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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124139
(43)【公開日】2022-08-25
(54)【発明の名称】結束機
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20220818BHJP
   B25B 25/00 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
B25B25/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021021732
(22)【出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 伸崇
(72)【発明者】
【氏名】杉原 進平
【テーマコード(参考)】
3C031
【Fターム(参考)】
3C031BB01
(57)【要約】
【課題】鉄筋などの結束対象物と地面との隙間が狭い現場でも、一対のガイド部の間の開口内に鉄筋を挿入することが可能な結束機を提供する。
【解決手段】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤを送る送り部3と、送り部3で送られたワイヤを鉄筋Sの周囲に巻き回すガイド部5と、ガイド部5で鉄筋Sに巻かれたワイヤを捩じる捩り部7と、鉄筋Sが突き当てられる当接部11とを備える。ガイド部5は、当接部11に突き当てられた鉄筋Sの周囲に沿ってワイヤを癖付けする第1のガイド51と、第1のガイド51で癖付けされたワイヤを捩り部7に案内する第2のガイド52と、第1のガイド51の先端側に設けられ、第1のガイド51と第2のガイド52との間に鉄筋Sを誘導する誘導部600とを有する。誘導部600は、当接部11との間の距離が可変に構成される。
【選択図】図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤを送る送り部と、
前記送り部で送られた前記ワイヤを結束対象物の周囲に巻き回すガイド部と、
前記ガイド部で前記結束対象物に巻かれた前記ワイヤを捩じる捩り部と、
前記結束対象物が突き当てられる当接部と、を備え、
前記ガイド部は、
前記当接部に突き当てられた前記結束対象物の周囲に沿ってワイヤを癖付けする第1のガイドと、
前記第1のガイドで癖付けされた前記ワイヤを前記捩り部に案内する第2のガイドと、
前記第1のガイド及び前記第2のガイドの少なくとも一方に設けられ、前記第1のガイドと前記第2のガイドとの間に前記結束対象物を誘導する誘導部と、を有し、
前記誘導部は、前記当接部との間の距離が可変に構成される、
結束機。
【請求項2】
ワイヤを送る送り部と、
前記送り部で送られた前記ワイヤを結束対象物の周囲に巻き回すガイド部と、
前記ガイド部で前記結束対象物に巻かれた前記ワイヤを捩じる捩り部と、
前記捩り部を駆動する駆動部と、を備え、
前記ガイド部は、
前記結束対象物の周囲に沿ってワイヤを癖付けする第1のガイドと、
前記第1のガイドで癖付けされた前記ワイヤを前記捩り部に案内する第2のガイドと、
前記第1のガイド及び前記第2のガイドの少なくとも一方に設けられ、前記第1のガイドと前記第2のガイドとの間に前記結束対象物を誘導する誘導部と、を有し、
前記誘導部は、前記駆動部との間の距離が可変に構成される、
結束機。
【請求項3】
ワイヤを送る送り部と、
前記送り部で送られた前記ワイヤを結束対象物の周囲に巻き回すガイド部と、
前記ガイド部で前記結束対象物に巻かれた前記ワイヤを捩じる捩り部と、
作業者により把持される把持部と、を備え、
前記ガイド部は、
前記結束対象物の周囲に沿ってワイヤを癖付けする第1のガイドと、
前記第1のガイドで癖付けされた前記ワイヤを前記捩り部に案内する第2のガイドと、
前記第1のガイド及び前記第2のガイドの少なくとも一方に設けられ、前記第1のガイドと前記第2のガイドとの間に前記結束対象物を誘導する誘導部と、を有し、
前記誘導部は、前記把持部との間の距離が可変に構成される、
結束機。
【請求項4】
ワイヤを送る送り部と、
前記送り部で送られた前記ワイヤを結束対象物の周囲に巻き回すガイド部と、
前記ガイド部で前記結束対象物に巻かれた前記ワイヤを捩じる捩り部と、を備え、
前記ガイド部は、
前記結束対象物の周囲に沿ってワイヤを癖付けする第1のガイドと、
前記第1のガイドで癖付けされた前記ワイヤを前記捩り部に案内する第2のガイドと、
前記第1のガイド及び前記第2のガイドの少なくとも一方に設けられ、前記第1のガイドと前記第2のガイドとの間に前記結束対象物を誘導する誘導部と、を有し、
前記誘導部は、前記第1のガイド及び前記第2のガイドの少なくとも一方の先端部との間の距離が可変に構成される、
結束機。
【請求項5】
前記誘導部は、
前記捩り部の軸線に略直交する方向に延びる軸を支点として回動する、
請求項1から4の何れか1項に記載の結束機。
【請求項6】
前記誘導部の先端部は、前記軸より前記第1のガイドと前記第2のガイドとの間に形成される開口側に設けられる、
請求項5に記載の結束機。
【請求項7】
前記誘導部は、前記捩り部の軸線に対して略平行に移動する、
請求項1から4の何れか1項に記載の結束機。
【請求項8】
前記誘導部は、
前記誘導部の先端部と前記当接部との間の距離が第1の距離となる第1の位置と、
前記誘導部の先端部と前記当接部との間の距離が前記第1の距離よりも短い第2の距離となる第2の位置とに移動可能である、
請求項1に記載の結束機。
【請求項9】
前記誘導部は、
前記誘導部の先端部と前記駆動部との間の距離が第1の距離となる第1の位置と、
前記誘導部の先端部と前記駆動部との間の距離が前記第1の距離よりも短い第2の距離となる第2の位置とに移動可能である、
請求項2に記載の結束機。
【請求項10】
前記誘導部は、
前記誘導部を前記第1の位置に固定する第1の係合部と、
前記誘導部を前記第2の位置に固定する第2の係合部と、
を有し、
前記第1のガイド及び前記第2のガイドの少なくとも一方には、前記第1の係合部及び前記第2の係合部が係合される被係合部が設けられる、
請求項8又は9に記載の結束機。
【請求項11】
前記誘導部において、
前記捩り部の軸線に略直交する方向に延びる軸を支点として回動させることで、前記第1の係合部又は前記第2の係合部を前記被係合部に係合させる、
請求項10に記載の結束機。
【請求項12】
前記誘導部は、
前記第1の位置から前記第2の位置に移動したときに、保持部材により前記第2の位置に保持される、
請求項8又は9に記載の結束機。
【請求項13】
第1の本体部と、
第2の本体部と、
前記第1の本体部と前記第2の本体部とを連結する長尺状の連結部と、
を備え、
前記捩り部及び前記駆動部は、前記第2の本体部の内部に設けられ、
前記第1のガイド及び前記第2のガイドは、前記第2の本体部に連結された前記連結部とは反対側の端部に設けられ、
前記誘導部は、前記第1のガイド及び前記第2のガイドの少なくとも一方の先端側に設けられる
請求項2に記載の結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、結束機本体の先端側に設けた一対のガイドの内側に結束対象物である鉄筋を挿入し、一対のガイド部によりワイヤを癖付けして鉄筋の周囲に巻き回し、捩じることで、結束動作を行う結束機が利用されている。
【0003】
ここで、結束動作を確実に行うためには、一対のガイド部の内側の開口内に結束対象物である鉄筋を確実に差し込む必要がある。特に、結束機本体とハンドル部とを長尺状の連結部で連結した結束機では、作業者の視点からガイド部が離れているため、一対のガイド部の内側に鉄筋を確実に挿入できる構造であることが要求される。
【0004】
このような課題に対し、以下に示す技術が提案されている。例えば、ガイド部の第1のガイドの先端側に傾斜面を有する誘導部を設け、第1のガイドと第2のガイドとの間の挿抜口に鉄筋を容易に挿入できるようにした結束機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-41399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1等に開示される従来の結束機では、結束対象物である鉄筋と地面との隙間が狭い現場で作業する場合に、一対のガイド部の内側の開口内に鉄筋を挿入しようとすると、ガイド部の先端側が地面に接触してしまい、一対のガイド部の間の開口内の所定の位置に鉄筋を挿入することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、鉄筋などの結束対象物と地面との隙間が狭い現場でも、一対のガイド部の間の開口内に鉄筋を挿入することが可能な結束機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本開示は、ワイヤを送る送り部と、前記送り部で送られた前記ワイヤを結束対象物の周囲に巻き回すガイド部と、前記ガイド部で結束対象物に巻かれた前記ワイヤを捩じる捩り部と、前記結束対象物が突き当てられる当接部と、を備え、前記ガイド部は、前記当接部に突き当てられた前記結束対象物の周囲に沿ってワイヤを癖付けする第1のガイドと、前記第1のガイドで癖付けされた前記ワイヤを前記捩り部に案内する第2のガイドと、前記第1のガイド及び前記第2のガイドの少なくとも一方に設けられ、前記第1のガイドと前記第2のガイドとの間に前記結束対象物を誘導する誘導部と、を有し、前記誘導部は、前記当接部との間の距離が可変に構成される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、誘導部において当接部との間の距離が可変に構成されるので、結束対象物と地面との間隔が狭い場合でも、一対のガイド部の間に結束対象物を挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の側面図である。
図1B】第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の側面図である。
図1C】第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の正面図である。
図2A】第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の内部構成を示す側面図である。
図2B】第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の内部構成を示す側面図である。
図3】第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の内部構成の要部を示す側面図である。
図4A】第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図4B】第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図4C】第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図5】第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の分解斜視図である。
図6】第1の実施の形態に係る鉄筋結束機の動作を示す図である。
図7】第1の実施の形態の変形例に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図8A】第2の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図8B】第2の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図9】第2の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の分解斜視図である。
図10A】第3の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図10B】第3の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図10C】第3の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図11】第3の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の分解斜視図である。
図12A】第4の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図12B】第4の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図12C】第4の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の側面図である。
図13】第4の実施の形態に係る鉄筋結束機の誘導部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
(鉄筋結束機1Aの構成例)
図1A及び図1Bは、第1の実施の形態に係る鉄筋結束機1Aの側面図である。図1Cは、第1の実施の形態に係る鉄筋結束機1Aの正面図である。図2A及び図2Bは第1の実施の形態に係る鉄筋結束機1Aの内部構成を示す側面図であり、図3図2に示す鉄筋結束機1Aの内部構成の要部を示す側面図である。図4A図4Cは、第1の実施の形態に係る誘導部600の構成の一例を示す側面図である。図4Aは障害物である地面Gと鉄筋Sとの間隔が広い現場で作業を行う場合を示し、図4B及び図4Cは障害物である地面Gと鉄筋Sとの間隔が狭い現場で作業を行う場合を示す。図5は、第1の実施の形態に係る誘導部600の分解斜視図である。
【0013】
鉄筋結束機1Aは、作業者の足元の鉄筋Sを結束するため、ガイド部5を下に向け、作業者が立った状態で使用される。鉄筋結束機1Aは、図1Aから図1C等に示すように、手で持つことが可能に構成される第1の本体部301と、鉄筋SをワイヤWで結束するための機構を備えた第2の本体部302と、第1の本体部301と第2の本体部302を連結する長尺状の連結部303を備える。第1の本体部301は、作業者が把持可能な把持部の一例である一対のハンドル部304hL、304hRを備える。また、第1の本体部301には、鉄筋結束機1Aの電源の切断、投入の操作が行われる図示しない電源スイッチが設けられる。
【0014】
第2の本体部302は、図2A及び図3等に示すように、ワイヤWが巻かれたワイヤリール20を回転可能に収容する収容部2と、収容部2に収容されたワイヤリール20に巻かれたワイヤWを送る送り部3を備える。また、第2の本体部302は、送り部3で送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に沿うように癖付すると共に、癖付けしたワイヤWを捩り部7に案内するガイド部5を備える。更に、第2の本体部302は、ワイヤWを切断する切断部6と、ガイド部5で鉄筋Sの周囲に巻かれたワイヤWを捩る捩り部7と、切断部6及び捩り部7等を駆動する駆動部8を備える。
【0015】
鉄筋結束機1Aは、第2の本体部302の一方の側にガイド部5が設けられる。鉄筋結束機1Aは、第1の本体部301と第2の本体部302が連結部303で連結されることで、連結部303を備えていない鉄筋結束機と比較して、ガイド部5とハンドル部304hL、304hRとの間が延伸した形態となる。本実施の形態では、ガイド部5が設けられる側を前と定義する。
【0016】
図3に示すように、収容部2は、ワイヤリール20の着脱及び支持が可能に構成される。送り部3は、送り部材としての一対の送りギア30を備える。送り部3は、ワイヤWが一対の送りギア30の間に挟持された状態で、図示しないモータが送りギア30を回転させることでワイヤWを送る。送り部3は、送りギア30の回転方向に応じて、ワイヤWを矢印Fで示す正方向と、矢印Rで示す逆方向の両方に送ることが可能である。
【0017】
切断部6は、矢印Fで示すワイヤWの正方向への送りに対し、送り部3の下流側に設けられる。切断部6は、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する可動刃部61を備える。また、切断部6は、駆動部8の動きを可動刃部61に伝達する伝達機構62を備える。
【0018】
固定刃部60は、ワイヤWが通る開口60aを備える。可動刃部61は、固定刃部60を支点とした回転動作で、固定刃部60の開口60aを通るワイヤWを切断する。
【0019】
また、図3及び図4A等に示すように、ガイド部5は、送り部3で送られたワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す。ガイド部5は、後述する当接部11に突き当てられる鉄筋Sの周囲に沿うようにワイヤWを癖付けして案内する第1のガイド51と、第1のガイド51で癖付けされたワイヤWを捩り部7に案内する第2のガイド52と、鉄筋Sを挿抜口(開口)53に誘導する誘導部600とを備える。なお、誘導部600の詳細については後述する。
【0020】
第1のガイド51は、第2の本体部302の前側の端部に取り付けられ、矢印A1で示す前後方向である第1の方向に延びる。第1のガイド51において、第2の本体部302に取り付けられる側を基端側、第2の本体部302から前側に延びる側を先端側としたとき、基端側が第2の本体部302にネジ等によって取り付けられる。また、第1のガイド51は、送り部3で送られるワイヤWが摺接するガイド面51gを有した溝部51hを備える。
【0021】
第1のガイド51は、規制部40を有する。規制部40は、第1の規制部材が上述した固定刃部60で構成される。また、規制部40は、矢印Fで示すワイヤWの正方向への送りに対し、固定刃部60の下流側に、規制部材42を備え、規制部材42の下流側に、規制部材43を備える。規制部材42及び規制部材43は、円柱状の部材で構成され、外周面にワイヤWが接する。これにより、送り部3で送られるワイヤWが、固定刃部60、規制部材42及び規制部材43に接しながら通過することでワイヤWに巻き癖が付けられる。
【0022】
規制部40は、駆動部8の動きを規制部材42に伝達する伝達機構44を備える。規制部材42は、送り部3でワイヤWを正方向に送りワイヤWに巻き癖を付けるときはワイヤWが接する場所に位置し、ワイヤWを逆方向に送り鉄筋SにワイヤWを巻き付ける動作でワイヤWと接しない位置に移動可能に構成される。
【0023】
第2のガイド52は、第2の本体部302の前側の端部に取り付けられる。第2のガイド52は、第1の方向と直交する上下方向である矢印A2に示す第2の方向に、第1のガイド51と対向して設けられる。第1のガイド51と第2のガイド52との間は、第2の方向に沿って所定の間隔が空けられ、第1のガイド51と第2のガイド52との間に鉄筋Sが挿抜される挿抜口53が形成される。
【0024】
第2のガイド52は、軸52bを支点として第2の本体部302に対して回動可能である。第2のガイド52は、矢印A2で示す第2の方向に第1のガイド51に対して近づく方向及び離れる方向に移動可能である。
【0025】
第2のガイド52は、一対のコンタクト部材9L,9Rと連動して、軸52bを支点とした回動で、第1のガイド51に対して開いた開位置と、開位置よりも第1のガイド51に近づいた閉位置との間を移動可能である。第2のガイド52が開位置にある場合には、第1のガイド51と第2のガイド52との間隔が広がるので、挿抜口53に鉄筋を入れることがより容易になる。第2のガイド52は、開位置へ移動する方向へ、捩じりコイルバネ等で構成される付勢部材54により付勢され、開位置へ移動した状態が保持される。
【0026】
捩り部7は、図3に示すように、ワイヤWが係合する係合部70と、係合部70を作動させる作動部71を備える。係合部70は、送り部3で切断部6に送られたワイヤWが通る第1の通路と、規制部40で巻き癖が付けられ、ガイド部5で捩り部7に案内されたワイヤWが通る第2の通路が形成される。係合部70は、作動部71の動作で回転することで、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる。
【0027】
駆動部8は、図2A及び図3等に示すように、捩り部7等を駆動する捩りモータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81と、減速機81を介して捩りモータ80に駆動されて回転する回転軸82と、切断部6及び規制部材42に駆動力を伝達する移動部材83とを備える。捩り部7と駆動部8は、回転軸82と、作動部71及び係合部70の回転中心が同軸上に配置される。回転軸82と、作動部71及び係合部70の回転中心を軸線Axと称す。本例では、矢印A1で示す第1の方向が、軸線Axに沿った方向である。
【0028】
駆動部8は、回転軸82の回転動作で、回転軸82の軸方向に沿って作動部71を移動させる。作動部71が回転軸82の軸方向に沿って移動することで、係合部70は、ガイド部5で捩り部7に案内されたワイヤWの先端側を保持する。
【0029】
駆動部8は、作動部71が回転軸82の軸方向に沿って移動する動作と連動して、移動部材83が回転軸82の軸方向に沿って移動することで、移動部材83の動きが伝達機構44で規制部材42に伝達され、規制部材42がワイヤと接しない位置に移動する。更に、作動部71が回転軸82の軸方向に沿って移動することで、移動部材83の動きが伝達機構62で可動刃部61に伝達され、可動刃部61が作動してワイヤWが切断される。
【0030】
駆動部8は、回転軸82の軸方向に沿って移動させた作動部71を、回転軸82の回転動作で回転させる。作動部71は、回転軸82の軸回りに回転することで、係合部70でワイヤWを捩じる。
【0031】
また、鉄筋結束機1Aは、コンタクト部材9L,9Rと、リンク部材96と、当接部11とを備える。
【0032】
コンタクト部材9L,9Rは、図1及び図2A等に示すように、第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53に挿入された結束対象物である鉄筋Sが当接する。コンタクト部材9Lは第2の本体部302の一方の側部に設けられ、コンタクト部材9Rは第2の本体部302の他方の側部に設けられる。コンタクト部材9L,9Rは、矢印A1で示す第1の方向に沿って移動可能に設けられ、当接部11から挿抜口53側に突出する待機位置(図4B参照)と、当接部11に近い位置であって第2のガイド52を閉位置に移動させる作動位置(図4C参照)との間を移動する。
【0033】
リンク部材96は、コンタクト部材9L,9Rの動きを第2のガイド52に伝達する。リンク部材96は、コンタクト部材9L,9Rが作動位置に移動すると、軸97を支点として回動することで第2のガイド52を挿抜口53の開口幅を狭くする閉位置に移動させる。
【0034】
当接部11は、第2の本体部302の前側の端部から第2の本体部302の左右両側にかけて取り付けられ、第2の本体部302の前側の端部を覆う。当接部11には、挿抜口53に挿入された鉄筋Sによって押されたコンタクト部材9L,9Rが作動位置に移動したときに鉄筋S等が突き当てられる。当接部11は、金属の板材等で構成され、第1のガイド51の基端側と第2のガイド52の基端側との間で、第2の本体部302の前側の端部の一部または全部と、第2の本体部302の前側の左右両側の一部を覆う形状である。第2の本体部302が樹脂で構成されるのに対し、当接部11が金属で構成されることで、コンタクト部材9L,9R及び鉄筋Sが当接部11に突き当てられても、当接部11の磨耗を低減することができる。
【0035】
(誘導部600の構成例)
次に、第1の実施の形態に係る誘導部600の構成の一例について説明する。
【0036】
誘導部600は、図4A等に示すように、第1のガイド51の先端側に設けられ、結束する鉄筋Sを拾い込んで第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53内に誘導、案内する。誘導部600は、地面Gに接触可能に設けられる先端部600aと、第2のガイド52と対向する側(挿抜口53側)に設けられる誘導面600bとを有する。先端部600aは、作業現場の床面等を傷付けないように、エッジ形状ではない、例えば湾曲形状に形成される。誘導面600bは、誘導部600の基端側から先端側に向かって挿抜口53の開口幅が広くなるように傾斜しており、鉄筋Sを拾い込み易い形状となっている。
【0037】
また、誘導部600は、障害物である地面Gと鉄筋Sとの間隔が狭い現場で作業を行う場合に、先端部600aが地面Gに押し当たることで回動し、第1のガイド51に対する突出量を可変できるように構成される。つまり、誘導部600は、結束対象物である鉄筋Sと地面Gとの間隔に応じて、第2の本体部302の当接部11との間の距離を可変できるように構成される。
【0038】
具体的には、図4Aに示すように、鉄筋Sと地面Gとの間隔が広い現場で作業する場合、誘導部600は、先端部600aと当接部11との間の距離が第1の距離D1となる第1の位置P1に位置し、誘導部600の第1のガイド51に対する突出量が大きくなる。これに対し、図4B及び図4Cに示すように、鉄筋Sと地面Gとの間隔が狭い現場で作業する場合、誘導部600は、先端部600aと当接部11との間の距離が第1の距離D1よりも短い第2の距離D2となる第2の位置P2に回動し、誘導部600の第1のガイド51に対する突出量が小さくなる。
【0039】
誘導部600は、図5に示すように、例えば対向して配置された一対の平板で構成され、ガイドカバー51bの外側に嵌め込まれる。ガイドカバー51bも誘導部600と同様に、例えば対向して配置された一対の平板から構成され、ガイドアーム51aの外側に嵌め込まれる。なお、ガイドアーム51a及びガイドカバー51bは、第1のガイド51を構成する。
【0040】
誘導部600には、第1の位置P1と第2の位置P2との間を移動可能に案内するための長孔610が形成される。長孔610は、略円弧状に形成され、誘導部600の移動範囲を第1の位置P1と第2の位置P2との間に規制する。
【0041】
誘導部600の長孔610、ガイドカバー51bの孔500及びガイドアーム51aの孔502には、ピン630が一方の側方から他方の側方に向かって挿入される。ピン630の他端部には、ピン630の軸方向への抜けを防止する止め具632が取り付けられる。また、ガイドカバー51bの板間には、後述するねじりコイルバネ650を支持するためのピン640が取り付けられる。
【0042】
誘導部600の孔660及びガイドカバー51bの孔504には、一方の側方から他方の側方に向かってピン620が挿入される。ピン620の他端部には、ピン620の軸方向への抜けを防止する止め具622が取り付けられる。誘導部600は、ピン620を支点としてガイドカバー51b(第1のガイド51)に対して長孔610に沿うように回動する。先端部600aは、回動の支点となるピン620よりも挿抜口53側に設けられる。
【0043】
ガイドカバー51bの板間には、ねじりコイルバネ650が設けられる。ねじりコイルバネ650の中心軸にはピン620が挿入され、ねじりコイルバネ650の固定点はピン640に取り付けられ、ねじりコイルバネ650の荷重点は誘導面600bの対向側に設けられる作用部602に当接する。誘導部600は、ねじりコイルバネ650によってピン620を支点として時計回りの矢印A3の方向(図4B参照)に付勢され、第1の位置P1で保持される。
【0044】
(鉄筋結束機1Aの動作例)
次に、鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。図6は、第1の実施の形態に係る鉄筋結束機1Aの動作の一例を示す図である。以下では、鉄筋Sと地面Gとの間隔が狭い作業現場で結束作業を行う場合について図1A図6を参照しながら説明する。
【0045】
作業者は、ハンドル部304hR及びハンドル部304hLを把持して立ち姿勢となり、例えば2本の鉄筋Sの交差箇所にガイド部5を位置合わせする。続けて、図4Bに示すように、挿抜口53に鉄筋Sを入れる方向へ鉄筋結束機1Aを移動させる動作で、誘導部600の先端部600aを地面Gに押し付ける。
【0046】
この押し付け動作により、図4C及び図5に示すように、誘導部600の先端部600aがねじりコイルバネ650の弾性力に抗して第2の本体部302側に移動する。具体的には、誘導部600がピン620を支点として長孔610に沿うように矢印A4の方向に回動し、誘導部600の先端部600aが第1の位置P1から第2の位置P2に移動する。これにより、誘導部600の第1のガイド51の先端側からの突出量を少なくでき、鉄筋Sを挿抜口53に挿入できるようになる。
【0047】
図4C図6に示すように、挿抜口53に鉄筋Sが挿入され、挿抜口53に鉄筋Sを入れる方向へ鉄筋結束機1Aを移動させる動作で鉄筋Sがコンタクト部材9Lに押し付けられると、コンタクト部材9Lが作動位置に移動する。これに伴い、リンク部材96が回動し、第2のガイド52が開位置から第1のガイド51に近づく閉位置に移動する。
【0048】
第2のガイド52が閉位置に移動すると、送りモータが正方向に回転し、送りギア30が正方向に回転することでワイヤWが矢印Fに示す正方向に送られる。送り部3で正方向に送られるワイヤWは、固定刃部60、規制部材42、規制部材43と、第1のガイド51のガイド面51gに接することで円弧状に曲げられ、略円を描く巻き癖が付けられる。
【0049】
第1のガイド51の規制部40により巻き癖が付けられたワイヤWは、第2のガイド52及び捩り部7の係合部70に案内される。ワイヤWの先端部が所定の位置まで送られると、図示しない送りモータが停止し、ワイヤWが鉄筋Sの周囲に巻かれた状態となる。
【0050】
送りモータの停止後、捩りモータ80が正方向に回転し、作動部71の動作に伴って係合部70によりワイヤWの先端側が保持される。係合部70でワイヤWが保持されると、捩りモータ80が停止し、送りモータが逆方向に回転される。送りモータが逆方向に回転すると、送りギア30が逆方向に回転し、ワイヤWが矢印Rに示す逆方向に送られる。これにより、ワイヤWが鉄筋Sに密着されるようにして巻き付けられる。
【0051】
ワイヤWが鉄筋Sに巻き付けられると、送りモータの回転が停止し、捩りモータ80が正方向に回転する。これに伴い、移動部材83により伝達機構62を介して可動刃部61が作動し、ワイヤWが切断される。
【0052】
ワイヤWが切断された後、捩りモータ80の正方向の回転を継続することで係合部70が回転し、ワイヤWが捩じられる。ワイヤWが結束されると、捩りモータ80が逆方向に回転される。これにより、係合部70が初期位置に復帰し、ワイヤWの保持が解除される。このような一連の動作により、結束動作が実行される。
【0053】
結束動作が終了すると、作業者は、鉄筋Sを挿抜口53から抜く方向(地面Gから離れる方向)に鉄筋結束機1Aを移動させる。これに伴い、誘導部600の先端部600aが地面Gから離れることで、図4Bに示すように、ねじりコイルバネ650の付勢力により誘導部600がピン620を支点として矢印A3方向に回動し、誘導部600が第2の位置P2から第1の位置P1に戻る。また、鉄筋Sを挿抜口53から抜く方向へ鉄筋結束機1Aを移動させる動作で、鉄筋Sによるコンタクト部材9Lを押す力が掛からなくなると、第2のガイド52は、付勢部材54の付勢力で第1のガイド51から離れる方向に移動して開位置に戻る。
【0054】
第1の実施の形態によれば、鉄筋Sと地面Gとの間の間隔が狭い現場で作業を行う場合には、誘導部600の地面Gへの押し付け動作により誘導部600を回動させることで、誘導部600の第1のガイド51の先端側からの突出量を小さくできる。これにより、第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53に鉄筋Sを確実に挿入することができ、鉄筋Sによりコンタクト部材9L,9Rを押圧することで結束動作を確実に開始させることができる。
【0055】
また、従来では、鉄筋Sと地面Gとの間の間隔が狭い現場の場合に、ガイド部5全体の軸線Ax方向の長さを短くするために、誘導部600を第1のガイド51から取り外す交換作業を行う必要があった。これに対し、第1の実施の形態によれば、誘導部600の当接部11に対する軸線Ax方向の長さを可変できるため、誘導部600を交換する作業が不要となり、作業負担の軽減を図ることができる。また、誘導部600の交換作業時の部品の紛失も回避できる。また、交換を前提とした機構が不要となるため、誘導部600を第1のガイド51に対して強固に取り付けることができる。
【0056】
なお、上述した実施の形態では、鉄筋Sと地面Gとの間隔が狭い現場で作業を行う場合、誘導部600を障害物である地面Gに押し付けて誘導部600の先端部600aを第1の位置P1から第2の位置P2に移動させたが、誘導部600を地面Gに接触させることが推奨されない作業現場では誘導部600を作業者が手動で回動操作するようにしても良い。
【0057】
例えば、コンクリート(地面G)に養生用のシートやテープ等(以下、養生シート等という)が敷かれている作業現場では、誘導部600の先端部600aを養生シート等に接触させると、養生シート等を損傷させてしまう場合がある。そのため、養生シート等が敷かれている作業現場においては、誘導部600を地面Gに接触させずに結束作業を実施する必要がある。
【0058】
図7は、第1の実施の形態の変形例に係る誘導部600の使用状態を示す図である。
【0059】
鉄筋Sと地面Gとの間隔が狭く、コンクリート等の地面Gに養生シート等が敷かれている場合、図7に示すように、作業者は、結束作業を開始する前に、先端部600aを第1の位置P1から第2の位置に回動させる。続けて、保持部材であるネジ670をガイドカバー51bの孔508から取り外し(図4C参照)、取り外したネジ670を誘導部600の孔662及びガイドカバー51bの孔506に取り付ける(図5参照)。これにより、誘導部600が第2の位置P2で保持、固定される。誘導部600を第2の位置P2に固定させたら、例えば2本の鉄筋Sの交差箇所にガイド部5を位置合わせし、挿抜口53に鉄筋Sを挿入することで結束動作を実施する。このように、結束動作の開始前に誘導部600を回動させることで、養生シート等の損傷を回避できる。
【0060】
また、上述した説明では、誘導部600を可変させたときの距離の基準を当接部11としたが、例えば駆動部8を基準としても良く、捩りモータ80を基準としても良い。誘導部600は、図2A及び図2Bに示すように、結束対象物である鉄筋Sと地面Gとの間隔に応じて、第2の本体部302内に設けられた捩りモータ80との間の距離を可変できるように構成される。
【0061】
具体的には、鉄筋Sと地面Gとの間隔が広い現場で作業する場合、図2Aに示すように、誘導部600は、先端部600aと捩りモータ80との間の距離が第1の距離F1となる第1の位置P1に位置し、誘導部600の第1のガイド51に対する突出量が大きくなる。これに対し、鉄筋Sと地面Gとの間隔が狭い現場で作業する場合、図2Bに示すように、誘導部600は、先端部600aと捩りモータ80との間の距離が第1の距離F1よりも短い第2の距離F2となる第2の位置P2に回動し、誘導部600の第1のガイド51に対する突出量が小さくなる。
【0062】
また、誘導部600を可変させたときの距離の基準を上述した当接部11等に代えて、例えば把持部であるハンドル部304hL,304hRを基準としても良い。誘導部600は、図1A及び図1Bに示すように、結束対象物である鉄筋Sと地面Gとの間隔に応じて、第1の本体部301の把持部であるハンドル部304hL,304hRとの間の距離を可変できるように構成される。
【0063】
具体的には、鉄筋Sと地面Gとの間隔が広い現場で作業する場合、図1Aに示すように、誘導部600は、先端部600aとハンドル部304hL,304hR、との間の距離が第1の距離E1となる第1の位置P1に位置し、誘導部600の第1のガイド51に対する突出量が大きくなる。これに対し、鉄筋Sと地面Gとの間隔が狭い現場で作業する場合、図1Bに示すように、誘導部600は、先端部600aとハンドル部304hL,304hRとの間の距離が第1の距離E1よりも短い第2の距離E2となる第2の位置P2に回動し、誘導部600の第1のガイド51に対する突出量が小さくなる。
【0064】
また、誘導部600を可変させたときの距離の基準を上述した当接部11等に代えて例えば第1のガイドであるガイドアーム51aの先端部51a1を基準としても良い。誘導部600は、図4A及び図4Cに示すように、結束対象物である鉄筋Sと地面Gとの間隔に応じて、第2の本体部302に設けられたガイドアーム51aの先端部51a1との間の距離を可変できるように構成される。
【0065】
具体的には、鉄筋Sと地面Gとの間隔が広い現場で作業する場合、図4Aに示すように、誘導部600は、先端部600aとガイドアーム51aの先端部51a1との間の距離が第1の距離H1となる第1の位置P1に位置し、誘導部600の第1のガイド51に対する突出量が大きくなる。これに対し、鉄筋Sと地面Gとの間隔が狭い現場で作業する場合、図4Cに示すように、誘導部600は、先端部600aとガイドアーム51aの先端部51a1との間の距離が第1の距離H1よりも短い第2の距離H2となる第2の位置P2に回動し、誘導部600の第1のガイド51に対する突出量が小さくなる。
【0066】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係る鉄筋結束機1Aでは、誘導部700を軸線Axに対して略平行に移動可能に構成する点において、第1の実施の形態に係る鉄筋結束機1Aの誘導部600とは相違する。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と共通する構成及び動作については、第1の実施の形態の説明を引用することで重複する説明を省略する。
【0067】
(誘導部700の構成例)
図8A及び図8Bは、第2の実施の形態に係る誘導部700の構成の一例を示す側面図である。図9は、第2の実施の形態に係る誘導部700の分解斜視図である。
【0068】
誘導部700は、図8A等に示すように、第1のガイド51の先端側に設けられ、結束する鉄筋Sを拾い込んで第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53内に誘導、案内する。誘導部700は、地面Gに接触可能に設けられる先端部700aと、第2のガイド52と対向する側に設けられる誘導面700bとを有する。誘導面700bは、誘導部700の基端側から先端側に向かって挿抜口53の開口幅が広くなるように傾斜しており、鉄筋Sを拾い込み易い形状となっている。
【0069】
また、誘導部700は、障害物である地面Gと鉄筋Sとの間隔が狭い現場で作業を行う場合に、先端部700aが地面Gに押し当たることで軸線Axに略平行にスライド移動し、第1のガイド51に対する突出量を可変できるように構成される。つまり、誘導部700は、結束対象物である鉄筋Sと地面Gとの間隔に応じて、第2の本体部302の当接部11との間の距離を可変できるように構成される。
【0070】
具体的には、鉄筋Sと地面Gとの間隔が広い現場で作業する場合、図8Aに示すように、誘導部700は、先端部700aと当接部11との間の距離が第1の距離D1となる第1の位置P1に位置し、誘導部700の第1のガイド51に対する突出量が大きくなる。これに対し、鉄筋Sと地面Gとの間隔が狭い現場で作業する場合、図8Bに示すように、誘導部700の先端部700aが地面Gに押し当たることで誘導部700は、先端部700aと当接部11との間の距離が第1の距離D1よりも短い第2の距離D2となる第2の位置P2にスライド移動し、誘導部700の第1のガイド51に対する突出量が小さくなる。
【0071】
図9に示すように、誘導部700は、例えば対向して配置された一対の平板から構成され、ガイドカバー51b,51bの外側に嵌め込まれる。ガイドカバー51b,51bは、例えば対向して配置された一対の平板であり、ガイドアーム51aを介してピン530,532により連結される。なお、ガイドアーム51a及びガイドカバー51bは、第1のガイド51を構成する。
【0072】
ガイドカバー51b,51bには、第1の位置P1と第2の位置P2との間で誘導部600を移動可能に支持するための第1の長孔522及び第2の長孔520がそれぞれ形成される。第1の長孔522及び第2の長孔520は、軸線Axに略平行でかつ前後方向に並んで形成され、誘導部700の移動範囲を第1の位置P1と第2の位置P2との間に規制する。
【0073】
誘導部700の孔740及びガイドカバー51b、51bの第2の長孔520には、一方の側方から他方の側方に向かってピン720が挿入される。ピン720の両端部のそれぞれには、ピン720の軸方向への抜けを防止する止め具722,723が取り付けられる。
【0074】
ガイドカバー51b,51bの第1の長孔522には、一方の側方から他方の側方に向かってピン710が挿入される。誘導部700の凹部724には、ピン710のガイドカバー51bから外側に露出した部位が係合(嵌合)される。第1の長孔522に挿入されたピン710の両端部のそれぞれには、ピン710の軸方向への抜けを防止する止め具712,713が取り付けられる。
【0075】
ガイドカバー51b,51b間には、引張りバネ730が設けられる。引張りバネ730の一端部はピン710に取り付けられ、引張りバネ730の他端部はピン530に取り付けられる。これにより、図8A及び図9に示すように、ピン710が引張りバネ730によりコンタクト部材9Lとは反対側の矢印B1の方向に付勢され、ピン710に係合された誘導部700が矢印B1の方向に押圧されることで第1の位置P1で保持される。
【0076】
(誘導部700の動作例)
次に、第2の実施の形態に係る誘導部700の動作の一例について説明する。なお、通常の状態では、図8Aに示すように、誘導部700は引張りバネ730の付勢力により第1の位置P1に位置する。
【0077】
地面Gと鉄筋Sとの間隔が狭い場合で結束作業を行う場合、誘導部700の軸線Ax方向における第1のガイド51の先端側からの突出量を小さくするために、誘導部700を第1の位置P1から第2の位置P2にスライド移動させる。具体的には、作業者は、例えば2本の鉄筋Sの交差箇所にガイド部5を位置合わせし、挿抜口53に鉄筋Sを入れる方向へ鉄筋結束機1Bを移動させる動作で誘導部700の先端部700aを地面Gに押し付ける。
【0078】
この押し付け動作により、図8Bに示すように、誘導部700の凹部742によってピン710が矢印B2の方向に付勢され、引張りバネ730が伸張することでピン710が第1の長孔522に沿って移動する。誘導部700は、第1のガイド51に対してコンタクト部材9L側の矢印B2の方向に相対的に移動し、先端部700aが第1の位置P1から第2の位置P2に移動する。これにより、誘導部700の軸線Ax方向における第1のガイド51の先端側からの突出量を小さくでき、鉄筋Sを挿抜口53に挿入してコンタクト部材9Lを確実に押圧することができるようになる。
【0079】
一方、鉄筋Sの結束動作の終了により鉄筋結束機1Cが地面Gから離れる方向に持ち上げられ、先端部700aが地面Gから離間すると、引張りバネ730が圧縮して元の状態に戻り、ピン710が矢印B1(図8A参照)の方向に付勢される。これに伴い、ピン710と共に誘導部700が第1のガイド51に対して矢印B1の方向に相対的にスライド移動し、先端部700aが第2の位置P2から第1の位置P1に戻る。
【0080】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができる。具体的には、鉄筋Sと地面Gとの間の間隔が狭い現場で作業を行う場合には、誘導部700の地面Gへの押し付け動作により誘導部700をスライド移動させることで、誘導部700の第1のガイド51の先端側からの突出量を小さくできる。これにより、第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53に鉄筋Sを確実に挿入でき、鉄筋Sによりコンタクト部材9L,9Rを押圧できる。
【0081】
なお、第2の実施の形態では、誘導部700の可変させたときの距離の基準を当接部11としたが、これに限定されることはなく、第1の実施の形態で説明したように、駆動部8、把持部であるハンドル部304hL,304hR又はガイドアーム51aの先端部51a1を基準としても良い。
【0082】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態の鉄筋結束機1Cでは、誘導部800を手動で軸線Axに直交する方向に設けた軸(ピン860)に対して回動可能に構成する点において、第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aの誘導部600等とは相違する。なお、第3の実施の形態において、第1の実施の形態と共通する構成及び動作については、第1の実施の形態の説明を引用することで重複する説明を省略する。
【0083】
(誘導部800の構成例)
図10A図10Cは、第3の実施の形態に係る誘導部800の構成の一例を示す側面図である。図11は、第3の実施の形態に係る誘導部800の分解斜視図である。
【0084】
誘導部800は、図10A等に示すように、第1のガイド51の先端側に設けられ、結束する鉄筋Sを拾い込んで第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53内に誘導、案内する。誘導部800は、地面Gに接触可能に設けられる先端部800aと、第2のガイド52と対向する側に設けられる誘導面800bとを有する。誘導面800bは、誘導部800の基端側から先端側に向かって挿抜口53の開口幅が広くなるように傾斜しており、鉄筋Sを拾い込み易い形状となっている。
【0085】
また、誘導部800は、障害物である地面Gと鉄筋Sとの間隔が狭い現場で作業を行う場合に、作業者が手動で誘導部800を軸線Axに直交する軸(ピン860)を支点として回動させることで、第1のガイド51に対する突出量を可変できるように構成される。つまり、誘導部800は、結束対象物である鉄筋Sと地面Gとの間隔に応じて、第2の本体部302の当接部11との間の距離を可変できるように構成される。
【0086】
具体的には、鉄筋Sと地面Gとの間隔が広い現場で作業する場合、誘導部800は、図10Aに示すように、先端部800aと当接部11との間の距離が第1の距離D1となる第1の位置P1に位置し、誘導部800の第1のガイド51に対する突出量が大きくなる。これに対し、鉄筋Sと地面Gとの間隔が狭い現場で作業する場合、図10Cに示すように、誘導部800は、先端部800aと当接部11との間の距離が第1の距離D1よりも短い第2の距離D2となる第2の位置P2に回動し、誘導部800の第1のガイド51に対する突出量が小さくなる。
【0087】
図11に示すように、誘導部800は、例えば対向して配置された一対の平板で構成され、ガイドカバー51bの外側に嵌め込まれる。ガイドカバー51bも誘導部800と同様に、例えば対向して配置された一対の平板で構成され、ガイドアーム51aの外側に嵌め込まれる。なお、ガイドアーム51a及びガイドカバー51bは、第1のガイド51を構成する。
【0088】
誘導部800は、第1の位置P1にある場合に後述するピン850(被係合部)に係合可能な第1の係合部810と、第2の位置P2にある場合にピン850に係合可能な第2の係合部820とを有する。第1の係合部810及び第2の係合部820は、例えば、凹部からなり、誘導部800の端縁部にそれぞれ形成される。
【0089】
ガイドカバー51bには、第1の係合部810及び第2の係合部820の係合状態を解除することが可能な位置に誘導部800を移動させるための長孔540が形成される。長孔540は、ピン850の頭部(被係合部)850bが挿入可能な大きさを有する第1の孔540aと、ピン850の軸部850aを移動可能に支持するための第2の孔540bとから構成される。
【0090】
ガイドカバー51bの孔544には、一方の側方から他方の側方に向かってピン880が挿入される。ガイドアーム51aの凹部542には、ピン880のガイドカバー51bの内側に露出した部位が係合(嵌合)される。
【0091】
誘導部800の孔830及びガイドカバー51bの孔546には、一方の側方から他方の側方に向かってピン860が挿入される。ピン860の他方の端部には、ピン860の軸方向への抜けを防止する止め具862が取り付けられる。これにより、誘導部800は、ピン860を支点としてガイドカバー51bに対して回動可能となっている。
【0092】
ガイドカバー51bの長孔540には、一方の側方から他方の側方に向かってピン850が挿入される。ピン850の軸部850aは、長孔540に沿って移動可能に支持される。ピン850の頭部850bは、作業者が把持可能なように、ガイドカバー51bの左右の側面から露出するようにガイドカバー51bに取り付けられる。
【0093】
ガイドカバー51bの板間には、引張りバネ870が設けられる。引張りバネ870の一端部はピン860に取り付けられ、引張りバネ870の他端部はピン850に取り付けられる。これにより、ピン850は、引張りバネ870の弾性力により、誘導部800の第1の係合部810側及び第2の係合部820側に付勢され、誘導部800の第1の係合部810等に対するピン850による係合状態が保持される。
【0094】
(誘導部800の動作例)
次に、第3の実施の形態に係る誘導部800の動作の一例について説明する。なお、通常の状態では、図10Aに示すように、誘導部800は第1の係合部810にピン850が係合することで第1の位置P1に位置にある。
【0095】
地面Gと鉄筋Sとの間隔が狭い場合で結束作業を行う場合、誘導部800の軸線Ax方向における第1のガイド51の先端側からの突出量を小さくするために、誘導部800を第1の位置P1から第2の位置P2に手動で回動させる。
【0096】
作業者は、ピン850の頭部850bを把持し、図10Aに示すように、ピン850を引張りバネ870の弾性力に抗して誘導部800のコンタクト部材9L側の矢印C1の方向に引っ張る。これにより、ピン850が長孔540に沿って矢印C1の方向に移動し、図10Bに示すように、誘導部800の第1の係合部810のピン850に対する係合状態が解除される。
【0097】
続けて、作業者は、図10B及び図10Cに示すように、ピン850を引っ張った状態、つまり、第1の係合部810の係合が解除された状態を維持し、誘導部800をピン860を支点として先端部800aを挿抜口53側の反時計回り(矢印C3の方向)に回動させる。
【0098】
第2の係合部820をピン850の係合位置まで移動させたら、ピン850の頭部850bを離す又はピン850の頭部850bを把持する力を緩める。これにより、引張りバネ870が圧縮して元の状態に戻り、ピン850が矢印C2の方向の第2の係合部820側に移動することで、第2の係合部820にピン850が係合される。このような作業者の操作により、先端部800aを第1の位置P1から第2の位置P2に移動させることで、誘導部800の軸線Ax方向における第1のガイド51の先端側からの突出量を小さくでき、鉄筋Sを挿抜口53に挿入してコンタクト部材9Lを確実に押圧することができるようになる。
【0099】
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができる。例えば、鉄筋Sと地面Gとの間の間隔が狭い現場で作業を行う場合には、結束動作の前に手動で誘導部800を回動操作することで、誘導部800の第1のガイド51の先端側からの突出量を小さくできる。これにより、第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53に鉄筋Sを確実に挿入でき、鉄筋Sによりコンタクト部材9L,9Rを押圧できる。
【0100】
なお、第3の実施の形態では、誘導部800の可変させたときの距離の基準を当接部11としたが、これに限定されることはなく、第1の実施の形態で説明したように、駆動部8、把持部であるハンドル部304hL,304hR又はガイドアーム51aの先端部51a1を基準としても良い。
【0101】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態の鉄筋結束機1Dでは、誘導部900を手動で軸線Axに直交する方向に設けた軸(ピン950)に対して回動可能に構成する点において、第1の実施の形態の鉄筋結束機1Aの誘導部600等とは相違する。なお、第4の実施の形態において、第1の実施の形態と共通する構成及び動作については、第1の実施の形態の説明を引用することで重複する説明を省略する。
【0102】
(誘導部900の構成例)
図12A図12Cは、第4の実施の形態に係る誘導部900の構成の一例を示す側面図である。図13は、第4の実施の形態に係る誘導部900の分解斜視図である。
【0103】
誘導部900は、図12A等に示すように、第1のガイド51の先端側に設けられ、結束する鉄筋Sを拾い込んで第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53内に誘導、案内する。誘導部900は、地面Gに接触可能に設けられる先端部900aと、第2のガイド52と対向する側に設けられる誘導面900bとを有する。誘導面900bは、誘導部900の基端側から先端側に向かって挿抜口53の開口幅が広くなるように傾斜しており、鉄筋Sを拾い込み易い形状となっている。
【0104】
また、誘導部900は、障害物である地面Gと鉄筋Sとの間隔が狭い現場で作業を行う場合に、作業者が軸線Axに直交する軸(後述するピン950)を支点として誘導部800を手動で回動させることで、第1のガイド51に対する突出量を可変できるように構成される。つまり、誘導部900は、結束対象物である鉄筋Sと地面Gとの間隔に応じて、第2の本体部302に設けられる当接部11との間の距離を可変できるように構成される。
【0105】
具体的には、鉄筋Sと地面Gとの間隔が広い現場で作業する場合、図12A等に示すように、誘導部900は、先端部900aと当接部11との間の距離が第1の距離D1となる第1の位置P1に位置し、誘導部900の第1のガイド51に対する突出量が大きくなる。これに対し、鉄筋Sと地面Gとの間隔が狭い現場で作業する場合、図12Cに示すように、誘導部600は、先端部900aと当接部11との間の距離が第1の距離D1よりも短い第2の距離D2となる第2の位置P2に回動し、誘導部900の第1のガイド51に対する突出量が小さくなる。
【0106】
図13に示すように、誘導部900は、第1の位置P1にある場合にピン930に形成された頭部(被係合部)930bに係合可能な第1の係合部910と、第2の位置P2にある場合にピン930の頭部930bに係合可能な第2の係合部920とを有する。第1の係合部910及び第2の係合部920は、凹部からなり、誘導部900の端縁部にそれぞれ形成される。
【0107】
ガイドカバー51bには、第1の係合部810及び第2の係合部820の係合状態を解除することが可能な位置に誘導部800を移動させるための長孔580が形成される。長孔580の長手方向は、軸線Axに略平行である。
【0108】
誘導部900は、例えば対向して配置された一対の平板から構成され、ガイドカバー51bの外側に嵌め込まれる。ガイドカバー51bも誘導部800と同様に、例えば対向して配置された一対の平板から構成され、ガイドアーム51aの外側に嵌め込まれる。
【0109】
ガイドカバー51bには、ピン940が挿入される。ガイドアーム51aの凹部582には、ピン940のガイドカバー51bの内側に露出する部位が係合される。
【0110】
ガイドカバー51bには、一方の側方から他方の側方に向かってピン930が挿入される。ピン930の一端部には、軸部よりも大きな径を有する頭部(被係合部)930bが設けられる。頭部930bは、ガイドカバー51bの一方の側面から露出し、第1の係合部910及び第2の係合部920が係合可能である。ピン930の他端部には、ピン930の抜けを防止する止め具932が取り付けられる。また、その他端部は、カラー933によって保持される。
【0111】
ガイドカバー51bの長孔580及び誘導部900の孔960には、一方の側方から他方の側方に向かってピン950が挿入される。ピン950の他端部には、ピン950の抜けを防止する止め具952が取り付けられる。誘導部900は、第1の位置P1と第2の位置P2との間を、ピン950を支軸としてガイドカバー51bの長孔580に沿って移動可能となっている。
【0112】
ガイドカバー51bの板間には、引張りバネ990が設けられる。引張りバネ990の一端部はピン930に取り付けられ、引張りバネ990の他端部はピン950に取り付けられる。これにより、誘導部900は、引張りバネ990によりコンタクト部材9L側(図12Aの矢印I1の反対方向)に付勢され、第1の係合部910等のピン930の頭部930bに対する係合状態が保持される。
【0113】
(誘導部900の動作例)
次に、第4の実施の形態に係る誘導部900の動作の一例について説明する。なお、通常の状態では、図12Aに示すように、誘導部900は引張りバネ990の付勢力により第1の位置P1に位置する。
【0114】
地面Gと鉄筋Sとの間隔が狭い場合で結束作業を行う場合、誘導部900の軸線Ax方向における第1のガイド51の先端側からの突出量を小さくするために、誘導部900を第1の位置P1から第2の位置P2に手動で回動させる。
【0115】
作業者は、図12Aに示すように、例えば誘導部900の左右側面を指で把持し、引張りバネ990の弾性力に抗して誘導部900をコンタクト部材9Lとは反対側の矢印I1の方向に引っ張る。これにより、誘導部900がガイドカバー51bの長孔580に沿って移動し、図12Bに示すように、誘導部900の第1の係合部910のピン930の頭部930bに対する係合状態が解除される。
【0116】
続けて、作業者は、図12B及び図12Cに示すように、誘導部900をピン950を支点として先端部900aを挿抜口53とは反対側の時計回り(矢印I3の方向)に回転させ、第2の係合部920がピン930の頭部930bに係合可能な位置まで移動させる。
【0117】
この状態で、誘導部900を離す又は把持する力を緩めると、図12Cに示すように、引張りバネ990の圧縮により誘導部900がコンタクト部材9L側の矢印I2の方向に移動し、第2の係合部920がピン930の頭部930bに係合する。このような作業者の操作により、先端部900aを第1の位置P1から第2の位置P2に移動させることで、誘導部800の軸線Ax方向における第1のガイド51の先端側からの突出量を小さくでき、鉄筋Sを挿抜口53に挿入してコンタクト部材9Lを確実に押圧することができるようになる。
【0118】
第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と略同様の効果を奏することができる。具体的には、鉄筋Sと地面Gとの間の間隔が狭い現場で作業を行う場合には、結束動作の前に手動で誘導部900を回動操作することで、誘導部900の第1のガイド51の先端側からの突出量を小さくできる。これにより、第1のガイド51と第2のガイド52との間の挿抜口53に鉄筋Sを確実に挿入でき、鉄筋Sによりコンタクト部材9L,9Rを押圧できる。
【0119】
なお、第4の実施の形態では、誘導部900の可変させたときの距離の基準を当接部11としたが、これに限定されることはなく、第1の実施の形態で説明したように、駆動部8、把持部であるハンドル部304hL,304hR又はガイドアーム51aの先端部51a1を基準としても良い。
【0120】
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0121】
例えば、上述の実施の形態では、ハンドル部304hL等の把持部を有する第1の本体部301と捩り部7等を有する第2の本体部302とを長尺状の連結部303で連結した鉄筋結束機1A等に、誘導部600~900等を適用した例について説明したが、これに限定されることはない。例えば、第2の本体部302に把持部等を設けたハンディ型の鉄筋結束機のガイド部に上述した誘導部600~900等を適用することもできる。
【0122】
また、上述の実施の形態では、第1のガイド51に誘導部600~900を設けた例について説明したが、これに限定されることはない。例えば、第2のガイド52の軸線Ax方向の長さが第1のガイド51よりも長く、第2のガイド52が先に地面G等の障害物に接触する場合には、第2のガイド52の先端側に上述した誘導部600等を取り付けることもできる。
【0123】
さらに、上述の実施の形態では、駆動部8は切断部6及び捩り部7等を駆動させているが、駆動部8は、捩り部7のみを駆動し、他の切断部6等の構成は別の駆動源を用いて駆動するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1A,1B,1C,1D 鉄筋結束機(結束機)
3 送り部
5 ガイド部
7 捩り部
8 駆動部
11 当接部
51 第1のガイド
52 第2のガイド
70 係合部
80 捩りモータ
304hL,304hR ハンドル部(把持部)
600,700,800,900 誘導部
670 ネジ(保持部材)
810 第1の係合部
820 第2の係合部
850b 頭部(被係合部)
910 第1の係合部
920 第2の係合部
930b 頭部(被係合部)
Ax 軸線
G 地面
P1 第1の位置
P2 第2の位置
S 鉄筋(結束対象物)
W ワイヤ
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C
図13