【実施例】
【0035】
実施例に係る電子黒板装置の正面図を
図1〜
図3に示す。本実施例に係る電子黒板装置100は、この電子黒板装置100と接続した映像ソース供給装置の情報を、投影装置PJでスクリーンや黒板BB上に投影することができる。また映し出された画面を、位置検知できる映像ソース供給装置でもって操作することで、この操作が映像ソース供給装置を介して画面に反映されるインタラクティブな電子黒板装置である。以下、電子黒板装置100の詳細を説明する。
【0036】
本実施例に係る電子黒板装置100は、黒板BBの表面に展開可能な、黒板BBに付着可能な磁性を有する巻き取り式のスクリーン4と、スクリーン4の一端を固定した第一移動体10と、スクリーン4の他端を固定すると共に、スクリーン4を巻き取るための巻き取り機構を備えた第二移動体20と、スクリーン4を黒板BB上に展開した状態で、スクリーン4上に映像を投影可能なプロジェクタPJとを備える。なお、
図1〜
図3において、黒板BBと他の部材とを判り易く区別するために、黒板BBを砂状のハッチングにて表示している。
【0037】
スクリーン4は、投影装置PJから投影される画面を映し出すことができる映写幕であり、黒板BBの前面に配置可能とされている。このスクリーン4は、巻き取り式であり、左右の両端を第一移動体10及び第二移動体20にそれぞれ固定されている。スクリーン4は裏面が磁石となっており、金属製の黒板BBに磁力で付着させることができるため、使用時には、スクリーンを展開して黒板BB上にスクリーンを固定することができる。
【0038】
第一移動体10及び第二移動体20は、黒板BBの前面で、黒板BB上を移動自在に装着されており、第二移動体20を、第一移動体10から遠ざけるように黒板BB上を移動させることで、スクリーン4を黒板BB上に展開可能とされている。
(スクリーン傾き吸収機構)
【0039】
第一移動体10は、スクリーン4の一端を固定して構成されており、第二移動体20からスクリーン4を引き出して展開する際に、非固定状態となるようにされている。
【0040】
また、第一移動体10は、スクリーン4の幅方向の中間に、スクリーン4を黒板BBと平行な面内で多少、旋回自在とするための回転軸12を設けている。この回転軸12を介して、スクリーン4は第一移動体10に固定されている。さらにスクリーン4は、その端部において、回転軸12を挟んで上下に長穴14a、14bを形成している。長穴14a、14bには、それぞれ第一移動体10に固定されたピンが挿通されている。これにより、スクリーン4をロール巻き取る際に、スクリーン4が多少傾いた姿勢でロールに巻き取られても、傾きを長穴14a、14b内のピンの相対移動と回転軸12による旋回でもって吸収できるので、スクリーン4に皺が生じる事態を抑制できる。また長穴14a、14bの長さによって傾きの量を規制して、スクリーンが大きく捻れて巻き取られる事態も回避できる。なお、上記構成は一例であって、スクリーン4の傾きを吸収する他の機構を適宜採用し得る。例えば第一移動体側にスリットを形成し、スクリーンの端部側にピンを設けても同様の効果が得られる。また回転軸12、必ずしも黒板幅方向の中心にある必要はなく、多少位置をずらして配置してもよい。
(第二移動体20)
【0041】
図6は、電子黒板装置100の使用時の第二移動体20の斜視図であり、
図7は、電子黒板装置100の使用時の第二移動体20の拡大斜視図である。第二移動体20は、巻き取りローラ22、移動ハンドル26、ストッパ制御ハンドル28及びガイドローラ30を備えている。
(スクリーン巻き取り機構)
【0042】
第二移動体20は、スクリーン4の他端を固定すると共に、スクリーン4を巻き取るための巻き取り機構を備えている。第二移動体20は、
図7の斜視図に示すように、巻き取り機構として巻き取りローラ22を備えている。巻き取りローラ22は、スクリーン4を巻き取る回転方向に付勢されている。
(ガイドローラ30)
【0043】
また第二移動体20は、巻き取りローラ22の前段側に、スクリーン4を巻き取りローラ22に案内するためのガイドローラ30を回転自在に備えている。このガイドローラ30は、黒板BB表面からクリアランスを設けて離間させて配置されている。このような配置によって、スムーズにスクリーン4を巻き取りローラ22から黒板BB側に引き出し、また巻き取り時において皺にならないように巻き取りローラ22への巻き取りを案内する。
(ストッパ機構24)
【0044】
また第二移動体20は、第二移動体20の移動を停止させるストッパ機構24を備えている。
(移動ハンドル26)
【0045】
具体的には第二移動体20は、
図6の斜視図に示すように、その前面に突出させた移動ハンドル26と、ストッパ制御ハンドル28とを備えている。移動ハンドル26は、第二移動体20を移動させる際にユーザがこれを把持するための取っ手である。移動ハンドル26は、ユーザが握り易いように第二移動体20の下部に設けられている。この例では、移動ハンドル26は金属棒を側面視コ字状に折曲して構成されているが、L字状とするなど、任意の形状とできる。
(ストッパ制御ハンドル28)
【0046】
一方ストッパ制御ハンドル28は、ストッパ機構24の動作を制御させるための操作手段である。ストッパ制御ハンドル28は、移動ハンドル26よりも小さく、移動ハンドル26の内側に配置されている。ここではストッパ制御ハンドル28は、移動ハンドル26と同一平面上に配置されており、ユーザが移動ハンドル26と同時に把持し易いように構成されている。ユーザは、ストッパ制御ハンドル28により、ストッパ機構24の動作を制御する。この移動ハンドル26も、金属棒をコ字状に折曲して形成されているが、この形状に限定されるものでない。なお、
図1〜
図3においては、移動ハンドル26に隠れているため、ストッパ制御ハンドル28を破線で示している。
【0047】
以上のストッパ機構24を用いて、第二移動体20の移動及びスクリーンの引き出しを停止したストップ状態(ロック状態)と、第二移動体20の移動及びスクリーンの引き出しを許容するアンロック状態とを切り替えることが可能となる。通常状態では、第二移動体20の移動及びスクリーンの引き出しがストップ状態となるよう、ストッパ機構24は付勢されている。この状態から、ストッパ制御ハンドル28を黒板BBに対して垂直方向手前側に引くと、ストップ状態が解除される。またストップ状態が解除されている状態で、ストッパ制御ハンドル28が解放されると、ストッパ制御ハンドル28が黒板BBに対して垂直方向黒板BB側に移動し、ストップ状態となる。
【0048】
図8に、ストッパ機構24の構造を示す断面図を示す。ストッパ機構24は、弾性部材52と、押圧部54を備える。弾性部材52でもって、押圧部54が黒板BB表面側に押圧されて、その摩擦力によって第二移動体20の移動が阻止される。弾性部材52はバネ等が利用でき、第二移動体20の移動及びスクリーン4の引き出しを停止させるのに十分な弾性力を有する。押圧部54は黒板の表面を傷付けないように押圧するよう、弾性部材で被覆されたブレーキパッド等が利用できる。押圧部54の押圧面と反対の背面側には、ストッパ制御ハンドル28のコ字状の突出部分が接続されている。ユーザがストッパ制御ハンドル28を第二移動体20から引き出す方向に操作すると、弾性部材52の付勢力に抗して押圧部54が黒板BBから引き離され、第二移動体20の移動が可能となる。この電子黒板100においては、スクリーン4の左端部(第一移動体10側)を固定端として、右端部(第二移動体20側)を自由端としているので、第二移動体20の移動を許容することで、スクリーン4の引き出しも可能となる。
【0049】
特に
図6及び
図8の構成では、移動ハンドル26とストッパ制御ハンドル28とを、ほぼ同一平面上に配置している。このため、ユーザが移動ハンドル26を把持する際には、ストッパ制御ハンドル28も併せて把持することができる。よって、第二移動体20を移動させる際にユーザが移動ハンドル26と共にストッパ制御ハンドル28も把持することで、押圧部54が引き上げられてストップ状態が解除されて第二移動体20を移動できる、すなわちスクリーン4を右側に引き出すこと、あるいは左側に巻き取ることが可能となる。また第二移動体20の移動が終了して、ユーザが移動ハンドル26から手を離すと、同時にストッパ制御ハンドル28も開放され、弾性部材52の付勢によって再度、押圧部54を黒板BB表面に押圧して、ストップ状態となる。
【0050】
なおストッパ機構24及び巻き取りローラ22は、互いに干渉しない位置に配置される。具体的には、
図6の斜視図に示すように、ストッパ機構24は、巻き取りローラ22の背面側(
図6において第二移動体20の右側)に設けられる。いいかえると、巻き取りローラ22と第一移動体10との間にストッパ機構24が位置しないよう、その外側に配置される。
(第一ハンドル40)
【0051】
また第一移動体10は、
図4の斜視図に示すように、その前面に第一ハンドル40を設けている。第一ハンドル40は、第一移動体10とほぼ平行な棒状に形成されており、第一移動体10の前面との間に空間を形成するよう離間させた垂直姿勢に固定されている。ユーザは、
図2の状態の電子黒板装置100において、第一ハンドル40を把持して第一移動体10を左右に移動させることができる。
(接続部13)
【0052】
また、電子黒板装置100は、外部機器と接続するための接続部13を備えている。接続部13は
図4等に示すとおり第一ハンドル40の下部に連結されており、黒板BBの下面に突出した姿勢で、第一ハンドル40と連動して左右に摺動できる。したがって第一ハンドル40の略水平移動にともない、接続部13は黒板BBの下端に沿いながら略水平に移動する。接続部13はノートパソコン等の映像ソース供給装置を接続可能するための端子群を備えている。投影装置PJに対して、スクリーン4に投影させる映像データ等を接続部13を介して供給する。また、外部機器を電子黒板装置100に無線接続することもでき、この場合は接続部13に無線接続インターフェースを備える。
(支持ロッド42)
【0053】
さらに、電子黒板装置100は、投影機としてプロジェクタPJを固定可能な支持ロッド42を有する。この支持ロッド42は、黒板BBから前方に突出させた先端にプロジェクタPJを固定している。これによりプロジェクタPJは、黒板BBと離間した黒板BBの前方に位置されて、黒板BB側に向かって映像を投影することができる。支持ロッド42は、第一ハンドル40の上端に連結されており、第一ハンドル40に連動して左右に移動する。したがって第一ハンドル40の略水平移動にともない、支持ロッド42は黒板BBの上端に沿いながら略水平に移動する。
(電子黒板装置100の使用方法)
【0054】
電子黒板装置100の非使用時においては、スクリーン4を巻き取り、第一移動体10と第二移動体20とを並べて一体とすることでコンパクトにして、黒板BBの使用を極力妨げないようにできる。この状態でユーザは、移動ハンドル26と共にストッパ制御ハンドル28を把持して、
図2に示すように右方向に電子黒板装置100を移動させたり、あるいは
図3に示すように右方向に移動させることができる。このように電子黒板装置100を、黒板BBの横幅の範囲内で水平方向に自在に移動させることができる。
【0055】
次にスクリーン4を黒板BB上に配設する際には、ユーザがまず電子黒板装置100を横方向に移動させて所望の位置で停止させる。次に、第二移動体20を移動させてスクリーン4を展開する.具体的には、移動ハンドル26及びストッパ制御ハンドル28を把持し、ストッパ制御ハンドル28を黒板BBに対して垂直方向手前側に引き、ストッパ機構24を制御してストップ状態を解除する。次に、ストップ状態が解除されたまま、第一移動体10に対して、第二移動体20を、第一移動体10から遠ざけるように黒板BBに並行な面上を移動させて、スクリーン4を展開する。この際、スクリーン4を展開しながら、黒板BB上に順次スクリーン4を付着させていくことで、従来のようにスクリーンを一旦展開した上で黒板上に付着させる方法に比べて、皺の発生を起こり難くできる。
【0056】
また第二移動体20を移動させてスクリーン4を展開する際には、第一移動体10側を、第二移動体20の移動と逆方向に移動させることが好ましい。これによって、最初にスクリーン4を黒板BBに付着させる際に生じ易い皺を、引き出し方向と逆方向にもスクリーン4にテンションを加えることで、一層抑制することが可能となる。
【0057】
さらに
図4に示したように、スクリーン4は、回転軸12を中心に多少旋回させることができるように構成されているので、第二移動体20を移動させてスクリーン4を展開する際に、多少スクリーン4が傾いても、回転軸12を中心に旋回させることで皺の発生を抑制できる。また、スクリーン4が回転軸12を中心に傾いた際に、長穴14a、14bによって傾きの量を制限することができ、大きくスクリーンが歪んで巻き取られる事態を回避できる。
【0058】
そして、スクリーン4を所望の長さまで展開した状態で、ストッパ制御ハンドル28を解放し、ストッパ機構24を作動させて第二移動体20の移動を訂正し、同時にスクリーン4の引き出しを停止してストップ状態とする。そして、展開されたスクリーン4上に、投影装置(プロジェクタ)PJから映像を投影する。