【実施例】
【0013】
図1〜
図5に実施例の物品識別装置2,42を示す。
図1,
図2は第1の実施例を示し、物品識別装置2はお守り等の物品を識別するため、神殿等の建物を模したお社形の不透明なケース4を備え、天井5とその下方の3方を囲む壁7を備え、天井の内面6及び壁の内面8は例えば乳白色の拡散反射面で、側面の一方に開口9を備えて、トレイ14、あるいはトレイ14無しで物品のみを出し入れできる。
【0014】
バックライト光源12はケース4の床面13上に有り、トレイ14の背面及びその周囲から例えば白色光を照明し、照明光はトレイ14を透過して、識別対象の物品16の輪郭、特に互いに接触している物品の隙間を通過して、物品16の輪郭を明瞭にする。バックライト光源12は白色LED、白色の蛍光灯等を内蔵し、上面は透明あるいは半透明(外見上は乳白色)で、内部のLED等からの光を取り出せるようにしてある。またバックライト光源12からの照明は、天井の内面5,壁の内面8等で拡散反射され、間接照明光として物品16を照らす。そしてトレイ14上の物品16を、カラーのカメラ20により撮像する。
【0015】
壁7及び開口9に関しては、トレイ14の出し入れが可能で、かつ壁の内面8の面積を大きくすることが好ましい。これ以外の点は任意で、例えば開口9に対して、
図2の鎖線17よりも上の部分に壁18を設けてその内側を反射面にしても良い。さらに開口9を閉じるための不透明なカーテン、扉などを設けても良い。これとは逆に、壁7の下部に隙間を設けて、コンベヤ等によりトレイ14をケース4内に出し入れできるようにしても良い。
【0016】
トレイ14は透明あるいは半透明(外見上は乳白色)で、バックライト光源12からの光を透過させることにより、物品16を背面(底面)側から照明する。これによって、物品16の輪郭に沿って明暗の変化が生じ、カメラ20の画像から、物品16の輪郭を容易に切り出すことができる。そして物品16が互いに重なっていると、重なり部にV字型等の切れ込んだ輪郭が生じるので、切り込みの先端をつなぐなどにより、個々の物品に分離できる。
【0017】
バックライト光源12からの光の内で、物品16で遮られなかったものは、天井の内面6,壁の内面8により拡散反射されて、間接照明としてトレイ14を再度照明する。そして外部の光は開口9以外からは入らないので、外部からの環境光がトレイ14及び物品16を照らすことは少ない。このため、環境光の強弱、色調等の影響を受けにくい。また外部の照明等からの光が、物品16で鏡面反射されて、物品の識別を困難にすることを避けることができる。
【0018】
実施例では、バックライト光源12により、物品16の輪郭の識別を容易にし、天井5と壁7により環境光を遮断すると共に、天井の内面5,壁の内面8を用いた間接照明により、物品16を撮像する。このようにして、環境光の影響を弱め、特に環境光が物品16などで鏡面反射されることを防止する。また物品16を間接照明により一様に照明する。
【0019】
カメラ20からのカラー画像は、画像識別装置22により画像識別され、物品16の個数と種類を識別する。バックライト光源12により、物品16の背面を照明するので、物品16が互いに接触しているような場合にも、個々の物品を切り出すことができる。さらに物品が周囲に落とす影を消失させ、物品の輪郭をより正確に識別できる。そして物品16は、環境光の影響をほぼ受けずに、バックライト光源12からの光を用いて間接照明され、同じ物品であればほぼ同じ特徴を持つ画像を撮像できる。このため、物品16の種類毎の画像を記憶しておき、記憶した画像との類似度から、物品16の種類と個数を識別できる。
【0020】
画像識別装置22がレジ装置、POSシステム等に接続されている場合、画像識別装置22からこれらの装置あるいはシステムへ、物品の種類と個数を出力する。また好ましくは、ディスプレイ24を画像識別装置22に接続し、例えばトレイ14と物品16の画像、及び識別した物品の種類と個数を表示し、物品16の購入者等と販売員等が識別結果を確認できるようにする。
【0021】
パンや野菜などの識別では、これらの物品がトレイ14に多数置かれると、トレイ14を透過した光が遮られ、物品の画像が暗くなることがある。これに対し、バックライト光源12の光量分布を工夫し、周辺部を明るくしても良い。また画像識別装置22で、カメラ20からのカラー画像にヒストグラム変換を施し、画像の明度の分布範囲を一定に保つことにより、暗い画像を明るくしても良い。
【0022】
図3は識別対象の物品30,34を示し、左のお守り30では、お守り本体31にお札32が貼られ、お守り本体31は透明包装33に収められている。どのお守りが何個あるかが、この場合の識別の目標である。右の薬品袋34では、透明袋35内に、錠剤36,37,カプセル38など、例えば1回分の薬が収められている。どの薬剤が何個あるかが、この場合の識別目標である。お守り30でも、薬品袋34でも、複数個が互いに接触して、トレイに置かれていることがあり、このような場合にも、正しい識別が要求される。
【0023】
お守り30などの物品がトレイに複数個有る場合、これらが互いに接触して、物品の輪郭が不明になることがある。すると画像識別が難しくなる。また薬品袋34内の錠剤36,37,カプセル38が互いに接触しても、画像識別が難しくなる。3日分などの薬品袋34を識別する場合、薬品袋34が互いに接触することがある。バックライト光源からの光は物品と物品との隙間を通過するので、この隙間を用いて、重なった物品を分離して識別することができる。
【0024】
環境光は、環境光が透明包装33,透明袋35などで鏡面反射し、カメラに入射することがある。鏡面反射光は画像識別でのノイズとなるので、天井5と壁7により環境光を遮断し、バックライト光源12からの光を天井の内面6,壁の内面8で反射させた間接照明光を用いて撮像する。この間接照明光は色調と明度が一様で、鏡面反射を起こさないので、物品の識別が容易になる。
【0025】
識別する物品は、例えば次のようなものがある。
・ お守り、お札、絵馬などの縁起物、
・ 固形の薬品、
・ ネジ、ギアなどの小さな部品、
・ ICチップ、トランジスタ、表面実装用のコンデンサ、抵抗などの電子部品、
・ 透明あるいは半透明な袋入りの、おにぎり、パンなどの加工食品、
・ パン、野菜等。
【0026】
これらの物品の内で、透明あるいは半透明の袋入りの物品の識別では、環境光の鏡面反射によるノイズを減らし、物品を正確に識別できる。袋に入っていない物品の識別でも、バックライト光により物品の輪郭が認識し易くなり、バックライト光を天井の内面、壁の内面で反射させた間接照明により、物品の画像を一定の照明条件で撮像できる。また天井、壁により環境光を遮断することができる。さらにバックライト光源を間接照明光源に兼用できる。パンなどの物品が多数トレイに置かれた場合、間接照明光は暗くなるが、画像識別装置でのヒストグラム変換により、あるいはトレイの周辺部でバックライト光源を明るくすることなどにより、対応できる。
【0027】
図4,
図5は第2の実施例での物品識別装置42を示し、特に指摘する点以外は
図1〜
図3の実施例と同様である。不透明なケース44は半球状のドーム45と壁47を備え、ケース44の床面53上にバックライト光源54が配置され、開口49からトレイ14を出し入れする。ドーム45により上方を覆い、壁47によりバックライト光源54の周囲(ドーム45の下方)の4方中のほぼ3方を覆う。またドーム45と壁47の内面は例えば乳白色の拡散反射面46,48である。物品識別装置42は、ケース4とケース44のデザインの違いの他は、ほぼ同様である。
【0028】
実施例でのトレイ14は必須ではない。また手でトレイ14を出し入れすることも必須ではない。例えばケース44に一対の向かい合う開口49,49を設け、ベルトコンベヤ等により物品をケース44内へ搬送し、小型部品、電子部品などを識別しても良い。この場合、小型部品、電子部品などをトレイ無しでコンベヤ上に載せても良い。
【0029】
カメラ20は、壁の内面8あるいは壁の拡散反射面48に配置しても良いが、天井の内面6あるいは天井の拡散反射面46に配置することが好ましい。また床面13,53を設けず、バックライト光源12,52をケース4,44の下端に嵌め合わせても良い。