特許第6362987号(P6362987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362987
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】閉鎖体用の内外気圧差解消装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/02 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   E06B7/02
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-204342(P2014-204342)
(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-75035(P2016-75035A)
(43)【公開日】2016年5月12日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130433
【氏名又は名称】株式会社ゴール
(74)【代理人】
【識別番号】100077470
【弁理士】
【氏名又は名称】玉利 冨二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067116
【弁理士】
【氏名又は名称】立川 登紀雄
(72)【発明者】
【氏名】藤原 俊裕
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−144472(JP,A)
【文献】 特開平06−109154(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1386725(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00−7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖体たる扉の開放端側の一部に、把手やノブ等の操作部材で操作される扉錠を設けた扉であって、室外側と室内側の気圧差の負圧となる少なくとも室内側の扉の適所には、移動体を設けた内外気圧差解消装置を設け、この内外気圧差解消装置の移動体は、扉の室外側と室内側との気圧差が殆ど0に近いときには、扉の内外気圧差解消装置の外気導入通路を密閉するとともに、前記気圧差が大きな状態になったときには、前記移動体が外気により室内側に押されて移動し、内外気圧差解消装置に形成された外気導入通路から外気が室内側へ流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してある閉鎖体用の内外気圧差解消装置において、
扉の内外側壁に取付穴を貫設し、室外側の取付穴には底板部中央位置にネジ穴を形成した椀状の室外側取付部材を嵌装するとともに、この室外側取付部材と前記取付穴とは外蓋で密閉する一方、
室内側の取付穴には、底板部の中央位置にネジ挿通穴を形成した椀状の室内側中椀を嵌装するとともに、この室内側中椀には底板部の外周縁近傍に外気導入通路を形成するとともに、胴体部にも外気導入通路を形成してあり、
前記室内側中椀のネジ挿通穴の室内側前方には室内側取付部材を設け、この室内側取付部材に形成したネジ挿通穴より取付ネジを嵌挿して、室内側中椀の前記ネジ挿通穴へ通して室外側取付部材の前記ネジ穴に螺合するとともに、該室内側取付部材と前記室内側中椀の底板部との間には、常に室内側中椀を室外側方向へ付勢するバネを設けてあり、
また、前記室内側取付部材には室内側筒体が嵌合してあり、内外気圧差が殆ど0に近い状態時には、この室内側筒体と室内側取付部材とが内外気圧差解消装置の外気導入通路を密閉し、
前記室内側中椀と室内側筒体とは内外気圧差解消装置の移動体となり、扉の室内外の気圧差が殆ど0に近いときには、上記移動体と室内側取付部材とが内外気圧差解消装置の外気導入通路を密閉するとともに、前記気圧差が大きな状態になったときには、前記バネの付勢力に抗して移動体たる室内側中椀と室内側筒体とは外気により室内側に押されて移動し、室内側中椀の外気導入通路から外気が室内側へ流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してあることを特徴とする閉鎖体用の内外気圧差解消装置。
【請求項2】
閉鎖体たる扉の開放端側の一部に、把手やノブ等の操作部材で操作される扉錠を設けた扉であって、室外側と室内側の気圧差の負圧となる少なくとも室内側の扉の適所には、移動体を設けた内外気圧差解消装置を設け、この内外気圧差解消装置の移動体は、扉の室外側と室内側との気圧差が殆ど0に近いときには、扉の内外気圧差解消装置の外気導入通路を密閉するとともに、前記気圧差が大きな状態になったときには、前記移動体が外気により室内側に押されて移動し、内外気圧差解消装置に形成された外気導入通路から外気が室内側へ流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してある閉鎖体用の内外気圧差解消装置において、
扉の室内側側壁に取付穴を貫設し、この室内側の取付穴には、底板部の中央部に外気導入通路を形成した椀状の取付部材を嵌装するとともに、該取付部材の鍔部を取付部材の取付ネジを覆うカバー体で被蓋した状態で扉の室内側側壁に固定する一方、
前記取付部材の中空部には、外気導入通路を形成した移動体が嵌装してあるとともに、該移動体と前記カバー体との間には、常に移動体を室外側方向へ付勢するバネを設けて、室内外の気圧差が殆ど0に近いときには、取付部材と移動体の外気導入通路を密閉するとともに、前記気圧差が大きな状態になったときには、前記バネの付勢力に抗して前記移動体は外気により室内側に押されて移動し、取付部材及び移動体の外気導入通路から外気が室内側に流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してあることを特徴とする閉鎖体用の内外気圧差解消装置。
【請求項3】
閉鎖体たる扉の開放端側の一部に、把手やノブ等の操作部材で操作される扉錠を設けた扉であって、室外側と室内側の気圧差の負圧となる少なくとも室内側の扉の適所には、移動体を設けた内外気圧差解消装置を設け、この内外気圧差解消装置の移動体は、扉の室外側と室内側との気圧差が殆ど0に近いときには、扉の内外気圧差解消装置の外気導入通路を密閉するとともに、前記気圧差が大きな状態になったときには、前記移動体が外気により室内側に押されて移動し、内外気圧差解消装置に形成された外気導入通路から外気が室内側へ流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してある閉鎖体用の内外気圧差解消装置において、
扉の室内側側壁から室外側側壁までの水平方向に取付穴を貫設し、この取付穴の長手方向には、両端部にねじ部を形成した筒状の本体を嵌挿するとともに、
前記取付穴の室外側には、前記筒状の本体の一端部のねじ部に螺合した椀状の室外側取付部材を嵌装し、この室外側取付部材の開口部には、バネにより常に室外方向へ付勢されると共に、一部に外気導入通路を形成した室外側移動体を嵌装するとともに、室外側取付部材の開口部と室外側移動体の外気導入通路とは外蓋で密閉する一方、
前記取付穴の室内側には、筒状の本体の他端部のねじ部に螺合した椀状の室内側取付部材を嵌装し、この室内側取付部材の開口部には、バネにより常に室外方向へ付勢されると共に、一部に外気導入通路を形成した室内側移動体を嵌装するとともに、室内側取付部材の開口部と室内側移動体の外気導入通路とは室内側移動体で密閉し、
扉の室内外の気圧差が殆ど0に近いときには、室外側移動体は、そのバネの付勢力により室外側方向に押されて外蓋に圧着して、該外蓋と室外側移動体とで室外側移動体の外気導入通路が閉塞されるととも、室内側移動体はそのバネの付勢力により室外側に押されて室内側取付部材に圧着して該室内側取付部材で室内側移動体の外気導入通路が閉塞される一方、
扉の室内外の気圧差が大きな状態になったときには、室外側の外気が室外側移動体をそのバネの付勢力に抗して室内側方向へ押して移動体が移動し、該室外側移動体の外気導入通路より外気が送られ、その送られた外気は筒状の本体内を経て、室内側移動体をバネの付勢力に抗して室内側方向へ押して、該室内側移動体の外気導入通路より外気が室内側へ送られて、室内外の気圧差が解消されるように構成してあることを特徴とする閉鎖体用の内外気圧差解消装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の扉などの閉鎖体において、その閉鎖体(例えば扉)で空間を仕切ることにより、当該閉鎖体の外側と内側との間で生じた圧力差(気圧差)を解消するものである。すなわち、前記内外気圧差に起因する、閉鎖体に設けた扉錠の把手などの操作部材の操作および閉鎖体の開放操作が重くなるのを解消して、当該閉鎖体が軽快に開閉できるなどの、閉鎖体用の内外気圧差解消装置に関する。
ここで、閉鎖体とは、主として建築物の扉を言うが、これに限定されることなく、自動車の窓などを含む広義のものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マンションなどの住居は、空調効果等を向上するため、高気密化されているために、住居内で換気扇等の運転により、室内の気圧が室外より低下する。この室内外の気圧差に帰因して、扉に設けた扉錠の把手等の操作部材の操作が重くなるとともに、扉の開閉も重く大きな力を必要とする。そのため、特に力の弱い高齢者や子供などにとっては、前記操作部材の操作を介しての扉の開閉が困難であった。
【0003】
上記のような不都合を解消するため、従来より種々の提案がされている。
例えば、本願出願人が出願した特開2013−124494号公報(以下、特許文献1という。)記載の扉錠が挙げられる。
【0004】
この特許文献1の扉錠は、扉の開放端側から出没可能なラッチを有し、該ラッチを解錠する連動機構を備えた錠本体を有した扉錠であって、把手を扉の開放方向に押し或いは引くことにより把手杆を介して錠本体の連動機構を作動してラッチを解錠すると共に、前記把手の押し引き操作に連動するアシスト杆を室内側の把手側に設け、該アシスト杆に形成した押動部を枠側に設けた当接部に当接させることにより、扉の開放力を助勢するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−124494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のものによれば、把手の操作により、把手杆及び連動機構を介してラッチを解錠すると共に、アシスト杆の押動部を枠側の当接部に当接して蹴り出し、少しでも軽く開扉できるようにしたものであるが、完全なものではない。しかも、本願発明の目的である室内外の気圧差を解消するものではない。また、この特許文献1のものは前述したように、ラッチ、連動機構、把手杆及びアシスト杆等の構成部材を必要とするものであるため、高価となる。さらに、把手のデザインが制約(制限)されるという問題がある。さらにまた、前述のような構成であるため、この扉錠を既設の扉に採用することはできないという問題があった。
【0007】
因みに、扉の内外気圧差を解消するものとしては、従来から周知のように、扉の下部に予め通気孔を形成したものもあるが、これでは気密性が保持されないし、既設の扉に設けられない等の問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来例や周知技術の問題点を解消するために、本願発明者が実験と苦心を積み重ねて案出した全く新規な発明である。
【0009】
すなわち、閉鎖体である扉の内外に気圧差が発生した場合には、その気圧差を常時解消して、扉錠の把手等の操作部材も通常と変わらず軽快に操作でき、扉の開閉も通常と変わらず軽くできる。しかも、本発明品を扉に取り付ける場合には、扉に小さな丸穴等の取付穴を穿設するだけでよいため、扉のデザインを損なうこともないばかりか、扉錠の把手等の操作部材のデザインも何ら制約を受けることなく自由に選定することができる。また、従来例の如き構成部材は不要で簡単な部品でよいため、扉への取り付けが簡単である上に、コストも安価となる。さらに、既設の扉にも、前述したように小さな取付穴を穿設するだけで簡単に取り付けできる、等の閉鎖体用の内外気圧差解消装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1の閉鎖体用の内外気圧差解消装置は、閉鎖体たる扉の開放端側の一部に、把手やノブ等の操作部材で操作される扉錠を設けた扉であって、室外側と室内側の気圧差の負圧となる少なくとも室内側の扉の適所には、移動体を設けた内外気圧差解消装置を設け、この内外気圧差解消装置の移動体は、扉の室外側と室内側との気圧差が殆ど0に近いときには、扉の内外気圧差解消装置の外気導入通路を密閉するとともに、前記気圧差が大きな状態になったときには、前記移動体が外気により室内側に押されて移動し、該内外気圧差解消装置に形成された外気導入通路から外気が室内側へ流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してある閉鎖体用の内外気圧差解消装置において、
この閉鎖体用の内外気圧差解消装置は、実施例1で詳述するように、室内外の気圧差が大きな状態になったときには、室内側中椀と室内側筒体とが室内側方向に移動し、該内外気圧差解消装置に形成された外気導入通路から外気が室内側へ流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成したものである。
すなわち、この請求項は、扉の内外側壁に取付穴を貫設し、室外側の取付穴には底板部中央位置にネジ穴を形成した椀状の室外側取付部材を嵌装するとともに、この室外側取付部材と前記取付穴とは外蓋で密閉する一方、
室内側の取付穴には、底板部の中央位置にネジ挿通穴を形成した椀状の室内側中椀を嵌装するとともに、この室内側中椀には底板部の外周縁近傍に外気導入通路を形成するとともに、胴体部にも外気導入通路を形成してあり、
前記室内側中椀のネジ挿通穴の室内側前方には室内側取付部材を設け、この室内側取付部材に形成したネジ挿通穴より取付ネジを嵌挿して、室内側中椀の前記ネジ挿通穴へ通して室外側取付部材の前記ネジ穴に螺合するとともに、該室内側取付部材と前記室内側中椀の底板部との間には、常に室内側中椀を室外側方向へ付勢するバネを設けてあり、
また、前記室内側取付部材には室内側筒体が嵌合してあり、内外気圧差が殆ど0に近い状態時には、この室内側筒体と室内側取付部材とが内外気圧差解消装置の外気導入通路を密閉し、
前記室内側中椀と室内側筒体とは内外気圧差解消装置の移動体となり、扉の室内外の気圧差が殆ど0に近いときには、上記移動体と室内側取付部材とが外気導入通路を密閉するとともに、前記気圧差が大きな状態になったときには、前記バネの付勢力に抗して移動体たる室内側中椀と室内側筒体とは外気により室内側に押されて移動し、室内側中椀の外気導入通路から外気が室内側へ流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してあることを特徴とする。
【0011】
ここで、「把手やノブ等の操作部材」とは、扉錠を施解錠して扉を開閉操作するための一般的なレバーハンドルやプッシュ・プル式ハンドル等の把手、又はノブ(握り玉)などをいう。
【0012】
また、扉の室外側と室内側との気圧差が「殆ど0に近い」とは、本明細書では、気圧差が完全に0であるのを含むことは勿論のこと、略0に近い場合も含む意味である。
【0013】
請求項の閉鎖体用の内外気圧差解消装置は、閉鎖体たる扉の開放端側の一部に、把手やノブ等の操作部材で操作される扉錠を設けた扉であって、室外側と室内側の気圧差の負圧となる少なくとも室内側の扉の適所には、移動体を設けた内外気圧差解消装置を設け、この内外気圧差解消装置の移動体は、扉の室外側と室内側との気圧差が殆ど0に近いときには、扉の内外気圧差解消装置の外気導入通路を密閉するとともに、前記気圧差が大きな状態になったときには、前記移動体が外気により室内側に押されて移動し、内外気圧差解消装置に形成された外気導入通路から外気が室内側へ流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してある閉鎖体用の内外気圧差解消装置において、
扉の室内側側壁部に取り付けるだけでよく、実施例2で詳述するように、気圧差によって室内側へ移動する移動体は、取付部材に嵌装されると共に、該取付部材は室内側の扉の表面にネジ等で固定するものである。
すなわち、この請求項は、扉の室内側側壁に取付穴を貫設し、この室内側の取付穴には、底板部の中央部に外気導入通路を形成した椀状の取付部材を嵌装するとともに、該取付部材の鍔部を取付部材の取付ネジを覆うカバー体で被蓋した状態で扉の室内側側壁にネジや圧入嵌合や圧着等で固定する一方、
前記取付部材の中空部には、外気導入通路を形成した移動体が嵌装してあるとともに、該移動体と前記カバー体との間には、常に移動体を室外側方向へ付勢するバネを設けて、室内外の気圧差が殆ど0に近いときには、取付部材と移動体の外気導入通路を密閉するとともに、前記気圧差が大きな状態になったときには、前記バネの付勢力に抗して前記移動体は外気により室内側に押されて移動し、取付部材及び移動体の外気導入通路から外気が室内側に流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してあることを特徴とする。
【0014】
請求項の閉鎖体用の内外気圧差解消装置は、閉鎖体たる扉の開放端側の一部に、把手やノブ等の操作部材で操作される扉錠を設けた扉であって、室外側と室内側の気圧差の負圧となる少なくとも室内側の扉の適所には、移動体を設けた内外気圧差解消装置を設け、この内外気圧差解消装置の移動体は、扉の室外側と室内側との気圧差が殆ど0に近いときには、扉の内外気圧差解消装置の外気導入通路を密閉するとともに、前記気圧差が大きな状態になったときには、前記移動体が外気により室内側に押されて移動し、内外気圧差解消装置に形成された外気導入通路から外気が室内側へ流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してある閉鎖体用の内外気圧差解消装置において、
実施例3で詳述するように、気圧差によって室内側へ移動する移動体は、室外側移動体と室内側移動体との一対の移動体で構成してあるものである。
すなわち、この請求項は、扉の室内側側壁から室外側側壁までの水平方向に取付穴を貫設し、この取付穴の長手方向には、両端部にねじ部を形成した筒状の本体を嵌挿するとともに、
前記取付穴の室外側には、前記筒状の本体の一端部のねじ部に螺合した椀状の室外側取付部材を嵌装し、この室外側取付部材の開口部には、バネにより常に室外方向へ付勢されると共に、一部に外気導入通路を形成した室外側移動体を嵌装するとともに、室外側取付部材の開口部と室外側移動体の外気導入通路とは外蓋で密閉する一方、
前記取付穴の室内側には、筒状の本体の他端部のねじ部に螺合した椀状の室内側取付部材を嵌装し、この室内側取付部材の開口部には、バネにより常に室外方向へ付勢されると共に、一部に外気導入通路を形成した室内側移動体を嵌装するとともに、室内側取付部材の開口部と室内側移動体の外気導入通路とは室内側移動体で密閉し、
扉の室内外の気圧差が殆ど0に近いときには、室外側移動体は、そのバネの付勢力により室外側方向に押されて外蓋に圧着して、該外蓋と室外側移動体とで室外側移動体の外気導入通路が閉塞されるととも、室内側移動体はそのバネの付勢力により室外側に押されて室内側取付部材に圧着して該室内側取付部材で室内側移動体の外気導入通路が閉塞される一方、
扉の室内外の気圧差が大きな状態になったときには、室外側の外気が室外側移動体をそのバネの付勢力に抗して室内側方向へ押して移動体が移動し、該室外側移動体の外気導入路より外気が送られ、その送られた外気は筒状の本体内を経て、室内側移動体をバネの付勢力に抗して室内側方向へ押して、該室内側移動体の外気導入通路より外気が室内側へ送られて、室内外の気圧差が解消されるように構成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1の閉鎖体用の内外気圧差解消装置によれば、閉鎖体である扉の内外に気圧差が発生した場合には、その気圧差を常時解消して、扉錠の把手等の操作部材も通常と変わらず軽快に操作でき、扉の開閉も通常と変わらず軽くできる。しかも、本発明品を扉に取り付ける場合には、扉に小さな丸穴等の取付穴を穿設するだけでよいため、扉のデザインを損なうこともないばかりか、扉錠の把手等の操作部材のデザインも何ら制約を受けることなく自由に選定することができる。また、従来例の如き構成部材は不要で簡単な部品でよいため、扉への取り付けが簡単である上に、コストも安価となる。さらに、既設の扉にも、前述したように小さな取付穴を穿設するだけで簡単に取り付けできる等の閉鎖体用の内外気圧差解消装置を提供することができる。
この請求項の閉鎖体用の内外気圧差解消装置によれば室外側取付部材と室内側中椀及び室内側取付部材とを取付ネジで固定するだけでよく、取付作業が極めて簡単である。しかも該取付ネジは扉の取付穴の内部に埋設されているので、外観的に見苦しくないなどの利点がある。
【0016】
請求項の閉鎖体用の内外気圧差解消装置によれば、上記請求項1の効果を奏するだけでなく、前記の如き室外側の取付穴の加工も不要で、室外側取付部材や外蓋及び取付ネジは不要であるから取付穴の加工が容易であり、また構成部品が少なくなるとともに、室内側中椀の鍔部を室内側筒体で被蓋した状態で扉の室内側側壁にネジで固定するだけでよいから扉への取り付けが簡単である。
【0017】
請求項の閉鎖体用の内外気圧差解消装置によれば、上記請求項1の効果を奏するだけでなく、本発明に係る内外気圧差解消装置を取付ける扉(又は扉框)が、中空でない場合には、外気が扉内の中空部を介さずに直接室外側から室内側に流入されると共に、前記構成部品を当該扉(又は扉框)に強固に取り付けられる等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の内外気圧差解消装置を、プッシュ・プル式ハンドルの把手つき扉錠を設けた扉に取り付けて室内側から見た実施例1の正面図である。
図2図1の内外気圧差解消装置を拡大して示した縦断側面図である。
図3図2における室内側中椀(移動体)の斜視図である。
図4図2の室内側中椀(移動体)の縦断側面図である。
図5図1の内外気圧差解消装置を室内側から見た拡大正面図である。
図6】内外気圧差が殆ど0に近い図2の状態から、内外気圧差が大きな状態となったときに、室内側中椀(移動体)と室内側筒体(移動体)とが室内側へ移動した状態を示した縦断側面図である。
図7】実施例2の内外気圧差解消装置の縦断側面図である。
図8】内外気圧差が殆ど0に近い図7の状態から、内外気圧差が大きな状態となったときに、移動体が室内側へ移動した状態を示した縦断側面図である。
図9】実施例3の内外気圧差解消装置の縦断側面図である。
図10図9における室外側移動体の左側面図である。
図11】内外気圧差が殆ど0に近い図9の状態から、内外気圧差が大きな状態となったときに、室外側移動体と室内側移動体が室内側へ移動した状態を示した縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための基本的な形態は閉鎖体たる扉の開放端側の一部に、把手やノブ等の操作部材で操作される扉錠を設けた扉であって
室外側と室内側の気圧差の負圧となる少なくとも室内側の扉の適所には、移動体を設けた内外気圧差解消装置を設け、この内外気圧差解消装置の移動体は、扉の室外側と室内側との気圧差が殆ど0に近いときには、扉の内外気圧差解消装置の外気導入通路を密閉するとともに、前記気圧差が大きな状態になったときには、前記移動体が外気により室内側に押されて移動し、該内外気圧差解消装置の外気導入通路から外気が室内側へ流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してある閉鎖体用の内外気圧差解消装置である。
【0020】
本発明の具体的な構成は、以下の実施例1・2・3に述べる通りである。
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1を図1図6に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明に係る内外気圧差解消装置1を、プッシュ・プル式ハンドルの把手Hを使用した扉錠Lを設けた扉Dの上部に取り付けて、室内側から見た一使用例の正面図である。図中、Cはドアクローザー、Jは扉枠である。図2は、図1の内外気圧差解消装置1を拡大して示した縦断側面図であって、扉Dの室内外の気圧差が殆ど0に近い状態時を示している。図3図2における室内側中椀(移動体)の斜視図である。図4は室内側中椀(移動体)の縦断側面図、図5図1の内外気圧差解消装置1を室内側から見た拡大正面図である。図6は、内外気圧差が殆ど0に近い図2の状態から、内外気圧差が大きな状態となったときに、室内側中椀(移動体)と室内側筒体(移動体)とが室内側へ移動した状態を示した縦断側面図である。
【0022】
扉Dの室外側側壁と室内側側壁の水平方向の直線位置には取付穴2、3を貫設している(図2図6参照)。室外側の取付穴2には、図2図6に示されているように、底板部11中央位置にネジ穴12を形成した椀状の室外側取付部材10を嵌装するとともに、この室外側取付部材10の開口部13と前記取付穴2とは外蓋20で密閉するようにしてある。そして、室外側取付部材10の鍔部14が外蓋20の外周壁21内に圧入嵌合してあるため、室外側取付部材10と外蓋20とは一体的に結合され、両者10、20は離脱することはない。
【0023】
一方、室内側の取付穴3には、底板部31の中央位置にネジ挿通穴32を形成した椀状の室内側中椀30を嵌装するとともに、この室内側中椀30には底板部31の外周縁近傍に外気導入通路33を形成するとともに、胴体部34にも外気導入通路35を形成してある。
【0024】
前記室内側中椀30のネジ挿通穴32の室内側前方には室内側取付部材40を設け、この室内側取付部材40に形成したネジ挿通穴41より取付ネジ50を嵌挿すると共に、室内側中椀30の前記ネジ挿通穴32を挿通して室外側取付部材10の前記ネジ穴12に螺合する。それとともに、該室内側取付部材40と前記室内側中椀30の底板部31との間には、常に室内側中椀30を室外側方向へ付勢するバネ51を設けてある。
なお、図2及び図6で、52、53はパイプ状のスペーサーであり、扉厚に応じた間隔でワッシャー54,54が固定されている。また、25、55、56はゴム等の弾性体よりなるOリングで、気密性を保持するために嵌装されている。
【0025】
また、前記室内側取付部材40には室内側筒体60が嵌合してあり、この室内側筒体60が内外気圧差が殆ど0に近い状態時には、内外気圧差解消装置1の外気導入通路33、35を密閉する。なお、室内側中椀30の鍔部37が室内側筒体60の外周壁61内に圧入嵌合してあるため、室内側中椀30と室内側筒体60とは一体に結合され、両者30、60は離脱することはない。
【0026】
前記室内側中椀30と室内側筒体60とは内外気圧差解消装置1の移動体となっている。そして、図2に示すように、扉Dの室内外の気圧差が殆ど0に近いときには、上記移動体30、60と室内側取付部材40とが内外気圧差解消装置1の外気導入通路33、35を密閉する。前記気圧差が大きな状態になったときには、図6に示されているように、外気により、前記バネ51の付勢力に抗して移動体たる室内側中椀30と室内側筒体60とは室内側に押されて移動し、室内側中椀30の外気導入通路33、35から外気が室内側へ流入され、扉Dの室内外の気圧差が解消されるように構成してある。
このとき、室外側取付部材10と外蓋20とは、図2図6に示されるように、取付ネジ50を介して、扉Dの室外側に取付けられた室外側取付部材10の底板部11に取付固定されているので、何ら移動するようなことはない。
なお、図示する実施例1では取付ネジ50は一本であり、部品点数も少なく取付も簡単であるが、図示する実施例に限定されるものではなく、複数の取付ネジを使用してもよい。
【実施例2】
【0027】
本発明の実施例2を図7図8に基づいて以下に説明する。
この実施例2のものは、前記実施例1の如き室外側取付部材10や外蓋20や取付ネジ50等を不要とするとともに、内外気圧差解消装置1は、扉Dの室内側表面だけに面付けする簡単なものとし、しかも内外気圧差によって室内側に突出する移動体は、内外気圧差解消装置1の中央部に移動可能に設けたものである。
【0028】
すなわち、この実施例2の閉鎖体用の内外気圧差解消装置は、扉Dの室内側側壁D1に取付穴3を貫設し、この室内側の取付穴3には、底板部71の中央部に外気導入通路72を形成した椀状の取付部材70を嵌装するとともに、該取付部材70の鍔部73をカバー体80で被蓋した状態で扉Dの室内側側壁D1に取付ネジ84等の固定手段で固定する。前記取付部材70の中空部74には、外気導入通路91を形成した移動体90が嵌装してあるとともに、該移動体90と取付部材70の取付ネジ84を覆うカバー体80との間には、常に、図7図8に示すように、移動体90を室外側方向へ付勢するバネ92を設けてあり、室内外の気圧差が殆ど0に近い状態時においては、移動体90は図7に示すように、その底部が取付部材70の底板部71に圧着した状態に保持され、移動体90の外気導入通路91は、移動体90のフランジ部により閉鎖される。前記気圧差が大きな状態になったときには、図8に示すように、前記バネ92の付勢力に抗して前記移動体90は外気により室内側に押されて移動し、移動体90の外気導入通路91が、移動体90のフランジ部により閉鎖されることなく開口状態となるので、取付部材70の外気導入通路72から外気導入通路91を通って外気が室内側に流入され、扉の室内外の気圧差が解消されるように構成してある。
なお、図7図8において、75はOリングである。
【実施例3】
【0029】
本発明の実施例3を図9図11に基づいて以下に説明する。
この実施例3のものは、扉Dの室外側と室内側の両方に、気圧差が大きな状態になったときに外気により移動する移動体を設けた点に特徴を有する。
【0030】
すなわち、この実施例3のものは、扉Dの室内側側壁D1から室外側側壁D2までの水平方向に取付穴4を貫設し、この取付穴4の長手方向には、両端部にねじ部101を形成した筒状の本体100を嵌挿する。それとともに、前記取付穴4の室外側には、前記筒状の本体100の一端部のねじ部101に螺合した椀状の室外側取付部材110を嵌装し、この室外側取付部材110の開口部111には、バネ112により常に室外方向へ付勢されると共に、一部に外気導入通路121を形成した室外側移動体120を嵌装するとともに、室外側取付部材110の開口部111と室外側移動体120の外気導入通路121とは外蓋115で密閉するようにしてる。
【0031】
前記取付穴4の室内側には、筒状の本体100の他端部のねじ部101に螺合した椀状の室内側取付部材130を嵌装し、この室内側取付部材130の開口部131には、バネ132により常に室外方向へ付勢されると共に、一部に外気導入通路141を形成した室内側移動体140を嵌装するとともに、室内側取付部材130の開口部131と室内側移動体140の外気導入通路141とは室内側移動体140で密閉するようにしてある。
【0032】
このような構成によって、扉Dの室内外の気圧差が殆ど0に近いときには、室外側移動体120は、そのバネ112の付勢力により室外側方向に押されて外蓋115に圧着して、該外蓋115と室外側移動体120とで室外側移動体120の外気導入通路121が閉塞されるととも、室内側移動体140はそのバネ132の付勢力により室外側に押されて室内側取付部材130に圧着して、該室内側取付部材130で室内側移動体140の外気導入通路141が閉塞される。
【0033】
扉Dの室内外の気圧差が大きな状態になったときには、室外側の外気が室外側移動体120をそのバネ112の付勢力に抗して室内側方向へ押して室外側移動体120が移動し、該室外側移動体120の外気導入路121より外気が送られ、その送られた外気は筒状の本体100内を経て、室内側移動体140をバネ132の付勢力に抗して室内側方向へ押して、該室内側移動体140の外気導入通路141より外気が室内側へ送られて、室内外の気圧差が解消されるように構成してある。
【0034】
図9図11において、160はOリングである。
【0035】
なお、実施例1にける室外側取付部材10、外蓋20、室内側中椀(移動体)30、室内側取付部材40、室内側筒体(移動体)60、実施例2にける室内側中椀70、室内側筒体80、移動体90、実施例3における室外側取付部材110、外蓋115、室外側移動体120、室内側取付部材130、室内側移動体140、外蓋150は、図示の形状に限定されず適宜設計変更できる。
また、上記各部材、つまり内外気圧差解消装置1は、防火性を考慮して金属製が望ましが、これに限定されない。
(変形例等)
【0036】
各実施例では、本発明に係る内外気圧差解消装置1を取り付ける扉Dの取付穴2、3、4は、小さな円形状の丸穴を示しているが、四角形、六角形等の角穴などその他の形状のものでよい。その場合の内外気圧差解消装置1の形状は、その取付穴2、3、4の形状に合わせるとよい。
実施例2では、室内側中椀70の鍔部73をネジ84で扉Dに直接ネジ止めして取付けるものを示したが、ネジ止めではなく室内側中椀70の鍔部73又は鍔部73を省略した底板部71を取付穴3に圧入して取り付けるようにしてもよい。その他適宜設計変更できる。
また、実施例3では、扉Dは中空でないものを示したが、中空状の扉に使用してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 内外気圧差解消装置
2,3,4 取付穴
10 室外側取付部材
12 ネジ穴
20 外蓋
30 室内側中椀(移動体)
32 ネジ挿通穴
33、35 外気導入通路
40 室内側取付部材
50 取付ネジ
51 バネ
60 室内側筒体(移動体)
70 取付部材
72 外気導入通路
80 カバー体
90 移動体
91 外気導入通路
92 バネ
100 筒状の本体
110 室外側取付部材
115 外蓋
120 室内側移動体
121 外気導入通路
130 室内側取付部材
140 室内側移動体
141 外気導入通路
150 外蓋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11