(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023180369
(43)【公開日】2023-12-21
(54)【発明の名称】乗客コンベア及び乗客コンベアの製造方法
(51)【国際特許分類】
B66B 23/00 20060101AFI20231214BHJP
【FI】
B66B23/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022093608
(22)【出願日】2022-06-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 翔太郎
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA01
3F321CD20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】支持アングルと建屋のアンカープレートとの間に調整板が設けられている場合であっても、調整板の脱落を防止しつつ、かかり代を延長することができる乗客コンベア及びその取付方法を提供する。
【解決手段】乗客コンベアは、前後方向に長いトラスと、トラスの前後方向の両端に固定され建屋に支持された支持アングル20と、支持アングル20に取り付けられた延長部材50A,50Bと、支持アングル20と建屋との間に上下が挟まれた調整板23と、を備える乗客コンベアにおいて、延長部材50A,50Bは、支持アングル20の上面に固定された延長本体部51と、延長本体部51に固定され調整板23を前後左右から覆い囲むように配置された枠部材52Aとを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に長いトラスと、前記トラスの前後方向の両端に固定され建屋に支持された支持アングルと、前記支持アングルに取り付けられた延長部材と、前記支持アングルと前記建屋との間に上下が挟まれた調整板と、を備える乗客コンベアにおいて、
前記延長部材は、前記支持アングルの上面に固定された延長本体部と、前記延長本体部に固定され、前記調整板を前後左右から覆い囲むように配置された枠部材とを備える乗客コンベア。
【請求項2】
前記枠部材は複数の板部を組み合わせて形成されている、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
複数の前記板部は少なくとも一部が重なり合っている、請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
複数の前記板部の少なくとも1つの前記板部の先端部がトラス幅方向外側へ露出している、請求項2又は3に記載の乗客コンベア。
【請求項5】
前記複数の板部が互いに固定されている、請求項2又は3に記載の乗客コンベア。
【請求項6】
前記調整板と前記枠部材とのトラス幅方向の間に前記調整板に当接する当接部材が設けられている、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項7】
請求項2に記載の乗客コンベアを製造する方法であって、金属板を折り曲げて複数の前記板部の少なくとも一部を形成する、乗客コンベアの製造方法。
【請求項8】
前記トラスと前記支持アングルと前記調整板とを備える既設の乗客コンベアに対して前記延長部材を取り付けて請求項1に記載の乗客コンベアを製造する方法において、
前記延長本体部を前記支持アングルの上面に固定し、前記調整板を前後左右から覆い囲むように配置された前記枠部材を前記延長本体部に固定する、乗客コンベアの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗客コンベア及び乗客コンベアの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータや傾斜型の動く歩道などの乗客コンベアでは、建屋の上階と下階との間に傾斜して取り付けられたトラスを有している。トラスは、地震や強風や温度変化により生じる上下階の水平方向の間隔の変化を吸収することができるように建屋に取り付ける必要がある。そのため、上階及び下階の一方側あるいは両方側のトラスに設けられた支持アングルが、建屋に設けられたアンカープレートに非固定状態で支持されている。
【0003】
そして、「かかり代」と呼ばれる非固定状態の支持アングルが建屋のアンカープレートに重なって載っている部分の長さを十分確保することで、地震等によって上下階の水平方向の間隔が広がってもトラスが落下しないようになっている。
【0004】
ところで、耐震基準の変更に伴って、かかり代を従前より大きくする必要が生じることがある。しかし、既設の乗客コンベアにおいて、支持アングルを取り外してかかり代の大きい支持アングルへ交換するには、乗客コンベア全体を重機で吊り上げなければならず、容易に支持アングルを交換することができない。この問題を解決するために、支持アングルに延長部材を取り付けることにより、かかり代を大きくすることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、乗客コンベアでは、建屋に対するトラスの上下方向の位置を調整するために支持アングルとアンカープレートとの間に調整板を設けることがある。調整板を支持アングルに非固定とすると、地震発生時などに調整板が支持アングルとアンカープレートとの間から脱落するおそれがある。そのため、調整板を固定する必要があるが、ボルトなどによって調整板を支持アングルに固定すると、当該ボルトが延長部材と干渉して延長部材を支持アングルに固定できないことがある。また、調整板をアンカープレートに溶接固定することも考えられるが、取付作業が繁雑となる。
【0007】
そこで、支持アングルと建屋のアンカープレートとの間に調整板が設けられている場合であっても、調整板の脱落を防止しつつ、簡単にかかり代を延長することができる乗客コンベア及びその取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る乗客コンベアは、トラスと、前記トラスの長手方向の両端に固定され建屋に支持された支持アングルと、前記支持アングルに取り付けられた延長部材と、前記支持アングルと前記建屋との間に挟まれた調整板と、を備える乗客コンベアにおいて、前記延長部材は、前記支持アングルに固定された延長本体部と、前記延長本体部に固定され前記調整板を囲むように配置された枠部材とを備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態の乗客コンベアを概略的に示す側面図
【
図2】
図1の乗客コンベアの支持アングル付近の縦断面図
【
図3】
図1の乗客コンベアの支持アングル付近の斜視図
【
図5】既設の乗客コンベアのアンカープレート上に載置板部を載置した状態を示す斜視図
【
図6】既設の乗客コンベアの支持アングルに延長本体部及び載置板部を取り付けた状態を示す斜視図
【
図7】変更例1の乗客コンベアの支持アングル付近の斜視図
【
図8】変更例2の乗客コンベアの支持アングル付近の斜視図
【
図9】変更例2の乗客コンベアの支持アングル付近の水平断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態の乗客コンベア1について、
図1~
図6を参照して説明する。本実施形態では、乗客コンベア1として建屋の上階11と下階12との間で乗客を搬送するエスカレータについて説明する。
【0011】
以下の説明において、トラス2の長手方向を前後方向、トラス2の幅方向を左右方向ということがある。また、前後方向や左右方向は上階から下階を見たときの方向を示し、下階側が前側、上階側が後側であるものとする。
【0012】
(1)乗客コンベア1の構造
乗客コンベア1は、
図1に示すように、建屋の上階11と下階12との間に掛け渡されたトラス2と、上階11と下階12との間で循環移動する複数の踏段3と、踏段3を循環移動させる不図示の駆動装置と、踏段3の両側に配設される一対の欄干4と、欄干4の外周部に巻き掛けられて循環移動する手摺ベルト5とを有している。なお、
図1は、左側から見た簡略側面図であって、左側の部材を省略した状態を示している。
【0013】
図1に示すように、トラス2は、複数の金属製の枠材を組み合わせて構成されたものであり、傾斜トラス2aと、傾斜トラス2aの後側に連結され上階側に配置される上水平トラス2bと、傾斜トラス2aの前側に連結され下階側に配置される下水平トラス2cとを備える。
【0014】
傾斜トラス2aの内部では、無端状に連結された複数の踏段3が前後方向に移動する。傾斜トラス2aと上水平トラス2bと下水平トラス2cの左右両端の上部には、左右一対の欄干4が立設され、欄干4の上部に踏段3と同期して移動する手摺りベルト5が設けられている。
【0015】
トラス2の上水平トラス2bの後端には支持アングル20と延長部材50A,50Bが設けられ、下水平トラス2cの前端には支持アングル20と延長部材50A,50Bが設けられている。支持アングル20と延長部材50A,50Bは、建屋の上階11及び下階12の床に設けられた収納凹部7収納されている。なお、上階側の支持アングル20及び延長部材50A,50Bと下階側の支持アングル20及び延長部材50A,50Bは同じ構造であるため、ここでは下階側の支持アングル20及び延長部材50A,50Bについて説明する。
【0016】
(2)支持アングル20
図2及び
図3に示すように、支持アングル20は、下水平トラス2cの前端上部に垂直に設けられた垂直板21と、この垂直板21から離れるように水平に突出した(つまり、前方へ突出した)水平板22とを有している。水平板22は、下階12側の収納凹部7の底面に水平に設けられた金属製のアンカープレート8の上に、1枚又は複数枚の調整板23を介して載置されている。これにより、支持アングル20は、所定の長さのかかり代を確保するように、建屋の下階12側に設けられたアンカープレート8に対して重ねて載置されている。
【0017】
なお、それぞれの調整板23は、平面視が長方形であって同じ形状、同じ厚み、同じ大きさであり(
図4参照)、支持アングル20やアンカープレート8に対してボルトなどによって固定されておらず、支持アングル20とアンカープレート8との間で挟持されている。
【0018】
支持アングル20の水平板22には、支持アングル20よりもかかり代を大きくするために延長部材50A,50Bが固定されている。本実施形態では、水平板22の幅方向(左右方向)両端部に左右一対の延長部材50Aを取り付け、水平板22の幅方向中央部に延長部材50Bを取り付けたが、調整板23が設けられた位置に応じて幅方向の任意の位置に、任意の数の延長部材50A,50Bを取り付けることができる。
【0019】
(3)延長部材50A,50B
図2~
図4に示すように、延長部材50Aは支持アングル20の水平板22の上面に固定された延長本体部51と、延長本体部51と支持アングル20の下方において調整板23の前、左右、後を囲むように配置された枠部材52Aとを備え、延長部材50Bは支持アングル20の水平板22の上面に固定された延長本体部51と、調整板23の前、左右、後を囲むように配置された枠部材52Bとを備える。なお、
図2~
図4に示すように、左右一対の延長部材50Aと中央にある延長部材50Bとは、後述するように枠部材52A,52Bを構成する第2側板部57A,57Bの先端部57Aa,57Baの位置が異なるが、その他の基本的な構成は共通する。
【0020】
延長本体部51は、その前端部分に枠部材52を固定するための取付部53が設けられている。延長本体部51は、取付部53が支持アングル20の水平板22より前方へはみ出るように水平板22の上に載置され、ボルト54によって水平板22に対して固定されている。
【0021】
図2~
図5に示すように、水平板22の幅方向両端部に取り付けられた左右一対の延長部材50Aの枠部材52Aは、それぞれ複数の板部、すなわち、載置板部55A,第1側板部56A,第2側板部57Aを組み合わせて形成されている。載置板部55Aは平面視の形状が直線であって前後方向に厚みがあり、第1側板部56A及び第2側板部57Aは載置板部55より薄い板からなる平面視の形状がL字状の部材である(
図4参照)。具体的には、左側の枠部材52Aでは、支持アングル20の水平板22の前側に設けられ、積層された調整板23の前面を覆うように上下方向に立てて配された載置板部55Aと、積層された調整板23をトラス幅方向外側(左側)及び後側から覆うように上下方向に立てて配された第1側板部56Aと、調整板23をトラス幅方向内側(右側)及び後側から覆うように上下方向に立てて配された第2側板部57Aとを備え、調整板23の前後左右を覆い囲っている(
図4参照)。
【0022】
載置板部55Aは、延長本体部51の取付部53の下面に配置され、載置板部55Aの上面はボルト58によって取付部53に対して固定されている。載置板部55Aは支持アングル20の水平板22より前方においてアンカープレート8に当接し、載置板部55Aの前後方向の厚みの分だけかかり代を延長する。
【0023】
第1側板部56Aの一端部はトラス幅方向外側を向いた載置板部55Aの側面に重ねられ、ボルト59によって固定され、第2側板部57Aの一端部はトラス幅方向内側を向いた載置板部55Aの側面に重ねられ、ボルト60によって固定されている(
図4参照)。第1側板部56Aと第2側板部57Aは、調整板23の後側において前後方向に重なっている。
【0024】
支持アングル20の水平板22の左右両端部に設けられた左右一対の延長部材50Aは、第2側板部57Aの先端部57Aaがトラス幅方向外側へそれぞれ露出している。具体的には、
図3及び
図4に示すように、左側の延長部材50Aでは、積層された調整板23の後側において、第2側板部57Aが第1側板部56Aの後側に重ねて配置されている。そして、第2側板部57Aの先端部57Aa、つまり、第2側板部57Aにおいて載置板部55Aにボルト固定された端部とは反対側の端部57Aaが、載置板部55Aや第1側板部56Aより幅方向外側(左側)へ突出し、幅方向外側(左側)へ露出している。
【0025】
また、水平板22の幅方向中央部に取り付けられた延長部材50Bの枠部材52Bは、上記した枠部材52Aと同様、支持アングル20の水平板22の前側に設けられた載置板部55Bと、調整板23をトラス幅方向一方側及び後側から覆う第1側板部56Bと、調整板23をトラス幅方向他方側及び後側から覆う第2側板部57Bとを備え、調整板23の前後左右を覆い囲っている。
【0026】
載置板部55Bは、延長本体部51の取付部53の下面に配置され、ボルト58によって取付部53に対して固定されている。載置板部55Bは支持アングル20の水平板22より前方においてアンカープレート8に当接し、かかり代を延長する。
【0027】
第1側板部56B及び第2側板部57Bは載置板部55Bより薄い板からなるL字状の部材である。第1側板部56Bの一端部はトラス幅方向一方側を向いた載置板部55Bの側面に重ねられボルト59によって固定され、第2側板部57Bの一端部はトラス幅方向他方側を向いた載置板部55Bの側面に重ねられボルト60によって固定されている(
図4参照)。第1側板部56Bと第2側板部57Bは、調整板23の後側において前後方向に重なっている。
【0028】
なお、本実施形態では、調整板23の後側において第2側板部57Bが第1側板部56Bの後側に重ねて配置されているが、調整板23の後側において第1側板部56Bを第2側板部57Bの後側に重ねて配置してもよい。また、本実施形態では、第2側板部57Bの先端部57Baが載置板部55Bや第1側板部56Bより幅方向に突出していないが、第2側板部57Bの先端部57Baを載置板部55Bや第1側板部56Bより幅方向に突出させてもよい。
【0029】
また、載置板部55A,55Bは、調整板23と前後方向に隙間なく接触するように設けても良く、調整板23と前後方向に間隔をあけて設けても良い。また、第1側板部56A及び第2側板部57Aや、第1側板部56B及び第2側板部57Bは、調整板23と前後方向に隙間なく接触するように設けても良く、調整板23と前後方向に間隔をあけて設けても良い。
【0030】
(4)延長部材50A、50Bの取付方法
次に、建屋の上階11と下階12との間にトラス2が既に掛け渡された既設の乗客コンベアの支持アングル20に延長部材50A,50Bを取り付ける方法について説明する。ここでは、
図5及び
図6に基づいて下階12側の支持アングル20に取り付ける場合について説明する。
【0031】
まず、
図5に示すように、アンカープレート8の上に載置板部55A,55Bを載置する。なお、既設の乗客コンベアにおいて支持アングル20の水平板22と調整板23とがボルトによって固定されている場合、このボルトを取り外す。また、支持アングル20の水平板22に延長本体部51を固定するボルト54と螺合するボルト穴62が無ければボルト穴62を設ける。
【0032】
次に、
図6に示すように、取付部53が載置板部55の上方に位置するように延長本体部51を支持アングル20の水平板22の上に配置した後、ボルト54によって延長本体部51を水平板22に固定するとともに、ボルト58によって載置板部55を延長本体部51に固定する。なお、必要に応じて載置板部55A,55Bの上面と支持アングル20の水平板22の上面の高さが同じになるように、シム61を水平板22と延長本体部51との間に設けてもよい。
【0033】
次に、ボルト59によって第1側板部56A,56Bを載置板部55A,55Bの側面に固定するとともに、ボルト60によって第2側板部57A,57Bを載置板部55A,55Bの側面に固定することで、
図3に示すように支持アングル20に対する延長部材50の取り付けが完了する。
【0034】
なお、延長部材50A,50Bの取付作業中に、支持アングル20の水平板22とアンカープレート8との間隔や調整板23の大きさに合わせて金属板を切り出したり折り曲げたりして第1側板部56A,56B及び第2側板部57A,57Bを作製してから載置板部55A,55Bに取り付けても良い。
【0035】
(5)効果
本実施形態では、上記構成の延長部材50A,50Bを支持アングル20に取り付けることで、支持アングル20の水平板22とアンカープレート8との間に調整板23が設けられている既設の乗客コンベアであっても、かかり代を簡単に延長することができる。
【0036】
しかも、延長部材50A,50Bは調整板23を取り囲むように配置された枠部材52A,52Bを備えているため、調整板23を支持アングル20の水平板22に固定したり、調整板23とアンカープレート8とを溶接によって固定したりすることなく、支持アングル20の水平板22とアンカープレート8との間から調整板23が脱落することを防ぐことができる。
【0037】
また、本実施形態では、第2側板部57Aが調整板23の後側を覆うように正しく取り付けられると、第2側板部57Aの先端部57Aaがトラス幅方向外側へ露出する。そのため、支持アングル20に延長部材50Aを取り付けた後にトラス2の外側から第2側板部57Aの先端部57Aaが露出していることを確認することで、第2側板部57Aが正確に取り付けられていることを簡便に確認することができる。
【0038】
以上の実施形態は例示であり、発明の範囲は以上の実施形態に限定されない。以上の実施形態に対し、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々な変更を行うことができる。以下では複数の変更例について説明するが、上記実施形態に対して、複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、複数の変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。
【0039】
(変更例1)
延長部材50Aの枠部材52Aを構成する第1側板部56Aと第2側板部57Aとをボルトなどによって固定したり、延長部材50Bの枠部材52Bを構成する第1側板部56Bと第2側板部57Bとをボルトなどによって固定したりしてもよい。
【0040】
例えば、
図7に示すように、第2側板部57Aの先端部57Aaに前後に重なるようにトラス幅方向外側へ突出する突出片56Aaを延長部材50Aの第1側板部56Aに設け、第2側板部57Aの先端部57Aaと第1側板部56Aの突出片56Aaとがボルト63によって連結されている。これにより、第1側板部56Aが第2側板部57Aに固定されている。
【0041】
本変更例のように第1側板部56Aが第2側板部57Aと互いに固定されている場合、枠部材52Aによる調整板23の保持力が高まり、調整板23が支持アングル20の水平板22とアンカープレート8との間から、より脱落しにくくなる。
【0042】
また、本変更例では、トラス幅方向外側へ露出する第2側板部57Aの先端部57Aaにボルト63を設けて第1側板部56Aを固定しているため、ボルト63の締め付け作業を容易に行う事ができる。
【0043】
なお、本変更例では、延長部材50Aにおいて第1側板部56Aと第2側板部57Aとを固定する場合について説明したが、延長部材50Bの第1側板部56Bと第2側板部57Bとを固定してもよい。
【0044】
また、本変更例では、トラス幅方向外側へ露出する第2側板部57Aの先端部57Aaにおいて第1側板部56Aを固定する場合について説明したが、調整板23の後側など任意の位置において第1側板部56Aと第2側板部57Bとを固定してもよい。
【0045】
また、本変更例では、第1側板部56Aと第2側板部57Aとをボルト63によって固定する場合について説明したが、溶接など種々の手段によって第1側板部56Aと第2側板部57Aとを互いに固定してもよい。
【0046】
(変更例2)
調整板23に当接する当接部材70を調整板23と枠部材52A,52Bとのトラス幅方向の間に設けてもよい。また、枠部材52A,52Bに取り付けた加圧部80によって、当接部材70を調整板23に押し当てて、調整板23を枠部材52A,52Bに対して固定してもよい。なお、枠部材52A,52Bに設ける当接部材70はいずれも同一構造を有していることから、トラス左側端部に設けられた延長部材50Aの枠部材52Aに設けた当接部材70について
図8~
図10を用いて説明する。
【0047】
図9、
図10に例示すように、当接部材70は、枠部材52Aの内側に設けられた調整板23に当接する第1部材71と、第1部材71に対してボルト73などによって固定される第2部材72とを備える。本変更例では、当接部材70が調整板23をトラス幅方向に挟むように調整板23のトラス幅方向両側に設けられている。
【0048】
第1部材71は、調整板23に当接する平板状の当接部71aと、当接部71aからトラス幅方向へ突出する取付部71bが設けられている。取付部71bには、ボルト73によって第2部材72が取り付けられている。
【0049】
第2部材72は、第1部材71の取付部71bに重ね合わせられ第1部材71に固定される取付部72aと、加圧部80によるトラス幅方向への加圧を受ける受圧部72bとを備える。第2部材72の取付部72aには、ボルト73の軸部を挿通することができる孔部74が設けられている。第2部材72に設けられた孔部74はトラス幅方向に長い長孔状をなしており、その長手方向の一端が開口している。
【0050】
当接部材70は、孔部74においてボルト73を挿通する位置を変更して第1部材71の取付部71bに対する第2部材72の固定位置を変更することで、トラス幅方向の長さが変更可能となっている。
【0051】
図8~
図10に示すように、加圧部80は、枠部材52Aの第1側板部56A及び第2側板部57Aに設けられたネジ部64に螺合するボルト81と、ボルト81に螺合して第1側板部56A及び第2側板部57Aに対してボルト81を固定するナット82とを備える。ボルト81の先端部は、第1側板部56A及び第2側板部57Aから調整板23へ向けて突出しており、当接部材70の受圧部72bに当接している。ボルト81は、第1側板部56A及び第2側板部57Aに設けられたネジ部64に対して螺進退させることで、第1側板部56A及び第2側板部57Aからの突出量が調整可能に設けられている。
【0052】
本変更例では、調整板23と枠部材52Aの第1側板部56Aとのトラス幅方向の間や、調整板23と第2側板部57Aとのトラス幅方向の間に上記のような当接部材70が設けられている。そのため、載置板部55Aを調整板23よりトラス幅方向に長く設けても、延長部材50Aの枠部材52Aが当接部材70を介して調整板23をトラス幅方向に固定することができる。
【0053】
(その他の変更例)
なお、上記した実施形態では、乗客コンベアとして上階11と下階12との間で乗客を搬送するエスカレータを採用する場合について説明したが、「踏板」や「パレット」と称される平板状の踏段が上下階の乗降口の間を循環移動する傾斜型の動く歩道を乗客コンベア本体に採用してもよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
1…乗客コンベア、2…トラス、2c…下水平トラス、8…アンカープレート、20…支持アングル、21…垂直板、22…水平板、23…調整板、50A…延長部材、50B…延長部材、51…延長本体部、52A…枠部材、52B…枠部材、53…取付部、54…ボルト、55A…載置板部、55B…載置板部、56A…第1側板部、56B…第1側板部、57A…第2側板部、57B…第2側板部、58…ボルト、59…ボルト、60…ボルト、61…シム、62…ボルト穴、63…ボルト、70…当接部材、71…接触部、72…調整部、73…ボルト、74…孔部、80…加圧部