)」などのもの(例えば−−デンプン−−アクリロニトリルコポリマなど)の最小量が層間に配置され得る可能性を排除しない。積層および糊付けにより、この構造は、使用中にその新規整列を実質的に保持できる。本発明の1つの(非常に好ましい)様式では、シート材料の2つの同一の層が積層されて「両面」シートを形成し、その各(外側の)対向する主面が作用面である。
【0107】
本発明を実施する別の様式では、材料の2つの同一でない層が一緒に接合されて積層構造を形成し、それは、1つ以上の外側主面が作用面の必要な属性を有するかどうかによって、1つ以上の作用面を有してよい。
【0108】
本発明から逸脱せずに、本明細書で記載される2−層構造は、その外側部分に隣接される追加の層を有し得る。そのような層の第1の例は、構造の吸収能力を増加させるための、その作用面から離れた、本発明の新規構造の側上のさらなる吸収層である。追加の層の第2の例は、本発明の2層が吸収体の内側領域を占める構造であり、そのため吸収層は、本発明の吸収構造の各作用層の外側に見出される。本発明の構造のそのような配置の有用性は、吸収体にすでに捕捉された流体を分配することであろう。(直前の実施形態に関連して、本明細書で規定される「作用面」は最終的な吸収物品の外面である必要はないことが理解されるであろう)。
【0109】
本発明の別の実施形態では、層は、本発明の構造の作用面と、吸収体を用いて処理される流体の間に挿入されてよい。例えば、研磨材料の穴あきスクリムが本構造の作用面に隣接して、表面をごしごし洗う完成物品の寿命および有用性を増加する。
【0110】
異種材料は、特別な特性を有する吸収構造を提供するために、本明細書で教示されるように接合され得る。例えば、異なる親水性または細孔サイズを有する材料が、望ましい親水性または細孔サイズ勾配を有する複合材料を生成するために、本明細書で教示されるように接合され得る。
【0111】
本発明の特徴を組み入れた多くの形状および構造を有する物品が製造され得る。上で記載される通り、発明の好ましい実施形態は、一緒に接合されて両面構造を形成する2つの平坦な、一般に平行な同延層を含む。しかし、これは可能な構造の範囲を制限しない。
【0112】
1つの例では、本発明の構造は、作用面および反対主面を有する材料の薄いシートを含み得、後者は本明細書で規定される層の要求を満たす表面を規定する三次元形状の主面に付着される。この場合、3次元形状は単一層であってよく、その一部のみ(外側表面)が、本発明の範囲から逸脱せずに、本明細書で要求される層の属性を有した。
【0113】
発明の構造は、発明の構造要求から逸脱せずにクリーニングまたは拭き取り機能を実施するために、取っ手または他の道具に付着され得る。同様に、本発明の構造は、完成吸収物品の1つ以上の部分、例えば、ワイプの一連の別々の領域として組み入れられ得る。
【0114】
個々の層のボンディングの要求は上述され;本発明の中心となる2つの層は、指示された整列で構造のほとんどまたは全ての低密度領域を維持するために、一緒に十分に結合されなければならない。多くのボンディングスキームは、層の吸収能力および効率を実質的に減少させることなく、この整列要求を満たすように考案され得る。発明を実施する好ましい様式では、不連続ボンディングが使用され、これは、多数の別個のボンドが、ボンディングされない材料の領域(好ましくは、連続領域)により分離される、層の内面にわたって分配されることを意味する。
【0115】
吸収構造を形成するための、ウェブを一緒にボンディングする多くの技術が知られており、そのため、そのような技術全てを列挙しようとしない。あえて言うなら、本明細書で特に有用であるボンディング技術は:点接着;熱、超音波、または放射方法の融合ボンディング;ステッチング、縫い、および機械的締結装置の使用を必要とする他の方法のボンディング;ニードルパンチングおよび他の手段である。ボンディングされた領域は層上にランダムに(が、必然的に均一に)分配されてよく、または、低密度領域の説明において上述されたパターンのいずれかを形成してよい。
【0116】
層の整列の損失を防止するために、ボンディングされた層のかなりの表面にはボンドがないことが重要である。この目標は下記の条件が観察されると満たされることが見出されている。ボンディングされた領域は構造の表面積の約2%〜約25%を占めなければならない。隣接するボンドセンター間のスパンは、少なくとも約1/4インチ(6mm)かつ約2インチ(51mm)以下でなければならない。特定のボンドのスパンは、約1/64インチ(0.40mm)以上かつ約1/4インチ(6mm)以下でなければならない。
【0117】
上記背景技術セクションで説明されるように、吸収構造は多くの用途を有する。したがって、本発明は多くの異なる型の吸収物品の製造において有用である。
【0118】
上記発明の両面の好ましい実施形態は、本発明により整列されないワイプと比べた場合、改善されたウィッキングを示すタオルまたはワイプとしてそれ自体で有用である。
【0119】
本発明は、包帯および吸収性包帯との関連で有用性を有する。本発明の2−層構造はそのような装置においてトップシートとして、または包帯吸収材料の要素として使用され得る。
【0120】
全ての種類の生理用品、例えばタンポン、パンティーシールド、サニタリナプキンなどは全て、効率的で信頼できる吸収を必要とし、そのため本発明の材料は、そのような用品との関連でトップシートまたは吸収性要素として使用され得る。
【0121】
おむつおよび他の失禁用衣服は、それらの意図した機能を実施するために非常に高い吸収性を必要とするが、そのような衣服においては、とりわけ、それらが外側衣服下で目立たないように着用される場合、大きな嵩は望ましくない。したがって、本2−層材料により示されるウィッキング利点は、おむつトップシートとして、およびおむつ吸収性コアの要素としての使用によく適する。
【0122】
本発明の改善はまた、手術用ドレープ、衣料品、および他の物品において使用され得る。最後に、本構造の使用は使い捨ての衣服に限定されず、なぜなら本明細書で記載される技術は耐久性のある衣服に等しく適用され得るからである。
【0123】
図5は、2つのペーパーウェブを合わせてエンボス加工された穴開き2プライ完成製品にするために使用できるプロセス例を示す。正確な加工プロセスは、開示される開示内容には重要ではないが、加工変化を達成できる1つの方法として機能する。
【0124】
装置は、連続ペーパーウェブを個々の製造工程に送るための巻出機ユニット10を含む。巻出機ユニット10では、ペアレントロール11が解かれ、個々のユニット中に連続ペーパーウェブ12の形態で送り込まれる。ペアレントロールは、シートまたはロールの形態で複数の個々の衛生紙製品に加工される大きな紙のロールである。異なるペアレントロールは、シートの装置を通る輸送に影響する異なる特性を有する。示される例では、連続ウェブは最初に、印刷ユニット13に輸送される。印刷ユニットの前に、すなわち、装置を通るウェブの移動の方向で示される印刷ユニットの上流に、S−ラップの形態で送り込みニップ14が配置され、2つのロール14a、14bにより構成される。印刷ユニット13を超えて、すなわち、印刷ユニットの下流に、S−ラップの形態で送り出しニップ15が配置され、2つのロール15aおよび15bも有する。印刷ユニットは送り込みニップ14と送り出しニップ15の間に配置され、4つの印刷シリンダ16、17、18および19ならびに全ての4つの印刷シリンダのための1つのバッキングロール20を含む。明らかであるように、印刷ユニット13は4つのカラー印刷ユニットであり、よって、4つの印刷シリンダを含む。しかしながら、当業者に明らかなように、他の従来の印刷ユニット配列および異なる色数も可能である。図面では、連続ウェブは巻出機ユニット10から印刷ユニット13に輸送され、すなわち、連続ウェブ12は図面で見られるように左から右へ移動する。その結果として、連続ウェブ12の移動の向きで見られるように、送り込みニップ14は印刷ユニットの上流に位置し、送り出しニップ15は印刷ユニットの下流に位置する。
【0125】
送り出しニップ15を出た後、ウェブはエンボス加工ユニット21に輸送される。エンボス加工ユニット21はエンボス加工ロール22および個々のバッキングロール23を含む。フィードバック制御(図示せず)の一部であるセンサ24がウェブの1つの表面上方に配置される。印刷シリンダ16、17、18、19およびエンボス加工シリンダ22のドライブの速度比は、必要ならば、偏差を補正するように調節される。さらに、エンボス加工シリンダ22および印刷シリンダ16、17、18、19のドライブは、ギヤボックスまたはマスタスレーブサーボドライブを介して連結される。
【0126】
明らかになるように、エンボス加工ユニット21は第2のエンボス加工ロール25および第2のバッキングロール26を含む。例えば、第2の連続ウェブ27はエンボス加工ユニットに送られてエンボス加工され、その後、第1の連続ウェブ12に積層され、そのため多層紙製品の製造を可能にする。当然、エンボス加工ユニットの別の配列が使用され得、それらは当業者によく知られている。
【0127】
エンボス加工後、ペーパーウェブは、穴開けロール29およびバッキングロール30を含む穴開けユニット28に輸送される。2つのロール31aおよび31bを含む追加のニップ点31が穴開けユニット28の上流に配置され得る。穴開けが実施された後、連続ウェブ12、または2つのウェブが積層される場合、多層ウェブ27は、リワインダユニット32により巻き戻される。このように、最終製品は、トイレットペーパーロールまたはキッチンタオルロールのためなどのロール形態で提供できる。あるいは、穴開けユニットの代わりに、切断ユニットが提供できるであろう。この場合、最終製品は、例えば、ナプキンなどの単一シートの形態を有する。
【0128】
図6をここで参照し、これは、たった1つの印刷ニップ33を囲む送り込みニップ14および送り出しニップ15の配列を概略的に示す。印刷ニップ33は印刷ロール33aおよびバッキングロール33bにより規定される。全ての3つの14、15および33のドライブは連結され、かつこれらのニップ点におけるウェブ速度は同一であり、そのためウェブは、その張力または伸張に変化なくプロセスを通過する。送り出しニップ15を出た後、ウェブは緩められる。
【0129】
図5に示される対応する速度/張力プロファイルからわかるように、例えば、印刷シリンダ上の200mm反復長を有する印刷デザインを、細長いウェブ上に印刷できる。ウェブは送り込みニップと送り出しニップの間で伸長され、送り出しニップを出た後、それは再び緩められる。5%の伸張を用いて、そのように伸長されたウェブ上に印刷される200mm印刷デザインは、送り出しニップ15を出た後ウェブ上で約190mmに収縮する。よって、弾性伸張の枠の中で、システムはまた、エンボス加工および/または穴開けを有する好ましい実施形態でなどの、印刷反復長と任意の他の反復長の間の基本的ミスマッチを補正するために使用できる。一例として、典型的な家庭用タオルについて0%〜5%の範囲が、反復長の0mm〜12mmの調節を可能にする。ウェブ12の伸張は個々のニップ点のドライブにより調整される。矢印34はウェブ12の移動の向きを示す。
【0130】
実施例
実施例1:吸収性タオル地
本開示のセルロースナノフィラメントを含むValmet Karlstad TADデモ機から得られたタオル地ペアレントロールをGreen Bay WisconsinにおけるFabio Periniパイロット加工ラインで加工した。加工ラインは下記のエンボスロールを用いて設定した:
上方D9106pe(Perini DESL(ネスト化)タオルパターン)
下方D9235pe(Perini DESL(ネスト化)タオルパターン)
【0131】
加工ラインを、設定ロールを用いて動作させて、一貫したエンボス加工および適正な接着剤添加を確立し、適正な積層およびウェブ張力を確保した。リワインダを、86シートカウント、9.0”シート長、5インチロール直径および11インチロール高さのタオルパラメータに設定して、市場の積層高級タオルをシミュレートした。試験を実施し、加工製品をAppleton WisconsinのInstitute of Paper Science Testing Companyにより試験し、下記の結果を得た:
【表1】
【0132】
観察結果:我々は、加工のために選択したロールの製品変化の結果として製品群内で製品乾燥引張を一定に保持するのに成功しなかった。プロセスおよび試験方法変化内で、CD引張は一定ではなく、高引張製品パラメータについて289−319N/mの範囲を有し、低引張実証について221−241N/mの範囲を有し、驚いたことに、CD湿潤引張は84.2から99.8N/mにおよび60−72.3N/mに増加し、これは、驚いたことにCD湿潤対乾燥引張比を0.27から0.31に増加させた。より驚いたことは、湿潤引張は精製エネルギー入力を低減するにつれ増加したという事実であった。なぜなら湿潤引張は一般に、標準精製制御限界にわたり精製と共に増加することが十分に裏付けされているからである。
【0133】
分析試験方法
下記試験方法はここで関連する吸収性ペーパーウェブの物理的特性を決定するために使用される技術を代表する。
【0134】
1.試料コンディショニングおよび調製
試験のための試料は全て一般に紙試験のための許容される標準に従うコンディショニング環境において調製される。試料のためのコンディショニング環境はおよそ50%の創造湿度およびおよそ74カ氏度の温度を有する。
【0135】
2.総乾燥引張強度
本開示の吸収性ペーパーウェブ試料の乾燥引張強度特性は、国際標準化機構、ISO12625−4:2005、ティッシュペーパーおよびティッシュ製品−パート4:引張強度、破壊時のストレッチおよび引張エネルギー吸収の決定により公開される試験方法を実施することにより決定される。ISO12625−4を使用して、縦目(MD)および横目(CD)乾燥引張強度の両方を測定する。総乾燥引張強度は縦目乾燥引張強度および横目乾燥引張強度の数学的合計である。
【0136】
3.平均二乗乾燥引張強度
平均二乗乾燥引張強度指数はISO12625−4結果由来の計算パラメータであり、MD引張指数二乗+CD引張指数二乗の平方根に等しい。平均二乗乾燥引張は単位質量あたりの全体のシート強度を評価するためのより代表的な測定基準を提供し得る。
【0137】
4.湿潤引張強度
本開示の吸収性ペーパーウェブ試料の湿潤引張強度特性は、国際標準化機構、ISO12625−5:2005、ティッシュペーパーおよびティッシュ製品−パート5:湿潤引張強度の決定により公開される試験方法を実施することにより決定される。ISO12625−5を使用して縦目(MD)および横目(CD)湿潤引張強度の両方を測定する。
【0138】
5.CD湿潤引張:CD乾燥引張比
横目湿潤引張強度対横目乾燥引張強度の特性比は、2つの特性パラメータの数学的比として計算される。
比=
CD湿潤引張強度
CD乾燥引張強度
【0139】
本開示で使用される場合、「含む」、「含んでいる」という用語、および語幹用語「含む」からの他の派生語は、任意の明言された特徴、要素、整数、工程、または構成成分の存在を特定する制約のない用語であることが意図され、1つ以上の他の特徴、要素、整数、工程、構成成分、またはそれらの群の存在または追加を除外することは意図されない。
【0140】
本明細書で開示される寸法および値は、列挙された正確な寸法および値に厳密に制限されると理解されるべきではない。代わりに、他に特に規定がなければ、そのような寸法および/または値はそれぞれ、列挙された寸法および/または値ならびにその寸法および/または値を囲む機能的に等価な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は「約40mm」を意味することが意図される。
【0141】
本開示の特定の実施形態を説明し、記載してきたが、様々な他の変更および改変が本開示の精神および範囲から逸脱せずに可能であることは当業者には明らかであろう。そのため、添付の特許請求の範囲では、この開示の範囲内にあるそのような変更および改変を全て包含することが意図される。
【国際調査報告】