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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024121903
(43)【公開日】2024-09-09
(54)【発明の名称】感知器ベース
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240902BHJP
【FI】
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023029132
(22)【出願日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 直子
(72)【発明者】
【氏名】中村 颯月
(72)【発明者】
【氏名】秋山 信幸
【テーマコード(参考)】
5G405
【Fターム(参考)】
5G405AA01
5G405AB01
5G405AB02
5G405AB05
5G405CA09
5G405CA55
5G405FA07
(57)【要約】
【課題】誤った種類の感知器が取り付けられるのを防止することが可能な感知器ベースを提供する。
【解決手段】底壁(21)および該底壁の外側の縁部に沿って形成された外側壁(22)を有するベース部材と、感知器の底板の外表面に設けられている外部端子(15)が接続される複数の接続端子(24)とを備え、感知器を建造物の取付け面に固定するための感知器ベース(20)において、前記底壁には、感知器が結合される際に当該感知器の底板にある凸状部(13,17)に対向する部位に、前記凸状部と干渉する干渉部および取付け部を有する干渉部材(30)が、底壁または外側壁に着脱可能に取り付けられているようにした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁および該底壁の外側の縁部に沿って形成された外側壁を有するベース部材と、感知器の底板の外表面に設けられている外部端子が接続される複数の接続端子と、を備え、感知器を建造物の取付け面に固定するための感知器ベースであって、
前記底壁には、
感知器が結合される際に当該感知器の底板にある凸状部に対向する部位に、前記凸状部と干渉する干渉部および取付け部を有する干渉部材が、前記底壁または外側壁に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする感知器ベース。
【請求項2】
前記底壁は、中央に開口部を備え、前記開口部を除く部位に当該感知器ベースを建造物の取付け面に固定するための固定部が設けられ、
前記感知器は、前記底壁の前記開口部を除く部位に対向する部位に前記凸状部を有し、
前記底壁には前記開口部を除く部位であって前記凸状部と同一の半径位置に、前記干渉部が位置し前記感知器を取り付けるために回転させた際に前記凸状部と前記干渉部とが干渉して前記外部端子の前記接続端子への接続を不能にするように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の感知器ベース。
【請求項3】
前記感知器は、当該感知器の底板の中央に外側へ突出する接点調整部を備えた熱感知器であり、
前記底壁は、中央に開口部を備え、前記開口部を除く部位に当該感知器ベースを建造物の取付け面に固定するための固定部が設けられ、
前記干渉部材は、前記底壁の前記開口部を除く部位から前記開口部へ向かって延出するように取り付けられ、前記干渉部が前記開口部に位置し前記接点調整部と干渉可能な高さを有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の感知器ベース。
【請求項4】
前記干渉部材は、当該感知器ベースと前記取付け面との間に挟まれる第1部材と、該第1部材から前記底壁の前記開口部へ向かって延出された第2部材と、を備えてなり、
前記第2部材の前記開口部に対応する部位に、前記第1部材が当該感知器ベースと前記取付け面との間に挟まれた状態で前記接点調整部と干渉可能な高さを有する前記干渉部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の感知器ベース。
【請求項5】
前記第1部材は環状をなし、前記干渉部材は前記底壁の前記開口部に対応した部位に開口を有しており、
前記第1部材には、前記開口と当該第1部材の外縁部外側とを連通するスリットが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の感知器ベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災感知器などの設置用ベースとして使用される感知器ベースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災感知器には、煙を感知して火災を検出する煙感知器や熱を感知して火災を検出する熱感知器、炎を感知して火災を検出する炎感知器等がある。また、火災感知器は、予め天井面などの取付け面に設置された円盤状の感知器ベースに結合されて設置されることが多い。従来の感知器設置用のベースには、コストの低減を図ることを目的として、複数の種類の感知器に共通の構造を有することで、異なる種類の感知器を設置することができるように構成されているものがある。また、消火設備用の火災感知器においても、自動火災報知設備用の火災感知器を援用することがあり、感知器ベースや感知器も共通化されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平07-29694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、火災発生を早期に検知して報知できるようにするため、同一の監視エリア内に、それぞれの設置場所に適した方式の火災感知器を設置するようにした火災報知システムがある。かかるシステムを構築する場合、天井面などに共通の感知器ベースを設置して、その後に当該ベースに火災感知器を嵌合する方法がある。一方、予め天井面などに共通の感知器ベースを設置しておいて、後からそれらのベースに順次火災感知器を嵌合していく方法もある。そのため、あるベースに本来結合すべき種類の火災感知器とは異なる種類(種別)の火災感知器を結合してしまう誤設置が発生するおそれがある。また、感知器の交換が必要になった場合にも、設置場所に適していない検知方式の火災感知器を誤って設置してしまうおそれもある。
【0005】
従来、火災感知器のベースに終端抵抗を内蔵した終端器を後から取り付けることができるように構成されたものにおいて、誤った種別の終端器が取り付けられるのを防止するため、終端器のケースを種別に応じて色分けするようにした発明が提案されている(例えば特許文献1)。上記発明の考え方を応用して、感知器ベースに、当該感知器ベースに取り付けるべき感知器を識別できるよう、感知器の種別に応じた色を付しておくことで、誤設置の発生を防止することが考えられる。
【0006】
しかしながら、感知器の種別に応じた色を付しておくようにした場合、作業現場の照明が暗いと、人の目の特性上、色の判定が困難になるため、誤った種類の感知器をベースに取り付ける誤設置の発生を完全に防止することはできない。また、そもそも作業員が、ベースに付されている色の確認をせずに異なる種類の感知器をベースに取り付けてしまう作業ミスが発生するおそれがあるといった課題がある。
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、誤った種類の感知器がベースに取り付けられるのを防止することが可能な感知器ベースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明は、
底壁および該底壁の外側の縁部に沿って形成された外側壁を有するベース部材と、感知器の底板の外表面に設けられている外部端子が接続される複数の接続端子と、を備え、感知器を建造物の取付け面に固定するための感知器ベースにおいて、
前記底壁には、
感知器が結合される際に当該感知器の底板にある凸状部に対向する部位に、前記凸状部と干渉する干渉部および取付け部を有する干渉部材が、前記底壁または外側壁に着脱可能に取り付けられているように構成したものである。
【0008】
上記のような構成を有する感知器ベースによれば、感知器の底板にある凸状部と対向する部位に干渉部を有する干渉部材が設けられているため、誤った種類の感知器がベースに取り付けられるのを防止することができる。また、干渉部材が感知器ベースの底壁または外側壁に着脱可能に取り付けられていため、既設の感知器ベースに後から干渉部材を取り付けることができ、それによって感知器のメンテナンスや感知器の交換の際に誤った種類の感知器がベースに取り付けられるのを防止することができる。
【0009】
ここで、望ましくは、前記底壁は、中央に開口部を備え、前記開口部を除く部位に当該感知器ベースを建造物の取付け面に固定するための固定部が設けられ、
前記感知器は、前記底壁の前記開口部を除く部位に対向する部位に前記凸状部を有し、
前記底壁には前記開口部を除く部位であって前記凸状部と同一の半径位置に、前記干渉部が位置し前記感知器を取り付けるために回転させた際に前記凸状部と前記干渉部とが干渉して前記外部端子の前記接続端子への接続を不能にするように構成する。
かかる構成によれば、感知器にある凸状部と干渉部材の干渉部との干渉によって、感知器を取り付ける際に感知器を所定以上回転させることができず、感知器ベース側の接続端子に感知器側の外部端子を接続させることができなくなるため、誤った種類の感知器がベースに取り付けられるのを防止することができる。
【0010】
また、望ましくは、前記感知器は、当該感知器の底板の中央に外側へ突出する接点調整部を備えた熱感知器であり、
前記底壁は、中央に開口部を備え、前記開口部を除く部位に当該感知器ベースを建造物の取付け面に固定するための固定部が設けられ、
前記干渉部材は、前記底壁の前記開口部を除く部位から前記開口部へ向かって延出するように取り付けられ、前記干渉部が前記開口部に位置し前記接点調整部と干渉可能な高さを有するように構成する。
かかる構成によれば、底板の中央に接点調整部を備えた熱感知器を、そのような熱感知器の取付けが許されていない感知器ベースに誤って取り付けられるのを、干渉部材によって防止することができる。
【0011】
さらに、望ましくは、前記干渉部材は、当該感知器ベースと前記取付け面との間に挟まれる第1部材と、該第1部材から前記底壁の前記開口部へ向かって延出された第2部材と、を備えてなり、
前記第2部材の前記開口部に対応する部位に、前記第1部材が当該感知器ベースと前記取付け面との間に挟まれた状態で前記接点調整部と干渉可能な高さを有する前記干渉部が設けられているように構成する。
かかる構成によれば、既設の感知器ベースに後から干渉部材を取り付けることができ、それによって感知器のメンテナンスや感知器の交換の際に誤った種類の感知器がベースに取り付けられるのを防止することができる。また、干渉部材の取付け作業も簡単に行うことができる。
【0012】
さらに、望ましくは、前記第1部材は環状をなし、前記干渉部材は前記底壁の前記開口部に対応した部位に開口を有しており、
前記第1部材には、前記開口と当該第1部材の外縁部外側とを連通するスリットが形成されているように構成する。
かかる構成によれば、感知器ベースに接続されている電線の端部の接続を外すことなく、電線が接続されたままの状態で干渉部材を感知器ベースに取り付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、既に設置されている感知器ベースに後から感知器を結合する場合に、誤った種類の感知器がベースに取り付けられるのを妨げることで、不適切な監視状態が構築されるのを防止することが可能な感知器ベースを提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(A)は差動式スポット型火災感知器の底板の構成を示す斜視図、(B)は光電式スポット型火災感知器の底板の構成を示す斜視図である。
図2】(A)は本発明の第1の実施形態に係る感知器ベースの底面側(感知器取付け側)の構成を示す斜視図、(B)は感知器ベースに干渉部材を取り付ける前の状態を示す斜視図である。
図3図2(A)の感知器ベースに差動式スポット型火災感知器を取り付ける際の干渉状態を示す斜視図である。
図4】本発明の第2実施形態における感知器の底板の構成を示す斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態における感知器ベースの構成を示す斜視図である。
図6】本発明の第3実施形態における干渉部材の構成を示す斜視図である。
図7図6の干渉部材を感知器ベースに接合した状態を示す斜視図である。
図8】第3実施形態の変形例を示すもので、干渉部材を感知器ベースに接合した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を適用した感知器ベースの実施形態について説明する。
以下に説明する実施形態の感知器ベースは、一例として、差動式スポット型火災感知器と光電式スポット型火災感知器との誤接続を防止可能な構造を有するように構成されている。実施形態の感知器ベースの構成を説明する前に、先ず、本実施形態の感知器ベースが対象とする差動式スポット型火災感知器と光電式スポット型火災感知器の差異について説明する。
【0016】
差動式スポット型火災感知器は、ドーム状の感知器のケース内部に熱による空気の膨張を利用して火災を感知する機構が設けられている。また、ケースには逃し穴が設けられており、緩やかな温度上昇の場合は膨張した空気を逃し穴から逃すことで誤作動を防止するように構成されている。さらに、差動式スポット型火災感知器においては、図1(A)に示すように、感知器ケース11の底板14の中央に、接点を調整するための接点調整用ネジ12およびこのネジを囲繞するように円筒状をなす保護壁13が設けられている。なお、保護壁13内は、接点調整後にシリコン等により充填される。
【0017】
一方、光電式スポット型火災感知器は、煙感知器であり、空気流入口を有するヘッド部を備え、ケース内部には、空気流入口より流入した煙の濃度を検知する発光素子と受光素子とからなる光電式検出部が設けられている。また、光電式スポット型火災感知器は、差動式スポット型火災感知器と異なり、接点の調整を行う必要がないため、図1(B)に示すように、ケースの底板14に接点調整用ネジおよび円筒状の保護壁は設けられておらず、底板14の中央部は平坦な形状を有している。
【0018】
なお、図1(A),(B)において、符号15が付されているのは、後述の感知器ベース20(図2)に設けられている接続端子24にそれぞれ接続される外部端子である。外部端子15は、互いに近づく方向へ折曲された接触片を有する内側端子と外側端子とを備えており、接触片同士が重なるように配置されている。そして、感知器の底板14を感知器ベースの下面に接合してから所定角度回転させることで、内側端子の接触片と外側端子の接触片との間に、後述の感知器ベース20の接続端子24が挿入され、それによって、感知器本体10と感知器ベース20の対応する端子間が電気的に接続された状態となる。
また、図1(B)の感知器の方が外部端子15の数が1つ多いが、電気的な仕様を満たすには2個の端子があれば良く、4個のうち2個の外部端子15は省略可能である。
【0019】
(第1実施形態)
第1の実施形態の感知器ベースは、差動式スポット型火災感知器と光電式スポット型火災感知器の上記の構造上の差異を利用して、当該感知器ベースに、光電式スポット型火災感知器を物理的に取り付けることができる一方、差動式スポット型火災感知器は取り付けることができないように工夫したものである。以下、それを可能にする具体的な構成について説明する。
【0020】
第1実施形態の感知器ベース20は、図2(A)に示すように、感知器10の外カバーとほぼ同じ大きさを有する円板状の底壁21と、該底壁21の周縁に起立するように形成された円筒状の外側壁22と、該外側壁22よりも一回り径の小さな内側壁23とを有している。そして、この外側壁22と内側壁23との間に、感知器10の底板14の周縁部に設けられているリブ16が係合される。
また、底壁21には、感知器ベース20と感知器本体10とを結合するための複数の接続端子24と、感知器10内に収納されている基板に接続される電線が挿通される電線挿通孔25と、当該感知器ベース20を天井側に設けられた接続部に固定するための固定用ネジが挿通される複数のネジ孔26が設けられている。
【0021】
さらに、底壁21上には、上記接続端子24と電気的に接続され、感知器の外側(天井裏)から引き出され上記電線挿通孔25より挿通された電線の芯線の端部が挿入され電気的に接続される3個の端子27が設けられている。
本実施形態の感知器ベース20においては、電気的に未使用となる外部端子15に対応する1個の接続端子24が省略されている。図2(B)には、接続端子24を1個省略した感知器ベース20が示されている。そして、省略した接続端子24が本来設置されるべきであった部位に、図2(A)に示すように、プレート状の干渉部材28が設置され、後端部がネジ29によって底壁21に固定されている。干渉部材28は底壁21ではなく外側壁22に固定しても良い。
【0022】
干渉部材28は、感知器ベース20の外側壁側から中心方向に向かって延びるプレート状の部材であり、先端が上記電線挿通孔25の中央近傍に位置するとともに、感知器が取り付けられる側へ所定高さ分だけ折曲されている。また、干渉部材28は、剛性を有する安価な材料で形成されており、位置決めのため、感知器ベース20の底壁21に設けられている突起21a(図2(B)参照)に係合する係合穴28aが設けられている。さらに、干渉部材28には、設置後の安定性を高めるため、底壁21に設けられているガイド壁21bやリブに側面が接触する折曲片28bが設けられている。
【0023】
本実施形態の感知器ベース20は、上記のように先端が上記電線挿通孔25の中央近傍に位置し感知器の保護壁13と干渉する高さを有する干渉部材28を備えている。そのため、当該感知器ベース20に差動式スポット型火災感知器を取り付けようとすると、図3に示すように、感知器の底板14の中央にある接点調整用ネジ12を囲繞する円筒状の保護壁13に干渉部材28が干渉することで、感知器の底板14を感知器ベース20の下面に接合させることができなくなる。
【0024】
その結果、作業員は取り付けようとしている感知器が感知器ベースに適合していないことを認識することができ、誤った種類の感知器の設置を防止することができる。そのため、設置した感知器が不所望のタイミングで作動して非火災報が発せられるのを回避することができる。しかも、本実施形態に従うと、部品(干渉部材28)を1つ追加するのみで、誤った種類の感知器の設置を防止することが可能となる。
なお、図3においては、干渉部材28が保護壁13と交差している様子が示されているが、干渉状態を説明するために示したもので、実際にはこのような状態になることはない。
【0025】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図4および図5を用いて説明する。
図4には本発明の第2実施形態における差動式スポット型感知器の底部の構成が、また図5には感知器ベース20の構造が示されている。
本実施形態においては、図4に示すように、差動式スポット型感知器の底板14の周縁部に、回転阻止用の円柱もしくは円筒状突起17を設けるとともに、図5に示すように、感知器ベース20の底壁21の対応する部位に回転阻止用の円筒状突出体30を設けている。つまり、円筒状突起17と円筒状突出体30は、同一円周上に設けられ感知器の高さ方向に形成されている。
【0026】
なお、特に限定されるものでないが、本実施形態においては、上記円筒状突出体30は、図2(B)に示されている感知器の底壁21上の突起21aに円筒状のキャップもしくはブッシュを嵌合させ接着剤で固着することで構成されている。ただし、突起21aは底壁21と一体に形成されていても良いし、突起21aとは別の位置に形成されていても良い。
より具体的には、感知器側の円筒状突起17は、感知器ベース側の上記円筒状突出体30に、外周面同士が接触するように位置させた際に、感知器側の外部端子15の先端が感知器ベース側の接続端子24の側方に位置するように部位に設けられる。つまり、円筒状突起17と円筒状突出体30が同一円周上にある。そのため、感知器を感知器ベースに接合して回転させると、円筒状突起17が円筒状突出体30に干渉するようになる。なお、円筒状突起17と円筒状突出体30の高さは、両方の高さを足した値が感知器の底板14と感知器ベースの底壁21との間隔よりも大きければ良い。
【0027】
これにより、従来では、感知器10の底板14を感知器ベース20の下面に接合してから所定角度回転させることで、外部端子15の内側端子の接触片と外側端子の接触片との間に、接続端子24が挿入されていたものを、第2の実施形態では、円筒状突起17の円筒状突出体30への衝突によって、挿入を阻止することができる。その結果、作業員は取り付けようとしている感知器が感知器ベースに適合していないことを認識することができ、誤った種類の感知器の設置を防止することができる。
上記理由から、第2実施形態は、第1実施形態と異なり差動式スポット型感知器以外の感知器にも適用することができる。また、例えば円筒状突出体30の位置が異なる複数種類の感知器ベースを設けることによって、特定の種類の感知器のみ取り付けられるようにすることも可能である。
【0028】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図6および図7を用いて説明する。
図6には本発明の第3実施形態における干渉部材の構成が、また図7には図6の干渉部材の使用状態が示されている。
本実施形態は、図6に示すように、中央に干渉用の凸状部31aを有する円板状の干渉部材31を別途設ける。そして、この干渉部材31の凸状部31aを、図7に示すように、感知器ベース20の電線挿通孔25内に臨ませて感知器ベース20の天井への取付け面に接合した状態で感知器と天井面との間に介在させておくように構成したものである。干渉部材31は、剛性を有する安価な材料で形成されるのが望ましい。
【0029】
上記のような構成によれば、第1の実施形態と同様に、差動式スポット型感知器は、図1(A)に示すように、底板14の中央に接点調整用ネジ12の保護壁13が設けられているため、当該感知器を図7の感知器ベース20に取り付けようとすると、保護壁13が干渉部材31の凸状部31aに干渉してしまい、取り付けることができない。一方、光電式スポット型感知器は、図1(B)に示すように、底板14の中央が平坦で凸部がないため、干渉部材31の凸状部31aに干渉することはなく、当該感知器を図7のような干渉部材31が接合された感知器ベース20に取り付けることができる。
【0030】
なお、上記凸状部31aの高さは、感知器の底板14と感知器ベースの底壁21との間隔に底壁21の厚みを加算した値から、感知器の保護壁13の高さを引いた値よりも大きければ良い。また、干渉部材31には、凸状部31aの支持アーム31bと、電線挿通孔31cと、複数の取付け用ネジの挿通孔31dが形成されている。これにより、感知器ベース20が備える機能を阻害することなく、干渉部材31を感知器ベース20と天井面との間に介在させることができる。
【0031】
さらに、本実施形態の干渉部材31は感知器の外部に設けられるので、建築物として扱われるため日本消防検定協会による検定の対象外の物品となり、既設の感知器に後から追加で設置することができる。
また、本実施形態の干渉部材31は、中央に干渉体として機能する凸状部31aが設けられているため、感知器の端子と感知器ベースの端子との間に凸状部31aが介在することで、感知器のプラス端子またはマイナス端子と感知器ベースのマイナス端子またはプラス端子が直接接触する事故を防止することができる。そのため、例えば差動式スポット型感知器が何らかの要因で暖められて作動状態となったり感知器が感知器ベースに逆接続されるなどの原因によって、感知器内部でL端子とC端子(プラス端子とマイナス端子)が短絡した状態が発生したりしてしまったとしても、非火災報が生じるのを防止することができる。すなわち、物理的にも電気的にも非火災報の発生を低減することが可能となる。なお、第1実施形態の干渉部材28も同様な作用効果を有している。
【0032】
図8には、上記第3の実施形態の変形例が示されている。
図8に示す変形例は、図6に示す円板状の干渉部材31の代わりに、感知器ベース20の外径よりも少し大きな径を有する円環状ベース32Aと、該円環状ベース32Aから中央に延びるように一体に形成されたロッド部32Bとからなり、ロッド部32Bの先端に干渉用の凸状部31Cを設けた干渉部材32を、感知器と取付け面としての天井面との間に介在させておくように構成したものである。干渉部材32の機能は、図6に示す干渉部材31と同じである。
なお、本変形例の干渉部材32は、図6に示す干渉部材31に比べて、感知器に接続される配線を挿通する開口を広く確保することができるという利点がある。
【0033】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記実施形態のものに限定されるものではない。例えば、前記第1実施形態と第3実施形態では、底板の中央に突出部を有する差動式スポット型感知器の誤設置を防止することに向けて構成した場合について説明したが、底板の中央以外の部位に突出部を有する感知器に対しても、該当する部位に干渉部を設けることで本発明を適用することができる。
また、前記第1実施形態では干渉部材28をネジ29によって感知器ベース20に固定し、第3実施形態では干渉部材31を感知器ベースと天井面との間に挟み込んで固定しているが、それぞれ干渉部材の一部にクリップ構造を設けて、感知器ベースの底壁21に形成されている電線挿通孔25を利用してクリップで底壁21の開口縁部を上下に挟み込むことで固定するように構成してもよい。
【0034】
さらに、第3実施形態においては、干渉部材31に電線挿通孔31cと外縁部外側とを連通するスリットを形成したり、干渉部材31を分割し互いに係脱可能な構造を設けたりすることにより、感知器ベースに電線端部が接続された状態のまま干渉部材31を感知器ベースと天井面との間に介在させることができるように構成してもよい。図8の変形例の干渉部材32も同様である。
また、感知器側の外部端子15は、外面に絶縁材が設けられている構成にすると良い。これにより、感知器の交換作業や干渉部材31や32の取付け作業中などに誤って工具が外部端子15に触れてしまう、もしくはマイナスとプラスのそれぞれの端子同士が接触する等で、感知器が誤発報するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 火災感知器
11 本体ケース
12 接点調整用ネジ
13 保護壁
14 底板
15 外部端子
16 リブ
17 円筒状突起
20 感知器ベース
21 底壁
21a 突起
22 外側壁
23 内側壁
24 接続端子
25 電線挿通孔
26 ネジ孔
28 干渉部材
29 ネジ
30 円筒状突出体(干渉部材)
31 干渉部材
31a 凸状部
31b 支持アーム
32 干渉部材
32A 円環状ベース
32B ロッド部
31C 凸状部(干渉部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8