特開2015-201194IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

複数の装置でタイムスタンプ付きデータを生成するシステム

要約特許出願時に添付された[要約書]

【課題】プラント監視制御システム等におけるリアルタイムデータのタイムスタンプの精度を、そのときの状況に応じて適宜適切な値に設定するタイムスタンプ付データ管理システムを提供する。
【解決手段】装置10A,10B,10Cの定刻通知処理部21は、定刻に定刻通知を他の装置へ送信し、その定刻通知応答を受信することで、他の装置との伝送遅延時間を求める。定刻通知受信処理部22は、他の装置からの定刻通知の定刻と受信時間と、伝送遅延時間とに基づいて、自装置の内部時計と他の装置10の内部時計との時差を求める。精度算定処理部23は、これらの時差と、タイムスタンプ精度テーブル30とに基づいて、タイムスタンプ精度を決定する。
【選択図】図2

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

ここで、プラント監視制御システムの一例として、例えば電力系統監視システムにおいて、不図示の装置100A、100Bが、それぞれ不図示の測定点A,Bの電力計測を行ってこの計測結果を蓄積するシステムであって、後にこれらの計測結果に基づいて系統全体の電力を求める場合を例にする。 この例において、突発的・短期的な電力変動(以下、“ひげ”と記すものとする)があった場合、測定点A,Bに関して例えば図13(a)に示す計測データα、βが得られたとする。これより、後に、この2つの計測データに基づいて、例えば計測データα、βを合成することで、例えば図13(b)に示すような合成データγが系統全体の電力計測データとして得られることになる。 例えば、この様な短期的な電力変動であっても、これが電力のピークと見做せるのであれは、それに応じた何等かの対応が必要になる場合がある。よって、“ひげ”のピーク部分の電力を正しく知ることができるようにするために(“ひげ”を正しく検出できるようにする為に)、例えば図13(b)に示すような正しい合成データγが得られることが必要となる。 ここで、計測データα、βには、タイムスタンプが付与される。これは、例えば、測定点A,Bの各装置100A、100Bが、それぞれ、自装置内の不図示の内部時計の時刻から例えば図13(b)の図上下側に示すようなタイムスタンプを生成して、これを計測データα、βに付与して格納する。尚、これより、計測データα、βは、図上では連続したデータとして示すが、実際には図示のタイムスタンプt0,t1、t2、・・・、t9、t10の各時刻に取得された11個のデータから成るものと見做してもよい。 図13(b)に示す合成データγは、計測データα、βを、そのタイムスタンプに基づいて、同じ時刻のデータ同士を合成するものである。これは、両方のタイムスタンプが正しい場合には、問題がないものである。換言すれば、装置100A、100Bの時計が、両方とも正しい場合には、問題ないものと言える。 しかしながら、通常、コンピュータ装置の時計は、殆ど常に多少は狂っているものである。これについて、図14を参照して説明する。
図14(a)、(b)において、横軸は時間tであり、縦軸は正しい時間とのズレ量(ミリ秒など)を意味する。そして、ここでは、装置100A、100Bの各内部時計について、正しい時間とのズレ量を示すものとする。 正しい時間とのズレ量が‘0’のとき、そのコンピュータ装置の時計が正しい状態と言えるが、図示のように殆どの場合において装置100A、100Bの時計は多少のズレが生じている。ここで、一般的に、時計機能は、遅れる傾向か進む傾向の何れかとなる。ここでは、装置100Aの時計は進む傾向であり、装置100Bの時計は遅れる傾向になる。そして、図14(a)には、これら時計の時刻補正を行わずに放置した場合を示す。 図14(a)に示すように、装置100Aの時計は、進む方向(+方向)で徐々にズレ量が増大していく。同様に、装置100Bの時計は、遅れる方向(−方向)で徐々にズレ量が増大していく。 この為、通常は、定期的に時刻補正を行う。図14(b)は、時刻補正を行う場合について示している。時刻補正方法については特に詳しくは説明しないが、基本的には、何等かの方法によって取得した正しい時刻と、自己の時計の時刻との差(ズレ量)を求めて、このズレ量に基づいて時刻補正を行う。例えばズレ量分を一気に補正する方法も考えられるが、図示の例ではある程度の時間を掛けて徐々にズレを修正していく。これは、例えば、ズレ量分を一気に補正すると、データの連続性が損なわれる可能性があるからである。 何れにしても、一時的には、時計は正しい時刻となる(ズレ量が‘0’)となる。しかしながら、その後、時間の経過と共に再びズレが増大していくことになる。この為、後に再び時刻補正が必要となる。この様にして、図示のように、ズレ量が‘0’となるのは一時的であり、殆どの場合、時計は多少は狂っていることになる。 更に、何れか一方の装置のズレ量が‘0’であっても、その時の他方の装置のズレ量も‘0’となっていなければ、相対的に両者の時計の時刻は異なっていることになり、この為、例えば合成データγの生成結果が、正しいものと成らない可能性がある。尚、常にズレ量がほぼ‘0’となるようにする為に頻繁に時刻補正を行うことは、現実的ではない。 のように時刻補正を行っても時計は多少は狂っているものである為、図13(a)に示す計測データα、βは、実際には同時刻に得られたデータであってもタイムスタンプが異なる事態と成り得る。すなわち、実際には図13(a)に示すような計測データα、βであるのに、タイムスタンプに基づくと図15(a)に示すようなデータと見做される可能性がある。この為、合成データγ(系統全体の電力計測データ)が、図15(b)に示す合成データγ’のようになる可能性がある。つまり、正しい合成データが得られないことになる。 のような事態に対応する為、例えば、タイムスタンプの精度(時刻の粒度)を、時計の時刻精度よりも荒いものとすることが考えられている。例えば、時計の時刻精度がミリ秒単位(例えば、01時23分17秒056ミリ秒など)であるのに対して、タイムスタンプの精度は秒単位や500ミリ秒単位等とすることが考えられる。 仮に、タイムスタンプの精度を秒単位とした場合、更にこれに応じてミリ秒のデータ値は切り捨てるものとした場合、仮に計測データα、βにおける”ひげ”部分の時刻が、一方が例えば、01時23分17秒106ミリ秒、他方が01時23分17秒343ミリ秒であったとすると、両方ともタイムスタンプ時刻は例えば01時23分17秒等となる。よって、タイムスタンプ上は同時刻のデータとして扱われるので、例えば図15(c)に示すような合成データγ”が得られることになる。これは、正しい合成データが得られたものと見做してよく、”ひげ”も正常に検出できることになる。 図15(c)では、図示のT1の範囲内の計測データに対してはタイムスタンプT1が付与され、図示のT2の範囲内の計測データに対してはタイムスタンプT2が付与される。よって、計測データα、βにおける図示のT1の範囲内の計測データは、同一タイミングのデータであると見做され、合成されるので、これらの合成データは、図15(c)に示す合成データγ”のようになる。つまり、ほぼ正常な合成が行われ、”ひげ”が正常に検出できることになる。T2についても同様である。但し、勿論、この方法では、タイムスタンプの時刻の精度は、実際の時計の時刻の精度より荒くなる(悪くなる)のであるから、図15(c)に示す合成データγ”は、図13(b)に示す合成データγと完全に同じになるわけではない。しかしながら、少なくとも図15(b)に示す合成データγ’に比べれば、正しい合成データが得られることになる。 例えばこの様にして問題を解消することが考えられるが、例えばタイムスタンプの精度をのような秒単位とした場合には、タイムスタンプの精度が荒くなり過ぎると見做せる場合もあり得る。つまり、本来は同一タイミングと見做すべきではないデータ値が、同一タイミングと見做されて、合成されてしまう場合もあり得る。例えば、図15(a)に示す計測データα、βにおける4つの“ひげ”が全て同一タイミングと見做されるようなタイムスタンプ精度であった場合、その合成データには、これら4つの“ひげ”が全て合成されて成る、非常に電力ピーク値が大きい1つの“ひげ”が含まれることになる。 この為、この様な合成データを参考にしてシステム/設備設計を行う開発者等は、例えば、この様な高い電力ピーク値に耐えられるように設備を設計することになる可能性もあり、高価な設備となってしまい、コスト高を招くことになる。 一方で、の例に対してタイムスタンプの精度を例えば100ミリ秒にすると、タイムスタンプ時刻は、それぞれ、01時23分17.1秒、01時23分17.3秒となり、両者は異なる時刻のデータとして扱われることになる。つまり、”ひげ”(電力ピーク値)が正常に検出できないことになる。 のように、タイムスタンプの精度が、荒すぎても細かすぎても、問題が生じることになり、適切なタイムスタンプの精度とすることが望ましい。しかしながら、適切なタイムスタンプの精度は、状況によって変わるものであり、予め固定的に設定できるようなものではない。 これは、のような電力系統監視システムの例に限らず、例えば図8〜図12で説明したようなプラント監視制御システムについても同様である。あるいは、これらの例に限らず、複数の装置で各々自装置内の時計の時刻に基づいてタイムスタンプ付きデータを生成等するシステム(タイムスタンプ付データ管理システムと呼ぶものとする)において、何等かの理由で時計の精度よりも荒い精度のタイムスタンプを生成・付与する必要がある場合にも、のように適切なタイムスタンプの精度とすることに係わる課題がある。 ここで、例えばプラント監視制御システム等におけるリアルタイムデータのタイムスタンプの信頼性は、下記のように定義することもできる。
(タイムスタンプの信頼性定義1); リアルタイムデータが発生・更新された実時間と、リアルタイムデータに付与されているタイムスタンプとの差異が小さいほど、タイムスタンプの信頼性が高い。
(タイムスタンプの信頼性定義2); 時系列に連続するリアルタイムデータに付与されるタイムスタンプの精度(時刻の粒度)が、「タイムスタンプの信頼性定義1」おける実時間との差異よりも大きい場合は、タイムスタンプの保証性は高いが、小さい場合は保証性が低い。尚、保証性とは、例えば複数の装置でほぼ同一タイミングで発生したリアルタイムデータは、タイムスタンプに基づいて同一タイミングであると見做されるようにすることである。例えばの例においてタイムスタンプ精度を秒単位とする場合には、保証性が高いことになる。 例えばプラント監視制御システム等におけるリアルタイムデータに係わるタイムスタンプは、従来では個々の装置の内部時計を使用して生成しているため、上述したように同一タイミングで発生・更新されたデータでも同一タイムスタンプにはならない場合が多い。この問題は、の通り、定期的に時計の時刻補正を行う場合でも解消されない。 しかしながら、上述したように、タイムスタンプは必ずしも正確な時間を示す必要はなく、タイムスタンプの精度を荒くすることで問題が解消する場合もあり得る。但し、の通り、適切なタイムスタンプ精度を設定することに関しては課題がある。 あるいは、「装置200Aと装置200Bとで同時にデータ更新があった場合には、装置200Aの更新データの方を残したい、等という要望」を満たす為には、まず、同一タイミングで発生したデータには同一タイムスタンプが付与されるようにすることが必要と考えられる。そのうえで、タイムスタンプに基づいて同一タイミングであると判定された場合に、何等かの方法より装置200Aのデータを優先させることが考えられる。 何れにしても、これらは一例を説明しているものであり、基本的には、複数の装置で各々、時系列的に変化し得る様々なデータ(リアルタイムデータ)を取得/生成等すると共に自装置の内部時計に基づいてタイムスタンプを生成するシステムにおいて、これら各データの相対的な時系列関係(任意のデータ同士の時間的な前後関係が、前か後か同一タイミングか)を、適切に判定できるようにすることが望まれる。そして、その為に、のように適切なタイムスタンプ精度が設定されることが望まれている。尚、このようなタイムスタンプは、「システムとして“有意義な”タイムスタンプである」あるいは「システムで扱うリアルタイムデータの時刻精度において有意義なタイムスタンプである」等と言うこともできる。 例えば、同一タイミングで発生したデータには同一タイムスタンプが付与されるようにすることが必要であるが、これを実現するだけであれば、のようにタイムスタンプの精度を荒くすればよい(例えば、秒単位とすればよい)。しかしながら、この場合、信頼性定義1に係わる信頼性が、低くなる。 本発明の課題は、複数の装置で各々自装置内の時計の時刻に基づいてタイムスタンプ付きデータを生成等するシステムにおいて、タイムスタンプの精度を、そのときの状況に応じて適宜適切な値に設定することができ、以って各データの相対的な時系列関係を正しく判定できるようにするタイムスタンプ付データ管理システム等を提供することである。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

本発明のタイムスタンプ付データ管理システムは、複数の装置で各々自装置内の時計の時刻に基づいてタイムスタンプ付きデータを生成等するシステムであって、前記各装置は、自装置の時計と、各他の装置の時計との時差を、該各他の装置との通信に基づいて算出して、該各時差に基づいてシステムとしてのタイムスタンプ精度を求めるタイムスタンプ精度算出手段と、任意のデータに係わるタイムスタンプを生成する際に、そのときの・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
本発明のタイムスタンプ付データ管理システム等によれば、複数の装置で各々自装置内の時計の時刻に基づいてタイムスタンプ付きデータを生成等するシステムにおいて、タイムスタンプの精度を、そのときの状況に応じて適宜適切な値に設定することができ、以って各データの相対的な時系列関係を正しく判定できる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】本例のプラント監視制御システムの構成例である。

【図2】図1のタイムスタンプ精度算定処理部の詳細構成図である。

【図3】タイムスタンプ精度算定処理部の処理シーケンス例を示した図である。

【図4】決定されたタイムスタンプ精度等の例に応じた動作イメージを示す図である。

【図5】決定されたタイムスタンプ精度に応じたタイムスタンプの正規化処理例等を示す図である。

【図6】受信側の処理動作例を示す図である。

【図7】図1のタイムスタンプ精度算定処理部の詳細構成図(他の例)である。

【図8】既存のプラント監視制御システムの一例を示す図である。

【図9】図8のプラント監視制御システムの各装置間のデータの送受信動作例等(その1)である。

【図10】(a)、(b)は、図9に関するデータ更新に係わる動作例である。

【図11】図8のプラント監視制御システムの各装置間のデータの送受信動作例等(その2)である。

【図12】(a)、(b)は、図11に関するデータ更新に係わる動作例である。

【図13】(a)は計測データ、(b)はこれらの合成データの一例(その1)である。

【図14】(a)は補正しない場合の時計の時刻ズレ、(b)は補正する場合の時計の時刻ズレの一例を示す図である。

【図15】(a)は計測データ、(b)はこれらの合成データの一例(その2)である。

選択図 図2出願人が指定した本件の代表的な図

1 伝送路   10(10A,10B,10C) 装置   11 共通データローカル領域   12 内部時計   13 タイムスタンプ精度算定処理部   14 タイムスタンプ正規化処理部   15 データ情報送受信処理部   16 アプリケーション処理部   21 定刻通知処理部   22 定刻通知受信処理部   23 精度算定処理部   24 タイムスタンプ精度テーブル記憶部   25 タイムスタンプ精度算出条件データ記憶部   30 タイムスタンプ精度テーブル   31 タイムスタンプ精度   32 データ更新周期   41 タイムスタンプ精度間隔   42 データ更新周期係数   50 精度算定処理部  

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