特表2019-535094(P2019-535094A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特表2019535094-熱伝導性電気絶縁材料 図000014
  • 特表2019535094-熱伝導性電気絶縁材料 図000015
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2019-535094(P2019-535094A)
(43)【公表日】2019年12月5日
(54)【発明の名称】熱伝導性電気絶縁材料
(51)【国際特許分類】
   H01B 3/52 20060101AFI20191108BHJP
   C08L 77/10 20060101ALI20191108BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20191108BHJP
   C08L 33/20 20060101ALI20191108BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20191108BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20191108BHJP
   C08K 3/38 20060101ALI20191108BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20191108BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20191108BHJP
   C09K 5/14 20060101ALI20191108BHJP
   D21H 13/26 20060101ALI20191108BHJP
   D21H 13/18 20060101ALI20191108BHJP
   B32B 27/12 20060101ALI20191108BHJP
【FI】
   H01B3/52 C
   C08L77/10
   C08L101/00
   C08L33/20
   C08K3/013
   C08K3/34
   C08K3/38
   C08K3/26
   C08K3/22
   C09K5/14 E
   D21H13/26
   D21H13/18
   B32B27/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-510948(P2019-510948)
(86)(22)【出願日】2017年8月16日
(85)【翻訳文提出日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】US2017047050
(87)【国際公開番号】WO2018038984
(87)【国際公開日】20180301
(31)【優先権主張番号】62/379,514
(32)【優先日】2016年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ホアン, ミッチェル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ターピン, ロバート エイチ.
【テーマコード(参考)】
4F100
4J002
4L055
5G305
【Fターム(参考)】
4F100AA08A
4F100AA08C
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4F100AA14C
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4F100AA19C
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4F100AC10A
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5G305CC05
5G305CC13
5G305CC20
5G305CD01
5G305CD13
5G305CD20
(57)【要約】
0.4W/m−Kよりも大きい熱伝導率を有する熱伝導性電気絶縁紙が記載される。熱伝導性電気絶縁紙は、アラミド繊維と、アラミドパルプと、バインダー材料と、熱伝導性充填剤の相乗的ブレンドであって、相乗的ブレンドが一次熱伝導性充填剤及び二次熱伝導性充填剤を含む、相乗的ブレンドと、を含む不織紙である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アラミド繊維と、
アラミドパルプと、
バインダー材料と、
熱伝導性充填剤の相乗的ブレンドであって、前記相乗的ブレンドが第1の熱伝導性充填剤及び第2の熱伝導性充填剤を含む、相乗的ブレンドと、
を含む熱伝導性電気絶縁紙。
【請求項2】
アクリル繊維を更に含む、請求項1に記載の紙。
【請求項3】
他の無機充填剤を更に含む、請求項1に記載の紙。
【請求項4】
前記他の無機充填剤が、カオリン粘土、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、アルミナ三水和物、モンモリロナイト、スメクタイト、ベントナイト、イライト、クロライト、セピオライト、アタパルジャイト、ハロイサイト、バーミキュライト、ラポナイト、レクトライト、パーライト及びこれらの組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項3に記載の紙。
【請求項5】
前記他の無機充填剤が、カオリン粘土を含む、請求項3に記載の紙。
【請求項6】
第3の熱伝導性充填剤を更に含む、請求項1に記載の紙。
【請求項7】
前記第1の熱伝導性充填剤が40W/m−Kに等しいか又はこれより大きい熱伝導率を有する高熱伝導性充填剤であり、前記第2の熱伝導性充填剤が40W/m−K未満の熱伝導率を有する低熱伝導性充填剤である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の紙。
【請求項8】
前記第1の熱伝導性充填剤が窒化ホウ素であり、前記第2の熱伝導性充填剤がシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム及びアルミナ三水和物のうちの少なくとも1つである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の紙。
【請求項9】
前記バインダー材料が、ポリマーラテックス材料であり、前記ポリマーラテックスが、アクリルラテックス、アクリルコポリマーラテックス、ニトリルラテックス及びスチレンラテックスのうちの少なくとも1つである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の紙。
【請求項10】
前記バインダー材料がアクリルラテックスである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の紙。
【請求項11】
前記紙の熱伝導率が0.4W/m−Kより大きい、請求項1〜10のいずれか一項に記載の紙。
【請求項12】
前記アラミド繊維が、0.5インチ未満の長さを有するパラアラミド繊維である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の紙。
【請求項13】
前記アラミドパルプが、パラアラミドパルプである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の紙。
【請求項14】
セルロースを含まない、請求項1〜13のいずれか一項に記載の紙。
【請求項15】
20重量%〜30重量%の有機成分であって、前記有機成分の一部が繊維性である、有機成分と、
70重量%〜80重量%の無機成分であって、前記無機成分の一部が熱伝導性充填剤の相乗的ブレンドであり、前記相乗的ブレンドが第1の熱伝導性充填剤及び第2の熱伝導性充填剤を含む、無機成分と、を含む、
熱伝導性電気絶縁紙。
【請求項16】
前記有機成分が、ポリマー繊維、ポリマーパルプ及びバインダー材料の組み合わせを含む、請求項15に記載の紙。
【請求項17】
前記ポリマー繊維が、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、メラミン繊維、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)繊維のうちの少なくとも1つを含み、バインダー材料が、ポリマーラテックス材料であり、前記ポリマーラテックスが、アクリルラテックス、ニトリルラテックス及びスチレンラテックスのうちの少なくとも1つである、請求項16に記載の紙。
【請求項18】
前記有機成分が、パラアラミド繊維、アクリル繊維;パラアラミドパルプ及びアクリルラテックスバインダー材料の組み合わせを含む、請求項16又は17に記載の紙。
【請求項19】
前記無機成分が、他の無機充填剤、無機難燃剤及び無機顔料のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項15〜18のいずれか一項に記載の紙。
【請求項20】
他の無機充填剤を更に含む、請求項15〜19のいずれか一項に記載の紙。
【請求項21】
前記他の無機充填剤が、カオリン粘土である、請求項20に記載の紙。
【請求項22】
前記第1の熱伝導性充填剤が40W/m−Kに等しいか又はこれより大きい熱伝導率を有する高熱伝導性充填剤であり、前記第2の熱伝導性充填剤が40W/m−K未満の熱伝導率を有する低熱伝導性充填剤である、請求項15〜21のいずれか一項に記載の紙。
【請求項23】
前記第1の熱伝導性充填剤が窒化ホウ素であり、前記第2の熱伝導性充填剤がシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム及びアルミナ三水和物のうちの少なくとも1つである、請求項15〜22のいずれか一項に記載の紙。
【請求項24】
前記物品がセルロースを実質的に含まない、請求項15に記載の紙。
【請求項25】
請求項1又は15に記載の紙を含む、電気機器用の電気絶縁材料。
【請求項26】
前記電気機器が、変圧器、モータ及び発電機のうちの1つを備える、請求項25に記載の絶縁システム。
【請求項27】
ポリマーフィルムの表面に積層された、請求項1〜26のいずれか一項に記載の熱伝導性電気絶縁紙を含む、
熱伝導性絶縁材料。
【請求項28】
前記ポリマーフィルムが熱伝導性ポリマーフィルムである、請求項27に記載の熱伝導性絶縁材料。
【請求項29】
前記熱伝導性電気絶縁紙が、前記熱伝導性ポリマーフィルムの両面に積層されている、請求項27又は28に記載の熱伝導性絶縁材料。
【請求項30】
前記熱伝導性電気絶縁紙と前記熱伝導性ポリマーフィルムとの間に配置された積層接着剤層を更に含む、請求項27〜29のいずれか一項に記載の熱伝導性絶縁材料。
【請求項31】
請求項27〜30のいずれか一項に記載の熱伝導性絶縁材料を含む、電気機器用の電気絶縁材料。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、電気絶縁用途に好適な材料に関する。特に、本発明は、変圧器、モータ、発電機及び他の電気デバイスに好適な電気絶縁材料に関する。特に、本技術は、熱伝導性充填剤の相乗的ブレンドを有する、熱伝導性電気絶縁材料に関する。
【0002】
[背景技術]
熱は、変圧器、モータ、発電機及び他の電気デバイスの望ましくない副産物である。動作温度が高くなるほど、デバイスの寿命と信頼性とは典型的に低下するとともに、実際のデバイス設計において、設計上の制約が課せられる。変圧器、モータ及び発電機に使用される、従来の電気絶縁紙などの電気絶縁材料は、熱伝導性の低い熱伝導体であることが多く、デバイスの放熱を制限することがある。
【0003】
電気デバイスの熱伝達性能が改善されれば、従来の電気デバイス設計でも温度上昇を少なくすることができ、又はより小型の新しい電気デバイス設計が可能となり得る。動作温度が10℃上昇すると絶縁材料の寿命が半分に短縮されると推定されるアレニウスの式に従えば、デバイスの動作温度が低くなれば、信頼性が改善される。また、デバイスの動作温度が低くなれば、抵抗(ジュール加熱)損失が減少することにより、電気デバイスの効率が改善され得る。また、デバイスの動作温度が低くなれば、電気デバイスをより高い電力レベルで動作させることができ、又はより高い過負荷容量を得ることができる。更に、温度上昇が少なくなれば、よりコンパクトなデバイスサイズへのデバイス再設計が可能となり、金属の使用量が少なくなることによって、原材料を効率的に使用することができ、デバイスシステムの総費用が削減され得る。
【0004】
熱伝達性能は、熱伝達媒体を熱伝導率の高いものに変更することによって、又は熱抵抗の高い材料を熱抵抗の低い材料若しくは熱伝導率の高い材料に置き換えることによって、改善することができる。
【0005】
電気絶縁に採用される紙としては、クラフト又はセルロース系紙、有機紙、無機/有機ハイブリッド紙、及び無機紙が挙げられる。本発明での使用に好適な市販の不織紙の例としては、商品名CeQUIN(限定するものではないが、CeQUIN I(約90%の無機含有量)、CeQUIN II(CeQUIN Iの2層(プライ)複合材料)、CeQUIN X(Bステージ用途のために湿潤強度を強化)及びCeQUIN3000(約74%の無機含有量・有機繊維強化)を含む);ThermaVolt無機絶縁紙、ThermaVolt AR無機絶縁紙、FLAME BARRIER FRB(限定するものではないが、FLAME BARRIER−FRB−NTカレンダー処理済み絶縁紙及びFLAME BARRIER FRB−NCカレンダー未処理絶縁紙を含む)にて、3M Company(USA)から入手可能なものが挙げられる。DuPont(www2.dupont.com)から市販されている電気絶縁材料の例としては、商品名NOMEX(限定するものではないが、NOMEX Paperのタイプ410、タイプ411(低密度版)、タイプ414、タイプ418(マイカ含有)、タイプ419(タイプ418の低密度版)及びタイプ56を含む)にて入手可能なものがある。SRO Group(China)Limitedから市販されている電気絶縁材料の例としては、商品名X−FIPERにて入手可能なもの、また、Yantai Metastar Special Paper Co.,Ltd.(China)から商品名METASTARにて入手可能なものがある。
【0006】
これらの従来の紙の多くは、典型的に、当該紙の熱安定性、電気的特性及び機械的特性が重要である高温電気絶縁用途にて使用されている。
【0007】
従来の電気絶縁紙は、典型的に、0.25W/m−K以下の熱伝導率を有する。これらの紙が電磁コイル巻線に使用される場合、コイル巻線から熱を効率的に逃がすことができないため、導体内で発生した熱が蓄積してコイルの温度が上昇する。従来の電気絶縁紙の熱伝導率が比較的低いことに起因し得る熱の蓄積の結果として、コイルの電力密度が制限される。
【0008】
したがって、変圧器、モータ、発電機及び他の電気デバイスにおいて、放熱を改善し、デバイスの動作温度及びホットスポット温度を低くすることができる、熱伝導率の高い電気絶縁紙が必要とされている。
【0009】
[発明の概要]
電気機器用途において好適な性能を達成する熱伝導率の高い材料が、特定の電気絶縁用途で必要とされている。
【0010】
本発明の材料は、変圧器、モータ、発電機、及び電気要素の絶縁を必要とする他のデバイス内の電気要素の絶縁に好適である。
【0011】
本発明の少なくともいくつかの実施形態は、熱伝導性電気絶縁紙を提供する。熱伝導性電気絶縁紙は、アラミド繊維と、アラミドパルプと、バインダー材料と、熱伝導性充填剤の相乗的ブレンドであって、相乗的ブレンドが一次熱伝導性充填剤及び二次熱伝導性充填剤を含む、相乗的ブレンドと、を含む不織紙である。紙は、アクリル繊維、カオリン粘土などの低熱伝導性無機充填剤及び難燃剤のうちの少なくとも1つを更に含み得る。
【0012】
他の実施形態において、熱伝導性電気絶縁紙は、20重量%〜30重量%の有機成分であって、有機成分の一部が繊維性である、有機成分と、70重量%〜80重量%の無機成分であって、無機成分の一部が熱伝導性充填剤の相乗的ブレンドであり、相乗的ブレンドが一次熱伝導性充填剤及び二次熱伝導性充填剤を含む、無機成分と、を含む。有機成分は、ポリマー繊維、ポリマーパルプ及びバインダー材料の組み合わせを含む。また、いくつかの態様において、紙は、パラアラミド繊維、アクリル繊維;パラアラミドパルプ及びアクリルラテックスバインダー材料の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、無機成分は、低熱伝導性充填剤、無機難燃剤及び無機顔料のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0013】
例示的な態様において、第1の熱伝導性充填剤は、40W/m−Kに等しいか又はこれより大きい熱伝導率を有する高熱伝導性充填剤であり、第2の熱伝導性充填剤は、40W/m−K未満の熱伝導率を有する低熱伝導性充填剤である。いくつかの実施形態において、第1の熱伝導性充填剤は、窒化ホウ素であり、第2の熱伝導性充填剤は、シリカ、アルミナ及びATHのうちの少なくとも1つである。本明細書に記載される例示的な紙の熱伝導率は、0.4W/m−Kより大きい。
【0014】
例示的な態様において、例示的な紙は、セルロースを含まず、したがって、紙は、電気絶縁システムの耐熱クラス155(クラスF)、180(クラスH)、200(クラスN)及び220(クラスR)での使用に好適な高い熱安定性を有する。
【0015】
本明細書で使用するとき、
「セルロースを含まない」とは、ごく微量のセルロース系材料しか含まないこと、例えば、0.5重量%未満のセルロース系材料を含むこと、好ましくは、0.1重量%未満のセルロース系材料を含むこと、より好ましくは、セルロース系材料を含まないことを意味し、
「直接融着」は、接着剤層などの介在層を有しないことを意味し、
「不織紙」は、短繊維から主に構成されるシート材料を意味し、
「短繊維」は、長さ1インチ未満の繊維を意味し、
「MD」又は「機械方向」は、連続するシート材料の巻取方向と平行な方向を指し、
「他の無機充填剤」は、0.6W/m−K未満の熱伝導率を有する無機充填剤である。
【0016】
本明細書に記載される不織紙の少なくとも1つの実施形態の利点は、十分な絶縁耐力及び良好な機械的強度を有しながら、同じ全体濃度の熱伝導性充填剤で単一の高熱伝導性充填剤を有する材料よりも、高い熱伝導率を達成することである。本開示の不織紙の別の属性には、高温熱安定性が含まれ、例えば、例示的な材料は、電気絶縁システムの耐熱クラス155(クラスF)、180(クラスH)、200(クラスN)及び220(クラスR)での使用に好適である。例示的な絶縁紙は、コイル内での巻回又は形成を可能にする良好な柔軟性を示し、これにより、変圧器、モータ、発電機、及び電気要素の絶縁を必要とする他のデバイスでの使用が可能となる。
【0017】
上記の本発明の概要は、本発明について開示される各実施形態又は全ての実施の記載を意図したものではない。以下の発明を実施するための形態は、本発明の実施形態を具体的に例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下では、一部において、図面を参照しながら本発明の非限定例によって、本発明を説明する。
図1】本発明による例示的な熱伝導性電気絶縁紙における熱伝導性充填剤の相乗的ブレンドによる、熱伝導率の向上を示すグラフである。
図2】算出された相対熱伝導率因子と測定された相対熱伝導率因子とを比較することによって、本発明による例示的な熱伝導性電気絶縁紙における熱伝導率の改善を示すグラフである。
【0019】
本発明は様々な変更及び代替形態が可能であるが、本発明の詳細を、例として図面で示すとともに詳細に説明する。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本発明を限定することにはないことを理解するべきである。むしろ逆に、添付の「特許請求の範囲」において記載される発明の範囲を逸脱することなく、あらゆる変更、均等物、及び代替物が含まれることを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の記述において、本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施することができる点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0021】
別途断りがない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いる加工寸法(feature size)、量、及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解するものとする。したがって、別途反する指示のない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本明細書に開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。端点による数値範囲の使用は、その範囲内の全ての数及び任意の値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。
【0022】
材料の熱伝導性を改善する従来の手段は、熱伝導性の最も高い充填剤を最大充填量で材料に入れることである。高熱伝導性充填剤としては、50W/m−Kよりも大きい熱伝導率を有する充填剤が挙げられ、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド粒子及び窒化ホウ素が挙げられる。これらの高熱伝導性充填剤は、絶縁紙で日常的に使用するには高価であり得る。
【0023】
本発明の少なくともいくつかの実施形態の電気絶縁不織紙は、短繊維、すなわち、長さ1インチ(2.54cm)未満、好ましくは半インチ(1.27cm)未満の繊維から作製されたシート材料を含む。本発明の少なくとも1つの実施形態において、不織紙中の繊維の大部分は有機物である。しかしながら、例示的な不織紙は、少量の無機繊維(<5重量%)を含み得る。
【0024】
例示的な不織紙は、約15重量%〜約50重量%、好ましくは約20重量%〜約30重量%の有機成分を含み得、有機成分の一部は、繊維性であり、約50重量%〜約85重量%、好ましくは約70重量%〜約80重量%の無機成分を含み得る。有機成分は、有機繊維及びバインダー材料を含み得る。無機成分の一部は、熱伝導性充填剤の相乗的ブレンドを含み、相乗的ブレンドは、一次熱伝導性充填剤及び二次熱伝導性充填剤を含む。無機成分はまた、他の熱伝導性充填剤、低熱伝導性充填剤、他の無機充填剤、無機難燃剤、無機顔料などを含み得る。
【0025】
電気絶縁不織紙は、熱伝導性充填剤の相乗的ブレンドを含み、相乗的ブレンドは、一次熱伝導性充填剤及び二次熱伝導性充填剤を含む。変圧器、モータ、発電機などの電気機器用の絶縁紙として、物品を形成することができる。熱は、変圧器、モータ、発電機の望ましくない副産物である。本発明の絶縁紙は、変圧器の同一巻線内にある導電体の連続層を絶縁するための層絶縁として使用することができる。コイル巻線内の導体と絶縁紙との複数の交互層は、変圧器内の放熱が課題となっている1つの領域である。電気モータ又は発電機において、スロットライナー電気絶縁は、発熱導体ワイヤと熱伝導性のより高い金属材料との間に配置される。低熱伝導性スロットライナー材料は、放熱を制限し得る、モータ又は発電機内の領域となる。
【0026】
本明細書に記載される例示的な絶縁紙の高い熱伝導率は、電気デバイスの放熱を改善することができ、これにより、動作温度が低くなる。加えて、高熱伝導性紙により放熱が改善すると、デバイス/コイルサイズを縮小することができ、高熱伝導性紙による放熱の改善/動作温度の低下は、デバイスの動作温度を大きく変更することなく、デバイスのサイズ縮小から生じる動作温度の上昇を補償するのに役立ち得、その結果、システムの総材料費が低い、より小型の変圧器が得られる。
【0027】
本明細書に記載される例示的な熱伝導性紙、又は例示的な熱伝導性紙を含む熱伝導性積層体はまた、スロットライナーが手/手動で挿入される、電気モータ/発電機用途におけるスロットライナーとしての使用可能性を有する。モータ製造者は、モータ/発電機の放熱を改善する高熱伝導率スロットライナー絶縁材料を望んでいる。スロットライナーとして機能するには、絶縁材料は、モータのスタータ及び/又はロータのスロット内に挿入するために、曲げ成形可能にするのに十分な柔軟性を有する必要がある。
【0028】
例えば、熱伝導性絶縁積層材料は、ポリマーフィルムの表面に積層された本開示の熱伝導性電気絶縁紙を含み得る。例示的な実施形態において、ポリマーフィルムは、その全容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許仮出願第62/541,920号及び同第62/541,929号に記載されているものなどの熱伝導性ポリマーフィルムであってよい。別の態様において、熱伝導性ポリマーフィルムは、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートから形成された配向層を含み、配向層内に実質的に球状のアルミナ粒子が分散された、配向フィルムであってよい。アルミナ粒子は、配向フィルムの20重量%〜40重量%の量で存在し得る。アルミナ粒子は、D99の値が20マイクロメートル以下、又は15マイクロメートル以下、又は10マイクロメートル以下であり、メジアン径が1〜7マイクロメートル、又は1〜5マイクロメートル、又は1〜3マイクロメートルの範囲の値である。
【0029】
代替的実施形態において、熱伝導性絶縁材料は、熱伝導性ポリマーフィルムの両面に積層された熱伝導性電気絶縁紙を有し得る。任意選択により、層を互いに接着させるために、熱伝導性電気絶縁紙と熱伝導性ポリマーフィルムとの間に積層接着剤層が配置され得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、熱伝導性電気絶縁紙と熱伝導性ポリマーフィルムの交互層を複数含む、より高レベルの積層構造体が想到される。
【0031】
好適な不織紙は、限定するものではないが、アラミド繊維(メタアラミド及びパラアラミド繊維を含む);ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維;ポリエステル繊維;ポリアミド繊維、アクリル繊維、メラミン繊維、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)繊維、ポリイミド繊維又はこれらの組み合わせなどの有機繊維を含み得る。有機繊維は、不織紙の有機成分の約40%〜80%を構成し得る。例示的な態様において、繊維の組み合わせが使用され得る。繊維は、化学組成及びサイズを変えてもよく、例示的な不織紙の製造適性及び最終特性を改善するように選択することができる。いくつかの実施形態において、アラミド繊維、例えば、パラアラミド繊維を非アラミド繊維と組み合わせて、本開示の不織紙を形成することができる。アラミド繊維と非アラミド繊維との比は、約15:1〜約8:1であり得る。
【0032】
繊維性成分の少なくとも一部は、質量当たりの表面積が大きく、10m/gより大きい表面積を有し得る。例えば、高表面積パルプは、紙形成プロセスにおいて、紙スラリーの保持を容易にすることができる。不織紙に使用される繊維の表面積を増大させるために、繊維の一部をフィブリル化又はパルプ化してパルプを形成することが望ましい場合がある。例えば、例示的な不織紙中のアラミド繊維の一部をアラミド繊維パルプに置き換えることができる。例えば、例示的な紙中のアラミド繊維の60〜80%をアラミドパルプに置き換えることができる。
【0033】
いくつかの態様において、電気絶縁不織紙の無機成分は、任意選択により、約0.6μm以下の平均直径を有するガラスマイクロファイバーなどの表面積の大きい無機繊維を含み得る。
【0034】
本発明の少なくとも1つの実施形態において、不織紙の有機成分は、ポリマーバインダーも含む。ポリマーバインダーは、有機成分の約25%〜60%を構成し得る。好適なポリマーバインダーは、ラテックス系材料を含み得る。別の態様において、好適なポリマーバインダーとしては、アクリルラテックス、アクリルコポリマーラテックス、ニトリルラテックス、スチレンラテックス、グアーガム、デンプン及び天然ゴムラテックスを挙げることができるが、これらに限定されない。一例において、電気絶縁紙は、約7重量%〜約25重量%のポリマーバインダーを含む。
【0035】
上記したように、電気絶縁紙は、熱伝導性充填剤の相乗的ブレンドを含み、相乗的ブレンドは、一次又は第1の熱伝導性充填剤及び二次又は第2の熱伝導性充填剤を含む。第1の熱伝導性充填剤は、40W/m−Kに等しいか又はこれより大きい熱伝導率を有する高熱伝導性充填剤である。
【0036】
例えば、窒化ホウ素は、高熱伝導性充填剤として広く分類されているが、窒化ホウ素粒子の異方性により、どの方向が参照されるかに応じて、熱伝導率は根本的に異なる。六方晶窒化ホウ素板状粒子は、異方性熱伝導率を有し、(xy)基底面方向で400W/m−K、(z)板厚さ方向で2W/m−Kの値が報告されている。窒化ホウ素粒子を充填した複合材料では、板の配向及び粒子間の充填特性が複合材料の熱伝導率の測定値に影響を与え得る。50W/m−Kの異方性熱伝導率が文献に報告されている(P.Bujard et al,Thermal Phenomena in the Fabrication and Operation of Electronic Components:I−THERM’88,InterSociety Conference,pp.41−49,1988)。
【0037】
他の高熱伝導性充填剤としては、窒化アルミニウム(170W/m−K)及び炭化ケイ素(360W/m−K)が挙げられる。いくつかの例を挙げれば、銅粒子、鉄粒子、鉛粒子及び銀粒子などの金属粒子は全て100W/m−Kより大きい熱伝導率を有するが、その電気伝導性のために、本明細書に記載される例示的な絶縁紙に使用することはできない。同様に、黒鉛及びカーボンナノチューブも本発明の絶縁紙に使用することはできない。
【0038】
40W/m−K未満の低熱伝導率を有する第2の伝導性充填剤は、溶融非晶質シリカ(1.5W/m−K)、二酸化ジルコニウム(約2W/m−K)、酸化亜鉛(21W/m−K)、及びアルミナ(26W/m−K)から選択することができる。
【0039】
加えて、電気絶縁不織紙の無機成分は、別の無機充填剤を含み得る。一態様において、好適な他の無機充填剤としては、カオリン粘土、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、スメクタイト、ベントナイト、イライト、クロライト、セピオライト、アタパルジャイト、ハロイサイト、バーミキュライト、ラポナイト、レクトライト、パーライト及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これらの他の無機充填剤は、例示的な紙への組み込みを容易にするために、表面処理されていてもよい。好適なカオリン粘土の種類としては、湿式カオリン粘土、デラミカオリン粘土、焼成カオリン粘土、及び表面処理カオリン粘土が挙げられるが、これらに限定されない。一例において、電気絶縁紙は、約5重量%〜約20%重量%のカオリン粘土を含む。
【0040】
電気絶縁不織紙の無機成分は、任意選択により、無機難燃剤を含み得る。無機難燃剤は、任意の好適な材料であってよい。好適な無機難燃剤材料の例としては、金属水酸化物、例えば、水酸化マグネシウム(MgOH)及びアルミナ三水和物(ATH)が挙げられる。無機難燃剤は、不織紙の約20重量%以下、好ましくは約15重量%以下を、構成し得る。本発明のいくつかの態様において、無機難燃剤は、十分に高い熱伝導率を有し得、そのため、第2の熱伝導性充填剤又は三次若しくは第3の熱伝導性充填剤として使用することができる。例えば、ATHは、10〜30W/m−Kの熱伝導率を有する。
【0041】
無機繊維及び無機粒子のうちの片方又は両方を含有する本発明の不織紙は、無機系紙と呼ぶことができる。無機材料は、コロナ放電に対して、有機材料よりもはるかに耐性であることが知られていることから、無機系紙は、例えば、完全に有機系であるメタアラミド紙と比較して、コロナ放電/部分放電の存在下で、改善された長期耐電圧性を提供する(例えば、The Electrical Insulation Conference(EIC)/Electrical Manufacturing and Coil Winding(EMCW)Expo 2001,Cincinnati,Ohio 10/15−10/18/2001,High Temperature Electrical Insulation Short Course,p.21参照)。これらの無機系紙はまた、例えば、完全に有機系であるメタアラミド紙と比較して、寸法安定性の向上、及び放熱を改善する高い熱伝導率を提供し得る。
【0042】
多くの実施形態において、電気絶縁紙は、標準的な製紙プロセスにより形成することができる電気絶縁不織紙として形成される。例えば、配合物の各要素を水中スラリーとして混合することができ、抄紙機で脱水し、乾燥させる。電気絶縁不織紙をカレンダー処理して高密度紙を製造することができ、及び/又は数枚の電気絶縁紙を積み重ねてカレンダー処理し、隣接するシートを直接融着させて厚い高密度紙を作製することができる。その結果、熱伝導性電気絶縁不織紙は、変圧器、モータ、発電機又は他の電気デバイス内の電気絶縁用などの電気機器での使用に好適なものとなり得る。
【0043】
いくつかの実施形態において、例示的な絶縁材料は、フィルム又はメッシュ補強材を更に含み得る。一態様において、機械的補強又は絶縁補強のために、本明細書に記載される例示的な電気絶縁熱伝導性紙の厚さと比べて比較的薄い非熱伝導性フィルムを例示的な紙に積層することができ、更に、従来の絶縁紙積層体と比較して、積層体の熱伝導率が改善される。例えば、薄いポリエステルフィルムを、本明細書に記載される例示的な紙の片面又は両面に積層することができる。積層は、フィルムを紙に直接積層してもよく、又は例示的な紙にフィルムを接着するための薄い接着剤層を更に含んでもよい。
【0044】
代替的な態様において、積層体の熱伝導率を最大にするために、熱伝導性フィルムを、本明細書に記載される例示的な熱伝導性紙に積層することができる。市販の熱伝導性フィルムとしては、Fastel Adhesive Products(San Clemente,CA)から入手可能なDevinall THB500ポリイミド及びDevinall THB300ポリイミド、並びにDuPont(Wilmington,DE)から入手可能なKapton200MTポリイミドフィルム、Kapton300MTポリイミドフィルムが挙げられる。
【実施例】
【0045】
本発明の理解を助けるために、以下の実施例及び比較例を提供するが、これは、本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。特に指示がない限り、全ての部及び百分率は重量による。以下のような試験方法及びプロトコルが、後述する例示的及び比較例の評価で使用された。
【表1】
【0046】
試料の作製:
当該技術分野において知られている方法を使用して、以下のとおり、例示的な電気絶縁不織紙を作製した。
10重量%のp−アラミドパルプ(比表面積12〜15m/g)、1.5重量%のアクリル繊維(0.1デシテックス×3mm)、3.5重量%のp−アラミド繊維(1.7デニール×6mm)及び10重量%のアクリルラテックスの混合物と、75重量%の表1〜5に示す充填剤とを水で分散させ、固形分含有量が約0.06〜0.9重量%の水性スラリーを形成した。抄紙機のスクリーンパート及びプレスパート(Williams Standard Pulp Testing Apparatus)により、脱水を行った。次いで、紙を乾燥させた。
【0047】
鋼ロール間で、1000PLI(179kg/cm)の圧力及び370°F(188℃)〜380°F(193℃)の温度、3ft/分(0.9m/分)の速度でカレンダー処理することによって、カレンダー紙を形成した。例示的な紙の組成情報及び測定された特性を表1〜6に示す。
【0048】
不織/ポリマーフィルム積層体の作製
メイヤーロッド(ワイヤーサイズ#20)を使用してポリマーフィルムの表面上に積層接着剤を塗布し、次いで、これをラボ用オーブン中、250°F(121℃)で1分間乾燥させた。次いで、ラボ用ホットロールラミネータ(Chemsultants International)で、(Dow Chemical Company(Midland MI))から入手可能なROBOND(登録商標)L−330/CR9−101Laminating Adhesiveを用いて、250°F(121℃)及び5ft/分で、カレンダー紙層をフィルムに積層した。このプロセスを繰り返して第2のカレンダー紙層をポリマーフィルムの反対側に適用し、紙/ポリマーフィルム/紙積層体を得た。
【0049】
試験方法
熱伝導率
熱伝導率の値は、ASTM E−1530に従って、Unithermモデル2021保護熱流計を用いて測定した。測定は、180℃で行った。電気絶縁紙の多孔質領域に界面流体/材料が浸透することにより起こり得る複雑化を回避するために、いかなる界面流体/材料も使用せずに、試料を測定した。界面流体を使用しないことから、熱伝導率の測定には、試験プレートの表面と試料材料の表面との間の界面における熱損失が含まれるため、ここで報告される熱伝導率の測定値は、材料の実際の固有の熱伝導率よりも低くなり得る。薄い試料を、熱抵抗が装置の較正範囲内になるまで、積み重ねた。DuPont Advanced Fibers Systems(Richmond,VA)から入手可能な従来のNomex(登録商標)Paperタイプ410の熱伝導率は、0.10W/m−Kであることが判明し、3M Company(St.Paul,MN)から入手可能な従来の3M(登録商標)ThermaVolt Calendered Inorganic Insulating Paper Laminateの熱伝導率は、0.2W/m−Kであることが判明した。
【0050】
ラップ柔軟性
いかなる破断もなくロッドをラップするのに十分な柔軟性があるかどうかを確かめるために、直径2.54mm(0.1”)のロッドの周りに電気絶縁材料をラップすることによって、ラップ柔軟性を目視で評価した。
【0051】
吸湿率
試料を環境チャンバ内に入れ、表9に示す指定のエージング条件に24時間暴露した。重量分析及び乾燥試料と指定暴露後の試料との比較により、含水率を決定した。
【0052】
更なる試験方法
以下の標準試験手順に従って、更なる機械的特性、電気的特性及び物理的特性を測定した。
【表2】
【0053】
表1は、単一の高熱伝導性充填剤(すなわち、窒化ホウ素)及び別の無機充填剤(すなわち、カオリン粘土)を様々な量で有する、一連の絶縁紙についての組成及び測定特性を示す。カオリン粘土は、脱水中の紙スラリーの保持に役立つことが分かっているため、実施例及び比較例の配合の両方に少量含める。
【表3】
【0054】
表2は、2つの熱充填剤の相乗的ブレンドを、一定量の別の無機充填剤(すなわち、カオリン粘土)の存在下で有する、一連の絶縁紙についての組成及び測定特性を示す。紙中の無機総含有量を一定にしたまま、高熱伝導性充填剤(すなわち、窒化ホウ素)及び低熱伝導性充填剤(すなわち、シリカ)の量を変更する。
【表4】
【0055】
表3は、2つの熱充填剤の相乗的ブレンドを、一定量の別の無機充填剤(すなわち、カオリン粘土)及びATHの存在下で有する、一連の絶縁紙についての組成及び測定特性を示す。紙中の無機総含有量を一定にしたまま、高熱伝導性充填剤(すなわち、窒化ホウ素)及び低熱伝導性充填剤(すなわち、シリカ)の量を変更する。
【表5】
【0056】
表4は、2つの熱充填剤の相乗的ブレンドを、一定量の別の無機充填剤(すなわち、カオリン粘土)の存在下で有する、一連の絶縁紙についての組成及び測定特性を示す。紙中の無機総含有量を一定にしたまま、高熱伝導性充填剤(すなわち、窒化ホウ素)及び低熱伝導性充填剤/難燃剤(すなわち、ATH)の量を変更する。
【表6】
【0057】
表5は、2つの熱充填剤の相乗的ブレンドを、一定量の別の無機充填剤(すなわち、カオリン粘土)及びATHの存在下で有する、一連の絶縁紙についての組成及び測定特性を示す。紙中の無機総含有量を一定にしたまま、高熱伝導性充填剤(すなわち、窒化ホウ素)及び低熱伝導性充填剤(すなわち、アルミナ)の量を変更する。粘土は、紙スラリーの保持に役立つことがわかっているため、配合に少量含める。
【表7】
【0058】
表6は、2つの熱充填剤の相乗的ブレンドを、別の無機充填剤(すなわち、カオリン粘土)の存在下で有する、一連の絶縁紙についての組成及び測定特性を示す。紙中の無機総含有量を一定にしたまま、高熱伝導性充填剤(すなわち、窒化ホウ素)及び低熱伝導性充填剤(すなわち、炭酸カルシウム又は炭酸カルシウム及びATH)の量を変更する。
【表8】
【0059】
表7は、実施例14の熱伝導性紙を指定のポリマーフィルムに積層することによって作製した、3つの紙/ポリマーフィルム/紙積層構造体(実施例16〜実施例18)のデータを示す。使用したフィルムは、標準的なポリエステル(PET)フィルムであり、例えば、Mitsibushi Polyester Film(Greer,South Carolina)から入手可能なHostaphan2262、JBF RAK LLC(United Arab Emerites)から入手可能なARYAPET A460、並びに3M Company(St.Paul,MN)のSeries777及び860のポリエステルフィルム;参照により本明細書に組み込まれる米国特許仮出願第62/541,920号に記載のものなどの高熱伝導率ポリエステルフィルム(HTCD PET)フィルム;並びにFastel Adhesive&Substrate Products(San Clemente,CA)から入手可能なDevinall(登録商標)500THBポリイミドフィルムなどのポリイミドフィルムであった。
【表9】
【0060】
表8は、市販の無機系紙積層体の特性を示す。表8中に記載される市販の紙積層体は、3M Company(St.Paul,MN)から入手可能な3M(登録商標)ThermaVolt TvFTv Flexible Laminateである。参考のために、更なる電気絶縁積層体、例えば、Dupont(Wilmington,DE)から入手可能なNMN333NOMEX(登録商標)Laminate Type NMNなどのNomex−Mylar−Nomex(3−3−3)の熱伝導率を測定すると、0.12W/mKの値であった。
【表10】
【0061】
例示的な紙(実施例14)及び例示的な積層構造体(実施例17)並びに従来の紙(NOMEX(登録商標)Type410−3mil)及び従来の積層材料(NMN333NOMEX(登録商標)Laminate Type NMN)(両方ともDupont(Wilmington,DE)から入手可能)の吸湿(吸水)率を決定した。
【表11】
【0062】
図1は、単一の高熱伝導性充填剤(すなわち、表1の窒化ホウ素)を有する類似の紙と比較した、表2〜表5の不織紙の熱伝導率に対する第1及び第2の熱伝導性充填剤のブレンドの相乗効果を例示する抜粋データを、紙中に存在する窒化ホウ素の体積パーセントの関数として示すグラフである。窒化ホウ素とアルミナと、窒化ホウ素とシリカと、及び窒化ホウ素とATHとの組み合わせでは、窒化ホウ素を単独で含む紙配合物から得ることができる熱伝導率よりも低い窒化ホウ素充填量で高い熱伝導率を達成する。窒化ホウ素は高価であるため、低充填量で高熱伝導率の値を得ることができることは、有用である。
【0063】
少なくとも2つの熱伝導性充填剤の組み合わせを含む例示的な電気絶縁紙について算出された総熱伝導係数は、個々の各成分の体積分率に個々の各成分の熱伝導率を乗じた値の合計に等しく、k=Σ(Vf,i×k)(式中、kは、例示的な紙の総熱伝導係数であり、Vf,iは、例示的な紙中に存在する所定の成分iの体積分率であり、kは、成分iの熱伝導係数である。)であった。比較例を表す紙(すなわち、単一の熱伝導性充填剤を含む熱伝導性紙)のそれぞれについて、同様のプロセスを繰り返した。
【0064】
例示的な紙材料について算出された総熱伝導係数から、算出された相対熱伝導率因子を算出し、比較例に記載される単一の熱伝導性充填剤(すなわち、窒化ホウ素)を含有する紙について算出された総熱伝導係数で正規化した。相対熱伝導係数因子は、少なくとも2つの熱伝導性充填剤を含む例示的な紙について算出された総熱伝導係数から、窒化ホウ素のみを含む紙について算出された総熱伝導係数を引き、窒化ホウ素を含む紙について算出された総熱伝導係数で除算した量に等しい。
【0065】
次いで、少なくとも2つの熱伝導性充填剤の組み合わせを含む例示的な紙材料の実際に測定された熱伝導率について、測定された相対熱伝導率因子を算出し、単一の熱伝導性充填剤である窒化ホウ素を含む熱伝導性紙について測定された熱伝導率に対して正規化した。少なくとも2つの熱伝導性充填剤の組み合わせを含む例示的な紙材料について測定された相対熱伝導率因子は、少なくとも2つの熱伝導性充填剤を含む例示的な紙のうちの1つについて測定された熱伝導率を得、唯一の熱伝導性充填剤として窒化ホウ素を含む紙について測定された熱伝導率を引き、唯一の熱伝導性充填剤としてほぼ同じ窒化ホウ素充填量で窒化ホウ素を含む紙について測定された熱伝導率を引くことによって除算することによって求めた。
【0066】
図2は、同程度の体積分率の窒化ホウ素充填量における、測定された相対熱伝導率因子と、計算された相対熱伝導率因子とを比較する。グラフは、異なる粒子成分の体積充填量の差を考慮すると、少なくとも2つの熱伝導性充填剤を含む紙について測定された相対熱伝導率因子(三角記号)が、計算された相対熱伝導率因子(丸記号)よりも高いことを示している。塗りつぶされた記号は、熱伝導性充填剤の三元ブレンド(窒化ホウ素、溶融シリカ及びアルミナ三水和物)を含む例示的な紙のデータを表し、白抜き記号は、熱伝導性充填剤の二元ブレンド(窒化ホウ素及びアルミナ三水和物)を含む例示的な紙のデータを表す。
【0067】
好ましい実施形態を説明するという目的のために、本明細書において特定の実施形態を例示し記載したが、図示し記載した特定の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、種々多様な代替及び/又は等価の実施態様で置き換え可能であることを、当業者であれば理解されよう。本出願は、本明細書で考察した好適な実施形態のあらゆる適合形態又は変形例を含むものである。それゆえ、本発明は、特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されることが、明白に意図される。
図1
図2
【国際調査報告】