特許第6555594号(P6555594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6555594非絶縁変圧器を用いたジェットファン駆動用電源回路システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6555594
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】非絶縁変圧器を用いたジェットファン駆動用電源回路システム
(51)【国際特許分類】
   E21F 1/00 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   E21F1/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-230385(P2016-230385)
(22)【出願日】2016年11月28日
(65)【公開番号】特開2018-87423(P2018-87423A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2018年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】501170080
【氏名又は名称】株式会社創発システム研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100134669
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 道彰
(72)【発明者】
【氏名】川畑 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】中堀 一郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 茂
(72)【発明者】
【氏名】村上 健一
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−208442(JP,A)
【文献】 特開2012−130210(JP,A)
【文献】 特開2008−061466(JP,A)
【文献】 特開2004−215401(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02827215(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータにより道路トンネルのジェットファンをインバータ駆動するジェットファン駆動用電源回路システムであって、
三相商用電源を六相に変換する非絶縁多相化変圧器であって、前記三相商用電源の位相を略15度進ませる進み回路要素と、前記三相商用電源の位相を略15度遅らせる遅れ回路要素を備え、前記三相商用電源から略30度の位相差となる進み位相三相電源と遅れ位相三相電源を生成する非絶縁多相化変圧器と、
前記非絶縁多相化変圧器の出力を交流から直流に変換する2組のダイオード3相ブリッジ整流回路であって、前記非絶縁多相化変圧器の前記進み位相三相電源と前記遅れ位相三相電源に対して並列に接続したダイオード3相ブリッジ整流回路と、
前記非絶縁多相化変圧器の前記進み位相三相電源出力と前記ダイオード3相ブリッジ整流回路の間に設けた、前記進み位相三相電源に対する三相交流リアクトルと同相リアクトルと、前記遅れ位相三相電源に対する三相交流リアクトルと同相リアクトルと、
出力側が並列接続された2組の前記ダイオード3相ブリッジ整流回路に対して接続され、前記直流を可変周波数・可変電圧の三相交流に変換するインバータ回路を備え、
前記同相リアクトルにより同相電圧を抑制し、前記非絶縁多相化変圧器と前記ダイオード3相ブリッジ整流回路の間の循環電流を抑制するものであることを特徴とするジェットファン駆動用電源回路システム。
【請求項2】
前記進み位相三相電源に対する同相リアクトルに代えて、前記進み位相三相電源に対する前記ダイオード3相ブリッジ整流回路の出力側と前記インバータ回路の間に設けた直流リアクトルと、
前記遅れ位相三相電源に対する同相リアクトルに代えて、前記遅れ位相三相電源に対する前記ダイオード3相ブリッジ整流回路の出力側と前記インバータ回路の間に設けた直流リアクトルを備え、
前記直流リアクトルにより同相電圧を抑制し、前記非絶縁多相化変圧器と前記ダイオード3相ブリッジ整流回路の出力間の循環電流を抑制するものであることを特徴とする請求項1に記載のジェットファン駆動用電源回路システム。
【請求項3】
前記非絶縁多相化変圧器の前記進み回路要素が1次コイルに対して位相が進む方向に設けた2次コイルであり、前記1次コイルと前記2次コイルの巻き線比が位相を15度進ませるものであり、
前記非絶縁多相化変圧器の前記遅れ回路要素が1次コイルに対して位相が遅れる方向に設けた2次コイルであり、前記1次コイルと前記2次コイルの巻き線が位相を15度遅らせるものであることを特徴とする請求項1または2に記載のジェットファン駆動用電源回路システム。
【請求項4】
前記ジェットファンが停止モードの待機状態の際に生じる直流電圧上昇を抑制する直流電圧上昇抑制手段を備え、
前記直流電圧上昇抑制手段が、前記ダイオード3相ブリッジ整流回路の出力側の直流回路に設けた抵抗チョッパであり、前記ジェットファンが前記停止モードに移行すると、前記直流回路の直流電圧が所定上限電圧値を超えると前記抵抗チョッパがオンとなり、前記直流回路の直流電圧が所定下限電圧値を下がると前記抵抗チョッパがオフとなるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のジェットファン駆動用電源回路システム。
【請求項5】
前記ジェットファンが停止モードの待機状態の際に生じる直流電圧上昇を抑制する直流電圧上昇抑制手段を備え、
前記直流電圧上昇抑制手段が、前記ダイオード3相ブリッジ整流回路の出力側の直流回路に並列に設けた抵抗負荷であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のジェットファン駆動用電源回路システム。
【請求項6】
前記ジェットファンが停止モードで待機状態の際に生じる直流電圧上昇を抑制する直流電圧上昇抑制手段を備え、
前記直流電圧上昇抑制手段が、前記非絶縁多層化変圧器の出力側から前記インバータ回路の入力側の間に設けたスイッチであり、前記ジェットファンが前記停止モードに移行すると、前記スイッチにより電流を遮断するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のジェットファン駆動用電源回路システム。
【請求項7】
前記インバータに運転周波数を指令するとともに、前記スイッチのON/OFFの制御信号を送るインバータ周波数指令装置を備え、
前記インバータの周波数指令値が所定値以下になれば、前記インバータ周波数指令装置が前記スイッチをOFFとする制御信号を出力し、前記スイッチをOFFにすることを特徴とする請求項6に記載のジェットファン駆動用電源回路システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路トンネルのジェットファン駆動用のインバータの直流電源に用いる変圧器として非絶縁変圧器を用いた電源を採用することでコスト低減と小形化を実現したジェットファン駆動用電源回路システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路トンネルにおいて、トンネル内の自動車の排出ガスの汚染物質を排気するには自然換気力や交通換気力による換気では不十分であり、トンネル内に設置されたジェットファンを用いた「縦流換気方式」による強制換気が行われている。
「縦流換気方式」とは、トンネル断面全体を換気ダクトとして利用する方式の換気方式であり、用いる換気装置としては、道路トンネル内の空気をトンネル外に押し出すジェットファン、道路トンネル内の空気を浄化する電気集塵機などがあり、適切にこれらを組み合わせてトンネルの入口から出口に向かう空気流を形成して排気する。
【0003】
従来の「縦流換気方式」でのジェットファンモータは起動電流が定格電流の数倍の誘導モータである。トンネル用のジェットファンモータは通常20kWから50kW程度、4極から8極、400V系の誘導電動機で駆動されるものが多い。
【0004】
ジェットファンは、短いトンネルであればトンネル入口か出口の1カ所に配設する構成例もあるが、長距離トンネルであれば、複数台のジェットファンを複数個所に配設することとなる。ここで、従来の縦流換気方式のジェットファンを用いた換気制御は、台数ごとにオンオフを切り替えて運転する台数制御で主流の時期があったが、近年は、インバータを用いた制御が注目されている。
【0005】
インバータを用いてジェットファンを制御する場合、一般的には図20に示すような回路構成が考えられる。
図20に示す回路構成は、12相ダイオード整流回路と呼ばれる。3相電源を変圧器により6相化し、ダイオードを用いてそれら入力を整流することで12相電源となっている。図20に示すような12相ダイオード整流回路は、高効率、小形経済的で、電源の高調波電流が少ないという利点があり、優れた整流回路である。
図20に示す12相ダイオード整流回路10の回路構成は、商用電源20から絶縁変圧器30を通って2系統に分かれ、交流リアクター40を経て、整流器50で整流されたのち、インバータ回路60が並列接続されている。
なお、絶縁変圧器30は、一次側が三相のデルタ接続、二次側が三相のデルタ・三相のスター接続となっており、出力が30度の位相差を持つ2組の3相電源となっている。
図20に示す12相ダイオード整流回路には、それぞれ同電圧の30度の位相差を持つ2組の3相電流を供給する必要がある。
【0006】
なお、ジェットファンのインバータに対して外部の商用電源20から供給される電圧は400V系であり、ジェットファン駆動用の電源装置において、6600Vから400Vなどへの降圧用の変圧器は必要ではなく、400V系のまま使用することができるという環境にある。
【0007】
【特許文献1】特許第5300775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来の一般的なジェットファン駆動用のインバータ回路システムには以下のような問題がある。
第1はコストとサイズの問題である。
図20に示す12相ダイオード整流回路10における絶縁変圧器30において、その容量は通過電力の100%となるので、6600V→400Vの降圧用の電圧変換を要する場合は価値があるが、上記したように、トンネルに対して外部の商用電源20から供給される電圧は400V系であり、同じ400V系で駆動するジェットファン駆動用の電源変圧器において、高価な絶縁変圧器30を使用することは不経済である。
ジェットファンの駆動用の電源として所望の電圧が、外部の商用電源20の電圧と同じ例えば400V系である場合、比較的安価で小形である非絶縁変圧器を用いて相互に30度の位相差関係を持つ3相2系統の電源を得ることができれば、絶縁変圧器を用いた従来の一般的なジェットファン駆動用電源回路システムに代えて、非絶縁変圧器を用いたジェットファン駆動用電源回路システムを用いることができ、コスト低減、装置の小形化を図ることができる。
【0009】
もし、非絶縁変圧器を用いた場合、絶縁変圧器を用いた場合に比べて、その自己容量が小さくなる。
【0010】
次に、第2の問題は、絶縁変圧器の進み側と遅れ側の電圧の1%以下のわずかな差異でも電流分担に20〜30%ぐらいの大きなアンバランスが生じる問題である。
絶縁変圧器の2次側における、スター結線の誘起電圧は、デルタ結線の誘起電圧の1/√3であり、二次側のデルタ結線の誘起電圧とスター結線の誘起電圧の比は、1:1.732となるのが理想的である。
【0011】
しかし、絶縁変圧器の巻き数は整数値しかあり得ないので、デルタ結線とスター結線のコイル電圧の比1.732を実現することは困難である。特に数十kVA以上の絶縁変圧器ではターン数が30から50ターン程度以下になるので、デルタ結線とスター結線の電圧を同じにすることは極めて困難である。
如何に近しい比率となるように巻き線を調整しても、絶縁変圧器の巻き数は整数しかあり得ないので、1:1.732の比が得られず、進み側と遅れ側の電圧が微妙に異なってしまう(0.5〜1%程度の電圧偏差が生じる)。そのため、電流分担に20%〜30%の大きなアンバランスが生じてしまう。
【0012】
また、第3の問題は、絶縁変圧器の出力において、上記のように電流分担に20%〜30%の大きなアンバランスが生じると、理想的な電流波形にならず、第5、第7高調波が残るという問題である。
上記の第2の問題で述べたように、絶縁変圧器の巻き数は整数しかあり得ないので、1:1.732の比が得られず、絶縁変圧器の出力電流において第5、第7高調波の残存の影響が大きく、電流波形の歪みが大きくなってしまう。
【0013】
これら上記の問題点は、上記で前提としていた絶縁変圧器に代えて、非絶縁変圧器を用いて30度の位相差を持つ2組の3相電源を生成することにより解消することができる。
非絶縁変圧器は、絶縁変圧器よりも安価で小形である。
また、非絶縁変圧器は、コイルの巻き数比を自在に調整できるため、30度の位相差を持つ2組の3相電源を同電圧となるように調整可能である。
また、非絶縁変圧器を用いることにより30度の位相差を持つ2組の3相電源を同電圧としたものが得られれば第5、第7高調波を抑制することができる。
しかし、非絶縁変圧器を用いた場合にも解決すべき課題が残る。
非絶縁変圧器は、非絶縁であるため、ダイオード3相ブリッジ整流回路で発生する電源周波数の3倍の周波数成分の同相電圧が、非絶縁変圧器を介して循環電流が流れてしまい、2組の3相電源を同電圧に維持できなくなる。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑み、ジェットファンインバータの電源として、非絶縁変圧器を用いて相互に30度の位相差関係を持つ2組の3相電源を得ることができるジェットファン駆動用電源回路システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明のジェットファン駆動用電源回路システムは、三相商用電源を六相に変換する非絶縁多相化変圧器であって、前記三相商用電源の位相を略15度進ませる進み回路要素と、前記三相商用電源の位相を略15度遅らせる遅れ回路要素を備え、前記三相商用電源から略30度の位相差となる進み位相三相電源と遅れ位相三相電源を生成する非絶縁多相化変圧器と、前記非絶縁多相化変圧器の出力を交流から直流に変換する2組のダイオード3相ブリッジ整流回路であって、前記非絶縁多相化変圧器の前記進み位相三相電源と前記遅れ位相三相電源に対して並列に接続したダイオード3相ブリッジ整流回路と、前記非絶縁多相化変圧器の前記進み位相三相電源出力と前記ダイオード3相ブリッジ整流回路の間に設けた、前記進み位相三相電源に対する三相交流リアクトルと同相リアクトルと、前記遅れ位相三相電源に対する三相交流リアクトルと同相リアクトルと、前記ダイオード3相ブリッジ整流回路に対して接続され、前記直流を可変周波数・可変電圧の三相交流に変換するインバータ回路を備えたジェットファン駆動用電源回路システムである。
ダイオード3相ブリッジ整流回路の交流側に設けた同相リアクトルにより同相電圧を抑制し、前記非絶縁多相化変圧器と前記ダイオード3相ブリッジ整流回路の間の循環電流を抑制することができる。
【0016】
なお、上記構成において、進み位相三相電源に対する同相リアクトルに代えて、進み位相三相電源に対するダイオード3相ブリッジ整流回路の出力側とインバータ回路の間に設けた直流リアクトルとし、遅れ位相三相電源に対する同相リアクトルに代えて、遅れ位相三相電源に対するダイオード3相ブリッジ整流回路の出力側とインバータ回路の間に設けた直流リアクトルとすることができる。
このように、ダイオード3相ブリッジ整流回路の直流回路側に設けた直流リアクトルにより同相電圧を抑制し、非絶縁多相化変圧器とダイオード3相ブリッジ整流回路の出力間の循環電流を抑制することも可能である。
【0017】
なお、上記構成において、進み回路要素としては、1次コイルに対して位相が進む方向に設けた2次コイルであり、1次コイルと2次コイルの比が位相を15度進ませるものがある。同様に、遅れ回路要素としては、1次コイルに対して位相が遅れる方向に設けた2次コイルであり、1次コイルと2次コイルの比が位相を15度遅らせるものがある。
このような1次コイルに対して位相を進める方向および位相を遅らせる方向に二次コイルを特定比率で設ける回路構成は、非絶縁変圧器を用いて簡便に構成することができ、装置の小型化を図ることができる。
【0018】
次に、ジェットファンが停止モードで待機状態の際に生じる直流電圧上昇を抑制する工夫について述べる。
直流電圧上昇抑制手段としては複数のパターンがある。
【0019】
第1のパターンは、直流電圧上昇抑制手段として、ダイオード3相ブリッジ整流回路の出力側の直流回路に設けた抵抗チョッパである。
ジェットファンが停止モードに移行すると、直流回路の直流電圧が所定上限電圧値を超えると抵抗チョッパがオンとなり、直流回路の直流電圧が所定下限電圧値を下がると抵抗チョッパがオフとなるように作動する。
【0020】
第2のパターンは、直流電圧上昇抑制手段として、ダイオード3相ブリッジ整流回路の出力側の直流回路に並列に設けた抵抗負荷である。
ジェットファンが停止モードに移行すると、直流回路の直流電圧が上昇するがその直流電圧上昇を所定値で抑えるような抵抗負荷を設ける。
【0021】
第3のパターンは、直流電圧上昇抑制手段として、非絶縁変圧器の出力側からインバータ回路の入力側の間に設けたスイッチとする構成である。
ジェットファンが停止モードに移行するとスイッチによってインバータに供給される電流を遮断することによってインバータ側に流れる直流電圧の上昇を抑制する。
【0022】
第4のパターンは、直流電圧上昇抑制手段として、スイッチと、当該スイッチのON/OFF制御をするインバータ周波数指令装置を備えた構成である。
インバータ周波数指令装置は、インバータに運転周波数を指令するとともに、スイッチのON/OFFの制御信号を送るものであり、インバータの周波数指令値が所定値以下になれば、インバータ周波数指令装置がスイッチをOFFとする制御信号を出力し、スイッチをOFFにする。
【発明の効果】
【0023】
上記構成により、本発明のジェットファン駆動用電源回路システムは、非絶縁変圧器を用いることができ、絶縁変圧器を用いた場合に比べて安価で小形化をすることができる。
絶縁変圧器を用いた場合には問題となる、2組の3相電源の進み側と遅れ側の電圧の電流分担に生じる20〜30%ぐらいの大きなアンバランスがあるが、本発明のジェットファン駆動用電源回路システムでは、2組の3相電源の進み側と遅れ側の電圧を揃えやすく、電流分担にアンバランスが発生しない。
また、本発明のジェットファン駆動用電源回路システムに設ける同相リアクトルや直流リアクトルにより、非絶縁変圧器を経由して流れる循環電流を抑制することができる。
また、ジェットファンが停止モードで待機状態の際に生じる直流電圧の上昇を抑制する直流電圧上昇抑制手段を備えることにより、安全運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明のジェットファン駆動用電源回路システム100における非絶縁多相化変圧器120を中心とした回路構成を示す図である。
図2】電圧の位相に注目したベクトル図である。
図3】相電圧に対し位相略15度の進みと位相略15度の遅れの電圧の関係を示した図である。
図4】非絶縁変圧器120の巻線のベクトル関係図を示す図である。
図5】略30度の位相差の2組の3相電源のベクトル図を示す図である。
図6】本発明のジェットファン駆動用電源回路システムの構成例を示す図である。
図7】本発明のジェットファン駆動用電源回路システムの他の構成例を示す図である。
図8】3相ブリッジインバータにおける2レベルインバータを示す図である。
図9】3レベルインバータのTYPE1を示す図である。
図10】3レベルインバータのTYPE2を示す図である。
図11】第1のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170aを組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成を簡単に示す図である。
図12】第1のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170aを組み込んだ場合の印加電圧の制御効果を示す図である。
図13】第2のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170bを組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成を簡単に示す図である。
図14】第2のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170bを組み込んだ場合の印加電圧の制御効果を示す図である。
図15】第3のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170cを交流側に組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成を簡単に示す図である。
図16】第3のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170cを直流側に組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成を簡単に示す図である。
図17】第3のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170cを組み込んだ場合の印加電圧の制御効果を示す図である。
図18】第4のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170dを組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成を簡単に示す図である。
図19】第4のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170dを組み込んだ場合の印加電圧の制御効果を示す図である。
図20】従来のインバータを用いてジェットファンを制御する場合の一般的な回路構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明のジェットファン駆動用電源回路システムの実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0026】
本発明のジェットファン駆動用電源回路システムは、三相商用電源を六相に変換する非絶縁多相化変圧器を用い、当該非絶縁多相化変圧器において三相商用電源の位相を略15度進ませる進み回路要素と、三相商用電源の位相を略15度遅らせる遅れ回路要素を備え、進み回路要素と遅れ回路要素により、三相商用電源から略30度の位相差となる進み位相三相電源と遅れ位相三相電源を生成するものである。さらに、非絶縁多相化変圧器の進み位相三相電源出力とダイオード3相ブリッジ整流回路の間に進み位相に対する同相リアクトルと、遅れ位相に対する同相リアクトルを設けることで同相電圧を抑制して両者を同電圧とし非絶縁多相化変圧器とダイオード3相ブリッジ整流回路の間の循環電流を抑制するものである。
【0027】
まず、非絶縁多相化変圧器を中心とした回路構成を説明する。
図1は、本発明のジェットファン駆動用電源回路システム100における非絶縁多相化変圧器120を中心とした回路構成を示す図である。
図1に示すように、入力電源として三相商用電源200が用いられ、3つの入力線がそれぞれ、非絶縁多相化変圧器120のU相端子,V相端子,W相端子に接続されている。
【0028】
ここで、非絶縁多相化変圧器120には、一次コイルとして、UV間のコイル121、VW間のコイル122、WU間のコイル123が設けられている。
非絶縁多相化変圧器120には、二次コイルとして、U相に対する進み回路要素124U1、U相に対する遅れ回路要素124U2、V相に対する進み回路要素124V1、V相に対する遅れ回路要素124V2、W相に対する進み回路要素124W1、W相に対する遅れ回路要素124W2が設けられている。
【0029】
それぞれの進み回路要素124U1、進み回路要素124V1、進み回路要素124W1は、三相商用電源200のそれぞれの相に対して位相を略15度進ませる二次コイルとなっている。また、それぞれの遅れ回路要素124U2、遅れ回路要素124V2、遅れ回路要素124W2は、三相商用電源200のそれぞれの相に対して位相を略15度遅らせる二次コイルとなっている。
【0030】
ここで、三相商用電源200のそれぞれの相に対して位相を略15度進ませる2次コイルの条件、位相を略15度遅らせる2次コイルの条件について述べる。
一例として、U相のものを取り上げて説明する。V相、W相についても同様に考えれば良い。
【0031】
図2は電圧の位相に注目したベクトル図である。巻線の誘起電圧は相電圧の1/√3となる。U相の相電圧1/√3に対し±15度の関係になる電圧を作るための適切な大きさのVWの線間電圧をU相電圧に直角に加減すればよいことが判る。
この電圧は相電圧(1/√3)×tan(15)=0.2679/√3=0.1547となる。
U相電圧にこの電圧を加算または減算すればU相に対し位相略15度の進みと、位相略15度の遅れの電圧が得られる。
この関係を3相について示すと図3のようになる。これを整理して非絶縁変圧器120の巻線のベクトル関係図を示すと図4(a)のようになり、これは前に示した図2に対応したものである。その結果、図5に示す6相のベクトル、即ち略30度の位相差の2組の3相電源が得られる。なお、非絶縁変圧器120の巻線のベクトル関係図は、図4(b)であっても良い。
各相に継ぎ足す電圧は単位法で0.1547であり、その電流は0.5であるので、この巻線の容量は0.1547×0.5=0.07725である。この巻線が6個あるので変圧器の自己容量は、0.07725×6=0.4641である。一方上に述べたように負荷電力の容量は1.732であるので、変圧器の自己容量は通過電力に対して0.4641/1.732=0.268となり、自己容量はおよそ1/4程度となり装置を小型化できる。
【0032】
なお、得られる電圧は図2図3から判るように、元のU相の相電圧1/√3に対し新たな二つの相電圧0−U1及び0−U2は下記[数1]となり、約3.5%高くなる。
【数1】
しかし、トンネルのジェットファン駆動ではケーブルの長さが数百メートル以上と長く、その電圧降下が大きいので、インバータの電源電圧が少し高めになることは問題ではなく、かえって都合が良い場合もあり得る。
【0033】
次に、本発明のジェットファン駆動用電源回路システムの回路の構成全体を説明する。
図6は、本発明のジェットファン駆動用電源回路システムの回路の構成例である。図6はダイオード3相ブリッジ整流回路130の交流側に同相リアクトル140を設けた構成となっている。
図7は、本発明のジェットファン駆動用電源回路システムの回路の他の構成例である。図7はダイオード3相ブリッジ整流回路130の直流側に直流リアクトル141を設けた構成となっている。
図6図7は、同相リアクトル140と直流リアクトル141の構成要素を除けば、他の構成要素は同じであるため、他の構成要素については図6を中心に説明する。
【0034】
本発明のジェットファン駆動用電源回路システム100は、図6に示すように、3相商用電源200、改良型の非絶縁変圧器120、ダイオード3相ブリッジ整流回路130、同相リアクトル140、三相交流リアクトル150、インバータ回路160を備えたものとなっている。
【0035】
商用電源200は、受電設備としては特に限定されないが、長距離道路トンネル内にはジェットファン400のみならず多数の照明設備や防災設備などがあり大容量の電力を必要とするため、電気事業者から直接、特別高圧ないしは高圧で受電し、施設内の装置向けに変圧して電気を供給するものである。後述するように、商用電源200の電圧は、トンネル設備である本発明のジェットファン駆動用電源回路システムに供給される段階で 既に、400V、440V、460V等のいわゆる400V系に降圧されている。
【0036】
次に、非絶縁変圧器120は、改良型の非絶縁変圧器120として、分かりやすくシンボルを用いて表示されているが、図2に詳述した構成例と同様のものである。
【0037】
次に、ダイオード3相ブリッジ整流回路130は、交流電圧を直流電圧に変換するものである。
この例では、図6図7に示すように、ダイオード3相ブリッジ整流回路130として、進み位相三相電源と遅れ位相三相電源のそれぞれを入力とするダイオード3相ブリッジ整流回路を2つ並列に備えた構成となっている。
【0038】
次に、同相リアクトル140は、ダイオード3相ブリッジ整流回路130に発生する電源周波数の3倍の周波数成分の同相電圧を低減するものである。
図6における同相リアクトル140と交流リアクトル150の設置個所は、それらをダイオード3相ブリッジ整流回路130の交流側(入力側)に置いた構成である。
つまり、非絶縁多相化変圧器120の進み位相の三相電源出力とダイオード3相ブリッジ整流回路130の間に、進み位相に対応する同相リアクトル140と三相交流リアクトル150の直列接続回路を設け、同様に、非絶縁多相化変圧器120の遅れ位相の三相電源出力とダイオード3相ブリッジ整流回路130の間に、遅れ位相に対応する同相リアクトル140と三相交流リアクトル150の直列接続回路を設けた構成である。
このように、同相リアクトル140が、進み位相側のダイオード3相ブリッジ整流回路130の交流側と、遅れ位相側のダイオード3相ブリッジ整流回路130の交流側の2か所に設けられていることにより、進み位相側の電圧と遅れ位相側の電圧を同電圧にするものである。進み位相と遅れ位相の電源間で電圧不均衡が生じた場合にダイオード3相ブリッジ整流回路130に発生する電源周波数の3倍の周波数成分の同相電圧が非絶縁変圧器を経由して循環電流が流れてしまうことを抑制する作用がある。
【0039】
三相交流リアクトル150は、ダイオード3相ブリッジ整流回路130のダイオード3相ブリッジ整流回路などで生じる高調波を抑制するものである。
なお、三相交流リアクトル150のリアクタンスは限定されないが、例えば、電源電流波形を改善するため3%から5%程度のリアクトルとすることができる。
また、ここでは図示を省略するが、π形などのEMIフィルタを三相交流リアクトル150と直列に設ける場合もあり得る。
【0040】
一方、図7の構成は、同相リアクトル140の代わりに、直流リアクトル141を設けたものである。直流リアクトル141の設置個所は、ダイオード3相ブリッジ整流回路130の直流側(出力側)となっている。
つまり、非絶縁多相化変圧器120の進み位相側の三相電源のダイオード3相ブリッジ整流回路130の出力側とインバータ回路160の間に、進み位相に対応する直流リアクトル141を接続し、非絶縁多相化変圧器120の遅れ位相側の三相電源のダイオード3相ブリッジ整流回路130の出力側とインバータ回路160の間に、遅れ位相に対応する直流リアクトル141を接続したものである。
【0041】
このように、直流リアクトル141が、進み位相側のダイオード3相ブリッジ整流回路130の直流側と、遅れ位相側のダイオード3相ブリッジ整流回路130の直流側の2か所に設けられていることにより、進み位相側と遅れ位相側の直流電圧を同電圧にするものである。進み位相と遅れ位相の直流電圧間で電圧不均衡が生じた場合にダイオード3相ブリッジ整流回路130に発生する電源周波数の3倍の周波数成分の同相電圧が非絶縁変圧器を経由して循環電流が流れてしまうことを抑制する作用がある。
【0042】
図6に示したダイオード3相ブリッジ整流回路130の交流側に設けた同相リアクトル140でも、図7に示したダイオード3相ブリッジ整流回路130の直流側に設けた直流リアクトル141でも、ダイオード3相ブリッジ整流回路130に発生する電源周波数の3倍の周波数成分の同相電圧の不均衡に起因する循環電流を抑制する効果が得られる。
なお、三相交流リアクトル150は、図6同様、ダイオード3相ブリッジ整流回路130の入力側に設けておけば良い。
【0043】
インバータ回路160は、整流された直流を、可変周波数・可変電圧の三相交流に変換する装置である。
【0044】
次に、インバータ回路160の回路例を幾つか示す。
図8は最もよく使われる3相ブリッジインバータで2レベルインバータとも言われる。
直流回路電圧をEdとした場合、相電圧はEd/2、−Ed/2の2レベルである。20kwから50kw程度のジェットファン駆動にはIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)が適しているので以下全てのインバータはIGBTを用いた例で描いている。
【0045】
図9は3レベルインバータ(NPCインバータとも言う)のTYPE1である。この回路は同じ定格のIGBTを用いた場合、2レベルインバータに比べて2倍の直流電圧に対応でき、出力電圧も2倍になる。インバータの相電圧は、Ed/2、0、−Ed/2の3レベルとなるので、2レベルインバータに比し、高調波の少ない優れた出力電圧波形が得られる。
【0046】
図10は3レベルインバータのTYPE2である。この回路は2レベルインバータと同じ直流電圧にしか対応できないという欠点のため、ほとんど実用された例がないが、出力電圧はTYPE1と同様の3レベルとなる。
【0047】
本発明のジェットファン駆動用電源回路システム100では、インバータ回路160として、図8のインバータ回路160a、図9のインバータ回路160b、図10のインバータ回路160cのいずれのものであっても適用することができる。
【0048】
以上が、本発明のジェットファン駆動用電源回路システム100の概要である。
なお、本発明のジェットファン駆動用電源回路システム100は、トンネルのジェットファンを駆動する用途が想定される。
つまり、トンネルのジェットファン駆動用の電力は、実際には長距離道路トンネルなど長距離にわたって使用される場合があり、電力が長尺ケーブルを介してジェットファンに供給される。
【0049】
長尺ケーブルは特に限定されないが、単芯CVケーブル、多芯CVケーブル、単芯CVケーブルを3本撚りあわせたCVT、さらに、シールドケーブルもあり得る。
【0050】
ジェットファンは、トンネル内の空気を換気する機器であり、誘導モータが組み込まれたものであり、本発明ではジェットファンの構造などは特に限定されず、インバータ駆動により運転できるものであれば多様なジェットファンを適用することができる。ジェットファンは、長距離道路トンネル内に適切な間隔で配設されている。トンネルが長距離になれば多数のジェットファンが配設されることもあり得る。
【実施例2】
【0051】
実施例2にかかるジェットファン駆動用電源回路システム100の構成例を示す。
実施例2にかかるジェットファン駆動用電源回路システム100の構成例は、ジェットファンが停止モードで待機状態の際に生じる直流電圧上昇を抑制する直流電圧上昇抑制手段を備えた構成である。
直流電圧上昇抑制手段以外は、実施例1で上記に説明した構成要素と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0052】
直流電圧上昇抑制手段170として複数パターンがあり得る。
第1のパターンは、直流電圧上昇抑制手段170aが、直流回路に設けた抵抗チョッパである構成である。ジェットファン400が停止モードに移行すると、直流電圧が所定上限電圧値を超えると直流電圧上昇抑制手段170aである抵抗チョッパがオンとなり、直流電圧が所定下限電圧値を下がると直流電圧上昇抑制手段170aである抵抗チョッパがオフとなるものである。
【0053】
図11は、第1のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170aを組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成を簡単に示す図である。
図12は、第1のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170aを組み込んだ場合の直流電圧の制御効果を示す図である。図12に示すように、直流電圧が所定値以上になると抵抗チョッパがONとなり電圧上昇が抑制される。一方、直流電圧が所定値以下になると抵抗チョッパがオフとなり電圧が上昇する。このように、ある一定幅のレンジで電圧の上昇下降が繰り返される。
【0054】
第2のパターンは、直流電圧上昇抑制手段170bが、インバータ回路160に対して並列に設けた抵抗負荷の場合である。
図13は、第1のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170bを組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成を簡単に示す図である。
図14は、第1のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170aを組み込んだ場合の直流電圧の制御効果を示す図である。図14に示すように、並列に抵抗負荷が設けられているので、直流電圧が増加しても直流電圧上昇抑制手段170bである負荷抵抗と分圧されるので電圧上昇が抑制される。
【0055】
第3のパターンは、直流電圧上昇抑制手段170cが、非絶縁変圧器の出力側からインバータ回路の入力側の間に設けたON/OFFのスイッチであり、ジェットファン400が停止モードに移行すると直流電圧上昇抑制手段170cであるON/OFFのスイッチにより電流を遮断する構成となっている。
スイッチの設置個所としては、ダイオード3相ブリッジ整流回路130の交流側に設けるパターンと、直流側に設けるパターンがある。
【0056】
図15は、直流電圧上昇抑制手段170cであるスイッチをダイオード3相ブリッジ整流回路130の交流側に組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成を簡単に示す図である。
図16は、直流電圧上昇抑制手段170cであるスイッチをダイオード3相ブリッジ整流回路130の直流側に組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成を簡単に示す図である。
図15図16のいずれもの構成においても、直流電圧が所定値よりも上昇すると直流電圧上昇抑制手段170cであるON/OFFのスイッチが作動し、循環電流を遮断することができ、過電流が流れることを防止することができる。
図17は、第3のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170cを組み込んだ場合の直流電圧の制御効果を示す図である。図17に示すように、直流電圧が所定値以上になるとON/OFFのスイッチにより電流が遮断されて電圧上昇が抑制される。
【0057】
第4のパターンは、直流電圧上昇抑制手段170dが、非絶縁変圧器の出力側からインバータ回路の入力側の間に設けたON/OFFのスイッチと、当該スイッチにON/OFF制御信号を送るインバータ周波数指令装置の組み合わせである。
ジェットファン400が停止モードに移行し、インバータ周波数指令装置によりインバータの周波数が所定値以下(例えば10Hz以下)になるように指令を出すと、スイッチ停止信号を出す。スイッチが当該スイッチ停止信号に従ってOFFとなり循環電流を遮断する構成となっている。
スイッチの設置個所としては、第3のパターンと同様、ダイオード3相ブリッジ整流回路130の交流側に設けるパターンと、直流側に設けるパターンがある。
【0058】
図18は、直流電圧上昇抑制手段170dであるスイッチ及びインバータ周波数指令装置を組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成を簡単に示す図である。
図18の例では、図15と同様、スイッチをダイオード3相ブリッジ整流回路130の交流側に組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成となっているが、図16のように、スイッチをダイオード3相ブリッジ整流回路130の直流側に組み込んだジェットファン駆動用電源回路システム100の装置構成も可能である。
図19は、第4のパターンにかかる直流電圧上昇抑制手段170dを組み込んだ場合の直流電圧の制御効果を示す図である。図19に示すように、インバータ周波数指令装置がインバータの周波数を所定値以下にすると、スイッチ停止信号を出し、スイッチがOFFとなって電流が遮断されて電圧上昇が抑制される。
【0059】
以上、本発明のジェットファン駆動用電源回路システムの構成例における好ましい実施例を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のジェットファン駆動用電源回路システムは、長距離道路トンネル用の換気制御システム、特に、長距離道路トンネル内に設置した複数のジェットファンをインバータ駆動で制御する換気制御システムなどに適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
100 ジェットファン駆動用電源回路システム
110 商用電源 電源変圧器
120 非絶縁変圧器
130 ダイオード3相ブリッジ整流回路
140 同相リアクトル
150 3相交流リアクトル
160 インバータ回路
170 直流電圧上昇抑制手段
200 商用電源
300 ケーブル
400 ジェットファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20