特許第6335404号(P6335404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6335404
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】継電器用電源検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 19/165 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   G01R19/165 K
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-1372(P2018-1372)
(22)【出願日】2018年1月9日
【審査請求日】2018年2月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594018832
【氏名又は名称】株式会社岩崎電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(74)【代理人】
【識別番号】100142376
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】北村 欣夫
【審査官】 荒井 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−203751(JP,A)
【文献】 特開2000−028655(JP,A)
【文献】 特開昭61−218024(JP,A)
【文献】 実開平05−087574(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/165
H01H 45/00 − 61/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
継電器への電力供給に用いられる継電器用電源装置が接続されるための電源用端子と、
前記電源用端子に接続され前記継電器用電源装置から流れる電流の対地電圧が所定の範囲内か否かを判断する範囲判断部とを備える継電器用電源検査装置であって、
前記電源用端子に接続され前記継電器用電源装置から流れる電流が通る動作判断用継電器と、
前記動作判断用継電器に接続され、前記継電器用電源装置から流れる電流が前記動作判断用継電器を通ると電流が導通可能になる継電器接続電路と、
前記継電器用電源装置から流れる電流の対地電圧が前記所定の範囲内であり、かつ、前記継電器接続電路が導通可能であるか否かを判断する、前記範囲判断部と前記継電器接続電路とに接続される複数種条件判断部と、
前記複数種条件判断部の判断結果を示す情報を出力する判断結果出力部とをさらに備えることを特徴とする継電器用電源検査装置。
【請求項2】
前記範囲判断部が、
対地電圧が前記所定の範囲の上限値である電力を供給する上限電力供給部と、
前記上限電力供給部および前記電源用端子に接続され、前記電源用端子を介して前記継電器用電源装置から流れる前記電流の前記対地電圧より前記上限電力供給部が供給する前記電力の前記対地電圧が高いか否かを判断する電圧上限判断素子と、
対地電圧が前記所定の範囲の下限値である電力を供給する下限電力供給部と、
前記下限電力供給部および前記電源用端子に接続され、前記電源用端子を介して前記継電器用電源装置から流れる前記電流の前記対地電圧より前記下限電力供給部が供給する前記電力の前記対地電圧が低いか否かを判断する電圧下限判断素子と、
前記電源用端子を介して前記継電器用電源装置から流れる前記電流の前記対地電圧より前記上限電力供給部が供給する前記電力の前記対地電圧が高く、かつ、前記電源用端子を介して前記継電器用電源装置から流れる前記電流の前記対地電圧より前記下限電力供給部が供給する前記電力の前記対地電圧が低いか否かを判断する、前記電圧上限判断素子と前記電圧下限判断素子とに接続される電圧条件判断素子とを有していることを特徴とする請求項1に記載の継電器用電源検査装置。
【請求項3】
前記上限電力供給部が、
対地電圧が前記所定の範囲の上限値を超過する電力を供給する超過電力供給部と、
前記超過電力供給部に接続され、前記超過電力供給部が供給する前記電力の対地電圧を前記所定の範囲の上限値まで降圧する上限側降圧部とを有していることを特徴とする請求項2に記載の継電器用電源検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継電器用電源検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は電源監視回路を開示する。この電源監視回路は、電圧比較器と、一対の抵抗素子と、定電圧源とを備える。一対の抵抗素子は、電源から接地される箇所までの間に直列に接続される。電源電位と接地電位との間は各抵抗素子の抵抗比で分圧される。この抵抗素子の間から取り出される電位は、監視電位として電圧比較器に供給される。定電圧源は、周知の定電圧回路によって構成され、次に述べられる電位を発生する。その電位は、電源電位の変動に関係なく、接地電位に対して常に一定の電位差を維持する電位である。この電位は、基準電位として電圧比較器に供給される。この電源監視回路は、コンピュータの電源電圧を監視するために用いられる。
【0003】
特許文献1に開示されている電源監視回路は、電源電位の低下を検出する。これにより、データを正しく判定できなくなる程度まで電源電位が低下する前にコンピュータの回路動作を停止させることができる。その結果、電源監視回路を備えているコンピュータは、電源監視回路を備えていないコンピュータに比べ、誤動作する恐れを低くできる。
【0004】
電源電位が低下すると誤動作が生じやすくなるのはコンピュータばかりではない。継電器もまた、電源電位が低下すると誤動作が生じやすくなる。特許文献1に開示されている電源監視回路が継電器用電源装置に接続されると、継電器が誤動作する恐れのある継電器用電源装置を発見できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−88896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された電源監視回路には、継電器が誤動作する恐れのある継電器用電源装置を発見するためには不十分という問題点がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解消するものである。その目的は、継電器が誤動作する恐れのある継電器用電源装置を発見できる可能性を向上させる継電器用電源検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図面を参照して本発明の継電器用電源検査装置を説明する。なお、この欄で図中の符号を使用したのは、発明の内容の理解を助けるためであって、内容を図示した範囲に限定する意図ではない。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、継電器用電源検査装置10は、電源用端子20と、範囲判断部28とを備える。電源用端子20は、継電器用電源装置12が接続されるための端子である。継電器用電源装置12は継電器への電力供給に用いられる。範囲判断部28は、電源用端子20に接続される。範囲判断部28は、継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧が所定の範囲内か否かを判断する。継電器用電源検査装置10は、動作判断用継電器70と、継電器接続電路26と、複数種条件判断部30と、判断結果出力部32とをさらに備える。動作判断用継電器70は、電源用端子20に接続される。動作判断用継電器70は、継電器用電源装置12から流れる電流が通る。継電器接続電路26は、動作判断用継電器70に接続される。継電器接続電路26は、継電器用電源装置12から流れる電流が動作判断用継電器70を通ると電流が導通可能になる。複数種条件判断部30は、継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧が所定の範囲内であり、かつ、継電器接続電路26が導通可能であるか否かを判断する。複数種条件判断部30は、範囲判断部28と継電器接続電路26とに接続される。判断結果出力部32は、複数種条件判断部30の判断結果を示す情報を出力する。
【0010】
継電器用電源装置12から動作判断用継電器70に電流が流れると、継電器接続電路26が導通可能になる。複数種条件判断部30は、継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧が所定の範囲内であり、かつ、継電器接続電路26が導通可能であるか否かを判断する。これにより、単に継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧が所定の範囲内か否かを判断するだけでなく、継電器用電源装置12に継電器が接続されその継電器へその継電器用電源装置12から電力が供給されると正しく動作するか否かの判断を行うこととなる。その結果、継電器が誤動作する恐れのある継電器用電源装置12を発見できる可能性が向上する。
【0011】
また、上述した範囲判断部28が、上限電力供給部82と、電圧上限判断素子120と、下限電力供給部86と、電圧下限判断素子126と、電圧条件判断素子134とを有していることが望ましい。上限電力供給部82は、対地電圧が所定の範囲の上限値である電力を供給する。電圧上限判断素子120は、上限電力供給部82および電源用端子20に接続される。電圧上限判断素子120は、電源用端子20を介して継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧より上限電力供給部82が供給する電力の対地電圧が高いか否かを判断する。下限電力供給部86は、対地電圧が所定の範囲の下限値である電力を供給する。電圧下限判断素子126は、下限電力供給部86および電源用端子20に接続される。電圧下限判断素子126は、電源用端子20を介して継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧より下限電力供給部86が供給する電力の対地電圧が低いか否かを判断する。電圧条件判断素子134は、次に述べられる2件の要件が共に満たされるか否かを判断する。第1の要件は、電源用端子20を介して継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧より上限電力供給部82が供給する電力の対地電圧が高いという要件である。第2の要件は、電源用端子20を介して継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧より下限電力供給部86が供給する電力の対地電圧が低いという要件である。電圧条件判断素子134は、電圧上限判断素子120と電圧下限判断素子126とに接続される。
【0012】
範囲判断部28は、上限電力供給部82と、電圧上限判断素子120と、下限電力供給部86と、電圧下限判断素子126と、電圧条件判断素子134とを有している。これにより、範囲判断部28は、単に継電器用電源装置12の電圧が所定の下限値を下回るか否かを判断するのではなく、電源用端子20を介して継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧が所定の上限値と下限値との間にあるか否かを判断できる。
【0013】
もしくは、上述した上限電力供給部82が、超過電力供給部90と、上限側降圧部92とを有していることが望ましい。超過電力供給部90は、対地電圧が所定の範囲の上限値を超過する電力を供給する。上限側降圧部92は、超過電力供給部90に接続される。上限側降圧部92は、超過電力供給部90が供給する電力の対地電圧を所定の範囲の上限値まで降圧する。
【0014】
上限電力供給部82が、超過電力供給部90と上限側降圧部92とを有している。超過電力供給部90が供給した電力を上限側降圧部92が降圧する。いったん対地電圧が高い電力を供給しその電圧を降下させることで、変圧に伴うエネルギーロスに起因して範囲判断部28における電力が不足することを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる継電器用電源検査装置によれば、継電器が誤動作する恐れのある継電器用電源装置を発見できる可能性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態にかかる継電器用電源検査装置の構成が示される概念図である。
図2】本発明の一実施形態にかかる電力消費部および動作判断部の構成が示される概念図である。
図3】本発明の一実施形態にかかる範囲判断部の一部の構成が示される概念図である。
図4】本発明の一実施形態にかかる範囲判断部の残る一部と継電器接続電路と複数種条件判断部との構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0018】
[構成の説明]
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10の構成が示される概念図である。図1に基づいて、本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10の構成が説明される。
【0019】
本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10は、継電器用電源装置12を検査するための装置である。継電器用電源装置12は図示されない継電器への電力供給に用いられる。本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10は、電源用端子20と、電力消費部22と、動作判断部24と、継電器接続電路26と、範囲判断部28と、複数種条件判断部30と、判断結果出力端子32と、第1接地極34と、第2接地極36とを備える。
【0020】
電源用端子20は、継電器用電源装置12が接続されるための端子である。電力消費部22は、電源用端子20と範囲判断部28との間に接続される。継電器用電源装置12から範囲判断部28へ流れる電流の一部が電力消費部22で分岐する。電力消費部22は、分岐した電流による電力を消費する。
【0021】
動作判断部24は、継電器用電源装置12から流れる電流が図示されない継電器(継電器用電源装置12が電力を供給することが予定されている継電器)を動作させ得るか否かを判断する。継電器接続電路26は、動作判断部24に接続される。
【0022】
範囲判断部28は、電力消費部22を介して電源用端子20に接続される。範囲判断部28は、継電器用電源装置12から流れてくる電流の対地電圧が所定の範囲内か否かを判断する。本実施形態におけるこの判断の具体的内容は後述される。
【0023】
複数種条件判断部30は、継電器接続電路26と範囲判断部28とに接続される。複数種条件判断部30は、継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧が所定の範囲内であり、かつ、継電器接続電路26が導通可能であるか否かを判断する。判断結果出力端子32は、その信号を出力する。
【0024】
第1接地極34、および、第2接地極36は、本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10のうち所定の部分を接地する。本実施形態において継電器用電源検査装置10のうちどの部分が接地されるかは後述される。
【0025】
図2は、本実施形態にかかる電力消費部22および動作判断部24の構成が示される概念図である。図2に基づいて、本実施形態にかかる電力消費部22および動作判断部24の構成が説明される。
【0026】
本実施形態にかかる電力消費部22は、第1抵抗器50と、第2抵抗器52と、第3抵抗器54とを有する。
【0027】
第1抵抗器50の一端は、電源用端子20と範囲判断部28とを接続する電線から分岐する電線に接続される。第1抵抗器50の他端は、第1接地極34に接続される。
【0028】
第2抵抗器52の一端は、電源用端子20と範囲判断部28とを接続する電線から分岐する電線に接続される。第2抵抗器52の他端は、第1接地極34に接続される。第2抵抗器52は、第1抵抗器50と並列に接続される。
【0029】
第3抵抗器54の一端は、電源用端子20と範囲判断部28とを接続する電線から分岐する電線に接続される。第3抵抗器54の他端は、第1接地極34に接続される。第3抵抗器54は、第1抵抗器50および第2抵抗器52と並列に接続される。
【0030】
第1抵抗器50と、第2抵抗器52と、第3抵抗器54とにより、継電器用電源装置12から範囲判断部28へ供給される電力の一部が消費される。このようにして、範囲判断部28に、負荷がかかった状態の継電器用電源装置12から流れてくる電流の対地電圧が所定の範囲内となるか否かを判断させる。
【0031】
本実施形態にかかる動作判断部24は、動作判断用継電器70と、動作判断用整流素子72とを有する。
【0032】
動作判断用継電器70の端子の1つは、電源用端子20と範囲判断部28とを接続する電線から分岐する電線に接続される。動作判断用継電器70の端子の他の1つは、第1接地極34に接続される。これにより、動作判断用継電器70には、継電器用電源装置12から流れる電流の一部が通過することとなる。動作判断用継電器70は、第1抵抗器50と第2抵抗器52と第3抵抗器54とに並列に接続される。動作判断用継電器70の端子の他の2つは、継電器接続電路26と範囲判断部28とに接続される。
【0033】
本実施形態の場合、次に述べられる3つの要件が満たされると、動作判断用継電器70は、継電器接続電路26を閉じる。その3つの要件のうち1つ目は、電源用端子20から流れてきた電流が、予め定められた方向に流れるという要件である。2つ目の要件は、その電流の電流値が動作判断用継電器70を動作させ得る電流値であるという要件である。3つ目の要件は、その電流の電圧値が動作判断用継電器70を動作させ得る電圧値であるという要件である。動作判断用継電器70が継電器接続電路26を閉じると、継電器接続電路26は導通可能になる。これにより、動作判断用継電器70は、「真」を示す電気信号を生成し、この信号を継電器接続電路26に出力することとなる。
【0034】
動作判断用整流素子72は、動作判断用継電器70に流れる電流の向きを整える。本実施形態にかかる動作判断用整流素子72は、例えば、周知の整流ダイオードによって実現される。
【0035】
図3は、本実施形態にかかる範囲判断部28の一部の構成が示される概念図である。図3に基づいて、本実施形態にかかる範囲判断部28の一部の構成が説明される。
【0036】
本実施形態にかかる範囲判断部28は、駆動電源用端子80と、上限電力供給部82と、信号生成部用コンバータ84と、下限電力供給部86とを有する。
【0037】
駆動電源用端子80は図示されない電源に接続される。この電源は、範囲判断部28を駆動するための電力を供給する。
【0038】
上限電力供給部82は、駆動電源用端子80に接続される。上限電力供給部82は、対地電圧が所定の範囲の上限値である電力を供給する。上限電力供給部82の具体的な構成は後述される。
【0039】
信号生成部用コンバータ84は、駆動電源用端子80に接続され、かつ、第1接地極34によって接地される。信号生成部用コンバータ84は、駆動電源用端子80から供給される電力の電圧を所定の電圧に変換する。本実施形態の場合、信号生成部用コンバータ84は、駆動電源用端子80から供給される電力を降圧する。
【0040】
下限電力供給部86は、駆動電源用端子80に接続され、かつ、第1接地極34によって接地される。本実施形態の場合、下限電力供給部86は、周知の2個の抵抗器によって、駆動電源用端子80から供給された電力を順次降圧する。これにより、本実施形態にかかる下限電力供給部86は一種の分圧器を構成している。下限電力供給部86を構成する個々の抵抗器の抵抗値を予め適宜選択しておくことで、下限電力供給部86は、対地電圧が上述された「所定の範囲」の下限値である電力を供給できる。
【0041】
上限電力供給部82は、超過電力供給用コンバータ90と、上限側降圧部92とを有する。
【0042】
超過電力供給用コンバータ90は、第2接地極36によって接地される。超過電力供給用コンバータ90は、駆動電源用端子80から供給される電力の対地電圧を所定の対地電圧に変換する。本実施形態の場合、超過電力供給用コンバータ90は、駆動電源用端子80から供給される電力を昇圧する。
【0043】
上限側降圧部92は超過電力供給用コンバータ90に接続され、第1接地極34によって接地される。上限側降圧部92は、周知の4個の抵抗器によって、超過電力供給用コンバータ90により昇圧された電圧を順次降圧する。これにより、本実施形態にかかる上限側降圧部92は一種の分圧器を構成している。上限側降圧部92を構成する個々の抵抗器の抵抗値を予め適宜選択しておくことで、上限側降圧部92は、対地電圧が上述された「所定の範囲」の上限値である電力を供給できる。これらの記載から明らかなように、本実施形態にかかる上限電力供給部82においては、超過電力供給用コンバータ90による昇圧と上限側降圧部92による降圧とにより、対地電圧が所定の範囲の上限値である電力を供給している。これにより、駆動電源用端子80から供給される電力の電圧を継電器用電源装置12が供給する電力の対地電圧の上限値に等しくなるよう直接昇圧する場合に比べ、精度の良い対地電圧の設定が可能になる。
【0044】
本実施形態において、超過電力供給用コンバータ90と、信号生成部用コンバータ84とは、周知のコンバータによって実現される。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。本実施形態において、上限側降圧部92は、直列に接続された周知の抵抗器によって実現される。したがって、ここではその詳細な説明は繰り返されない。
【0045】
図4は、本実施形態にかかる範囲判断部28の残る一部と継電器接続電路26と複数種条件判断部30との構成が示される概念図である。図4に基づいて、本実施形態にかかる範囲判断部28の残る一部と継電器接続電路26と複数種条件判断部30との構成が説明される。
【0046】
本実施形態にかかる範囲判断部28は、駆動電源用端子80と、上限電力供給部82と、信号生成部用コンバータ84と、下限電力供給部86とに加え、次に述べられる素子を有している。それらの素子は、電圧上限判断用比較器120と、上限側信号降圧抵抗器122と、電圧上限判断用フォトカプラ124と、電圧下限判断用比較器126と、下限側信号降圧抵抗器128と、電圧下限判断用フォトカプラ130と、上限電位側フォトカプラ用降圧抵抗器132と、電圧条件判断用論理積回路134と、対地電圧側接地用降圧抵抗器136とである。
【0047】
電圧上限判断用比較器120は、上限側降圧部92の途中の箇所の対地電圧(本実施形態の場合、この箇所の対地電圧が上述された「所定の範囲」の上限値となっている)と電源用端子20から電圧上限判断用比較器120までの区間の対地電圧とを比較する。電圧上限判断用比較器120は、その比較結果に応じた信号を出力する。本実施形態の場合、電圧上限判断用比較器120は、上限側降圧部92の上述された箇所の対地電圧が電源用端子20から電圧上限判断用比較器120までの区間の対地電圧以上であれば、「真」を示す信号を出力する。本実施形態の場合、電圧上限判断用比較器120は、上限側降圧部92の上述された箇所の対地電圧が電源用端子20から電圧上限判断用比較器120までの区間の対地電圧未満であれば、「偽」を示す信号を出力する。
【0048】
上限側信号降圧抵抗器122は、電圧上限判断用比較器120から出力された信号の第1接地極34に対する対地電圧を下げる。
【0049】
電圧上限判断用フォトカプラ124は、電圧上限判断用比較器120が出力した電気信号をいったん光信号に変え、さらに電気信号に変える。本実施形態の場合、電圧上限判断用比較器120が出力した電気信号が「真」を示す信号であれば、電圧上限判断用フォトカプラ124は、「真」を示す電気信号を出力する。本実施形態の場合、電圧上限判断用比較器120が出力した電気信号が「偽」を示す信号であれば、電圧上限判断用フォトカプラ124は、「偽」を示す電気信号を出力する。
【0050】
電圧下限判断用比較器126は、電源用端子20から電圧下限判断用比較器126までの区間の対地電圧と下限電力供給部86の途中の箇所の対地電圧(本実施形態の場合、この箇所の対地電圧が上述された「所定の範囲」の下限値となっている)とを比較する。電圧下限判断用比較器126は、その比較結果に応じた信号を出力する。本実施形態の場合、電圧下限判断用比較器126は、下限電力供給部86の途中の箇所の対地電圧が電源用端子20から電圧下限判断用比較器126までの区間の対地電圧以下であれば、「真」を示す信号を出力する。本実施形態の場合、電圧下限判断用比較器126は、下限電力供給部86の途中の箇所の対地電圧が電源用端子20から電圧下限判断用比較器126までの区間の対地電圧を超えていれば、「偽」を示す信号を出力する。
【0051】
下限側信号降圧抵抗器128は、電圧下限判断用比較器126から出力された信号の第1接地極34に対する対地電圧を下げる。
【0052】
電圧下限判断用フォトカプラ130は、電圧下限判断用比較器126が出力した電気信号をいったん光信号に変え、さらに電気信号に変える。本実施形態の場合、電圧下限判断用比較器126が出力した電気信号が「真」を示す信号であれば、電圧下限判断用フォトカプラ130は、「真」を示す電気信号を出力する。本実施形態の場合、電圧下限判断用比較器126が出力した電気信号が「偽」を示す信号であれば、電圧下限判断用フォトカプラ130は、「偽」を示す電気信号を出力する。
【0053】
上限電位側フォトカプラ用降圧抵抗器132は、電圧上限判断用フォトカプラ124と第1接地極34との間に電圧を設定する。
【0054】
本実施形態の場合、電圧条件判断用論理積回路134は、電圧上限判断用フォトカプラ124が出力した信号と電圧下限判断用フォトカプラ130が出力した信号との双方が「真」であれば、「真」を示す信号を出力する。本実施形態の場合、電圧条件判断用論理積回路134は、電圧上限判断用フォトカプラ124が出力した信号と電圧下限判断用フォトカプラ130が出力した信号とのうち少なくとも一方が「偽」であれば、「偽」を示す信号を出力する。
【0055】
対地電圧側接地用降圧抵抗器136は、電圧下限判断用フォトカプラ130および電圧条件判断用論理積回路134と第1接地極34との間に電圧を設定する。
【0056】
図4に基づいて、本実施形態にかかる継電器接続電路26の構成が説明される。本実施形態にかかる継電器接続電路26は、動作判断用継電器70に一端が接続され、第1接地極34に設置される。本実施形態にかかる継電器接続電路26は動作判断用降圧抵抗器150を有する。動作判断用降圧抵抗器150は、動作判断用継電器70から出力された信号の電圧を下げる。動作判断用降圧抵抗器150は、周知の抵抗器からなる。
【0057】
図4に基づいて、本実施形態にかかる複数種条件判断部30の構成が説明される。本実施形態にかかる複数種条件判断部30は、導通判定信号生成用フォトカプラ170と、動作判断用設定抵抗器172と、複数種条件判断用論理積回路174と、検査結果判断用降圧抵抗器176と、結果信号生成用フォトカプラ178とを有する。
【0058】
導通判定信号生成用フォトカプラ170は、動作判断用継電器70が出力した電気信号をいったん光信号に変え、さらに電気信号に変える。本実施形態の場合、動作判断用継電器70が出力した電気信号が「真」を示す信号であれば、導通判定信号生成用フォトカプラ170は、「真」を示す電気信号を出力する。本実施形態の場合、動作判断用継電器70が出力した電気信号が「真」を示す信号でなければ、導通判定信号生成用フォトカプラ170は、信号を出力しない。
【0059】
動作判断用設定抵抗器172は、導通判定信号生成用フォトカプラ170および複数種条件判断用論理積回路174と第1接地極34との間に電圧を設定する。
【0060】
本実施形態の場合、複数種条件判断用論理積回路174は、電圧条件判断用論理積回路134が出力した信号と導通判定信号生成用フォトカプラ170が出力した信号との双方が「真」を示していれば、「真」を示す信号を出力する。本実施形態の場合、複数種条件判断用論理積回路174は、電圧条件判断用論理積回路134が出力した信号と導通判定信号生成用フォトカプラ170が出力した信号とのうち少なくとも一方が「真」を示していなければ、「偽」を示す信号を出力する。
【0061】
検査結果判断用降圧抵抗器176は、複数種条件判断用論理積回路174から出力された信号の第1接地極34に対する対地電圧を下げる。
【0062】
結果信号生成用フォトカプラ178は、複数種条件判断用論理積回路174が出力した電気信号をいったん光信号に変え、さらに電気信号に変える。本実施形態の場合、結果信号生成用フォトカプラ178は、複数種条件判断用論理積回路174が出力した信号が「真」を示していれば、「真」を示す信号を出力する。本実施形態の場合、結果信号生成用フォトカプラ178は、複数種条件判断用論理積回路174が出力した信号が「偽」を示していれば、「偽」を示す信号を出力する。
【0063】
上限側信号降圧抵抗器122と、下限側信号降圧抵抗器128と、上限電位側フォトカプラ用降圧抵抗器132と、対地電圧側接地用降圧抵抗器136と、動作判断用設定抵抗器172と、検査結果判断用降圧抵抗器176とは、周知の抵抗器によって構成される。これらの抵抗器の抵抗値は互いに異なる。これにより、これらの抵抗器は、これらが配置された場所に応じて電圧を設けることができる。電圧を設けることで、これらはその一端に接続される配線の対地電圧を所定のものに設定する機能を果たす。これらの抵抗器自体の構成は周知なのでその詳細な説明は繰り返されない。
【0064】
電圧上限判断用フォトカプラ124と、電圧下限判断用フォトカプラ130と、導通判定信号生成用フォトカプラ170と、結果信号生成用フォトカプラ178とは、周知のフォトカプラによって構成される。これらのフォトカプラは、入力側と出力側との間を電気的に絶縁しつつ入力側から出力側へ信号を伝達する。これらのフォトカプラ自体の構成は周知なのでその詳細な説明は繰り返されない。
【0065】
電圧上限判断用比較器120と、電圧下限判断用比較器126とは、周知の比較器によって構成される。電圧条件判断用論理積回路134と、複数種条件判断用論理積回路174とは、周知の論理積回路によって構成される。これらの比較器および論理積回路の構成は周知なのでその詳細な説明は繰り返されない。
【0066】
[動作の説明]
図1乃至図4に基づいて、本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10の動作が説明される。
【0067】
(正常な継電器用電源装置が接続された場合)
まず、作業者は、駆動電源用端子80を介して超過電力供給用コンバータ90と信号生成部用コンバータ84と下限電力供給部86とに電力を供給する。上限電力供給部82の超過電力供給用コンバータ90と信号生成部用コンバータ84とは供給された電力の対地電圧を互いに異なる所定の電圧に変換する。超過電力供給用コンバータ90によって電圧が変換された電力は上限側降圧部92に供給される。上限側降圧部92は、超過電力供給用コンバータ90と電圧上限判断用比較器120との間に電圧を設定する。信号生成部用コンバータ84によって電圧が変換された電力は、電圧上限判断用フォトカプラ124と、電圧下限判断用フォトカプラ130と、導通判定信号生成用フォトカプラ170とに供給される。下限電力供給部86は、駆動電源用端子80を介して電力が供給されると、駆動電源用端子80と電圧下限判断用比較器126との間に電圧を設定する。
【0068】
次いで、作業者は、検査の対象である継電器用電源装置12を電源用端子20に接続する。次いで、作業者は、継電器用電源装置12から電源用端子20を介して本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10に電力を供給させる。継電器用電源装置12から供給される電力は、電源用端子20および電力消費部22を経由して範囲判断部28に供給される。その途中、その電力の一部が、電力消費部22の第1抵抗器50と第2抵抗器52と第3抵抗器54とに供給される。第1抵抗器50と第2抵抗器52と第3抵抗器54とに供給された電力は熱として消費される。また、その電力のうち電力消費部22に供給されるものとは異なる一部が、動作判断用継電器70に供給される。動作判断用継電器70に供給された電力はこれを動作させる。その結果、継電器接続電路26が導通可能となる。これに伴い、導通判定信号生成用フォトカプラ170に「真」を示す信号が入力されることとなる。継電器用電源装置12から供給された電力のうち第1抵抗器50と第2抵抗器52と第3抵抗器54と動作判断用継電器70とに供給された分を除く残りの電力は、電圧上限判断用比較器120と電圧下限判断用比較器126とに供給される。
【0069】
電圧上限判断用比較器120は、これらの電圧の高低に応じた信号を出力する。この場合、正常な継電器用電源装置12が接続されているので、電圧上限判断用比較器120は、「真」を示す信号を出力する。その信号は電圧上限判断用フォトカプラ124に入力される。その信号が入力されると、電圧上限判断用フォトカプラ124は「真」を示す信号を出力する。その電圧上限判断用フォトカプラ124が出力した信号は電圧条件判断用論理積回路134に入力される。
【0070】
これと並行して、電圧下限判断用比較器126には、電源用端子20から電圧下限判断用比較器126までの区間の対地電圧と下限電力供給部86の途中における対地電圧(「所定の範囲」の下限値)とが供給されることとなる。電圧下限判断用比較器126は、これらの電圧の高低に応じた信号を出力する。この場合、正常な継電器用電源装置12が接続されているので、電圧下限判断用比較器126は、「真」を示す信号を出力する。その信号は電圧下限判断用フォトカプラ130に入力される。その信号が入力されると、電圧下限判断用フォトカプラ130は「真」を示す信号を出力する。その電圧下限判断用フォトカプラ130が出力した信号も電圧条件判断用論理積回路134に入力される。この場合、電圧上限判断用フォトカプラ124が出力した信号と電圧下限判断用フォトカプラ130が出力した信号との双方が「真」を示す信号である。その結果、電圧条件判断用論理積回路134は、「真」を示す信号を出力する。その信号は、複数種条件判断用論理積回路174に入力される。
【0071】
電圧上限判断用比較器120および電圧下限判断用比較器126の動作と並行して、上述されたように、導通判定信号生成用フォトカプラ170に対して「真」を示す信号が入力される。「真」を示す信号が入力されると、導通判定信号生成用フォトカプラ170は「真」を示す信号を出力する。その導通判定信号生成用フォトカプラ170が出力した信号は複数種条件判断用論理積回路174に入力される。
【0072】
複数種条件判断用論理積回路174には、電圧条件判断用論理積回路134が出力した信号と導通判定信号生成用フォトカプラ170が出力した信号とが入力される。これらの信号の双方が「真」を示す信号である。その結果、複数種条件判断用論理積回路174は、「真」を示す信号を出力する。その信号は、検査結果判断用降圧抵抗器176を経て結果信号生成用フォトカプラ178に入力される。結果信号生成用フォトカプラ178は、「真」を示す信号を出力する。その信号は、判断結果出力端子32を経て本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10の外部に出力される。その信号は、継電器用電源装置12から供給された電力の電圧が予め定められた上限値と下限値との間にあり、かつ、継電器用電源装置12から供給された電力によって動作判断用継電器70が正常に動作することを示す。
【0073】
(複数の継電器が接続されるとき供給できる電力が小さい継電器用電源装置が接続された場合)
まず、作業者は、駆動電源用端子80を介して超過電力供給用コンバータ90と信号生成部用コンバータ84と下限電力供給部86とに電力を供給する。これにより、正常な継電器用電源装置12が接続された場合と同様に、本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10に電力が供給されることとなる。次いで、作業者は、継電器用電源装置12を電源用端子20に接続する。次いで、作業者は、継電器用電源装置12から電源用端子20を介して本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10に電力を供給させる。
【0074】
継電器用電源装置12から供給される電力は、電源用端子20および電力消費部22を経由して範囲判断部28に供給される。この継電器用電源装置12は、複数の継電器が接続されるとき供給できる電力が小さい。このため、電力消費部22の第1抵抗器50と第2抵抗器52と第3抵抗器54とによって電力の一部が熱として消費されると、動作判断用継電器70に供給される電力がこれを駆動できない程度に小さくなってしまう。電力が小さいので、動作判断用継電器70が動作しない。動作判断用継電器70が動作しないので、継電器接続電路26は、導通不能な状態のままである。これに伴い、導通判定信号生成用フォトカプラ170には「真」を示す信号が入力されない。
【0075】
継電器用電源装置12から供給された電力のうち第1抵抗器50と第2抵抗器52と第3抵抗器54と動作判断用継電器70とに供給された分を除く残りの電力は、電圧上限判断用比較器120と電圧下限判断用比較器126とに供給される。
【0076】
電圧上限判断用比較器120は、これに供給される電力の電圧の高低に応じた信号を出力する。この場合、電圧上限判断用比較器120は、「真」を示す信号を出力する。その信号は電圧上限判断用フォトカプラ124に入力される。その信号が入力されると、電圧上限判断用フォトカプラ124は信号を出力する。その電圧上限判断用フォトカプラ124が出力した信号は電圧条件判断用論理積回路134に入力される。
【0077】
これと並行して、電圧下限判断用比較器126も、これに供給される電力の電圧の高低に応じた信号を出力する。この場合、電圧下限判断用比較器126は、「偽」を示す信号を出力する。その信号は電圧下限判断用フォトカプラ130に入力される。その信号が入力されると、電圧下限判断用フォトカプラ130は信号を出力する。その電圧下限判断用フォトカプラ130が出力した信号も電圧条件判断用論理積回路134に入力される。この場合、電圧上限判断用フォトカプラ124が出力した信号は「真」を示し、電圧下限判断用フォトカプラ130が出力した信号は「偽」を示す。その結果、電圧条件判断用論理積回路134は、「偽」を示す信号を出力する。その信号は、複数種条件判断用論理積回路174に入力される。
【0078】
上述されたように、この場合、導通判定信号生成用フォトカプラ170には「真」を示す信号が入力されない。したがって、導通判定信号生成用フォトカプラ170は信号を出力しない。
【0079】
複数種条件判断用論理積回路174には、電圧条件判断用論理積回路134が出力した信号が入力され、導通判定信号生成用フォトカプラ170が出力した信号は入力されない。電圧条件判断用論理積回路134が出力した信号が「偽」である。その結果、複数種条件判断用論理積回路174は、「偽」を示す信号を出力する。その信号は、検査結果判断用降圧抵抗器176を経て結果信号生成用フォトカプラ178に入力される。結果信号生成用フォトカプラ178は、「偽」を示す信号を出力する。その信号は、判断結果出力端子32を経て本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10の外部に出力される。その信号は、継電器用電源装置12から供給された電力によっては動作判断用継電器70が正常に動作しないことを示す。
【0080】
(供給する電力の電圧が大き過ぎる継電器用電源装置が接続された場合)
まず、作業者は、駆動電源用端子80を介して超過電力供給用コンバータ90と信号生成部用コンバータ84と下限電力供給部86とに電力を供給する。次いで、作業者は、継電器用電源装置12を電源用端子20に接続する。次いで、作業者は、継電器用電源装置12から電源用端子20を介して本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10に電力を供給させる。
【0081】
継電器用電源装置12から供給される電力は、電源用端子20および電力消費部22を経由して範囲判断部28に供給される。その途中、その電力の一部が、電力消費部22の第1抵抗器50と第2抵抗器52と第3抵抗器54とに供給される。その電力の一部のうち電力消費部22に供給されたものとは異なる電力の一部が動作判断用継電器70に供給される。動作判断用継電器70に供給された電力はこれを動作させる。その結果、導通判定信号生成用フォトカプラ170に対し「真」を示す信号が入力されることとなる。
【0082】
継電器用電源装置12から供給された電力のうち第1抵抗器50と第2抵抗器52と第3抵抗器54と動作判断用継電器70とに供給された分を除く残りの電力は、電圧比較部42の電圧上限判断用比較器120と電圧下限判断用比較器126とに供給される。
【0083】
電圧上限判断用比較器120は、これに供給される電力の電圧の高低に応じた信号を出力する。この場合、供給される電力の電圧が大き過ぎるので、電圧上限判断用比較器120は、「偽」を示す信号を出力する。その信号は電圧上限判断用フォトカプラ124に入力される。その信号が入力されると、電圧上限判断用フォトカプラ124は信号を出力する。その電圧上限判断用フォトカプラ124が出力した信号は電圧条件判断用論理積回路134に入力される。
【0084】
これと並行して、電圧下限判断用比較器126も、これに供給される電力の電圧の高低に応じた信号を出力する。この場合、電圧下限判断用比較器126は、「真」を示す信号を出力する。その信号は電圧下限判断用フォトカプラ130に入力される。その信号が入力されると、電圧下限判断用フォトカプラ130は信号を出力する。その電圧下限判断用フォトカプラ130が出力した信号も電圧条件判断用論理積回路134に入力される。この場合、電圧上限判断用フォトカプラ124が出力した信号が「偽」である。電圧下限判断用フォトカプラ130が出力した信号は「真」である。その結果、電圧条件判断用論理積回路134は、「偽」を示す信号を出力する。その信号は、複数種条件判断用論理積回路174に入力される。
【0085】
電圧上限判断用比較器120および電圧下限判断用比較器126の動作と並行して、上述されたように、導通判定信号生成用フォトカプラ170に対して「真」を示す信号が入力される。信号が入力されると、導通判定信号生成用フォトカプラ170は信号を出力する。その導通判定信号生成用フォトカプラ170が出力した信号は複数種条件判断用論理積回路174に入力される。
【0086】
複数種条件判断用論理積回路174には、電圧条件判断用論理積回路134が出力した信号と導通判定信号生成用フォトカプラ170が出力した信号とが入力される。電圧条件判断用論理積回路134が出力した信号が「偽」である。導通判定信号生成用フォトカプラ170が出力した信号が「真」である。その結果、複数種条件判断用論理積回路174は、「偽」を示す信号を出力する。その信号は、検査結果判断用降圧抵抗器176を経て結果信号生成用フォトカプラ178に入力される。結果信号生成用フォトカプラ178は、「偽」を示す信号を出力する。その信号は、判断結果出力端子32経て本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10の外部に出力される。その信号は、継電器用電源装置12から供給された電力によっては動作判断用継電器70が正常に動作しないことを示す。
【0087】
[効果の説明]
本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10においては、継電器用電源装置12から動作判断用継電器70に電流が流れると、継電器接続電路26が導通可能になる。複数種条件判断部30は、継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧が所定の範囲内であり、かつ、継電器接続電路26が導通可能であるか否かを判断する。これにより、本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10は、継電器用電源装置12に継電器が接続されその継電器へその継電器用電源装置12から電力が供給されると正しく動作するか否かの判断を行うこととなる。本実施形態にかかる継電器用電源検査装置10は、単に継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧が所定の範囲内か否かを判断するだけではない。その結果、継電器が誤動作する恐れのある継電器用電源装置12を発見できる可能性が向上する。
【0088】
今回開示された実施形態はすべての点で例示である。本発明の範囲は上述した実施形態に基づいて制限されるものではない。もちろん、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更をしてもよい。
【0089】
例えば、上限電力供給部82の構成は上述したものに限定されない。範囲判断部28の構成も上述したものに限定されない。
【符号の説明】
【0090】
10…継電器用電源検査装置
12…継電器用電源装置
20…電源用端子
22…電力消費部
24…動作判断部
26…継電器接続電路
28…範囲判断部
30…複数種条件判断部
32…判断結果出力端子
34…第1接地極
36…第2接地極
42…電圧比較部
50…第1抵抗器
52…第2抵抗器
54…第3抵抗器
70…動作判断用継電器
72…動作判断用整流素子
80…駆動電源用端子
82…上限電力供給部
84…信号生成部用コンバータ
86…下限電力供給部
90…超過電力供給用コンバータ
92…上限側降圧部
120…電圧上限判断用比較器
122…上限側信号降圧抵抗器
124…電圧上限判断用フォトカプラ
126…電圧下限判断用比較器
128…下限側信号降圧抵抗器
130…電圧下限判断用フォトカプラ
132…上限電位側フォトカプラ用降圧抵抗器
134…電圧条件判断用論理積回路
136…対地電圧側接地用降圧抵抗器
150…動作判断用降圧抵抗器
170…導通判定信号生成用フォトカプラ
172…動作判断用設定抵抗器
174…複数種条件判断用論理積回路
176…検査結果判断用降圧抵抗器
178…結果信号生成用フォトカプラ
【要約】
【課題】継電器が誤動作する恐れのある継電器用電源装置を発見できる可能性を向上させる。
【解決手段】継電器用電源検査装置10は、電源用端子20と、範囲判断部28と、動作判断用継電器と、継電器接続電路26と、複数種条件判断部30と、判断結果出力部32とを備える。範囲判断部28は、電源用端子20に接続される。範囲判断部28は、継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧が所定の範囲内か否かを判断する。継電器接続電路26は、継電器用電源装置12から流れる電流が動作判断用継電器を通ると電流が導通可能になる。複数種条件判断部30は、継電器用電源装置12から流れる電流の対地電圧が所定の範囲内であり、かつ、継電器接続電路26が導通可能であるか否かを判断する。判断結果出力部32は、複数種条件判断部30の判断結果を示す情報を出力する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4