(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6961904
(24)【登録日】2021年10月18日
(45)【発行日】2021年11月5日
(54)【発明の名称】呼吸をモニタリングする装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/497 20060101AFI20211025BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20211025BHJP
【FI】
G01N33/497 A
G01N30/88 G
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-558313(P2018-558313)
(86)(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公表番号】特表2019-518944(P2019-518944A)
(43)【公表日】2019年7月4日
(86)【国際出願番号】GB2017000034
(87)【国際公開番号】WO2017194906
(87)【国際公開日】20171116
【審査請求日】2020年1月6日
(31)【優先権主張番号】1608128.3
(32)【優先日】2016年5月7日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】509342843
【氏名又は名称】スミスズ メディカル インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エル ブロムクイスト
(72)【発明者】
【氏名】ポール ジェームズ レズリー ベネット
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ルシオ ベリザリオ
【審査官】
草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】
独国実用新案第202015003822(DE,U1)
【文献】
国際公開第2014/202924(WO,A1)
【文献】
特表2016−523636(JP,A)
【文献】
特表2005−519291(JP,A)
【文献】
特開2001−346880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
G01N 30/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼気内のバイオマーカーに応答するセンサ(200)を備えている呼吸をモニタリングする装置であって、該装置は、ユーザーの呼気フローに対し交互抵抗を付与するよう構成されている振動型呼気治療装置(100)を備え、また前記センサ(200)は、前記ユーザーからの振動呼気フローにのみ曝露され、吸気フローには暴露されないよう呼気フローの流路(6)内に配置される、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
呼気内の疾患を示す物質に応答するセンサ(200)を備えている呼吸をモニタリングする装置であって、該装置は、ユーザーの呼気フローに対し交互抵抗を付与するよう構成されている振動型呼気治療装置(100)を備え、また前記センサ(200)は、前記ユーザーからの振動呼気フローにのみ曝露され、吸気フローには暴露されないよう呼気フローの流路(6)内に配置される、ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の装置において、前記センサ(200)は、化学抵抗性センサ、ガスクロマトグラフィセンサ、質量分光法センサ、イオン移動度センサよりなるグループから選択される、ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項記載の装置において、前記振動型呼気治療装置(100)は、呼気中に大気への開口(10)を開閉するよう構成されているロッカー(12)を備える、ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項記載の装置において、前記センサ(200)は、呼吸器疾患を示すバイオマーカーに応答する、ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項記載の装置において、前記センサ(200)は、前記治療装置(100)のハウジングに備え付けられている、ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1〜5のうちいずれか一項記載の装置において、前記センサ(200)は、前記治療装置から遠隔の位置に配置され、またガスサンプリングチューブを介して前記治療装置に接続されている、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか一項記載の装置において、前記センサ(200)は、前記治療装置(100)内の物質であって、前記治療装置が病原体の存在を示す該物質にも応答する、ことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか一項記載の装置において、前記装置は、呼吸サイクルの一部分でのみ物質を選択的にモニタリングするよう構成されている、ことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1〜9のうちいずれか一項記載の装置において、前記装置は、検出した物質又は検出した物質に関連する疾患の表示を行うよう構成されたディスプレイ(203)を備える、ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼気内のバイオマーカーに応答するセンサを備える種類の呼吸をモニタリングする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
何らかの疾患の存在又は進行は呼気内の様々なバイオマーカー(生体指標)を感知することによってモニタリングすることができる。このような疾患を示すマーカー(指標)としては、硫化水素、アセトン、ペンタン、トルエン、アンモニア、酸化窒素がある。種々の感知技術、例えば、ガスクロマトグラフィセンサ、質量分光法センサ、イオン移動度分光分析センサ、及び化学抵抗性センサが開発されている。呼気内のバイオマーカーからモニタリングできる疾患としては、糖尿病、肺がん、腎不全、喘息、嚢胞性線維症、及びCOPD(慢性閉塞性肺疾患)がある。このような疾患をモニタリングする装置における1つの問題は、センサに供給される息は、主にバイオマーカーが低濃度であろう気管支系の上方部分からのものでありがちな点である。さらに、正常な呼吸息は極めて多量のバイオマーカーを放出しない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来に代わる呼吸装置を得るにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によれば、上述した種類の呼吸をモニタリングする装置を提供し、該装置は、ユーザーの呼気フローに対し交互抵抗を付与するよう構成されている振動型呼気治療装置を備え、また前記センサは、前記ユーザーからの振動呼気フローに曝露されるよう呼気フローの流路内に配置される、ことを特徴とする。
【0005】
本発明の一態様によれば、呼気内の疾患を示す物質に応答するセンサを備えている呼吸をモニタリングする装置を提供し、該装置は、ユーザーの呼気フローに対し交互抵抗を付与するよう構成されている振動型呼気治療装置を備え、また前記センサは、前記ユーザーからの振動呼気フローに曝露されるよう呼気フローの流路内に配置される、ことを特徴とする装置。
【0006】
前記センサは、化学抵抗性センサ、ガスクロマトグラフィセンサ、質量分光法センサ、イオン移動度センサよりなるグループから選択されることができる。前記振動型呼気治療装置は、呼気中に大気への開口を開閉するよう構成されているロッカーを備えることができる。前記センサは、呼気フローにのみ曝露され、また吸気フローには曝露されないものとすることができる。前記センサは、呼吸器疾患を示すバイオマーカーに応答することができる。前記センサは、前記治療装置のハウジングに備え付けることができる。代案として、前記センサは、前記治療装置から遠隔の位置に配置され、またガスサンプリングチューブを介して前記治療装置に接続されているものとすることができる。前記センサは、前記治療装置内の物質であって、前記治療装置がクリーニングを必要とすることを示す該物質にも応答することができる。前記装置は、呼吸サイクルの一部分でのみ物質を選択的にモニタリングするよう構成されることができる。前記装置は、検出した物質又は検出した物質に関連する疾患の表示を行うよう構成されたディスプレイを備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明による呼吸モニタリング装置を、以下に例として、添付図面につき説明する。
【0008】
本発明装置は、呼吸治療装置100及び息センサ200を備える。
【0009】
呼吸治療装置は、携帯型陽圧呼気圧(PEP)装置の形式、すなわち、装置を通過する呼気に対して抵抗を与える装置である。このような装置は、例えば、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、嚢胞性線維症及び無気肺のような様々な呼吸障害を患っている患者の治療を補助するのに現在広く使用されている。より最近ではフローに対して交互抵抗を付与するこのような装置は、特別に効果的であることが分かってきた。このような装置の一例は、スミスメディカル社による商標名Acapella(スミスメディカル社の登録商標)の下で販売されており、また特許文献1〜4(米国特許第6581598号、同第6776159号、同第7059324号、及び同第7699054号)に記載されている。
【0010】
呼吸治療装置100は、外側ハウジング2内に収納されたロッカー(揺動体)アセンブリ1を備え、この外側ハウジング2は、ほぼ半円筒形形状の上側部分3及び下側部分4によって設けられる。この装置は、円形断面の調整可能なダイヤル5によって組み立てが完了する。外側ハウジング2は、一方の端部での呼吸入口7と、反対側端部での吸気入口8とを有する空気フローチューブ6を包含し、吸気入口8は、空気フローチューブ内への空気流入を可能にするが、吸気入口から空気が流出するのを阻止する一方向弁(図示せず)を設けている。空気フローチューブ6は非直線輪郭の出口開口10を有し、この出口開口10は、ロッカーアーム12の長さに沿う中間位置で横方向軸線の周りに枢着されたロッカーアーム12に備え付けた円錐状の弁素子11によって開閉される。空気フローチューブ6及びハウジング2は、ロッカーアーム12を備え付ける構体をなす。呼吸入口7から遠い方の遠位端部において、ロッカーアーム12は調整可能な支持フレーム14に備え付けた永久磁石(見えていない)によって生ずる磁場と相互作用する鉄ピン13を担持する。この永久磁石は、患者がこの装置を通して呼吸していないとき、ロッカーアーム12の遠位端部を下方に保持し、これにより弁素子11も出口開口10に対して封止係合するよう下方に保持される。支持フレーム14の一方の端部におけるカム従動子(フォロワー)突起15は、ダイヤル5におけるカム溝孔16内に位置し、ダイヤルを回転することによって永久磁石を有する支持フレーム14を上下動させて、鉄ピン13と相互作用する磁場強度を変化させることができる。ダイヤル5は、動作頻度及び装置を通過する空気フローに対する抵抗をユーザーの治療的有用性が最大となるよう調整することができる。
【0011】
患者が呼吸入口7から吸気するとき、空気は吸気入口8を経由して空気フローチューブ6に沿って呼吸入口に引き込まれる。患者が呼気するとき、吸気入口8における一方向弁が閉じ、この経路に沿う空気のいかなる流出も阻止する。その代わりに、呼気圧が空気フローチューブ6からロッカーアーム12における弁素子11の下側に供給され、磁気吸引力に抗して弁素子11を開口10から離れるよう持ち上げ、これにより空気を大気に流出させることができる。開口10は非直線的輪郭を有し、この輪郭はロッカーアーム12の遠位端部が持ち上がるにつれて有効排出面積を増大させ、これにより、アームは落下して戻り、開口を閉じることができる。ユーザーが十分な呼気圧供給を維持する限りにおいて、開口10が開閉するときロッカーアーム12は上昇及び落下を繰り返し、装置を通しての呼気フローの振動型交互又は周期的中断を生ずる。本発明を理解する上ではこの装置の構造及び動作に関する更なる情報は重要ではないが、上記特許文献1、3及び4で見ることができる。
【0012】
センサ200は、患者からの呼気に曝露される位置、例えば、空気フローチューブ6内でハウジング2に備え付ける。この位置は、センサ200が吸気及び呼気の双方に曝露されることが分かる。このことは問題ではない。しかし、吸気中にセンサ200上を流れる気体は、バイオマーカー又は他の関心対象物質に対するセンサの応答性を弱める場合がある。もしそうであれば、センサは、その代わりに開口の延長線上で弁操作される開口10から下流ポイントに配置することができ、これによりセンサが呼気にのみ曝露される。センサ200は、様々な異なるタイプとすることができる、又はモニタリングしているバイオマーカーに基づいて2つ又はそれ以上の異なるタイプのセンサを含むことができる。例えば、センサは、ガスクロマトグラフィセンサ、質量分光法センサ、イオン移動度分光分析センサ、又は他のタイプの普通のセンサとすることができる。
【0013】
この実施例において、センサ200は、ポリマー及び炭素のような導電性パウダーの異なる混合物の素子アレイを含む種類の化学抵抗性センサである。各素子の抵抗は、揮発性有機化合物をポリマーが吸収するときこれらポリマーを膨張させ、また導電性パウダーを通過する抵抗を増大させることによって変化する。アレイにおける異なる素子の応答性をモニタリングすることによって、化合物の性質を同定することができる。このようなセンサの詳細については、米国特許第6716638号、同第6703241号、同第6627154号、同第6746960号、同第6537498号、同第5571401号、同第5698089号、同第5788833号、同第5911872号、同第6093308号、同第6331244号、同第6010616号、同第6017440号、同第5959191号、同第5951846号、同第7040139号、同第7201035号、同第7819803号、及びその他の特許文献で見ることができる。
【0014】
センサを振動型呼気治療装置に組み込むことによって、センサは深い肺呼吸の増加した割合、及び発生した振動により肺組織からより容易に放出されるバイオマーカーのより増加した割合に曝露される。他の利点は、治療セッションの進行中にセンサは多数回の息に曝露され、平均化及び、又は代案としての積分化によってより信頼性の高い感知が可能になるという点である。
【0015】
センサが治療装置のハウジング内に収納するには大き過ぎる又は重過ぎる場合、センサは、治療装置に対して遠隔位置に配置し、またガスサンプリングチューブを介して接続することができ、この場合、呼気ガスのサンプルをセンサに供給する何らかの形式のポンプを必要があり得る。
【0016】
装置は、検出した物質を表示する又は検出した物質に関連する疾患を表示するディスプレイを備えることができる。センサが十分軽量かつ十分小型である場合、治療装置のハウジング2にディスプレイを設けることができるが、より一般的にはセンサ200の出力はハウジングにおけるユニット201によって供給し、このユニット201は、ケーブルを介して又はBluetooth(登録商標)プロトコルによる高周波信号のような無線リンクによって遠隔処理ユニット202に信号を送信する。処理ユニット202はディスプレイ203及びその後のダウンロードのためセンサ出力を記録する保存装置204を有することができる。
【0017】
処理ユニット202は様々な特徴を有することができる。例えば、経時的な、すなわち、或るセッションから次のセッションにわたるセンサ200の出力変化に応答し、ユーザーの病状の改善又は悪化を示せるよう構成することができる。処理ユニットは、センサ出力を解析し、ユーザーの病状を表示する人工知能ソフトウェアを採用することができる。センサ及び処理ユニットは、ユーザーが喫煙していたか否かを検出するよう構成することができる。処理ユニットは、治療装置の使用を表している信号を受信し、またユーザーの病状が治療装置の使用でどのように変化したかを示す情報を提供するよう構成することもできる。様々な上限及び下限のベースライン設定し、これらベースラインが交差する場合に情報をユーザーに与えることができる。信号は、必要に応じて平均化、フィルタ処理、又は積分処理し、適正な形式の情報を提供することができる。センサ及び処理ユニットは、特定疾患を有するユーザーの特定バイオマーカーの存在、例えば、嚢胞性線維症患者における緑膿菌による病原体の存在に応答するよう構成することができる。本発明は、とくに呼吸器系疾患を検出するのに好適である。
【0018】
本発明は試験機能を有することができ、この場合、センサは、治療装置内部に装置がクリーニングする必要性を示している病原体のような物質が存在することを検出するよう構成される。このことは、例えば、吸気及び呼気双方のフローが装置を通過する間にこのような物質の存在をモニタリングすることによって達成することができる。病原体存在を示す応答が、吸気及び呼気中にほぼ同一である場合、病原体が治療装置内に存在し、ユーザーの肺内には存在していないことを示す。
【0019】
本発明装置は、ベンゼン及びホルムアルデヒドのような、ユーザーにとって有害な空気浮遊汚染物質が肺内に存在することを検出するよう構成することができる。
【0020】
処理ユニットは、呼吸サイクルの特定部分、例えば、深い肺呼息中のみでの物質を選択的にモニタリングするよう構成することができる。このことは、センサからの出力波形の特定部分を選択することによって達成することができる。代案として、装置は、呼吸サイクルにおける選択した部分中でのみセンサを呼吸フローに曝露させる何らかの形式の弁構成にすることができる。
【0021】
本明細書において、用語「気体(ガス)」は「水蒸気」を含むものとして使用する。
【0022】
本発明は、上述した種類の振動型呼気治療装置に限定されるのではなく、気管支通路内で振動を生ずる他の呼気治療装置にも使用することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 ロッカーアセンブリ
2 外側ハウジング
3 (外側ハウジング2の)上側部分
4 (外側ハウジング2の)下側部分
5 ダイヤル
6 空気フローチューブ
7 呼吸入口
8 吸気入口
10 出口開口
11 弁素子
12 ロッカーアーム
13 鉄ピン
14 支持フレーム
15 カム従動子突起
16 カム溝孔
100 呼吸治療装置
200 センサ
201 ユニット
202 隔処理ユニット
203 ディスプレイ
204 保存装置